JP2000166576A - 新規g蛋白質共役型レセプタ―蛋白質およびそのdna - Google Patents

新規g蛋白質共役型レセプタ―蛋白質およびそのdna

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JP2000166576A
JP2000166576A JP11278116A JP27811699A JP2000166576A JP 2000166576 A JP2000166576 A JP 2000166576A JP 11278116 A JP11278116 A JP 11278116A JP 27811699 A JP27811699 A JP 27811699A JP 2000166576 A JP2000166576 A JP 2000166576A
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Takuya Watanabe
卓也 渡辺
Yasuko Terao
寧子 寺尾
Hideki Matsui
英起 松井
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の提供。 【解決手段】ヒト由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該レセプタ
ー蛋白質をコードする核酸およびその誘導体など。 【効果】本発明のヒト海馬由来のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質またはそれをコードする核酸及びその誘導体
は、本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する
リガンド(アゴニスト)の決定、本発明のG蛋白質共役
型レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防お
よび/または治療剤、遺伝子診断剤、本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる
化合物のスクリーニング方法などに用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト由来の新規G
蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩およびそれ
をコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】多くのホルモンや神経伝達物質などの生
理活性物質は、細胞膜に存在する特異的なレセプター蛋
白質を通じて生体の機能を調節している。これらのレセ
プター蛋白質のうち多くは共役しているguanine nucleo
tide-binding protein(以下、G蛋白質と略称する場合
がある)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行な
い、また7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっ
ていることから、G蛋白質共役型レセプター蛋白質ある
いは7回膜貫通型レセプター蛋白質(7TMR)と総称
される。G蛋白質共役型レセプター蛋白質は生体の細胞
や臓器の各機能細胞表面に存在し、それら細胞や臓器の
機能を調節する分子、例えばホルモン、神経伝達物質お
よび生理活性物質等の標的として生理的に重要な役割を
担っている。レセプターは生理活性物質との結合を介し
てシグナルを細胞内に伝達し、このシグナルにより細胞
の賦活や抑制といった種々の反応が惹起される。各種生
体の細胞や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、そ
の特異的レセプター蛋白質、特にはG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質との関係を明らかにすることは、各種生体
の細胞や臓器の機能を解明し、それら機能と密接に関連
した医薬品開発に非常に重要な手段を提供することとな
る。
【0003】例えば、生体の種々の器官では、多くのホ
ルモン、ホルモン様物質、神経伝達物質あるいは生理活
性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行なわ
れている。特に、生理活性物質は生体内の様々な部位に
存在し、それぞれに対応するレセプター蛋白質を通して
その生理機能の調節を行っている。生体内には未だ未知
のホルモンや神経伝達物質その他の生理活性物質も多
く、それらのレセプター蛋白質の構造に関しても、これ
まで報告されていないものが多い。さらに、既知のレセ
プター蛋白質にいてもサブタイプが存在するかどうかに
ついても分かっていないものが多い。生体における複雑
な機能を調節する物質と、その特異的レセプター蛋白質
との関係を明らかにすることは、医薬品開発に非常に重
要な手段である。また、レセプター蛋白質に対するアゴ
ニスト、アンタゴニストを効率よくスクリーニングし、
医薬品を開発するためには、生体内で発現しているレセ
プター蛋白質の遺伝子の機能を解明し、それらを適当な
発現系で発現させることが必要であった。近年、生体内
で発現している遺伝子を解析する手段として、cDNA
の配列をランダムに解析する研究が活発に行なわれてお
り、このようにして得られたcDNAの断片配列がExpr
essed Sequence Tag(EST)としてデータベースに登
録され、公開されている。しかし、多くのESTは配列
情報のみであり、その機能を推定することは困難であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、G蛋白質共役型
レセプターと生理活性物質(即ち、リガンド)との結合
を阻害する物質や、結合して生理活性物質(即ち、リガ
ンド)と同様なシグナル伝達を引き起こす物質は、これ
らレセプターの特異的なアンタゴニストまたはアゴニス
トとして、生体機能を調節する医薬品として活用されて
きた。従って、このように生体内での生理発現において
重要であるばかりでなく、医薬品開発の標的ともなりう
るG蛋白質共役型レセプター蛋白質を新規に見出し、そ
の遺伝子(例えばcDNA)をクローニングすること
は、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の特異的リガ
ンドや、アゴニスト、アンタゴニストを見出す際に、非
常に重要な手段となる。しかし、G蛋白質共役型レセプ
ターはその全てが見出されているわけではなく、現時点
でもなお、未知のG蛋白質共役型レセプター、また対応
するリガンドが同定されていない、いわゆるオーファン
レセプターが多数存在しており、新たなG蛋白質共役型
レセプターの探索および機能解明が切望されている。ま
た、これらオーファンレセプターを用い、そのシグナル
伝達を指標として、それらに対応するリガンドを見出す
試みにより新規なホルモンや生理活性物質が見出された
例〔 S.Hinuma et al. Nature, 393:272-276(1998); T.
Sakurai et al. Cell, 92:573-585 (1998); J.C. Meuni
er et al. Nature, 377 (6549) 532-535 (1995)〕もあ
るが、まだその数が少ないことからも明らかなとおり容
易なことではない。G蛋白質共役型レセプターは、その
シグナル伝達作用を指標とする、新たな生理活性物質
(即ち、リガンド)の探索、また該レセプターに対する
アゴニストまたはアンタゴニスト)の探索に有用であ
る。一方、生理的なリガンドが見出されなくても、該レ
セプターの不活化実験(ノックアウト動物)から該レセ
プターの生理作用を解析することにより、該レセプター
に対するアゴニストまたはアンタゴニストを作製するこ
とも可能である。これら該レセプターに対するリガン
ド、アゴニストまたはアンタゴニストなどは、G蛋白質
共役型レセプターの機能不全に関連する疾患の予防/治
療薬や診断薬として活用することが期待できる。さらに
また、G蛋白質共役型レセプターの遺伝子変異に基づ
く、生体での該レセプターの機能の低下または昂進が、
何らかの疾患の原因となっている場合も多い。この場合
には、該レセプターに対するアンタゴニストやアゴニス
トの投与だけでなく、該レセプター遺伝子の生体内(ま
たはある特定の臓器)への導入や、該レセプター遺伝子
に対するアンチセンス核酸の導入による、遺伝子治療に
応用することもできる。この場合には該レセプターの塩
基配列は遺伝子上の欠失や変異の有無を調べるために必
要不可欠な情報であり、該レセプターの遺伝子は、該レ
セプターの機能不全に関与する疾患の予防/治療薬や診
断薬に応用することもできる。本発明は、上記のように
有用なヒト由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質
を提供するものである。即ち、ヒト由来の新規G蛋白質
共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまた
はその塩、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはそ
の部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DN
A、RNAおよびそれらの誘導体)を含有するポリヌク
レオチド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)、該
ポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、該組換え
ベクターを保持する形質転換体、該G蛋白質共役型レセ
プター蛋白質またはその塩の製造法、該G蛋白質共役型
レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその
塩に対する抗体、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の
発現量を変化させる化合物、該G蛋白質共役型レセプタ
ーに対するリガンドの決定方法、リガンドと該G蛋白質
共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物
(アンタゴニスト、アゴニスト)またはその塩のスクリ
ーニング方法、該スクリーニング用キット、該スクリー
ニング方法もしくはスクリーニングキットを用いて得ら
れるリガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との
結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニス
ト)またはその塩、およびリガンドと該G蛋白質共役型
レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アン
タゴニスト、アゴニスト)もしくは該G蛋白質共役型レ
セプター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその
塩を含有してなる医薬などを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、degenerated PCR法によって作成したE
ST情報に基づいて、ヒト由来の新規なG蛋白質共役型
レセプター蛋白質をコードするcDNAを単離し、その
全塩基配列を解析することに成功した。そして、この塩
基配列をアミノ酸配列に翻訳したところ、第1〜第7膜
貫通領域が疎水性プロット上で確認され、これらのcD
NAにコードされる蛋白質が7回膜貫通型のG蛋白質共
役型レセプター蛋白質であることを確認した。本発明者
らは、これらの知見に基づいて、さらに研究を重ねた結
果、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、 (1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一も
しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特
徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその
塩、(2)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実
質的に同一のアミノ酸配列が配列番号:2で表されるア
ミノ酸配列である前記(1)記載のG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質またはその塩、(3)前記(1)記載のG
蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはそ
の塩、(4)前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチ
ドを含有するポリヌクレオチド、(5)DNAである前
記(4)記載のポリヌクレオチド、(6)配列番号:3
または配列番号:4で表される塩基配列を有する前記
(4)記載のポリヌクレオチド、(7)前記(4)記載
のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、(8)
前記(7)記載の組換えベクターで形質転換させた形質
転換体、(9)前記(8)記載の形質転換体を培養し、
前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生
成せしめることを特徴とする前記(1)記載のG蛋白質
共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、(1
0)前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
もしくは前記(3)記載の部分ペプチドまたはその塩に
対する抗体、(11)前記(1)記載のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質のシグナル伝達を不活性化する中和抗
体である前記(10)記載の抗体、(12)前記(1
0)記載の抗体を含有してなる診断薬、(13)前記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは
前記(3)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いるこ
とにより得られうる前記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質またはその塩に対するリガンド、(1
4)前記(13)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質のリガンドを含有してなる医薬、(15)前記(1)
記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは前記
(3)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを
特徴とする前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、(1
6)前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
もしくは前記(3)記載の部分ペプチドまたはその塩を
用いることを特徴とするリガンドと前記(1)記載のG
蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性
を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方
法、(17)前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質もしくは前記(3)記載の部分ペプチドまたは
その塩を含有することを特徴とするリガンドと前記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはそ
の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスク
リーニング用キット、(18)前記(16)記載のスク
リーニング方法または前記(17)記載のスクリーニン
グ用キットを用いて得られうる、リガンドと前記(1)
記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩と
の結合性を変化させる化合物またはその塩、(19)前
記(16)記載のスクリーニング方法または前記(1
7)記載のスクリーニング用キットを用いて得られう
る、リガンドと前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物
またはその塩を含有してなる医薬、(20)前記(4)
記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件
下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、(21)前
記(4)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列お
よびその一部を含有してなるポリヌクレオチド、(2
2)前記(4)記載のポリヌクレオチドまたはその一部
を用いることを特徴とする前記(1)記載のG蛋白質共
役型レセプター蛋白質のmRNAの定量方法、(23)
前記(10)記載の抗体を用いることを特徴とする前記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の定量方
法、(24)前記(22)または前記(23)記載の定
量方法を用いることを特徴とする前記(1)記載のG蛋
白質共役型レセプター蛋白質の機能が関連する疾患の診
断方法、(25)前記(22)記載の定量方法を用いる
ことを特徴とする、前記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその
塩のスクリーニング方法、(26)前記(23)記載の
定量方法を用いることを特徴とする、細胞膜における前
記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質量を変
化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(27)前記(25)記載のスクリーニング方法を用い
て得られうる、前記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩、
(28)前記(26)記載のスクリーニング方法を用い
て得られうる、細胞膜における前記(1)記載のG蛋白
質共役型レセプター蛋白質量を変化させる化合物または
その塩などに関する。
【0007】さらには、(29)蛋白質が、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列、配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜30個程度、より好ましくは1〜9個程度、さ
らに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失し
たアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程
度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは
数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配
列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ま
しくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5
個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸
配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配列を含
有する蛋白質である上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質またはその塩、(30)上記(1)記載
のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩また
は上記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、試
験化合物とを接触させることを特徴とする上記(15)
記載のリガンドの決定方法、(31)リガンドが例えば
アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシ
ストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニ
ューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシ
ン、オキシトシン、PACAP、セクレチン、グルカゴ
ン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチ
ン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、V
IP(バソアクティブ インテスティナル ポリペプチ
ド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリ
ン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレ
ーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアス
タチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノ
シン、アドレナリン、αおよびβ−ケモカイン(chemok
ine)(例えば、IL−8、GROα、GROβ、GR
Oγ、NAP−2、ENA−78、PF4、IP10、
GCP−2、MCP−1、HC14、MCP−3、I−
309、MIP1α、MIP−1β、RANTESな
ど)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミ
ン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポ
リペプタイドまたはガラニンである上記(30)記載の
リガンドの決定方法、
【0008】(32)(i)上記(1)記載のG蛋白質
共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または上記
(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、リガンド
とを接触させた場合と、(ii)上記(1)記載のG蛋白
質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または上記
(2)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、リガンド
および試験化合物とを接触させた場合との比較を行なう
ことを特徴とする上記(16)記載のスクリーニング方
法、(33)(i)標識したリガンドを上記(1)記載
のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩また
は上記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩に接触
させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合
物を上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
もしくはその塩または上記(3)記載の部分ペプチドも
しくはその塩に接触させた場合における、標識したリガ
ンドの上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質もしくはその塩または上記(3)記載の部分ペプチド
もしくはその塩に対する結合量を測定し、比較すること
を特徴とするリガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役
型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させ
る化合物またはその塩のスクリーニング方法、(34)
(i)標識したリガンドを上記(1)記載のG蛋白質共
役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合
と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有す
る細胞に接触させた場合における、標識したリガンドの
該細胞に対する結合量を測定し、比較することを特徴と
するリガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物
またはその塩のスクリーニング方法、(35)(i)標
識したリガンドを上記(1)記載のG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質を含有する細胞の膜画分に接触させた場合
と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有す
る細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したリ
ガンドの該細胞の膜画分に対する結合量を測定し、比較
することを特徴とするリガンドと上記(1)記載のG蛋
白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を
変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0009】(36)(i)標識したリガンドを上記
(8)記載の形質転換体を培養することによって該形質
転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋
白質に接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよ
び試験化合物を上記(8)記載の形質転換体を培養する
ことによって該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質
共役型レセプター蛋白質に接触させた場合における、標
識したリガンドの該G蛋白質共役型レセプター蛋白質に
対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガ
ンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはそ
の塩のスクリーニング方法、(37)(i)上記(1)
記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を
活性化する化合物を上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合と、
(ii)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質またはその塩を活性化する化合物および試験化合物を
上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含
有する細胞に接触させた場合における、G蛋白質共役型
レセプター蛋白質を介した細胞刺激活性を測定し、比較
することを特徴とするリガンドと上記(1)記載のG蛋
白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を
変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(38)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋
白質またはその塩を活性化する化合物を上記(8)記載
の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細
胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触
させた場合と、上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質またはその塩を活性化する化合物および試験
化合物を上記(8)記載の形質転換体を培養することに
よって該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型
レセプター蛋白質に接触させた場合における、G蛋白質
共役型レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性を測定
し、比較することを特徴とするリガンドと上記(1)記
載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との
結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニン
グ方法、
【0010】(39)上記(1)記載のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質を活性化する化合物が、アンギオテン
シン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、
グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチ
ドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシト
シン、PACAP、セクレチン、グルカゴン、カルシト
ニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHR
H、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソ
アクティブ インテスティナル ポリペプチド)、ソマ
トスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジ
キニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッド
ペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プ
ロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アド
レナリン、αおよびβ−ケモカイン(chemokine)(例
えば、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NA
P−2、ENA−78、PF4、IP10、GCP−
2、MCP−1、HC14、MCP−3、I−309、
MIP1α、MIP−1β、RANTESなど)、エン
ドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロ
テンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド
またはガラニンである上記(37)または(38)記載
のスクリーニング方法、(40)上記(32)〜(3
9)記載のスクリーニング方法で得られうる、リガンド
と上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質ま
たはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
塩、(41)上記(32)〜上記(39)記載のスクリ
ーニング方法で得られうる、リガンドと上記(1)記載
のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結
合性を変化させる化合物またはその塩を含有することを
特徴とする医薬、
【0011】(42)上記(1)記載のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質を含有する細胞を含有することを特徴
とする上記(17)記載のスクリーニング用キット、
(43)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋
白質を含有する細胞の膜画分を含有することを特徴とす
る上記(17)記載のスクリーニング用キット、(4
4)上記(8)記載の形質転換体を培養することによっ
て該形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質を含有することを特徴とする上記(17)
記載のスクリーニング用キット、(45)上記(42)
〜(44)記載のスクリーニング用キットを用いて得ら
れうる、リガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化
合物またはその塩、(46)上記(42)〜(44)記
載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、リガ
ンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはそ
の塩を含有することを特徴とする医薬、(47)上記
(10)記載の抗体と、上記(1)記載のG蛋白質共役
型レセプター蛋白質もしくは上記(3)記載の部分ペプ
チドまたはその塩とを接触させることを特徴とする上記
(1)のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは上記
(3)記載の部分ペプチドまたはその塩の定量法、(4
8)上記(10)記載の抗体と、被検液および標識化さ
れた上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
もしくは上記(3)記載の部分ペプチドまたはその塩と
を競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された上
記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしく
は上記(3)記載の部分ペプチドまたはその塩の割合を
測定することを特徴とする被検液中の上記(1)記載の
G蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは上記(3)記
載の部分ペプチドまたはその塩の定量法、および(4
9)被検液と担体上に不溶化した上記(10)記載の抗
体および標識化された上記(10)記載の抗体とを同時
あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識
剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは
上記(3)記載の部分ペプチドまたはその塩の定量法な
どを提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質(以下、レセプター蛋白質と略記する場合があ
る)は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と同一
もしくは実質的に同一のアミノ酸配列(例えば、配列番
号:2で表わされるアミノ酸配列等)を含有するレセプ
ター蛋白質である。本発明のレセプター蛋白質は、例え
ば、ヒトや哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マ
ウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあら
ゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵
臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハン
ス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、
繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロフ
ァージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満
細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑
膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺
細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前
駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)や血球系の細
胞、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例え
ば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、
海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小
脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒
質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、
甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管
(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下
腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎
盤、子宮、骨、関節、骨格筋など(特に、脳や脳の各部
位)に由来するタンパク質であってもよく、また合成タ
ンパク質であってもよい。
【0013】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ま
しくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さ
らに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%
以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質
的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質として
は、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列と実質的に同質の活性を有するタ
ンパク質などが好ましい。本発明の配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含
有するタンパク質として、より具体的には、例えば、配
列番号:2で表されるアミノ酸配列を含有するタンパク
質などがあげられる。実質的に同質の活性としては、例
えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが
挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的
に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活
性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約
0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、よ
り好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましい
が、これらの活性の程度やタンパク質の分子量などの量
的要素は異なっていてもよい。リガンド結合活性やシグ
ナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知の方法
に準じて行なうことができるが、例えば、後述するリガ
ンドの決定方法やスクリーニング方法に従って測定する
ことができる。
【0014】また、本発明のレセプター蛋白質として
は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ま
しくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5
個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上
(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミ
ノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表わさ
れるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、
1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さら
に好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミ
ノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み
合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられ
る。
【0015】本明細書におけるレセプター蛋白質は、ペ
プチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末
端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプタ
ー蛋白質をはじめとする、本発明のレセプタータンパク
質は、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)また
はカルボキシレート(−COO-)であるが、C末端がア
ミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)で
あってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、例
えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルも
しくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シ
クロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアル
キル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12
アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェ
ニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルな
どのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14アラ
ルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバ
ロイルオキシメチル基などが用いられる。本発明のレセ
プター蛋白質がC末端以外にカルボキシル基(またはカ
ルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基が
アミド化またはエステル化されているものも本発明のレ
セプター蛋白質に含まれる。この場合のエステルとして
は、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられ
る。さらに、本発明のレセプタータンパク質には、上記
したタンパク質において、N末端のメチオニン残基のア
ミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどの
2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護
されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグ
ルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のア
ミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、ア
ミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基
など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル
などのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)
で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆ
る糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。
本発明のレセプター蛋白質の具体例としては、例えば、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するヒト
由来(より好ましくはヒト海馬由来)のレセプター蛋白
質などが用いられる。
【0016】本発明のレセプター蛋白質の部分ペプチド
(以下、部分ペプチドと略記する場合がある)として
は、前記した本発明のレセプター蛋白質の部分ペプチド
であれば何れのものであってもよいが、例えば、本発明
のレセプター蛋白質分子のうち、細胞膜の外に露出して
いる部位であって、レセプター結合活性を有するものな
どが用いられる。具体的には、配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列を有するレセプター蛋白質の部分ペプチ
ドとしては、図1で示される疎水性プロット解析におい
て細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると
分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性
(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用
いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチ
ドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペ
プチドでも良い。本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数
は、前記した本発明のレセプター蛋白質の構成アミノ酸
配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以
上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有す
るペプチドなどが好ましい。実質的に同一のアミノ酸配
列とは、これらアミノ酸配列と約50%以上、好ましく
は約70%以上、より好ましくは約80%以上、さらに
好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上
の相同性を有するアミノ酸配列を示す。ここで、「実質
的に同質の活性」とは、前記と同意義を示す。「実質的
に同質の活性」の測定は前記と同様に行なうことができ
る。
【0017】また、本発明の部分ペプチドは、上記アミ
ノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10
個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ
酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個
以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1
〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))の
アミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ま
しくは数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ
酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。また、本発
明の部分ペプチドはC末端が通常カルボキシル基(−C
OOH)またはカルボキシレート(−COO-)である
が、前記した本発明のタンパク質のごとく、C末端がア
ミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)で
あってもよい。さらに、本発明の部分ペプチドには、前
記した本発明のレセプター蛋白質と同様に、N末端のメ
チオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているも
の、N端側が生体内で切断され生成したGlnがピログル
タミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換
基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖
が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなど
も含まれる。また、本発明の部分ペプチドはC末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、前記した本発明のタンパク質
のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエス
テル(−COOR)であってもよい。本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの塩としては、酸また
は塩基との生理学的に許容される塩が挙げられ、とりわ
け生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な
塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭
化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢
酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハ
ク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、
メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが
用いられる。
【0018】本発明のレセプター蛋白質またはその塩
は、前述したヒトや哺乳動物の細胞または組織から自体
公知のレセプター蛋白質の精製方法によって製造するこ
ともできるし、後述する本発明のレセプター蛋白質をコ
ードするDNAを含有する形質転換体を培養することに
よっても製造することができる。また、後述のタンパク
質合成法またはこれに準じて製造することもできる。ヒ
トや哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒト
や哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸
などで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラ
フィーを組み合わせることにより精製単離することがで
きる。
【0019】本発明のレセプター蛋白質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩またはそのアミド体の合成に
は、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることがで
きる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル
樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹
脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルア
ルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、
PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセト
アミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェ
ノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocア
ミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で
縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出
すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で
分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタン
パク質またはそのアミド体を取得する。上記した保護ア
ミノ酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用できる
各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボ
ジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、
N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-
ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いら
れる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例
えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に
添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあ
るいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の
活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0020】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十
分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十
分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチ
ルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化す
ることができる。
【0021】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキ
シカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホ
ルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニル
ホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキ
シル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シ
クロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状
もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステ
ル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジル
エステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロ
ベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェ
ナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジ
ド化、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド化、
トリチルヒドラジド化などによって保護することができ
る。セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエー
テル化によって保護することができる。このエステル化
に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級ア
ルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジ
ルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭
酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル
化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒ
ドロピラニル基、t-ブチル基などである。チロシンのフ
ェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2
-Bzl、2−ニトロベンジル、Br-Z、ターシャリーブチル
などが用いられる。ヒスチジンのイミダゾールの保護基
としては、例えば、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチ
ルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、B
um、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0022】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノ
ール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原
料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対
応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱
離)方法としては、例えば、Pd黒あるいはPd-炭素
などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、ま
た、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロ
メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの
混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミ
ン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどに
よる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる
還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、
一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処
理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオ
アニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチ
ルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチ
オールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効であ
る。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用い
られる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理に
より除去され、トリプトファンのインドール保護基とし
て用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオー
ル、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による
脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニア
などによるアルカリ処理によっても除去される。
【0023】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については上記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0024】本発明のタンパク質の部分ペプチドまたは
その塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って、ある
いは本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断す
ることによって製造することができる。ペプチドの合成
法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれ
によっても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成
し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮
合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離す
ることにより目的のペプチドを製造することができる。
公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下
の〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを
精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペ
プチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当
な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法によって遊離体に変換することができ
る。
【0025】本発明のレセプター蛋白質をコードするポ
リヌクレオチドとしては、前述した本発明のレセプター
蛋白質をコードする塩基配列(DNAまたはRNA、好
ましくはDNA)を含有するものであればいかなるもの
であってもよい。該ポリヌクレオチドとしては、本発明
のレセプター蛋白質をコードするDNA、mRNA等の
RNAであり、二本鎖であっても、一本鎖であってもよ
い。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまた
はDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場
合は、センス鎖(即ち、コード鎖)であっても、アンチ
センス鎖(即ち、非コード鎖)であってもよい。本発明
のレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、ゲノ
ムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・
組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDN
Aライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブ
ラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プ
ラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであって
もよい。また、前記した細胞・組織よりtotalRNAま
たはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse
Transcriptase PolymeraseChain Reaction(以下、RT
-PCR法と略称する)によって増幅することもでき
る。具体的には、本発明のレセプター蛋白質をコードす
るDNAとしては、例えば、配列番号:3または配列番
号:4で表わされる塩基配列を含有するDNA、または
配列番号:3または配列番号:4で表わされる塩基配列
とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
塩基配列を有し、本発明のレセプター蛋白質と実質的に
同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達
作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDN
Aであれば何れのものでもよい。配列番号:3または配
列番号:4で表わされる塩基配列とハイブリダイズでき
るDNAとしては、例えば、配列番号:3または配列番
号:4で表わされる塩基配列と約70以上、好ましくは
約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ま
しくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有す
るDNAなどが用いられる。
【0026】ハイブリダイゼーションは、自体公知の方
法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook
etal., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記
載の方法などに従って行なうことができる。また、市販
のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記
載の方法に従って行なうことができる。より好ましく
は、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことが
できる。該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、
ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19
〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約6
0〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約1
9mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。より具
体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含
有するレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、
配列番号:3で表わされる塩基配列を含有するDNAな
どが用いられ、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列
を含有するレセプター蛋白質をコードするDNAとして
は、配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDN
Aなどが用いられる。本発明のレセプター蛋白質をコー
ドするDNAの塩基配列の一部、または該DNAと相補
的な塩基配列の一部を含有してなるポリヌクレオチドと
は、下記の本発明の部分ペプチドをコードするDNAを
包含するだけではなく、RNAをも包含する意味で用い
られる。本発明に従えば、G蛋白質共役型レセプター蛋
白質遺伝子の複製又は発現を阻害することのできるアン
チセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化し
たあるいは決定されたG蛋白質共役型レセプター蛋白質
をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合
成しうる。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、G蛋
白質共役型レセプター蛋白質遺伝子のRNAとハイブリ
ダイズすることができ、該RNAの合成又は機能を阻害
することができるか、あるいはG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質関連RNAとの相互作用を介してG蛋白質共役
型レセプター蛋白質遺伝子の発現を調節・制御すること
ができる。G蛋白質共役型レセプター蛋白質関連RNA
の選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、及びG
蛋白質共役型レセプター蛋白質関連RNAと特異的にハ
イブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、生
体内及び生体外でG蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝
子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気な
どの治療又は診断に有用である。用語「対応する」と
は、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列又は核酸の
特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であること
を意味する。ヌクレオチド、塩基配列又は核酸とペプチ
ド(蛋白質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド
(核酸)の配列又はその相補体から誘導される指令にあ
るペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。G
蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の5’端ヘアピン
ループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻
訳領域、ポリペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領
域、ORF翻訳開始コドン、3’端非翻訳領域、3’端
パリンドローム領域、及び3’端ヘアピンループは好ま
しい対象領域として選択しうるが、G蛋白質共役型レセ
プター蛋白質遺伝子内の如何なる領域も対象として選択
しうる。
【0027】目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に
相補的なポリヌクレオチドとの関係は、対象物とハイブ
リダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係
は、「アンチセンス」であるということができる。アン
チセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リ
ボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、D−
リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、プ
リン又はピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他
のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド
骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質
核酸及び合成配列特異的な核酸ポリマー)又は特殊な結
合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはD
NAやRNA中に見出されるような塩基のペアリナグや
塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有す
る)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、1本
鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDN
A:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修
飾ポリヌクレオチド(又は非修飾オリゴヌクレオチ
ド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当
該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたも
の、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチ
ドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾の
されたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホ
ネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カ
ルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合又は硫
黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジ
チオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレア
ーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、
シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例え
ば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有している
もの、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、
プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例え
ば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属
など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、
修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核
酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、
「ヌクレオチド」及び「核酸」とは、プリン及びピリミ
ジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複
素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうし
た修飾物は、メチル化されたプリン及びピリミジン、ア
シル化されたプリン及びピリミジン、あるいはその他の
複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチ
ド及び修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾され
ていてよく、例えば1個以上の水酸基がハロゲンとか、
脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、
アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0028】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定さ
れるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のよ
うな方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内で
のアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセ
ンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス
鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし
毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなも
のにする。こうして修飾は当該分野で数多く知られてお
り。例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vo
l. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Cr
ooke et al. ed., Antisense Research and Applicatio
ns, CRC Press, 1993 などに開示がある。本発明のアン
チセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、
塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロス
フェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療
により適用されたり、付加された形態で与えられること
ができうる。こうして付加形態で用いられるものとして
は、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジ
ンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高め
たり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例え
ば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった粗水
性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質として
は、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリ
ルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こ
うしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させ
ることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介
して付着させることができうる。その他の基としては、
核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャ
ップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどの
ヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げら
れる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコー
ルをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が
挙げられるが、それに限定されるものではない。アンチ
センス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明
の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいはG蛋白質共
役型レセプター蛋白質の生体内や生体外の翻訳系を用い
て調べることができる。該核酸其れ自体公知の各種の方
法で細胞に適用できる。
【0029】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織
よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse
TranscriptasePolymerase Chain Reaction(以下、RT
-PCR法と略称する)によって増幅することもでき
る。具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするD
NAとしては、例えば、(1)配列番号:3または配列
番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAの部分塩
基配列を有するDNA、または(2)配列番号:3また
は配列番号:4で表わされる塩基配列とハイストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、
本発明のレセプター蛋白質ペプチドと実質的に同質の活
性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用な
ど)を有するレセプター蛋白質をコードするDNAの部
分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番
号:3または配列番号:4で表わされる塩基配列ハイブ
リダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:3
または配列番号:4で表わされる塩基配列と約70%以
上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%
以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩
基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0030】本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチド(以下、本発明のレセプター蛋白質と略記す
る)を完全にコードするDNAのクローニングの手段と
しては、本発明のレセプター蛋白質の部分塩基配列を有
する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増
幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを
本発明のレセプター蛋白質の一部あるいは全領域をコー
ドするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識した
ものとのハイブリダイゼーションによって選別すること
ができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、
モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2n
d(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Pre
ss, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができ
る。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の
使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
【0031】DNAの塩基配列の変換は、公知のキッ
ト、例えば、MutanTM-G(宝酒造(株))、MutanTM-K
(宝酒造(株))などを用いて、Gupped duplex法やKun
kel法などの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方
法に従って行なうことができる。クローン化されたレセ
プター蛋白質をコードするDNAは目的によりそのま
ま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカー
を付加したりして使用することができる。該DNAはそ
の5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、
また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、T
GAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開
始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプ
ターを用いて付加することもできる。本発明のレセプタ
ー蛋白質の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のレ
セプター蛋白質をコードするDNAから目的とするDN
A断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベ
クター中のプロモーターの下流に連結することにより製
造することができる。
【0032】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMV
プロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好
ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trp
プロモーター、lacプロモーター、recAプロモー
ター、λPLプロモーター、lppプロモーターなど
が、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモ
ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター
など、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモータ
ー、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH
プロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場
合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター
などが好ましい。
【0033】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr-)細胞
を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する
場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても
選択できる。また、必要に応じて、宿主に合ったシグナ
ル配列を、本発明のレセプター蛋白質のN端末側に付加
する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・
シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバ
チルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配
列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母で
ある場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナ
ル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュ
リン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル
配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用でき
る。このようにして構築された本発明のレセプター蛋白
質をコードするDNAを含有するベクターを用いて、形
質転換体を製造することができる。
【0034】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH
1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160
(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・
リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・
ズブチルス(Bacillus subtilis)M
I114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,2
07−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー
(Journal of Biochemistry),95巻,87(198
4)〕などが用いられる。酵母としては、例えば、サッ
カロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisia
e)AH22,AH22R-,NA87−11A,DKD
−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ
(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,N
CYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastori
s)などが用いられる。
【0035】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM 細胞、Mamestrabrassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイル
スがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞とし
ては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21
細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Viv
o),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫とし
ては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田
ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(198
5)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−
7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニ
ーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−2
0,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細
胞などが用いられる。
【0036】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,21
10(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1
982)などに記載の方法に従って行なうことができ
る。 バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレ
キュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Mo
lecular & General Genetics),168巻,111(1
979)などに記載の方法に従って行なうことができ
る。酵母を形質転換するには、例えば、メッソズ・イン
・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),19
4巻,182−187(1991)、プロシージングズ
・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
シイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記
載の方法に従って行なうことができる。昆虫細胞または
昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジ
ー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載の
方法に従って行なうことができる。動物細胞を形質転換
するには、例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験プロ
トコール.263−267(1995)(秀潤社発
行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1
973)に記載の方法に従って行なうことができる。こ
のようにして、G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコー
ドするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された
形質転換体が得られる。宿主がエシェリヒア属菌、バチ
ルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用さ
れる培地としては液体培地が適当であり、その中には該
形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その
他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グル
コース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素
源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コ
ーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキ
ス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物
質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸
二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられ
る。また、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加
してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0037】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリル
アクリル酸のような薬剤を加えることができる。 宿主
がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃
で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加
えることもできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は
通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要によ
り通気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である
形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バー
クホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・ア
カデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエス
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4
505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するS
D培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ
・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci.
USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられ
る。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培
養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、
必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0038】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Mediu
m(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(196
2))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加え
たものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.
4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3
〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿
主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地とし
ては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM
培地〔サイエンス(Science),122巻,501(19
52)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),
8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地
〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・ア
ソシエーション(The Journal of the American Medica
l Association)199巻,519(1967)〕,19
9培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フ
ォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding o
fthe Society for the Biological Medicine),73
巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8
であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約
15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。以上のようにして、形質転換体の細胞膜に本発明の
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せしめることが
できる。
【0039】上記培養物から本発明のレセプター蛋白質
を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なう
ことができる。本発明のレセプター蛋白質を培養菌体あ
るいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方
法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸
濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解など
によって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離や
ろ過によりレセプター蛋白質の粗抽出液を得る方法など
が適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジン
などの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界
面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にレセプター
蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公
知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を
集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽
出液中に含まれるレセプター蛋白質の精製は、自体公知
の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができ
る。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒
沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過
法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方
法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利
用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの
特異的新和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグ
ラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気
泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられ
る。
【0040】かくして得られるレセプター蛋白質が遊離
体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに
準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で
得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる
方法により、遊離体または他の塩に変換することができ
る。なお、組換え体が産生するレセプター蛋白質を、精
製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させるこ
とにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分
的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例
えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンド
ペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼな
どが用いられる。かくして生成する本発明のレセプター
蛋白質またはその塩の活性は、標識したリガンドとの結
合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセ
イなどにより測定することができる。
【0041】本発明のレセプター蛋白質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、本発明のレセ
プター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を
認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノク
ローナル抗体の何れであってもよい。本発明のレセプタ
ー蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩(以
下、本発明のレセプター蛋白質等と略記する場合があ
る)に対する抗体は、本発明のレセプター蛋白質等を抗
原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に
従って製造することができる。
【0042】〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のレセプター蛋白質等は、哺乳動物に対して投与
により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、
希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を
高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロ
イントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜
6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用い
られる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イ
ヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げ
られるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を
免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認め
られた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓または
リンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨
髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体
産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中
の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプター蛋
白質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標
識剤の活性を測定することにより行なうことができる。
融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタイ
ンの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁
(1975年)〕に従い実施することができる。融合促
進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PE
G)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましく
はPEGが用いられる。骨髄腫細胞としては、例えば、
NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、
P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細
胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は
1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、P
EG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の
濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜
37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより
効率よく細胞融合を実施できる。
【0043】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、レセプター蛋白質等の抗原を直接あるいは担体とと
もに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブ
リドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素など
で標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられ
る細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が
用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合し
たモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリ
ン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリ
ドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識
したレセプター蛋白質等を加え、固相に結合したモノク
ローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。モノク
ローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる
方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒ
ポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した
動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および
育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるもの
ならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜2
0%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRP
MI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むG
IT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ
培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))
などを用いることができる。培養温度は、通常20〜4
0℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5
日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養
は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブ
リドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価
の測定と同様にして測定できる。
【0044】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナ
ル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテ
インAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗
体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精
製法〕に従って行なうことができる。
【0045】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法にしたがって製造することができる。例えば、免
疫抗原(レセプター蛋白質等の抗原)とキャリアー蛋白
質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製
造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から
本発明のレセプター蛋白質等に対する抗体含有物を採取
して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリ
アー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類
およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアー
に架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良く
できれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させても
よいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロ
ブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重
量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは
約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。ま
た、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮
合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカ
ルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、
ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用い
られる。縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が
可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投
与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全
フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバン
トを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回
ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。ポリク
ローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血
液、腹水など、好ましくは血液から採取することができ
る。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の
血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリク
ローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体
の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従っ
て行なうことができる。
【0046】本発明のレセプター蛋白質またはその塩、
その部分ペプチドまたはその塩、および該レセプター蛋
白質またはその部分ペプチドをコードするDNAは、
(1)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対す
るリガンド(アゴニスト)の決定、(2)本発明のG蛋
白質共役型レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患
の予防および/または治療剤、(3)遺伝子診断剤、
(4)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチ
ドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(5)本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチ
ドの発現量を変化させる化合物を含有する各種疾病の予
防および/または治療剤、(6)本発明のG蛋白質共役
型レセプター蛋白質に対するリガンドの定量法、(7)
本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドと
の結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニ
ストなど)のスクリーニング方法、(8)本発明のG蛋
白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合性を変
化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニスト)を含有
する各種疾病の予防および/または治療剤、(9)本発
明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたは
その塩の定量、(10)細胞膜における本発明のレセプ
ター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化
合物のスクリーニング方法、(11)細胞膜における本
発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を
変化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/ま
たは治療剤、(12)本発明のレセプター蛋白質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体による中
和、(13)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
をコードするDNAを有する非ヒト動物の作製などに用
いることができる。特に、本発明の組換え型G蛋白質共
役型レセプター蛋白質の発現系を用いたレセプター結合
アッセイ系を用いることによって、ヒトや哺乳動物に特
異的なG蛋白質共役型レセプターに対するリガンドの結
合性を変化させる化合物(例、アゴニスト、アンタゴニ
ストなど)をスクリーニングすることができ、該アゴニ
ストまたはアンタゴニストを各種疾病の予防・治療剤な
どとして使用することができる。本発明のレセプター蛋
白質もしくは部分ペプチドまたはその塩(以下、本発明
のレセプタータンパク質等と略記する場合がある)、本
発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコー
ドするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合が
ある)および本発明のレセプター蛋白質等に対する抗体
(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)の用途に
ついて、以下に具体的に説明する。
【0047】(1)本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質に対するリガンド(アゴニスト)の決定 本発明のレセプター蛋白質もしくはその塩または本発明
の部分ペプチドもしくはその塩は、本発明のレセプター
蛋白質またはその塩に対するリガンド(アゴニスト)を
探索し、または決定するための試薬として有用である。
すなわち、本発明は、本発明のレセプター蛋白質もしく
はその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩
と、試験化合物とを接触させることを特徴とする本発明
のレセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法を提供
する。試験化合物としては、公知のリガンド(例えば、
アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシ
ストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニ
ューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシ
ン、オキシトシン、PACAP、セクレチン、グルカゴ
ン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチ
ン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、V
IP(バソアクティブ インテスティナル アンド リ
レイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパ
ミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP
(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイ
コトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジ
ン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αお
よびβ−ケモカイン(chemokine)(例えば、IL−
8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2、EN
A−78、PF4、IP10、GCP−2、MCP−
1、HC14、MCP−3、I−309、MIP1α、
MIP−1β、RANTESなど)、エンドセリン、エ
ンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、T
RH、パンクレアティックポリペプタイドまたはガラニ
ンなど)の他に、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)
の組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。例え
ば、該組織抽出物、細胞培養上清などを本発明のレセプ
ター蛋白質に添加し、細胞刺激活性などを測定しながら
分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。
【0048】具体的には、本発明のリガンド決定方法
は、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチ
ドもしくはその塩を用いるか、または組換え型レセプタ
ー蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプタ
ー結合アッセイ系を用いることによって、本発明のレセ
プター蛋白質に結合して細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、c−fos活性化、pHの低下などを促進する活性
または抑制する活性)を有する化合物(例えば、ペプチ
ド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生
産物など)またはその塩を決定する方法である。本発明
のリガンド決定方法においては、本発明のレセプター蛋
白質またはその部分ペプチドと試験化合物とを接触させ
た場合の、例えば、該レセプター蛋白質または該部分ペ
プチドに対する試験化合物の結合量や、細胞刺激活性な
どを測定することを特徴とする。
【0049】より具体的には、本発明は、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質も
しくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその
塩に接触させた場合における、標識した試験化合物の該
蛋白質もしくはその塩、または該部分ペプチドもしくは
その塩に対する結合量を測定することを特徴とする本発
明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの
決定方法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を
含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合に
おける、標識した試験化合物の該細胞または該膜画分に
対する結合量を測定することを特徴とする本発明のレセ
プター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方
法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を
コードするDNAを含有する形質転換体を培養すること
によって細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触さ
せた場合における、標識した試験化合物の該レセプター
蛋白質またはその塩に対する結合量を測定しすることを
特徴とする本発明のレセプター蛋白質に対するリガンド
の決定方法、
【0050】試験化合物を、本発明のレセプター蛋白
質を含有する細胞に接触させた場合における、レセプタ
ー蛋白質を介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c
−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性また
は抑制する活性など)を測定することを特徴とする本発
明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの
決定方法、および 試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質をコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することによって
細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触させた場合
における、レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生
成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内
蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下な
どを促進する活性または抑制する活性など)を測定する
ことを特徴とする本発明のレセプター蛋白質またはその
塩に対するリガンドの決定方法を提供する。特に、上記
〜の試験を行ない、試験化合物が本発明のレセプタ
ー蛋白質に結合することを確認した後に、上記〜の
試験を行なうことが好ましい。
【0051】まず、リガンド決定方法に用いるレセプタ
ー蛋白質としては、上記した本発明のレセプター蛋白質
または本発明の部分ペプチドを含有するものであれば何
れのものであってもよいが、動物細胞を用いて大量発現
させたレセプター蛋白質が適している。本発明のレセプ
ター蛋白質を製造するには、前述の発現方法が用いられ
るが、該レセプター蛋白質をコードするDNAを哺乳動
物細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好
ましい。目的とする蛋白質部分をコードするDNA断片
には、通常、相補DNAが用いられるが、必ずしもこれ
に制約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成
DNAを用いてもよい。本発明のレセプター蛋白質をコ
ードするDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを
効率よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿
主とするバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス
(nuclear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリ
ンプロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロ
ウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモータ
ー、ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウ
イルスプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に
組み込むのが好ましい。発現したレセプターの量と質の
検査はそれ自体公知の方法で行うことができる。例え
ば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,1
9555〜19559頁,1992年〕に記載の方法に従って行うこと
ができる。
【0052】したがって、本発明のリガンド決定方法に
おいて、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペ
プチドまたはその塩を含有するものとしては、それ自体
公知の方法に従って精製したレセプター蛋白質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩であってもよいし、該レ
セプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分を
用いてもよい。本発明のリガンド決定方法において、本
発明のレセプター蛋白質を含有する細胞を用いる場合、
該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化
してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って
行なうことができる。本発明のレセプター蛋白質を含有
する細胞としては、本発明のレセプター蛋白質を発現し
た宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯
草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。細
胞膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の
方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをい
う。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモ
ジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダ
ーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波
による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を
細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げら
れる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠
心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられ
る。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜300
0rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、
上清をさらに高速(15000rpm〜30000rp
m)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画
分とする。該膜画分中には、発現したレセプター蛋白質
と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含
まれる。
【0053】該レセプター蛋白質を含有する細胞やその
膜画分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり10
3〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子で
あるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当
たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度
なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、
同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。本発
明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドを
決定する上記の〜の方法を実施するためには、適当
なレセプター蛋白質画分と、標識した試験化合物が必要
である。レセプター蛋白質画分としては、天然型のレセ
プター蛋白質画分か、またはそれと同等の活性を有する
組換え型レセプター画分などが望ましい。ここで、同等
の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝
達作用などを示す。標識した試験化合物としては、〔3
H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した
アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシ
ストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニ
ューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシ
ン、オキシトシン、PACAP、セクレチン、グルカゴ
ン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチ
ン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、V
IP(バソアクティブ インテスティナル アンド リ
イテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミ
ン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カ
ルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコト
リエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、ト
ロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αおよびβ
−ケモカイン(chemokine)(例えば、IL−8、GR
Oα、GROβ、GROγ、NAP−2、ENA−7
8、PF4、IP10、GCP−2、MCP−1、HC
14、MCP−3、I−309、MIP1α、MIP−
1β、RANTESなど)、エンドセリン、エンテロガ
ストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パ
ンクレアティックポリペプタイドまたはガラニンなどが
好適である。
【0054】具体的には、本発明のレセプター蛋白質ま
たはその塩に対するリガンドの決定方法を行なうには、
まず本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞または細
胞の膜画分を、決定方法に適したバッファーに懸濁する
ことによりレセプター標品を調製する。バッファーに
は、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バ
ッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレ
セプター蛋白質との結合を阻害しないバッファーであれ
ばいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目
的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラ
ス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性
剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各種蛋白質を
バッファーに加えることもできる。さらに、プロテアー
ゼによるリセプターやリガンドの分解を抑える目的でP
MSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所
製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加す
ることもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター
溶液に、一定量(5000cpm〜500000cp
m)の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した試験化合物を共存させる。非特異的結合量(N
SB)を知るために大過剰の未標識の試験化合物を加え
た反応チューブも用意する。反応は約0℃から50℃、
望ましくは約4℃から37℃で、約20分から24時
間、望ましくは約30分から3時間行なう。反応後、ガ
ラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄し
た後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチ
レーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測す
る。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引
いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験化
合物を本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対する
リガンド(アゴニスト)として選択することができる。
【0055】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
対するリガンドを決定する上記の〜の方法を実施す
るためには、該レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下
などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の
方法または市販の測定用キットを用いて測定することが
できる。具体的には、まず、レセプター蛋白質を含有す
る細胞をマルチウェルプレート等に培養する。リガンド
決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは
細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験
化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、
細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物を
それぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標
とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細
胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分
解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なっても
よい。また、cAMP産生抑制などの活性については、
フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させて
おいた細胞に対する産生抑制作用として検出することが
できる。
【0056】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
結合するリガンド決定用キットは、本発明のレセプター
蛋白質もしくはその塩、本発明の部分ペプチドもしくは
その塩、本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞、ま
たは本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分
などを含有するものである。本発明のリガンド決定用キ
ットの例としては、次のものが挙げられる。 1.リガンド決定用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 G蛋白質共役型レセプター蛋白質標品 本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、
12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、
5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識試験化合物 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した化合物、または適当な方法で標識化したもの 水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存
し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。水に難
溶性を示す試験化合物については、ジメチルホルムアミ
ド、DMSO、メタノール等に溶解する。 非標識試験化合物 標識化合物と同じものを100〜1000倍濃い濃度に
調製する。
【0057】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 標識試験化合物を5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには非標識試験化合物
を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識試験化合物を0.2N NaO
H−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーター
A(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定する。
【0058】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
結合することができるリガンドとしては、例えば、脳、
下垂体、膵臓などに特異的に存在する物質などが挙げら
れ、具体的には、アンギオテンシン、ボンベシン、カナ
ビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニ
ン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プ
リン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP、セ
クレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュ
リン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、
GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテステ
ィナル アンドリレイテッド ポリペプチド)、ソマト
スタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキ
ニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペ
プチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロ
スタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレ
ナリン、αおよびβ−ケモカイン(chemokine)(例え
ば、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP
−2、ENA−78、PF4、IP10、GCP−2、
MCP−1、HC14、MCP−3、I−309、MI
P1α、MIP−1β、RANTESなど)、エンドセ
リン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテン
シン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガ
ラニンなどが用いられる。
【0059】(2)本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および/または
治療剤 上記(1)の方法において、本発明のレセプター蛋白質
に対するリガンドが明らかになれば、該リガンドが有す
る作用に応じて、本発明のレセプター蛋白質または
該レセプター蛋白質をコードするDNAを、本発明のレ
セプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および
/または治療剤などの医薬として使用することができ
る。例えば、生体内において本発明のレセプター蛋白質
が減少しているためにリガンドの生理作用が期待できな
い(該レセプター蛋白質の欠乏症)患者がいる場合に、
本発明のレセプター蛋白質を該患者に投与し該レセプ
ター蛋白質の量を補充したり、(イ)本発明のレセプ
ター蛋白質をコードするDNAを該患者に投与し発現さ
せることによって、あるいは(ロ)対象となる細胞に本
発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを挿入し発
現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによ
って、患者の体内におけるレセプター蛋白質の量を増加
させ、リガンドの作用を充分に発揮させることができ
る。即ち、本発明のレセプター蛋白質をコードするDN
Aは、安全で低毒性な本発明のレセプター蛋白質の機能
不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として
有用である。本発明のレセプター蛋白質は、G蛋白共役
型レセプター蛋白質の一種であるMASとアミノ酸配列
レベルで約30%の相同性が認められる。MAS遺伝子
欠損マウスに不安の昂進等の中枢機能の変化が認められ
たとの報告〔 J.B.C., 273(No.19), 11867-11873 (199
8)〕があることから、MAS遺伝子は中枢機能発現に何
らかのはたらきがあると考えられる。従って、MASと
相同性が認められる本発明のレセプター蛋白質は、中枢
機能の不全に関連する疾患(例えば、不安症、分裂病、
躁鬱病、痴呆症、精神遅滞および運動障害を包含する精
神病など)の予防および/または治療に有用である。ラ
ットのMAS遺伝子の発現が生後直後に末梢の種々の臓
器で高い発現を示し、成熟後は中枢以外では精巣で高い
発現を示すとの報告[FEBS Lett. 357:27-32 (1995)]が
あることから、細胞の増殖・機能の獲得および生殖に重
要な役割があると考えられる。従って、MASと相同性
が認められる本発明のレセプター蛋白質は、呼吸器疾患
・循環器疾患・消化管疾患・肝/胆/膵疾患・内分泌疾患の
予防および/または治療に有用である。本発明のレセプ
ター蛋白質を上記予防・治療剤として使用する場合は、
常套手段に従って製剤化することができる。一方、本発
明のレセプター蛋白質をコードするDNA(以下、本発
明のDNAと略記する場合がある)を上記予防・治療剤
として使用する場合は、本発明のDNAを単独あるいは
レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ア
デノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの
適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施す
ることができる。本発明のDNAは、そのままで、ある
いは摂取促進のための補助剤とともに、遺伝子銃やハイ
ドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与で
きる。例えば、本発明のレセプター蛋白質または該
レセプター蛋白質をコードするDNAは、必要に応じて
糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイク
ロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくは
それ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、また
は懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。
例えば、本発明のレセプター蛋白質または該レセプ
ター蛋白質をコードするDNAを生理学的に認められる
公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定
剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要
求される単位用量形態で混和することによって製造する
ことができる。これら製剤における有効成分量は指示さ
れた範囲の適当な容量が得られるようにするものであ
る。
【0060】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0061】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例
えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。本発明
のレセプター蛋白質の投与量は、投与対象、対象臓器、
症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日
につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0
〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgであ
る。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与
対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なる
が、例えば、注射剤の形では通常成人(60kgとし
て)においては、一日につき約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。本発明のDNAの
投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
より差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1mg〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する
場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、
投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形
では通常成人(60kgとして)においては、一日につ
き約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜2
0mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を
静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の
場合も、60kg当たりに換算した量を投与することが
できる。
【0062】(3)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒ
ツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)における本
発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコー
ドするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検
出することができるので、例えば、該DNAまたはmR
NAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAま
たはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断
剤として有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺
伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイ
ゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Geno
mics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プ
ロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedi
ngs ofthe National Academy of Sciences of the Unit
ed States of America),第86巻,2766〜277
0頁(1989年))などにより実施することができ
る。
【0063】(4)本発明のレセプター蛋白質またはそ
の部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリー
ニング方法 本発明のDNAは、プローブとして用いることにより、
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発
現量を変化させる化合物のスクリーニングに用いること
ができる。すなわち本発明は、例えば、(i)非ヒト哺
乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離した組
織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含まれる
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのm
RNA量を測定することによる、本発明のレセプター蛋
白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合
物のスクリーニング方法を提供する。
【0064】本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドのmRNA量の測定は具体的には以下のように
して行なう。 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた細胞に含まれる本発
明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRN
Aは、例えば、通常の方法により細胞等からmRNAを
抽出し、例えばTaqManPCRなどの手法を用いることによ
り定量することができ、自体公知の手段によりノザンブ
ロットを行うことにより解析することもできる。 (ii)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプ
チドを発現する形質転換体を前述の方法に従い作製し、
該形質転換体に含まれる本発明のレセプター蛋白質また
はその部分ペプチドのmRNAを同様にして定量、解析
することができる。
【0065】本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング
は、(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対
して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時
間前(30分前ないし24時間前、好ましくは30分前
ないし12時間前、より好ましくは1時間前ないし6時
間前)もしくは一定時間後(30分後ないし3日後、好
ましくは1時間後ないし2日後、より好ましくは1時間
後ないし24時間後)、または薬剤あるいは物理的スト
レスと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過
後(30分後ないし3日後、好ましくは1時間後ないし
2日後、より好ましくは1時間後ないし24時間後)、
細胞に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部
分ペプチドのmRNA量を定量、解析することにより行
なうことができ、(ii)形質転換体を常法に従い培養す
る際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後
(1日後ないし7日後、好ましくは1日後ないし3日
後、より好ましくは2日後ないし3日後)、該形質転換
体に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドのmRNA量を定量、解析することにより行な
うことができる。
【0066】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩は、本発明のレセプター蛋白質
またはその部分ペプチドの発現量を変化させる作用を有
する化合物であり、具体的には、(イ)本発明のレセプ
ター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ
ることにより、G蛋白質共役型レセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、p
Hの低下などを促進する活性または抑制する活性など)
を増強させる化合物、(ロ)本発明のレセプター蛋白質
またはその部分ペプチドの発現量を減少させることによ
り、該細胞刺激活性を減弱させる化合物である。該化合
物としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化
合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物で
あってもよい。該細胞刺激活性を増強させる化合物は、
本発明のレセプター蛋白質等の生理活性を増強するため
の安全で低毒性な医薬として有用である。該細胞刺激活
性を減弱させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等
の生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬とし
て有用である。
【0067】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場
合、常套手段に従って実施することができる。例えば、
上記した本発明のレセプター蛋白質を含有する医薬と同
様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロ
カプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることがで
きる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であ
るので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に
対して投与することができる。該化合物またはその塩の
投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
より差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常成人(60kgとして)においては、一日につき約
0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20m
g程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈
注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合
も、60kg当たりに換算した量を投与することができ
る。
【0068】(5)本発明のレセプター蛋白質またはそ
の部分ペプチドの発現量を変化させる化合物を含有する
各種疾病の予防および/または治療剤 本発明のレセプター蛋白質は前述のとおり、例えば中枢
機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると
考えられる。従って、本発明のレセプター蛋白質または
その部分ペプチドの発現量を変化させる化合物は、本発
明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防
および/または治療剤として用いることができる。該化
合物を本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する
疾患の予防および/または治療剤として使用する場合
は、常套手段に従って製剤化することができる。例え
ば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプ
セル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして
経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容
し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤
の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理
学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒク
ル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認めら
れた製剤実施に要求される単位用量形態で混和すること
によって製造することができる。これら製剤における有
効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるよう
にするものである。
【0069】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0070】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例
えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。該化合
物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日
につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜5
0mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非
経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、
対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例
えば、注射剤の形では通常成人(60kgとして)にお
いては、一日につき約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量
を投与することができる。
【0071】(6)本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質に対するリガンドの定量法 本発明のレセプター蛋白質等は、リガンドに対して結合
性を有しているので、生体内におけるリガンド濃度を感
度良く定量することができる。本発明の定量法は、例え
ば、競合法と組み合わせることによって用いることがで
きる。すなわち、被検体を本発明のレセプター蛋白質等
と接触させることによって被検体中のリガンド濃度を測
定することができる。具体的には、例えば、以下のま
たはなどに記載の方法あるいはそれに準じる方法に従
って用いることができる。 入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和4
9年発行) 入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和
54年発行)
【0072】(7)本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴ
ニスト、アンタゴニストなど)のスクリーニング方法 本発明のレセプター蛋白質等を用いるか、または組換え
型レセプター蛋白質等の発現系を構築し、該発現系を用
いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、
リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変
化させる化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチ
ド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその
塩を効率よくスクリーニングすることができる。このよ
うな化合物には、(イ)G蛋白質共役型レセプターを介
して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチ
ルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの
活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する
活性など)を有する化合物(いわゆる、本発明のレセプ
ター蛋白質に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活
性を有しない化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋
白質に対するアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発
明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を増強
する化合物、あるいは(ニ)リガンドと本発明のG蛋白
質共役型レセプター蛋白質との結合力を減少させる化合
物などが含まれる(なお、上記(イ)の化合物は、上記
したリガンド決定方法によってスクリーニングすること
が好ましい)。すなわち、本発明は、(i)本発明のレ
セプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩
と、リガンドとを接触させた場合と(ii)本発明のレセ
プター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩
と、リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との
比較を行なうことを特徴とするリガンドと本発明のレセ
プター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と
の結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法を提供する。本発明のスクリーニング方法にお
いては、(i)と(ii)の場合における、例えば、該レ
セプター蛋白質等に対するリガンドの結合量、細胞刺激
活性などを測定して、比較することを特徴とする。
【0073】より具体的には、本発明は、 標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質等に
接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物
を本発明のレセプター蛋白質等に接触させた場合におけ
る、標識したリガンドの該レセプター蛋白質等に対する
結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと
本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化
合物またはその塩のスクリーニング方法、 標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質等を
含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合
と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のレセ
プター蛋白質等を含有する細胞または該細胞の膜画分に
接触させた場合における、標識したリガンドの該細胞ま
たは該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを
特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との
結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニン
グ方法、 標識したリガンドを、本発明のDNAを含有する形質
転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセ
プター蛋白質等に接触させた場合と、標識したリガンド
および試験化合物を本発明のDNAを含有する形質転換
体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明の
レセプター蛋白質等に接触させた場合における、標識し
たリガンドの該レセプター蛋白質等に対する結合量を測
定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のレ
セプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物または
その塩のスクリーニング方法、
【0074】本発明のレセプター蛋白質等を活性化す
る化合物(例えば、本発明のレセプター蛋白質等に対す
るリガンドなど)を本発明のレセプター蛋白質等を含有
する細胞に接触させた場合と、本発明のレセプター蛋白
質等を活性化する化合物および試験化合物を本発明のレ
セプター蛋白質等を含有する細胞に接触させた場合にお
ける、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリ
ン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進す
る活性または抑制する活性など)を測定し、比較するこ
とを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等
との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリー
ニング方法、および 本発明のレセプター蛋白質等を活性化する化合物(例
えば、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドな
ど)を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養する
ことによって細胞膜上に発現した本発明のレセプター蛋
白質等に接触させた場合と、本発明のレセプター蛋白質
等を活性化する化合物および試験化合物を本発明のDN
Aを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜
上に発現した本発明のレセプター蛋白質等に接触させた
場合における、レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、
イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白
質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを
促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較
することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋
白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。
【0075】本発明のレセプター蛋白質等が得られる以
前は、G蛋白質共役型レセプターアゴニストまたはアン
タゴニストをスクリーニングする場合、まずラットなど
のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含む細胞、組織ま
たはその細胞膜画分を用いて候補化合物を得て(一次ス
クリーニング)、その後に該候補化合物が実際にヒトの
G蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合を
阻害するか否かを確認する試験(二次スクリーニング)
が必要であった。細胞、組織または細胞膜画分をそのま
ま用いれば他のレセプター蛋白質も混在するために、目
的とするレセプター蛋白質に対するアゴニストまたはア
ンタゴニストを実際にスクリーニングすることは困難で
あった。しかしながら、例えば、本発明のヒト由来レセ
プター蛋白質を用いることによって、一次スクリーニン
グの必要がなくなり、リガンドとG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質との結合を阻害する化合物を効率良くスクリ
ーニングすることができる。さらに、スクリーニングさ
れた化合物がアゴニストかアンタゴニストかを簡便に評
価することができる。本発明のスクリーニング方法の具
体的な説明を以下にする。まず、本発明のスクリーニン
グ方法に用いる本発明のレセプター蛋白質等としては、
上記した本発明のレセプター蛋白質等を含有するもので
あれば何れのものであってもよいが、本発明のレセプタ
ー蛋白質等を含有する哺乳動物の臓器の細胞膜画分が好
適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて
困難なことから、スクリーニングに用いられるものとし
ては、組換え体を用いて大量発現させたヒト由来のレセ
プター蛋白質等などが適している。
【0076】本発明のレセプター蛋白質等を製造するに
は、前述の方法が用いられるが、本発明のDNAを哺乳
細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好ま
しい。目的とする蛋白質部分をコードするDNA断片に
は相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制約され
るものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用
いてもよい。本発明のレセプター蛋白質をコードするD
NA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よく発
現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバ
キュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear
polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモー
ター、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスの
プロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒ
ートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロ
モーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むの
が好ましい。発現したレセプターの量と質の検査はそれ
自体公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Na
mbi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・
ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559
頁,1992年〕に記載の方法に従って行なうことができ
る。したがって、本発明のスクリーニング方法におい
て、本発明のレセプター蛋白質等を含有するものとして
は、それ自体公知の方法に従って精製したレセプター蛋
白質等であってもよいし、該レセプター蛋白質等を含有
する細胞を用いてもよく、また該レセプター蛋白質等を
含有する細胞の膜画分を用いてもよい。
【0077】本発明のスクリーニング方法において、本
発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞を用いる場
合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固
定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従
って行なうことができる。本発明のレセプター蛋白質等
を含有する細胞としては、該レセプター蛋白質等を発現
した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、
枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが好ましい。細
胞膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の
方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをい
う。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモ
ジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダ
ーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波
による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を
細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げら
れる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠
心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられ
る。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜300
0rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、
上清をさらに高速(15000rpm〜30000rp
m)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画
分とする。該膜画分中には、発現したレセプター蛋白質
等と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く
含まれる。該レセプター蛋白質等を含有する細胞や膜画
分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり103
108分子であるのが好ましく、105〜107分子であ
るのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当た
りのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度な
スクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同
一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0078】リガンドと本発明のレセプター蛋白質等と
の結合性を変化させる化合物をスクリーニングする上記
の〜を実施するためには、例えば、適当なレセプタ
ー蛋白質画分と、標識したリガンドが必要である。レセ
プター蛋白質画分としては、天然型のレセプター蛋白質
画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型レセ
プター蛋白質画分などが望ましい。ここで、同等の活性
とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用
などを示す。標識したリガンドとしては、標識したリガ
ンド、標識したリガンドアナログ化合物などが用いられ
る。例えば〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕な
どで標識されたリガンドなどが用いられる。具体的に
は、リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性
を変化させる化合物のスクリーニングを行なうには、ま
ず本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞または細
胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸
濁することによりレセプター蛋白質標品を調製する。バ
ッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)
のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリ
ガンドとレセプター蛋白質との結合を阻害しないバッフ
ァーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低
減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花
王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなど
の界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さら
に、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を
抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプ
チド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害
剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの
該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500
000cpm)の標識したリガンドを添加し、同時に1
-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。非特異
的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のリガ
ンドを加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃か
ら50℃、望ましくは約4℃から37℃で、約20分か
ら24時間、望ましくは約30分から3時間行う。反応
後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで
洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体
シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計
測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から
非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−N
SB)を100%とした時、特異的結合量(B−NS
B)が、例えば、50%以下になる試験化合物を拮抗阻
害能力のある候補物質として選択することができる。
【0079】リガンドと本発明のレセプター蛋白質等と
の結合性を変化させる化合物スクリーニングする上記の
〜の方法を実施するためには、例えば、レセプター
蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊
離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca遊離、細胞内cA
MP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産
生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−f
osの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑
制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キッ
トを用いて測定することができる。具体的には、まず、
本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞をマルチウ
ェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうに
あたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示
さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添
加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出ある
いは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法
に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例
えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分
解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する
阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、c
AMP産生抑制などの活性については、フォルスコリン
などで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対
する産生抑制作用として検出することができる。細胞刺
激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当な
レセプター蛋白質を発現した細胞が必要である。本発明
のレセプター蛋白質等を発現した細胞としては、天然型
の本発明のレセプター蛋白質等を有する細胞株、前述の
組換え型レセプター蛋白質等を発現した細胞株などが望
ましい。試験化合物としては、例えば、ペプチド、タン
パク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、
細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いら
れ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公
知の化合物であってもよい。
【0080】リガンドと本発明のレセプター蛋白質等と
の結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニ
ング用キットは、本発明のレセプター蛋白質等、本発明
のレセプター蛋白質等を含有する細胞、または本発明の
レセプター蛋白質等を含有する細胞の膜画分を含有する
ものなどである。本発明のスクリーニング用キットの例
としては、次のものが挙げられる。 1.スクリーニング用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 G蛋白質共役型レセプター標品 本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、
12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、
5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識リガンド 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識したリガンド 水溶液の状態のものを4℃あるいは
−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに
希釈する。 リガンド標準液 リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)
を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で
保存する。
【0081】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた
後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わ
りに10-3Mのリガンドを5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH
−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA
(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式〔数1〕で求める。
【0082】〔数1〕 PMB=[(B−NSB)/(B0−NSB)]×10
0 PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の値 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B0 :最大結合量
【0083】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性
を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、
(イ)G蛋白質共役型レセプターを介して細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下
などを促進する活性または抑制する活性など)を有する
化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対する
アゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物
(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対するアンタ
ゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質との結合力を増強する化合物、あるい
は(ニ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質との結合力を減少させる化合物である。該化合物
としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、
合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物
は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であっ
てもよい。本発明のレセプター蛋白質等に対するアゴニ
ストは、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンド
が有する生理活性と同様の作用を有しているので、該リ
ガンド活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用であ
る。本発明のレセプター蛋白質等に対するアンタゴニス
トは、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドが
有する生理活性を抑制することができるので、該リガン
ド活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用であ
る。リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質との結合力を増強する化合物は、本発明のレセプター
蛋白質等に対するリガンドが有する生理活性を増強する
ための安全で低毒性な医薬として有用である。リガンド
と本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力
を減少させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等に
対するリガンドが有する生理活性を減少させるための安
全で低毒性な医薬として有用である。
【0084】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
を上述の医薬組成物として使用する場合、常套手段に従
って実施することができる。例えば、上記した本発明の
レセプター蛋白質を含有する医薬と同様にして、錠剤、
カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌
性溶液、懸濁液剤などとすることができる。このように
して得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、
ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。該化合物またはその塩の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に成人(60kgとして)
においては、一日につき約0.1〜100mg、好まし
くは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜2
0mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投
与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっ
ても異なるが、例えば、注射剤の形では通常成人(60
kgとして)においては、一日につき約0.01〜30
mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好
ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与
するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当
たりに換算した量を投与することができる。
【0085】(8)本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴ
ニスト、アンタゴニスト)を含有する各種疾病の予防お
よび/または治療剤 本発明のレセプター蛋白質は前述のとおり、例えば中枢
機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると
考えられる。従って、本発明のレセプター蛋白質とリガ
ンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アン
タゴニスト)は、本発明のレセプター蛋白質の機能不全
に関連する疾患の予防および/または治療剤として用い
ることができる。該化合物を本発明のレセプター蛋白質
の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤
として使用する場合は、常套手段に従って製剤化するこ
とができる。例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を
施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプ
セル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以
外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁
液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例え
ば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味
剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などと
ともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量
形態で混和することによって製造することができる。こ
れら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な
容量が得られるようにするものである。
【0086】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0087】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例
えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。該化合
物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日
につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜5
0mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非
経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、
対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例
えば、注射剤の形では通常成人(60kgとして)にお
いては、一日につき約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量
を投与することができる。
【0088】(9)本発明のレセプター蛋白質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩の定量 本発明の抗体は、本発明のレセプター蛋白質等を特異的
に認識することができるので、被検液中の本発明のレセ
プター蛋白質等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法に
よる定量などに使用することができる。すなわち、本発
明は、例えば、(i)本発明の抗体と、被検液および標
識化レセプター蛋白質等とを競合的に反応させ、該抗体
に結合した標識化レセプター蛋白質等の割合を測定する
ことを特徴とする被検液中の本発明のレセプター蛋白質
等の定量法、(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明
の抗体および標識化された本発明の抗体とを同時あるい
は連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活
性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のレセ
プター蛋白質等の定量法を提供する。上記(ii)におい
ては、一方の抗体が本発明のレセプター蛋白質等のN端
部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のレセプター
蛋白質等のC端部に反応する抗体であることが好まし
い。
【0089】本発明のレセプター蛋白質等に対するモノ
クローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と
称する場合がある)を用いて本発明のレセプター蛋白質
等の測定を行なえるほか、組織染色等による検出を行な
うこともできる。これらの目的には、抗体分子そのもの
を用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fa
b'、あるいはFab画分を用いてもよい。本発明のレ
セプター蛋白質等に対する抗体を用いる測定法は、特に
制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例
えば、レセプター蛋白質量)に対応した抗体、抗原もし
くは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段に
より検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて
作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれ
の測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競
合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適
に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンド
イッチ法を用いるのが特に好ましい。標識物質を用いる
測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同
位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。
放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、
131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記
酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、
例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、
アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ
酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例
えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシア
ネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、
ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲ
ニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標
識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもで
きる。
【0090】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常、蛋白質あるいは酵素
等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用い
る方法でもよい。担体としては、例えば、アガロース、
デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリス
チレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、
あるいはガラス等が用いられる。サンドイッチ法におい
ては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を
反応させ(1次反応)、さらに標識化した本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のレセプター蛋白質量を定量することができる。
1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同
時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。
標識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準じるこ
とができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法に
おいて、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗
体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上
させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いても
よい。本発明のサンドイッチ法によるレセプター蛋白質
等の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられ
る本発明のモノクローナル抗体はレセプター蛋白質等の
結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。即
ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例え
ば、2次反応で用いられる抗体が、レセプター蛋白質の
C端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、
好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が
用いられる。
【0091】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と
(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液
中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶
性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、
上記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、およ
び、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、
第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗
体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック
法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識
化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離する
か、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体と
を反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体
を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次
に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を
定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは
溶液中で抗原抗体反応の結果、生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0092】これら個々の免疫学的測定法を本発明の測
定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のレセプター蛋白質またはその塩の測定系を構築すれ
ばよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、
総説、成書などを参照することができる〔例えば、入江
寛編「ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和49年
発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談
社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定
法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵
素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医
学書院、昭和62年発行)、「メソッズ・イン・エンジ
モノジー(Methods in ENZYMOLOGY)」Vol. 70(Immunoch
emical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunoch
emical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunoch
emical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunoch
emical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、
同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Mon
oclonal Antibodies and General Immunoassay Method
s))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part
I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodie
s))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。以
上のように、本発明の抗体を用いることによって、本発
明のレセプター蛋白質またはその塩を感度良く定量する
ことができる。さらに、本発明の抗体を用いて、生体内
での本発明のレセプター蛋白質またはその塩を定量する
ことによって、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に
関連する各種疾患の診断をすることができる。また、本
発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本
発明のレセプター蛋白質等を特異的に検出するために使
用することができる。また、本発明のレセプター蛋白質
等を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時
の各分画中の本発明のレセプター蛋白質等の検出、被検
細胞内における本発明のレセプター蛋白質の挙動の分析
などのために使用することができる。
【0093】(10)細胞膜における本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物のスクリーニング方法 本発明の抗体は、本発明のレセプター蛋白質もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩を特異的に認識することが
できるので、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質
またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスク
リーニングに用いることができる。すなわち本発明は、
例えば、(i)非ヒト哺乳動物の血液、特定の臓
器、臓器から単離した組織もしくは細胞等を破壊した
後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる本発明
のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドを定量する
ことによる、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質
またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスク
リーニング方法、(ii)本発明のレセプター蛋白質もし
くはその部分ペプチドを発現する形質転換体等を破壊し
た後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる本発
明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドを定量す
ることによる、細胞膜における本発明のレセプター蛋白
質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のス
クリーニング方法、(iii)非ヒト哺乳動物の血液、
特定の臓器、臓器から単離した組織もしくは細胞等
を切片とした後、免疫染色法を用いることにより、細胞
表層での該受容体タンパク質の染色度合いを定量化する
ことにより、細胞膜上の該タンパク質を確認することに
よる、細胞膜における本発明のレセプター蛋白質または
その部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニ
ング方法を提供する。 (iv)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプ
チドを発現する形質転換体等を切片とした後、免疫染色
法を用いることにより、細胞表層での該受容体タンパク
質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該
タンパク質を確認することによる、細胞膜における本発
明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変
化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
【0094】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドの定量は具体的には以下
のようにして行なう。 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細
胞等を、例えば、適当な緩衝液(例えば、トリス塩酸緩
衝液、リン酸緩衝液、ヘペス緩衝液など)等に懸濁し、
臓器、組織あるいは細胞を破壊し、界面活性剤(例え
ば、トリトンX100TM、ツイーン20TMなど)などを
用い、さらに遠心分離や濾過、カラム分画などの手法を
用いて細胞膜画分を得る。
【0095】細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、
それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画
分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−El
vehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリ
ングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる
破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧し
ながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕
などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法
や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主と
して用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500r
pm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10
分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜3
0000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られ
る沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセ
プター蛋白質等と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの
膜成分が多く含まれる。
【0096】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドは、例えば、本発明の抗
体を用いたサンドイッチ免疫測定法、ウエスタンブロッ
ト解析などにより定量することができる。かかるサンド
イッチ免疫測定法は前述の方法と同様にして行なうこと
ができ、ウエスタンブロットは自体公知の手段により行
なうことができる。
【0097】(ii)本発明のレセプター蛋白質もしくは
その部分ペプチドを発現する形質転換体を前述の方法に
従い作製し、細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドを定量することができ
る。
【0098】細胞膜における本発明のレセプター蛋白質
またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物のスク
リーニングは、 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対し
て、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間
前(30分前ないし24時間前、好ましくは30分前な
いし12時間前、より好ましくは1時間前ないし6時間
前)もしくは一定時間後(30分後ないし3日後、好ま
しくは1時間後ないし2日後、より好ましくは1時間後
ないし24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレ
スと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後
(30分後ないし3日後、好ましくは1時間後ないし2
日後、より好ましくは1時間後ないし24時間後)、細
胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドの量を定量することにより行なうことができ、 (ii)形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物
を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後ないし7
日後、好ましくは1日後ないし3日後、より好ましくは
2日後ないし3日後)、細胞膜における本発明のレセプ
ター蛋白質またはその部分ペプチドの量を定量すること
により行なうことができる。
【0099】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドの確認は具体的には以下
のようにして行なう。 (iii)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細
胞等を、常法に従い組織切片とし、本発明の抗体を用い
て免疫染色を行う。細胞表層での該受容体タンパク質の
染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該タン
パク質を確認することにより、定量的または定性的に、
細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部
分ペプチドの量を確認することができる。 (iv)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプ
チドを発現する形質転換体等を用いて同様の手段をとる
ことにより確認することもできる。
【0100】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩は、細胞膜における本発明のレ
セプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させ
る作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)細胞
膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペ
プチドの量を増加させることにより、G蛋白質共役型レ
セプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸
遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内
cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c
−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性また
は抑制する活性など)を増強させる化合物、(ロ)細胞
膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペ
プチドの量を減少させることにより、該細胞刺激活性を
減弱させる化合物である。該化合物としては、ペプチ
ド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵
生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物で
あってもよいし、公知の化合物であってもよい。該細胞
刺激活性を増強させる化合物は、本発明のレセプター蛋
白質等の生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬
として有用である。該細胞刺激活性を減弱させる化合物
は、本発明のレセプター蛋白質等の生理活性を減少させ
るための安全で低毒性な医薬として有用である。
【0101】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場
合、常套手段に従って実施することができる。例えば、
上記した本発明のレセプター蛋白質を含有する医薬と同
様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロ
カプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることがで
きる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であ
るので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に
対して投与することができる。該化合物またはその塩の
投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
より差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常成人(60kgとして)においては、一日につき約
0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20m
g程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈
注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合
も、60kg当たりに換算した量を投与することができ
る。
【0102】(11)細胞膜における本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤 本発明のレセプター蛋白質は前述のとおり、例えば中枢
機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると
考えられる。従って、細胞膜における本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物は、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する
疾患の予防および/または治療剤として用いることがで
きる。該化合物を本発明のレセプター蛋白質の機能不全
に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用
する場合は、常套手段に従って製剤化することができ
る。例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤な
どとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学
的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤など
の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合
物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形
剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一
般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混
和することによって製造することができる。これら製剤
における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得
られるようにするものである。
【0103】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0104】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例
えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。該化合
物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日
につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜5
0mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非
経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、
対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例
えば、注射剤の形では通常成人(60kgとして)にお
いては、一日につき約0.01〜30mg程度、好まし
くは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1
〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合で
ある。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量
を投与することができる。
【0105】(12)本発明のレセプター蛋白質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体による中
和 本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドま
たはその塩に対する抗体が、それらレセプター蛋白質な
どに対する中和活性とは、即ち、該レセプター蛋白質の
関与するシグナル伝達機能を不活性化する活性を意味す
る。従って、該抗体が中和活性を有する場合は、該レセ
プター蛋白質の関与するシグナル伝達、例えば、該レセ
プター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキド
ン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細
胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトール
リン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活
性または抑制する活性など)を不活性化することができ
る。従って、該レセプター蛋白質の過剰発現などに起因
する疾患の予防および/または治療に用いることができ
る。
【0106】(13)本発明のG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質をコードするDNAを有する非ヒト動物の作製 本発明のDNAを用いて、本発明のレセプター蛋白質等
を発現するトランスジェニック非ヒト動物を作製するこ
とができる。非ヒト動物としては、哺乳動物(例えば、
ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、
イヌ、サルなど)など(以下、動物と略記する)が挙げ
れるが、特に、マウス、ウサギなどが好適である。本発
明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該D
NAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結
合した遺伝子コンストラクトとして用いるのが一般に有
利である。例えば、ウサギ由来の本発明のDNAを転移
させる場合、これと相同性が高い動物由来の本発明のD
NAを動物細胞で発現させうる各種プロモーターの下流
に結合した遺伝子コンストラクトを、例えば、ウサギ受
精卵へマイクロインジェクションすることによって本発
明のレセプター蛋白質等を高産生するDNA転移動物を
作出できる。このプロモーターとしては、例えば、ウイ
ルス由来プロモーター、メタロチオネイン等のユビキア
スな発現プロモーターも使用しうるが、好ましくは脳で
特異的に発現するNGF遺伝子プロモーターやエノラー
ゼ遺伝子プロモーターなどが用いられる。
【0107】受精卵細胞段階における本発明のDNAの
転移は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在
するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽
細胞において本発明のレセプター蛋白質等が存在するこ
とは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞及び体細胞の
全てに本発明のレセプター蛋白質等を有することを意味
する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚
芽細胞および体細胞の全てに本発明のレセプター蛋白質
等を有する。本発明のDNA転移動物は、交配により遺
伝子を安定に保持することを確認して、該DNA保有動
物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができ
る。さらに、目的DNAを保有する雌雄の動物を交配す
ることにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホ
モザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配する
ことによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖
継代することができる。本発明のDNAが転移された動
物は、本発明のレセプター蛋白質等が高発現させられて
いるので、本発明のレセプター蛋白質等に対するアゴニ
ストまたはアンタゴニストのスクリーニング用の動物な
どとして有用である。本発明のDNA転移動物を、組織
培養のための細胞源として使用することもできる。例え
ば、本発明のDNA転移マウスの組織中のDNAもしく
はRNAを直接分析するか、あるいは遺伝子により発現
された本発明のレセプター蛋白質が存在する組織を分析
することにより、本発明のレセプター蛋白質等について
分析することができる。本発明のレセプター蛋白質等を
有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、こ
れらを使用して、例えば、脳や末梢組織由来のような一
般に培養困難な組織からの細胞の機能を研究することが
できる。また、その細胞を用いることにより、例えば、
各種組織の機能を高めるような医薬の選択も可能であ
る。また、高発現細胞株があれば、そこから、本発明の
レセプター蛋白質等を単離精製することも可能である。
【0108】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0109】 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキ
サミド基
【0110】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニ
ル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニ
ル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカル
ボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ
−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-
ジカルボキシイミド DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド
【0111】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型
レセプター蛋白質hHI7T213のアミノ酸配列を示
す。 〔配列番号:2〕本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型
レセプター蛋白質hHI7T213Vのアミノ酸配列を
示す。 〔配列番号:3〕配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質hHI7T213をコードするcDNAの塩
基配列を示す。 〔配列番号:4〕配列番号:2で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質hHI7T213VをコードするcDNAの
塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型
レセプター蛋白質hHI7T213をコードするcDN
Aをクローニングするために使用したプライマー1の塩
基配列を示す。 〔配列番号:6〕本発明のヒト由来新規G蛋白質共役型
レセプター蛋白質hHI7T213をコードするcDN
Aをクローニングするために使用したプライマー2の塩
基配列を示す。
【0112】後述の実施例1で得られた形質転換体エシ
ェリヒア コリ(Escherichia coli)DH5α/pCRI
I−hHI7T213は、平成10年9月4日から通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)
に寄託番号FERM BP−6484として、平成10
年6月19日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄
託番号IFO 16187として寄託されている。
【0113】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をより詳細に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載さ
れている方法に従った。
【0114】実施例1 ヒト由来のG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質をコードするcDNAのクローニングと塩
基配列の決定 ヒト海馬cDNA(Marathon−ReadyTM
DNA、CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプラ
イマー、プライマー1(配列番号:5)およびプライマ
ー2(配列番号:6)を用いてPCR反応を行った。該
反応における反応液の組成は上記cDNAの10分の1
量を鋳型として使用し、Advantage cDNA
Polymerase Mix (CLONTECH社)
1/50量、プライマー1(配列番号:5)およびプラ
イマー2(配列番号:6)を 各0.2μM、 dNTP
s 200μM、および酵素に添付のバッファーを加
え、25μlの液量とした。PCR反応は、 95℃・
1分の後、 94℃・20秒、72℃・2分のサイク
ルを3回、 94℃・20秒、68℃・2分のサイク
ルを3回、 94℃・20秒、63.5℃・20秒、
68℃・2分20秒のサイクルを38回繰り返し、
最後に68℃・7分の伸長反応を行った。該PCR反応
後の反応産物をTAクローニングキット(Invitr
ogen社)の処方に従いプラスミドベクターpCRI
I(Invitrogen社)へ サブクローニングし
た。これを大腸菌DH5αに導入し、cDNAをもつク
ローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選択した
後、個々のクローンの配列を解析した結果、新規G蛋白
質共役型レセプター蛋白質をコードする2種のcDNA
配列(配列番号:3および配列番号:4)を得た。 こ
のcDNAより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:
1および配列番号:2)のうち配列番号:1で表される
アミノ酸配列を含有する新規G蛋白質共役型レセプター
蛋白質をhHI7T213と命名し、配列番号:2で表
されるアミノ酸配列を含有する新規G蛋白質共役型レセ
プター蛋白質をhHI7T213Vと命名した。本発明
のヒト海馬由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質hH
I7T213をコードするcDNA(配列番号:3)が
サブクローニングされたプラスミドpCRII−hHI
7T213を、自体公知の方法に従い大腸菌(Escheric
hia coli)DH5αに導入して、形質転換体:大腸菌
(Escherichia coli)DH5α/pCRII−hHI7
T213を得た。
【0115】実施例2 hHI7T213発現CHO細
胞の作製 実施例1で作製した形質転換体E.coli DH5α/pC
RII−hHI7T213を培養後、プラスミド・ミド
キット(キアゲン社)を用いてpCRII−hHI7T
213のプラスミドDNAを調製した。このプラスミド
から本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質hHI7
T213をコードするcDNAをタンパク発現用プラスミド
ベクターpcDNA3.1/V5/Hisへクローニングしてタンパク
発現用プラスミドpcDNA3.1-hHI7T213を構築した。この
ようにして得たプラスミドは、プラスミド・ミドキット
(キアゲン社)を用いて大量にプラスミドDNAを調製
した後、これをセルフェクト・トランスフェクションキ
ット(アマシャムファルマシアバイオテク社)を用い添
付のプロトコールに従ってCHO dhfr-細胞に導入した。
すなわち、10mgのDNAをリン酸カルシウムとの共沈懸濁
液とし、24時間前に5×105または1×106個のCH
O dhfr-細胞を播種した10cmシャーレに添加した
後、10%ウシ胎児血清を含むMEMα培地で1日間培
養し、継代した後、選択培地である0.4mg/mlのG418(ギ
ブコBRL社)および10%透析ウシ胎児血清を含むME
Mα培地で培養した。選択培地中で増殖してくる形質転
換細胞(CHO/hHI7T213)のコロニーを選択することによ
り、hHI7T213発現CHO細胞とした。選択した
hHI7T213発現CHO細胞から常法に従い全RNA
を抽出した後、TaqMan法によりhHI7T213のmRNA
量を測定・コピー数を算出した。結果を下表に示す。
【表1】
【0116】
【発明の効果】本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該レセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌク
レオチド(例えば、DNA、RNAおよびそれらの誘導
体)は、リガンド(アゴニスト)の決定、抗体およ
び抗血清の入手、組み替え型レセプター蛋白質の発現
系の構築、同発現系を用いたレセプター結合アッセイ
系の開発と医薬品候補化合物のスクリーニング、構造
的に類似したリガンド・レセプターとの比較にもとづい
たドラッグデザインの実施、遺伝子診断におけるプロ
ーブやPCRプライマーの作成のための試薬、トラン
スジェニック動物の作製または遺伝子予防・治療剤等
の医薬等として用いることができる。
【0117】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel G-Protein Coupled Receptor Protein and its DNA <130> A98152 <150> JP 10-279535 <151> 1998-10-01 <160> 6 <210> 1 <211> 322 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Asp Ser Thr Ile Pro Val Leu Gly Thr Glu Leu Thr Pro Ile Asn 5 10 15 Gly Arg Glu Glu Thr Pro Cys Tyr Lys Gln Thr Leu Ser Phe Thr Gly 20 25 30 Leu Thr Cys Ile Val Ser Leu Val Ala Leu Thr Gly Asn Ala Val Val 35 40 45 Leu Trp Leu Leu Gly Cys Arg Met Arg Arg Asn Ala Val Ser Ile Tyr 50 55 60 Ile Leu Asn Leu Val Ala Ala Asp Phe Leu Phe Leu Ser Gly His Ile 65 70 75 80 Ile Cys Ser Pro Leu Arg Leu Ile Asn Ile Arg His Pro Ile Ser Lys 85 90 95 Ile Leu Ser Pro Val Met Thr Phe Pro Tyr Phe Ile Gly Leu Ser Met 100 105 110 Leu Ser Ala Ile Ser Thr Glu Arg Cys Leu Ser Ile Leu Trp Pro Ile 115 120 125 Trp Tyr His Cys Arg Arg Pro Arg Tyr Leu Ser Ser Val Met Cys Val 130 135 140 Leu Leu Trp Ala Leu Ser Leu Leu Arg Ser Ile Leu Glu Trp Met Phe 145 150 155 160 Cys Asp Phe Leu Phe Ser Gly Ala Asp Ser Val Trp Cys Glu Thr Ser 165 170 175 Asp Phe Ile Thr Ile Ala Trp Leu Val Phe Leu Cys Val Val Leu Cys 180 185 190 Gly Ser Ser Leu Val Leu Leu Val Arg Ile Leu Cys Gly Ser Arg Lys 195 200 205 Met Pro Leu Thr Arg Leu Tyr Val Thr Ile Leu Leu Thr Val Leu Val 210 215 220 Phe Leu Leu Cys Gly Leu Pro Phe Gly Ile Gln Trp Ala Leu Phe Ser 225 230 235 240 Arg Ile His Leu Asp Trp Lys Val Leu Phe Cys His Val His Leu Val 245 250 255 Ser Ile Phe Leu Ser Ala Leu Asn Ser Ser Ala Asn Pro Ile Ile Tyr 260 265 270 Phe Phe Val Gly Ser Phe Arg Gln Arg Gln Asn Arg Gln Asn Leu Lys 275 280 285 Leu Val Leu Gln Arg Ala Leu Gln Asp Thr Pro Glu Val Asp Glu Gly 290 295 300 Gly Gly Trp Leu Pro Gln Glu Thr Leu Glu Leu Ser Gly Ser Arg Leu 305 310 315 320 Glu Gln 322 <210> 2 <211> 322 <212> PRT <213> Human <400> 2 Met Asp Ser Thr Ile Pro Val Leu Gly Thr Glu Leu Thr Pro Ile Asn 5 10 15 Gly Arg Glu Glu Thr Pro Cys Tyr Lys Gln Thr Leu Ser Phe Thr Gly 20 25 30 Leu Thr Cys Ile Val Ser Leu Val Ala Leu Thr Gly Asn Ala Val Val 35 40 45 Leu Trp Leu Leu Gly Cys Arg Met Arg Arg Asn Ala Val Ser Ile Tyr 50 55 60 Ile Leu Asn Leu Val Ala Ala Asp Phe Leu Phe Leu Ser Gly His Ile 65 70 75 80 Ile Cys Ser Pro Leu Arg Leu Ile Asn Ile Arg His Pro Ile Ser Lys 85 90 95 Ile Leu Ser Pro Val Met Thr Phe Pro Tyr Phe Ile Gly Leu Ser Met 100 105 110 Leu Ser Ala Ile Ser Thr Glu Arg Cys Leu Ser Ile Leu Trp Pro Ile 115 120 125 Trp Tyr His Cys Arg Arg Pro Arg Tyr Leu Ser Ser Val Met Cys Val 130 135 140 Leu Leu Trp Ala Leu Ser Leu Leu Arg Ser Ile Leu Glu Trp Met Phe 145 150 155 160 Cys Asp Phe Leu Phe Ser Gly Ala Asn Ser Val Trp Cys Glu Thr Ser 165 170 175 Asp Phe Ile Thr Ile Ala Trp Leu Val Phe Leu Cys Val Val Leu Cys 180 185 190 Gly Ser Ser Leu Val Leu Leu Val Arg Ile Leu Cys Gly Ser Arg Lys 195 200 205 Met Pro Leu Thr Arg Leu Tyr Val Thr Ile Leu Leu Thr Val Leu Val 210 215 220 Phe Leu Leu Cys Gly Leu Pro Phe Gly Ile Gln Trp Ala Leu Phe Ser 225 230 235 240 Arg Ile His Leu Asp Trp Lys Val Leu Phe Cys His Val His Leu Val 245 250 255 Ser Ile Phe Leu Ser Ala Leu Asn Ser Ser Ala Asn Pro Ile Ile Tyr 260 265 270 Phe Phe Val Gly Ser Phe Arg Gln Arg Gln Asn Arg Gln Asn Leu Lys 275 280 285 Leu Val Leu Gln Arg Ala Leu Gln Asp Thr Pro Glu Val Asp Glu Gly 290 295 300 Gly Gly Trp Leu Pro Gln Glu Thr Leu Glu Leu Ser Gly Ser Arg Leu 305 310 315 320 Glu Gln 322 <210> 3 <211> 969 <212> DNA <213> Human <400> 3 ATGGATTCAA CCATCCCAGT CTTGGGTACA GAACTGACAC CAATCAACGG ACGTGAGGAG 60 ACTCCTTGCT ACAAGCAGAC CCTGAGCTTC ACGGGGCTGA CGTGCATCGT TTCCCTTGTC 120 GCGCTGACAG GAAACGCGGT TGTGCTCTGG CTCCTGGGCT GCCGCATGCG CAGGAACGCT 180 GTCTCCATCT ACATCCTCAA CCTGGTCGCG GCCGACTTCC TCTTCCTTAG CGGCCACATT 240 ATATGTTCGC CGTTACGCCT CATCAATATC CGCCATCCCA TCTCCAAAAT CCTCAGTCCT 300 GTGATGACCT TTCCCTACTT TATAGGCCTA AGCATGCTGA GCGCCATCAG CACCGAGCGC 360 TGCCTGTCCA TCCTGTGGCC CATCTGGTAC CACTGCCGCC GCCCCAGATA CCTGTCATCG 420 GTCATGTGTG TCCTGCTCTG GGCCCTGTCC CTGCTGCGGA GTATCCTGGA GTGGATGTTC 480 TGTGACTTCC TGTTTAGTGG TGCTGATTCT GTTTGGTGTG AAACGTCAGA TTTCATTACA 540 ATCGCGTGGC TGGTTTTTTT ATGTGTGGTT CTCTGTGGGT CCAGCCTGGT CCTGCTGGTC 600 AGGATTCTCT GTGGATCCCG GAAGATGCCG CTGACCAGGC TGTACGTGAC CATCCTCCTC 660 ACAGTGCTGG TCTTCCTCCT CTGTGGCCTG CCCTTTGGCA TTCAGTGGGC CCTGTTTTCC 720 AGGATCCACC TGGATTGGAA AGTCTTATTT TGTCATGTGC ATCTAGTTTC CATTTTCCTG 780 TCCGCTCTTA ACAGCAGTGC CAACCCCATC ATTTACTTCT TCGTGGGCTC CTTTAGGCAG 840 CGTCAAAATA GGCAGAACCT GAAGCTGGTT CTCCAGAGGG CTCTGCAGGA CACGCCTGAG 900 GTGGATGAAG GTGGAGGGTG GCTTCCTCAG GAAACCCTGG AGCTGTCGGG AAGCAGATTG 960 GAGCAGTGA 969 <210> 4 <211> 969 <212> DNA <213> Human <400> 4 ATGGATTCAA CCATCCCAGT CTTGGGTACA GAACTGACAC CAATCAACGG ACGTGAGGAG 60 ACTCCTTGCT ACAAGCAGAC CCTGAGCTTC ACGGGGCTGA CGTGCATCGT TTCCCTTGTC 120 GCGCTGACAG GAAACGCGGT TGTGCTCTGG CTCCTGGGCT GCCGCATGCG CAGGAACGCT 180 GTCTCCATCT ACATCCTCAA CCTGGTCGCG GCCGACTTCC TCTTCCTTAG CGGCCACATT 240 ATATGTTCGC CGTTACGCCT CATCAATATC CGCCATCCCA TCTCCAAAAT CCTCAGTCCT 300 GTGATGACCT TTCCCTACTT TATAGGCCTA AGCATGCTGA GCGCCATCAG CACCGAGCGC 360 TGCCTGTCCA TCCTGTGGCC CATCTGGTAC CACTGCCGCC GCCCCAGATA CCTGTCATCG 420 GTCATGTGTG TCCTGCTCTG GGCCCTGTCC CTGCTGCGGA GTATCCTGGA GTGGATGTTC 480 TGTGACTTCC TGTTTAGTGG TGCTAATTCT GTTTGGTGTG AAACGTCAGA TTTCATTACA 540 ATCGCGTGGC TGGTTTTTTT ATGTGTGGTT CTCTGTGGGT CCAGCCTGGT CCTGCTGGTC 600 AGGATTCTCT GTGGATCCCG GAAGATGCCG CTGACCAGGC TGTACGTGAC CATCCTCCTC 660 ACAGTGCTGG TCTTCCTCCT CTGTGGCCTG CCCTTTGGCA TTCAGTGGGC CCTGTTTTCC 720 AGGATCCACC TGGATTGGAA AGTCTTATTT TGTCATGTGC ATCTAGTTTC CATTTTCCTG 780 TCCGCTCTTA ACAGCAGTGC CAACCCCATC ATTTACTTCT TCGTGGGCTC CTTTAGGCAG 840 CGTCAAAATA GGCAGAACCT GAAGCTGGTT CTCCAGAGGG CTCTGCAGGA CACGCCTGAG 900 GTGGATGAAG GTGGAGGGTG GCTTCCTCAG GAAACCCTGG AGCTGTCGGG AAGCAGATTG 960 GAGCAGTGA 969 <210> 5 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 5 GTCGACATGG ATTCAACCAT CCCAGTCTTG 30 <210> 6 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 6 ACTAGTTCAC TGCTCCAATC TGCTTCCCGA 30
【図面の簡単な説明】
【図1】配列番号:1で表されるアミノ酸配列をもとに
作成した、本発明G蛋白質共役型レセプター蛋白質の疎
水性プロットを示す。
【図2】配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有する
本発明G蛋白質共役型レセプター蛋白質とMASのアミ
ノ酸配列の相同性比較を示す。 図中、上段が本発明G
蛋白質共役型レセプター蛋白質、下段がMASのアミノ
酸配列を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 43/00 A61P 43/00 C07K 14/705 C07K 14/705 16/28 16/28 C12N 1/21 C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 C12P 21/02 G01N 33/15 Z 21/08 33/53 D G01N 33/15 33/566 33/53 33/577 B 33/566 A61K 37/02 33/577 C12N 5/00 B //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するこ
    とを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質または
    その塩。
  2. 【請求項2】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    実質的に同一のアミノ酸 配列が配列番号:2で表されるアミノ酸配列である請求
    項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその
    塩。
  3. 【請求項3】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター
    蛋白質の部分ペプチドまたはその塩。
  4. 【請求項4】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター
    蛋白質をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド
    を含有するポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】DNAである請求項4記載のポリヌクレオ
    チド。
  6. 【請求項6】配列番号:3または配列番号:4で表され
    る塩基配列を有する請求項4記載のポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】請求項4記載のポリヌクレオチドを含有す
    る組換えベクター。
  8. 【請求項8】請求項7記載の組換えベクターで形質転換
    させた形質転換体。
  9. 【請求項9】請求項8記載の形質転換体を培養し、請求
    項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せし
    めることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質共役型レ
    セプター蛋白質またはその塩の製造法。
  10. 【請求項10】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩に対する抗体。
  11. 【請求項11】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質のシグナル伝達を不活性化する中和抗体である
    請求項10記載の抗体。
  12. 【請求項12】請求項10記載の抗体を含有してなる診
    断薬。
  13. 【請求項13】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を用いることにより得られうる請求項1記載のG蛋
    白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガ
    ンド。
  14. 【請求項14】請求項13記載のG蛋白質共役型レセプ
    ター蛋白質のリガンドを含有してなる医薬。
  15. 【請求項15】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を用いることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質
    共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンド
    の決定方法。
  16. 【請求項16】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を用いることを特徴とするリガンドと請求項1記載
    のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結
    合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング
    方法。
  17. 【請求項17】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を含有することを特徴とするリガンドと請求項1記
    載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との
    結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニン
    グ用キット。
  18. 【請求項18】請求項16記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項17記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、リガンドと請求項1記載のG蛋白質共役型
    レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる
    化合物またはその塩。
  19. 【請求項19】請求項16記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項17記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、リガンドと請求項1記載のG蛋白質共役型
    レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる
    化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  20. 【請求項20】請求項4記載のポリヌクレオチドとハイ
    ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌ
    クレオチド。
  21. 【請求項21】請求項4記載のポリヌクレオチドと相補
    的な塩基配列およびその一部を含有してなるポリヌクレ
    オチド。
  22. 【請求項22】請求項4記載のポリヌクレオチドまたは
    その一部を用いることを特徴とする請求項1記載のG蛋
    白質共役型レセプター蛋白質のmRNAの定量方法。
  23. 【請求項23】請求項10記載の抗体を用いることを特
    徴とする請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
    質の定量方法。
  24. 【請求項24】請求項22または請求項23記載の定量
    方法を用いることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質
    共役型レセプター蛋白質の機能が関連する疾患の診断方
    法。
  25. 【請求項25】請求項22記載の定量方法を用いること
    を特徴とする、請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩のス
    クリーニング方法。
  26. 【請求項26】請求項23記載の定量方法を用いること
    を特徴とする、細胞膜における請求項1記載のG蛋白質
    共役型レセプター蛋白質量を変化させる化合物またはそ
    の塩のスクリーニング方法。
  27. 【請求項27】請求項25記載のスクリーニング方法を
    用いて得られうる、請求項1記載のG蛋白質共役型レセ
    プター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその
    塩。
  28. 【請求項28】請求項26記載のスクリーニング方法を
    用いて得られうる、細胞膜における請求項1記載のG蛋
    白質共役型レセプター蛋白質量を変化させる化合物また
    はその塩。
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