JP4473082B2 - 軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に装備される作業装置のピン結合部等に用いて好適な軸受装置に関する。
一般に、油圧ショベル等の建設機械は前部側に作業装置を備え、該作業装置を構成するブーム、アームおよびバケット等は、互いに回動可能となるように軸受装置を用いて連結している。
また、軸受装置は、前記ブーム、アームおよびバケット等のうち一方の部材に設けられ、内周側がブッシュ嵌合穴となった筒状のボス部材と、該ボス部材のブッシュ嵌合穴に嵌着して設けられたブッシュと、該ブッシュの内周側に挿通され、前記ボス部材を相手方部材に回動可能に連結する連結ピンと、前記ブッシュの軸方向両端側に位置して前記ボス部材と連結ピンとの間に設けられたシール部材とにより大略構成されている。
また、シール部材には、軸受装置内に充填されたグリース等の潤滑剤をボス部材内に密封し保持するオイルシールと、軸受装置内に外部からダスト、水等の異物が侵入するのを抑えるダストシールとがある。
そこで、ダストシールを例に挙げて説明すると、このダストシールは、ボス部材の内周に挿嵌される円筒部と、該円筒部から径方向内向きに延びた内向き環状部と、該内向き環状部から縮径するように斜めに延び、連結ピンの外周面に摺接するリップ部とからなる円筒体として形成されている。
また、ダストシールは、円筒部をボス部材の内周側に挿嵌することにより該ボス部材に固定的に取付けることができ、この挿嵌状態ではリップ部を連結ピンの外周面に弾性的に摺接させている。これにより、軸受装置は、その内部にダスト、水等の異物が侵入するのを防止すると共に、軸受装置に給脂されるグリース等の潤滑剤をボス部材内に均一に充填するための弁の役目を果たすものである。
ここで、ダストシールは、そのリップ部を連結ピンの外周面に弾性的に摺接させているから、リップ部と連結ピンとの摩擦抵抗によってダストシールが連結ピンと一緒に回転してしまう場合がある。このようにボス部材内でダストシールが回転すると、該ダストシールが軸方向に移動してボス部材から抜け出てしまったり、ダストが容易に軸受内に侵入してしまう虞がある。このため、軸受装置は、ボス部材またはブッシュにダストシールを軸方向に固定する抜止め部を設けることにより、この抜止め部によってボス部材からダストシールが抜け出るのを防止する構成としている(特許文献1参照)。
特開2003−240000号公報
ところで、上述した特許文献1の発明による軸受装置は、ダストシールを抜け止めするためにボス部材またはブッシュに抜止め部を設けている。具体的には、特許文献1の発明では、ボス部材またはブッシュにダストシールを軸方向に固定するための溝部や係合部を形成している。従って、特許文献1の発明は、ボス部材を製造するための通常の加工作業に加え、溝部や係合部を加工するための切削加工等が必要になるから、加工作業に多大な手間を要してしまうという問題がある。
また、ダストシールを溝部や係合部に確実に係合させるためには、溝部や係合部を大きく形成する必要がある。しかし、溝部や係合部を大きくすると、加工作業に手間を要してしまうばかりか、ダストシールを挿嵌するときの障害となり、取付作業が困難になるという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ボス部材やブッシュに加工を施すことなくシール部材を抜け止めすることができ、またシール部材をボス部材に容易に挿嵌できるようにした軸受装置を提供することにある。
請求項1の発明による軸受装置は、内周側にブッシュ嵌合穴が形成された筒状のボス部材と、該ボス部材のブッシュ嵌合穴に嵌着して設けられたブッシュと、該ブッシュの内周側に挿通され前記ボス部材を相手方部材に回動可能に連結する連結ピンと、前記ブッシュの軸方向両端側に位置して前記ボス部材の内周側と連結ピンとの間に設けられたシール部材とを備え、前記シール部材は、前記ボス部材の内周に挿嵌される円筒部から径方向内向きに延びた内向き環状部に前記連結ピンに摺接するリップ部を有し、樹脂材料を用いて一体形成された円筒体により構成している。
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記シール部材の円筒部の外周面には、前記円筒部の周方向に間隔をもって配置され前記ボス部材に対して軸方向に抜け止めする複数の抜止め部を設け、該各抜止め部は、前記シール部材の円筒部の外周面から径方向外向きに突設され前記円筒部と同等な軸方向寸法を有する突起部により構成し、該突起部は、その軸方向端面を前記円筒部の軸方向端面と同一の平面上に配置する構成としたことにある。
請求項の発明によると、前記シール部材と前記抜止め部とは、樹脂材料を用いて一体に成形する構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、シール部材を構成する円筒部の外周面には、円筒部の周方向に間隔をもって配置されボス部材に対して軸方向に抜け止めする複数の抜止め部を設け、該各抜止め部は、前記シール部材の円筒部の外周面から径方向外向きに突設され前記円筒部と同等な軸方向寸法を有する突起部により構成し、該突起部は、その軸方向端面を前記円筒部の軸方向端面と同一の平面上に配置する構成としているので、例えばボス部材、ブッシュには切削加工等を施すことなく、シール部材の円筒部に設けた複数の抜止め部により当該シール部材を抜け止めすることができる。この結果、シール部材に抜止め部を容易に設けることができ、生産性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。
特に、シール部材を構成する円筒部の外周面に径方向外向きに突設した突起部は、シール部材をボス部材の内周面に挿嵌するときに弾性的に変形することができるから、通常の圧入作業でシール部材をボス部材内に容易に挿嵌することができる。そして、シール部材をボス部材内に挿嵌した状態では、突起部がボス部材の内周側に弾性力をもって圧接するから、該突起部はシール部材をボス部材内に固定することができる。また、突起部は、シール部材の円筒部から径方向外向きに突出させるだけでよいから、該シール部材を簡単に設けることができる。
しかも、この場合の各突起部は、シール部材の周方向に間隔をもって複数箇所に設けているから、複数箇所で抜止め力を発揮することができ、各突起部によってシール部材をボス部材内に一層強固に固定することができる。
請求項の発明によれば、シール部材と抜止め部とは、樹脂材料を用いて一体に成形することができるから、シール部材を製造するときの加工工数を増やすことなく抜止め部をより一層容易に設けることができる。また、シール部材に対する抜止め部の取付強度を高めることができ、耐久性、信頼性等を向上することができる。
以下、本発明に係る軸受装置の実施の形態を、油圧ショベルに設けられた作業装置のアームとバケットとの連結部に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
そして、作業装置4は、上部旋回体3の前部側にピン結合され、ブームシリンダ5によって作動するブーム6と、該ブーム6の先端側にピン結合され、アームシリンダ7によって作動するアーム8と、該アーム8の先端側にピン結合され、バケットシリンダ9によって作動するバケット10とにより大略構成されている。
ここで、作業装置4のうち、例えばアーム8とバケット10との間のピン結合部には、アーム8の先端側にバケット10を回動可能に支持する後述の軸受装置11が装備されている。
11は例えばアーム8とバケット10との間に設けられた軸受装置で、該軸受装置11は、アーム8の先端側にバケット10を回動可能に支持するもので、後述のアームボス12、ブッシュ14、ブラケット15,16、連結ピン17、ダストシール19等により構成されている。
12はアーム8の先端部に設けられたボス部材となるアームボスで、該アームボス12は、例えば鋼管等により円筒状に形成されている。ここで、アームボス12の内周側には、軸方向の中間部に位置し後述のブッシュ14が嵌合されるブッシュ嵌合穴12Aと、軸方向の両端側に位置し後述のダストシール19が嵌合されるシール嵌合穴12B,12Bとが設けられ、シール嵌合穴12Bの穴径は、図3、図4に示す如く、ブッシュ嵌合穴12Aの穴径よりも僅かな寸法ΔRだけ大きく形成されている。
また、アームボス12には、該アームボス12内にグリース等の潤滑油を給脂するための左,右の潤滑油通路12C,12Cが径方向に穿設され、これらの潤滑油通路12Cはアームボス12の外周側で給脂ニップル13によって閉塞されている。
14はアームボス12のブッシュ嵌合穴12A内に圧入等の手段によって嵌着された円筒状のブッシュで、該ブッシュ14の内周側は後述の連結ピン17が挿通されるピン挿通穴14Aとなっている。また、ブッシュ14の両端側には、アームボス12の潤滑油通路12Cと対応する外周部位に全周に亘って凹設された全周溝14Bと、この全周溝14Bからピン挿通穴14Aに向けて径方向に貫通する潤滑油通路14Cとが形成されている。さらに、ブッシュ14の軸方向の端面14Dには後述するダストシール19の内向き環状部19Bが対面して配置されている。
これにより、給脂ニップル13から給脂された潤滑油は、アームボス12の潤滑油通路12C、ブッシュ14の全周溝14B、潤滑油通路14Cを通じて、ブッシュ14のピン挿通穴14Aに供給される構成となっている。
15,16はバケット10に一体に設けられた相手方部材としての左,右のブラケットで、該各ブラケット15,16は、アームボス12を左,右両側から挟むように配設されている。そして、左,右のブラケット15,16には、アームボス12のブッシュ嵌合穴12Aと同心上にピン挿通穴15A,16Aが穿設され、各ブラケット15,16は、ピン挿通穴15A,16Aに挿通された連結ピン17を介して、アームボス12に対して相対回動可能に連結されている。
17はアームボス12と左,右のブラケット15,16との間を連結する連結ピンで、該連結ピン17は、軸方向の一端側に大径なフランジ部17Aが設けられ、他端側には径方向に貫通するボルト挿通穴17Bが穿設されている。そして、連結ピン17は、軸方向の一端側がブラケット15のピン挿通穴15Aに挿通され、軸方向の中間部がブッシュ14のピン挿通穴14Aに摺動可能に挿通され、軸方向の他端側がブラケット16のピン挿通穴16Aに挿通される。そして、連結ピン17は、フランジ部17Aをブラケット15に当接させた状態で、ブラケット16の外側面に固着された固定環16Bとボルト挿通穴17Bとにボルト18を挿通することにより、ブラケット15,16に対して抜止め状態および回り止め状態に保持される構成となっている。
19,19はブッシュ14の軸方向両端側に位置してアームボス12と連結ピン17との間に設けられたシール部材としてのダストシールで、該ダストシール19は、アームボス12内にダスト、水等の異物が侵入するのを防止するものである。
ここで、ダストシール19は、図3ないし図6に示すように、アームボス12のシール嵌合穴12Bに挿嵌される円筒部19Aと、該円筒部19Aから連結ピン17に向けて径方向内向きに延び、ブッシュ14の端面14Dに対面する円環状の内向き環状部19Bと、この内向き環状部19Bからブラケット15に向けて縮径するように斜めに延び、先端部が連結ピン17の外周面に適度な弾性力をもって摺接するリップ部19Cとにより円筒体として構成されている。
そして、これら円筒部19A、内向き環状部19Bおよびリップ部19Cからなるダストシール19は、強度の高い樹脂材料を用いて一体に成形されている。また、ダストシール19は、図4、図5に示すように、円筒部19Aの厚さ寸法Aと内向き環状部19Bの厚さ寸法Bとは、例えば1.8〜2.2mm程度、好ましくは2mm程度に設定され、リップ部19Cの厚さ寸法Cは、例えば1.3〜1.7mm程度、好ましくは1.5mm程度に設定されている。
ここで、ダストシール19に用いられる樹脂材料としては、例えば高硬度エステル系ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素系ブチレンゴム、6−6ナイロン、キャストナイロン等が挙げられる。
20はダストシール19の円筒部19Aに設けられた抜止め部としての複数個の抜止め突起を示している。また、各抜止め突起20は、ダストシール19を構成する円筒部19Aの外周面19A1から径方向外向きに突出する突起部として形成され、アームボス12のシール嵌合穴12Bに対してダストシール19を軸方向に抜け止め状態に保持するものである。そして、各抜止め突起20は、図5、図6に示すように、例えば周方向の3箇所にほぼ等しい間隔をもって配設されている。また、抜止め突起20は、円筒部19Aの外周面19A1を所定の幅寸法をもって軸方向に延びる四角形状の突起として形成され、図6に示す如く、円筒部19Aと同等な軸方向寸法を有している。そして、抜止め突起20は、その軸方向端面が円筒部19Aの軸方向端面と同一の平面上に配置されている。
一方、抜止め突起20は、図4、図5に示す自由状態において、ダストシール19を構成する円筒部19Aの外周面19A1からの突出寸法Dが例えば0.1〜0.7mm程度、好ましくは0.2〜0.5mm程度に設定されている。また、抜止め突起20の幅寸法Eは、例えば3〜7mm程度、好ましくは5mm程度に設定されている。
これにより、抜止め突起20は、アームボス12のシール嵌合穴12Bに挿嵌されたときに、押し潰されてアームボス12のシール嵌合穴12Bと強く摩擦接触することができる。しかも、抜止め突起20は、シール嵌合穴12Bの内周面との隙間を殆どなくすことができ、グリース等の潤滑剤が漏れ出るのを防止することができる。
さらに、各抜止め突起20とダストシール19とは、樹脂材料を用いて一体に成形しているから、各抜止め突起20は、ダストシール19に容易に設けることができる。しかも、抜止め突起20は、ダストシール19に対して強固に設けることができる。
そして、各抜止め突起20は、ダストシール19の円筒部19Aをアームボス12のシール嵌合穴12Bに挿嵌したときに、潰れるように弾性変形することにより、シール嵌合穴12Bの内周面に圧接した状態となる。これにより、各抜止め突起20は、シール嵌合穴12Bの内周面を突っ張るように作用し、この内周面に対して大きな摩擦抵抗力を発生することができるから、シール嵌合穴12B内にダストシール19を抜け止め状態に保持することができる。
このように構成されたダストシール19は、アームボス12のシール嵌合穴12Bに嵌合され、ダストシール19の円筒部19Aに設けた3個の抜止め突起20がシール嵌合穴12Bの内周面に圧接することにより、アームボス12に対して軸方向に抜止めされる。この状態で、リップ部19Cは、連結ピン17の外周面に適度な弾性力をもって摺接し、ダスト、水等の異物がブッシュ14と連結ピン17との摺接面に侵入するのを抑える構成となっている。
第1の実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1を操作して作業を行なうときの動作について説明する。
まず、オペレータは、上部旋回体3のキャブ内に搭乗し、該キャブ内に設けられた走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2のクローラを駆動して油圧ショベル1を前進または後退させることができる。また、作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行なうことができる。
また、作業装置4のバケット10を動作させるときには、バケットシリンダ9を伸縮することにより、アーム8の先端側で軸受装置11の連結ピン17を中心にしてバケット10を回動させることができる。このときに、アームボス12と連結ピン17との間に設けられたダストシール19は、ブッシュ14のピン挿通穴14Aと連結ピン17との摺接面にダスト(土砂)、水等の異物が侵入するのを阻止することができる。
かくして、第1の実施の形態によれば、ダストシール19を構成する円筒部19Aの外周面19A1には、アームボス12のシール嵌合穴12Bに対し、該ダストシール19を軸方向に抜け止めする抜止め突起20を設ける構成としている。従って、従来技術として述べた特許文献1のように、ボス部材(アームボス)、ブッシュに切削加工等を施す必要がなく、しかも、抜止め突起20はダストシール19の一部として一体形成することができる。この結果、ダストシール19に抜止め突起20を容易に設けることができ、生産性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。
また、抜止め突起20は、ダストシール19の円筒部19Aの外周面19A1に径方向外向きに突出して設けているから、ダストシール19をアームボス12のシール嵌合穴12Bに挿嵌するときに弾性的に変形させることができ、通常の圧入作業でダストシール19をアームボス12のシール嵌合穴12Bに容易に挿嵌することができる。そして、ダストシール19をアームボス12のシール嵌合穴12Bに挿嵌した状態では、抜止め突起20をシール嵌合穴12Bの内周面に弾性力をもって圧接させることができるから、ダストシール19をシール嵌合穴12B内に固定することができる。
さらに、抜止め突起20は、ダストシール19の円筒部19Aに周方向に間隔をもって3個設けているから、3個の抜止め突起20がそれぞれ抜止め力を発揮することができ、ダストシール19をアームボス12のシール嵌合穴12B内にバランスよく強固に固定することができ、抜止め効果をより一層高めることができる。これにより、例えばアームボス12内への給脂によってアームボス12内の圧力が上昇したり、ブッシュ14と連結ピン17との間の摩擦熱によってシール嵌合穴12Bの穴径が増大したとしても、ダストシール19を確実に軸方向に抜止めすることができる。
次に、図7および図8は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ボス部材のブッシュ嵌合穴とシール嵌合穴を同じ穴径に形成したことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図7において、31はアーム8の先端部に設けられた第2の実施の形態によるボス部材となるアームボスで、該アームボス31は、第1の実施の形態によるアームボス12とほぼ同様に、例えば鋼管等により円筒状に形成され、その内周側には、ブッシュ嵌合穴31Aとシール嵌合穴31Bとが設けられている。しかし、第2の実施の形態によるアームボス31は、図7、図8に示すように、シール嵌合穴31Bの穴径をブッシュ嵌合穴31Aの穴径と同一寸法に形成している点で、第1の実施の形態によるアームボス12と相違している。
また、32は第2の実施の形態によるシール部材としてのダストシールで、該ダストシール32は、第1の実施の形態によるダストシール19とほぼ同様に、円筒部32A、内向き環状部32B、リップ部32Cにより構成され、円筒部32Aには抜止め突起33が設けられている。しかし、第2の実施の形態によるダストシール32は、シール嵌合穴31Bに対応させて、第1の実施の形態によるダストシール19よりも全体が小径に形成されている。
このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、アームボス31のブッシュ嵌合穴31Aとシール嵌合穴31Bの穴径を同一寸法としているから、アームボス31の穴加工を容易に行なうことができ、生産性を向上することができる。
なお、第1の実施の形態では、抜止め部としての抜止め突起20は、所定の幅寸法をもって軸方向に延びる四角形状に形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図9に示す第1の変形例のように、ダストシール19を構成する円筒部19Aの外周面19A1に十字状の抜止め突起41を設ける構成としてもよい
この場合、十字状の抜止め突起41は、図9に示す如く、円筒部19Aと同等な軸方向寸法を有し、その軸方向端面が円筒部19Aの軸方向端面と同一の平面上に配置されている。これらの構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
一方、第1の実施の形態では、抜止め突起20はダストシール19の円筒部19Aに3個設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば抜止め突起20はダストシール19の円筒部19Aに2個または4個以上設ける構成としてもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
また、第1の実施の形態では、ダストシール19と抜止め突起20とは、樹脂材料を用いて一体に成形するものとして説明した。しかし、本発明はこれに限らず、別個に設けられたシート状の部材を、ダストシール19の円筒部19Aに接着、溶着等の固着手段を用いて固着することにより抜止め突起を形成する構成としてもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
また、第1の実施の形態では、アームボス12と連結ピン17との間に設けられるシール部材として、アームボス12内にダスト、水等の異物が侵入するのを防止するダストシール19を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図10に示す第の変形例のように、シール部材としてアームボス12内にグリース等の潤滑剤を密封して保持するオイルシール51に適用してもよい。この場合には、オイルシール51を、円筒部51A、内向き環状部51B、リップ部51Cから構成し、円筒部51Aに抜止め部となる抜止め突起52を設ける構成とすればよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
また、第1の実施の形態では、ダストシール19は、円筒部19Aの厚さ寸法Aと内向き環状部19Bの厚さ寸法Bとを2mm程度に設定し、リップ部19Cの厚さ寸法Cを1.5mm程度に設定し、さらに、抜止め突起20の突出寸法Dを0.2〜0.5mm程度に設定し、抜止め突起20の幅寸法Eを5mm程度に設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、ダストシール19の円筒部19A、内向き環状部19B、リップ部19Cの厚さ寸法、抜止め突起20の突出寸法、幅寸法は、アームボス12、連結ピン17等の外形寸法、設置スペース等の設計に関する条件で、適宜に設定されるもので、上述した数値に限定されるものではない。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができる。
また、各実施の形態では、軸受装置11をアーム8とバケット10との間のピン結合部に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば作業装置4を構成するブーム6の先端とアーム8との間のピン結合部、ブーム6のフート部と上部旋回体3との間のピン結合部、各シリンダ5,7,9のピン結合部等に軸受装置を適用してもよい。
さらに、各実施の形態では、軸受装置11を油圧ショベル1に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、油圧クレーン、リフトトラック等の他の建設機械にも広く適用できるものである。
本発明の第1の実施の形態による軸受装置が適用された油圧ショベルを示す正面図である。 軸受装置を図1中の矢示II−II方向からみた拡大断面図である。 図2中のアームボス、ブッシュ、連結ピン、ダストシール、抜止め突起等を拡大して示す要部拡大断面図である。 アームボスからダストシールを取外した状態を示す図3と同様の要部拡大断面図である。 抜止め突起が設けられたダストシールを単体で示す正面図である。 抜止め突起が設けられたダストシールを単体で示す外観斜視図である。 本発明の第2の実施の形態によるアームボス、ダストシールをブッシュ、連結ピン等と一緒に示す要部拡大断面図である。 アームボスからダストシールを取外した状態を示す図7と同様の要部拡大断面図である。 本発明の第1の変形例による抜止め突起を備えたダストシールを単体で示す外観斜視図である。 本発明の第2の変形例としてシール部材をオイルシールとして用いた場合を示す図3と同様の要部拡大断面図である。
符号の説明
11 軸受装置
12,31 アームボス(ボス部材)
12A,31A ブッシュ嵌合穴
12B,31B シール嵌合穴
14 ブッシュ
15,16 ブラケット(相手方部材)
17 連結ピン
19,32 ダストシール(シール部材)
19A,32A,51A 円筒部
19A1 外周面
19B,32B,51B 内向き環状部
19C,32C,51C リップ部
20,33,4抜止め突起(抜止め部)
51 オイルシール(シール部材)

Claims (2)

  1. 内周側にブッシュ嵌合穴が形成された筒状のボス部材と、該ボス部材のブッシュ嵌合穴に嵌着して設けられたブッシュと、該ブッシュの内周側に挿通され前記ボス部材を相手方部材に回動可能に連結する連結ピンと、前記ブッシュの軸方向両端側に位置して前記ボス部材の内周側と連結ピンとの間に設けられたシール部材とを備え
    記シール部材は、前記ボス部材の内周に挿嵌される円筒部から径方向内向きに延びた内向き環状部に前記連結ピンに摺接するリップ部を有し、樹脂材料を用いて一体形成された円筒体により構成してなる軸受装置において
    前記シール部材の円筒部の外周面には、前記円筒部の周方向に間隔をもって配置され前記ボス部材に対して前記シール部材を軸方向に抜け止めする複数の抜止め部を設け、
    該各抜止め部は、前記シール部材の円筒部の外周面から径方向外向きに突設され前記円筒部と同等な軸方向寸法を有する突起部により構成し
    該突起部は、その軸方向端面を前記円筒部の軸方向端面と同一の平面上に配置する構成としたことを特徴とする軸受装置。
  2. 前記シール部材と前記抜止め部とは、樹脂材料を用いて一体に成形する構成としてなる請求項1に記載の軸受装置。
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