JP4471338B2 - 紙裁断機 - Google Patents

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Description

本発明は、基盤上の定位置に載置された裁断紙を裁断する紙裁断機に係わり、特に、裁断紙を基盤上に確実に安定して圧接保持できる紙裁断機に関する。
従来から用いられている紙裁断機では、基盤に支持され上下方向に移動可能な紙押え部材を設け、基盤上に位置決め載置した裁断紙を紙押え部材により圧接保持し、前記紙押え部材に沿ってスライダを移動させることで同スライダに装着した回転刃でもって裁断紙を裁断していた。
従来から用いられているこの種の紙裁断機における紙押え装置として、例えば本出願人により先に提案された紙裁断機(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。特許文献1の紙裁断機における紙押え装置は、基盤の長さ方向に両側端部に互いに平行な傾斜面を有する長尺偏平状の平行四辺形板材からなる二枚の第1及び第2作動杆を並列させ、基盤に対して上下及び水平方向に移動可能に支持している。この場合、各作動杆は、両端部の傾斜面が上下逆向きの傾斜方向となるように配されている。また、同上下逆向きの傾斜面に対向して、第1及び第2可動部材が配されている。
第1及び第2作動杆は、基盤の長さ方向の両側端部において垂直方向に移動可能に支持された第1及び第2可動部材に支持されている。第1及び第2可動部材間には紙押え部材を横架して、紙押え部材の長さ方向の両側端部を支持している。第1及び第2可動部材はコイルバネの弾力にて常に上方に付勢されており、所定の高さ位置となるように配され、紙押え部材と基盤との間には、裁断紙が挿入される間隙が形成されている。紙押え部材には回転刃を装着したスライダが摺動可能に設けられており、紙押え部材の縁を基準として裁断紙の裁断位置に対しての位置決めが行われる。スライダの回転刃の側面は、紙押え部材の縁に接触するように回転し、裁断紙の裁断を行う。
前記第1可動部材には、前記第1作動杆に形成した上向き傾斜面に当接する当接部(隅角部)と前記第2作動杆に形成した下向き傾斜面に当接する当接部(横凹穴の底縁)とが隣接して形成されている。これとは逆の配置関係で前記第2可動部材には、前記第1作動杆に形成した下向き傾斜面に当接する当接部(横凹穴の底縁)と前記第2作動杆に形成した上向き傾斜面に当接する当接部(隅角部)とが隣接して設けられている。
この従来の紙押え装置では、紙押え部材を押圧しながらスライダを摺動させるとき、スライダーによって紙押え部材を第1可動部材の弾力に抗して押圧すると、第1可動部材の当接部(隅角部)が第1作動杆の上向き傾斜面を押圧することになる。このとき第1作動杆の上向き傾斜面と第1可動部材の当接部(隅角部)との楔作用によって、第1作動杆は基盤に沿って水平移動することになる。この第1作動杆の水平移動により、第1作動杆の他端に形成した下向き傾斜面の先端部が、第2可動部材の当接部(横凹穴の底縁)内に押込まれ、第1作動杆の他端部に形成した下向き傾斜面と第2可動部材の当接部(横凹穴の底縁)との楔作用によって第2可動部材が引き下げられる。
第2可動部材が引き下げられると、第2可動部材の当接部(横凹穴の底縁)に隣接して形成した第2可動部材の当接部(隅角部)が第2作動杆における上向き傾斜面に当接して、第2作動杆は第1作動杆とは反対方向に水平移動することになる。第2可動部材が水平方向に移動すると、第2作動杆の他端に形成した下向き傾斜面の先端部が第1可動部材の当接部(横凹穴の底縁)内に押込まれ、第2作動杆の下向き傾斜面と第1可動部材の当接部(横凹穴の底縁)とによる楔作用によって第1可動部材が引き下げられる。
第1及び第2作動杆の長さ方向両側部に形成した傾斜面は、上述のように、同一の作動杆に対して互いに平行に配されるとともに、隣り合う作動杆の傾斜面は互い違いに逆傾斜して配されている。このため、第1及び第2作動杆と第1及び第2可動部材とが共に協働して移動することにより、一方の第1可動部材が上下移動されることで、他方の第2可動部材も第1可動部材と同じ方向に上下動することができる。
これによって、スライダで紙押え部材をレールの任意の位置で押圧することにより、下方向に移動する第1及び第2可動部材によって紙押え部材は、基盤に対して常に平行状態を維持しながら下方向に移動することになる。また、スライダによる紙押え部材の押圧を解除すると、第1及び第2可動部材と基盤間に配したコイルバネ力によって紙押え部材は基盤から離間する方向に上昇する。
従って、多数枚に積み重ねられた裁断紙であっても裁断紙のずれを防止しながら、裁断位置の位置合わせを容易に行うことができ、正確な寸法で裁断することができる。
特許第3113953号公報
上記特許文献1に開示されているような従来から用いられている紙押え装置によれば、上述したとおり、スライダによって紙押え部材を押圧しながら摺動させることで、スライダの各摺動位置において、紙押え部材を介して第1及び第2作動杆をそれぞれ逆向きに平行移動させることができ、第1及び第2作動杆の水平移動で第1及び第2可動部材を下降させることができる。第1及び第2可動部材を下降移動により、第1及び第2可動部材間に支持されている紙押え部材を平行状態のままで下方向に移動させることができ、紙押え部材で裁断紙を略均一な状態で押圧保持することができる。
しかし、スライダの裁断開始時に第1可動部材を下降させようとする力は、1作動杆を水平移動させるとともに、第2可動部材を下降させる力として働き、続いて第2作動杆を水平移動する力となる。このため、第2作動杆を水平移動させるまでには、第1可動部材に対しては過大な力を作用させなければならなくなる問題があった。
また、第1及び第2作動杆は、その構造上、第1及び第2可動部材の当接面と密接した面当たり状態で摺動することになっている。このため、面当たりによる摺動抵抗が大きくなり、第1及び第2作動杆に対する操作力にもばらつきが発生しやすくなり、第1及び第2作動杆の円滑な摺動が得られ難くなっている。特に、第1及び第2作動杆が可撓性を有する材質から構成されている場合は、操作時に第1及び第2作動杆に対して横方向の撓みが生じてしまい、基盤に対する良好な滑り性能が得られなくなる問題があった。
更に、第1及び第2可動部材の当接面と前記第1及び第2作動杆の傾斜面とが互いに係合する角度を適正に設定することが必要となり、そのため第1及び第2可動部材や第1及び第2作動杆の形状、構造、形態等を厳格に設定しなければならず、製品に対しての高い寸法精度が必要となっている。しかも、第1及び第2可動部材や第1及び第2作動杆の各部材間の設定位置合わせなどに高度な調整を行うことが必要であり、そのためには設定位置調整を厳しく検査しなければならない問題があった。したがって、設備費や製作コスト等の増加を招き、厳格な品質管理が要求されていた。
設定寸法や組立調整の充分な精度が得られない場合には、傾斜面における摩擦抵抗が大きくなり、また第1及び第2作動杆の摺動抵抗のばらつきも多くなり、スライダから紙押え部材に加えた力が、第1及び第2可動部材の双方を強力に押下げる力として作用しなくなる。その結果、第1可動部材と第2可動部材との双方を同時に且つ円滑に安定して下降させることが困難となり、紙押え部材を均一に裁断紙に対して圧接保持することができなくなり、紙押え部材の一部が基盤の上方に浮き上がってしまう事態が発生する。
ところで、基盤上に載置された裁断紙を安定して圧接保持するためには、頑丈な紙押え部材を使い、しかも第1及び第2作動杆の剛性を強化して耐久性を確保して対応することが考えられるが、このような構成を採用すると、第1及び第2作動杆の剛性や耐久性は確保できるものの、第1及び第2作動杆を形成するのに特別な材料を使用せざるを得なくなり、材料費の高騰、低コスト生産を阻害するといった問題点が発生することになる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、構造が簡単で安価であり、しかも確実に安定した良好な状態での紙押え機能を確保し、高品質化及び低コスト化が実現可能であり、更にはスライダによって紙押え部材における任意の位置を押圧しても、基盤に対する紙の圧接保持力を略均等に安定して、しかも強固なものにすることのできる紙押え機能を備えた紙裁断機を提供することを目的としている。
本件請求項1に係る発明は、上方に付勢された状態で基盤に支持され上下方向に移動可能な直杆状の紙押え部材により、前記基盤上に載置された裁断紙を圧接保持して、前記紙押え部材に沿って切断刃を移動させながら前記裁断紙を裁断する紙裁断機であって、前記紙押え部材の一端部が支持される前記基盤の最終切断位置側に持されて前記紙押え部材の延長方向に揺動自在な第1の揺動リンクと、該紙押え部材の他端部が支持される切断開始位置側に持されて該紙押え部材に沿った方向に揺動自在な第2の揺動リンクと、前記第1の揺動リンクの自由端と前記第2の揺動リンクの自由端との間に回動自在に支持され連接リンクと、からなる4節リンク列機構を、前記紙押え部材に沿って平行に複数配設し、前記紙押え部材の下端部に設けられたリンク案内部材の両端にガイド孔を設け、夫々のガイド孔に前記第1及び第2の揺動リンクを挿通させるとともに、該リンク案内部材と前記紙押え部材との間に前記連接リンクを配することで、前記リンク案内部材と一体形成された紙押え板が下降限位置に向かう際に、前記第1の4節リンク列機構の第1の揺動リンクが、隣り合う前記第2の4節リンク列機構の第2の揺動リンクとは逆向きに傾斜するように、前記ガイド孔により誘導案内するように構成したことを特徴とする紙裁断機にある。
請求項に係る発明は、上記請求項1に記載の発明にあって、前記紙押え部材(31)を支持する支持部材(32)と前記基盤(20)との間に第1弾性部材(37)を設けるとともに、前記紙押え部材(31)と前記紙押え板(35)との間に第2弾性部材(38)を設けたことを特徴としている。
本発明の紙裁断機では、基盤に対して常に平行状態を維持して上下方向に移動する紙押え部材を有するようになり、紙押え部材と基盤との間に設けられた4節リンク列機構によって、前記紙押え部材の長さ方向の全長にわたって裁断紙に対して常に略均等な圧接力を発生させることができる。よって、前記紙押え部材を下方へ押圧する操作力を前記4節リンク列機構における連接リンクに対して作用される引張り力として利用することができる
上述したように従来の技術においては、紙押え部材の裁断開始位置側における一端部をスライダにより下方へ押下げると、第1作動部材が下降移動し、第1作動杆を前記紙押え部材の最終裁断位置側に向けて平行移動させる。第1作動杆の平行移動により、第2作動部材が下降し、第2作動杆を第1作動杆と反対側の裁断開始位置側に向けて平行移動させる構成となっているため、第1及び第2作動杆に形成した傾斜面と第1及び第2作動部材間の摩擦抵抗が大きく、第1及び第2作動杆の摺動力にもばらつきが発生したりしていた。更に、各作動杆に撓み変形が生じると、第1及び第2作動杆の円滑な摺動が得られ難くなり、スライダから前記紙押え部材に加えた力が、第1及び第2可動部材に対して均等な強い押下げ力として直接作用しにくい構成となっていた。
これに対して、本発明による前記4節リンク列機構を採用したことによって、前記紙押え部材の上下方向への移動を常に基盤に対して平行状態で行うことができる。しかも前記紙押え部材の下方への操作力を前記4節リンク列機構の連接リンクに対して、前記紙押え部材の長さ方向への引張り力として作用させている力を利用することができるので、前記連接リンクを前記紙押え部材の長さ方向へ引張って下方向に回動しようとする力によって、前記紙押え部材の長さ方向の全長にわたり略均等な強い圧接力として作用することができ、紙押え部材によって裁断紙を安定した状態で確実に圧接保持することができる。裁断紙の枚数としては、積み重ねられた多数枚の裁断紙は云うに及ばず、一枚の裁断紙であっても前記紙押え部材と基盤との間で略均等に圧接保持することができる。
本発明の紙裁断機は、前記紙押え部材が基盤に対して常に平行状態を維持しながら上下方向に移動することが確保され、スライダあるいは手や指で同紙押え部材の任意の位置を押圧しても、前記紙押え部材をその長さ方向の全長にわたった略均等な圧接力を裁断紙に対して確実に作用させることができる。このため、基盤に対する紙押え部材の押圧力を偏らせて作用させることが防止され、裁断紙が裁断位置から位置ずれするのを防止でき、一枚以上の裁断紙であれば常に正確な寸法で裁断することができる。
本発明の4節リンク列機構として、例えば二点を静止対偶点として基盤に枢支し、他の二点を動対偶点とした第1及び第2の揺動リンクを使用し、前記動対偶点同士を連結する連接リンクを前記紙押え部材の押圧面と反対側の面に沿って上下方向に移動するように構成することができる。
即ち、前記紙押え部材の裁断開始位置側における前記第2の揺動リンクを、前記紙押え部材の最終裁断位置とは反対向きに上向き傾斜で配し、最終裁断位置側における前記第1の揺動リンクを前記第2の揺動リンクと同一方向に向けて上向き傾斜で配する。
前記紙押え部材における裁断開始位置側の一端部をスライダにより下方へ押下げると、前記第2の揺動リンクが回動し、同第2の揺動リンクの回動に伴い前記第1の揺動リンクが前記連接リンクの引張り力を受けて第2の揺動リンクと同方向に回動する。このとき、第1及び第2の揺動リンクを連結している連接リンクは、平行状態を維持したまま下方向へ回動する。連接リンクの平行状態を維持したままでの下方向へ回動により、紙押え部材の最終裁断位置側における他端部を連接リンクによって下方へ押下げることができる。したがって、前記紙押え部材の最終裁断位置側の他端部においても裁断紙を圧接保持するのに十分な圧接力で押圧保持することができるようになる。
このような4節リンク列機構を、夫々の第1の揺動リンクと第2の揺動リンクが隣り合うように並べて配置したので、前記紙押え部材の何れの一端部をスライダで押下げ操作したときでも、紙押さえ部材は基盤に対して略平行状態を維持したまま下方向へ移動するので、紙押え部材の他端部側が浮き上がるような事態の発生を確実に防止することができる。しかも、同他端部においても十分な押圧力で裁断紙を確実に圧接保持することができる。このように前記4節リンク列機構が簡単な構造であるにも係わらず、紙裁断機の高品質化と低コスト化を実現することができる。
加えて、前記4節リンク列機構が、前記紙押え部材に沿って平行に配された第1及び第2の4節リンク列機構を2組備え各組の4節リンク列機構間で隣り合う前記第1及び第2の揺動リンク、互いに交差して逆向き傾斜で配されるので、各組の4節リンク列機構のそれぞれの連接リンクが互いに逆向きの長さ方向に移動する。
このため、スライダにより前記紙押え部材における任意の位置が押下げられると、同紙押え部材が各組の4節リンク列機構の双方を上方から作動させることになる。各組の4節リンク列機構が作動すると、4節リンク列機構の各連接リンクはそれぞれ逆向きに移動しながら、前記紙押え部材の押圧面とは反対側にある連接リンクと当接している面を長さ方向にわたり押圧する。このため、同紙押え部材における任意の位置をスライダで押下げても、同紙押え部材は基盤に対して常に平行状態を維持しながら下方向に移動することができ、基盤上に載置した裁断紙を押圧部材の長手方向にわたって略均等に圧接保持することができる。
このときの前記紙押え部材に作用する押下げ力は、前記第1及び第2の揺動リンクのいずれか一方が基点となり、他方が従動回動することになる。前記連接リンクには引張り力が作用した状態を維持し、連接リンクは平行状態を維持して揺動回動することができる。したがって、スライダによる紙押え部材に対する押下げ力の作用位置にかかわらず、常に前記紙押え部材を2組の4節リンク列機構における各連接リンクによって略均等に押下げることができるようになる。
スライダが前記紙押え部材が裁断開始位置と最終裁断位置との間の中間位置を越えると、他方の組における4節リンク列機構の第2揺動リンクが基点となり、同組の4節リンク列機構の第1揺動リンクが連接リンクの引張り力を受けて従動回動する。このとき、同連接リンクの平行状態を維持した揺動回動によって、前記紙押え部材の長さ方向の全長にわたって紙押え部材を平行状態を維持したまま基盤側に下降動することができる。したがって、前記紙押え部材の押圧面を裁断紙に対して常に安定した状態で強固に圧接保持することができる。
さらに、リンク案内部材のガイド孔によって前記第1及び第2の揺動リンク及び連接リンクを正確に且つ安定して誘導案内することができるので、各リンクのこじれや不良変形等を防止することができ、左右のぶれを防止しながら、円滑に回転操作することができるようになる。したがって、4節リンク列機構の品質を長期間にわたり確保することができる。
上述のように本発明にあっては、前記第1及び第2揺動リンクの揺動時において、前記連接リンクに引張り力を作用させ、連接リンクを下降回動させることができるので、連接リンクによって前記紙押え部材の長さ方向に略均等な圧接力を得ることができる。このため、前記連接リンクの撓みなどに影響されることなく、基盤の紙載置面と紙押え部材との間に強固な圧接保持力を確保することができる。しかもこの場合、記紙押え部材と前記4節リンク列機構との対応位置関係を必ずしも厳密に設定する必要がなく行うことができる。
前記連接リンクは、各第1及び第2の揺動リンクの対偶点同士を連結できる構造であればよく、その大きさ、形態、構造、素材などは特に限定されるものではない。前記連接リンクとして、例えば可撓性をもつ樹脂材や金属材からなる板材、紐やワイヤなどの線材などの各種の安価な素材を使用することができ、構造が簡単になるとともに、格別な材質をもつ高価な部材を使用する必要がなくなり、経済的効果が大きい。
請求項に係る発明によれば、前記支持部材と前記基盤との間に第1弾性部材を設けるとともに、前記紙押え部材と前記紙押え板との間に第2弾性部材が設けられてれている。第1の弾性部材付勢力によって、所要の高さをもって前記紙押え部材の間隙を確保し、同間隙によって裁断紙が挿入される間隙を形成することができる。
記紙押え部材の紙押え板により基盤上に載置された裁断紙が圧接保持されるとき、第1段階では上記第1弾性部材の弾力に抗した変形により、前記紙押え板を介して裁断紙を圧接保持し、第2段階では前記第2弾性部材の弾力に抗した変形により、前記紙押え板を介して裁断紙を圧接保持する。従って、第1及び第2弾性部材の複合作用によって、前記基盤に対する紙押え部材の押圧力をさらに強いものとすることができる。また、積み重ねられた裁断紙の枚数にかかわらず、基盤の紙載置面に裁断紙をしっかりと確実に圧接保持することができるようになり、正確な寸法をもって任意の枚数の裁断紙を同時に連続して裁断することができるようになる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
図1〜図8は本発明の代表的な実施形態を示している。図1は同紙裁断機の要部を概略的に示す全体斜視図、図2及び図3は同紙裁断機の一部を構成する紙押え装置の要部を長さ方向に切り欠いて拡大して示す要部拡大断面図、図4は図2のIV−IV線の矢視断面図、図5及び図6は同紙押え装置の作動状態を示す要部断面図、図7は図5のVII−VII線の矢視断面図、図8は同紙裁断機の一部を構成するスライダを拡大して概略的に示す全体斜視図である。なお、本実施形態にあっては、紙裁断方向(長さ方向)を前後といい、紙裁断方向と直交する方向を左右という。
図1に示す紙裁断機10は、従来と同様に、図示せぬ裁断紙を載置する紙載置面を有する長方形状の基盤20と、裁断紙を前記基盤20の紙載置面に位置決めして圧接保持する紙押え装置30と、同紙押え装置30の一部を構成する直杆状の紙押え部材(レール部材)31に沿って移動し、図8に示すように裁断紙を所要の大きさに裁断する切断刃として回転刃41を回動自在に支承したスライダ40とを備えている。尚、切断刃としては、回転刃を用いた例について説明を行うが、本願発明は回転刃に限定されるものではなく、直線状や曲線状の反りを備えた固定刃を用いることができるものである。
この基盤20は一般的な金属板材又はプラスチック材料からなり、同基盤20の長さ方向(紙裁断方向)の両側端部には第1及び第2の凹陥部21,21が形成されている。各凹陥部21の内壁面の左右側壁部は、前記紙押え部材31を上下方向に摺動案内する案内面に形成されている。この凹陥部21の案内面の間の空間には、紙押え装置30の構成部品の一つである第1及び第2の支持部材32,32を導入する導入案内路が形成されている。また、この支持部材32を前記凹陥部21の左右両壁の案内面に沿わせて容易に導入案内することができる構成となっている。各凹陥部21の底面の左右両側には、図9に示すように、それぞれ前後一対のリンク取付フランジ21a,21aが、互い違いに立設されている。基盤20の下面には、高い摩擦係数を有するゴム材やその他の材料からなる図示せぬパッドが適当な固着手段により固着一体化されており、裁断機を所定の位置に確実に保持できるようになされている。
前記凹陥部21に隣接する基盤20の紙載置面には、同基盤20の長さ方向の両側端縁まで延びる幅狭の嵌合凹部22が直線状に延設されている。この嵌合凹部22は、硬質ゴム材等からなる細長い刃受板23(図1参照。)を嵌合支持しており、嵌合凹部22の設置部分は図8に示すように前記スライダ40の回転刃41の切断位置に対応している。前記嵌合凹部22の長さ方向の両側端部には、前記刃受板23の長さ方向における両側上端部を支承する一対の固定部材24,24が回動自在に設けられており、前記刃受板23が交換可能に装着されている。
前記紙押え装置30は、図2、図3及び図9に示すように、前記紙押え部材31の左右両側には、紙押え部材31の上下移動と協動して紙押え部材31の長さ方向にわたって略均等な圧接力を付与する一対の第1及び第2の4節リンク列機構33,33を備えている。この4節リンク列機構33は本発明の最も主要な特徴としている。本発明の典型的な実施形態による4節リンク列機構33は、二点を静止対偶点として上下方向に回動自在に支持し、他の二点を動対偶点としたリンクから構成されている。この4節リンク列機構33は、前記紙押え部材31の上下方向への移動を基盤に対して常に平行状態に維持することができるとともに、紙押え部材31における任意の位置を押下げても、リンク揺動方向に作用する引張り力によって紙押え部材31を押圧することができ、紙押え部材31の長さ方向の全長にわたり略均等な強い圧接力を安定して確保することができるように構成されている。
更に前記紙押え装置30は、図2〜図4に示すように、基盤20に対して上下方向に移動可能な前後一対の支持部材32,32と、同一対の支持部材32,32間に横架して配される紙押え部材31と、前記支持部材32との間に配されるリンク案内部材34と、前記紙押え部材31の上下移動と協動して基盤20の紙載置面に離間・接触可能な紙押え板35とを備えている。これによって、本発明に係る紙裁断機10の他の特徴部を構成している。
前記紙押え装置30の構成部品である紙押え部材31、支持部材32、リンク案内部材34、及び紙押え板35は、それぞれポリアミド、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂や耐摩耗性強化材を添加した熱可塑性樹脂材料などが使用され、射出成形により製造される。
前記紙押え装置30の主要な構成部品の一つである4節リンク列機構33は、図2、図3及び図9に示すようにリンク33a〜33cの端部間をピン結合させて、第1及び第2揺動リンク33a,33bが前記リンク取付フランジ21a,21aに揺動自在に枢支され、第1及び第2揺動リンク33a,33bのリンク取付フランジ21aに枢支された端部を静止対偶点としている。
従って、第1及び第2揺動リンク33a,33bの自由端は動対偶点となり、動対偶点同士を連結する連接リンク33cは前記紙押え部材31の押圧面の裏面側、つまり紙押え部材31とリンク案内部材34との間に沿って延在されている。前記第1及び第2揺動リンク33a,33bは熱可塑性樹脂材料からなり、前記連接リンク33cは可撓性をもつ細長い金属板材からなる。
図示例による4節リンク列機構33は、各支持部材32間に並列して配された2組の4節リンク列機構33からなり、2組の4節リンク列機構33,33はそれぞれ一対の第1及び第2の4節リンク列機構33,33により構成されている。この2組の4節リンク列機構33は左右ともに同様の構造からなるが、各4節リンク列機構間で隣り合う第1及び第2揺動リンク33a,33b同士の傾斜方向が、図9に示すように互いに交差して逆向きに傾斜して配されている。
本実施形態にあっては、第1組の4節リンク列機構33の第1揺動リンク33aに隣接して第2組の4節リンク列機構33の第2揺動リンク33bが配されるとともに、第1組の4節リンク列機構33の第2揺動リンク33bに隣接して第2組の4節リンク列機構33の第1揺動リンク33aが配されている。各4節リンク列機構33は、交差して配される第1及び第2揺動リンク33a,33bの揺動により各連接リンク33cを長さ方向に対して逆向きに移動するように構成されている。第1組及び第2組の4節リンク列機構33は同様な構成を有するので、同じ方向に作動するリンクは同一の符号を用いて個別の各リンクについての説明を省略する。
前記4節リンク列機構33の他の主要な特徴部の一つとして、最終裁断位置側の第1揺動リンク33aのリンク長(L1)は、図3に示すように裁断開始位置側の第2揺動リンク33bのリンク長(L2)よりも僅かに短く設定されている。前記第1揺動リンク33aの静止対偶点は、前記第2揺動リンク33bの静止対偶点よりも僅かに高い位置に設定されている。
従って、前記リンク取付フランジ21aの第1揺動リンク33a側にあるリンク揺動孔の中心高さ(H1)は、図3に示すように第2揺動リンク33b側にあるリンク揺動孔の中心高さ(H2)よりも僅かに高く設定されている。
各組の4節リンク列機構33のうち一方の組における連接リンク33cは、前記紙押え部材31の裁断開始位置側の一端部から最終裁断位置側の他端部にわたり上傾斜して配されるとともに、他方の組の連接リンク33cは、前記一方の組の連接リンク33cに交差して逆向きに下傾斜して配されていることが好適である。
このように、第1揺動リンク33aのリンク長(L1)<第2揺動リンク33bのリンク長(L2)、リンク取付フランジ21aの第1揺動リンク側にあるリンク揺動孔の中心高さ(H1)>リンク取付フランジ21aの第2揺動リンク側にあるリンク揺動孔の中心高さ(H2)の関係をもって4節リンク列機構33を形成することで、短尺の第1揺動リンク33aを長尺の第2揺動リンク33bよりも小さな揺動半径で揺動することができる。
スライダ40により押圧された前記紙押え部材31により各第1揺動リンク33a,第2揺動リンク33bの双方が上方から押圧されると、第1揺動リンク33aと第2揺動リンク33bとの揺動差(回動差)によって、長尺の第2揺動リンク33bが連接リンク33cを介して短尺の第1揺動リンク33aを強く押下げながら下方に向けて回動する。
このときの押下げ力が前記連接リンク33cを長さ方向に引張る力として強力に作用し、連接リンク33cを下方に回動移動させる。このときの力の存在により、第1揺動リンク33aまたは第2揺動リンク33bの少なくとも一方を回動させ続け、スライダ40による前記紙押え部材31に対する押下げ力が作用する位置にかかわらず、常に前記紙押え部材31が下方に押下げられる。このようにして第1揺動リンク33aと第2揺動リンク33bによる揺動によって、紙押え部材31の圧接保持力を増大させることができる。
本実施形態では、スライダ40によって前記紙押え部材31を裁断開始位置側の第2揺動リンク33bから最終裁断位置側の第1揺動リンク33aに向けて下方へ押圧しながらスライダ40を摺動させると、各組の4節リンク列機構33の双方が同時に押圧されることになる。各組の4節リンク列機構33のうち一方の第2揺動リンク33bが基点となり、第1揺動リンク33aが連接リンク33cの引張り力を受けて第2揺動リンク33bと同一方向に回動する。
スライダ40の摺動位置が、前記紙押え部材31の裁断開始位置側の一端部と最終裁断位置側の他端部との中間位置を越えると、上記操作とは逆に他方の組の第2揺動リンク33bが基点となり、同組の第1揺動リンク33aが連接リンク33cの引張り力を受けて回動する。従って、スライダ40のスライド位置に係わらず、前記紙押え部材31の長さ方向の全長にわたり紙押さえ部材31による裁断紙に対する押圧力に偏りを生じさせることがない。紙押え部材31の押圧面を図示せぬ裁断紙に対して常に安定して強固にしかも紙押え部材の長手方向にわたって略均一に圧接保持することができる。
図示例による連接リンク33cは、図2、図3及び図9に示すように第1及び第2揺動リンク33a,33bの自由端において、相対的に回動自在に把持された熱可塑性樹脂材料から構成されている第1及び第2のリンク連結アーム36を介して第1及び第2揺動リンク33a,33bにピン結合されている。
リンク連結アーム36は、図9に示すように全体が二股状を呈し、略U字状の嵌込開口を有する嵌込体から形成されている。同嵌込開口を水平方向に向けた状態で第1及び第2揺動リンク33a,33bの自由端部に回動自在にピン結合されている。連接リンク33cと第1及び第2揺動リンク33a,33bとの結合は、ピン結合に限定されるものではなく、連接リンク33cが第1及び第2揺動リンク33a,33bに対して揺動自在に支承される構成であれば、適宜の構成を採用することができる。
リンク連結アーム36の基端部には、連接リンク33cの長手方向に向けて張り出した直方形の外郭形態をもつフランジ36aが延設されている。前記連接リンク33cの端部は、前記フランジ36aの片側の端面をビス止め、ヒーター加熱溶着、或いは超音波溶着や高周波溶着等により固定されている。
前記4節リンク列機構33における更に他の主要な特徴部の一つとして、前記連接リンク33cの裁断最終側端部の下面には、前記リンク案内部材34を上面から圧接する第1の当接突出部である直線状当接リブ36bが突設されている。同当接リブ36bは、図2及び図3に示すように、前記第2揺動リンク33bよりも短尺の第1揺動リンク33aのリンク連結アーム36のフランジ36aの下面に配され、前記連接リンク33cの移動方向に向けて漸次長い寸法に設定されている。
前記リンク案内部材34又は前記リンク連結アーム36のいずれかに当接リブ36bを設けることにより、同当接リブ36bの突出領域でリンク案内部材34とリンク連結アーム36とを部分的に接触させることで、前記連接リンク33cの円滑な摺動を確保している。
本発明にあっては、上述のように、各揺動リンク33a,33bの揺動時に前記連接リンク33cに作用する引張り力によって、紙押え部材31の長さ方向にわたって略均等な圧接力を得ることができる。このため、連接リンク33cの撓みなどに影響されることなく、紙押え部材31と4節リンク列機構33との対応位置関係を厳密に設定する必要がなくなる。
本実施形態では、連接リンク33cとして可撓性をもつ細長い金属板材が使用されている。しかして、本発明はこれに限定されるものではなく、連接リンク33cは各揺動リンク33a,33bの動対偶点同士を連結できる構造であればよく、例えば可撓性金属板材に代えて、可撓性をもつ樹脂板材、紐やワイヤからなる線材などの各種の安価な素材を使用することができる。このように、格別な材質をもつ高価な部材を使用する必要がなくなるため、経済的効果が大きくなり、連接リンク33cの大きさ、形態、構造、素材等を特に限定しなくてもすむ。
基盤20の前記第1及び第2凹陥部21に支持され、上下方向に移動可能な第1及び第2支持部材32,32は、偏平な上面部と前後及び左右に形成された壁部を有する下面を開放した矩形枠体から構成される。同矩形枠体の上面部における内面中央部には、図2に示すように円筒ボス32aが下方に向けて突設されている。同矩形枠体内には各4節リンク列機構33の一部を揺動可能に収容するリンク収容空間部が形成されている。
前記支持部材32の前壁部の下端中央部には、前方に向けて略直角に屈曲するストッパー部32bが形成されている。また、同支持部材32の上面部には、図3に示すように、第1及び第2揺動リンク33a,33bの揺動を誘導案内する、第1のガイド孔32cが前記リンク収容空間部において上下に貫通して形成されている。
前記円筒ボス32aの外周面には、前記凹陥部21の底面との間に張設された第1の圧縮バネ37が介装されており、同圧縮バネ37の弾力により前記支持部材32は常に上方に向けて付勢されている。この圧縮バネ37の押上げ力は、前記支持部材32のストッパー部32bが、前記リンク収容空間部の下側周辺部を長さ方向に横切って形成された基盤20の横貫通孔20aの上部開口端に係止することにより受け止められる。前記支持部材32は、前記紙押え板35と基盤20の紙載置面との間に裁断紙が挿入される間隙が形成される所要の高さをもって静止している。
各支持部材32間に横架支持された紙押え部材31は、基盤20の長さ方向の寸法と略同一寸法をもつ天井壁部及び左右側壁部を備えており、断面形状が下面を開放した略横C字形をなしている。前記天井壁部の外面は前記スライダ40を摺動案内する案内面とされている。
前記天井壁部の内面中央部には、図3及び図4に示すように、都合2個の紙押え板取付用の円筒状取付ボス31a,31aが長さ方向に所定の間隔をもって下方に突設されている。また、スライダ摺動案内用の係合段部31bが、前記左右側壁部の下端縁部外面から内方に向かい段差をもって形成されている。各支持部材32の上面には、それぞれ紙押え部材31における前後側壁部を構成する側壁板32d,32dが、その対向面を所定の間隔をおいて立設されている。同対向面間には紙押え部材31の長さ方向の両側開口端が閉鎖されている。
前記紙押え部材31の天井壁部の内面中央部には、図2に示すように前記支持部材32において上下方向に貫通して形成されたビス挿通孔が形成されている。前記紙押え部材31にあって、上下方向に貫通して形成された同ビス挿通孔のそれぞれに対応する位置には、所要数の円筒状取付ボス31c,…,31cが下方向けて突設されている。同円筒状取付ボス31cの筒部内に形成された内ネジに前記各ビス挿通孔を介してビス締めを行うことで締付固定することができる。これにより、前記紙押え部材31、前記支持部材32及びリンク案内部材34を固定支持して一体化することができる。
前記紙押え部材31の他の特徴部の一つとして、前記天井壁部の内面中央部における長尺の前記第2揺動リンク33bに対応する位置には、図3に示すように第2の当接突出部である直線状当接リブ31dが下方に向けて突設されている。同当接リブ31dの当接面は、前記第2揺動リンク33bを上面から圧接する部分として形成されている。
第2揺動リンク33bよりも短尺の第1揺動リンク側に配した第1揺動リンク連結アーム36のフランジ36aの下端面には、第1当接リブ36bが同じ方向に向けて上下に互い違いに延設されている。更に第2当接リブ31dは、第1当接リブ36bよりも長く設定されるとともに、第1当接リブ36bの突出寸法よりも大きく設定されている。
前記第1及び第2当接リブ36b,31dの存在により、第1揺動リンク側の第1当接リブ36bの突出高さ分だけ、第2揺動リンク側の第2当接リブ31dが強力に第1及び第2揺動リンク33a,33bを押圧することになる。なお、例えば前記紙押え部材31、前記リンク案内部材34、前記リンク連結アーム36の長さや幅、形態、構造や素材などに応じて各当接リブ36b,31dの形成位置を適宜に設定することができる。いずれも第1、第2当接リブ36b,31dを形成したことにより連接リンク33cの円滑な摺動が保証される。また、直線状当接リブに代えて、例えば当接リブを単なる突部のような構造、形態に形成することも可能である。
前記紙押え部材31の下端縁部内面に内嵌固定されたリンク案内部材34は、紙押え部材31の長手方向の寸法と略同一寸法をもち、側面形状がほぼU字状をなす偏平な細長い板体により構成されている。このリンク案内部材34の特徴部の一つとして、リンク案内部材34は、図3に示すように、前記支持部材32のガイド孔32cに対応する位置に第2の直線状ガイド孔34aを有していることである。同ガイド孔34aによって、リンク揺動時には、紙押え板35の下降限位置に向けて各揺動リンク33a,33b及び連接リンク33cを誘導案内することができる。
前記紙押え部材31とリンク案内部材34とが横架支持状態にあるとき、リンク案内部材34と紙押え部材31との間には所要の間隔が保たれ、このリンク案内部材34の上面と紙押え部材31の内面と前後一対の支持部材32の各側壁板32dの対向面とにより囲まれる空間は、上記リンク収容空間部を横切って長さ方向に延びた形状に構成され、各リンク33a〜33cの揺動を誘導案内するリンク案内空間となる。
このように、紙押え部材31とリンク案内部材34との間を有効に利用することにより、各揺動リンク33a,33b及び連接リンク33cの揺動姿勢を安定して確実に保持することができる。しかも、各揺動リンク33a,33b及び連接リンク33cを直線的に誘導案内する簡単な構造が得られる。また、リンク案内部材34の存在により4節リンク列機構33を外部に露呈することがなくなり、簡単に且つ的確に装着することができるとともに、見栄えのよい商品価値の高い紙裁断機を得ることができる。
前記紙押え板35は、図2〜図4に示すように、各支持部材32間の寸法と略同一寸法をもつ偏平な直方体形に形成されており、前記リンク案内部材34の挿通孔を介して紙押え部材31における前記円筒状取付ボス31aの外周面に対して上下動自在に外嵌固定されている。
この紙押え板35の前記円筒状取付ボス31aに対応する位置には、円筒状の構造をもつ差込部35aが前記円筒状取付ボス31aに固定可能な高さをもって上方に突設されている。この差込部35aは、第2の圧縮バネ38を前記紙押え部材31との間で位置決め支持する円環状支持面を有する大径の円筒部と前記紙押え部材31の円筒状取付ボス31aに対して上下動自在に外嵌固定される小径の円筒部とから構成されている。
前記紙押え板35の円筒状差込部35aの筒部内を通して、前記円筒状取付ボス31aの筒部内に形成された内ネジに取付ビス39を締付固定することで、紙押え板35を基盤20の紙載置面との間に裁断紙が挿入される間隙が形成される所要の高さをもって配することができる。
紙押え板35は前記圧縮バネ38の弾力により常に下方に向けて付勢されている。同圧縮バネ38の押下げ力は、前記取付ビス39に固着されたストッパーとしての機能をもつワッシャ39aを、前記差込部35aの大径円筒部の内部底面に係止することにより受け止めることができる。
本実施形態では、前記支持部材32と基盤20の凹陥部21における底面との間に前記第1圧縮バネ37を有するとともに、前記紙押え部材31と紙押え板35との間に前記第2圧縮バネ38を有している。このため、前記紙押え部材31の紙押え板35により基盤上に載置された裁断紙が圧接保持される第1段階では、前記第1圧縮バネ37の弾力に抗した変形により、前記紙押え板35を介して裁断紙を圧接保持することができる。図5〜図7に示すように、第2段階では前記紙押え部材31をさらに押圧することにより、前記第2圧縮バネ38の弾力に抗した変形が前記紙押え板35に作用し、裁断紙に対して2段階目の圧接保持が行われる。
このように、第1及び第2圧縮バネ37,38の複合作用により、基盤20と紙押え部材31との間の押圧力をさらに強いものとすることができる。従って、積み重ねられた裁断紙の枚数にかかわらず、基盤20の紙載置面に裁断紙を強固に圧接保持することができ、正確な寸法をもって任意の枚数の裁断紙を同時に連続して裁断することができる。
図8に示すスライダ40は、全体がほぼ横C字形をなしており、前記紙押え部材31の係合段部31bに沿って摺動可能に外嵌固定される。基盤20に載置された裁断紙を裁断する場合は、紙押え部材31の縁を基準にして裁断紙の裁断位置の位置決めがなされる。スライダ40を紙押え部材31の係合段部31bに沿って移動させることで、スライダ40の回転刃41の側面が紙押え部材31の縁に接触して回転しながら裁断紙を裁断することができる。
スライダ40の内周面は、紙押え部材31の外郭形状と同一の曲率をもつ円弧面を有しており、紙押え部材31の外周面を跨いで外嵌固定する嵌合凹部とされている。スライダ40の内周面下端の前後には、それぞれ紙押え部材31の係合段部31bを横断する方向に、所定の間隔をもって摺動自在に係合支持される左右両側一対の係合部42,42を有している。このようなスライダ40としては、例えば本出願人が先に提案した実願昭63−26776号に開示されたスライダと主要部の構成において同様の構成を備えたスライダを本願発明の紙裁断機に適用することができる。
前記紙押え部材31はスライダ40を摺動案内する案内面の一部を構成する係合段部31bを有しているため、上記4節リンク列機構33が干渉することなく、その使用時の安全性や信頼性等を著しく向上させることができる。また、前記スライダ40の移動に伴い、既述のように4節リンク列機構33を介して、前記紙押え部材31の長さ方向にわたって略均等に裁断紙を強固に圧接保持できる。このため、比較的に小さな力をもって極めて容易に且つ速やかに一枚以上の裁断紙を裁断することができる。
上記のように構成された紙押え装置30は常法に従い組み立てられる。この紙押え装置30は、スライダ40の摺動に伴い紙押え部材31の任意の位置が押下げられると、前記紙押え部材31の第2当接リブ31d及び前記第1揺動リンク連結アーム36の第1当接リブ36bを介して、紙押え部材31が第1及び第2の4節リンク列機構33,33の双方を上方から押圧することになる。各組の4節リンク列機構33の双方が押圧されると、各組の4節リンク列機構33における第1及び第2の揺動リンク33a,33bと連接リンク33cとは互いが長さ方向を逆向きに移動することになる。
これらの各リンク33a〜33cの移動により、リンク案内部材34及び紙押え板35の双方が基盤20の紙載置面に向けて押下げられる。このとき、各組の4節リンク列機構33を互いに反対方向に移動させながら、前記リンク案内部材34及び紙押え板35の双方を押圧することになる。このため、リンク案内部材34及び紙押え板35の双方を横架支持する左右両側一対の支持部材32,32は、同時に同一方向に、且つ同一の移動ストロークをもって下降することになる。
従って、スライダ40の摺動に伴って、スライダ40により紙押え部材31の任意の位置を押下げても、前記紙押え板35は基盤に対して常に平行状態を維持しながら下方向に移動し、基盤20上の裁断紙を圧接保持することができる。
このときの紙押え部材31の押下げ力は、上述のように短尺の第1揺動リンク33aと長尺の第2揺動リンク33bとの揺動差(回動差)によって、長尺の第2揺動リンク33bの下方への揺動に伴い連接リンク33cに引張り力を作用させながら短尺の第1揺動リンク33aを下方に向けて揺動することになる。
従って、この引張り力が存在するかぎり、各リンク33a〜33cを介して前記紙押え部材31がまっすぐに押下げられることになり、スライダ40の摺動による紙押え部材31の押下げ力を紙押え部材31全体にわたり円滑に安定して直接作用することができるようになる。しかも、紙押え部材31と基盤20との間に紙押え部材31の長さ方向に略均等な圧接力を発生させることができる。
従って、スライダ40の摺動に伴い紙押え部材31の任意の位置を押圧しても、紙押え板35は、押圧力の偏りを発生することなく、基盤20の紙載置面に対して常に安定して強固に圧接保持される。
紙の裁断が終了してスライダ40の押圧力を解放すると、前記支持部材32は第1及び第2圧縮バネ37,38の復元力によって初期の待機位置に向けて押し上げられる。この第1及び第2圧縮バネ37,38の押上げ力によって、前記紙押え部材31全体は上方向に向けて移動して初期の姿勢に戻ることができる。
図9及び図10は、本発明に係る紙裁断機に適用される紙押え装置の変形例を示している。図9は同紙押え装置の要部を一部切欠して概略的に示す分解斜視図、図10は同紙押え装置の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。なお、これらの図において上記実施形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
これらの図において、この紙押え装置30の特徴部は、リンク案内部材34及び紙押え板35の双方を一体に形成していること、および紙押え部材31及びリンク案内部材34の一部に4節リンク列機構33の揺動を誘導案内する案内板31e,34bを有していることである。この変形例にあっては、前記リンク案内部材34の長辺側端面から同一平面上を延出する紙押え板35が基盤20の紙載置面に圧接保持する当接面を構成する。
図示例による紙押え部材31は、図9及び図10に示すように、上方に向けて緩やかな凸曲面をもつ円弧状の断面形状をなす天井壁部、前後側壁部及び左右側壁部を備え、前記基盤20の長さ方向の寸法とほぼ同一寸法をもって下面を開放した長い矩形カバー体から形成されている。
前記天井壁部の内面には、一対の第1の案内板31e,31eが、リンク案内部材34における2条のガイド孔34a,34aから内方向にずれた位置に沿って、平行に且つ所定の間隔をおいて下方に突設されている。この第1の案内板31eは、左右両側一対の4節リンク列機構33,33の各連接リンク33cの誘導案内面を構成する。
一方、前記リンク案内部材34には、前記連接リンク33cの誘導案内面を構成する一対の第2の案内板34b,34bが、その板面を前記第1案内板31eの対向面と平行に且つ前記リンク案内部材34の2条のガイド孔34a,34aから外方向にずれた位置に沿って立設されている。
従って、前記第1案内板31e及び第2案内板34bの対向面間に沿って前記リンク案内部材34の2条のガイド孔34a,34aが直線状に配され、前記連接リンク33cを誘導案内する案内路を形成している。なお、前記ガイド孔34a及び各案内板31e,34bの形態、設置位置、設置個数等は図示例に限定されるものではない。
こうして前記4節リンク列機構33の第1及び第2揺動リンク33a,33bと連接リンク33cは、前記支持部材32及び前記リンク案内部材34を長さ方向に跨いで、前記ガイド孔34a及び各案内板31e,34bに沿って正確に且つ安定して誘導案内することができる。
その結果、各リンク33a〜33cのこじれや不良変形等を防止することができるとともに、左右のぶれを防止しながら、円滑に回転操作することができるようになり、4節リンク列機構33の品質を長期間にわたり確保することができる。また、前記紙押え板35と前記リンク案内部材34とを一体に形成しているため、紙押え板35とリンク案内部材34とを集約化して紙裁断機10全体の小型化、縮小化、軽量化が実現できる。しかも、紙裁断機10の構成部品の削減、組立費、製作費や材料費の低コスト化が実現できる。
以上は本発明の好適な実施形態及び変形例を例示したものであり、例えば上記4節リンク列機構33の一つ、或いはその任意の組合せによっても、本発明の目的を充分に達成することができることは勿論である。従って、本発明は上記実施形態や変形例に限定されないことは当然であり、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
本発明の代表的な実施形態である紙裁断機の要部を概略的に示す全体斜視図である。 同紙裁断機の一部を構成する紙押え装置の要部を長さ方向に切り欠いて拡大して示す要部拡大断面図である。 同紙押え装置の要部を長さ方向に切り欠いて拡大して示す要部拡大断面図である。 図2のIV−IV線の矢視断面図である。 同紙押え装置の作動状態を示す要部断面図である。 同紙押え装置の作動状態を示す要部断面図である。 図5のVII−VII線の矢視断面図である。 同紙裁断機の一部を構成するスライダを拡大して概略的に示す全体斜視図である。 同紙押え装置の変形例の要部を一部切欠して概略的に示す分解斜視図である。 同紙押え装置の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
符号の説明
10 紙裁断機
20 基盤
20a 横貫通孔
21 凹陥部
21a リンク取付フランジ
22 嵌合凹部
23 刃受板
24 固定部材
30 紙押え装置
31 紙押え部材
31a,31c 円筒状取付ボス
31b 係合段部
31d 第2当接リブ
31e 第1案内板
32 支持部材
32a 円筒ボス
32b ストッパー部
32c 第1ガイド孔
32d 側壁板
33 4節リンク列機構
33a 第1揺動リンク
33b 第2揺動リンク
33c 連接リンク
34 4節リンク案内部材
34a 第2ガイド孔
34b 第2案内板
35 紙押え板
35a 差込部
36 リンク連結アーム
36a フランジ
36b 第1当接リブ
37 第1圧縮バネ
38 第2圧縮バネ
39 取付ビス
39a ワッシャ
40 スライダ
41 回転刃
42 係合部

Claims (2)

  1. 上方に付勢された状態で基盤(20)に支持され上下方向に移動可能な直杆状の紙押え部材(31)により、前記基盤(20)上に載置された裁断紙を圧接保持して、前記紙押え部材(31)に沿って切断刃(41)を移動させながら前記裁断紙を裁断する紙裁断機(10)であって、
    前記紙押え部材(31)の一端部が支持される前記基盤(20)の最終切断位置側に持されて前記紙押え部材(31)の延長方向に揺動自在な第1の揺動リンク(33b)と、該紙押え部材(31)の他端部が支持される切断開始位置側に持されて該紙押え部材(31)に沿った方向に揺動自在な第2の揺動リンク(33a)と、前記第1の揺動リンクの自由端と前記第2の揺動リンク(33a,33b)の自由端との間に回動自在に支持され連接リンク(33c) と、からなる4節リンク列機構(33)を、前記紙押え部材(31)に沿って平行に複数配設し、
    前記紙押え部材(31)の下端部に設けられたリンク案内部材(34)の両端にガイド孔(34a)を設け、夫々のガイド孔(34a)に前記第1及び第2の揺動リンク(33a,33b)を挿通させるとともに、該リンク案内部材(34)と前記紙押え部材(31)との間に前記連接リンク(33c、33c)を配することで、
    前記リンク案内部材(34)と一体形成された紙押え板(35)が下降限位置に向かう際に、前記第1の4節リンク列機構の第1の揺動リンクが、隣り合う前記第2の4節リンク列機構の第2の揺動リンクとは逆向きに傾斜するように、前記ガイド孔(34a)により誘導案内するように構成したことを特徴とする紙裁断機。
  2. 前記紙押え部材(31)を支持する支持部材(32)と前記基盤(20)との間に第1弾性部材(37)を設けるとともに、前記紙押え部材(31)と前記紙押え板(35)との間に第2弾性部材(38)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙裁断機。
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