JP6491430B2 - 難燃剤含有スチレン系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃剤含有スチレン系樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、外観に優れ、更に熱安定性及び難燃性を両立するスチレン系樹脂押出発泡体に用いられる難燃剤組成物、及び、この難燃剤組成物を用いたスチレン系樹脂押出発泡体に関する。
スチレン系樹脂を押出機等にて加熱溶融し、次いで発泡剤を添加し、冷却し、これを低圧領域に押し出すことにより、スチレン系樹脂押出発泡体を連続的に製造する方法は、既に知られている。このスチレン系樹脂押出発泡体は、JIS A9511記載の押出スチレンフォーム保温板の燃焼性規格を満たす必要があるため、通常、難燃剤を含む。
スチレン系樹脂押出発泡体に用いられる難燃剤には、一般的なスチレン系樹脂の押出加工条件である230℃付近の温度で分解しないことが求められる。押出加工時に難燃剤が分解すると、樹脂の劣化が引き起こされるため、得られるスチレン系樹脂押出発泡体の成形性が悪化する、或いはスチレン系樹脂押出発泡体のセル径が制御し難くなる等の悪影響が生じるためである。また、難燃剤には、高温下、スチレン系樹脂が分解する前に効率良く分解するとの特性が求められる。一般的なスチレン系樹脂は300℃付近で分解し始めるが、このスチレン系樹脂の分解温度よりも低い温度で難燃剤が分解することによって、スチレン系樹脂押出発泡体の難燃性を向上できるためである。さらに製品コストや、得られるスチレン系樹脂押出発泡体の成形性の観点からは、少量で難燃性を向上できる必要がある。
このような背景から、スチレン系樹脂押出発泡体に用いられる難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、「HBCD」と称する。)が広く用いられてきた。HBCDは、押出加工条件下では比較的安定であり、且つ、高温下、スチレン系樹脂が分解する前に効率良く分解することが知られており、さらに少量で高度な難燃性を発現できる。しかしながら、HBCDは、難分解性であり、高蓄積性を示すため、環境衛生上好ましくない。
そこで、HBCDに代わる難燃剤として、従来の低分子型の難燃剤に取って代わり、ポリマー型の難燃剤が提案されている(特許文献1、2)。しかし、このポリマー型難燃剤は熱安定性に問題があり、一般的なスチレン系樹脂の押出加工条件下でも熱分解・熱劣化し、変色して、発泡体の外観不良を引き起こす場合があった。
ところで、ポリマー型難燃剤をスチレン系樹脂に配合して発泡体を成形する方法として、直接スチレン系樹脂に添加して押出発泡する方法や(特許文献2)、先ずスチレン系樹脂に配合して濃縮物ペレットを調製した後、スチレン系樹脂ペレットと混合し、発泡体を形成する方法(特許文献1)が知られている。しかし、特許文献1で得られる発泡体の外観は明らかでない。
国際公開第2007/058736号 国際公開第2010/080285号
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリマー型難燃剤を用いた場合にも、難燃性、環境適合性を付与するだけでなく、押出加工条件下でのポリマー型難燃剤の分解を防止し、外観も良好なスチレン系樹脂発泡体の成形技術を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリマー型難燃剤を予めスチレン系樹脂、安定剤と共に混練して難燃剤組成物を調製する場合に、混練時の温度と付与する比エネルギーを適切に制御すると、難燃剤組成物の熱安定性を改善できること、そして、このような難燃剤組成物をさらにスチレン系樹脂、発泡剤と配合して発泡体とすることで、難燃性に優れ、かつ外観も良好なスチレン系樹脂押出発泡体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の難燃剤組成物は、第1のスチレン系樹脂と、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーと、安定剤とを押出機のバレル温度180℃以下、比エネルギー0.50kWh/kg以下の条件で、混練することによって得られ、かつ、熱重量分析による5%重量減少温度が255℃以上、270℃以下であることを特徴とする。また、本発明の難燃剤組成物は、スクリューの有効長Lと外径Dの比(L/D)が52以下である押出機で混練することによって得られるものであることが好ましく、スクリュー1回転当たりの吐出量(Q/N)が0.6kg/Hr/rpm以上である押出機で混練することによって得られるものであることが好ましい。
さらに、本発明の難燃剤組成物は、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して、第1のスチレン系樹脂を20重量部以上、200重量部以下、及び、安定剤を5重量部以上、75重量部以下含有するものであることが好ましい。前記安定剤は、エポキシ化合物、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、及び多価アルコール部分エステルよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
さらに、本発明の難燃剤組成物と、第2のスチレン系樹脂と、発泡剤とを含む混合物を押出発泡することによって得られるスチレン系樹脂押出発泡体も本発明の技術的範囲に包含される。前記混合物が、さらに第2の安定剤を含有することが好ましい。
本発明の難燃剤組成物は、スチレン系樹脂と、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーと、安定剤とを所定の温度と比エネルギー条件で混練することによって製造されているため、その熱安定性が良好である。また、この難燃剤組成物をさらにスチレン系樹脂、発泡剤と配合して発泡体とすることで、難燃性に優れ、かつ外観も良好なスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
1.難燃剤組成物
本発明の難燃剤組成物は、第1のスチレン系樹脂と、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーと、安定剤とを、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーが軟化した状態で混練(溶融混練を含む)することによって製造されるペレット状の組成物であり、混練温度が低く調整されているとともに、混練時の仕事量が一定範囲に制御されたものであるため、熱安定性に優れたものとなる。また、この難燃剤組成物は、マスターバッチとして作用するものであり、難燃剤を高濃度で含みつつ熱安定性が向上しているため、これを用いて得られるスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に「発泡体」、「スチレン系樹脂発泡体」と称する場合がある。)は、熱安定性と難燃性を両立でき、さらに外観も良好なものとなる。
前記混練には押出機を用いることができ、好ましくは2軸押出機、より好ましくは同方向2軸押出機を用いることができる。このような押出機に上記原料を供給し、押出機のバレル部(シリンダ部)の加熱温度(バレル温度)を一定範囲に制御した上で、該バレル部(シリンダ部)の内部でスクリューを回転させることにより原料を混練する。押出機のバレル温度は、180℃以下であり、170℃以下であることが好ましく、より好ましくは160℃以下である。押出機のバレル温度を低くすることで、混練時の過熱を防止できる。また、押出機バレル温度は、130℃以上であることが好ましく、より好ましくは140℃以上である。押出機バレル温度がこの範囲にあると、安定して軟化状態にすることができる。
また、混練時の仕事量は、比エネルギー(押出機の仕事量を、単位時間当たりの吐出量Qで除した値)で評価することができる。通常、比エネルギーが大きいほど混練効率が向上するが、本発明では、比エネルギーをあえて抑制することで、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーが分解されにくくなり、難燃剤組成物の熱安定性が良好となることを見出している。比エネルギーは、0.50kWh/kg以下であり、0.45kWh/kg以下であることが好ましく、より好ましくは0.40kWh/kg以下であり、さらに好ましくは0.38kWh/kg以下である。比エネルギーの下限は、混練が可能な範囲で適宜設定でき、例えば、0.1kWh/kg以上、好ましくは0.2kWh/kg以上程度である。
前記比エネルギーは、押出機スクリューの有効長Lと外径Dの比(L/D)や、スクリュー1回転当たりの吐出量(Q/N)で調整できる。
押出機スクリューの有効長Lと外径Dの比(L/D)は、押出機スクリューの混練効率の目安となる数値であり、この値が大きいほど、混練時の仕事量が大きくなって、比エネルギーが増加する。本発明では、比エネルギーをあえて抑制する観点から、押出機スクリューの有効長Lと外径Dの比(L/D)が、52以下であることが好ましく、より好ましくは50以下、さらに好ましくは45以下である。また、有効長Lと外径Dの比(L/D)は、15以上であることが好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上である。有効長Lと外径Dの比(L/D)がこの範囲にあると、難燃剤組成物の原料を十分に混練できる。
また、スクリュー1回転当たりの吐出量(Q/N)は、押出機の量的効率を表すものであり、この値が大きいほど、混練時の仕事量が少なくなって、比エネルギーが小さくなる。このため、スクリュー1回転当たりの吐出量(Q/N)は、0.6kg/Hr/rpm以上であることが好ましく、より好ましくは0.8kg/Hr/rpm以上である。また、スクリュー1回転当たりの吐出量(Q/N)は、3kg/Hr/rpm以下であることが好ましく、より好ましくは2.5kg/Hr/rpm以下である。1回転当たりの吐出量がこの範囲にあると、難燃剤組成物の原料を十分に混練できる。
スクリュー1回転当たりの吐出量を上記範囲に調整する観点から、スクリュー回転数Nは、50rpm以上が好ましく、より好ましくは70rpm以上であり、250rpm以下が好ましく、より好ましくは200rpm以下である。また、吐出量Qは、30kg/hr以上が好ましく、より好ましくは40kg/hr以上であり、500kg/hr以下が好ましく、より好ましくは400kg/hr以下である。
原料を上記の条件で混練することにより難燃剤組成物が得られるが、得られた難燃剤組成物は、水中カット、ホットカット、ストランドカット等の方式によりペレット状に造粒しておくことが好ましい。中でも、ダイから難燃剤組成物を紐状に押し出し、カット成形するストランドカットがより好ましい。前記ダイは、通常円形であり、ダイ直径は30〜90mmが好ましく、40〜75mmがより好ましい。
このとき、ダイ出口の樹脂温度は215℃以下であることが好ましく、更に好ましくは200℃以下であり、特に好ましくは198℃以下である。ただし、この好ましい範囲まで樹脂温度を下げなくてもよい。本発明の難燃剤組成物は、押出機バレル温度と比エネルギーを所定範囲に調整して混練することにより得られたものであるため、ダイ出口の樹脂温度が高くとも(例えば200℃以上、或いは210℃以上)、熱安定性が良好になる。ダイ出口温度の下限は、180℃以上、好ましくは190℃以上であってもよい。
前記難燃剤組成物に用いられる第1のスチレン系樹脂としては、特に限定はなく、スチレン系重合体であればいずれも使用できる。またこのスチレン系重合体は、単独で用いてもよく、他の重合体と混合したブレンド物であってもよい。さらにはバージン樹脂、リサイクル樹脂のいずれであってもよい。
前記スチレン系重合体は、スチレン;メチルスチレン(ビニルトルエン)、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、α−エチルスチレン、β−エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン(ビニルキシレン)等の炭素数1〜5のアルキル基で置換されたスチレン;ブロモスチレン、クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン;等のスチレン系単量体の単独又は共重合体である。なおこの共重合体は、2種以上のスチレン系単量体の共重合体であってもよく、スチレン系単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。ここで用いられる他の単量体としては、ジビニルベンゼン;ブタジエン等のオレフィン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル等の(メタ)アクリル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物;等が挙げられる。前記他の単量体は、スチレン系樹脂押出発泡体の圧縮強度等の機械的特性を低下させない範囲で使用できる。
また、スチレン系重合体の重量平均分子量は、100,000以上、500,000以下であることが好ましく、より好ましくは150,000以上、400,000以下であり、さらに好ましくは200,000以上、350,000以下である。重量平均分子量が小さいほど、比エネルギーを下げやすくなり、難燃剤組成物の耐熱性を高めやすくなる。また、本発明では、押出機バレル温度、及び比エネルギーを調整しているため、スチレン系重合体の重量平均分子量が、高くとも(例えば210,000以上、或いは300,000以上)、難燃剤組成物とすることができる。
前記ブレンド物に用いられる他の重合体としては、例えば、前記他の単量体を重合した重合体;ジエン系ゴム強化ポリスチレン、アクリル系ゴム強化ポリスチレン等のゴム強化スチレンが挙げられる。スチレン系重合体と他の重合体のブレンド比(スチレン系重合体/他の重合体)は、例えば、0.01〜100であることが好ましく、0.5〜3であることがより好ましい。
これらのスチレン系樹脂の中でも、押出発泡成形性などの面から、スチレン系重合体が好ましく、より好ましくはスチレンホモポリマー等のスチレン系単量体の単独重合体;スチレン−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸共重合ポリスチレン、無水マレイン酸変性ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等)等のスチレン系単量体と他の単量体の共重合体;であり、さらに好ましくは、スチレン系単量体の単独重合体であり、特に好ましくは、コスト面から、スチレンホモポリマーである。
また、リサイクルスチレン系樹脂としては、前記スチレン系樹脂を含有するリサイクル品である限り、特に限定されないが、例えば、発泡ポリスチレン製品をリサイクルしたリサイクルスチレン系樹脂が挙げられる。リサイクルスチレン系樹脂に用いられる発泡ポリスチレン製品としては、例えば、魚箱EPS(発泡ポリスチレン)、家電緩衝材、食品発泡ポリスチレントレーなどのスチレン系樹脂発泡体、或いは、冷蔵庫内装材としてのポリスチレントレー等が挙げられる。また、製品の仕上げカット工程で発生したカット屑や、押出運転のスタートアップ時に発生するスクラップをリサイクルした発泡体も、リサイクルスチレン系樹脂として用いることができる。
リサイクルスチレン系樹脂は、そのまま、押出機へ投入しても良いが、一般的には押出機に投入しやすいように、減容化および/または加工(ペレット化)を行なう方が好ましい。なお、加工(ペレット化)の際には一般的に押出機によって混練(溶融混練も含む)が行われるが、難燃剤などの影響も含め、樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度、例えば160〜240℃程度で混練することが好ましい。また、リサイクルスチレン系樹脂中の発泡剤を脱気する為に、押出機にベント口を設ける事が望ましい。
本発明における第1のスチレン系樹脂としては、メルトフローレート(以下、「MFR」と称する。)が1〜15g/10分のものを用いることが好ましい。MFRがこの範囲にあると、押出発泡成形する際の成形加工性に優れるとともに、成形加工時の吐出量、得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚みや幅、密度または独立気泡率を所望の値に調整しやすく、さらには発泡性(発泡体の厚みや幅、密度、独立気泡率、表面性などを所望の状況に調整しやすいほど、発泡性が良い)、外観などに優れたスチレン系樹脂発泡体が得られる。そして、得られるスチレン系樹脂押出発泡体は、圧縮強度、曲げ強度または曲げたわみ量といった機械的強度や、靱性などの特性のバランスがとれたものとなる。さらに、第1のスチレン系樹脂のMFRは、押出機内での混練時に発生するせん断発熱を出来るだけ抑えるために4〜12g/10分がさらに好ましい。なお、本発明におけるMFRは、JIS K7210により測定される値である。
また、第1のスチレン系樹脂は、分岐構造を有することで、MFR、成形加工時の粘度、張力などを調整できる。例えば、スチレン系樹脂においては、ジビニルベンゼン;ブタジエン等のオレフィン系単量体;等の2官能の単量体を用いることにより分岐構造を形成でき、分岐した鎖が長いほどMFR、粘度、張力が大きくなる傾向がある。
第1のスチレン系樹脂は、難燃剤組成物100重量部中、20重量部以上、60重量部以下であることが好ましく、より好ましくは30重量部以上、50重量部以下である。また、第1のスチレン系樹脂は、後述する臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して、60重量部以上、120重量部以下であることが好ましく、より好ましくは70重量部以上、100重量部以下(特に100重量部未満)である。第1のスチレン系樹脂が多いほど、得られる難燃剤組成物の機械的強度が良好であり、また、第1のスチレン系樹脂がこの範囲にあれば、難燃性が良好である。
前記難燃剤組成物は、上述した様に、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーも含有する。この臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーは、難燃剤として作用するものであり、これを使用することで、難燃性及び環境適合性に優れた発泡体を得ることができる。
臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーは、スチレンブロックと臭素化ブタジエンブロックとを有するブロック共重合体であり、難燃性、コスト、供給安定性に優れる。臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーのブロック数は、例えば2〜10であることが好ましく、より好ましくは2〜5である。また、ブロック数は奇数であることが好ましく、この場合、スチレン系樹脂との混合性が良好である観点から、末端のブロックはスチレンブロックであることが好ましい。また、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーの臭素含有率は、50重量%以上、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以上、70重量%以下である。
臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーの重量平均分子量は、50,000〜300,000であることが好ましく、より好ましくは70,000〜200,000である。さらに、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーの5%重量減少温度は、240℃以上であることが好ましく、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは260℃以上であり、280℃以下であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましい。
臭素化スチレン−ブタジエンポリマーの含有量は、難燃剤組成物100重量%中、30重量%以上、80重量%以下であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、45重量%以上であることがさらに好ましい。臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーの含有量が多いほど、スチレン系樹脂押出発泡体を調製する際、難燃剤組成物の添加量を抑制できるため、コスト面でも有利である。また、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーの含有量が少ないほど、難燃剤組成物の機械的強度が良好である。
本発明の難燃剤組成物は、さらに安定剤も含有する。安定剤を用いることで、得られる難燃剤組成物の熱安定性が良好となる。安定剤としては、エポキシ化合物、多価アルコール部分エステル、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、ヒンダートアミン系安定剤等が挙げられ、中でも、エポキシ化合物、多価アルコール部分エステル、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤が好ましい。安定剤は、単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよいが、2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
本発明で用いられるエポキシ化合物の化学構造としては、例えば、繰り返し数が1以上の芳香族環含有ユニット(ビスフェノール類、フェノール類など)の両端にエポキシ基(グリシジル基など)が結合した化合物が使用でき、コスト、性能、供給安定性の面から、構造式(1)
で表されるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、構造式(2)
で表されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、構造式(3)
で表されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、が望ましい。
また、構造式(4)
で表される臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などの様に、前記エポキシ化合物は、部分的にハロゲン化されていてもよい。これらエポキシ化合物は、単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
前記エポキシ化合物としては、エポキシ当量が1000g/eq未満であることが好ましい。エポキシ基が臭素系難燃剤の分解を抑制し、スチレン系樹脂の熱安定性能を向上させていると考えられることから、エポキシ当量を抑制することで難燃剤の分解が効果的に抑制され、またコスト面でも有利である。このため、エポキシ当量はより好ましくは、500g/eq未満、さらに好ましくは400g/eq未満であり、180g/eq以上であることが好ましい。
エポキシ化合物は、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して、4重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、4重量部以上、10重量部以下であることがより好ましい。エポキシ化合物の含有量が多いほど、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーやスチレン系樹脂の分解が抑制され、その結果、スチレン系樹脂押出発泡体を形成するセル径(気泡径)の肥大化を抑制でき、断熱性能を良好なものとすることができる。また、スチレン系樹脂の分解を抑制することにより、分子量分布を維持することができ、成形性や発泡体表面の平滑性を維持することができる。さらに、難燃剤の分解をも抑制できるため、他の添加剤やスチレン系樹脂の黒変を防ぐことができ、スチレン系樹脂押出発泡体の外観が良好となる。また、エポキシ化合物の含有量が上記範囲にあると、難燃剤を適度に安定化できるため、スチレン系樹脂押出発泡体の燃焼時に難燃剤が効果的に分解でき、難燃性が向上する。
また、エポキシ化合物は、安定剤100重量%中、10重量%以上、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、40重量%以下である。
また、前記多価アルコール部分エステルは、多価アルコールと、カルボン酸とが反応して得られる部分エステルの混合物であり、分子中に1個以上の水酸基を有する。また、多価アルコール部分エステルの混合物は、原料の多価アルコールを含有していても良い。
前記多価アルコールの価数は、2〜10であることが好ましく、より好ましくは4〜8、さらに好ましくは4〜6である。多価アルコールとしては、具体的には、ペンタエリスリトール等の4価アルコール;ジペンタエリスリトール等の6価アルコール;トリペンタエリスリトール等の8価アルコール;等が挙げられる。また、前記カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸等の炭素数2〜4の1価のカルボン酸;アジピン酸、グルタミン酸等の2価のカルボン酸;等が挙げられ、2価のカルボン酸が好ましい。
多価アルコール部分エステルとしては、ジペンタエリスリトールとアジピン酸との部分エステルや、ペンタエリスリトールとアジピン酸との部分エステルが好ましい。ペンタエリスリトールやジペンタエリスリトールとアジピン酸との部分エステルとしては、例えば、市販品として、味の素ファインテクノ(株)製プレンライザー(登録商標)ST−210、プレンライザー(登録商標)ST−220等が挙げられる。
多価アルコール部分エステルを含む場合、その含有量は、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して、0.1重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以上、10重量部以下であることがより好ましい。多価アルコール部分エステルの含有量がこの範囲にあると、熱に対する安定化効果とともに、難燃剤の難燃性も発揮できる。
また、多価アルコール部分エステルは、安定剤100重量%中、0重量%以上、15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
前記フェノール系安定剤としては、特に限定されるものではなく、市販の物質を用いることができる。具体例としては、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートがあげられ、これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの中では、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が、価格および性能面で好ましく用いられる。
フェノール系安定剤の含有量は、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して4重量部以上、20重量部以下であることが好ましく、7重量部以上、15重量部以下であることがより好ましい。フェノール系安定剤の量が多いほど、難燃剤の熱安定性を向上でき、また、フェノール系安定剤の含有量が前記範囲であると、発泡体の気泡形成に影響を及ぼすことがないため、セル径の肥大が抑制され、成形性及び断熱性の制御が容易となる。
また、フェノール系安定剤は、安定剤100重量%中、30重量%以上、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上、70重量%以下である。
前記ホスファイト系安定剤としては、例えば、3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト)が好ましい。これらのホスファイト系安定剤を用いることで、発泡体の難燃性を低下させることなく、かつ、発泡体の熱安定性を向上させることができる。
ホスファイト系安定剤を含む場合、その含有量は、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して、0.1重量部以上、2.0重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.2重量部以上、0.9重量部以下である。ホスファイト系安定剤の含有量がこの範囲であると、難燃剤の熱安定性を向上しつつ、難燃剤自体の難燃性も維持できる。
また、ホスファイト系安定剤は、安定剤100重量%中、1重量%以上、8重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2重量%以上、6重量%以下である。
また前記ヒンダートアミン系安定剤としては、例えば、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4− ピペリジニル)、デカン二酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ−4−ピペリジニル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)―1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート等が好ましい。
ヒンダートアミン系安定剤を含む場合、その含有量は、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して、0.1重量部以上、2.0重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1重量部以上、0.9重量部以下である。ヒンダートアミン系安定剤の含有量がこの範囲であると、難燃剤の熱安定性を向上しつつ、難燃剤自体の難燃性も維持できる。
このようにして得られた難燃剤組成物は、熱安定性に優れており、例えば、5%重量減少温度を高くできる。5%重量減少温度は、熱重量分析により測定される値であり、室温(約25℃)から400℃まで10℃/分の昇温速度で昇温したときに、試料の150℃における重量を基準として、試料の重量が5%減少したことになる温度の事を意味する。本発明の難燃剤組成物の5%重量減少温度は、例えば、255℃以上、好ましくは258℃以上、より好ましくは260℃以上である。5%重量減少温度が高くなるほど、この難燃剤組成物を用いてスチレ系樹脂押出発泡体を製造する際にも難燃剤が分解・劣化しにくくなり、これに起因してセル径(発泡部の気泡径)制御が容易となるだけでなく、難燃剤の劣化に伴う色目の変化をも抑制でき、さらには発泡体内の異物を抑制できる。5%重量減少温度は、好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは270℃以下であると、難燃性が効率よく発揮され、コスト面でも有利となる。
また本発明の難燃剤組成物は、混練時の比エネルギーを抑えて調製されているため、その外観にも優れており、例えば黒スジ等の変色も抑制される。加えて、その脆化も抑制されているため、ペレットにしたときの形状にも優れている。
2.スチレン系樹脂押出発泡体
上記の難燃剤組成物(ペレットなど)は、第2のスチレン系樹脂と、発泡剤と共に混合物にして、この混合物を押出発泡することによって、スチレン系樹脂押出発泡体にすることができる。予め難燃剤組成物(ペレットなど)を調製しておくことで難燃剤を均一に混合することが可能となる。そして本発明では、熱安定性に優れる難燃剤組成物が均一に混合されるため、得られるスチレン系樹脂押出発泡体は、熱安定性に著しく優れ、外観も非常に良好となる。
第2のスチレン系樹脂としては、第1のスチレン系樹脂と同様のものを好ましく例示できる。第2のスチレン系樹脂は、第1のスチレン系樹脂と同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
難燃剤組成物は、第1のスチレン系樹脂と第2のスチレン系樹脂の合計100重量部に対して、0.5重量部以上であることが好ましく、より好ましくは3重量部以上であり、さらに好ましくは4重量部以上である。難燃剤組成物の量が多いほど、得られるスチレン系樹脂押出発泡体の熱安定性が良好となる。また、難燃剤組成物は、スチレン系樹脂100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは8重量部以下であり、さらに好ましくは7重量部以下である。難燃剤組成物の量がこの範囲であると、得られるスチレン系樹脂押出発泡体の難燃性が良好である。
さらに臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマーは、第1及び第2のスチレン系樹脂の合計100重量部に対して、1重量部以上、10重量部以下となるように調整することが好ましく、より好ましくは2重量部以上、5重量部以下である。
また、第2のスチレン系樹脂は、第1のスチレン系樹脂100重量部に対して500重量部以上であることが好ましく、より好ましくは2000重量部以上、さらに好ましくは3000重量部以上であり、6000重量部以下であることが好ましく、より好ましくは4000重量部以下である。
さらに、難燃剤組成物(ペレットなど)、第2のスチレン系樹脂、発泡剤を含む前記混合物100重量中、スチレン系樹脂は、75重量%以上、99重量%以下であることが好ましく、より好ましくは85重量%以上、95重量%以下である。
本発明で用いられる発泡剤としては、公知の発泡剤が適宜使用でき、例えば、飽和炭化水素、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル等の有機発泡剤;水、二酸化炭素、窒素等の無機発泡剤;アゾ化合物、テトラゾール等の化学発泡剤;のいずれも使用できる。ただし、目的とする発泡倍率、難燃性等の発泡体の諸特性いかんによっては、その使用量などが制限される場合があり、押出発泡成形性などに影響を与える場合がある。
発泡剤としては、少なくとも飽和炭化水素を含むことがより好ましい。これにより、優れた環境適合性を付与することができる。また、飽和炭化水素と組み合わせて、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化アルキル等の他の有機発泡剤;水、二酸化炭素、窒素等の無機発泡剤;等を用いることで、発泡体製造時の可塑化効果や助発泡効果が得られるとともに、押出圧力を低減でき、安定的に発泡体を製造することが可能となる。飽和炭化水素と組み合わせる他の有機発泡剤としては、発泡性、発泡体成形性の観点から、炭素数1〜4の飽和アルコール類、炭素数2〜4のエーテル類、炭素数1〜2のハロゲン化アルキルが好ましく、さらに可塑化効果の点から、炭素数2〜4のエーテル類がより好ましく、ジメチルエーテルが特に好ましい。また、飽和炭化水素と組み合わせる無機発泡剤としては、発泡剤の燃焼性、発泡体の難燃性、断熱性の観点からは、水、二酸化炭素が好ましく、セル径(気泡径)の制御による断熱性向上効果の点から、水が特に好ましい。
前記飽和炭化水素は、炭素数3〜5であることが好ましく、より好ましくは炭素数3〜4であり、特に好ましくは炭素数4である。前記飽和炭化水素としては、例えば、プロパン等の炭素数3の飽和炭化水素;n−ブタン、i−ブタン等の炭素数4の飽和炭化水素;n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン等の炭素数5の飽和炭化水素;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。中でも、発泡性の点から、プロパン等の炭素数3の飽和炭化水素;n−ブタン、i−ブタン等の炭素数4の飽和炭化水素;これらの混合物;が好ましい。また、発泡体の断熱性能の点から、n−ブタン、i−ブタン等の炭素数4の飽和炭化水素;これらの混合物;が好ましく、特に好ましくはi−ブタンである。
なお、前記飽和炭化水素は、発泡体の熱伝導率向上の観点から、スチレン系樹脂100重量部に対して、2.0重量部以上、5.0重量部以下であることが好ましい。飽和炭化水素が多いほど、セル径(気泡径)の制御が容易となり、得られるスチレン系樹脂押出発泡体の熱伝導率が良好となる。但し、飽和炭化水素の炭素数が小さくなると、その性状が可燃性ガスとなるため、発泡体の難燃性を維持する観点からは、飽和炭化水素は、第1のスチレン系樹脂と第2のスチレン系樹脂の合計100重量部に対して、2.7重量部以上、3.7重量部以下であることが好ましい。
また、飽和炭化水素は、発泡剤の合計100重量%中、30重量%以上、80重量%以下であることが好ましく、40重量%以上、70重量%以下であることがより好ましい。飽和炭化水素の量がこの範囲であると、セル径(気泡径)の制御が容易になるとともに、発泡体の難燃性も良好となる。
前記アルコール類としては、飽和アルコール類が好ましい。また炭素数は1〜6であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜5であり、さらに好ましくは炭素数1〜4である。前記アルコール類としては、具体的には、メタノール;エタノール;プロピルアルコール、i−プロピルアルコール;等の炭素数3の飽和アルコール類;ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の炭素数4の飽和アルコール類;等が挙げられる。
前記エーテル類としては、鎖状又は環状のエーテル類が挙げられ、炭素数は2〜10が好ましく、より好ましくは炭素数2〜6であり、さらに好ましくは炭素数2〜4である。前記エーテル類としては、ジメチルエーテル(メチルエーテル)等の炭素数2の鎖状エーテル類;メチルエチルエーテル等の炭素数3の鎖状エーテル類;ジエチルエーテル(エチルエーテル)等の炭素数4の鎖状エーテル類;ジイソプロピルエーテル(イソプロピルエーテル)等の酸素6の鎖状エーテル類;n−ブチルエーテル等の炭素数8の鎖状エーテル類;フラン、テトラヒドロフラン等の炭素数4の環状エーテル類;フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロピラン等の炭素数5の環状エーテル類;等が挙げられる。
前記ケトン類としては、鎖状のケトン類が挙げられ、炭素数は2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは炭素数2〜4である。前記ケトン類としては、具体的には、ジメチルケトン等の炭素数2の鎖状ケトン類;メチルエチルケトン等の炭素数3の鎖状ケトン類、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン等の炭素数4の鎖状ケトン類;メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、エチル−n−プロピルケトン等の炭素数5の鎖状ケトン類;メチル−n−アミルケトン、エチル−n−ブチルケトン等の炭素数6の鎖状ケトン類;メチル−n−ヘキシルケトンなどの炭素数7の鎖状ケトン類;等が挙げられる。
前記エステル類としては、カルボン酸エステル類が好ましく、炭素数1〜3のカルボン酸のエステル類が好ましく、蟻酸エステル類、プロピオン酸エステル類がより好ましい。また、炭素数は2〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜6である。前記エステル類としては、具体的には、蟻酸メチルエステル等の炭素数2のエステル類;蟻酸エチルエステル等の炭素数3のエステル類;蟻酸プロピルエステル、プロピオン酸メチルエステル等の炭素数4のエステル類;蟻酸ブチルエステル、プロピオン酸エチルエステル等の炭素数5のエステル類;蟻酸アミルエステル等の炭素数6のエステル類;等が挙げられる。
前記ハロゲン化アルキル類としては、フッ化アルキル、塩化アルキル、臭化アルキル、ヨウ化アルキル等が挙げられ、塩化アルキルが好ましい。また、炭素数は1〜5が好ましく、炭素数1〜2がより好ましい。ハロゲン化アルキルとしては、塩化メチル、塩化エチル等の塩化アルキルが挙げられる。
前記ハロゲン化アルケニルとしては、フッ化アルケニル、塩化アルケニル、臭化アルケニル、ヨウ化アルケニル等が挙げられ、フッ化アルケニルが好ましい。また、炭素数1〜5が好ましく、炭素数2〜4がより好ましい。ハロゲン化アルケニルとしては、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン等が挙げられる。
また、上記無機発泡剤としては、水、二酸化炭素が好ましく、水が特に好ましい。
本発明において、他の発泡剤として水を用いる場合には、安定して押出発泡成形を行うために、吸水性物質を添加することが好ましい。本発明に用いられる吸水性物質の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール−アクリル酸塩系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキシド系共重合体およびこれらの誘導体等の吸水性高分子;表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素)[例えば、日本アエロジル(株)製AEROSIL(登録商標)などが市販されている]等のように表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末;スメクタイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性あるいは水膨潤性の層状珪酸塩並びにこれらの有機化処理品;ゼオライト、活性炭、アルミナ、シリカゲル、多孔質ガラス、活性白土、けい藻土、又はこれらの酸処理物等の多孔性物質;等があげられる。吸水性物質としては、多孔性物質が好ましく、活性白土の酸処理物が特に好ましい。活性白土の酸処理物としては、例えば、エボニックデグサジャパン製、カープレックス(登録商標)BS304、カープレックス(登録商標)BS304F、カープレックス(登録商標)#67、#80等を用いることができる。
本発明における吸水性物質の添加量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、5重量部以下が好ましく、0.1重量部以上、3重量部以下がより好ましい。また、吸水性物質は、水100重量部に対して、1重量部以上、200重量部以下が好ましく、10重量部以上、70重量部以下がより好ましい。
発泡剤の使用量は、第1及び第2のスチレン系樹脂の合計100重量部に対して、2重量部以上、20重量部以下が好ましく、4重量部以上、10重量部以下がより好ましい。発泡剤の使用量が多いほど、発泡倍率が高くなり、樹脂発泡体としての軽量性、断熱性等の特性が発揮されやすくなり、また、発泡剤の使用量がこの範囲であると、発泡剤量が適度であるため、発泡体中に生じるボイドなどの不良を抑制できる。
また、押出発泡に供する混合物中、難燃剤組成物(ペレットなど)、第2のスチレン系樹脂、及び発泡剤の合計の含有量は、混合物100重量%中、85重量%以上であることが好ましく、より好ましくは90重量%以上であり、99重量%以下であることが好ましい。
本発明においては、必要に応じて熱線輻射抑制剤を添加してもよい。熱線輻射抑制剤により、発泡体の断熱性を向上させることができ、高い断熱性を有する発泡体が得られる。ここで、熱線輻射抑制剤とは、近赤外または赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射・散乱・吸収する特性を有する物質をいう。
前記熱線輻射抑制剤としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料;アルミニウムペースト等の金属ペースト;酸化チタン等の金属酸化物;硫酸バリウム等の金属硫酸塩;等が挙げられる。これら熱線輻射抑制剤は、単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。これら熱線輻射抑制剤の中では、熱線輻射抑制効果の面から、炭素材料、金属ペーストが好ましく、炭素材料がより好ましく、グラファイトが特に好ましい。
上記熱線輻射抑制剤を含む場合、その含有量は、第1及び第2のスチレン系樹脂の合計100重量部に対して、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは1重量部以上、8重量部以下である。
本発明においては、さらに、ラジカル発生剤を併用してもよい。ラジカル発生剤により、スチレン系樹脂押出発泡体の難燃性を向上させることができる。
前記ラジカル発生剤としては、例えば、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサン等のジアルキルジフェニルアルカン;2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテン等のジフェニルアルキルアルケン;ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼン等のポリジアルキルベンゼン;ジクミルパーオキサイド等の過酸化物;等が挙げられる。
これらの中でも、樹脂加工温度条件にて安定なものが好ましく、具体的にはジアルキルジフェニルアルカン、ポリジアルキルベンゼンが好ましく、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンがより好ましい。
ラジカル発生剤は、第1及び第2のスチレン系樹脂の合計100重量部に対して、0.05重量部以上、0.5重量部以下が好ましい。
本発明においては、更に、難燃性を向上させる目的で、熱安定性能を損なわない範囲で、リン酸エステル、ホスフィンオキシド等のリン系難燃剤を併用することができる。
前記リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、縮合リン酸エステル、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等のハロゲン含有リン酸エステル等が挙げられ、特にトリフェニルホフェート、及びトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートが好ましい。前記ホスフィンオキシドとしては、トリフェニルホスフィンオキシドが好ましい。これらリン酸エステル及びホスフィンオキシドは単独で使用してもよく、2種以上併用しても良い。
リン系難燃剤難燃剤を含む場合、その含有量は、第1及び第2のスチレン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上、2重量部以下が好ましい。
また、本発明のスチレン系樹脂押出発泡体を製造する際、難燃剤組成物に用いた安定剤とは別に、第2の安定剤として、押出発泡用の安定剤を用いることもできる。押出発泡用安定剤(第2の安定剤)としては、難燃剤組成物用の安定剤と同様のものを用いることができ、中でも、エポキシ化合物、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、多価アルコール部分エステルが好ましく、フェノール系安定剤、多価アルコール部分エステルがより好ましい。
押出発泡用安定剤(第2の安定剤)を用いる場合、その量は、第1及び第2のスチレン系樹脂100重量部に対して、0.05重量部以上、10重量部以下であることが好ましく、0.1重量部以上、5重量部以下であることが好ましい。また、難燃剤組成物中の安定剤と押出発泡用安定剤(第2の安定剤)の合計量は、第1及び第2のスチレン系樹脂100重量部に対して、0.1質量部以上、20質量部以下であることが好ましく、0.2重量部以上、10重量部以下以下であることが好ましい。さらに、押出発泡用安定剤(第2の安定剤)の量は、難燃剤組成物中の安定剤100重量部に対して、5重量部以上、200重量部以下であることが好ましく、より好ましくは10重量部以上100重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上、50重量部以下である。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体においては、必要に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲で、加工助剤;前記以外の難燃剤;難燃助剤;酸化防止剤;帯電防止剤;充填剤;顔料等の着色剤;等の他の添加剤を用いてもよい。前記加工助剤としては、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪酸アミド;脂肪酸エステル;流動パラフィン;オレフィン系ワックス;タルク、ベントナイト等の粘土鉱物;等が挙げられる。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、難燃剤組成物および第2のスチレン系樹脂と、必要に応じて他の添加剤等とを、ドライブレンド等の公知の混合手段により混合して予備混合物を調製した後、押出機等の加熱溶融手段に供給し加熱して溶融・混練し、該予備混合物に発泡剤を添加して流動ゲル状の混合物とし、押出発泡に適する温度に冷却した後、ダイを通して該混合物を低圧領域に押出発泡して発泡体を形成することにより好ましく製造することができる。
前記予備混合物を加熱溶融混練する際の加熱温度は、使用するスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などの影響も含め、樹脂の分子劣化ができる限り抑制される温度であることが好ましく、例えば160℃以上、240℃以下が好ましく、より好ましくは225℃以下である。溶融混練時間は、単位時間当たりの押出量、溶融混練手段などに応じて調整できる。溶融混練手段としては、例えばスクリュー型の押出機が好ましく、より好ましくはスクリュー型の単軸押出機等が挙げられるが、通常の押出発泡に用いられているものであれば特に限定はない。
また、発泡剤の添加は、任意のタイミングで実施できるが、予備混合物が十分に溶融混練された段階で行うのが好ましい。発泡剤を添加する際は、例えば5MPa以上、好ましくは10MPa以上の高圧条件下にて発泡剤を圧入することが好ましい。発泡剤を圧入する圧力は、加熱温度、及び発泡剤に応じて調整する。発泡剤を添加するときの予備混合物の加熱温度は、160℃以上、240℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以上、230℃以下である。
押出発泡する際の温度は、100〜150℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。また、混合物を押出発泡する低圧領域の圧力は、0.5MPa以下が好ましく、大気圧(1013hPa)がより好ましい。押出発泡には、例えば、開口部が直線のスリット形状を有するスリットダイを好ましく用いることができる。ダイの厚さは、例えば0.5〜100mmであり、幅は、例えば10〜1000mmである。
押出発泡した発泡体を成形する方法も、特に制限されないが、例えば、スリットダイより圧力開放して得られた発泡体をスリットダイと密着または接して設置した成形金型および成形ロールなどを用いて、断面積の大きい板状発泡体を成形するといった一般的な方法を用いることができる。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体の厚さは特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、建材などの用途に使用される断熱材の場合、好ましい断熱性、曲げ強度および圧縮強度を付与せしめるためには、通常の板状物のように厚さのあるものが好ましく、通常10〜150mm、好ましくは20〜100mmである。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体における平均セル径(気泡径)は、断熱性の観点から、0.02mm以上、1.5mm以下であることが好ましく、0.05mm以上、1.0mm以下であることがより好ましい。
本発明では、上記他の発泡剤として水を用いることにより、スチレン系樹脂押出発泡体中に、気泡径(セル径)が0.2mm以下の小さい気泡(以下、小気泡という)と、気泡径(セル径)が0.25mm以上(好ましくは0.25mm以上、1mm以下)の大きな気泡(以下、大気泡という)が海島状に混在した気泡構造を有する発泡体が得られ、このような発泡体では断熱性能がいっそう向上したものとなる。
小気泡及び大気泡が混在した気泡構造の発泡体においては、発泡体断面積あたりに占める小気泡の面積の割合(小気泡の単位断面積あたりの占有面積率)(以下、「小気泡占有面積率」という)は、5%以上、95%以下であることが好ましく、10%以上、90%以下であることがより好ましく、20%以上、80%以下であることがさらに好ましく、25%以上、70%以下であることが特に好ましい。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体の密度は、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強度を付与せしめるため、15kg/m以上、50kg/m以下であることが好ましく、20kg/m3以上、40kg/m3以下であることがさらに好ましい。スチレン系樹脂押出発泡体は、曲げ強度が20〜100N/cm2であることが好ましく、圧縮強度が5〜70N/cm2であることが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、JIS A9511の燃焼試験方法に合格することが難燃性の観点から好ましい。
また、本発明のスチレン系樹脂押出発泡体の酸素指数は、例えば、26%以上であることが難燃性の観点から好ましく、より好ましくは27%以上、特に好ましくは28%以上である。なお酸素指数の上限は特に限定されないが、例えば、35%以下、特に30%以下程度でも十分に優れた難燃性を有するものであると評価される。
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、優れた熱安定性、難燃性および断熱性を有しており、建材用途の断熱材として好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
実施例および比較例において使用した原料は、次の通りである。
(A)スチレン系樹脂
・680(PSジャパン(株)製)
・G9401(PSジャパン(株)製)
(B)難燃剤
・臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー[ケムチュラ製、EMERALD INNOVATION 3000、Mw100,000〜160,000、臭素含有率65%]
(C)安定剤
エポキシ化合物
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[ハンツマンジャパン製、ECN−1280,エポキシ当量212〜233g/eq.]
フェノール系安定剤
・ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] [ケムチュラ製 ANOX20]
ホスファイト系安定剤
・3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン [ケムチュラ製 Ultranox626]
多価アルコール部分エステル
・ジペンタエリスリトール−アジピン酸反応混合物[味の素ファインテクノ製、プレンライザーST210]
(D)ラジカル発生剤
・ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼン [UNITED INITIATORS製 CCPIB]
(E)発泡剤
・イソブタン[三井化学株式会社製]
・工業ブタン[岩谷産業株式会社製]
・水[水道水]
・ジメチルエーテル[三井化学株式会社製]
(F)その他添加剤
・タルク[林化成製、タルカンパウダーPK−Z]
・ベントナイト[ホージュン製、ベンゲルブライト11K]
・シリカ[エボニックデグサジャパン製、カープレックスBS304F]
・ステアリン酸カルシウム
実施例および比較例にて実施した評価方法は、次の通りである。
(1)難燃剤組成物中の臭素含有率
酸素フラスコ燃焼法にて、臭素系難燃剤を含有する難燃剤組成物を分解した後、イオンクロマトグラフ法にてBr含有量を定量した。
(2)難燃剤組成物の5%重量減少温度
試料重量:7mg
測定装置:TG−DTG60A(島津製作所製)
測定セル:アルミニウム
測定雰囲気:窒素(20ml/min)
温度条件:室温(約25℃)から400℃まで10℃/minの昇温速度で加熱
5%重量減少温度:該試料の150℃における試料の重量を基準とし、そこから試料重量が5%減少する温度。
(3)難燃剤組成物の外観(変色)
ペレット化された難燃剤組成物の外観を目視で観察し、黒スジ及び黒斑点等の変色の程度に基づき、下記基準にて評価した。
◎:変色が全くない
○:変色がほどんどない
×:変色が認められる
(4)難燃剤組成物の外観(ペレット形状)
難燃剤組成物をペレット化する際のストランドカット法によるカット面を観察し、円柱状にカットされたものを合格(○)とし、そうでないものを不合格(×)とした。
(5)押出発泡体の燃焼性
実施例または比較例で得られた押出発砲体のサンプルを室内で保管し、製造後7日経過した発泡体サンプルの燃焼性をJIS A9511に準拠して測定した。
○:3秒以内に炎が消えて、残じんがなく、燃焼限界指示線を超えて燃焼しないとの基準を満たす。
×:上記基準を満たさない。
(6)押出発泡体の酸素指数
実施例または比較例で得られた押出発泡体の酸素指数をJIS K 7201:1999に準拠して測定した。
(7)押出発泡体の外観(異物発生/変色)
押出発砲体の外観を目視で観察し、異物の発生と変色のいずれもが認められないものを合格(○)とし、異物の発生または変色が認められるものを不合格(×)とした。
(実施例1)
[難燃剤組成物の作製]
難燃剤としての臭素化SBSブロックポリマー(EMERALD INNOVATION 3000)と、スチレン系樹脂(ポリスチレン680)とを、安定剤としての、エポキシ化合物であるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ARALDITE ECN−1280)、フェノール系安定剤であるペンタエリトリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ANOX20)、及びホスファイト系安定剤である3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(Ultranox626)と共に表1に示す割合で量りとってドライブレンドした。このドライブレンド物を表1に示す口径及びL/Dの同方向2軸押出機に供給し、表1に示すシリンダ設定温度、スクリュー回転数、吐出量で押出し、ストランドカット法にて押出物を切断して、ペレット状の難燃剤組成物を作製した。なお前記押出機のダイ出口での樹脂温度は195℃であり、押出機の比エネルギーは表1に示す通りであった。得られた難燃剤組成物(ペレット)の5%重量減少温度及び外観(変色・ペレット形状)は、表1に示した通りであり、いずれも問題無いものであった。
[押出発泡体の作製]
スチレン系樹脂100部(難燃剤組成物中のスチレン系樹脂も含む)と、前記で得られた難燃剤組成物(ペレット)6.0部、ラジカル発生剤としてのポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼン0.1部、ステアリン酸カルシウム0.1部、タルク0.5部、ベントナイト0.5部、及びシリカ0.2部とをドライブレンドして予備混合物を調製した。
口径150mmの単軸押出機(第一押出機)と口径200mmの単軸押出機(第二押出機)、及び冷却機を直列に連結した押出機へ、上記予備混合物を約800kg/hrで供給した。
第一押出機に供給した予備混合物は、樹脂温度225℃に加熱して溶融ないし可塑化、混練した。発泡剤(スチレン系樹脂100部に対して、水(水道水)0.7部、イソブタン3.5部およびジメチルエーテル2部)を第一押出機の先端付近で混練物中に圧入した。その後、第一押出機に連結された第二押出機及び冷却機に混練物を送り出し、この冷却機で樹脂温度を120℃に冷却し、冷却機先端に設けた厚さ2mm×幅400mmの長方形断面の口金より大気中へ押出発泡させた後、口金に密着させて設置した成形金型とその下流側に設置した成形ロールにより、厚さ60mm×幅1000mmである断面形状の押出発泡板を得、カッターにて厚み50mm×幅910mm×長さ1820mmにカットした。得られた発泡体の燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)は、表1に示した通り、いずれも問題ないものであった。
(実施例2)
バレル温度を表1に示す温度に変更する以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は197℃であった。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(実施例3)
スクリュー回転数を表1に示す値とした以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は198℃であった。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(実施例4)
吐出量を表1に示す量とした以外は実施例3と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は197℃であった。得られた難燃剤組成物は、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(実施例5)
口径、L/D、スクリュー回転数、吐出量を表1に示す値とした以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は192℃であった。得られた難燃剤組成物は、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(実施例6)
スクリュー回転数、吐出量を表1に示す値とした以外は実施例5と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は211℃であった。得られた難燃剤組成物は、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(実施例7)
口径、L/D、スクリュー回転数、吐出量を表1に示す値とした以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は186℃であった。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(実施例8)
スチレン系樹脂をPSJ製G9401とした以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は205℃であった。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(実施例9)
フェノール系安定剤であるペンタエリトリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ANOX20)、多価アルコール部分エステルとしてジペンタエリスリトール−アジピン酸反応混合物(プレンライザーST210)を表1に示す量に変更した以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。この時ダイ出口での樹脂温度は198℃であった。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、5%重量減少温度、外観(変色)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも問題無いものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに問題ないものであった。
(比較例1)
バレル温度を表1に示す温度とした以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、5%重量減少温度、外観(黒スジ等の変色が発生)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも実施例と比較して劣るものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示す様に、実施例と比較して、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに劣る結果となった。
(比較例2)
吐出量を表1に示す量とした以外は実施例4と同様の操作により難燃剤組成物を得た。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、5%重量減少温度が246℃、外観(黒スジ等の変色が発生)、外観(ペレット形状)のいずれの点でも実施例と比較して劣るものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示すように、実施例と比較して、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに劣る結果となった。
(比較例3)
L/Dを表1に示す値とした以外は実施例1と同様の操作により難燃剤組成物を得た。得られた難燃剤組成物は、表1に示す様に、外観(ペレット形状)については問題無いものの、5%重量減少温度、外観(黒スジ等の変色が発生)の点で実施例と比較して劣るものであった。さらに得られた難燃剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、押出発泡体を得た。得られた発泡体は、表1に示すように、実施例と比較して、燃焼性、酸素指数、外観(異物発生/変色)ともに劣る結果となった。

Claims (6)

  1. 第1のスチレン系樹脂と、臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー(臭素化ポリマー溶液となっているものを除く)と、安定剤とを押出機のバレル温度180℃以下、比エネルギー0.50kWh/kg以下、スクリューの有効長Lと外径Dの比(L/D)が52以下の条件で混練する、
    熱重量分析による5%重量減少温度が255℃以上、270℃以下である難燃剤組成物の製造方法。
  2. スクリュー1回転当たりの吐出量(Q/N)が0.6kg/Hr/rpm以上である押出機で混練することによって得られる請求項1に記載の難燃剤組成物の製造方法。
  3. 臭素化スチレン−ブタジエンブロックポリマー100重量部に対して、第1のスチレン系樹脂を20重量部以上、200重量部以下、及び、安定剤を5重量部以上、75重量部以下含有する請求項1または2に記載の難燃剤組成物の製造方法。
  4. 前記安定剤が、エポキシ化合物、フェノール系安定剤、ホスファイト系安定剤、及び多価アルコール部分エステルよりなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の難燃剤組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって難燃剤組成物を製造し、前記難燃剤組成物と、第2のスチレン系樹脂と、発泡剤とを含む混合物を押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  6. 前記混合物が、さらに第2の安定剤を含有する請求項5に記載のスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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