JP2000295995A - 新規g蛋白質共役型レセプター蛋白質およびそのdna - Google Patents

新規g蛋白質共役型レセプター蛋白質およびそのdna

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JP2000295995A
JP2000295995A JP11351127A JP35112799A JP2000295995A JP 2000295995 A JP2000295995 A JP 2000295995A JP 11351127 A JP11351127 A JP 11351127A JP 35112799 A JP35112799 A JP 35112799A JP 2000295995 A JP2000295995 A JP 2000295995A
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Takuya Watanabe
卓也 渡辺
Kuniko Kikuchi
久仁子 菊地
Yasushi Shintani
靖 新谷
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング
等に有用な新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の提
供。 【解決手段】マウスおよびヒト由来のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質、その部分ペプチドまたはそれらの塩、
該レセプター蛋白質をコードする核酸およびその誘導
体、該レセプター蛋白質をコードする塩基配列に対する
アンチセンス配列を持つ核酸及びその誘導体、該G蛋白
質共役型レセプター蛋白質の製造法、該G蛋白質共役型
レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、リガン
ドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変
化させる化合物のスクリーニング方法/スクリーニング
用キット、該スクリーニングで得られる化合物またはそ
の塩、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する抗体
など。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マウス脾臓由来ま
たはヒト肺由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質
またはその塩およびそれをコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】多くのホルモンや神経伝達物質などの生
理活性物質は、細胞膜に存在する特異的なレセプター蛋
白質を通じて生体の機能を調節している。これらのレセ
プター蛋白質のうち多くは共役しているguanine nucleo
tide-binding protein(以下、G蛋白質と略称する場合
がある)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行な
い、また7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっ
ていることから、G蛋白質共役型レセプター蛋白質ある
いは7回膜貫通型レセプター蛋白質(7TMR)と総称
される。G蛋白質共役型レセプター蛋白質は生体の細胞
や臓器の各機能細胞表面に存在し、それら細胞や臓器の
機能を調節する分子、例えばホルモン、神経伝達物質お
よび生理活性物質等の標的として生理的に重要な役割を
担っている。レセプターは生理活性物質との結合を介し
てシグナルを細胞内に伝達し、このシグナルにより細胞
の賦活や抑制といった種々の反応が惹起される。各種生
体の細胞や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、そ
の特異的レセプター蛋白質、特にはG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質との関係を明らかにすることは、各種生体
の細胞や臓器の機能を解明し、それら機能と密接に関連
した医薬品開発に非常に重要な手段を提供することとな
る。
【0003】例えば、生体の種々の器官では、多くのホ
ルモン、ホルモン様物質、神経伝達物質あるいは生理活
性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行なわ
れている。特に、生理活性物質は生体内の様々な部位に
存在し、それぞれに対応するレセプター蛋白質を通して
その生理機能の調節を行っている。生体内には未だ未知
のホルモンや神経伝達物質その他の生理活性物質も多
く、それらのレセプター蛋白質の構造に関しても、これ
まで報告されていないものが多い。さらに、既知のレセ
プター蛋白質にいてもサブタイプが存在するかどうかに
ついても分かっていないものが多い。生体における複雑
な機能を調節する物質と、その特異的レセプター蛋白質
との関係を明らかにすることは、医薬品開発に非常に重
要な手段である。また、レセプター蛋白質に対するアゴ
ニスト、アンタゴニストを効率よくスクリーニングし、
医薬品を開発するためには、生体内で発現しているレセ
プター蛋白質の遺伝子の機能を解明し、それらを適当な
発現系で発現させることが必要であった。近年、生体内
で発現している遺伝子を解析する手段として、cDNA
の配列をランダムに解析する研究が活発に行なわれてお
り、このようにして得られたcDNAの断片配列がExpr
essed Sequence Tag(EST)としてデータベースに登
録され、公開されている。しかし、多くのESTは配列
情報のみであり、その機能を推定することは困難であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、G蛋白質共役型
レセプターと生理活性物質(即ち、リガンド)との結合
を阻害する物質や、結合して生理活性物質(即ち、リガ
ンド)と同様なシグナル伝達を引き起こす物質は、これ
らレセプターの特異的なアンタゴニストまたはアゴニス
トとして、生体機能を調節する医薬品として活用されて
きた。従って、このように生体内での生理発現において
重要であるばかりでなく、医薬品開発の標的ともなりう
るG蛋白質共役型レセプター蛋白質を新規に見出し、そ
の遺伝子(例えばcDNA)をクローニングすること
は、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の特異的リガ
ンドや、アゴニスト、アンタゴニストを見出す際に、非
常に重要な手段となる。しかし、G蛋白質共役型レセプ
ターはその全てが見出されているわけではなく、現時点
でもなお、未知のG蛋白質共役型レセプター、また対応
するリガンドが同定されていない、いわゆるオーファン
レセプターが多数存在しており、新たなG蛋白質共役型
レセプターの探索および機能解明が切望されている。G
蛋白質共役型レセプターは、そのシグナル伝達作用を指
標とする、新たな生理活性物質(即ち、リガンド)の探
索、また該レセプターに対するアゴニストまたはアンタ
ゴニスト)の探索に有用である。一方、生理的なリガン
ドが見出されなくても、該レセプターの不活化実験(ノ
ックアウト動物)から該レセプターの生理作用を解析す
ることにより、該レセプターに対するアゴニストまたは
アンタゴニストを作製することも可能である。これら該
レセプターに対するリガンド、アゴニストまたはアンタ
ゴニストなどは、G蛋白質共役型レセプターの機能不全
に関連する疾患の予防/治療薬や診断薬として活用する
ことが期待できる。さらにまた、G蛋白質共役型レセプ
ターの遺伝子変異に基づく、生体での該レセプターの機
能の低下または昂進が、何らかの疾患の原因となってい
る場合も多い。この場合には、該レセプターに対するア
ンタゴニストやアゴニストの投与だけでなく、該レセプ
ター遺伝子の生体内(またはある特定の臓器)への導入
や、該レセプター遺伝子に対するアンチセンス核酸の導
入による、遺伝子治療に応用することもできる。この場
合には該レセプターの塩基配列は遺伝子上の欠失や変異
の有無を調べるために必要不可欠な情報であり、該レセ
プターの遺伝子は、該レセプターの機能不全に関与する
疾患の予防/治療薬や診断薬に応用することもできる。
【0005】本発明は、上記のように有用な新規G蛋白
質共役型レセプター蛋白質を提供するものである。即
ち、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質,その部分ペ
プチドまたはそれらの塩、該G蛋白質共役型レセプター
蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレ
オチド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)を含有
するポリヌクレオチド(DNA、RNAおよびそれらの
誘導体)、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクタ
ー、該組換えベクターを保持する形質転換体、該G蛋白
質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、該G
蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまた
はそれらの塩に対する抗体、該G蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質の発現量を変化させる化合物、該G蛋白質共役
型レセプターに対するリガンドの決定方法、リガンドと
該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化さ
せる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)またはその
塩のスクリーニング方法、該スクリーニング用キット、
該スクリーニング方法もしくはスクリーニングキットを
用いて得られるリガンドと該G蛋白質共役型レセプター
蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニス
ト、アゴニスト)またはその塩、およびリガンドと該G
蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる
化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)もしくは該G蛋
白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合
物またはその塩を含有してなる医薬などを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、degenerated PCR法によって作成したE
ST情報に基づいて、マウス脾臓由来およびヒト肺由来
の新規なG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする
cDNAを単離し、その全塩基配列を解析することに成
功した。そして、この塩基配列をアミノ酸配列に翻訳し
たところ、第1〜第7膜貫通領域が疎水性プロット上で
確認され、これらのcDNAにコードされる蛋白質が7
回膜貫通型のG蛋白質共役型レセプター蛋白質であるこ
とを確認した。本発明者らは、これらの知見に基づい
て、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共
役型レセプター蛋白質またはその塩、(2)実質的に同
一のアミノ酸配列が配列番号:5で表されるアミノ酸配
列である上記(1)記載の蛋白質、(3)上記(1)記
載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドま
たはその塩、(4)上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質をコードする塩基配列を有するポリヌク
レオチドを含有するポリヌクレオチド、(5)DNAで
ある上記(4)記載のポリヌクレオチド、(6)配列番
号:2または配列番号:6で表される塩基配列を有する
上記(4)記載のポリヌクレオチド、(7)上記(4)
記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(8)上記(7)記載の組換えベクターで形質転換させ
た形質転換体、(9)上記(8)記載の形質転換体を培
養し、上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質を生成せしめることを特徴とする上記(1)記載のG
蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、
(10)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋
白質もしくは上記(3)記載の部分ペプチドまたはその
塩に対する抗体、(11)上記(1)記載のG蛋白質共
役型レセプター蛋白質のシグナル伝達を不活性化する中
和抗体である上記(10)記載の抗体、(12)上記
(10)記載の抗体を含有してなる診断薬、(13)上
記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしく
は上記(3)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いる
ことにより得られる上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質またはその塩に対するリガンド、(1
4)上記(13)記載のリガンドを含有してなる医薬、
(15)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋
白質もしくは上記(3)記載の部分ペプチドまたはその
塩を用いることを特徴とする上記(1)記載のG蛋白質
共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンド
の決定方法、(16)上記(1)記載のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質もしくは上記(3)記載の部分ペプチ
ドまたはその塩を用いることを特徴とするリガンドと上
記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質または
その塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のス
クリーニング方法、(17)上記(1)記載のG蛋白質
共役型レセプター蛋白質もしくは上記(3)記載の部分
ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とするリガ
ンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはそ
の塩のスクリーニング用キット、(18)上記(16)
記載のスクリーニング方法または上記(17)記載のス
クリーニング用キットを用いて得られる、リガンドと上
記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質または
その塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(19)上記(16)記載のスクリーニング方法または
上記(17)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られる、リガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化
合物またはその塩を含有してなる医薬、(20)上記
(4)記載のポリヌクレオチドとハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、(2
1)上記(4)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基
配列およびその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
(22)上記(4)記載のポリヌクレオチドまたはその
一部を用いることを特徴とする上記(1)記載のレセプ
ター蛋白質のmRNAの定量方法、(23)上記(1
0)記載の抗体を用いることを特徴とする上記(1)記
載のレセプター蛋白質の定量方法、(24)上記(2
2)または上記(23)記載の定量方法を用いることを
特徴とする上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター
の機能が関連する疾患の診断剤、(25)上記(22)
または上記(23)記載の定量方法を用いることを特徴
とする上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプターの発
現を変化させる(増強または抑制させる)化合物または
その塩のスクリーニング方法、および、(26)上記
(25)記載のスクリーニング方法を用いて得られる上
記(1)記載のG蛋白質共役型レセプターの発現を変化
させる化合物またはその塩などに関する。
【0008】さらには、(27)蛋白質が、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列、配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜30個程度、より好ましくは1〜9個程度、さ
らに好ましくは1〜5個)のアミノ酸が欠失したアミノ
酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1
または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好
ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個)
のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好まし
くは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程
度、さらに好ましくは1〜5個)のアミノ酸が他のアミ
ノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み
合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質である上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはそ
の塩、(28)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質もしくはその塩または上記(3)記載の部分
ペプチドもしくはその塩と、試験化合物とを接触させる
ことを特徴とする上記(15)記載のリガンドの決定方
法、(29)リガンドが例えばアンギオテンシン、ボン
ベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミ
ン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オ
ピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、P
ACAP、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、ア
ドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CR
F、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティ
ブ インテスティナル ポリペプチド)、ソマトスタチ
ン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、
CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチ
ド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタ
グランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリ
ン、αおよびβ−ケモカイン(chemokine)(例えば、
IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−
2、ENA−78、PF4、IP10、GCP−2、M
CP−1、HC14、MCP−3、I−309、MIP
1α、MIP−1β、RANTESなど)、エンドセリ
ン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシ
ン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラ
ニンまたはLPAである上記(27)記載のリガンドの
決定方法、
【0009】(30)(i)上記(1)記載のG蛋白質
共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または上記
(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、リガンド
とを接触させた場合と、(ii)上記(1)記載のG蛋白
質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または上記
(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、リガンド
および試験化合物とを接触させた場合との比較を行なう
ことを特徴とする上記(16)記載のスクリーニング方
法、(31)(i)標識したリガンドを上記(1)記載
のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩また
は上記(3)記載の部分ペプチドもしくはその塩に接触
させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合
物を上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
もしくはその塩または上記(3)記載の部分ペプチドま
たはその塩に接触させた場合における、標識したリガン
ドの上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
もしくはその塩または上記(3)記載の部分ペプチドも
しくはその塩に対する結合量を測定し、比較することを
特徴とするリガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる
化合物またはその塩のスクリーニング方法、(32)
(i)標識したリガンドを上記(1)記載のG蛋白質共
役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合
と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有す
る細胞に接触させた場合における、標識したリガンドの
該細胞に対する結合量を測定し、比較することを特徴と
するリガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物
またはその塩のスクリーニング方法、(33)(i)標
識したリガンドを上記(1)記載のG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質を含有する細胞の膜画分に接触させた場合
と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有す
る細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したリ
ガンドの該細胞の膜画分に対する結合量を測定し、比較
することを特徴とするリガンドと上記(1)記載のG蛋
白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を
変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(34)(i)標識したリガンドを上記(8)記載の形
質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜
に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させ
た場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を
上記(8)記載の形質転換体を培養することによって該
形質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質に接触させた場合における、標識したリガンド
の該G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する結合量を
測定し、比較することを特徴とするリガンドと上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはそ
の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスク
リーニング方法、
【0010】(35)(i)上記(1)記載のG蛋白質
共役型レセプター蛋白質またはその塩を活性化する化合
物を上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)上記(1)
記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を
活性化する化合物および試験化合物を上記(1)記載の
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触
させた場合における、G蛋白質共役型レセプター蛋白質
を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴と
するリガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物
またはその塩のスクリーニング方法、(36)上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはそ
の塩を活性化する化合物を上記(8)記載の形質転換体
を培養することによって該形質転換体の細胞膜に発現し
たG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合
と、上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
またはその塩を活性化する化合物および試験化合物を上
記(8)記載の形質転換体を培養することによって該形
質転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター
蛋白質に接触させた場合における、G蛋白質共役型レセ
プター蛋白質を介する細胞刺激活性を測定し、比較する
ことを特徴とするリガンドと上記(1)記載のG蛋白質
共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化
させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、(3
7)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
を活性化する化合物が、アンギオテンシン、ボンベシ
ン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セ
ロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイ
ド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACA
P、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノ
メジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、AC
TH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ イン
テスティナル ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドー
パミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP
(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイ
コトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジ
ン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αお
よびβ−ケモカイン(chemokine)(例えば、IL−
8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2、EN
A−78、PF4、IP10、GCP−2、MCP−
1、HC14、MCP−3、I−309、MIP1α、
MIP−1β、RANTESなど)、エンドセリン、エ
ンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、T
RH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニンま
たはLPAである上記(34)または上記(36)記載
のスクリーニング方法、
【0011】(38)上記(30)〜(37)記載のス
クリーニング方法で得られる、リガンドと上記(1)記
載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との
結合性を変化させる化合物またはその塩、(39)上記
(30)〜上記(37)記載のスクリーニング方法で得
られる、リガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させるの
化合物またはその塩を含有することを特徴とする医薬、
(40)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋
白質を含有する細胞を含有することを特徴とする上記
(17)記載のスクリーニング用キット、(41)上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有す
る細胞の膜画分を含有することを特徴とする上記(1
7)記載のスクリーニング用キット、(42)上記
(8)記載の形質転換体を培養することによって該形質
転換体の細胞膜に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋
白質を含有することを特徴とする上記(17)記載のス
クリーニング用キット、(43)上記(40)〜上記
(42)記載のスクリーニング用キットを用いて得られ
る、リガンドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物
またはその塩、(44)上記(40)〜上記(42)記
載のスクリーニング用キットを用いて得られる、リガン
ドと上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質
またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
塩を含有することを特徴とする医薬、(45)上記(1
0)記載の抗体と、上記(1)記載のG蛋白質共役型レ
セプター蛋白質、上記(2)記載の部分ペプチドまたは
それらの塩とを接触させることを特徴とする上記(1)
のG蛋白質共役型レセプター蛋白質、上記(3)記載の
部分ペプチドまたはそれらの塩の定量法、(46)上記
(10)記載の抗体と、被検液および標識化された上記
(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質、上記
(3)記載の部分ペプチドまたはそれらの塩とを競合的
に反応させ、該抗体に結合した標識化された上記(1)
記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは上記
(3)記載の部分ペプチドまたはその塩の割合を測定す
ることを特徴とする被検液中の上記(1)記載のG蛋白
質共役型レセプター蛋白質もしくは上記(3)記載の部
分ペプチドまたはその塩の定量法、および(47)被検
液と担体上に不溶化した上記(10)記載の抗体および
標識化された上記(10)記載の抗体とを同時あるいは
連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性
を測定することを特徴とする被検液中の上記(1)記載
のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは上記(3)
記載の部分ペプチドまたはその塩の定量法などを提供す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質(以下、レセプター蛋白質と略記する場合があ
る)は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列〔図1
〜図3中のアミノ酸配列〕と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質である。本
発明のレセプター蛋白質は、例えば、ヒトや哺乳動物
(例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ブ
タ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例え
ば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄
細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟
骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細
胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹
細胞もしくはガン細胞など)や血球系の細胞、またはそ
れらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の
各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、
視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、
前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、
下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆の
う、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、
小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末
梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、
関節、骨格筋など(特に、脳や脳の各部位)に由来する
タンパク質であってもよく、また合成タンパク質であっ
てもよい。
【0013】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ま
しくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さ
らに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%
以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
具体的には、配列番号:5で表されるアミノ酸配列〔図
5〜図7中のアミノ酸配列〕を含有するレセプター蛋白
質などがあげられる。本発明の配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
るタンパク質としては、例えば、配列番号:1で表わさ
れるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有
し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に
同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。実質的
に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シ
グナル情報伝達作用などがあげられる。実質的に同質と
は、それらの活性が性質的に同質であることを示す。し
たがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用な
どの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましく
は約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)
であることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパ
ク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。リ
ガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測
定は、自体公知の方法に準じて行なうことができるが、
例えば、後述するリガンドの決定方法やスクリーニング
方法に従って測定することができる。また、本発明のレ
セプター蛋白質としては、配列番号:1で表わされる
アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜
30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好
ましくは1〜5個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配
列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1また
は2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好まし
くは1〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個)のア
ミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、
さらに好ましくは1〜5個)のアミノ酸が他のアミノ酸
で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わ
せたアミノ酸配列を含有する蛋白質などもあげられる。
さらに、本発明のレセプター蛋白質としては、配列番
号:5で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは1〜5個)のアミノ酸が欠
失したアミノ酸配列、配列番号:5で表わされるアミ
ノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個
程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましく
は1〜5個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配
列番号:5で表わされるアミノ酸配列中の1または2個
以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1
〜10個程度、さらに好ましくは1〜5個)のアミノ酸
が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそ
れらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質など
があげられる。
【0014】本明細書におけるレセプター蛋白質は、ペ
プチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末
端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプタ
ー蛋白質をはじめとする、本発明のレセプタータンパク
質は、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)また
はカルボキシレート(−COO-)であるが、C末端がア
ミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)で
あってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、例
えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルも
しくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シ
クロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアル
キル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12
アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェ
ニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルな
どのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14アラ
ルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバ
ロイルオキシメチルエステルなどが用いられる。本発明
のレセプター蛋白質がC末端以外にカルボキシル基(ま
たはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシ
ル基がアミド化またはエステル化されているものも本発
明のレセプター蛋白質に含まれる。この場合のエステル
としては、例えば上記したC末端のエステルなどが用い
られる。さらに、本発明のレセプター蛋白質には、上記
の蛋白質において、N末端のメチオニン残基のアミノ基
が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC
2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されてい
るもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル
基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の
側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、
イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が
適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC
2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)で保護されてい
るもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質
などの複合タンパク質なども含まれる。
【0015】本発明のレセプター蛋白質の具体例として
は、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を
含有するマウス由来のレセプター蛋白質または配列番
号:5で表されるアミノ酸配列を含有するヒト由来のレ
セプター蛋白質などが用いられる。本発明のレセプター
蛋白質の部分ペプチド(以下、部分ペプチドと略記する
場合がある)としては、前記した本発明のレセプター蛋
白質の部分ペプチドであれば何れのものであってもよい
が、例えば、本発明のレセプター蛋白質分子のうち、細
胞膜の外に露出している部位であって、レセプター結合
活性を有するものなどが用いられる。具体的には、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するレセプター
蛋白質の部分ペプチドとしては、〔図4〕で示される疎
水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrop
hilic)部位)であると分析された部分を含むペプチド
である。さらに、配列番号:5で表されるアミノ酸配列
を有するレセプター蛋白質の部分ペプチドとしては、
〔図8〕で示される疎水性プロット解析において細胞外
領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析され
た部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydropho
bic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることが
できる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得
るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも
良い。本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、前記し
た本発明のレセプター蛋白質の構成アミノ酸配列のうち
少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好
ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチド
などが好ましい。実質的に同一のアミノ酸配列とは、こ
れらアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%
以上、より好ましくは約90%以上、さらも好ましくは
約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を示す。こ
こで、「実質的に同質の活性」とは、前記と同意義を示
す。「実質的に同質の活性」の測定は前記と同様に行な
うことができる。また、本発明の部分ペプチドは、上記
アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜
10個程度、さらに好ましくは1〜5個)のアミノ酸が
欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上
(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは1〜5個)のアミノ酸が付
加し、または、そのアミノ酸配列中の1または2個以上
(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは1〜5
個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよ
い。また、本発明の部分ペプチドはC末端が通常カルボ
キシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−C
OO-)であるが、前記した本発明のレセプター蛋白質
のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエス
テル(−COOR)であってもよい。さらに、本発明の
部分ペプチドには、前記した本発明のレセプター蛋白質
と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基
で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成
したGlnがピログルタミン酸化したもの、分子内のア
ミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されてい
るもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドな
どの複合ペプチドなども含まれる。また、本発明の部分
ペプチドはC末端が通常カルボキシル基(−COOH)
またはカルボキシレート(−COO-)であるが、前記し
た本発明のタンパク質のごとく、C末端がアミド(−C
ONH2)またはエステル(−COOR)であってもよ
い。
【0016】本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドの塩としては、とりわけ生理学的に許容される
酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機
酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との
塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン
酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン
酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。本発明の
レセプター蛋白質またはその塩は、前述したヒトや哺乳
動物の細胞または組織から自体公知のレセプター蛋白質
の精製方法によって製造することもできるし、後述する
本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを含有す
る形質転換体を培養することによっても製造することが
できる。また、後述のタンパク質合成法またはこれに準
じて製造することもできる。ヒトや哺乳動物の組織また
は細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組織または
細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該
抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマト
グラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせるこ
とにより精製単離することができる。本発明のレセプタ
ー蛋白質、その部分ペプチドもしくはそれらの塩または
それらのアミド体の合成には、通常市販のタンパク質合
成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂として
は、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹
脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4
−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチル
ベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキ
シメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリ
アクリルアミド樹脂、4−(2',4'−ジメトキシフェ
ニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−
(2',4'−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチ
ル)フェノキシ樹脂などをあげることができる。このよ
うな樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保
護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の配列通り
に、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させ
る。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出すと同時
に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジ
スルフィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク質ま
たはそれらのアミド体を取得する。上記した保護アミノ
酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用できる各種
活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイ
ミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、
N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル
−N'−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミ
ドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化
抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBt)とともに
保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無
水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステ
ルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後
に樹脂に添加することができる。
【0017】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十
分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十
分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチ
ルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化す
ることができる。原料のアミノ基の保護基としては、例
えば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボ
ニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベ
ンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマ
ンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタ
ロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、
ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いら
れる。カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシ
ャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シク
ロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの
直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、ア
ラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−
ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステ
ル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエス
テル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカル
ボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニル
ヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護
することができる。
【0018】セリンの水酸基は、例えば、エステル化ま
たはエーテル化によって保護することができる。このエ
ステル化に適する基としては、例えば、アセチル基など
の低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル
基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。ま
た、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル
基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などであ
る。チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、
例えば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベンジ
ル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼ
ンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bu
m、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。原料
のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例え
ば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコ
ール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−
トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、
シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HO
NB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられ
る。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例え
ば、対応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去
(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd
−炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元
や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフ
ルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこ
れらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチ
ルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジン
などによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウム
による還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反
応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれる
が、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノー
ル、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾー
ル、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、
1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤
の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール
保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基は
チオフェノール処理により除去され、トリプトファンの
インドール保護基として用いられるホルミル基は上記の
1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール
などの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナ
トリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理に
よっても除去される。原料の反応に関与すべきでない官
能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、
反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公
知の手段から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を
得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端
アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した
後、アミノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖
長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ
基の保護基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキ
シル基の保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、
この両タンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合さ
せる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮
合により得られた保護タンパク質を精製した後、上記方
法によりすべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質
を得ることができる。この粗タンパク質は既知の各種精
製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥すること
で所望のタンパク質のアミド体を得ることができる。タ
ンパク質のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ
末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール
類と縮合しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のア
ミド体と同様にして、所望のタンパク質のエステル体を
得ることができる。
【0019】本発明のレセプター蛋白質の部分ペプチド
またはその塩は、自体公知のペプチドの合成法に従っ
て、あるいは本発明のレセプター蛋白質を適当なペプチ
ダーゼで切断することによって製造することができる。
ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相
合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のレ
セプター蛋白質を構成し得る部分ペプチドもしくはアミ
ノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する
場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製
造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離と
しては、例えば、以下の〜に記載された方法があげ
られる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) Schroeder および Luebke、ザ ペプチド
(The Peptide), Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タ
ンパク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合
成 広川書店 また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸
留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィ
ー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを
精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペ
プチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当
な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法によって遊離体に変換することができ
る。
【0020】本発明のレセプター蛋白質をコードするポ
リヌクレオチドとしては、前述した本発明のレセプター
蛋白質をコードする塩基配列(DNAまたはRNA、好
ましくはDNA)を含有するものであればいかなるもの
であってもよい。該ポリヌクレオチドとしては、本発明
のレセプター蛋白質をコードするDNA、mRNA等の
RNAであり、二本鎖であっても、一本鎖であってもよ
い。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまた
はDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場
合は、センス鎖(即ち、コード鎖)であっても、アンチ
センス鎖(即ち、非コード鎖)であってもよい。本発明
のレセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを用
いて、例えば、公知の実験医学増刊「新PCRとその応
用」15(7)、1997記載の方法またはそれに準じ
た方法により、本発明のレセプター蛋白質のmRNAを
定量することができる。本発明のレセプター蛋白質をコ
ードするDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNA
ライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前
記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成D
NAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクタ
ーは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、フ
ァージミドなどいずれであってもよい。また、前記した
細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製
したものを用いて直接 Reverse Transcriptase Polymer
ase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称す
る)によって増幅することもできる。具体的には、本発
明のレセプター蛋白質をコードするDNAとしては、例
えば、配列番号:2または配列番号:6で表わされる塩
基配列を含有するDNA、または配列番号:2または配
列番号:6で表わされる塩基配列とハイストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発
明のレセプター蛋白質と実質的に同質の活性(例、リガ
ンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレ
セプター蛋白質をコードするDNAであれば何れのもの
でもよい。
【0021】配列番号:2または配列番号:6で表わさ
れる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、
例えば、配列番号:2または配列番号:6で表わされる
塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、よ
り好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以
上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用
いられる。ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法
あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・ク
ローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et
al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載
の方法などに従って行なうことができる。また、市販の
ライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載
の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、
ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができ
る。該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナト
リウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜2
0mM、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜6
5℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mM
で温度が約65℃の場合が最も好ましい。より具体的に
は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有する
レセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番
号:2で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用い
られる。また、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列
を含有するレセプター蛋白質をコードするDNAとして
は、配列番号:6で表わされる塩基配列を有するDNA
などが用いられる。
【0022】本発明のレセプター蛋白質をコードするD
NAの塩基配列の一部、または該DNAと相補的な塩基
配列の一部を含有してなるポリヌクレオチドとは、下記
の本発明の部分ペプチドをコードするDNAを包含する
だけではなく、RNAをも包含する意味で用いられる。
本発明に従えば、G蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝
子の複製又は発現を阻害することのできるアンチセンス
・ポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化したあるい
は決定されたG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコード
するDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しう
る。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、G蛋白質共
役型レセプター蛋白質遺伝子のRNAとハイブリダイズ
することができ、該RNAの合成又は機能を阻害するこ
とができるか、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白
質関連RNAとの相互作用を介してG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質遺伝子の発現を調節・制御することができ
る。G蛋白質共役型レセプター蛋白質関連RNAの選択
された配列に相補的なポリヌクレオチド、及びG蛋白質
共役型レセプター蛋白質関連RNAと特異的にハイブリ
ダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内及
び生体外でG蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の発
現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治
療又は診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝
子を含めたヌクレオチド、塩基配列又は核酸の特定の配
列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味す
る。ヌクレオチド、塩基配列又は核酸とペプチド(蛋白
質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)
の配列又はその相補体から誘導される指令にあるペプチ
ド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。G蛋白質共
役型レセプター蛋白質遺伝子の5'端ヘアピンループ、
5'端6−ベースペア・リピート、5'端非翻訳領域、ポ
リペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領域、ORF
翻訳開始コドン、3'端非翻訳領域、3'端パリンドロー
ム領域、及び3'端ヘアピンループは好ましい対象領域
として選択しうるが、G蛋白質共役型レセプター蛋白質
遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。目的
核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌク
レオチドとの関係、あるいは、対象物とハイブリダイズ
することができるポリヌクレオチドとの関係は「アンチ
センス」であるということができる。アンチセンス・ポ
リヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有
しているポリデオキシリボヌクレオチド、D−リボース
を含有しているポリリボヌクレオチド、プリン又はピリ
ミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポ
リヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有する
その他のポリマー(例えば、市販の蛋白質核酸及び合成
配列特異的な核酸ポリマー)又は特殊な結合を含有する
その他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA
中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を
許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などがあ
げられる。それらは、2本鎖DNA、1本鎖DNA、2
本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイ
ブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオ
チド(又は非修飾オリゴヌクレオチド)、さらには公知
の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標
識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化された
もの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換し
たもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば
非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリ
エステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を
持つもの、電荷を有する結合又は硫黄含有結合(例え
ば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)
を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアー
ゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチ
ド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカ
ライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インター
カレント化合物(例えば、アクリジン、プソラレンな
ど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射
活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有す
るもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合
を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であっ
てもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」
及び「核酸」とは、プリン及びピリミジン塩基を含有す
るのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつ
ようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチ
ル化されたプリン及びピリミジン、アシル化されたプリ
ン及びピリミジン、あるいはその他の複素環を含むもの
であってよい。修飾されたヌクレオチド及び修飾された
ヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例え
ば1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置
換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能
基に変換されていてよい。
【0023】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドなどの分解抵抗性のものがあげられるが、それに限定
されるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次の
ような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内
でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチ
センス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセン
ス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしても
し毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さな
ものにする。こうして修飾は当該分野で数多く知られて
おり。例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan,
Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T.
Crooke et al. ed., Antisense Research and Applicat
ions, CRC Press, 1993 などに開示がある。
【0024】本発明のアンチセンス核酸は、変化せしめ
られたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良
く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で
供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加さ
れた形態で与えられることができうる。こうして付加形
態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中
和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、
細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せ
しめるような脂質(例えば、ホスホリッピド、コレステ
ロールなど)といった粗水性のものがあげられる。付加
するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘
導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール
酸など)があげられる。こうしたものは、核酸の3'端
あるいは5'端に付着させることができ、塩基、糖、分
子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができう
る。その他の基としては、核酸の3'端あるいは5'端に
特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレア
ーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止
するためのものがあげられる。こうしたキャップ用の基
としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレング
リコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知
られた水酸基の保護基があげられるが、それに限定され
るものではない。アンチセンス核酸の阻害活性は、本発
明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現
系、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の生体内
や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸
それ自体公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0025】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織
よりmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse
TranscriptasePolymerase Chain Reaction(以下、R
T-PCR法と略称する)によって増幅することもでき
る。具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするD
NAとしては、例えば、(1)配列番号:2または配列
番号:6で表わされる塩基配列を有するDNAの部分塩
基配列を有するDNA、または(2)配列番号:2また
は配列番号:6で表わされる塩基配列とハイストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、
本発明のレセプター蛋白質ペプチドと実質的に同質の活
性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用な
ど)を有するレセプター蛋白質をコードするDNAの部
分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番
号:2または配列番号:6で表わされる塩基配列ハイブ
リダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2
または配列番号:6で表わされる塩基配列と約70以
上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%
以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩
基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0026】本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチド(以下、本発明のレセプター蛋白質と略記する
こともある)を完全にコードするDNAのクローニング
の手段としては、本発明のレセプター蛋白質の部分塩基
配列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法に
よって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだ
DNAを本発明のレセプター蛋白質の一部あるいは全領
域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて
標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別
することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、
例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Clon
ing)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor L
ab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうこ
とができる。また、市販のライブラリーを使用する場
合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうこと
ができる。DNAの塩基配列の変換は、公知のキット、
例えば、MutanTM−G(宝酒造(株))、Muta
TM−K(宝酒造(株))などを用いて、Gupped
duplex法やKunkel法などの自体公知の方法
あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができ
る。クローン化されたレセプター蛋白質をコードするD
NAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素
で消化したり、リンカーを付加したりして使用すること
ができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始コドン
としてのATGを有し、また3'末端側には翻訳終止コ
ドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していて
もよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、
適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもで
きる。本発明のレセプター蛋白質の発現ベクターは、例
えば、(イ)本発明のレセプター蛋白質をコードするD
NAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該D
NA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流
に連結することにより製造することができる。ベクター
としては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR32
2,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌
由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC
194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pS
H15)、λファージなどのバクテリオファージ、レト
ロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスな
どの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、
pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Ne
oなどが用いられる。
【0027】本発明で用いられるプロモーターとして
は、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモ
ーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細
胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、S
V40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロ
モーター、HSV-TKプロモーターなどがあげられ
る。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である
場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモータ
ー、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合
は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GA
Pプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。
宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモータ
ー、P10プロモーターなどが好ましい。発現ベクター
には、以上の要素の他に、所望によりエンハンサー、ス
プライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マー
カー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと
略称する場合がある)などを含有しているものを用いる
ことができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒド
ロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合があ
る)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アン
ピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合が
ある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称
する場合がある、G418耐性)等があげられる。特
に、CHO(dhfr-)細胞を用いてdhfr遺伝子
を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミ
ジンを含まない培地によっても選択できる。また、必要
に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のレセ
プター蛋白質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒ
ア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、Omp
A・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場
合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・
シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα
・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が
動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル配
列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・
シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このようにし
て構築された本発明のレセプター蛋白質をコードするD
NAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造す
ることができる。宿主としては、例えば、エシェリヒア
属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞
などが用いられる。
【0028】エシェリヒア属菌の具体例としては、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1
〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1
968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リ
サーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・
サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,
24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナ
ル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemis
try),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ
(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
-,NA87−11A,DKD−5D,20B−1
2、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア パストリス(Pichia pastoris)などが用いられ
る。昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPV
の場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera fru
giperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni の中腸由
来のMG1細胞、Trichoplusia ni の卵由来の High Fi
veTM 細胞、Mamestra brassicae 由来の細胞または Est
igmena acrea 由来の細胞などが用いられる。ウイルス
がBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori
N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞として
は、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細
胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo),
13巻,213−217(1977))などが用いられ
る。昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いら
れる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,59
2(1985)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞
COS−7、Vero、チャイニーズハムスター細胞C
HO(以下、CHO細胞と略記)、dhfr遺伝子欠損
チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(d
hfr-)細胞と略記)、マウスL細胞、マウスAtT
−20、マウスミエローマ細胞、ラットGH3、ヒトF
L細胞などが用いられる。
【0029】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110
(1972)やジーン(Gene),17巻,107(198
2)などに記載の方法に従って行なうことができる。バ
チルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー
・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular
& General Genetics),168巻,111(1979)
などに記載の方法に従って行なうことができる。酵母を
形質転換するには、例えば、メッソズ・イン・エンザイ
モロジー(Methods in Enzymology),194巻,18
2−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オ
ブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),75巻,1929(1978)などに記載の方法に
従って行なうことができる。昆虫細胞または昆虫を形質
転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Te
chnology),6巻,47−55(1988))などに記
載の方法に従って行なうことができる。動物細胞を形質
転換するには、例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験
プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発
行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1
973)に記載の方法に従って行なうことができる。こ
のようにして、G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコー
ドするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された
形質転換体が得られる。宿主がエシェリヒア属菌、バチ
ルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用さ
れる培地としては液体培地が適当であり、その中には該
形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その
他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グル
コース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素
源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コ
ーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキ
ス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物
質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸
二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがあげられ
る。また、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加
してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0030】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York197
2〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率
よく働かせるために、例えば、3β−インドリル アク
リル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエシ
ェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3
〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えるこ
ともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約
30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気
や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転
換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホー
ルダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、
「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505
(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地
〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),
81巻,5330(1984)〕があげられる。培地の
pHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約
20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じ
て通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆虫であ
る形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's In
sect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),19
5,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物
を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約
6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約
27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌
を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する
際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清
を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122
巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー
(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メ
ディカル・アソシエーション(The Journal of the Ame
rican Medical Association)199巻,519(196
7)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサ
イエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding ofthe Society for the Biological Medi
cine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。p
Hは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃
〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気
や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細胞
膜に本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せ
しめることができる。上記培養物から本発明のレセプタ
ー蛋白質を分離精製するには、例えば、下記の方法によ
り行なうことができる。
【0031】本発明のレセプター蛋白質を培養菌体ある
いは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法
で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁
し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などに
よって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ
過によりレセプター蛋白質の粗抽出液を得る方法などが
適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンな
どの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面
活性剤が含まれていてもよい。培養液中にレセプター蛋
白質が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知
の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集
める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出
液中に含まれるレセプター蛋白質の精製は、自体公知の
分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができ
る。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒
沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過
法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方
法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利
用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの
特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグ
ラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気
泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられ
る。かくして得られるレセプター蛋白質が遊離体で得ら
れた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方
法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた
場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によ
り、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生するレセプター蛋白質を、精製前ま
たは精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることによ
り、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除
去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、
トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチ
ダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用
いられる。かくして生成する本発明のレセプター蛋白質
またはその塩の活性は、標識したリガンドとの結合実験
および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなど
により測定することができる。
【0032】本発明のレセプター蛋白質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩に対する抗体は、本発明のレセプ
ター蛋白質、その部分ペプチドまたはそれらの塩を認識
し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクロー
ナル抗体の何れであってもよい。本発明のレセプター蛋
白質、その部分ペプチドまたはそれらの塩(以下、本発
明のレセプター蛋白質等と略記する)に対する抗体は、
本発明のレセプター蛋白質等を抗原として用い、自体公
知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することが
できる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のレセプター蛋白質等は、哺乳動物に対して投与
により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、
希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を
高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロ
イントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜
6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用い
られる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イ
ヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギがあげ
られるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を
免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認め
られた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓または
リンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨
髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体
産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中
の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプター蛋
白質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標
識剤の活性を測定することにより行なうことができる。
融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタイ
ンの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁
(1975年)〕に従い実施することができる。融合促
進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PE
G)やセンダイウィルスなどがあげられるが、好ましく
はPEGが用いられる。
【0033】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0などがあげられるが、P3U1が
好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細
胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜2
0:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG100
0〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加
され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約
1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細
胞融合を実施できる。モノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できる
が、例えば、レセプター蛋白質等抗原を直接あるいは担
体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)に
ハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵
素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用
いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン
抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に
結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グ
ロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハ
イブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素など
で標識したレセプター蛋白質等を加え、固相に結合した
モノクローナル抗体を検出する方法などがあげられる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに
準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHA
T(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添
加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別
および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育でき
るものならばどのような培地を用いても良い。例えば、
1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含
むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を
含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリ
ドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0034】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナ
ル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテ
インAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗
体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精
製法〕に従って行なうことができる。 〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポリクローナル
抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にした
がって製造することができる。例えば、免疫抗原(レセ
プター蛋白質等抗原)とキャリアー蛋白質との複合体を
つくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺
乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のレセプ
ター蛋白質等に対する抗体含有物を採取して、抗体の分
離精製を行なうことにより製造できる。哺乳動物を免疫
するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との
複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリア
ーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免
疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの
様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例え
ば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キー
ホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテ
ン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割
合でカプルさせる方法が用いられる。また、ハプテンと
キャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いるこ
とができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、
マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル
基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。縮合生
成物は、哺乳動物に対して、抗体産生が可能な部位にそ
れ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与
に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジ
ュバントや不完全フロイントアジュバントを投与しても
よい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜
10回程度行なうことができる。ポリクローナル抗体
は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水な
ど、好ましくは血液から採取することができる。抗血清
中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗
体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗
体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製
と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうこ
とができる。
【0035】本発明のレセプター蛋白質、その部分ペプ
チドまたはそれらの塩、およびそれらをコードするDN
Aは、(1)本発明のレセプター蛋白質に対するリガン
ド(アゴニスト)の決定、(2)本発明のG蛋白質共役
型レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防お
よび/または治療剤、(3)遺伝子診断剤、(4)本発
明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンド
の定量、(5)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニス
ト、アンタゴニストなど)のスクリーニング、(6)本
発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの
結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニス
ト)を含有する各種疾病の予防および/または治療剤、
(7)本発明のレセプター蛋白質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩の定量、(8)本発明のレセプター蛋白
質、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体に
よる中和、(9)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋
白質をコードするDNAを有する非ヒト動物の作製など
に用いることができる。特に、本発明の組換え型G蛋白
質共役型レセプター蛋白質の発現系を用いたレセプター
結合アッセイ系を用いることによって、ヒトや哺乳動物
に特異的なG蛋白質共役型レセプターに対するリガンド
の結合性を変化させる化合物(例、アゴニスト、アンタ
ゴニストなど)をスクリーニングすることができ、該ア
ゴニストまたはアンタゴニストを各種疾病の予防・治療
剤などとして使用することができる。
【0036】本発明のレセプター蛋白質、部分ペプチド
またはそれらの塩(以下、本発明のレセプター蛋白質等
と略記する場合がある)、本発明のレセプター蛋白質ま
たはその部分ペプチドをコードするDNA(以下、本発
明のDNAと略記する場合がある)および本発明のレセ
プター蛋白質等に対する抗体(以下、本発明の抗体と略
記する場合がある)の用途について、以下に具体的に説
明する。 (1)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対す
るリガンド(アゴニスト)の決定 本発明のレセプター蛋白質もしくはその塩または本発明
の部分ペプチドもしくはその塩は、本発明のレセプター
蛋白質またはその塩に対するリガンド(アゴニスト)を
探索し、または決定するための試薬として有用である。
すなわち、本発明は、本発明のレセプター蛋白質もしく
はその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩
と、試験化合物とを接触させることを特徴とする本発明
のレセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法を提供
する。試験化合物としては、公知のリガンド(例えば、
アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシ
ストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニ
ューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシ
ン、オキシトシン、PACAP、セクレチン、グルカゴ
ン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチ
ン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、V
IP(バソアクティブ インテスティナル ポリペプチ
ド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリ
ン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレ
ーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアス
タチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノ
シン、アドレナリン、αおよびβ−ケモカイン(chemok
ine)(例えば、IL−8、GROα、GROβ、GR
Oγ、NAP−2、ENA−78、PF4、IP10、
GCP−2、MCP−1、HC14、MCP−3、I−
309、MIP1α、MIP−1β、RANTESな
ど)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミ
ン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポ
リペプタイド、ガラニンまたはLPAなどの他に、例え
ば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブ
タ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の組織抽出物、細胞培養
上清などが用いられる。例えば、該組織抽出物、細胞培
養上清などを本発明のレセプター蛋白質に添加し、細胞
刺激活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリ
ガンドを得ることができる。具体的には、本発明のリガ
ンド決定方法は、本発明のレセプター蛋白質、その部分
ペプチドもしくはそれらの塩を用いるか、または組換え
型レセプター蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用い
たレセプター結合アッセイ系を用いることによって、本
発明のレセプター蛋白質に結合して細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、
イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白
質のリン酸化、c−fos活性化、pHの低下などを促
進する活性または抑制する活性)を有する化合物(例え
ば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合
物、発酵生産物など)またはその塩を決定する方法であ
る。
【0037】本発明のリガンド決定方法においては、本
発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドと試験
化合物とを接触させた場合の、例えば、該レセプター蛋
白質または該部分ペプチドに対する試験化合物の結合量
や、細胞刺激活性などを測定することを特徴とする。よ
り具体的には、本発明は、標識した試験化合物を、本
発明のレセプター蛋白質もしくはその塩または本発明の
部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合におけ
る、標識した試験化合物の該蛋白質もしくはその塩、ま
たは該部分ペプチドもしくはその塩に対する結合量を測
定することを特徴とする本発明のレセプター蛋白質また
はその塩に対するリガンドの決定方法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を
含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合に
おける、標識した試験化合物の該細胞または該膜画分に
対する結合量を測定することを特徴とする本発明のレセ
プター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方
法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を
コードするDNAを含有する形質転換体を培養すること
によって細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触さ
せた場合における、標識した試験化合物の該レセプター
蛋白質またはその塩に対する結合量を測定しすることを
特徴とする本発明のレセプター蛋白質に対するリガンド
の決定方法、 試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を含有する
細胞に接触させた場合における、レセプター蛋白質を介
した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチ
ルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの
活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する
活性など)を測定することを特徴とする本発明のレセプ
ター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、
および 試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質をコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することによって
細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触させた場合
における、レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生
成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内
蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下な
どを促進する活性または抑制する活性など)を測定する
ことを特徴とする本発明のレセプター蛋白質またはその
塩に対するリガンドの決定方法を提供する。特に、上記
〜の試験を行ない、試験化合物が本発明のレセプタ
ー蛋白質に結合することを確認した後に、上記〜の
試験を行なうことが好ましい。まず、リガンド決定方法
に用いるレセプター蛋白質としては、前記した本発明の
レセプター蛋白質または本発明の部分ペプチドを含有す
るものであれば何れのものであってもよいが、動物細胞
を用いて大量発現させたレセプター蛋白質が適してい
る。
【0038】本発明のレセプター蛋白質を製造するに
は、前述の発現方法が用いられるが、該レセプター蛋白
質をコードするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現
することにより行なうことが好ましい。目的とする蛋白
質部分をコードするDNA断片には、通常、cDNAが
用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではな
い。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。
本発明のレセプター蛋白質をコードするDNA断片を宿
主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現させるため
には、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキュロウイル
スに属する核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis
virus;NPV)のポリヘドリンプロモーター、SV4
0由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモータ
ー、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒートショッ
クプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、
SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが好まし
い。発現したレセプターの量と質の検査はそれ自体公知
の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nambi,P.
ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19
559頁,1992年〕に記載の方法に従って行うこと
ができる。したがって、本発明のリガンド決定方法にお
いて、本発明のレセプター蛋白質、その部分ペプチドま
たはそれらの塩を含有するものとしては、それ自体公知
の方法に従って精製したレセプター蛋白質もしくはその
部分ペプチドまたはその塩であってもよいし、該レセプ
ター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分を用い
てもよい。本発明のリガンド決定方法において、本発明
のレセプター蛋白質を含有する細胞を用いる場合、該細
胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化して
もよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行な
うことができる。本発明のレセプター蛋白質を含有する
細胞としては、本発明のレセプター蛋白質を発現した宿
主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草
菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。細胞
膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方
法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。
細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehj
em型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリン
グブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破
砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しな
がら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕な
どがあげられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や
密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主とし
て用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rp
m〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10
分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜3
0000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られ
る沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセ
プター蛋白質と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜
成分が多く含まれる。該レセプター蛋白質を含有する細
胞やその膜画分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当
たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜1
7分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほ
ど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くな
り、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばか
りでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるように
なる。
【0039】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
対するリガンドを決定する前記の〜の方法を実施す
るためには、適当なレセプター蛋白質画分と、標識した
試験化合物が用いられる。レセプター蛋白質画分として
は、天然型のレセプター蛋白質画分か、またはそれと同
等の活性を有する組換え型レセプター画分などが望まし
い。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活
性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識した試験化
合物としては、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、
35S〕などで標識したアンギオテンシン、ボンベシ
ン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セ
ロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイ
ド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACA
P、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノ
メジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、AC
TH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ イン
テスティナル ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドー
パミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP
(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイ
コトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジ
ン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αお
よびβ−ケモカイン(chemokine)(例えば、IL−
8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2、EN
A−78、PF4、IP10、GCP−2、MCP−
1、HC14、MCP−3、I−309、MIP1α、
MIP−1β、RANTESなど)、エンドセリン、エ
ンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、T
RH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニンま
たはLPAなどが好適である。具体的には、本発明のレ
セプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方
法を行なうには、まず本発明のレセプター蛋白質を含有
する細胞または細胞の膜画分を、決定方法に適したバッ
ファーに懸濁することによりレセプター標品を調製す
る。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6
〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーな
どのリガンドとレセプター蛋白質との結合を阻害しない
バッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結
合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80
TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレー
トなどの界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチンな
どの各種蛋白質をバッファーに加えることもできる。さ
らに、プロテアーゼによるリセプターやリガンドの分解
を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペ
プチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻
害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの
該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500
000cpm)の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35
S〕などで標識した試験化合物を共存させる。非特異的
結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の試験化
合物を加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃か
ら50℃、望ましくは約4℃から37℃で、約20分か
ら24時間、望ましくは約30分から3時間行なう。反
応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファー
で洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液
体シンチレーションカウンターあるいはγ−カウンター
で計測する。全結合量(B)から非特異的結合量(NS
B)を引いたカウント(B−NSB)が0cpmを越え
る試験化合物を本発明のレセプター蛋白質またはその塩
に対するリガンド(アゴニスト)として選択することが
できる。
【0040】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
対するリガンドを決定する前記の〜の方法を実施す
るためには、該レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下
などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の
方法または市販の測定用キットを用いて測定することが
できる。具体的には、まず、レセプター蛋白質を含有す
る細胞をマルチウェルプレート等に培養する。リガンド
決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは
細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験
化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、
細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物を
それぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標
とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細
胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分
解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なっても
よい。また、cAMP産生抑制などの活性については、
フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させて
おいた細胞に対する産生抑制作用として検出することが
できる。本発明のレセプター蛋白質またはその塩に結合
するリガンド決定用キットは、本発明のレセプター蛋白
質もしくはその塩、本発明の部分ペプチドもしくはその
塩、本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞、または
本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分など
を含有するものである。本発明のリガンド決定用キット
の例としては、次のものがあげられる。
【0041】1.リガンド決定用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 G蛋白質共役型レセプター蛋白質標品 本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、
12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、
5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識試験化合物 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した化合物、または適当な方法で標識化したもの 水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存
し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。水に難
溶性を示す試験化合物については、ジメチルホルムアミ
ド、DMSO、メタノール等に溶解する。 非標識試験化合物 標識化合物と同じものを100〜1000倍濃い濃度に
調製する。 2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 標識試験化合物を5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには非標識試験化合物
を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識試験化合物を0.2N NaO
H−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーター
A(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定する。
【0042】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
結合することができるリガンドとしては、例えば、脳、
下垂体、膵臓などに特異的に存在する物質などがあげら
れ、具体的には、アンギオテンシン、ボンベシン、カナ
ビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニ
ン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プ
リン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP、セ
クレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュ
リン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、
GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテステ
ィナル ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミ
ン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カ
ルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコト
リエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、ト
ロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αおよびβ
−ケモカイン(chemokine)(例えば、IL−8、GR
Oα、GROβ、GROγ、NAP−2、ENA−7
8、PF4、IP10、GCP−2、MCP−1、HC
14、MCP−3、I−309、MIP1α、MIP−
1β、RANTESなど)、エンドセリン、エンテロガ
ストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パ
ンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、LPAな
どが用いられる。より具体的にはLPA(lysophosphat
idic acid)である。 (2)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の機能
不全に関連する疾患の予防および/または治療剤 上記(1)の方法において、本発明のレセプター蛋白質
に対するリガンドが明らかになれば、該リガンドが有す
る作用に応じて、本発明のレセプター蛋白質または
該レセプター蛋白質をコードするDNAを、本発明のレ
セプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および
/または治療剤などの医薬として使用することができ
る。例えば、生体内において本発明のレセプター蛋白質
が減少しているためにリガンドの生理作用が期待できな
い(該レセプター蛋白質の欠乏症)患者がいる場合に、
本発明のレセプター蛋白質を該患者に投与し該レセプ
ター蛋白質の量を補充したり、(イ)本発明のレセプ
ター蛋白質をコードするDNAを該患者に投与し発現さ
せることによって、あるいは(ロ)対象となる細胞に本
発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを挿入し発
現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによ
って、患者の体内におけるレセプター蛋白質の量を増加
させ、リガンドの作用を充分に発揮させることができ
る。したがって、本発明のレセプター蛋白質をコードす
るDNAは、安全で低毒性な本発明のレセプター蛋白質
の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤
などの医薬として有用である。
【0043】本発明のレセプター蛋白質は、G蛋白共役
型レセプター蛋白質であるEDG−2受容体にアミノ酸
配列レベルで約50%の相同性が認められる。本発明の
レセプター蛋白質は中枢疾患(例えばアルツハイマー
病、痴呆、摂食障害など)、炎症性疾患(例えばアレルギ
ー、喘息、リュウマチなど)、循環器疾患(例えば高血圧
症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、癌(例えば非小
細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子
宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)、糖尿病などの予防およ
び/または治療に有用である。本発明のレセプター蛋白
質を上記予防・治療剤として使用する場合は、常套手段
に従って製剤化することができる。一方、本発明のレセ
プター蛋白質をコードするDNA(以下、本発明のDN
Aと略記する場合がある)を上記予防・治療剤として使
用する場合は、本発明のDNAを単独あるいはレトロウ
イルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイ
ルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベ
クターに挿入した後、常套手段に従って実施することが
できる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取
促進のための補助剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲル
カテーテルのようなカテーテルによって投与できる。例
えば、本発明のレセプター蛋白質または該レセプタ
ー蛋白質をコードするDNAは、必要に応じて糖衣を施
した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセ
ル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外
の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液
剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、
本発明のレセプター蛋白質または該レセプター蛋白
質をコードするDNAを生理学的に認められる公知の担
体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合
剤などとともに一般に認められた製剤製造に要求される
単位用量形態で混和することによって製造することがで
きる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲
の適当な用量が得られるようにするものである。錠剤、
カプセル剤などに混和することができる添加剤として
は、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガント、ア
ラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような
賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などの
ような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑
剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペ
パーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤
などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合
には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体
を含有することができる。注射のための無菌組成物は注
射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油
などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させ
るなどの通常の製剤製造法に従って処方することができ
る。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブ
ドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソ
ルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)
などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコー
ル(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性
界面活性剤(例、ポリソルベート80(TM)、HCO
−50)などと併用してもよい。油性液としては、例え
ば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である
安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用して
もよい。また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤
(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、
無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカ
インなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポ
リエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジ
ルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配
合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプ
ルに充填される。このようにして得られる製剤は安全で
低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、
ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、
イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
【0044】本発明のレセプター蛋白質の投与量は、投
与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあ
るが、経口投与の場合、一般的に例えば、動脈硬化症患
者(60kgとして)においては、一日につき約0.1
mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、よ
り好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投
与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、
症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射
剤の形では通常例えば、動脈硬化症患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。本発明のDNAの
投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
より差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、
動脈硬化症患者(60kgとして)においては、一日に
つき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜
50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。
非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なる
が、例えば、注射剤の形では通常例えば、動脈硬化症患
者(60kgとして)においては、一日につき約0.0
1〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0045】(3)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に
おける本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチ
ドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異
常)を検出することができるので、例えば、該DNAま
たはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該
DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺
伝子診断剤として有用である。本発明のDNAを用いる
上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイ
ブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミック
ス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989
年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー
(Proceedings ofthe National Academy of Sciences o
f the United States of America),第86巻,276
6〜2770頁(1989年))などにより実施するこ
とができる。 (4)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対す
るリガンドの定量法 本発明のレセプター蛋白質等は、リガンドに対して結合
性を有しているので、生体内におけるリガンド濃度を感
度良く定量することができる。本発明の定量法は、例え
ば、競合法と組み合わせることによって用いることがで
きる。すなわち、被検体を本発明のレセプター蛋白質等
と接触させることによって被検体中のリガンド濃度を測
定することができる。具体的には、例えば、以下のま
たはなどに記載の方法あるいはそれに準じる方法に従
って用いることができる。 入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和4
9年発行) 入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和
54年発行) (5)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガ
ンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アン
タゴニストなど)のスクリーニング方法 本発明のレセプター蛋白質等を用いるか、または組換え
型レセプター蛋白質等の発現系を構築し、該発現系を用
いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、
リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変
化させる化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチ
ド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその
塩を効率よくスクリーニングすることができる。このよ
うな化合物には、(イ)G蛋白質共役型レセプターを介
して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチ
ルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの
活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する
活性など)を有する化合物(いわゆる、本発明のレセプ
ター蛋白質に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活
性を有しない化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋
白質に対するアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発
明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を増強
する化合物、あるいは(ニ)リガンドと本発明のG蛋白
質共役型レセプター蛋白質との結合力を減少させる化合
物などが含まれる(なお、上記(イ)の化合物は、前記
したリガンド決定方法によってスクリーニングすること
が好ましい)。すなわち、本発明は、(i)本発明のレ
セプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩
と、リガンドとを接触させた場合と(ii)本発明のレセ
プター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩
と、リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との
比較を行なうことを特徴とするリガンドと本発明のレセ
プター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と
の結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法を提供する。
【0046】本発明のスクリーニング方法においては、
(i)と(ii)の場合における、例えば、該レセプター
蛋白質等に対するリガンドの結合量、細胞刺激活性など
を測定して、比較することを特徴とする。より具体的に
は、本発明は、 標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質等に
接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物
を本発明のレセプター蛋白質等に接触させた場合におけ
る、標識したリガンドの該レセプター蛋白質等に対する
結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと
本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる化
合物またはその塩のスクリーニング方法、 標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質等を
含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合
と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のレセ
プター蛋白質等を含有する細胞または該細胞の膜画分に
接触させた場合における、標識したリガンドの該細胞ま
たは該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを
特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との
結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニン
グ方法、 標識したリガンドを、本発明のDNAを含有する形質
転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセ
プター蛋白質等に接触させた場合と、標識したリガンド
および試験化合物を本発明のDNAを含有する形質転換
体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明の
レセプター蛋白質等に接触させた場合における、標識し
たリガンドの該レセプター蛋白質等に対する結合量を測
定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のレ
セプター蛋白質等との結合性を変化させる化合物または
その塩のスクリーニング方法、 本発明のレセプター蛋白質等を活性化する化合物(例
えば、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドな
ど)を本発明のレセプター蛋白質等を含有する細胞に接
触させた場合と、本発明のレセプター蛋白質等を活性化
する化合物および試験化合物を本発明のレセプター蛋白
質等を含有する細胞に接触させた場合における、レセプ
ターを介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊
離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内c
AMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸
産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−
fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または
抑制する活性など)を測定し、比較することを特徴とす
るリガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を
変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
および 本発明のレセプター蛋白質等を活性化する化合物(例
えば、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドな
ど)を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養する
ことによって細胞膜上に発現した本発明のレセプター蛋
白質等に接触させた場合と、本発明のレセプター蛋白質
等を活性化する化合物および試験化合物を本発明のDN
Aを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜
上に発現した本発明のレセプター蛋白質等に接触させた
場合における、レセプターを介する細胞刺激活性(例え
ば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内C
2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、
イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白
質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを
促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較
することを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋
白質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。
【0047】本発明のレセプター蛋白質等が得られる以
前は、G蛋白質共役型レセプターアゴニストまたはアン
タゴニストをスクリーニングする場合、G蛋白質共役型
レセプター蛋白質を含む細胞、組織またはその細胞膜画
分を用いてG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンド
との結合を阻害するか否かを確認する方法が採られてい
た。しかし、細胞、組織または細胞膜画分をそのまま用
いれば他のレセプター蛋白質も混在するために、目的と
するレセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタ
ゴニストを実際にスクリーニングすることは困難であっ
た。しかしながら、例えば、本発明のレセプター蛋白質
を用いることによって、リガンドとG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質との結合を阻害する化合物を効率良くスク
リーニングすることができる。さらに、スクリーニング
された化合物がアゴニストかアンタゴニストかを簡便に
評価することができる。本発明のスクリーニング方法の
具体的な説明を以下にする。まず、本発明のスクリーニ
ング方法に用いる本発明のレセプター蛋白質等として
は、前記した本発明のレセプター蛋白質等を含有するも
のであれば何れのものであってもよいが、本発明のレセ
プター蛋白質等を含有する哺乳動物の臓器の細胞膜画分
が好適である。しかし、スクリーニングに用いる大量の
レセプター蛋白質を得るには、組換え体を用いて大量発
現させたレセプター蛋白質等などが適している。
【0048】本発明のレセプター蛋白質等を製造するに
は、前述の方法が用いられるが、本発明のDNAを哺乳
細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好ま
しい。目的とする蛋白質部分をコードするDNA断片に
はcDNAが用いられるが、必ずしもこれに制約される
ものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用い
てもよい。本発明のレセプター蛋白質をコードするDN
A断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現
させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキ
ュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear po
lyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモータ
ー、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプ
ロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒー
トショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモ
ーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが
好ましい。発現したレセプターの量と質の検査はそれ自
体公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Namb
i,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,
1992年〕に記載の方法に従って行なうことができる。し
たがって、本発明のスクリーニング方法において、本発
明のレセプター蛋白質等を含有するものとしては、それ
自体公知の方法に従って精製したレセプター蛋白質等で
あってもよいし、該レセプター蛋白質等を含有する細胞
を用いてもよく、また該レセプター蛋白質等を含有する
細胞の膜画分を用いてもよい。本発明のスクリーニング
方法において、本発明のレセプター蛋白質等を含有する
細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホル
マリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体
公知の方法に従って行なうことができる。
【0049】本発明のレセプター蛋白質等を含有する細
胞としては、該レセプター蛋白質等を発現した宿主細胞
をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵
母、昆虫細胞、動物細胞などが好ましい。細胞膜画分と
しては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得ら
れる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破
砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホ
モジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレン
ダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音
波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞
を細いノズルから噴出させることによる破砕などがあげ
られる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配
遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いら
れる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜30
00rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心
し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000
rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を
膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセプター蛋
白質等と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が
多く含まれる。該レセプター蛋白質等を含有する細胞や
膜画分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり10
3〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子で
あるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当
たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度
なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、
同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。リガ
ンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化さ
せる化合物をスクリーニングする前記の〜を実施す
るためには、例えば、適当なレセプター蛋白質画分と、
標識したリガンドが必要である。レセプター蛋白質画分
としては、天然型のレセプター蛋白質画分か、またはそ
れと同等の活性を有する組換え型レセプター蛋白質画分
などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガ
ンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識
したリガンドとしては、標識したリガンド、標識したリ
ガンドアナログ化合物などが用いられる。例えば
3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識さ
れたリガンドなどが用いられる。具体的には、リガンド
と本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させる
化合物のスクリーニングを行なうには、まず本発明のレ
セプター蛋白質等を含有する細胞または細胞の膜画分
を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁すること
によりレセプター蛋白質標品を調製する。バッファーに
は、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バ
ッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレ
セプター蛋白質との結合を阻害しないバッファーであれ
ばいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目
的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラ
ス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性
剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテ
アーゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的
でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所
製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加す
ることもできる。0.01ml〜10mlの該レセプタ
ー溶液に、一定量(5000cpm〜500000cp
m)の標識したリガンドを添加し、同時に10-4M〜1
-10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量
(NSB)を知るために大過剰の未標識のリガンドを加
えた反応チューブも用意する。反応は約0℃から50
℃、望ましくは約4℃から37℃で、約20分から24
時間、望ましくは約30分から3時間行う。反応後、ガ
ラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄し
た後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチ
レーションカウンターまたはγ−カウンターで計測す
る。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から非特
異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−NS
B)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)
が、例えば、50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能
力のある候補物質として選択することができる。リガン
ドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させ
る化合物スクリーニングする前記の〜の方法を実施
するためには、例えば、レセプター蛋白質を介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca遊離、細胞内cAMP生成、細胞内c
GMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、p
Hの低下などを促進する活性または抑制する活性など)
を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定す
ることができる。具体的には、まず、本発明のレセプタ
ー蛋白質等を含有する細胞をマルチウェルプレート等に
培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もっ
て新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッ
ファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間イ
ンキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収
して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量す
る。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキド
ン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって
検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加し
てアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制
などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基
礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作
用として検出することができる。
【0050】細胞刺激活性を測定してスクリーニングを
行なうには、適当なレセプター蛋白質を発現した細胞が
用いられる。本発明のレセプター蛋白質等を発現した細
胞としては、天然型の本発明のレセプター蛋白質等を有
する細胞株、前述の組換え型レセプター蛋白質等を発現
した細胞株などが望ましい。試験化合物としては、例え
ば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化
合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織
抽出液などが用いられ、これら化合物は新規な化合物で
あってもよいし、公知の化合物であってもよい。リガン
ドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性を変化させ
る化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、本
発明のレセプター蛋白質等、本発明のレセプター蛋白質
等を含有する細胞、または本発明のレセプター蛋白質等
を含有する細胞の膜画分を含有するものなどである。本
発明のスクリーニング用キットの例としては、次のもの
があげられる。
【0051】1.スクリーニング用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 G蛋白質共役型レセプター標品 本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、
12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、
5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識リガンド 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識したリガンド 水溶液の状態のものを4℃あるいは
−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに
希釈する。 リガンド標準液 リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)
を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で
保存する。 2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた
後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わ
りに10-3Mのリガンドを5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH
−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA
(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次式で求める。 PMB=[(B−NSB)/(B0−NSB)]×10
0 PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の値 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B0 :最大結合量
【0052】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、リガンドと本発明のレセプター蛋白質等との結合性
を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、
(イ)G蛋白質共役型レセプターを介して細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下
などを促進する活性または抑制する活性など)を有する
化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対する
アゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物
(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対するアンタ
ゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質との結合力を増強する化合物、あるい
は(ニ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質との結合力を減少させる化合物である。該化合物
としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、
合成化合物、発酵生産物などがあげられ、これら化合物
は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であっ
てもよい。本発明のレセプター蛋白質等に対するアゴニ
ストは、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンド
が有する生理活性と同様の作用を有しているので、該リ
ガンド活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用であ
る。本発明のレセプター蛋白質等に対するアンタゴニス
トは、本発明のレセプター蛋白質等に対するリガンドが
有する生理活性を抑制することができるので、該リガン
ド活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用であ
る。リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質との結合力を増強する化合物は、本発明のレセプター
蛋白質等に対するリガンドが有する生理活性を増強する
ための安全で低毒性な医薬として有用である。リガンド
と本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力
を減少させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質等に
対するリガンドが有する生理活性を減少させるための安
全で低毒性な医薬として有用である。
【0053】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
を上述の医薬組成物として使用する場合、常套手段に従
って製剤化することができる。例えば、前記した本発明
のDNAを含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル
剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、
懸濁液剤などとすることができる。このようにして得ら
れる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺
乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。該化合物またはその塩の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、動脈硬化症患者
(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する
場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、
投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形
では通常例えば、動脈硬化症患者(60kgとして)に
おいては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ま
しくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.
1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合
である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した
量を投与することができる。 (6)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガ
ンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アン
タゴニスト)を含有する各種疾病の予防および/または
治療剤
【0054】本発明のレセプター蛋白質は前述のとお
り、例えば中枢機能など生体内で重要な役割を果たして
いる。従って、本発明のレセプター蛋白質とリガンドと
の結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニ
スト)は、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連
する疾患の予防および/または治療剤として用いること
ができる。該化合物を本発明のレセプター蛋白質の機能
不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として
使用する場合は、常套手段に従って製剤化することがで
きる。例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した
錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤
などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬
学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤な
どの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化
合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形
剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一
般に認められた製剤製造法に要求される単位用量形態で
混和することによって製造することができる。これら製
剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が
得られるようにするものである。錠剤、カプセル剤など
に混和することができる添加剤としては、例えばゼラチ
ン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのよう
な結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンス
ターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ス
テアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖
またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカ
モノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられ
る。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイ
プの材料にさらに油脂のような液状担体を含有すること
ができる。注射のための無菌組成物は注射用水のような
ベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天
然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の
製剤製造法に従って処方することができる。注射用の水
性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他
の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D
−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いら
れ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタ
ノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤
(例、ポリソルベート80(TM)、HCO−50)な
どと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ
油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸
ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、
リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤
(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインな
ど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチ
レングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアル
コール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合して
もよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充
填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性
であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラッ
ト、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。該化合
物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に例えば、動脈硬化症患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.1〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1
回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
よっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例え
ば、動脈硬化症患者(60kgとして)においては、一
日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.
1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg
程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の
動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与する
ことができる。
【0055】(7)本発明のレセプター蛋白質、その部
分ペプチドまたはそれらの塩の定量 本発明の抗体は、本発明のレセプター蛋白質等を特異的
に認識することができるので、被検液中の本発明のレセ
プター蛋白質等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法に
よる定量などに使用することができる。すなわち、本発
明は、例えば、(i)本発明の抗体と、被検液および標
識化レセプター蛋白質等とを競合的に反応させ、該抗体
に結合した標識化レセプター蛋白質等の割合を測定する
ことを特徴とする被検液中の本発明のレセプター蛋白質
等の定量法、(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明
の抗体および標識化された本発明の抗体とを同時あるい
は連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活
性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のレセ
プター蛋白質等の定量法を提供する。上記(ii)におい
ては、一方の抗体が本発明のレセプター蛋白質等のN端
部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のレセプター
蛋白質等のC端部に反応する抗体であることが好まし
い。本発明のレセプター蛋白質等に対するモノクローナ
ル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称する場
合がある)を用いて本発明のレセプター蛋白質等の測定
を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうことも
できる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いて
もよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、ある
いはFab画分を用いてもよい。本発明のレセプター蛋
白質等に対する抗体を用いる測定法は、特に制限される
べきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、レセ
プター蛋白質量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−
抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出
し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した
標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法
を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イ
ムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いら
れるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法
を用いるのが特に好ましい。標識物質を用いる測定法に
用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、
酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同
位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3
H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、
安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガ
ラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォス
ファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素な
どが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレ
スカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用
いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ル
ミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用い
られる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合に
ビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0056】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常、蛋白質あるいは酵素
等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用い
る方法でもよい。担体としては、例えば、アガロース、
デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリス
チレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、
あるいはガラス等が用いられる。サンドイッチ法におい
ては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を
反応させ(1次反応)、さらに標識化した本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のレセプター蛋白質量を定量することができる。
1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同
時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。
標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じるこ
とができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法に
おいて、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗
体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上
させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いても
よい。本発明のサンドイッチ法によるレセプター蛋白質
等の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられ
る本発明のモノクローナル抗体はレセプター蛋白質等の
結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。即
ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例え
ば、2次反応で用いられる抗体が、レセプター蛋白質の
C端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、
好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が
用いられる。
【0057】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、BおよびFいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果、生じた不溶性の沈降物
の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量
の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用
するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用
するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要と
されない。それぞれの方法における通常の条件、操作法
に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその塩の測定系を構築すればよい。これ
らの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書な
どを参照することができる〔例えば、入江 寛編「ラジ
オイムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江
寛編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54
年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書
院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定
法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄
治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和
62年発行)、「メソッズ・イン・エンジモノジー(Me
thods in ENZYMOLOGY)」Vol. 70(Immunochemical Tech
niques(Part A))、同書 Vol. 73(Immunochemical Tec
hniques(Part B))、同書 Vol. 74(Immunochemical Te
chniques(Part C))、同書 Vol. 84(Immunochemical T
echniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書 V
ol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclon
al Antibodies and General Immunoassay Methods))、
同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hy
bridoma Technology and Monoclonal Antibodies))
(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。以上
のように、本発明の抗体を用いることによって、本発明
のレセプター蛋白質またはその塩を感度良く定量するこ
とができる。さらに、本発明の抗体を用いて、生体内で
の本発明のレセプター蛋白質またはその塩を定量するこ
とによって、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関
連する各種疾患の診断をすることができる。また、本発
明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発
明のレセプター蛋白質等を特異的に検出するために使用
することができる。また、本発明のレセプター蛋白質等
を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の
各分画中の本発明のレセプター蛋白質等の検出、被検細
胞内における本発明のレセプター蛋白質の挙動の分析な
どのために使用することができる。
【0058】(8)本発明のレセプター蛋白質、その部
分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体による中和 本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドま
たはその塩に対する抗体の、それらレセプター蛋白質な
どに対する中和活性とは、該レセプター蛋白質の関与す
るシグナル伝達機能を不活性化する活性を意味する。従
って、該抗体が中和活性を有する場合は、該レセプター
蛋白質の関与するシグナル伝達、例えば、該レセプター
蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊
離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内c
AMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸
産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−
fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または
抑制する活性など)を不活性化することができる。従っ
て、該レセプター蛋白質の過剰発現などに起因する疾患
の予防および/または治療に用いることができる。 (9)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコー
ドするDNAを有する動物の作製 本発明のDNAを用いて、本発明のレセプター蛋白質等
を発現するトランスジェニック動物を作製することがで
きる。動物としては、哺乳動物(例えば、ラット、マウ
ス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルな
ど)など(以下、動物と略記する場合がある)があげら
れるが、特に、マウス、ラットなどが好適である。
【0059】本発明のDNAを対象動物に転移させるに
あたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモ
ーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトとして用
いるのが一般に有利である。例えば、ヒト由来の本発明
のDNAを転移させる場合、これと相同性が高い動物由
来の本発明のDNAを動物細胞で発現させうる各種プロ
モーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトを、例
えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションするこ
とによって本発明のレセプター蛋白質等を高産生するD
NA転移動物を作出できる。このプロモーターとして
は、例えば、ウイルス由来プロモーター、メタロチオネ
イン等のユビキアスな発現プロモーターも使用しうる
が、好ましくは脳で特異的に発現するNGF遺伝子プロ
モーターやエノラーゼ遺伝子プロモーターなどが用いら
れる。受精卵細胞段階における本発明のDNAの転移
は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在する
ように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞
において本発明のレセプター蛋白質等が存在すること
は、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞及び体細胞の全
てに本発明のレセプター蛋白質等を有することを意味す
る。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽
細胞および体細胞の全てに本発明のレセプター蛋白質等
を有する。本発明のDNA転移動物は、交配により遺伝
子を安定に保持することを確認して、該DNA保有動物
として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができる。
さらに、目的DNAを保有する雌雄の動物を交配するこ
とにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザ
イゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配すること
によりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代
することができる。
【0060】本発明のDNAが転移された動物は、本発
明のレセプター蛋白質等が高発現させられているので、
本発明のレセプター蛋白質等に対するアゴニストまたは
アンタゴニストのスクリーニング用の動物などとして有
用である。本発明のDNA転移動物を、組織培養のため
の細胞源として使用することもできる。例えば、本発明
のDNA転移マウスの組織中のDNAもしくはRNAを
直接分析するか、あるいは遺伝子により発現された本発
明のレセプター蛋白質が存在する組織を分析することに
より、本発明のレセプター蛋白質等について分析するこ
とができる。本発明のレセプター蛋白質等を有する組織
の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用
して、例えば、脳や末梢組織由来のような一般に培養困
難な組織からの細胞の機能を研究することができる。ま
た、その細胞を用いることにより、例えば、各種組織の
機能を高めるような医薬の選択も可能である。また、高
発現細胞株があれば、そこから、本発明のレセプター蛋
白質等を単離精製することも可能である。
【0061】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
【0062】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2, 3−ベンゾトリアジン HONB :1−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキ シイミド DCC :N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0063】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のマウス脾臓由来新規G蛋白質
共役型レセプター蛋白質mAL7T024のアミノ酸配
列を示す。 〔配列番号:2〕配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のマウス脾臓由来新規G蛋白質共役型
レセプター蛋白質mAL7T024をコードするcDN
Aの塩基配列を示す。 〔配列番号:3〕本発明のマウス脾臓由来新規G蛋白質
共役型レセプター蛋白質mAL7T024をコードする
cDNAをクローニングするために使用したプライマー
1の塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕本発明のマウス脾臓由来新規G蛋白質
共役型レセプター蛋白質mAL7T024をコードする
cDNAをクローニングするために使用したプライマー
2の塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕本発明のヒト肺由来新規G蛋白質共役
型レセプター蛋白質hAL7T024のアミノ酸配列を
示す。 〔配列番号:6〕配列番号:5で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のヒト肺由来新規G蛋白質共役型レセ
プター蛋白質hAL7T024をコードするcDNAの
塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕本発明のヒト肺由来新規G蛋白質共役
型レセプター蛋白質hAL7T024をコードするcD
NAをクローニングするために使用したプライマー3の
塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕本発明のヒト肺由来新規G蛋白質共役
型レセプター蛋白質hAL7T024をコードするcD
NAをクローニングするために使用したプライマー4の
塩基配列を示す。
【0064】後述の実施例1で得られた形質転換体エシ
ェリヒア コリ(Escherichia coli)TOP10F'/p
CR3.1−mAL024は、1998年12月2日か
ら通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NI
BH)に寄託番号FERMBP−6591として、19
98年11月25日から財団法人・発酵研究所(IF
O)に寄託番号IFO 16222として寄託されてい
る。
【0065】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をより詳細に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載さ
れている方法に従った。 実施例1 マウス脾臓のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコード
するcDNAのクローニングと塩基配列の決定 マウス脾臓由来cDNAを鋳型とし、2個のプライマ
ー、プライマー1(配列番号:3)およびプライマー2
(配列番号:4)を用いてPCR反応を行った。該反応
における反応液の組成は上記cDNAの10分の1量を
鋳型として使用し、Advantage cDNA Po
lymerase Mix (CLONTECH社)1/
50量、プライマー1(配列番号:3)およびプライマ
ー2(配列番号:4)を各0.2μM、dNTPs 2
00μM、および酵素に添付のバッファーを加え、25
μlの液量とした。PCR反応は、 94℃・30秒
の後、 94℃・5秒、68℃・2分のサイクルを3
5回繰り返し、 最後に68℃・7分の伸長反応を行
った。該PCR反応後の反応産物をTAクローニングキ
ット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミド
ベクターpCR3.1(Invitrogen社)へサブ
クローニングした。これを大腸菌TOP10F'に導入
し、cDNAをもつクローンをアンピシリンを含むLB
寒天培地中で選択した後、個々のクローンの配列を解析
した結果、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコー
ドするcDNA配列(配列番号:2)を得た。 このc
DNAより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:1を
含有する新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をmAL
7T024と命名し、この形質転換体を大腸菌(Escher
ichia coli)TOP10F'/pCR3.1−mAL0
24と命名した。
【0066】実施例2 ヒト肺由来新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質hAL
7T024のcDNAのクローニングと塩基配列の決定 ヒト肺cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2
個のプライマー、プライマー3(配列番号:7)および
プライマー4(配列番号:8)を用いてPCR反応を行
った。該反応における反応液の組成は上記cDNAの2
5分の1量を鋳型として使用し、Advantage
cDNA Polymerase Mix(CLONTE
CH社)1/50量、プライマー3(配列番号:7)お
よびプライマー4(配列番号:8)を 各0.2μM、
dNTPs 200μM、および酵素に添付のバッファ
ーを加え、25μlの液量とした。PCR反応は、
94℃・30秒の後、 94℃・5秒、68℃・2分
のサイクルを35回繰り返し、 最後に68℃・7分
の伸長反応を行った。該PCR反応後の反応産物をTA
クローニングキット(Invitrogen社)の処方に
従いプラスミドベクターpCR3.1(Invitro
gen社)へ サブクローニングした。これを大腸菌DH
5αに導入し、cDNAをもつクローンをアンピシリン
を含むLB寒天培地中で選択した後、個々のクローンの
配列を解析した結果、新規G蛋白質共役型レセプター蛋
白質をコードするcDNA配列(配列番号:6)を含む
形質転換体:大腸菌(Escherichia coli)DH5α/p
CR3.1−h024を得た。このcDNAより導き出
されるアミノ酸配列(配列番号:5)を含有する新規G
蛋白質共役型レセプター蛋白質をhAL7T024と命
名した。
【0067】
【発明の効果】本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質、その部分ペプチドまたはそれらの塩、およびそれら
をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA、RN
Aおよびそれらの誘導体)は、リガンド(アゴニス
ト)の決定、抗体および抗血清の入手、組み替え型
レセプター蛋白質の発現系の構築、同発現系を用いた
レセプター結合アッセイ系の開発と医薬品候補化合物の
スクリーニング、構造的に類似したリガンド・レセプ
ターとの比較にもとづいたドラッグデザインの実施、
遺伝子診断におけるプローブやPCRプライマーの作成
のための試薬、トランスジェニック動物の作製または
遺伝子予防・治療剤等の医薬等として用いることがで
きる。
【0068】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel G Protein-Coupled Receptor and its DNA <130> A99267 <150> JP 10-353165 <151> 1998-12-11 <150> JP 11-29677 <151> 1999-02-08 <160> 8 <210> 1 <211> 354 <212> PRT <213> Mouse <400> 1 Met Asn Glu Cys His Tyr Asp Lys Arg Met Asp Phe Phe Tyr Asn Arg 5 10 15 Ser Asn Thr Asp Thr Ala Asp Glu Trp Thr Gly Thr Lys Leu Val Ile 20 25 30 Val Leu Cys Val Gly Thr Phe Phe Cys Leu Phe Ile Phe Phe Ser Asn 35 40 45 Ser Leu Val Ile Ala Ala Val Ile Thr Asn Arg Lys Phe His Phe Pro 50 55 60 Phe Tyr Tyr Leu Leu Ala Asn Leu Ala Ala Ala Asp Phe Phe Ala Gly 65 70 75 80 Ile Ala Tyr Val Phe Leu Met Phe Asn Thr Gly Pro Val Ser Lys Thr 85 90 95 Leu Thr Val Asn Arg Trp Phe Leu Arg Gln Gly Leu Leu Asp Thr Ser 100 105 110 Leu Thr Ala Ser Leu Ala Asn Leu Leu Val Ile Ala Val Glu Arg His 115 120 125 Met Ser Ile Met Arg Met Arg Val His Ser Asn Leu Thr Lys Lys Arg 130 135 140 Val Thr Leu Leu Ile Leu Leu Val Trp Ala Ile Ala Ile Phe Met Gly 145 150 155 160 Ala Val Pro Thr Leu Gly Trp Asn Cys Leu Cys Asn Ile Ser Ala Cys 165 170 175 Ser Ser Leu Ala Pro Ile Tyr Ser Arg Ser Tyr Leu Ile Phe Trp Thr 180 185 190 Val Ser Asn Leu Leu Ala Phe Phe Ile Met Val Ala Val Tyr Val Arg 195 200 205 Ile Tyr Met Tyr Val Lys Arg Lys Thr Asn Val Leu Ser Pro His Thr 210 215 220 Ser Gly Ser Ile Ser Arg Arg Arg Ala Pro Met Lys Leu Met Lys Thr 225 230 235 240 Val Met Thr Val Leu Gly Ala Phe Val Val Cys Trp Thr Pro Gly Leu 245 250 255 Val Val Leu Leu Leu Asp Gly Leu Asn Cys Lys Gln Cys Asn Val Gln 260 265 270 His Val Lys Arg Trp Phe Leu Leu Leu Ala Leu Leu Asn Ser Val Met 275 280 285 Asn Pro Ile Ile Tyr Ser Tyr Lys Asp Glu Asp Met Tyr Asn Thr Met 290 295 300 Arg Lys Met Ile Cys Cys Ala Leu Gln Asp Ser Asn Thr Glu Arg Arg 305 310 315 320 Pro Ser Arg Asn Pro Ser Thr Ile His Ser Arg Ser Glu Thr Gly Ser 325 330 335 Gln Tyr Leu Glu Asp Ser Ile Ser Gln Gly Pro Val Cys Asn Lys Asn 340 345 350 Gly Ser <210> 2 <211> 1065 <212> DNA <213> Mouse <400> 2 ATGAATGAGT GTCACTATGA CAAGCGCATG GACTTTTTCT ACAACAGGAG CAACACAGAC 60 ACAGCGGACG AGTGGACAGG GACAAAGCTT GTGATCGTCC TGTGCGTGGG GACGTTCTTC 120 TGCCTCTTTA TATTTTTTTC TAACTCCCTG GTCATTGCTG CGGTGATCAC AAACCGGAAG 180 TTCCACTTTC CCTTCTACTA CCTGCTGGCT AACTTAGCTG CTGCGGATTT CTTCGCCGGA 240 ATCGCTTACG TGTTCCTGAT GTTTAACACT GGCCCGGTGT CGAAAACGTT GACCGTCAAC 300 CGCTGGTTCC TCCGCCAGGG GCTCCTAGAC ACCAGCCTGA CTGCCTCCCT GGCCAATTTG 360 CTGGTTATTG CTGTGGAAAG ACACATGTCC ATCATGAGGA TGAGAGTCCA CAGCAACTTG 420 ACCAAAAAGC GGGTGACGCT GCTCATTCTG CTGGTGTGGG CCATCGCCAT CTTCATGGGG 480 GCCGTCCCCA CGCTGGGATG GAATTGCCTC TGCAACATCT CGGCCTGCTC TTCTCTGGCT 540 CCCATTTACA GTAGGAGTTA CCTCATTTTC TGGACTGTGT CCAACCTCCT GGCCTTCTTC 600 ATCATGGTGG CGGTATACGT ACGCATCTAC ATGTATGTTA AAAGGAAAAC CAACGTCTTA 660 TCTCCACACA CCAGTGGCTC CATCAGCCGC CGGAGGGCTC CCATGAAGCT AATGAAGACA 720 GTGATGACCG TCTTAGGCGC CTTCGTGGTG TGCTGGACCC CGGGTCTGGT GGTTCTGCTG 780 CTGGACGGCC TGAACTGCAA GCAGTGTAAC GTGCAACACG TGAAGCGCTG GTTCCTGCTG 840 CTCGCACTGC TCAACTCCGT CATGAACCCC ATCATCTACT CGTACAAGGA CGAGGACATG 900 TACAACACCA TGCGGAAGAT GATCTGCTGT GCCCTGCAGG ACAGCAATAC CGAGAGGCGC 960 CCCTCCCGCA ACCCCTCCAC CATCCACAGC AGGAGCGAGA CGGGCAGCCA GTACCTGGAG 1020 GACAGCATCA GCCAGGGCCC GGTGTGCAAT AAAAACGGCT CCTAA 1065 <210> 3 <211> 32 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> Primer <400> 3 GTCGACATGA ATGAGTGTCA CTATGACAAG CG 32 <210> 4 <211> 28 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> Primer <400> 4 ACTAGTTTAG GAGCCGTTTT TATTGCAC 28 <210> 5 <211> 353 <212> PRT <213> Human <400> 5 Met Asn Glu Cys His Tyr Asp Lys His Met Asp Phe Phe Tyr Asn Arg 5 10 15 Ser Asn Thr Asp Thr Val Asp Asp Trp Thr Gly Thr Lys Leu Val Ile 20 25 30 Val Leu Cys Val Gly Thr Phe Phe Cys Leu Phe Ile Phe Phe Ser Asn 35 40 45 Ser Leu Val Ile Ala Ala Val Ile Lys Asn Arg Lys Phe His Phe Pro 50 55 60 Phe Tyr Tyr Leu Leu Ala Asn Leu Ala Ala Ala Asp Phe Phe Ala Gly 65 70 75 80 Ile Ala Tyr Val Phe Leu Met Phe Asn Thr Gly Pro Val Ser Lys Thr 85 90 95 Leu Thr Val Asn Arg Trp Phe Leu Arg Gln Gly Leu Leu Asp Ser Ser 100 105 110 Leu Thr Ala Ser Leu Thr Asn Leu Leu Val Ile Ala Val Glu Arg His 115 120 125 Met Ser Ile Met Arg Met Arg Val His Ser Asn Leu Thr Lys Lys Arg 130 135 140 Val Thr Leu Leu Ile Leu Leu Val Trp Ala Ile Ala Ile Phe Met Gly 145 150 155 160 Ala Val Pro Thr Leu Gly Trp Asn Cys Leu Cys Asn Ile Ser Ala Cys 165 170 175 Ser Ser Leu Ala Pro Ile Tyr Ser Arg Ser Tyr Leu Val Phe Trp Thr 180 185 190 Val Ser Asn Leu Met Ala Phe Leu Ile Met Val Val Val Tyr Leu Arg 195 200 205 Ile Tyr Val Tyr Val Lys Arg Lys Thr Asn Val Leu Ser Pro His Thr 210 215 220 Ser Gly Ser Ile Ser Arg Arg Arg Thr Pro Met Lys Leu Met Lys Thr 225 230 235 240 Val Met Thr Val Leu Gly Ala Phe Val Val Cys Trp Thr Pro Gly Leu 245 250 255 Val Val Leu Leu Leu Asp Gly Leu Asn Cys Arg Gln Cys Gly Val Gln 260 265 270 His Val Lys Arg Trp Phe Leu Leu Leu Ala Leu Leu Asn Ser Val Val 275 280 285 Asn Pro Ile Ile Tyr Ser Tyr Lys Asp Glu Asp Met Tyr Gly Thr Met 290 295 300 Lys Lys Met Ile Cys Cys Phe Ser Gln Glu Asn Pro Glu Arg Arg Pro 305 310 315 320 Ser Arg Ile Pro Ser Thr Val Leu Ser Arg Ser Asp Thr Gly Ser Gln 325 330 335 Tyr Ile Glu Asp Ser Ile Ser Gln Gly Ala Val Cys Asn Lys Ser Thr 340 345 350 Ser <210> 6 <211> 1062 <212> DNA <213> Human <400> 6 ATGAATGAGT GTCACTATGA CAAGCACATG GACTTTTTTT ATAATAGGAG CAACACTGAT 60 ACTGTCGATG ACTGGACAGG AACAAAGCTT GTGATTGTTT TGTGTGTTGG GACGTTTTTC 120 TGCCTGTTTA TTTTTTTTTC TAATTCTCTG GTCATCGCGG CAGTGATCAA AAACAGAAAA 180 TTTCATTTCC CCTTCTACTA CCTGTTGGCT AATTTAGCTG CTGCCGATTT CTTCGCTGGA 240 ATTGCCTATG TATTCCTGAT GTTTAACACA GGCCCAGTTT CAAAAACTTT GACTGTCAAC 300 CGCTGGTTTC TCCGTCAGGG GCTTCTGGAC AGTAGCTTGA CTGCTTCCCT CACCAACTTG 360 CTGGTTATCG CCGTGGAGAG GCACATGTCA ATCATGAGGA TGCGGGTCCA TAGCAACCTG 420 ACCAAAAAGA GGGTGACACT GCTCATTTTG CTTGTCTGGG CCATCGCCAT TTTTATGGGG 480 GCGGTCCCCA CACTGGGCTG GAATTGCCTC TGCAACATCT CTGCCTGCTC TTCCCTGGCC 540 CCCATTTACA GCAGGAGTTA CCTTGTTTTC TGGACAGTGT CCAACCTCAT GGCCTTCCTC 600 ATCATGGTTG TGGTGTACCT GCGGATCTAC GTGTACGTCA AGAGGAAAAC CAACGTCTTG 660 TCTCCGCATA CAAGTGGGTC CATCAGCCGC CGGAGGACAC CCATGAAGCT AATGAAGACG 720 GTGATGACTG TCTTAGGGGC GTTTGTGGTA TGCTGGACCC CGGGCCTGGT GGTTCTGCTC 780 CTCGACGGCC TGAACTGCAG GCAGTGTGGC GTGCAGCATG TGAAAAGGTG GTTCCTGCTG 840 CTGGCGCTGC TCAACTCCGT CGTGAACCCC ATCATCTACT CCTACAAGGA CGAGGACATG 900 TATGGCACCA TGAAGAAGAT GATCTGCTGC TTCTCTCAGG AGAACCCAGA GAGGCGTCCC 960 TCTCGCATCC CCTCCACAGT CCTCAGCAGG AGTGACACAG GCAGCCAGTA CATAGAGGAT 1020 AGTATTAGCC AAGGTGCAGT CTGCAATAAA AGCACTTCCT AA 1062 <210> 7 <211> 30 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> Primer <400> 7 CAATGAATGA GTGTCACTAT GACAAGCACA 30 <210> 8 <211> 30 <212> DNA <213> Artifical Sequence <220> <223> Primer <400> 8 GTTTAGGAAG TGCTTTTATT GCAGACTGCA 30
【0069】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明のマウス脾臓由来新
規G蛋白質共役型レセプター蛋白質mAL7T024を
コードするDNAの塩基配列、およびそれから推定され
るアミノ酸配列を示す(図2に続く)。
【図2】実施例1で得られた本発明のマウス脾臓由来新
規G蛋白質共役型レセプター蛋白質mAL7T024を
コードするDNAの塩基配列、およびそれから推定され
るアミノ酸配列を示す(図1の続き、図3に続く)。
【図3】実施例1で得られた本発明のマウス脾臓由来新
規G蛋白質共役型レセプター蛋白質mAL7T024を
コードするDNAの塩基配列、およびそれから推定され
るアミノ酸配列を示す(図2の続き)。
【図4】図1〜図3に示したアミノ酸配列をもとに作成
した、本発明のマウス脾臓由来新規G蛋白質共役型レセ
プター蛋白質mAL7T024の疎水性プロットを示
す。
【図5】実施例2で得られた本発明のヒト肺由来新規G
蛋白質共役型レセプター蛋白質hAL7T024をコー
ドするDNAの塩基配列、およびそれから推定されるア
ミノ酸配列を示す(図6に続く)。
【図6】実施例2で得られた本発明のヒト肺由来新規G
蛋白質共役型レセプター蛋白質hAL7T024をコー
ドするDNAの塩基配列、およびそれから推定されるア
ミノ酸配列を示す(図5の続き、図6に続く)。
【図7】実施例2で得られた本発明のヒト肺由来新規G
蛋白質共役型レセプター蛋白質hAL7T024をコー
ドするDNAの塩基配列、およびそれから推定されるア
ミノ酸配列を示す(図6の続き)。
【図8】図5〜図7に示したアミノ酸配列をもとに作成
した、本発明のヒト肺由来新規G蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質hAL7T024の疎水性プロットを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 21/08 21/08 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 33/566 33/566 33/577 B 33/577 C12N 5/00 A

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するこ
    とを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質または
    その塩。
  2. 【請求項2】実質的に同一のアミノ酸配列が配列番号:
    5で表されるアミノ酸配列である請求項1記載の蛋白
    質。
  3. 【請求項3】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター
    蛋白質の部分ペプチドまたはその塩。
  4. 【請求項4】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター
    蛋白質をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド
    を含有するポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】DNAである請求項4記載のポリヌクレオ
    チド。
  6. 【請求項6】配列番号:2または配列番号:6で表され
    る塩基配列を有する請求項4記載のポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】請求項4記載のポリヌクレオチドを含有す
    る組換えベクター。
  8. 【請求項8】請求項7記載の組換えベクターで形質転換
    させた形質転換体。
  9. 【請求項9】請求項8記載の形質転換体を培養し、請求
    項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せし
    めることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質共役型レ
    セプター蛋白質またはその塩の製造法。
  10. 【請求項10】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩に対する抗体。
  11. 【請求項11】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質のシグナル伝達を不活性化する中和抗体である
    請求項10記載の抗体。
  12. 【請求項12】請求項10記載の抗体を含有してなる診
    断薬。
  13. 【請求項13】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を用いることにより得られる請求項1記載のG蛋白
    質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガン
    ド。
  14. 【請求項14】請求項13記載のリガンドを含有してな
    る医薬。
  15. 【請求項15】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を用いることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質
    共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンド
    の決定方法。
  16. 【請求項16】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を用いることを特徴とするリガンドと請求項1記載
    のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結
    合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング
    方法。
  17. 【請求項17】請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ー蛋白質もしくは請求項3記載の部分ペプチドまたはそ
    の塩を含有することを特徴とするリガンドと請求項1記
    載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との
    結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニン
    グ用キット。
  18. 【請求項18】請求項16記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項17記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる、リガンドと請求項1記載のG蛋白質共役型レ
    セプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化
    合物またはその塩。
  19. 【請求項19】請求項16記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項17記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる、リガンドと請求項1記載のG蛋白質共役型レ
    セプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化
    合物またはその塩を含有してなる医薬。
  20. 【請求項20】請求項4記載のポリヌクレオチドとハイ
    ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌ
    クレオチド。
  21. 【請求項21】請求項4記載のポリヌクレオチドと相補
    的な塩基配列およびその一部を含有してなるポリヌクレ
    オチド。
  22. 【請求項22】請求項4記載のポリヌクレオチドまたは
    その一部を用いることを特徴とする請求項1記載のレセ
    プター蛋白質のmRNAの定量方法。
  23. 【請求項23】請求項10記載の抗体を用いることを特
    徴とする請求項1記載のレセプター蛋白質の定量方法。
  24. 【請求項24】請求項22または請求項23記載の定量
    方法を用いることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質
    共役型レセプターの機能が関連する疾患の診断剤。
  25. 【請求項25】請求項22または請求項23記載の定量
    方法を用いることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質
    共役型レセプターの発現を変化させる化合物またはその
    塩のスクリーニング方法。
  26. 【請求項26】請求項25記載のスクリーニング方法を
    用いて得られる請求項1記載のG蛋白質共役型レセプタ
    ーの発現を変化させる化合物またはその塩。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002057309A1 (fr) * 2001-01-18 2002-07-25 Takeda Chemical Industries, Ltd. Nouvelle proteine receptrice couplee a la proteine g et adn de cette proteine
EP2369344A1 (en) 2001-03-30 2011-09-28 Suntory Holdings Limited Structural model of G protein-coupled receptor and method for designing ligand capable of binding to G protein-coupled receptor using the structural model

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US9069700B2 (en) 2001-03-30 2015-06-30 Suntory Holdings Limited Structural model of G protein-coupled receptor and method for designing ligand capable of binding to G protein-coupled receptor using the structural model

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