JP4535670B2 - 新規ポリペプチド、そのdnaおよびそれらの用途 - Google Patents

新規ポリペプチド、そのdnaおよびそれらの用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規ポリペプチドおよびそれをコードするポリヌクレオチド、該新規ポリペプチドを用いた医薬のスクリーニング方法、該スクリーニングによって得られる化合物などに関する。さらには、該新規ポリペプチドが結合する新規なレセプターなどにも関する。さらには、癌の予防・治療剤、肥満の予防・治療剤などにも関する。
【0002】
【従来の技術】
生体のホメオスタシスの維持、生殖、個体の発達、代謝、成長、神経系、循環器系、免疫系、消化器系、代謝系の調節、感覚受容などの重要な機能調節は、様々なホルモンや神経伝達物質のような内在性因子あるいは光や匂いなどの感覚刺激をこれらに対して生体が備えている細胞膜に存在する特異的なレセプターを介して細胞が受容し、それに応じた反応をすることによって行われている。このような機能調節に与るホルモンや神経伝達物質のレセプターの多くは guanine nucleotide-binding protein(以下、Gタンパク質と略称する)と共役しており、このGタンパク質の活性化によって細胞内にシグナルを伝達して様々な機能を発現させることを特徴とする。また、これらのレセプタータンパク質は共通して7個の膜貫通領域を有する。これらのことからこうしたレセプターはGタンパク質共役型レセプターあるいは7回膜貫通型レセプターと総称される。このように生体機能の調節には様々なホルモンや神経伝達物質およびそれに対するレセプタータンパク質が存在して相互作用し、重要な役割を果たしていることがわかっているが、未知の作用物質(ホルモンや神経伝達物質など)およびそれに対するレセプターが存在するかどうかについてはいまだ不明なことが多い。
近年、ヒトゲノムDNAあるいは各種ヒト組織由来のcDNAのランダムな配列決定による配列情報の蓄積および遺伝子解析技術の急速な進歩によってヒトの遺伝子が加速度的に解明されてきている。それにともない、機能未知のタンパク質をコードすると予想される多くの遺伝子の存在が明らかになっている。Gタンパク質共役型レセプターは、7個の膜貫通領域を有するのみでなくその核酸あるいはアミノ酸に多くの共通配列が存在するためそのようなタンパク質の中から明確にGタンパク質共役型レセプターとして区分することができる。一方でこうした構造の類似性を利用したポリメラーゼ・チェーン・リアクション(Polymerase Chain Reaction:以下、PCRと略称する)法によってもこうしたGタンパク質共役型レセプター遺伝子が得られている。このようにしてこれまでに得られたGタンパク質共役型レセプターのうちには既知のレセプターとの構造の相同性が高いサブタイプであって容易にそのリガンドを予測することが可能な場合もあるが、ほとんどの場合、その内在性リガンドは予測不能であり、これらのレセプターは対応するリガンドが見いだされていない。このことからこれらのレセプターはオーファンレセプターと呼ばれている。このようなオーファンレセプターの未同定の内在性リガンドは、リガンドが知られていなかったために十分な解析がなされていなかった生物現象に関与している可能性がある。そして、このようなリガンドが重要な生理作用や病態と関連している場合には、そのレセプター作動薬あるいは拮抗薬の開発が革新的な医薬品の創製に結びつくことが期待される(Stadel, J. et al.、TiPS、18巻、430-437頁、1997年、Marchese, A. et al.、TiPS、20巻、370-375頁、1999年、Civelli, O. et al.、Brain Res.、848巻、63-65頁、1999年)。しかし、これまで実際にオーファンGタンパク質共役型レセプターのリガンドを同定した例はそれほど多くない。
【0003】
最近、幾つかのグループによってこうしたオーファンレセプターのリガンド探索の試みがなされ、新たな生理活性ペプチドであるリガンドの単離・構造決定が報告されている。ReinsheidらおよびMeunierらは独立に、動物細胞にオーファンGタンパク質共役型レセプターLC132あるいはORL1をコードするcDNAを導入してレセプターを発現させ、その応答を指標としてorphanin FQあるいはnociceptinと名付けられた新規ペプチドをブタ脳あるいはラット脳の抽出物より単離し、配列を決定した(Reinsheid, R. K. et al.、Science、270巻、792-794頁、1995年、Meunier, J.-C. et al.、Nature、377巻、532-535頁、1995年)。このペプチドは痛覚に関与していることが報告されたが、さらに、レセプターのノックアウトマウスの研究により記憶に関与していることが明らかにされた(Manabe, T. et al.、Nature、394巻、577-581頁、1998年)。
その後これまでに上記と同様な方法によりPrRP(prolactin releasing peptide)、orexin、apelin、ghrelin、GALP(galanin-like peptide)およびmetastinなどの新規ペプチドがオーファンGタンパク質共役型レセプターのリガンドとして単離された(Hinuma, S. et al.、Nature、393巻、272-276頁、1998年、Sakurai, T. et al.、Cell、92巻、573-585頁、1998年、Tatemoto, K. et al.、Bichem. Biophys. Res. Commun.、251巻、471-476頁、1998年、Kojima, M. et al.、Nature、402巻、656-660頁、1999年、Ohtaki, T. et al.、J. Biol. Chem.、274巻、37041-37045頁、1999年、Ohtaki, T. et al.、Nature、411巻、613-617頁、2001年)。これらの新規ペプチドのうち、これまでにorexinは摂食および睡眠に関与すること(Sakurai, T. et al.、Cell、92巻、573-585頁、1998年、Lin, L. et al.、Cell、98巻、365-376頁、1999年、Chemelli, R. M. et al.、Cell、98巻、437-451頁、1999年)、またghrelinは摂食亢進活性を示すことが報告された(Tschop, M. et al.、Nature、407巻、908-913頁、2000年、Nakazato, M. et al.、Nature、409巻、194-198頁、2001年)。さらに、metastinはガン転移を抑制する可能性が示唆されている(Ohtaki, T. et al.、Nature、411巻、613-617頁、2001年)。
一方、これまで明らかでなかった生理活性ペプチドのレセプターが同様な方法によって解明される場合もある。腸管収縮に関与するmotilinのレセプターがGPR38であることが明らかにされた(Feighner, S. D. et al.、Science、284巻、2184-2188頁、1999年)ほか、MCHのレセプターとしてSLC−1(MCHR1)(Chambers, J. et al.、Nature、400巻、261-265頁、1999年、Saito, Y. et al.、Nature、400巻、265-269頁、1999年、Shimomura, Y. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、261巻、622-626頁、1999年、Lembo, P. M. C. et al.、Nature Cell Biol.、1巻、267-271頁、1999年、Bachner, D. et al.、FEBS Lett.、457巻、522-524頁、1999年)およびSLT (MCHR2)(Mori, M. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、283巻、1013-1018頁、2001年、Hill, J. et al.、J. Biol. Chem.、276巻、20125-20129頁、2001年、Sailer, A. W. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、98巻、7564-7569頁、2001年、An, S. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、98巻、7576-7581頁、2001年)が同定され、またGPR14(SENR)がurotensin IIのレセプターであること(Ames, R. S. et al.、Nature、401巻、282-286頁、1999年、Mori, M. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、265巻、123-129頁、1999年、Nothacker, H.-P. et al.、Nature Cell Biol.、1巻、383-385頁、1999年、Liu, Q. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、266巻、174-178頁、1999年)およびFM3(GPR66)およびFM4がneuromedin Uのレセプターであること(Howard, A. D. et al.、Nature、406巻、70-74頁、2000年、Szekeres, P. G. et al.、J. Biol. Chem.、275巻、20247-20250頁、2000年、Fujii, R. et al.、J. Biol. Chem.、275巻、21068-21074頁、2000年、Hosoya, M. et al.、J. Biol. Chem.、275巻、29528-29532頁、2000年、Raddatz, R. et al.、J. Biol. Chem.、275巻、32452-32459頁、2000年、Shan, L.-X. et al.、J. Biol. Chem.、275巻、39482-39486頁、2000年、Kojima, M. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、276巻、435-438頁、2000年)が報告された。MCHはそのノックアウトマウスが羸痩の表現型を示すことから肥満に関与することが示されていたが(Shimada, M. et al.、Nature、396巻、670-674頁、1999年)、そのレセプターが明らかにされたことにより抗肥満薬としての可能性を有するレセプター拮抗薬の探索が可能となった。また、urotensin IIはサルに静脈内投与することによって心虚血を惹起することから心循環系に強力な作用を示すことも報告されている(Ames, R. S. et al.、Nature、401巻、282-286頁、1999年)。Neuromedin Uは摂食抑制に機能することが示された(Howard, A. D. et al.、Nature、406巻、70-74頁、2000年、Kojima, M. et al.、Biochem. Biophys. Res. Commun.、276巻、435-438頁、2000年)。
このように、オーファンレセプターおよびそのリガンドは新たな生理作用に関与する場合が多く、その解明は新たな医薬品開発に結びつくことが期待されるが、オーファンレセプターのリガンド探索においては多くの困難さが伴うことが知られている。例えば、細胞に発現させたオーファンレセプターがリガンドに応答した後にいかなる2次情報伝達系が作動するかは一般に不明であり、様々な応答系について検討する必要がある。また、リガンドの存在する組織は容易には予想されないため種々の組織抽出物を用意しなければならない。さらに、リガンドがペプチドである場合、レセプターを刺激するのに必要なリガンド量はごく低濃度で十分であるためにこのようなリガンドの生体内の存在量は極微量であることが多いことに加え、ペプチドはタンパク質分解酵素によって消化されて活性を失なったり、非特異的吸着によって精製過程において回収が悪かったりするために、生体より抽出して構造決定に必要な量を単離することは通常極めて困難である。これらの問題によって、これまでに数多くのオーファンレセプターの存在が明らかにされながらそのリガンドが明らかにされたレセプターはごく一部に過ぎない。
【0004】
【特許文献1】
WO 02/31145号公報
【特許文献2】
WO 01/48188号公報
【特許文献3】
特開2001−245666号公報
【特許文献4】
WO 01/18206号公報
【特許文献5】
WO 01/48015号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
新たなGタンパク質共役型レセプターのリガンドを見出し、該リガンドを直接利用する、または該リガンドを用いた医薬のスクリーニング系を利用することによって今までにない全く新規な作用機序を有する医薬の開発が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ヒト結腸ガン由来の配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列を有するオーファンGタンパク質共役型レセプターと結合する内因性リガンドを見出し、精製することに成功した。さらに、この内因性リガンドが結合する新規なレセプターを取得した。これらの知見に基づいて、さらに研究を重ね発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩と結合する能力を有することを特徴とするポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(2)配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(3)配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:49、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:36、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31または配列番号:32で表されるアミノ酸配列を含有する上記(2)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(4)配列番号:62で表されるアミノ酸配列を含有する上記(2)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(5)標識した上記(4)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(6)配列番号:19、配列番号:28または配列番号:61で表されるアミノ酸配列を含有する上記(2)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(7)上記(1)記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(8)配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48または配列番号:50で表される塩基配列を含有する上記(7)記載のポリヌクレオチド、
(9)配列番号:18、配列番号:27または配列番号:60で表される塩基配列を含有する上記(7)記載のポリヌクレオチド、
(10)DNAである上記(7)〜(9)記載のポリヌクレオチド、
(11)上記(7)記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(12)上記(11)記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(13)上記(12)記載の形質転換体を培養し、上記(1)記載のポリペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の製造法、
(14)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有してなる医薬、
(15)上記(7)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(16)上記(7)記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
(17)肥満症の予防・治療剤である上記(14)または(15)記載の医薬、
(18)肥満症の診断薬である上記(16)記載の診断薬、
(19)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩に対する抗体、
(20)上記(19)記載の抗体を含有してなる医薬、
(21)上記(19)記載の抗体を含有してなる診断薬、
(22)癌の予防・治療剤である上記(20)記載の医薬、
(23)摂食促進剤である上記(20)記載の医薬、
(24)癌の診断薬である上記(21)記載の診断薬、
(25)上記(7)記載のポリヌクレオチドに相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するポリヌクレオチド、
(26)DNAである上記(25)記載のポリヌクレオチド、
(27)上記(25)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(28)癌の予防・治療剤である上記(27)記載の医薬、
(29)摂食促進剤である上記(27)記載の医薬、
(30)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いることを特徴とする上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(31)標識した上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(30)記載のスクリーニング方法、
(32)上記(5)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(30)記載のスクリーニング方法、
(33)さらに、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(30)記載のスクリーニング方法、
(34)さらに、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:77、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:71、配列番号:75、配列番号:83、配列番号:51、配列番号:55、配列番号:69、配列番号:102または配列番号:104で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(30)記載のスクリーニング方法、
(35)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(33)記載のスクリーニング方法、
(36)標識した上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(30)記載のスクリーニング方法、
(37)上記(5)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(30)記載のスクリーニング方法、
(38)(i)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩と、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩とを接触させた場合と、
(ii)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩と、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする上記(30)記載のスクリーニング方法、
(39)(i)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞に接触させた場合と、
(ii)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞に接触させた場合における、該ポリペプチドの該細胞に対する結合量または細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする上記(38)記載のスクリーニング方法、
(40)(i)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞の膜画分に接触させた場合と、
(ii)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞の膜画分に接触させた場合における、該ポリペプチドの該細胞の膜画分に対する結合量または細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする上記(38)記載のスクリーニング方法、
(41)(i)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を、上記(12)記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したタンパク質に接触させた場合と、
(ii)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を、上記(12)記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したタンパク質に接触させた場合における、該ポリペプチドの該タンパク質に対する結合量または細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする上記(38)記載のスクリーニング方法、
(42)標識した上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる上記(38)〜(41)記載のスクリーニング方法、
(43)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有してなる上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(44)標識した上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する上記(43)記載のスクリーニング用キット、
(45)上記(5)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する上記(43)記載のスクリーニング用キット、
(46)さらに、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する上記(43)記載のスクリーニング用キット、
(47)さらに、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:77、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:71、配列番号:75、配列番号:83、配列番号:51、配列番号:55、配列番号:69、配列番号:102または配列番号:104で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する上記(43)記載のスクリーニング用キット、
(48)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する上記(46)記載のスクリーニング用キット、
(49)標識した上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する上記(43)記載のスクリーニング用キット、
(50)上記(5)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する上記(43)記載のスクリーニング用キット、
(51)配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞を含有することを特徴とする上記(46)記載のスクリーニング用キット、
(52)配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、その部分ペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞の膜画分を含有することを特徴とする上記(46)記載のスクリーニング用キット、
(53)上記(12)記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したタンパク質を含有することを特徴とする上記(46)記載のスクリーニング用キット、
(54)上記(30)記載のスクリーニング方法または上記(43)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進する化合物またはその塩、
(55)上記(30)記載のスクリーニング方法または上記(43)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩、
(56)上記(54)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(57)上記(55)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(58)肥満症の予防・治療剤である上記(56)記載の医薬、
(59)癌の予防・治療剤である上記(57)記載の医薬、
(60)摂食促進剤である上記(57)記載の医薬、
(61)配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:102または配列番号:104で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(62)上記(61)記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(63)上記(62)記載のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(64)DNAである上記(63)記載のポリヌクレオチド、
(65)配列番号:64、配列番号:66、配列番号:96、配列番号:99、配列番号:100、配列番号:103または配列番号:105で表される塩基配列を含有する上記(64)記載のポリヌクレオチド、
(66)配列番号:101で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチド、
(67)配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91または配列番号:93で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(68)上記(67)記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(69)上記(67)記載のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(70)DNAである上記(69)記載のポリヌクレオチド、
(71)配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92または配列番号:94で表される塩基配列を含有する上記(70)記載のポリヌクレオチド、
(72)配列番号:75または配列番号:83で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(73)上記(72)記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(74)上記(72)記載のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(75)DNAである上記(74)記載のポリヌクレオチド、
(76)配列番号:76または配列番号:84で表される塩基配列を含有する上記(75)記載のポリヌクレオチド、
(77)上記(63)、(69)または(74)記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(78)上記(70)記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(79)上記(78)記載の形質転換体を培養し、上記(61)、(67)もしくは(71)記載のタンパク質またはその部分ペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする上記(61)、(67)もしくは(71)記載のタンパク質またはその部分ペプチドまたはその塩の製造法、
(80)上記(61)、(67)もしくは(71)記載のタンパク質またはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる医薬、
(81)上記(63)、(66)、(69)または(74)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(82)上記(63)、(66)、(69)または(74)記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
(83)肥満症の予防・治療剤である上記(80)または(81)記載の医薬、
(84)肥満症の診断薬である上記(82)記載の診断薬、
(85)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩を含有してなる肥満症の予防・治療剤、
(86)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる肥満症の予防・治療剤、
(87)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる肥満症の診断薬、
(88)上記(61)、(67)もしくは(71)記載のタンパク質またはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(89)上記(88)記載の抗体を含有してなる医薬、
(90)上記(88)記載の抗体を含有してなる診断薬、
(91)癌の予防・治療剤である上記(89)記載の医薬、
(92)摂食促進剤である上記(89)記載の医薬、
(93)癌の診断薬である上記(90)記載の診断薬、
(94)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩に対する抗体を含有してなる癌の予防・治療剤、
(95)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩に対する抗体を含有してなる摂食促進剤、
(96)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩に対する抗体を含有してなる癌の診断薬、
(97)上記(63)、(66)、(69)または(74)記載のポリヌクレオチドに相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するポリヌクレオチド、
(98)DNAである上記(97)記載のポリヌクレオチド、
(99)上記(97)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(100)癌の予防・治療剤である上記(99)記載の医薬、
(101)摂食促進剤である上記(99)記載の医薬、
(102)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに、相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するポリヌクレオチドを含有してなる癌の予防・治療剤、
(103)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに、相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するポリヌクレオチドを含有してなる摂食促進剤、
(104)上記(7)記載のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする上記(1)記載のポリペプチドの遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(105)上記(7)記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とする上記(1)記載のポリペプチドの遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(106)上記(104)記載のスクリーニング方法または上記(105)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる上記(1)記載のポリペプチドの遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩、
(107)上記(104)記載のスクリーニング方法または上記(105)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる上記(1)記載のポリペプチドの遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩、
(108)上記(106)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(109)上記(107)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(110)肥満症の予防・治療剤である上記(108)記載の医薬、
(111)癌の予防・治療剤である上記(109)記載の医薬、
(112)摂食促進剤である上記(109)記載の医薬、
(113)外来性の上記(10)記載のポリヌクレオチドまたはその変異DNAを有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物、
(114)非ヒト動物がゲッ歯動物である上記(113)記載の動物、
(115)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記(114)記載の動物、
(116)外来性の上記(10)記載のポリヌクレオチドまたはその変異DNAを含有し、非ヒト動物において発現しうる組換えベクター、
(117)上記(113)記載の動物を用いることを特徴とする上記(10)記載のポリヌクレオチドの欠損・損傷に起因する疾病に対して効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(118)上記(10)記載のポリヌクレオチドが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(119)ポリヌクレオチドがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化された上記(118)記載の胚幹細胞、
(120)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(119)記載の胚幹細胞、
(121)上記(10)記載のポリヌクレオチドが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(122)ポリヌクレオチドがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が上記(10)記載のポリヌクレオチドに対するプロモーターの制御下で発現しうる上記(121)記載の非ヒト哺乳動物、
(123)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(121)記載の非ヒト哺乳動物、
(124)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記(123)記載の動物、
(125)上記(122)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする上記(10)記載のポリヌクレオチドに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(126)上記(121)記載の動物を用いることを特徴とする肥満の予防・治療剤のスクリーニング方法、
(127)上記(63)、(69)または(74)記載のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする上記(61)、(67)または(72)記載のタンパク質の遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(128)上記(63)、(69)または(74)記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とする上記(61)、(67)または(72)記載のタンパク質の遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(129)上記(127)記載のスクリーニング方法または上記(128)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる上記(61)、(67)または(72)記載のタンパク質、その部分ペプチドまたはその塩の発現を促進する化合物またはその塩、
(130)上記(127)記載のスクリーニング方法または上記(128)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる上記(61)、(67)または(72)記載のタンパク質、その部分ペプチドまたはその塩の発現を阻害する化合物またはその塩、
(131)上記(129)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(132)上記(130)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(133)肥満症の予防・治療剤である上記(131)記載の医薬、
(134)癌の予防・治療剤である上記(132)記載の医薬、
(135)摂食促進剤である上記(132)記載の医薬、
(136)外来性の上記(64)、(70)または(75)記載のポリヌクレオチドまたはその変異DNAを有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物、
(137)非ヒト動物がゲッ歯動物である上記(136)記載の動物、
(138)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記(137)記載の動物、
(139)外来性の上記(64)、(70)または(75)記載のポリヌクレオチドまたはその変異DNAを含有し、非ヒト動物において発現しうる組換えベクター、
(140)上記(136)記載の動物を用いることを特徴とする上記(64)、(70)または(75)記載のポリヌクレオチドの欠損・損傷に起因する疾病に対して効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(141)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:102、配列番号:104、配列番号:77、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89または配列番号:75で表わされるアミノ酸配列の第160番目のGluの直前に一アミノ酸が挿入されたアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(142)一アミノ酸がアラニンである(141)記載のタンパク質またはその塩、
(143)上記(141)記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(144)上記(141)もしくは(142)記載のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(145)上記(141)記載のタンパク質もしくはその部分ペプチド、またはその塩を含有してなる癌の予防・治療剤、
(146)配列番号:83、配列番号:91または配列番号:93で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質もしくはその部分ペプチド、またはその塩を含有してなる上記(145)記載の予防・治療剤、
(147)上記(144)記載のポリヌクレオチドを含有してなる癌の予防・治療剤、
(148)哺乳動物に対して、上記(54)記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする肥満症の予防・治療方法、
(149)哺乳動物に対して、上記(55)記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする癌の予防・治療方法、
(150)肥満症の予防・治療剤を製造するための上記(54)記載の化合物またはその塩の使用、
(151)癌の予防・治療剤を製造するための上記(55)記載の化合物またはその塩の使用、
(152)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進する化合物またはその塩を含有してなる肥満症の予防・治療剤、
(153)上記(1)記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなる癌の予防・治療剤または摂食促進剤、
(154)(1)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質、配列番号:51、配列番号:55もしくは配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに、相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するポリヌクレオチド、(2)上記タンパク質、もしくはその部分ペプチド、またはその塩に対する抗体、(3)上記(141)記載のタンパク質もしくはその部分ペプチド、またはその塩、または(4)上記(144)記載のポリヌクレオチドを含有してなるアポトーシス誘導剤、
(155)アポトーシス誘導剤である上記(20)、(27)、(57)、(89)または(99)記載の医薬などに関する。
【0007】
さらに、本発明は、
(I)配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列である上記(2)記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(II)配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、(i)配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(ii)配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(iii)配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、(iv)配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(v)それらを組み合わせたアミノ酸配列である上記(2)記載のポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、
(III)上記(7)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(IV)上記(63)、(69)または(74)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドなども提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の「配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩と結合する能力を有するポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩」としては、例えば、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩(以下、本発明のレセプターと称する場合がある)と結合する能力を有するポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩との結合の解離定数が、1nM以下、好ましくは200pM以下、さらに好ましくは100pM以下、特に好ましくは80pM以下、最も好ましくは50pM以下であるポリペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩などが挙げられる。
【0009】
本発明の配列番号:22、配列番号:14または配列番号:31で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチド(以下、本発明のポリペプチドと称する場合がある)は、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞(例えば、網膜細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細胞など)もしくはこれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、網膜、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など、または血球系の細胞もしくはその培養細胞(例えば、MEL,M1,CTLL−2,HT−2,WEHI−3,HL−60,JOSK−1,K562,ML−1,MOLT−3,MOLT−4,MOLT−10,CCRF−CEM,TALL−1,Jurkat,CCRT−HSB−2,KE−37,SKW−3,HUT−78,HUT−102,H9,U937,THP−1,HEL,JK−1,CMK,KO−812,MEG−01など)に由来するポリペプチドであってもよく、合成ポリペプチドであってもよい。
【0010】
配列番号:22で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
配列番号:22で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、(i) 配列番号:22で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:22で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:22で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:22で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列などもあげられる。
配列番号:22で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドとしては、例えば、前記の配列番号:22で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチドなどが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、本発明のポリペプチドの有する活性、例えば、後述の疾患の予防・治療活性、レセプターとの結合活性、レセプター発現細胞に対する細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)、摂食抑制活性、癌増殖活性などがあげられる。実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的に(例、生理学的に、または薬理学的に)同質であることを示す。
配列番号:22で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列の具体例としては、例えば、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:49または配列番号:62で表されるアミノ酸配列などがあげられる。
【0011】
配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、(i) 配列番号:14で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:14で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:14で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:14で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列などもあげられる。
配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドとしては、例えば、前記の配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチドなどが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、本発明のポリペプチドの有する活性、例えば、後述の疾患の予防・治療活性、レセプターとの結合活性、レセプター発現細胞に対する細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)、摂食抑制活性、癌増殖活性などがあげられる。実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的に(例、生理学的に、または薬理学的に)同質であることを示す。
配列番号:14で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列の具体例としては、例えば、配列番号:12、配列番号:13または配列番号:36で表されるアミノ酸配列などがあげられる。
【0012】
配列番号:31で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:31で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
配列番号:31で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、(i) 配列番号:31で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:31で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:31で表されるアミノ酸配列に1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:31で表されるアミノ酸配列中の1〜5個(好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは、1個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列などもあげられる。
配列番号:31で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドとしては、例えば、前記の配列番号:31で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:31で表わされるアミノ酸配列を有するポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチドなどが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、本発明のポリペプチドの有する活性、例えば、後述の疾患の予防・治療活性、レセプターとの結合活性、レセプター発現細胞に対する細胞刺激活性、例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性、食抑制活性、癌増殖活性などがあげられる。実質的に同質の活性とは、それらの活性が性質的に(例、生理学的に、または薬理学的に)同質であることを示す。
配列番号:31で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列の具体例としては、例えば、配列番号:29、配列番号:30または配列番号:32で表されるアミノ酸配列などがあげられる。
【0013】
本発明のポリペプチドの具体例としては、例えば、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:20で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:23で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:49で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:62で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:14で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:12で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:13で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:36で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:31で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:29で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:30で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:32で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどの、本発明のレセプターと特異的に結合する能力を有するポリペプチドがあげられる。
【0014】
また、本発明のポリペプチドは、後述の本発明のレセプターとの結合活性、本発明のレセプター発現細胞に対する細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)などを有するポリペプチドのみならず、該結合活性または細胞刺激活性を有するポリペプチドの前駆体ポリペプチドをも包含する意味で用いられる。
該結合活性または細胞刺激活性を有するポリペプチドの前駆体ポリペプチドの具体例としては、例えば、(i)配列番号:19で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチド、(ii)配列番号:28で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチド、(iii)配列番号:61で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどがあげられる。
【0015】
具体的には、(i)配列番号:19で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:19で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、(ii)配列番号:28で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:28で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列、(iii)配列番号:61で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:61で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、さらに好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
配列番号:19で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、(i) 配列番号:19で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:19で表されるアミノ酸配列に1〜100個(好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:19で表されるアミノ酸配列に1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:19で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列などがあげられる。
配列番号:28で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、(i) 配列番号:28で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:28で表されるアミノ酸配列に1〜100個(好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:28で表されるアミノ酸配列に1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:28で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列などがあげられる。
配列番号:61で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、(i) 配列番号:61で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:61で表されるアミノ酸配列に1〜100個(好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:61で表されるアミノ酸配列に1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:61で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列などがあげられる。
上記前駆体ポリペプチドの具体例としては、例えば、配列番号:19で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:28で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチド、配列番号:61で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどがあげられる。
【0016】
本発明のポリペプチドに対するレセプターとしては、種々のレセプターのうち、本発明のポリペプチドと結合活性を有し、本発明のポリプチドにより該レセプター発現細胞の細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)が観察されるものなどがあげられ、これらを本発明のレセプターと称する。
具体例としては、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩などがあげられる(図3,図4)。該タンパク質は、バソトシンレセプター、メソトシンレセプター、イソトシンレセプターまたはオキシトシンレセプターにアミノ酸配列レベルで、約32〜36%程度の相同性が認められる新規7回膜貫通型レセプタータンパク質である。さらには、配列番号:51で表されるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質(WO 01/18206)、配列番号:53で表されるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質(WO 01/48188)、配列番号:55で表されるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質(WO 01/48015)、配列番号:67で表されるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質(特開2001−245666)、配列番号:69で表されるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質(WO 01/96400)なども、本発明のポリペプチドに対するレセプターとして用いられる。
また、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:102、配列番号:104、配列番号:77、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89または配列番号:75で表わされるアミノ酸配列の第160番目のGluの直前に一アミノ酸(好ましくはAla)が挿入されたアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩(以下、本発明のレセプターAと略称することもある)なども本発明のレセプターとして用いられる。
本発明のレセプターは、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞〔例えば、網膜細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、白血球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細胞(例、乳癌細胞株(GI−101など)、結腸癌細胞株(CX−1、GI−112、COLO 205、LoVo、COLO 201、SW 403、SNU−C1、HT−29、LS 174T、LS 180、SK−CO1など)、胃癌細胞株(KATOIIIなど)、肺癌細胞株(LX−1、GI−117など)、卵巣癌細胞株(GI−102など)、前立腺癌細胞株(PC3など)など)、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、網膜、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など、または血球系の細胞もしくはその培養細胞(例えば、MEL,M1,CTLL−2,HT−2,WEHI−3,HL−60,JOSK−1,K562,ML−1,MOLT−3,MOLT−4,MOLT−10,CCRF−CEM,TALL−1,Jurkat,CCRT−HSB−2,KE−37,SKW−3,HUT−78,HUT−102,H9,U937,THP−1,HEL,JK−1,CMK,KO−812,MEG−01など)に由来するタンパク質であってもよく、合成タンパク質であってもよい。
【0017】
配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。具体的には、配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:77、配列番号:85、配列番号:87、配列番号:89、配列番号:91、配列番号:93、配列番号:71、配列番号:75、または配列番号:83で表されるアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、
(1)(i) 配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列に1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列に1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列、および
(2)(i) 配列番号:63または配列番号:65で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、
(ii) 配列番号:63または配列番号:65で表されるアミノ酸配列に1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、
(iii) 配列番号:63または配列番号:65で表されるアミノ酸配列に1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
(iv) 配列番号:63または配列番号:65で表されるアミノ酸配列中の1〜15個(好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個、より好ましくは、1〜3個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、および
(v) 上記(i)〜(iv)を組み合わせたアミノ酸配列などがあげられる。
配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、例えば、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができる。
本発明のレセプターの具体例としては、(i)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(ii)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(iii)配列番号:63で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(iv)配列番号:65で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(v)配列番号:51で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(vi)配列番号:55で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(vii)配列番号:69で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(viii)配列番号:95で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(ix)配列番号:97で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(x)配列番号:77で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xi)配列番号:85で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xii)配列番号:87で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xiii)配列番号:89で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xiv)配列番号:91で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xv)配列番号:93で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xvi)配列番号:71で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xvii)配列番号:75で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xviii)配列番号:83で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xix)配列番号:102で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質、(xx)配列番号:104で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク質などが挙げられる。
【0018】
本発明のレセプターの部分ペプチド(以下、本発明の部分ペプチドと称する場合がある)としては、後述の医薬等のスクリーニング方法に用いることのできる部分ペプチドであれば、いかなるものであってもよく、好ましくは、本発明のポリペプチドに対する結合能を有する部分ペプチド、細胞膜外領域に相当するアミノ酸配列を含有する部分ペプチド等が用いられる。
具体的には、配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列中、50番目(Thr)〜335番目(Ser)で表される部分アミノ酸配列から選択される1または2以上の部分アミノ酸配列を含有する部分ペプチドなどがあげられる。
【0019】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドは、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO-)、アミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のポリペプチドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドには、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成するN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。
【0020】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドの塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドは、公知の方法で標識化されていてもよく、具体的にはアイソトープラベル化されたもの、蛍光標識されたもの(例えば、フルオレセインなどによる蛍光標識)、ビオチン化されたもの、または酵素標識されたものなどがあげられる。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドは、前述したヒトや温血動物の細胞または組織から公知のポリペプチドの精製方法によって製造することもできるし、後述するポリペプチドをコードするDNAで形質転換された形質転換体を培養することによっても製造することができる。また、後述のペプチド合成法に準じて製造することもできる。
ヒトや温血動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0021】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチド(それらのアミド体、それらの塩も含む)の合成には、通常市販のポリペプチド合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などをあげることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするポリペプチドの配列通りに、公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からポリペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のポリペプチド、レセプター、部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、ポリペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ポリペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はポリペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することによって、後の反応に影響を与えないようにすることができる。
【0022】
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、t−ブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級(C1-6)アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、t−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0023】
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
【0024】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドのアミド体を得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(ポリペプチド)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたポリペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したポリペプチドとを製造し、この両ポリペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ポリペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ポリペプチドを得ることができる。この粗ポリペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のポリペプチド、レセプターまたは部分ペプチドのアミド体を得ることができる。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドのエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、ポリペプチド、レセプターまたは部分ペプチドのアミド体と同様にして、所望のポリペプチド、レセプターまたは部分ペプチドのエステル体を得ることができる。
【0025】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドは、公知のペプチドの合成法に従って、あるいはレセプターの部分ペプチドについては、レセプターを適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の(i)〜(v)に記載された方法があげられる。
(i)M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
(ii)SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
(iii)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
(iv)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年)
(v)矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合成、広川書店
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のポリペプチド、レセプターまたはその部分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られるポリペプチド、レセプターまたは部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するもの(DNAまたはRNA、好ましくはDNA)であればいかなるものであってもよい。該ポリヌクレオチドとしては、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドをコードするDNA、mRNA等のRNAであり、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖(すなわち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖(すなわち、非コード鎖)であってもよい。DNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。
ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接RT−PCR法によって増幅することもできる。
【0026】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、例えば
(i)配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48または配列番号:50で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチド、
(ii)配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48または配列番号:50で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明のポリペプチドと実質的に同質の活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(iii)配列番号:18、配列番号:27または配列番号:60で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチド、または
(iv)配列番号:18、配列番号:27または配列番号:60で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどであれば何れのものでもよい。
配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48または配列番号:50で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:45、配列番号:46、配列番号:47、配列番号:48または配列番号:50で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが用いられる。
配列番号:18、配列番号:27または配列番号:60で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:18、配列番号:27または配列番号:60で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが用いられる。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
【0027】
具体的には、(i) 配列番号:20で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:41で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(ii) 配列番号:21で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:42で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(iii) 配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:43で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(iv) 配列番号:23で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:44で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(v) 配列番号:49で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:50で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(vi) 配列番号:12で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:37で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(vii) 配列番号:13で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:38で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(viii) 配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:39で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(ix) 配列番号:36で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:40で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(x) 配列番号:29で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:45で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xi) 配列番号:30で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:46で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xii) 配列番号:31で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:47で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xiii) 配列番号:32で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:48で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xiv) 配列番号:19で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:18で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xv) 配列番号:28で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:27で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xvi) 配列番号:61で表わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:60で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが用いられる。
【0028】
本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:2または配列番号:4で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチド、または配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含有し、本発明のレセプターと実質的に同質の活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなどであれば何れのものでもよい。
配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるポリヌクレオチドとしては、例えば、それぞれ配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが用いられる。例えば、配列番号:64、配列番号:66、配列番号:96、配列番号:98、配列番号:99、配列番号:100、配列番号:101、配列番号:52、配列番号:54、配列番号:56、配列番号:68、配列番号:70、配列番号:78、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92、配列番号:94、配列番号:72、配列番号:76、配列番号:84、配列番号:103または配列番号:105で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドで表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、
(i)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:2で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチド、配列番号:54で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチド、配列番号:68で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(ii)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチド、配列番号:101で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(iii)配列番号:63で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:64で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(iv)配列番号:65で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:66で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(v)配列番号:95で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:96で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチド、配列番号:99で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチド、配列番号:100で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(vi)配列番号:97で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:98で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(vii)配列番号:51で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:52で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(viii)配列番号:55で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:56で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(ix)配列番号:69で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:70で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(x)配列番号:77で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:78で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xi)配列番号:85で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:86で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xii)配列番号:87で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:88で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xiii)配列番号:89で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:90で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xiv)配列番号:91で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:92で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xv)配列番号:93で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:94で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xvi)配列番号:71で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:72で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xvii)配列番号:75で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:76で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドが、
(xviii)配列番号:83で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:84で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xix)配列番号:102で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:103で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが、
(xx)配列番号:104で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号:105で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドなどが用いられる。
【0029】
本発明の部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するポリヌクレオチドの部分塩基配列を有するポリヌクレオチド、または配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を含有し、本発明のレセプターと実質的に同質の活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドの部分塩基配列を有するポリヌクレオチドなどが用いられる。
配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるポリヌクレオチドは、前記と同意義を示す。
ハイブリダイゼーションの方法およびハイストリンジェントな条件は前記と同様のものが用いられる。
また、本発明のレセプターの部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドとしてより具体的には、配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列中、50番目(Thr)〜335番目(Ser)で表される部分アミノ酸配列から選択される1または2以上の部分アミノ酸配列を含有する部分ペプチドをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、またはこれらとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどがあげられる。
【0030】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、公知の方法で標識化されていてもよく、具体的にはアイソトープラベル化されたもの、蛍光標識されたもの(例えば、フルオレセインなどによる蛍光標識)、ビオチン化されたものまたは酵素標識されたものなどがあげられる。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチド(以下、これらポリペプチドなどをコードするDNAのクローニングおよび発現の説明においては、これらポリペプチドなどを単に本発明のポリペプチドと略記する場合がある)を完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のポリペプチドの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて公知のPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のポリペプチドの一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、Molecular Cloning 2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列の置換は、公知のキット、例えば、MutanTM-super Express Km(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造(株))等を用いて、ODA-LA PCR法、Gapped duplex法、Kunkel法等の公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化されたポリペプチドをコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のポリペプチドの発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のポリペプチドをコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
【0031】
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、HIV・LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TKプロモーターなどがあげられる。
これらのうち、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐性)等があげられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のポリペプチドのN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のポリペプチドをコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,60巻,160(1968)〕,JM103〔Nucleic Acids Research,9巻,309(1981)〕,JA221〔Journal of Molecular Biology,120巻,517(1978)〕,HB101〔Journal of Molecular Biology,41巻,459(1969)〕,C600〔Genetics,39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔Gene,24巻,255(1983)〕,207−21〔Journal of Biochemistry,95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)KM71などが用いられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、ヨトウガの幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、カイコ由来株化細胞(Bombyx mori N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、In Vivo,13, 213-217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、Nature,315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞などが用いられる。
【0032】
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69巻,2110(1972)やGene,17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、Molecular & General Genetics,168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、Methods in Enzymology,194巻,182-187(1991)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、Bio/Technology, 6, 47-55(1988)などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール.263-267(1995)(秀潤社発行)、Virology,52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
このようにして、ポリペプチドをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがあげられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),Journal of Experiments in Molecular Genetics,431-433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
【0033】
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,81巻,5330(1984)〕があげられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C., Nature,195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔Science,122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔Virology,8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔The Journal of the American Medical Association, 199巻,519(1967)〕,199培地〔Proceeding of the Society for the Biological Medicine,73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜または細胞外などに本発明のポリペプチドを生成せしめることができる。
上記培養物から本発明のポリペプチドを分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
【0034】
本発明のポリペプチドを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりポリペプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にポリペプチドが分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるポリペプチドの精製は、公知の分離・精製法を適宜組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
かくして得られるポリペプチドが遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生するポリペプチドを、精製前または精製後に適当なタンパク質修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。タンパク質修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
【0035】
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに対する抗体(以下、単に本発明の抗体と称する場合がある)は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプター(その部分ペプチド、それらのアミドもしくはそれらのエステルまたはその塩を含む)に対する抗体を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。本発明のレセプターに対する抗体としては、レセプターのシグナル伝達を不活性化する抗体、レセプターのシグナル伝達を活性化する抗体などが挙げられる。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに対する抗体は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターは、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリがあげられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化ポリペプチドと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔Nature、256、495 (1975)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどがあげられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄腫細胞があげられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、ポリペプチド(タンパク質)抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したポリペプチドを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などがあげられる。
モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0036】
(b)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗原(ポリペプチド抗原)自体、あるいはそれとキャリアータンパク質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行い、該免疫動物から本発明のポリペプチドに対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との複合体に関し、キャリアータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0037】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(例、DNA)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するポリヌクレオチド(例、DNA)としては、該ポリヌクレオチドに相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該ポリヌクレオチドの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのポリヌクレオチド(アンチセンスポリヌクレオチド)であってもよい。
具体的には、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチドをコードするDNA(以下、これらのDNAを本発明のDNAと略記する場合がある)に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するアンチセンスDNA(以下、これらのDNAをアンチセンスDNAと略記する場合がある)が挙げられ、本発明のDNAに相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチセンスDNAであってもよい。
本発明のDNAに実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のDNAの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列などがあげられる。特に、本発明のDNAの相補鎖の全塩基配列うち、本発明のポリペプチドのN末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセンスDNAが好適である。これらのアンチセンスDNAは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
【0038】
具体的には、配列番号:2、4、18、27、37〜48、50、52、54〜56、60、64、66、68、70、72、76、78、84、86、88〜90、92、94、96、98〜101、103または105で表わされる塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補的な、もしくは実質的に相補的な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド、好ましくは例えば、配列番号:2、4、18、27、37〜48、50、52、54〜56、60、64、66、68、70、72、76、78、84、86、88〜90、92、94、96、98〜101、103または105で表わされる塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチドなどが挙げられる。
アンチセンスポリヌクレオチドは通常、10〜40個程度、好ましくは15〜30個程度の塩基から構成される。
ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、アンチセンスDNAを構成する各ヌクレオチドのりん酸残基(ホスフェート)は、例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオネートなどの化学修飾りん酸残基に置換されていてもよい。これらのアンチセンスポリヌクレオチドは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
本発明に従えば、本発明のレセプターまたはポリペプチド遺伝子の複製または発現を阻害することのできるアンチセンスポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化した、あるいは配列が決定されたタンパク質をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。かかるポリヌクレオチド(核酸)は、本発明のレセプターまたはポリペプチド遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成または機能を阻害することができるか、あるいは本発明のレセプターまたはポリペプチド関連RNAとの相互作用を介して本発明のレセプターまたはポリペプチド遺伝子の発現を調節・制御することができる。本発明のレセプターまたはポリペプチド関連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、および本発明のレセプターまたはポリペプチド関連RNAと特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内および生体外で本発明のレセプターまたはポリペプチド遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療または診断に有用である。本発明のレセプターまたはポリペプチド遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳終止コドン、タンパク質コード領域、ORF翻訳終止コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、本発明のレセプターまたはポリペプチド遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係、あるいは対象物とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、「アンチセンス」であるということができる。アンチセンスポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販のタンパク質、核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば公知の標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えばタンパク質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレート化合物(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0039】
本発明のアンチセンスポリヌクレオチド(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。
こうした修飾は当該分野で数多く知られており、例えば J. Kawakami et al., Pharm Tech Japan, Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Crooke et al. ed., Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993 などに開示がある。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水性のものが挙げられる。付加するのに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいは本発明のタンパク質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸は公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0040】
以下に、(i)本発明のポリペプチドおよび本発明のレセプター、(ii)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチド(本発明のポリヌクレオチド)、(iii)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに対する抗体(本発明の抗体)および(iv)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのアンチセンスポリヌクレオチド(例、本発明のアンチセンスDNA)などの用途を説明する。
(1)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターが関与する各種疾病の予防・治療剤
本発明のポリペプチドは、本発明のレセプターへの結合活性、本発明のレセプター発現細胞の細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)を有し、本発明のレセプターの内因性リガンドである。
本発明のレセプターが本発明のポリペプチドに応答すると、摂食行動が抑制され、腫瘍が増殖する。
従って本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)に異常があったり、欠損している場合、または本発明のレセプターまたは該レセプターをコードするDNAに異常があったり、欠損している場合には、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症となる可能性が高い。従って、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)は、例えば、肥満症、摂食亢進症などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として使用することができる。さらには、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明のポリヌクレオチドに異常があったり、欠損している場合には、例えば、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの種々の疾病が発症する可能性もある。よって、本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明のポリヌクレオチドは、例えば、これら種々の疾病の予防・治療剤などの医薬として使用することもできる。中でも、好ましくは、肥満症の予防・治療剤である。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明のポリヌクレオチドは、例えば、生体内において本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターが減少あるいは欠損している患者がいる場合に、(イ)本発明のポリヌクレオチドを該患者に投与し、生体内で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを発現させることによって、(ロ)細胞に本発明のポリヌクレオチドを挿入し、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを発現させた後に、該細胞を患者に移植することによって、または(ハ)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを該患者に投与することなどによって、該患者における本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの役割を十分に、あるいは正常に発揮させることができる。
本発明のポリヌクレオチドを上記の予防・治療剤として使用する場合は、該ポリヌクレオチドを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のポリヌクレオチドは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを上記の予防・治療剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0041】
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターは、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、または水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)が挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、など)に対して投与することができる。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、肥満症の治療目的で本発明のポリペプチドを経口投与する場合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日につき該ポリペプチドを約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該ポリペプチドまたは該レセプターの1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、肥満症の治療目的で本発明のポリペプチドを注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該ポリペプチドまたは該レセプターを約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を患部に注射することにより投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明のレセプターAは、本発明のレセプターと共発現することにより、ドミナントネガティブ作用を示す。従って、本発明のレセプターAまたは本発明のレセプターAをコードするポリヌクレオチドは、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬としても使用することができる。本発明のレセプターAまたは本発明のレセプターAをコードするポリヌクレオチドの製剤化、投与方法または投与量などは上記に準じる。
【0042】
(2)疾病に対する医薬候補化合物のスクリーニング
本発明のポリペプチドは、本発明のレセプターへの結合活性、本発明のレセプター発現細胞の細胞刺激活性を有し、本発明のレセプターの内因性リガンドである。本発明のレセプターが本発明のポリペプチドに応答すると、摂食行動が抑制され、腫瘍が増殖する。
これより、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を促進する化合物またはその塩は、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として使用できる。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬としても使用できる。中でも、好ましくは、肥満症の予防・治療剤である。
一方、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を阻害する化合物またはその塩は、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。中でも好ましくは、癌の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤、摂食促進剤などである。
該スクリーニングは、本発明のポリペプチドを用いるか、または組換え型本発明のポリペプチドの発現系、あるいは本発明のレセプターを用いるか、または組換え型本発明のレセプターの発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(例、本発明のポリペプチドとレセプターとの結合性を変化させる化合物など)またはその塩(例、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)をスクリーニングすることができる。このような化合物には、本発明のレセプターを介して細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)を有する化合物(アゴニスト)、該細胞刺激活性を有しない化合物(アンタゴニスト)、本発明のポリペプチドとレセプターとの結合力を増強する化合物、または本発明のポリペプチドとレセプターとの結合力を減少させる化合物などが含まれる。
本発明は、本発明のポリペプチドを用いることを特徴とする本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
具体的には、(i)本発明のレセプターまたは本発明の部分ペプチド(以下、これらを単に本発明のレセプターと略称する場合がある)に、本発明のポリペプチドを接触させた場合と(ii)本発明のレセプターに、本発明のポリペプチドおよび試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターの結合性を変化させる化合物)またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)本発明のレセプターに、本発明のポリペプチドを接触させた場合と(ii)本発明のレセプターに、本発明のポリペプチドおよび試験化合物を接触させた場合における、例えば該本発明のレセプターに対する本発明のポリペプチドの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較する。
【0043】
本発明のスクリーニング方法の具体例としては、
▲1▼(i)本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)を、本発明のレセプターに接触させた場合と、(ii)本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)および試験化合物を、本発明のレセプターに接触させた場合における、本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)の本発明のレセプターに対する結合量を測定し、比較する本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合性を変化させる化合物)またはその塩のスクリーニング方法が挙げられ、好ましくは、
▲2▼(i)本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)を、本発明のレセプターを含有する細胞(好ましくは本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体)または該細胞の膜画分に接触させた場合と、(ii)本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)および試験化合物を、本発明のレセプターを含有する細胞(好ましくは本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体)または該細胞の膜画分に接触させた場合における、本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)の該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較する本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合性を変化させる化合物)またはその塩のスクリーニング方法、
▲3▼(i)本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)を、本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプターに接触させた場合と、(ii)本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)および試験化合物を、本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプターに接触させた場合における、本発明のポリペプチド(好ましくは標識した本発明のポリペプチド)の本発明のレセプターに対する結合量を測定し、比較する本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合性を変化させる化合物)またはその塩のスクリーニング方法、
▲4▼(i)本発明のレセプターを活性化する物質(例えば、本発明のポリペプチド)を、本発明のレセプターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のレセプターを活性化する物質および試験化合物を、本発明のレセプターを含有する細胞に接触させた場合における、本発明のレセプターを介した細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)を測定し、比較する本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合性を変化させる化合物)またはその塩のスクリーニング方法、および
▲5▼(i)本発明のレセプターを活性化する物質(例えば、本発明のポリペプチドなど)を、本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプターに接触させた場合と、(ii)本発明のレセプターを活性化する物質および試験化合物を、本発明のレセプターをコードするポリヌクレオチドを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプターに接触させた場合における、本発明のレセプターを介する細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)を測定し、比較する本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合性を変化させる化合物)またはその塩のスクリーニング方法などが挙げられる。
【0044】
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、本発明のスクリーニング方法に用いる本発明のレセプターとしては、本発明のポリペプチドをリガンドとして認識するものであれば何れのものであってもよく、ヒトや温血動物の臓器の膜画分などが好適である。しかしながら、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させた本発明のレセプターなどが適している。
本発明のスクリーニング方法において、本発明のレセプターを含有する細胞または該細胞膜画分などを用いる場合、後述の調製法に従えばよい。
本発明のレセプターを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行うことができる。
本発明のレセプターを含有する細胞としては、本発明のレセプターを発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、前述の大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。また、本発明のレセプターを発現した宿主細胞は、前述の本発明のポリペプチドを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体の製造方法と同様の方法などがあげられる。
膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などがあげられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現した本発明のレセプターと細胞由来のリン脂質や膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。
本発明のレセプターを含有する細胞や膜画分中の本発明のレセプターの量は、1細胞当たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0045】
前記▲1▼〜▲3▼のスクリーニング方法を実施するためには、適当な本発明のレセプター画分と、標識した本発明のポリペプチドなどが用いられる。本発明のレセプター画分としては、天然型の本発明のレセプター画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型本発明のレセプター画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。標識した本発明のポリペプチドとしては、標識した本発明のポリペプチド、標識した本発明のポリペプチドアナログ化合物などが用いられる。
標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。
例えば放射性同位元素で標識された本発明のポリペプチドなどが好ましく利用することができる。このうち好ましくは、〔125I〕で標識された本発明のポリペプチドである。さらに好ましくは、〔125I〕で標識された配列番号:62で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドなどが用いられる。
具体的には、まず本発明のレセプターを含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのポリペプチドとレセプターとの結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによる本発明のレセプターや本発明のポリペプチドの分解を抑える目的で、PMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加してもよい。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の標識した本発明のポリペプチドを添加し、同時に10-10〜10-7Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の本発明のポリペプチドを加えた反応チューブも用意する。反応は0℃から50℃、望ましくは4℃から37℃で20分から24時間、望ましくは30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
【0046】
前記▲4▼〜▲5▼のスクリーニング方法を実施するためには、本発明のレセプターを介する細胞刺激活性(例、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP生成抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化、cGMP依存性プロテインキナーゼの活性化、リン脂質依存性プロテインキナーゼの活性化、または微小管結合タンパク質リン酸化酵素(MAPキナーゼ)の活性化などを促進する活性など)を公知の方法または市販の測定用キットなどを用いて測定する。
具体的には、まず、本発明のレセプターを含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行うにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP生成抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する生成抑制作用として検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当な本発明のレセプターを発現した細胞を用いるのが好ましい。本発明のレセプターを発現した細胞としては、前述の本発明のレセプター発現細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などがあげられる。
【0047】
本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合性を変化させる化合物)またはその塩のスクリーニング用キットは、本発明のレセプター(本発明のレセプターの部分ペプチドも含む)、本発明のレセプターを含有する細胞または本発明のレセプターを含有する細胞の膜画分、および本発明のポリペプチドを含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
(i)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(ii)本発明のレセプター標品
本発明のレセプターを発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
(iii)本発明のポリペプチド
3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した本発明のポリペプチドを適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
(iv)本発明のポリペプチド標準液
本発明のポリペプチドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
【0048】
2.測定法
(i)12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセプターを発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(ii)10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識した本発明のペプチドを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るために試験化合物の代わりに10-3Mの本発明のポリペプチドを5μl加えておく。
(iii)反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識された本発明のポリペプチドを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(iv)液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次式で求める。
PMB=[(B−NSB)/(B0−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
0 :最大結合量
【0049】
上記本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られうる化合物またはその塩は、本発明のポリペプチドの活性を促進または阻害する化合物(本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合を変化させる化合物)(結合を阻害または促進する化合物)であり、具体的には、本発明のレセプターを介して細胞刺激活性を有する化合物またはその塩(いわゆる本発明のレセプターアゴニスト)、または該刺激活性を有しない化合物(いわゆる本発明のレセプターアンタゴニスト)である。該化合物としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
上記本発明のレセプターアゴニストであるかレセプターアンタゴニストであるかの具体的な評価方法は以下の(a)または(b)に従えばよい。
(i)前記▲1▼〜▲3▼のスクリーニング方法で示されるバインディング・アッセイを行い、本発明のポリペプチドと本発明のレセプターとの結合性を変化させる(特に、結合を阻害する)化合物を得た後、該化合物が上記した本発明のレセプターを介する細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩は本発明のレセプターアゴニストであり、該活性を有しない化合物またはその塩は本発明のレセプターアンタゴニストである。
(ii)(a)試験化合物を本発明のレセプターを含有する細胞に接触させ、本発明のレセプターを介した細胞刺激活性を測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩は本発明のレセプターアゴニストである。
(b) 本発明のレセプターを活性化する化合物(例えば、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターアゴニストなど)を本発明のレセプターを含有する細胞に接触させた場合と、本発明のレセプターを活性化する化合物および試験化合物を本発明のレセプターを含有する細胞に接触させた場合における、本発明のレセプターを介した細胞刺激活性を測定し、比較する。本発明のレセプターを活性化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る化合物またはその塩は本発明のレセプターアンタゴニストである。
本発明のレセプターアゴニストは、本発明のレセプターに対する本発明のポリペプチドが有する生理活性と同様の作用を有しているので、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターと同様に、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として使用できる。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬としても使用できる。好ましくは、肥満症の予防・治療剤である。
本発明のレセプターアンタゴニストは、本発明のレセプターに対する本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターが有する生理活性を抑制することができるので、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。好ましくは、癌の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤、摂食促進剤などである。
【0050】
また、本発明は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードする本発明のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法なども提供する。
具体的には、(i)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを産生する能力を有する細胞を培養した場合と(ii)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを産生する能力を有する細胞と試験化合物の混合物を培養した場合との比較を行い、本発明のポリペプチドの遺伝子または本発明のレセプターの遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする。
上記スクリーニング方法においては、例えば、(i)と(ii)の場合における、本発明のポリペプチドの遺伝子または本発明のレセプターの遺伝子の発現量(具体的には、本発明のポリペプチド量、本発明のレセプター量、本発明のポリペプチドをコードするmRNA量または本発明のレセプターをコードするmRNA量など)を測定して、比較する。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
上記のスクリーニング方法を実施するには、本発明ポリペプチドまたは本発明のレセプターを産生する能力を有する細胞をスクリーニングに適したバッファーに浮遊して調製する。バッファーには、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜8)のリン酸バッファー、ほう酸バッファーなどの、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを産生する能力を有する細胞としては、例えば、前述した本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするDNAを含有するベクターで形質転換された宿主(形質転換体)などが用いられる。宿主としては、例えば、CHO細胞などの動物細胞が好ましく用いられる。該スクリーニングには、例えば、前述の方法で培養することによって、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを細胞膜上に発現させた形質転換体などが好ましく用いられる。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのタンパク質量の測定は、公知の方法、例えば、本発明の抗体を用いて、細胞抽出液中などに存在する前記ポリペプチドまたはレセプターを、ウェスタン解析、ELISA法などの方法またはそれに準じる方法に従い測定することができる。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現量は、公知の方法、例えば、ノーザンブロッティングやReverse transcription-polymerase chain reaction(RT−PCR)、リアルタイムPCR解析システム(ABI社製、TaqMan polymerase chain reaction)などの方法あるいはそれに準じる方法にしたがって測定することができる。
例えば、上記(ii)の場合における本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を、上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上促進する試験化合物を本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩として選択することができる。
例えば、上記(ii)の場合における本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を、上記(i)の場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩として選択することができる。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を促進(発現量を増加)する化合物またはその塩は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターと同様に、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として使用できる。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬としても使用できる。中でも好ましくは、肥満症の予防・治療剤である。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩は、本発明のレセプターに対する本発明のポリペプチドが有する生理活性を抑制することができるので、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。好ましくは、癌の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤、摂食促進剤などである。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であり、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を促進または阻害する化合物、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を促進または阻害(発現量を増加または減少)する化合物である。
該化合物の塩としては、前記した本発明のポリペプチドの塩と同様のものが用いられる。
【0051】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の医薬として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記した本発明のポリペプチドを含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
上記化合物またはその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、肥満症の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、肥満症の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kg当たり)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
例えば、癌の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kg当たり)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
例えば、肥満症の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、肥満症の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kg当たり)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
例えば、癌の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg当たり)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌の治療の目的で本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kg当たり)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0052】
(3)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの定量
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。
すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターとを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの定量法を提供する。
上記(ii)の定量法においては、一方の抗体が本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのN端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのC端部に反応する抗体であることが望ましい。
また、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに対するモノクローナル抗体を用いて本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの定量を行うことができるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明のポリペプチドの定量法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、ポリペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
【0053】
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常ポリペプチドあるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等があげられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のポリペプチド量または本発明のレセプター量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
【0054】
本発明のサンドイッチ法による本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。
競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D : Selected Immunoassays))、同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E : Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I : Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを感度良く定量することができる。
【0055】
さらには、本発明の抗体を用いて本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの濃度を定量することによって、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの濃度の増加が検出された場合、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)、拒食症などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの濃度の減少が検出された場合には、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを検出するために使用することができる。また、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの検出、被検細胞内における本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの挙動の分析などのために使用することができる。
【0056】
(4)遺伝子診断薬
本発明のポリヌクレオチド(DNA)は、例えば、プローブとして使用することにより、ヒトや温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、など)における本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断薬として有用である。
本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(Genomics,第5巻,874〜879頁(1989年)、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
例えば、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現過多が検出された場合は、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)、拒食症などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子の発現減少が検出された場合は、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
【0057】
(5)アンチセンスポリヌクレオチドを含有する医薬
本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)に相補的に結合し、該ポリヌクレオチド(例、DNA)の発現を抑制することができるアンチセンスポリヌクレオチド(例、アンチセンスDNA)は、癌細胞のアポトーシス誘導作用などを有し、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。中でも好ましくは、癌の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤、摂食促進剤などである。
例えば、上記アンチセンスDNAを用いる場合、該アンチセンスDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。該アンチセンスDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
【0058】
上記アンチセンスポリヌクレオチドと同様に、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするRNAの一部を含有する二重鎖RNA、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするRNAの一部を含有するリボザイムなども、本発明のポリヌクレオチドの発現を抑制することができ、生体内における本発明のポリペプチド、本発明のレセプターまたは本発明のポリヌクレオチドの機能を抑制することができるので、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。中でも好ましくは、癌の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤、摂食促進剤などである。
二重鎖RNAは、公知の方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。
リボザイムは、公知の方法(例、TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。例えば、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするRNAの一部に公知のリボザイムを連結することによって製造することができる。本発明の本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得る本発明のRNA上の切断部位に近接した部分(RNA断片)が挙げられる。
上記の二重鎖RNAまたはリボザイムを上記予防・治療剤として使用する場合、アンチセンスポリヌクレオチドと同様にして製剤化し、投与することができる。
【0059】
(6)本発明の抗体を含有する医薬
本発明のポリペプチドの抗体は、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。中でも好ましくは、癌の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤、摂食促進剤などである。
本発明のレセプターを中和する作用を有する(シグナル伝達を不活性化する)本発明の抗体は、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。中でも好ましくは、癌の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤、摂食促進剤などである。
本発明のレセプターのシグナル伝達を活性化する本発明の抗体は、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として使用できる。好ましくは、肥満症の予防・治療剤である。
【0060】
本発明の抗体を含有する上記医薬は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒトや温血動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人の癌の患者の治療・予防のために使用する場合には、本発明の抗体(例、本発明のポリペプチドの抗体)を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬組成物として投与することができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
【0061】
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
【0062】
(7)DNA導入動物
本発明は、外来性の本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードするDNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(2)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(1)記載の動物、
(3)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記(2)記載の動物、および
(4)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターなどを提供する。
本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA導入動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより目的とするDNAを導入することによって作出することができる。また、該DNA導入方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性DNAを導入し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と公知の細胞融合法により融合させることにより本発明のDNA導入動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。なかでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BALB/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、Wistar,SDなど)などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
【0063】
本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれる。
該異常DNAとしては、異常な本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターを発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能を抑制するポリペプチドを発現させるDNAなどが用いられる。
本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に導入するにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNAを導入する場合、これと相同性が高い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のDNAを高発現するDNA導入哺乳動物を作出することができる。
【0064】
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられる。
上記のDNA発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、▲1▼ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモーター、▲2▼各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のプロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリホスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサイトメガロウイルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
上記ベクターは、DNA導入哺乳動物において目的とするmRNAの転写を終結する配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウイルス由来および各種哺乳動物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミアンウイルスのSV40ターミネターなどが用いられる。
【0065】
その他、目的とする外来性DNAをさらに高発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流に連結することも目的により可能である。
正常な本発明のポリペプチドの翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製された相補DNAを原料として取得することが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の細胞または組織より得られた正常なポリペプチドの翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域はDNA導入動物において発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDNA工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの導入は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。DNA導入後の作出動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを有する。
本発明の外来性正常DNAを導入した非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの導入は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。DNA導入後の作出動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有する。
導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するように繁殖継代することができる。
【0066】
本発明の正常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促進することにより最終的に本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能亢進症を発症することがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の正常DNA導入動物を用いて、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能亢進症や、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターが関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、本発明の外来性正常DNAを導入した哺乳動物は、遊離した本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの増加症状を有することから、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに関連する疾患(例、肥満症、癌など)に対する予防・治療剤のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、本発明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とする外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科として用いることができる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製することができる。受精卵細胞段階における本発明の異常DNAの導入は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA導入後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。
【0067】
本発明の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を阻害することにより最終的に本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の異常DNA導入動物を用いて、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、具体的な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能不活性型不応症における本発明の異常ポリペプチドまたは本発明の異常レセプターによる正常ポリペプチドまたはレセプターの機能阻害(dominant negative作用)を解明するモデルとなる。
また、本発明の外来異常DNAを導入した哺乳動物は、遊離した本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの増加症状を有することから、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、上記2種類の本発明のDNA導入動物のその他の利用可能性として、例えば、
▲1▼組織培養のための細胞源としての使用、
▲2▼本発明のDNA導入動物の組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現されたポリペプチドまたはレセプター組織を分析することによる、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターにより特異的に発現あるいは活性化するポリペプチドまたはレセプターとの関連性についての解析、
▲3▼DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
▲4▼上記▲3▼記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリーニング、および
▲5▼本発明の変異ポリペプチドまたはレセプターを単離精製およびその抗体作製などが考えられる。
さらに、本発明のDNA導入動物を用いて、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能不活性型不応症などを含む、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに関連する疾患(例、癌、肥満症など)の臨床症状を調べることができ、また、本発明のポリペプチドに関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、本発明のDNA導入動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したDNA導入細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さらに、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプター産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターおよびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、本発明のDNA導入動物を用いて、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの機能不活性型不応症を含む、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに関連する疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。また、本発明のDNA導入動物または本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発明のポリペプチドが関連する疾患のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
【0068】
(8)ノックアウト動物
本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された上記(1)記載の胚幹細胞、
(3)ネオマイシン耐性である上記(1)記載の胚幹細胞、
(4)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(1)記載の胚幹細胞、
(5)ゲッ歯動物がマウスである上記(4)記載の胚幹細胞、
(6)本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(9)ゲッ歯動物がマウスである上記(8)記載の非ヒト哺乳動物、および
(10)上記(7)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、あるいは該DNAがコードしている本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエクソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
【0069】
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエクソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエクソンの機能を破壊するか、あるいはエクソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、ポリA付加シグナルなど)を挿入し、完全なmRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知のEvansとKaufmanの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2とのF1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
【0070】
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, Nature 第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの細胞生物学的検討において有用である。
【0071】
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知の方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのヘテロ発現不全個体であり、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターのホモ発現不全個体を得ることができる。
【0072】
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターにより誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
【0073】
(8a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などに対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
具体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
【0074】
例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などに対して予防・治療効果を有する化合物をスクリーニングする場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に糖負荷処置を行ない、糖負荷処置前または処置後に試験化合物を投与し、該動物の血糖値および体重変化などを経時的に測定する。
該スクリーニング方法において、試験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の癌転移が約10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約50%以上低下した場合、該試験化合物を肥満症に対して予防・治療効果を有する化合物として選択することができる。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のポリペプチドの欠損や損傷などによって引き起こされる疾患、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などに対して予防・治療効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として使用することができる。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のポリペプチドを含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の肥満症の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の癌の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0075】
(8b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、可溶性アルカリホスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。
本発明のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、本発明のポリペプチドをコードするDNA領域の一部を大腸菌由来のlacZで置換している場合、本来、本発明のポリペプチドの発現する組織で、本発明のポリペプチドの代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明のポリペプチドの動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、本発明のポリペプチド欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸など)や塩基(例、有機酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
【0076】
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの発現を促進し、該ポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を促進することができるので、例えば、肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、例えば、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの医薬として有用である。中でも好ましくは、肥満症の予防・治療剤などである。
また、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの発現を阻害し、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性または機能を阻害することができるので、例えば、癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。あるいは、中枢疾患(例、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)などの安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として有用である。好ましくは、癌の予防・治療剤、摂食促進剤などである。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
【0077】
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のスクリーニング方法で得られる化合物またはその塩を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の肥満症の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の肥満症の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の癌の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の癌の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、本発明のポリペプチドのプロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種々のタンパク質をコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子移入動物)を作成すれば、特異的にそのポリペプチドを合成させ、その生体での作用を検討することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターそのものの体内での産生能力を特異的に促進または阻害(抑制)する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
【0078】
(9)本発明の「本発明のポリペプチドの活性を促進する化合物またはその塩を含有してなる肥満症の予防・治療剤」および「本発明のポリペプチドの活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなる癌の予防・治療剤」について
「本発明のポリペプチドの活性を促進する化合物」は、本発明のポリペプチドの活性を促進する化合物であればいかなるものでもよく、例えば肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)の予防・治療剤などとして用いられる。
「本発明のポリペプチドの活性を阻害する化合物」は、本発明のポリペプチドの活性を阻害する化合物であればいかなるものでもよく、例えば癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
該予防・治療剤は、上記(2)などと同様にして製造される。
【0079】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
Figure 0004535670
Figure 0004535670
Figure 0004535670
Fmoc-Lys(Boc)-Thr(Psi(Me,Me)pro)-OH:
(4S,5R)-3-(Fmoc-Lys(Boc)-2,2,5-トリメチル-オキサゾリジン-4-カルボン酸 [(4S,5R)-3-(Fmoc-Lys(Boc)-2,2,5-trimethyl-oxazolidine-4-carboxylic acid )]
【0080】
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1(ヒトTGR23−1)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−2(ヒトTGR23−2)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:4〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−2をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕
以下の参考例1、実施例28、実施例32および実施例33におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:6〕
以下の参考例1、実施例28、実施例32および実施例33におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:7〕
以下の実施例1および実施例15におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:8〕
以下の実施例1および実施例15におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:9〕
以下の実施例2、実施例16、参考例2、実施例31、実施例39および実施例47で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:10〕
以下の実施例2、実施例16、参考例2、実施例31、実施例39および実施例47で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:11〕
以下の実施例2、実施例16、参考例2、実施例31、実施例39および実施例47で使用したプローブの塩基配列を示す。
〔配列番号:12〕
ラットTGR23−2リガンド(1−18)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:13〕
ラットTGR23−2リガンド(1−15)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:14〕
ラットTGR23−2リガンド(1−14)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:15〕
以下の実施例11におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:16〕
以下の実施例11におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:17〕
以下の実施例11におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:18〕
ヒトTGR23−2リガンド前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:19〕
ヒトTGR23−2リガンド前駆体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:20〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−18)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:21〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−15)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:22〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−14)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:23〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−20)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:24〕
以下の実施例12におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:25〕
以下の実施例12におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:26〕
以下の実施例12におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:27〕
マウスTGR23−2リガンド前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:28〕
マウスTGR23−2リガンド前駆体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:29〕
マウスTGR23−2リガンド(1−18)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:30〕
マウスTGR23−2リガンド(1−15)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:31〕
マウスTGR23−2リガンド(1−14)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:32〕
マウスTGR23−2リガンド(1−20)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:33〕
以下の実施例13におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:34〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体の一部をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:35〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体の一部のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:36〕
ラットTGR23−2リガンド(1−20)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:37〕
配列番号:12で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:38〕
配列番号:13で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:39〕
配列番号:14で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:40〕
配列番号:36で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
【0081】
〔配列番号:41〕
配列番号:20で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:42〕
配列番号:21で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:43〕
配列番号:22で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:44〕
配列番号:23で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:45〕
配列番号:29で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:46〕
配列番号:30で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:47〕
配列番号:31で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:48〕
配列番号:32で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:49〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−16)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:50〕
配列番号:49で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:51〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:52〕
配列番号:51で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:53〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:54〕
配列番号:53で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:55〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:56〕
配列番号:55で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:57〕
以下の実施例14におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:58〕
以下の実施例14におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:59〕
以下の実施例14におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:60〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:61〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:62〕
[Nle10,Tyr15]ヒトTGR23−2リガンド(1−20)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:63〕
新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1A(ヒトTGR23−1A)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:64〕
ヒトTGR23−1AをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:65〕
新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1B(ヒトTGR23−1B)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:66〕
ヒトTGR23−1BをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:67〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:68〕
配列番号:67で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:69〕
ヒト由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:70〕
配列番号:69で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:71〕
マウス由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−A(マウスTGR23−Aと称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:72〕
マウス由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−AをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:73〕
以下の参考例3におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:74〕
以下の参考例3におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:75〕
マウス由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−B(マウスTGR23−Bと称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:76〕
マウス由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−BをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:77〕
ラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1(ラットTGR23−1と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:78〕
ラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:79〕
以下の参考例4および実施例30におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:80〕
以下の参考例4および実施例30におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
【0082】
〔配列番号:81〕
以下の実施例29におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:82〕
以下の実施例29におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:83〕
本発明のマウス由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−C(マウスTGR23−Cと称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:84〕
本発明のマウス由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−CをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:85〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−2(ラットTGR23−2と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:86〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−2をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:87〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−3(ラットTGR23−3と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:88〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−3をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:89〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−4(ラットTGR23−4と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:90〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−4をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:91〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−5(ラットTGR23−5と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:92〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−5をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:93〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−6(ラットTGR23−2と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:94〕
本発明のラット由来新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−6をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:95〕
ヒト結腸癌細胞LS 174Tより得られた新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1C(ヒトTGR23−1C)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:96〕
配列番号:95をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:97〕
ヒト結腸癌細胞LS 180より得られた新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1D(ヒトTGR23−1D)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:98〕
配列番号:97をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:99〕
ヒト胃癌細胞KATOIIIより得られた新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1C(ヒトTGR23−1C)をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:100〕
配列番号:95をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:101〕
配列番号:3をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:102〕
新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1E(ヒトTGR23−1E)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:103〕
ヒトTGR23−1EをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:104〕
新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質TGR23−1F(ヒトTGR23−1F)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:105〕
ヒトTGR23−1FをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:106〕
ヒトTGR23−1AをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:107〕
ヒトTGR23−1AをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:108〕
ヒトTGR23−1CをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:109〕
ヒトTGR23−1CをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:110〕
ヒトTGR23−1DをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:111〕
ヒトTGR23−1DをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:112〕
ヒトTGR23−1BをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:113〕
ヒトTGR23−1BをコードするDNAを作製するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:114〕
実施例39においてヒトTGR23−2部分DNAを増幅するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:115〕
実施例39においてヒトTGR23−2部分DNAを増幅するために用いたプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:116〕
ラットTGR23−5をコードするDNAを作製するために用いたプライマー配列を示す。
〔配列番号:117〕
ラットTGR23−5をコードするDNAを作製するために用いたプライマー配列を示す。
〔配列番号:118〕
実施例43においてラットTGR23−1部分DNAを増幅するために用いたプライマー配列を示す。
〔配列番号:119〕
実施例43においてラットTGR23−1部分DNAを増幅するために用いたプライマー配列を示す。
〔配列番号:120〕
実施例43において使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:121〕
実施例43において使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:122〕
実施例43において使用したプローブの塩基配列を示す。
〔配列番号:123〕
実施例46および実施例47で用いられたアンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:124〕
実施例46および実施例47で用いられたオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
【0083】
後述の参考例1で得られた形質転換体大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pTB2173は、2000年10月24日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16483として、2000年11月1日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧NIBH)に受託番号FERM BP−7346としてそれぞれ寄託されている。
後述の参考例1で得られた形質転換体大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pTB2174は、2000年10月24日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16484として、2000年11月1日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧NIBH)に受託番号FERM BP−7347としてそれぞれ寄託されている。
後述の実施例11で得られた形質転換体Escherichia coli JM109/pGEM-T Easy Human TGR23(2) Ligand Precursorは、2001年10月12日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16714として、2001年10月22日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERMBP−7781としてそれぞれ寄託されている。
後述の実施例12で得られた形質転換体Escherichia coli JM109/pGEM-T Easy Mouse TGR23(2) Ligand Precursorは、2001年10月12日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16715として、2001年10月22日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERMBP−7783としてそれぞれ寄託されている。
後述の実施例14で得られた形質転換体Escherichia coli JM109/pGEM-T Easy Rat TGR23(2) Ligand Precursorは、2001年10月12日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16716として、2001年10月22日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7782としてそれぞれ寄託されている。
後述の実施例29で得られた形質転換体Escherichia coli DH5α/pCR2.1-mTGR23-Bは、2002年6月18日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−8078として寄託されている。
後述の参考例4で得られた形質転換体Escherichia coli DH5α/pCR2.1-rTGR23-1は、2002年6月18日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−8079として寄託されている。
後述の実施例36で得られた形質転換体Escherichia coli TOP10/pAKKO-hTGR23-1Aは、2002年6月27日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−8092として寄託されている。
後述の実施例37で得られた形質転換体Escherichia coli TOP10/pAKKO-hTGR23-1Bは、2002年6月27日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−8093として寄託されている。
後述の実施例36で得られた形質転換体Escherichia coli DH5α/pAKKO-hTGR23-1Cは、2002年6月27日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−8094として寄託されている。
後述の実施例36で得られた形質転換体Escherichia coli DH5α/pAKKO-hTGR23-1Dは、2002年6月27日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−8095として寄託されている。
後述の実施例41で得られた形質転換体Escherichia coli DH5α/pAKKO-rTGR23-5は、2002年9月6日から茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−8178として寄託されている。
【0084】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
以下で取得されたヒトTGR23−1、ヒトTGR23−2、ヒトTGR23−1A、ヒトTGR23−1B、ヒトTGR23−1CおよびヒトTGR23−1DをヒトTGR23と略すこともある。ヒトTGR23には、上記タンパク質の変異体も含まれることもある。また、これらヒトTGR23をコードする遺伝子をヒトTGR23遺伝子と称する。
参考例1
ヒト結腸癌由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
ヒト結腸癌(CX-1)cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA 5μlを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(STRATAGENE社)2.5U、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を各1.0μM、dNTPsを200μM、および酵素に2XGC BufferI(TaKaRa社)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・1分、60℃・1分、72℃・1.5分のサイクルを38回繰り返し最後に72℃・10分の伸長反応を行った。該PCR反応産物をZero Blunt TOPO PCR クローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR-BluntII-TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌TOP10に導入し、cDNAを持つクローンをカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:2および配列番号:4)を得た。配列番号:2で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpTB2173と、配列番号:4で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpTB2174と名付けた。これらのDNAの塩基配列(配列番号:2および配列番号:4)がコードするアミノ酸配列(配列番号:1および配列番号:3)を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をTGR23-1(ヒトTGR23-1)およびTGR23-2(ヒトTGR23-2)とそれぞれ命名した。さらに、プラスミドpTB2173およびpTB2174が導入された形質転換体を、それぞれ、大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pTB2173およびTOP10/pTB2174と命名した。
TGR23−2のアミノ酸配列では、TGR23−1のアミノ酸配列の107番目のAsnがIleに、344番目のGlnがArgにそれぞれ置換されている。また、TGR23−2をコードするDNAの塩基配列では、TGR23−1をコードするDNAの塩基配列の320番目のAがTに、648番目のCがTに、1031番目のAがGに、1071番目のTがCにそれぞれ置換されている。TGR23−1の疎水性プロット図を図1に、TGR23−2の疎水性プロット図を図2にそれぞれ示す。
【0085】
参考例2
ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2の癌細胞株での発現検討
癌細胞株SW620(ヒト結腸癌由来)、LS123(ヒト結腸癌由来)、COLO205(ヒト結腸癌由来)、DU145(ヒト前立腺癌由来)、ZR75-1(ヒト乳癌由来)、NCI-H358(ヒト気管支肺胞腺癌由来)(いずれもアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC))を用いてヒトTGR23-1およびTGR23-2の発現量の検討を行った。SW620はLeibovitz's L15培地(SIGMA社、カタログ番号L5520)、LS123はEMEM培地(GIBCO社、カタログ番号11090-081)、COLO205、ZR75-1、NCI-H358は10mM HEPES(GIBCO社)、1mM Sodium Pyruvate(GIBCO社)を含むRPMI1640培地(GIBCO社、カタログ番号11875-093)、DU145は0.1mM MEM 非必須アミノ酸溶液、1mM Sodium Pyruvate(GIBCO社)を含むEMEM培地(GIBCO社、カタログ番号11095-080)にいずれの培地も、それぞれ10% ウシ胎児血清(GIBCO社)、0.1g/lのカナマイシン(GIBCO社)になるようにそれらを加え、培養を行った。細胞培養は10cm-dishにておこないRNeasy Mini Kit(QIAGEN社)を用いてRNAを調製した。得られたRNAの260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、それぞれ5ngを用いTaqMan Reverse Transcription Reagents(アプライドバイオシステムズ社)を用いて逆転写反応を行った。得られた逆転写産物1ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA 1ngを鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:9)、プライマー2(配列番号:10)およびプローブ1(配列番号:11)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記逆転写反応産物1ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA 1ngを鋳型として使用し、プライマー1(配列番号:9)およびプライマー2(配列番号:10)を各0.5μM、プローブ1(配列番号:11)を0.1μM、およびTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)12.5μlを加え、25μlの液量とした。PCR反応は、ABI7700(アプライドバイオシステムズ社)を用いて50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返し行った。同様に逆転写産物0.25ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA0.25ngを鋳型として使用し、TaqMan β-actin Control Reagents(アプライドバイオシステムズ社)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記逆転写産物0.25ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA0.25ngを鋳型として使用し、TaqMan β-actin Control Reagentsに含まれるβ-actin Forward Primerおよびβ-actin Reverse Primerを各0.4μM、β−actin Probeを0.5μM、およびTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)12.5μlを加え、25μlの液量とした。PCR反応は、ABI7700(アプライドバイオシステムズ社)を用いて50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、62℃・1分のサイクルを40回繰り返し行った。実施例2と同様に解析を行い、逆転写反応産物の解析より得られた値から逆転写反応を行わずに得られた値を差し引き、発現量を決定した。さらにヒトTGR23−1およびTGR23−2の発現量の値はβ−アクチンに対しての発現量として求めた。このとき得られた値が0以下を示した場合、その値を0として置き換えた。その結果、β−アクチンに対するヒトTGR23-1およびTGR23-2の発現量はSW620では、0.0021%、LS123では0.0%、COLO205では2.1%、DU145では0.00029%、ZR75-1では0.0012%、NCI-H358では0.0%であった。
これより、ヒトTGR23-1およびヒトTGR23-2は、COLO205において非常に発現が増強していたことがわかる。
ヒトTGR23-1およびヒトTGR23-2の癌細胞株における発現量のグラフを図19に示す。
【0086】
参考例3
マウス脳由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
マウスMarathon Ready cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:73)およびプライマー2(配列番号:74)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA 1μlを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(STRATAGENE社)2.5U、プライマー1(配列番号:73)およびプライマー2(配列番号:74)を各1μM、dNTPsを200μM、および酵素に2XGC BufferI(TaKaRa社)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・1分、60℃・1分、72℃・1.5分のサイクルを38回繰り返し、最後に72℃・5分の伸長反応を行った。次にアガロースゲル電気泳動を行い、Gel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いて該PCR反応産物を精製した。これをZero Blunt TOPO PCR クローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR-BluntII-TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌TOP10に導入し、cDNAを持つクローンをカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:72)を得た。このDNAの塩基配列(配列番号:72)がコードするアミノ酸配列(配列番号:71)を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をマウスTGR23-Aと命名した。
配列番号:72で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpTB2237と名付け、プラスミドpTB2237を導入された形質転換体を、大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pTB2237と命名した。
【0087】
参考例4
ラット脳由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
ラットMarathon Ready cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:79)およびプライマー2(配列番号:80)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA2.5μlを鋳型として使用し、Advantage2 Polymerase Mix(CLONTECH社)1μl、プライマー1(配列番号:79)およびプライマー2(配列番号:80)を各0.2μM、dNTPsを800μM、および酵素にDMSOを2μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・30秒、72℃・4分のサイクルを5回、95℃・30秒、70℃・4分のサイクルを5回、95℃・30秒、68℃・4分のサイクルを30回繰り返し、最後に68℃・3分の伸長反応を行った。次にアガロースゲル電気泳動を行い、GENECLEAN SPIN Kit(BIO101社)を用いて該PCR反応産物を精製した。これを TOPO TA クローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR2.1-TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌DH5αに導入し、cDNAを持つクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:78)を得た。このDNAの塩基配列(配列番号:78)がコードするアミノ酸配列(配列番号:77)を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をラットTGR23-1と命名した。
配列番号:78で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpCR2.1-rTGR23-1と名付け、プラスミドpCR2.1-rTGR23が導入された形質転換体を、大腸菌(Escherichia coli)DH5α/pCR2.1-rTGR23-1と命名した。
【0088】
実施例1
TGR23-2発現(以下、ヒトTGR23-2を、単にTGR23-2と称することもある)CHO細胞の作成
参考例1で得られたプラスミドpTB2174を鋳型とし、Sal I認識配列を付加したプライマー1(配列番号:7)およびSpe I認識配列を付加したプライマー2(配列番号:8)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記プラスミド10 ngを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(ストラタジーン社)2.5 U、プライマー1(配列番号:7)およびプライマー2(配列番号:8)を各1.0μM、dNTPsを200μM、および反応液に2 X GC Buffer I(宝酒造)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・60秒の後、95℃・60秒、55℃・60秒、72℃・70秒のサイクルを25回繰り返し、最後に72℃・10分の伸長反応を行った。該PCR反応産物をZero Blunt TOPO PCRクローニングキット(インビトロジェン社)の処方に従いプラスミドベクターpCR-Blunt II-TOPO(インビトロジェン社)へサブクローニングした。これをE. coli TOP10(インビトロジェン社)に導入し、pTB2174に含まれるTGR23-2のcDNAを持つクローンをカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。ここで得られた、5’側および3’側にSal IおよびSpe Iがそれぞれ認識する配列を付加したTGR23-2が導入されたプラスミドによって形質転換されたE. coliのクローンよりPlasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてプラスミドを調製し、制限酵素Sal I およびSpe Iで切断してインサート部分を切り出した。インサートDNAは電気泳動後、アガロースゲルより切り出し、次にGel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いて回収した。このインサートDNAをSal I およびSpe Iで切断した動物細胞発現用ベクタープラスミドpAKKO-111H(Hinuma, S. et al. Biochim. Biophys. Acta, Vol. 1219, pp. 251-259 (1994)記載のpAKKO1.11Hと同一のベクタープラスミド)に加え、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造)を用いてライゲーションを行ない、蛋白発現用プラスミドpAKKO-TGR23-2を構築した。このpAKKO-TGR23-2で形質転換したE. coli TOP10を培養後、Plasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてpAKKO-TGR23-2のプラスミドDNAを調製した。ハムスターCHO/dhfr- 細胞を10%ウシ胎児血清を含むα-MEM培地(with ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12571)でファルコンディッシュ(径3.5 cm)に1 x 105個播種し、5% CO2インキュベーターで37℃一晩培養した。上記発現プラスミドpAKKO-TGR23-2 DNA 2μgをTransfection Reagent FuGENE 6 (Roche社)を用い、添付説明書記載の方法に従ってトランスフェクトし、18時間培養後新鮮な増殖培地に交換した。さらに10時間培養を続けたのち、トランスフェクトした細胞をトリプシン−EDTA処理により集め、選択培地(10% 透析牛胎児血清を含むα-MEM培地(without ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12561))を用いて平底96穴プレート10枚に播種した。3−4日ごとに選択培地を交換しながら培養を続け、2−3週間後にコロニー状に増殖してきたDHFR+ 細胞クローンを79個取得した。
【0089】
実施例2
TaqMan PCR法を用いたTGR23-2発現CHO細胞株のTGR23-2発現量の定量
実施例1で得たTGR23-2発現CHO細胞株79クローンを、96ウェルプレートに培養し、RNeasy 96 Kit(QIAGEN社)を用いてtotal RNAを調製した。得られたtotal RNA 50〜200 ngを TaqMan Gold RT-PCR Kit (PEバイオシステムズ社)を用いて、逆転写反応を行なった。得られたtotal RNA 5〜20 ng相当の逆転写産物、または後に述べるようにして作製した標準cDNA、1xUniversal PCR Master Mix(PEバイオシステムズ社)、配列番号:9で表されるプライマーおよび配列番号:10で表されるプライマー各500 nM、および配列番号:11(Fam-acctggtttg ccgagtggtc cgctattt-Tamra;配列中、Famは6-carboxy-fluoresceinを、Tamraは6-carboxy-tetramethyl-rhodamine をそれぞれ示す)で表されるTaqManプローブ 100 nMを含む反応混合液25μlについてABI PRISM 7700 Sequence Detector(PEバイオシステムズ社)を用いてPCRを行なった。PCRは、50℃・2分、95℃・10分で処理後、95℃・15秒、60℃・60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。
標準cDNAは、参考例で得られたプラスミドpTB2174の260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、正確なコピー数を算出した後、1mM EDTAを含む10mM Tris-HCl(pH8.0)溶液で希釈し、2コピーから2x106コピーの標準cDNA溶液を調製した。また、TaqMan PCR用プローブおよびプライマーはPrimer Express(Version1.0)(PEバイオシステムズ社)により設計した。
発現量はABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、標準cDNAの初期濃度の対数値を横軸にとり、標準曲線を作成した。標準曲線より各逆転写産物の初期濃度を算出し、各クローンのtotal RNA当たりのTGR23-2遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23-2の発現が高かったCHO細胞株21個を選択し24ウェルプレートに培養した。これらの細胞について、TGR23-2の発現量を再検した。RNeasy Mini Kits(QIAGEN社)を用いてtotal RNAを調製した後、RNase-free DNase Set(QIAGEN社)を用いてDNase処理をした。得られたtotal RNAから、上記と同様に逆転写反応し、TaqMan PCR法で各クローンのtotal RNA当たりのTGR23-2遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23-2発現CHO細胞株クローン53と58が高い発現量を示すことがわかった。
以後の実施例では、これら2つのクローンの発現細胞を用いた。
【0090】
実施例3
TGR23-2発現CHO細胞を用いた細胞内cAMP産生促進/抑制活性の測定
実施例1で作製し、実施例2で選択したCHO/TGR23-2細胞を24穴プレートに7 x 104 cells/wellで播種し、48時間培養した。細胞を0.2 mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20 mM HEPESを含むαMEM培地(pH 7.5)で洗浄した(以下、0.2 mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20 mM HEPESを含むαMEM培地(pH 7.5)を反応用バッファーと記す)。その後0.5 mlの反応用バッファーを加えて30分間培養器で保温した。反応用バッファーを除き、新たに0.25 mlの反応用バッファーを細胞に加えた後、試料と2μMフォルスコリンを含む0.25 mlの反応用バッファーを細胞に加え、37℃で30分間反応させた。反応液を除き、cAMP EIAキット(アプライドバイオシステム)付属の細胞溶解液を0.5 ml添加して細胞内のcAMPを抽出した。抽出液中のcAMP量は、同キットを用いて定量した。この測定値をもとにして、産生促進/抑制活性を以下に示した式で計算し、% of controlで表した。試料添加群の活性はそれぞれのプレート毎に設置した対照の値を用いて算出した。
% of control = (X-C)/(T-C)x100
X:試料添加群のcAMP量
T:正対照(試料無添加、フォルスコリン刺激あり)の3 wellのcAMP量の平均値
C:負対照(試料無添加、フォルスコリン刺激なし)の2 wellのcAMP量の平均値
【0091】
実施例4
TGR23-2発現CHO細胞を用いたアラキドン酸代謝産物遊離促進活性の測定
実施例1で作製し、実施例2で選択したCHO/TGR23-2細胞を24穴プレートに5 x 104 cells/wellで播種し、24時間培養した。培地を除去し、0.5μCi/ml [3H]-アラキドン酸と10% 透析FBSと20 mM HEPESと0.5% BSAを添加したαMEM培地(pH 7.4)を500μl/well添加し、培養器で16時間保温した。[3H]-アラキドン酸を含む培養液を除き、20 mM HEPESと0.5% BSAを添加したαMEM培地(pH 7.4)を500μl/well添加し、培養器で4時間保温した。培養液を除き、0.05% BSAと20 mM HEPES を添加したハンクス氏液(pH 7.4)を用い、750μl/wellで2回洗浄した(以下、0.05% BSAと20 mM HEPES を添加したハンクス氏液(pH 7.4)を反応用バッファーと記す)。洗浄後、750μl/wellの反応用バッファーを細胞に加え、培養器で40分間保温した。反応用バッファーを除き、新たに250μlの反応用バッファーを添加した後、試料と250μlの反応用バッファーを細胞に加え、37℃で40分間反応させた。反応後、上清350μlを分取し、液体シンチレーターを3 ml加えて放射活性を測定した。この測定値をもとにしてアラキドン酸代謝産物遊離促進活性を以下に示した式で計算し、% of controlで表した。試料添加群の活性はそれぞれのプレート毎に設置した対照の値を用いて算出した。
% of control = (X/C)x100
X:試料添加群の放射活性
C:対照(試料無添加)の4 wellの放射活性の平均値
【0092】
実施例5
TGR23-2発現CHO細胞を用いた細胞内Ca2+放出促進活性の測定
細胞内Ca2+放出促進活性はFLIPR(モレキュラーデバイス社)を用いて測定した。実施例1で作製し、実施例2で選択したCHO/TGR23-2細胞を96穴プレートに3 x 104 cells/wellで播種し、24時間培養した。2.5 mMプロベネシドと20 mM HEPESを含むハンクス氏液(pH 7.4)(以下、2.5 mMプロベネシドと20 mM HEPESを含むハンクス氏液(pH 7.4)を洗浄用バッファーと記す)10 mlにFluo 3-AM 1バイアル分を添加し、ローディングバッファーを作成した。培養プレートの培養液を除き、ローディングバッファーを100μl/well添加して培養器で60分間保温した。培養プレートのローディングバッファーを除き、洗浄用バッファーで洗浄してから、FLIPRの所定の位置に設置した。試料は凍結乾燥品にサンプルバッファー(洗浄用バッファーにBSAを2 mg/ml、CHAPSを1 mg/ml添加したもの)を添加し、攪拌後、超音波処理を30分間行なってから96穴サンプルプレートに移し替えた。このサンプルプレートも設置し、測定を行なった。細胞内Ca2+放出促進活性は、試料添加によって惹起された蛍光強度の増加として計測した。
【0093】
実施例6
TGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のラット全脳抽出物からの精製
TGR23-2に特異的なリガンド活性を示す物質を、TGR23-2発現CHO細胞に対するcAMP産生促進活性を指標として、ラット全脳から精製した。
ラット全脳抽出物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)フラクションを以下に述べる方法で調製した。日本チャールズリバー(株)より購入したオス8週齢のウィスターラットの全脳400 g(200頭分)を順次摘出直後、25頭ずつ沸騰した蒸留水(300 ml)に投じて10分間煮沸した。煮沸後、直ちに氷冷し、200頭分を合わせて(2.4 L)酢酸 180 mlを加えて終濃度1.0 Mとし、低温下ポリトロン(10,000 rpm、2分間)を用いて破砕した。破砕液を遠心(8,000 rpm、30分)して上清を取り、沈殿には1.0 M酢酸2.4 L を加えて再度ポリトロンによって破砕し、一晩攪拌した後、遠心(8,000 rpm、30分)して上清を得た。各遠心で得られた上清は、2倍量(4.8 L)の冷アセトンを4℃でゆっくり滴下した後、1回目の遠心により得られた上清については一晩攪拌し、2回目の遠心により得られた上清については4時間攪拌した。アセトンを加えた抽出液は遠心(8,000 rpm、30分)して沈殿を除き、得られた上清については減圧下エバポレーターにてアセトンを留去した。アセトンを留去した抽出液に等量のジエチルエーテルを加え、分液ロートを使って脂質を含むエーテル層を分離して水層を回収した。エーテル脱脂した抽出液はエバポレーターにて減圧下濃縮しエーテルを完全に除去した。濃縮液をガラス繊維濾紙(アドバンテック、DP70 (90 mmφ))で濾過し、濾液をガラス製カラム(30φ x 240 mm)に充填したODSカラム(ダイソー、Daisogel IR-120-ODS-A 63/210 um)に付した。カラムを1.0 M酢酸 400 mlで洗浄後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む60%アセトニトリル500 mlで溶出した。溶出液を減圧下濃縮して溶媒を留去した後、濃縮液を凍結乾燥した。得られた白色粉末1.2 gを30 mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリルに溶解し、12.5 mlずつをODSカラム(東ソー、TSKgel ODS-80Ts (21.5φ x 300 mm))を用いた10%から60%の0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルの濃度勾配溶出法による分取HPLCに付した。HPLCは2回に分けて行い、溶出液は2分毎に60分画にし、2回分の溶出液をまとめた。各分画を減圧下に濃縮・乾固し、残渣に0.4 mlのジメチルスルホキシド(DMSO)を添加後ボルテックスミキサー、および超音波洗浄機を用いて完全に溶解した。
上記によって得られたHPLCフラクションのDMSO溶液を実施例3に示した方法に従いTGR23-2発現CHO細胞に投与し、細胞内cAMP産生量の測定を行なった結果、分画番号18、20および22〜23に顕著なcAMP産生促進活性が認められた。また同様の試料について実施例4に示した方法に従いアラキドン酸代謝物遊離活性を調べた結果、顕著な活性が確認された。
これらの活性は他のレセプター発現細胞では認められなかったことより、ラット全脳抽出物にTGR23-2に特異的なリガンド活性物質が存在することが示された。得られた3つの活性画分をそれぞれ以下の(a)〜(c)の方法によりさらに精製した。また、いずれの活性分画についても、以下に述べる最初の陽イオン交換カラムを用いた精製工程において得られたcAMP産生促進活性が認められた分画には、同時に実施例5に記載したFLIPRによってレセプター特異的な細胞内カルシウム遊離活性が認められた。そこで、それ以降の精製工程における活性の確認には、FLIPRによる細胞内カルシウム遊離活性を指標として用い、活性を示した分画がcAMP産生促進活性を示すことについては適宜確認した。
(a)分画番号18
分画番号18については、10%アセトニトリルを含む10 mMギ酸アンモニウム10 mlに溶解し、陽イオン交換カラム(東ソー、TSKgel SP-5PW (20 mmφ x 150 mm))に付した後、10%アセトニトリルを含む10 mMから1.0 Mのギ酸アンモニウムの濃度勾配により溶出した。活性はギ酸アンモニウム0.4 M付近に回収された。活性分画を凍結乾燥後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル0.8 mlに溶解し、ODSカラム(東ソー、TSKgel ODS-80Ts (4.6φ x 250 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から25%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出した結果、アセトニトリル13%付近に活性が認められた。得られた活性分画を凍結乾燥後、0.1 mlのDMSOで溶解し、さらに0.7 mlの0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%アセトニトリルを加えてODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG (2.0 mmφx 150 mm))に付した後、0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%から37.5%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、ピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル26%付近に認められた。活性画分には、さらに0.7 mlの0.1%を含むトリフルオロ酢酸10%アセトニトリルを加え、ODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG)に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から20%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出し、溶出液はピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル11%付近に単一ピークとして得られた(図7)。この分画に含まれる活性物質は、以下の実施例10に示すようにして構造決定した。
(b)分画番号20
分画番号20については、10%アセトニトリルを含む10 mMギ酸アンモニウム10 mlに溶解し、陽イオン交換カラム(東ソー、TSKgel SP-5PW (20 mmφ x 150 mm))に付した後、10%アセトニトリルを含む10 mMから1.0 Mのギ酸アンモニウムの濃度勾配により溶出した。活性はギ酸アンモニウム0.6 M付近に回収された。活性分画を凍結乾燥後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル0.8 mlに溶解し、CNカラム(野村化学、Develosil CN-UG-5 (4.6 mmφx 250 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から25%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出した結果、アセトニトリル12%付近に活性が認められた。得られた活性分画を凍結乾燥後、0.1 mlのDMSOで溶解し、さらに0.7 mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリルを加えてODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG (2.0 mmφx 150 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から20%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、溶出液はピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル15%付近に単一ピークとして得られた(図5)。この分画に含まれる活性物質を以下の実施例8に示すようにして構造決定した。
(c)分画番号22〜23
分画番号22〜23については、10%アセトニトリルを含む10 mMギ酸アンモニウム10 mlに溶解し、陽イオン交換カラム(東ソー、TSKgel SP-5PW (20 mmφ x 150 mm))に付した後、10%アセトニトリルを含む10 mMから1.0 Mのギ酸アンモニウムの濃度勾配により溶出した。活性はギ酸アンモニウム0.4 M付近に回収された。活性分画を凍結乾燥後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル0.8 mlに溶解し、CNカラム(野村化学、Develosil CN-UG-5 (4.6 mmφx 250 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から25%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出した結果、アセトニトリル13%付近に活性が認められた。得られた活性分画を凍結乾燥後、0.1 mlのDMSOで溶解し、さらに0.7 mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリルを加えてODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG (2.0 mmφx 150 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から20%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、ピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル16%付近に認められた。活性分画には、さらに0.7 mlの0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%アセトニトリルを加え、ODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG)に付した後、0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%から37.5%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出し、溶出液はピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル28%付近に単一ピークとして得られた(図6)。この分画に含まれる活性物質は、以下の実施例9に示すようにして構造決定した。
【0094】
実施例7
ラット全脳抽出物中のTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的に細胞内cAMP産生促進活性を示す活性物質のプロナーゼによる失活
実施例6でTGR23-2発現CHO細胞に対して細胞内cAMP産生促進活性を示したHPLC分画18、20および22〜23を、タンパク質分解酵素であるプロナーゼ(Sigma, protease Type XIV (P5147))で処理し、活性物質が蛋白性であるか否かを調べた。
上記ラット全脳抽出物HPLC活性分画(分画番号18、20および22〜23)各4 μlを0.2 M酢酸アンモニウム100 μlに加え、これにプロナーゼ3 μgを添加して37℃で2時間インキュベートした後、沸騰水中で10分間加熱して添加したプロナーゼを失活させた。これにBSA 0.05mgおよびCHAPS 0.05 mgを含む蒸留水1mlを加え凍結乾燥した。凍結乾燥した試料を、実施例3に示す方法に従いTGR23-2発現CHO細胞に添加して細胞内cAMP産生促進活性を測定した。
その結果、いずれの分画の活性もプロナーゼ処理によって完全に消失した。
従って、ラット全脳抽出物中のTGR23-2発現CHO細胞に対して細胞内cAMP産生促進活性を示す活性物質は、いずれもタンパク質またはペプチドであることが明らかとなった。
【0095】
実施例8
ラット全脳抽出物の分画番号20から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列の決定
実施例7に示したようにラット全脳抽出物の3つの分画に含まれるTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、いずれもタンパク性であることが予想されたので、以下のようにそれぞれについてアミノ酸配列解析を行なった。
実施例6に示すようにしてラット全脳抽出物の分画番号20から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列解析および質量分析を行なった。活性ピークを含む溶出液を用いてProcise 491cLCプロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム)によるアミノ末端アミノ酸配列分析を行なったところ、N末端から18残基までにSFRNGVGSGVKKTSFRRA(配列番号:12)のアミノ酸配列が得られた。同様の溶出液を用いてナノスプレーイオン源(プロタナ)を装着したThermo Finnigan LCQイオントラップ質量分析計(サーモクエスト)による質量分析を行なった結果、配列番号:12のアミノ酸配列から計算される質量値が得られた(実測値:1954.9、 計算値:1954.2)。
これより、ラット全脳抽出物の分画番号20から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、配列番号:12に示すアミノ酸配列を有するものであると決定された。
【0096】
実施例9
ラット全脳抽出物の分画番号22〜23から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列の決定
実施例6に示すようにしてラット全脳抽出物の分画番号22〜23から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列解析および質量分析を行なった。活性ピークを含む溶出液を用いてProcise 491cLCプロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム)によるアミノ末端アミノ酸配列分析を行なったところ、N末端から15残基までにSFRNGVGSGVKKTSF(配列番号:13)のアミノ酸配列が得られた。同様の溶出液を用いてナノスプレーイオン源(プロタナ)を装着したThermo Finnigan LCQイオントラップ質量分析計(サーモクエスト)による質量分析を行なった結果、配列番号:13のアミノ酸配列から計算される質量値が得られた(実測値:1570.8、 計算値:1570.8)。
これより、ラット全脳抽出物の分画番号22〜23から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、配列番号:13に示すアミノ酸配列を有するものであると決定された。
【0097】
実施例10
ラット全脳抽出物の分画番号18から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列の決定
実施例6に示すようにしてラット全脳抽出物の分画番号18から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列解析および質量分析を行なった。活性ピークを含む溶出液を用いてProcise 491cLCプロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム)によるアミノ末端アミノ酸配列分析を行なったところ、N末端から14残基までにSFRNGVGSGVKKTS(配列番号:14)のアミノ酸配列が得られた。同様の溶出液を用いてナノスプレーイオン源(プロタナ)を装着したThermo Finnigan LCQイオントラップ質量分析計(サーモクエスト)による質量分析を行なった結果、配列番号:14のアミノ酸配列から計算される質量値が得られた(実測値:1424.1、 計算値:1423.6)。
これより、ラット全脳抽出物の分画番号18から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、配列番号:14に示すアミノ酸配列を有するものであると決定された。
【0098】
実施例11
ヒトTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNAのクローニング
ラット全脳抽出物から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性ペプチド(本明細書中、ラットTGR23-2リガンドと記載することがある)のヒトホモログ(本明細書中、ヒトTGR23-2リガンドと記載することがある)の前駆体をコードするcDNAをクローニングするため、ヒト視床下部由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、ヒト視床下部由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、ヒト視床下部Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:15および配列番号:16の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・300秒の加熱の後、94℃・10秒、55℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase 、RNase Freeの蒸留水で50倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:15および配列番号:17の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・300秒の加熱の後、94℃・10秒、55℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、バンドの部分をカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへ、クローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(タカラ)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。この形質転換体をEscherichia coli JM109/pGEM-T Easy Human TGR23(2) Ligand Precursorと命名した。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:18に示すDNA配列を得た。
配列番号:18で表されるDNAの塩基配列には、配列番号:12、配列番号:13および配列番号:14で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列に極めて類似したアミノ酸配列をコードするようなフレームが存在したことからヒトTGR23-2リガンドの前駆体あるいはその一部をコードするcDNAであると推定された。
ヒトTGR23-2リガンドと考えられるアミノ酸配列をコードするようなフレームで配列番号:18から翻訳されるアミノ酸配列の5’上流側には蛋白翻訳の開始コドンであると予想されるATGが2ヶ所存在するが、疎水性プロットを行なったところ、より5’上流側のATGから翻訳した場合にのみシグナル配列と推定される疎水性の高い領域が出現したのでこのATGが開始コドンであると推定した。3’側にはヒトTGR23-2リガンドをコードすると考えられる配列の下流に終止コドンが存在した。以上により推定されたヒトTGR23-2リガンド前駆体のアミノ酸配列を配列番号:19に示す。この配列において、ヒトTGR23-2リガンドに相当すると考えられるアミノ酸配列のN末側には、通常生理活性ペプチドがその前駆体から切り出されるとされるLys-Argの配列(Seidah, N. G. et al.、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9-24頁、1998年)が存在した。一方、C末側には終止コドンが存在したが、配列番号:12で表されるアミノ酸配列を有するラットTGR23-2リガンドに対応する配列との間にさらに2残基が存在した。
これより、ヒトTGR23-2リガンドのアミノ酸配列は、ラット全脳抽出物より得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列;配列番号:12〔ラットTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:13〔ラットTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:14〔ラットTGR23-2リガンド(1-14)〕にそれぞれ対応する、配列番号:20〔ヒトTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:21〔ヒトTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:22〔ヒトTGR23-2リガンド(1-14)〕で表されるアミノ酸配列、およびさらに配列番号:20のC末側に2残基延長された配列番号:23で表されるアミノ酸配列〔ヒトTGR23-2リガンド(1-20)〕であると推定された。さらに、ヒトTGR23-2リガンドの配列は、マウスTGR23-2リガンドおよびラットTGR23-2リガンドの配列と異なり、その配列中にArg-Arg配列ではなくGln-Arg配列を有することから、配列番号:49に示された16残基のアミノ酸配列〔ヒトTGR23-2リガンド(1-16)〕もまたリガンドの配列であると推定された。
【0099】
実施例12
マウスTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNAのクローニング
ラット全脳抽出物から得られたラットTGR23-2リガンドのマウスホモログ(本明細書中、マウスTGR23-2リガンドと記載することがある)の前駆体をコードするcDNAをクローニングするため、マウス全脳由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、マウス全脳由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、マウス全脳Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:24および配列番号:25の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase、RNase Freeの蒸留水で100倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:24および配列番号:26の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、60℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、約440塩基長のDNAをカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへ、クローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(タカラ)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。この形質転換体をEscherichia coli JM109/pGEM-T Easy Mouse TGR23(2) Ligand Precursorと命名した。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:27で表されるDNA配列を得た。
配列番号:27で表されるDNAの塩基配列には、配列番号:12、配列番号:13および配列番号:14で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列に極めて類似したアミノ酸配列をコードするようなフレームが存在したことからマウスTGR23-2リガンドの前駆体あるいはその一部をコードするcDNAであると推定された。
マウスTGR23-2リガンドと考えられるアミノ酸配列をコードするようなフレームで配列番号:27から翻訳されるアミノ酸配列の5'上流側には蛋白翻訳の開始コドンであると予想されるATGが2ヶ所存在するが、疎水性プロットを行なったところ、より5'上流側のATGから翻訳した場合にのみシグナル配列と推定される疎水性の高い領域が出現したのでこのATGが開始コドンであると推定した。このATGコドンのさらに5'上流側には同じフレームで終止コドンが出現した。3'側にはマウスTGR23-2リガンドをコードすると考えられる配列の下流に終止コドンが存在した。以上により推定されたマウスTGR23-2リガンド前駆体のアミノ酸配列を配列番号:28に示す。この配列において、マウスTGR23-2リガンドに相当すると考えられるアミノ酸配列のN末側には、通常生理活性ペプチドがその前駆体から切り出されるとされるLys-Argの配列(Seidah, N. G. et al.、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9-24頁、1998年)が存在した。一方、C末側には終止コドンが存在したが、配列番号:12のラットTGR23-2リガンドに対応する配列との間にさらに2残基が存在した。
これより、マウスTGR23-2リガンドのアミノ酸配列は、ラット全脳抽出物より得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列;配列番号:12〔ラットTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:13〔ラットTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:14〔ラットTGR23-2リガンド(1-14)〕それぞれに対応する、配列番号:29〔マウスTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:30〔マウスTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:31〔マウスTGR23-2リガンド(1-14)〕で表されるアミノ酸配列、およびさらに配列番号:29のC末側に2残基延長された配列番号:32で表されるアミノ酸配列〔マウスTGR23-2リガンド(1-20)〕であると推定された。
【0100】
実施例13
ラットTGR23-2リガンド前駆体の一部をコードするcDNAのクローニング
ラットTGR23-2リガンドの前駆体をコードするcDNAをクローニングするためラット全脳由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、ラット全脳由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、ラット全脳Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:33および配列番号:25の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase、RNase Freeの蒸留水で100倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:33のプライマー1.0μM、配列番号:26の合成DNAプライマー0.2μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、60℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、約200塩基長のDNAをカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへ、クローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(タカラ)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:34で表されるDNA配列を得た。
配列番号:34で表されるDNAの塩基配列には、配列番号:12、配列番号:13および配列番号:14で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列をコードするフレームが存在した。このフレームを読み取り枠としてDNA配列を翻訳したところ、配列番号:35で表されるアミノ酸配列が得られた。この配列を実施例12で得られたマウスTGR23-2リガンド前駆体のアミノ酸配列(配列番号:27)と比較することにより、本配列がラットTGR23-2リガンド前駆体の一部であるC末側の54アミノ酸からなる配列に相当することが推定された。3'側にはラットTGR23-2リガンドをコードする配列の下流に終止コドンが存在した。この配列において、ラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列のN末側には、通常生理活性ペプチドがその前駆体から切り出されるとされるLys-Argの配列(Seidah, N. G. et al.、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9-24頁、1998年)が存在した。一方、C末側には終止コドンが存在したが、配列番号:12のラットTGR23-2リガンドの配列との間にさらに2残基が存在した。
これより、ラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列は、ラット全脳抽出物より得られた配列番号:12〔ラットTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:13〔ラットTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:14〔ラットTGR23-2リガンド(1-14)〕で表されるアミノ酸配列、およびさらに配列番号:12のC末側に2残基延長された配列番号:36で表されるアミノ酸配列〔ラットTGR23-2リガンド(1-20)〕であると推定された。
【0101】
実施例14
ラットTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNAのクローニング
ラットTGR23-2リガンドの前駆体をコードするcDNAをクローニングするためラット全脳由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、ラット全脳由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、ラット全脳Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:57および配列番号:58の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase、RNase Freeの蒸留水で50倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:59のプライマー1.0μM、配列番号:58の合成DNAプライマー0.2μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(タカラ)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、約350塩基長のDNAをカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへクローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(タカラ)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。この形質転換体をEscherichia coli JM109/pGEM-T Easy Rat TGR23(2) Ligand Precursorと命名した。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:60で表されるDNA配列を得た。
配列番号:60で表されるcDNAの塩基配列は、実施例13で得たラットTGR23-2リガンド前駆体の一部をコードするDNA配列(配列番号:34)がさらに5'側に延長された配列であった。本配列を、配列番号:12、配列番号:13または配列番号:14で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列に一致するアミノ酸配列をコードするようなフレームを読み取り枠として翻訳したところ、5'上流側には、ヒトTGR23-2リガンド前駆体およびマウスTGR23-2リガンド前駆体をコードすると推定されるcDNA(配列番号:18および配列番号:27)に存在する蛋白翻訳の開始コドンであると予想されるATGに対応する位置に、ATGが1ヶ所存在した。また、このATGコドンのさらに5'上流側には同じフレームで終止コドンが出現した。3'側にはマウスTGR23-2リガンドをコードすると考えられる配列の下流に終止コドンが存在した。これより、配列番号:60で表される配列は、ラットTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNA配列であると推定された。配列番号:60で表されるcDNAの塩基配列から翻訳されるアミノ酸配列を配列番号:61に示す。
【0102】
実施例15
TGR23-1(以下、ヒトTGR23-1を、単にTGR23-1と称することもある)発現CHO細胞の作成
参考例1で得られたプラスミドpTB2173を鋳型とし、Sal I認識配列を付加したプライマー1(配列番号:7)およびSpe I認識配列を付加したプライマー2(配列番号:8)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記プラスミド10 ngを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(ストラタジーン社)2.5 U、プライマー1(配列番号:7)およびプライマー2(配列番号:8)を各1.0μM、dNTPsを200μM、および反応液に2 X GC Buffer I(宝酒造)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・60秒の後、95℃・60秒、55℃・60秒、72℃・70秒のサイクルを25回繰り返し、最後に72℃・10分の伸長反応を行った。該PCR反応産物をZero Blunt TOPO PCRクローニングキット(インビトロジェン社)の処方に従いプラスミドベクターpCR-BluntII-TOPO(インビトロジェン社)へサブクローニングした。これをE. coli TOP10(インビトロジェン社)に導入し、pTB2173に含まれるTGR23-1のcDNAを持つクローンを、カナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。ここで得られた、5’側および3’側にSal IおよびSpe Iがそれぞれ認識する配列を付加したTGR23-1が導入されたプラスミドによって形質転換されたE. coliのクローンよりPlasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてプラスミドを調製し、制限酵素Sal I およびSpe Iで切断してインサート部分を切り出した。インサートDNAは電気泳動後、アガロースゲルより切り出し、次にGel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いて回収した。このインサートDNAをSal I およびSpe Iで切断した動物細胞発現用ベクタープラスミドpAKKO-111H(Hinuma, S. et al. Biochim. Biophys. Acta, Vol. 1219, pp. 251-259 (1994)記載のpAKKO1.11Hと同一のベクタープラスミド)に加え、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造)を用いてライゲーションを行ない、蛋白発現用プラスミドpAKKO-TGR23-1を構築した。このpAKKO-TGR23-1で形質転換したE. coli TOP10を培養後、Plasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてpAKKO-TGR23-1のプラスミドDNAを調製した。
ハムスターCHO/dhfr-細胞を10%ウシ胎児血清を含むα-MEM培地(with ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12571)でファルコンディッシュ(径3.5 cm)に1 x 105 個播種し、5% CO2インキュベーターで37℃一晩培養した。上記発現プラスミドpAKKO-TGR23-1 DNA 2μgをTransfection Reagent FuGENE 6 (Roche社)を用い、添付説明書記載の方法に従ってトランスフェクトし、18時間培養後、新鮮な増殖培地に交換した。さらに10時間培養を続けたのち、トランスフェクトした細胞をトリプシン−EDTA処理により集め、選択培地(10% 透析牛胎児血清を含むα-MEM培地(without ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12561))を用いて平底96穴プレート10枚に播種した。3−4日ごとに選択培地を交換しながら培養を続け、2−3週間後にコロニー状に増殖してきたDHFR+ 細胞クローンを81個取得した。
【0103】
実施例16
TaqMan PCR法を用いたTGR23-1発現CHO細胞株のTGR23-1発現量の定量
実施例15で得たTGR23-1発現CHO細胞株81クローンを、96ウェルプレートに培養し、RNeasy 96 Kit(QIAGEN社)を用いてtotal RNAを調製した。得られたtotal RNA 50〜200 ngを TaqMan Gold RT-PCR Kit (PEバイオシステムズ社)を用いて、逆転写反応を行なった。得られたtotal RNA 5〜20 ng相当の逆転写産物、または後に述べるようにして作製した標準cDNA、1xUniversal PCR Master Mix(PEバイオシステムズ社)、配列番号:9で表されるプライマーおよび配列番号:10で表されるプライマー各500 nM、および配列番号:11(Fam-acctggtttg ccgagtggtc cgctattt-Tamra;配列中、Famは6-carboxy-fluoresceinを、Tamraは6-carboxy-tetramethyl-rhodamine をそれぞれ示す)で表されるTaqManプローブ 100 nMを含む反応混合液25μlについてABI PRISM 7700 Sequence Detector(PEバイオシステムズ社)を用いてPCRを行なった。PCRは、50℃・2分、95℃・10分で処理後、95℃・15秒、60℃・60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。
標準cDNAは、参考例1で得られたプラスミドpTB2174の260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、正確なコピー数を算出した後、1mM EDTAを含む10mM Tris-HCl(pH8.0)溶液で希釈し、2コピーから2x106コピーの標準cDNA溶液を調製した。また、TaqMan PCR用プローブおよびプライマーはPrimer Express (Version1.0)(PEバイオシステムズ社)により設計した。
発現量はABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、標準cDNAの初期濃度の対数値を横軸にとり、標準曲線を作成した。標準曲線より各逆転写産物の初期濃度を算出し、各クローンのtotal RNA当たりのTGR23-1遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23-1の発現が高かったCHO細胞株11個を選択し24ウェルプレートに培養した。これらの細胞について、TGR23-1の発現量を再検した。RNeasy Mini Kits(QIAGEN社)を用いてtotal RNAを調製した後、RNase-free DNase Set(QIAGEN社)を用いてDNase処理をした。得られたtotal RNAから、上記と同様に逆転写反応し、TaqMan PCR法で各クローンのtotal RNA当たりのTGR23-1遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23-1発現CHO細胞株クローン49および52が高い発現量を示すことがわかった。
以後の実施例では、これら2つのクローンの発現細胞を用いた。
【0104】
実施例17
ヒトTGR23-2リガンド(1-20):Ser-Phe-Arg-Asn-Gly-Val-Gly-Thr-Gly-Met-Lys-Lys-Thr-Ser-Phe-Gln-Arg-Ala-Lys-Ser(配列番号:23)の製造
市販のBoc-Ser(Bzl)-OCH2-PAM樹脂を、ペプチド合成機ACT90の反応槽に入れ、DCMで膨潤後TFAでBocを除去し、DIEAで中和した。この樹脂をNMPに懸濁し、HOBt-DIPCIでBoc-Lys(Cl-Z)を縮合した。反応後ニンヒドリンテストで遊離のアミノ基の有無を調べ、ニンヒドリンテストがプラスの時には同じアミノ酸を再度縮合した。再縮合後においてもニンヒドリンテストがプラスの時には無水酢酸でアセチル化した。このサイクルを繰り返しBoc-Ala、Boc-Arg(Tos)、Boc-Gln、Boc-Phe、Boc-Ser(Bzl)、Boc-Thr(Bzl)、Boc-Lys(Cl-Z)、Boc-Lys(CL-Z)、Boc-Met、Boc-Gly、Boc-Thr(Bzl)、Boc-Gly、Boc-Val、Boc-Gly、Boc-Asn、Boc-Arg(Tos)、Boc-Phe、Boc-Ser(Bzl)を配列順に縮合し、所望の保護ペプチド樹脂0.24gを得た。この樹脂をp-クレゾール1.5 mlとともにフッ化水素約15 ml中、0℃で60分攪拌した後フッ化水素を減圧留去し、残留物にジエチルエーテルを加えて濾過した。濾過物に水と酢酸を加えペプチドを抽出し、樹脂と分離した。抽出液を濃縮し50%酢酸で充填したセファデックス(商標)G-25カラム(2.0 x 80 cm)に付し、同溶媒で展開、主要画分を集め凍結乾燥した。その一部(45 mg)をLiChroprep(商標)RP-18を充填した逆相クロマトカラム(2.6 x 60 cm)に付け、0.1% TFA水 200mlで洗浄、0.1% TFA 水 300mlと0.1% TFA含有 25%アセトニトリル水 300mlを用いた線型勾配溶出を行い、主要画分を集め凍結乾燥し目的とするペプチド12.7 mgを得た。
ESI-MS:分子量MW 2188.0(理論値 2187.5)
HPLC溶出時間 10.6分
カラム条件:
カラム:Wakosil 5C18T 4.6 x 100mm
溶離液:A液−0.1% TFA水、B液−0.1%TFA含有アセトニトリルを用い A/B : 95/5〜45/55へ直線型濃度勾配溶出(25分)
流速:1.0 ml / 分
【0105】
実施例18
FLIPRを用いたヒトTGR23-2リガンド(1-20)によるTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定
実施例17で得られたヒトTGR23-2リガンド(1-20)を種々の濃度で、実施例5に記載した方法に従って、TGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞に投与し、細胞内Caイオン濃度上昇活性をFLIPRを用いて測定したところ、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)は、濃度依存的にTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇を促進した。結果を図8および図9に示す。
これより、配列番号:23で表されるアミノ配列を有するポリペプチド〔ヒトTGR23-2リガンド(1-20)〕が、TGR23-1およびTGR23-2に対する細胞内Caイオン濃度上昇活性を有することが明らかである。
【0106】
実施例19
ラットTGR23-2リガンド(1-18):Ser-Phe-Arg-Asn-Gly-Val-Gly-Ser-Gly-Val-Lys-Lys-Thr-Ser-Phe-Arg-Arg-Ala(配列番号:12)の製造
市販の2-chlorotrityl resin (Clt resin、1.33 mmol/g) にFmoc-Ala-OHを導入したFmoc-Ala-O-Clt resin (0.638 mmol/g) 0.25 mmol分をペプチド合成機ABI 433Aの反応槽に入れ、Fmoc/DCC/HOBt法を用い、固相合成を行なった。Fmocアミノ酸の側鎖保護基はArgにはPbf基、SerにはBut基、LysにはBoc基、AsnにはTrt基を用いた。他のアミノ酸は側鎖無保護のものを用い、上記に示す配列の17位ArgからN末端方向へ順に14位Serまでペプチド鎖を導入した。得られたFmoc-ラットTGR23-2リガンド(14-18)-O-Clt resin (0.25 mmol)をFmoc-Lys(Boc)-Thr(Psi(Me,Me)pro)-OH (NOVA社製, 製品番号05-20-1116) 381.1 mg (0.625 mmol)、PyAOP 326.1 mg (0.625 mmol)、HOAt 85.1 mg (0.625 mmol)、DIEA 435.5 ml (2.5 mmol)で処理することで12位Lys、13位Thrを導入した。続いて得られたFmoc-Lys(Boc)-Thr(Psi(Me,Me)pro)13]-ラットTGR23-2リガンド(12-18)-O-Clt resin を用いてペプチド合成機による固相合成を再開、11位LysからN末端方向へ順に1位Serまでペプチド鎖を導入し、目的の保護ペプチド樹脂573.5 mgを得た。
この樹脂の全て(0.25 mmol)をTFA、thioanisole、m-cresol、水、triisopropylsilane、ethandithiol (80:5:5:5:2.5:2.5)の混合液9 ml中で室温、90分間攪拌した後、反応溶液にエーテルを加え、白色粉末を析出させ遠心分離後、上清を除く操作を3回繰り返した。残渣を水で抽出後、凍結乾燥し白色粉末を219.4 mg得た。得られた粗ペプチドをYMC Pack R&D-ODS-5-B S-5, 120Aカラム (30 x 250 mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1% TFA-水、B液: 0.1% TFA含有アセトニトリルによるA/B: 90/10〜70/30への直線型濃度勾配溶出(60分)を行ない、目的物を含む分画を集め凍結乾燥し白色粉末を得た。
得られた粉末を全て水に溶解、混合したあと、溶液にBIO-RAD社製イオン交換樹脂AG1 x 8 100-200 mesh chloride formを酢酸塩化した樹脂を3 ml分加え、20分撹拌後濾過により樹脂と不純物を除いた後、凍結乾燥して酢酸塩として白色粉末107.0 mgを得た。
ESI-MS:M+ 1954.2 (理論値 1954.2)
HPLC溶出時間:15.2分
溶出条件
カラム:YMC AM 301 (4.6 x 100mm)
溶離液:A液: 0.1% TFA-水、B液: 0.1% TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜50/50へ直線型濃度勾配溶出(25分)
流速:1.0 ml/分
【0107】
実施例20
マウスTGR23-2リガンド(1-20):Ser-Phe-Arg-Asn-Gly-Val-Gly-Ser-Gly-Ala-Lys-Lys-Thr-Ser-Phe-Arg-Arg-Ala-Lys-Gln(配列番号:32)の製造
市販 2-chlorotrityl resin (Clt resin、1.12 mmol/g) にFmoc-Gln(Trt)-OH を導入したFmoc-Gln(Trt)-O-Clt resin (0.408 mmol/g) 0.25 mmol分を用い、実施例19に記載したラットTGR23-2リガンド(1-18)の製造と同様に固相合成を行ない、目的の保護ペプチド樹脂324.7 mgを得た。
この樹脂100 mgを実施例19と同様に処理し、白色粉末を50.0 mg得た。得られた粗ペプチドをYMC SH-343-5 S-5、120Aカラム (20 x 250 mm)を用いた分取HPLCで、A液: 0.1% TFA-水、B液: 0.1% TFA含有アセトニトリルによるA/B: 92/8〜72/28への直線型濃度勾配溶出(60分)を行ない、目的物を含む分画を集めて凍結乾燥し、白色粉末22.6 mgを得た。
ESI-MS:M+ 2182.8 (理論値 2182.5)
HPLC溶出時間:14.1分
溶出条件
カラム:YMC AM 301 (4.6 x 100 mm)
溶離液:A液: 0.1% TFA-水、B液: 0.1% TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 100/0〜50/50へ直線型濃度勾配溶出(25分)
流速:1.0 ml/分
【0108】
実施例21
FLIPRを用いたラットTGR23-2リガンド(1-18)およびマウスTGR23-2リガンド(1-20)によるTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定
実施例19に記載した方法で製造したラットTGR23-2リガンド(1-18)および実施例20に記載した方法で製造したマウスTGR23-2リガンド(1-20)を種々の濃度で実施例5に記載した方法でTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞に投与し、細胞内Caイオン濃度上昇活性をFLIPRを用いて測定した。結果を図10および図11に示した。明らかにラットTGR23-2リガンド(1-18)およびマウスTGR23-2リガンド(1-20)は濃度依存的にTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇を促進し、配列番号:12および配列番号:32の構造を有するペプチドがTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2体発現CHO細胞に対して細胞内Caイオン濃度上昇活性を示すことが明らかとなった。
【0109】
実施例22
ヒトTGR23-2リガンド(1-20)およびラットTGR23-2リガンド(1-18)によるTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内cAMP産生促進活性の測定
実施例17に記載した方法で製造したヒトTGR23-2リガンド(1-20)を種々の濃度で実施例3に記載した方法でTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞に投与し、細胞内cAMP産生促進活性を測定した。結果を図12に示す。
明らかにヒトTGR23-2リガンド(1-20)は濃度依存的にTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内cAMP産生を促進した。
また、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)および実施例19に記載した方法で製造したラットTGR23-2リガンド(1-18)を種々の濃度でTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞に投与し、上記と同様の測定をフォルスコリン無添加の条件下で実施した。ただし、産生促進活性は以下に示した式で計算し、% of controlで表した。
% of control = X/C x 100
X:試料添加群のcAMP量
C:対照(試料無添加、フォルスコリン刺激なし)の2 wellのcAMP量の平均値結果を、図13および図14に示した。明らかに、フォルスコリン無添加の条件下において、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)およびラットTGR23-2リガンド(1-18)は濃度依存的にTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内cAMP産生を促進した。
【0110】
実施例23
ヒトTGR23-2リガンド(1-20)およびラットTGR23-2リガンド(1-18)によるTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞のアラキドン酸代謝産物遊離促進活性の測定
実施例17に記載した方法で製造したヒトTGR23-2リガンド(1-20)および実施例19に記載した方法で製造したラットTGR23-2リガンド(1-18)を種々の濃度で実施例4に記載した方法でTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞に投与し、アラキドン酸代謝産物遊離促進活性を測定した。結果を図15および図16に示す。
明らかにヒトTGR23-2リガンド(1-20)およびラットTGR23-2リガンド(1-18)は濃度依存的にTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞のアラキドン酸代謝産物遊離を促進した。
【0111】
実施例24
ヒトTGR23-2リガンド(1-20)、ラットTGR23-2リガンド(1-18)およびマウスTGR23-2リガンド(1-20)によるTGR23-2発現CHO細胞の膜画分に対するGTPγS結合活性の測定
TGR23-2発現CHO細胞膜画分に対する [35S]-Guanosine 5'-(γ-thio)triphosphateの結合促進活性を以下の方法により測定した。最初に膜画分の調整法を記載する。8 x 107個のTGR23-2発現CHO細胞に20 mlのホモジネートバッファー(10 mM HEPES (pH 7.3)、5 mM EDTA、0.52 mM PMSF、10μg/ml pepstatin、8μg/ml E64、20μg/ml leupeptin)添加し、ポリトロン(12,000 rpm、30秒 x 3回)を用いて破砕した。細胞破砕液を遠心(1,000 g、15分間)して上清を得た。次にこの上清を超遠心分離(Beckman type 30ローター、30,000 rpm、1時間)し、得られた沈殿物をTGR23-2発現CHO細胞膜画分とした。
GTPγS結合活性の測定は以下の通りである。TGR23-2発現CHO細胞膜画分を膜希釈緩衝液(50 mMトリス塩酸緩衝液(pH 7.4)、5 mM MgCl2、150 mM NaCl、0.03% NaN3、0.1% BSA、1μM GDP)で希釈して、タンパク質濃度30 mg/mlのアッセイ用細胞膜画分溶液をつくる。アッセイ用膜画分溶液200μlに、50 nMの濃度の[35S]-guanosine 5'-(γ-thio)triphosphate(NEN社)を2μlと試料を添加し、この混合液を25℃で一時間保温した。混合液をフィルター濾過し、さらにフィルターを洗浄用バッファー(50 mMトリス塩酸緩衝液(pH 7.4)、5 mM MgCl2、1mM EDTA、0.03% NaN3、0.1% BSA)1.5mlで2回洗浄した後、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。
実施例17に記載した方法で製造したヒトTGR23-2リガンド(1-20)、実施例19に記載した方法で製造したラットTGR23-2リガンド(1-18)および実施例20に記載した方法で製造したマウスTGR23-2リガンド(1-20)を種々の濃度で上に記載した方法でTGR23-2発現CHO細胞より調製した膜画分に投与し、GTPγS結合活性を測定した。結果を図17に示した。明らかにヒトTGR23-2リガンド(1-20)、ラットTGR23-2リガンド(1-18)およびマウスTGR23-2リガンド(1-20)は濃度依存的にTGR23-2発現CHO細胞より調製した膜画分のGTPγS結合活性を促進した。
【0112】
実施例25
[Nle10, Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20):Ser-Phe-Arg-Asn-Gly-Val-Gly-Thr-Gly-Nle-Lys-Lys-Thr-Ser-Tyr-Gln-Arg-Ala-Lys-Ser(配列番号:62)の製造
市販のBoc-Ser(Bzl)-OCH2-PAM樹脂をペプチド合成機ACT90の反応槽に入れてDCMで膨潤した後、TFAでBocを除去し、DIEAで中和した。この樹脂をNMPに懸濁し、HOBt-DIPCIでBoc-Lys(Cl-Z)を縮合した。反応後ニンヒドリンテストで遊離のアミノ基の有無を調べ、ニンヒドリンテストがプラスの時には同じアミノ酸を再度縮合した。再縮合後においてもニンヒドリンテストがプラスの時には無水酢酸でアセチル化した。このサイクルを繰り返し、Boc-Ala、Boc-Arg(Tos)、Boc-Gln、Boc-Tyr(Br-Z)、Boc-Ser(Bzl)、Boc-Thr(Bzl)、Boc-Lys(Cl-Z)、Boc-Lys(Cl-Z)、Boc-Nle、Boc-Gly、Boc-Thr(Bzl)、Boc-Gly、Boc-Val、Boc-Gly、Boc-Asn、Boc-Arg(Tos)、Boc-Phe、Boc-Ser(Bzl)を配列順に縮合して所望の保護ペプチド樹脂0.14 gを得た。この樹脂をp-クレゾール2.0 mlとともにフッ化水素約15 ml中、0℃で60分攪拌した後、フッ化水素を減圧留去し、残留物にジエチルエーテルを加えて濾過した。濾過物に水と酢酸を加えペプチドを抽出し、樹脂と分離した。抽出液を濃縮し、50%酢酸で充填したセファデックス(登録商標)G-25カラム(2.0 x 80 cm)に付して同溶媒で展開し、主要画分を集めて凍結乾燥した。その一部(10.3 mg)をLiChroprep(登録商標)RP-18を充填した逆相クロマトカラム(2.6 x 60 cm)に付けて0.1% TFA水200 mlで洗浄し、0.1% TFA水300 mlと0.1% TFA含有25%アセトニトリル水300 mlを用いた線型勾配溶出を行ない、主要画分を集め凍結乾燥し目的とするペプチド3.96 mgを得た。
ESI-MS:M+ 2186.1 (理論値 2185.5)
HPLC溶出時間:10.4分
カラム条件
カラム:Wakosil-II 5C18HG (4.6 x 100 mm)
溶離液:A液: 0.1% TFA-水、B液: 0.1% TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 95/5〜55/45へ直線型濃度勾配溶出(25分)
流速:1.0 ml/分
【0113】
実施例26
ラクトパーオキシダーゼ法を用いた[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の作製
DMSO 10μlに溶かした[Nle10, Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)(配列番号:62で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド)1 nmolを0.1 M HEPES (pH 7)に溶かした0.0003%過酸化水素水10μl、0.1 M HEPES (pH 7)に溶かしたラクトパーオキシダーゼ (シグマ社) 10μg/mlを10μlおよび[125I]NaI 37 MBq(パーキンエルマーライフサイエンス社)10μlと混合して室温で15分間反応させた後、生成した[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)を以下の条件のHPLCにより分取した。
用いたカラムは、ODS-80TM (4.6 mm x 15 cm)(トーソー社)、溶出液Aとして10%アセトニトリル/0.1% TFA、溶出液Bとして60%アセトニトリル/0.1% TFAを用い、5-5 (2 min)、5-29 (40 min) %B/A+Bのグラディエント溶出法を行なった。流速は1 mL/min、カラム温度は40℃、検出は220nmとした。このHPLC条件では、[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)は24分付近に溶出した。
【0114】
実施例27
[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)を用いたレセプター結合実験
実施例26に記載した方法によって作製した[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)および実施例24に記載した方法によってTGR23-2発現CHO細胞から調製したTGR23-2発現CHO細胞膜画分およびTGR23-2発現CHO細胞の代わりにTGR23-1発現CHO細胞を用いることにより実施例24に記載した方法と同様の方法によって調製したTGR23-1発現CHO細胞膜画分を用いてレセプター結合実験を行なった。
TGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞から調製した細胞膜画分をアッセイ用バッファー(20 mM Tris-HCl、5 mM EDTA、0.1% BSA、0.5 mM PMSF、1μg/mlペプスタチン、4μg/ml E-64、20μg/mlロイペプチン、pH 7.4)で各種濃度に希釈後、ポリプロピレン製試験管(Falcon 2053)に200μlずつ分注した。最大結合量を測定するために2μlのDMSOと10 nMの[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)2μlを膜画分溶液に添加した。また、非特異的結合を測定するために1μM [Nle10, Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)のDMSO溶液2μlと10 nMの[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)2μlを膜画分溶液に添加した。25 ℃で90分間反応させた後、ポリエチレンイミン処理したワットマングラスフィルター(GF-F)を用いて反応液を吸引ろ過した。ろ過後、γ-カウンターを用いて濾紙上に残った放射活性を測定し、最大結合量から非特異的結合量を引いて特異的結合量を見積もった。膜画分の濃度を変化させると膜画分の濃度に依存した[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の特異的な結合が認められた。被験試料のTGR23-1レセプターあるいはTGR23-2レセプターに対する結合阻害活性(阻害率(%))は、最大結合量(TB)から被検試料および[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)を加えたときに濾紙上に残った放射活性(X)を減じた値の特異的結合量(SB)に対する比率((TB-X)/SB x 100 (%))で示される。
TGR23-2発現CHO細胞から調製した膜画分について膜画分濃度を1μg/mlに設定して阻害率からヒトTGR23-2リガンド(1-20)、ラットTGR23-2リガンド(1-18)およびマウスTGR23-2リガンド(1-20)の50%阻害濃度(IC50値)を算出したところ、IC50値はそれぞれ105 pM(ヒトTGR23-2リガンド(1-20))、92.8 pM(ラットTGR23-2リガンド(1-18))および24.5 pM(マウスTGR23-2リガンド(1-20))であった。
種々の濃度におけるヒトTGR23-2リガンド(1-20)、ラットTGR23-2リガンド(1-18)およびマウスTGR23-2リガンド(1-20)の結合阻害活性を、図18に示す。
【0115】
実施例28
ヒト結腸癌細胞COLO 205由来のTGR23遺伝子のクローニング
ATCCより入手したCOLO 205細胞を75 cm2フラスコに培養し、増殖した細胞からISOGEN(ニッポンジーン社)を用いてtotal RNA画分を調製した。COLO 205細胞のtotal RNA 0.5μgを鋳型に、ReverTra Ace -α-(TOYOBO社)を用い、添付のマニュアルにしたがってランダムプライマーを用いて逆転写を行ない、cDNAを作製した。作製したCOLO 205細胞のcDNAを鋳型とし、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を用いてPCR反応を行なった。PCR反応の液量は50μlとし、組成は、鋳型としてcDNA調製液を12.5 ng mRNA相当分、プライマー各0.2μM、dNTP 0.2m M、GC-Melt 0.5M、Advantage-GC 2 Polymerase Mix(クロンテック社)1/50 volumeおよび5倍濃縮Buffer 1/5 volumeとした。反応は、96℃で2分保温した後、96℃・30秒、54℃・30秒、72℃・1分のサイクルを35回繰り返した後、72℃で10分保温して行なった。得られた反応液を用い、TOPO TA cloning kit(インビトロジェン社)を用いてプラスミドベクターpCR2.1-TOPOへサブクローニングし、大腸菌DH5α-T1へ導入した。生じた形質転換体からQIAwell 8 Ultra Plasmid Kit(QIAGEN社)を用いてプラスミドDNAを精製した。塩基配列決定のための反応は、BigDye Terminator Cycle Sequence Ready Reaction Kit(パーキンエルマー社)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読した。
その結果、配列番号:64で表される塩基配列および配列番号:66で表される塩基配列がそれぞれ得られた。
配列番号:64および配列番号:66の塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在した。この翻訳枠から翻訳される蛋白のアミノ酸配列を配列番号:63および配列番号:65にそれぞれ示す。配列番号:63および配列番号:65で表されるアミノ酸配列を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をTGR23−1AおよびTGR23−1Bとそれぞれ命名した。
配列番号:64で表される塩基配列は、配列番号:2で表される塩基配列の(TGR23-1)の第723番目のCがGに置換されている。
配列番号:66で表される塩基配列は、配列番号:2で表される塩基配列(TGR23-1)の第320番目のAがTに、第723番目のCがGにそれぞれ置換されている。
配列番号:63で表されるアミノ酸配列は、配列番号:1で表されるアミノ酸配列(TGR23-1)の第241番目のSerがArgに置換されている。
配列番号:65で表されるアミノ酸配列は、配列番号:1で表されるアミノ酸配列(TGR23-1)の第107番目のAsnがIleに、第241番目のSerがArgにそれぞれ置換されている。
【0116】
実施例29
マウス脳由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
マウスMarathon Ready cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:81)およびプライマー2(配列番号:82)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA2.5μlを鋳型として使用し、Advantage2 Polymerase Mix(CLONTECH社)1μl、プライマー1(配列番号:81)およびプライマー2(配列番号:82)を各0.2μM、dNTPsを800μM加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・30秒、72℃・4分のサイクルを3回、95℃・30秒、70℃・4分のサイクルを3回、95℃・30秒、68℃・4分のサイクルを30回繰り返し、最後に68℃・4分の伸長反応を行った。次にアガロースゲル電気泳動を行い、GENECLEAN SPIN Kit(BIO101社)を用いて該PCR反応産物を精製した。これを TOPO TA クローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR2.1-TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌DH5αに導入し、cDNAを持つクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNA配列(配列番号:76)を得た(WO 02/31145に記載の配列番号:15)。このDNA配列がコードするアミノ酸配列(配列番号:75)を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質をマウスTGR23−Bと命名した(WO 02/31145に記載の配列番号:14)。
マウスTGR23−Bは、参考例3に記載のマウスTGR23−Aと比較すると、マウスTGR23−Aの280番目のGのあとに54塩基が挿入されている形になり、アミノ酸としても18残基が挿入されることになる。
また、同時にマウスTGR23−Bの変異型レセプターをコードするcDNA配列(配列番号:84)も得られた。この配列では、マウスTGR23−BのDNA配列の478番目のGの直後にCAGの3塩基が挿入されており、アミノ酸配列の160番目のGluの直前にAlaが挿入されていた。この配列(配列番号:84)がコードする、160番目のGluの直前にAlaが挿入されたアミノ酸配列(配列番号:83)を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をマウスTGR23−Cと命名した。
配列番号:76で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpCR2.1−mTGR23−Bと名付け、プラスミドpCR2.1−mTGR23−Bが導入された形質転換体を、大腸菌(Escherichia coli)DH5α/pCR2.1−mTGR23−Bと命名した。
【0117】
実施例30
ラット脳由来Gタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
ラットMarathon Ready cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:79)およびプライマー2(配列番号:80)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA2.5μlを鋳型として使用し、Advantage2 Polymerase Mix(CLONTECH社)1μl、プライマー1(配列番号:79)およびプライマー2(配列番号:80)を各0.2μM、dNTPsを800μM、および酵素にDMSOを2μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・30秒、72℃・4分のサイクルを5回、95℃・30秒、70℃・4分のサイクルを5回、95℃・30秒、68℃・4分のサイクルを30回繰り返し、最後に68℃・3分の伸長反応を行った。次にアガロースゲル電気泳動を行い、GENECLEAN SPIN Kit(BIO101社)を用いて該PCR反応産物を精製した。これを TOPO TA クローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR2.1-TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌DH5αに導入し、cDNAを持つクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、参考例4に記載のラットTGR23−1(配列番号:77)をコードするcDNA配列(配列番号:78)のほかに、5種のラットTGR23変異型レセプターをコードするcDNA配列を得た。すなわち、それらは、ラットTGR23−1と比較して、塩基配列の1031番目のAがGに置換したもの(配列番号:86)、塩基配列の772番目のTがCに置換したもの(配列番号:88)、塩基配列の653番目のTがCに置換したもの(配列番号:90)、塩基配列の478番目のGの直後にCAGの3塩基が挿入されたもの(配列番号:92)および塩基配列の478番目のGの直後にCAGの3塩基が挿入され、かつ、塩基配列の1031番目のAがGに置換したもの(配列番号:94)であった。
これらのDNA配列がコードするアミノ酸配列を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質を、それぞれ、ラットTGR23−2(配列番号:85)、ラットTGR23−3(配列番号:87)、ラットTGR23−4(配列番号:89)、ラットTGR23−5(配列番号:91)、ラットTGR23−6(配列番号:93)と命名した。
それぞれの変異体のアミノ酸配列はラットTGR23−1と比較して、ラットTGR23−2ではアミノ酸配列の344番目のGlnがArgに置換され、ラットTGR23−3ではアミノ酸配列の258番目のCysがArgに置換され、ラットTGR23−4ではアミノ酸配列の218番目のValがAlaに置換され、ラットTGR23−5ではアミノ酸配列の160番目のGluの直前にAlaが挿入され、ラットTGR23−6ではアミノ酸配列の160番目のGluの直前にAlaが挿入されてさらにアミノ酸配列の344番目のGlnがArgに置換されている。
配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90、配列番号:92および配列番号:94でそれぞれ表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドを、それぞれpCR2.1−rTGR23−2、pCR2.1−rTGR23−3、pCR2.1−rTGR23−4、pCR2.1−rTGR23−5およびpCR2.1−rTGR23−6と名付け、それらのプラスミドが導入された形質転換体大腸菌(Escherichia coli)を、それぞれ、大腸菌DH5α/pCR2.1−rTGR23−2、大腸菌DH5α/pCR2.1−rTGR23−3、大腸菌DH5α/pCR2.1−rTGR23−4、大腸菌DH5α/pCR2.1−rTGR23−5、および大腸菌DH5α/pCR2.1−rTGR23−6と命名した。
【0118】
実施例31
TaqMan PCR法を用いたヒト結腸癌細胞株およびヒト胃癌細胞株のヒトTGR23遺伝子発現量の定量
ヒト結腸癌細胞株DLD-1、HCT 116、COLO 320DM、COLO 201、COLO 205、LoVo、SW 403、SW 48、SW 948、Caco-2、HT-29、SK-CO-1、T84、SNU-C1はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手した。ヒト結腸癌細胞株COLO 320HSR、HCT-15、LS 174T、LS 180、SW 480、SW 1116、SW 1417、WiDrおよびヒト胃癌細胞株AGS、KATOIIIは大日本製薬社より入手した。各々の細胞を75 cm2フラスコに培養し、増殖した細胞からISOGEN(ニッポンジーン社)を用いてtotal RNA画分を調製した。各々の細胞のtotal RNA 0.5μgを鋳型に、ReverTra Ace -α- (TOYOBO社)を用い、添付のマニュアルにしたがってランダムプライマーを用いて逆転写を行ない、cDNAを作製した。得られたtotal RNA 25 ng相当の逆転写産物、または後に述べるようにして作製した標準cDNA、1xUniversal PCR Master Mix(PEバイオシステムズ社)、配列番号:9で表されるプライマーおよび配列番号:10で表されるプライマー各500 nM、および配列番号:11(Fam-acctggtttg ccgagtggtc cgctattt-Tamra;配列中、Famは6-carboxy-fluoresceinを、Tamraは6-carboxy-tetramethyl-rhodamine をそれぞれ示す)で表されるTaqManプローブ 100 nMを含む反応混合液25μlについてABI PRISM 7700 Sequence Detector(PEバイオシステムズ社)を用いてPCRを行なった。PCRは、50℃・2分、95℃・10分で処理後、95℃・15秒、60℃・60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。
標準cDNAは、参考例1で得られたプラスミドpTB2174の260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、正確なコピー数を算出した後、1mM EDTAを含む10mM Tris-HCl(pH8.0)溶液で希釈し、1コピーから1x106コピーの標準cDNA溶液を調製した。また、TaqMan PCR用プローブおよびプライマーはPrimer Express (Version1.0)(PEバイオシステムズ社)により設計した。
発現量はABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、標準cDNAの初期濃度の対数値を横軸にとり、標準曲線を作成した。標準曲線より各逆転写産物の初期濃度を算出し、各クローンのtotal RNA 25 ng当たりのヒトTGR23遺伝子発現量を求めた。さらに各々のサンプルのGAPDH発現量をGAPDH Control Reagents(PEバイオシステムズ社)を用いて同様のTaqMan PCR法により求め、ヒトTGR23遺伝子発現量の補正を行なった。
その結果、GAPDHに対するヒトTGR23の発現量は、DLD-1では0.000022%, HCT 116では0.0013%, COLO 320DMでは0.0017%, COLO 201では1.0%, COLO 205では3.7%, LoVoでは0.031%, SW 403では0.95%, SW 48では0.00031%, SW 948では0.0001%, Caco-2では0.0001%, HT-29では0.034%, SK-CO-1では0.51%, T84では0.0027%、SNU-C1では0.26%、COLO 320HSRでは0.0001%, HCT-15では0.0001%, LS 174Tでは1.0%, LS 180では0.85%, SW 480では0.0001%, SW 1116では0.0018%, SW 1417では0.0055%, WiDrでは0.00082%、AGSでは0.0002%, KATOIIIでは1.2%であった。
これによりヒトTGR23は、結腸癌細胞であるCOLO 201、COLO 205、LoVo、SW 403、HT-29、SK-CO-1、SNU-C1、LS 174T、LS 180および胃癌細胞であるKATOIIIにおいて特に発現が亢進していることがわかった。
ヒトTGR23の癌細胞株における発現量のグラフを〔図20〕に示す。
なお、ヒト結腸癌由来癌細胞株COLO205は参考例2においてもそのTGR23の発現量を測定し、高い発現を示すことを認めている。β−アクチンに対する発現量は2.1%であった。
【0119】
実施例32
ヒト結腸癌細胞LS 174T, LS 180, SW 403、およびヒト胃癌細胞KATOIII由来のヒトTGR23遺伝子のクローニング
大日本製薬社より入手したLS 174T細胞を75 cm2フラスコに培養し、増殖した細胞からISOGEN(ニッポンジーン社)を用いてtotal RNA画分を調製した。LS 174T細胞のtotal RNA 0.5μgを鋳型に、ReverTra Ace -α- (TOYOBO社)を用い、添付のマニュアルにしたがってランダムプライマーを用いて逆転写を行ない、cDNAを作製した。作製したLS 174T細胞のcDNAを鋳型とし、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を用いてPCR反応を行なった。PCR反応の液量は50μlとし、組成は、鋳型としてcDNA調製液を12.5 ng mRNA相当分、プライマー各0.2μM、dNTP 0.2m M、GC-Melt 0.5M、Advantage-GC 2 Polymerase Mix(クロンテック社)1/50 volumeおよび5倍濃縮Buffer 1/5 volumeとした。反応は、96℃で2分保温した後、96℃・30秒、54℃・30秒、72℃・1分のサイクルを35回繰り返した後、72℃で10分保温して行なった。得られたPCR反応液を電気泳動後、目的のバンドをGel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いて精製した。得られた反応液をTOPO TA cloning kit(インビトロジェン社)を用いてプラスミドベクターpCR2.1-TOPOへサブクローニングし、大腸菌DH5α-T1へ導入した。生じた形質転換体からQIAwell 8 Ultra Plasmid Kit(QIAGEN社)を用いてプラスミドDNAを精製した。塩基配列決定のための反応は、BigDye Terminator Cycle Sequence Ready Reaction Kit(パーキンエルマー社)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読した。
その結果、配列番号:2で表される塩基配列および配列番号:96で表される塩基配列がそれぞれ得られた。配列番号:96で表される塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在した。この翻訳枠から翻訳されるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:95に示す。
配列番号:96で表される塩基配列は、配列番号:2で表される塩基配列(TGR23-1)の第320番目のAがTに置換されている。
配列番号:95で表されるアミノ酸配列は、配列番号:1で表されるアミノ酸配列(TGR23-1)の第107番目のAsnがIleに置換されている。
配列番号:95で表されるアミノ酸配列を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質を、ヒトTGR23−1Cと命名した。
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手したSW 403細胞についても同様にしてヒトTGR23遺伝子のクローニングを行ない、配列を解読したところ、配列番号:2で表される塩基配列が得られた。
大日本製薬社より入手したLS 180細胞とKATOIII細胞についても同様にしてヒトTGR23遺伝子のクローニングを行ない、配列を解読したところ、LS 180細胞からは配列番号:98で表される塩基配列が、KATOIII細胞からは配列番号:99で表される塩基配列がそれぞれ得られた。なおPCR反応の組成は、鋳型としてcDNA調製液を12.5 ng mRNA相当分、プライマー各0.2μM、dNTP 0.2m M、MgCl2 2mM、Ex Taq Polymerase(TOYOBO社)1.25unitsおよび10倍濃縮Buffer 1/10 volumeとした。
配列番号:98で表される塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在し、この翻訳枠から翻訳されるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:97に示す。
配列番号:99で表される塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在し、この翻訳枠から翻訳されるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:95に示す。
配列番号:98で表される塩基配列は、配列番号:2で表される塩基配列(TGR23-1)の第1031番目のAがGに、第1071番目のTがCにそれぞれ置換されている。
配列番号:99で表される塩基配列は、配列番号:2で表される塩基配列(TGR23-1)の第320番目のAがTに、第648番目のCがTにそれぞれ置換されている。
配列番号:97で表されるアミノ酸配列は、配列番号:1で表されるアミノ酸配列(TGR23-1)の第344番目のGlnがArgに置換されている。
配列番号:97で表されるアミノ酸配列を含有する新規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質を、ヒトTGR23−1Dと命名した。
【0120】
実施例33
ヒト視床下部のTGR23遺伝子のクローニング
ヒト視床下部Marathon-Ready cDNA(クロンテック社)を鋳型とし、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を用いてPCR反応を行なった。PCR反応の液量は50μlとし、組成は、cDNA溶液を 1/10 volume、プライマー各0.2μM、dNTP 0.2m M、MgCl2 2mM、Ex Taq Polymerase(TOYOBO社)1.25unitsおよび10倍濃縮Buffer 1/10 volumeとした。反応は、96℃で2分保温した後、96℃・30秒、54℃・30秒、72℃・1分のサイクルを35回繰り返した後、72℃で10分保温して行なった。得られたPCR反応液を電気泳動後、目的のバンドをGel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いて精製した。得られた反応液をTOPO TA cloning kit(インビトロジェン社)を用いてプラスミドベクターpCR2.1-TOPOへサブクローニングし、大腸菌DH5α-T1へ導入した。生じた形質転換体からQIAwell 8 Ultra Plasmid Kit(QIAGEN社)を用いてプラスミドDNAを精製した。塩基配列決定のための反応は、BigDye Terminator Cycle Sequence Ready Reaction Kit(パーキンエルマー社)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読した。
その結果、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:98、配列番号:100および配列番号:101で表される5種類の塩基配列がそれぞれ得られた。
配列番号:100で表される塩基配列は、配列番号:2で表される塩基配列の第320番目のAがTに、第396番目のCがGにそれぞれ置換されている。
配列番号:101で表される塩基配列は、配列番号:2で表される塩基配列の第320番目のAがTに、第1031番目のAがGに、第1071番目のTがCにそれぞれ置換されている。
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:98、配列番号:100および配列番号:101の塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在した。この翻訳枠から翻訳されるタンパク質は、それぞれ、この順にヒトTGR23−1(配列番号:1)、ヒトTGR23−2(配列番号:3)、ヒトTGR23−1D(配列番号:97)、ヒトTGR23−1C(配列番号:95)およびヒトTGR23−2(配列番号:3)である。
【0121】
実施例34
ヒトTGR23-2リガンド(1-20)のラット側脳室内投与による摂餌量に及ぼす影響を検討した。
ラットは、照明時間を8時から20時、室温25℃において飼育した。8週齢Wistar系雄性ラット(手術時体重260〜280g)をペントバルビタール50 mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、ラット脳定位固定装置に固定した。切歯用バーはインターオーラルラインから3.3 mm低くした。頭蓋骨を露出し、側脳室にガイドカニューレAG-8(内径0.4 mm、外径0.5 mm、エイコム)を埋め込むために歯科用ドリルを用いて骨に穴を開けた。また、その周囲3箇所にアンカービスを埋めた。ステンレス製ガイドカニューレ、AG−8を、その先端が側脳室の上部に位置するように挿入した。定位座標は、PaxinosとWatson(1998)のアトラスに従い、ブレグマより、AP: -0.8 mm、L:1.5 mm、H:-4.5mmとした。ガイドカニューレは歯科用セメントおよびアンカービスで頭蓋骨に固定した。ガイドカニューレにはステンレス製ダミーカニューレ、AD-8(外径 0.35 mm、エイコム社)を挿入し、キャプナット(エイコム社)で固定した。術後、ラットは個別のケージで飼育し、粉末飼料へ1週間馴化させた。
ガイドカニューレを埋め込んでから約1週間飼育して術後の回復および粉末飼料への馴化を待ち、ラットの頭蓋骨に装着したキャップナットとダミーカニューレを取り外し、代わりにPTFE(ポリ四フッ化エチレン)チューブ(長さ50 cm、内径0.1 mm、外径0.35 mm、エイコム社)につないだステンレス製マイクロインジェクションカニューレAMI-9(内径0.17 mm、外径0.35 mm、エイコム社)を挿入した。マイクロインジェクションカニューレの長さは、その先端1 mmがガイドカニューレから露出するように調節しておいた。PTFEチューブの一方をマイクロシリンジポンプにつなぎ、大塚蒸留水、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)を溶解させた蒸留水を5μl/分の流速で計10μl(10 nmol/rat)を側脳室に注入した。注入終了後2分待ってからマイクロインジェクションカニューレを取り外し、再びダミーカニューレをキャップナットで固定した。注入は、19時から20時の間に行ない、その後の摂餌量を摂餌量測定措置Feed-Scale(Columbus社)を用いて30分毎に投与4時間後まで経時的に測定した。
結果を〔図21〕に示す。これより、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)投与群は対象群に比し、投与1.5および2時間後において有意(p<0.05)な摂餌量の減少が認められた。
【0122】
実施例35
ヒトTGR23-2リガンド(1-20)のヒト結腸癌細胞株LS 174Tのヌードマウスでの腫瘍増殖に及ぼす影響を検討した。
Phosphate buffer saline (PBS)に溶解したLS 174Tを4 x 106 cells/200μl/mouseの割合で雌性ヌードマウス(BALB/cAnN-nu, 6週齢)の左腹部皮下に投与した。投与3時間後に、大塚蒸留水に2 mM濃度に溶解したヒトTGR23-2リガンド(1-20)または大塚蒸留水100μlをMICRO-OSMOTIC PUMP(alza社、model 1002)に充填し、エーテル麻酔下でマウス背部皮下に埋め込んだ(各群 n=10)。この日より、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)は、48 nmol/dayで14日間持続的に放出されることになる。投与3日後より腫瘍のスケールを測定し、腫瘍体積は(長径)x(短径)2/2で算出した。
結果を〔図22〕に示す。これより、投与11日目から20日目まで、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)投与群においてLS 174Tの腫瘍体積の増大傾向が観察された。
【0123】
実施例36
ヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1CおよびヒトTGR23-1D発現ベクターの構築
ヒトTGR23-1A(配列番号:63)、ヒトTGR23-1C(配列番号:95)およびヒトTGR23-1D(配列番号:97)をコードするDNAをQuick change site-directed mutagenesis キット(Stratagene)を用いてヒトTGR23-1のDNAより調製した。ヒトTGR23-1のDNAに以下のようにしてPCR法により部位特異的変異を導入した。PCR反応液は、5 ngの実施例15に記載のpAKKO-TGR23-1、2 mMのdNTPs、0.4μMの変異導入用フォワードプライマーおよび変異導入用リバースプライマー〔pAKKO-TGR23-1A作製用フォワードプライマー(配列番号:106)、pAKKO-TGR23-1A作製用リバースプライマー(配列番号:107)、pAKKO-TGR23-1C作製用フォワードプライマー(配列番号:108)、pAKKO-TGR23-1C作製用リバースプライマー(配列番号:109)、pAKKO-TGR23-1D作製用フォワードプライマー(配列番号:110)、pAKKO-TGR23-1D作製用リバースプライマー(配列番号:111)〕、2.5 unitのpfuポリメラーゼにキットに添付のPCR反応用バッファーを加え、全容量を50μlとした。この反応液を、95℃で30秒間保温し、その後95℃・30秒、55℃・60秒、68℃・14分を12回繰り返す反応に供した。PCR反応の後、鋳型pAKKO-TGR23-1を分解するため、1μlのDpn I (10 unit/μl)を反応液に添加し、37℃で1時間保温した。コンピーテント細胞であるTOP10 (Invitrogen)を、1μlのDpn I反応液でヒートショック法により形質転換した。これらの形質転換大腸菌からプラスミドDNAをQIAwell 8 Ultra Plasmid kit (Qiagen)を用いて取得した。塩基配列の決定のための反応は、DyeDeoxyTerminator Cycle Sequence Kit (Applied Biosystems)を用いて行ない、次に、各DNAの塩基配列をABI PRISM 377 DNA Sequencer (Applied Biosystems)を用いて解析して変異が導入されていることを確認した。
ヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1CおよびヒトTGR23-1D発現ベクターは、動物細胞発現ベクターであるpAKKOのSal IサイトとSpe Iサイトに、変異の導入が確認されたヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1CおよびヒトTGR23-1Dをライゲーションすることにより構築した。DNA配列解析から変異の導入が確認されたプラスミドDNAをSal IとSpe Iで消化し、DNA溶液を1.5% アガロースゲルで電気泳動して5'末端に Sal I切断端を、また3'末端にSpe I切断端を持つヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1CおよびヒトTGR23-1DのDNA断片をそれぞれアガロースゲルからDNA Extraction Kit (Qiagen)を用いて回収した。このDNA断片をpAKKOのSal IとSpe IサイトにTakara ligation kit ver.2 (Takara) を用いて結合させた。コンピーテント細胞である大腸菌(Escherichia coli)TOP10 (Invitrogen)またはDH5α(Toyobo)をライゲーション反応液により形質転換して形質転換体を作製し、大腸菌TOP10/pAKKO-TGR23-1A、大腸菌DH5(/pAKKO-TGR23-1Cおよび大腸菌DH5α/pAKKO-TGR23-1Dと命名した。
【0124】
実施例37
ヒトTGR23-1B発現ベクターの構築
ヒトTGR23-1B(配列番号:65)をコードするDNAをQuick change site-directed mutagenesis キット(Stratagene)を用いて調製した。ヒトTGR23-1CのDNAに以下のようにしてPCR法により部位特異的変異を導入した。PCR反応液は、5 ngのpAKKO-TGR23-1C(実施例36で得られたプラスミド)、2 mMのdNTPs、 0.4μMの変異導入用フォワードプライマーと変異導入用リバースプライマー〔pAKKO-TGR23-1B作製用フォワードプライマー(配列番号:112)、pAKKO-TGR23-1B作製用リバースプライマー(配列番号:113)〕、2.5 unitのpfuポリメラーゼにキットに添付のPCR反応用バッファーを加え、全容量を50μlとした。この反応液を、95℃で30秒間保温し、その後95℃・30秒、55℃・60秒、68℃・14分を12回繰り返す反応に供した。PCR反応の後、鋳型pAKKO-TGR23-1Cを分解するため、1μlのDpn I (10 unit/μl)を反応液に添加し、37℃で1時間保温した。コンピーテント細胞であるTOP10 (Invitrogen)を、1μlのDpn I反応液でヒートショック法により形質転換した。これらの形質転換大腸菌からプラスミドDNAをQIAwell 8 Ultra Plasmid kit (Qiagen)を用いて取得した。塩基配列の決定のための反応はDyeDeoxyTerminator Cycle Sequence Kit (Applied Biosystems)を用いて行ない、次に、ヒトTGR23-1BのDNAの塩基配列をABI PRISM 377 DNA Sequencer (Applied Biosystems)を用いて解析して変異が導入されていることを確認した。
ヒトTGR23-1B発現ベクターは、動物細胞発現ベクターであるpAKKOのSal IサイトとSpe Iサイトに、変異の導入が確認されたヒトTGR23-1Bをライゲーションすることにより構築した。DNA配列解析から変異の導入が確認されたプラスミドDNAをSal IとSpe Iで消化し、DNA溶液を1.5% アガロースゲルで電気泳動して5'末端に Sal I切断端を、また3'末端にSpe I切断端を持つTGR23-1B DNA断片をアガロースゲルからDNA Extraction Kit (Qiagen)を用いて回収した。このDNA断片をpAKKOのSal IとSpe IサイトにTakara ligation kit ver.2 (タカラ)を用いて結合させた。コンピーテント細胞である大腸菌(Escherichia coli)TOP10 (Invitrogen)をライゲーション反応液により形質転換して形質転換体を作製し、大腸菌TOP10/pAKKO-TGR23-1Bと命名した。
【0125】
実施例38
ヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1B、ヒトTGR23-1CおよびヒトTGR23-1D発現CHO細胞株の作製
Escherichia coli TOP10/pAKKO-TGR23-1A、Escherichia coli TOP10/pAKKO-TGR23-1B、Escherichia coli DH5α/pAKKO-TGR23-1CおよびEscherichia coli DH5α/pAKKO-TGR23-1Dを培養し、これら大腸菌体からPlasmid Midi Kit(Qiagen)を用いてプラスミドDNAをそれぞれ調製した。これらのプラスミドDNAをEffectene Transfection Reagent (Qiagen)を用いて添付のプロトコールに従ってCHO dhfr-細胞に導入した。2μgのプラスミドDNAとトランスフェクション試薬との混合液を48時間前に1 x 106個のCHO dhfr-細胞を播種した直径10cmシャーレに添加した。10%ウシ胎児血清を含むMEMα培地で1日間培養した後、継代し、選択培地である10%透析ウシ胎児血清を含む核酸不含MEMα培地で培養した。選択培地中に増殖してくるヒトTGR23-1A発現細胞、ヒトTGR23-1B発現細胞、ヒトTGR23-1C発現細胞およびヒトTGR23-1D発現細胞のコロニーを、それぞれ最大で40個選択した。
【0126】
実施例39
TaqMan PCR法を用いたヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1B、ヒトTGR23-1CおよびヒトTGR23-1D発現CHO細胞株における導入遺伝子発現量の測定
実施例38で作製したヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1B、ヒトTGR23-1CまたはヒトTGR23-1D発現CHO細胞株をそれぞれ25 cm2フラスコに培養し、増殖した細胞からRNeasy Protect Kit (Qiagen)を用いてtotal RNAを調製した。Total RNAを鋳型としたcDNA合成反応液は、0.5μgのtotal RNA、25 pmolのランダムノナマー(Takara)、1 mMのdNTPs、1μlのReverTra Ace (Toyobo)およびキットに付属の反応バッファーからなり、全容量は20μlである。逆転写反応はサーマルサイクラー(Takara)を用いて、30℃・10 min、次に42℃・60 min、最後に99℃・5 minの条件で行なった。
標準ヒトTGR23-2部分DNAは、全長ヒトTGR23-2のDNAを鋳型としたPCR増幅DNAを精製することにより調製した。PCR反応液は、10 ngのpTB2174(参考例1)、1μMの合成DNAフォワードプライマー(配列番号:114)、1μMの合成DNAリバースプライマー(配列番号:115)、0.2mMのdNTPs、2.5 UのPfu Turbo DNA polymerase(Stratagene)および2 ( GC bufferI (TaKaRa) 25μlからなり、全容量を50μlとした。増幅のための反応はサーマルサイクラー(Applied Biosystems)を用い、95℃・60秒の加熱の後、95℃・60秒、55℃・60秒、72℃・70秒のサイクルを25回繰り返し、最後に72℃・10分間保温した。PCR増幅DNAはアガロースゲルにて電気泳動後、QIAquick Gel Extraction Kit (Qiagen)を用いて回収した。該PCR反応産物をpCR-BluntII-TOPO(Invitrogen)へサブクローニングした。これを大腸菌TOP10 (Invitrogen) に導入し、TGR23-2のcDNAを持つ形質転換体をカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。ここで得られたヒトTGR23-2のcDNAを持つ大腸菌よりQuantum Prep Plasmid Miniprep Kit(BIO-RAD)を用いてプラスミドを回収し、260 nmの吸収から計算されたDNA量とDNA塩基組成からこのDNA溶液に含まれるヒトTGR23-2部分DNAのコピー数を算出した。DNAコピー数が明らかとなったヒトTGR23-2部分DNAを標準ヒトTGR23-2部分DNAとして、定量を目的としたTaqMan PCRに用いた。
ヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1B、ヒトTGR23-1CまたはヒトTGR23-1D発現細胞株の導入遺伝子発現コピー数をTaqMan PCR法により決定した。TaqMan PCR反応液は、2μlの逆転写cDNA溶液または1μlの各種濃度の標準ヒトTGR23-2部分DNA、0.2μMの合成DNAフォワードプライマー(配列番号:9)、0.2μMの合成DNAリバースプライマー(配列番号:10)、0.2μMのTaqManプローブ(配列番号:11)とTaqMan Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems)からなり、全容量は25μlとした。PCR反応は、ABI PRISM 7700 Sequence Detector System (Applied Biosystems)を用い、50℃・2分、95℃・10分で保温し、次に95℃・15秒、60℃・60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。ヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1B、ヒトTGR23-1CまたはヒトTGR23-1D発現細胞株の導入遺伝子発現量はABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、種々の標準ヒトTGR23-2部分DNAのコピー数の対数値を横軸にとって標準曲線を作成した。標準曲線から逆転写cDNAに含まれる導入遺伝子の発現コピー数を算出し、total RNA 1ng当たりの導入遺伝子発現量を決定した。ヒトTGR23-1A遺伝子高発現細胞株としてクローンNo. 60を、ヒトTGR23-1B遺伝子高発現細胞株としてクローンNo. 59を、ヒトTGR23-1C遺伝子高発現細胞株としてクローンNo. 9を、ヒトTGR23-1D遺伝子高発現細胞株としてクローンNo. 12をそれぞれ選択した。
【0127】
実施例40
FLIPRを用いたヒトTGR23-2リガンド(1-20)によるヒトTGR23-1A、ヒトTGR23-1B、ヒトTGR23-1CまたはヒトTGR23-1D発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定
ヒトTGR23-2リガンド(1-20)を種々の濃度で実施例5に記載した方法にしたがって、ヒトTGR23-1A発現CHO細胞、ヒトTGR23-1B発現CHO細胞、ヒトTGR23-1C発現CHO細胞およびヒトTGR23-1D発現CHO細胞にそれぞれ投与し、細胞内Caイオン濃度上昇活性をFLIPRを用いて測定した。結果を図23、図24、図25および図26に示す。
明らかに、ヒトTGR23-1A発現CHO細胞、ヒトTGR23-1B発現CHO細胞、ヒトTGR23-1C発現CHO細胞およびヒトTGR23-1D発現CHO細胞は、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)に応答し、またこのリガンド濃度依存的な細胞内カルシウム量の上昇を示した。
【0128】
実施例41
ラットTGR23-1およびラットTGR23-5発現ベクターの構築
ラットTGR23-5(配列番号:91)をコードするDNAをQuick change site-directed mutagenesis キット(Stratagene)を用いて調製した。ラットTGR23-1のDNAに以下のようにしてPCR法により部位特異的変異を導入した。PCR反応液は、5 ngの参考例4に記載のpCR2.1-rTGR23-1、2 mMのdNTPs、0.4μMの変異導入用フォワードプライマーと変異導入用リバースプライマー〔pCR2.1-rTGR23-5作製用フォワードプライマー(配列番号:116)、pCR2.1-rTGR23-5作製用リバースプライマー(配列番号:117)〕、2.5 unitのpfuポリメラーゼにキットに添付のPCR反応用バッファーを加え、全容量を50μlとした。この反応液を、95℃で30秒間保温し、その後95℃・30秒、55℃・60秒、68℃・10分を18回繰り返す反応に供した。PCR反応の後、鋳型pCR2.1-rTGR23-1を分解するため、1μlのDpn I (10 unit/μl)を反応液に添加し、37℃で1時間保温した。コンピーテント細胞であるTOP10 (Invitrogen)を、1μlのDpn I反応液でヒートショック法により形質転換した。この形質転換大腸菌からプラスミドDNAをQIAwell 8 Ultra Plasmid kit (Qiagen)を用いて取得した。塩基配列の決定のための反応はDyeDeoxyTerminator Cycle Sequence Kit (Applied Biosystems)を用いて行ない、次に、DNAの塩基配列をABI PRISM 377 DNA Sequencer (Applied Biosystems)を用いて解析して変異が導入されていることを確認した。
ラットTGR23-5発現ベクターは、動物細胞発現ベクターpAKKOのSal IサイトとSpe Iサイトに変異の導入が確認されたラットTGR23-5をライゲーションすることにより構築した。DNA配列解析から変異の導入が確認されたプラスミドDNAをSal IとSpe Iで消化し、DNA溶液を1.5% アガロースゲルで電気泳動して5'末端にSal I切断端を、また3'末端にSpe I切断端を持つラットTGR23-5のDNA断片をアガロースゲルからDNA Extraction Kit (Qiagen)を用いて回収した。このDNA断片を、pAKKOのSal IとSpe IサイトにTakara ligation kit ver.2 (タカラ)を用いて結合させた。コンピーテント細胞である大腸菌(Escherichia coli)DH5α(トーヨーボー)をライゲーション反応液により形質転換して形質転換体を作製し、大腸菌DH5α/pAKKO-rTGR23-5と命名した。
ラットTGR23-1発現ベクターは、プラスミドpCR2.1-rTGR23-1をSal IとSpe Iで消化した後、上述のラットTGR23-5と同様にして動物発現ベクターpAKKOのSal IサイトとSpe Iサイトにライゲーションすることによって構築し、コンピーテント細胞である大腸菌(Escherichia coli)DH5α(トーヨーボー)を形質転換して大腸菌DH5α/pAKKO-rTGR23-1を得た。
【0129】
実施例42
ラットTGR23-1発現CHO細胞株およびラットTGR23-5発現CHO細胞株の作製
大腸菌DH5α/pAKKO-rTGR23-1および大腸菌DH5α/pAKKO-rTGR23-5を培養し、これらの大腸菌体からPlasmid Midi Kit(Qiagen)を用いてプラスミドDNAをそれぞれ調製した。これらのプラスミドDNAをEffectene Transfection Reagent (Qiagen)を用いて添付のプロトコールに従ってCHO dhfr-細胞に導入した。2μgのプラスミドDNAとトランスフェクション試薬との混合液を48時間前に1 x 106個のCHO dhfr-細胞を播種した直径10 cmシャーレに添加した。10%ウシ胎児血清を含むMEMα培地で1日間培養した後、継代し、選択培地である10%透析ウシ胎児血清を含む核酸不含MEMα培地で培養した。選択培地中に増殖してくるラットTGR23-1発現CHO細胞およびラットTGR23-5発現CHO細胞のコロニーをそれぞれ30個選択した。
【0130】
実施例43
TaqMan PCR法を用いたラットTGR23-1発現CHO細胞株およびラットTGR23-5発現CHO細胞株における導入遺伝子発現量の測定
実施例42で作製したラットTGR23-1発現CHO細胞株およびラットTGR23-5発現CHO細胞株をそれぞれ25 cm2フラスコに培養し、増殖した細胞からRNeasy Protect Kit (Qiagen)を用いてtotal RNAを調製した。Total RNA を鋳型としたcDNA合成反応液は、0.5μgのtotal RNA、25 pmolのランダムノナマー(Takara)、1 mMのdNTPs、1μlのReverTra Ace (TOYOBO)およびキットに付属の反応バッファーからなり、全容量は20μlとした。逆転写反応はサーマルサイクラー(Takara)を用いて、30℃・10分、次に42℃・60分、最後に99℃・5分の条件で行なった。
標準ラットTGR23-1部分DNAを、全長ラットTGR23-1 DNAを鋳型としたPCR増幅DNAを精製することにより調製した。PCR反応液は、680 pgのpCR2.1-TGR23-1(参考例4)、0.2μMの合成DNAフォワードプライマー(配列番号:118)、0.2μMの合成DNAリバースプライマー(配列番号:119)、0.8 mMのdNTPs、2μlの Advantage IIポリメラーゼ(Clontech)および酵素に付属のバッファーからなり、全容量を100μlとした。増幅のための反応はサーマルサイクラー(Applied Biosystems)を用い、95℃・60秒の加熱の後、95℃・20秒、72℃・120秒のサイクルを5回、95℃・20秒、70℃・120秒のサイクルを5回、95℃・20秒、68℃・120秒のサイクルを20回繰り返し、最後に68℃・3分間保温した。PCR増幅DNAをQIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)を用いて回収した。この増幅ラットTGR23-1部分DNA溶液の260 nmの吸収から計算したDNA量と増幅ラットTGR23-1部分DNA塩基組成からこのDNA溶液に含まれるラットTGR23-1部分DNAのコピー数を算出した。DNAコピー数が明らかとなったラットTGR23-1部分DNAを標準ラットTGR23-1部分DNAとして定量を目的としたTaqMan PCRに用いた。
ラットTGR23-1発現CHO細胞株およびラットTGR23-5発現CHO細胞株の導入遺伝子発現コピー数をTaqMan PCR法により決定した。TaqMan PCR反応液は、2μlの逆転写cDNA溶液または1μlの各種濃度の標準ラットTGR23-1部分DNA、0.2μMの合成DNAフォワードプライマー(配列番号:120)、0.2 μMの合成DNAリバースプライマー(配列番号:121)、0.2μMのラットTGR23 TaqManプローブ(配列番号:122、Fam-ttggagttat ccggtcctct cttccaag-Tamra;配列中、Famは6-carboxy-fluoresceinを、Tamraは6-carboxy-tetramethyl-rhodamine をそれぞれ示す)とTaqMan Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems)からなり、全容量は25μlとした。PCR反応は、ABI PRISM 7700 Sequence Detector System (Applied Biosystems)を用い、50℃・2分、95℃・10分で保温し、次に95℃・15秒、60℃・60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。ラットTGR23-1発現CHO細胞株およびラットTGR23-5発現CHO細胞株の導入遺伝子発現量は、ABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、種々の標準ラットTGR23-1部分DNAのコピー数の対数値を横軸にとって標準曲線を作成した。標準曲線から逆転写cDNAに含まれる導入遺伝子の発現コピー数を算出し、total RNA 1ng当たりの導入遺伝子発現量を決定した。ラットTGR23-1遺伝子高発現細胞株としてクローンNo. 34を、また、ラットTGR23-5遺伝子高発現細胞株としてクローンNo. 29を選択した。
【0131】
実施例44
FLIPRを用いたラットTGR23-2リガンド(1-18)によるラットTGR23-1発現CHO細胞およびラットTGR23-5発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定
ラットTGR23-2リガンド(1-18)を種々の濃度で実施例5に記載した方法にしたがってラットTGR23-1発現CHO細胞またはラットTGR23-5発現CHO細胞に投与し、細胞内Caイオン濃度上昇活性をFLIPRを用いて測定した。結果を図27および図28に示す。明らかにラットTGR23-1発現CHO細胞およびラットTGR23-5発現CHO細胞はラットTGR23-2リガンド(1-18)に応答し、またこのリガンド濃度依存的な細胞内カルシウム量の上昇を示した。図27および図28のグラフから算出した細胞内Caイオン濃度上昇活性におけるラットTGR23-2リガンド(1-18)のラットTGR23-1発現CHO細胞およびラットTGR23-5発現CHO細胞に対するEC50値は、それぞれ0.19 nM(ラットTGR23-1)および14 nM(ラットTGR23-5)であった。
【0132】
実施例45
飽和結合実験による[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)のラットTGR23-1とラットTGR23-5への結合親和性の比較
ラットTGR23-1発現CHO細胞またはラットTGR23-5発現CHO細胞から調製したそれぞれの細胞膜画分の[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)に対する結合親和性を以下のようにして測定した。
初めにラットTGR23-1発現CHO細胞およびラットTGR23-5発現CHO細胞から膜画分を調製した。ラットTGR23-1発現CHO細胞およびラットTGR23-5発現CHO細胞を培養し、この細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗った後、細胞をフラスコからはがして細胞塊を遠心操作により集めた。この細胞塊を細胞破砕バッファー(20 mM Tris-HCl (pH 7.4)、5 mM EDTA、0.5 mM PMSF、 0.1μg/ml pepstatin、20μg/ml leupeptineおよび 4μg/ml E-64)に縣濁し、ポリトロンホモジナイザーで破砕した。この細胞破砕液を遠心(4℃、1000 ( g、5分間)に供し、遠心上清を回収した。次に、この遠心上清を超遠心(4℃、30000 ( g、60分間)に供し、沈殿物を膜画分として回収した。この膜画分を細胞破砕バッファーに縣濁して縣濁液のタンパク質濃度を決定した後、この膜画分を実験に使用するまで−80℃で保存した。
上記のようにして調製したラットTGR23-1発現CHO細胞膜画分およびラットTGR23-5発現CHO細胞膜画分を結合バッファー(20 mM Tris-HCl (pH 7.4)、5 mM EDTA、0.1 % BSA、0.5 mM PMSF、0.1μg/ml pepstatin、20μg/ml leupeptineおよび4μg/ml E-64)に縣濁して、それぞれ10μg/ml濃度に調製し、飽和結合実験用膜画分溶液として用いた。これらの膜画分への実施例26に記載の方法により調製した[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の総結合は、以下の方法によって得た。
200μlの飽和結合実験用膜画分溶液に2μlのジメチルスルホキシド(DMSO) と2μlの種々の濃度の[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)を添加してよく混合した後、25℃にて90分間 保温した。この膜画分に結合した[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の反応液をグラスフィルターでろ過することにより非結合[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)から分離した。すなわち、反応液を、あらかじめ0.3% のポリエチレンイミンを含む20 mM Tris-HCl (pH 7.4)バッファーに浸したGF/Fフィルター(Whatman)上でろ過し、さらにこのグラスフィルターを1.5 mlの氷冷した結合バッファーで3回洗浄した。このグラスフィルター上に捕捉された[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の放射活性をγ-カウンターにより測定し、この値を総結合とした。一方、これらの膜画分への[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の非特異的結合は、総結合の反応系において2μlのDMSOの代りに2μlの100μMヒトTGR23-2リガンド(1-20)(配列番号:23)を用いることにより得た。ある[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)濃度における特異的結合は、その[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)濃度における総結合から非特異的結合を減じた値である。
上記の飽和結合実験における[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)のラットTGR23-1発現CHO細胞膜画分またはラットTGR23-5発現CHO細胞膜画分への結合様式をスキャチャード法により解析した。横軸には、添加したある[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)濃度における1 mgタンパク質量の膜画分あたりの [Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)特異的結合量の値をとり、また縦軸には、その時の1 mgタンパク質量の膜画分あたりの[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)特異的結合量の値を膜画分に結合しない反応液中の[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)濃度で除した値をとってプロットした。図29および図30に示すように、[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)のラットTGR23-1発現CHO細胞膜画分またはラットTGR23-5発現CHO細胞膜画分への飽和結合実験においてプロットされた点は直線で近似された。このことはラットTGR23-1発現CHO細胞膜画分またはラットTGR23-5発現CHO細胞膜画分に単一の[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)結合部位がそれぞれ存在することを示した。この実験における、ラットTGR23-1と[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の解離定数は141±8.71 (pM)、またラットTGR23-1の最大[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)結合部位数は1.41±0.04 pmol/mg proteinであった。一方、ラットTGR23-5と[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)の解離定数は125±8.36 (pM)、またラットTGR23-1の最大[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)結合部位数は0.93±0.03 pmol/mg proteinであった。[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)は、ほとんど同じ親和性をもってラットTGR23-1とラットTGR23-5に結合した。
表1にラットTGR23-1およびラットTGR23-5のTGR23-2リガンドに対する親和性およびそれぞれの受容体発現細胞のTGR23-2リガンドによる細胞内Caイオン濃度上昇活性を示した。
ラットTGR23-5は、TGR23-2リガンドに対してラットTGR23-1とほぼ同程度の高い親和性を有しているにもかかわらず、TGR23-2リガンドに対する応答性は1/100程度であった。このことは、ラットTGR23-5を、ラットTGR23-1、マウスTGR23-BまたはヒトTGR23と同一細胞に共存させることにより、ラットTGR23-1、マウスTGR23-BまたはヒトTGR23のTGR23-2リガンドに対する応答性を減弱させることが可能であることを示唆した。
【表1】
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【0133】
実施例46
TGR23遺伝子発現の抑制による、ヒト結腸がん細胞株のアポトーシス誘発検討
ATCCより購入したヒト結腸がん細胞株COLO205を、Invitrogen社のRPMI-1640培地(25mM HEPES含有)に牛胎仔血清(ATCC)を10%加えた培地で懸濁し、1ウェル当たり4000個の細胞密度で96穴コラーゲンタイプIコートプレート(IWAKI社)に播種した。同様にATCCより購入したヒト結腸がん細胞株LS174TをInvitrogen社のEarle's MEM培地に牛胎仔血清(ATCC)を10%加えた培地で懸濁し、1ウェル当たり3000個の細胞密度で96穴平底組織培養プレート(BDファルコン社)に播種した。ヒト結腸がん細胞株HCT 116(ATCC)をInvitrogen社のD-MEM培地(10mM HEPES含有)に牛胎仔血清(ATCC)を10%加えた培地で懸濁し、1ウェル当たり3000個の細胞密度で96穴平底組織培養プレート(BDファルコン社)に播種した。5%炭酸ガス気流中、37℃で一晩培養した後、アンチセンスオリゴヌクレオチドをトランスフェクションした。
TGR23遺伝子の翻訳領域配列にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチド配列(配列番号:123)を設計後、phosphorothioate化オリゴヌクレオチドを合成し、HPLC精製して導入実験に用いた(以下、アンチセンスオリゴヌクレオチドと略する)。コントロールとしては、配列番号:123で示される塩基配列のリバース配列(配列番号:124)を同様にphosphorothioate化し、HPLC精製して用いた(以下、コントロールオリゴヌクレオチドと略する)。具体的には、COLO205はOpti-MEM I(Invitrogen社)で167倍に希釈したFuGENETM6 Transfection Reagent(Roche Diagnostics社)にアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはコントロールオリゴヌクレオチドを加え、混合したオリゴヌクレオチド溶液を、1ウェル当たり65μLの割合でプレートに添加した。オリゴヌクレオチドの終濃度は200nMとなるよう調製した。LS174TはOpti-MEM I(Invitrogen社)で32倍に希釈したLipofectamineTM 2000(Invitrogen社)にOpti-MEM I(Invitrogen社)で希釈したアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはコントロールオリゴヌクレオチドを1:1で加え、混合したオリゴヌクレオチド溶液を、1ウェル当たり50μLの割合でプレートに添加した。オリゴヌクレオチドの終濃度は33nMとなるよう調製した。HCT 116はOpti-MEM I(Invitrogen社)で5倍に希釈したOLIGOFECTAMINETM Reagent(Invitrogen社)にOpti-MEM I(Invitrogen社)で希釈したアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはコントロールオリゴヌクレオチドを3:8で加え、混合したオリゴヌクレオチド溶液を、1ウェル当たり40μLの割合でプレートに添加した。オリゴヌクレオチドの終濃度は520nMとなるよう調製した。
上記の条件で更に3日間培養した後、Cell Death Detection ELISAPLUSキット(Roche Diagnostics社)を用いて添付プロトコールに従い、上記オリゴヌクレオチドのアポトーシス誘導活性を測定した。
その結果、アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号:123)は陰性対照として用いたコントロールオリゴヌクレオチド(配列番号:124)に比べてCOLO205、LS174Tでそれぞれ約1.6倍、約1.3倍のアポトーシス誘導活性を示し、統計学的に有意な差(COLO205ではP≦0.05、LS174TではP≦0.01)を示した(表2、3)。また、TGR23を発現していないHCT 116では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、陰性対照として用いたコントロールオリゴヌクレオチドに比べて有意なアポトーシス誘導活性を示さなかった(表4)。
【0134】
【表2】
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【表3】
Figure 0004535670
【表4】
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【0135】
実施例47
アンチセンスオリゴヌクレオチド投与によるTGR23遺伝子の発現量低下の検討
実施例46で用いたヒト結腸がん細胞株COLO205およびLS174Tを実施例46と同様の培地に懸濁し、1ウェル当たりCOLO205は24,000個の細胞密度で24穴コラーゲンタイプIコートプレート(IWAKI社)に、LS174Tは18,000個の細胞密度で24穴平底組織培養プレート(BDファルコン社)に播種した。5%炭酸ガス気流中、37℃で一晩培養した後、実施例46の方法に準じて、実施例46で使用したアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびコントロールオリゴヌクレオチドをトランスフェクションした。但し、オリゴヌクレオチド溶液の添加量は1ウェル当たり、COLO205は390μL、LS174Tは300μLとした。トランスフェクション後、5%炭酸ガス気流中、37℃で24時間培養を継続した後にRNeasy Mini Total RNA Kit(QIAGEN社)を用いてtotal RNAを抽出した。ここで得られたtotal RNAを鋳型として、TaqMan Reverse Transcription Reagents(Applied Biosystems社)を用いて添付プロトコールに従い逆転写反応した。次に、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を用いて、total RNAにして1.5ng〜3ngに相当するcDNAを鋳型とし、2種類のプライマー(配列番号:9および配列番号:10)を各500nM、FAM標識したプローブ(配列番号:11)を100nMになるように加え、TGR23遺伝子の発現コピー数を測定した。PCR反応は、50℃2分、95℃10分の後、95℃15秒、60℃1分のサイクルを40回繰り返した。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびコントロールオリゴヌクレオチドをトランスフェクションしない場合にはTGR23遺伝子発現量はtotal RNA 1ng当りCOLO205では620コピー、LS174Tでは290コピーであったのに対し、アンチセンスオリゴヌクレオチド投与群ではCOLO205で210コピー、LS174Tでは150コピーであり統計学的に有意(COLO205ではP≦0.01、LS174TではP≦0.05)な発現量低下が認められた。一方、陰性対照として用いたコントロールオリゴヌクレオチド投与群ではCOLO205で590コピー、LS174Tでは280コピーであり非トランスフェクション群と比べて統計学的に有意な発現量低下は認められなかった。
この結果より、TGR23遺伝子発現量の低下により、ヒト結腸がん細胞株のアポトーシスが誘発されたことが示された。
【0136】
実施例48
[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)およびヒトTGR23-2発現CHO細胞膜画分を用いたヒトTGR23-2に結合する化合物のスクリーニング法
実施例26に記載した方法によって作製した[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)および実施例24に記載した方法によってヒトTGR23-2発現CHO細胞から調製したヒトTGR23-2発現CHO細胞膜画分を用いたヒトTGR23に結合する化合物のスクリーニングを以下のようにして実施する。
ヒトTGR23-2発現CHO細胞から調製した細胞膜画分を膜画分濃度が1μg/mlとなるようアッセイ用バッファー(20 mM Tris-HCl、5 mM EDTA、0.1% BSA、0.5 mM PMSF、1μg/mlペプスタチン、4μg/ml E-64、20μg/mlロイペプチン、pH 7.4)で希釈後、ポリプロピレン製試験管(Falcon 2053)に200μlずつ分注する。最大結合量(TB)を測定するために、2μlのDMSOと10 nMの[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)2μlを膜画分溶液に添加する。また、非特異的結合を測定するために、1μMの[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)のDMSO溶液2μlと10 nMの[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)2μlを膜画分溶液に添加する。さらに、試験化合物のヒトTGR23に対する結合活性を調べるために種々の濃度の試験化合物のDMSO溶液2μlと10 nMの[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)2μlを膜画分溶液に添加する。25 ℃で90分間反応させた後、ポリエチレンイミン処理したワットマングラスフィルター(GF-F)を用いて反応液を吸引ろ過する。ろ過後、γ-カウンターを用いて濾紙上に残った放射活性を測定する。最大結合量から非特異的結合量を引いた値を特異的結合量(SB)として見積もる。試験化合物のヒトTGR23-2に対する結合阻害活性(阻害率(%))は、最大結合量から試験化合物および[Nle10, 125I-Tyr15]ヒトTGR23-2リガンド(1-20)を加えたときに濾紙上に残った放射活性(X)を減じた値の特異的結合量に対する比率((TB-X)/SB x 100 (%))で示される。種々の濃度における試験化合物の結合阻害率を比較することによってより低濃度で強い結合阻害活性を示す化合物をヒトTGR23に結合する能力の高い化合物として選択する。
上記のようにして選択されたヒトTGR23に結合する化合物について、実施例3、実施例4または実施例5に記載した方法でTGR23-2発現CHO細胞に対する細胞内cAMP産生促進活性(実施例3)、アラキドン酸代謝産物遊離促進活性(実施例4)または細胞内Ca2+放出促進活性(実施例5)を測定し、いずれかの活性を示す化合物をTGR23アゴニストであると判定する。また、いずれの活性も示さなかった化合物については、TGR23-2リガンドと共存させて上記の実施例3、実施例4または実施例5に記載した活性測定を実施し、TGR23-2リガンドの示す活性に対して阻害活性を示した化合物をTGR23アンタゴニストであると判定する。
【0137】
【発明の効果】
本発明のポリペプチド、本発明のレセプター、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターをコードする本発明のポリヌクレオチド、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターに対する本発明の抗体、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの本発明のアンチセンスポリヌクレオチドなどは、(i)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターが関与する各種疾病の治療・予防剤、(ii)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性を促進または阻害する化合物(例、本発明のタンパク質との結合性を変化させる化合物)、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの発現を促進または阻害する化合物、またはその塩のスクリーニング、(iii)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの定量、(iv)本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの遺伝子診断薬、(v)アンチセンスDNAを含有する医薬、(vi)本発明の抗体を含有する医薬、(vii)本発明のDNAを含有する非ヒト動物の作出、(viii)本発明のDNAが不活性化された非ヒト動物の作出、(ix)構造的に類似したリガンド・レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザインなどの実施のために有用である。
本発明のポリペプチド、本発明のレセプター、本発明のポリヌクレオチド、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性を促進する化合物またはその塩、および本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの発現を促進する化合物またはその塩は、例えば肥満症(例、悪性肥満細胞症、外因性肥満、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満、下垂体性肥満、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満、全身性肥満細胞症、単純性肥満、中心性肥満など)、摂食亢進症などの予防・治療剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの活性を促進する化合物またはその塩、本発明のポリペプチドまたは本発明のレセプターの発現を促進する化合物またはその塩、本発明の抗体(中和抗体)、本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、例えば癌(例、大腸癌、結腸癌、直腸癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、卵巣癌、子宮頸部癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、摂食(食欲)促進剤、拒食症の予防・治療剤、アポトーシス誘導剤などの低毒性で安全な医薬として有用である。
【0138】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】TGR23−1の疎水性プロット図である。
【図2】TGR23−2の疎水性プロット図である。
【図3】一文字表記によるTGR23−1のアミノ酸配列を示す図である。
【図4】一文字表記によるTGR23−2のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】Wakosil-II 3C18HGカラムを用いたラットTGR23−2リガンドの最終段階の精製におけるHPLCのUV吸収と各ピークのcAMP産生促進活性を示す。活性は矢印に示すピークに回収された(分画番号20)。
【図6】Wakosil-II 3C18HGカラムを用いたラットTGR23−2リガンドの最終段階の精製におけるHPLCのUV吸収と各ピークのcAMP産生促進活性を示す。活性は矢印に示すピークに回収された(分画番号22〜23)。
【図7】Wakosil-II 3C18HGカラムを用いたラットTGR23−2リガンドの最終段階の精製におけるHPLCのUV吸収と各ピークのcAMP産生促進活性を示す。活性は矢印に示すピークに回収された(分画番号18)。
【図8】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるTGR23−1発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図9】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるTGR23−2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図10】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のラットTGR23−2リガンド(1−18)のTGR23−1発現CHO細胞およびTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。図中、−○−はTGR23−1発現CHO細胞および−□−はTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内Caイオン濃度上昇活性をそれぞれ示す。
【図11】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のマウスTGR23−2リガンド(1−20)のTGR23−1発現CHO細胞およびTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。図中、−○−はTGR23−1発現CHO細胞および−□−はTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内Caイオン濃度上昇活性をそれぞれ示す。
【図12】種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)のフォルスコリン刺激したTGR23−1発現CHO細胞およびTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内cAMP産生促進活性を示す。図中、−○−はTGR23−1発現CHO細胞および−□−はTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内cAMP産生促進活性をそれぞれ示す。
【図13】種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)のフォルスコリン無添加の条件下におけるTGR23−1発現CHO細胞およびTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内cAMP産生促進活性を示す。図中、−○−はTGR23−1発現CHO細胞および−□−はTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内cAMP産生促進活性をそれぞれ示す。
【図14】種々の濃度のラットTGR23−2リガンド(1−18)のフォルスコリン無添加の条件下におけるTGR23−1発現CHO細胞およびTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内cAMP産生促進活性を示す。図中、−○−はTGR23−1発現CHO細胞および−□−はTGR23−2発現CHO細胞に対する細胞内cAMP産生促進活性をそれぞれ示す。
【図15】種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)のTGR23−1発現CHO細胞およびTGR23−2発現CHO細胞に対するアラキドン酸代謝物遊離活性を示す。図中、−○−はTGR23−1発現CHO細胞および−□−はTGR23−2発現CHO細胞に対するアラキドン酸代謝物遊離活性をそれぞれ示す。
【図16】種々の濃度のラットTGR23−2リガンド(1−18)のTGR23−1発現CHO細胞およびTGR23−2発現CHO細胞に対するアラキドン酸代謝物遊離活性を示す。図中、−○−はTGR23−1発現CHO細胞および−□−はTGR23−2発現CHO細胞に対するアラキドン酸代謝物遊離活性をそれぞれ示す。
【図17】種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)、ラットTGR23−2リガンド(1−18)およびマウスTGR23−2リガンド(1−20)のTGR23−2発現CHO細胞膜画分に対するGTPγS結合促進活性を示す。図中、−○−はヒトTGR23−2リガンド(1−20)、−□−はラットTGR23−2リガンド(1−18)および−△−はマウスTGR23−2リガンド(1−20)のGTPγS結合促進活性をそれぞれ示す。
【図18】TGR23−2発現CHO細胞から調製した細胞膜画分を用いた、[Nle10125I−Tyr15]ヒトTGR23−2リガンド(1−20)に対するヒトTGR23−2リガンド(1−20)、ラットTGR23−2リガンド(1−18)およびマウスTGR23−2リガンド(1−20)の結合阻害活性を示す。図中、−○−はヒトTGR23−2リガンド(1−20)、−□−はラットTGR23−2リガンド(1−18)および−△−はマウスTGR23−2リガンド(1−20)の結合阻害活性活性をそれぞれ示す。
【図19】ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2の癌細胞における発現量のグラフである。
【図20】ヒトTGR23の癌細胞における発現量のグラフである。
【図21】ヒトTGR23-2リガンド(1-20)または蒸留水をラット側脳室内に投与後4時間までの30分ごとの摂餌量の経時的変動を示す。図中、−●−はヒトTGR23-2リガンド(1-20)投与群を、−○−は蒸留水投与群を示す。値は平均値±標準誤差 (n=8) で示す。*は蒸留水投与群に対して有意な(p<0.05)差であることを示す。
【図22】ヒトTGR23-2リガンド(1-20)または蒸留水をMICRO-OSMOTIC PUMPを用いて持続投与した際のヌードマウスでのLS174Tの腫瘍サイズ経時的変動を示す。図中、−●−はヒトTGR23 -2リガンド(1-20)投与群を、−○−は蒸留水投与群を示す。値は平均値±標準誤差 (n=10)を示す。
【図23】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるヒトTGR23−1A発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図24】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるヒトTGR23−1B発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図25】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるヒトTGR23−1C発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図26】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるヒトTGR23−1D発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図27】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のラットTGR23−2リガンド(1−18)によるラットTGR23−1発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図28】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のラットTGR23−2リガンド(1−18)によるラットTGR23−5発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図29】[Nle10125I−Tyr15]ヒトTGR23−2リガンド(1−20)のラットTGR23−1に対する解離定数を求めるためのスキャチャードプロットの図である。
【図30】[Nle10125I−Tyr15]ヒトTGR23−2リガンド(1−20)のラットTGR23−5に対する解離定数を求めるためのスキャチャードプロットの図である。

Claims (36)

  1. 配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質のリガンドであり、該Gタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩と結合する能力を有することを特徴とするポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩であって、
    配列番号:23、配列番号:12、または配列番号:32で表されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩。
  2. 配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質のリガンドであり、該Gタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩と結合する能力を有することを特徴とするポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩であって、配列番号:62で表されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩。
  3. 標識した請求項2記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. 配列番号:44、配列番号:37、または配列番号:48で表される塩基配列からなる請求項4記載のポリヌクレオチド。
  6. DNAである請求項4または5記載のポリヌクレオチド。
  7. 請求項4記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  8. 請求項7記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
  9. 請求項8記載の形質転換体を培養し、請求項1記載のポリペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の製造法。
  10. 配列番号:23のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有してなる摂食抑制剤
  11. 請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩に対する抗体。
  12. 請求項4記載のポリヌクレオチドに相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチド。
  13. DNAである請求項12記載のポリヌクレオチド。
  14. 請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いることを特徴とする請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  15. 標識した請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる請求項14記載のスクリーニング方法。
  16. 請求項3記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いることを特徴とする請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  17. さらに、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:77、または配列番号:91で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる請求項14記載のスクリーニング方法。
  18. 配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる請求項17記載のスクリーニング方法。
  19. 標識した請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる請求項14記載のスクリーニング方法。
  20. 請求項3記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる請求項16記載のスクリーニング方法。
  21. (i)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩と、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩とを接触させた場合と、(ii)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩と、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする請求項14記載のスクリーニング方法。
  22. (i)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞に接触させた場合における、該ポリペプチドの該細胞に対する結合量または細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする請求項21記載のスクリーニング方法。
  23. (i)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞の膜画分に接触させた場合と、(ii)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞の膜画分に接触させた場合における、該ポリペプチドの該細胞の膜画分に対する結合量または細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする請求項21記載のスクリーニング方法。
  24. (i)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を、請求項8記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したタンパク質に接触させた場合と、(ii)請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩および試験化合物を、請求項8記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したタンパク質に接触させた場合における、該ポリペプチドの該タンパク質に対する結合量または細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする請求項21記載のスクリーニング方法。
  25. 標識した請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を用いる請求項21〜24記載のスクリーニング方法。
  26. 請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有してなる、請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  27. 標識した請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する請求項26記載のスクリーニング用キット。
  28. 請求項3記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有してなる、請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  29. さらに、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:63、配列番号:65、配列番号:95、配列番号:97、配列番号:77、または配列番号:91で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する請求項26記載のスクリーニング用キット。
  30. 配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する請求項29記載のスクリーニング用キット。
  31. 標識した請求項1記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する請求項26記載のスクリーニング用キット。
  32. 請求項1〜3のいずれか記載のポリペプチド、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩、および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する請求項26記載のスクリーニング用キット。
  33. 配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するGタンパク質共役型レセプタータンパク質、そのアミドもしくはそのエステルまたはその塩を含有する細胞の膜画分を含有することを特徴とする請求項29記載のスクリーニング用キット。
  34. 請求項8記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したタンパク質を含有することを特徴とする請求項29記載のスクリーニング用キット。
  35. 請求項4記載のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項1記載のポリペプチドの遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  36. 請求項4記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とする請求項1記載のポリペプチドの遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
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