JP4468507B2 - 走査型レーザ顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は走査型レーザ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
走査型レーザ顕微鏡は、レーザ光を走査光学系及び対物レンズを介して標本のX軸及びY軸方向に走査しながら照射し、標本からの蛍光または反射光を再び対物レンズ及び走査光学系を介して検出器で検出して蛍光または反射光の二次元の輝度情報を得る顕微鏡である。又、この輝度情報をX−Y走査位置に対応させてCRTディスプレイなどに輝点の2次元分布として表示することによって、標本の蛍光像あるいは反射像を観察することも可能である。
【0003】
このレーザ走査型顕微鏡の内、共焦点走査型レーザ顕微鏡は、検出光学系の標本と共役な位置に、被測定光の回折限界程度の径を有した絞りを設けることにより、焦点の合っている面の情報のみを検出するものである。この共焦点走査型レーザ顕微鏡では、合焦面の情報だけを検出できるため、標本を傷付けることなく、光学的な断層像、すなわち3次元情報を得ることができ、しかも、非合焦面の情報をカットすることによって、非常にシャープな画像が得られる特徴を有している。
【0004】
このような共焦点走査型レーザ顕微鏡を用いた測定では、標本内の特定のイオン濃度分布およびその経時変化を測定するため、イオン感受性の蛍光指示薬を標本に導入し、レーザ光で標本を走査して標本から発せられる蛍光の輝度分布およびその計時変化を測定している。この測定では、カルシウムイオンなどのイオン濃度に感受性を有する蛍光指示薬を導入した標本を、その蛍光指示薬を励起する波長のレーザ光で照射することにより、指示薬特有の波長の蛍光が発せられる。この蛍光の輝度とイオン濃度との間には一定の相関が成り立つため、蛍光の輝度分布およびその経時変化を測定することにより、標本内のイオン濃度分布と経時変化を測定できる。
【0005】
さらに、最近では、標本内の特定部位にイオン物質を出現させることができるケージド試薬が考案されている。このケージド試薬は、殻となるケージド基の中に、カルシウムイオンなどのイオン物質を包含させたもので、標本内に抽入したのち、紫外線を照射することによってケージド基が開裂するため、所望の特定部位にイオン物質を出現させることができる。
【0006】
以上の蛍光指示薬と、ケージド試薬とを標本内に導入し、特定部位のケージド試薬を開裂させ、以降の蛍光指示薬からの蛍光を観察する装置が特開平9−329750号公報に開示されている。この装置では、一つの走査手段に蛍光指示薬を励起するための第1のレーザ光源と、ケージド試薬を開裂させるための第2のレーザ光源を設置し、第1のレーザで標本のある焦点面内を走査して蛍光指示薬によるイオン濃度分布を観察しながら、所望の走査位置において、第2のレーザを照射することによって第1のレーザと同一焦点位置でケージド試薬を開裂させることができるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような公知では、▲1▼第2のレーザは、第1のレーザと同一の焦点面内にしか照射できない。▲2▼第2のレーザは、第1のレーザと同一走査タイミングでしか照射できない。▲3▼蛍光指示薬は、第2のレーザによっても蛍光を発するため、第2のレーザを照射した際の測光値は、測定値としての意味が薄れるなどの問題がある。
【0008】
これらの問題を解決するため、特開平10−206742号公報には、蛍光指示薬を励起して蛍光像を得るための走査手段と、ケージド試薬を開裂させるための走査手段とをそれぞれ独立させた複数の走査光学系を具備した構造が記載されている。しかしながら、この構造では、第2のレーザにより開裂したケージド試薬によるイオン濃度の変化を、第1のレーザによる蛍光像で計測する際、第2のレーザ照射と第1の蛍光像の計測との時間的な関係を保証する手段が設けられていないため、近年、要求されている経時変化測定における時間的精度への要求を満たすことが難しい問題を有している。
【0009】
そこで本発明では、このような複数の走査光学系を使用した場合においても、第2のレーザにより開裂したケージド試薬によるイオン濃度の経時変化を、第1のレーザによる蛍光像で計測する際の時間的な測定精度を向上させることが可能な走査型レーザ顕微鏡を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、標本の走査画像を得るための第1の走査光学系と、標本の特定の部位に特異現象を発現させるための第2の走査光学系とを備えた走査型レーザ顕微鏡において、前記第2の走査光学系からの標本へのレーザ光の照射を前記第1の走査光学系の走査に同期させたことを特徴とする。
【0011】
この発明において、第2の走査光学系からのレーザ光の照射による特異現象の発現が、第1の走査光学系による標本の走査画像の取得に正確に同期し、しかも特異現象に伴う蛍光指示薬からの蛍光輝度の変化の影響を受けることがない。このため、時間的な測定精度と、蛍光輝度の測定精度を共に向上することが可能となる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第1の走査光学系の走査に同期して、前記第2の走査光学系の走査を開始又は停止することを特徴とする。
【0013】
この発明では、所望の領域で特異現象を発現させる時のイオン濃度分布の時間変化を、時間的な測定精度及び蛍光輝度の測定精度を向上させた状態で測定することが可能となる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第1、第2の走査光学系にそれぞれ設けられた第1、第2の走査光学ユニットと、前記第2の走査光学系に備えられたレーザシャッタ手段と、前記第1、第2の走査光学ユニットの制御及び前記レーザシャッタ手段の開閉制御を行うコントロールユニットを備え、前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットの走査と前記レーザシャッタ手段の開閉を同期制御し、前記第1走査光学ユニットの垂直同期信号または水平同期信号に基づいて前記レーザシャッタ手段を開状態にし、前記第2の走査光学系からのレーザ照射を開始することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第1、第2の走査光学系にそれぞれ設けられた第1、第2の走査光学ユニットと、前記第2の走査光学系に備えられたレーザシャッタ手段と、前記第1、第2の走査光学ユニットの制御及び前記レーザシャッタ手段の開閉制御を行うコントロールユニットを備え、 前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける走査の帰線区間中だけ前記レーザシャッタ手段を開状態にして前記第2の走査光学系からのレーザ照射を行うことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項3又は4に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記コントロールユニットが前記第2の走査光学ユニットを制御することで、前記標本の所望の位置へ第2走査光学系からのレーザ照射を行うことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項2に記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第1、第2の走査光学系にそれぞれ設けられた第1、第2の走査光学ユニットと、前記第2の走査光学系に備えられたレーザシャッタ手段と、前記第1、第2の走査光学ユニットの制御及び前記レーザシャッタ手段の開閉制御を行うコントロールユニットを備え、 前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける走査の帰線区間に前記レーザシャッタ手段を開閉制御するとともに前記第2の走査光学ユニットが所望の走査領域を走査するように走査制御することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける垂直方向又は水平方向の走査の帰線区間に出力される照射指示信号をトリガとして、前記レーザシャッタ手段の開閉制御と前記第2の走査光学ユニットの走査制御を行い、この第2の走査光学ユニットによる前記所望の走査領域の走査は、前記第1走査光学ユニットの帰線区間中に完了することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける垂直方向又は水平方向の走査の帰線区間に出力される照射指示信号をトリガとして、前記レーザシャッタ手段の開閉制御と前記第2の走査光学ユニットの走査制御を行い、この第2の走査光学ユニットによる前記所望の走査領域の走査が完了するまで前記第1走査光学ユニットによる走査を停止することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の走査型レーザ顕微鏡の実施の形態1の光学系のブロック図である。走査型レーザ顕微鏡は、第1のレーザ光源1からのレーザ光を標本19の焦点面上を走査する観察用の第1の走査光学系Aと、第2のレーザ光源11から出力されるレーザ光を標本の任意の位置に照射してケージド試薬を開裂させるための第2の走査光学系Bとを備えている。第2の走査光学系Bは標本の特定部位に特異現象を発現させる光学系である。
【0015】
第1の走査光学系Aは、第1のレーザ光源1、ダイクロイックミラー2、第1のレーザシャッタ3、第1の走査光学ユニット4、リレーレンズ5及びミラー6から構成される。更に第1の走査光学系Aのダイクロイックミラー2の分岐光路上には、検出光学系Cが配置されている。この検出光学系Cは、測定フィルタ7、レンズ8、共焦点ピンホール9及び光電変換素子10により構成される。
【0016】
第2の走査光学系Bは、ケージド試薬を開裂させるための第2のレーザ光源11、第2のレーザシャッタ12、第2の走査光学ユニット13、リレーレンズ14及びダイクロイックミラー15から構成される。第1の走査光学系Aの光軸と、第2の走査光学系の光軸とは、ダイクロイックミラー15により合成され、結像レンズ16、対物レンズ17に導かれる。また、リレーレンズ5およびリレーレンズ14の焦点位置は、結像レンズ16の焦点位置と一致するように配置されている。標本19はステージ18上に載置されている。
【0017】
前記ダイクロイックミラー15は、第1の走査光学系Aからのレーザ光の波長より長波長の光を透過すると共に、第2の走査光学系Bからのレーザ光の波長を反射する特性となっている。前記第1及び第2のレーザシャッタ3及び12、第1及び第2の光学走査ユニット4及び13、光電変換素子10は、コントロールユニット21に接続されている。このコントロールユニット21には、CRTディスプレイ22が接続されている。コントロールユニット21は後述するように、第2の走査光学系Bからのレーザ光の標本19への照射を第1の走査光学系Aの走査に同期させるものである。
【0018】
次に、このように構成した走査型レーザ顕微鏡の作用を説明する。第1のレーザ光源1からのレーザ光は、コントロールユニット21により開閉制御される第1のレーザシャッタ3が開状態のときに通過し、同じくコントロールユニット21により走査制御される第1の走査光学ユニット4へ導かれ、任意の方向に偏向走査される。このレーザ光はさらに、リレーレンズ5、ミラー6、ダイクロイックミラー15、結像レンズ16、対物レンズ17を介して、標本19の断面20上に集光され、断面20内を2次元走査する。
【0019】
標本19には第1のレーザ光源1の波長によって励起される蛍光指示薬が導入されており、断面20内をレーザ光が走査することにより、蛍光指示薬が励起されて蛍光を生じる。対物レンズ17により捕らえられた蛍光は、上記レーザ光と同じ光路を逆向きに進み、対物レンズ17、結像レンズ16、ダイクロイックミラー15を透過し、ミラー6、リレーレンズ5、第1の走査光学ユニット4を介してダイクロイックミラー2へ導かれる。ダイクロイックミラー2は、第1のレーザ光源1からのレーザ光の波長より長波長側の光を反射する特性となっており、これにより上記蛍光はダイクロイックミラー2により反射され、検出光学系Cへ導入される。
【0020】
検出光学系Cにおいて、蛍光は測光フィルタ7により特定の波長の光が選択透過され、さらにレンズ8、共焦点ピンホール9により断面20からの光のみが選択されて、光電変換素子10へ入射する。
【0021】
光電変換素子10からの出力信号は、コントロールユニット21へ導かれ、走査制御に同期してディジタル信号に変換され、走査位置に対応してCRTディスプレイ画面22上に表示される。表示された画像は、断面20での蛍光画像(蛍光輝度の2次元分布)、すなわち所望のイオン濃度の断面20内での分布を示している。
【0022】
一方、第2のレーザ光源11からのレーザ光は、コントロールユニット21が開閉制御する第2のレーザシャッタ12が開状態のときに、第2の走査光学系13、リレーレンズ14、ダイクロイックミラー15を介して第1の走査光学系Aからの光軸と合成される。そして、結像レンズ16、対物レンズ17を透過して、標本19の断面20上に照射される。この時の断面20内での照射位置は、コントロールユニット21により第2の走査光学系13を制御することで第1の走査光学系の走査位置に依存しない任意の位置を選択することができる。
【0023】
このように第2のレーザ光源11からのレーザ光が、ケージド試薬を導入した標本19に照射されると、照射された部位のケージド試薬のケージド基が開裂し、内部に包含されている物質が放出される。この放出による標本19内の上記イオン濃度分布の変化を、上記第1の走査光学系Aにより得られる画像により測定できる。
【0024】
次に、第1の走査光学系Aの標本19への走査と、第2の走査光学系Bからの標本19へのレーザ光の照射の同期制御を行うコントロールユニット21について図2に基づいて説明する。図2はコントロールユニット21の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図1にも示すように、第1及び第2の走査光学ユニット4及び13は、2つの光学スキャナ4a、4b及び13a、13bを備えている。コントロールユニット21は、第1の走査光学系4の光学スキャナ4a、4bを走査制御する第1の走査波形発生回路23と、第1のレーザシャッタ3を開閉制御する第1のシャッタ開閉回路24と、第2の走査光学系B内の第2のレーザシャッタ12を開閉制御する第2のシャッタ開閉回路25と、第2の走査光学ユニット13内の光学スキャナ13a,13bを任意の方向に設定する駆動回路26と、検出光学系C内の光電変換素子10からの蛍光輝度信号をA/D 変換し、蛍光画像としてCRTディスプレイ22へ出力して表示を行う画像処理回路28と、これらの各回路を制御するCPU27とで構成される。
【0026】
CPU27は蛍光画像を得るため、第1の走査波形発生回路23に対して目的とする断面20内の目的とする範囲を第1のレーザ光源1からのレーザ光が走査するような走査波形を指示して走査制御を開始する。CPU27により走査開始が指示された第1の走査波形発生回路23は、CPU27により指示された走査波形を、第1の走査光学ユニット4内の2つの光学スキャナ4a、4bに対し、走査波形30,31(図3参照)をそれぞれ出力する。なお、ここでは光学スキャナ4aが水平方向の主走査を、光学スキャナ4bが垂直方向の副走査を行うものである。
【0027】
これと同期して、CPU27は第1のレーザ光源1からのレーザ光を標本19に照射するため、第1のレーザシャッタ03を開状態にするように第1のシャッタ開閉回路24へ指示を行う。これによりレーザ光が断面20内で2次元走査を始める。
【0028】
第1の走査波形発生回路23は走査波形30,31の出力を始めると、画像処理回路28に対して、図3に示す各種同期信号29を出力する。画像処理回路28はこれらの各種同期信号のうち、各画素ごとに発生するクロック信号29aにより光電変換素子10から出力される蛍光輝度信号をA/D変換する。そして、これによって得られたディジタルデータと、垂直同期信号29bと、水平同期信号29cとから画像を形成してディスプレイ22上に表示する。この場合、垂直同期信号29bの1サイクル分が1枚の画像となる。
【0029】
このようにして得られた画像は、ケージド試薬が開裂する前における標本19内のイオン濃度分布の初期状態を示す画像となる。かかる画像を1枚ないし複数枚測定した後、CPU27は第2のシャッタ開閉回路25に対して第2のレーザシャッタ12を開状態にするように指示する。ここで、第2の走査光学ユニット13は、第2のレーザ光源11からのレーザ光を断面20の所望の位置に照射できるように、駆動回路26により偏向方向が設定されているものとする。
【0030】
第2のシャッタ開閉回路25は、CPU27からの指示と、上述した第1の走査波形発生回路23からの同期信号に基づいて、第2のレーザシャッタ12を開状態として、第2のレーザ光源11のレーザ光を標本19に照射し、ケージド試薬を開裂させる。従って、これ以降に得られる画像は、ケージド試薬が開裂したことによる標本内の変化を示すものとなる。
【0031】
図4は上記第2のシャッタ開閉回路25がレーザシャッタ12を開閉するタイミングを示す。ケージド試薬の開裂による標本19内でのイオン濃度の時間的な変化を精度良く測定するためには、ケージド試薬の開裂のタイミングを、第1の走査波形発生回路23の垂直同期信号29bまたは水平同期信号29cに同期させることが好ましい。また、第2のレーザ光源11のレーザ光の照射によっても、イオン感受性蛍光試薬がある程度の蛍光を生じる。これによって、光電変換素子10へ入射する蛍光輝度が変化し、得られる蛍光画像に影響を与える。そこで、第1の走査波形発生回路23から第2のシャッタ開閉回路25への照射指示信号33は、垂直方向の走査帰線区間40または水平方向の走査帰線区間41内、すなわち、光電変換素子10からの蛍光輝度信号が画像処理回路28の生成する画像に反映されない区間に出力されるように制御する。
【0032】
これにより、ケージド試薬の開裂が、蛍光画像の取得に正確に同期し、しかもケージド試薬の開裂に伴う蛍光指示薬からの蛍光輝度の変化の影響を受けないため、時問的な測定精度及び蛍光輝度の測定精度の双方を共に向上させることが可能となる。
【0033】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、第2のレーザ光源11からのレーザ光を、所望の一点に固定し、第1のレーザ光源1からのレーザ光の走査に同期して照射するようにしているが、使用目的によっては、ある程度面積を有した領域のケージド試薬を開裂させる必要がある。そこで、この実施の形態2では、コントロールユニット21における駆動回路26を、第2の走査光学ユニット13内の光学スキャナ13a,13bを任意に走査制御する第2の走査波形発生回路26’(図示省略)とするものである。
【0034】
この実施の形態では、CPU27は上述した蛍光画像を得るため、標本19の目的とする断面20内の目的とする範囲を第1のレーザ光源1からのレーザ光が走査するように第1の走査波形発生回路23に走査波形を指示する。これと共に、ケージド試薬を開裂させる所望の領域を第2のレーザ光源11からのレーザ光が走査するように第2の走査波形発生回路26’に対して走査波形を指示する。
【0035】
CPU27は、第1の走査波形発生回路23に対して走査開始を指示するとともに、第1のシャッタ開閉回路24に対して、第1のレーザシャッタ3を開状態にするように指示する。そして、1枚ないし複数枚の標本19内のイオン濃度分布の初期状態を示す画像を取得した後、CPU27は、第2の走査波形発生回路26´に対して、走査開始を指示するとともに、第2のシャッタ開閉回路25に対して第2のレーザシャッタ12を開状態にするように指示する。
【0036】
第2のシャッタ開閉回路25および第2の走査波形発生回路26’は、第1の走査波形発生回路23から垂直方向の走査帰線区間40または水平方向の走査帰線区間41に出力される照射指示信号33をトリガとして、第2の走査光学ユニット13の走査制御、すなわちレーザシャッタ12の開閉制御を行う。ここでは、第2の走査波形発生回路26’に指示する走査波形は、上記第1の走査波形の垂直方向の走査帰線区間40または水平方向帰線区間41内に、所望の領域を走査完了するように設定する必要がある。これに代えて、第2の走査波形発生回路26’が所望の領域を走査完了するまで、第1の走査波形発生回路23からの走査波形を停止するようにしても良い。
【0037】
この実施の形態では、以上のような構成を備えることにより、所望の領域のケージド試薬を開裂させた時のイオン濃度分布の時間変化を、時間的な測定精度及び蛍光輝度の測定精度を向上させた状態で測定することが可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、第2のレーザ光の照射による特異現象の発現が、第1の走査光学系による標本の走査画像の取得に正確に同期し、しかも特異現象に伴う蛍光指示薬からの蛍光輝度の変化の影響を受けることがないため、時間的な測定精度及び蛍光輝度の測定精度を共に向上することができる。
【0039】
請求項2の発明によれば、所望の領域で特異現象を発現させる時のイオン濃度分布の時間変化を、時間的な測定精度及び蛍光輝度の測定精度を向上させた状態で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における光学系のブロック図である。
【図2】コントロールユニットのブロック図である。
【図3】第2の走査光学系のレーザ照射を第1の走査光学系の走査に同期させるタイミングチャートである。
【図4】第2の走査光学系のレーザ照射のタイミングチャートである。
【符号の説明】
A 第1の走査光学系
B 第2の走査光学系

Claims (8)

  1. 標本の走査画像を得るための第1の走査光学系と、標本の特定の部位に特異現象を発現させるための第2の走査光学系とを備えた走査型レーザ顕微鏡において、
    前記第2の走査光学系からの標本へのレーザ光の照射を前記第1の走査光学系の走査に同期させたことを特徴とする走査型レーザ顕微鏡。
  2. 請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡において、前記第1の走査光学系の走査に同期して、前記第2の走査光学系の走査を開始又は停止することを特徴とする走査型レーザ顕微鏡。
  3. 前記第1、第2の走査光学系にそれぞれ設けられた第1、第2の走査光学ユニットと、前記第2の走査光学系に備えられたレーザシャッタ手段と、前記第1、第2の走査光学ユニットの制御及び前記レーザシャッタ手段の開閉制御を行うコントロールユニットを備え、
    前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットの走査と前記レーザシャッタ手段の開閉を同期制御し、前記第1走査光学ユニットの垂直同期信号または水平同期信号に基づいて前記レーザシャッタ手段を開状態にし、前記第2の走査光学系からのレーザ照射を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の走査型レーザ顕微鏡。
  4. 前記第1、第2の走査光学系にそれぞれ設けられた第1、第2の走査光学ユニットと、前記第2の走査光学系に備えられたレーザシャッタ手段と、前記第1、第2の走査光学ユニットの制御及び前記レーザシャッタ手段の開閉制御を行うコントロールユニットを備え、
    前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける走査の帰線区間中だけ前記レーザシャッタ手段を開状態にして前記第2の走査光学系からのレーザ照射を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の走査型レーザ顕微鏡。
  5. 前記コントロールユニットが前記第2の走査光学ユニットを制御することで、前記標本の所望の位置へ第2走査光学系からのレーザ照射を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の走査型レーザ顕微鏡。
  6. 前記第1、第2の走査光学系にそれぞれ設けられた第1、第2の走査光学ユニットと、前記第2の走査光学系に備えられたレーザシャッタ手段と、前記第1、第2の走査光学ユニットの制御及び前記レーザシャッタ手段の開閉制御を行うコントロールユニットを備え、
    前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける走査の帰線区間に前記レーザシャッタ手段を開閉制御するとともに前記第2の走査光学ユニットが所望の走査領域を走査するように走査制御することを特徴とする請求項2に記載の走査型レーザ顕微鏡。
  7. 前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける垂直方向又は水平方向の走査の帰線区間に出力される照射指示信号をトリガとして、前記レーザシャッタ手段の開閉制御と前記第2の走査光学ユニットの走査制御を行い、この第2の走査光学ユニットによる前記所望の走査領域の走査は、前記第1走査光学ユニットの帰線区間中に完了することを特徴とする請求項6記載の走査型レーザ顕微鏡。
  8. 前記コントロールユニットは、前記第1走査光学ユニットにおける垂直方向又は水平方向の走査の帰線区間に出力される照射指示信号をトリガとして、前記レーザシャッタ手段の開閉制御と前記第2の走査光学ユニットの走査制御を行い、この第2の走査光学ユニットによる前記所望の走査領域の走査が完了するまで前記第1走査光学ユニットによる走査を停止することを特徴とする請求項6記載の走査型レーザ顕微鏡。
JP07964299A 1999-03-24 1999-03-24 走査型レーザ顕微鏡 Expired - Fee Related JP4468507B2 (ja)

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