JP4471536B2 - コンバイン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自脱型コンバインに用いる脱穀機の入口板の形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自脱型コンバイン等に用いる脱穀機の入口板Bは、図5(a)の斜視図に示す如く、前部の中央寄りから斜め右側後方(フィードチェン8側)に向かう直線状の頂きPが設けられていたため、その前方に設けられていて脱穀機入口との繋ぎをなす扱深さ調節装置の後部に設けられたゴム板20と、上記入口板Bとの間に図5(b)に示す如く隙間δが形成されていた。
また、上記入口板Bの最も手前側部分には、穀粒洩れ対策として若干の上向きリブが形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、コンバインで刈取脱穀作業を行う際、非脱穀穀稈から脱粒した穀粒や上記脱穀機の扱室内から入口板B上に飛散してきた穀粒等が、作業に伴う機体の振動等で入口板B上で大きく散乱し、上記隙間δから機外に散逸してロスになるとの不具合が発生していた。
また、上記入口板Bの最も手前側部分に設けられた上向きリブは、上記ゴム板20の円滑な動きを妨げるとの不具合があった。
本発明の目的は、上記従来の不具合を改善する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明においては、走行機体1の前部に前処理部2を備え、前処理部2の刈刃6で刈取られた穀稈を前処理部2の扱深さ調節搬送体7で後方上方にある脱穀装置Dに向け搬送し、脱穀装置Dのフィードチェン8で穀稈の株元部を引き継ぎ、上記扱深さ調節搬送体7に取り付けたゴム板20の終端側を脱穀装置Dの穀稈供給口の外側に設けた入口板21上で摺動させ、フィードチェン8で挟持搬送されている間に穀稈の穂先部や葉茎部を上記ゴム板20上を通過させ脱穀装置D内に供給し、穀稈を脱穀装置D内で脱穀処理するコンバインにおいて、上記入口板21の正面視形状を、中央の第1平面部Fより右側のフィードチェン8側に向かう暫時の第1立上がり面23aからこれに続く略水平の第2平面部Faを経て、該第2平面部Faの終端より上記フィードチェン8の搬送面に向かう第2立上がり面23bを形成し、平面視で上記第1立上がり面23aの左右幅を手前側即ち扱深さ調節搬送体7側より奥側即ち脱穀装置Dの扱室側を広く形成する一方、これに続く上記第2平面部Faの左右幅を奥側より手前側を広く形成し、これら各面を連続状に構成したことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下図面の例に基づいて説明する。
図1は、機体の一部を切欠したコンバインの全体側面図であって、該コンバインは通常のものと同様、1はコンバインの走行機体で、該走行機体1の前部には前処理部2が備えられ、該前処理部2には、前方で刈取穀稈を各条毎に分草するディバイダ3が備えられ、その後方の梳上げ装置4,掻込み装置5によりその葉茎部を案内されながら株元部を挟持された状態で、下部の刈刃6で刈取られ、その後部にある上下一対の搬送体等からなる扱深さ調節搬送体7に引き継がれて、更に、後方上方にある脱穀装置Dに向けて搬送される間に扱深さを調節されながら斜めに揚上され、脱穀装置Dのフィードチェン8に株元側が挟持されて引き継がれる。
【0006】
そして、穀稈の株元側をフィードチェン8で挟持搬送されている間に、穂側が脱穀装置D内で脱穀処理された後、排稈は後部の藁処理部9にてカッタによる切断処理等を受けて、機体1後方に放出される。
一方、上記脱穀装置D内で脱穀処理された穀粒等は、下方の選別部10にて選別処理され、穀粒は穀粒タンク(図示せず)に収納されると共に、塵埃等は後方の排塵ファン11より機外に排出される。
また、上記穀粒タンク内に収納された穀粒は、穀粒排出オーガー12で機外の運搬車等に排出されるようになっている。
ここで、14は走行機体1の下部に設けた走行部であり、15は機台で、各種装置はこの機台15上に搭載されているものであり、前処理部2はその前部に設けたシリンダ16によって、その上部の支点Sを中心として、鎖線位置の如く上下に回動するものである。
なお、17は運転操縦室をなすキャビンである。
【0007】
次に、18は、扱深さ調節搬送体7上の穀稈の有無を検出するメインセンサで、これの感知により、穂側に設けた扱深さセンサ19が搬送穀稈の長短を感知し、扱深さ調節搬送体7からの継送時にフィードチェン8への穀稈株元側の挟持位置を変更することによって、脱穀装置Dへの扱深さ調節が行われる。20は上記扱深さ調節搬送体7の末端に取りつけられたゴム板で、扱深さ調節搬送体7による搬送穀稈の長短感知に基づく上下揺動によって脱穀装置Dの穀稈供給口の外側に設けた入口板21上を摺動しながら、穀稈の脱穀装置Dへの引継ぎを成すものである。
【0008】
図2は上記入口板21の全体斜視図、図3は上記図2のA−A線断面図であって、入口板21は、全体が単一の樹脂等で構成された湾曲した形状で、左側端には立上がり部22が形成され、その正面視形状は、中央の第1平面部Fから左側への立上がり面23を経て上記立上り部22に至り、右側は暫時の第1立上がり面23aからこれに続く略水平の第2平面部Faを経て、該第2平面部Faの終端より上記フィードチェン8の搬送面に向かう第2立上がり面23bを形成し、右側端部は脱穀装置D機体への取付部を構成する平面部Fbに形成し、これらを連続状に構成したものである。
また、図2から明らかなように、平面視において、第1立上がり面23aの左右幅を、手前側(扱深さ調節搬送体7側)より奥側(脱穀装置Dの扱室側)を広く形成する一方、これに続く上記第2平面部Faの左右幅を、奥側より手前側を広く形成している。
【0009】
そして、この入口板21の形状は図3の断面位置のみならず、要は従来の入口板21上にあった頂きP〔図5(a)参照〕を無くし、入口板21の折り曲げ位置を増やしてゴム板20が上記入口板21上によりフィットして、両者間の隙間δ〔図5(b)参照〕を無くすことにあるので、これら立上がり面や平面部の面積比率等は断面位置により若干の増減差異があっても効果上は殆ど差異がないものである。
【0010】
ここで、図2において、24は上記入口板21の奥側(脱穀装置Dの扱室側)と手前側(扱深さ調節搬送体7側)との間にh分の高さで横幅全体に亘って設けた段差部で、該段差部24の存在により、扱室内の飛散粒が、機外に洩れようとするのを防止する効果がある。しかも、上記段差部24はリブの役目をも果たすので、入口板21の全体強度が増すとの効果もある。
なお、入口板21の周囲に複数ある25は入口板21の脱穀装置D機体への取付孔である。
【0011】
また、上記の例では入口板21を、段差部24をも含め単一の樹脂等で形成しているが、これを手前側(扱深さ調節搬送体7側)部分のみを一定の厚みのある別部材で構成し、入口板21上にボルト等の緊定具でこれを固定して、段差部24を構成しても良いものであることは勿論である。
更に、従来、入口板21の最も手前側部分に若干の上向きリブがあって、その前方から入口板21の上部に掛け渡されたゴム板20の円滑な動きを妨げていたが、この部分の横幅全体に亘って逆に下向きのリブを設けると、入口板21の強度が増すことに加え、ゴム板20の動きをも円滑に出来るものである。
【0012】
次に、図4について説明する。(a)は、本願の図1を拡大した脱穀装置D入口部分の要部の側面図であり、(b)は入口板の他例の側面図である。
先ず上記図4(a)において、脱穀装置Dの前側板27に緊定具28にてゴム垂れ29を取付け、その先端側を上記入口板21の段差部24と重ね合わせると、非脱穀穀稈が搬送されない時には、入口が完全に塞がれるので、入口板21側からの機外への穀粒の飛散が防止されるもので、従来の如く、段差部24がないものに比し、上記ゴム垂れ29が永年の使用により若干の変形を起こしても、この部分からの穀粒洩れを完全に防止出来るものである。
また、上記図4(b)において、従来、入口板21の下段部(奥側)は平坦面であったので、コンバインの走行振動や脱穀振動等で、穀粒が機外に洩れ易かったが、当実施例の如く、下段部(奥側)を波形状30にすると、走行振動や脱穀振動で穀粒が扱室内に戻り、機外に飛散するのが防止出来るものである。
【0013】
本発明の脱穀機の入口板形状は、以上のような構成よりなっており、コンバインでの刈取脱穀作業時に、扱深さ調節搬送体7で挟持されながら搬送されてきた穀稈が、その株元部分を脱穀装置Dのフィードチェン8に扱深さ調節された状態で継送される。そして、フィードチェン8により挟持搬送される間に、穀稈の穂部や葉茎部はゴム板20上を通過して、脱穀装置Dの扱室内に入り、扱胴にて脱穀処理される。
この時、搬送中の非脱穀穀稈から脱粒した穀粒や上記脱穀機の扱室内から入口板21上に飛散してきた穀粒等は、穀稈が連続して脱穀装置D内部に送り込まれることにより入口部において、恰も穀稈の側部は飛散粒の防御壁となり、また、穀稈の下部は箒の役目を果たすことで、飛散粒が扱室内部に戻されるが、ゴム板20の下面側においては、上記入口板21とゴム板20との隙間が無くなったことにより、この部分から機外に散逸する穀粒が殆どなくなり、穀粒ロスを未然に防ぐことができるものである。
【0014】
しかも、本案では段差部24の存在により、扱室から外部に出ようとする飛散穀粒がこの部分で防止される効果もある。
また、従来入口板21の最も手前側部分に若干の上向きリブを設けていたが、本案においては、上記隙間が無くなったことにより、上向きリブを下向きリブに変更して、上記ゴム板20の動きを円滑に出来たものである。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、前記の如く、走行機体1の前部に前処理部2を備え、前処理部2の刈刃6で刈取られた穀稈を前処理部2の扱深さ調節搬送体7で後方上方にある脱穀装置Dに向け搬送し、脱穀装置Dのフィードチェン8で穀稈の株元部を引き継ぎ、上記扱深さ調節搬送体7に取り付けたゴム板20の終端側を脱穀装置Dの穀稈供給口の外側に設けた入口板21上で摺動させ、フィードチェン8で挟持搬送されている間に穀稈の穂先部や葉茎部を上記ゴム板20上を通過させ脱穀装置D内に供給し、穀稈を脱穀装置D内で脱穀処理するコンバインにおいて、上記入口板21の正面視形状を、中央の第1平面部Fより右側のフィードチェン8側に向かう暫時の第1立上がり面23aからこれに続く略水平の第2平面部Faを経て、該第2平面部Faの終端より上記フィードチェン8の搬送面に向かう第2立上がり面23bを形成し、平面視で上記第1立上がり面23aの左右幅を手前側即ち扱深さ調節搬送体7側より奥側即ち脱穀装置Dの扱室側を広く形成する一方、これに続く上記第2平面部Faの左右幅を奥側より手前側を広く形成し、これら各面を連続状に構成したので、上記入口板21と穀稈を引き継ぐゴム板20との隙間が無くなったことにより、この部分から機外に散逸する穀粒が殆どなくなり、穀粒のロスを未然に防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の機体の一部を切欠したコンバインの全体側面図である。
【図2】同上入口板全体の斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】(a)脱穀装置入口部分の要部の側面図である。
(b)入口板の他例の側面図である。
【図5】従来例を示すもので、
(a)は入口板の全体斜視図である。
(b)は上部のゴム板と下部の入口板との関係を示す部分正面図である。
【符号の説明】
1 走行機体
7 扱深さ調節搬送体
8 フィードチェン
18 メインセンサ
19 扱深さセンサ
20 ゴム板
21 入口板
22 立上がり部
23 立上がり面
23a 第1立上がり面
23b 第2立上がり面
24 段差部
D 脱穀装置
F 第1平面部
Fa 第2平面部
Fb 平面部
S 支点
h (段差部の)高さ
Claims (1)
- 走行機体(1)の前部に前処理部(2)を備え、前処理部(2)の刈刃(6)で刈取られた穀稈を前処理部(2)の扱深さ調節搬送体(7)で後方上方にある脱穀装置(D)に向け搬送し、脱穀装置(D)のフィードチェン(8)で穀稈の株元部を引き継ぎ、上記扱深さ調節搬送体(7)に取り付けたゴム板(20)の終端側を脱穀装置(D)の穀稈供給口の外側に設けた入口板(21)上で摺動させ、フィードチェン(8)で挟持搬送されている間に穀稈の穂先部や葉茎部を上記ゴム板(20)上を通過させ脱穀装置(D)内に供給し、穀稈を脱穀装置(D)内で脱穀処理するコンバインにおいて、上記入口板(21)の正面視形状を、中央の第1平面部(F)より右側のフィードチェン(8)側に向かう暫時の第1立上がり面(23a)からこれに続く略水平の第2平面部(Fa)を経て、該第2平面部(Fa)の終端より上記フィードチェン(8)の搬送面に向かう第2立上がり面(23b)を形成し、平面視で上記第1立上がり面(23a)の左右幅を手前側即ち扱深さ調節搬送体(7)側より奥側即ち脱穀装置(D)の扱室側を広く形成する一方、これに続く上記第2平面部(Fa)の左右幅を奥側より手前側を広く形成し、これら各面を連続状に構成したことを特徴とするコンバイン。
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