JP4465775B2 - ジクロロブテンの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はブテンジオールと塩化チオニルを反応させて、ジクロロブテンを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジクロロブテンの製造法として、ブタジエンと塩素を液相で反応させるクロル化法(特開昭53−130609号公報)や気相で反応させる方法(英国特許第1129226号公報)が知られている。しかし、ブタジエンのジクロル化ではシス−1,4−ジクロロ−2−ブテン、トランス−1,4−ジクロロ−2−ブテン、3,4−ジクロロ−1−ブテン等、種々の異性体が生成し、選択性が悪い。また、シス−2−ブテン−1、4−ジオールのジクロル化としては、塩酸で気相クロル化する方法(独国特許第2149822号公報)、クロロホル溶媒中で塩化チオニルとトリエチルアミンでジクロル化する方法(Org.Prep.Proced.,(1978)、10巻、133頁)、無溶媒下、塩化チオニルとピリジン共存下でジクロル化する方法(ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.),(1960)、25巻、2230頁)、無溶媒下、三塩化リンとピリジン共存下でジクロル化する方法(ジャーナル オブアメリカン ケミカル ソサイエテイー(J.Am.Chem.Soc.),(1951)、73巻、244頁)等が知られている。塩酸で気相クロル化させる方法は、特殊な設備が必要となる。また、クロロホルム溶媒中で塩化チオニルを反応させる方法は、汎用設備が使用でき簡便な方法ではあるが、反応溶媒にクロロホルムを使用するために環境汚染の発生が懸念される。無溶媒下にて、塩化チオニルをピリジン共存下で反応させる方法は収率が56%と低く、効率が悪い。更に、三塩化リンをピリジン共存下で反応させる方法は収率が28%と低く、効率が悪い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等はこれらの欠点を解決し、選択性が高く、汎用設備で生産することが可能で、かつ環境汚染に配慮した、効率的なブテンジオールの製造法を見出すことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はこれらの課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、ブテンジオールと塩化チオニルをピリジン誘導体存在下で反応させる際に、芳香族炭化水素溶媒を共存させることにより、作業性が高く、高収率でジクロロブテンが製造できることを見出した。更に、反応終了後に分液してくるピリジン誘導体塩酸塩層はリサイクル使用できることから、廃棄物が少なく、環境汚染に配慮した製造法を見出し、上記課題を達成した。
【0005】
即ち、本発明は、ブテンジオールと塩化チオニルを反応させるに際し、一般式(1)
【化1】
(ここで、R 1 ,R 2 は水素、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基でジ置換されているアミノ基のいずれかを示し、同一、または異なっていてもよい。)で表されるピリジンまたはピリジン誘導体共存下、芳香族炭化水素溶媒中で反応させることを特徴とするジクロロブテンの製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の原料であるブテンジオールはシス−2−ブテン−1,4−ジオール、トランス−2−ブテン−1,4−ジオール、1−ブテン−3,4−ジオールである。目的物であるジクロロブテンの異性体純度は、原料のブテンジオールの異性体純度と連動する。従って、高い異性体純度のジクロロブテンを製造する場合には、原料も高い異性体純度のブテンジオールを使用する必要がある。
【0007】
もう一方の原料である塩化チオニルは工業グレード品が使用できる。使用量はブテンジオールに対して1.9〜3.0倍モルが好ましく、さらに好ましくは2.0〜2.3倍モルである。この範囲であれば、ジクロロブテンの収率も高く、廃棄物の量も少ない。ここで、系内に水分があると塩化チオニルが分解するので、水分が混入しないようにするのが好ましい。
【0008】
触媒として使用するピリジン誘導体は一般式(1)
【0009】
【化2】
【0010】
(ここで、R1,R2は水素、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン、炭素数1〜4のアルキル基でジ置換されているアミノ基のいずれかを示し、同一、または異なっていてもよい。)で表される化合物が好ましく、具体的にはピリジン、2−メチルピリジン等のアルキルピリジン類、2−メチルー5−エチルピリジン等のジアルキルピリジン類、4−ジメチルアミノピリジン等のジアルキルアミノピリジン類などが挙げられ、さらに好ましくはピリジンや4−ジメチルアミノピリジンである。
【0011】
触媒(ピリジン誘導体)の使用量はブテンジオールに対して0.1〜0.9倍モルが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.4倍モルである。この範囲であれば反応速度、転化率が良好である。
【0012】
反応溶媒として使用する芳香族炭化水素は炭素数1〜4の低級アルキル基で置換されたアルキル置換ベンゼンが好ましく、具体的には、トルエン、エチルベンゼン等のアルキルベンゼン類、キシレン、シメン等のジアルキルベンゼン類、メシチレン等のトリアルキルベンゼン類、テトラメチルベンゼン等のテトラアルキルベンゼン類等があげられるが、脱塩酸、脱塩化チオニル、更に回収再使用を考慮するとトルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類が好ましく使用できる。
【0013】
ブテンジオールの仕込み濃度は任意であるが、作業性や生産効率を考慮すると10〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは15〜25重量%である。
【0014】
反応温度は0〜60℃が好ましく、さらに好ましくは0〜40℃である。この範囲であれば反応液の温度コントロールも容易であり、副生物も少なく、反応時間も短い。
【0015】
反応方法は反応液の温度をコントロールできれば何れの方法でも良いが、ブテンジオール、芳香族炭化水素溶媒、及びピリジン誘導体を反応器に仕込み、攪拌しながら塩化チオニルを滴下する方法が好ましい。この方法であれば、塩化チオニルの滴下速度で副生する塩酸量や反応液の温度をコントロールすることが可能であり、反応を円滑に実施することができる。排ガスはアルカリ溶液でトラップすることで、環境汚染を防ぐ。
【0016】
反応時間は反応温度や触媒量に影響されるが、通常は2〜20時間である。
【0017】
反応終了後、系内を微減圧にして反応液に溶解している過剰の塩化チオニルや副生塩酸を系外に除去する。ここで、反応液温度が25〜35℃であると、ピリジン誘導体塩酸塩層が分液してくる。25℃未満であると、反応液濃度にもよるがピリジン誘導体塩酸塩が固化・析出し、作業性が低下するので好ましくない。分液したピリジン誘導体塩酸塩層は分取し、そのままリサイクル使用できる。
【0018】
ピリジン誘導体塩酸塩層を除去した上層はそのまま蒸留すれば精製ジクロロブテンが得られる。また、更に誘導体に加工する原料とする場合には、未精製のジクロロブテンをそのまま使用することもできる。
【0019】
ブテンジオールと塩化チオニルを芳香族炭化水素溶媒中でピリジン誘導体共存下、0〜60℃で反応させる工程、25〜40℃にて2層分離した反応液をそれぞれ分液する工程、分離した下層を次工程のピリジン誘導体としてリサイクル使用する工程を含む製造法でジクロロブテンを製造することもできる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。なお、ここで使用する試薬類は工業グレード品である。
【0021】
実施例1
トルエン267g、シス−2−ブテン−1,4−ジオール89.0g(1mol)及びピリジン19.8g(0.25mol)を仕込み、攪拌しながら塩化チオニル255.0g(2.14mol)を反応液温度が0〜10℃を保つようなスピードで滴下した。排ガスはアルカリ水溶液を経由させ、塩酸、亜硫酸ガス、過剰の塩化チオニルをトラップしてから大気中に放出した。滴下終了後、反応液温度を40〜50℃に保ちながら更に1時間熟成した。転化率は約100%であった。次いで、反応液温度を30〜35℃に保ちながら10〜12kPaの微減圧にて更に1時間攪拌して系中の塩酸、過剰の塩化チオニルを除去した。攪拌を止め、静置すると2層が分液してくる。上層はシス−1,4−ジクロロ−2−ブテンを主成分とするトルエン層で、下層はピリジン塩酸塩が主成分であった。2層を分液し、上層をそのまま減圧蒸留し、8kPa、72〜76℃の留分としてシス−1,4−ジクロロ−2−ブテン99.8g得た。収率は79.3%であった。下層は41.8gあった。
【0022】
実施例2
トルエン267g、シス−2−ブテン−1,4−ジオール89.0g(1mol)及び実施例1の下層41.8gを仕込み、攪拌しながら塩化チオニル255.0g(2.14mol)を反応液温度が0〜10℃を保つようなスピードで滴下し、実施例1と同様にして反応させた。反応液中のシス−1,4−ジクロロ−2−ブテン収率は89.1%であった。
【0023】
実施例3
塩化チオニルの滴下温度を10〜25℃にして、実施例1と同様にして反応させた。反応液中のシス−1,4−ジクロロ−2−ブテン収率は83.5%であった。
【0024】
実施例4
ピリジンの替わりに4−ジメチルアミノピリジンを使用し、実施例1と同様にして反応させた。反応液中のシス−1,4−ジクロロ−2−ブテン収率は90.5%であった。
【0025】
実施例5
ピリジン添加量を7.9g(0.1mol)、39.5g(0.5mol)に変え、実施例1と同様に反応させた。熟成1時間後のシス−1,4−ジクロロ−2−ブテン収率はそれぞれ72.5%、90.2%であった。
【0026】
実施例6
シス−1,4−ジクロロ−2−ブテンの替わりに1,4−ジクロロ−2−ブテンのシス、トランス混合物を使用し、実施例1と同様にして反応させた。熟成1時間後の1,4−ジクロロ−2−ブテン(シス、トランス混合物)の収率は88.7%であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、ブテンジオールから穏和な反応条件で、効率よく、高収率でジクロロブテンが製造できる。更に、触媒がリサイクル使用でき、廃棄物が少なく、環境汚染に配慮した製造法である。
Claims (4)
- 芳香族炭化水素溶媒が炭素数1〜4の低級アルキル基で置換されているアルキル置換ベンゼンであることを特徴とする請求項1記載のジクロロブテンの製造法。
- ブテンジオールと塩化チオニルを芳香族炭化水素溶媒中でピリジン誘導体共存下、0〜60℃で反応させる工程、25〜40℃にて2層分離した反応液をそれぞれ分液する工程、分離した下層を次工程のピリジン誘導体としてリサイクル使用する工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載のジクロロブテンの製造法。
- ブテンジオールが シス−2−ブテン−1,4−ジオールであり、ジクロロブテンが シス−1,4−ジクロロ−2−ブテンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のジクロロブテンの製造法。
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