JP4474338B2 - シリンダライナ及びエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、シリンダブロックに適用される鋳ぐるみ用のシリンダライナ及び該シリンダライナを備えたエンジンに関する。
エンジンのシリンダブロックとしてシリンダライナを備えたものが実用化されている。一般には、アルミニウム合金製のシリンダブロックに対してシリンダライナが適用される。なお、こうした鋳ぐるみ用のシリンダライナとしては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
実開昭62−52255号公報
ところで、エンジンにおいては、シリンダの温度上昇によりシリンダボアが熱膨張するようになる。一方、シリンダの温度の大きさは軸方向の位置に応じて変化するため、これにともなってシリンダボアの変形量も軸方向において異なった大きさとなる。こうしたシリンダボアの変形量の違いは、ピストンのフリクションの増大をまねくため、燃料消費率を悪化させる要因の一つとなっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的はシリンダの軸方向における温度差を小さくすることのできるシリンダライナ及びエンジンを提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記高熱伝導皮膜を当該シリンダライナの上端から第1中間部までの外周面に形成したこと、前記低熱伝導皮膜を当該シリンダライナの下端から前記第1中間部よりも下端側に位置する第2中間部までの外周面に形成したこと、並びに前記第1中間部から前記第2中間部までの外周面に前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜を形成していないことを要旨としている。
請求項1に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性が向上する一方、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下する。これにより、シリンダライナ上部の温度が低下するとともにシリンダライナ下部の温度が上昇するため、シリンダの軸方向における温度差を小さくすることができるようになる。
また、シリンダブロックとシリンダライナとの間の熱伝導性が上部から下部へかけて段階的に小さくされるため、シリンダの温度の急激な変化を抑制することができるようになる。
なお、高熱伝導皮膜は次のような皮膜を示す。即ち、同皮膜が形成されることによりシリンダブロックとシリンダライナとの間の熱伝導性が向上する皮膜を示す。また、低熱伝導皮膜は次のような皮膜を示す。即ち、同皮膜が形成されることによりシリンダブロックとシリンダライナとの間の熱伝導性が低下する皮膜を示す。
(2)請求項2に記載の発明は、シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと当該シリンダライナとの間に空隙を形成させる皮膜であることを要旨としている。
(3)請求項3に記載の発明は、シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、当該シリンダライナの下端から中間部へ向かうにつれて前記低熱伝導皮膜の厚さを小さくしたことを要旨としている。
(4)請求項4に記載の発明は、シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、当該シリンダライナは、括れた形状の突起が外周面上に複数形成されるものであり、前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜は、この複数の突起の表面を含めたシリンダライナの外周面上に形成されるものであることを要旨としている。
)請求項に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックとの密着性を高める皮膜である
ことを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナ上部との密着性の向上を通じて、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性が向上するようになる。これにより、シリンダライナ上部の温度を低下させることができるようになる。
)請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、金属材料の溶射層により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、溶射層によるシリンダブロックとシリンダライナ上部との密着性の向上を通じて、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性が向上するようになる。これにより、シリンダライナ上部の温度を低下させることができるようになる。
)請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、金属材料のショットコーティング層により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、ショットコーティング層によるシリンダブロックとシリンダライナ上部との密着性の向上を通じて、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性が向上するようになる。これにより、シリンダライナ上部の温度を低下させることができるようになる。
)請求項に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、金属材料のめっき層により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、めっき層によるシリンダブロックとシリンダライナ上部との密着性の向上を通じて、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性が向上するようになる。これにより、シリンダライナ上部の温度を低下させることができるようになる。
)請求項に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと冶金的に接合する皮膜であることを要旨としている。
請求項に記載の発明によれば、シリンダブロックと高熱伝導皮膜との冶金的な接合により、シリンダブロックとシリンダライナ上部との密着性が高められるため、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性をより向上させることができるようになる。
10)請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記シリンダブロックの鋳造材料の溶湯について、当該シリンダライナを鋳ぐるむ際の該溶湯の温度を基準溶湯温度としたとき、前記高熱伝導皮膜は、該基準溶湯温度以下の融点を有する皮膜であることを要旨としている。
請求項10に記載の発明によれば、高熱伝導皮膜が基準溶湯温度以下の融点を有することにより、シリンダブロックとシリンダライナ上部との密着性が高められるため、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性をより向上させることができるようになる。
11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、当該シリンダライナよりも大きい熱伝導率を有する皮膜であることを要旨としている。
請求項11に記載の発明によれば、高熱伝導皮膜の熱伝導率がシリンダライナの熱伝導率よりも大きいため、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性をより向上させることができるようになる。
12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックよりも大きい熱伝導率を有する皮膜であることを要旨としている。
請求項12に記載の発明によれば、高熱伝導皮膜の熱伝導率がシリンダブロックの熱伝導率よりも大きいため、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性をより向上させることができるようになる。
13)請求項13に記載の発明は、請求項1または3〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと当該シリンダライナとの間に空隙を形成させる皮膜であることを要旨としている。
請求項13に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成されることにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するようになる。これにより、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
14)請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと当該シリンダライナとの密着性を低下させる皮膜であることを要旨としている。
請求項14に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナ下部との密着性が低下することにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するようになる。これにより、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
15)請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、ダイカスト用の離型剤により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項15に記載の発明によれば、ダイカスト用の離型剤によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成される。これにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
16)請求項1に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、金型遠心鋳造用の塗型剤により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項16に記載の発明によれば、金型遠心鋳造用の塗型剤によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成される。これにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
17)請求項17に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、黒鉛を主成分とした低密着剤により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項17に記載の発明によれば、黒鉛を主成分とした低密着剤によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成される。これにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
18)請求項18に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、窒化ボロンを主成分とした低密着剤により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項18に記載の発明によれば、窒化ボロンを主成分とした低密着剤によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成される。これにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
19)請求項19に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、メタリック塗料により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項19に記載の発明によれば、メタリック塗料によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成される。これにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
20)請求項20に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、耐熱樹脂により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項20に記載の発明によれば、耐熱樹脂によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成される。これにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
21)請求項21に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、化成処理層により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項21に記載の発明によれば、化成処理層によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間に空隙が形成される。これにより、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
22)請求項22に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、セラミック材料の溶射層により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項22に記載の発明によれば、セラミック材料の溶射層によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
23)請求項23に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、鉄系材料の溶射層により構成される皮膜であり、該溶射層は酸化物及び気孔を多数含む溶射層であることを要旨としている。
請求項23に記載の発明によれば、鉄系材料の溶射層によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
24)請求項24に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、酸化物の層により構成される皮膜であることを要旨としている。
請求項24に記載の発明によれば、酸化物の層によりシリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下するため、シリンダライナ下部の温度を上昇させることができるようになる。
25)請求項25に記載の発明は、請求項1〜24のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックよりも小さい熱伝導率を有する皮膜であることを要旨としている。
請求項25に記載の発明によれば、低熱伝導皮膜の熱伝導率がシリンダブロックの熱伝導率よりも小さいため、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性をより低下させることができるようになる。
26)請求項26に記載の発明は、請求項1〜25のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記低熱伝導皮膜は、当該シリンダライナよりも小さい熱伝導率を有する皮膜であることを要旨としている。
請求項26に記載の発明によれば、低熱伝導皮膜の熱伝導率がシリンダライナの熱伝導率よりも小さいため、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性をより低下させることができるようになる。
27)請求項27に記載の発明は、請求項1または2または4〜26のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、当該シリンダライナの下端から中間部へ向かうにつれて前記低熱伝導皮膜の厚さを小さくしたことを要旨としている。
請求項27に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が下端から中間部へ向かうにつれて大きくされるため、シリンダライナ下部の軸方向における温度差をより小さくすることができるようになる。
28)請求項28に記載の発明は、請求項1〜27のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記シリンダブロックのシリンダボア間に対応するシリンダライナ外周面には、前記低熱伝導皮膜を形成していないことを要旨としている。
請求項28に記載の発明によれば、シリンダの周方向におけるシリンダボア間以外の範囲においてシリンダブロックとシリンダライナとの間の熱伝導性が低下するため、シリンダボア間以外の箇所の温度とシリンダボア間の温度との差を小さくすることができるようになる。なお、シリンダボア間においては、隣り合うシリンダからの熱がこもりやすいため、周方向におけるシリンダボア間以外の箇所よりもシリンダの温度が高くなる傾向を示す。
29)請求項29に記載の発明は、請求項2〜28のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記高熱伝導皮膜を当該シリンダライナの上端から第1中間部までの外周面に形成したこと、前記低熱伝導皮膜を当該シリンダライナの下端から前記第1中間部よりも下端側に位置する第2中間部までの外周面に形成したこと、並びに前記第1中間部から前記第2中間部までの外周面に前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜を形成していないことを要旨としている。
請求項29に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナとの間の熱伝導性が上部から下部へかけて段階的に小さくされるため、シリンダの温度の急激な変化を抑制することができるようになる。
(30)請求項30に記載の発明は、請求項1〜29のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記軸方向の上部の肉厚を前記軸方向の下部の肉厚よりも小さく設定したことを要旨としている。
請求項30に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナ上部との間の熱伝導性が上昇する一方で、シリンダブロックとシリンダライナ下部との間の熱伝導性が低下する。これにより、シリンダライナ上部の温度が低下するとともにシリンダライナ下部の温度が上昇するため、シリンダの軸方向における温度差を小さくすることができるようになる。
31)請求項31に記載の発明は、請求項1または2または3または5〜30のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、当該シリンダライナは、括れた形状の突起が外周面上に複数形成されるものであり、前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜は、この複数の突起の表面を含めたシリンダライナの外周面上に形成されるものであることを要旨としている。
請求項31に記載の発明によれば、シリンダブロックと突起とが噛み合った状態でシリンダブロックとシリンダライナとが接合されるため、シリンダブロックとシリンダライナとの接合強度を十分に確保することができるようになる。これにより、シリンダブロックと高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜との剥離が抑制されるため、これら皮膜による熱伝導性の向上及び低下の作用を好適に維持することができるようになる。
32)請求項32に記載の発明は、請求項31に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「外周面上の1cm 当たりにおける突起の数が5個〜60個の範囲に含まれる」ことを要旨としている。
請求項32に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナとの接合強度、及び突起間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。なお、突起の数が上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。突起の数が5個よりも少ない場合、突起の数の不足していることにより、接合強度の低下をまねくようになる。突起の数が60個よりも多い場合、突起同士の間隔が狭いことにより、突起間への鋳造材料の充填性が低下するようになる。
33)請求項33に記載の発明は、請求項31または32のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「突起の高さが0.5mm〜1.5mmの範囲に含まれる」ことを要旨としている。
請求項33に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナとの接合強度、及びシリンダライナの外径精度を向上させることができるようになる。なお、突起の高さが上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。突起の高さが0.5mmよりも小さい場合、突起の高さが不足していることにより、接合強度の低下をまねくようになる。突起の高さが1.5mmよりも大きい場合、突起が折れやすくなることにより、接合強度の低下をまねくようになる。また、突起の高さが不均一となるため、外径精度が低下するようになる。
34)請求項34に記載の発明は、請求項31〜33のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれた領域の面積率が10%以上である」ことを要旨としている。
請求項34に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナとの接合強度を十分に確保することができるようになる。なお、面積率が10%よりも小さい場合、面積率が10%以上の場合に比べて接合強度が大幅に低下するようになる。
35)請求項35に記載の発明は、請求項31〜34のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.2mmの等高線により囲まれた領域の面積率が55%以下である」ことを要旨としている。
請求項35に記載の発明によれば、突起間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。なお、面積率が55%よりも大きい場合、面積率が55%以下の場合に比べて突起間への鋳造材料の充填性が大幅に低下するようになる。
36)請求項36に記載の発明は、請求項31〜33のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれた領域の面積率が10%〜50%の範囲に含まれる」ことを要旨としている。
請求項36に記載の発明によれば、シリンダブロックとシリンダライナとの接合強度を十分に確保することができるようになる。また、突起間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。なお、面積率が上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。高さ0.4mmの等高線により囲まれた領域の面積率(第1面積率)が10%よりも小さい場合、第1面積率が10%以上の場合に比べて接合強度が大幅に低下するようになる。第1面積率が50%よりも大きい場合、高さ0.2mmの等高線により囲まれた領域の面積率(第2面積率)が55%を上回るため、突起間への鋳造材料の充填性が大幅に低下するようになる。
37)請求項37に記載の発明は、請求項31〜34のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.2mmの等高線により囲まれた領域の面積率が20%〜55%の範囲に含まれる」ことを要旨としている。
請求項37に記載の発明によれば、突起間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。また、シリンダブロックとシリンダライナとの接合強度を十分に確保することができるようになる。なお、面積率が上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。高さ0.2mmの等高線により囲まれた領域の面積率(第2面積率)が20%よりも小さい場合、高さ0.4mmの等高線により囲まれた領域の面積率(第1面積率)が10%を下回るため、接合強度が大幅に低下するようになる。第2面積率が55%よりも大きい場合、第2面積率が55%以下の場合に比べて突起間への鋳造材料の充填性が大幅に低下する。
38)請求項38に記載の発明は、請求項31〜37のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれる各領域の面積が0.2mm 〜3.0mm の範囲に含まれる」ことを要旨としている。
請求項38に記載の発明によれば、シリンダライナの製造工程における突起の破損を抑制することができるようになる。また、突起間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。なお、高さ0.4mmの等高線により囲まれた領域の面積が上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。同面積が0.2mm よりも小さい場合、突起の強度が不足することにより、シリンダライナの製造工程において突起の破損をまねくようになる。同面積が3.0mm よりも大きい場合、突起同士の間隔が狭いことにより、突起間への鋳造材料の充填性が低下するようになる。
39)請求項39に記載の発明は、請求項31〜38のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれる各領域が独立している」ことを要旨としている。
請求項39に記載の発明によれば、突起間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。なお、高さ0.4mmの等高線により囲まれる各領域が独立していない場合には、突起同士の間隔が狭いことにより、突起間への鋳造材料の充填性が低下するようになる。
40)請求項40に記載の発明は、請求項1〜39のいずれか一項に記載のシリンダライナを備えたエンジンであることを要旨としている。
請求項40に記載の発明によれば、シリンダの軸方向におけるシリンダボアの変形量の幅が縮小されるため、ピストンのフリクションの低減を通じて燃料消費率を向上させることができるようになる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図19を参照して説明する。
本実施形態では、アルミニウム合金製エンジンのシリンダライナとして本発明を具体化した場合を想定している。
<エンジンの構成>
図1に、本発明にかかるシリンダライナを備えたエンジンの全体構成を示す。
エンジン1は、シリンダブロック11及びシリンダヘッド12等を備えて構成されている。
シリンダブロック11は、複数のシリンダ13を備えて構成されている。
シリンダ13は、シリンダライナ2を備えて構成されている。
シリンダライナ2は、シリンダブロック11に鋳ぐるまれている。
シリンダブロック11においては、シリンダライナ2の内周面(ライナ内周面21)によりシリンダ13の内周側の壁面(シリンダ内壁14)が構成されている。また、ライナ内周面21に囲まれてシリンダボア15が形成されている。
シリンダライナ2は、鋳造材料による鋳ぐるみを通じてその外周面(ライナ外周面22)側がシリンダブロック11と接合されている。
なお、シリンダブロック11の素材となるアルミニウム合金としては、例えば「JIS ADC10(関連規格:米国ASTM A380.0)」または「JIS ADC12(関連規格:米国ASTM A383.0)」を用いることができる。本実施形態では、アルミニウム合金として上記ADC12を採用してシリンダブロックを構成している。
<シリンダライナの構成>
図2に、本発明が適用されたシリンダライナの斜視構造を示す。
シリンダライナ2は、鋳鉄を素材として形成されている。
鋳鉄の組成は、例えば図3に示すように設定することができる。なお、基本的には「基本組成」に示す成分を鋳鉄の組成として選択することができる。また、必要に応じて「補助組成」に示す成分を添加することもできる。
シリンダライナ2において、ライナ外周面22には括れた形状の突起(突起3)が複数形成されている。
突起3は、シリンダライナ2の上端(ライナ上端23)からシリンダライナ2の下端(ライナ下端24)までにわたってライナ外周面22の全体に形成されている。なお、ライナ上端23はエンジン1において燃焼室側に位置するシリンダライナ2の端部を示す。また、ライナ下端24は、エンジン1において燃焼室とは反対側に位置するシリンダライナ2の端部を示す。
シリンダライナ2において、ライナ外周面22及び突起3の表面には、高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5が形成されている。また、周方向の全体にわたって高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5が形成されている。
ライナ外周面22において、ライナ上端23から軸方向の中間部(ライナ中間部25)までの範囲には、高熱伝導皮膜4が形成されている。また、ライナ中間部25からライナ下端24までの範囲には、低熱伝導皮膜5が形成されている。即ち、ライナ中間部25のライナ外周面22には、高熱伝導皮膜4と低熱伝導皮膜5との界面が形成されている。
高熱伝導皮膜4は、アルミニウム合金の溶射層(溶射層41)により構成されている。本実施形態では、溶射層41の素材となるアルミニウム合金として、Al−Si合金を採用している。
低熱伝導皮膜5は、セラミック材料の溶射層(溶射層51)により構成されている。本実施形態では、溶射層51の素材となるセラミック材料として、アルミナを採用している。なお、溶射層は、溶射(プラズマ溶射、アーク溶射またはHVOF溶射など)により形成された皮膜を示す。
高熱伝導皮膜4の素材としては、次の(A)及び(B)の少なくとも一方の条件を満たす材料を用いることができる。
(A)鋳造材料の溶湯の温度(基準溶湯温度TC)以下の融点を有する材料、またはそうした材料を含む材料。なお、基準溶湯温度TCは、より正確には次のように説明することができる。即ち、シリンダブロック11の鋳造材料の溶湯について、シリンダライナ2を鋳ぐるむ際に金型内へ供給されるときの同溶湯の温度が基準溶湯温度TCに相当する。
(B)シリンダブロック11の鋳造材料と冶金的に接合する材料、またはそうした材料を含む材料。
<突起の構成>
図4に、突起3のモデル図を示す。以降では、シリンダライナ2の径方向(矢印A方向)を突起3の軸方向とする。また、シリンダライナ2の軸方向(矢印B方向)を突起3の径方向とする。図4では、突起3の径方向からみた突起3の形状を示している。
突起3は、シリンダライナ2と一体に形成されている。また、基端部31においてライナ外周面22とつながっている。
突起3の先端部32には、突起3の先端面に相当する頂面32Aが形成されている。頂面32Aは、略平滑に形成されている。
突起3の軸方向において、基端部31と先端部32との間には括れ部33が形成されている。
括れ部33は、径方向に沿う断面の面積(径方向断面積SR)が基端部31及び先端部32の径方向断面積SRよりも小さくなるように形成されている。
突起3は、括れ部33から基端部31及び先端部32へかけて径方向断面積SRが徐々に大きくなるように形成されている。
図5に、シリンダライナ2の括れ空間34に印を付けた突起3のモデル図を示す。
シリンダライナ2においては、突起3の括れ部33を通じて括れ空間34(斜線の領域)が形成されている。
括れ空間34は、突起3の軸方向に沿って最大先端部32Bを通過する曲面(図5においては直線D−Dが同曲面に相当する)と括れ部33の表面(括れ面33A)とにより囲まれた領域に相当する。なお、最大先端部32Bは、先端部32において突起3の径方向の長さが最も大きい箇所を示す。
シリンダライナ2を備えたエンジン1においては、シリンダブロック11の一部が括れ空間34へ入り込んだ状態(シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態)でシリンダブロック11とシリンダライナ2とが接合されるため、シリンダブロック11とシリンダライナ2との接合強度(ライナ接合強度)が十分に確保されるようになる。また、ライナ接合強度の向上によりシリンダボア15の変形が抑制されるため、フリクションの低下を通じて燃料消費率の向上が図られるようになる。
<皮膜の形成態様>
図6及び図7を参照して、シリンダライナ2における高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5の形成態様について説明する。なお、以降では、高熱伝導皮膜4の厚さ及び低熱伝導皮膜5の厚さを皮膜厚さTPとして示す。
〔1〕「皮膜の形成位置」
図6を参照して、高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5の形成位置の設定態様について説明する。図6〔A〕は、軸方向に沿ったシリンダライナ2の断面構造を示す。図6〔B〕は、エンジンの定常運転状態におけるシリンダの温度(シリンダ壁温TW)について、軸方向の変化傾向の一例を示す。なお、以降では、シリンダライナ2から高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を除いた状態のシリンダライナを基準シリンダライナとする。また、基準シリンダライナを備えたエンジンを基準エンジンとする。
本実施形態では、基準エンジンのシリンダ壁温TWに基づいてシリンダライナ2における高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5の形成位置を設定するようにしている。
ここで、基準エンジンにおけるシリンダ壁温TWの変化傾向について説明する。なお、図6〔B〕において、実線は基準エンジンのシリンダ壁温TWを、破線は本実施形態のエンジン1のシリンダ壁温TWを示す。また、以降では、シリンダ壁温TWにおける最大の温度を最大シリンダ壁温TWHとし、シリンダ壁温TWにおける最小の温度を最小シリンダ壁温TWLとする。
基準エンジンにおいては、シリンダ壁温TWが次のように変化する。
(a)ライナ下端24からライナ中間部25までの範囲においては、燃焼ガスの影響が小さいため、ライナ下端24からライナ中間部25へかけてシリンダ壁温TWが緩やかに上昇する。また、ライナ下端24近傍においてシリンダ壁温TWが最小シリンダ壁温TWL1となる。本実施形態では、シリンダライナ2においてシリンダ壁温TWがこうした変化傾向を示す箇所をライナ低温部27としている。
(b)ライナ中間部25からライナ上端23までの範囲においては、燃焼ガスの影響が大きいため、シリンダ壁温TWが急激に上昇する。また、ライナ上端23近傍においてシリンダ壁温TWが最大シリンダ壁温TWH1となる。本実施形態では、シリンダライナ2においてシリンダ壁温TWがこうした変化傾向を示す箇所をライナ高温部26としている。
上記基準エンジンをはじめとした通常のエンジンにおいては、シリンダ壁温TWの上昇によりシリンダボアが熱膨張するようになる。一方で、上述のようにシリンダ壁温TWは軸方向の位置に応じて変化するため、これにともなってシリンダボアの変形量も軸方向において異なった大きさとなる。こうしたシリンダボアの変形量の違いは、ピストンのフリクションの増大をまねくため、燃料消費率を悪化させる要因の一つとなっている。
そこで、本実施形態のシリンダライナ2では、ライナ高温部26のライナ外周面22に高熱伝導皮膜4を形成する一方で、ライナ低温部27のライナ外周面22に低熱伝導皮膜5を形成することで、ライナ高温部26のシリンダ壁温TWとライナ低温部27のシリンダ壁温TWとの差の縮小を図るようにしている。
本実施形態のエンジン1においては、シリンダブロック11とライナ高温部26とがより密着した状態、即ちライナ高温部26の周囲において空隙がより少ない状態が得られるため、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が高められるようになる。これにより、ライナ高温部26のシリンダ壁温TWが低下するため、最大シリンダ壁温TWHは最大シリンダ壁温TWH1よりも小さい最大シリンダ壁温TWH2となる。
また、エンジン1においては、低熱伝導皮膜5によりシリンダブロック11とライナ低温部27との間の熱伝導性が低くされる。これにより、ライナ低温部27のシリンダ壁温TWが上昇するため、最小シリンダ壁温TWLは最小シリンダ壁温TWL1よりも大きい最小シリンダ壁温TWL2となる。
このように、エンジン1においては最大シリンダ壁温TWHと最小シリンダ壁温TWLとの差(シリンダ壁温差△TW)が小さくされる。これにより、シリンダ13の軸方向におけるシリンダボア15の変形量の幅が縮小される(変形量の均一化が図られる)ため、フリクションの低減を通じて燃料消費率の向上が図られるようになる。
なお、ライナ高温部26とライナ低温部27との境界(壁温境界28)は、基準エンジンのシリンダ壁温TWに基づいて把握することができる。一方で、ライナ高温部26の長さ(シリンダ上端25から壁温境界28までの長さ)は、多くの場合、シリンダライナ2の長さ(ライナ上端23からライナ下端24までの長さ(ライナ全長))の「1/3〜1/4」程度となることが確認されている。そこで、高熱伝導皮膜4の形成位置の設定に際しては、壁温境界28を厳密に把握することなくライナ上端23からライナ全長の1/3〜1/4までの範囲をライナ高温部26として取り扱うこともできる。
〔2〕「皮膜の厚さ」
シリンダライナ2においては、皮膜厚さTPが0.5mm以下となるように高熱伝導皮膜4が形成されている。皮膜厚さTPが0.5mmよりも大きい場合、突起3によるアンカー効果が小さくなるため、シリンダブロック11とライナ高温部26との接合強度が大幅に低下するようになる。
本実施形態では、ライナ高温部26の複数箇所における皮膜厚さTPの平均値が0.5mm以下となるように高熱伝導皮膜4を形成しているが、ライナ高温部26の全体において皮膜厚さTPが0.5mm以下となるように高熱伝導皮膜4を形成することもできる。
エンジン1においては、皮膜厚さTPが小さくなるにつれて、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が高められるようになる。従って、高熱伝導皮膜4の形成に際しては、ライナ高温部26の全体において皮膜厚さTPをできるだけ「0mm」へ近づけることが望ましいといえる。
しかし、現在のところは、ライナ高温部26の全体にわたって均一な厚さの溶射層41を形成することが困難であるため、高熱伝導皮膜4の形成に際して目標の皮膜厚さTPを過度に小さく設定すると、ライナ高温部26において高熱伝導皮膜4が形成されていない箇所が存在するようになる。そこで、本実施形態では、高熱伝導皮膜4の形成に際して、目標の皮膜厚さTPを次の(A)及び(B)の条件に従って設定するようにしている。
(A)ライナ高温部26の全体に高熱伝導皮膜4を形成することができる。
(B)上記(A)の条件を満たす範囲内で最も小さい値である。
これにより、ライナ高温部26の全体にわたって高熱伝導皮膜4が形成されるとともに、より小さい皮膜厚さTPの高熱伝導皮膜4が得られるようになるため、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性を好適に向上させることができるようになる。なお、ここでは、熱伝導性をできるだけ向上させることを想定しているが、シリンダ壁温TWを所定の大きさに調整する要求がある場合には上記条件とは別途の条件により目標の皮膜厚さTPの設定が行われる。
シリンダライナ2においては、皮膜厚さTPが0.5mm以下となるように低熱伝導皮膜5が形成されている。皮膜厚さTPが0.5mmよりも大きい場合、突起3によるアンカー効果が小さくなるため、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合強度が大幅に低下するようになる。
本実施形態では、ライナ低温部27の複数箇所における皮膜厚さTPの平均値が0.5mm以下となるように低熱伝導皮膜5を形成しているが、ライナ低温部27の全体において皮膜厚さTPが0.5mm以下となるように低熱伝導皮膜5を形成することもできる。
〔3〕「突起周辺における皮膜の形成態様」
図7に、図6〔A〕のZC部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2においては、ライナ外周面22及び突起3の表面に沿って高熱伝導皮膜4が形成されている。また、括れ空間34が埋められることのないように高熱伝導皮膜4が形成されている。即ち、シリンダライナ2を鋳ぐるんだ際に括れ空間34へ鋳造材料が流れ込むように高熱伝導皮膜4が形成されている。なお、括れ空間34が高熱伝導皮膜4により埋められている場合、括れ空間34へ鋳造材料が充填されないため、ライナ高温部26において突起3によるアンカー効果が得られないようになる。
図8に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2においては、ライナ外周面22及び突起3の表面に沿って低熱伝導皮膜5が形成されている。また、括れ空間34が埋められることのないように低熱伝導皮膜5が形成されている。即ち、シリンダライナ2を鋳ぐるんだ際に括れ空間34へ鋳造材料が流れ込むように低熱伝導皮膜5が形成されている。なお、括れ空間34が低熱伝導皮膜5により埋められている場合、括れ空間34へ鋳造材料が充填されないため、ライナ低温部27において突起3によるアンカー効果が得られないようになる。
<シリンダブロックとシリンダライナとの接合状態>
図9及び図10を参照して、シリンダブロック11とシリンダライナ2との接合状態について説明する。なお、図9及び図10は、シリンダ13の軸方向に沿ったシリンダブロック11の断面構造を示す。
〔1〕「ライナ高温部の接合状態」
図9に、シリンダブロック11とライナ高温部26との接合状態(図1のZA部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ高温部26とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ高温部26とが高熱伝導皮膜4を介して接合されている。
ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との接合状態について、高熱伝導皮膜4が溶射を通じて形成されていることにより、ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4とは十分な密着性及び接合強度をもって機械的に接合されている。なお、ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との密着性は、基準エンジンにおけるシリンダブロックと基準シリンダライナとの密着性よりも高いものとなる。
シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との接合状態について、基準溶湯温度TC以下の融点を有するとともにシリンダブロック11の鋳造材料とのぬれ性が高いAl−Si合金を通じて高熱伝導皮膜4が形成されていることにより、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4とは十分な密着性及び接合強度をもって機械的に接合されている。なお、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との密着性は、基準エンジンにおけるシリンダブロックと基準シリンダライナとの密着性よりも高いものとなる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ高温部26とが接合されていることにより、次のような効果が得られるようになる。
(A)高熱伝導皮膜4を通じてシリンダブロック11とライナ高温部26との密着性が確保されているため、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が高められるようになる。
(B)高熱伝導皮膜4を通じてシリンダブロック11とライナ高温部26との接合強度が確保されているため、シリンダブロック11とライナ高温部26との剥離が抑制されるようになる。これにより、シリンダボア15の膨張時においてもシリンダブロック11とライナ高温部26との密着性が確保されるため、熱伝導性の低下が抑制されるようになる。
(C)突起3を通じてシリンダブロック11とライナ高温部26との接合強度が確保されているため、シリンダブロック11とライナ高温部26との剥離が抑制されるようになる。これにより、シリンダボア15の膨張時においてもシリンダブロック11とライナ高温部26との密着性が確保されるため、熱伝導性の低下が抑制されるようになる。
なお、エンジン1においては、シリンダブロック11及びライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との密着性が低下するにつれてこれら部材の間における空隙の量が多くなるため、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が低下するようになる。また、シリンダブロック11及びライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との接合強度が低下するにつれてこれら部材同士が剥離しやすくなるため、シリンダボア15の膨張時にシリンダブロック11とライナ高温部26との密着性の低下をまねくようになる。
ところで、本実施形態のシリンダライナ2においては、高熱伝導皮膜4の融点が基準溶湯温度TC以下であるため、シリンダブロック11の製造時に高熱伝導皮膜4が溶融して鋳造材料と冶金的に接合すると考えられる。しかし、本発明者が実施した試験結果によれば、上記にて説明したようにシリンダブロック11と高熱伝導皮膜4とが機械的に接合されることが確認されている。なお、一部においては冶金的に接合されている箇所の存在も確認されているが、基本的には機械的に接合されている。
また、本発明者の実施した試験によれば、さらに次のことが確認されている。即ち、鋳造材料と高熱伝導皮膜4とが冶金的に接合されていなくとも(または一部のみで冶金的に接合されていても)、高熱伝導皮膜4が基準溶湯温度TC以下の融点を有するものであるときには、シリンダブロック11とライナ高温部26との密着性及び接合強度の向上が図られるようになる。なお、そのしくみについては今のところ正確に把握されていないものの、鋳造材料の熱が高熱伝導皮膜4により奪われにくいことに起因して鋳造材料の凝固速度が低減されていることが一因であると考えられている。
〔2〕「ライナ低温部の接合状態」
図10に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、シリンダブロック11よりも熱伝導率の小さいアルミナを通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは熱伝導性が低い状態で機械的に接合されている。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、次のような効果が得られるようになる。
(A)低熱伝導皮膜5を通じてシリンダブロック11とライナ低温部27との間の熱伝導性が低くされているため、ライナ低温部27のシリンダ壁温TWの上昇が図られるようになる。
(B)突起3を通じてシリンダブロック11とライナ低温部27との接合強度が確保されているため、シリンダブロック11とライナ低温部27との剥離が抑制されるようになる。
<突起の形成状態>
表1を参照して、シリンダライナ2における突起3の形成状態について説明する。
本実施形態では、突起3の形成状態を示すパラメータ(形成状態パラメータ)として、「第1面積率SA」、「第2面積率SB」、「標準断面積SD」、「標準突起数NP」及び「標準突起長HP」を規定している。
ここで、形成状態パラメータの基礎となる「測定高さH」、「第1基準平面PA」及び「第2基準平面PB」について説明する。
(a)「測定高さH」は、ライナ外周面22を基準とした突起3の軸方向の距離(突起3の高さ)を示す。ライナ外周面22において測定高さHは0mmとなる。また、突起3の頂面32Aにおいて測定高さHは最も大きくなる。
(b)「第1基準平面PA」は、測定高さ0.4mmの位置において突起3の径方向に沿う平面を示す。
(c)「第2基準平面PB」は、測定高さ0.2mmの位置において突起3の径方向に沿う平面を示す。
形成状態パラメータの内容について説明する。
〔A〕「第1面積率SA」:第1面積率SAは、ライナ外周面22上の第1基準平面PAの単位面積に占める突起3の面積(径方向断面積SR)の割合を示す。
〔B〕「第2面積率SB」:第2面積率SBは、ライナ外周面22上の第2基準平面PBの単位面積に占める突起3の面積(径方向断面積SR)の割合を示す。
〔C〕「標準断面積SD」:標準断面積SDは、ライナ外周面22上の第1基準平面PAにおける1つの突起3の面積(径方向断面積SR)を示す。
〔D〕「標準突起数NP」:標準突起数NPは、ライナ外周面22上の単位面積(1cm)当たりに形成されている突起3の数を示す。
〔E〕「標準突起長HP」:標準突起長HPは、突起3における複数箇所の測定高さHの平均値を示す。
Figure 0004474338
本実施形態では、上記〔A〕〜〔E〕の形成状態パラメータを表1の選択範囲内の値に設定することで、突起3によるライナ接合強度の向上の効果をさらに高めるとともに、突起3間における鋳造材料の充填性の向上を図るようにしている。ちなみに、鋳造材料の充填性が高められることにより、シリンダブロック11とシリンダライナ2との間に空隙が形成されにくくなるため、シリンダブロック11とシリンダライナ2とがより密着した状態で接合されるようになる。
本実施形態では、上記〔A〕〜〔E〕のパラメータの設定の他に、第1基準平面PA上において各突起3が独立して存在するようにシリンダライナ2を形成することで、より高い密着性が得られるようにもしている。
<シリンダライナの製造方法>
図11、図12及び表2を参照してシリンダライナ2の製造方法について説明する。
本実施形態では、金型遠心鋳造によりシリンダライナ2を製造するようにしている。また、上記形成状態パラメータの値を表1の選択範囲内におさめるため、金型遠心鋳造に関連するパラメータ(以下の〔A〕〜〔F〕)の値を表2の選択範囲内に設定するようにしている。
〔A〕懸濁液61における耐火基材61Aの配合割合。
〔B〕懸濁液61における粘結剤61Bの配合割合。
〔C〕懸濁液61における水61Cの配合割合。
〔D〕耐火基材61Aの平均粒径。
〔E〕懸濁液61に対する界面活性剤62の添加割合。
〔F〕塗型剤63の層(塗型層64)の厚さ。
Figure 0004474338
シリンダライナ2の製造は、図11に示す手順をもって行われる。
[工程A]耐火基材61A、粘結剤61B、及び水61Cを所定の割合で配合して懸濁液61を作成する。この工程において、耐火基材61A、粘結剤61B及び水61Cの配合割合、並びに耐火基材61Aの平均粒径は、表2の選択範囲内の値に設定される。
[工程B]懸濁液61に所定量の界面活性剤62を添加して塗型剤63を作成する。この工程において、懸濁液61に対する界面活性剤62の添加割合は、表2の選択範囲内の値に設定される。
[工程C]回転状態の金型65を規定の温度まで加熱した後、その内周面(金型内周面65A)に塗型剤63を噴霧塗布する。このとき、塗型剤63の層(塗型層64)が金型内周面65Aの全周にわたって略均一の厚さに形成されるように塗型剤63の塗布を行う。この工程において、塗型層64の厚さは、表2の選択範囲内の値に設定される。
金型65の塗型層64においては、上記[工程C]が行われた後に括れた形状の凹穴が形成される。
図12を参照して、括れた形状の凹穴の形成態様について説明する。
[1]金型65の金型内周面65Aには、複数の気泡64Aを含んだ状態で塗型層64が形成される。
[2]気泡64Aに対して界面活性剤62が作用することにより、塗型層64の内周側に凹穴64Bが形成される。
[3]凹穴64Bの先端が金型内周面65Aに突き当たるまで拡大することにより、塗型層64内に括れた形状の凹穴64Cが形成される。
[工程D]塗型層64が乾燥した後、回転状態の金型65内へ鋳鉄の溶湯66を鋳込む。このとき、塗型層64の括れた形状の凹穴64Cへ溶湯66が流れ込むため、鋳造後のシリンダライナ2に括れた形状の突起(突起3)が形成されるようになる。
[工程E]溶湯66が凝固してシリンダライナ2が形成された後、塗型層64とともにシリンダライナ2を金型65から取り出す。
[工程F]ブラスト処理装置67により塗型層64(塗型剤63)をシリンダライナ2の外周から除去する。
<形成状態パラメータの測定方法>
図13を参照して、3次元レーザ測定方法による形成状態パラメータの測定方法について説明する。なお、標準突起長HPについては、別途の方法により測定される。
各形成状態パラメータの測定は、次の手順をもって行うことができる。
[1]シリンダライナ2から突起測定用試験片71を作成する。
[2]非接触式の3次元レーザ測定器81において、レーザ光82の照射方向と突起3の軸方向とが略平行となるように突起測定用試験片71を試験台83へセットする(図13〔A〕)。
[3]3次元レーザ測定器81から突起測定用試験片71へ向けてレーザ光82を照射する。(図13〔B〕)。
[4]3次元レーザ測定器81の測定結果を画像処理装置84に取り込む。
[5]画像処理装置84による画像処理を通じて突起3の等高線図85(図14)を表示し、等高線図85に基づいて各形成状態パラメータを算出する。
<突起の等高線図>
図14及び図15を参照して、突起3の等高線図85について説明する。図14は、等高線図85の一例を示す。図15は、測定高さHと等高線HLとの関係を示す。なお、図14においては、図15の突起3と異なる突起3についての等高線図85を示している。
等高線図85においては、一定の測定高さH毎に等高線HLが表示される。
例えば、測定高さ0mmから測定高さ1.0mmまで範囲において等高線HLを0.2mm毎に表示するようにした場合、等高線図85においては、測定高さ0mmの等高線HL0、測定高さ0.2mmの等高線HL2、測定高さ0.4mmの等高線HL4、測定高さ0.6mmの等高線HL6、測定高さ0.8mmの等高線HL8及び測定高さ1.0mmの等高線HL10が表示される。
図15において、等高線HL4は第1基準平面PAに相当する。また、等高線HL2は第2基準平面PBに相当する。なお、ここでは等高線HLを0.2mm間隔毎に表示する場合を例示しているが、実際の等高線図85では適宜の間隔で等高線HLを表示することができる。
図16及び図17を参照して、等高線図85の第1領域RA及び第2領域RBについて説明する。図16は、測定高さ0.4mmの等高線HL4以外の等高線HLを非表示にした等高線図85(第1等高線図85A)を示す。図17は、測定高さ0.2mmの等高線HL2以外の等高線HLを非表示にした等高線図85(第2等高線図85B)を示す。なお、図16及び図17において、実線は表示状態の等高線HLを、破線は非表示状態の等高線HLをそれぞれ示す。
本実施形態では、等高線図85において等高線HL4に囲まれた領域を第1領域RAとしている。即ち、第1等高線図85Aにおける斜線の領域が第1領域RAに相当する。また、等高線図85において等高線HL2に囲まれた領域を第2領域RBとしている。即ち、第2等高線図85Bにおける斜線の領域が第2領域RBに相当する。
<形成状態パラメータの算出方法>
本実施形態のシリンダライナ2について、形成状態パラメータは等高線図85に基づいてそれぞれ次のように算出することができる。
〔A〕「第1面積率SAについて」
第1面積率SAは、等高線図85の面積に占める第1領域RAの面積の割合として算出することができる。即ち、下記計算式により第1面積率SAの算出を行うことができる。

SA = SRA/ST×100 [%]

上記計算式において、「ST」は等高線図85の全面積を示す。また、「SRA」は等高線図85における第1領域RAの面積を合計した面積を示す。例えば、図16の第1等高線図85Aをモデルとした場合、四角の領域の面積が「ST」となる。また、斜線の領域の面積が「SRA」となる。なお、第1面積率SAの算出に際して、等高線図85にはライナ外周面22以外の部分が含まれていないものとする。
〔B〕「第2面積率SBについて」
第2面積率SBは、等高線図85の面積に占める第2領域RBの面積の割合として算出することができる。即ち、下記計算式により第2面積率SBの算出を行うことができる。

SB = SRB/ST×100 [%]

上記計算式において、「ST」は等高線図85の全面積を示す。また、「SRB」は等高線図85における第2領域RBの面積を合計した面積を示す。例えば、図17の第2等高線図85Bをモデルとした場合、四角の領域の面積が「ST」となる。また、斜線の領域の面積が「SRB」となる。なお、第2面積率SBの算出に際して、等高線図85にはライナ外周面22以外の部分が含まれていないものとする。
〔C〕「標準断面積SDについて」
標準断面積SDは、等高線図85における個々の第1領域RAの面積として算出することができる。例えば、図16の第1等高線図85Aをモデルとした場合、斜線の領域の面積が標準断面積SDとなる。
〔D〕「標準突起数NPについて」
標準突起数NPは、等高線図85の単位面積(ここでは1cm)あたりにおける突起3の数として算出することができる。例えば、図16の第1等高線図85Aまたは図17の第2等高線図85Bをモデルとした場合、図中の突起の数(1個)が標準突起数NPとなる。なお、本実施形態のシリンダライナ2においては、単位面積(1cm)あたりに5個〜60個の突起3が形成されているため、実際の標準突起数NPと第1等高線図85A及び第2等高線図85Bの標準突起数NPとは異なった値となる。
〔E〕「標準突起長HPについて」
標準突起長HPは、各突起3について測定した1箇所または複数箇所の高さの平均値として算出することができる。なお、突起3の高さは、ダイヤルディプスゲージ等の測定機器により測定することができる。
なお、第1基準平面PA上において各突起3が独立して存在するか否かについては、等高線図85における第1領域RAに基づいて確認することができる。即ち、第1領域RA同士が干渉していないことをもって、第1基準平面PA上において各突起3が独立していることを確認することができる。
実施例と比較例との対比に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
各実施例及び比較例では、上記実施形態の製造方法(金型遠心鋳造)によりシリンダライナを製造した。シリンダライナの製造に際しては、鋳鉄の材質をFC230相当に設定するとともに完成時の肉厚を2.3mmに設定した。
表3に、実施例のシリンダライナとして製造した各シリンダライナの特徴を示す。また、表4に、比較例のシリンダライナとして製造した各シリンダライナの特徴を示す。
Figure 0004474338
Figure 0004474338
シリンダライナの製造条件として、各実施例及び比較例に固有の条件を以下に示す。なお、各実施例及び比較例において、固有の条件以外は共通の条件に設定されている。
・実施例1及び比較例1においては、第1面積率SAが下限値(10%)となるように、金型遠心鋳造に関連する各パラメータ(表2の〔A〕〜〔F〕)を表2の選択範囲内の値に設定した。
・実施例2及び比較例2においては、第2面積率SBが上限値(55%)となるように、金型遠心鋳造に関連する各パラメータ(表2の〔A〕〜〔F〕)を表2の選択範囲内の値に設定した。
・実施例3、実施例4及び比較例6は、金型遠心鋳造に関連する各パラメータ(表2の〔A〕〜〔F〕)を表2の選択範囲内において同じ値に設定した。
・比較例3は、鋳造後にシリンダライナの鋳肌を除去して平滑な外周面を形成した。
・比較例4は、第1面積率SAが下限値(10%)よりも小さくなるように、金型遠心鋳造に関連する各パラメータ(表2の〔A〕〜〔F〕)の少なくとも一つを表2の選択範囲外の値に設定した。
・比較例5は、第2面積率SBが上限値(55%)よりも大きくなるように、金型遠心鋳造に関連する各パラメータ(表2の〔A〕〜〔F〕)の少なくとも一つを表2の選択範囲外の値に設定した。
皮膜の形成条件を以下に示す。
・実施例1、実施例2、比較例3、比較例4及び比較例5においては、皮膜厚さTPを同じ値に設定した。
・実施例4においては、皮膜厚さTPを上限値(0.5mm)に設定した。
・比較例1及び比較例2においては、皮膜を形成しないようにした。
・比較例6においては、皮膜厚さTPを上限値(0.5mm)よりも大きく設定した。
<形成状態パラメータの測定方法>
各実施例及び比較例における形成状態パラメータの測定方法について説明する。
各実施例及び比較例では、上記実施形態の「形成状態パラメータの算出方法」に従って突起3の形成態様に関連する各パラメータの測定を行った。
<皮膜厚さの測定方法>
各実施例及び比較例における皮膜厚さTPの測定方法について説明する。
各実施例及び比較例では、顕微鏡により皮膜厚さTPの測定を行った。具体的には、次の[1]及び[2]の手順をもって皮膜厚さTPの測定を行うようにした。
[1]シリンダライナ2から皮膜厚さ測定用の試験片を作成する。
[2]顕微鏡により試験片における複数箇所の皮膜厚さTPを測定し、その平均値を皮膜厚さTPの測定値として算出する。
<接合強度の評価方法>
図18を参照して、各実施例及び比較例におけるライナ接合強度の評価方法について説明する。
各実施例及び比較例では、ライナ接合強度の評価方法として引っ張り試験を採用した。具体的には、以下に示す[1]〜[5]の手順をもってライナ接合強度の評価を行うようにした。
[1]シリンダライナ2を備えたアルミニウム合金製の単気筒シリンダブロック72をダイカストにより製造する(図18〔A〕)。
[2]単気筒シリンダブロック72のシリンダ73から強度評価用試験片74を作成する。なお、強度評価用試験片74は、シリンダライナ2の一部(ライナ片74A)とシリンダ73のアルミ部(アルミ片74B)とから構成される。また、ライナ片74Aとアルミ片74Bとの間には高熱伝導皮膜4が形成されている。
[3]引っ張り試験機のアーム86を強度評価用試験片74(ライナ片74A及びアルミ片74B)に接着する(図18〔B〕)。
[4]引っ張り試験機のアーム86の一方をクランプ87により保持した後、ライナ片74Aとアルミ片74Bとがシリンダの径方向(矢印Cの方向)へ剥離するように、他方のアーム86を通じて強度評価用試験片74に引っ張り荷重をかける(図18〔C〕)。
[5]引っ張り試験を通じてライナ片74Aとアルミ片74Bとが剥離したときの強度(単位面積あたりの荷重)をライナ接合強度として算出する。
Figure 0004474338
各実施例及び比較例において、評価用の単気筒シリンダブロック72は、表5に示す条件のもとで製造した。
<熱伝導性の評価方法>
図19を参照して、各実施例及び比較例におけるシリンダの熱伝導性(シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性)の評価方法について説明する。
各実施例及び比較例では、シリンダの熱伝導性の評価方法としてレーザフラッシュ法を採用した。具体的には、以下に示す[1]〜[4]の手順をもって熱伝導性の評価を行うようにした。
[1]シリンダライナ2を備えたアルミニウム合金製の単気筒シリンダブロック72をダイカストにより製造する(図19〔A〕)。
[2]単気筒シリンダブロック72から環状の熱伝導性評価用試験片75を作成する(図19〔B〕)。なお、熱伝導性評価用試験片75は、シリンダライナ2の一部(ライナ片75A)とシリンダ73のアルミ部(アルミ片75B)とから構成される。また、ライナ片75Aとアルミ片75Bとの間には高熱伝導皮膜4が形成されている。
[3]レーザフラッシュ装置88に熱伝導性評価用試験片75をセットした後、レーザ発振器89から熱伝導性評価用試験片75の外周面へ向けてレーザ光80を照射する(図19〔C〕)。
[4]レーザフラッシュ装置88により計測された試験結果から熱伝導性評価用試験片75の熱伝導率を算出する。
Figure 0004474338
各実施例及び比較例において、評価用の単気筒シリンダブロック72は、表5に示す条件のもとで製造した。また、熱伝導性評価用試験片75は、表6に示す条件で製造した。具体的には、単気筒シリンダブロック72から切り出したシリンダ73の一部について、その内周面及び外周面を機械加工することにより、ライナ片75A及びアルミ片75Bの肉厚を表6の値に設定した。
<測定結果>
表7に、実施例及び比較例における各パラメータの測定結果を示す。なお、表中の値は、複数の測定結果の代表値を示す。
Figure 0004474338
測定結果に基づいて確認できる効果について説明する。
・実施例1〜実施例4と比較例3との対比から、次のことが確認できる。シリンダライナ2に突起3を形成することにより、ライナ接合強度を増加させることができるようになる。
・実施例1と比較例1との対比から、次のことが確認できる。即ち、ライナ高温部26に高熱伝導皮膜4を形成することにより、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性を向上させることができるようになる。また、ライナ接合強度を増加させることができるようになる。
・実施例2と比較例2との対比から、次のことが確認できる。即ち、ライナ高温部26に高熱伝導皮膜4を形成することにより、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性を向上させることができるようになる。また、ライナ接合強度を増加させることができるようになる。
・実施例4と比較例6との対比から、次のことが確認できる。即ち、皮膜厚さTPが上限値(0.5mm)以下となるように高熱伝導皮膜4を形成することにより、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性を向上させることができるようになる。また、ライナ接合強度を増加させることができるようになる。
・実施例1と比較例4との対比から、次のことが確認できる。即ち、第1面積率SAが下限値(10%)以上となるように突起3を形成することにより、ライナ接合強度を増加させることができるようになる。また、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性を向上させることができるようになる。
・実施例2と比較例5との対比から、次のことが確認できる。即ち、第2面積率SBが上限値(55%)以下となるように突起3を形成することにより、ライナ接合強度を増加させることができるようになる。また、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性を向上させることができるようになる。
・実施例3と実施例4との対比から、次のことが確認できる。即ち、皮膜厚さTPをより小さくして高熱伝導皮膜4を形成することにより、ライナ接合強度を増加させることができるようになる。また、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性を向上させることができるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、本実施形態のシリンダライナ及びエンジンによれば以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態のシリンダライナ2では、ライナ高温部26のライナ外周面22に高熱伝導皮膜4を形成する一方で、ライナ低温部27のライナ外周面22に低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。これにより、エンジン1における最大シリンダ壁温TWHと最小シリンダ壁温TWLとの差(シリンダ壁温差△TW)が小さくされるため、シリンダ13の軸方向におけるシリンダボア15の変形量の幅が縮小されるようになる。そして、こうしたシリンダボア15の変形量の均一化を通じてフリクションが低減されるため、燃料消費率を向上させることができるようになる。
(2)本実施形態のシリンダライナ2では、Al−Si合金の溶射層により高熱伝導皮膜4を構成するようにしている。これにより、シリンダブロック11の膨張度合いと高熱伝導皮膜4の膨張度合いとの差が小さくなるため、シリンダボア15の膨張時においてもシリンダブロック11とシリンダライナ2との密着性を確保することができるようになる。
(3)また、シリンダブロック11の鋳造材料とのぬれ性が高いAl−Si合金を採用しているため、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との密着性及び接合強度をより向上させることができるようになる。
(4)本実施形態のシリンダライナ2では、皮膜厚さTPが0.5mm以下となるように高熱伝導皮膜4を形成している。これにより、シリンダブロック11とライナ高温部26との接合強度の低下を抑制することができるようになる。なお、皮膜厚さTPが0.5mmよりも大きい場合には、突起3によるアンカー効果が小さくなるため、シリンダブロック11とライナ高温部26との接合強度が大幅に低下するようになる。
(5)本実施形態のシリンダライナ2では、皮膜厚さTPが0.5mm以下となるように低熱伝導皮膜5を形成している。これにより、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合強度の低下を抑制することができるようになる。なお、皮膜厚さTPが0.5mmよりも大きい場合には、突起3によるアンカー効果が小さくなるため、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合強度が大幅に低下するようになる。
(6)本実施形態のシリンダライナ2では、ライナ外周面22に複数の突起3を形成するようにしている。これにより、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とシリンダライナ2とが接合されるため、シリンダブロック11とシリンダライナ2との接合強度を十分に確保することができるようになる。そして、こうした接合強度の向上を通じてシリンダブロック11と高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5との剥離が抑制されるため、これら皮膜による熱伝導性の向上及び低下の作用を好適に維持することができるようになる。また、接合強度の向上を通じてシリンダボア15の変形を抑制することができるようになる。
(7)本実施形態のシリンダライナ2では、標準突起数NPが「5個〜60個」の範囲に含まれるように突起3を形成している。これにより、ライナ接合強度を向上させることができるようになる。また、突起3間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。
なお、標準突起数NPが上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。標準突起数NPが5個よりも少ない場合、突起3の数の不足していることにより、ライナ接合強度の低下をまねくようになる。標準突起数NPが60個よりも多い場合、突起3同士の間隔が狭いことにより、突起3間への鋳造材料の充填性が低下するようになる。
(8)本実施形態のシリンダライナ2では、標準突起長HPが「0.5mm〜1.0mm」の範囲に含まれるように突起3を形成している。これにより、ライナ接合強度及びシリンダライナ2の外径精度を向上させることができるようになる。
なお、標準突起長HPが上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。標準突起長HPが0.5mmよりも小さい場合、突起3の高さが不足していることにより、ライナ接合強度の低下をまねくようになる。標準突起長HPが1.0mmよりも大きい場合、突起3が折れやすくなることにより、ライナ接合強度の低下をまねくようになる。また、突起3の高さが不均一となるため、外径精度が低下するようになる。
(9)本実施形態のシリンダライナ2では、第1面積率SAが「10%〜50%」の範囲に含まれるように突起3を形成している。これにより、十分な大きさのライナ接合強度を確保することができるようになる。また、突起3間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。
なお、第1面積率SAが上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。第1面積率SAが10%よりも小さい場合、第1面積率SAが10%以上の場合に比べてライナ接合強度の大幅な低下をまねくようになる。第1面積率SAが50%よりも大きい場合、第2面積率SBが上限値(55%)を上回るため、突起3間への鋳造材料の充填性が大幅に低下するようになる。
(10)本実施形態のシリンダライナ2では、第2面積率SBが「20%〜55%」の範囲に含まれるように突起3を形成している。これにより、突起3間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。また、十分な大きさのライナ接合強度を確保することができるようになる。
なお、第2面積率SBが上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。第2面積率SBが20%よりも小さい場合、第1面積率SAが下限値(10%)を下回るため、ライナ接合強度の大幅な低下をまねくようになる。第2面積率SBが55%よりも大きい場合、第2面積率SBが55%以下の場合に比べて突起3間への鋳造材料の充填性が大幅に低下するようになる。
(11)本実施形態のシリンダライナ2では、標準断面積SDが「0.2mm〜3.0mm」の範囲に含まれるように突起3を形成している。これにより、シリンダライナ2の製造工程における突起3の破損を抑制することができるようになる。また、突起3間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。
なお、標準断面積SDが上記選択範囲から外れている場合には、次のような不具合が生じるようになる。標準断面積SDが0.2mmよりも小さい場合、突起3の強度が不足することにより、シリンダライナ2の製造工程において突起3の破損をまねくようになる。標準断面積SDが3.0mmよりも大きい場合、突起3同士の間隔が狭いことにより、突起3間への鋳造材料の充填性が低下するようになる。
(12)本実施形態のシリンダライナ2では、第1基準平面PA上において各突起3(第1領域RA)が独立して存在するように突起3を形成している。これにより、突起3間への鋳造材料の充填性を向上させることができるようになる。なお、第1基準平面PA上において各突起3(第1領域RA)が独立していない場合、突起3同士の間隔が狭いことにより、突起3間への鋳造材料の充填性が低下するようになる。
(13)基準エンジンにおいては、ライナ高温部26のシリンダ壁温TWが過度に高い温度となることに起因してエンジンオイルの消費が促進されるため、ピストンリングの張力をより大きい値に設定することが要求される。即ち、ピストンリングの張力の増加にともなう燃料消費率の悪化が避けられないものとなっている。
本実施形態のシリンダライナ2によれば、シリンダブロック11とライナ高温部26とがより密着した状態、即ちライナ高温部26の周囲において空隙がより少ない状態が得られるため、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が高められるようになる。これにより、ライナ高温部26のシリンダ壁温TWの低減が図られるため、エンジンオイルの消費を抑制することができるようになる。そして、こうしたエンジンオイルの消費の抑制を通じて、基準エンジンに比べてより張力の小さいピストンリングを採用することが可能となるため、燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(14)基準エンジンにおいては、ライナ低温部27のシリンダ壁温TWが比較的小さい温度となることにより、ライナ低温部27のライナ内周面21におけるエンジンオイルの粘度が過度に高い状態となる。即ち、シリンダ13のライナ低温部27におけるピストンのフリクションが大きいため、こうしたフリクションの増大に起因する燃料消費率の悪化が避けられないものとなっている。なお、こうしたシリンダ壁温TWに起因する燃料消費率の悪化は、アルミニウム合金製エンジン等をはじめとしたシリンダブロックの熱伝導率が比較的大きいエンジンにおいてより顕著に現れるようになる。
本実施形態のシリンダライナ2によれば、シリンダブロック11とライナ低温部27との間の熱伝導性が低いため、ライナ低温部27のシリンダ壁温TWの上昇が図られるようになる。これにより、ライナ低温部27のライナ内周面21においてエンジンオイルの粘度が小さくされるため、フリクションの低減を通じて燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
(15)通常のエンジンにおいては、シリンダボアの間隔を狭くすることにより、軽量化を通じて燃料消費率の向上を図ることが可能となる。しかし、シリンダボア間を狭くした場合には次のようなことが問題となる。
[a]シリンダボア間は、その周囲(シリンダボア間から離れた箇所)よりも肉厚が小さいため、鋳込みによるシリンダブロックの製造時においてシリンダボア間の周囲よりも凝固速度が高くなる。また、シリンダボア間の鋳造材料の凝固速度は、シリンダボア間の肉厚が小さくなるにつれて高くなる。従って、シリンダボア間を狭くした場合には、シリンダボア間の鋳造材料の凝固速度がさらに高くなるため、シリンダボア間の鋳造材料とその周囲の鋳造材料との間における凝固速度の差が大きくなる。これにより、シリンダボア間の鋳造材料をその周囲へ向けて引っ張る力が増大するため、シリンダボア間において亀裂(熱間割れ)をまねく可能性が高くなる。
[b]シリンダボア間が狭く設定されたエンジンにおいては、シリンダボア間に熱がこもりやすくなるため、シリンダ壁温の上昇にともなってエンジンオイルの消費が促進されるようになる。
こうしたことから、シリンダボア間の縮小を通じて燃料消費率の向上を図るためには、次の条件を満たすことが要求される。
・凝固速度の差に起因するシリンダボア間からその周囲へ向けての鋳造材料の移動を抑制するために、シリンダブロックの製造時におけるシリンダライナと鋳造材料との接合強度を十分に確保する。
・エンジンオイルの消費を抑制するために、シリンダブロックとシリンダライナとの間の熱伝導性を十分に確保する。
本実施形態のシリンダライナ2によれば、鋳込みによるシリンダブロック11の製造時において、シリンダブロック11の鋳造材料と突起3との噛み合いによりこれら部材の接合強度が十分に確保されるため、凝固速度の差に起因するシリンダボア15間からその周囲へ向けての鋳造材料の移動を抑制することができるようになる。
また、突起3とともに高熱伝導皮膜4を形成するようにしているため、シリンダブロック11とライナ高温部26との密着性の向上を通じて、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が十分に確保されるようになる。
さらには、突起3によりシリンダブロック11とシリンダライナ2との接合強度の向上が図られるため、シリンダブロック11とシリンダライナ2との剥離が抑制されるようになる。これにより、シリンダボア15の膨張時においてもシリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が十分に確保されるようになる。
このように、本実施形態のシリンダライナ2を採用することで、シリンダブロック11の鋳造材料との接合強度、及びシリンダブロック11との間の熱伝導性が十分に確保されるため、シリンダボア15の間隔をより小さく設定することができるようになる。そして、エンジン1においては、こうしたことを受けてシリンダボア15の間隔を従来のエンジンよりも小さく設定しているため、燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
なお、基準シリンダライナを備えたシリンダブロックにおいては、シリンダブロックとシリンダライナとの間に比較的大きな空隙が形成されていることが本発明者による試験を通じて確認されている。即ち、シリンダライナに括れた形状の突起を形成しただけではシリンダブロックとシリンダライナとの十分な密着性が確保されないため、空隙に起因する熱伝導性の低下が避けられないものとなる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第1実施形態では、アルミニウム合金としてAl−Si合金を採用したが、その他のアルミニウム合金(Al−Si―Cu合金やAl−Cu合金等)を採用することもできる。また、アルミニウム合金の他に、銅または銅合金の溶射層により高熱伝導皮膜4を構成することもできる。こうした構成を採用した場合においても、上記第1実施形態の効果に準じた効果が奏せられるようになる。
・上記第1実施形態において、低熱伝導皮膜5の表面にアルミニウム系材料の溶射層(アルミ溶射層)を形成することもできる。この場合、低熱伝導皮膜5がアルミ溶射層を介してシリンダブロック11と接合されるため、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合強度を向上させることができるようになる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図20及び図21を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける高熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図20に、図6〔A〕のZC部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ高温部26のライナ外周面22には高熱伝導皮膜4が形成されている。
高熱伝導皮膜4は、アルミニウムのショットコーティング層(コーティング層42)により構成されている。なお、ショットコーティング層は、ショットコーティングにより形成された皮膜を示す。
高熱伝導皮膜4の素材としては、その他に次の(A)及び(B)の少なくとも一方の条件を満たす材料を用いることができる。
(A)基準溶湯温度TC以下の融点を有する材料、またはそうした材料を含む材料。
(B)シリンダブロック11の鋳造材料と冶金的に接合する材料、またはそうした材料を含む材料。
<シリンダブロックとライナ高温部との接合状態>
図21に、シリンダブロック11とライナ高温部26との接合状態(図1のZA部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ高温部26とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ高温部26とが高熱伝導皮膜4を介して接合されている。
ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との接合状態について、高熱伝導皮膜4がショットコーティングを通じて形成されていることにより、ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4とは十分な密着性及び接合強度をもって機械的及び冶金的に接合されている。即ち、ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4とは、機械的に接合されている箇所と冶金的に接合されている箇所とが入り交じった状態で接合されている。なお、ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との密着性は、基準エンジンにおけるシリンダブロックと基準シリンダライナとの密着性よりも高いものとなる。
シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との接合状態について、基準溶湯温度TC以下の融点を有するとともにシリンダブロック11の鋳造材料とのぬれ性が高いアルミニウムを通じて高熱伝導皮膜4が形成されていることにより、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4とは十分な密着性及び接合強度をもって機械的に接合されている。なお、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との密着性は、基準エンジンにおけるシリンダブロックと基準シリンダライナとの密着性よりも高いものとなる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ高温部26とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔1〕「ライナ高温部の接合状態」』にて記載した(A)〜(C)の効果が得られるようになる。なお、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との機械的な接合に関しては、前記第1実施形態での説明と同様の説明を適用することができる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(15)本実施形態では、ショットコーティングにより高熱伝導皮膜4を形成するようにしている。ショットコーティングでは、コーティング材料を溶融させることなく高熱伝導皮膜4を形成することができるため、高熱伝導皮膜4内に酸化物が含まれにくくなる。従って、酸化に起因する高熱伝導皮膜4の熱伝導率の低下を抑制することができるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第2実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第2実施形態では、コーティング層42の素材としてアルミニウムを採用したが、その他に例えば次のような素材を採用することもできる。
[a]亜鉛。
[b]すず。
[c]アルミニウム、亜鉛及びすずのうちの少なくとも2種類の材料を含む合金。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図22及び図23を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける高熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図22に、図6〔A〕のZC部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ高温部26のライナ外周面22には高熱伝導皮膜4が形成されている。
高熱伝導皮膜4は、銅合金のめっき層(めっき層43)により構成されている。なお、めっき層は、めっきにより形成された皮膜を示す。
高熱伝導皮膜4の素材としては、その他に次の(A)及び(B)の少なくとも一方の条件を満たす材料を用いることができる。
(A)基準溶湯温度TC以下の融点を有する材料、またはそうした材料を含む材料。
(B)シリンダブロック11の鋳造材料と冶金的に接合する材料、またはそうした材料を含む材料。
<シリンダブロックとライナ高温部との接合状態>
図23に、シリンダブロック11とライナ高温部26との接合状態(図1のZA部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11の一部が突起3の括れ空間34へ入り込んだ状態でシリンダブロック11とライナ高温部26とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ高温部26とが高熱伝導皮膜4を介して接合されている。
ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との接合状態について、高熱伝導皮膜4がめっきを通じて形成されていることにより、ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4とは十分な密着性及び接合強度をもって機械的に接合されている。なお、ライナ高温部26と高熱伝導皮膜4との密着性は、基準エンジンにおけるシリンダブロックと基準シリンダライナとの密着性よりも高いものとなる。
シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との接合状態について、基準溶湯温度TCよりも高い融点を有する銅合金により高熱伝導皮膜4が形成されているものの、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4とは十分な密着性及び接合強度をもって冶金的に接合されている。なお、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4との密着性は、基準エンジンにおけるシリンダブロックと基準シリンダライナとの密着性よりも高いものとなる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ高温部26とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔1〕「ライナ高温部の接合状態」』にて記載した(A)〜(C)の効果に加えて以下の(D)の効果が得られるようになる。
(D)高熱伝導皮膜4がシリンダブロック11よりも熱伝導率の大きい銅合金を通じて形成されているため、シリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性がさらに高められるようになる。
なお、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4とを冶金的に接合させるためには、基本的には基準溶湯温度TC以下の融点を有する金属材料により高熱伝導皮膜4を形成する必要があると考えられる。しかし、本発明者の実施した試験結果によれば、基準溶湯温度TCよりも高い融点の金属材料により高熱伝導皮膜4が形成されていても、上記にて説明したようにシリンダブロック11と高熱伝導皮膜4とが冶金的に接合する場合もあることが確認されている。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第3実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果((2)及び(3)は除く)に準じた効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(16)本実施形態では、銅合金により高熱伝導皮膜4を形成するようにしている。これにより、シリンダブロック11と高熱伝導皮膜4とが冶金的に接合するため、シリンダブロック11とライナ高温部26との密着性及び接合強度をより向上させることができるようになる。
(17)また、銅合金の熱伝導率が高いこととあわせて、シリンダブロック11とライナ高温部26と間の熱伝導性を大幅に向上させることができるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第3実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3実施形態において、銅によりめっき層43を形成することもできる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図24及び図25を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける低熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図24に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。
低熱伝導皮膜5は、鉄系材料の溶射層(溶射層52)により構成されている。
溶射層52は、複数の小溶射層52Aの積み重ねにより構成されている。また、溶射層52(小溶射層52A)の内部には、酸化物の層及び気孔が多数含まれている。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図25に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、酸化物の層及び気孔を多数含む溶射層を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは熱伝導性が低い状態で機械的に接合されている。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔2〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<皮膜の製造方法>
本実施形態では、アーク溶射を通じて低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。
低熱伝導皮膜5の形成は、次の手順をもって行うことができる。
[1]アーク溶射装置により溶融したワイヤをライナ低温部27のライナ外周面22へ吹き付けて小溶射層52Aを形成する。
[2]1つの小溶射層52Aを形成した後、この小溶射層52Aの上に別の小溶射層52Aを形成する。
[3]所定の厚さの低熱伝導皮膜5が形成されるまで上記[2]の作業を繰り返す。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第4実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(18)本実施形態のシリンダライナ2では、複数の小溶射層52Aから溶射層52を構成するようにしている。これにより、溶射層52の内部に酸化物の層が多数形成されるため、シリンダブロック11とライナ低温部27との間の熱伝導性をより低下させることができるようになる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について、図26及び図27を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける低熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図26に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。低熱伝導皮膜5は、酸化物の層(酸化物層53)により構成されている。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図27に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、酸化物を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは熱伝導性が低い状態で機械的に接合されている。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔2〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<皮膜の製造方法>
本実施形態では高周波加熱を通じて低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。
低熱伝導皮膜5の形成は、次の手順をもって行うことができる。
[1]高周波加熱装置によりライナ低温部27を加熱する。
[2]ライナ外周面22に所定の厚さの酸化物層53が形成されるまで加熱を継続する。
上記製造方法によれば、ライナ低温部27の加熱により突起3の先端部32が溶融するため、先端部32に他の部分よりも厚い酸化物層53が形成されるようになる。従って、突起3の先端部32周辺における断熱性能を高めることができるようになる。また、突起3の括れ部33においても十分な厚さの低熱伝導皮膜5が形成されるため、括れ部33周辺での断熱性能を向上させることができるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第5実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(19)本実施形態のシリンダライナ2では、シリンダライナ2の加熱を通じて低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。これにより、低熱伝導皮膜5を形成するための材料を別途用意する必要がないため、材料の管理にかかる手間やコストの低減を図ることができるようになる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について、図28及び図29を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける低熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図28に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。低熱伝導皮膜5は、ダイカスト用の離型剤の層(離型剤層54)により構成されている。
離型剤層54の形成に際しては、例えば次のような離型剤を用いることができる。
・バーミキュライトとヒタゾールと水ガラスとを調合した離型剤。
・シリコンを主成分とした液状材料と水ガラスとを調合した離型剤。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図29に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、シリンダブロック11との密着性が低い離型剤を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは空隙5Hを介して接合されている。なお、シリンダブロック11の製造に際しては、鋳造材料と離型剤層54とが十分に密着していない箇所が存在する状態で鋳造材料が凝固するため、シリンダブロック11と離型剤層54との間に空隙5Hが形成されるようになる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔2〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第6実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(20)本実施形態のシリンダライナ2では、ダイカスト用の離型剤を用いて低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。これにより、低熱伝導皮膜5の形成に際して、シリンダブロック11の製造時に用いられるダイカスト用の離型剤またはその素材を流用することが可能となるため、工数やコストの低減を図ることができるようになる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について、図28及び図29を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける低熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図28に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。
低熱伝導皮膜5は、金型遠心鋳造用の塗型剤の層(塗型剤層55)により構成されている。
塗型剤層55の形成に際しては、例えば次のような塗型剤を用いることができる。
・珪藻土を主成分として調合した塗型剤。
・黒鉛を主成分として調合した塗型剤。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図29に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、シリンダブロック11との密着性が低い塗型剤を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは空隙5Hを介して接合されている。なお、シリンダブロック11の製造に際しては、鋳造材料と塗型剤層55とが十分に密着していない箇所が存在する状態で鋳造材料が凝固するため、シリンダブロック11と塗型剤層55との間に空隙5Hが形成されるようになる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔2〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第7実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(21)本実施形態のシリンダライナ2では、金型遠心鋳造用の塗型剤を用いて低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。これにより、低熱伝導皮膜5の形成に際して、シリンダライナ2の製造時に用いられる金型遠心鋳造用の塗型剤またはその素材を流用することが可能となるため、工数やコストの低減を図ることができるようになる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について、図28及び図29を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については、前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図28に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。
低熱伝導皮膜5は、低密着剤の層(低密着剤層56)により構成されている。なお、低密着剤は、シリンダブロック11との密着性が低い材料を含めて調合した液状材料を示す。
低密着剤層56の形成に際しては、例えば次のような低密着剤を用いることができる。
・黒鉛と水ガラスと水とを調合した低密着剤。
・窒化ボロンと水ガラスとを調合した低密着剤。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図29に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と皮膜5との接合状態について、シリンダブロック11との密着性が低い低密着剤を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは空隙5Hを介して接合されている。なお、シリンダブロック11の製造に際しては、鋳造材料と低密着剤層56とが十分に密着していない箇所が存在する状態で鋳造材料が凝固するため、シリンダブロック11と低密着剤層56との間に空隙5Hが形成されるようになる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔1〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<皮膜の製造方法>
低熱伝導皮膜5の製造方法について説明する。
本実施形態では、低密着剤の塗装及び乾燥を通じて低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。
低熱伝導皮膜5の形成は、次の手順をもって行うことができる。
[1]所定の温度に加熱された炉内においてシリンダライナ2を一定時間にわたった保持することにより、シリンダライナ2の予熱を行う。
[2]液体の低密着剤が貯留された容器内にシリンダライナ2を浸すことにより、ライナ外周面22に低密着剤を塗装する。
[3]上記[2]の工程を行った後、上記[1]の炉内においてシリンダライナ2を一定時間にわたった保持することにより、低密着剤を乾燥させる。
[4]乾燥して形成された低密着剤層56が所定の厚さになるまで上記[1]〜[3]の工程を繰り返して行う。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第8実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に準じた効果が得られるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第8実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・低密着剤として、例えば次のようなものを採用することもできる。
(a)黒鉛と有機溶剤とを調合した低密着剤。
(b)黒鉛と水とを調合した低密着剤。
(c)窒化ボロン及び無機バインダまたは有機バインダを主成分とする低密着剤。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態について、図28及び図29を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける低熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図28に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。低熱伝導皮膜5は、メタリック塗料の層(塗料層57)により構成されている。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図29に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、シリンダブロック11との密着性が低いメタリック塗料を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは空隙5Hを介して接合されている。なお、シリンダブロック11の製造に際しては、鋳造材料と塗料層57とが十分に密着していない箇所が存在する状態で鋳造材料が凝固するため、シリンダブロック11と塗料層57との間に空隙5Hが形成されるようになる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔2〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第9実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に準じた効果が得られるようになる。
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態について、図28及び図29を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける低熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図28に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。低熱伝導皮膜5は、耐熱樹脂の層(耐熱樹脂層58)により構成されている。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図29に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、シリンダブロック11との密着性が低い耐熱樹脂を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは空隙5Hを介して接合されている。なお、シリンダブロック11の製造に際しては、鋳造材料と耐熱樹脂層58とが十分に密着していない箇所が存在する状態で鋳造材料が凝固するため、シリンダブロック11と耐熱樹脂層58との間に空隙5Hが形成されるようになる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔2〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第10実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に準じた効果が得られるようになる。
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態について、図28及び図29を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける低熱伝導皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図28に、図6〔A〕のZD部の拡大構造を示す。
シリンダライナ2において、ライナ低温部27のライナ外周面22には低熱伝導皮膜5が形成されている。
低熱伝導皮膜5は、化成処理を通じて形成された層(化成処理層59)により構成されている。
化成処理層59としては、例えば次のような層を形成することができる。
・りん酸塩の化成処理層。
・四三酸化鉄の化成処理層。
<シリンダブロックとライナ低温部との接合状態>
図29に、シリンダブロック11とライナ低温部27との接合状態(図1のZB部の断面構造)を示す。
エンジン1においては、シリンダブロック11と突起3とが噛み合った状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されている。また、シリンダブロック11とライナ低温部27とが低熱伝導皮膜5を介して接合されている。
シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5との接合状態について、シリンダブロック11との密着性が低いりん酸塩皮膜を通じて低熱伝導皮膜5が形成されていることにより、シリンダブロック11と低熱伝導皮膜5とは複数の空隙5Hを介して接合されている。なお、シリンダブロック11の製造に際しては、鋳造材料と化成処理層59とが十分に密着していない箇所が存在する状態で鋳造材料が凝固するため、シリンダブロック11と化成処理層59との間に空隙5Hが形成されるようになる。
エンジン1においては、こうした状態でシリンダブロック11とライナ低温部27とが接合されていることにより、前記第1実施形態の『〔2〕「ライナ低温部の接合状態」』にて記載した(A)及び(B)の効果が得られるようになる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第11実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に加えて、以下に示すような効果が得られるようになる。
(22)本実施形態のシリンダライナ2では、化成処理を通じて低熱伝導皮膜5を形成するようにしている。これにより、突起3の括れ部33においても十分な厚さの低熱伝導皮膜5が形成されるため、括れ部33周辺に空隙5Hが形成されるやすくなる。即ち、括れ部33周辺の断熱性能をより向上させることができるようになる。
(23)また、皮膜厚さTPのばらつきの小さい低熱伝導皮膜5を形成することができるため、皮膜厚さTPの変更によるシリンダ壁温TWの調整をより精度良く実行することができるようになる。
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態について、図30を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナにおける皮膜の形成態様を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<皮膜の形成態様>
図30に、シリンダライナ2の斜視構造を示す。
シリンダライナ2のライナ外周面22には、ライナ上端23からライナ中間部25の上端側(第1中間部25A)までの範囲に高熱伝導皮膜4が形成されている。また、周方向の全体にわたって高熱伝導皮膜4が形成されている。
シリンダライナ2のライナ外周面22には、ライナ下端24からライナ中間部25の下端側(第2中間部25B)までの範囲に低熱伝導皮膜5が形成されている。また、周方向の全体にわたって低熱伝導皮膜5が形成されている。
シリンダライナ2のライナ外周面22には、第1中間部25Aから第2中間部25Bまでの範囲に高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5のいずれもが形成されていない箇所が設けられている。なお、第1中間部25Aは第2中間部25Bよりもライナ上端23側に位置する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第12実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に準じた効果が得られるようになる。
(24)本実施形態のシリンダライナ2によれば、シリンダブロック11とシリンダライナ2との間の熱伝導性がライナ上端23からライナ下端24へかけて段階的に小さくされるため、シリンダ壁温TWの急激な変化を抑制することができるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第12実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第12実施形態は、第2実施形態〜第11実施形態に対して適用することもできる。
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態について説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のシリンダライナの構成を以下で説明するように変更している。なお、本実施形態のシリンダライナにおいて、以下で説明する構成以外については前記第1実施形態と同様となっている。
<シリンダライナの構成>
本実施形態のシリンダライナ2においては、シリンダライナ2の肉厚(ライナ肉厚TL)が次のように設定されている。即ち、ライナ低温部27のライナ肉厚TLがライナ高温部26のライナ肉厚TLよりも大きく設定されている。また、ライナ肉厚TLがライナ上端23からライナ下端24へかけて徐々に大きくなるように設定されている。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第13実施形態にかかるシリンダライナによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(14)の効果に準じた効果が得られるようになる。
(25)本実施形態のシリンダライナ2によれば、シリンダブロック11とライナ低温部27との間の熱伝導性が低下する一方でシリンダブロック11とライナ高温部26との間の熱伝導性が向上するため、シリンダ壁温差△TWをより小さくすることができるようになる。
<実施形態のその他の構成>
なお、上記第13実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第13実施形態は、第2実施形態〜第12実施形態に対して適用することもできる。
・上記第13実施形態において、ライナ低温部27のライナ肉厚TLをライナ高温部26のライナ肉厚TLよりも大きく設定するとともに、それぞれの箇所のライナ肉厚TLを一定の大きさに設定することもできる。
・上記第13実施形態におけるライナ肉厚TLの設定態様は、シリンダライナ2に限られずいずれのシリンダライナに対しても適用することができる。例えば、次の(A)及び(B)の少なくとも一方の条件を満たすシリンダライナに対して、上記実施形態におけるライナ肉厚TLの設定態様を適用することもできる。
(A)高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5が形成されていないシリンダライナ。
(B)突起3が形成されていないシリンダライナ。
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することができる要素を以下に列挙する。
・上記各実施形態の高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を次のように組み合わせることもできる。
(イ)第2実施形態の高熱伝導皮膜4と第4〜第11実施形態のいずれかの低熱伝導皮膜5とを組み合わせる。
(ロ)第3実施形態の高熱伝導皮膜4と第4〜第11実施形態のいずれかの低熱伝導皮膜5とを組み合わせる。
・また、上記(イ)及び(ロ)の実施形態に対して第12実施形態及び第13実施形態の少なくとも一方を適用することもできる。
・高熱伝導皮膜4の製造方法は、上記各実施形態にて例示した製造方法(溶射、ショットコーティング及びめっき)に限られず適宜の製造方法を採用することができる。
・低熱伝導皮膜5の製造方法は、上記各実施形態にて例示した製造方法(溶射、塗装、樹脂コーティング及び化成処理)に限られず適宜の製造方法を採用することができる。
・上記実施形態では、第1面積率SA及び第2面積率SBの選択範囲を表1の選択範囲に設定するようにしたが、次のように変更することもできる。

第1面積率SA:10% 〜 30%
第2面積率SB:20% 〜 45%

こうした設定を採用することで、ライナ接合強度及び突起3間への鋳造材料の充填性をより向上させることができるようになる。
・上記各実施形態では、標準突起長HPの選択範囲を「0.5mm〜1.0mm」に設定するようにしたが、次のように変更することもできる。即ち、標準突起長HPの選択範囲を「0.5mm〜1.5mm」に設定することもできる。
・上記各実施形態において、高熱伝導皮膜4の皮膜厚さTPをライナ上端23からライナ中間部25へかけて徐々に大きく設定することもできる。この場合、シリンダブロック11とシリンダライナ2上部との間の熱伝導性がライナ上端23からライナ中間部25へ向かうにつれて低下するため、シリンダライナ2上部の軸方向におけるシリンダ壁温TWの差をより小さくすることができるようになる。
・上記各実施形態において、低熱伝導皮膜5の皮膜厚さTPをライナ下端24からライナ中間部25へかけて徐々に小さく設定することもできる。この場合、シリンダブロック11とシリンダライナ2下部との間の熱伝導性がライナ下端24からライナ中間部25へ向かうにつれて向上するため、シリンダライナ2下部の軸方向におけるシリンダ壁温TWの差をより小さくすることができるようになる。
・上記各実施形態では、シリンダライナ2の周方向の全体にわたって低熱伝導皮膜5を形成するようにしたが、低熱伝導皮膜5の形成位置を次のように変更することもできる。即ち、シリンダ13の配列方向において、シリンダボア15間のライナ外周面22には皮膜5を形成しないようにすることもできる。換言すると、シリンダ13の配列方向において、隣り合うシリンダライナ2のライナ外周面22と対向するライナ外周面22を除いた範囲内で低熱伝導皮膜5を形成することもできる。こうした構成を採用した場合には、次の(イ)及び(ロ)の効果が奏せられるようになる。
(イ)シリンダボア15間においては、隣り合うシリンダ13からの熱がこもりやすいため、シリンダ13の周方向におけるシリンダボア15間以外の箇所よりもシリンダ壁温TWが高くなる傾向を示す。従って、上記低熱伝導皮膜5の形成態様を採用することにより、シリンダ13の周方向においてシリンダボア15間に位置する箇所のシリンダ壁温TWが過度に高くなることを抑制することができるようになる。
(ロ)シリンダ13においては、上述のようにシリンダ壁温TWが周方向の位置に応じて異なるため、これにともなってシリンダボア15の変形量も周方向において異なった大きさとなる。こうしたシリンダボア15の変形量の違いは、ピストンのフリクションの増大をまねくため、燃料消費率を悪化させる要因の一つとなる。
上記皮膜5の形成態様を採用した場合、シリンダ13の周方向においてシリンダボア15間以外の箇所の熱伝導性が低下する一方で、シリンダボア15間の熱伝導性は通常のエンジンと同じになるため、シリンダボア15間以外の箇所のシリンダ壁温TWとシリンダボア15間のシリンダ壁温TWとの差が縮小されるようになる。これにより、周方向におけるシリンダボア15の変形量の差が小さくされる(変形量の均一化が図られる)ため、ピストンのフリクションの低減を通じて燃料消費率の向上を図ることができるようになる。
・上記各実施形態において、高熱伝導皮膜4の形成態様を次のように変更することもできる。即ち、以下の(A)及び(B)の少なくとも一方の条件が満たされる範囲内で適宜の素材を用いて高熱伝導皮膜4を形成することもできる。
(A)高熱伝導皮膜4の熱伝導率がシリンダライナ2の熱伝導率よりも大きい。
(B)高熱伝導皮膜4の熱伝導率がシリンダブロック11の熱伝導率よりも大きい。
・上記各実施形態において、低熱伝導皮膜5の形成態様を次のように変更することもできる。即ち、以下の(A)及び(B)の少なくとも一方の条件が満たされる範囲内で適宜の素材を用いて低熱伝導皮膜5を形成することもできる。
(A)低熱伝導皮膜5の熱伝導率がシリンダライナ2の熱伝導率よりも小さい。
(B)低熱伝導皮膜5の熱伝導率がシリンダブロック11の熱伝導率よりも小さい。
・上記各実施形態では、突起3の形成状態パラメータが表1の選択範囲内に設定されたシリンダライナ2に対して高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を形成するようにしたが、突起3が設けられたいずれのシリンダライナに対しても高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を形成することができる。
・上記各実施形態では、突起3が設けられたシリンダライナ2に対して高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を形成するようにしたが、括れた形状以外の形状の突起が設けられたシリンダライナに対して高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を形成することもできる。
・上記各実施形態では、突起3が設けられたシリンダライナ2に対して高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を形成するようにしたが、突起が設けられていないシリンダライナに対して高熱伝導皮膜4及び低熱伝導皮膜5を形成することもできる。
・上記各実施形態では、アルミニウム合金製エンジンに対して本発明のシリンダライナを適用したが、その他に、例えばマグネシウム合金製エンジンに対して本発明のシリンダライナを適用することも可能である。要するに、シリンダライナを備えるエンジンであればいずれのエンジン対しても本発明のシリンダライナを適用することができる。また、そうした場合にあっても、上記各実施形態に準じた態様をもって本発明を具体化することにより、上記各実施形態の作用効果に準じた作用効果が奏せられるようになる。
本発明にかかるシリンダライナを具体化した第1実施形態について、同シリンダライナを備えたエンジンの全体構成を示す構成図。 同実施形態のシリンダライナについて、その斜視構造を示す斜視図。 同実施形態のシリンダライナについて、その素材となる鋳鉄の組成割合の一例を示す図。 同実施形態のシリンダライナについて、括れた形状の突起を示すモデル図。 同実施形態のシリンダライナについて、括れた形状の突起を示すモデル図。 〔A〕同実施形態のシリンダライナについて、軸方向に沿った断面構造を示す断面図。〔B〕同実施形態のシリンダライナについて、軸方向の位置とシリンダ壁温との関係の一例を示すグラフ。 同実施形態のシリンダライナについて、図6のZC部の拡大構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図6のZD部の拡大構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図1のZA部の断面構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図1のZB部の断面構造を示す断面図。 金型遠心鋳造によるシリンダライナの製造について、製造工程の一覧を示す工程図。 金型遠心鋳造によるシリンダライナの製造について、塗型層における括れた形状の凹穴の形成態様を示す図。 同実施形態のシリンダライナについて、3次元レーザ測定方法による各パラメータの測定手順の一例を示す図。 同実施形態のシリンダライナについて、3次元レーザ測定方法により得られる等高線図の一例を示す図。 同実施形態のシリンダライナについて、測定高さと等高線との関係を示す図。 同実施形態のシリンダライナについて、3次元レーザ測定方法により得られる等高線図の一例を示す図。 同実施形態のシリンダライナについて、3次元レーザ測定方法により得られる等高線図の一例を示す図。 同実施形態のシリンダライナを備えたシリンダブロックついて、引っ張り試験によるライナ接合強度の評価手順の一例を示す図。 同実施形態のシリンダライナを備えたシリンダブロックについて、レーザフラッシュ法による熱伝導性の評価手順の一例を示す図。 本発明にかかるシリンダライナを具体化した第2実施形態について、図6のZC部の拡大構造に相当する断面構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図1のZA部の断面構造を示す断面図。 本発明にかかるシリンダライナを具体化した第3実施形態について、図6のZC部の拡大構造に相当する断面構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図1のZA部の断面構造を示す断面図。 本発明にかかるシリンダライナを具体化した第4実施形態について、図6のZD部の拡大構造に相当する断面構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図1のZB部の断面構造を示す断面図。 本発明にかかるシリンダライナを具体化した第5実施形態について、図6のZD部の拡大構造に相当する断面構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図1のZB部の断面構造を示す断面図。 本発明にかかるシリンダライナを具体化した第6〜第9実施形態について、図6のZD部の拡大構造に相当する断面構造を示す断面図。 同実施形態のシリンダライナについて、図1のZB部の断面構造を示す断面図。 本発明にかかるシリンダライナを具体化した第10実施形態について、同シリンダライナの斜視構造を示す斜視図。
符号の説明
1…エンジン、11…シリンダブロック、12…シリンダヘッド、13…シリンダ、14…シリンダ内壁、15…シリンダボア。
2…シリンダライナ、21…ライナ内周面、22…ライナ外周面、23…ライナ上端、24…ライナ下端、25…ライナ中間部、25A…第1中間部、25B…第2中間部、26…ライナ高温部、27…ライナ低温部、28…壁温境界。
3…突起、31…基端部、32…先端部、32A…頂面、32B…最大先端部、33…括れ部、33A…括れ面、34…括れ空間。
4…高熱伝導皮膜、41…溶射層、42…コーティング層、43…めっき層。
5…低熱伝導皮膜、51…溶射層、52…溶射層、52A…小溶射層、53…酸化物層、54…離型剤層、55…塗型剤層、56…低密着剤層、57…塗料層、58…耐熱樹脂層、59…化成処理層。
61…懸濁液、61A…耐火基材、61B…粘結剤、61C…水、62…界面活性剤、63…塗型材、64…塗型層、64A…気泡、64B…凹穴、64C…括れた形状の凹穴、65…金型、65A…金型内周面、66…溶湯、67…ブラスト処理装置。
71…突起測定用試験片、72…単気筒シリンダブロック、73…シリンダ、74…強度評価用試験片、74A…ライナ片、74B…アルミ片、75…熱伝導性評価用試験片、75A…ライナ片、75B…アルミ片。
81…3次元レーザ測定器、82…レーザ光、83…試験台、84…画像処理装置、85…等高線図、85A…第1等高線図、85B…第2等高線図、86…アーム、87…クランプ、88…レーザフラッシュ装置、89…レーザ発振器、80…レーザ光。
TC…基準溶湯温度、SR…径方向断面積、TW…シリンダ壁温、TWH…最大シリンダ壁温、TWL…最小シリンダ壁温、△TW…シリンダ壁温差、TP…皮膜厚さ、TL…ライナ肉厚、H…測定高さ、PA…第1基準平面、PB…第2基準平面、SA…第1面積率、SB…第2面積率、SD…標準断面積、NP…標準突起数、HP…標準突起長、HL…等高線、RA…第1領域、RB…第2領域。

Claims (40)

  1. シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、
    前記高熱伝導皮膜を当該シリンダライナの上端から第1中間部までの外周面に形成したこと、前記低熱伝導皮膜を当該シリンダライナの下端から前記第1中間部よりも下端側に位置する第2中間部までの外周面に形成したこと、並びに前記第1中間部から前記第2中間部までの外周面に前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜を形成していないこと
    特徴とするシリンダライナ。
  2. シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、
    前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと当該シリンダライナとの間に空隙を形成させる皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  3. シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、
    当該シリンダライナの下端から中間部へ向かうにつれて前記低熱伝導皮膜の厚さを小さくした
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  4. シリンダブロックに適用されるものであって、外周面に高熱伝導皮膜及び低熱伝導皮膜が形成される鋳ぐるみ用のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、軸方向の上部の外周面を含み且つ軸方向の下部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、前記低熱伝導皮膜は、軸方向の下部の外周面を含み且つ軸方向の上部の外周面を除く箇所に形成されるものであり、
    当該シリンダライナは、括れた形状の突起が外周面上に複数形成されるものであり、前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜は、この複数の突起の表面を含めたシリンダライナの外周面上に形成されるものである
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックとの密着性を高める皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、金属材料の溶射層により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、金属材料のショットコーティング層により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、金属材料のめっき層により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと冶金的に接合する皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記シリンダブロックの鋳造材料の溶湯について、当該シリンダライナを鋳ぐるむ際の該溶湯の温度を基準溶湯温度としたとき、
    前記高熱伝導皮膜は、該基準溶湯温度以下の融点を有する皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、当該シリンダライナよりも大きい熱伝導率を有する皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックよりも大きい熱伝導率を有する皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  13. 請求項1または3〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと当該シリンダライナとの間に空隙を形成させる皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  14. 求項1〜13のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックと当該シリンダライナとの密着性を低下させる皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、ダイカスト用の離型剤により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  16. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、金型遠心鋳造用の塗型剤により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  17. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、黒鉛を主成分とした低密着剤により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  18. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、窒化ボロンを主成分とした低密着剤により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  19. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、メタリック塗料により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  20. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、耐熱樹脂により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  21. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、化成処理層により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  22. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、セラミック材料の溶射層により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  23. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、鉄系材料の溶射層により構成される皮膜であり、該溶射層は酸化物及び気孔を多数含む溶射層である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  24. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、酸化物の層により構成される皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  25. 請求項1〜24のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、前記シリンダブロックよりも小さい熱伝導率を有する皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  26. 請求項1〜25のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記低熱伝導皮膜は、当該シリンダライナよりも小さい熱伝導率を有する皮膜である
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  27. 請求項1または2または4〜26のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    当該シリンダライナの下端から中間部へ向かうにつれて前記低熱伝導皮膜の厚さを小さくした
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  28. 請求項1〜27のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記シリンダブロックのシリンダボア間に対応するシリンダライナ外周面には、前記低熱伝導皮膜を形成していない
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  29. 請求項2〜28のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記高熱伝導皮膜を当該シリンダライナの上端から第1中間部までの外周面に形成したこと、前記低熱伝導皮膜を当該シリンダライナの下端から前記第1中間部よりも下端側に位置する第2中間部までの外周面に形成したこと、並びに前記第1中間部から前記第2中間部までの外周面に前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜を形成していない
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  30. 請求項1〜29のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて
    前記軸方向の上部の肉厚を前記軸方向の下部の肉厚よりも小さく設定した
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  31. 請求項1または2または3または5〜30のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    当該シリンダライナは、括れた形状の突起が外周面上に複数形成されるものであり、前記高熱伝導皮膜及び前記低熱伝導皮膜は、この複数の突起の表面を含めたシリンダライナの外周面上に形成されるものである
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  32. 請求項31に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「外周面上の1cm 当たりにおける突起の数が5個〜60個の範囲に含まれる」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  33. 請求項31または32に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「突起の高さが0.5mm〜1.5mmの範囲に含まれる」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  34. 請求項31〜33のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれた領域の面積率が10%以上である」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  35. 請求項31〜34のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.2mmの等高線により囲まれた領域の面積率が55%以下である」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  36. 請求項31〜33のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれた領域の面積率が10%〜50%の範囲に含まれる」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  37. 請求項31〜34のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.2mmの等高線により囲まれた領域の面積率が20%〜55%の範囲に含まれる」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  38. 請求項31〜37のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれる各領域の面積が0.2mm 〜3.0mm の範囲に含まれる」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  39. 請求項31〜38のいずれか一項に記載のシリンダライナにおいて、
    前記括れた形状の突起について次の括弧内の条件が満たされる
    「3次元レーザ測定器により得られる突起の等高線図において、高さ0.4mmの等高線により囲まれる各領域が独立している」
    ことを特徴とするシリンダライナ。
  40. 請求項1〜39のいずれか一項に記載のシリンダライナを備えたエンジン。
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