JP4004767B2 - 新規g蛋白質共役型レセプター蛋白質およびそのdna - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト結腸癌由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩およびそれをコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
多くのホルモンや神経伝達物質などの生理活性物質は、細胞膜に存在する特異的なレセプター蛋白質を通じて生体の機能を調節している。これらのレセプター蛋白質のうち多くは共役しているguanine nucleotide-binding protein(以下、G蛋白質と略称する場合がある)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行ない、また、7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっていることから、G蛋白質共役型レセプター蛋白質あるいは7回膜貫通型レセプター蛋白質(7TMR)と総称される。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質は生体の細胞や臓器の各機能細胞表面に存在し、それら細胞や臓器の機能を調節する分子、例えば、ホルモン、神経伝達物質および生理活性物質等の標的として生理的に重要な役割を担っている。レセプターは生理活性物質との結合を介してシグナルを細胞内に伝達し、このシグナルにより細胞の賦活や抑制といった種々の反応が惹起される。
各種生体の細胞や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、その特異的レセプター蛋白質、特にはG蛋白質共役型レセプター蛋白質との関係を明らかにすることは、各種生体の細胞や臓器の機能を解明し、それら機能と密接に関連した医薬品開発に非常に重要な手段を提供することとなる。
【0003】
例えば、生体の種々の器官では、多くのホルモン、ホルモン様物質、神経伝達物質あるいは生理活性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行なわれている。特に、生理活性物質は生体内の様々な部位に存在し、それぞれに対応するレセプター蛋白質を通してその生理機能の調節を行っている。生体内には未知のホルモンや神経伝達物質その他の生理活性物質も多く、それらのレセプター蛋白質の構造に関しても、これまで報告されていないものが多い。さらに、既知のレセプター蛋白質においてもサブタイプが存在するかどうかについても分かっていないものが多い。
生体における複雑な機能を調節する物質と、その特異的レセプター蛋白質との関係を明らかにすることは、医薬品開発に非常に重要な手段である。また、レセプター蛋白質に対するアゴニスト、アンタゴニストを効率よくスクリーニングし、医薬品を開発するためには、生体内で発現しているレセプター蛋白質の遺伝子の機能を解明し、それらを適当な発現系で発現させることが必要であった。
近年、生体内で発現している遺伝子を解析する手段として、cDNAの配列をランダムに解析する研究が活発に行なわれており、このようにして得られたcDNAの断片配列がExpressed Sequence Tag(EST)としてデータベースに登録され、公開されている。しかし、多くのESTは配列情報のみであり、その機能を推定することは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、G蛋白質共役型レセプターと生理活性物質(すなわち、リガンド)との結合を阻害する物質や、結合して生理活性物質(すなわち、リガンド)と同様なシグナル伝達を引き起こす物質は、これらレセプターの特異的なアンタゴニストまたはアゴニストとして、生体機能を調節する医薬品として活用されてきた。従って、このように生体内での生理発現において重要であるばかりでなく、医薬品開発の標的ともなりうるG蛋白質共役型レセプター蛋白質を新規に見出し、その遺伝子(例えばcDNA)をクローニングすることは、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の特異的リガンドや、アゴニスト、アンタゴニストを見出す際に、非常に重要な手段となる。
しかし、G蛋白質共役型レセプターはその全てが見出されているわけではなく、現時点でもなお、未知のG蛋白質共役型レセプター、また対応するリガンドが同定されていない、いわゆるオーファンレセプターが多数存在しており、新たなG蛋白質共役型レセプターの探索および機能解明が切望されている。
G蛋白質共役型レセプターは、そのシグナル伝達作用を指標とする、新たな生理活性物質(すなわち、リガンド)の探索、また、該レセプターに対するアゴニストまたはアンタゴニストの探索に有用である。一方、生理的なリガンドが見出されなくても、該レセプターの不活化実験(ノックアウト動物)から該レセプターの生理作用を解析することにより、該レセプターに対するアゴニストまたはアンタゴニストを作製することも可能である。これら該レセプターに対するリガンド、アゴニストまたはアンタゴニストなどは、G蛋白質共役型レセプターの機能不全に関連する疾患の予防/治療薬や診断薬として活用することが期待できる。さらにまた、G蛋白質共役型レセプターの遺伝子変異に基づく、生体での該レセプターの機能の低下または昂進が、何らかの疾患の原因となっている場合も多い。この場合には、該レセプターに対するアンタゴニストやアゴニストの投与だけでなく、該レセプター遺伝子の生体内(またはある特定の臓器)への導入や、該レセプター遺伝子に対するアンチセンス核酸の導入による、遺伝子治療に応用することもできる。この場合には該レセプターの塩基配列は遺伝子上の欠失や変異の有無を調べるために必要不可欠な情報であり、該レセプターの遺伝子は、該レセプターの機能不全に関与する疾患の予防/治療薬や診断薬に応用することもできる。
本発明は、上記のように有用な新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質を提供するものである。すなわち、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)を含有するポリヌクレオチド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、該組換えベクターを保持する形質転換体、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合物、該G蛋白質共役型レセプターに対するリガンドの決定方法、リガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)またはその塩のスクリーニング方法、該スクリーニング用キット、該スクリーニング方法もしくはスクリーニングキットを用いて得られうるリガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)またはその塩、およびリガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)もしくは該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩を含有してなる医薬などを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ヒト結腸癌由来の新規なG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAを単離し、その全塩基配列を解析することに成功した。そして、この塩基配列をアミノ酸配列に翻訳したところ、第1〜第7膜貫通領域が疎水性プロット上で確認され、これらのcDNAにコードされる蛋白質が7回膜貫通型のG蛋白質共役型レセプター蛋白質であることを確認した。さらに、そのマウスホモログも取得した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
〔1〕配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔2〕配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有する上記〔1〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔3〕配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有する上記〔1〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔4〕配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔5〕配列番号:10で表わされるアミノ酸配列を含有する上記〔4〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔6〕配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有する上記〔4〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔7〕配列番号:64で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔8〕配列番号:64で表わされるアミノ酸配列を含有する上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔9〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩、
〔10〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
〔11〕DNAである上記〔10〕記載のポリヌクレオチド、
〔12〕配列番号:2、配列番号:4、配列番号:11、配列番号:15または配列番号:65で表される塩基配列を含有する上記〔11〕記載のDNA、
〔13〕上記〔10〕記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
〔14〕上記〔13〕記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体、
〔15〕上記〔14〕記載の形質転換体を培養し、上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せしめることを特徴とする上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、
〔16〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは上記〔9〕記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
〔17〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のシグナル伝達を不活性化する中和抗体である上記〔16〕記載の抗体、
〔18〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のシグナル伝達を活性化する抗体である上記〔16〕記載の抗体、
〔19〕上記〔16〕記載の抗体を含有してなる診断薬、
〔20〕上記〔16〕記載の抗体を含有してなる医薬、
〔21〕上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドまたはその塩を用いることにより得られうる上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンド、
〔22〕上記〔21〕記載のG蛋白質共役型レセプターのリガンドを含有してなる医薬、
〔23〕上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドまたはその塩を用いることを特徴とする上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、
〔24〕上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドまたはその塩を用いることを特徴とする、リガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔25〕上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とするリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
〔26〕上記〔24〕記載のスクリーニング方法または上記〔25〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、リガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
〔27〕上記〔26〕記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
〔28〕上記〔10〕記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
〔29〕上記〔10〕記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるアンチセンスポリヌクレオチド、
〔30〕上記〔10〕記載のポリヌクレオチドまたはその一部を用いることを特徴とする上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のmRNAの定量方法、
〔31〕上記〔16〕記載の抗体を用いることを特徴とする上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の定量方法、
〔32〕上記〔30〕または上記〔31〕記載の定量方法を用いることを特徴とする上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプターの機能が関連する疾患の診断方法、
〔33〕上記〔30〕記載の定量方法を用いることを特徴とする上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔34〕上記〔30〕記載の定量方法を用いることを特徴とする細胞膜における上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔35〕上記〔33〕記載のスクリーニング方法を用いて得られうる上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩、
〔36〕上記〔34〕記載のスクリーニング方法を用いて得られうる細胞膜における上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質量を変化させる化合物またはその塩、
〔37〕上記〔35〕記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
〔38〕上記〔36〕記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
〔39〕中枢疾患、内分泌疾患、代謝疾患または癌の予防・治療剤である上記〔27〕、上記〔37〕または上記〔38〕記載の医薬、
〔40〕哺乳動物に対して、上記〔26〕、上記〔35〕または上記〔36〕記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする中枢疾患、内分泌疾患、代謝疾患または癌の予防・治療方法、
〔41〕中枢疾患、内分泌疾患、代謝疾患または癌の予防・治療剤を製造するための上記〔26〕、上記〔35〕または上記〔36〕記載の化合物またはその塩の使用、
〔42〕上記〔1〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
〔43〕配列番号:2で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと配列番号:4で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを組み合わせてなる診断薬、
〔44〕(i)上記〔1〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドと(ii)配列番号:16で表されるアミノ酸配列を有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドまたは配列番号:18で表されるアミノ酸配列を有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドとを組み合わせてなる診断薬、
〔45〕中枢疾患、内分泌疾患、代謝疾患または癌の診断薬である上記〔42〕〜〔44〕記載の診断薬、
〔46〕上記〔1〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを用いて、上記〔1〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の発現量を測定することを特徴とする診断方法、
〔47〕配列番号:2で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと配列番号:4で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを用いて、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩と配列番号:3で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の発現量を測定することを特徴とする診断方法、
〔48〕(i)配列番号:2で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと(ii)配列番号:17で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドまたは配列番号:19で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを用いて、(i)配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩と(ii)配列番号:16で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または配列番号:18で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩の発現量を測定することを特徴とする診断方法、
〔49〕(i)配列番号:4で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと(ii)配列番号:17で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドまたは配列番号:19で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを用いて、(i)配列番号:3で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩と(ii)配列番号:16で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または配列番号:18で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩の発現量を測定することを特徴とする診断方法、
〔50〕中枢疾患、内分泌疾患、代謝疾患または癌の診断方法である上記〔46〕〜〔49〕記載の診断方法、
〔51〕外来性の、上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAまたはその変異DNAを有する非ヒトトランスジェニック動物、
〔52〕非ヒト動物がゲッ歯動物である上記〔51〕記載の動物、
〔53〕ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記〔52〕記載の動物、
〔54〕外来性の、上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAまたはその変異DNAを含有し、非ヒト動物において発現しうる組換えベクター、
〔55〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
〔56〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記〔55〕記載の胚幹細胞、
〔57〕ゲッ歯動物がマウスである上記〔56〕記載の胚幹細胞、
〔58〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
〔59〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記〔58〕記載の非ヒト哺乳動物、
〔60〕ゲッ歯動物がマウスである上記〔59〕記載の非ヒト哺乳動物等に関する。
【0007】
さらには、
〔61〕蛋白質が、▲1▼配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質である上記〔1〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔62〕蛋白質が、▲1▼配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列、配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質である上記〔4〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔63〕蛋白質が、▲1▼配列番号:64で表わされるアミノ酸配列、配列番号64で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:64で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:64で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質である上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
〔64〕上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはその部分ペプチドもしくはその塩と、試験化合物とを接触させることを特徴とする上記〔21〕記載のリガンドの決定方法、
〔65〕リガンドが、例えば、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテスティナル ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどのCCケモカインサブファミリー;lymphotactinなどのCケモカインサブファミリー;fractalkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LPA)またはスフィンゴシン1−リン酸である上記〔63〕記載のリガンドの決定方法、
【0008】
〔66〕(i)上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはその部分ペプチドもしくはその塩と、リガンドとを接触させた場合と、(ii)上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはその部分ペプチドもしくはその塩と、リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする上記〔24〕記載のスクリーニング方法、
〔67〕(i)標識したリガンドを上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはその部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはその部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合における、標識したリガンドの上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはその部分ペプチドもしくはその塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔68〕(i)標識したリガンドを上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、標識したリガンドの該細胞に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔69〕(i)標識したリガンドを上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分に接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したリガンドの該細胞の膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0009】
〔70〕(i)標識したリガンドを上記〔14〕記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記〔14〕記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合における、標識したリガンドの該G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔71〕(i)上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を活性化する化合物を上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を活性化する化合物および試験化合物を上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
〔72〕上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を活性化する化合物を上記〔14〕記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合と、上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を活性化する化合物および試験化合物を上記〔14〕記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合における、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0010】
〔73〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を活性化する化合物が、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテスティナル ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどのCCケモカインサブファミリー;lymphotactinなどのCケモカインサブファミリー;fractalkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LPA)またはスフィンゴシン1−リン酸である上記〔71〕または〔72〕記載のスクリーニング方法、
〔74〕上記〔33〕〜〔40〕記載のスクリーニング方法で得られうるリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
〔75〕上記〔66〕〜上記〔73〕記載のスクリーニング方法で得られうるリガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有することを特徴とする医薬、
【0011】
〔76〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞を含有することを特徴とする上記〔25〕記載のスクリーニング用キット、
〔77〕上記〔1〕、上記〔4〕または上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分を含有することを特徴とする上記〔25〕記載のスクリーニング用キット、
〔78〕上記〔14〕記載の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有することを特徴とする上記〔25〕記載のスクリーニング用キット、
〔79〕上記〔76〕〜〔78〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、リガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
〔80〕上記〔76〕〜〔78〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、リガンドと上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有することを特徴とする医薬、
〔81〕上記〔16〕記載の抗体と、上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩とを接触させることを特徴とする上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の定量法、
〔82〕上記〔16〕記載の抗体と、被検液および標識化された上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の割合を測定することを特徴とする被検液中の上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の定量法、および
〔83〕被検液と担体上に不溶化した上記〔16〕記載の抗体および標識化された上記〔16〕記載の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の上記〔1〕、上記〔4〕もしくは上記〔7〕記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の定量法等を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質(以下、レセプター蛋白質と略記する場合がある)は、(1)配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質、(2)配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質、および(3)配列番号:64で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質である。
本発明のレセプター蛋白質は、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞〔例えば、網膜細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球、白血球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細胞(例、乳癌細胞株(GI−101)、結腸癌細胞株(CX−1、GI−112)、肺癌細胞株(LX−1、GI−117)、卵巣癌細胞株(GI−102)、前立腺癌細胞株など)など〕、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など、または血球系の細胞もしくはその培養細胞(例えば、MEL,M1,CTLL−2,HT−2,WEHI−3,HL−60,JOSK−1,K562,ML−1,MOLT−3,MOLT−4,MOLT−10,CCRF−CEM,TALL−1,Jurkat,CCRT−HSB−2,KE−37,SKW−3,HUT−78,HUT−102,H9,U937,THP−1,HEL,JK−1,CMK,KO−812,MEG−01など)に由来する蛋白質であってもよく、また合成蛋白質であってもよい。
【0013】
配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
配列番号:64で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:64で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:64で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:64で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:64で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、公知の方法に準じて行なうことができるが、例えば、後に記載するリガンドの決定方法やスクリーニング方法に従って測定することができる。
【0014】
また、本発明のレセプター蛋白質としては、(1)▲1▼配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質、(2)▲1▼配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質、(3)▲1▼配列番号:64で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:64で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:64で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられる。
【0015】
本明細書におけるレセプター蛋白質は、ペプチド標記の慣例に従って、左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質をはじめとする、本発明のレセプター蛋白質は、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
本発明のレセプター蛋白質がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のレセプター蛋白質に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明のレセプター蛋白質には、上記した蛋白質において、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども含まれる。
本発明のレセプター蛋白質の具体例としては、例えば、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質、配列番号:10または配列番号:14で表されるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質、配列番号:64で表されるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質などが用いられる。
【0016】
本発明のレセプター蛋白質の部分ペプチド(以下、部分ペプチドと略記する場合がある)としては、上記した本発明のレセプター蛋白質の部分ペプチドであれば何れのものであってもよいが、例えば、本発明のレセプター蛋白質分子のうち、細胞膜の外に露出している部位であって、実質的に同一のレセプター結合活性を有するものなどが用いられる。
具体的に、(1)配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するレセプター蛋白質、(2)配列番号:10または配列番号:14で表されるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質、または(3)配列番号:64で表されるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質の部分ペプチドとしては、疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。
本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、上記した本発明のレセプター蛋白質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
実質的に同一のアミノ酸配列とは、これらアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を示す。
ここで、「実質的に同質のレセプター結合活性」とは、上記と同意義を示す。「実質的に同質のレセプター結合活性」の測定は上記と同様に行なうことができる。
【0017】
また、本発明の部分ペプチドは、上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、本発明の部分ペプチドはC末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)であってもよい。
さらに、本発明の部分ペプチドには、上記した本発明のレセプター蛋白質と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したGlnがピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの塩としては、酸または塩基との生理学的に許容される塩が挙げられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
【0018】
本発明のレセプター蛋白質またはその塩は、上記したヒトやその他の哺乳動物の細胞または組織から公知のレセプター蛋白質の精製方法によって製造することもできるし、後に記載する本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。また、後に記載する蛋白質合成法またはこれに準じて製造することもできる。
ヒトやその他の哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトやその他の哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0019】
本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩またはそのアミド体の合成には、通常市販の蛋白質合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とする蛋白質またはペプチドのアミノ酸配列通りに、公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂から蛋白質またはペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的の蛋白質もしくは部分ペプチドまたはそのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、蛋白質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するか、または、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0020】
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、蛋白質縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度は蛋白質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することができる。
【0021】
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0022】
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd-黒あるいはPd-炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
【0023】
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
蛋白質のアミド体を得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(蛋白質)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いた蛋白質とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去した蛋白質とを製造し、この両蛋白質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護蛋白質を精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗蛋白質を得ることができる。この粗蛋白質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の蛋白質のアミド体を得ることができる。
蛋白質のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、蛋白質のアミド体と同様にして、所望の蛋白質のエステル体を得ることができる。
【0024】
本発明の蛋白質の部分ペプチドまたはその塩は、公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の蛋白質を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明の蛋白質を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の▲1▼〜▲5▼に記載された方法が挙げられる。
▲1▼M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)▲2▼SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
▲3▼泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
▲4▼矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 蛋白質の化学IV、 205、(1977年)
▲5▼矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0025】
本発明のレセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、上記した本発明のレセプター蛋白質をコードする塩基配列(DNAまたはRNA、好ましくはDNA)を含有するものであればいかなるものであってもよい。該ポリヌクレオチドとしては、本発明のレセプター蛋白質をコードするDNA、mRNA等のRNAであり、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖(すなわち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖(すなわち、非コード鎖)であってもよい。
本発明のレセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを用いて、例えば、公知の実験医学増刊「新PCRとその応用」15(7)、1997記載の方法またはそれに準じた方法により、本発明のレセプター蛋白質のmRNAを定量することができる。
本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記した細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、上記した細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDNA、(2)配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDNA、(3)配列番号:65で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:65で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配列番号:64で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:65で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:65で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0026】
ハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、(1)配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが、(2)配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが、(3)配列番号:64で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:65で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAの塩基配列の一部、または該DNAと相補的な塩基配列の一部を含有してなるポリヌクレオチドとは、下記の本発明の部分ペプチドをコードするDNAを包含するだけではなく、RNAをも包含する意味で用いられる。
本発明に従えば、G蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の複製または発現を阻害することのできるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化した、あるいは決定されたG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、G蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成または機能を阻害することができるか、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質関連RNAとの相互作用を介してG蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の発現を調節・制御することができる。G蛋白質共役型レセプター蛋白質関連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、およびG蛋白質共役型レセプター蛋白質関連RNAと特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内および生体外でG蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療または診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列または核酸とペプチド(蛋白質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。G蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領域、ORF翻訳終止コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、G蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
【0027】
目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係は、対象物とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、「アンチセンス」であるということができる。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0028】
本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。
こうして修飾は当該分野で数多く知られており、例えば J. Kawakami et al., Pharm Tech Japan, Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Crooke et al. ed., Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993 などに開示がある。
本発明のアンチセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸は公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0029】
本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、上記した本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記した細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、上記した細胞・組織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、(2)配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配列番号:1または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質ペプチドと実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有する蛋白質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNA、(3)配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列を含有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、(4)配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配列番号:10または配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質ペプチドと実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有する蛋白質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNA、(5)配列番号:65で表わされる塩基配列を含有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、または(6)配列番号:65で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配列番号:64で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質ペプチドと実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有する蛋白質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:2または配列番号:4で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:11または配列番号:15で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:65で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:65で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0030】
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチド(以下、本発明のレセプター蛋白質と略記する場合がある)を完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のペプチドをコードするDNAの塩基配列の部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のレセプター蛋白質の一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
【0031】
DNAの塩基配列の変換は、PCRや公知のキット、例えば、MutanTM−super Express Km(宝酒造(株))、MutanTM−K(宝酒造(株))等を用いて、ODA−LA PCR法、Gapped duplex法、Kunkel法等の公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化されたレセプター蛋白質をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のレセプター蛋白質の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
【0032】
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pCR4、pCR2.1、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110、pTP5、pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられる。
これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
【0033】
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Ampと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr)細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のレセプター蛋白質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
【0034】
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology),120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕,DH5α〔Inoue, H., Nojima, H.and Okayama,H., Gene, 96, 23-28(1990)〕,DH10B〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),87巻,4645−4649(1990)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R,NA87−11A,DKD−5D、20B−12、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。
【0035】
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM 細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記)、マウスL細胞,マウスAtT−20、マウスミエローマ細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などが用いられる。
【0036】
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メッソズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988)などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
このようにして、G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0037】
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0038】
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜または細胞外に本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せしめることができる。
【0039】
上記培養物から本発明のレセプター蛋白質を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
本発明のレセプター蛋白質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりレセプター蛋白質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にレセプター蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるレセプター蛋白質の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0040】
かくして得られるレセプター蛋白質が遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生するレセプター蛋白質を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のレセプター蛋白質またはその塩の活性は、標識したリガンドとの結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0041】
本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩(以下、本発明のレセプター蛋白質等と略記する場合がある)に対する抗体は、本発明のレセプター蛋白質等を抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0042】
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクローナルモノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のレセプター蛋白質等は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプター蛋白質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
【0043】
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、レセプター蛋白質等の抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したレセプター蛋白質等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0044】
(b)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
【0045】
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(本発明の蛋白質等の抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のレセプター蛋白質等に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0046】
本発明のレセプター蛋白質またはその塩、その部分ペプチドまたはその塩、および該レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするDNAは、(1)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンド(アゴニスト)の決定、(2)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤、(3)遺伝子診断剤、(4)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング方法、(5)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤、(6)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの定量法、(7)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニストなど)のスクリーニング方法、(8)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニスト)を含有する各種疾病の予防および/または治療剤、(9)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の定量、(10)細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法、(11)細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤、(12)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体による中和、(13)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを有する非ヒト動物の作製などに用いることができる。
特に、本発明の組換え型G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、ヒトやその他の哺乳動物に特異的なG蛋白質共役型レセプターに対するリガンドの結合性を変化させる化合物(例、アゴニスト、アンタゴニストなど)をスクリーニングすることができ、該アゴニストまたはアンタゴニストを各種疾病の予防・治療剤などとして使用することができる。
本発明のレセプター蛋白質もしくは部分ペプチドまたはその塩(以下、本発明のレセプター蛋白質等と略記する場合がある)、本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)および本発明のレセプター蛋白質等に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)の用途について、以下に具体的に説明する。
【0047】
(1)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンド(アゴニスト)の決定
本発明のレセプター蛋白質もしくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩は、本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンド(アゴニスト)を探索し、または決定するための試薬として有用である。
すなわち、本発明は、本発明のレセプター蛋白質もしくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩と、試験化合物とを接触させることを特徴とする本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法を提供する。
試験化合物としては、公知のリガンド(例えば、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテスティナル アンド リレイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどのCCケモカインサブファミリー;lymphotactinなどのCケモカインサブファミリー;fractalkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン1−リン酸など)の他に、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の組織抽出物、細胞培養上清などが、さらには配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:62、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:49、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44または配列番号:45で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどが用いられる。例えば、該組織抽出物、細胞培養上清などを本発明のレセプター蛋白質に添加し、細胞刺激活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。
【0048】
具体的には、本発明のリガンド決定方法は、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドもしくはその塩を用いるか、または組換え型レセプター蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、本発明のレセプター蛋白質に結合して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fos活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性)を有する化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩を決定する方法である。
本発明のリガンド決定方法においては、本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドと試験化合物とを接触させた場合の、例えば、該レセプター蛋白質または該部分ペプチドに対する試験化合物の結合量や、細胞刺激活性などを測定することを特徴とする。
【0049】
より具体的には、本発明は、
▲1▼標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質もしくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合における、標識した試験化合物の該蛋白質もしくはその塩、または該部分ペプチドもしくはその塩に対する結合量を測定することを特徴とする本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、
▲2▼標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識した試験化合物の該細胞または該膜画分に対する結合量を測定することを特徴とする本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、
▲3▼標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触させた場合における、標識した試験化合物の該レセプター蛋白質またはその塩に対する結合量を測定することを特徴とする本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、
【0050】
▲4▼試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、レセプター蛋白質を介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定することを特徴とする本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、および
▲5▼試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触させた場合における、レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定することを特徴とする本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法を提供する。
特に、上記▲1▼〜▲3▼の試験を行ない、試験化合物が本発明のレセプター蛋白質に結合することを確認した後に、上記▲4▼〜▲5▼の試験を行なうことが好ましい。
【0051】
まず、リガンド決定方法に用いるレセプター蛋白質としては、上記した本発明のレセプター蛋白質または本発明の部分ペプチドを含有するものであれば何れのものであってもよいが、動物細胞を用いて大量発現させたレセプター蛋白質が適している。
本発明のレセプター蛋白質を製造するには、上記の発現方法が用いられるが、該レセプター蛋白質をコードするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好ましい。目的とする蛋白質部分をコードするDNA断片には、通常、相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。本発明のレセプター蛋白質をコードするDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが好ましい。発現したレセプターの量と質の検査は公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載の方法に従って行うことができる。
【0052】
したがって、本発明のリガンド決定方法において、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有するものとしては、公知の方法に従って精製したレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩であってもよいし、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分を用いてもよい。
本発明のリガンド決定方法において、本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行なうことができる。
本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞としては、本発明のレセプター蛋白質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。
細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセプター蛋白質と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
【0053】
該レセプター蛋白質を含有する細胞やその膜画分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドを決定する上記の▲1▼〜▲3▼の方法を実施するためには、適当なレセプター蛋白質画分と、標識した試験化合物が必要である。
レセプター蛋白質画分としては、天然型のレセプター蛋白質画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型レセプター画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。
標識した試験化合物としては、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したアンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテスティナル アンド リイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどのCCケモカインサブファミリー;lymphotactinなどのCケモカインサブファミリー;fractalkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン1−リン酸、あるいは、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:62、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:49、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44または配列番号:45で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどが好適である。
【0054】
具体的には、本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法を行なうには、まず本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞または細胞の膜画分を、決定方法に適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレセプター蛋白質との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各種蛋白質をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるリセプターやリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の試験化合物を加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃〜50℃、望ましくは約4℃〜37℃で、約20分〜24時間、望ましくは約30分〜3時間行なう。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測する。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験化合物を本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンド(アゴニスト)として選択することができる。
【0055】
本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドを決定する上記の▲4▼〜▲5▼の方法を実施するためには、該レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、レセプター蛋白質を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。リガンド決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
【0056】
本発明のレセプター蛋白質またはその塩に結合するリガンド決定用キットは、本発明のレセプター蛋白質もしくはその塩、本発明の部分ペプチドもしくはその塩、本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞、または本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分などを含有するものである。
本発明のリガンド決定用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.リガンド決定用試薬
▲1▼測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
▲2▼G蛋白質共役型レセプター蛋白質標品
本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
▲3▼標識試験化合物
市販の〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した化合物、または適当な方法で標識化したもの
水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。水に難溶性を示す試験化合物については、ジメチルホルムアミド、DMSO、メタノール等に溶解する。
▲4▼非標識試験化合物
標識化合物と同じものを100〜1000倍濃い濃度に調製する。
【0057】
2.測定法
▲1▼12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセプター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
▲2▼標識試験化合物を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには非標識試験化合物を5μl加えておく。
▲3▼反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識試験化合物を0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
▲4▼液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定する。
【0058】
本発明のレセプター蛋白質またはその塩に結合することができるリガンドとしては、例えば、視床下部、大脳皮質、結腸癌、肺癌などに特異的に存在する物質などが挙げられ、具体的には、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテスティナル アンド リレイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどのCCケモカインサブファミリー;lymphotactinなどのCケモカインサブファミリー;fractalkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン1−リン酸、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:62、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:49、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44または配列番号:45で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどが用いられる。
【0059】
(2)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤
上記(1)の方法において、本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドが明らかになれば、該リガンドが有する作用に応じて、▲1▼本発明のレセプター蛋白質または▲2▼該レセプター蛋白質をコードするDNAを、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤などの医薬として使用することができる。
例えば、生体内において本発明のレセプター蛋白質が減少しているためにリガンドの生理作用が期待できない(該レセプター蛋白質の欠乏症)患者がいる場合に、▲1▼本発明のレセプター蛋白質を該患者に投与し該レセプター蛋白質の量を補充したり、▲2▼(イ)本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを該患者に投与し発現させることによって、あるいは(ロ)対象となる細胞に本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを挿入し発現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによって、患者の体内におけるレセプター蛋白質の量を増加させ、リガンドの作用を充分に発揮させることができる。すなわち、本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAは、安全で低毒性な本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として有用である。
本発明のレセプター蛋白質は、G蛋白共役型レセプター蛋白質であるバソトシンレセプター、メソトシンレセプター、イソトシンレセプターまたはオキシトシンレセプターにアミノ酸配列レベルで、約32〜36%程度の相同性が認められる新規7回膜貫通型レセプター蛋白質である。
本発明のレセプター蛋白質または該レセプター蛋白質をコードするDNAは中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例えば、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例えば、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)などの予防および/または治療に有用である。
本発明のレセプター蛋白質を上記予防・治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
一方、本発明のレセプター蛋白質をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)を上記予防・治療剤として使用する場合は、本発明のDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
例えば、▲1▼本発明のレセプター蛋白質または▲2▼該レセプター蛋白質をコードするDNAは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、▲1▼本発明のレセプター蛋白質または▲2▼該レセプター蛋白質をコードするDNAを生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
【0060】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
【0061】
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明のレセプター蛋白質の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明のDNAの投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0062】
(3)遺伝子診断剤
本発明のDNAは、プローブとして使用することにより、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。
本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America),第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
【0063】
(4)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング方法
本発明のDNAは、プローブとして用いることにより、本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、例えば、(i)非ヒト哺乳動物の▲1▼血液、▲2▼特定の臓器、▲3▼臓器から単離した組織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRNA量を測定することによる、本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
【0064】
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRNA量の測定は具体的には以下のようにして行なう。
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肺、大腸など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。
得られた細胞に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRNAは、例えば、通常の方法により細胞等からmRNAを抽出し、例えば、TaqManPCRなどの手法を用いることにより定量することができ、公知の手段によりノザンブロットを行うことにより解析することもできる。
(ii)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドを発現する形質転換体を上記の方法に従い作製し、該形質転換体に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRNAを同様にして定量、解析することができる。
【0065】
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、細胞に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRNA量を定量、解析することにより行なうことができ、
(ii)形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日後)、該形質転換体に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRNA量を定量、解析することにより行なうことができる。
【0066】
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させることにより、G蛋白質共役型レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を増強させる化合物、(ロ)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱させる化合物である。
該化合物としては、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
該細胞刺激活性を増強させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等の生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。
該細胞刺激活性を減弱させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等の生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
【0067】
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、上記した本発明のレセプター蛋白質を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に、例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0068】
(5)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤
本発明のレセプター蛋白質は上記のとおり、例えば、中枢機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられる。したがって、本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として用いることができる。
該化合物を本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
【0069】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
【0070】
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌症患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0071】
(6)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの定量法
本発明のレセプター蛋白質等は、リガンドに対して結合性を有しているので、生体内におけるリガンド濃度を感度良く定量することができる。
本発明の定量法は、例えば、競合法と組み合わせることによって用いることができる。すなわち、被検体を本発明のレセプター蛋白質等と接触させることによって被検体中のリガンド濃度を測定することができる。具体的には、例えば、以下の▲1▼または▲2▼などに記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って用いることができる。
▲1▼入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)
▲2▼入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)
【0072】
(7)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニストなど)のスクリーニング方法
本発明のレセプター蛋白質等を用いるか、または組換え型レセプター蛋白質等の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩を効率よくスクリーニングすることができる。
このような化合物には、(イ)G蛋白質共役型レセプターを介して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を有する化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対するアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を増強する化合物、あるいは(ニ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を減少させる化合物などが含まれる(なお、上記(イ)の化合物は、上記したリガンド決定方法によってスクリーニングすることが好ましい)。
すなわち、本発明は、(i)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と、リガンドとを接触させた場合と(ii)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と、リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、該レセプター蛋白質等に対するリガンドの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較することを特徴とする。
【0073】
より具体的には、本発明は、
▲1▼標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質等に接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のレセプター蛋白質等に接触させた場合における、標識したリガンドの該レセプター蛋白質等に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
▲2▼標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したリガンドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
▲3▼標識したリガンドを、本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセプター蛋白質等に接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプター蛋白質等に接触させた場合における、標識したリガンドの該レセプター蛋白質等に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0074】
▲4▼本発明のレセプター蛋白質等を活性化する化合物(例えば、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドなど)を本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞に接触させた場合と、本発明のレセプター蛋白質等を活性化する化合物および試験化合物を本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
▲5▼本発明のレセプター蛋白質等を活性化する化合物(例えば、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドなど)を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプター蛋白質等に接触させた場合と、本発明のレセプター蛋白質等を活性化する化合物および試験化合物を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセプター蛋白質等に接触させた場合における、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0075】
本発明のレセプター蛋白質等が得られる以前は、G蛋白質共役型レセプターアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングする場合、まずラットなどのG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含む細胞、組織またはその細胞膜画分を用いて候補化合物を得て(一次スクリーニング)、その後に該候補化合物が実際にヒトのG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合を阻害するか否かを確認する試験(二次スクリーニング)が必要であった。細胞、組織または細胞膜画分をそのまま用いれば他のレセプター蛋白質も混在するために、目的とするレセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストを実際にスクリーニングすることは困難であった。
しかしながら、例えば、本発明のヒト由来レセプター蛋白質を用いることによって、一次スクリーニングの必要がなくなり、リガンドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合を阻害する化合物を効率良くスクリーニングすることができる。さらに、スクリーニングされた化合物がアゴニストかアンタゴニストかを簡便に評価することができる。
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、本発明のスクリーニング方法に用いる本発明のレセプター蛋白質等としては、上記した本発明のレセプター蛋白質等を含有するものであれば何れのものであってもよいが、本発明のレセプター蛋白質等を含有する哺乳動物の臓器の細胞膜画分が好適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させたヒト由来のレセプター蛋白質等などが適している。
【0076】
本発明のレセプター蛋白質等を製造するには、上記の方法が用いられるが、本発明のDNAを哺乳細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好ましい。目的とする蛋白質部分をコードするDNA断片には相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。本発明のレセプター蛋白質をコードするDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが好ましい。発現したレセプターの量と質の検査は公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載の方法に従って行なうことができる。
したがって、本発明のスクリーニング方法において、本発明のレセプター蛋白質等を含有するものとしては、公知の方法に従って精製したレセプター蛋白質等であってもよいし、該レセプター蛋白質等を含有する細胞を用いてもよく、また該レセプター蛋白質等を含有する細胞の膜画分を用いてもよい。
【0077】
本発明のスクリーニング方法において、本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行なうことができる。
本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞としては、該レセプター蛋白質等を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが好ましい。
細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセプター蛋白質等と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該レセプター蛋白質等を含有する細胞や膜画分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0078】
リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする上記の▲1▼〜▲3▼を実施するためには、例えば、適当なレセプター蛋白質画分と、標識したリガンドが必要である。
レセプター蛋白質画分としては、天然型のレセプター蛋白質画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型レセプター蛋白質画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。
標識したリガンドとしては、標識したリガンド、標識したリガンドアナログ化合物などが用いられる。例えば〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたリガンドなどが用いられる。
具体的には、リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物のスクリーニングを行なうには、まず本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター蛋白質標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレセプター蛋白質との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の標識したリガンドを添加し、同時に10-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のリガンドを加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃から50℃、望ましくは約4℃から37℃で、約20分から24時間、望ましくは約30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が、例えば、50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
【0079】
リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物スクリーニングする上記の▲4▼〜▲5▼の方法を実施するためには、例えば、レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。
具体的には、まず、本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当なレセプター蛋白質を発現した細胞が必要である。本発明のレセプター蛋白質等を発現した細胞としては、天然型の本発明のレセプター蛋白質等を有する細胞株、上記の組換え型レセプター蛋白質等を発現した細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0080】
リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、本発明のレセプター蛋白質等、本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞、または本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞の膜画分を含有するものなどである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
▲1▼測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
▲2▼G蛋白質共役型レセプター標品
本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養したもの。
▲3▼標識リガンド
市販の〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したリガンド
水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
▲4▼リガンド標準液
リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
【0081】
2.測定法
▲1▼12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセプター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
▲2▼10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わりに10-3Mのリガンドを5μl加えておく。
▲3▼反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
▲4▼液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式で求める。
PMB=[(B−NSB)/(B−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
:最大結合量
【0082】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)G蛋白質共役型レセプターを介して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を有する化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対するアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を増強する化合物、あるいは(ニ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を減少させる化合物である。
該化合物としては、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
本発明のレセプター蛋白質等に対するアゴニストは、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドが有する生理活性と同様の作用を有しているので、該リガンド活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のレセプター蛋白質等に対するアンタゴニストは、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドが有する生理活性を抑制することができるので、該リガンド活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を増強する化合物は、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドが有する生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。
リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を減少させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドが有する生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
【0083】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩を上記の医薬組成物として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、上記した本発明のレセプター蛋白質を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0084】
(8)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニスト)を含有する各種疾病の予防および/または治療剤
本発明のレセプター蛋白質は上記のとおり、例えば中枢機能、循環機能、消化機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられる。従って、本発明のレセプター蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニスト)や本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドは、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として用いることができる。
該化合物やリガンドを本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物やリガンドは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
【0085】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
【0086】
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
さらに、上記予防・治療剤は適当な薬剤と組み合わせて例えば本発明のレセプター蛋白質が高発現している臓器や組織を特異的なターゲットとしたDDS製剤として使用することもできる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0087】
(9)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の定量
本発明の抗体は、本発明のレセプター蛋白質等を特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のレセプター蛋白質等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。すなわち、本発明は、例えば、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化レセプター蛋白質等とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化レセプター蛋白質等の割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明のレセプター蛋白質等の定量法、
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のレセプター蛋白質等の定量法を提供する。
上記(ii)においては、一方の抗体が本発明のレセプター蛋白質等のN端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のレセプター蛋白質等のC端部に反応する抗体であることが好ましい。
【0088】
本発明のレセプター蛋白質等に対するモノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称する場合がある)を用いて本発明のレセプター蛋白質等の測定を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。本発明のレセプター蛋白質等に対する抗体を用いる測定法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、レセプター蛋白質量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後に記載するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0089】
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常、蛋白質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が用いられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のレセプター蛋白質量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法によるレセプター蛋白質等の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体はレセプター蛋白質等の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、レセプター蛋白質のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
【0090】
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、上記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果、生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0091】
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のレセプター蛋白質またはその塩の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる〔例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「メソッズ・イン・エンジモノジー(Methods in ENZYMOLOGY)」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。
以上のように、本発明の抗体を用いることによって、本発明のレセプター蛋白質またはその塩を感度良く定量することができる。
さらに、本発明の抗体を用いて、生体内での本発明のレセプター蛋白質またその塩を定量することによって、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する各種疾患の診断をすることができる。
また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のレセプター蛋白質等を特異的に検出するために使用することができる。また、本発明のレセプター蛋白質等を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のレセプター蛋白質等の検出、被検細胞内における本発明のレセプター蛋白質の挙動の分析などのために使用することができる。
【0092】
(10)細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法
本発明の抗体は、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を特異的に認識することができるので、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち本発明は、例えば、
(i)非ヒト哺乳動物の▲1▼血液、▲2▼特定の臓器、▲3▼臓器から単離した組織もしくは細胞等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドを定量することによる、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(ii)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドを発現する形質転換体等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドを定量することによる、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(iii)非ヒト哺乳動物の▲1▼血液、▲2▼特定の臓器、▲3▼臓器から単離した組織もしくは細胞等を切片とした後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該レセプター蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することによる、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
(iv)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドを発現する形質転換体等を切片とした後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該レセプター蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することによる、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
【0093】
細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの定量は具体的には以下のようにして行なう。
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肺、大腸など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細胞等を、例えば、適当な緩衝液(例えば、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、ヘペス緩衝液など)等に懸濁し、臓器、組織あるいは細胞を破壊し、界面活性剤(例えば、トリトンX100TM、ツイーン20TMなど)などを用い、さらに遠心分離や濾過、カラム分画などの手法を用いて細胞膜画分を得る。
【0094】
細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセプター蛋白質等と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
【0095】
細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドは、例えば、本発明の抗体を用いたサンドイッチ免疫測定法、ウエスタンブロット解析などにより定量することができる。
かかるサンドイッチ免疫測定法は上記の方法と同様にして行なうことができ、ウエスタンブロットは公知の手段により行なうことができる。
【0096】
(ii)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドを発現する形質転換体を上記の方法に従い作製し、細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドを定量することができる。
【0097】
細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を定量することにより行なうことができ、
(ii)形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日後)、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を定量することにより行なうことができる。
【0098】
細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの確認は具体的には以下のようにして行なう。
(iii)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肺、大腸など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細胞等を、常法に従い組織切片とし、本発明の抗体を用いて免疫染色を行う。細胞表層での該レセプター蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することにより、定量的または定性的に、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を確認することができる。
(iv)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドを発現する形質転換体等を用いて同様の手段をとることにより確認することもできる。
【0099】
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を増加させることにより、G蛋白質共役型レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を増強させる化合物、(ロ)細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱させる化合物である。
該化合物としては、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
該細胞刺激活性を増強させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等の生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。
該細胞刺激活性を減弱させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等の生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
【0100】
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、上記した本発明のレセプター蛋白質を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0101】
(11)細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤
本発明のレセプター蛋白質は上記のとおり、例えば、中枢機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられる。したがって、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として用いることができる。
該化合物を本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
【0102】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
【0103】
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0104】
(12)本発明のレセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体による中和
本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体の、それらレセプター蛋白質などに対する中和活性とは、すなわち、該レセプター蛋白質の関与するシグナル伝達機能を不活性化する活性を意味する。従って、該抗体が中和活性を有する場合は、該レセプター蛋白質の関与するシグナル伝達、例えば、該レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を不活性化することができる。したがって、該レセプター蛋白質の過剰発現などに起因する疾患の予防および/または治療に用いることができる。
【0105】
(13)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを有する動物の作出
本発明のDNAを用いて、本発明のレセプター蛋白質等を発現するトランスジェニック動物を作出することができる。動物としては、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)など(以下、動物と略記する場合がある)が挙げられるが、特に、マウス、ウサギなどが好適である。
本発明のDNAを対象動物に導入するにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、ウサギ由来の本発明のDNAを導入する場合、これと相同性が高い動物由来の本発明のDNAを動物細胞で発現させうる各種プロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトを、例えば、ウサギ受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のレセプター蛋白質等を高産生するDNA導入動物を作出できる。このプロモーターとしては、例えば、ウイルス由来プロモーター、メタロチオネイン等のユビキアスな発現プロモーターも使用しうるが、好ましくは脳で特異的に発現するNGF遺伝子プロモーターやエノラーゼ遺伝子プロモーターなどが用いられる。
受精卵細胞段階における本発明のDNAの導入は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のDNAが存在するように確保される。DNA導入後の作出動物の胚芽細胞において本発明のレセプター蛋白質等が存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のレセプター蛋白質等を有することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のレセプター蛋白質等を有する。
本発明のDNA導入動物は、交配により遺伝子を安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができる。さらに、目的DNAを保有する雌雄の動物を交配することにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。本発明のDNAが導入された動物は、本発明のレセプター蛋白質等が高発現させられているので、本発明のレセプター蛋白質等に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用の動物などとして有用である。
本発明のDNA導入動物を、組織培養のための細胞源として使用することもできる。例えば、本発明のDNA導入マウスの組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、あるいは遺伝子により発現された本発明のレセプター蛋白質が存在する組織を分析することにより、本発明のレセプター蛋白質等について分析することができる。本発明のレセプター蛋白質等を有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、例えば、脳や末梢組織由来のような一般に培養困難な組織からの細胞の機能を研究することができる。また、その細胞を用いることにより、例えば、各種組織の機能を高めるような医薬の選択も可能である。また、高発現細胞株があれば、そこから、本発明のレセプター蛋白質等を単離精製することも可能である。
【0106】
(14)ノックアウト動物
本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された上記(1)記載の胚幹細胞、
(3)ネオマイシン耐性である上記(1)記載の胚幹細胞、
(4)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(1)記載の胚幹細胞、
(5)ゲッ歯動物がマウスである上記(4)記載の胚幹細胞、
(6)本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(9)ゲッ歯動物がマウスである上記(8)記載の非ヒト哺乳動物、および
(10)上記(7)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、あるいは該DNAがコードしている本発明のポリペプチドの活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に本発明のポリペプチドの発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知のEvansとKaufmanの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDFマウス(C57BL/6とDBA/2とのF)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDFマウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約10個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明のポリペプチドの細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知の方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明のポリペプチドのヘテロ発現不全個体であり、本発明のポリペプチドのヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本発明のポリペプチドのホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のポリペプチドにより誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のポリペプチドの生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
(14a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
具体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例えば、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例えば、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)に対して予防・治療効果を有する化合物をスクリーニングする場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に糖負荷処置を行ない、糖負荷処置前または処置後に試験化合物を投与し、該動物の血糖値および体重変化などを経時的に測定する。
該スクリーニング方法において、試験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の癌転移が約10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約50%以上低下した場合、該試験化合物を上記の疾患に対して予防・治療効果を有する化合物として選択することができる。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のポリペプチドの欠損や損傷などによって引き起こされる疾患に対して予防・治療効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として使用することができる。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のポリペプチドを含有する医薬と同様にして製造することができる。このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の癌の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の癌の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(14b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。
本発明のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、本発明のポリペプチドをコードするDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明のポリペプチドの発現する組織で、本発明のポリペプチドの代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明のポリペプチドの動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、本発明のポリペプチド欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸など)や塩基(例、有機酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のポリペプチドの発現を促進し、該ポリペプチドの機能を促進することができるので、例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例えば、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例えば、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)などの医薬として有用である。
また、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、本発明のポリペプチドの発現を阻害し、該ポリペプチドの機能を阻害することができるので、例えば中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例えば、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例えば、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)などの予防・治療剤などの医薬として有用である。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のポリペプチドまたはその塩を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の癌の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の癌の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の癌の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の癌の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、本発明のポリペプチドのプロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種々のタンパクをコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子導入動物)を作成すれば、特異的にそのポリペプチドを合成させ、その生体での作用を検討することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポータ遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、本発明のポリペプチドそのものの体内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
【0107】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0108】
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
* :終止コドンに対応する
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
【0109】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Figure 0004004767
【0110】
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−1(ヒトTGR23−1と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕
本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−1をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−2(ヒトTGR23−2と称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:4〕
本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−2をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕
以下の実施例1におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:6〕
以下の実施例1におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:7〕
以下の実施例2におけるPCR反応で使用したプライマー3の塩基配列を示す。
〔配列番号:8〕
以下の実施例2におけるPCR反応で使用したプライマー4の塩基配列を示す。
〔配列番号:9〕
以下の実施例2、実施例3および実施例4におけるPCR反応で使用したプローブ1の塩基配列を示す。〔5’末端にリポーター色素としてFAM(6−carboxy−fluorescein)を、3’末端にはクエンチャーとしてTAMRA(6−carboxy−tetramethyl−rhodamine)を標識した。〕。
〔配列番号:10〕
本発明のマウス由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−A(マウスTGR23−Aと称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:11〕
本発明のマウス由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−AをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:12〕
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマー5の塩基配列を示す。
〔配列番号:13〕
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマー6の塩基配列を示す。
〔配列番号:14〕
本発明のマウス由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−B(マウスTGR23−Bと称することもある)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:15〕
本発明のマウス由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23−BをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:16〕
ヒト由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:17〕
配列番号:16で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:18〕
ヒト由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:19〕
配列番号:18で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:20〕
以下の参考例1および参考例15におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:21〕
以下の参考例1および参考例15におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:22〕
以下の参考例2におけるTGR23−2発現CHO細胞のTGR23−2遺伝子発現量を測定するのに使用したプライマーの塩基配列、参考例16におけるTGR23−1発現CHO細胞のTGR23−1遺伝子発現量を測定するのに使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:23〕
以下の参考例2におけるTGR23−2発現CHO細胞のTGR23−2遺伝子発現量を測定するのに使用したプライマーの塩基配列、参考例16におけるTGR23−1発現CHO細胞のTGR23−1遺伝子発現量を測定するのに使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:24〕
以下の参考例2におけるTGR23−2発現CHO細胞のTGR23−2遺伝子発現量を測定するのに使用したプローブの塩基配列、参考例16におけるTGR23−1発現CHO細胞のTGR23−1遺伝子発現量を測定するのに使用したプローブの塩基配列を示す。
〔配列番号:25〕
ラットTGR23−2リガンド(1−18)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:26〕
ラットTGR23−2リガンド(1−15)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:27〕
ラットTGR23−2リガンド(1−14)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:28〕
以下の参考例11におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:29〕
以下の参考例11におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:30〕
以下の参考例11におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:31〕
ヒトTGR23−2リガンド前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:32〕
ヒトTGR23−2リガンド前駆体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:33〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−18)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:34〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−15)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:35〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−14)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:36〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−20)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:37〕
以下の参考例12におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:38〕
以下の参考例12におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:39〕
以下の参考例12におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:40〕
マウスTGR23−2リガンド前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:41〕
マウスTGR23−2リガンド前駆体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:42〕
マウスTGR23−2リガンド(1−18)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:43〕
マウスTGR23−2リガンド(1−15)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:44〕
マウスTGR23−2リガンド(1−14)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:45〕
マウスTGR23−2リガンド(1−20)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:46〕
以下の参考例13におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:47〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体の一部をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:48〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体の一部のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:49〕
ラットTGR23−2リガンド(1−20)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:50〕
配列番号:25で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:51〕
配列番号:26で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:52〕
配列番号:27で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:53〕
配列番号:49で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:54〕
配列番号:33で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:55〕
配列番号:34で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:56〕
配列番号:35で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:57〕
配列番号:36で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:58〕
配列番号:42で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:59〕
配列番号:43で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:60〕
配列番号:44で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:61〕
配列番号:45で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:62〕
ヒトTGR23−2リガンド(1−16)のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:63〕
配列番号:62で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:64〕
本発明のラット由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:65〕
本発明のラット由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質TGR23をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:66〕
以下の実施例6におけるPCR反応で使用したプライマー7の塩基配列を示す。
〔配列番号:67〕
以下の実施例6におけるPCR反応で使用したプライマー8の塩基配列を示す。
〔配列番号:68〕
以下の参考例14におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:69〕
以下の参考例14におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:70〕
以下の参考例14におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:71〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:72〕
ラットTGR23−2リガンド前駆体のアミノ酸配列を示す。
【0111】
後述の実施例1で得られた形質転換体 大腸菌(Escherichia coli) TOP10/pTB2173は、2000年10月24日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16483として、2000年11月1日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305-8566)の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(旧:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH))に受託番号FERM BP−7346としてそれぞれ寄託されている。
後述の実施例1で得られた形質転換体Escherichia coli TOP10/pTB2174は、2000年10月24日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16484として、2000年11月1日から茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305-8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH))に受託番号FERM BP−7347としてそれぞれ寄託されている。
後述の実施例5で得られた形質転換体Escherichia coli TOP10/pTB2237は、2001年9月13日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85の財団法人・発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16705として、2001年9月25日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305-8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7754としてそれぞれ寄託されている。
【0112】
【実施例】
以下に実施例および参考例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子は、モレキュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載されている方法に従った。
実施例1
ヒト結腸癌由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
ヒト結腸癌(CX−1)cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA5μlを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(STRATAGENE社)2.5U、プライマー1(配列番号:5)およびプライマー2(配列番号:6)を各1.0μM、dNTPsを200μM、および酵素に2XGC BufferI(TaKaRa社)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・1分、60℃・1分、72℃・1.5分のサイクルを38回繰り返し最後に72℃・10分の伸長反応を行った。該PCR反応産物をZero Blunt TOPO PCR クローニングキット(Invitrogen社))の処方に従いプラスミドベクターpCR−BluntII−TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌TOP10に導入し、cDNAを持つクローンをカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:2および配列番号:4)を得た。配列番号:2で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpTB2173と、配列番号:4で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpTB2174と名付けた。これらのDNAの塩基配列(配列番号:2および配列番号:4)がコードするアミノ酸配列(配列番号:1および配列番号:3)を含有する新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をTGR23−1およびTGR23−2とそれぞれ命名した。さらに、プラスミドpTB2173およびpTB2174を導入された形質転換体を、それぞれ、大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pTB2173およびTOP10/pTB2174と命名した。
TGR23−2のアミノ酸配列では、TGR23−1のアミノ酸配列の107番目のAsnがIleに、344番目のGlnがArgにそれぞれ置換されている。また、TGR23−2をコードするDNAの塩基配列では、TGR23−1をコードするDNAの塩基配列の320番目のAがTに、648番目のCがTに、1031番目のAがGに、1071番目のTがCにそれぞれ置換されている。
TGR23−1の疎水性プロット図を〔図1〕に、TGR23−2の疎水性プロット図を〔図2〕にそれぞれ示す。
【0113】
実施例2
ヒトTGR23−1およびヒトTGR23-2の発現組織の検討
ヒトMTC panel HumanI、HumanII、およびHumanTumor(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー3(配列番号:7)、プライマー4(配列番号:8)およびプローブ1〔配列番号:9(FAM-acctggtttg ccgagtggtc cgctattt-TAMRA)〕を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA1μlを鋳型として使用し、プライマー3(配列番号:7)およびプライマー4(配列番号:8)を各0.5μM、プローブ1(配列番号:9)を0.1μM、およびTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)25μlを加え、50μlの液量とした。PCR反応は、ABI7700(アプライドバイオシステムズ社)を用いて50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返し行った。標準cDNAは、プラスミドpTB2174の260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、正確なコピー数を算出した後、1mM EDTAを含む10mM Tris−HCl(pH8.0)溶液で希釈し、1から1x106コピーの標準cDNA溶液を調製した。発現量はABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸に、標準cDNAの初期濃度の対数値を横軸にとり、標準曲線を作成し、MTC panel 1μl中の発現量を求めた。その結果、MTC panel 1μl中に心臓cDNAで2.1コピー、脳cDNAで13コピー、胎盤cDNAで3.3コピー、肺cDNAで4.9コピー、肝臓cDNAで5.6コピー、骨格筋cDNAで0.91コピー、腎臓cDNAで1.0コピー、膵臓cDNAで1.7コピー、脾臓cDNAで2.3コピー、胸腺cDNAで2.6コピー、前立腺cDNAで0.9コピー、精巣cDNAで1.8コピー、卵巣cDNAで4.0コピー、小腸cDNAで1.3コピー、大腸cDNAで5.5コピー、白血球cDNAで1.5コピー、乳癌細胞株(GI‐101)cDNAで0.55コピー、結腸癌細胞株(CX−1)cDNAで730コピー、結腸癌細胞株(GI−112)cDNAで1.8コピー、肺癌細胞株(LX−1)cDNAで64コピー、肺癌細胞株(GI−117)cDNAで0.95コピー、卵巣癌細胞株(GI−102)cDNAで2.1コピー、前立腺癌細胞株(PC3)cDNAで2.4コピーの発現が確認された。上記の値は同様に行った二度の検討結果の平均の値である。
これより、ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2は、結腸癌細胞株(CX−1)および肺癌細胞株(LX−1)で非常に強い発現がみられることがわかる。
ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2のMTC Panelの発現量のグラフを〔図5〕に示す。
【0114】
実施例3
ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2の正常組織および癌組織での発現検討
ヒトMatched pair cDNA (CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー3(配列番号:7)、プライマー4(配列番号:8)およびプローブ1(配列番号:9)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA1μlを鋳型として使用し、プライマー3(配列番号:7)およびプライマー4(配列番号:8)を各0.5μM、プローブ1(配列番号:9)を0.1μM、およびTaqMan UniversalPCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)25μlを加え、50μlの液量とした。PCR反応は、ABI7700(アプライドバイオシステムズ社)を用いて50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返し行った。実施例2と同様に解析を行った結果、Matched pair cDNA1μl中にBreast1では正常組織で0.0コピー、癌組織で0.0コピー、Breast2では正常組織で0.0コピー、癌組織で0.78コピー、Breast3では正常組織で0.0コピー、癌組織で0.0コピー、Breast4では正常組織で0.0コピー、癌組織で0.0コピー、Lung4では正常組織で2.4コピー、癌組織で0.77コピー、Lung5では正常組織で2.8コピー、癌組織で0.31コピー、Lung6では正常組織で0.0コピー、癌組織で2.0コピー、Colon1では正常組織で0.69コピー、癌組織で52コピー、Colon2では正常組織で1.5コピー、癌組織で150コピー、Colon3では正常組織で3.5コピー、癌組織で0.0コピー、Colon4では正常組織で5.1コピー、癌組織で21コピー、Colon5では正常組織で34コピー、癌組織で890コピー、Colon6では正常組織で1.9コピー、癌組織で14コピー、Colon7では正常組織で7.7コピー、癌組織で3.2コピー、Rectum1では正常組織で0.77コピー、癌組織で12コピー、Rectum2では正常組織で1.7コピー、癌組織で0.0コピー、Rectum3では正常組織で10コピー、癌組織で6.2コピー、Ovary1では正常組織で13コピー、癌組織で1.5コピー、Ovary2では正常組織で24コピー、癌組織で0.0コピー、Ovary3では正常組織で0.77コピー、癌組織で0.0コピー、Ovary4では正常組織で1.9コピー、癌組織で1.6コピー、Ovary5では正常組織で0.81コピー、癌組織で0.0コピー、Prostate1では正常組織で0.0コピー、癌組織で0.0コピー、Prostate3では正常組織で1.35コピー、癌組織で0.0コピーの発現が確認された。
これより、ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2は、結腸癌組織cDNAで7例中3例(Colon1、Colon3、Colon5)の高頻度で、正常組織に比べ発現が上昇していたことがわかる。
ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2のMatched pair cDNAの発現量のグラフを〔図6〕に示す。
【0115】
実施例4
ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2の癌細胞株での発現検討
癌細胞株SW620(ヒト結腸癌由来)、LS123(ヒト結腸癌由来)、COLO205(ヒト結腸癌由来)、DU145(ヒト前立腺癌由来)、ZR75−1(ヒト乳癌由来)、NCI−H358(ヒト気管支肺胞腺癌由来)(いずれもATCC社)を用いてヒトTGR23−1およびTGR23−2の発現量の検討を行った。SW620はLeibovitz’s L15培地(SIGMA社、カタログ番号L5520)、LS123はEMEM培地(GIBCO社、カタログ番号11090−081)、COLO205、ZR75−1、NCI−H358は10mM HEPES(GIBCO社)、1mM Sodium Pyruvate(GIBCO社)を含むRPMI1640培地(GIBCO社、カタログ番号11875−093)、DU145は0.1mM MEM 非必須アミノ酸溶液、1mM Sodium Pyruvate(GIBCO社)を含むEMEM培地(GIBCO社、カタログ番号11095−080)にいずれの培地も、それぞれ10% ウシ胎児血清(GIBCO社)、0.1g/lのカナマイシン(GIBCO社)になるようにそれらを加え、培養を行った。細胞培養は10cm−dishにておこないRNeasy Mini Kit(キアゲン社)を用いてRNAを調製した。得られたRNAの260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、それぞれ5ngを用いTaqMan Reverse Transcription Reagents(アプライドバイオシステムズ社)を用いて逆転写反応を行った。得られた逆転写産物1ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA1ngを鋳型とし、2個のプライマー、プライマー3(配列番号:7)、プライマー4(配列番号:8)およびプローブ1(配列番号:9)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記逆転写反応産物1ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA1ngを鋳型として使用し、プライマー3(配列番号:7)およびプライマー4(配列番号:8)を各0.5μM、プローブ1(配列番号:9)を0.1μM、およびTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)12.5μlを加え、25μlの液量とした。PCR反応は、ABI7700(アプライドバイオシステムズ社)を用いて50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、60℃・1分のサイクルを40回繰り返し行った。同様に逆転写産物0.25ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA0.25ngを鋳型として使用し、TaqMan β−actin Control Reagents(アプライドバイオシステムズ社)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記逆転写産物0.25ng相当もしくは逆転写反応を行っていないRNA0.25ngを鋳型として使用し、TaqMan β−actin Control Reagentsに含まれるβ−actinForward Primerおよびβ−actin Reverse Primerを各0.4μM、β−actin Probeを0.5μM、およびTaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズ社)12.5μlを加え、25μlの液量とした。PCR反応は、ABI7700(アプライドバイオシステムズ社)を用いて50℃・2分、95℃・10分の後、95℃・15秒、62℃・1分のサイクルを40回繰り返し行った。実施例2と同様に解析を行い、逆転写反応産物の解析より得られた値から逆転写反応を行わずに得られた値を差し引き、発現量を決定した。さらにヒトTGR23−1およびTGR23−2の発現量の値はβ−actinに対しての発現量として求めた。このとき得られた値が0以下を示した場合、その値を0として置き換えた。その結果、β−actinに対するヒトTGR23−1およびTGR23−2の発現量はSW620では、0.0021%、LS123では0.0%、COLO205では2.1%、DU145では0.00029%、ZR75−1では0.0012%、NCI−H358では0.0%であった。
これより、ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2は、COLO205において非常に発現が増強していたことがわかる。
ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2の癌細胞株における発現量のグラフを〔図7〕に示す。
【0116】
実施例5
マウス脳由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
マウスMarathon Ready cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー5(配列番号:12)およびプライマー6(配列番号:13)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA1μlを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(STRATAGENE社)2.5U、プライマー5(配列番号:12)およびプライマー6(配列番号:13)を各1μM、dNTPsを200μM、および酵素に2XGC BufferI(TaKaRa社)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・1分、60℃・1分、72℃・1.5分のサイクルを38回繰り返し、最後に72℃・5分の伸長反応を行った。次にアガロースゲル電気泳動を行い、Gel Extraction Kit(QIAGEN社)を用いて該PCR反応産物を精製した。これをZero Blunt TOPO PCR クローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR−BluntII−TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌TOP10に導入し、cDNAを持つクローンをカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:11)を得た。このDNAの塩基配列(配列番号:11)がコードするアミノ酸配列(配列番号:10)を含有する新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をマウスTGR23−Aと命名した。
配列番号:11で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpTB2237と名付け、プラスミドpTB2237を導入された形質転換体を、大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pTB2237と命名した。
マウスTGR23−Aの疎水性プロット図を〔図8〕に示す。
【0117】
実施例6
ラット脳由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
ラットMarathon Ready cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー7(配列番号:66)およびプライマー8(配列番号:67)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記cDNA2.5μlを鋳型として使用し、Advantage2 Polymerase Mix(CLONTECH社)1μl、プライマー7(配列番号:66)およびプライマー8(配列番号:67)を各0.2μM、dNTPsを800μM、および酵素にDMSOを2μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・1分の後、95℃・30秒、72℃・4分のサイクルを5回、95℃・30秒、70℃・4分のサイクルを5回、95℃・30秒、68℃・4分のサイクルを30回繰り返し、最後に68℃・3分の伸長反応を行った。次にアガロースゲル電気泳動を行い、GENECLEAN SPIN Kit(BIO101社)を用いて該PCR反応産物を精製した。これを TOPO TA クローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCR2.1-TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これを大腸菌DH5αに導入し、cDNAを持つクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:65)を得た。このDNAの塩基配列(配列番号:11)がコードするアミノ酸配列(配列番号:64)を含有する新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をラットTGR23と命名した。
配列番号:65で表される塩基配列を有するDNA断片を有するプラスミドをpCR2.1−rTGR23と名付け、プラスミドpCR2.1−rTGR23が導入された形質転換体を、大腸菌(Escherichia coli)DH5α/pCR2.1−rTGR23と命名した。
ラットTGR23の疎水性プロット図を〔図12〕に示す。
【0118】
参考例1
TGR23-2(以下、ヒトTGR23-2を、単にTGR23-2と称することもある)発現CHO細胞の作成
実施例1で得られたプラスミドpTB2174を鋳型とし、Sal I認識配列を付加したプライマー1(配列番号:20)およびSpe I認識配列を付加したプライマー2(配列番号:21)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記プラスミド10 ngを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(ストラタジーン社)2.5 U、プライマー1(配列番号:20)およびプライマー2(配列番号:21)を各1.0μM、dNTPsを200μM、および反応液に2 X GC Buffer I(宝酒造)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・60秒の後、95℃・60秒、55℃・60秒、72℃・70秒のサイクルを25回繰り返し、最後に72℃・10分の伸長反応を行った。該PCR反応産物をZero Blunt TOPO PCRクローニングキット(インビトロジェン社)の処方に従いプラスミドベクターpCR-Blunt II-TOPO(インビトロジェン社)へサブクローニングした。これをE. coli TOP10(インビトロジェン社)に導入し、pTB2174に含まれるTGR23-2のcDNAを持つクローンをカナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。ここで得られた、5’側および3’側にSal IおよびSpe Iがそれぞれ認識する配列を付加したTGR23-2が導入されたプラスミドによって形質転換されたE. coliのクローンよりPlasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてプラスミドを調製し、制限酵素Sal I およびSpe Iで切断してインサート部分を切り出した。インサートDNAは電気泳動後、アガロースゲルより切り出し、次にGel Extraction Kit(キアゲン社)を用いて回収した。このインサートDNAをSal I およびSpe Iで切断した動物細胞発現用ベクタープラスミドpAKKO-111H(Hinuma, S. et al. Biochim. Biophys. Acta, Vol. 1219, pp. 251-259 (1994)記載のpAKKO1.11Hと同一のベクタープラスミド)に加え、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造)を用いてライゲーションを行ない、蛋白発現用プラスミドpAKKO-TGR23-2を構築した。このpAKKO-TGR23-2で形質転換したE. coli TOP10を培養後、Plasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてpAKKO-TGR23-2のプラスミドDNAを調製した。ハムスターCHO/dhfr- 細胞を10%ウシ胎児血清を含むα-MEM培地(with ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12571)でファルコンディッシュ(径3.5 cm)に1 x 105 個播種し、5% CO2インキュベーターで37℃一晩培養した。上記発現プラスミドpAKKO-TGR23-2 DNA 2μgをTransfection Reagent FuGENE 6 (Roche社)を用い、添付説明書記載の方法に従ってトランスフェクトし、18時間培養後新鮮な増殖培地に交換した。さらに10時間培養を続けたのち、トランスフェクトした細胞をトリプシン−EDTA処理により集め、選択培地(10% 透析牛胎児血清を含むα-MEM培地(without ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12561))を用いて平底96穴プレート10枚に播種した。3−4日ごとに選択培地を交換しながら培養を続け、2−3週間後にコロニー状に増殖してきたDHFR+ 細胞クローンを79個取得した。
【0119】
参考例2
TaqMan PCR法を用いたTGR23-2発現CHO細胞株のTGR23-2発現量の定量
参考例1で得たTGR23-2発現CHO細胞株79クローンを、96ウェルプレートに培養し、RNeasy 96 Kit(キアゲン社)を用いてtotal RNAを調製した。得られたtotal RNA 50〜200 ngを TaqMan Gold RT-PCR Kit (PEバイオシステムズ社)を用いて、逆転写反応を行なった。得られたtotal RNA 5〜20 ng相当の逆転写産物、または後に述べるようにして作製した標準cDNA、1xUniversal PCR Master Mix(PEバイオシステムズ社)、配列番号:22で表されるプライマーおよび配列番号:23で表されるプライマー各500 nM、および配列番号:24(Fam-acctggtttg ccgagtggtc cgctattt-Tamra;配列中、Famは6-carboxy-fluoresceinを、Tamraは6-carboxy-tetramethyl-rhodamine をそれぞれ示す)で表されるTaqManプローブ 100 nMを含む反応混合液25μlについてABI PRISM 7700 Sequence Detector(PEバイオシステムズ社)を用いてPCRを行なった。PCRは、50℃・2分、95℃・10分で処理後、95℃・15秒、60℃・60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。
標準cDNAは、実施例1で得られたプラスミドpTB2174の260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、正確なコピー数を算出した後、1mM EDTAを含む10mM Tris-HCl(pH8.0)溶液で希釈し、2コピーから2x106コピーの標準cDNA溶液を調製した。また、TaqMan PCR用プローブおよびプライマーはPrimer Express(Version1.0)(PEバイオシステムズ社)により設計した。
発現量はABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、標準cDNAの初期濃度の対数値を横軸にとり、標準曲線を作成した。標準曲線より各逆転写産物の初期濃度を算出し、各クローンのtotal RNA当たりのTGR23−2遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23-2の発現が高かったCHO細胞株21個を選択し24ウェルプレートに培養した。これらの細胞について、TGR23−2の発現量を再検した。RNeasy Mini Kits(キアゲン社)を用いてtotal RNAを調製した後、RNase-free DNase Set(キアゲン社)を用いてDNase処理をした。得られたtotal RNAから、上記と同様に逆転写反応し、TaqMan PCR法で各クローンのtotal RNA当たりのTGR23−2遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23−2発現CHO細胞株クローン53と58が高い発現量を示すことがわかった。
以後の参考例では、これら2つのクローンの発現細胞を用いた。
【0120】
参考例3
TGR23-2発現CHO細胞を用いた細胞内cAMP産生促進/抑制活性の測定
参考例1で作製し、参考例2で選択したCHO/TGR23-2細胞を24穴プレートに7 x 104 cells/wellで播種し、48時間培養した。細胞を0.2 mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20 mM HEPESを含むαMEM培地(pH 7.5)で洗浄した(以下、0.2 mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20 mM HEPESを含むαMEM培地(pH 7.5)を反応用バッファーと記す)。その後0.5 mlの反応用バッファーを加えて30分間培養器で保温した。反応用バッファーを除き、新たに0.25 mlの反応用バッファーを細胞に加えた後、試料と2μMフォルスコリンを含む0.25 mlの反応用バッファーを細胞に加え、37℃で30分間反応させた。反応液を除き、cAMP EIAキット(アプライドバイオシステム)付属の細胞溶解液を0.5 ml添加して細胞内のcAMPを抽出した。抽出液中のcAMP量は、同キットを用いて定量した。この測定値をもとにして、産生促進/抑制活性を以下に示した式で計算し、% of controlで表した。試料添加群の活性はそれぞれのプレート毎に設置した対照の値を用いて算出した。
% of control = (X-C)/(T-C)x100
X:試料添加群のcAMP量
T:正対照(試料無添加、フォルスコリン刺激あり)の3 wellのcAMP量の平均値
C:負対照(試料無添加、フォルスコリン刺激なし)の2 wellのcAMP量の平均値
【0121】
参考例4
TGR23-2発現CHO細胞を用いたアラキドン酸代謝産物遊離促進活性の測定
参考例1で作製し、参考例2で選択したCHO/TGR23-2細胞を24穴プレートに5 x 104 cells/wellで播種し、24時間培養した。培地を除去し、0.5μCi/ml [3H]-アラキドン酸と10% 透析FBSと20 mM HEPESと0.5% BSAを添加したαMEM培地(pH 7.4)を500μl/well添加し、培養器で16時間保温した。[3H]-アラキドン酸を含む培養液を除き、20 mM HEPESと0.5% BSAを添加したαMEM培地(pH 7.4)を500μl/well添加し、培養器で4時間保温した。培養液を除き、0.05% BSAと20 mM HEPES を添加したハンクス氏液(pH 7.4)を用い、750μl/wellで2回洗浄した(以下、0.05% BSAと20 mM HEPES を添加したハンクス氏液(pH 7.4)を反応用バッファーと記す)。洗浄後、750μl/wellの反応用バッファーを細胞に加え、培養器で40分間保温した。反応用バッファーを除き、新たに250μlの反応用バッファーを添加した後、試料と250μlの反応用バッファーを細胞に加え、37℃で40分間反応させた。反応後、上清350μlを分取し、液体シンチレーターを3 ml加えて放射活性を測定した。この測定値をもとにしてアラキドン酸代謝産物遊離促進活性を以下に示した式で計算し、% of controlで表した。試料添加群の活性はそれぞれのプレート毎に設置した対照の値を用いて算出した。
% of control = (X/C)x100
X:試料添加群の放射活性
C:対照(試料無添加)の4 wellの放射活性の平均値
【0122】
参考例5
TGR23-2発現CHO細胞を用いた細胞内Ca2+放出促進活性の測定
細胞内Ca2+放出促進活性はFLIPR(モレキュラーデバイス社)を用いて測定した。参考例1で作製し、参考例2で選択したCHO/TGR23-2細胞を96穴プレートに3 x 104 cells/wellで播種し、24時間培養した。2.5 mMプロベネシドと20 mM HEPESを含むハンクス氏液(pH 7.4)(以下、2.5 mMプロベネシドと20 mM HEPESを含むハンクス氏液(pH 7.4)を洗浄用バッファーと記す)10 mlにFluo 3-AM 1バイアル分を添加し、ローディングバッファーを作成した。培養プレートの培養液を除き、ローディングバッファーを100μl/well添加して培養器で60分間保温した。培養プレートのローディングバッファーを除き、洗浄用バッファーで洗浄してから、FLIPRの所定の位置に設置した。試料は凍結乾燥品にサンプルバッファー(洗浄用バッファーにBSAを2 mg/ml、CHAPSを1 mg/ml添加したもの)を添加し、攪拌後、超音波処理を30分間行なってから96穴サンプルプレートに移し替えた。このサンプルプレートも設置し、測定を行なった。細胞内Ca2+放出促進活性は、試料添加によって惹起された蛍光強度の増加として計測した。
【0123】
参考例6
TGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のラット全脳抽出物からの精製
TGR23-2に特異的なリガンド活性を示す物質を、TGR23-2発現CHO細胞に対するcAMP産生促進活性を指標として、ラット全脳から精製した。
ラット全脳抽出物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)フラクションを以下に述べる方法で調製した。日本チャールズリバー(株)より購入したオス8週齢のウィスターラットの全脳400 g(200頭分)を順次摘出直後、25頭ずつ沸騰した蒸留水(300 ml)に投じて10分間煮沸した。煮沸後、直ちに氷冷し、200頭分を合わせて(2.4 L)酢酸 180 mlを加えて終濃度1.0 Mとし、低温下ポリトロン(10,000 rpm、2分間)を用いて破砕した。破砕液を遠心(8,000 rpm、30分)して上清を取り、沈殿には1.0 M酢酸2.4 L を加えて再度ポリトロンによって破砕し、一晩攪拌した後、遠心(8,000 rpm、30分)して上清を得た。各遠心で得られた上清は、2倍量(4.8 L)の冷アセトンを4℃でゆっくり滴下した後、1回目の遠心により得られた上清については一晩攪拌し、2回目の遠心により得られた上清については4時間攪拌した。アセトンを加えた抽出液は遠心(8,000 rpm、30分)して沈殿を除き、得られた上清については減圧下エバポレーターにてアセトンを留去した。アセトンを留去した抽出液に等量のジエチルエーテルを加え、分液ロートを使って脂質を含むエーテル層を分離して水層を回収した。エーテル脱脂した抽出液はエバポレーターにて減圧下濃縮しエーテルを完全に除去した。濃縮液をガラス繊維濾紙(アドバンテック、DP70 (90 mmφ))で濾過し、濾液をガラス製カラム(30φ x 240 mm)に充填したODSカラム(ダイソー、Daisogel IR-120-ODS-A 63/210 um)に付した。カラムを1.0 M酢酸 400 mlで洗浄後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む60%アセトニトリル500 mlで溶出した。溶出液を減圧下濃縮して溶媒を留去した後、濃縮液を凍結乾燥した。得られた白色粉末1.2 gを30 mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリルに溶解し、12.5 mlずつをODSカラム(東ソー、TSKgel ODS-80Ts (21.5φ x 300 mm))を用いた10%から60%の0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルの濃度勾配溶出法による分取HPLCに付した。HPLCは2回に分けて行い、溶出液は2分毎に60分画にし、2回分の溶出液をまとめた。各分画を減圧下に濃縮・乾固し、残渣に0.4 mlのジメチルスルホキシド(DMSO)を添加後ボルテックスミキサー、および超音波洗浄機を用いて完全に溶解した。
上記によって得られたHPLCフラクションのDMSO溶液を参考例3に示した方法に従いTGR23-2発現CHO細胞に投与し、細胞内cAMP産生量の測定を行なった結果、分画番号18、20および22〜23に顕著なcAMP産生促進活性が認められた。また同様の試料について参考例4に示した方法に従いアラキドン酸代謝物遊離活性を調べた結果、顕著な活性が確認された。
これらの活性は他のレセプター発現細胞では認められなかったことより、ラット全脳抽出物にTGR23-2に特異的なリガンド活性物質が存在することが示された。得られた3つの活性画分をそれぞれ以下の(a)〜(c)の方法によりさらに精製した。また、いずれの活性分画についても、以下に述べる最初の陽イオン交換カラムを用いた精製工程において得られたcAMP産生促進活性が認められた分画には、同時に参考例5に記載したFLIPRによってレセプター特異的な細胞内カルシウム遊離活性が認められた。そこで、それ以降の精製工程における活性の確認には、FLIPRによる細胞内カルシウム遊離活性を指標として用い、活性を示した分画がcAMP産生促進活性を示すことについては適宜確認した。
【0124】
(a)分画番号18
分画番号18については、10%アセトニトリルを含む10 mMギ酸アンモニウム10 mlに溶解し、陽イオン交換カラム(東ソー、TSKgel SP-5PW (20 mmφ x 150 mm))に付した後、10%アセトニトリルを含む10 mMから1.0 Mのギ酸アンモニウムの濃度勾配により溶出した。活性はギ酸アンモニウム0.4 M付近に回収された。活性分画を凍結乾燥後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル0.8 mlに溶解し、ODSカラム(東ソー、TSKgel ODS-80Ts (4.6φ x 250 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から25%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出した結果、アセトニトリル13%付近に活性が認められた。得られた活性分画を凍結乾燥後、0.1 mlのDMSOで溶解し、さらに0.7 mlの0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%アセトニトリルを加えてODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG (2.0 mmφx 150 mm))に付した後、0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%から37.5%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、ピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル26%付近に認められた。活性画分には、さらに0.7 mlの0.1%を含むトリフルオロ酢酸10%アセトニトリルを加え、ODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG)に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から20%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出し、溶出液はピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル11%付近に単一ピークとして得られた。この分画に含まれる活性物質は、以下の参考例10に示すようにして構造決定した。
【0125】
(b)分画番号20
分画番号20については、10%アセトニトリルを含む10 mMギ酸アンモニウム10 mlに溶解し、陽イオン交換カラム(東ソー、TSKgel SP-5PW (20 mmφ x 150 mm))に付した後、10%アセトニトリルを含む10 mMから1.0 Mのギ酸アンモニウムの濃度勾配により溶出した。活性はギ酸アンモニウム0.6 M付近に回収された。活性分画を凍結乾燥後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル0.8 mlに溶解し、CNカラム(野村化学、Develosil CN-UG-5 (4.6 mmφx 250 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から25%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出した結果、アセトニトリル12%付近に活性が認められた。得られた活性分画を凍結乾燥後、0.1 mlのDMSOで溶解し、さらに0.7 mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリルを加えてODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG (2.0 mmφx 150 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から20%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、溶出液はピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル15%付近に単一ピークとして得られた。この分画に含まれる活性物質を以下の参考例8に示すようにして構造決定した。
【0126】
(c)分画番号22〜23
分画番号22〜23については、10%アセトニトリルを含む10 mMギ酸アンモニウム10 mlに溶解し、陽イオン交換カラム(東ソー、TSKgel SP-5PW (20 mmφ x 150 mm))に付した後、10%アセトニトリルを含む10 mMから1.0 Mのギ酸アンモニウムの濃度勾配により溶出した。活性はギ酸アンモニウム0.4 M付近に回収された。活性分画を凍結乾燥後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリル0.8 mlに溶解し、CNカラム(野村化学、Develosil CN-UG-5 (4.6 mmφx 250 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から25%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出した結果、アセトニトリル13%付近に活性が認められた。得られた活性分画を凍結乾燥後、0.1 mlのDMSOで溶解し、さらに0.7 mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリルを加えてODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG (2.0 mmφx 150 mm))に付した後、0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%から20%のアセトニトリルの濃度勾配により溶出し、ピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル16%付近に認められた。活性分画には、さらに0.7 mlの0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%アセトニトリルを加え、ODSカラム(和光純薬、Wakosil-II 3C18HG)に付した後、0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含む10%から37.5%のアセトニトリルの濃度勾配によって溶出し、溶出液はピーク毎に手動で分取した。活性はアセトニトリル28%付近に単一ピークとして得られた。この分画に含まれる活性物質は、以下の参考例9に示すようにして構造決定した。
【0127】
参考例7
ラット全脳抽出物中のTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的に細胞内cAMP産生促進活性を示す活性物質のプロナーゼによる失活
参考例6でTGR23-2発現CHO細胞に対して細胞内cAMP産生促進活性を示したHPLC分画18、20および22〜23を、蛋白分解酵素であるプロナーゼ(Sigma, protease Type XIV (P5147))で処理し、活性物質が蛋白性であるか否かを調べた。上記ラット全脳抽出物HPLC活性分画(分画番号18、20および22〜23)各4 μlを0.2 M酢酸アンモニウム100 μlに加え、これにプロナーゼ3 μgを添加して37℃で2時間インキュベートした後、沸騰水中で10分間加熱して添加したプロナーゼを失活させた。これにBSA 0.05mgおよびCHAPS 0.05 mgを含む蒸留水1mlを加え凍結乾燥した。凍結乾燥した試料を、参考例3に示す方法に従いTGR23-2発現CHO細胞に添加して細胞内cAMP産生促進活性を測定した。
その結果、いずれの分画の活性もプロナーゼ処理によって完全に消失した。
従って、ラット全脳抽出物中のTGR23-2発現CHO細胞に対して細胞内cAMP産生促進活性を示す活性物質は、いずれも蛋白質またはペプチドであることが明らかとなった。
【0128】
参考例8
ラット全脳抽出物の分画番号20から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列の決定
参考例7に示したようにラット全脳抽出物の3つの分画に含まれるTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、いずれも蛋白性であることが予想されたので、以下のようにそれぞれについてアミノ酸配列解析を行なった。
参考例6に示すようにしてラット全脳抽出物の分画番号20から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列解析および質量分析を行なった。活性ピークを含む溶出液を用いてProcise 491cLCプロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム)によるアミノ末端アミノ酸配列分析を行なったところ、N末端から18残基までにSFRNGVGSGVKKTSFRRA(配列番号:25)のアミノ酸配列が得られた。同様の溶出液を用いてナノスプレーイオン源(プロタナ)を装着したThermo Finnigan LCQイオントラップ質量分析計(サーモクエスト)による質量分析を行なった結果、配列番号:25のアミノ酸配列から計算される質量値が得られた(実測値:1954.9、 計算値:1954.2)。これより、ラット全脳抽出物の分画番号20から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、配列番号:25に示すアミノ酸配列を有するものであると決定された。
【0129】
参考例9
ラット全脳抽出物の分画番号22〜23から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列の決定
参考例6に示すようにしてラット全脳抽出物の分画番号22〜23から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列解析および質量分析を行なった。活性ピークを含む溶出液を用いてProcise 491cLCプロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム)によるアミノ末端アミノ酸配列分析を行なったところ、N末端から15残基までにSFRNGVGSGVKKTSF(配列番号:26)のアミノ酸配列が得られた。同様の溶出液を用いてナノスプレーイオン源(プロタナ)を装着したThermo Finnigan LCQイオントラップ質量分析計(サーモクエスト)による質量分析を行なった結果、配列番号:26のアミノ酸配列から計算される質量値が得られた(実測値:1570.8、 計算値:1570.8)。
これより、ラット全脳抽出物の分画番号22〜23から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、配列番号:26に示すアミノ酸配列を有するものであると決定された。
【0130】
参考例10
ラット全脳抽出物の分画番号18から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列の決定
参考例6に示すようにしてラット全脳抽出物の分画番号18から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質のアミノ酸配列解析および質量分析を行なった。活性ピークを含む溶出液を用いてProcise 491cLCプロテインシーケンサー(アプライドバイオシステム)によるアミノ末端アミノ酸配列分析を行なったところ、N末端から14残基までにSFRNGVGSGVKKTS(配列番号:27)のアミノ酸配列が得られた。同様の溶出液を用いてナノスプレーイオン源(プロタナ)を装着したThermo Finnigan LCQイオントラップ質量分析計(サーモクエスト)による質量分析を行なった結果、配列番号:27のアミノ酸配列から計算される質量値が得られた(実測値:1424.1、 計算値:1423.6)。
これより、ラット全脳抽出物の分画番号18から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性物質は、配列番号:27に示すアミノ酸配列を有するものであると決定された。
【0131】
参考例11
ヒトTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNAのクローニング
ラット全脳抽出物から得られたTGR23-2発現CHO細胞に対して特異的にcAMP産生促進活性を示す活性ペプチド(本明細書中、ラットTGR23-2リガンドと記載することがある)のヒトホモログ(本明細書中、ヒトTGR23-2リガンドと記載することがある)の前駆体をコードするcDNAをクローニングするため、ヒト視床下部由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、ヒト視床下部由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、ヒト視床下部Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:28および配列番号:29の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・300秒の加熱の後、94℃・10秒、55℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase 、RNase Freeの蒸留水で50倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:28および配列番号:30の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・300秒の加熱の後、94℃・10秒、55℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、バンドの部分をカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへ、クローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(宝酒造)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(キアゲン)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:31に示すDNA配列を得た。
配列番号:31で表されるDNAの塩基配列には、配列番号:25、配列番号:26および配列番号:27で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列に極めて類似したアミノ酸配列をコードするようなフレームが存在したことからヒトTGR23-2リガンドの前駆体あるいはその一部をコードするcDNAであると推定された。
ヒトTGR23-2リガンドと考えられるアミノ酸配列をコードするようなフレームで配列番号:31から翻訳されるアミノ酸配列の5’上流側には蛋白翻訳の開始コドンであると予想されるATGが2ヶ所存在するが、疎水性プロットを行なったところ、より5’上流側のATGから翻訳した場合にのみシグナル配列と推定される疎水性の高い領域が出現したのでこのATGが開始コドンであると推定した。3’側にはヒトTGR23-2リガンドをコードすると考えられる配列の下流に終止コドンが存在した。以上により推定されたヒトTGR23-2リガンド前駆体のアミノ酸配列を配列番号:32に示す。この配列において、ヒトTGR23-2リガンドに相当すると考えられるアミノ酸配列のN末側には、通常生理活性ペプチドがその前駆体蛋白から切り出されるとされるLys-Argの配列(Seidah, N. G. et al.、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9-24頁、1998年)が存在した。一方、C末側には終止コドンが存在したが、配列番号:25で表されるアミノ酸配列を有するラットTGR23-2リガンドに対応する配列との間にさらに2残基が存在した。
これより、ヒトTGR23-2リガンドのアミノ酸配列は、ラット全脳抽出物より得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列;配列番号:25〔ラットTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:26〔ラットTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:27〔ラットTGR23-2リガンド(1-14)〕にそれぞれ対応する、配列番号:33〔ヒトTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:34〔ヒトTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:35〔ヒトTGR23-2リガンド(1-14)〕で表されるアミノ酸配列、およびさらに配列番号:33のC末側に2残基延長された配列番号:36で表されるアミノ酸配列〔ヒトTGR23-2リガンド(1-20)〕であると推定された。さらに、ヒトTGR23-2リガンドの配列は、マウスTGR23-2リガンドおよびラットTGR23-2リガンドの配列と異なり、その配列中にArg−Arg配列ではなくGln−Arg配列を有することから、配列番号:62に示された16残基のアミノ酸配列〔ヒトTGR23-2リガンド(1-16)〕もまたリガンドの配列であると推定された。
【0132】
参考例12
マウスTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNAのクローニング
ラット全脳抽出物から得られたラットTGR23-2リガンドのマウスホモログ(本明細書中、マウスTGR23-2リガンドと記載することがある)の前駆体をコードするcDNAをクローニングするため、マウス全脳由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、マウス全脳由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、マウス全脳Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:37および配列番号:38の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase 、RNase Freeの蒸留水で100倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:37および配列番号:39の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、60℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、約440塩基長のDNAをカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへ、クローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(宝酒造)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(キアゲン)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:40で表されるDNA配列を得た。
配列番号:40で表されるDNAの塩基配列には、配列番号:25、配列番号:26および配列番号:27で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列に極めて類似したアミノ酸配列をコードするようなフレームが存在したことからマウスTGR23-2リガンドの前駆体あるいはその一部をコードするcDNAであると推定された。
マウスTGR23-2リガンドと考えられるアミノ酸配列をコードするようなフレームで配列番号:40から翻訳されるアミノ酸配列の5’上流側には蛋白翻訳の開始コドンであると予想されるATGが2ヶ所存在するが、疎水性プロットを行なったところ、より5’上流側のATGから翻訳した場合にのみシグナル配列と推定される疎水性の高い領域が出現したのでこのATGが開始コドンであると推定した。このATGコドンのさらに5’上流側には同じフレームで終止コドンが出現した。3’側にはマウスTGR23-2リガンドをコードすると考えられる配列の下流に終止コドンが存在した。以上により推定されたマウスTGR23-2リガンド前駆体のアミノ酸配列を配列番号:41に示す。この配列において、マウスTGR23-2リガンドに相当すると考えられるアミノ酸配列のN末側には、通常生理活性ペプチドがその前駆体蛋白から切り出されるとされるLys-Argの配列(Seidah, N. G. et al.、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9-24頁、1998年)が存在した。一方、C末側には終止コドンが存在したが、配列番号:25のラットTGR23-2リガンドに対応する配列との間にさらに2残基が存在した。
これより、マウスTGR23-2リガンドのアミノ酸配列は、ラット全脳抽出物より得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列;配列番号:25〔ラットTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:26〔ラットTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:27〔ラットTGR23-2リガンド(1-14)〕それぞれに対応する、配列番号:42〔マウスTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:43〔マウスTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:44〔マウスTGR23-2リガンド(1-14)〕で表されるアミノ酸配列、およびさらに配列番号:42のC末側に2残基延長された配列番号:45で表されるアミノ酸配列〔マウスTGR23-2リガンド(1-20)〕であると推定された。
【0133】
参考例13
ラットTGR23-2リガンド前駆体の一部をコードするcDNAのクローニング
ラットTGR23-2リガンドの前駆体をコードするcDNAをクローニングするためラット全脳由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、ラット全脳由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、ラット全脳Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:46および配列番号:38の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase 、RNase Freeの蒸留水で100倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:46のプライマー1.0μM、配列番号:39の合成DNAプライマー0.2μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、60℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、約200塩基長のDNAをカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへ、クローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(宝酒造)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(キアゲン)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:47で表されるDNA配列を得た。
配列番号:47で表されるDNAの塩基配列には、配列番号:25、配列番号:26および配列番号:27で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列をコードするフレームが存在した。このフレームを読み取り枠としてDNA配列を翻訳したところ、配列番号:48で表されるアミノ酸配列が得られた。この配列を参考例12で得られたマウスTGR23-2リガンド前駆体のアミノ酸配列(配列番号:40)と比較することにより、本配列がラットTGR23-2リガンド前駆体の一部であるC末側の54アミノ酸からなる配列に相当することが推定された。3’側にはラットTGR23-2リガンドをコードする配列の下流に終止コドンが存在した。この配列において、ラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列のN末側には、通常生理活性ペプチドがその前駆体蛋白から切り出されるとされるLys-Argの配列(Seidah, N. G. et al.、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9-24頁、1998年)が存在した。一方、C末側には終止コドンが存在したが、配列番号:25のラットTGR23-2リガンドの配列との間にさらに2残基が存在した。
これより、ラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列は、ラット全脳抽出物より得られた配列番号:25〔ラットTGR23-2リガンド(1-18)〕、配列番号:26〔ラットTGR23-2リガンド(1-15)〕および配列番号:27〔ラットTGR23-2リガンド(1-14)〕で表されるアミノ酸配列、およびさらに配列番号:25のC末側に2残基延長された配列番号:49で表されるアミノ酸配列〔ラットTGR23-2リガンド(1-20)〕であると推定された。
【0134】
参考例14
ラットTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNAのクローニング
ラットTGR23-2リガンドの前駆体をコードするcDNAをクローニングするためラット全脳由来のcDNAを鋳型としたPCRを行なった。
以下の合成DNAプライマーを用い、ラット全脳由来のcDNAを鋳型としてPCR法による増幅を行なった。反応液の組成は、ラット全脳Marathon-Ready cDNA (CLONTECH) 0.8μl、配列番号:68および配列番号:69の合成DNAプライマー各1.0μM、0.2 mM dNTPs、ExTaq(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで、総反応量は20μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。次に、DNase 、RNase Freeの蒸留水で50倍希釈したPCR反応液2μl、配列番号:70のプライマー1.0μM、配列番号:69の合成DNAプライマー0.2μM、0.2 mM dNTPs、ExTaqポリメラーゼ(宝酒造)0.1μlおよび酵素に付属のExTaqバッファーで総反応量を20μlとし、サーマルサイクラー(PE Biosystems)を用い、94℃・5分間の加熱の後、94℃・10秒、65℃・30秒、72℃・30秒のサイクルを30回繰り返し、最後に72℃で5分間保温した。増幅したDNAを2.0%のアガロースゲル電気泳動により分離した後、約350塩基長のDNAをカミソリで切り出し、DNAをQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン)を用いて回収した。このDNAを、pGEM-T Easy Vector System (プロメガ)のプロトコールに従ってpGEM-T Easyベクターへクローニングした。これを大腸菌(Escherichia coli) JM109 competent cell(宝酒造)に導入して形質転換した後、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX-galを含むLB寒天培地で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体を得た。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、QIAwell 8 Plasmid Kit(キアゲン)を用いてプラスミドDNAを調整した。塩基配列の決定のための反応はBigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit (PE Biosystems)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、配列番号:71で表されるDNA配列を得た。
配列番号:71で表されるcDNAの塩基配列は、参考例13で得たラットTGR23-2リガンド前駆体の一部をコードするDNA配列(配列番号:47)がさらに5’側に延長された配列であった。本配列を、配列番号:25、配列番号:26または配列番号:27で表されるラット全脳から得られたラットTGR23-2リガンドのアミノ酸配列に一致するアミノ酸配列をコードするようなフレームを読み取り枠として翻訳したところ、5’上流側には、ヒトTGR23-2リガンド前駆体およびマウスTGR23-2リガンド前駆体をコードすると推定されるcDNA(配列番号:31および配列番号:40)に存在する蛋白翻訳の開始コドンであると予想されるATGに対応する位置に、ATGが1ヶ所存在した。また、このATGコドンのさらに5’上流側には同じフレームで終止コドンが出現した。3’側にはマウスTGR23-2リガンドをコードすると考えられる配列の下流に終止コドンが存在した。これより、配列番号:71で表される配列は、ラットTGR23-2リガンド前駆体をコードするcDNA配列であると推定された。配列番号:71で表されるcDNAの塩基配列から翻訳されるアミノ酸配列を配列番号:72に示す。
【0135】
参考例15
TGR23-1(以下、ヒトTGR23-1を、単にTGR23-1と称することもある)発現CHO細胞の作成
実施例1で得られたプラスミドpTB2173を鋳型とし、Sal I認識配列を付加したプライマー1(配列番号:20)およびSpe I認識配列を付加したプライマー2(配列番号:21)を用いてPCR反応を行った。該反応における反応液の組成は上記プラスミド10 ngを鋳型として使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(ストラタジーン社)2.5 U、プライマー1(配列番号:20)およびプライマー2(配列番号:21)を各1.0μM、dNTPsを200μM、および反応液にに2 X GC Buffer I(宝酒造)を25μl加え、50μlの液量とした。PCR反応は、95℃・60秒の後、95℃・60秒、55℃・60秒、72℃・70秒のサイクルを25回繰り返し、最後に72℃・10分の伸長反応を行った。該PCR反応産物をZero Blunt TOPO PCRクローニングキット(インビトロジェン社)の処方に従いプラスミドベクターpCR-BluntII-TOPO(インビトロジェン社)へサブクローニングした。これをE. coli TOP10(インビトロジェン社)に導入し、pTB2173に含まれるTGR23-1のcDNAを持つクローンを、カナマイシンを含むLB寒天培地中で選択した。ここで得られた、5’側および3’側にSal IおよびSpe Iがそれぞれ認識する配列を付加したTGR23-1が導入されたプラスミドによって形質転換されたE. coliのクローンよりPlasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてプラスミドを調製し、制限酵素Sal I およびSpe Iで切断してインサート部分を切り出した。インサートDNAは電気泳動後、アガロースゲルより切り出し、次にGel Extraction Kit(キアゲン社)を用いて回収した。このインサートDNAをSal I およびSpe Iで切断した動物細胞発現用ベクタープラスミドpAKKO-111H(Hinuma, S. et al. Biochim. Biophys. Acta, Vol. 1219, pp. 251-259 (1994)記載のpAKKO1.11Hと同一のベクタープラスミド)に加え、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造)を用いてライゲーションを行ない、蛋白発現用プラスミドpAKKO-TGR23-1を構築した。このpAKKO-TGR23-1で形質転換したE. coli TOP10を培養後、Plasmid Miniprep Kit(バイオラッド社)を用いてpAKKO-TGR23-1のプラスミドDNAを調製した。
ハムスターCHO/dhfr-細胞を10%ウシ胎児血清を含むα-MEM培地(with ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12571)でファルコンディッシュ(径3.5 cm)に1 x 105 個播種し、5% CO2インキュベーターで37℃一晩培養した。上記発現プラスミドpAKKO-TGR23-1 DNA 2μgをTransfection Reagent FuGENE 6 (Roche社)を用い、添付説明書記載の方法に従ってトランスフェクトし、18時間培養後、新鮮な増殖培地に交換した。さらに10時間培養を続けたのち、トランスフェクトした細胞をトリプシン−EDTA処理により集め、選択培地(10% 透析牛胎児血清を含むα-MEM培地(without ribonucleosides and deoxyribonucleosides、GIBCO、Cat. No. 12561))を用いて平底96穴プレート10枚に播種した。3−4日ごとに選択培地を交換しながら培養を続け、2−3週間後にコロニー状に増殖してきたDHFR+ 細胞クローンを81個取得した。
【0136】
参考例16
TaqMan PCR法を用いたTGR23-1発現CHO細胞株のTGR23-1発現量の定量
参考例15で得たTGR23-1発現CHO細胞株81クローンを、96ウェルプレートに培養し、RNeasy 96 Kit(キアゲン社)を用いてtotal RNAを調製した。得られたtotal RNA 50〜200 ngを TaqMan Gold RT-PCR Kit (PEバイオシステムズ社)を用いて、逆転写反応を行なった。得られたtotal RNA 5〜20 ng相当の逆転写産物、または後に述べるようにして作製した標準cDNA、1xUniversal PCR Master Mix(PEバイオシステムズ社)、配列番号:22で表されるプライマーおよび配列番号:23で表されるプライマー各500 nM、および配列番号:24(Fam-acctggtttg ccgagtggtc cgctattt-Tamra;配列中、Famは6-carboxy-fluoresceinを、Tamraは6-carboxy-tetramethyl-rhodamine をそれぞれ示す)で表されるTaqManプローブ 100 nMを含む反応混合液25μlについてABI PRISM 7700 Sequence Detector(PEバイオシステムズ社)を用いてPCRを行なった。PCRは、50℃・2分、95℃・10分で処理後、95℃・15秒、60℃・60秒のサイクルを40回繰り返すことにより行なった。
標準cDNAは、実施例1で得られたプラスミドpTB2174の260nmの吸光度を測定して濃度を算出し、正確なコピー数を算出した後、1mM EDTAを含む10mM Tris-HCl(pH8.0)溶液で希釈し、2コピーから2 x106コピーの標準cDNA溶液を調製した。また、TaqMan PCR用プローブおよびプライマーはPrimer Express (Version1.0)(PEバイオシステムズ社)により設計した。
発現量はABI PRISM 7700 SDSソフトウェアによって算出した。リポーターの蛍光強度が設定された値に達した瞬間のサイクル数を縦軸にとり、標準cDNAの初期濃度の対数値を横軸にとり、標準曲線を作成した。標準曲線より各逆転写産物の初期濃度を算出し、各クローンのtotal RNA当たりのTGR23-1遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23-1の発現が高かったCHO細胞株11個を選択し24ウェルプレートに培養した。これらの細胞について、TGR23-1の発現量を再検した。RNeasy Mini Kits(キアゲン社)を用いてtotal RNAを調製した後、RNase-free DNase Set(キアゲン社)を用いてDNase処理をした。得られたtotal RNAから、上記と同様に逆転写反応し、TaqMan PCR法で各クローンのtotal RNA当たりのTGR23-1遺伝子発現量を求めた。その結果、TGR23-1発現CHO細胞株クローン49および52が高い発現量を示すことがわかった。
以後の参考例では、これら2つのクローンの発現細胞を用いた。
【0137】
参考例17
ヒトTGR23-2リガンド(1-20):Ser-Phe-Arg-Asn-Gly-Val-Gly-Thr-Gly-Met-Lys-Lys-Thr-Ser-Phe-Gln-Arg-Ala-Lys-Ser(配列番号:36)の製造
市販のBoc-Ser(Bzl)-OCH2-PAM樹脂を、ペプチド合成機ACT90の反応槽に入れ、DCMで膨潤後TFAでBocを除去し、DIEAで中和した。この樹脂をNMPに懸濁し、HOBt-DIPCIでBoc-Lys(Cl-Z)を縮合した。反応後ニンヒドリンテストで遊離のアミノ基の有無を調べ、ニンヒドリンテストがプラスの時には同じアミノ酸を再度縮合した。再縮合後においてもニンヒドリンテストがプラスの時には無水酢酸でアセチル化した。このサイクルを繰り返しBoc-Ala、Boc-Arg(Tos)、Boc-Gln、Boc-Phe、Boc-Ser(Bzl)、Boc-Thr(Bzl)、Boc-Lys(Cl-Z)、Boc-Lys(CL-Z)、Boc-Met、Boc-Gly、Boc-Thr(Bzl)、Boc-Gly、Boc-Val、Boc-Gly、Boc-Asn、Boc-Arg(Tos)、Boc-Phe、Boc-Ser(Bzl)を配列順に縮合し、所望の保護ペプチド樹脂0.24gを得た。この樹脂をp-クレゾール1.5 mlとともにフッ化水素約15 ml中、0℃で60分攪拌した後フッ化水素を減圧留去し、残留物にジエチルエーテルを加えて濾過した。濾過物に水と酢酸を加えペプチドを抽出し、樹脂と分離した。抽出液を濃縮し50%酢酸で充填したセファデックス(商標)G-25カラム(2.0 x 80 cm)に付し、同溶媒で展開、主要画分を集め凍結乾燥した。その一部(45 mg)をLiChroprep(商標)RP-18を充填した逆相クロマトカラム(2.6 x 60 cm)に付け、0.1% TFA水 200mlで洗浄、0.1% TFA 水 300mlと0.1% TFA含有 25%アセトニトリル水 300mlを用いた線型勾配溶出を行い、主要画分を集め凍結乾燥し目的とするペプチド12.7 mgを得た。
ESI-MS:分子量MW 2188.0(理論値 2187.5)
HPLC溶出時間 10.6分
カラム条件:
カラム:Wakosil 5C18T 4.6 x 100mm
溶離液:A液−0.1% TFA水、B液−0.1%TFA含有アセトニトリルを用い A/B : 95/5〜45/55へ直線型濃度勾配溶出(25分)
流速:1.0 ml / 分
【0138】
参考例18
FLIPRを用いたヒトTGR23-2リガンド(1-20)によるTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定
参考例17で得られたヒトTGR23-2リガンド(1-20)を種々の濃度で、参考例5に記載した方法に従って、TGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞に投与し、細胞内Caイオン濃度上昇活性をFLIPRを用いて測定したところ、ヒトTGR23-2リガンド(1-20)は、濃度依存的にTGR23-1発現CHO細胞およびTGR23-2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇を促進した。結果を図14および図15に示す。これより、配列番号:36で表されるアミノ配列を有するポリペプチド〔ヒトTGR23-2リガンド(1-20)〕が、TGR23-1およびTGR23-2に対する細胞内Caイオン濃度上昇活性を有することが明らかである。
【0139】
【発明の効果】
本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNAおよびそれらの誘導体)は、▲1▼リガンド(アゴニスト)の決定、▲2▼抗体および抗血清の入手、▲3▼組換え型レセプター蛋白質の発現系の構築、▲4▼同発現系を用いたレセプター結合アッセイ系の開発と医薬品候補化合物のスクリーニング、▲5▼構造的に類似したリガンド・レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザインの実施、▲6▼遺伝子診断におけるプローブやPCRプライマーの作成のための試薬、▲7▼トランスジェニック動物の作製または▲8▼遺伝子予防・治療剤等の医薬等として用いることができる。
【0140】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】TGR23−1の疎水性プロット図である。
【図2】TGR23−2の疎水性プロット図である。
【図3】一文字表記によるTGR23−1のアミノ酸配列を示す図である。
【図4】一文字表記によるTGR23−2のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2のMTCパネルにおける発現量のグラフである。
【図6】ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2のMatched pair cDNAにおける発現量のグラフである。白いバーは正常組織の場合を、黒いバーは癌組織の場合をそれぞれ表す。
【図7】ヒトTGR23−1およびヒトTGR23−2の癌細胞における発現量のグラフである。
【図8】マウスTGR23−Aの疎水性プロット図である。
【図9】一文字表記によるマウスTGR23−1のアミノ酸配列を示す図である。
【図10】マウスTGR23−Bの疎水性プロット図である。
【図11】一文字表記によるマウスTGR23−Bのアミノ酸配列を示す図である。
【図12】ラットTGR23の疎水性プロット図である。
【図13】一文字表記によるラットTGR23のアミノ酸配列を示す図である。
【図14】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるTGR23−1発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。
【図15】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のヒトTGR23−2リガンド(1−20)によるTGR23−2発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性を示す。

Claims (43)

  1. 配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  2. 配列番号:3で表わされるアミノ酸配列からなる請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  3. 配列番号:14で表わされるアミノ酸配列または(1)配列番号:14で表わされるアミノ酸配列中の1〜数個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(2)配列番号:14で表わされるアミノ酸配列に1〜数個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(3)配列番号:14で表わされるアミノ酸配列中の1〜数個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(4)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  4. 配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有する請求項4記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  5. 配列番号:64で表わされるアミノ酸配列または(1)配列番号:64で表わされるアミノ酸配列中の1〜数個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(2)配列番号:64で表わされるアミノ酸配列に1〜数個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(3)配列番号:64で表わされるアミノ酸配列中の1〜数個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(4)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  6. 配列番号:64で表わされるアミノ酸配列を含有する請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  7. 請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  8. DNAである請求項7記載のポリヌクレオチド。
  9. 配列番号:4、配列番号:15または配列番号:65で表される塩基配列を含有する請求項8記載のDNA。
  10. 請求項7記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  11. 請求項10記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体。
  12. 請求項11記載の形質転換体を培養し、請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せしめることを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法。
  13. 請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対する抗体。
  14. 請求項13記載の抗体を含有してなる診断薬。
  15. 請求項1、請求項3もしくは請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする請求項1、請求項3もしくは請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法。
  16. 請求項1、請求項3もしくは請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする、配列番号:25〜27、32〜36、41〜45、48〜49、62または72で表されるアミノ酸配列を含有するリガンドと請求項1、請求項3もしくは請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  17. 請求項1、請求項3もしくは請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を含有することを特徴とする、配列番号:25〜27、32〜36、41〜45、48〜49、62または72で表されるアミノ酸配列を含有するリガンドと請求項1、請求項3もしくは請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  18. 請求項7記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
  19. 請求項7記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含有してなるアンチセンスポリヌクレオチド。
  20. 請求項7記載のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のmRNAの定量方法。
  21. 請求項13記載の抗体を用いることを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の定量方法。
  22. 請求項20または請求項21記載の定量方法を用いて、被検体中のmRNAを生体外で定量することを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプターの機能が関連する疾患の検出方法。
  23. 請求項20記載の定量方法を用いることを特徴とする請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  24. 請求項20記載の定量方法を用いることを特徴とする細胞膜における請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  25. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる診断薬。
  26. 配列番号:2で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと配列番号:4で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを組み合わせてなる診断薬。
  27. (i)請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドと(ii)配列番号:16で表されるアミノ酸配列を有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドまたは配列番号:18で表されるアミノ酸配列を有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドとを組み合わせてなる診断薬。
  28. 結腸癌の診断薬である請求項25〜27記載の診断薬。
  29. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを用いて、請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の被検体中での発現量を生体外で測定することを特徴とする、請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプターの機能が関連する疾患の検出方法。
  30. 配列番号:2で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと配列番号:4で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを用いて、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩と配列番号:3で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の被検体中での発現量を生体外で測定することを特徴とする、請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプターの機能が関連する疾患の検出方法。
  31. (i)配列番号:2で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと(ii)配列番号:17で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドまたは配列番号:19で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを用いて、(i)配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩と(ii)配列番号:16で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または配列番号:18で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩の被検体中での発現量を生体外で測定することを特徴とする、請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプターの機能が関連する疾患の検出方法。
  32. (i)配列番号:4で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと(ii)配列番号:17で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドまたは配列番号:19で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドとを用いて、(i)配列番号:3で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩と(ii)配列番号:16で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または配列番号:18で表されるアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩の被検体中での発現量を生体外で測定することを特徴とする、請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプターの機能が関連する疾患の検出方法。
  33. 結腸癌の検出方法である請求項29〜32記載の検出方法。
  34. 外来性の、請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを有する非ヒトトランスジェニック動物。
  35. 非ヒト動物がゲッ歯動物である請求項34記載の動物。
  36. ゲッ歯動物がマウスまたはラットである請求項35記載の動物。
  37. 外来性の、請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有し、非ヒト動物において発現しうる組換えベクター。
  38. 請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞。
  39. 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である請求項38記載の胚幹細胞。
  40. ゲッ歯動物がマウスである請求項39記載の胚幹細胞。
  41. 請求項1、請求項3または請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物。
  42. 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である請求項41記載の非ヒト哺乳動物。
  43. ゲッ歯動物がマウスである請求項42記載の非ヒト哺乳動物。
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