JP4465148B2 - Nogoレセプターホモログ - Google Patents

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、神経学および分子生物学に関する。より詳細には、本発明は、CNSニューロンおよび軸索成長に関する。
【0002】
(背景)
生物の細胞が互いに連絡し、そしてその環境から情報および刺激を獲得する機構の中には、細胞表面に発現される細胞膜レセプター分子を介した機構が存在する。多くのこのようなレセプターが同定され、特徴付けられ、そして時折、構造モチーフおよびシグナル伝達特徴に基づいて、主要なレセプタースーパーファミリーに分類されている。これらのレセプターは、細胞外シグナルを細胞の生理学的応答に変換するための最初の重要な連結部である。
【0003】
ニューロン上のレセプターは、胚発生の間の神経系の発生において特に重要である。ニューロンは、レセプター媒介性のプロセスにおいて、標的細胞に向うニューロンの軸索伸長によって、発生の間に標的細胞との接続を形成する。軸索および樹状突起は、成長円錐として公知の遠位先端の特殊化した領域を有する。成長円錐は、ニューロンが、レセプター媒介性プロセスによって局所的環境を感知し、そしてニューロンの標的細胞に向かう、ニューロンの軸索または樹状突起の移動を指向することを可能にする。このプロセスは、伸長として公知である。成長円錐は、いくつかのガイダンスキュー(例えば、表面接着、増殖因子、神経伝達物質および電場)に感受性であり得る。円錐での成長のガイダンスは、種々のクラスの接着分子、細胞間シグナル、ならびに成長円錐を刺激および阻害する因子に依存する。
【0004】
興味深いことに、損傷したニューロンは、外傷または疾患に起因する損傷後の中枢神経系(CNS)において伸長しないが、一方で、末梢神経系(PNS)において軸索は、容易に再生する。損傷したCNSニューロンが伸長できないという事実は、CNS軸索の固有の特性に起因せず、むしろ軸索伸長について許容性でないCNS環境に起因する。Aguayoおよび共同研究者ら(例えば、Richardsonら、(1980)Nature 284、264−265)による古典的な移植実験は、CNS軸索が、末梢神経移植片内のかなりの距離を実際に伸長し得ること、およびCNSミエリンが、CNS軸索伸長を阻害することを実証した。従って、適切な環境を与えると、CNS軸索は再生し得、このことは、CNS軸索損傷が、CNS環境の適切な操作によって、潜在的に対処され得ることを含意する。
【0005】
損傷後の軸索再生の非存在は、軸索成長インヒビターの存在に起因し得る。これらのインヒビターは、ミエリンと優先的に会合し、そして再生のための重要な障壁をなす。軸索成長インヒビターは、CNS由来のミエリンおよびCNSにおいてミエリンを合成する稀突起神経膠細胞の原形質膜に存在する(Schwabら、(1993)Annu.Rev.Neurosci.16、565−595)。ミエリン会合インヒビターは、軸索の継続性の妨害後の、インビボのCNS軸索再生の失敗の主な寄与因子であるようであるが、CNS中の他の非ミエリン会合軸索増殖インヒビターは、CNSにおいてあまり役割を果たさないかもしれない。これらのインヒビターは、外傷、発作またはウイルス感染に起因する神経損傷後の軸索再生をブロックする。
【0006】
多数のミエリン由来の軸索成長インヒビターが特徴付けされている(総説については、Davidら、(1999)WO995394547;Bandmanら、(1999)米国特許第5,858,708号;Schwab、(1996)Neurochem.Res.21、755−761を参照のこと)。CNS白質のいくつかの成分(NI35、NI250(Nogo)およびミエリン会合糖タンパク質(MAG)(これらは、軸索伸長について、阻害的活性を有する))が、同様に記載されている(Schwabら、(1990)WO9005191;Schwabら、(1997)米国特許第5,684,133号)。特に、Nogoは、250kDaのミエリン会合軸索成長インヒビターであり、これは、元々、インビトロで精製されたタンパク質およびこのタンパク質の活性を中和するモノクローナル抗体の効果に基づいて、特徴付けられた(Schwab(1990)Exp.Neurol.109、2−5)。Nogo cDNAは、脳のcDNAの無作為分析によって最初に同定され、機能は示唆されなかった(Nagaseら、(1998)DNA Res.5、355−364)。250kDaのミエリン会合軸索成長インヒビターをコードするcDNAとしての、このNogo cDNAの同定は、ほんの最近発見された(GrandPreら、(2000)Nature 403、439−444;Chenら、(2000)Nature 430、434−439;Prinjhaら、(2000)Nature 403、383−384)。
【0007】
重要なことに、Nogoは、軸索伸長および再生の阻害を担うCNSミエリンの主な成分であることが示された。稀突起神経膠細胞によるが、シュワン細胞(この細胞は、P.S.軸索をミエリン化する)によらない、Nogoの選択的発現は、P.S.ミエリンとは対照的に、CNSミエリンの阻害効果と一致する(GrandPreら、(2000)Nature 403、434−439)。培養物において、Nogoは、軸索伸長を阻害し、そして成長円錐崩壊を生じる(Spillmannら(1998)J.Biol.Chem.272、19283−19293)。Nogoに対する抗体(例えば、IN−1)は、インビトロの軸索成長に対するCNSミエリンの阻害作用のほとんどをブロックすることが示された(Spillmannら(1998)J.Biol.Chem.272、19283−19293)。これらの実験は、Nogoが、培養物中で軸索伸長の阻害を担うCNSミエリンの主要成分であることを示す。さらに、インビボで、IN−1抗体は、脊髄損傷後の軸索再生を増強し、接触配置(contact placing)およびストライド長(stride length)のような挙動の回復を生じる(SchnellおよびSchwab(1990)Nature 343、269−272;Bregmanら、(1995)Nature 378、498−501)。従って、Nogoが疾患関連の分子標的であるという実質的な証拠が存在する。レセプターに対するNogoの結合を妨害する薬剤は、軸索が損傷された臨床的状態において軸索再生を改善し、そして患者の結果を改善することが期待される。
【0008】
Nogoの調節は、CNSの外傷、梗塞および変性疾患(Schwabら、(1994)WO9417831;Tatagibaら、(1997)Neurosurgery 40、541−546)ならびにCNSにおける悪性腫瘍(例えば、膠芽腫)(Schwabら、(1993)米国特許第5,250,414号;Schwabら、(2000)米国特許第6,025,333号)によって損傷されたニューロンの再生の処置のための手段として記載されてきた。
【0009】
Nogoを認識する抗体は、CNSの外傷、梗塞および変性疾患から生じる神経損傷の診断および処置において有用であることが示唆されている(Schnell&Schwab、(1990)Nature 343、269−272;Schwabら、(1997)米国特許第5,684,133号)。CNS軸索について、ミエリンの存在と長距離にわたる軸索再生の阻害との間に相関が存在する(SavioおよびSchwab(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.87、4130−4133;Keirsteadら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.89、11664−11668)。Nogoが抗体によってブロックされた後、ニューロンは、再び神経損傷によって引き起こされた病変を横切って伸長し得る(SchnellおよびSchwab(1990)Nature 343、269−272)。
【0010】
(発明の要旨)
マウスおよびヒトにおいて、Nogoレセプター(NgR1)のホモログ(NgR2およびNgR3)をコードする遺伝子が発見されている。NgR2遺伝子およびNgR3遺伝子によってコードされるポリペプチド中の種々のドメインが同定され、そしてマウスおよびヒトのNgR1ポリペプチドのドメインと比較されている。この比較によって、タンパク質のファミリー(NgRファミリー)を特徴付けるコンセンサス配列(NgRコンセンサス配列)が同定された。これらおよび他の発見に基づいて、本発明は、CNSニューロンにおいて軸索の成長を調節するための分子および方法を特徴とする。
【0011】
本発明は、アミノ酸配列:
【0012】
【化4】
Figure 0004465148
からなる、トリプトファンリッチなLRRCTドメインを含むポリペプチドを含むポリペプチドを提供し、ここで、Xは、任意のアミノ酸またはギャップであり、そしてこのポリペプチドは、配列番号5(ヒトNgR1)の残基260〜309のアミノ酸配列も配列番号17(マウスNgR1)の残基260〜309のアミノ酸配列も含まない。
【0013】
好ましくは、X17およびX23は、(独立して)アルギニンまたはリジンである。いくつかの実施形態において、LRRCTドメインのアミノ酸配列は、配列番号2の残基261〜310、または10個までの保存的置換を含む配列番号2の残基261〜310である。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、以下のNTLRRCTアミノ酸配列:
【0014】
【化5】
Figure 0004465148
を含み、ここで、Xは、任意のアミノ酸残基またはギャップであり、そしてこのポリペプチドは、配列番号5(ヒトNgR1)のポリペプチドでも配列番号17(マウスNgR1)のポリペプチドでもない。例えば、X、X37およびX38は、ギャップを表し得る。本発明のポリペプチドの特定の例は、配列番号2(ヒトNgR2)、配列番号4(マウスNgR3)および配列番号14(ヒトNgR3)である。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、以下を含む:(a)NTLRRCTドメインおよび(b)完全未満のCTSドメイン(但し、部分CTSドメイン(存在する場合)は、CTSドメインの最初の39アミノ酸以下からなる)。このポリペプチドは、機能的GPIドメインを含み得るが、機能的GPIドメインは、存在しなくてもよい(例えば、可溶性ポリペプチドが所望される場合)。本発明のポリペプチドは、必要に応じて、異種ポリペプチド(例えば、抗体のFc部分)のアミノ酸配列を含む。
【0015】
本発明はまた、上記ポリペプチドをコードする核酸;その核酸を含むベクター(この核酸は、発現制御配列に作動可能に連結され得る);およびそのベクターを含む形質転換された宿主細胞、を提供する。本発明のポリペプチドを産生する方法もまた、提供される。この方法は、上記ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入する工程、このポリペプチドの発現に適切な条件下でこの細胞を培養する工程、およびこのポリペプチドを回収する工程を包含する。
【0016】
本発明はまた、そのヌクレオチド配列が、以下からなる群より選択されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に相補的である、アンチセンス分子を提供する:配列番号2の残基311〜395からなるポリペプチド、配列番号14の残基256〜396からなるポリペプチド、および配列番号4の残基321〜438からなるポリペプチド。ここで、この核酸は、8〜100ヌクレオチド長(例えば、20、30、40、50、60、70、80または90ヌクレオチド)である。本発明はまた、このようなアンチセンス分子をコードする核酸を提供する。
【0017】
本発明はまた、上記ポリペプチドに結合する抗体を提供する。本発明のポリペプチドまたは抗体は、そのポリペプチドまたは抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に処方され得る。
【0018】
本発明はまた、CNSニューロンの軸索成長の阻害を減少するための方法を提供する。この方法は、本発明のポリペプチドまたは抗体の治療有効量をそのニューロンに接触させる工程を包含する。本発明はまた、中枢神経系の疾患、障害または損傷を処置するための方法を提供する。この方法は、本発明のポリペプチドまたは抗体の治療有効量を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与する工程を包含する。本発明の分子および方法を使用して処置され得る例示的疾患、障害および損傷としては、大脳損傷、脊髄損傷、発作、脱髄疾患(例えば、多発性硬化症)、単語症脱髄、脳脊髄炎、多病巣性白質脳症、汎脳炎、マルキアファーヴァ−ビニャーミ病、海綿状変性、アレグザンダー病、キャナヴァン病、異染性白質萎縮症およびクラッベ病が挙げられる。
【0019】
本発明はまた、本発明のポリペプチドに結合する分子を同定するための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)本発明のポリペプチドを提供する工程;(b)候補分子にこのポリペプチドを接触させる工程;および(c)そのポリペプチドへの候補分子の結合を検出する工程。
【0020】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本出願(定義を含めて)が優先する。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、参照として援用される。
【0021】
以下に示される材料、方法および実施例は、単に例示的であり、限定することを意図されない。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
【0022】
(発明の詳細な説明)
本発明は、NgRホモログ(本明細書中でNgRと呼ばれる)をコードする精製ポリヌクレオチドおよび単離されたポリヌクレオチド(例えば、DNA配列およびRNA転写物(センス鎖および相補的アンチセンス鎖の両方、一本鎖および二本鎖の両方)(そのスプライス改変体を含む))を提供する。他に示されない限り、本明細書中で使用される場合、小文字の略語(NgR)は、遺伝子、cDNA、RNAまたは核酸配列をいい、大文字バージョン(NgR)は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、オリゴペプチドまたはアミノ酸配列をいう。特定のタンパク質は、番号によって示され、例えば、「NgR2」は、ヒトNgRホモログ、「NgR3」は、マウス由来NgRホモログ、そして「NgR1」は、Stephen Strittmatter博士によって同定された公知のNgRホモログである。公知のNgRは、本明細書中で「NgR」という。本発明のDNAポリヌクレオチドには、ゲノムDNA、cDNA、および全部または一部が化学合成されたDNAが含まれる。
【0023】
当業者に公知の組換えDNA技術の一般原理を示す標準的な参照研究としては、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York(1998);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York(1989);Kaufmanら編、Handbook of Molecular and Cellular Methods in Biology and Medicine、CRC Press、Boca Raton(1995);McPherson編、Directed Mutagenesis:A Practical Approach、IRL Press、Oxford(1991)が挙げられる。
【0024】
本明細書中に使用される場合、用語「軸索」は、ニューロンからの長い細胞の突出をいい、それによって、活動電位が、細胞体へまたは細胞体から伝導される。
【0025】
本明細書中に使用される場合、用語「軸索成長」は、長い突起または軸索の伸長をいい、細胞体で発生し、そして成長円錐に続く。
【0026】
本明細書中に使用される場合、用語「中枢神経系障害」は、中枢神経系(CNS)の異常な機能に関連する任意の病理学的状態をいう。この用語は、脳組織に対する物理的外傷、ウイルス感染、自己免疫機構および遺伝的変異から生じる、変化されたCNS機能を含むが、これに限定されない。
【0027】
本明細書中に使用される場合、用語「脱髄性疾患」は、稀突起膠細胞の細胞膜のミエリン鞘の変性によって特徴付けられる病理学的障害をいう。
【0028】
本明細書中に使用される場合、用語「成長円錐」は、局所的環境の感知およびその適切なシナプスの標的細胞への軸索の移動を担う、成長する神経突起の先端の特定の領域をいう。
【0029】
本明細書中に使用される場合、用語「成長円錐移動」は、ニューロンの標的細胞へ向かう成長円錐の伸長または崩壊をいう。
【0030】
本明細書中に使用される場合、用語「神経突起」は、ニューロンから成長する突起のことをいう。培養物中で樹状突起と軸索を区別することは時折困難であるので、この用語「神経突起」は、両方について使用される。
【0031】
本明細書中に使用される場合、用語「稀突起膠細胞」は、その機能がCNS軸索を有髄化することであるCNSの神経膠細胞をいう。
【0032】
本明細書中で使用され、そして当該分野で理解されるように、用語「合成(された)」とは、酵素的方法とは対照的に、純粋に化学的に生成されたポリヌクレオチドをいう。従って、「全体的に」合成されたDNA配列は、その全体が化学的手段によって生成され、そして「部分的に」合成されたDNAは、その得られたDNAの一部分のみが化学的手段によって生成されたDNAを包含する。用語「領域」によって、生体分子の一次構造の物理的に連続した部分を意味する。タンパク質の場合、領域は、そのタンパク質のアミノ酸配列の連続した部分によって定義される。用語「ドメイン」は、本明細書中で、生体分子の既知の機能または推測されている機能に寄与する、その生体分子の構造部分をいうものとして定義される。ドメインは、領域またはその部分と同じ広がりを有し得;ドメインはまた、その領域の全てまたは一部に加えて、特定の領域と区別される生体分子の一部を組み込み得る。NgRタンパク質ドメインの例としては、シグナルペプチド、細胞外(すなわち、N末端)ドメイン、ロイシンリッチ反復ドメインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書中で使用される場合、用語「活性」とは、結合(直接的または間接的のいずれか)を示唆または明らかにするか;応答に影響する(すなわち、いくらかの曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、または例えば、いくつかの刺激後または事象後の上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度が、挙げられる。このような活性は、Nogoに対するNgR1結合の競合阻害のようなアッセイによって測定され得、ここで、例えば、未標識の可溶性NgR2が、漸増濃度でアッセイ系に添加され、CHO細胞の表面上に発現されたNgR1に対するNogoの結合を阻害する。別の例として、NgR機能の生物学的指標としての種々の形態のNgR2および/またはNgR3によるNogoの阻害後の、神経損傷(SchnellおよびSchwab(1990)Nature 343、269−272のような)によって引き起こされた病変を横切って伸長するニューロンの能力を評価し得る。
【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、完全なインタクトな抗体、ならびにそのFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、および他のフラグメントをいう。完全なインタクトな抗体には、モノクローナル抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体)、キメラ抗体、抗イディオタイプ抗体、抗抗イディオタイプ抗体およびヒト化抗体が挙げられる。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「結合」は、2つのタンパク質もしくは化合物または関連するタンパク質もしくは化合物の間、あるいはそれらの組み合わせの間での、物理的相互作用または化学的相互作用を意味する。結合には、イオン結合、非イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用などが含まれる。物理的相互作用(結合)は、直接的または間接的であり得、間接的なものは、別のタンパク質または化合物の効果を介するかまたは起因する。直接的な結合とは、別のタンパク質または化合物の効果を介してもまたはそれらに起因しても起こらず、他の実質的な化学中間体を伴わない、相互作用をいう。
【0036】
本明細書中で使用される場合、用語「化合物」は、任意の識別可能な化学物質または分子を意味し、これらには、低分子、ペプチド、タンパク質、糖、ヌクレオチド、または核酸が挙げられるが、これらに限定されず、そしてこのようか化合物は、天然性または合成性であり得る。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「相補的」とは、核酸分子のヌクレオチド単位間のワトソン−クリック塩基対をいう。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「接触(させる)」とは、化合物を、直接的にかまたは間接的にかのいずれかで、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して物理的に近接させることを意味する。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、多くの緩衝液、塩、溶液などに存在し得る。接触とは、核酸分子あるいはNgRまたはそのフラグメントをコードするポリペプチドを含む、例えば、ビーカー、マイクロタイタープレート、細胞培養フラスコまたはマイクロアレイ(例えば、遺伝子チップ)などに化合物を置くことが挙げられる。
【0039】
本明細書中で使用される場合、句「相同ヌクレオチド配列」または「相同アミノ酸配列」あるいはそのバリエーションとは、少なくとも特定化されたパーセンテージのヌクレオチドレベルでの同一性またはアミノ酸レベルでの相同性によって特徴付けられる配列である。相同ヌクレオチド配列としては、タンパク質のアイソフォームをコードするヌクレオチド配列が挙げられる。このようなアイソフォームは、例えば、RNAの選択的スプライシングの結果として同じ生物の異なる組織中に発現され得る。あるいは、アイソフォームは、異なる遺伝子によってコードされ得る。相同ヌクレオチド配列としては、哺乳動物を含むがこれらに限定されない、ヒト以外の種のタンパク質をコードするヌクレオチド配列が挙げられる。相同ヌクレオチド配列にはまた、本明細書中に示されるヌクレオチド配列の天然に存在する対立遺伝子バリエーションおよび対立遺伝子変異が含まれるが、これらに限定されない。しかし、相同ヌクレオチド配列には、NgR1をコードするヌクレオチド配列が含まれない。相同アミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換を含み、そしてそのポリペプチドが同じ結合および/または活性を有する、アミノ酸配列が挙げられる。しかし、相同アミノ酸配列には、他の公知のNgRをコードするアミノ酸は含まれない。相同性%は、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl,Math、1981、2、482−489(その全体が参考として本明細書中に援用される))を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8 for Unix(登録商標)、Genetics Computer Group、University Research Park、Madison WI)(デフォルト設定を使用して)によって決定され得る。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」核酸分子とは、天然で関連する他のタンパク質をコードする核酸を実質的に含まない核酸分子(DNAまたはRNA)(すなわち、そのネイティブ環境から取り出された核酸)をいう。単離された核酸分子の例としては、ベクター中に含まれる組換えDNA分子、異種宿主細胞中に維持される組換えDNA分子、部分的または実質的に精製された核酸分子、および合成DNAまたはRNA分子が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、「単離された」核酸は、この核酸が由来する生物のゲノムDNA中でこの核酸に天然に隣接する配列(すなわち、この核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、種々の実施形態で、単離されたNgR核酸分子は、この核酸が由来する細胞のゲノムDNA中でこの核酸に天然で隣接する、約50kb、25kb、5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。さらに、「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、組換え技術により産生される場合、他の細胞物質または培養培地を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合、化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「異種」とは、異なる配列または対応しない配列、あるいは異なる種由来の配列である、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列をいう。例えば、マウスNgRのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、ヒトNgRのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対して異種であり、そしてヒトNgRの核酸配列またはアミノ酸配列は、ヒト免疫グロブリンのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に対して異種である。
【0042】
本明細書中で使用される場合、「可溶性NgRポリペプチド」は、それ自体が膜中に係留していないNgRポリペプチドである。このような、可溶性ポリペプチドとしては、例えば、そのポリペプチドを係留するのに十分なそのGPIアンカーシグナルの部分を欠いているか、または、そのGPIアンカーシグナルがGPIアンカーでのそのポリペプチドの置換を生じるに十分でないように改変されている、NgR2ポリペプチドおよびNgR3ポリペプチドが挙げられる。好ましい実施形態において、5、10、20または25アミノ酸までが、NgR2またはNgR3のC末端から除去され、各タンパク質を可溶性にする。本明細書中で使用される場合、可溶性NgRポリペプチドとしては、全長NgRまたは短縮型(例えば、内部欠失を有する)NgRが挙げられる。
【0043】
可溶性NgRポリペプチドとしては、推定GPIシグナル配列までの全NgRタンパク質(例えば、NgR2のアミノ酸1〜およそアミノ酸395およびNgR3のアミノ酸1〜およそアミノ酸438)を含み得る。他の実施形態において、これらのタンパク質のシグナルペプチドは、除去され得るかまたは短縮化され得る(例えば、配列番号2のアミノ酸1〜およそアミノ酸30にわたる、NgR2のシグナル配列の全てまたは一部が、除去され得る;配列番号4のアミノ酸1〜およそアミノ酸40にわたる、NgR3のシグナル配列の全てまたは一部が、除去され得る)。いくつかの実施形態において、成熟NgR2(配列番号8)および成熟NgR3(配列番号9)が使用される。
【0044】
可溶性NgRポリペプチドとしては、NgRの推定リガンド結合部分(第1のシステインリッチ領域(配列番号10)、ロイシン反復領域(配列番号12)および第2のシステインリッチ領域(配列番号11))の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、可溶性NgRポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜およそアミノ酸395または配列番号4のアミノ酸1〜およそアミノ酸438からなる。
【0045】
他の実施形態において、可溶性NgRポリペプチドは、融合タンパク質であり、この融合タンパク質は、成熟NgR2のアミノ酸30〜およそアミノ酸395またはNgR3のアミノ酸40〜およそアミノ酸438、ヒトIgG1ヒンジ領域のC末端の10アミノ酸(鎖間ジスルフィド結合に関与すると考えられる2つのシステイン残基を含む)、ならびにヒトIgGI重鎖定常ドメインのCH2領域およびCH3領域を含む。この型の組換えタンパク質は、NgR1へのNogoリガンド結合の阻害を介するか、または、NgRのリガンドを細胞表面NgRとの相互作用から阻害することによって、軸索伸長の阻害を調節するように設計される。この融合体のNgR部分は、Nogoリガンドに結合し、そしてIgG1部分は、FcγRI(マクロファージ)レセプターおよびFcγIII(NK細胞および好中球)レセプターに結合する。
【0046】
本発明において有用な可溶性ポリペプチドの産生は、当該分野で公知の種々の方法によって達成され得る。例えば、ポリペプチドは、エキソペプチダーゼ、エドマン分解またはその両方と組み合わせて特定のエンドペプチダーゼを使用することによるタンパク質分解によって、インタクトな膜貫通NgR分子から誘導され得る。このインタクトなNgR分子は、従来の方法を使用して、その天然の供給源から精製され得る。あるいは、インタクトなNgRは、cDNA、発現ベクターおよび組換え遺伝子発現のための周知技術を使用する、公知の組換えDNA技術によって生成される。
【0047】
好ましくは、本発明において有用な可溶性ポリペプチドは、直接的に産生され、従って、出発材料としてのNgR全体の必要性を排除する。これは、従来の化学合成技術によって達成され得るか、または周知の組換えDNA技術(ここで、所望のペプチドをコードするDNA配列のみが形質転換された宿主で発現される)によって達成され得る。例えば、所望の可溶性NgRポリペプチドをコードする遺伝子は、オリゴヌクレオチド合成機を使用する化学的手段によって合成され得る。このようなオリゴヌクレオチドは、所望の可溶性NgRポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計される。所望のペプチドをコードする特定のDNA配列はまた、特定の制限エンドヌクレアーゼフラグメントの単離によってか、またはcDNAからの特定の領域のPCR合成によって、全長DNA配列から誘導され得る。
【0048】
本発明の核酸分子(例えば、配列番号1、3のヌクレオチド配列、またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの相補体を有する、核酸分子)は、標準的な分子生物学技術および本明細書中に提供される配列情報を使用して単離され得る。配列番号1または3の核酸配列の全てまたは一部をハイブリダイゼーションプローブとして使用して、NgR核酸配列は、標準的なハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術(例えば、Sambrookら(編)、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989;およびAusubelら、(編)、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley&Sons、New York、NY、1993に記載されるように)を使用して単離され得る。
【0049】
本発明の核酸は、テンプレートとしてのcDNA、mRNAまたはゲノムDNA、および適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標準的なPCR増幅技術に従って、増幅され得る。そのように増幅された核酸分子は、適切なベクターにクローニングされ得、そしてDNA配列分析によって特徴付けされ得る。さらに、NgRヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術によって(例えば、自動化DNA合成機を使用して)調製され得る。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「調節する(modulate)」または「改変する(modify)」は、特定の活性またはタンパク質の量、質または効果における増加または減少を意味する。
【0051】
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」とは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において使用されるのに十分な数の塩基を有する、一連の連結されたヌクレオチド残基をいう。この短い配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づき(または、それらから設計され)、そしてこれらを使用して、特定の細胞または組織における同一の、類似のまたは相補的なDNAまたはRNAの存在を増幅するか、確認するか、または明らかにする。オリゴヌクレオチドは、少なくとも約10ヌクレオチドでかつ50ヌクレオチド程度の多さのヌクレオチド(好ましくは、15〜30ヌクレオチド)を有する、DNA配列の部分を含む。これらは、化学的に合成され得、そしてプローブとして使用され得る。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「プローブ」は、用途に依存して、種々の長さ(好ましくは少なくとも約10個のヌクレオチドと約6,000個ほど多数のヌクレオチドとの間)の核酸配列をいう。これらは、同一の核酸配列、類似の核酸配列または相補的な核酸配列の検出において使用される。より長い長さのプローブは、通常、天然または組換えの供給源から獲得され、そして高度に特異的であり、かつオリゴマーよりもはるかにゆっくりとハイブリダイズする。これらは、一本鎖または二本鎖であり得、そしてPCR技術、ハイブリダイゼーション膜ベースの技術、またはELISA様技術において特異性を有するように注意深く設計され得る。
【0053】
用語「予防する(こと)」は、生物が病気にかかる(contract)かまたは異常な状態を発生する可能性を減少させることをいう。
【0054】
用語「処置する(こと)」は、治療効果を有すること、および生物における異常な状態を少なくとも部分的に軽減するかまたは抑止することをいう。
【0055】
用語「治療効果」は、異常な状態を引き起こすかまたはこれに寄与する阻害因子または活性化因子をいう。治療効果は、異常な状態の症状の1つ以上をある程度緩和する。異常な状態の処置に関して、治療効果とは、以下の1つ以上をいい得る:(a)細胞の増殖(proliferation)、増殖(growth)、および/または分化における増加;(b)細胞死の阻害(すなわち、遅らせることまたは停止させること);(c)変性の阻害;(d)異常な状態に関連する症状の1つ以上をある程度緩和する;および(e)罹患した細胞集団の機能を強化すること。異常な状態に対する効力を示す化合物は、本明細書中に記載されるように同定され得る。
【0056】
用語「異常な状態」は、生物におけるその正常な機能から逸脱する、生物の細胞または組織における機能をいう。異常な状態は、細胞増殖、細胞分化、細胞シグナル伝達、または細胞生存に関連し得る。異常な状態としてはまた、肥満、網膜変性のような糖尿病合併症、ならびにグルコースの取り込みおよび代謝における不規則性、ならびに脂肪酸の取り込みおよび代謝における不規則性が挙げられ得る。
【0057】
異常な細胞増殖状態としては、例えば、線維症およびメサンギウム障害のような癌、異常な新脈管形成および脈管形成、創傷治癒、乾癬、糖尿病および炎症が挙げられる。
【0058】
異常な分化状態としては、例えば、神経変性障害、緩徐な創傷治癒速度および緩徐な組織移植片治癒速度が挙げられる。
【0059】
異常な細胞シグナル伝達状態としては、例えば、過度の神経伝達物質活性を含む精神障害が挙げられる。
【0060】
異常な細胞生存状態はまた、プログラム細胞死(アポトーシス)経路が活性化されるかまたは抑止される状態に関連する。多数のタンパク質キナーゼが、アポトーシス経路に関連している。タンパク質キナーゼのいずれか1つの機能における異常は、細胞不死または未熟な細胞死を生じ得る。
【0061】
用語「投与する(こと)」は、生物の細胞または組織に化合物を取り込むための方法に関する。異常な状態は、生物の細胞または組織が生物内または生物の外側に存在する場合、予防または処置され得る。生物の外側に存在する細胞は、細胞培養シャーレ中で維持または増殖され得る。生物内に保有される細胞について、経口、非経口、経皮、注射およびエアロゾル適用を含むが、これらに限定されない、化合物を投与するための多数の技術が、当該分野に存在する。生物の外側の細胞について、細胞微量注入技術、形質転換技術、およびキャリア技術が挙げられるが、これらに限定されない、化合物を投与するための複数の技術が当該分野に存在する。
【0062】
異常な状態はまた、生物へのシグナル伝達経路に異常を有する細胞の群に化合物を投与することによって予防または処置され得る。次いで、化合物を投与することの生物機能に対する効果が、モニターされ得る。この生物は、好ましくは、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、またはヤギ、より好ましくは、サル(monkey)またはサル(ape)、および最も好ましくは、ヒトである。
【0063】
「増幅」は、正常な細胞と比較した細胞中の増加した数のDNAまたはRNAを意味する。「増幅」は、RNAについていう場合、細胞中のRNAの検出可能な存在であり得る。なぜなら、いくつかの正常細胞において、RNAの基底発現が存在しないからである。他の正常な細胞において、基底レベルの発現が存在し、従って、これらの場合において、増幅は、少なくとも1〜2倍の検出であり、そしてより好ましくは、基底レベルと比較して多い。
【0064】
アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向で、左から右へ示される。アミノ基およびカルボキシ基は、配列中に示されない。ヌクレオチド配列は、5’から3’の方向で、左から右へ、一本鎖のみによって示される。ヌクレオチドおよびアミノ酸は、IUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される様式で、または(アミノ酸について)3文字コードによって示される。
【0065】
(核酸)
本発明のゲノムDNAは、本発明のポリペプチドのタンパク質コード領域を含み、そしてその対立遺伝子改変体を含むことが意図される。多数の遺伝子について、ゲノムDNAは、RNA転写物に転写され、この転写物は、転写物のイントロン(すなわち、非コード領域)が除去されるかまたは「スプライスアウト(spliced out)」される、1つ以上のスプライシング事象を経ることが広く理解される。代替的な機構によってスプライシングされ得、従って異なるRNA配列の除去に供され得るが、なおNgRポリペプチドをコードするRNA転写物は、本発明によって包含されるスプライス改変体として当該分野でいわれる。従って、本発明によって包含されるスプライス改変体は、同じ元のゲノムDNA配列によってコードされるが、別々のmRNA転写物から生じる。対立遺伝子改変体は、野生型遺伝子配列の改変された形態であり、この改変は、染色体分離の間の組換えまたは遺伝子変異を生じる条件への曝露から生じる。野生型遺伝子と同様に、対立遺伝子改変体は、天然に存在する配列である(インビトロ操作から生じる天然に存在しない改変体と対照的に)。
【0066】
本発明はまた、NgRをコードするRNAポリヌクレオチドの逆転写(慣例的に、二本鎖DNAを提供するための相補鎖の第二鎖合成が続く)を介して得られるcDNAを包含する。
【0067】
ヒトNgRポリペプチドをコードする好ましいDNA配列は、配列番号1および13に示される。本発明の好ましいDNAは、DNAのワトソン−クリック塩基対形成規則に従って、コード鎖から明白に推論可能な配列を有する相補的な分子(「非コード鎖」または「相補体」)と共にコード分子(すなわち、「コード鎖」)を含む二本鎖分子を含む。配列番号3に示されるように、NgRポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチド(これは、マウスNgRホモログのNgR3を含む)もまた好ましい。
【0068】
NgRの少なくとも1つの生物学的機能を有するNgRポリペプチドの少なくとも一部をコードするヌクレオチド配列もまた好ましい。疎水性C末端GPIシグナルを有さない少なくとも成熟NgRをコードするNgRの一部をコードするヌクレオチド配列は、より好ましい。少なくともNgRのリガンド結合領域をコードするNgRの部分をコードするヌクレオチド配列もまた好ましい。
【0069】
本発明はさらに、ヒトNgR DNAの他の種(好ましくは、哺乳動物)のホモログを包含する。種ホモログ(時々「オルソログ」と称される)は、一般に、本発明のヒトDNAと、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の相同性を共有する。一般的に、本発明のポリヌクレオチドに関するパーセント配列「相同性」は、必要な場合、最大のパーセント配列同一性を達成するために、配列を整列しそしてギャップを導入した後、配列番号1、3または13に示されるNgR配列におけるヌクレオチドと同一である候補配列中のヌクレオチド塩基の割合として計算され得る。
【0070】
本発明によって提供されるポリヌクレオチド配列情報は、当該分野で周知かつ慣例的に実施される技術によって、コードされるポリペプチドの大規模な発現を可能にする。本発明のポリヌクレオチドはまた、サザンハイブリダイゼーションおよび/またはノーザンハイブリダイゼーション、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む周知の技術によって、関連したNgRポリペプチド(例えば、ヒト対立遺伝子改変体および種ホモログ)をコードするポリヌクレオチドの同定および単離を可能にする。関連したポリヌクレオチドの例としては、ヒトゲノム配列および非ヒトゲノム配列(対立遺伝子改変体を含む)ならびにNgRに相同なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびNgRの1つ以上の生物学的特性、免疫学的特性、および/または物理的特性を共有する構造的に関連したポリペプチドが挙げられる。NgRに相同なタンパク質をコードする非ヒト種の遺伝子はまた、サザン分析および/またはPCR分析によって同定され得、そしてNgR障害の動物モデルにおいて有用である。ヒトNgR DNAの配列の知見はまた、サザンハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を介して、プロモーター、オペレーター、エンハンサー、リプレッサーなどのようなNgR発現制御調節配列をコードするゲノムDNA配列の同定を可能にする。本発明のポリヌクレオチドはまた、NgRを発現する細胞の能力を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおいて有用である。本発明のポリヌクレオチドはまた、疾患状態の根底にあるNgR遺伝子座における遺伝子変更を同定するのに有用な診断方法の基礎を提供し得る。この情報は、診断および治療ストラテジーの選択の両方に有用である。
【0071】
NgRポリペプチドをコードする全長ポリヌクレオチドの本明細書中の開示は、全長ポリヌクレオチドの全ての可能なフラグメントを当業者に容易に利用可能にする。従って、本発明は、NgRをコードするポリヌクレオチドの少なくとも6、そして好ましくは、少なくとも14、16、18、20、25、50、または75連続するヌクレオチドを含むNgRコードポリヌクレオチドのフラグメントを提供する。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドのフラグメントは、NgRコードポリヌクレオチド配列に固有の配列を含み、従って、NgRをコードするポリヌクレオチド(またはそのフラグメント)に対してのみ(すなわち、「特異的に」)高度にストリンジェントまたは中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。本発明のゲノム配列のポリヌクレオチドフラグメントは、コード領域に固有の配列だけでなく、イントロン、調節領域および/または他の非翻訳配列由来の全長配列のフラグメントもまた含む。本発明のポリヌクレオチドに固有の配列は、他の公知のポリヌクレオチドに対する配列比較を介して認識可能であり、そして当該分野で慣例的に利用される整列プログラム(例えば、公の配列データベースにおいて利用可能な整列プログラム)の使用を介して同定され得る。このような配列はまた、ポリヌクレオチドがハイブリダイズするゲノムDNAのフラグメントの数を決定するためのサザンブロットハイブリダイゼーション分析から認識可能である。本発明のポリヌクレオチドは、放射活性標識、蛍光標識および酵素標識を含む、これらの検出を可能にする様式で標識され得る。
【0072】
ポリヌクレオチドのフラグメントは、NgRポリヌクレオチドの全長またはフラグメントの検出のためのプローブとして特に有用である。1つ以上のポリヌクレオチドは、NgRをコードするポリヌクレオチドの存在を検出するために使用されるか、またはNgRをコードするポリヌクレオチド配列におけるバリエーションを検出するために使用されるキット中に含まれ得る。
【0073】
本発明はまた、配列番号1または3のいずれかのポリヌクレオチドの非コード鎖または相補体に、中程度にストリンジェントな条件下または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするNgRポリペプチドをコードするDNAを包含する。
【0074】
ストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6において見出され得る。好ましくは、この条件は、互いに少なくとも約65%、70%、75%、85%、90%、95%、98%または99%相同な配列が、代表的に、互いにハイブリダイズしたままである条件である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、65℃で、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSAおよび500mg/ml変性サケ精子DNAを含む高塩緩衝液中のハイブリダイゼーションである。このハイブリダイゼーションの後に、50℃での0.2×SSC、0.01%BSA中の1回または2回の洗浄が続く。配列番号1または3の配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書中で使用される場合、「天然に存在する」核酸分子は、天然に生じるヌクレオチド配列を有する(例えば、天然のタンパク質をコードする)RNAまたはDNA分子をいう。本明細書中で使用される場合、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、50%ホルムアミド、1%SDS、1M NaCl、10%(wt/容量)硫酸デキストランを含むハイブリダイゼーション溶液中で42℃、ならびに0.1×SSCおよび1%SDSを含む洗浄溶液中で60℃で30分間2回の洗浄を意味する。
【0075】
(ベクター)
本発明の別の局面は、上記の核酸分子のいずれかを含む、ベクターまたは組換え発現ベクターに関する。ベクターは、NgRをコードするDNAまたはRNAを増幅するためそして/またはNgRをコードするDNAを発現するためのいずれかのために、本明細書中で使用される。本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」は、これが連結する別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。ベクターの1つの型は、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントが連結され得る環状二重鎖DNAループをいう。別の型のベクターは、ウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNAセグメントは、ウイルスゲノム中に連結され得る。特定のベクター(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)は、これらが導入される宿主細胞中で自律的に複製し得る。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入の際に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、これらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指向し得る。このようなベクターは、本明細書中で、「発現ベクター」といわれる。一般に、組換えDNA技術における発現ベクターの有用性は、しばしば、プラスミドの形態である。本明細書中において、「プラスミド」および「ベクター」は、交換可能に使用され得る。なぜなら、プラスミドはベクターの最も一般的に使用される形態であるためである。しかし、本発明は、等価な機能を果たす、発現ベクターのこのような他の形態(例えば、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス))のようなベクターを含むことが意図される。
【0076】
原核生物におけるタンパク質の発現は、最も頻繁に、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成的または誘導性のプロモーターを含むベクターを用いて、E.coli中で実行され得る。融合ベクターは、多数のアミノ酸を、そのベクターにコードされるタンパク質に、通常組換えタンパク質のアミノ末端に付加する。このような融合ベクターは、代表的に3つの目的を果たす:(1)組換えタンパク質の発現を増加させること;(2)組換えタンパク質の可溶性を増加させること;および(3)親和性精製におけるリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製を補助すること。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解切断部位は、融合タンパク質の精製に続いて、融合部分からの組換えタンパク質の分離を可能にするために、融合部分と組換えタンパク質との接合部に導入される。このような酵素およびこれらの同族の認識配列は、第Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼを含む。代表的な融合発現ベクターとしては、それぞれ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的組換えタンパク質に融合する、pGEX(Pharmacia Biotech;SmithおよびJohnson(1988)Gene 67,31〜40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,Mass.)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が挙げられる。
【0077】
適切な誘導性の非融合E.coli発現ベクターの例としては、pTrc(Amrannら(1988)Gene 69,301−315)およびpET 11d(Studierら、GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,CA.(1990)60−89)が挙げられる。
【0078】
E.coli中の組換えタンパク質発現を最大化するための1つのストラテジーは、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力を損なった宿主細菌においてタンパク質を発現することである。Gottesman,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,CA.(1990)119−128を参照のこと。別のストラテジーは、発現ベクター中に挿入される核酸の核酸配列を変更することであり、その結果、各アミノ酸についての個々のコドンは、E.coliにおいて優先的に利用されるコドンである(Wadaら(1992)Nucleic Acids Res.20,2111−2118)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準的なDNA合成技術によって実施され得る。
【0079】
別の実施形態において、NgR発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母S.cerevisiaeにおける発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldariら(1987)EMBO J.6,229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz(1982)Cell 30,933−943)、pJRY88(Schultzら(1987)Gene 54,113−123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,CA)、およびpicZ(InVitrogen Corp,San Diego,CA)が挙げられる。
【0080】
あるいは、NgRは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して昆虫細胞中で発現され得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)におけるタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell.Biol.3,2156−2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(1989)Virology 170,31−39)が挙げられる。
【0081】
なお別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して哺乳動物細胞中で発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed(1987)Nature 329,840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6,187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40に由来する。原核生物細胞および真核生物細胞の両方の他の適切な発現系については、例えば、Sambrookら編、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989の16章および17章を参照のこと。
【0082】
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において核酸の発現を優先的に指向し得る(例えば、組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現する)。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適切な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら(1987)Genes Dev.1,268−277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(1988)Adv.Immunol.43,235−275)、特にT細胞レセプター(WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO J.8,729−733)および免疫グロブリン(Banerjiら(1983)Cell 33,729−740;QueenおよびBaltimore(1983)Cell 33,741−748)のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経線維プロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(1985)Science 230,912−916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州出願公開番号264,166)が挙げられる。発生的に調節されたプロモーター(例えば、マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249,374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev.3,537−546))もまた含まれる。
【0083】
本発明はさらに、アンチセンス配向で発現ベクター中にクローン化された本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、このDNA分子は、アンチセンスNgR mRNAであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にする様式で調節配列に作動可能に連結される。種々の細胞型においてアンチセンスRNA分子の連続的な発現を指向する、アンチセンス配向でクローン化された核酸に作動可能に連結された調節配列(例えば、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサー)が選択され得るか、あるいは、アンチセンスRNAの構成的発現、組織特異的発現または細胞型特異的発現を指向する調節配列が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化ウイルスの形態であり得、ここで、アンチセンス核酸が、高効率調節領域の制御下で生成され、その活性は、ベクターが導入される細胞型によって決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節の考察については、Weintraubら、Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,REVIEWS−−TRENDS IN GENETICS,第1巻(1)1986を参照のこと。
【0084】
好ましいベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、ウイルス粒子またはウイルスおよび組み込み可能なDNAフラグメント(すなわち、相同組換えによって宿主ゲノム中に組み込み可能なフラグメント)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいウイルス粒子としては、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ワクシニアウイルスおよびレトロウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい発現ベクターとしては、pcDNA3(Invitrogen)およびpSVL(Pharmacia Biotech)が挙げられるが、これらに限定されない。他の発現ベクターとしては、pSPORTTMべクター、pGEMTMベクター(Promega)、pPROEXベクターTM(LTI,Bethesda,MD)、BluescriptTMベクター(Stratagene)、pQETMベクター(Qiagen)、pSE420TM(Invitrogen)およびpYES2TM(Invitrogen)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
好ましい発現ベクターは、複製可能なDNA構築物であり、ここで、NgRをコードするDNA配列は、適切な宿主中でNgRの発現をもたらし得る適切な制御配列に作動可能に連結されるかまたは結合されている。DNA領域は、これらが互いに機能的に関連している場合、作動可能に連結されているかまたは結合されている。例えば、プロモーターが、配列の転写を制御する場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結されているかまたは結合されている。増幅ベクターは、発現制御ドメインを必要としないが、通常、複製起点によって与えられる宿主中で複製する能力、および形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子のみを必要とする。発現ベクター中の制御配列の必要性は、選択される宿主および選択される形質転換方法に依存して変化する。一般的に、制御配列としては、転写プロモーター、エンハンサー、転写を制御するための任意のオペレーター配列、ポリアデニル化シグナル、適切なmRNAリボソーム結合をコードする配列ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が挙げられるが、これらに限定されない。このような調節配列は、例えば、Goeddel,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Academic Press,San Diego,CA(1990)において記載されている。調節配列としては、多数の型の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的な発現を指向する配列、および特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指向する配列(例えば、組織特異的調節配列)が挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどのような因子に依存し得ることが当業者によって理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され得、それにより本明細書中に記載されるような核酸によってコードされる、タンパク質またはペプチド(融合タンパク質または融合ペプチドを含む)(例えば、NgRタンパク質、NgRの変異形態、融合タンパク質など)を生成する。
【0086】
好ましいベクターは、好ましくは、宿主生物により認識されるプロモーターを含む。本発明のプロモーター配列は、原核生物性であっても、真核生物性であっても、またはウイルス性であってもよい。適切な原核生物配列の例としては、バクテリオファージλのPRプロモーターおよびPLプロモーター(THE BACTERIOPHAGE LAMBDA,Hershey,A.D.編,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1973)(これは、その全体が参考として本明細書中で援用される);LAMBDA II、Hendrix,R.W.編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1980)(これは、その全体が参考として本明細書中で援用される));E.coliのtrpプロモーター、recAプロモーター、熱ショックプロモーター、およびlacZプロモーター、ならびにSV40初期プロモーター(Benoistら(1981)Nature 290,304〜310(これは、その全体が参考として本明細書中で援用される)が、挙げられる。さらなるプロモーターとしては、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ヒト免疫不全ウイルスの長末端反復プロモーター、マロニーウイルスプロモーター、サイトメガロウイルス最初期プロモーター、エプスタイン−バーウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ヒトアクチンプロモーター、ヒトミオシンプロモーター、ヒトヘモグロビンプロモーター、ヒト筋肉クレアチンプロモーター、およびヒトメタロチオネインプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
さらなる調節配列もまた、好ましいベクター中に含まれ得る。適切な調節配列の好ましい例は、ファージMS−2のレプリカーゼ遺伝子のシャイン−ダルガーノ配列、およびバクテリオファージλの遺伝子cIIのシャイン−ダルガーノ配列により代表される。このシャイン−ダルガーノ配列の直後に、NgRをコードするDNAが続き、そして成熟NgRタンパク質の発現を生じる。
【0088】
さらに、適切な発現ベクターは、形質転換された宿主細胞のスクリーニングを可能にする、適切なマーカーを含み得る。選択された宿主の形質転換は、当業者に周知であり、そしてSambrookら(前出)に記載される、種々の技術のうちの任意の技術を使用して、実行される。
【0089】
複製起点はまた、内因性起点を含むようにそのベクターを構築することによって提供され得るか、または宿主細胞の染色体複製機構により提供され得るかのいずれかであり得る。そのベクターが、宿主細胞染色体中に組み込まれる場合、後者が十分であり得る。あるいは、ウイルス複製起点を含むベクターを使用するよりも、当業者は、選択マーカーとNgR DNAとを同時形質転換する方法によって、哺乳動物細胞を形質転換し得る。適切な選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)またはチミジンキナーゼである(米国特許第4,399,216号を参照のこと)。
【0090】
NgRをコードするヌクレオチド配列は、従来技術(連結のための平滑末端または互い違いの(staggered)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、適切なように付着末端を埋めること、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および適切なリガーゼによる連結を含む)に従って、ベクターDNAを用いて組換えられ得る。そのような操作のための技術は、Sambrookら(前出)により開示され、そして当該分野で周知である。哺乳動物発現ベクターの構築のための方法は、例えば、Okayamaら(1983)Mol.Cell.Biol.3:280,Cosmanら(1986)Mol.Immunol.23:935,Cosmanら(1984)Nature 312:768,EP−A−0367566、およびWO 91/18982(これらの各々は、その全体が参考として本明細書中に援用される)に開示される。
【0091】
(宿主細胞および形質転換された宿主細胞)
本発明の別の局面に従って、コードされたNgRポリヌクレオチドの発現を可能にする様式で本発明のポリヌクレオチド(または本発明のベクター)を含む、宿主細胞(原核生物宿主および真核生物宿主を含む)が、提供される。好ましくは、その細胞は、内因性NgRポリペプチドを、ほとんど産生しないかまたは全く産生しない。本発明のポリヌクレオチドは、環状プラスミドの一部としてか、または単離されたタンパク質コード領域を含む線状DNAまたはウイルスベクターとして、その宿主細胞中に導入され得る。当該分野で周知でありそして慣用的に実施される、宿主細胞中にDNAを導入するための方法としては、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、核注入、またはキャリア(例えば、リポソーム、ミセル、ゴースト細胞およびプロトプラスト)との融合が、挙げられる。本発明の発現系としては、細菌細胞系、酵母細胞系、真菌細胞系、植物細胞系、昆虫細胞系、無脊椎動物細胞系、脊椎動物細胞系、および哺乳動物細胞系が、挙げられる。
【0092】
本発明の宿主細胞は、NgRと特異的に免疫反応性である抗体の発生のための、有益な免疫原供給源である。本発明の宿主細胞はまた、NgRポリペプチドの大規模産生方法において有用であり、その方法において、その細胞は、適切な培養培地において増殖され、そして望ましいポリペプチド産物が、その細胞からかまたはその細胞が増殖された培地から、当該分野で公知の精製方法により、単離される。その当該分野で公知の精製方法とは、例えば、従来のクロマトグラフィー方法(免疫アフィニティークロマトグラフィー、レセプターアフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、レクチンアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除濾過、カチオン交換クロマトグラフィーまたはアニオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLCなどを含む)である。なお他の精製方法としては、特異的結合パートナーまたは特異的結合因子により認識される、特定のタグ、標識またはキレート部分を有する融合タンパク質として、所望のタンパク質が発現および精製される、方法が挙げられる。精製されたタンパク質は、所望のタンパク質を生じるように切断され得るか、またはインタクトな融合タンパク質のままにされ得る。この融合成分の切断は、切断プロセスの結果として付加的アミノ酸残基を有する形態の、所望のタンパク質を生成し得る。
【0093】
NgR DNA配列についての知識により、内因性NgRの発現を可能にするかまたは増加するような、細胞の改変が可能になる。細胞は、天然に存在するNgRプロモーター全体またはその一部を、異種プロモーター全体またはその一部で置換して、その細胞が、より高レベルでNgRを発現するようにすることによって、発現の増加を提供するように(例えば、相同組換えによって)改変され得る。その異種プロモーターは、内因性NgRコード配列と作動可能に連結される様式で、挿入される。(例えば、PCT国際公開番号WO 94/12650,PCT国際公開番号WO 92/20808,およびPCT国際公開番号WO 91/09955を参照のこと。)異種プロモーターDNAに加えて、増幅可能なマーカーDNA(例えば、ada、dhfr、およびカルバモイルホスフェートシンターゼとアスパラギン酸トランスカルバミラーゼとジヒドロオロターゼをコードする多機能CAD遺伝子)および/またはイントロンDNAが、その異種プロモーターDNAとともに挿入され得ることもまた、意図される。NgRコード配列に連結された場合、標準的選択方法によるそのマーカーDNAの増幅は、細胞においてNgRコード配列の同時増幅を生じる。
【0094】
本発明により提供されるDNA配列情報により、機能性NgRを発現しないかまたはNgRの改変体を発現する、動物の開発(例えば、相同組換え、または「ノックアウト」戦略による;Capecchi、Science 244:1288〜1292(1989))が可能になる。そのような動物(特に、小さい実験室動物(例えば、ラット、ウサギ、およびマウス)は、NgRのインビボ活性およびNgRのモジュレーターを研究するためのモデルとして、有用である。
【0095】
本発明のポリペプチドの発現のために適切な宿主細胞としては、原核生物、酵母、および真核生物が挙げられるが、これらに限定されない。原核生物発現ベクターが使用される場合、適切な宿主細胞は、クローン化された配列を発現することができる、任意の原核生物細胞である。適切な原核生物細胞としては、Escherichia属、Bacillus属、Salmonella属、Pseudomonas属、Streptomyces属およびStaphylococcus属の細菌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
真核生物発現ベクターが使用される場合、適切な宿主細胞は、クローン化された配列を発現することができる、任意の真核生物細胞である。好ましくは、真核生物細胞は、高等真核生物の細胞である。適切な真核生物細胞としては、非ヒト哺乳動物組織培養細胞およびヒト組織培養細胞が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい宿主細胞としては、昆虫細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、アフリカミドリザル腎細胞(COS細胞)、ヒト293細胞、およびマウス3T3線維芽細胞が挙げられるが、これらに限定されない。細胞培養におけるこのような細胞の増殖は、慣用的手順になっている(Tissue Culture,Academic Press,KruseおよびPatterson編(1973)(これは、本明細書においてその全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0097】
さらに、酵母細胞は、宿主細胞として使用され得る。好ましい酵母細胞としては、Saccharomyces属、Pichia属およびKluveromyces属が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい酵母宿主は、S.cerevisiaeおよびP.pastorisである。好ましい酵母ベクターは、2T酵母プラスミド由来の複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、および選択マーカー遺伝子を含み得る。酵母およびE.coliの両方における複製のためのシャトルベクターもまた、本明細書中に含まれる。
【0098】
あるいは、昆虫細胞が、宿主細胞として使用され得る。好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、バキュロウイルス発現系(Luckowら、Bio/Technology,1988,6,47;BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL,O’Riellyら編、W.H.Freeman and Company,New York,1992;および米国特許第4,879,236号(これらの各々は、その全体が参考として本明細書中で援用される))を使用して、発現される。さらに、MAXBACTM完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen)が、例えば、昆虫細胞における産生のために使用され得る。
【0099】
適切な宿主細胞は、Goeddel、GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に、さらに記載される。あるいは、その組換え発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、インビトロで転写されそして翻訳され得る。
【0100】
ベクターDNAは、従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術を介して、原核生物細胞または真核生物細胞中に導入され得る。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」は、宿主細胞中に外来核酸(例えば、DNA)を導入するための、当該分野で認識される種々の技術を指すことが意図され、そのような技術としては、リン酸カルシウム共沈または塩酸カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションが、挙げられる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、Sambrookら(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,N.Y.、1989)および他の実験室マニュアルに見出され得る。
【0101】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについて、使用する発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、ほんの少しの割合の細胞のみが、そのゲノム中に外来DNAを組み込み得ることが、公知である。これらの組込み体を同定しそして選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する体性)をコードする遺伝子は、一般的に、目的の遺伝子とともに宿主細胞中に導入され得る。種々の選択マーカーとしては、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)およびメトトレキサート)に対する耐性を付与する選択マーカーが、挙げられる。選択マーカーをコードする核酸は、NgRをコードするのと同じベクター上で、宿主細胞中に導入され得るか、または別個のベクター上で、導入され得る。導入される核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択により同定され得る(例えば、その選択マーカーを組み込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0102】
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチド(NgR2形態およびNgR3形態、可溶性形態のNgR、キメラNgRポリペプチド、NgR/Ig融合物、ならびに上記の各々のフラグメントおよび改変体を含む)が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現される。
【0103】
NgRタンパク質またはNgRポリペプチドをコードするDNAフラグメントをCHO細胞中に導入して、組換えNgRタンパク質または組換えNgRポリペプチドを発現させるために、発現ベクターを構築することが、必要である。
【0104】
CHO発現のためのベクターとしては、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSVおよびpcDNAINeoが挙げられるが、これらに限定されない。そのプロモーターは、CHO細胞における発現を効果的に促進する限り、特に限定されない。適切なプロモーターの例は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、およびHSV−TKプロモーターである。これらのうち、CMVプロモーターおよびSrαプロモーターが、好ましい。
【0105】
上記のプロモーターに加えて、その発現ベクターは、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、選択マーカー、およびSV40複製起点を含み得る。適切な選択マーカーとしては、メトトレキサート(MTX)に対する耐性を付与するジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびネオマイシン耐性遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
NgRをコードするDNA、NgRの一部をコードするDNA、NgRのフラグメントをコードするDNA、およびNgRの可溶性構築物をコードするDNAを各々含む、発現ベクターの例としては、所望のNgR構築物をコードするヌクレオチド配列にプロモーターが(好ましくは上流に)作動可能に連結され、そのNgR構築物をコードするヌクレオチド配列から下流にポリアデニル化シグナルがある、ベクター(例えば、上記ベクター)が挙げられ、好ましくは、そのベクターは、作動可能なDHFR遺伝子を含む。好ましくは、アンピシリン耐性遺伝子もまた、そのベクター中に、作動可能に含まれる。
【0107】
DHFR遺伝子を欠くCHO細胞(Urlaub,G.ら(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77,4216〜4220)およびCHO−K1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 60,1275(1968))が、使用に適する。
【0108】
上記のように調製されたNgR発現ベクターは、公知の任意の方法によりCHO細胞中に導入され、そのような方法としては、リン酸カルシウム法(Grahamおよびvan der Eb(1973)Virol.52,456〜467)およびエレクトロポレーション(Nuemannら(1982)EMBO J.1,841〜845)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
その発現ベクターを保有する形質転換体は、上記の選択マーカーに基づいて選択される。その選択マーカーを使用して形質転換体を繰返しクローン選択することにより、NgR構築物の高発現を有する安定な細胞株の選択が可能になる。選択培地におけるMTX濃度を増加することにより、所望のタンパク質の遺伝子増幅および発現の増加が可能になる。組換えNgRを含むCHO細胞は、NgR構築物を構成的に発現するNgR発現ベクターを含むCHO細胞を培養することによって、生成され得る。
【0110】
CHO細胞を培養する際に使用される培地としては、約0.5〜20%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地、DMEM培地、およびRPMI1640培地が、挙げられる。その培地のpHは、好ましくは、約6〜8である。培養は、好ましくは、通気しながら、約30〜40℃にて約15〜72時間である。
【0111】
本発明の宿主細胞(例えば、培養中の原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞)は、NgRタンパク質を生成(すなわち、発現)するために使用され得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用してNgRタンパク質を生成するための方法を提供する。1つの実施形態において、その方法は、(NgRをコードする組換え発現ベクターが導入されている)本発明の宿主細胞を、NgRタンパク質が産生されるように、適切な培地において培養する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、その培地またはその宿主細胞からNgRを単離する工程をさらに包含する。
【0112】
NgRポリペプチドが主に細胞内で見出される状況において、細胞内物質(グラム陰性細菌については封入体を含む)は、当業者に公知の任意の標準技術を使用して、宿主細胞から抽出され得る。そのような方法は、例としては、宿主細胞を溶解し、フレンチプレス、ホモジナイゼーション、および/または超音波処理によりペリプラズム/細胞質の内容物を放出させ、その後遠心分離することを包含するが、限定はしない。
【0113】
NgRポリペプチドが、細胞質ゾルにおいて封入体を形成した場合、そのような封入体は、細胞内膜および/または細胞外膜に頻繁に結合し得る。遠心分離の際、その封入体は、ペレット物質中に主に見出される。その後、そのペレット物質は、両極端のpHで処理されるか、またはアルカリ性pHにて還元剤(例えば、ジチオスレイトール)の存在下で1つ以上のカオトロピック剤(例えば、界面活性剤、グアニジン、グアニジン誘導体、尿素、または尿素誘導体)で処理されるか、または酸性pHにてトリス−カルボキシエチルホスフィンで処理されて、その封入体が、遊離され、壊されて離されそして可溶化され得る。一旦可溶化されると、NgRポリペプチドは、ゲル電気泳動、免疫沈降などを使用して分析され得る。NgRポリペプチドを単離する種々の方法は、当業者に明らかである。例えば、単離は、標準的方法(例えば、下記に示される方法、およびMarstonら(1990)Meth.Enzymol.182,264〜275(その全体が参考として本明細書中に援用される)に示される方法)を使用して、達成され得る。
【0114】
単離されたNgRポリペプチドが、使用された単離手順の後に生物学的活性でない場合、そのポリペプチドを「リフォールディングする」ため、すなわち、そのポリペプチドをその3次構造に変換しそしてジスルフィド結合を生成するための、種々の方法が、生物学的活性を回復するために使用され得る。当業者に公知の方法としては、可溶化したポリペプチドのpHを、特定の濃度のカオトロープの存在下で、通常は7を超えるpHに調整することが、挙げられる。カオトロープの選択は、封入体可溶化のために使用した選択と非常に類似するが、通常はより低濃度で行われ、そして可溶化のために使用されたのとは必ずしも同じカオトロープではない。特定のレドックス電位を生成してジスルフィドのシャッフリングを可能にし、そのタンパク質のシステイン架橋の形成を生じるためには、還元剤、または特定の比のその還元剤およびその酸化形態を使用することが、必要であり得る。一般的に使用されるいくつかの還元剤対としては、システイン/シスタミン、グルタチオン(GSH)/ジチオビスGSH、塩化銅(II)、ジチオスレイトール(DTT)/ジチアンDTT、2−メルカプトエタノール(βME)/ジチオ−β(ME)が、挙げられる。リフォールディングの効率を増加するために、共溶媒(例えば、グリセロール、種々の分子量のポリエチレングリコール、およびアルギニン)を使用することが、必要であり得る。
【0115】
(トランスジェニック動物)
本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を生成するために使用され得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の宿主細胞は、NgRコード配列が導入されている、受精卵母細胞または胚性幹細胞である。その後、そのような宿主細胞は、内因性NgR配列がゲノム中に導入された非ヒトトランスジェニック動物、または内因性NgR配列が変化した相同組換え動物を生成するために、使用され得る。そのような動物は、NgRの機能および/または活性を研究するため、ならびにNgR活性のモジュレーターを同定および/または評価するために、有用である。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」は、非ヒト動物であり、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくは、齧歯類(例えば、ラットまたはマウス)であり、その動物の細胞のうちの1つ以上が導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが、挙げられる。導入遺伝子は、外因性DNAであり、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノム中に組み込まれ、その成熟動物のゲノム中に残り、それにより、そのトランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織において、コードされた遺伝子産物の発現を指向する。本明細書中で使用される場合、「相同組換え動物」は、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスであり、その中で、内因性NgR遺伝子が、その内因性遺伝子と、その動物の発生前にその動物の細胞(例えば、その動物の胚性細胞)中に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えによって、変化している。
【0116】
本発明のトランスジェニック動物は、受精卵母細胞の雄性前核中に、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって、NgRコード核酸を導入すること、および偽妊娠した雌性養母動物においてその卵母細胞の発生を可能にすることによって、生成され得る。配列番号1または配列番号3のヒトNgR DNA配列は、非ヒト動物のゲノム中に導入遺伝子として導入され得る。あるいは、ヒトNgR遺伝子の非ヒトホモログ(例えば、マウスNgR遺伝子)が、(さらに上記に記載される)ヒトNgR cDNAへのハイブリダイゼーションに基づいて単離され得、そして導入遺伝子として使用され得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた、その導入遺伝子の発現の効率を増加するために、その導入遺伝子中に含まれ得る。組織特異的調節配列が、特定の細胞にNgRタンパク質の発現を指向するように、NgR導入遺伝子に作動可能に連結され得る。胚の操作およびマイクロインジェクションを介してトランスジェニック動物(特に、マウスのような動物)を生成するための方法は、当該分野において慣習的になっており、そして例えば、米国特許第4,736,866号;同第4,870,009号;および同第4,873,191号;ならびにHogan 1986、MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYにおいて記載されている。同様の方法が、他のトランスジェニック動物の生成のために使用される。トランスジェニック初代動物は、そのゲノム中にNgR導入遺伝子が存在すること、および/またはその動物の組織もしくは細胞におけるNgR mRNAの発現に基づいて、同定され得る。初代トランスジェニック動物は、その後、その導入遺伝子を保有するさらなる動物を産むために使用され得る。さらに、NgRをコードする導入遺伝子を保有するトランスジェニック動物は、さらに、他の導入遺伝子を保有する他のトランスジェニック動物と交配され得る。
【0117】
相同組換え動物を生成するために、NgR遺伝子の少なくとも一部を含み、そのNgR遺伝子中に、欠失、付加、または置換が導入されそれにより、そのNgR遺伝子が変化(例えば、機能的に破壊)された、ベクターが、調製される。このNgR遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば、配列番号1または配列番号13)であり得るが、より好ましくは、ヒトNgR遺伝子の非ヒトホモログである。例えば、配列番号1または配列番号13のヒトNgR遺伝子のマウスホモログが、マウスゲノム中の内因性NgR遺伝子を変化させるために適切な相同組換えベクターを構築するために、使用され得る。1つの実施形態において、そのベクターは、相同組換えの際に、その内因性NgR遺伝子が機能的に破壊される(すなわち、機能的タンパク質をもはやコードしない)ように、設計される(「ノックアウト」ベクターとも呼ばれる)。
【0118】
あるいは、このベクターは、相同組換えにより、内因性のNgR遺伝子が変異するか、そうでなければ変更されるが、なお機能的タンパク質をコードするように設計され得る(例えば、上流の調節領域が変更され、それによって内因性のNgRタンパク質の発現が変更され得る)。相同組換えベクターにおいて、NgR遺伝子の変更された部分は、その5’および3’末端で、NgR遺伝子のさらなる核酸と隣接し、ベクターにより保有される内因性NgR遺伝子と胚性幹細胞中の内因性NgR遺伝子との間の相同組換えを可能にする。さらなる隣接NgR核酸は、内因性遺伝子との首尾良い相同組換えに十分な長さを有する。代表的に、数キロベースの隣接DNA(5’末端および3’末端の両方)が、ベクター中に含まれる。例えば、相同組換えベクターの詳細については、Thomasら(1987)Cell 51:503を参照のこと。このベクターは、胚性幹細胞株に導入され(例えば、エレクトロポレーションにより)、そして導入されたNgR遺伝子が内因性NgR遺伝子と相同組換えを起こした細胞が選択される(例えば、Liら(1992)Cell 69:915を参照のこと)。
【0119】
次いで、選択された細胞は、動物(例えば、マウス)の胚盤胞に注入され、凝集キメラが形成される。例えば、Bradley 1987、TERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS:A Practical Approach、Robertson編、IRL、Oxford、113〜152頁を参照のこと。次いで、キメラ胚は、適切な偽妊娠雌性養育動物(foster animal)に移植され得、そしてこの胚は、出産にいたる(brought to term)。生殖細胞中に相同組換えされたDNAを有する子孫は、導入遺伝子の生殖系列伝達(germline transmission)により、その動物の全ての細胞が相同組換えされたDNAを含む動物を飼育するのに使用される。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築する方法は、Bradley(1991)Curr.Opin.Biotechnol.2:823−829;PCT国際公開番号WO90/11354;WO90/01140;WO92/0968;およびWO93/04169にさらに記載される。
【0120】
別の実施形態において、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された系を含むトランスジェニック非ヒト動物が、生成され得る。このような系の1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の詳細については、例えば、Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である(O’Gormanら(1991)Science 251、1351−1355)。cre/loxPリコンビナーゼ系が導入遺伝子の発現を調節するために使用される場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要とされる。このような動物は、「二重」トランスジェニック動物の構築を通して(例えば、2匹のトランスジェニック動物(一方は、選択されたタンパク質をコードする導入遺伝子を含み、そして他方は、リコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む)を交配させることにより)提供され得る。
【0121】
本明細書中に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンもまた、Wilmutら(1997)Nature 385:810−813に記載される方法に従って生成され得る。簡潔には、トランスジェニック動物由来の細胞(例えば、体細胞)が単離され、そして成長サイクルから出てG期に入るように誘導され得る。次いで、休止細胞は、例えば、電気パルスの使用を通して、同種の動物から摘出された卵母細胞に融合され得、この卵母細胞から休止細胞が単離される。次いで、再構築された卵母細胞は培養され、その結果、桑実胚または未分化胚芽細胞に成長し、次いで、偽妊娠雌性養育動物に移される。誕生したこの雌性養育動物の子孫は、この動物のクローンであり、この動物から、細胞(例えば、体細胞)が単離される。
【0122】
(アンチセンス)
NgRポリヌクレオチドを認識し、ハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチドもまた、本発明により提供される。全長およびフラグメントのアンチセンスポリヌクレオチドが提供される。本発明のフラグメントアンチセンス分子として、(i)NgR RNAを特異的に認識し、これにハイブリダイズする分子(NgRをコードするDNAと、他の既知の分子をコードするDNAとの配列比較により決定される)が挙げられる。NgRをコードするポリヌクレオチドに固有の配列の同定は、任意の公に利用可能な配列データベースの使用、および/または市販の配列比較プログラムの使用を通して推測され得る。所望の配列の同定後、制限消化または当該分野で周知の任意の種々のポリメラーゼ連鎖反応技術を用いた増幅を通じた単離が実施され得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、特にNgR mRNAを発現する細胞によるNgRの発現の調節に関連する。
【0123】
NgRをコードする本発明のヌクレオチド配列から獲得される、アンチセンスオリゴヌクレオチド、あるいは配列番号1、3、13に示されるヌクレオチド配列のフラグメントまたはそれらに相補的もしくは相同な配列は、種々の組織における遺伝子発現を探索するための診断ツールとして有用である。例えば、組織は、検出可能な基を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いて、従来のオートラジオグラフィー技術によりインサイチュで探索されて、この酵素のネイティブの発現またはそれに関連する病理学的状態が調査され得る。特定の局面において、少なくとも約10、25、50、100、250、または500ヌクレオチドまたはNgRコード鎖あるいはその一部のみに相補的な配列を含むアンチセンス核酸分子が提供される。配列番号2、4、または14のNgRタンパク質のフラグメント、ホモログ、誘導体、およびアナログをコードする核酸分子あるいは配列番号1、3、または13のNgR核酸配列に相補的なアンチセンス核酸がさらに提供される。
【0124】
1つの実施形態において、アンチセンス核酸分子は、NgRをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域をいう(例えば、コード領域配列番号1、3、または13に対応するヒトNgRのタンパク質コード領域)。別の実施形態において、アンチセンス核酸分子は、NgRをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」は、コード領域に隣接し、アミノ酸に翻訳されない5’および3’配列をいう(すなわち、5’および3’非翻訳領域とも称される)。
【0125】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは、配列番号1、3、13のヌクレオチド配列、またはそれらに対応するmRNAの調節領域(開始コドン、TATAボックス、エンハンサー配列などが挙げられるがこれらに限定されない)を標的とする。本明細書中で開示されるNgRをコードするコード鎖配列(例えば、配列番号1、3、または13)が与えられれば、本発明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrick塩基対形成の法則またはHoogsteen塩基対形成の法則に従い設計され得る。アンチセンス核酸分子は、NgR mRNAの全コード領域に相補的であり得るが、より好ましくは、NgR mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、NgR mRNAの翻訳開始部位の周辺の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を用いて、化学合成または酵素的連結反応を用いて構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、またはその分子の生物学的安定性を増加させるかもしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間で形成された二本鎖の物理的安定性を増加させるように設計された種々の改変ヌクレオチドを用いて(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る)化学合成され得る。
【0126】
アンチセンス核酸を生成するために使用され得る改変ヌクレオチドの例として、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン(queosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされた(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAが目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である(以下の節でさらに詳細に記載される))発現ベクターを用いて生物学に生成され得る。
【0127】
本発明のアンチセンス核酸分子(好ましくは、10〜20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド)は、代表的に、被験体に投与されるかまたはインサイチュで生成され、その結果、これらは、NgRタンパク質をコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするかまたは結合し、それによって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することにより、タンパク質の発現を阻害する。転写レベルまたは翻訳レベルのいずれかでのNgR発現の抑制は、異常なNgR発現により特徴付けられる疾患/状態に関する細胞モデルまたは動物モデルを作製するのに有用である。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成する従来的なヌクレオチド相補性によるか、または、例えば、DNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重らせんのメジャーグルーブにおける相互作用を通してであり得る。
【0128】
ホスホロチオエートおよびメチルホスホネートアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明による治療用途に特に企図される。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’末端にポリ−L−リジン、トランスフェリンポリリジン、またはコレステロール部分を付加することによりさらに改変され得る。
【0129】
本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例として、組織部位への直接注入が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的化するよう改変され得、次いで全身投与され得る。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、例えば、細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗原にアンチセンス核酸分子を連結することにより、選択された細胞表面に発現するレセプターまたは抗体に特異的に結合するよう改変され得る。このアンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載されるベクターを用いて細胞に送達され得る。十分な細胞内濃度のアンチセンス分子を達成するために、このアンチセンス核酸分子が強力なpolIIまたはpolIIIプロモーターの制御下に置かれているベクター構築物が好ましい。
【0130】
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、αアノマー核酸分子である。αアノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、このハイブリッドにおいて、通常のβユニットとは対照的に、鎖は互いに平行に延びる(Gaultierら(1987)Nucleic Acids Res.15:6625−6641)。このアンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)、またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら(1987)FEBS Lett.215:327−330)を含み得る。
【0131】
本発明において教示されるNgR配列は、ネイティブの細胞および動物ならびにNgRポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた細胞におけるNgR発現の調節のための新規の転写因子の設計を容易にする。例えば、Cys−Hisジンクフィンガータンパク質(これらのジンクフィンガードメインを介してDNAに結合する)は、異なる標的配列の認識を導く構造変化に影響を受けやすいことが示されている。これらの人工的なジンクフィンガータンパク質は、特定の標的部位を、高い親和性および低い解離定数で認識し、そして遺伝子切り替えとして作用して遺伝子発現を調節し得る。本発明の特定のNgR標的配列の知見により、公知の方法(例えば、構造に基づくモデリングおよびファージディスプレイライブラリーのスクリーニングの組み合わせ)を用いた、標的配列に特異的なジンクフィンガータンパク質の操作が容易になる(Segalら(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96、2758−2763;Liuら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94、5525−5530;Greismanら(1997)Science 275、657−661;Chooら(1997)J.Mol.Biol.273、525−532)。各々のジンクフィンガードメインは、通常、3つ以上の塩基対を認識する。18塩基対の認識配列は、一般的に、任意の既知のゲノムにおいてこの配列を特定するのに十分な長さであるので、6つのタンデムリピートのジンクフィンガーからなるジンクフィンガータンパク質は、特定の配列に対する特異性を確実にしていると考えられる(Segalら(1999)前出)。NgR配列のプロモーターに基づき設計された、この人工的なジンクフィンガー反復は、活性化ドメインまたは抑制ドメインと融合されて、NgRの発現を促進または抑制する(Liuら(1997)前出)。NgRのプロモーターは、本明細書中に含まれる開示およびNgR配列の知見と共に、当業者に公知の標準的な方法により獲得され得る。あるいは、ジンクフィンガードメインは、TATAボックス結合因子(TBP)と融合されて(ジンクフィンガーペプチドとTBPとの間のリンカー領域の長さを変化させて)、転写アクチベーターまたはリプレッサーのいずれかを生成する(Kimら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94、3616−3620)。このようなタンパク質およびこれらをコードするポリヌクレオチドは、ネイティブの細胞、動物およびヒト;ならびに/またはNgRをコードする配列でトランスフェクトされた細胞の両方において、インビボでNgR発現を調節するための有用性を有する。この新規の転写因子は、転写因子を発現する構築物をトランスフェクトすることによるか(遺伝子治療)、またはこのタンパク質を導入することにより、標的細胞に送達され得る。操作されたジンクフィンガータンパク質もまた、アンチセンスまたは触媒性RNA分子の代替としての治療剤において使用するために、RNA配列に結合するよう設計され得る(McCollら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96、9521−9526;Wuら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92、344−348)。本発明は、本発明の遺伝子配列に基づき、このような転写因子、および細胞(ネイティブまたは形質転換体)におけるNgR発現を調節するのに有用なカスタマイズされたジンクフィンガータンパク質を設計する方法を企図する。これらの遺伝子相補体は、これらの配列に含まれる。
【0132】
(リボザイムおよびPNA部分)
さらに別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。リボザイムは、一本鎖核酸(例えば、mRNA)(リボザイムは、それらに対する相補的領域を有する)を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム(HaselhoffおよびGerlach(1988)Nature 334:585−591に記載される))は、NgR mRNA転写物を触媒的に切断し、それによってNgR mRNAの翻訳を阻害するために用いられ得る。NgRをコードする核酸に特異性を有するリボザイムは、本明細書に開示されるNgR DNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1、3、または13)に基づいて設計され得る。例えば、Tetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体は、活性部位のヌクレオチド配列がNgRをコードするmRNAにおいて切断されるヌクレオチド配列に相補的であるように構築され得る。例えば、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照のこと。あるいは、NgR mRNAは、RNA分子のプールから特定のリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択するために用いられ得る。例えば、Bartelら(1993)Science 261:1411−1418を参照のこと。
【0133】
あるいは、NgR遺伝子発現は、NgRの調節領域(例えば、NgRプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的であるヌクレオチド配列を標的化し、標的細胞中のNgR遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成することによって阻害され得る。一般に、Helene(1991)Anticancer Drug Des.6:569−584;Heleneら(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;およびMaher(1992)BioEssays 14:807−815を参照のこと。
【0134】
種々の実施形態では、NgRの核酸は、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格で改変され、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解性を改善し得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を改変してペプチド核酸を生成し得る(Hyrupら(1996)Bioorg.Med.Chem.Lett. 4:5−23を参照のこと)。本明細書中で用いる場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格が偽ペプチド(pseudopeptide)骨格で置換され、かつ4つの天然のヌクレオ塩基のみが保持されている、核酸模倣物、例えば、DNA模倣物をいう。PNAの中性の骨格は、低イオン強度条件下で、DNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら(1996)前出;Perry−O’Keefeら(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93、14670−14675に記載されるような、標準的な固相ペプチド合成プロトコルを用いて実施され得る。
【0135】
NgRのPNAは、治療適用および診断適用において用いられ得る。例えば、PNAは、例えば、転写または翻訳の停止を誘導すること、または複製を阻害することにより、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスまたはアンチ遺伝子剤として用いられ得る。NgRのPNAはまた、例えば、PNA特異的PCRクランピングにより、例えば、遺伝子中の単一塩基対変異の分析において使用され;他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ)と組み合わせて使用される場合、人工の制限酵素として使用され(Hyrup(1966)前出);またはDNA配列およびハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマーとして使用され得る(Hyrupら(1966)前出;Perry−O’Keefe(1996)前出)。
【0136】
別の実施形態では、NgRのPNAは、例えば、それらの安定性または細胞の取り込みを増大するために、PNAに親油性基またはその他の補助基を結合することによるか、PNA−DNAキメラの形成によるか、またはリポソームの使用もしくは当該分野で公知の他の薬物送達の技法によって改変され得る。例えば、PNAとDNAの有利な性質を組み合わせ得る、NgRのPNA−DNAキメラが生成され得る。このようなキメラは、PNA部分が高い結合親和性および特異性を提供しつつ、DNA認識酵素(例えば、RNaseHおよびDNAポリメラーゼ)が、DNA部分と相互作用することを可能にする。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、ヌクレオ塩基間の結合数、および方向に関して選択された適切な長さのリンカーを用いて連結され得る(Hyrup(1996)前出)。PNA−DNAキメラの合成は、上記のHyrup(1966)およびFinnら(1996)Nucleic Acids Res 24:3357−3363に記載されるように実施され得る。例えば、DNA鎖は、標準的なホルホルアミダイトカップリング化学を用いて固体支持体上で合成され得、そして改変ヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイト)は、PNAとDNAの5’末端との間で使用され得る(Magら(1989)Nucleic Acids Res 17:973−988)。次いで、PNAモノマーは段階的様式でカップリングされて、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子が生成される(Finnら(1996)前出)。あるいは、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを有するキメラ分子が、合成され得る。Petersenら(1975)Bioorg.Med.Chem.Lett.5:1119−1124を参照のこと。
【0137】
他の実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付属基(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的化するため)、または細胞膜(例えば、Letsingerら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556;Lemaitrら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652;PCT公報番号WO88/09810を参照のこと)もしくは血液脳関門(例えば、PCT公報番号WO89/10134を参照のこと)を横切る輸送を容易にする薬剤を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションにより誘導される切断剤(例えば、Krolら(1988)Biotechniques 6:958−976を参照のこと)またはインターカーレート剤(例えば、Zon(1988)Pharm.Res.5:539−549を参照のこと)を用いて改変され得る。この目的のために、このオリゴヌクレオドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションにより誘導される架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーションにより誘導される切断剤など)に連結され得る。
【0138】
自動配列決定法は、NgRのヌクレオチド配列を獲得および確認するために使用され得る。本発明のNgRヌクレオチド配列は、100%正確であると考えられる。しかし、当該分野で公知のように、自動方法により獲得されるヌクレオチド配列は、いくつかの誤りを含み得る。オートメーションにより決定されるヌクレオチド配列は、所定の核酸分子の正確なヌクレオチド配列と、代表的に少なくとも約90%、より代表的には少なくとも約95%〜少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は、当該分野で周知の手動の配列決定方法を用いてより正確に決定され得る。1つ以上のヌクレオチドの挿入または欠失を生じる配列中の誤りは、翻訳の際にフレームシフトを引き起こし、その結果、予想されたアミノ酸配列は、変異の点で始まるこの核酸分子の実際のヌクレオチド配列から予想されたアミノ酸配列と異なる。
【0139】
(ポリペプチド)
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる、精製および単離された哺乳動物NgRポリペプチドを提供する。配列番号2または配列番号14に示されるアミノ酸配列を含むヒトNgRポリペプチドが、現在のところ好ましい。別の好ましい実施形態は、配列番号4に示されるようなNgR3のアミノ酸配列を含む、マウスNgRポリペプチドである。
【0140】
本発明の1つの局面は、単離されたNgRタンパク質、およびその生物学的に活性な部分、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、もしくはホモログに関する。抗NgR抗体を惹起するための免疫原として使用するのに適したポリペプチドフラグメントもまた提供される。好ましくは、NgRタンパク質のフラグメントは、NgRの少なくとも1つの生物学的活性を含む。1つの実施形態において、ネイティブのNgRタンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いた適切な精製スキームにより、細胞供給源または組織供給源から単離され得る。別の実施形態において、NgRタンパク質は、組換えDNA技術により生成される。組換え発現の代替として、NgRタンパク質またはポリペプチドは、標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成され得る。
【0141】
本発明はまた、本発明の好ましいポリペプチドに対して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、少なくとも50%、少なくとも45%の、同一性および/または相同性を有するポリペプチドを含む。さらに、本発明は、配列番号6に示されるコンセンサス配列を有するポリペプチド(表5に示され、以前に特徴付けられたNgR(「NgR1」)を除外する)、およびこのコンセンサス配列の少なくとも約90%を含むポリペプチドを含む。
【0142】
用語「配列同一性の割合」は、以下により計算される:比較の領域にわたって、2つの最適に整列された配列を比較して、同一の核酸塩基(核酸の場合、例えば、A、T、C、G、U、またはI)が両方の配列において存在する部位の数を決定して、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を比較の領域(すなわち、ウィンドウサイズ)における位置の総数で除算して、そして結果に100を乗算して配列同一性の割合を得る。本明細書中で用いられる場合、用語「実質的な同一性」は、ポリヌクレオチド配列の特徴を示し、ここで、このポリヌクレオチドは、比較領域にわたる参照配列と比較して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、および頻繁に90〜95%の配列同一性、さらに通常は、少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0143】
1つの局面では、整列(アライメント)を最大にするために100のアミノ酸の長さの4つのギャップが導入され得る場合、比較される配列の中の同一のアミノ酸残基と整列する、2つの配列のうちの小さい方の配列におけるアミノ酸残基の割合として計算される(Dayhoff,ATLAS OF PROTEIN SEQUENCE AND STRUCTURE、第5巻、124頁、National Biochemical Research Foundation,Washington,D.C.(1972)本明細書中で参考として援用される)。
【0144】
相同性または同一性の決定は、代表的に、当該分野で公知のコンピューター相同性プログラムにより行われる。例示的なプログラムは、デフォルト設定を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8 for UNIX(登録商標)、Genetics Computer Group、University Research Park、Madison、WI)(これは、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.、1981、2:482−489(その全体が参考として本明細書中に援用される))を使用する)である。GCGプログラムパッケージにおいて提供されるGAPソフトウェア(NeedlemanおよびWunsch 1970 J Mol Biol 48:443〜453を参照のこと)を用いて、核酸配列比較のための以下の設定:GAP作成ペナルティー、5.0、およびGAP伸長ペナルティー、0.3を使用し得る。上記で言及される類似の核酸配列のコード領域は、配列番号1、3または13に示されるDNA配列のCDS(コード)部分と、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性の程度を示す。BestFitは、バージョン1.0に関して、Paul Haeberliによって、NeedlemanおよびWunsch(1970)(上記)およびSmithおよびWaterman(1981)(上記)による論文の詳細な解釈から、最初は書かれた。核酸配列比較のために以下のBestfit設定:GAP作成ペナルティーとして8.0、およびGAP伸長ペナルティーとして2を使用し得る。上記で言及される類似の核酸配列のコード領域は、配列番号2、4または14に示されるアミノ酸配列のCDS(コード)部分と、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の同一性の程度を示す。
【0145】
あるいは、相同性は、ハイブリダイゼーション分析により決定され得、ここで、核酸配列は、ストリンジェントな条件下、中程度にストリンジェントな条件下、または低ストリンジェントな条件下で、上記のタンパク質をコードする配列の相補体にハイブリダイズされる。例えば、Ausubelら(編)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,NY,1993および以下を参照のこと。
【0146】
本発明のポリペプチドは、天然の細胞供給源から単離され得るか、または化学的に合成され得るが、好ましくは、本発明の宿主細胞を含む組換え手順により産生される。
【0147】
「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、NgRタンパク質の由来する細胞または組織供給源由来の細胞性物質または他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学合成される場合に化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、NgRタンパク質の調製物を含み、この調製物において、NgRタンパク質が単離または組換え産生される細胞の細胞性成分から、このタンパク質は分離されている。1つの実施形態において、用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、非NgRタンパク質(本明細書中において「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を(乾燥重量にて)約30%未満、より好ましくは非NgRタンパク質を約20%未満、なおより好ましくは非NgRタンパク質を約10%未満、そして最も好ましくは非NgRタンパク質を約5%未満有する、NgRタンパク質の調製物を含む。NgRタンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換え産生される場合、好ましくは、調製物はまた培養培地を実質的に含まない。すなわち、培養培地は、そのタンパク質調製物の容量の約20%未満、より好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満を示す。
【0148】
用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、タンパク質が、そのタンパク質の合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離されているNgRタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態において、用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、化学前駆体または非NgRの化学物質を(乾燥重量にて)約30%未満、より好ましくは化学前駆体または非NgRの化学物質を約20%未満、なおより好ましくは化学前駆体または非NgRの化学物質を約10%未満、そして最も好ましくは化学前駆体または非NgRの化学物質を約5%未満有する、NgRタンパク質の調製物を含む。
【0149】
NgRタンパク質の生物学的に活性な部分は、全長NgRタンパク質より少ないアミノ酸を含み、そしてNgRタンパク質の少なくとも1つの活性を示す、NgRタンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2、4または14に示されるアミノ酸配列)に十分に相同なアミノ酸配列、またはNgRタンパク質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。代表的には、生物学的に活性な部分は、NgRタンパク質の少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。NgRタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さが10、25、50、100またはそれより多いアミノ酸であるポリペプチドであり得る。
【0150】
本発明のNgRタンパク質の生物学的に活性な部分は、NgRタンパク質の間で保存される特徴(例えば、成熟タンパク質のN末端として保存されたしステイン、ロイシンリッチ領域の前のN末端内の4つの保存されたシステイン、ロイシンリピート領域に関するC末端の4つの保存されたシステイン、8つのロイシンリッチリピート、および疎水性C末端)の少なくとも1つを含み得る。NgRタンパク質の代替的な生物学的に活性な部分は、少なくとも2つの上記ドメインを含み得る。NgRタンパク質の別の生物学的に活性な部分は、上記ドメインの少なくとも3つを含み得る。本発明のNgRタンパク質のさらに別の生物学的に活性な部分は、上記ドメインの少なくとも4つを含み得る。
【0151】
さらに、他の生物学的に活性な部分(タンパク質の他の領域が欠失される)は、組換え技術により調整され得、そしてネイティブNgRタンパク質の機能的活性の1つ以上について評価され得る。
【0152】
1つの実施形態では、NgRタンパク質は、配列番号2、4または14に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、NgRタンパク質は、配列番号2,4または14に実質的に相同であり、そして配列番号2,4または14のタンパク質の機能的活性を維持し、さらに、以下に詳細に記載されるように、天然の対立遺伝子改変体または変異誘発に起因してアミノ酸配列が異なる。
【0153】
従って、別の実施形態では、NgRタンパク質は、配列番号2または配列番号4または配列番号14のアミノ酸配列に、少なくとも約45%相同なアミノ酸配列を含み、かつ配列番号2、4または14のNgRタンパク質の機能的活性を維持するタンパク質である。
【0154】
哺乳動物宿主細胞の使用は、本発明の組換え発現産物に対して最適な生物学的活性を与えるために必要であり得るので、このような翻訳後の改変(例えば、グリコシル化、短縮化、脂質化(lipidation)、およびホスホリル化)を含むことが予想される。NgRポリペプチドのグリコシル化形態および非グリコシル化形態は、本発明に含まれる。
【0155】
本発明はまた、改変体(またはアナログ)NgRポリペプチドを含む。1つの例としては、挿入改変体が提供され、ここで、1以上のアミノ酸残基が、NgRアミノ酸配列を足し込む。挿入物は、タンパク質のいずれかの末端または両方の末端に配置され得るか、またはNgRアミノ酸配列の内部の領域内に位置づけられ得る。いずれかの末端または両方の末端にさらなる残基を有する挿入改変体は、例えば、融合タンパク質、ならびにアミノ酸タグまたは標識を含むタンパク質を含み得る。
【0156】
挿入改変体は、NgRポリペプチドを含み、ここで、1つ以上のアミノ酸残基が、NgR核酸配列またはその生物学的に活性なフラグメントに加えられる。
【0157】
本発明の改変体産物はまた、さらなるアミノ末端残基を有する、成熟NgR産物(すなわち、リーダー配列またはシグナル配列が取り除かれているNgR産物)を含む。このさらなるアミノ末端残基は、別のタンパク質に由来し得るか、または特定のタンパク質に由来すると確認できない1つ以上の残基を含み得る。−2位および−1位(Met−2−Lys−1−NgR)にメチオニン残基およびリジン残基を有する改変体が意図されるように、−1位(Met−1−NgR)にさらなるメチオニン残基を有するNgR産物が意図される。さらなるMet残基、Met残基−Lys残基、Lys残基を有するNgRの改変体(または一般に1つ以上の塩基性残基)は、細菌宿主細胞における増幅された組換えタンパク質産生に特に有用である。
【0158】
(ポリペプチド改変体)
本発明はまた、特定の発現系の使用から生じる、さらなるアミノ酸残基を有するNgR改変体を含む。
【0159】
本明細書中で使用される場合、NgR「キメラタンパク質」またはNgR「融合タンパク質」は、非NgRポリペプチドに作動可能に連結された、NgRポリペプチドを含む。「NgRポリペプチド」は、NgRに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、「非NgRポリペプチド」は、NgRタンパク質に対して実質的に相同ではないタンパク質(例えば、NgRタンパク質とは異なるタンパク質、および同一生物または異なる生物に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。NgR融合タンパク質において、このNgRポリペプチドは、NgRタンパク質のすべてまたは一部分に対応し得る。1つの実施形態では、NgR融合タンパク質は、NgRタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。別の実施形態では、NgR融合タンパク質は、NgRタンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。さらに別の実施形態では、NgR融合タンパク質は、NgRタンパク質の少なくとも3つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質において、用語「作動可能に連結された」は、NgRポリペプチドおよび非NgRポリペプチドが、インフレームで互いに融合されていることを示すことが意図される。非NgRポリペプチドは、NgRポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0160】
例えば、1つの実施形態では、NgR融合タンパク質は、第2のタンパク質の細胞外ドメインに作動可能に連結されたNgRポリペプチドを含む。このような融合タンパク質は、NgR活性を調節する化合物についてのスクリーニングアッセイでさらに利用され得る(このようなアッセイは、以下に詳細に記載される)。
【0161】
例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)融合産物の一部として所望のポリペプチドを発現する、市販のベクターの使用は、所望のポリペプチドからのGST構成要素の切断の後に、−1位にさらなるグリシン残基を有する所望のポリペプチドを提供する。
【0162】
別の実施形態において、この融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含むNgRタンパク質である。例えば、ネイティブNgRシグナル配列(すなわち、配列番号2のアミノ酸1〜30および配列番号4のアミノ酸1〜40)が除去され得、そして別のタンパク質由来のシグナル配列で置換され得る。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、NgRの発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を介して増加され得る。
【0163】
さらに別の実施形態においては、この融合タンパク質は、NgR−免疫グロブリン融合タンパク質であり、ここでは1つ以上のドメインを含むNgR配列が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合される。本発明のこのNgR−免疫グロブリン融合タンパク質は、薬学的組成物中に取り込まれ得、そして被験体に投与されて、細胞の表面上のNgRリガントとNgRタンパク質との間の相互作用を阻害し、それによってインビボでNgR媒介シグナル伝達を抑制し得る。このNgR−免疫グロブリン融合タンパク質を用い、NgR同族リガンドのバイオアベイラビリティーを調節し得る。NgRリガンド/NgR相互作用の阻害は、増殖障害および分化障害の処置、および細胞生存を調節(例えば、促進または阻害)することの両方について、治療的に有用であり得る。さらに、本発明のNgR−免疫グロブリン融合タンパク質は、被験体中で抗NgR抗体を産生するための免疫原として、NgRリガンドを精製するため、そしてNgRリガンドとのNgRの相互作用を阻害する分子を同定するスクリーニングアッセイにおいて、用いられ得る。
【0164】
本発明のNgRキメラタンパク質または融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技法により産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、従来の技法に従って、例えば、連結のための平滑化末端または付着(stagger)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、適切な付着(cohesive)末端の充填、所望しない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的連結を使用することにより、インフレームで一緒に連結する。別の実施形態では、融合遺伝子を、自動化DNA合成機を含む従来技法により合成し得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅を、2つの連続する遺伝子フラグメント間に相補的突出を生じるアンカープライマーを用いて実施し得、この遺伝子フラグメントは、キメラ遺伝子配列を生成するために次いでアニーリングおよび再増幅され得る(例えば、Ausubelら(編)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley&Sons、1992を参照のこと)。さらに、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコードした多くの発現ベクターが市販されている。NgRをコードする核酸は、この融合部分がNgRタンパク質にインフレーム連結されるように、このような発現ベクター中にクローン化され得る。
【0165】
他のベクター系における発現から生じる改変体もまた含まれる。
【0166】
挿入改変体はまた、融合タンパク質を含み、ここで、NgRのアミノ末端および/またはカルボキシ末端は、別のポリペプチドに融合される。
【0167】
別の局面では、本発明は、欠失改変体を提供し、ここで、NgRポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸残基が取り除かれる。欠失は、NgRポリペプチドの一方の末端または両方の末端で行われ得るか、NgRの1つ以上の非末端アミノ酸残基の除去により行われる。従って、欠失改変体は、NgRポリペプチドの全てのフラグメントを含む。
【0168】
本発明はまた、配列番号2、4または14に示される配列のポリペプチドフラグメントを含み、ここで、これらのフラグメントは、NgRポリペプチドの生物学的特性(リガンド結合および/または細胞間シグナル伝達)、免疫学的特性くを維持する。配列番号2、4または14の、少なくとも4,5,10,15,20,25,30,35、または40の連続するアミノ酸を含むフラグメントが、本発明により意図される。好ましいポリペプチドフラグメントは、ヒトNgR、ならびにその対立遺伝子ホモログおよび種ホモログに対して固有または特異的な抗原性特性を示す。所望の生物学的特性および免疫学的特性を有する本発明のフラグメントは、当該分野で周知および慣用的に実施される任意の方法により調整され得る。
【0169】
さらに別の局面では、本発明は、NgRポリペプチドの置換改変体を提供する。置換改変体は、NgRポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が除去され、そして代替の残基と置換される、ポリペプチドを含む。1つの局面では、置換は、天然では保存的であるが、本発明はまた、非保存的である置換も含む。この目的のための保存的置換は、以下の表2、3、または4に示されるようび規定され得る。
【0170】
【表1】
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
改変体ポリペプチドとしては、保存的置換が、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを改変することによって導入された、ポリペプチドが挙げられる。アミノ酸は、物理学的特性およびタンパク質の二次構造およびタンパク質の三次構造への寄与に従って分類され得る。保存的置換は、あるアミノ酸から類似の特性を有する別のアミノ酸への置換として当該分野において認識されている。例示的な保存的置換は、(WO 97/09433,10頁,1997年3月13日に公開(PCT/GB96/02197、96年9月6日に出願)からの)すぐ下の表2に示される。
【0171】
(表2)
(保存的置換I)
【0172】
【表2】
Figure 0004465148
あるいは、保存的アミノ酸は、すぐ下の表3に示されるように、Lehninger[BIOCHEMISTRY,第2版;Worth Publishers,Inc.NY,NY(1975),71−77頁]に記載のようにグループ分けされ得る。
【0173】
(表3)
(保存的置換II)
【0174】
【表3】
Figure 0004465148
なお別の代替として、例示的な保存的置換が以下の表4に示される。
【0175】
(表4)
(保存的置換III)
【0176】
【表4】
Figure 0004465148
さらに、(本明細書中で提示されるアライメントによって示されるような)本発明のNgRタンパク質のファミリーのメンバーの間で保存されるアミノ酸残基はまた、変更に対して特に御しにくいと予測される。例えば、本発明のNgRタンパク質は、NgRで代表的に保存される領域である少なくとも1つのドメインを包含し得る。これらの保存されたドメインの例としては、例えば、ロイシンリッチリピートドメインが挙げられる。NgRタンパク質のメンバーの中で保存されていないかまたは半保存的にすぎないアミノ酸残基は、変化に対して容易に影響を受けやすい。
【0177】
全長NgRは、配列番号19に示されるアミノ酸コンセンサス配列によって特徴付けられるLRR領域を有する。少なくともいくつかの全長NgRはまた、CTシグナル伝達(CTS)ドメインおよびGPIドメインを含む。
【0178】
本明細書中で使用されるNgRドメインの呼称は、以下のように定義される:
【0179】
【表5】
Figure 0004465148

【0180】
本発明のいくつかの実施形態において、上記のドメインは、改変される。改変は、ドメインの機能性を保存する様式であり得る。改変としては、特定のアミノ酸の、付加、欠失または置換が挙げられる。例示的な改変としては、保存的アミノ酸置換が挙げられる。好ましくは、このような置換は、100残基当たり20以下の残基である。より好ましくは、このような置換は、100残基当たり10以下の残基である。さらに例示的な改変としては、1以上のドメインのN末端および/またはC末端において5までのアミノ酸の隣接配列の付加が挙げられる。
【0181】
いくつかの実施形態において、この単離された核酸分子は、配列番号2、4、14に対して、少なくとも約70%、80%、90%、95%、98%および最も好ましくは少なくとも約99%相同性であるポリペプチドをコードする。
【0182】
変異は、標準的な技術(例えば、部位指向性変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によって、配列番号1、3、または13に導入され得る。保存的アミノ酸置換は、非必須であると予測される1以上のアミノ酸残基において生成され得る。あるいは、変異は、NgRコード配列に沿って無作為に導入され得る。これは、例えば、飽和突然変異誘発(saturation mutagenesis)によって達成され得る。得られた変異体は、NgR生物活性についてスクリーニングされ得る。NgR生物学的な活性としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(1)(例えば、他のNgRまたはNogo関連シグナル伝達に関与する細胞表面タンパク質との)タンパク質:タンパク質相互作用;(2)NgRリガンドとの複合体形成;(3)抗NgR抗体に対する結合。
【0183】
本発明のポリペプチドの定義は、アミノ酸残基の、挿入、欠失または置換以外の改変を保有するポリペプチドを含むことを意図すると理解される。例として、この改変は、事実上、共有結合性であり得、そしてこの改変は、例えば、ポリマー、脂質、他の有機部分および他の無機部分との化学結合を含む。このような誘導体は、ポリペプチドの循環半減期を増加するように調製され得るか、またはこの誘導体は、所望の細胞、組織、または器官についてのこのポリペプチドの標的化能力を改善するように設計され得る。同様に、本発明は、NgRポリペプチドをさらに包含し、このNgRポリペプチドは、1以上の水溶性ポリマー結合物(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシレングリコール、またはポリプロピレングリコール)を含むように共有結合的に改変される。ネイティブNgRのリガンド結合特性を示し、かつより高いレベルで発現される、改変体、ならびに構成的に活性なレセプターを提供する改変体は、特に本発明のアッセイにおいて有用であり;この改変体はまた、異常型のNgR活性によって特徴付けられる、疾患/条件の細胞モデル、組織モデルおよび動物モデルの提供において有用である。
【0184】
NgRポリペプチドがポリマーに結合している、化学修飾されたNgRポリペプチド組成物は、本発明の範囲に包含される。このポリマーは、水溶性であり得、水溶性環境(例えば、生理学的環境)でこのタンパク質の沈澱を防止し得る。適切な水性ポリマーは、例えば、以下からなる群より選択され得る:ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物に基づくポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール。この選択されたポリマーは、通常は改変され、単一の反応性基(例えば、アシル化のための活性エステルまたはアルキル化のためのアルデヒド)を有し、その結果、重合度は制御され得る。ポリマーは、任意の分子量であり得、そして、このポリマーは分枝状でも分枝状でなくてもよく、そしてこのようなポリマーの混合物はまた、使用され得る。この化学修飾されたNgRポリマーは、治療用途に決定付けられる場合、薬学的に受容可能なポリマーが使用するために選択される。
【0185】
このポリマーがアシル化反応によって改変される場合、このポリマーは、単一の反応性エステル基を有するべきである。あるいは、このポリマーが還元アルキル化によって改変される場合、このポリマーは単一の反応性アルデヒド基を有するべきである。好ましい反応性アルデヒドは、ポリエチレングリコール、プロピオンアルデヒド(このプロピオンアルデヒドは、水溶性である)または、そのモノC1〜C10の、アルコキシ誘導体もしくはアリールオキシ誘導体である(例えば、米国特許第5,252,714号(これは、本明細書中で全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0186】
NgRポリペプチドのペグ化(Pegylation)は、例えば、以下の参考文献に記載されるような、当該分野で公知の、任意のペグ化反応によって実施され得る:Focus on Growth Factors 3,4−10(1992);EP 0 154 316 ;およびEP 0 401 384(これらの各々は、本明細書中で、全体が参考として援用される)。好ましくは、このペグ化は、反応性ポリエチレングリコール分子(または、類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施される。ポリペプチド(例えば、NgR)のペグ化のための好ましい水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)である。本明細書中で使用される場合、「ポリエチレングリコール」は、PEGの任意の形態の包含することを意味し、ここで、このPEGは、他のタンパク質(例えば、モノ(C1〜C10)アルコキシポリエチレングリコールまたはモノ(C1〜C10)アリールオキシポリエチレングリコール)を誘導体するために使用される。
【0187】
NgRポリペプチドの化学誘導体化を、生物学的に活性な物質を活性化したポリマー分子と反応させるのに使用される適切な条件下で、実施され得る。ペグ化したNgRポリペプチドを調製するための方法は、一般に以下の工程を包含する:(a)NgRポリペプチドが1以上のPEG基に結合するような条件下で、ポリエチレングリコール(例えば、PEGの、反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)とこのポリペプチドを反応させる工程および(b)この反応生成物を得る工程。公知のパラメータおよび所望の結果に基づいて、最適な反応条件またはアシル化反応を選択することは当業者に容易である。
【0188】
ペグ化ポリマーおよび他のポリマー:NgRポリペプチドは、一般に、本明細書中に記載のNgRポリペプチドを投与することによって、緩和または調節され得る状態を処置するために使用され得るが、しかし、本明細書中で開示された、化学誘導体化されたポリマー:NgRポリペプチド分子は、それらの非誘導体分子と比較して、さらなる活性、増大された生物活性もしくは減少した生物活性、または他の特徴(例えば、増大された半減期または減少した半減期)を有し得る。このNgRポリペプチド、それらのフラグメント、改変体および誘導体は、単独で、併用して、または他の薬学的組成物を組み合わせて使用され得る。これらのサイトカイン、増殖因子、抗原、抗炎症剤および/または化学療法剤は、徴候を処置するのに適切である。
【0189】
本発明は、精製された本発明のポリペプチドを含む組成物を提供する。好ましい組成物は、本発明のポリペプチドに加え、薬学的に受容可能な(すなわち、無菌かつ非毒性の)液体、半固体、または固体の希釈剤を含み、この希釈剤は、薬学的ビヒクル、賦形剤または媒体として役割を果たす。当該分野で公知の任意の希釈剤が使用され得る。例示的希釈剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水、生理食塩水溶液、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ステアリン酸マグネシウム、メチルヒドロキシ安息香酸およびプロピルヒドロキシ安息香酸、タルク、アルギナート、デンプン、ラクトース、スクロース、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、リン酸カルシウム、鉱油、およびココアバター。
【0190】
ネイティブNgRのリガンド結合特性を示し、かつより高いレベルで発現される、改変体、ならびに構成的に活性なレセプターを提供する改変体は、特に本発明のアッセイにおいて有用であり得;この改変体はまた、本発明のアッセイにおいて、ならびに異常型のNgR活性によって特徴付けられる、疾患/条件の細胞モデル、組織モデルおよび動物モデルの提供において、有用である。
【0191】
本発明で開示された核酸配列情報の知見を用いて、当業者は、例えば、Sambrookら,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)(これは、本明細書中で全体が参考として援用される)に開示されるように、当業者に周知である種々の手段によって、異なる供給源(すなち、異なる組織または異なる生物種)からNgRをコードするヌクレオチド配列を同定し、そしてこれらを得ることできる。
【0192】
例えば、NgRをコードするDNAは、本明細書中で提供されるNgR遺伝子配列情報から生成されるオリゴヌクレオチドプローブを使用して、mRNA、cDNA、またはゲノムDNAのスクリーニングによって得られ得る。プローブは、検出可能な基(蛍光基、放射性原子、または化学発光基)を使用して、当業者に公知の手順に従って、標識され得、そしてこのプローブは、例えば、上述のSambrookら(1989)に記載されるような従来のハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。
【0193】
上述の任意のNgRヌクレオチド配列を含有する核酸分子は、代替的に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用によって合成され得、このPCRオリゴヌクレオチドプライマーは、本明細書中に記載の核酸配列から生成される。例えば、特許第4,683,195号(Mullisら)および特許第4,683,202号(Mullis)を参照のこと。このPCR反応によって、特定の核酸配列が、特定のサンプル中で、予め精製されず、そしてこの核酸配列が単一のコピーのみ存在する場合ですら、特定の核酸配列の濃度を選択的に上昇させる方法が提供される。この方法を使用して、一本鎖DNAまたは二本鎖DNAのいずれかを増幅し得る。この方法のエッセンスとしては、2つのオリゴヌクレオチドプローブの使用が挙げられ、これらのプローブは、テンプレート依存性であり、ポリメラーゼ媒介である、所望の核酸分子の複製のためのプライマーとして役割を果たす。
【0194】
広範な代替的なクローニングおよびインビトロの増幅法は、当業者にとって公知である。これらの技術の例は、例えば、Bergerら,Guide to Molecular Cloning Techniques,METHODS IN ENZYMOLOGY 152 Academic Press,San Diego,CA(これは、本明細書中で参考として全体が援用される)に見出される。
【0195】
本発明の核酸分子およびそれらから誘導されるフラグメントは、特定の疾患と関連する制限酵素切断断片長多型(RFLP)についてのスクリーニング、ならびに遺伝地図作製について有用である。
【0196】
(抗体)
NgRまたはそのフラグメントに特異的な抗体(例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、二官能性/二特異的抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、および相補性決定領域(CDR)移植抗体(本発明のポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む化合物を含む))もまた、本発明によって意図される。本発明の好ましい抗体は、WO93/11236(1993年6月20日公開)(これは、本明細書中に参考としてその全体が援用される)に記載される方法に従って生成され、そして同定されるヒト抗体である。抗体フラグメント(Fab、Fab’、F(ab’)、およびF)もまた、本発明によって提供される。用語「特異的な」は、本発明の抗体を記載するために使用される場合、NgRポリペプチドを排他的に認識し、かつこれに結合する(すなわち、NgRとこのようなポリペプチドとの間の局在化された配列同一性、配列相同性、または配列類似性の可能性のある存在にかかわらず、結合親和性の測定可能な差異によって、NgRポリペプチドを他の公知のNgRポリペプチドと区別し得る)本発明の抗体の可変領域を示す。
【0197】
NgRの抗原性ペプチドは、配列番号2、4または14に示されるアミノ酸配列の少なくとも8アミノ酸残基を含み、そしてNgRのエピトープを含み、その結果、このペプチドに対して惹起された抗体は、NgRと特異的な免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15アミノ酸残基、なおより好ましくは少なくとも20アミノ酸残基、そして最も好ましくは少なくとも30アミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドによって含まれる好ましいエピトープは、タンパク質の表面上に位置するNgRの領域(例えば、親水性領域)である。
【0198】
特定の抗体が、抗体の可変領域の外側の配列(特に、その分子の定常領域中)との相互作用を介して、他のタンパク質(例えば、ELISA技術における、S.aureus プロテインAまたは他の抗体)とも相互作用し得ることが、理解される。本発明の抗体の結合特異性を決定するためのスクリーニングアッセイは、当該分野で周知であり、そして当該分野で慣用的に実施される。このようなアッセイの包括的な考察について、Harlowら、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Cold Spring Harbor,NY(1988)第6章を参照のこと。本発明のNgRポリペプチドのフラグメントを認識しかつこれに結合する抗体もまた、含まれ、但し、この抗体は、NgRポリペプチドに特異的である。本発明の抗体は、当該分野で周知の任意の方法を用いて生成され、そして当該分野において慣用的に実施され得る。
【0199】
ポリクローナル抗体の産生について、種々の適切な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)が、ネイティブなタンパク質もしくはその合成改変体、または上述のものの誘導体を用いた注射によって免疫され得る。例えば、適切な免疫原性調製物は、組換え発現されたNgRタンパク質または化学合成されたNgRポリペプチドを含み得る。この調製物は、アジュバントをさらに含み得る。免疫学的応答を増大するために使用される種々のアジュバントとしては、フロイント(完全および不完全)アジュバント、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油状乳濁物、ジニトロフェノールなど)、ヒトアジュバント(例えば、Bacille Calmette−GuerinおよびCorynebacterium parvum)または類似の免疫刺激因子が挙げられるが、これらに限定されない。所望される場合、NgRに対する抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離され得、さらに、周知の技術(例えば、プロテインAクロマトグラフィー)によって精製されてIgG画分を獲得し得る。
【0200】
用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書中に使用される場合、NgRの特定のエピトープと免疫反応し得る抗原結合部位の1種のみを含む抗体分子の集団をいう。従って、モノクローナル抗体は、代表的に、この抗体が免疫反応する特定のNgRタンパク質に対して単一の結合親和性を示す。特定のNgRタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログに対するモノクローナル抗体の調製について、連続的な細胞株培養によって抗体分子の産生を提供する任意の技術が、利用され得る。このような技術としては、ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256、495−497を参照のこと);トリオーマ(trioma)技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunol.Today 4,72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleら(1985)MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,77−96頁)が挙げられるが、これらに限定されない。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実施に利用され得、そしてヒトハイブリドーマを用いることによって(Coteら(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80,2026−2030を参照のこと)、またはインビトロにおいてヒトB細胞をエプスタイン−バーウイルスで形質転換することによって(Coleら(1985)、上記)、産生され得る。
【0201】
本発明に従って、技術は、NgRタンパク質に特異的な単鎖抗体の産生のために適合され得る(例えば、米国特許第4,946,778を参照のこと)。さらに、方法は、Fab発現ライブラリーの構築のために適合されて(例えば、Huseら(1989)Science 246、1275−1281を参照のこと)、NgRタンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログに対する所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ有効な同定を可能にし得る。非ヒト抗体は、当該分野で周知の技術によって「ヒト化」され得る。例えば、米国特許第5,225,539号を参照のこと。1つの方法において、非ヒトCDRが、ヒト抗体またはコンセンサス抗体フレームワーク配列に挿入される。次いで、さらなる変更が、抗体フレームワーク中に導入されて、親和性または免疫原性を調節し得る。NgRタンパク質に対するイディオタイプを含む抗体フラグメントが、当該分野で公知の技術によって産生され得、これらの抗体フラグメントとしては:(i)抗体分子のペプシン消化により産生されるF(ab’)フラグメント;(ii)F(ab’)フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって産生されるFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤を用いた抗体の処理によって産生されるFabフラグメント;ならびに(iv)Fフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
さらに、標準的な組換えDNA技術を用いて作製され得るキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体(ヒト部分および非ヒト部分を含む)のような組換え抗NgR抗体は、本発明の範囲内である。このようなキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組換えDNA技術によって(例えば、PCT国際出願番号PCT/US86/02269;欧州特許出願第184,187号;欧州特許出願第171,496号; 欧州特許出願第173,494号;PCT国際公開番号WO86/01533;米国特許第4,816,567号;欧州特許出願第125,023号;Betterら(1988)Science 240,1041−1043;Liuら(1987)Proe.Natl.Acad.Sci.UNA 84,3439−3443;Liuら(1987)J.Immunol.139,3521−3526;Sunら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,214−218;Nishimuraら(1987)Cancer Res.47,999−1005;Woodら(1985)Nature 314,446−449;Shawら(1988)J.Natl.Cancer Inst.80,1553−1559);Morrison(1985)Science 229,1202−1207;Oiら(1986)BioTechniques 4,214;米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)Nature 321,552−525;Verhoeyanら(1988)Science 239,1534;ならびにBeidlerら(1988)J.Immunol.141,4053−4060に記載される方法を用いて)産生され得る。
【0203】
本発明の好ましい実施形態において、NgRの一部は、抗体のFc部分と結合されて、NgR/Fc融合タンパク質を形成する。好ましくは、Ig融合タンパク質は、可溶性である。NgR/Fc融合タンパク質は、上記のような組換え技術によって形成され得る。1つの実施形態において、C末端疎水性領域以外のNgRの全アミノ酸配列を含むNgRの部分が、抗体のFc部分に融合される。好ましい実施形態において、NgRは、ヒトのNgRであり、そしてFcもまたヒトのFcである。より好ましくは、ヒトのFc部分は、IgG抗体から誘導される。他の実施形態において、N末端シグナル配列は排除される。このような抗体は、Nogo結合において有用であり、NgRを通したNogoシグナル伝達を妨害する。
【0204】
1つの実施形態において、所望の特異性を保有する抗体をスクリーニングするための方法としては、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)および当該分野内で公知の他の免疫学的に媒介される技術が挙げられるが、これらに限定さらない。特定の実施形態において、NgRタンパク質の特定のドメインに特異的である抗体の選択は、このようなドメインを保有するNgRタンパク質のフラグメントに結合するハイブリドーマの作製によって、容易になる。NgRタンパク質内の1つ以上のドメイン(例えば、NgR、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログの上記に同定された保存領域にわたるドメイン)を特異的に認識する抗体もまた、本明細書中に提供される。
【0205】
抗NgR抗体は、NgRタンパク質の局在化および/または定量に関する当該分野で公知の方法において用いられ得る(例えば、適切な生理学的なサンプル内のNgRタンパク質のレベルを測定の際の使用のために、診断的方法における使用のために、タンパク質の画像化における使用のために、など)。所定の実施形態において、NgRタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログに対する抗体(抗体由来の結合ドメインを含む)は、薬理学的に活性な化合物(本明細書中、以降において「治療剤」)として利用される。
【0206】
抗NgR抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、標準的な技術(例えば、親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降)によって、NgRを単離するために用いられ得る。抗NgR抗体は、細胞からの天然のNgR、そして宿主細胞において発現される組換え的に産生されたNgRの精製を容易にし得る。さらに、抗NgR抗体が、(例えば、細胞の溶解液または細胞上清における)NgRタンパク質を検出するために用いられ、NgRタンパク質の発現の存在の量およびパターンを評価し得る。抗NgR抗体は、例えば、所定の処置レジメンの有効性を決定するために、臨床試験の手順の一部として組織におけるタンパク質レベルを診断的にモニターするために用いられ得る。検出は、抗体を検出可能物質に連結する(すなわち、物理的に連結する)ことにより容易になり得る。検出可能物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる;そして、適切な放射性物質の例としては125I、131I、35SまたはHが挙げられる。
【0207】
本発明の別の局面は、哺乳動物において、免疫応答を誘導するに十分な量のポリペプチドをこの哺乳動物に投与することにより本発明のポリペプチドに対する免疫応答を誘導する方法に関する。この量は、動物種、動物の大きさなどに依存するが、当業者により決定され得る。
【0208】
本発明の別の局面は、抗イディオタイプ抗体および抗抗イディオタイプ抗体に関する。抗イディオタイプ抗体は、別の抗体(標的抗体)の決定基を認識する抗体である。一般に、抗イディオタイプ抗体は、標的抗体の抗原結合部位の決定基を認識する。代表的には、この標的抗体は、モノクローナル抗体である。抗イディオタイプ抗体は、一般に、標的モノクローナル抗体の供給源と同じ種および同じ遺伝子型の動物(特にマウス)をこの標的モノクローナル抗体で免疫することにより調製される。免疫した動物は、この標的モノクローナル抗体のイディオタイプ決定基に対する免疫応答が上昇し、この標的モノクローナル抗体のイディオタイプ決定基に対する抗体を生成する。免疫した動物の抗体生成細胞(例えば、脾細胞)は、抗イディオタイプモノクローナル抗体を生成するために用いられ得る。さらに、抗イディオタイプ抗体をまた用いて、動物を免疫し、抗抗イディオタイプ抗体を生成し得る。これらの免疫した動物は、標準的な技術を用いて抗抗イディオタイプモノクローナル抗体を生成するために用いられ得る。この抗抗イディオタイプ抗体は、抗イディオタイプ抗体を調製するために用いられた、最初の標的モノクローナル抗体と同じエピトープに結合し得る。この抗抗イディオタイプ抗体は、最初の標的モノクローナル抗体と同じ抗原特異性を有する他のモノクローナル抗体を示す。
【0209】
この抗イディオタイプ抗体と標的抗体との結合が、標的抗体の関連抗原により阻害される場合、および抗イディオタイプ抗体が、標的抗体と同じ特異性を有する抗体応答を誘導する場合、この抗イディオタイプ抗体は、標的抗体の抗原を模倣する。このような抗イディオタイプ抗体が「内部イメージ抗イディオタイプ」であり、これが本来の抗原であるかのように抗体応答を誘導し得る(Bona and Kohler(1984)ANTI−IDIOTYPIC ANTIBODIES AND INTERNAL IMAGE,IN MONOCLONAL AND ANTI−IDIOTYPIC ANTIBODIES:PROBES FOR RECEPTOR STRUCTURE AND FUNCTION,Venter J.C.et al.(Eds.),Alan R.Liss,New York,NY,pp.141−149,1984)。内部イメージ抗イディオタイプ抗体を組み込んだワクチンは、ウイルス、細菌および寄生生物に対する防禦応答を誘導することが示されている(Kennedy et al.,(1986)232,220−223;1047;McNamara et al.,(1985)Science 226,1325−1326)。内部イメージ抗イディオタイプ抗体はまた、腫瘍関連抗原に対する免疫を誘導することが示されている(Raychauhuri et al.,(1986)J.Immunol.137,1743−1749;Raychauhuri et al.,(1987)J.Immunol.139,3902−3910;Bhattacharya−Chatterjee et al.,(1987)J.Immunol.139,1354−1360;Bhattacharya−Chatterjee et al.,(1988)J.Immunol.141,1398−1403;Herlyn.et al.(1989)Intern.Rev.Immunol.4,347−357;Chen et al.(1990)Cell Imm.Immunother.Cancer 351−359;Herlyn et al.,(1991)in vivo 5,615−624;Furuya et al.(1992) AntiCancer Res.12,27−32;Mittelman,A.et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 89,466−470;Durrant.et al.,(1994)Cancer Res.54,4837−4840;Mittelman.et al(1994)Cancer Res.54,415−421;Schmitt.et al.(1994)Hybridoma 13,389−396;Chakrobarty.et al(1995)J.Immunother.18,95−103;Chakrobarty.et al.(1995)Cancer Res.55,1525−1530;Foon,K.A.et al.(1995)Clin.Cancer Res.1,1205−1294;Herlyn et al.(1995)Hybridoma 14,159−166;Sclebusch et al.(1995)Hybridoma 14,167−174;Herlyn.et al.(1996)Cancer Immunol Immunother.43,65−76)。
【0210】
NgRに対する抗イディオタイプ抗体は、例えば、動物(例えば、マウス)をNgR2(配列番号2)、NgR3(配列番号4または14)、またはその免疫原性部分(NgRの少なくとも1つの抗原性エピトープを含む)を含む組成物の免疫原性量で免疫することにより調製され得る。この組成物はまた、免疫原性を提供するために必要な適切なアジュバントおよび任意のキャリアを含み得る。NgRを認識するモノクローナル抗体は、上記の免疫した動物の細胞から調製され得る。次いで、NgRのエピトープを認識するモノクローナル抗体を選択し、これを用いて、抗NgRモノクローナル抗体の免疫原性量を含む組成物を調製する。代表的には、適切なアジュバント中の25〜200μg用量の精製抗NgRモノクローナル抗体が十分である。
【0211】
動物を、用量間で14〜30日の間隔で2〜6回免疫し得る。代表的には、動物を、任意の適切な投与経路(例えば、腹腔内、皮下、静脈内、またはこれらの組み合わせ)により免疫する。抗イディオタイプ抗体生成は、標準的な免疫アッセイ方法を用いて免疫期間の間、モニターされ得る。標的モノクローナル抗体と反応する抗体の適切な力価を有する動物は、抗体生成細胞を採取する3日前に免疫原として用いたモノクローナル抗体で再び免疫され得る。好ましくは、脾細胞が使用されるが、他の抗体生成細胞が選択され得る。上記のように、抗体生成細胞を採取し、骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマを生成し、適切な抗イディオタイプ抗体生成細胞を選択する。
【0212】
抗抗イディオタイプ抗体は、免疫原として抗イディオタイプモノクローナル抗体を用いることにより別の回の免疫およびハイブリドーマ生成により生成される。
【0213】
本発明の抗体は、例えば、治療目的(NgRの活性を調節することにより)、NgRを検出もしくは定量する診断目的、およびNgRの精製のために有用である。従って、本明細書中に記載の任意の目的のための、本発明の抗体を含むキットもまた企図される。
【0214】
(キット)
本発明はまた、キット(薬学的キットを含む)に関する。このキットは、上記の任意の核酸分子、上記の任意のポリペプチド、または上記の本発明のポリペプチドに結合する任意の抗体、ならびに適切なコントロール(例えば、ポジティブコントロールおよび/またはネガティブコントロール)を含み得る。このキットは、好ましくは、さらなる成分(例えば、指示書、固体支持体、定量に有用な試薬など)を含む。例えば、このキットは、以下を含み得る:生物学的サンプル中のNgRタンパク質またはmRNAを検出し得る標識された化合物または標識された薬剤;サンプル中のNgRの量を決定するための手段;およびサンプル中のNgRの量と標準物質とを比較するための手段。この化合物または薬剤は、適切な容器中に包装され得る。
【0215】
(スクリーニングアッセイ)
本発明により提供されるDNA配列情報およびアミノ酸配列情報はまた、NgRポリペプチドまたはNgRポリヌクレオチドが相互作用する結合パートナー化合物の同定を可能にする。この結合パートナー化合物を同定する方法としては、溶液アッセイ、NgRポリペプチドが固定化されるインビトロアッセイおよび細胞ベースのアッセイが挙げられる。NgRポリペプチドの結合パートナー化合物の同定は、NgRの正常な生物学的活性およびNgRの異常な生物学的活性と関連する病理状態における治療的または予防的介入のための候補物を提供する。
【0216】
本発明はまた、モジュレーター、すなわち、NgRタンパク質に結合するか、あるいは例えば、NgRの発現またはNgRの活性に対して刺激効果または阻害効果を有する、候補化合物または試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子(例えば、1,000ダルトン未満の分子)または他の薬物)を同定するための方法(本明細書中において「スクリーニングアッセイ」とも称される)を提供する。
【0217】
1実施形態において、本発明は、NgRタンパク質またはNgRポリペプチド、あるいはその生物学的に活性な部分に結合するか、またはこれらの活性を調節する、候補化合物もしくは試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物は、当該分野において公知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチの任意のものを使用して得られ得、これには、以下が挙げられる:生物学的ライブラリー;空間的にアクセス可能な平行固相もしくは溶液相ライブラリー;逆重畳を要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーもしくは化合物の低分子ライブラリーに適用可能である(Lam(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
【0218】
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該分野において、例えば以下に見出され得る:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422;Zuckermannら(1994)J.Med.Chem 37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994)Angew Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Chem 37:1233。
【0219】
化合物のライブラリーは、溶液中で(例えば、Houghten(1992)BioTechniques 13:412〜421)、あるいはビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82〜84)、チップ上(Fodor(1993)Nature 364:555〜556)、細菌(Ladner 米国特許第5,223,409号)、胞子(Ladner、上記)、プラスミド(Cullら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869)またはファージ上(ScottおよびSmith(1990)Science 249:386〜390;Devlin(1990)Science 249:404〜406;Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:6378〜6382;Felici(1991)J Mol Biol 222:301〜310;Ladner上記)において示され得る。
【0220】
(1.細胞ベースのアッセイ)
本発明はまた、NgRポリペプチドの結合化合物を同定するための細胞ベースのアッセイを提供する。1実施形態において、本発明は、細胞表面上に発現されるNgRポリペプチドと、候補結合パートナー化合物とを接触させる工程、およびこの候補結合パートナー化合物のNgRポリペプチドへの結合を検出する工程を包含する方法を提供する。別の実施形態において、アッセイは、NgRタンパク質の膜結合形態、またはその生物学的に活性な部分を細胞表面上に発現する細胞と試験化合物とを接触させる工程、およびこの試験化合物がNgRタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節する(例えば、刺激するか、または阻害する)能力を決定する工程を包含する細胞ベースのアッセイである。
【0221】
1実施形態において、アッセイは細胞ベースのアッセイであり、ここで、NgRタンパク質、またはその生物学的に活性な部分の膜結合形態を細胞表面上に発現する細胞が、試験化合物と接触され、そしてこの試験化合物のNgRタンパク質に結合する能力が、決定される。例えば、細胞は、哺乳動物起源または酵母細胞であり得る。この試験化合物がNgRタンパク質に結合する能力の決定は、例えば、その試験化合物を放射性同位体標識または酵素標識とカップリングさせて、この試験化合物のNgRタンパク質またはその生物学的に活性な部分に対する結合が、複合体におけるその標識化合物を検出することによって検出され得ることによって、達成され得る。例えば、試験化合物は、125I、35S、14C、またはHで直接的または間接的のいずれかで標識され得、そしてその放射性同位体が、放射線放射の直接の計数により、またはシンチレーション計数により、検出される。あるいは、試験化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識され得、そしてこの酵素的標識が、適切な基質の生成物への転換を決定することにより、検出され得る。1実施形態において、このアッセイは、NgRタンパク質、またはその生物学的に活性な部分の膜結合形態をその細胞表面上に発現する細胞を、NgRと結合する既知の化合物と接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を試験化合物に接触させる工程、ならびにこの試験化合物がNgRタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここでこの試験化合物がNgRタンパク質と相互作用する能力を決定する工程が、この試験化合物がNgR、またはその生物学的に活性な部分と、既知の化合物と比較して優先的に結合する能力を決定する工程を包含する。
【0222】
試験化合物がNgRまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節する能力の決定は、例えば、NgRタンパク質が、NgR標的分子に結合するかまたはその標的分子と相互作用する能力の決定により、達成され得る。本明細書中で用いられる場合、「標的分子」は、例えば、NgRタンパク質が、NgRタンパク質を発現する細胞の表面上の分子、第2の細胞の表面上の分子、細胞外環境中の分子、細胞膜分子または細胞質分子の内部表面と会合する分子と本質的に結合または相互作用する分子である。NgR標的分子は、本発明の非NgR分子あるいはNgRタンパク質またはNgRポリペプチドであり得る。1実施形態において、NgR標的分子は、細胞外シグナル(例えば、膜結合型NgR分子への化合物の結合により生成されるシグナル)の、細胞膜を介し、そして細胞への伝達を容易にするシグナル伝達経路の成分である。この標的は、例えば、触媒活性を有する第2の細胞内タンパク質またはNgRと下流のシグナル伝達分子の会合を容易にするタンパク質であり得る。好ましい実施形態において、検出は、この分子の結合により引き起こされる細胞中のカルシウムフラックスまたは他の生理学的事象を検出することを包含する。
【0223】
特定の結合分子(天然のリガンドおよび合成化合物を含む)は、単離されたか、または組換えのNgR産物、NgR改変体あるいは好ましくはこのような産物を発現する細胞を用いて同定または開発され得る。結合パートナーは、NgR産物を精製するため、ならびに公知の免疫学的手順を用いて流体および組織サンプル中のNgR産物を検出または定量するために有用である。結合分子はまた、NgRの生物学的活性(特にシグナル伝達に関与するそれらの活性)を調節する(すなわち、ブロックするか、阻害するか、または刺激する)ことにおいて明らかに有用である。
【0224】
(2.無細胞アッセイ)
(a)直接結合:
本発明は、NgR結合パートナーを同定するためのいくつかのアッセイ系を含む。溶液アッセイにおいて、本発明の方法は、以下の工程を包含する:(a)NgRポリペプチドと1以上の候補結合パートナー化合物とを接触させる工程および(b)NgRポリペプチドに結合する化合物を同定する工程。NgRポリペプチドを結合する化合物の同定は、NgRポリペプチド/結合パートナー複合体を単離し、この結合パートナー化合物をNgRポリペプチドから分離することにより達成され得る。この結合パートナー化合物の物理的、生物学的、および/または生化学的特性を特徴付けするさらなる工程はまた、本発明の別の実施形態において理解される。1つの局面において、NgRポリペプチド/結合パートナー複合体は、NgRポリペプチドまたは候補結合パートナー化合物のいずれかに免疫特異的な抗体を用いて単離される。
【0225】
なお別の実施形態において、NgRポリペプチドまたは候補結合パートナー化合物のいずれかが、その単離を容易にする標識またはタグを含み、そして結合パートナー化合物を同定する本発明の方法は、NgRポリペプチド/結合パートナー複合体を、標識またはタグとの相互作用によって単離する工程を包含する。この型の例示的タグは、ポリヒスチジン配列(一般には、約6つのヒスチジン残基)であり、このポリヒスチジン配列は、ニッケルキレート化を用いてこのように標識された化合物の単離を可能にする。当該分野で周知かつ慣用的に用いられる他の標識およびタグ(例えば、FLAG(登録商標)タグ(Eastman Kodak,Rochester,NY))は、本発明により採用される。
【0226】
(b)固定化したNgR
インビトロアッセイの1つのバリエーションにおいて、本発明は、以下の工程を包含する方法を提供する:(a)固定化したNgRポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を、候補結合パートナー化合物と接触させる工程、および(b)この候補化合物のNgRポリペプチドへの結合を検出する工程。代替的な実施形態において、この候補結合パートナー化合物が固定化され、NgRの結合が検出される。固定化は、当該分野で周知の任意の方法を用いて達成される。これらの方法としては、支持体、ビーズまたはクロマトグラフィー樹脂への共有結合、ならびに非共有結合、高親和性相互作用(例えば、抗体結合)、あるいは固定化した化合物がビオチン部分を含むストレプトアビジン/ビオチン結合の使用が挙げられる。試験化合物のNgRへの結合、または候補化合物の存在下および非存在下におけるNgRと標的分子との相互作用は、反応物質を含むために適切な任意の容器中で達成され得る。このような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管および微量遠心管が挙げられる。1つの実施形態において、ドメインを付加した融合タンパク質が提供され、この融合タンパク質は、このタンパク質の一方または両方がマトリクスに結合することを可能にする。例えば(例示ではない)、GST−NgR融合タンパク質またはGST−標的融合タンパク質がグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着され得、次いで、これらは、試験化合物と、非吸着標的タンパク質またはNgRタンパク質のいずれかと結合され、これらの混合物は、複合体形成を助ける条件下で(例えば、塩およびpHについて生理学的条件で)インキュベートされる。インキュベーション後、このビーズまたはマイクロタイタープレートウェルが洗浄され、任意の結合していない成分が除去され、例えば、マトリクスがビーズの場合においては固定化され、上記のように、直接的または間接的のいずれかで複合体が決定される。あるいは、この複合体は、マトリクスから解離され得、NgR結合または活性のレベルが、標準的な技術を用いて決定される。
【0227】
マトリクス上にタンパク質を固定化するための他の技術はまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて用いられ得る。例えば、NgRまたはその標的分子のいずれかが、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合体化を利用して固定化され得る。ビオチン化したNgRまたは標的分子は、当該分野で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals,Rockford,IL)を用いて、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製され得、ストレプトアビジンコーティング96ウェルプレート(Pierce Chemicals)のウェル中に固定化され得る。あるいは、NgRまたは標的分子と反応性の抗体(しかし、この抗体は、NgRタンパク質のその標的分子への結合を妨害しない)は、プレートのウェルに誘導体化され得、結合していない標的またはNgRが、抗体結合体化によりウェル中に捕捉され得る。このような複合体を検出するための方法は、GST固定化複合体に関する上記の方法に加えて、NgRまたは標的分子と反応性の抗体を用いた複合体の免疫検出、ならびにNgRまたは標的分子と関連する酵素活性を検出することによる酵素結合アッセイを含む。
【0228】
結合の検出は、以下により達成され得る:(i)固定化されていない化合物上の放射活性標識を用いること、(ii)固定化されていない化合物上の蛍光標識を用いること、(iii)固定化されていない化合物に免疫特異的な抗体を用いること、(iv)固定化された化合物が結合している蛍光支持体を励起する、固定化されていない化合物上で標識を用いること、(v)NgRの活性を決定すること、ならびに周知かつ当該分野で慣用的に行われている他の技術。
【0229】
標的分子の活性の決定は、例えば、その標的の細胞セカンドメッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IPなど)の誘導を検出すること、適切な基質への標的の触媒活性/酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結されたNgR応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出すること、または細胞応答(例えば、細胞生存度、細胞分化、または細胞増殖)を検出することにより、達成され得る。
【0230】
(c)競合実験
なお別の実施形態において、このアッセイは、NgRタンパク質またはその生物学的に活性な部分とNgRに結合する既知の化合物とを接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物と試験化合物とを接触させる工程、ならびにその試験化合物がNgRタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNgRタンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、この試験化合物が、既知の化合物と比較して、NgRまたはその生物学的に活性な部分と優先的に相互作用する能力を決定することを包含する。
【0231】
なお別の実施形態において、この無細胞アッセイは、NgRタンパク質またはその生物学的に活性な部分とNgRに結合する既知の化合物とを接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物と試験化合物とを接触させる工程、ならびにその試験化合物がNgRタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNgRタンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、NgR標的分子の活性を調節するこのNgRタンパク質の能力を決定することを包含する。
【0232】
本発明の無細胞アッセイは、NgRの可溶性形態または膜結合形態の両方の使用に受け入れられる。膜結合形態のNgRを含む無細胞アッセイの場合、NgRの膜結合形態が溶液中に維持されるように、可溶化剤を利用することが望ましくあり得る。このような可溶化剤の例には、非イオン性界面活性剤が挙げられ、例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシルポリ(エチレングリコールエーテル)(Isotridecypoly(ethylene glycol ether)、3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオール−1−プロパンスルホネート(3−(3−cholamidopropyl)dimethylamminiol−1−propane sulfonate)(CHAPS)、3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオール−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(3−(3−cholamidopropyl)dimethylamminiol−2−hydroxy−1−propane sulfonate)(CHAPSO)、またはN−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートである。
【0233】
(モジュレーター)
NgR活性またはNgR発現を調節する(すなわち、増大するか、低減するか、またはブロックする)因子は、推定モジュレーターをNgRポリペプチドまたはNgRポリヌクレオチドを含む細胞とインキュベートすること、およびNgR活性またはNgR発現に対するその推定モジュレーターの効果を決定することによって、同定され得る。NgRの活性を調節する化合物の選択性は、その化合物のNgRに対する効果を、その化合物の他のNgR化合物に対する効果と比較することによって、評価され得る。選択的モジュレーターとしては、例えば、抗体およびNgRポリペプチドまたはNgRをコードする核酸に特異的に結合する、他のタンパク質、ペプチド、または有機分子が挙げられ得る。NgR活性のモジュレーターは、正常なNgR活性または異常なNgR活性が関与する疾患および生理学的状態の処置において、治療的に有用である。NgRポリヌクレオチド、NgRポリペプチドおよびNgRモジュレーターは、脱髄と関連するような疾患および状態の処置に使用され得る。NgRポリヌクレオチドおよびNgRポリペプチド、ならびにNgRモジュレーターはまた、このような疾患または状態についての診断アッセイに使用され得る。
【0234】
モジュレーターを同定するための本発明の方法は、結合パートナー化合物を同定するための上記のいずれかの方法に対するバリエーションを含み、これらのバリエーションは、結合パートナー化合物が同定され、そして結合アッセイが候補モジュレーターの存在下および非存在下で実行される技術を含む。NgRポリペプチドとその結合パートナー化合物との間の結合が、候補モジュレーター化合物の非存在下における結合と比較して、その候補モジュレーターの存在下で変化する場合、モジュレーターは同定される。NgRポリペプチドとその結合パートナー化合物との間の結合を増大させるモジュレーターは、エンハンサーまたはアクチベーターとして記載され、そしてNgRポリペプチドとその結合パートナー化合物との間の結合を低減するモジュレーターは、インヒビターとして記載される。
【0235】
別の実施形態において、NgR発現のモジュレーターは、細胞を候補化合物と接触させ、そしてその細胞におけるNgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現を決定する方法において、同定され得る。候補化合物の存在下におけるNgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現レベルは、候補化合物の非存在下におけるNgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現レベルと比較される。次いで、この候補化合物は、この比較に基づいて、NgR発現のモジュレーターとして同定され得る。例えば、NgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現が候補化合物の非存在下よりもその候補化合物の存在下において大きい(統計的に有意に大きい)場合、この候補化合物は、NgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現の刺激因子として同定される。あるいは、NgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりもその候補化合物の存在下において少ない(統計的に有意に少ない)場合、この候補化合物は、NgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現のインヒビターとして同定される。細胞中のNgR mRNAまたはNgRタンパク質の発現レベルは、NgR mRNAまたはNgRタンパク質を検出するための本明細書中に記載される方法によって決定され得る。
【0236】
(ハイスループットスクリーニング)
本発明はまた、NgRポリペプチドと相互作用する化合物またはNgRポリペプチドの生物学的活性を阻害する化合物(すなわち、酵素活性、結合活性などに影響を与える化合物)を同定するためのハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイを含む。HTSアッセイは、効率的な様式で多数の化合物のスクリーニングを可能にする。細胞に基づくHTS系は、NgRレセプター−リガンド相互作用を調査することを意図する。HTSアッセイは、所望の特性を有する「ヒット」または「リード化合物」を同定するように設計され、これらの「ヒット」または「リード化合物」から、所望の特性を改善するような改変が設計され得る。「ヒット」または「リード化合物」の化学的な改変は、しばしば、この「ヒット」とNgRポリペプチドとの間の同定可能な構造/活性の関係に基づく。
【0237】
本発明の別の局面は、NgRまたはNgRをコードする核酸分子のいずれかに結合する化合物を同定する方法に関し、この方法は、NgRまたはNgRをコードする核酸分子を化合物と接触させる工程、およびこの化合物がNgRまたはNgRをコードする核酸分子に結合するか否かを決定する工程を包含する。結合は、当業者に周知の結合アッセイ(ゲルシフトアッセイ、ウエスタンブロット、放射性標識競合アッセイ、ファージに基づく発現クローニング、クロマトグラフィーによる同時分画、同時免疫沈降、架橋、相互作用トラップ/ツーハイブリッド分析、サウスウエスタン分析、ELISAなど(これらは、例えば、Ausubelら(編)、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、1999、John Wiley & Sons、NY(これは、本明細書中にその全体が参考として援用される)に記載される)が挙げられるが、これらに限定されない)によって決定され得る。例えば、NgRタンパク質は、ツーハイブリッドシステムまたはスリーハイブリッドシステム(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72、223−232;Maduraら(1993)J Biol Chem.268、12046−12054;Bartelら(1993)BioTechniques 14、920−924;Iwabuchiら(1993)Oncogene 8、1693−1696;およびBrent WO 94/10300を参照のこと)において「ベイトタンパク質」として使用されて、NgRに結合もしくはNgRと相互作用する他のタンパク質(「NgR結合タンパク質」または「NgR−bp」)およびNgR活性を調節する他のタンパク質を同定し得る。このようなNgR結合タンパク質もまた、おそらく、例えば、NgR経路の上流エレメントまたは下流エレメントとして、NgRタンパク質によるシグナルの伝達に関与する。
【0238】
他のアッセイを使用して、NgRレセプターの特異的なリガンドを同定し得、このアッセイとしては、試験リガンドの標的タンパク質への直接的な結合を測定することを介して、標的タンパク質のリガンドを同定するアッセイ、ならびにイオンスプレー質量分析法/HPLC方法または他の物理的方法および分析方法を用いた親和性限外濾過液を介して、標的タンパク質のリガンドを同定するアッセイが挙げられる。あるいは、このような結合相互作用は、Fieldsら(1989)Nature 340、245−246、およびFieldsら(1994)Trends Genet.10、286−292(これらの両方が、本明細書中に参考として援用される)によって記載される酵母ツーハイブリッドシステムを用いて間接的に評価される。このツーハイブリッドシステムは、2つのタンパク質間または2つのポリペプチド間の相互作用を検出するために使用される最高の転写因子の調節性質(modular nature)に基づく、遺伝子アッセイである。このツーハイブリッドシステムを使用して、目的の既知タンパク質に結合するタンパク質を同定し得るか、または相互作用に重要なドメインもしくは残基を示し得る。この方法論に関するバリエーションは、DNA結合タンパク質をコードする遺伝子をクローン化するため、タンパク質に結合するペプチドを同定するため、および薬物をスクリーニングするために、開発されてきた。このツーハイブリッドシステムは、相互作用タンパク質の対が転写活性化ドメインをレポーター遺伝子の上流活性化配列(UAS)に結合するDNA結合ドメインの近位にする能力を利用し、そして一般的に酵母の中で実行される。このアッセイは、(1)第1タンパク質に融合されたDNA結合ドメイン、および(2)第2タンパク質に融合された活性化ドメイン、をコードする2つのハイブリッド遺伝子の構築を必要とする。DNA結合ドメインは、レポーター遺伝子のUASに対して第1ハイブリッドタンパク質を標的化させる;しかし、ほとんどのタンパク質は活性化ドメインを欠くので、このDNA結合ハイブリッドタンパク質は、レポーター遺伝子の転写を活性化しない。活性化ドメインを含む第2のハイブリッドタンパク質は、レポーター遺伝子の発現をそれ自体で活性化し得ない。なぜなら、この第2のハイブリッドタンパク質は、UASに結合しないからである。しかし、両方のハイブリッドタンパク質が存在する場合、第1タンパク質および第2タンパク質の非共有結合的な相互作用が、UASに活性化ドメインをつなぎ、レポーター遺伝子の転写を活性化する。例えば、第1タンパク質が別のタンパク質または別の核酸と相互作用することが既知であるNgR遺伝子産物またはそのフラグメントである場合、このアッセイは、結合相互作用を妨害する因子を検出するために使用され得る。異なる試験因子がこの系に添加された場合、レポーター遺伝子の発現がモニターされる。阻害因子の存在は、レポーターシグナルの欠如をもたらす。スクリーニングされる化合物(これは、NgRまたはNgRをコードする核酸分子に結合することが疑われる化合物を含み得る)としては、細胞外起源のもの、細胞内起源のもの、生物学的起源のもの、または化学的起源のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0239】
NgR遺伝子産物の機能は、未解明であり、そしてこの遺伝子産物に結合するリガンドは未だ見出されていない。酵母ツーハイブリッドアッセイは、この遺伝子産物に結合するタンパク質を同定するのに有用である。NgRレセプターまたはそのフラグメントに結合するタンパク質を同定するためのアッセイにおいて、NgRレセプター(またはフラグメント)およびUAS結合ドメイン(すなわち、第1タンパク質)の両方をコードする融合ポリヌクレオチドが、使用され得る。さらに、このアッセイにおいて、活性化ドメインに融合された異なる第2タンパク質を各々コードする多数のハイブリッド遺伝子が生成され、そしてスクリーニングされる。代表的に、第2タンパク質は、総cDNA融合ライブラリーまたは総ゲノムDNA融合ライブラリーのうちの1つ以上のメンバーによってコードされ、各第2タンパク質コード領域は、活性化ドメインに融合されている。この系は、広範な種々のタンパク質に適用可能であり、そして第2結合タンパク質の同一性または機能を必ずしも知る必要さえもない。この系は、非常に感度が高く、そして他の方法によって明らかにならなかった相互作用を検出し得;さらには、一過性相互作用は、転写を誘発して、レポータータンパク質を生じるように反復して翻訳され得る安定なmRNAを生成し得る。
【0240】
他のアッセイは、標的タンパク質に結合する薬剤を調査するために使用され得る。標的タンパク質への試験リガンドの直接的な結合を同定するためのこのようなスクリーニング方法の1つは、米国特許第5,585,277号に記載され、これは参考として本明細書中に援用される。この方法は、タンパク質が、一般的に折り畳まれた状態および折り畳まれていない状態の混合物として存在し、そしてこの2つの状態の間を絶えず行き来するという法則を基にする。試験リガンドが、折り畳まれた形態の標的タンパク質に結合する場合(すなわち、試験リガンドが標的タンパク質のリガンドである場合)、リガンドに結合された標的タンパク質分子は、その折り畳まれた状態のままである。それゆえ、折り畳まれた標的タンパク質は、リガンドの非存在下よりも、標的タンパク質を結合する試験リガンドの存在下でより高程度で存在する。標的タンパク質へのリガンドの結合は、標的タンパク質の折り畳まれた状態と折り畳まれていない状態との間を識別する任意の方法によって、決定され得る。標的タンパク質の機能は、このアッセイが実施されるために既知である必要はない。事実上、任意の薬剤が試験リガンドとして、この方法によって評価され得、この薬剤としては、金属、ポリペプチド、タンパク質、脂質、多糖体、ポリヌクレオチドおよび低有機分子が含まれるが、これらに制限されない。
【0241】
標的タンパク質のリガンドを同定する別の方法は、Wieboldtら(1997)Anal.Chem.69:1683−1691に記載され、これは本明細書中に参考として援用される。本技術は、標的タンパク質に結合するための液相において、一度に20〜30の薬剤のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする。標的タンパク質に結合した薬剤を、簡単な膜洗浄によって他のライブラリー成分から分離する。フィルター上に保持される特異的に選択された分子は、次に、標的タンパク質から遊離され、そしてHPLCおよび空気圧補助エレクトロスプレー(イオンスプレー)イオン化質量分析によって分析される。この手順は、標的タンパク質に対して最も高い親和性を有するライブラリー成分を選択し、そして低分子ライブラリーについて特に有用である。
【0242】
本発明の方法はまた、リガンド、特に神経ペプチドを含み、このリガンドは、放射標識(例えば、125I、35S、32P、33P、H)、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識および免疫原性標識のような標識を付けられている。本発明の範囲内に入るモジュレーターとしては、非ペプチド模倣物のような非ペプチド分子、非ペプチドアロステリックエフェクターおよびペプチドが挙げられるが、これらに制限されない。このような試験において使用されるNgRポリペプチドまたはNgRポリヌクレオチドは、溶液中に遊離しているか、固体支持体に結合されているか、細胞表面に備えられているかまたは細胞内に局在されるかあるいは細胞の一部分に結合されるかのいずれかであり得る。例えば、当業者は、NgRと試験される化合物との間の複合体形成を測定し得る。あるいは、当業者は、試験される化合物によって引き起こされるNgRとその基質との間の複合体形成における減少を試験し得る。
【0243】
本発明の別の局面は、NgRと化合物とを接触させる工程、およびその化合物がNgRの活性を改変するか否かを決定する工程を包含する、NgRの活性を調節する(すなわち、増加または減少させる)化合物を同定する方法に関する。試験化合物の存在下での活性を、試験化合物の非存在下での活性と比較して測定する。試験化合物を含むサンプルの活性が、試験化合物を欠くサンプルにおける活性よりも高い場合、この化合物は、増強された活性を有する。同様に、試験化合物を含むサンプルの活性が、試験化合物を欠くサンプルにおける活性よりも低い場合、この化合物は、阻害された活性を有する。
【0244】
本発明は、任意の種々の薬物スクリーニング技術におけるNgRの使用によって、化合物をスクリーニングするのに特に有用である。スクリーニングされる化合物としては、細胞外起源、細胞内起源、生物的起源または化学的起源が挙げられる(これは、NgR活性を調節することが推測される化合物を含み得る)が、これらに制限されない。このような試験において使用されるNgRポリペプチドは任意の形態であり得、好ましくは、溶液中に遊離するか、固体支持体に結合されるか、細胞表面に備えられるかまたは細胞内に局在される。当業者は、例えば、NgRと試験される化合物との間の複合体の形成を測定し得る。あるいは、当業者は、試験される化合物によって引き起こされるNogo−Rとその基質との間の複合体形成における減少を試験し得る。
【0245】
本発明のNgRポリペプチドの活性は、例えば、結合能力を試験することによって決定され得るか、または化学的に合成されたペプチドリガンドによって活性化され得る。あるいは、NgRの活性は、カルシウムイオン、ホルモン、ケモカイン、神経ペプチド、神経伝達物質、ヌクレオチド、脂質、臭気物質および光子に結合するそれらの能力を試験することによってアッセイされ得る。あるいは、NgRの活性は、エフェクター分子の活性を試験することによって決定され得る。エフェクター分子としては、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼおよびイオンチャネルが挙げられるが、これらに制限されない。従って、NgR活性のモジュレーターは、NgRレセプター機能(例えば、レセプターの結合特性または活性)を変化させ得る。本発明の種々の実施形態において、このアッセイは当該分野で一般的に公知である以下の形態を取り得る:イオンフラックスアッセイ、酵母増殖アッセイ、非加水分解性GTPアッセイ(例えば、[35S]−GTP Sアッセイ)、cAMPアッセイ、イノシトール三リン酸アッセイ、ジアシルグリセロールアッセイ、エクオリンアッセイ、ルシフェラーゼアッセイ、細胞内Ca2+濃度についてのFLIPRアッセイ、有糸分裂誘発アッセイ、MAPキナーゼ活性アッセイ、アラキドン酸放出アッセイ(例えば、[H]−アラキドン酸を用いる)および細胞外酸性化速度についてのアッセイ、ならびにNgR活性に関する他の結合または機能ベースのアッセイ。NgR活性はFaRP活性についてのアッセイのために使用される方法論によって決定され得、これは当業者に周知である。本発明に従うNgRレセプターの生物学的活性としては以下が挙げられるが、これらに制限されない:天然リガンドまたは非天然リガンドの結合および当該分野で公知であるNgRの機能的活性のいずれかの活性。NgR活性の非制限的な例としては、種々の形態の膜貫通型シグナル伝達(これには、ホスファチジルイノシトール(PI)結合および/またはPIに関する影響の発揮が挙げられ得;NgRの別の例示的な活性は、既知のGPIタンパク質とは異なる修飾タンパク質またはポリペプチドの結合である。
【0246】
本発明のモジュレーターは、種々の化学的構造を示し、これは、一般的に天然のNgRレセプターリガンドの非ペプチド模倣物、NgRレセプターのペプチドアロステリックエフェクターおよび非ペプチドアロステリックエフェクターならびにNgRレセプターのアクチベーターまたはインヒビター(競合的、不競合的および非競合的)として機能し得るペプチド(例えば、抗体産物)に分類され得る。本発明は適切なモジュレーターについての供給源を制限せず、天然供給源(例えば、植物、動物または無機抽出物)または非天然供給源(例えば、低分子ライブラリー(これは、ライブラリー構築のためのコンビナトリアル化学的アプローチの生成物およびペプチドライブラリーを含む))から得られ得る。
【0247】
他のアッセイは、酵素活性を試験するために使用され得、これらとしては、光度計、放射計、HPLC、電気化学的なアッセイなどが挙げられるが、制限されず、例えばこれは、ENZYME ASSAYS:A PRACTICAL APPROACH,EisenthalおよびDanson(編),1992,Oxford University Pressに記載されている(これは、本明細書中にその全体が参考として援用される)。
【0248】
薬物発見プログラムにおけるcDNAの使用は周知である;ハイスループットスクリーニング(HTS)において、1日あたり何千もの未知の化合物を試験する能力があるアッセイは、徹底的に実証されている。この文献は、薬物発見についてのHTS結合アッセイにおける放射標識リガンドの使用の例を十分に記載する(Williams(1991)Med.Res.Rev.,11,147−184;Sweetnamら、(1993)J.Nat.Prod.56,441−455の総説を参照のこと)。組換えレセプターは、結合アッセイHTSのために好ましい。なぜなら、これらは特異性をより高くし(より高い相対純度)、レセプター物質を多量に生成する能力を提供し、そして広範な種々の形式において使用され得るからである(Hodgson(1992)Bio/Technology 10,973−980を参照のこと;これらの各々は、本明細書中にその全体が参考として援用される)。
【0249】
種々の異種の系は、当業者に周知の組換えレセプターの機能的発現について利用可能である。このような系としては、細菌(Strosbergら(1992)Trends Pharmacol.Sci.13,95−98)、酵母(Pausch(1997)Trends Biotechnol.15,487−494)、数種の昆虫細胞(Vanden Broeck(1996)Int.Rev.Cytol.164,189−268)、両生類細胞(Jayawickremeら(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8,629−634)ならびに種々の哺乳動物細胞株(CHO、HEK293、COSなど;Gerhardtら(1997)Eur.J.Pharmacol.334,1−23を参照のこと)が挙げられる。これらの例は、他の可能性のある細胞発現系の使用を除外せず、これには、線虫から得られる細胞株が含まれる(PCT出願WO98/37177)。
【0250】
本発明の好ましい実施形態において、NgR活性を調節する化合物をスクリーニングする方法は、試験化合物とNgRとを接触させる工程およびその化合物とNgRとの間の複合体の存在をアッセイする工程を包含する。このようなアッセイにおいて、リガンドは代表的に標識される。適切なインキュベーション後、遊離のリガンドは、結合された形態から分離され、そして遊離または複合体を形成していない標識の量は、NgRに結合する特定化合物の能力の尺度である。
【0251】
本発明の別の実施形態において、NgRに対して適切な結合親和性を有する化合物についてのハイスループットスクリーニングが実施される。要するに、多くの異なる低ペプチド試験化合物は、固体基材上で合成される。ペプチド試験化合物は、NgRと接触され、そして洗浄される。次いで結合されたNgRは、当該分野で周知の方法によって検出される。本発明の精製ポリペプチドはまた、上記の薬物スクリーニング技術における使用のためにプレート上に直接コートされ得る。さらに、非中和抗体はタンパク質を捕獲し、そして固体支持体上にそのタンパク質を固定するために使用され得る。
【0252】
一般的に、発現されたNgRは、その規定されたリガンドとの結合におけるHTS結合アッセイのために使用され得る。同定されたペプチドは、当業者に周知の方法によって、適切な放射性同位体で標識され、これには125I、H、35Sまたは32Pが挙げられるが、制限されない。あるいは、このペプチドは、周知の方法によって、適切な蛍光性誘導物で標識され得る(Baindurら(1994)Drug Dev.Res.33,373−398;Rogers(1997)Drug Discov.Today2,156−160)。組換えタンパク質を発現する細胞株から作製された膜調製物におけるレセプターに特異的に結合された放射活性リガンドは、いくつかの標準的な方法の1つであるHTSアッセイにおいて検出され得る。これらの方法には、結合していないリガンドから結合しているリガンドを分離するためのレセプター−リガンド複合体の濾過(Williams(1991)Med.Res.Rev.11,147−184;Sweetnamら(1993)J.Nat.Prod.56,441−455)が含まれる。代替的な方法としては、シンチレーション近接(scintillation proximity)アッセイ(SPA)またはFlashPlate形式(ここでは、このような分離は、不必要である)(Nakayama(1998)Curr.Opin.Drug Disc.Dev.1,85−91 Bosseら(1998)J.Biomol.Screening 3,285−292)が挙げられる。蛍光性リガンドの結合は、種々の方法において検出され得、これらとしては、蛍光エネルギー伝達(FRET)、結合されたリガンドの直接的な分光光度的な分析、、または蛍光偏光(fluorescence polarization)(Rogers(1997)Drug Discov.Today2,156−160;Hill(1998)Curr.Opin.Drug Disc.Dev.1,92−97)が挙げられる。
【0253】
このような生物学的応答の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:特異的に操作された酵母細胞において、制限的栄養物質の不在下で生存する能力(Pausch(1997)Trends in Biotechnol.15、487−494);蛍光色素によって測定されるような、細胞内Ca2+濃度の変化(Murphyら(1998)Cur.Opin.Drug Disc.Dev.1、192−199)。蛍光の変化をまた使用して、膜電位におけるリガンド誘導性の変化または細胞内pHをモニターし得る;HTSのために適切な自動化システムが、この目的のために記載されている(Schroederら(1996)J.Biomol.Screening 1、75−80)。Xenopus laevisから調製されたメラニン保有細胞は、異種NgR活性化に応答して、色素構築においてリガンド依存性の変化を示す;この応答は、HTS形式に適合性である(Jayawickremeら(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8、629−634)。アッセイはまた、共通の第二メッセンジャー(cAMP、ホスホイノシチドおよびアラキドン酸を含む)の測定のために利用可能であるが、これらは、HTSには一般的に好ましくない。
【0254】
これらのレセプターを使用するHTSの好ましい方法は、永続的にトランスフェクトされたCHO細胞を含み、ここで、アゴニストおよびアンタゴニストは、推定GPIアンカーを介した、これらの細胞から調製される膜におけるNogoの結合のためのシグナルを変換する能力によって同定され得る。本発明の別の実施形態では、永続的にトランスフェクトされたCHO細胞は、かなりの量の組換えレセプタータンパク質を含む膜の調製のために使用され得る;次いで、これらの膜調製物は、特定のレセプターに対して特異的な放射性標識リガンドを使用するレセプター結合アッセイにおいて使用される。あるいは、内部Ca2+濃度におけるリガンド誘導性の変化の蛍光モニタリング、またはこれらの各レセプターを個々にかもしくは組合わせにおいて含む永続的にトランスフェクトされたCHO細胞における膜電位の蛍光モニタリングのような機能的アッセイが、HTSのために好ましい。同様に好ましいのは、類似の形式における代替的な型の哺乳動物細胞(例えば、HEK293細胞またはCOS細胞)である。より好ましいのは、永続的にトランスフェクトされた昆虫細胞株(例えば、Drosophila S2細胞)である。さらにより好ましいのは、当業者に周知のHTS形式においてDrosophila melanogasterレセプターを発現する、組換え酵母細胞である(例えば、Pausch(1997)上記)。
【0255】
本発明は、NgRレセプターに結合するリガンドのインヒビターをスクリーニングおよび同定するための複数のアッセイを意図する。1つの例では、NgRレセプターを固定し、そして結合パートナーとの相互作用を、インヒビター化合物のような候補モジュレーターの存在下および非存在下において評価する。別の例では、NgRレセプターとその結合パートナーとの間の相互作用を、候補インヒビター化合物の存在下および非存在下の両方において、溶液アッセイで評価する。いずれのアッセイにおいても、インヒビターは、NgRレセプターとその結合パートナーとの間での結合を減少させる化合物として同定される。別に意図されるアッセイは、2ハイブリッドアッセイのバリエーションを含み、ここではタンパク質/タンパク質相互作用のインヒビターは、PCT公開番号WO95/20652(1995年8月3日付公開)に記載のように、形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞において陽性シグナルを検出することによって同定される。
【0256】
本発明によって意図される候補調節物質は、潜在的アクチベーターまたは潜在的インヒビターのいずれかのライブラリーから選択される化合物を含む。低分子調節物質の同定のために使用される多数の異なるライブラリーが存在する。これらとしては、(1)化学薬品ライブラリー、(2)天然の生成物のライブラリー、および(3)ランダムなペプチド、オリゴヌクレオチド、または有機分子から構成されるコンビナトリアルライブラリーが挙げられる。化学薬品のライブラリーは、ランダムな化学構造物から構成され、これらのうちのいくつかは、既知の化合物のアナログまたは他の薬物発見スクリーニングにおいて「ヒット」もしくは「リード」として同定された化合物のアナログであり、これらのうちのいくつかは、天然の生成物に由来し、そしてこれらのうちのいくつかは、非指向的合成有機化学から生じる。天然の生成物のライブラリーは、(1)土壌、植物もしくは海洋微生物由来のブロスの発酵および抽出、または(2)植物もしくは海洋生物の抽出、によって、スクリーニング用の混合物を作製するために使用される、微生物、動物、植物または海洋生物のコレクションである。天然の生成物のライブラリーとしては、ポリケチド(polyketide)、非リボソームペプチド、およびそれらの改変物(天然には存在しない)が挙げられる。総説として、Caneら、Science(1998)282、63−68を参照のこと。コンビナトリアルライブラリーは、混合物としての多数のペプチド、オリゴヌクレオチド、または有機化合物から構成される。これらのライブラリーは、伝統的な自動化合成方法、PCR、クローニング、または専売の合成方法によって、比較的簡単に調製される。当然ながら、興味深いのは、非ペプチドコンビナトリアルライブラリーである。なお他に興味深いライブラリーとしては、ペプチド、タンパク質、ペプチド模倣物、多重並行合成物コレクション(multiparallel synthetic collection)、組換え、およびポリペプチドライブラリーが挙げられる。コンビナトリアル化学およびそれから作製されるライブラリーの総説として、Myers(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8,701−707を参照のこと。本明細書中に記載される種々のライブラリーの使用を通して調節物質を同定することによって、候補「ヒット」(または「リード」)が活性を調節する能力を最適化するように、その「ヒット」(または「リード」)を改変することが可能になる。
【0257】
本発明によって意図されるなお他の候補インヒビターが設計され得、そしてこれらには、可溶性形態の結合パートナー、ならびに、キメラタンパク質または融合タンパク質などのような結合パートナーが挙げられる。本明細書中で使用される場合「結合パートナー」は、広範に、非ペプチド調節物質、ならびに天然のリガンド以外の神経ペプチド、抗体、抗体フラグメント、および同定されたNgR遺伝子の発現産物に対して免疫特異的な抗体ドメインを含む改変化合物などのようなペプチド調節物質を含む。
【0258】
本発明の他の実施形態は、競合的スクリーニングアッセイの使用を含み、ここでは、本発明のポリペプチドを結合し得る中和抗体が、ポリペプチドに対する結合について、試験化合物と特異的に競合する。この様式において、抗体は、NgRと1個以上の抗原性決定基を共有する任意のペプチドの存在を検出するために使用され得る。放射性標識による競合的結合研究は、Linら(1997)Antimicrob.Agents Chemother.41、2127−2131(この開示は、その全体において、本明細書中において参考として援用される)に記載されている。
【0259】
本発明の他の実施形態では、本発明のポリペプチドを、相互作用する調節タンパク質の同定、特徴付けおよび精製のための研究用ツールとして使用する。適切な標識が、当該分野で公知の種々の方法によって、本発明のポリペプチドに取り込まれ、そしてこのポリペプチドを使用して、相互作用分子を捕捉する。例えば、分子を、標識化ポリペプチドと共にインキュベートし、洗浄して、未結合ポリペプチドを取り除き、そしてポリペプチド複合体を定量する。異なる濃度のポリペプチドを用いて得られるデータを使用して、そのタンパク質複合体でのポリペプチドの数、親和性、および結合についての値を算出する。
【0260】
標識化ポリペプチドはまた、ポリペプチドが相互作用する分子(インヒビターを含むが、これに限定されない)の精製のための試薬として有用である。アフィニティー精製の1つの実施形態では、ポリペプチドを、クロマトグラフィーカラムに共有結合させる。細胞およびその膜を抽出し、そして種々の細胞亜成分を、そのカラムに通過させる。分子は、そのポリペプチドに対する親和性によって、そのカラムに結合する。ポリペプチド複合体を、カラムから回収し、解離し、そしてその回収された分子を、タンパク質配列決定に供する。次いで、このアミノ酸配列を使用して、補足された分子を同定するか、または適切なcDNAライブラリーから対応する遺伝子をクローニングするための縮重オリゴヌクレオチドを設計する。
【0261】
あるいは、本発明のNgRに対するリガンドと類似の特性を示すが、より小さく、かつヒト体内または動物体内において内因性のリガンドよりも長い半減期を示す化合物が同定され得る。有機化合物を設計する場合、本発明に従う分子を、「リード」化合物として使用する。既知の薬学的に活性な化合物に対する模倣物を設計することは、このような「リード」化合物に基づいて医薬を開発するにおいて周知のアプローチである。模倣物の設計、合成および試験は、一般的に、標的特性について多数の分子をランダムにスクリーニングすることを回避するために使用される。さらに、本発明のDNAによってコードされる推定アミノ酸配列の分析から導き出される構造データは、より特異的で、従って、より高い薬理学的能力を有する新規な薬物を設計するために有用である。
【0262】
本発明のタンパク質配列と、利用可能なすべてのデータベース中に存在する配列との比較によって、Gタンパク質共役型レセプターの膜貫通部分との有意な相同性が示された。従って、コンピューターモデリングを使用して、他のタンパク質に関する利用可能な膜貫通ドメイン情報に基づいて、本発明のタンパク質の推定三次元構造を進化させ得る。従って、NgRの推定構造に基づく新規なリガンドが設計され得る。
【0263】
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイによって同定された新規な薬剤、および本明細書中で記載されるような処置のためのそれらの使用に関する。
【0264】
(組成物および薬学的組成物)
特定の実施形態では、本発明に従うスクリーニング方法によって同定される新規な分子は、低分子量の有機分子である。この場合において、組成物または薬学的組成物は、経口投与または非経口投与のために調製され得る。本明細書中に記載されるスクリーニング方法によって同定された核酸分子、ベクター、ポリペプチド、抗体および化合物を含む、組成物または薬学的組成物は代表的に、核酸分子、タンパク質、または抗体と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む。本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的な投与に適合した、任意および全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤(delaying agent)などを含むことが意図される。キャリアまたは他の成分の性質は、特定の投与経路および投与される本発明の特定の実施形態に依存する。この状況下において有用な技術およびプロトコールの例は、特に、Remington’s PHARMACEUTICAL SCIENCES、第16版(1980)、Osol,A(編)(これは、その全体において本明細書中に参考として援用される)において見出される。このようなキャリアまたは希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソームおよび非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油)もまた使用され得る。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性な化合物と不適合である範囲を除いて、組成物におけるその使用が意図される。補助活性化合物もまた、組成物へ組み込まれ得る。
【0265】
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合するように処方される。投与の経路の例には、経口および非経口(例えば、静脈内投与、皮内投与、皮下投与、吸入投与、経皮(局所的)投与、経粘膜投与、および直腸投与)が挙げられる。非経口適用、皮内適用または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような、滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような、抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような、抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸のような、キレート剤;アセテート、シトレートまたはホスフェートのような、緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような、張度の調整のための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整され得る。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、あるいはガラス製またはプラスチック製の多用量のバイアル中に入れられ得る。
【0266】
注入用途に適切な薬学的組成物は、滅菌水溶液(ここでは、水溶性)または分散液、および滅菌された注入可能な溶液または分散液の即座の調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与について、適切なキャリアには、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、組成物は、無菌でなければならず、そして容易な注入性(syringeability)が存在する程度に流動性であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。キャリアは、例えば、以下を含む溶媒または分散媒であり得る:水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)ならびにそれらの適切な混合物。適切な流動性が、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール(manitol)、ソルビトール)、塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注入可能組成物の長時間吸収は、組成物に吸収を遅らせる薬剤(例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチン)を含ませることによってもたらされ得る。
【0267】
滅菌された注射可能溶液は、必要量の活性化合物(例えば、NgRタンパク質または抗NgR抗体)を、適切な溶媒中に、上記で列挙される成分の1つまたは組み合わせと共に組み込み、必要な場合、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般的に、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒および上記で列挙される成分から必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクル中へ組み込むことによって調製される。滅菌された注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合において、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、活性成分および予め滅菌濾過されたその溶液からの任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0268】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤へと圧縮され得る。経口治療投与の目的のために、この活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ得、そして錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用され得る。経口組成物はまた、マウスウォッシュ(mouthwash)としての使用のための流体キャリアを使用して調製され得、ここで、この流体キャリア中のこの化合物は、経口的に適用され、そして音を立ててさっと動かされ、そして吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤および/またはアジュバント材料が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、任意の以下の成分または同様の性質を有する化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、ガムトラガントまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸)、Primogel、またはコーンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterotes);滑り剤(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)。
【0269】
吸入による投与について、この化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素のような気体)を含む圧縮容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器から、エアロゾル噴霧の形態で送達される。
【0270】
全身的投与はまた、経粘膜手段または経皮手段により得る。経粘膜投与または経皮投与について、浸透される障壁に適切な浸透剤が、処方において使用される。このような浸透剤は、一般的に、当該分野で公知であり、そして例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻噴霧または坐剤の使用を通して達成され得る。経皮投与については、この活性化合物は、当該分野で一般的に公知である軟膏剤、軟膏、ゲル、またはクリーム剤へ処方される。
【0271】
この化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤基剤と共に)または保持浣腸の形態で調製され得る。
【0272】
1つの実施形態において、この活性化合物は、身体からの急速な排出に対してこの化合物を保護するキャリアを用いて調製され(例えば、制御放出処方物)、これには、インプラントおよびマイクロカプセル化された送達系が挙げられる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような、生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得る。このような処方物の調製のための方法は、当該業者には明らかである。これらの材料はまた、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,Inc.から市販され、入手され得る。リポソーム懸濁剤(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を含む、感染させた細胞へ標的化されるリポソームを含む)もまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。投与の容易さおよび投薬量の均一化のために、投薬単位形態で、経口組成物または非経口組成物を処方することが、特に有益である。本明細書で使用される投薬単位形態は、処置される被験体のための単位投薬量として適切な物理的に個々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと関連して所望の治療的効果を生じるように計算された、所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態についての詳細は、この活性化合物、および達成される特定の治療効果によって決定されるか、あるいはこれらに直接依存する。
【0273】
本発明の核酸分子は、ベクターに挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、米国特許第5,703,055号に記載されるような、任意の多数の経路によって被験体に送達され得る。従って、送達はまた、例えば静脈内注射、局所的投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)、または定位注射(例えば、Chenら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)を含み得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物には、受容可能な希釈剤中の遺伝子治療ベクターが挙げられ得、または遺伝子送達ビヒクルが組み込まれる徐放性マトリックスが挙げられ得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞からインタクトで産生され得(例えば、レトロウイルスベクター)、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1以上の細胞を含み得る。
【0274】
薬学的組成物は、投与のための指示書と共に、容器、包装、またはディスペンサーに内包され得る。
【0275】
これらの低分子量化合物の投薬量は、処置される疾患の状況または状態および他の臨床的要素(例えば、ヒトまたは動物の体重および状態)、ならびに化合物の投与経路に依存する。ヒトまたは動物の処置のために、体重1kgあたり約0.5mg〜体重1kgあたり500mgの間の化合物が投与され得る。治療は代表的に、低投薬量で投与され、そして所望の治療的結果が観察されるまで続けられる。
【0276】
本発明の別の局面は、他の動物(ヒトならびに他の哺乳動物および無脊椎動物を含むが、これらに限定されない)において、Nogo−Rのホモログを同定するための、本明細書中に開示されるNgRヌクレオチド配列の使用である。本明細書中に開示される任意のヌクレオチド配列、またはその任意の部分が、例えば、当業者に周知のスクリーニング手順を使用して、データベースまたは核酸ライブラリー(例えば、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーのような)をスクリーニングしてホモログを同定するためのプローブとして使用され得る。従って、NgR配列と、少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも60%、より好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%、そして最も好ましくは、少なくとも100%の相同性を有するホモログが同定され得る。
【0277】
本発明の化合物および方法(核酸分子、ポリペプチド、抗体、本明細書中に記載されるスクリーニング方法によって同定される化合物を含む)は、種々の薬学的適用を有し、そして例えば、無秩序な細胞増殖(例えば、癌細胞および腫瘍増殖)を処置または予防するために使用され得る。特定の実施形態では、本発明の分子は、遺伝子治療において使用される。遺伝子治療手順の総説として、例えば、Anderson、Science(1992)256,808−813(これは、その全体において、本明細書中において参考として援用される)を参照のこと。
【0278】
本発明はまた、哺乳動物において、NgRの天然の結合パートナーに関連した活性をアゴナイズ(刺激)またはアンタゴナイズする方法を含む。この方法は、この哺乳動物に、そのアゴニスト性またはアンタゴニスト性をもたらすに十分な量で、上記に開示された1つのポリペプチドに対するアゴニストまたはアンタゴニストを投与する工程を包含する。従って、本発明の1つの実施形態は、本発明のタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストを用いて、哺乳動物における疾患を処置する方法である。この方法は、哺乳動物に、NgRに関連した機能をアゴナイズまたはアンタゴナイズするに十分な量でアゴニストまたはアンタゴニストを投与する工程を包含する。
【0279】
患者に投与される化合物の投薬量を決定する方法および生物に化合物を投与する様式は、米国特許出願番号08/702,282(1996年8月23日付出願)および国際特許公開番号WO96/22976(1996年8月1日付公開)(任意の図面、図形、または表を含む)(この両方は、その全体において本明細書中において参考として援用される)に開示されている。当業者は、このような記載が、本発明に適用可能であり、そしてそれに容易に適合され得ることを理解する。
【0280】
適切な投薬量は、処置される疾患の型、使用される特定の組成物、ならびに患者のサイズおよび生理学的状態のような種々の因子に依存する。本明細書中で記載される化合物について治療的な有効量は、最初に、細胞培養物および動物モデルから概算され得る。例えば、用量は、動物モデルにおいて、細胞培養物アッセイで決定されるようなIC50に最初に配慮した循環濃度範囲を達成するように処方化される。動物モデルデータを使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定し得る。
【0281】
血漿、腫瘍および主要器官中での薬物および代謝産物の血漿半減期および体内分布はまた、障害を阻害するのに最も適切な薬物の選択を容易にするように決定され得る。このような測定が行われ得る。例えば、HPLC分析は、薬物で処置された動物の血漿において行われ得、放射線標識された化合物の位置が、X線、CATスキャンおよびMRIのような検出方法を用いて決定され得る。スクリーニングアッセイにおいて強力な阻害活性を示すが、薬物動態学的特徴が不十分な化合物は、化学構造の変更や再試験によって最適化され得る。この点について、良好な薬物動態学的特徴を示す化合物が、モデルとして使用され得る。
【0282】
毒性研究はまた、血液細胞組成物を測定することによって行われ得る。例えば、毒性研究は、以下のような適切な動物モデルにおいて行われ得る:(1)化合物がマウスに投与される(未処置のコントロールマウスもまた、使用されるべきである);(2)各々の処置群中の1匹のマウスから尾静脈を介して血液サンプルを周期的に得る;そして(3)上記サンプルを、赤血球および白血球の数、血液細胞組成物ならびにリンパ球と多形核細胞との割合について分析する。各々の投薬レジメンについての結果とコントロールとの比較は、毒性が存在するか否かを示す。
【0283】
各々の毒性研究の終了の際に、動物を屠殺することによって、さらなる研究を行い得る(好ましくは、American Veterinary Medical Association guidelines Report of the American Veterinary Medical Assoc.Panel on Euthanasia,(1993)J.Am.Vet.Med.Assoc.202:229−249に従う)。次いで、各処置群からの代表的な動物が、転移、異常な病気または毒性の直接的な証拠のために全体的な検屍によって試験され得る。組織における全体の異常が記載され、組織が組織学的に試験される。体重の減少または血液成分の減少を引き起こす化合物は、主要な器官に対する有害作用を有する化合物と同様に好ましくない。一般的に、有害作用が大きいほど、その化合物は好ましくない。
【0284】
癌の処置のために、疎水性の医薬品の予想される1日の用量は、1〜500mg/日の間、好ましくは、1〜250mg/日の間、そして最も好ましくは、1〜50mg/日の間である。薬物は、活性部分の血漿レベルが治療有効性を維持するのに十分である限り、頻繁に送達しなくてもよい。血漿レベルは、薬物の効力を反映するべきである。一般的に、化合物がより強力であるほど、効力を達成するのに必要な血漿レベルはより低くなる。
【0285】
NgR mRNA転写物は、脳および心臓において見い出されている。上述のように、配列番号1および/または配列番号3は、NgRを活性化するか、アゴナイズするか、またはアンタゴナイズする。内在性の神経刺激伝達物質/ホルモン/リガンド、ならびにCNS障害(例えば、発作)を含む障害を処置する際の潜在的な有用性を有する化合物、および髄鞘脱落に関連するような変性障害をスクリーニングし得る。
【0286】
例えば、NgRレセプター活性化は、神経突起生長の予防を媒介し得る。阻害は、慢性の脳障害および急性の脳障害の両方において有利である。例えば、Donovanら,(1997)J.Neurosci.17,5316−5326;Turgeonら,(1998)J.Neurosci.18,6882−6891;Smith−Swintoskyら,(1997)J.Neurochem.69,1890−1896;Gillら,(1998)Brain Res.797,321−327;Suidanら,(1996)Semin.Thromb.Hemost.22,125−133を参照のこと。
【0287】
(薬理ゲノミクス)
NgR活性(例えば、NgR遺伝子発現)において刺激効果または阻害効果を有する薬剤または調整剤は、本明細書中で記載されるスクリーニングアッセイによって同定されるように、個々に投与されて異常なNgR活性に関連する障害(例えば、髄鞘脱落障害のような疾患状態)を(予防的または治療的に)処置し得る。このような処置とともに、個々の薬理ゲノミクス(すなわち、個々の遺伝子型と、外因性化合物または薬物に対する個々の応答との間の関係の研究)が考慮され得る。治療の代謝における差異は、用量と薬理学的に活性な薬物の血液濃度との間の関係を変更することによって、重大な毒性または治療失敗をもたらし得る。従って、個々の薬理ゲノミクスによって、個々の遺伝子型の考慮に基づいて、予防処置または治療処置のために有効な薬剤(例えば、薬物)を選択し得る。このような薬理ゲノミクスは、さらに、適切な投薬量および治療レジメンを決定するために使用され得る。従って、個々におけるNgRタンパク質の活性、NgR核酸の発現またはNgR遺伝子の変異量が決定され、それによって個々の治療処置または予防処置のために適切な薬剤を選択し得る。
【0288】
薬理ゲノミクスは、罹患したヒトにおける変更された薬物処置および異常作用に起因した、薬物に対する応答における臨床的に重要な遺伝性の変化を扱う。例えば、Eichelbaum(1996)Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23,983−985およびLinder(1997)Clin.Chem.43,254−266を参照のこと。一般的に、2つの型の遺伝薬理学的な状態は、異なり得る。薬物が体内で作用する方法を変更する(変更された薬物作用)単一の因子として伝達される遺伝状態、または身体が薬物に作用する方法を変更する(変更された薬物代謝)単一の因子として伝達される遺伝状態。これらの遺伝薬理学的な状態は、まれな欠損または多型のいずれかとして生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)の欠損は、共通な遺伝的酵素異常症であり、主な臨床的合併症は、酸化薬物(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取の後の溶血およびソラマメの消費の後の溶血である。
【0289】
実施形態に示されるように、薬物を代謝する酵素の活性は、薬物作用の強度および持続時間の両者を決定する主要因である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)およびシトクロムP450酵素CYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、薬物を標準的かつ安全な用量摂取した後に、予想した薬物効果が得られないか、または過度の薬物応答および重大な毒性を示す患者が存在する理由に対する説明を与える。これらの多型は、集団において、高代謝群(EM)および低代謝群(PM)の2種の表現型において表現される。PMの罹患率は、異なる集団間で異なっている。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は、非常に多型であり、いくつかの変異は、PMにおいて同定され、これらはすべて、機能性CYP2D6が存在しない原因となる。CYP2D6およびCYP2C19の低代謝群は、標準的な用量を受ける場合、過剰な薬物応答および副作用を非常に頻繁に被る。代謝物が活性な治療部分である場合、PMは、CYP2D6で形成された代謝モルヒネによって媒介されるコデインの鎮痛薬効果に関して示されるような、治療応答を示さない。他の極端な例は、標準的な用量に対して応答しない、いわゆる、極度に迅速な代謝を有する例(ultra−rapid metabolizer)である。近年、極度に迅速な代謝の分子基盤は、CYP2D6遺伝子増幅に起因するものであることが同定された。
【0290】
従って、個々におけるNgRタンパク質の活性、NgR核酸の発現、またはNgR遺伝子の変異量を決定して、それによって、個々の治療処置または予防処置のために適切な薬剤を選択し得る。さらに、遺伝薬理学的研究を使用して、個々の薬物応答性の表現型の同定に対して、薬物を代謝する酵素をコードする多型対立遺伝子の遺伝子型決定を適用する。この知識は、投薬または薬物選択に適用される場合、有害反応または治療の失敗を防ぎ得、それによって、被験体をNgRモジュレーター(例えば、本明細書中に記載される例示的なスクリーニングアッセイの1つによって同定されるモジュレーター)で処理する場合に、治療有効性または予防有効性を高める。
【0291】
(臨床的有効性のモニタリング)
NgRの発現または活性(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を調節する能力)に対する薬剤(例えば、薬物、化合物)の影響のモニタリングは、基本の薬物スクリーニングにおいてのみ適用されるだけではなく、臨床試験においても適用され得る。例えば、NgR遺伝子発現、タンパク質レベルを増加させるか、またはNgR活性を上方制御することが本明細書中で記載されるようなスクリーニングアッセイによって決定された薬剤の有効性は、減少したNgR遺伝子発現、タンパク質レベル、または下方制御されたNgR活性を示す被験体の臨床試験においてモニタリングされ得る。あるいは、NgR遺伝子発現、タンパク質レベルを減少させるか、またはNgR活性を下方制御することがスクリーニングアッセイによって決定された薬剤の有効性は、増加したNgR遺伝子発現、タンパク質レベル、または上方制御されたNgR活性を示す被験体の臨床試験においてモニタリングされ得る。このような臨床試験において、NgRの発現または活性、および、好ましくは、例えば、疾患または障害に関係付けられる他の遺伝子は、特定の細胞の免疫応答の「読み出し(read out)」またはマーカーとして使用され得る。
【0292】
例えば、NgR活性(例えば、本明細書中で記載されるようなスクリーニングアッセイにおいて同定される)を調節する薬剤(例えば、化合物、薬物または低分子)で処理することによって細胞中で調節される、NgRを含む遺伝子が同定され得る。従って、例えば、臨床試験において、脱髄異常障害に対する薬剤の効果を研究するために、細胞が単離され得、RNAが調製されてNgRの発現レベルに関して分析され得、そして他の遺伝子が、障害に関係付けられる。遺伝子発現のレベル(すなわち、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に記載されるようなノーザンブロット分析またはRT−PCRによって定量され得るか、または本明細書中に記載されるような方法の1つによって産生されるタンパク質の量を測定することによって、またはNgRもしくは他の遺伝子の活性のレベルを測定することによって定量され得る。この方法において、遺伝子発現パターンは、薬剤に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとして働き得る。従って、この応答状態は、薬剤を用いた個々の処置の前、および処置中の種々の時点で決定され得る。
【0293】
1つの実施形態において、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、タンパク質,、ペプチド、ペプチド模倣物(peptidomimetic)、核酸、低分子または本明細書で記載されるスクリーニングアッセイによって同定される他の薬物候補)を用いた被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(i)薬剤の投与の前に、被験体から投与前サンプルを得る工程;(ii)投与前サンプルにおいて、NgRタンパク質、mRNA、もしくはゲノムDNAの発現レベルを検出する工程;(iii)被験体から1つ以上の投与後サンプルを得る工程;(iv)投与後サンプルにおけるNgRタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルを検出する工程;(v)投与前サンプルにおけるNgRタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルと、投与後サンプルにおけるNgRタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現レベルまたは活性レベルとを比較する工程;ならびに(vi)上記に従って、被験体に対する薬剤の投与を変更する工程。例えば、薬剤の投与の増加は、検出されたレベルより高いレベルまでNgRの発現または活性を増加させる(すなわち、薬剤の有効性を高める)ために望ましくあり得る。あるいは、薬剤の投与の減少は、検出されたレベルよりも低いレベルまでNgRの発現または活性を減少させる(すなわち、薬剤の有効性を低める)ために望ましくあり得る。
【0294】
(処置の方法)
本発明は、異常なNgR発現またはNgR活性に関連する障害のリスクのある(罹患しているおそれのある)被験体または上記障害を有する被験体を処置する、予防的方法および治療的方法の両方を提供する。
【0295】
レベルまたは生物学的活性の増加(疾患または障害を罹患しない被験体と比較して)によって特徴付けられる疾患および障害は、活性をアンタゴナイズする(すなわち、減少または阻害する)治療剤で処置され得る。活性をアンタゴナイズする治療剤は、治療様式または予防様式において投与され得る。利用され得る治療剤としては、限定されないが、以下が挙げられる;(i)NgRポリペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;(ii)NgRペプチドに対する抗体;(iii)NgRペプチドをコードする核酸;(iv)アンチセンス核酸および「機能障害性」(すなわち、NgRペプチドに対するコード配列のコード配列内における異種挿入に起因する)な核酸の投与は、相同組換えによるNgRペプチドの「ノックアウト」内在性機能に利用される(例えば、Capecchi(1989)Science 244,1288−1292を参照のこと);あるいは(v)NgRペプチドとその結合パートナーとの間の相互作用を変更するモジュレーター(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタゴニスト(本発明のさらなるペプチド模倣物または本発明のペプチドに特異的な抗体を含む)。
【0296】
レベルまたは生物学的活性の減少(疾患または障害を罹患していない被験体と比較して)によって特徴付けられる疾患または障害は、活性を増加させる(すなわち、アゴニストである)治療剤で処置され得る。活性を上方制御する治療剤は、治療様式または予防様式で投与され得る。利用され得る治療剤としては、限定されないが、NgRペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントまたはホモログ;あるいはバイアベイラビリティーを増大させるアゴニストが挙げられる。
【0297】
レベルの増加または減少は、ペプチドおよび/またはRNAを定量することによって、患者組織サンプル(例えば、生検組織から)を得てRNAまたはペプチドのレベル、発現したペプチド(またはNgRペプチドのmRNA)の構造および/または活性に関してインビトロで上記サンプルをアッセイすることによって、容易に検出され得る。当該分野で周知の方法としては、限定されないが、免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫沈降後のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学などによって)、および/またはmRNAの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーションなど)が挙げられる。
【0298】
1つの局面において、本発明は、NgR発現または少なくとも1つのNgR活性を調節する薬剤を被験体に投与することによって、被験体において、異常なNgR発現またはNgR活性に関連する疾患または状態を予防するための方法を提供する。異常なNgR発現またはNgR活性によって引き起こされるかまたは寄与される疾患に対するリスクのある被験体は、例えば、本明細書中に記載されるような診断アッセイまたは予後アッセイのいずれかまたは組み合わせによって同定され得る。予防剤の投与は、NgR異常に特徴的な症状の出現の前に行い得、その結果、疾患または障害が予防されるか、またはその進行を遅らせる。NgR異常の型に基づいて、例えば、NgRアゴニスト薬剤またはNgRアンタゴニスト薬剤が、被験体を処置するために使用され得る。適切な薬剤は、本明細書中で記載されるスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
【0299】
本発明の別の局面は、治療目的のためのNgRの発現または活性を調節する方法に関する。本発明の調節法は、細胞を、細胞と関連するNgRタンパク質活性の1つ以上の活性を調節する薬剤と接触させる工程を包含する。NgRタンパク質活性を調節する薬剤は、本明細書中で記載されるような薬剤であり得、例えば、核酸またはタンパク質、NgRタンパク質の天然に存在する同族リガンド、ペプチド、NgRペプチド模倣物、または他の低分子であり得る。1つの実施形態において、薬剤は、1つ以上のNgRタンパク質活性を刺激する。このような刺激剤の例としては、活性NgRタンパク質および細胞中に導入されたNgRをコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、薬剤は、1つ以上のNgRタンパク質活性を阻害する。このような阻害剤の例としては、アンチセンスNgR核酸分子および抗NgR抗体が挙げられる。これらの調節方法は、インビトロで(例えば、細胞を薬剤とともに培養することによって)、あるいはインビボで(例えば、薬剤を被験体に投与することによって)実行され得る。このように、本発明は、NgRタンパク質または核酸分子の異常発現または異常活性によって特徴付けられる疾患または障害に悩まされる個々を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、本方法は、薬剤(例えば、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される薬剤)、またはNgR発現またはNgR活性を調節する(例えば、上方制御または下方制御する)薬剤の組み合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態において、本方法は、減少したNgR発現もしくはNgR活性または異常なNgR発現もしくはNgR活性を補うための治療として、NgRタンパク質または核酸分子を投与する工程を包含する。
【0300】
(遺伝子治療)
NgR遺伝子産物の正常な機能の欠失を生じるNgR遺伝子における変異は、NgRヒト疾患状態の原因である。本発明は、これらの疾患状態を処置するためのNgR活性を回復するための遺伝子治療を含む。機能性NgR遺伝子の適切な細胞への送達は、ベクターを使用することによって、より詳細には、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、またはレトロウイルス)を使用することによって、エキソビボ、インサイチュ、またはインビボで効果があり、あるいは物理的なDNA移入法(例えば、リポソームまたは化学物質処理)の使用によってエキソビボで効果がある。例えば、Anderson(1998)Nature,392(6679):25−20に補遺、を参照のこと。遺伝子治療技術のさらなる総説としては、Friedmann(1989),Science 244,1275−1281;Verma(1990)Sci.Am.68−84;およびMiller(1992)Nature 357,455−460を参照のこと。あるいは、他のヒト疾患状態において、NgRの発現を予防すること、またはNgRの活性を阻害することは、疾患状態の処置において有用であることが意図される。アンチセンス治療または遺伝子治療は、NgRの発現を負に調節するために適用され得ることが意図される。
【0301】
本発明は、異常なNgR発現またはNgR活性に関連する障害のリスクがある(障害に罹患しているおそれのある)被験体または障害を有する被験体を処置する予防方法および治療方法の両方を提供する。
【0302】
レベルまたは生物学的活性の増加(疾患または障害を罹患していない被験体と比較して)によって特徴付けられる疾患および障害は、活性をアンタゴナイズする(すなわち、減少または阻害する)治療剤で処置され得る。活性をアンタゴナイズする治療剤は、治療様式または予防様式で投与され得る。利用され得る治療剤としては、限定されないが、以下が挙げられる:(i)NgRポリペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;(ii)NgRペプチドに対する抗体;(iii)NgRペプチドをコードする核酸;(iv)アンチセンス核酸および「機能障害性」(すなわち、NgRペプチドに対するコード配列のコード配列内における異種挿入に起因する)な核酸の投与は、相同組換えによるNgRペプチドの「ノックアウト」内在性機能に利用される(例えば、Capecchi(1989)(上述)を参照のこと);あるいは(v)NgRペプチドとその結合パートナーとの間の相互作用を変更するモジュレーター(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタゴニスト(本発明のさらなるペプチド模倣物または本発明のペプチドに特異的な抗体を含む)。
【0303】
レベルまたは生物学的活性の減少(疾患または障害を罹患していない被験体と比較して)によって特徴付けられる疾患または障害は、活性を増加させる(すなわち、アゴニストである)治療剤で処置され得る。活性を上方制御する治療剤は、治療様式または予防様式で投与され得る。利用され得る治療剤としては、限定されないが、NgRペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;あるいはバイアベイラビリティーを増大させるアゴニストが挙げられる。
【0304】
レベルの増加または減少は、ペプチドおよび/またはRNAを定量することによって、患者組織サンプル(例えば、生検組織から)を得てRNAまたはペプチドのレベル、発現したペプチド(またはNgRペプチドのmRNA)の構造および/または活性に関してインビトロで上記サンプルをアッセイすることによって、容易に検出され得る。当該分野で周知の方法としては、限定されないが、免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫沈降後のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学などによって)、および/またはmRNAの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーションなど)が挙げられる。
【0305】
1つの局面において、本発明は、NgR発現または少なくとも1つのNgR活性を調節する薬剤を被験体に投与することによって、被験体において、異常なNgR発現またはNgR活性に関連する疾患または状態を予防するための方法を提供する。異常なNgR発現またはNgR活性によって引き起こされるかまたは寄与される疾患に対してリスクのある被験体は、例えば、本明細書中に記載されるような診断アッセイまたは予後アッセイのいずれかまたは組み合わせによって同定され得る。予防剤の投与は、NgR異常に特徴的な症状の出現の前に行い得、その結果、疾患または障害が予防されるか、またはその代わりにその進行を遅らせる。NgR異常の型に基づいて、例えば、NgRアゴニスト薬剤またはNgRアンタゴニスト薬剤が、被験体を処置するために使用され得る。適切な薬剤は、本明細書中で記載されるスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
【0306】
本発明の別の局面は、治療目的のためにNgR発現または活性を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、細胞を、その細胞に関するNgRタンパク質活性の活性のうちの1つ以上を調節する薬剤と接触させる工程を包含する。NgRタンパク質活性を調節する薬剤は、核酸またはタンパク質、NgRタンパク質の天然に存在する同族リガンド、ペプチド、NgRペプチド模倣物、または他の低分子のような、本明細書中に記載されるような薬剤であり得る。1つの実施形態において、この薬剤は、NgRタンパク質活性のうちの1つ以上を刺激する。このような刺激薬剤の例としては、活性なNgRタンパク質、およびその細胞に導入されたNgRをコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、この薬剤は、NgRタンパク質活性のうちの1つ以上を阻害する。このような阻害薬剤の例としては、アンチセンスNgR核酸分子、および抗NgR抗体が挙げられる。これらの調節方法は、インビトロで(例えば、その薬剤とともにその細胞を培養することによって)、あるいはインビボで(例えば、被験体にその薬剤を投与することによって)実施され得る。このように、本発明は、NgRのタンパク質または核酸分子の、異常な発現または異常な活性によって特徴付けられる、疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、NgRの発現または活性を調節する(例えば、アップレギュレートまたはダウンレギュレートする)薬剤(例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定される薬剤)あるいはそのような薬剤の組み合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、NgRのタンパク質または核酸分子を、低減したかまたは異常な、NgRの発現または活性を補償するための治療として、投与する工程を包含する。
【0307】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって、範囲が限定されることはない。実際、本明細書において記載されたものに加えて、本発明の種々の改変が、上記の記載および添付の図面から、当業者に明らかとなる。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【0308】
以下の表5は、本発明の例示的ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列を含む。
【0309】
【表6】
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
Figure 0004465148
他で示されない限り、Xは任意のアミノ酸である。例えば、ここで示されるXは、アミノ酸がないかもしれない。本発明のさらなる特徴は、以下の実施例から明らかである。実施例1〜5は実際のものであるが残りの実施例は、予言的なものである。
【0310】
以下の実施例によって示されるように、新規NgRをコードする遺伝子は、DNA配列データのコンピューター分析によって同定されている。NgR2およびNgR3によってコードされるタンパク質は、推定のシグナル配列、保存されたロイシンリッチ領域中(配列番号12)の8つのロイシンリッチ反復ドメイン、ロイシンリッチ領域のN末端である保存されたシステインリッチ領域(配列番号10)、ロイシンリッチ領域のC末端である第2のシステインリッチドメイン(配列番号11)、および推定のグリコホスファチジルイノシトール結合(GPI−結合)部位を有する。NgR2およびNgR3は、以前に同定されたNgR配列とは異なる。公知のNgRと比較される場合、NgRホモログは、コンセンサス配列(配列番号6)を示す。推定の成熟NgR2およびNgR3は、それぞれ配列番号8および9として表5中に示される。
【0311】
(実施例1:HTGデータベースのTblastn問い合わせ(query))
ヒトNgR(NgR1)(配列番号5)についてのタンパク質配列を使用して、ハイスループットゲノム(HTG)データベースに問い合わせた。この使用は、当業者にはよく知られている。HTGデータベースは、総合的なNIH遺伝子配列データベースであるGenBankの一部であり、これは、公的に利用可能なDNA配列の全ての注釈的収集を含む(Nucleic Acids Res.(2000)28,15−8)。HTGデータベースは、ゲノムDNAより得られる配列を含む。ゲノムDNAにおいて、遺伝子は、典型的にエキソンと呼ばれる複数のDNAセグメントによってコードされる。よって、cDNA配列(またはcDNA配列によってコードされるタンパク質配列)がゲノムDNAに整列される場合、この配列は、遺伝子中のエキソンの数に依存してセグメントに分けられる。
【0312】
Basic Local Alignment Search Toolの略語であるBLASTアルゴリズムは、配列類似性を決定するために適切である(Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215、403−410、その全体が本明細書中に参考として援用される)。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に利用可能である。基本的BLASTアルゴリズムは、データベース配列中の同一長のワード(word)と整列される場合、いくつかの陽性値閾値スコアTと一致するかまたはTを満たす、問い合わせ配列中の長さWの短いワード(word)を同定することによって高スコア配列対(HSP)をまず同定することを包含する。Tは、近傍のワードスコア閾値という(Altschulら、上述)。これらの最初の近傍ワードヒットは、これらを含むHSPを見出すための検索を開始するためのシード(seed)をとして作用する。ワードヒットは、累積整列スコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に伸長される。各方向におけるワードヒットについての伸長は、以下の場合、停止される:1)累積整列スコアがその最大達成値から数Xだけ減少する;2)1つ以上のネガティブスコア付け残基整列の蓄積に起因して、累積スコアが0以下になる;または3)いずれかの配列の末端に到達される。BlastアルゴリズムパラメーターW、TおよびXは、整列の感受性および速度を決定する。Blastプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)11、BLOSUM62スコア付けマトリクス(Henikoffら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915−10919(この全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)整列(B)50、期待値(E)10、M=5、N=4および両鎖の比較を使用する。
【0313】
BLASTアルゴリズム(Karlinら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,5873−5787(本明細書中に参考として援用される))およびギャップBLASTは、2つの配列間の類似性の統計学的分析を実施する。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの測定は、最小和確率(sum probability)(P(N))であり、これは、この確立の表示を提供し、これにより、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸の配列間の一致が、偶然生じる。例えば、試験核酸のNgR核酸との比較における最小和確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは、約0.01未満、そして最も好ましくは0.001未満である場合、核酸は、NgR遺伝子またはcDNAに類似するとみなされる。
【0314】
NgRタンパク質配列を用いてHTGデータベースを問い合わせるために、本発明者らは、tblastnプログラムとして公知の種々のBLASTアルゴリズムを使用した。これは、タンパク質問い合わせ配列を、全てのリーディングフレームにおいて動的に翻訳されたヌクレオチド配列データベースに対して比較する(J.Mol.Biol.(1990)215,403−410:Nucleic Acids Res.(1997)25,3389−3402)。tblastn検索の結果は、NgRに対して顕著な同一性を有する遺伝子のデータベース中での存在を示した。ヒトNgR遺伝子およびマウスNgR遺伝子を含むゲノムクローンに対するヒットを見出すことに加えて、本発明者らは、同一性が高くはないがなお非常に顕著であるクローンに対するヒットを見出した。4e−43のe値を有する3つのヒトクローン(登録番号:AC068514、AC016869、AC013606)が見出され、そして1e−78のe値を有する1つのマウスクローン(登録番号:AC021768)が見出された。3つのヒトクローンは、全て同一遺伝子をコードするようであり、よってさらなる分析は、AC013606に制限された。
【0315】
(実施例2:ヒトNgR2タンパク質配列(AC013606)の予想)
ヒトNgRタンパク質配列を、ヌクレオチド配列AC013606から翻訳された配列の2つの領域と整列し、これは、新たな遺伝子が少なくとも2つのエキソンによってコードされることを示す。完全な遺伝子を規定するために、本発明者らは、コンピュータープログラムGENSCANTM(J.Mol.Biol.(1997)268,78−94)を使用した。これは、ゲノムDNA中の遺伝子の完全なエキソン/イントロン構造を同定し得る。GENSCANTMによる遺伝子の予想は、7つのエキソンを含んだ。これらの予想されたエキソンをNgRと比較することによって、新たなヒト遺伝子がこれらのエキソンのうち2つおよび別の一部(開始メチオニンを含む)を含むと結論付けた。これら3つのエキソンによりコードされる予想されたcDNA(mRNA)を、座位が以下である3つのエキソン由来のヌクレオチドを合わせることによってAC013606(HTG11;2000年3月に寄託された;長さ=143899;GenBankリリース118.0;配列番号15)からアセンブリした:123292−123322(エキソン1);130035−130516(エキソン2);および138589−139335(エキソン3)。このcDNA配列についての配列は、配列番号1である(ヒトNgR2のヌクレオチド配列;AC013606)。このcDNAの翻訳は、ヒトNgR2のタンパク質配列を提供する(配列番号2)。
【0316】
本発明者らは、ヒトNgR2のタンパク質配列を、ヒトESTデータベースに対する問い合わせ配列として使用した。高有意性の多くのヒットを見出した。これは、NgR2 mRNAが胎児脳を含む多くの組織で発現されることを示す。さらに、これらのESTのうち2つは、本発明者らが推測したエキソン構造に対する支持を提供した。1つのEST(登録番号GB_EST19:AI346757)は、ヒトNgR2(配列番号4)のアミノ酸84〜271に対応する565ヌクレオチドを含む。これは、アミノ酸171と172との間に位置される第二イントロンにわたり、mRNAレベルでのエキソン2および3のスプライシングについてのポジティブな証拠を提供する。別のEST(GB_EST26:AI929019)は、545ヌクレオチドを含み、この一部は、ヒトNgR2(配列番号2)のアミノ酸1〜75に対応する。これは、アミノ酸10と11との間に位置される第一イントロンにわたり、mRNAレベルでのエキソン1および2のスプライシングについてのポジティブな証拠を提供する。
【0317】
(実施例3:マウスNgR3タンパク質配列(AC021768)の予想)
ヒトNgRタンパク質配列を、ヌクレオチド配列AC021768から翻訳された配列の1つのみの領域と整列し、これは、新たなマウス遺伝子のほとんどが1つの大きなエキソンによってコードされることを示す。しかし、調べたところ、このエキソンによってコードされるタンパク質は、開始メチオニンを欠いていた。完全な遺伝子を規定するために、本発明者らは、上記のようなコンピュータープログラムGENSCANTMを使用した。GENSCANによる遺伝子の予想は、2つのエキソンを含んだ:眼による調査によって見出した大きなエキソンおよび開始メチオニンを提供する5’末端での短いエキソン。これら2つのエキソンによりコードされる予想されたcDNA(mRNA)を、座位が以下である2つのエキソン由来のヌクレオチドを合わせることによってAC021768(HTG14;2000年3月に寄託された;長さ=215980;GenBankリリース118.0;配列番号16)からアセンブリした:164265−164325(エキソン1)の相補体;および155671−156992(エキソン2)の相補体。このcDNA配列についての配列は、配列番号3である(マウスNgR3のヌクレオチド配列;AC021768)。このcDNAの翻訳は、マウスNgR3のタンパク質配列を提供する(配列番号4)。
【0318】
本発明者らは、マウスNgR3のタンパク質配列を、マウスESTデータベースに対する問い合わせ配列として使用した。高有意性の1つのヒットを見出した。これは、NgR2 mRNAが心臓で発現されることを示す。このEST(GB_EST20:AI428334)は、その一部がマウスNgR3(配列番号4)のアミノ酸45〜193に対応する463ヌクレオチドを含む。
【0319】
(実施例4:NgR間の類似性)
NgR1と新たな2つのレセプターとの間の整列を、図1A〜1Bに示す。これらのタンパク質の間の類似性としては、以下が挙げられる:
(1)シグナル配列の切断位置を示すSignalPプログラムは、全てのタンパク質における保存された第一システインの前の切断を予想する。よって、全ての場合において成熟タンパク質は、N末端にシステインを有する。
(2)全てのタンパク質は、8つのロイシンリッチリピート(LRR)を含む。LRRは、多様な機能および細胞内局在を有する多くのタンパク質中に存在する短い配列モチーフである。これらのリピートは、通常、タンパク質−タンパク質相互作用に関与する。各LRRは、β−α単離から構成される。
(3)3つ全てのタンパク質は、ロイシンリッチリピートN末端ドメイン(LRRNT)を含み、ここで、4つのシステインが保存されている。LRRは、しばしばN末端およびC末端の両方でシステインリッチドメインに隣接される。
(4)3つ全てのタンパク質は、LRR C末端ドメイン(LRRCT)を含む。これらの3つのNgRタンパク質のLRRCTは、このドメイン中で完全に保存されているトリプトファン(typtophan)およびシステインのパターンによって、他のLLR含有タンパク質と区別され得る。
(5)3つ全てのタンパク質は、4つ目のLRRドメイン中に保存されたシステインを含む。
(6)3つ全てのタンパク質は、8つ目のLRRドメイン中に保存された潜在的グリコシル化部位を含む。
(7)NgR2およびNgR3は、NgR1と同様に疎水性C末端を有し、これらもまた、おそらくNgR1と同様の修飾を受けることを示す。ここで、GPIモチーフは、C末端アミノ酸に共有結合されている。このことによって、タンパク質を細胞につなぎとめておくことを可能にする。
【0320】
(実施例5:Nogoタンパク質の調製)
セマフォリンおよびエフリンの軸索誘導機能を試験する際に広く用いられる方法(Flanagan&Vanderhaeghen(1998)Annu.Rev.Neurosci.21,309−345;Takahashiら(1999)Cell 99,59−69)を利用する、Nogo結合アッセイを開発した。これは、極めて高感度な比色測定アッセイを用いて検出され得る、生物学的に活性なレセプター結合因子を提供するために、問題のリガンドに、分泌された胎盤アルカリホスファターゼ(AP)部分を融合させる工程を包含する。Nogoについて、シグナルペプチド、精製のためのHis6タグ、AP、およびNogoの66アミノ酸の活性ドメインをコードする発現ベクターを、作製する。この融合タンパク質を、ミリグラム量でトランスフェクトした細胞の馴化培地から精製し得る。このタンパク質は、1nMのEC50を有する、成長円錐を崩壊させる因子として、生物学的に活性である。
【0321】
あるいは、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ Nogo(GST−Nogo)融合タンパク質が調製され得る。GST−Nogoについて、シグナルペプチド、GSTおよびNogoの66アミノ酸の活性ドメインをコードする発現ベクター(例えば、pGEXベクター)を、作製する。GST−Nogoを、培養培地から精製し得、そしてGST融合タンパク質として使用するか、またはGSTを、融合タンパク質のGST部分とNogo部分との間に操作された特異的アミノ酸切断部位を認識する酵素を用いて、融合タンパク質のNogo部分から切断し得る。このような部位は、市販のGSTベクターの一部である。この特異的切断部位および酵素を、製造業者の手引きに従って使用し得る。
【0322】
AP−NogoはGST−Nogoよりも実際にわずかにより有力であることが、見出された。なぜなら、おそらくこのタンパク質は原核生物細胞よりも真核生物細胞において合成されるからである。
【0323】
固定化されたNgRホモログへのNogoの結合を、ELISA型アッセイで実施し得る。ここで、AP−Nogoは、固定化されたレセプターホモログと反応し得る。結合の特異性を、低減した量のAP−Nogoの結合を示すアッセイの型において、漸増量のGST−Nogoを使用する競合的結合アッセイにおいて実証し得る(比色測定アッセイにおいて判断するように)。
【0324】
(実施例6:トランスフェクトしたCOS細胞結合アッセイ)
本発明のホモログを、COS細胞におけるトランスフェクション研究に使用して、Nogoの結合を実証し得る。特に、NgR2およびNgR3をコードするヌクレオチド配列を、適切なベクターを使用してCOS細胞にトランスフェクションし得る。トランスフェクトされていないCOS−7細胞は、AP−Nogoを結合しない。しかし、NgRをコードする核酸配列を用いるCOS細胞のトランスフェクションによって、これらの細胞はNogoに結合し得る。AP単独では、これらのトランスフェクトされた細胞に対する安定な親和性を有して結合しない。このことは、NgR2およびNgR3に対するNogoの親和性はいずれも、Nogo由来の66アミノ酸に起因することを示す。さらに、Nogoの、NgR2タンパク質またはNgR3タンパク質に対する特異的親和性を、GST−Nogoを使用するAP−Nogoアッセイの置換において試験し得る。NgR2および/またはNgR3もまた、Nogoのホモログを結合し得、これもまた、このアッセイを使用して試験し得る。
【0325】
(実施例7:ノーザンブロットおよびランダムプライム(random−prime)プローブを使用するヒト細胞株におけるNgRの発現)
ノーザンブロットを、商業的供給源より購入するか、または、目的の細胞由来のRNAサンプルを、アガロースゲルで流し、そしてノーザンブロッティングについて周知の技術のいずれかを使用して膜にブロットする。ブロットを、NgR2(配列番号1)またはNgR3(配列番号3)のフラグメントを用いてブロットする。ランダムプライム法(Feinberg and Vogelstein(1983)Anal.Biochem.132,6−13)によって標識されたcDNA 50ngより、プローブを調製する。ハイブリダイゼーションを、ExpressHybTM溶液(Clontech,Cat.No.8015−1)中にて68℃で1時間行い、続いて、室温で2×SSC/0.05% SDSを用いて洗浄し、そして50℃で0.1×SSC/0.1% SDSを用いて二度洗浄する。NgR2および/またはNgR3の発現を、ブロット上の適切なサイズのバンドの存在によって評価し得る。
【0326】
(実施例8:NgRに対応するcDNAのクローニング)
NgR2に対応する全長クローンをcDNAライブラリーから得るために、以下の方法を使用し得る。NgR2を含むことが既知の組織から、標準法を使用してcDNAライブラリーを生成する。実施例2において、このような組織を同定した。このcDNAライブラリー由来の1×10プラーク形成単位を、OPTITRANTMフィルター上にて二連でスクリーニングし得る。NgR2部分に対応するESTから生成される32P標識オリゴヌクレオチドを用いて、これらのフィルターをハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション反応は、65℃で一晩、10% 硫酸デキストランおよび100μg/ml tRNAおよび80pmolの各32P標識オリゴヌクレオチドを含む、400mlのプラークスクリーニング緩衝液(50mM Tris(pH7.5)、1M NaCl、0.1% ピロリン酸ナトリウム、0.2% ポリビニルピロリジン(polyvinylpryolidine)および0.2% Ficoll)からなり得る。これらのフィルターを、2×SSC/1% SDSで二度、1×SSC/1% SDSで二度洗浄し、そしてフィルムに暴露する。二連の陽性物を精製する。これらのクローンの各々由来のDNAを、制限酵素消化、続いて、アガロースゲル電気泳動およびサザンブロッティングによって分析する。フィルターを、元々のハイブリダイゼーションに使用した32P標識オリゴヌクレオチドにハイブリダイズして、挿入物がプローブにハイブリダイズすることを確認する。次いで、挿入物を配列決定し、これがNgR2についてのcDNAを示すことを確認する。同様の方法を使用して、NgR3に対応する全長クローンを生成し得る。
【0327】
あるいは、NgR2またはNgR3の全長クローンは、慣用的PCR技術を使用する当業者によって得られ得る。
【0328】
(実施例9:脳におけるNgR発現を実証するためのハイブリダイゼーション分析)
哺乳動物(例えば、ラット)におけるNgRの発現を、インサイチュハイブリダイゼーション組織化学によって調査し得る。例えば、脳における発現を調査するために、冠状および矢状のラット脳の低温切片(20μm厚)を、Reichert−Jung低温層を使用して調製する。個々の切片を、シラン化した、ヌクレアーゼのないスライド(CEL Associates,Inc.,Houston、TX)上に解凍して載せ、そして−80℃で貯蔵した。切片を、4%冷パラホルムアルデヒド中で後固定することで開始し、冷リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)でリンスし、トリエタノールアミン緩衝剤中の無水酢酸を使用してアセチル化し、そして室温で、70%、95%、および100%のアルコールでの一連のアルコール洗浄によって脱水して、処理する。引き続いて、切片をクロロホルム中で脱脂し、次いで室温で100%および95%のアルコールに連続的に曝露することによって、再水和する。処理された低温切片を含む顕微鏡スライドを風乾し、その後、ハイブリダイゼーションする。他の組織を、類似の様式でアッセイし得る。
【0329】
NgR特異的プローブを、PCRを使用して生成し得る。PCR増幅に続いて、フラグメントを制限酵素で消化し、そして同じ酵素で切断したpBluescript IIにクローニングする。NgRのセンス鎖に対して特異的なプローブを生成するために、pBluescript IIにクローニングされたクローン化NgRフラグメントを、適切な制限酵素を用いて線状化し得、これは、ベクター保有T7プロモーターおよび市販のT7 RNAポリメラーゼを使用して、標識されたランオフ転写物(すなわち、cRNAリボプローブ)に対する基質を提供する。NgRのアンチセンス鎖に対して特異的なプローブもまた、pBluescript IIにおけるNgRクローンを使用して、組換えプラスミドを適切な制限酵素で切断して、T3プロモーターおよび同種のポリメラーゼを使用して、標識ランオフcRNA転写物を調製するための線状化基質を生成することによって、容易に調製し得る。リボプローブを[35S]−UTPで標識して、アンチセンスプローブに対しては約0.40×10cpm/pmolの比活性を、そしてセンス鎖リボプローブに対しては約0.65×10cpm/pmolの比活性を与え得る。各リボプローブを、引き続いて変性し、そしてハイブリダイゼーション緩衝液(これは、50%ホルムアミド、10%デキストラン、0.3M NaCl、10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA、1×デンハルト溶液、および10mMジチオートレイトールを含む)に添加し得る(2pmol/ml)。連続した脳の低温切片を含む顕微鏡のスライドを、独立して、スライドあたり45μlのハイブリダイゼーション溶液に曝露し得、そしてシラン化したカバーガラスを、ハイブリダイゼーション溶液に曝露されている切片の上に配置し得る。切片を、52℃で一晩(15〜18時間)インキュベートして、ハイブリダイゼーションを起こす。次いで、等量の一連の低温切片を、センスNgRまたはアンチセンスNgRに特異的なcRNAリボプローブに曝露する。
【0330】
ハイブリダイゼーション時間に続いて、カバーガラスを、1×SSC中でスライドから洗浄除去し、次いでRNase A処理した。このRNase A処理は、10mM Tris−HCl(pH7.4)、0.5M EDTA、および0.5M NaClを含む緩衝液中20μg/mlのRNase Aに、37℃で45分間曝露する工程を包含する。次いで、低温切片を、3つの高ストリンジェンシー洗浄(それぞれ0.1×SSC、52℃で20分間)に供する。この一連の洗浄に続いて、低温切片を、アルコール中70%、95%、および100%の酢酸アンモニウムに連続的に曝露することによって脱水し、次いで風乾し、そしてKodak BioMaxTM MR−1フィルムに曝露する。曝露の13日後、このフィルムを現像し、そして任意の有意なハイブリダイゼーションシグナルを検出する。これらの結果に基づいて、フィルムオートラジオグラムによって示される場合にハイブリダイズした組織を含むスライドを、Kodak NTB−2核トラックエマルジョンでコーティングし、そしてこのスライドを暗所で32日間貯蔵する。次いで、これらのスライドを現像し、そしてヘマトキシリンで対比染色する。エマルジョンをコーティングした切片を、顕微鏡で分析して、標識の特異性を決定する。オートジオグラフィー粒子(アンチセンスプローブハイブリダイゼーションによって生成した)が、クレシルバイオレットで染色した細胞体に明らかに結合する場合に、そのシグナルを特異的であると決定する。細胞体間に見出されたオートジオグラフィー粒子は、そのプローブの非特異的結合を示す。
【0331】
いくつかの場合(例えば、プローブを使用して異種の種においてNgRホモログを検出する場合)において、最適なハイブリダイゼーションを達成するために、ストリンジェンシー条件を減少させる必要があり得る。このような条件は、当業者に周知であり、そして例は上に提供されている。
【0332】
脳におけるNgRの発現は、NgR活性のモジュレーターが、神経学的障害を処置するために有用性を有することの指標を提供する。NgRのモジュレーターが有用性を有し得る、他のいくつかの疾患としては、うつ病、不安症、双極性障害、癲癇、神経炎、神経衰弱症、ニューロパシー、神経症などが挙げられる。このような疾患状態を有する個体を処置するための、NgRモジュレーター(NgRリガンドおよび抗NgR抗体を含む)の使用は、本発明の局面として意図される。
【0333】
(実施例10:PCRにより生成したプローブを用いる、NgR−RNAのノーザンブロット分析)
ノーザンブロットハイブリダイゼーションを実施して、NgR mRNAの発現を試験し得る。配列番号1の配列の少なくとも一部を含むクローンを、プローブとして使用し得る。ベクター特異的プライマーをPCRにおいて使用して、 P標識に対するハイブリダイゼーションプローブフラグメントを生成する。PCRを、以下のように実施する:
混合: 1μl NgR含有プラスミド
2μl 順方向プライマー(10〜50pM)
2μl 逆方向プライマー(10〜50pM)
10μl 10×PCR緩衝液(例えば、酵素を含むもの、Amersham Pharmacia Biotech)
1μl 10mM dNTP(例えば、Boehringer Mannheimからの#1 969 064)
0.5μl Taqポリメラーゼ(例えば、#27−0799−62、Amersham Pharmacia Biotech)
83.5μl 水。
【0334】
PCRを、以下のプログラムを使用して、サーモサイクラーで実施する:
【0335】
【表7】
Figure 0004465148
PCR産物を、QiagenからのQIAquick PCR精製キット(#28104)を使用して、精製し得、そして32P−dCTP(#AA0005/250,Amersham Pharmacia Biotech)での放射性(radictively)標識を、Amersham Pharmacia Biotechからの「Ready−to−go DNA Labeling Beads」(#27−9240−01)を使用するランダムプライミングによって、行い得る。ハイブリダイゼーションを、ClontechからのHuman Multiple Tissue Northern Blotで、製造業者のプロトコルに記載されるように、またはRNAサンプルを目的の細胞からアガロースゲル上で泳動させ、そして任意の公知のノーザンブロットプロトコルを使用して膜にブロットすることによって調製された、ノーザンブロットで実施する。Molecular Dynamics Phosphor Imagerスクリーン(#MD146−814)に一晩露光した後、適切な大きさのバンドが可視化された。
【0336】
(実施例11:真核生物宿主細胞における、NgRの組換え発現)
(A.哺乳動物細胞におけるNgRの発現)
NgRタンパク質を生成するために、NgRをコードするポリヌクレオチドが、適切な宿主細胞において、適切な発現ベクターおよび標準的な遺伝子操作技術を使用して、発現される。例えば、表4に記載されるNgRコード配列を、市販の発現ベクターpzeoSV2(Invitrogen,San Diego,CA)にサブクローニングし、そしてトランスフェクション試薬FuGENE6TM(Boehringer−Mannheim)および製品の挿入物に提供されるトランスフェクションプロトコルを使用して、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞にトランスフェクトする。他の真核動物細胞株(ヒト胚性腎臓(HEK293)およびCOS細胞が挙げられる)もまた、適切である。NgRを安定に発現する細胞を、100μg/mlのzeocin(Stratagene,LaJolla,CA)の存在下で増殖させることによって、選択した。FuGENE6TMの代替として、発現ベクターは、ジヒドロフォレートレダクターゼ(dhfr)に対する遺伝子を有し得、そしてメトトレキサート(MTX)薬物圧力でのクローンの選択は、CHO細胞の安定な形質転換を可能にする。必要に応じて、NgRは、標準的なクロマトグラフィー技術を使用して、細胞から精製され得る。精製を容易にするために、抗血清が、NgRアミノ酸配列の一部に対応する1つ以上の合成ペプチド配列に対して惹起され、そしてこの抗血清は、Nogo−Rをアフィニティー精製するために使用される。NgRはまた、tag配列(例えば、ポリヒスチジン、ヘマグルチニン、FLAG)とインフレームで発現されて、精製を容易にし得る。さらに、NgRポリペプチドのための使用の多く(例えば、以下に記載されるアッセイ)は、宿主細胞からのNgRの精製を必要としないことが、理解される。
【0337】
(B.CHO細胞におけるNgRの発現)
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞におけるNgRの発現のために、関連するNgRコード配列を保有するプラスミドを、ベクター(これもまた、選択マーカージヒドロフォレートレダクターゼ(DHFR)を保有する)を使用して調製する。このプラスミドを、CHO細胞にトランスフェクトする。MTX薬物圧力下での選択は、NgRの安定な形質転換体(NgR2またはNgR3)を、DHFRのような選択マーカーを有する発現プラスミドにおいて調製することを可能にする。
【0338】
(C.293細胞におけるNgRの発現)
哺乳動物細胞293(形質転換されたヒト始原胚性腎細胞)におけるNgRの発現のために、関連するNgRコード配列を保有するプラスミドを、ベクターpSecTag2A(Invitrogen)を使用して調製する。ベクターpSecTag2Aは、分泌のためのマウスIgK鎖リーダー配列、抗myc抗体での組換えタンパク質の検出のためのc−mycエピトープ、ニッケルキレートクロマトグラフィーでの精製のためのC末端ポリヒスチジン、および安定なトランスフェクト体の選択のためのZeocin耐性遺伝子を含む。このNgR cDNAの増幅のための順方向プライマーを、慣用的な手順によって決定し、そして好ましくは、ヌクレオチドの5’伸長を含んで、HindIIIクローニング部位およびNgR配列に適合するヌクレオチドを導入する。逆方向プライマーもまた、慣用的な手順によって決定され、そして好ましくは、ヌクレオチドの5’伸長を含んで、クローニングのためのXhoI制限部位およびNgR配列の逆相補体に対応するヌクレオチドを導入する。PCR条件は、アニーリング温度として55℃である。PCR産物をゲル精製し、そしてベクターのHindIII−XhoI部位にクローニングする。
【0339】
DNAを、Qiagenクロマトグラフィーカラムを使用して精製し、そしてDOTAPTMトランスフェクション培地(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)を使用して、293細胞にトランスフェクトする。一時的にトランスフェクトした細胞を、トランスフェクションの24時間後に、抗Hisおよび抗NgRペプチド抗体でプローブされるウェスタンブロットを使用して、発現について試験する。永続的にトランスフェクトされた細胞を、Zeocinを用いて選択し、そして増殖させる。組換えタンパク質の生成を、細胞および培地の両方から、抗His、抗Mycまたは抗NgRペプチド抗体でプローブするウェスタンブロットによって検出する。
【0340】
(D.COS細胞におけるNogo−Rの一時的発現)
COS7細胞におけるNgRの発現のために、例えば、配列番号1のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子を、ベクターp3−CIにクローニングし得る。このベクターは、pUC18由来のプラスミドであり、これは、bGH(ウシ成長ホルモン)ポリアデニル化配列から上流に位置するHCMV(ヒトサイトメガロウイルス)プロモーターイントロンおよびマルチクローニング部位を含む。
【0341】
順方向プライマーを、慣用的な手順によって決定し、そして好ましくは、5’伸長を含み、これは、クローニングのためのXbaI制限部位、次いで、配列番号1のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチドを導入する。逆方向プライマーもまた、慣用的な手順によって決定され、そして好ましくは、SalIクローニング部位、引き続いて配列番号1のヌクレオチド配列の逆相補体に対応するヌクレオチドを導入するヌクレオチドの、5’伸長を含む。
【0342】
PCRは、最初の95℃で5分間の変性、30サイクルの95℃での30秒間の変性、58℃での30秒間のアニーリング、および72℃での30秒間の伸長、続いて72℃で5分間の伸長からなる。PCR産物をゲル精製し、そしてベクターp3−CIのXbaIおよびSalI部位に連結する。この構築物を、増幅およびDNA精製のために、E.coli細胞に形質転換する。このDNAを、Qiagenクロマトグラフィーカラムで精製し、そしてBRLからのLipofectamineTM試薬を、製造業者のプロトコルに従って使用して、COS7細胞にトランスフェクトする。トランスフェクションの48時間後および72時間後、培地および細胞を組換えタンパク質発現について試験する。
【0343】
COS細胞培養物から発現されるNgRを、細胞増殖培地を約10mgのタンパク質/mlに濃縮し、そしてこのタンパク質を、例えば、クロマトグラフィーによって精製することによって、精製し得る。精製したNgRを、YM−10膜を備えるAmicon濃縮器で0.5mg/mlに濃縮し、そして−80℃で貯蔵する。NgR3もまた、この方法を使用して発現され得、そして配列番号3または配列番号13のヌクレオチド配列である。
【0344】
(E.昆虫細胞におけるNgRの発現)
バキュロウイルス系におけるNgRの発現のために、配列番号1、3または13のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子を、PCRによって増幅し得る。順方向プライマーを、慣用的な手順によって決定し、そして好ましくは、5’伸長を含み、これは、NdeIクローニング部位、続いて配列番号1(またはそれぞれ配列番号3または配列番号13)のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチドを付加する。逆方向プライマーもまた、慣用的な手順によって決定され、そして好ましくは、5’伸長を含み、これは、KpnIクローニング部位、続いて配列番号1(またはそれぞれ配列番号3または配列番号13)のヌクレオチド配列の逆相補体に対応するヌクレオチドを導入する。
【0345】
PCR産物をゲル精製し、NdeIおよびKpnIで消化し、そしてベクターpACHTL−A(Pharmingen,San Diego,CA)の対応する部位にクローニングする。pAcHTL発現ベクターは、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcMNPV)の強力なポリヘドリンプロモーター、およびマルチクローニング部位から上流の6×His tagを含む。リン酸化のためのプロテインキナーゼ部位、および組換えタンパク質の切除のための、マルチクローニング部位に先行するトロンビン部位もまた、存在する。もちろん、多くの他のバキュロウイルスベクターが、pAcHTL−Aの代わりに使用され得る(例えば、pAc373、pVL941およびpAcIM1)。NgRポリペプチドの発現のために適切な他のベクターは、そのベクター構築物が、必要に応じて、転写、翻訳、および転送のための適切に位置するシグナル(例えば、インフレームAUGおよびシグナルペプチド)を含むことを条件として、使用され得る。このようなベクターは、とりわけ、Luckowら、Virology)170:31−39に記載されている。
【0346】
ウイルスを、標準的なバキュロウイルス発現方法(例えば、Summersら(1987)A MANUAL OF METHODS FOR BACULOVIRUS VECTORS AND INSECT CELL CULTURE PROCEDURES,Texas Agricultural Experimental Station Bulletin No.1555に記載されるもの)を使用して、増殖および単離する。
【0347】
好ましい実施形態において、pAcHLT−Aを含むNgR遺伝子を、「BaculoGoldTM」トランスフェクションキット(Pharmingen,San Diego,CA)を使用して、製造業者によって樹立された方法を使用して、バキュロウイルスに導入する。個々のウイルス単離体を、感染した細胞を35S−メチオニンで、感染の24時間後に放射性標識することによって、タンパク質産生について分析する。感染した細胞を、感染の48時間後に採取し、そして標識したタンパク質を、SDS−PAGEで可視化する。高い発現レベルを示すウイルスを単離し得、そして規模を上げた発現のために使用し得る。
【0348】
Sf9細胞におけるNgRポリペプチドの発現のために、配列番号1(または配列番号3または配列番号13)のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド分子を、PCRによって、バキュロウイルス発現に関して上記したプライマーおよび方法を使用して、増幅し得る。NgR cDNAを、Sf9昆虫における発現のために、ベクターpAcHLT−A(Pharmingen)にクローニングする。この挿入物を、(バキュロウイルスにおける発現に関して上記したものと同じプライマーを用いての)内部NdeI部位の排除後、NdeI部位およびKpnI部位にクローニングする。DNAを、Qiagenクロマトグラフィーカラムで精製し、そしてSf9細胞において発現させる。精製していないプラークからの予備的なウェスタンブロット実験を、NgR特異的抗体と反応した予測した大きさの組換えタンパク質の存在について、試験する。これらの結果を、HiG5細胞におけるさらなる精製および発現最適化の後に、確認する。
【0349】
(F.NgR−Ig融合タンパク質としての、NgR2およびNgR3の可溶性形態の発現)
NgR2−Ig融合タンパク質を生成するために、標準的な方法を、文献(例えば、Sanicolaら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94,6238−6243)に記載されるように使用し得る。例えば、疎水性C末端(GPIアンカーシグナル)をコードする配列を含まない、NgR2をコードするDNAフラグメントを、IgG1(これは、ヒトIgG1であり得る)のFcドメインをコードするDNAフラグメントに連結し得、そしてこのキメラフラグメントを、発現ベクターにクローニングして、プラスミドを生成し得る。次いで、このプラスミドを、チャイニーズハムスター卵巣細胞にトランスフェクトして、融合タンパク質を産生する安定な細胞株を生成し得る。次いで、この融合タンパク質を、馴化培地から、標準的な方法を使用して精製する。例えば、細胞株由来の清澄化した馴化培地を、重力によって直接、プロテインAセファロースに装填し得る。次いで、このカラムを、5倍カラム容量の、PBS、0.5M NaClおよび25mMリン酸ナトリウム、100mM NaCl(pH5.0)を含むPBS、の各々で洗浄し得る。次いで、結合したタンパク質を、25mM NaHPO、100mM NaCl(pH2.8)で溶出し得、そしてすぐに、1/10画分容量の0.5M NaHPO(pH8.6)で中和する。
【0350】
類似の方法を使用して、NgR3−Ig融合タンパク質を生成し得る。
【0351】
(実施例12:相互作用捕捉/ツーハイブリッド系)
NgR相互作用タンパク質についてアッセイするために、相互作用捕捉/ツーハイブリッドライブラリースクリーニング法が使用され得る。このアッセイは、最初に、Fieldsら(1989)Nature 340,245(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)に記載された。プロトコルは、CURRENT PROTOCOLS MOLECULAR BIOLOGY 1999、John Wiley & Sons,NYおよびAusubel,F.M.ら、1992,SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、第4版、Green and Wiley−interscience,NY(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)において公開される。キットは、Clontech,Palo Alto,CA(Matchmaker Two−Hybrid System3)から入手可能である。
【0352】
NgRの全てまたは一部をコードするヌクレオチド配列と酵母転写因子のGAL4 DNA結合ドメイン(DNA−BD)との融合物を、標準的なサブクローニング技術を使用して、適切なプラスミド(すなわち、pGBKT7)において構築する。同様に、GAL4活性ドメイン(AD)融合ライブラリーを、第2のプラスミド(すなわち、pGADT7)において、潜在的なNgR結合タンパク質のcDNAから構築する(cDNAライブラリーを形成するプロトコルについては、Sambrookら、1989,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。このDNA−BD/NgR融合構築物を、自律的なレポーター遺伝子活性および細胞毒性(この両方は首尾良いツーハイブリッド分析を妨げる)について試験する。類似のコントロールを、AD/ライブラリー融合構築物を用いて行って、宿主細胞における発現および転写活性の欠損を保証する。酵母細胞を、標準的な手順に従って、NgRおよびライブラリー融合プラスミドの両方で形質転換する(約105形質転換体/mg DNA)(Ausubelら、1992,SHORT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,第4版、Greene and Wiley−interscience,NY,(これはその全体が本明細書中で参考として援用される))。DNA−BD/NgRとAD/ライブラリータンパク質とのインビボの結合は、特定の酵母プラスミドレポーター遺伝子(すなわち、lacZ、HIS3、ADE2、LEU2)の転写を生じる。酵母細胞を栄養物を欠く培地にプレーとして、レポーター遺伝子の発現についてスクリーニングする。Xgal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−D−ガラクトシド)を補充した培地中で増殖させて、コロニーを、β−ガラクトシダーゼ活性について二重にアッセイする(β−ガラクトシダーゼ活性についてのフィルターアッセイは、Breedenら、(1985)Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.,50,643(これはその全体が本明細書中で参考として援用される)に記載される)。陽性のAD−ライブラリープラスミドを、この形質転換体からレスキューし、そして元の酵母株、および無関係のDNA−BD融合タンパク質を含む他の株に再び導入して、特異的なNgR/ライブラリータンパク質の相互作用を確認する。挿入DNAを配列決定して、GAL4 ADに融合したオープンリーディングフレームの存在を確認し、そしてNgR結合タンパク質の同一性を決定する。
【0353】
(実施例13:Nogo−Rに対する抗体)
標準的な技術を用いて、NgRレセプターに対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を作製し、そして有用なそれらの抗原結合フラグメントまたはそれらの改変体(「ヒト化」改変体を含む)を作製する。このようなプロトコルは、例えば、Sambrookら(1989)(上記)およびHarlowら(編)、ANTIBODIES A LABORATORY MANUAL;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1988)に見出され得る。一実施形態において、組換えNgRポリペプチド(またはこのようなポリペプチドを含む細胞または細胞膜)を抗原として使用して、抗体を作製する。別の実施形態において、NgRの免疫原性部分に対応するアミノ酸配列(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上のアミノ酸)を有する1つ以上のペプチドを、抗原として使用する。Nogo−Rの細胞外部分に対応するペプチド、特に親水性細胞外部分が、好ましい。この抗原を、アジュバントと混合して、またはハプテンと結合して、抗体産生を増加し得る。
【0354】
(A.ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)
1つの代表的なプロトコルとして、組換えNgRまたはその合成フラグメントを使用して、モノクローナル抗体の作製のためのマウス(またはポリクローナル抗体のためのより大きな哺乳動物(例えば、ウサギ))を免疫する。抗原性を増大するために、製造者の推奨に従って、ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(Pierce)に結合体化する。最初の注射のために、この抗原を、フロイント完全アジュバントを用いて乳化し、そして皮下注射する。2〜3週間の間隔で、NgR抗原のさらなるアリコートをフロイント不完全アジュバントを用いて乳化し、そして皮下注射する。最後のブースター注射の前に、免役したマウスから血清サンプルを採取し、そしてウエスタンブロットによりアッセイして、NgRと免疫反応した抗体の存在を確認する。この免役した動物由来の血清を、ポリクローナル抗血清として使用し得るか、またはNgRを認識するポリクローナル抗体を単離するために使用し得る。あるいは、このマウスを屠殺し、そしてその脾臓を、モノクローナル抗体の作製のために取り出す。
【0355】
モノクローナル抗体を作製するために、この脾臓を10mlの血清を含まないRPMI 1640に入れ、そしてこの脾臓を血清を含まないRPMI 1640(2mM L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、100単位/ml ペニシリン、および100μg/ml ストレプトマイシン(RPMI)(Gibco,Canada)を補充)中で粉砕することによって、単細胞懸濁液を形成する。この細胞懸濁液を濾過し、そして遠心分離によって洗浄し、そして血清を含まないRPMIに再懸濁する。3つのネイティブのBalb/cマウスから採取した胸腺細胞を、同様の様式で調製し、そして支持細胞層として使用する。NS−1骨髄腫細胞(10%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone Laboratories,Inc.,Logan,UT)中、融合の前の3日間対数期で保たれる)を、同様に遠心分離して、洗浄する。
【0356】
ハイブリドーマ融合物を作製するために、この免疫したマウス由来の脾臓細胞を、NS−1細胞と合わせ、遠心分離し、そして上清を吸引する。遠心管を叩くことによって、細胞ペレットを取り出し、そして2mlの37℃のPEG 1500(75mM HEPES中50%、pH8.0)(Boehringer−Mannheim)を、ペレットになるまで撹拌し、続いて血清を含まないRPMIを添加する。この後に、これらの細胞を遠心分離し、RPMI(15% FBS、100μM ナトリウムヒポキサンチン、0.4μMアミノプテリン、16μM チミジン(HAT)(Gibco)、25単位/ml IL−6(Boehringer−Mannheim)および1.5×10胸腺細胞/mlを含む)に再懸濁し、そして10個のCorning平底96ウェル組織培養プレート(Corning,Corningm,NY)にプレートする。
【0357】
融合の2日後、4日後および6日後に、100μlの培地をこの融合プレートのウェルから取り出し、そして新しい培地と交換する。8日目に、この融合物を、ELISAによってスクリーニングし、NgRに結合するマウスIgGの存在について試験する。選択した融合物のウェルを、抗NgR抗体を産生するモノクローナル培養物が得られるまで、希釈法によってさらにクローニングする。
【0358】
(B.抗NgRモノクローナル抗体のヒト化)
本明細書中で報告されるようなNgRの発現パターン、および治療的介入のための標的としてのNgRの可能性は、NgRインヒビター(アンタゴニスト)のための治療的指標を示唆する。NgR中和抗体は、NgRアンタゴニストとして有用な1種の治療剤を含む。以下は、モノクローナル抗体を「ヒト化」して、その血清半減期を改善し、そしてヒト宿主においてこの抗体の免疫原性を小さくする(すなわち、非ヒト抗NgR抗体に対するヒト抗体の応答を防止する)ことによって、ヒトにおける抗NgRモノクローナル抗体の治療剤としての有用性を改善するためのプロトコルである。
【0359】
ヒト化の原理は、文献に記載されており、そして抗体タンパク質のモジュラー配置によって促進される。相補体に結合する可能性を最小にするために、IgG4アイソタイプのヒト化抗体が好ましい。
【0360】
例えば、あるレベルのヒト化を、ヒト抗体分子の定常ドメインを有する目的の非ヒト抗体タンパク質の可変ドメインを含むキメラ抗体を作製することによって、達成する(例えば、Morrisonら、(1989)Adv.Immunol.,44,65−92を参照のこと)。NgR中和抗NgR抗体の可変ドメインを、B細胞ハイブリドーマのゲノムDNAからクローニングするか、または目的のハイブリドーマから単離したmRNAから作製されたcDNAからクローニングする。V領域遺伝子フラグメントを、ヒト抗体定常ドメインをコードするエキソンに連結し、そして得られた構築物を、適切な哺乳動物宿主細胞(例えば、骨髄腫細胞またはCHO細胞)中で発現させる。
【0361】
さらに高いレベルのヒト化を達成するために、可変性領域遺伝子フラグメントの、非ヒトモノクローナル抗体遺伝子の抗原結合相補性決定領域(「CDR」)をコードする部分のみを、ヒト抗体配列にクローニングする(例えば、Jonesら(1986)Nature 321,522−525;Riechmannら(1988)Nature 332,323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239,1534−1536;およびTempestら(1991)Bio/Technology 9,266−271を参照のこと)。必要ならば、CDR3領域の周りのヒト抗体のβシートフレームワークをまた、元のモノクローナル抗体の抗原結合ドメインの三次元構造により近くなるように改変する(Kettleboroughら(1991)Protein Engin.4,773−783;およびFooteら(1992)J.Mol.Biol.224.487−499を参照のこと)。
【0362】
代替のアプローチにおいて、目的の非ヒトモノクローナル抗体の表面を、例えば、部位特異的突然変異誘発によって、非ヒト抗体の内部残基および接触残基の全てを維持しつつ、非ヒト抗体の選択された表面残基を変更することによって、ヒト化する。Padlan(1991)Mol.Immunol.28,489−498を参照のこと。
【0363】
上述のアプローチを、NgR中和抗NgRモノクローナル抗体およびこれを産生するハイブリドーマを使用して用いて、NgR発現またはリガンド媒介性NgRシグナル伝達が有害である状態を処置または緩和するための治療剤として有用な、ヒト化NgR中和抗体を作製する。
【0364】
(C.ファージディスプレイ由来のヒトNgR中和抗体)
ヒトNgR中和抗体を、ファージディスプレイ技術(例えば、Aujameら(1997)Human Antibodies 8,155−168;Hoogenboom(1997)TIBTECH 15,62−70;およびRaderら(1997),Curr.Opin.Biotechnol.8,503−508(これら全ては本明細書中で参考として援用される)に記載される技術)によって作製する。例えば、Fabフラグメントまたは結合した単鎖Fvフラグメントの形態の抗体可変領域を、線維状ファージマイナーコートタンパク質pIIIのアミノ末端に融合する。この融合タンパク質の発現およびその成熟ファージコートへの組込みは、それらの表面に抗体を提示し、この抗体をコードする遺伝物質を含む、ファージ粒子を生じる。このような構築物を含むファージライブラリーを、細菌中で発現させ、そしてこのライブラリーを、標識したかまたは固定化したNgRを抗原プローブとして使用して、NgR特異的ファージ抗体についてスクリーニングする。
【0365】
(D.トランスジェニックマウス由来のヒトNgR7中和抗体)
ヒトNgR中和抗体を、本質的に、Bruggemannら(1996)Immunol.Today 17,391−397およびBruggemannら(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8,455−458に記載されるようにして、トランスFeニックマウスにおいて作製する。生殖系列構造のヒトV遺伝子セグメントを有し、それらのリンパ球組織においてその導入遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを、従来の免疫プロトコルを使用してNgR組成物で免疫する。この免疫したマウス由来のB細胞を使用して、従来のプロトコルを使用してハイブリドーマを作製し、そしてスクリーニングして、抗NgRヒト抗体(例えば、上記の抗体)を分泌するハイブリドーマを同定する。
【0366】
(実施例14:NgR活性のモジュレーターを同定するためのアッセイ)
NgR活性のモジュレーター(アゴニストおよびアンタゴニスト)を同定するためのいくつかの非限定的なアッセイを記載する。これらのアッセイによって同定され得るモジュレーターとしては、レセプターの中和リガンド化合物;合成アナログおよび天然リガンドの誘導体;抗体、抗体フラグメント、および/または天然の抗体由来の抗体様化合物、または抗体様組み合わせライブラリー由来の抗体様化合物;ならびに/あるいはライブラリーのハイスループットスクリーニングにより同定される合成化合物などが挙げられる。NgRに結合する全てのモジュレーターが、組織サンプル中のNgRを同定するために有用である(例えば、診断目的のため、病理学的目的のためなど)。アゴニストモジュレーターおよびアンタゴニストモジュレーターは、NgR活性を、それぞれ、上方制御および下方制御して、異常なレベルのNgR活性により特徴付けられる疾患状態を処置するために有用である。このアッセイは、単一の推定モジュレーターを使用して実施され得、そして/または公知のアンタゴニストを候補アンタゴニストと組み合わせて実施され得る(またはその逆)。
【0367】
(A.cAMPアッセイ)
1つのタイプのアッセイにおいて、候補モジュレーター化合物に暴露されたNgRトランスフェクト細胞中の環状アデノシン一リン酸(cAMP)のレベルを測定する。cAMPアッセイのためのプロトコルは、文献に記載されている(例えば、Sutherlandら(1968)Circulation 37,279;Frandsenら(1976)Life Sciences 18,529−541;Dooleyら(1997)J.Pharmacol.Exp.Therap.283,735−41;およびGeorgeら(1997)J.Biomol.Screening 2,235−40を参照のこと)。NENTM Life Science Products製のAdenylyl Cyclase Activation FlashPlate(登録商標)を使用する、このようなアッセイのための代表的なプロトコルを以下に記載する。
【0368】
簡潔には、NgRコード配列(例えば、cDNAまたはイントロンを含まないゲノムDNA)を、市販の発現ベクター(例えば、pzeoSV2(Invitrogen))にサブクローニングし、そして公知の方法(例えば、Boehringer−Mannheimにより提供されるトランスフェクションプロトコール)を使用して、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に一過性トランスフェクトし、この時にFuGENE6トランスフェクション試薬を供給する。トランスフェクトされたCHO細胞を、FlashPlate(登録商標)アッセイキットからの96ウェルマイクロプレート(これは、固体シンチラント(scintillant)でコーティングされており、これにcAMPに対する抗血清が結合されている)に、播種する。コントロールについて、いくつかのウェルに、野生型(トランスフェクトされていない)CHO細胞を播種する。検量線を作成する際に使用するために、このプレート中の他のウェルに種々の量のcAMP標準溶液を添加する。
【0369】
1つ以上の試験化合物(すなわち、候補モジュレーター)を、各ウェル中の細胞に、コントロールとして働く水および/または化合物を含まない培地/希釈剤と共に添加する。処理の後、cAMPを、正確に15分間室温で、細胞中に蓄積させる。[125I]標識cAMPを含有する溶解緩衝液を添加することによって、このアッセイを終了し、そしてプレートを、Packard TopcountTM96ウェルマイクロプレートシンチレーションカウンターを使用して、計数する。溶解した細胞(または標準物)由来の標識されていないcAMPおよび固定量の[125I]−cAMPは、このプレートに結合した抗体と競合する。検量線を作成し、そして未知のcAMP値を、補間によって得る。試験化合物への暴露に応答する細胞の細胞内cAMPレベルの変化は、NgR調節活性の指標である。Gタンパク質のGサブタイプに結合するレセプターのアゴニストとして作用するモジュレーターは、cAMPの産生を刺激して、測定可能な3〜10倍大きいcAMPレベルを生じる。Gタンパク質のGi/oサブタイプに結合するレセプターのアゴニストは、フォルスコリン刺激性cAMP産生を阻害し、50〜100%のcAMPレベルの測定可能な減少を生じる。逆アゴニストとして作用するモジュレーターは、構成的に活性であるかまたは公知のアゴニストにより活性化されるかのいずれかのレセプターにおけるそれらの効果を逆転させる。
【0370】
(B.エクオリンアッセイ)
別のアッセイにおいて、細胞(例えば、CHO細胞)を、NgR発現構築物および発光タンパク質アポエクオリン(apoaquorin)をコードする構築物の両方で、一過性同時トランスフェクトする。補因子のセレンテラジンの存在下で、アポエクオリンは、細胞内(細胞質)の遊離カルシウムの量に比例して測定可能な発光を放射する(一般には、Cobboldら、「Aequorin measurements of ctoplasmic free calcium」、McCormack J.G.およびCobbold P.H.編,CELLULAR CALCIUM:A PRACTICAL APPROACH.Oxford:IRL Press(1991);Stablesら(1997)Anal.Biochem.252,115−26;およびHaugland,HANDBOOK OF FLUORESCENT PROBES AND RESEARCH CHEMICALS.第6版、Molecular Probes,Eugene,OR(1996)を参照のこと)。
【0371】
1つの代表的なアッセイにおいて、NgRを、市販の発現ベクターpzeoSV2(Invitrogen)にサブクローニングし、そしてトランスフェクション試薬のFuGENE6(Boehringer−Mannheim)および製品の挿入物に提供されるトランスフェクションプロトコルを使用して、発光タンパク質アポエクオリンをコードする構築物(Molecular Probes,Eugene,OR)と共に、CHO細胞に一過性同時トランスフェクションする。
【0372】
この細胞を、37℃で24時間、MEM(Gibco/BRL,Gaithersburg,MD)(10% ウシ胎児血清、2mM グルタミン、10U/mlペニシリンおよび10μg/ml ストレプトマイシンを補充)中で培養し、この時点で、培地を、5μM セレンテラジン(Molecular Probes,Eugene,OR)を含有する血清を含まないMEMに替える。次いで、培養を、37℃でさらに2時間継続する。続いて、細胞を、VERSEN(Gibco/BRL)を使用してプレートから取り出し、洗浄し、血清を含まないMEM中に200,000細胞/mlで再懸濁する。
【0373】
候補NgRモジュレーター化合物の希釈物を、血清を含まないMEM中で調製し、そして不透明な96ウェルアッセイプレートのウェルに50μl/ウェルで分散させる。次いで、プレートを、MLXマイクロタイタープレートルミノメーター(Dynex Technologies,Inc.,Chantilly,VA)に充填する。この機器を、50μlの細胞懸濁液を各ウェルの1つずつに分配し、そして15秒間に発光を即時に読みとるようにプログラミングする。候補モジュレーターの用量応答曲線を、各光シグナルピークの曲線の下の面積を使用して作成する。データを、SlideWriteを用いて、1部位リガンドについての式を使用して分析し、EC50値を得る。この化合物によって生じる発光の変化を、調節活性の指標とみなす。Gタンパク質のGサブタイプに結合するレセプターにおけるアンタゴニストとして働くモジュレーターは、100倍までの発光の増加を生じる。逆アゴニストとして働くモジュレーターは、構成的に活性であるかまたは公知のアゴニストによって活性化されるかのいずれかであるレセプターにおいて、この効果を逆転する。
【0374】
(C.ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイ)
発光タンパク質ルシフェラーゼは、NgR活性のモジュレーターについてアッセイするための有用な別のツールを提供する。細胞(例えば、CHO細胞またはCOS7細胞)を、NgR発現構築物(例えば、pzeoSV2中のNgR)、および転写因子結合部位から下流のルシフェラーゼタンパク質についての遺伝子を含むレポーター構築物(例えば、cAMP応答エレメント(CRE)、AP−1またはNF−κB)の両方で、一過性同時トランスフェクトする。ルシフェラーゼの発現レベルは、シグナル伝達事象の活性化状態を示す(一般的に、Georgeら(1997)J.Biomol.Screening 2,235−240;およびStratowaら(1995)Curr.Opin.Biotechnol.6,574−581を参照のこと)。ルシフェラーゼ活性を、例えば、Promega(Madison,WI)から市販されるルシフェラーゼアッセイ試薬を使用して、定量的に測定し得る。
【0375】
1つの代表的なアッセイにおいて、トランスフェクションの一日前に、CHO細胞を、100,000細胞/ウェルの密度で、24ウェル培養皿にプレートし、そしてMEM(Gibco/BRL)(10% ウシ胎児血清、2mM グルタミン、10U/ml ペニシリンおよび10μg/ml ストレプトマイシンを補充)中37℃で培養する。細胞を、NgR発現構築物およびルシフェラーゼ遺伝子を含むレポーター構築物の両方で、一過性同時トランスフェクトする。レポータープラスミドのCRE−ルシフェラーゼ、AP−1−ルシフェラーゼおよびNF−κB−ルシフェラーゼを、Stratagene(Legally,CA)から購入し得る。メーカーの指示に従って、FuGENE6トランスフェクション試薬(Boehringer−Mannheim)を使用して、トランスフェクションを実施する。レポーター構築物のみでトランスフェクトされた細胞を、コントロールとして使用する。トランスフェクションの24時間後、細胞を、37℃に予め加温したPBSで1回洗浄する。次いで、この細胞に血清を含まないMEMを単独(コントロール)でかまたは1つ以上の候補モジュレーターと共にのいずれかで添加し、そして37℃で5時間インキュベートする。その後、細胞を氷冷したPBSで1回洗浄し、そしてPromegaにより供給されるルシフェラーゼアッセイキットにより、ウェル1つあたり100μlの溶解緩衝液を添加することによって、この細胞を溶解する。室温で15分間インキュベートした後、15μlの溶解物を、白色不透明の96ウェルプレート中で、50μlの基質溶液(Promega)と混合し、そしてWallace model 1450 MicroBetaシンチレーションおよび発光カウンター(Wallace Instruments,Gaithersburg,MD)で、発光を直ちに読みとる。
【0376】
候補モジュレーター化合物の存在下 対 非存在下の発光の差異は、調節活性の指標である。構成的に活性であるか、またはアゴニストによって活性化されるかのいずれかのレセプターは、レポーター遺伝子のみでトランスフェクトされた細胞と比較して、3〜20倍の発光の刺激を与える。逆アゴニストとして働くモジュレーターは、この効果を逆転させる。
【0377】
(D.FLIPRを使用する、細胞内カルシウム測定)
細胞内カルシウムレベルにおける変化は、レセプターの活性についての別の認識された指標であり、そしてこのようなアッセイは、NgR活性のモジュレーターをスクリーニングするために利用され得る。例えば、NgR発現ベクターを用いて安定にトランスフェクトされたCHO細胞は、Packardブラックウォールド(black−walled)、96ウェルプレート(プレート上の種々のウェルから出る蛍光シグナルを識別するために特別に設計された)内に4×10細胞/ウェルの密度でプレートされる。細胞を、1%ウシ胎仔血清および4つのカルシウム指示色素(Flo−3TMAM、Flo−4TMAM、Calcium GreenTM−1 AM、またはOregon GreenTM488 BAPTA−1 AM)のうちの1つ(それぞれ、4μMの濃度)の添加とともに、36mg/Lピルビン酸塩および1g/Lグルコースを含む、改変ダルベッコのPBS(D−PBS)中で、37℃で60分間インキュベートする。プレートを、1回、1%ウシ胎仔血清を含まない改変D−PBSを用いて洗浄し、そして10分間37℃でインキュベートして、細胞膜から残りの色素を除去する。さらに、1%ウシ胎仔血清を含まない改変D−PBSを用いた一連の洗浄は、カルシウム応答の活性化の直前に実行される。
【0378】
カルシウム応答は、1つ以上の候補レセプターアゴニスト化合物、カルシウムイオノホアA23187(10μM;ポジティブコントロール)、またはATP(4μM;ポジティブコントロール)の添加によって開始される。蛍光は、アルゴンレーザー(488nmでの励起)を用いて、Molecular Device’s FLIPRによって測定する。(例えば、Kuntzweilerら、(1998)Drug Dev.Res.44,14−20を参照のこと)。検出カメラのFストップは、2.5に設定され、そして露光の長さは、0.4ミリ秒である。細胞の基底の蛍光を、候補アゴニスト、ATP、またはA23187の添加の前に20秒間測定し、そしてこの基底蛍光レベルを、応答シグナルから引く。カルシウムシグナルを、約200秒間測定し、2秒毎に読み値をとる。カルシウムイオノホアA23187およびATPは、カルシウムシグナルを基底レベルの200%上に増加させる。一般的に、活性化NgRは、カルシウムシグナルを基底シグナルの少なくとも10〜15%上に増加させる。
【0379】
(E.[35S]GTPγS結合アッセイ)
NgRが、Gタンパク質媒介経路を介してシグナル伝達するか否かを評価することもまた、可能である。Gタンパク質共役レセプターは、細胞内Gタンパク質を介してシグナル伝達し、その活性は、GTP結合および加水分解による結合GDPの生成を含むので、候補モジュレーターの存在下および非存在下での加水分解不可能GTPアナログ[35S]−GTPγSの結合の測定は、モジュレーター活性についての別のアッセイを提供する(例えば、Kowalら、(1998)Neuropharmacology 37、179−187を参照のこと)。
【0380】
1つの例示的なアッセイにおいて、NgR発現ベクターを用いて安定にトランスフェクトされた細胞は、10cm組織培養ディッシュ内においてサブコンフルエンスまで増殖され、5mlの氷冷されたCa2+/Mg2+を含まないリン酸緩衝化生理食塩水を用いて、1回リンスされ、そして5mlの同じ緩衝液中へとこすりとられる。細胞を、遠心分離(500×g、5分)によってペレット化し、TEE緩衝液(25mM Tris、pH7.5、5mM EDTA、5mM EGTA)中に再懸濁し、そして液体窒素内に凍結する。解凍後、細胞を、Dounceホモジナイザー(1プレートの細胞あたり1mlのTEE)を使用してホモジナイズし、そして5分間、1,000×gで遠心分離して、核および未破壊の細胞を除く。
【0381】
ホモジネート上清を、20分間、20,000×gで遠心分離して、膜画分を単離し、そして膜ペレットを、TEEで1回洗浄し、そして結合緩衝液(20mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl、10mM MgCl、1mM EDTA)中に再懸濁する。再懸濁された膜を、液体窒素内で凍結させ得、そして使用まで、−70℃で保存し得る。
【0382】
上記のように調製され、そして−70℃で保存された細胞膜のアリコートを、解凍し、ホモジナイズし、そして20mM HEPES、10mM MgCl、1mM EDTA、120mM NaCl、10μM GDP、および0.2mMアスコルビン酸塩を含む緩衝液中に、10〜50μg/mlの濃度で希釈する。90μlの最終容量において、ホモジネートを、種々濃度の候補モジュレーター化合物または100μM GTPとともに、30分間30℃でインキュベートし、次いで、氷上に配置する。それぞれのサンプルに、10μlのグアノシン 5’−O−(3[35S]チオ)トリホスフェート(NEN、1200Ci/mmol;[35S]−GTPγS)を、100〜200pMの最終濃度まで添加した。サンプルを、30℃でさらに30分間インキュベートし、1mlの10mM HEPES、pH7.4、10mM MgClを4℃で添加し、そして反応を濾過によって停止した。
【0383】
サンプルを、Whatman GF/Bフィルター上で濾過し、そしてフィルターを、20mlの氷冷10mM HEPES、pH7.4、10mM MgClで洗浄する。フィルターを、液体シンチレーション分光法によって計数する。[35S]−GTPγSの非特異的結合を、100μM GTPの存在下で測定し、そして合計から引く。非トランスフェクトコントロール細胞と比較して、細胞中の[35S]−GTPγS結合の量を調節する化合物を選択する。アゴニストによるレセプターの活性化によって、[35S]−GTPγS結合において、5倍までの増加が与えられた。この応答は、アンタゴニストによってブロックされる。
【0384】
(F.[H]アラキドン酸放出)
NgRの活性化はまた、細胞内のアラキドン酸放出を増強し得、NgR活性のモジュレーターについてのなお別の有用なアッセイを提供する。(例えば、Kantermanら、(1991)Mol.Pharmacol.39、364−369を参照のこと)。例えば、NgR発現ベクターを用いて安定にトランスフェクトされたCHO細胞を、15,000細胞/ウェルの密度で、24ウェルプレート内にプレートし、そして、使用前に、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、10U/mlペニシリンおよび10μg/mlストレプトマイシンを補充されたMEM培地中で、37℃で48時間増殖させる。それぞれのウェルの細胞を、10mM HEPES、pH7.5、および0.5%の脂肪酸を含まないウシ血清アルブミンを補充した1ml MEM中で、0.5μCi/mlの[H]アラキドン酸(Amersham Corp.、210Ci/mmol)とともに、2時間37℃でのインキュベーションによって標識する。次いで、細胞を2回、1mlの同じ緩衝液で洗浄する。
【0385】
候補モジュレーター化合物を、1mlの同じ緩衝液中に、単独でかまたは10μM ATPとともに添加し、そして細胞を37℃で30分間インキュベートする。緩衝液単独および偽トランスフェクト細胞をコントロールとして使用する。各ウェルからのサンプル(0.5ml)を、液体シンチレーション分光法によって計数する。レセプターを活性化するアゴニストは、[H]アラキドン酸のATP刺激放出の増強を導く。この増強は、アンタゴニストによってブロックされる。
【0386】
(G.細胞外酸性化速度)
なお別のアッセイにおいて、NgR活性の候補モジュレーターの効果は、試験化合物によって誘導されるpHにおける細胞外変化をモニターすることによってアッセイされる(例えば、Dunlopら(1998)J.Pharmacol.Toxicol.Meth.40,47−55を参照のこと)。1つの実施形態において、NgR発現ベクターを用いてトランスフェクトされたCHO細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mM L−グルタミン、10U/mlペニシリン、および10μg/mlストレプトマイシンを補充されたMEM中で、4×10細胞/カップで、12mmのカプセルカップ(Molecular Devices Corp.)中に播種する。細胞を、24時間、5%CO中で、37℃でこの培地中でインキュベートする。
【0387】
細胞外酸性化速度を、Cytosensorマイクロフィジオメーター(Molecular Devices Corp.)を使用して測定する。カプセルカップを、マイクロフィジオメーターのセンサーチャンバにロードし、そしてチャンバを、100μl/分の流速で、流動(running)緩衝液(4mM L−グルタミン、10単位/mlペニシリン、10μg/mlストレプトマイシン、26mM NaClを補充された、重炭酸塩を含まないMEM)を用いて、灌流する。候補アゴニストまたは他の薬剤を、流動緩衝液中に希釈し、そして第2流路を通して灌流する。各60秒のポンプサイクルの間、ポンプを、38秒間稼動させ、そして残りの22秒間切る。センサーチャンバ中の流動緩衝液のpHは、43〜58秒のサイクルの間、記録され、そして、ポンプは、60秒で再開されて、次のサイクルを開始する。記録時間の間、流動緩衝液の酸性化速度は、Cytosoftプログラムによって計算される。酸性化速度における変化は、モジュレーター候補の添加後に得られる最も高い速度測定から基準値(モジュレーター候補の添加直前の4つの速度測定の平均)を引くことによって計算される。選択された機器は、61mV/pH単位を検出する。レセプターのアゴニストとして作用するモジュレーターは、アゴニストの非存在下での速度と比較して、細胞外酸性化の速度の増加を生じる。この応答は、レセプターのアンタゴニストとして作用するモジュレーターによってブロックされる。
【0388】
(実施例15:mNgR3は、hNogo−A(1055−1120)に結合しない)
マウスNgR3(本明細書中において以後、mNgR3)を、hNogo−A(1055−1120)に結合するその能力について機能的に試験するために、mycエピトープタグ化mNgR3タンパク質に対するcDNA発現ベクターを作製した。マウスNgR3 cDNAを、マウス成体脳cDNAから、シグナル配列から停止コドンまでをPCRによって増幅し、そしてベクターが、シグナル配列、続いて、mycタグ、続いて、成熟mNgR3配列をコードするように、pSecTag2ベクターに連結した。このプラスミドを、COS07細胞にトランスフェクトし、そして推定サイズのmycタグ化タンパク質の発現を、イムノブロット分析によって確認した。アルカリホスファターゼ−hNogo−A(1055−1120)結合研究およびmyc免疫組織学を、記載される(Fournierら、前出)ように行った。
【0389】
mNgR3を発現する細胞は、mycタグ化タンパク質を発現するが、AP−hNogo−A(1055−1120)への結合は、使用される条件下では観察されなかった(図8)。
【0390】
(実施例16:部分ヒトNgR3 cDNAおよびタンパク質配列の同定)
tblastnプログラムを使用して、マウスNgR3のヒトホモログを検索した。マウスNgR3タンパク質配列(配列番号4)を使用して、Incyteからの独占的な(proprietary)ヒト発現配列タグ(EST)データベースを問合せて、1つの高い有意なヒット(Incyte Template ID 190989.1)を得た。この配列(937ヌクレオチド)は、マウスNgR3(配列番号4)の残基66〜381と88%の同一性を示す第2逆フレームにおける312アミノ酸のオープンリーディングフレームを含み、このことは、それが、ヒトNgR3ホモログの一部であることを強く示す。
【0391】
Genbankにおける公用ヒトESTデータベースに対する配列番号4の問合せはまた、465−bp EST(登録番号:R35699;バージョン番号:R35699.1;GI:792600)とのヒットを生じた。この配列内に、フレームシフトエラーを引き起こす多くの単一ヌクレオチドの欠失および挿入が存在する。この公開ESTに含まれる信頼できる配列の全ては、Incyte EST(Template ID 190989.1)中に存在する。
【0392】
そのカルボキシ末端においてアミノ酸配列を伸長するより多くのヌクレオチド配列を得るために、I.M.A.G.E.Consortiumクローン番号38319(Genbank登録番号R35699に対応する)を、Incyte Genomics Inc.から購入し、そしてさらなるDNA配列分析に供した。このクローンは、目的の配列を含むNotI/HinD IIIフラグメントからなり、ベクターLafmid BA(http://image.llnl.gov/image/html/libs/lafmidBA.shtml)のNotI/HinD III部位にクローン化した。このクローンを、寒天スタブ(agar stab)として受け入れ、これを、50μg/mlアンピシリンを含むLB寒天プレートに画線培養(streak out)して、個々のクローンを単離した。6つのコロニーを、抗生物質を含むLB培地中で増殖させ、そしてプラスミドDNAを、Promega Wizard Plus Miniprep DNA Purification System(Promega #A7500)を使用して、調製した。引き続いて、これらのDNAを、NotIおよびHindD III制限酵素を用いて消化して、このクローンが、挿入物を含んだことを確認した。1つの単離物の挿入物を、ベクター特異的プライマーおよび遺伝子特異的プライマーの組み合わせを使用して配列決定して、1176ヌクレオチドのヒトNgR3の部分ヌクレオチド配列(配列番号13)を得た。この配列の翻訳は、392アミノ酸のヒトNgR3についての部分配列(配列番号14)を提供する。
【0393】
配列番号13のヌクレオチド配列は、3つの位置において、Incyte EST配列とは異なる。配列番号13のヌクレオチド12位〜13位は、CGであるが、一方、Incyte Template ID 190989.1における対応するヌクレオチドは、GT(すなわち、Incyte Template ID 190989.1の相補体の12位〜13位)である。さらに、配列番号13の641位は、Cであるが、一方、Incyte Template ID 190989.1配列における対応するヌクレオチドは、A(すなわち、Incyte Template ID 190989.1の相補体の641位)である。これは、配列番号14を、Incyte Template ID 190989.1によってコードされるORFと比較した場合に、アミノ酸において2つの変化を生じる:配列番号14は、5位においてバリンを含むが、一方、Incyte Template ID 190989.1によってコードされるORFは、ロイシンを含み;配列番号14は、214位においてアラニンを含むが、一方、Incyte Template ID 190989.1によってコードされるORFは、グルタミン酸を含む。
【0394】
配列番号13のヌクレオチド配列は、2つの位置(信頼できる配列の最初の200ヌクレオチド内)において公開EST(登録番号:R35699;バージョン番号:R35699.1;GI:792600)配列とは異なる。配列番号13におけるヌクレオチドの12位〜13位はCGであるが、一方、公開ESTにおける対応するヌクレオチドは、GT(すなわち、公開EST;登録番号R35699;バージョン番号:R35699.1;GI:792600の12位〜13位)である。これは、配列番号14を公開ESTによってコードされるORFと比較する場合に、単一アミノ酸変化を導く:配列番号14は、5位にバリンを含むが、一方、公開ESTによってコードされるORFは、ロイシンを含む。
【0395】
全長マウスアミノ酸配列を用いる、部分ヒトアミノ酸配列のBestfit分析は、ヒトNgR3アミノ酸配列が、カルボキシ末端において完全であること、およびこれらが、89.54%の同一性を共有することを示す。全てのNgRタンパク質のアライメントを、図9に示す。ヒトNgR3アミノ酸配列は、最初の25アミノ酸を欠いているが、ヒトNgR3タンパク質が、他のNgR配列と共通の以下の特徴を含むことが決定され得る:(1)8つのロイシンリッチリピート(LRR)ドメイン;(2)LRRカルボキシ末端(LRR−CT)ドメイン;(3)第4LRRドメインにおける保存されたシステイン;(4)8つのLRRドメインにおける保存された潜在的グリコシル化部位;および(5)疎水性カルボキシル末端。
【0396】
当業者が理解するように、多くの変化および改変が、本発明の精神から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対してなされ得る。すべてのこのような改変が本発明の範囲内にあることが意図される。
【0397】
本明細書中に引用されるそれぞれの刊行物の開示全体が、本明細書により、参考として援用される。この出願は、2000年10月6日に出願された、米国仮出願第60/238,361号(その全体が、本明細書中において参考として援用される)からの利益を主張する。
【0398】
配列表のための手がかり:
配列番号1 ゲノム配列AC013606由来のヒトNgR2 cDNA配列
配列番号2 ヒトNgR2アミノ酸配列
配列番号3 AC021768由来のマウスNgR3 cDNA配列
配列番号4 マウスNgR3アミノ酸配列
配列番号5 ヒトNgR1アミノ酸配列
配列番号6 NgRのコンセンサスアミノ酸配列
配列番号7 hNogoA(Nogo−66)の番号1055〜1120アミノ酸残基
配列番号8 成熟ヒトNgR2アミノ酸配列
配列番号9 成熟マウスNgR3アミノ酸配列
配列番号10 コンセンサスNgR LLRNTアミノ酸配列
配列番号11 コンセンサスNgR LRRCTドメインアミノ酸配列
配列番号12 コンセンサスNgR LRRドメインアミノ酸配列
配列番号13 部分ヒトNgR3ヌクレオチド配列
配列番号14 部分ヒトNgR3アミノ酸配列
配列番号15 ヒトNgR2配列をコードするゲノム配列
配列番号16 マウスNgR3をコードするゲノム配列(相補鎖)
配列番号17 マウスNgR1アミノ酸配列
配列番号18 NgRのNTLRRCTドメインについてのコンセンサス配列
配列番号19 コンセンサスNgR LRRCTドメインアミノ酸配列。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1A】図1A〜1Bは、公知のNgR、NgR1(配列番号5)およびコンセンサス配列(配列番号6)と共に、NgR2(配列番号2)およびNgR3(配列番号4)のアライメントを示す。
【図1B】図1A〜1Bは、公知のNgR、NgR1(配列番号5)およびコンセンサス配列(配列番号6)と共に、NgR2(配列番号2)およびNgR3(配列番号4)のアライメントを示す。
【図2】図2。mNgR3は、hNogoA(1055〜1120)に結合しない。COS−7細胞を、myc−NgR1またはmyc−NgR3をコードするベクターでトランスフェクトし、固定し、そして抗myc抗体またはAP−hNogoA(1055〜1120)で染色した。
【図3】図3。ヒトNgR1、マウスNgR1、マウスNgR3、ヒトNgR3およびヒトNgR2のアミノ酸配列のアライメント。番号付けは、マウスNgR3のアミノ酸番号1から開始する。コンセンサス配列を下に列挙する。LRR NTドメインを、影付きボックスで示し;ドメインLLR1、LLR3、LLR5、およびLLR7を、白ボックスで示し;LLR2、LLR4、LLR6およびLLR8を、影付きボックスで示し;そしてLLR CTドメインを、影付きボックスで示す。LLR8中の太字のアミノ酸は、保存グリコシル化部位を示す。点は、LRR4の保存システイン残基を示す。C末端のボックスは、推定GPIシグナルを示す。

Claims (18)

  1. 以下:
    (a)配列番号2のアミノ酸31〜310からなるポリペプチドに対して少なくとも90%同一であるポリペプチド;
    (b)配列番号2のアミノ酸31〜310を含むポリペプチド;
    (c)配列番号2のアミノ酸1〜310からなるポリペプチドに対して少なくとも90%同一であるポリペプチド;
    (d)配列番号2のアミノ酸1〜310を含むポリペプチド;
    (e)配列番号2のアミノ酸31〜395からなるポリペプチドに対して少なくとも95%同一であるポリペプチド;
    (f)配列番号2のアミノ酸31〜395を含むポリペプチド;
    (g)配列番号2のアミノ酸1〜395からなるポリペプチドに対して少なくとも95%同一であるポリペプチド;
    (h)配列番号2のアミノ酸1〜395を含むポリペプチド;
    (i)配列番号2のアミノ酸31〜310からなるポリペプチドについて、該アミノ酸配列のN末端および/またはC末端に5つ以下のアミノ酸付加された、ポリペプチド;ならびに、
    (j)配列番号2のアミノ酸31〜395からポリペプチドについて、該アミノ酸配列のN末端および/またはC末端に5つ以下のアミノ酸付加された、ポリペプチド
    からなる群から選択されるポリペプチドをコードする核酸を含む単離されたポリヌクレオチドであって、ここで、該ポリペプチドは、CNSニューロンの軸索成長の阻害を減少させる、ポリヌクレオチド。
  2. 以下:
    (a)配列番号2のアミノ酸1〜420からなるポリペプチドに対して少なくとも95%同一であるポリペプチド;および
    (b)配列番号2のアミノ酸31〜420からなるポリペプチドに対して少なくとも95%同一であるポリペプチド、
    からなる群から選択されるポリペプチドをコードする核酸を含む単離されたポリヌクレオチドであって、ここで、該ポリペプチドは、CNSニューロンの軸索成長の阻害を減少させる、ポリヌクレオチド。
  3. 請求項1または2に記載のポリヌクレオチドであって、異種ポリペプチドのアミノ酸配列をさらにコードする、ポリヌクレオチド。
  4. 請求項3に記載のポリヌクレオチドであって、前記異種ポリペプチドが前記核酸によってコードされるポリペプチドと融合タンパク質を形成する、ポリヌクレオチド。
  5. 請求項4に記載のポリヌクレオチドであって、前記異種ポリペプチドが、Fc、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、ヒスチジンタグ(Hisタグ)、およびアルカリホスファターゼ(AP)からなる群から選択される、ポリヌクレオチド。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドであって、前記核酸に作動可能に連結した1つ以上の発現制御エレメントをさらに含む、ポリヌクレオチド。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または、請求項7に記載のベクターを含む宿主細胞であって、ここで、該宿主細胞は、ヒトを生成し得る細胞を除く、宿主細胞。
  9. 請求項8に記載の宿主細胞であって、ここで、真核生物細胞である、宿主細胞。
  10. 請求項8または9に記載の宿主細胞によって発現されたNOGOレセプターポリペプチド。
  11. 以下:
    (a)配列番号2のアミノ酸31〜310からなるポリペプチドに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列
    (b)配列番号2のアミノ酸31〜310
    (c)配列番号2のアミノ酸1〜310からなるポリペプチドに対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列;
    (d)配列番号2のアミノ酸1〜310;
    (e)配列番号2のアミノ酸31〜395からなるポリペプチドに対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
    (f)配列番号2のアミノ酸31〜395;
    (g)配列番号2のアミノ酸1〜395からなるポリペプチドに対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;
    (h)配列番号2のアミノ酸1〜395;
    (i)配列番号2のアミノ酸31〜310からなるポリペプチドについて、該アミノ酸配列のN末端および/またはC末端に5つ以下のアミノ酸付加された、アミノ酸配列;ならびに、
    (j)配列番号2のアミノ酸31〜395からなるポリペプチドについて、該アミノ酸配列のN末端および/またはC末端に5つ以下のアミノ酸付加された、アミノ酸配列
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、ここで、該ポリペプチドは、CNSニューロンの軸索成長の阻害を減少させる、ポリペプチド。
  12. 以下:
    (a)配列番号2のアミノ酸1〜420に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列;および
    (b)配列番号2のアミノ酸31〜420に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、ここで、該ポリペプチドは、CNSニューロンの軸索成長の阻害を減少させる、ポリペプチド。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、異種ポリペプチドをさらに含む、ポリペプチド。
  14. 請求項13に記載のポリペプチドであって、前記異種ポリペプチドが、Fc、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、ヒスチジンタグ(Hisタグ)、およびアルカリホスファターゼ(AP)からなる群から選択される、ポリペプチド。
  15. 請求項10〜14のいずれか1項に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合フラグメント。
  16. ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体からなる群から選択される、請求項15に記載の単離された抗体またはそのフラグメント。
  17. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項7に記載のベクター、あるいは、請求項10〜14のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、CNSニューロンの軸索成長の阻害を減少させるための組成物。
  18. 請求項10〜14のいずれか1項に記載のポリペプチドと、ニューロンを接触させる工程を包含する、CNSニューロンの軸索成長の阻害を減少させる、インビトロでの方法。
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