JP2001017186A - 新規g蛋白質共役型レセプター蛋白質およびそのdna - Google Patents

新規g蛋白質共役型レセプター蛋白質およびそのdna

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JP2001017186A
JP2001017186A JP2000046824A JP2000046824A JP2001017186A JP 2001017186 A JP2001017186 A JP 2001017186A JP 2000046824 A JP2000046824 A JP 2000046824A JP 2000046824 A JP2000046824 A JP 2000046824A JP 2001017186 A JP2001017186 A JP 2001017186A
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receptor protein
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JP2000046824A
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Takuya Watanabe
卓也 渡辺
Yasuko Terao
寧子 寺尾
Yasushi Shintani
靖 新谷
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング
等に有用な新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の提
供。 【解決手段】ヒト由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質、その部分ペプチドまたはそれらの塩、該レセプター
蛋白質をコードする核酸およびその誘導体、該レセプタ
ー蛋白質をコードする塩基配列に対するアンチセンス配
列を持つ核酸及びその誘導体、該G蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質の製造法。 【効果】本発明のヒト(ヒト海馬)由来のG蛋白質共役
型レセプター蛋白質またはそれをコードする核酸及びそ
の誘導体は、(1)本発明のレセプター蛋白質に対する
リガンド(アゴニストスト)の決定、(2)本発明のG
蛋白質共役型レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾
患の予防および/または治療剤、(3)遺伝子診断剤、
などに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト(ヒト海馬)
由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその
塩およびそれをコードするDNAなどに関する。
【0002】
【従来の技術】多くのホルモンや神経伝達物質などの生
理活性物質は、細胞膜に存在する特異的なレセプター蛋
白質を通じて生体の機能を調節している。これらのレセ
プター蛋白質のうち多くは共役しているguanine nucleo
tide-binding protein(以下、G蛋白質と略称する場合
がある)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行な
い、また7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっ
ていることから、G蛋白質共役型レセプター蛋白質ある
いは7回膜貫通型レセプター蛋白質(7TMR)と総称
される。G蛋白質共役型レセプター蛋白質は生体の細胞
や臓器の各機能細胞表面に存在し、それら細胞や臓器の
機能を調節する分子、例えばホルモン、神経伝達物質お
よび生理活性物質等の標的として生理的に重要な役割を
担っている。レセプターは生理活性物質との結合を介し
てシグナルを細胞内に伝達し、このシグナルにより細胞
の賦活や抑制といった種々の反応が惹起される。各種生
体の細胞や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、そ
の特異的レセプター蛋白質、特にはG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質との関係を明らかにすることは、各種生体
の細胞や臓器の機能を解明し、それら機能と密接に関連
した医薬品開発に非常に重要な手段を提供することとな
る。
【0003】例えば、生体の種々の器官では、多くのホ
ルモン、ホルモン様物質、神経伝達物質あるいは生理活
性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行なわ
れている。特に、生理活性物質は生体内の様々な部位に
存在し、それぞれに対応するレセプター蛋白質を通して
その生理機能の調節を行っている。生体内には未だ未知
のホルモンや神経伝達物質その他の生理活性物質も多
く、それらのレセプター蛋白質の構造に関しても、これ
まで報告されていないものが多い。さらに、既知のレセ
プター蛋白質においてもサブタイプが存在するかどうか
についても分かっていないものが多い。生体における複
雑な機能を調節する物質と、その特異的レセプター蛋白
質との関係を明らかにすることは、医薬品開発に非常に
重要な手段である。また、レセプター蛋白質に対するア
ゴニスト、アンタゴニストを効率よくスクリーニング
し、医薬品を開発するためには、生体内で発現している
レセプター蛋白質の遺伝子の機能を解明し、それらを適
当な発現系で発現させることが必要であった。近年、生
体内で発現している遺伝子を解析する手段として、cD
NAの配列をランダムに解析する研究が活発に行なわれ
ており、このようにして得られたcDNAの断片配列が
Expressed Sequence Tag(EST)としてデータベース
に登録され、公開されている。しかし、多くのESTは
配列情報のみであり、その機能を推定することは困難で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、G蛋白質共役型
レセプターと生理活性物質(即ち、リガンド)との結合
を阻害する物質や、結合して生理活性物質(即ち、リガ
ンド)と同様なシグナル伝達を引き起こす物質は、これ
らレセプターの特異的なアンタゴニストまたはアゴニス
トとして、生体機能を調節する医薬品として活用されて
きた。従って、このように生体内での生理発現において
重要であるばかりでなく、医薬品開発の標的ともなりう
るG蛋白質共役型レセプター蛋白質を新規に見出し、そ
の遺伝子(例えばcDNA)をクローニングすること
は、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の特異的リガ
ンドや、アゴニスト、アンタゴニストを見出す際に、非
常に重要な手段となる。しかし、G蛋白質共役型レセプ
ターはその全てが見出されているわけではなく、現時点
でもなお、未知のG蛋白質共役型レセプター、また対応
するリガンドが同定されていない、いわゆるオーファン
レセプターが多数存在しており、新たなG蛋白質共役型
レセプターの探索および機能解明が切望されている。G
蛋白質共役型レセプターは、そのシグナル伝達作用を指
標とする、新たな生理活性物質(即ち、リガンド)の探
索、また該レセプターに対するアゴニストまたはアンタ
ゴニスト)の探索に有用である。一方、リガンドが見出
されなくても、該レセプターの不活化実験(ノックアウ
ト動物)から該レセプターの生理作用を解析することに
より、該レセプターに対するアゴニストまたはアンタゴ
ニストを作製することも可能である。これら該レセプタ
ーに対するリガンド、アゴニストまたはアンタゴニスト
などは、G蛋白質共役型レセプターの機能不全に関連す
る疾患の予防/治療薬や診断薬として活用することが期
待できる。
【0005】さらにまた、G蛋白質共役型レセプターの
遺伝子変異に基づく、生体での該レセプターの機能の低
下または昂進が、何らかの疾患の原因となっている場合
も多い。この場合には、該レセプターに対するアンタゴ
ニストやアゴニストの投与だけでなく、該レセプター遺
伝子の生体内(またはある特定の臓器)への導入や、該
レセプター遺伝子に対するアンチセンス核酸の導入によ
る、遺伝子治療に応用することもできる。この場合には
該レセプターの塩基配列は遺伝子上の欠失や変異の有無
を調べるために必要不可欠な情報であり、該レセプター
の遺伝子は、該レセプターの機能不全に関与する疾患の
予防/治療薬や診断薬に応用することもできる。本発明
は、上記のように有用な新規G蛋白質共役型レセプター
蛋白質を提供するものである。即ち、新規G蛋白質共役
型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはそ
の塩、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部
分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNA、R
NAおよびそれらの誘導体)を含有するポリヌクレオチ
ド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)、該ポリヌ
クレオチドを含有する組換えベクター、該組換えベクタ
ーを保持する形質転換体、該G蛋白質共役型レセプター
蛋白質またはその塩の製造法、該G蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対
する抗体、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量
を変化させる化合物、該G蛋白質共役型レセプターに対
するリガンドの決定方法、リガンドと該G蛋白質共役型
レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アン
タゴニスト、アゴニスト)またはその塩のスクリーニン
グ方法、該スクリーニング用キット、該スクリーニング
方法もしくはスクリーニングキットを用いて得られるリ
ガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性
を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)ま
たはその塩、およびリガンドと該G蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニ
スト、アゴニスト)もしくは該G蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩を含
有してなる医薬などを提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、degenerated PCR法によって作成したE
ST情報に基づいて、ヒト(ヒト海馬)由来の新規な蛋
白質をコードするcDNAを単離し、その全塩基配列を
解析することに成功した。そして、この塩基配列をアミ
ノ酸配列に翻訳したところ、第1〜第7膜貫通領域が疎
水性プロット上で確認され、これらのcDNAにコード
される蛋白質が7回膜貫通型のG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質であることを確認した。本発明者らは、これら
の知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、本発明を
完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有することを特徴とする蛋白質また
はその塩、(2)上記(1)記載の蛋白質の部分ペプチ
ドまたはその塩、(3)上記(1)記載の蛋白質をコー
ドする塩基配列を有するポリヌクレオチドを含有するポ
リヌクレオチド、(4)DNAである上記(3)記載の
ポリヌクレオチド、(5)配列番号:2で表される塩基
配列を有する上記(3)記載のポリヌクレオチド、
(6)上記(3)記載のポリヌクレオチドを含有する組
換えベクター、(7)上記(6)記載の組換えベクター
で形質転換させた形質転換体、(8)上記(7)記載の
形質転換体を培養し、上記(1)記載の蛋白質を生成せ
しめることを特徴とする上記(1)記載の蛋白質または
その塩の製造法、(9)上記(1)記載の蛋白質もしく
は上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩に対する
抗体、(10)上記(1)記載の蛋白質のシグナル伝達
を不活性化する中和抗体である上記(9)記載の抗体、
(11)上記(9)記載の抗体を含有してなる診断薬、
(12)上記(1)記載の蛋白質もしくは上記(2)記
載の部分ペプチドまたはその塩を用いることにより得ら
れうる上記(1)記載の蛋白質またはその塩に対するリ
ガンド、(13)上記(12)記載のリガンドを含有し
てなる医薬、(14)上記(1)記載の蛋白質もしくは
上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いるこ
とを特徴とする上記(1)記載の蛋白質またはその塩に
対するリガンドの決定方法、(15)上記(1)記載の
蛋白質もしくは上記(2)記載の部分ペプチドまたはそ
の塩を用いることを特徴とするリガンドと上記(1)記
載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物
またはその塩のスクリーニング方法、(16)上記
(1)記載の蛋白質もしくは上記(2)記載の部分ペプ
チドまたはその塩を含有することを特徴とするリガンド
と上記(1)記載の蛋白質またはその塩との結合性を変
化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キッ
ト、(17)上記(15)記載のスクリーニング方法ま
たは上記(16)記載のスクリーニング用キットを用い
て得られうる、リガンドと上記(1)記載の蛋白質また
はその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(18)上記(15)記載のスクリーニング方法または
上記(16)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうる、リガンドと上記(1)記載の蛋白質またはそ
の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有
してなる医薬、(19)上記(3)記載のポリヌクレオ
チドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
するポリヌクレオチド、(20)上記(3)記載のポリ
ヌクレオチドと相補的な塩基配列およびその一部を含有
してなるポリヌクレオチド、(21)上記(3)記載の
ポリヌクレオチドまたはその一部を用いることを特徴と
する上記(1)記載の蛋白質のmRNAの定量方法、
(22)上記(9)記載の抗体を用いることを特徴とす
る上記(1)記載の蛋白質の定量方法、(23)上記
(21)または上記(22)記載の定量方法を用いるこ
とを特徴とする上記(1)記載の蛋白質の機能が関連す
る疾患の診断方法、(24)上記(21)記載の定量方
法を用いることを特徴とする、上記(1)記載の蛋白質
の発現量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法、(25)上記(22)記載の定量方法を用い
ることを特徴とする、細胞膜における上記(1)記載の
蛋白質量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法、(26)上記(24)記載のスクリーニング
方法を用いて得られうる、上記(1)記載の蛋白質の発
現量を変化させる化合物またはその塩、(27)上記
(25)記載のスクリーニング方法を用いて得られう
る、細胞膜における上記(1)記載の蛋白質量を変化さ
せる化合物またはその塩などに関する。
【0008】さらには、(28)蛋白質が、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列、配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜30個程度、より好ましくは1〜9個程度、さ
らに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失し
たアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程
度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは
数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配
列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ま
しくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5
個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸
配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配列を含
有する蛋白質である上記(1)記載の蛋白質またはその
塩、(29)上記(1)記載の蛋白質もしくはその塩ま
たは上記(2)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、
試験化合物とを接触させることを特徴とする上記(1
4)記載のリガンドの決定方法、(30)リガンドが例
えばアンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コ
レシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニ
ン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプ
レッシン、オキシトシン、PACAP、セクレチン、グ
ルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマト
スタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PT
H、VIP(バソアクティブ インテスティナル ポリ
ペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、
アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジー
ンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンク
レアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、
アデノシン、アドレナリン、αおよびβ−ケモカイン
(chemokine)(例えば、IL−8、GROα、GRO
β、GROγ、NAP−2、ENA−78、PF4、I
P10、GCP−2、MCP−1、HC14、MCP−
3、I−309、MIP1−α、MIP−1β、RAN
TESなど)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒ
スタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティ
ックポリペプタイドまたはガラニンである上記(29)
記載のリガンドの決定方法、(31)(i)上記(1)
記載の蛋白質もしくはその塩または上記(2)記載の部
分ペプチドもしくはその塩と、リガンドとを接触させた
場合と、(ii)上記(1)記載の蛋白質もしくはその塩
または上記(2)記載の部分ペプチドもしくはその塩
と、リガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との
比較を行なうことを特徴とする上記(15)記載のスク
リーニング方法、(32)(i)標識したリガンドを上
記(1)記載の蛋白質もしくはその塩または上記(2)
記載の部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合
と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記
(1)記載の蛋白質もしくはその塩または上記(2)記
載の部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合にお
ける、標識したリガンドの上記(1)記載の蛋白質もし
くはその塩または上記(2)記載の部分ペプチドもしく
はその塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴
とするリガンドと上記(1)記載の蛋白質またはその塩
との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリー
ニング方法、(33)(i)標識したリガンドを上記
(1)記載の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合
と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記
(1)記載の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合に
おける、標識したリガンドの該細胞に対する結合量を測
定し、比較することを特徴とするリガンドと上記(1)
記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合
物またはその塩のスクリーニング方法、(34)(i)
標識したリガンドを上記(1)記載の蛋白質を含有する
細胞の膜画分に接触させた場合と、(ii)標識したリガ
ンドおよび試験化合物を上記(1)記載の蛋白質を含有
する細胞の膜画分に接触させた場合における、標識した
リガンドの該細胞の膜画分に対する結合量を測定し、比
較することを特徴とするリガンドと上記(1)記載の蛋
白質またはその塩との結合性を変化させる化合物または
その塩のスクリーニング方法、(35)(i)標識した
リガンドを上記(7)記載の形質転換体を培養すること
によって該形質転換体の細胞膜に発現した蛋白質に接触
させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験化合
物を上記(7)記載の形質転換体を培養することによっ
て該形質転換体の細胞膜に発現した蛋白質に接触させた
場合における、標識したリガンドの該蛋白質に対する結
合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上
記(1)記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化さ
せる化合物またはその塩のスクリーニング方法、(3
6)(i)上記(1)記載の蛋白質またはその塩を活性
化する化合物を上記(1)記載の蛋白質を含有する細胞
に接触させた場合と、(ii)上記(1)記載の蛋白質ま
たはその塩を活性化する化合物および試験化合物を上記
(1)記載の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合に
おける、蛋白質を介した細胞刺激活性を測定し、比較す
ることを特徴とするリガンドと上記(1)記載の蛋白質
またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
塩のスクリーニング方法、(37)上記(1)記載の蛋
白質またはその塩を活性化する化合物を上記(7)記載
の形質転換体を培養することによって該形質転換体の細
胞膜に発現した蛋白質に接触させた場合と、上記(1)
記載の蛋白質またはその塩を活性化する化合物および試
験化合物を上記(7)記載の形質転換体を培養すること
によって該形質転換体の細胞膜に発現した蛋白質に接触
させた場合における、蛋白質を介する細胞刺激活性を測
定し、比較することを特徴とするリガンドと上記(1)
記載の蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合
物またはその塩のスクリーニング方法、(38)上記
(1)記載の蛋白質を活性化する化合物が、アンギオテ
ンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニ
ン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペ
プチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキ
シトシン、PACAP、セクレチン、グルカゴン、カル
シトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GH
RH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バ
ソアクティブ インテスティナル ポリペプチド)、ソ
マトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラ
ジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッ
ドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、
プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、ア
ドレナリン、αおよびβ−ケモカイン(chemokine)
(例えば、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、
NAP−2、ENA−78、PF4、IP10、GCP
−2、MCP−1、HC14、MCP−3、I−30
9、MIP−1α、MIP−1β、RANTESな
ど)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミ
ン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポ
リペプタイドまたはガラニンである上記(36)または
(37)記載のスクリーニング方法、(39)上記(3
1)〜(38)記載のスクリーニング方法で得られう
る、リガンドと上記(1)記載の蛋白質またはその塩と
の結合性を変化させる化合物またはその塩、(40)上
記(31)〜(38)記載のスクリーニング方法で得ら
れうる、リガンドと上記(1)記載の蛋白質またはその
塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有す
ることを特徴とする医薬、(41)上記(1)記載の蛋
白質を含有する細胞を含有することを特徴とする上記
(16)記載のスクリーニング用キット、(42)上記
(1)記載の蛋白質を含有する細胞の膜画分を含有する
ことを特徴とする上記(16)記載のスクリーニング用
キット、(43)上記(7)記載の形質転換体を培養す
ることによって該形質転換体の細胞膜に発現した蛋白質
を含有することを特徴とする上記(16)記載のスクリ
ーニング用キット、(44)上記(41)〜(43)記
載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、リガ
ンドと上記(1)記載の蛋白質またはその塩との結合性
を変化させる化合物またはその塩、(45)上記(4
1)〜(43)記載のスクリーニング用キットを用いて
得られうる、リガンドと上記(1)記載の蛋白質または
その塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含
有することを特徴とする医薬、(46)上記(9)記載
の抗体と、上記(1)記載の蛋白質もしくは上記(2)
記載の部分ペプチドまたはその塩とを接触させることを
特徴とする上記(1)の蛋白質もしくは上記(2)記載
の部分ペプチドまたはその塩の定量法、(47)上記
(9)記載の抗体と、被検液および標識化された上記
(1)記載の蛋白質もしくは上記(2)記載の部分ペプ
チドまたはその塩とを競合的に反応させ、該抗体に結合
した標識化された上記(1)記載の蛋白質もしくは上記
(2)記載の部分ペプチドまたはその塩の割合を測定す
ることを特徴とする被検液中の上記(1)記載の蛋白質
もしくは上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩の
定量法、および(48)被検液と担体上に不溶化した上
記(9)記載の抗体および標識化された上記(9)記載
の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶
化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被
検液中の上記(1)記載の蛋白質もしくは上記(2)記
載の部分ペプチドまたはその塩の定量法などを提供す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質(以下、レセプター蛋白質と略記する場合があ
る)は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列(図1
および図2中のアミノ酸配列)と同一もしくは実質的に
同一のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質であ
る。本発明のレセプター蛋白質は、例えば、ヒトや哺乳
動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、
ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例え
ば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄
細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細
胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細
胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細
胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中
球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟
骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細
胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹
細胞もしくはガン細胞など)や血球系の細胞、またはそ
れらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の
各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、
視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、
前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、
下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆の
う、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、
小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末
梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、
関節、骨格筋など(特に、脳や脳の各部位)に由来する
タンパク質であってもよく、また合成タンパク質であっ
てもよい。
【0010】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と約50%以上、好ま
しくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さ
らに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%
以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質
的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質として
は、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列と実質的に同質の活性を有するタ
ンパク質などが好ましい。実質的に同質の活性として
は、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用
などがあげられる。実質的に同質とは、それらの活性が
性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド
結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等
(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜2
0倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好
ましいが、これらの活性の程度やタンパク質の分子量な
どの量的要素は異なっていてもよい。リガンド結合活性
やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知
の方法に準じて行なうことができるが、例えば、後述す
るリガンドの決定方法やスクリーニング方法に従って測
定することができる。
【0011】また、本発明のレセプター蛋白質として
は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ま
しくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5
個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上
(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミ
ノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表わさ
れるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、
1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さら
に好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミ
ノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み
合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられ
る。本明細書におけるレセプター蛋白質は、ペプチド標
記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端が
C末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質をは
じめとする、本発明のレセプター蛋白質は、C末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CONH
2)またはエステル(−COOR)であってもよい。こ
こでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチル
などのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シ
クロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、
フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例え
ば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アル
キル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル
−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、
経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチ
ル基などが用いられる。
【0012】本発明のレセプター蛋白質がC末端以外に
カルボキシル基(またはカルボキシレート)を有してい
る場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化さ
れているものも本発明のレセプター蛋白質に含まれる。
この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端の
エステルなどが用いられる。さらに、本発明のレセプタ
ー蛋白質には、上記した蛋白質において、N末端のメチ
オニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、
アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル
基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断
され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したも
の、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−O
H、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール
基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホル
ミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC
1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖
鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク
質なども含まれる。本発明のレセプター蛋白質の具体例
としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列を含有するヒト由来(より好ましくはヒト海馬由
来)のレセプター蛋白質などが用いられる。本発明のレ
セプター蛋白質の部分ペプチド(以下、部分ペプチドと
略記する場合がある)としては、本発明のレセプター蛋
白質の部分ペプチドであれば何れのものであってもよい
が、例えば、本発明のレセプター蛋白質分子のうち、細
胞膜の外に露出している部位であって、レセプター結合
活性を有するものなどが用いられる。具体的には、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するレセプター
蛋白質の部分ペプチドとしては、図3で示される疎水性
プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophili
c)部位)であると分析された部分を含むペプチドであ
る。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペ
プチドも同様に用いることができる。個々のドメインを
個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同
時に含む部分のペプチドでも良い。本発明の部分ペプチ
ドのアミノ酸の数は、前記した本発明のレセプター蛋白
質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好
ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のア
ミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。実質的に
同一のアミノ酸配列とは、これらアミノ酸配列と約50
%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約8
0%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好まし
くは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を示
す。ここで、「実質的に同質の活性」とは、前記と同意
義を示す。「実質的に同質の活性」の測定は前記と同様
に行なうことができる。また、本発明の部分ペプチド
は、上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5
個))のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列
に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、よ
り好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個
(1〜5個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミ
ノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10
個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは1〜5
個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていても
よい。また、本発明の部分ペプチドはC末端が通常カル
ボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−
COO-)であるが、前記した本発明のタンパク質のご
とく、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル
(−COOR)であってもよい。エステルのRとしては
上記と同様のものなどが用いられる。さらに、本発明の
部分ペプチドには、前記した本発明のレセプター蛋白質
と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基
で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成
したGlnがピログルタミン酸化したもの、分子内のアミ
ノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されている
もの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなど
の複合ペプチドなども含まれる。また、本発明の部分ペ
プチドはC末端が通常カルボキシル基(−COOH)ま
たはカルボキシレート(−COO-)であるが、前記した
本発明のタンパク質のごとく、C末端がアミド(−CO
NH2)またはエステル(−COOR)であってもよ
い。エステルのRとしては上記と同様のものなどが用い
られる。
【0013】本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドの塩としては、酸または塩基との生理学的に許
容される塩があげられ、とりわけ生理学的に許容される
酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機
酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との
塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン
酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン
酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。本発明の
レセプター蛋白質またはその塩は、前述したヒトや哺乳
動物の細胞または組織から自体公知のレセプター蛋白質
の精製方法によって製造することもできるし、後述する
本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAで形質転
換された形質転換体を培養することによっても製造する
ことができる。また、後述のタンパク質合成法またはこ
れに準じて製造することもできる。ヒトや哺乳動物の組
織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組織
または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行な
い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換ク
ロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わ
せることにより精製単離することができる。
【0014】本発明のレセプター蛋白質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩またはそのアミド体の合成に
は、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることがで
きる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル
樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹
脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルア
ルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、
PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセト
アミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェ
ノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocア
ミノエチル)フェノキシ樹脂などをあげることができ
る。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基
を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の
配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で
縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出
すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で
分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタン
パク質またはそのアミド体を取得する。上記した保護ア
ミノ酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用できる
各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボ
ジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、
N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-
ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いら
れる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例
えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に
添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあ
るいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の
活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。保
護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒と
しては、タンパク質縮合反応に使用しうることが知られ
ている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジ
メチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,
N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレ
ン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフ
ルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホ
キシドなどのスルホキシド類、ピリジン,ジオキサン,
テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリ
ル,プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル,
酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混
合物などが用いられる。反応温度はタンパク質結合形成
反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選
択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択さ
れる。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍
過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの
結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うこと
なく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なう
ことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られ
ないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを
用いて未反応アミノ酸をアセチル化することができる。
【0015】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキ
シカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホ
ルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニル
ホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキ
シル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シ
クロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状
もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステ
ル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジル
エステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロ
ベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェ
ナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジ
ド化、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド化、
トリチルヒドラジド化などによって保護することができ
る。セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエー
テル化によって保護することができる。このエステル化
に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級ア
ルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジ
ルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭
酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル
化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒ
ドロピラニル基、t-ブチル基などである。
【0016】チロシンのフェノール性水酸基の保護基と
しては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジル、
Br-Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。ヒスチジ
ンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4-
メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、
ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用
いられる。原料のカルボキシル基の活性化されたものと
しては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エス
テル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、
2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノー
ル、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、
HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイ
ミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料の
アミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応す
るリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱離)方
法としては、例えば、Pd-黒あるいはPd-炭素などの
触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無
水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタン
スルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液
などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、ト
リエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩
基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元な
ども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に
約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理にお
いては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソ
ール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスル
フィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオール
などのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。ま
た、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる
2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除
去され、トリプトファンのインドール保護基として用い
られるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-
ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以
外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによ
るアルカリ処理によっても除去される。原料の反応に関
与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびそ
の保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは
公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。タンパ
ク質のアミド体を得る別の方法としては、例えば、ま
ず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をア
ミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(タンパ
ク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖の
N末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたタンパク質
とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタン
パク質とを製造し、この両タンパク質を上記したような
混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上
記と同様である。縮合により得られた保護タンパク質を
精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、
所望の粗タンパク質を得ることができる。この粗タンパ
ク質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分
を凍結乾燥することで所望のタンパク質のアミド体を得
ることができる。タンパク質のエステル体を得るには、
例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基
を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした
後、タンパク質のアミド体と同様にして、所望のタンパ
ク質のエステル体を得ることができる。
【0017】本発明のタンパク質の部分ペプチドまたは
その塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って、ある
いは本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断す
ることによって製造することができる。ペプチドの合成
法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれ
によっても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成
し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮
合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離す
ることにより目的のペプチドを製造することができる。
公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下
の〜に記載された方法があげられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, New York (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店
【0018】また、反応後は通常の精製法、たとえば、
溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロ
マトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明の部
分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得
られる部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法
によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で
得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換する
ことができる。本発明のレセプター蛋白質をコードする
ポリヌクレオチドとしては、前述した本発明のレセプタ
ー蛋白質をコードする塩基配列(DNAまたはRNA、
好ましくはDNA)を含有するものであればいかなるも
のであってもよい。該ポリヌクレオチドとしては、本発
明のレセプター蛋白質をコードするDNA、mRNA等
のRNAであり、二本鎖であっても、一本鎖であっても
よい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAま
たはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の
場合は、センス鎖(即ち、コード鎖)であっても、アン
チセンス鎖(即ち、非コード鎖)であってもよい。本発
明のレセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを
用いて、例えば、公知の実験医学増刊「新PCRとその
応用」15(7)、1997記載の方法またはそれに準じた方法
により、本発明のレセプター蛋白質のmRNAを定量す
ることができる。本発明のレセプター蛋白質をコードす
るDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブ
ラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した
細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAの
いずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、
バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージ
ミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・
組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したも
のを用いて直接Reverse Transcriptase PolymeraseChai
n Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によっ
て増幅することもできる。具体的には、本発明のレセプ
ター蛋白質をコードするDNAとしては、例えば、配列
番号:2で表わされる塩基配列を含有するDNA、また
は配列番号:2で表わされる塩基配列とハイストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、
本発明のレセプター蛋白質と実質的に同質の活性(例、
リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有す
るレセプター蛋白質をコードするDNAであれば何れの
ものでもよい。
【0019】配列番号:2で表わされる塩基配列とハイ
ブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:
2で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約
80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好まし
くは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有する
DNAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、
自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モ
レキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd
(J. Sambrook etal., Cold Spring Harbor Lab. Pres
s, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができ
る。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の
使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って
行なうことができる。該ハイストリンジェントな条件と
は、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ま
しくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好
ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウ
ム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ま
しい。より具体的には、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列を有するレセプター蛋白質をコードするDNA
としては、配列番号:2で表わされる塩基配列を有する
DNAなどが用いられる。本発明のレセプター蛋白質を
コードするDNAの塩基配列の一部、または該DNAと
相補的な塩基配列の一部を含有してなるポリヌクレオチ
ドとは、下記の本発明の部分ペプチドをコードするDN
Aを包含するだけではなく、RNAをも包含する意味で
用いられる。
【0020】本発明に従えば、G蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質遺伝子の複製又は発現を阻害することのできる
アンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、クローン
化したあるいは決定されたG蛋白質共役型レセプター蛋
白質をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計
し、合成しうる。そうしたポリヌクレオチド(核酸)
は、G蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子のRNAと
ハイブリダイズすることができ、該RNAの合成又は機
能を阻害することができるか、あるいはG蛋白質共役型
レセプター蛋白質関連RNAとの相互作用を介してG蛋
白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の発現を調節・制御
することができる。G蛋白質共役型レセプター蛋白質関
連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチ
ド、及びG蛋白質共役型レセプター蛋白質関連RNAと
特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオ
チドは、生体内及び生体外でG蛋白質共役型レセプター
蛋白質遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、
また病気などの治療又は診断に有用である。用語「対応
する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列又
は核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的で
あることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列又は核酸
とペプチド(蛋白質)との間で「対応する」とは、ヌク
レオチド(核酸)の配列又はその相補体から誘導される
指令にあるペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指して
いる。G蛋白質共役型レセプター蛋白質遺伝子の5’端
ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、
5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コドン、蛋白
質コード領域、ORF翻訳開始コドン、3’端非翻訳領
域、3’端パリンドローム領域、及び3’端ヘアピンル
ープは好ましい対象領域として選択しうるが、G蛋白質
共役型レセプター蛋白質遺伝子内の如何なる領域も対象
として選択しうる。
【0021】目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に
相補的なポリヌクレオチドとの関係は、対象物とハイブ
リダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係
は、「アンチセンス」であるということができる。アン
チセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リ
ボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、D−
リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、プ
リン又はピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他
のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド
骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質
核酸及び合成配列特異的な核酸ポリマー)又は特殊な結
合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはD
NAやRNA中に見出されるような塩基のペアリナグや
塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有す
る)などがあげられる。それらは、2本鎖DNA、1本
鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDN
A:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修
飾ポリヌクレオチド(又は非修飾オリゴヌクレオチ
ド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当
該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたも
の、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチ
ドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾の
されたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホ
ネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カ
ルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合又は硫
黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジ
チオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレア
ーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、
シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例え
ば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有している
もの、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、
プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例え
ば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属
など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、
修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核
酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、
「ヌクレオチド」及び「核酸」とは、プリン及びピリミ
ジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複
素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうし
た修飾物は、メチル化されたプリン及びピリミジン、ア
シル化されたプリン及びピリミジン、あるいはその他の
複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチ
ド及び修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾され
ていてよく、例えば1個以上の水酸基がハロゲンとか、
脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、
アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0022】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドの分解に抵抗性のものがあげられるが、それに限定さ
れるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のよ
うな方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内で
のアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセ
ンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス
鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし
毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなも
のにする。こうして修飾は当該分野で数多く知られてお
り。例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vo
l. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Cr
ooke et al. ed., Antisense Research and Applicatio
ns, CRC Press, 1993 などに開示がある。本発明のアン
チセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、
塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロス
フェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療
により適用されたり、付加された形態で与えられること
ができうる。こうして付加形態で用いられるものとして
は、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジ
ンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高め
たり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例え
ば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった粗水
性のものがあげられる。付加するに好ましい脂質として
は、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリ
ルクロロホルメート、コール酸など)があげられる。こ
うしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させ
ることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介
して付着させることができうる。その他の基としては、
核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャ
ップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどの
ヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものがあげら
れる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコー
ルをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が
あげられるが、それに限定されるものではない。
【0023】アンチセンス核酸の阻害活性は、本発明の
形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、
あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の生体内や生
体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸それ
自体公知の各種の方法で細胞に適用できる。本発明の部
分ペプチドをコードするDNAとしては、前述した本発
明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するもの
であればいかなるものであってもよい。また、ゲノムD
NA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織
由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAラ
イブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリ
ーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラス
ミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよ
い。また、前記した細胞・組織よりmRNA画分を調製
したものを用いて直接Reverse TranscriptasePolymeras
e Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)
によって増幅することもできる。
【0024】具体的には、本発明の部分ペプチドをコー
ドするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:2で
表わされる塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有
するDNA、または(2)配列番号:2で表わされる塩
基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズする塩基配列を有し、本発明のレセプター蛋白質ペプ
チドと実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シ
グナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質を
コードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが
用いられる。配列番号:2で表わされる塩基配列とハイ
ブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:
2で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約
80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好まし
くは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有する
DNAなどが用いられる。本発明のレセプター蛋白質ま
たはその部分ペプチド(以下、本発明のレセプター蛋白
質と略記する場合がある)を完全にコードするDNAの
クローニングの手段としては、本発明のレセプター蛋白
質の部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用い
てPCR法によって増幅するか、または適当なベクター
に組み込んだDNAを本発明のレセプター蛋白質の一部
あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成D
NAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーション
によって選別することができる。ハイブリダイゼーショ
ンの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Mo
lecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., ColdSpr
ing Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従
って行なうことができる。また、市販のライブラリーを
使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って
行なうことができる。
【0025】DNAの塩基配列の変換は、公知のキッ
ト、例えば、MutanTM-G(宝酒造(株))、MutanTM-K
(宝酒造(株))などを用いて、Gupped duplex法やKun
kel法などの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方
法に従って行なうことができる。クローン化されたレセ
プター蛋白質をコードするDNAは目的によりそのま
ま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカー
を付加したりして使用することができる。該DNAはそ
の5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、
また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、T
GAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開
始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプ
ターを用いて付加することもできる。本発明のレセプタ
ー蛋白質の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のレ
セプター蛋白質をコードするDNAから目的とするDN
A断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベ
クター中のプロモーターの下流に連結することにより製
造することができる。ベクターとしては、大腸菌由来の
プラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC
12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、p
UB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラス
ミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなど
のバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウ
イルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの
他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc
/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本
発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現
に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればい
かなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用
いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモータ
ー、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV
-TKプロモーターなどがあげられる。
【0026】これらのうち、CMVプロモーター、SR
αプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシ
ェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、la
cプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモ
ーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属
菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロ
モーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母であ
る場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモータ
ー、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好
ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプ
ロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。発現
ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、
スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マ
ーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40ori
と略称する場合がある)などを含有しているものを用い
ることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒ
ドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合があ
る)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アン
ピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合が
ある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neorと略
称する場合がある、G418耐性)等があげられる。特
に、CHO(dhfr-)細胞を用いてdhfr遺伝子
を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミ
ジンを含まない培地によっても選択できる。また、必要
に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のレセ
プター蛋白質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒ
ア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シ
グナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、
α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナ
ル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグ
ナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細
胞である場合には、インシュリン・シグナル配列、α−
インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル
配列などがそれぞれ利用できる。このようにして構築さ
れた本発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを含
有するベクターを用いて、形質転換体を製造することが
できる。宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バ
チルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用
いられる。
【0027】エシェリヒア属菌の具体例としては、エシ
ェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1
〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160
(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・
リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用
いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・
ズブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジー
ン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャ
ーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Bioch
emistry),95巻,87(1984)〕などが用いられ
る。酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビ
シエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
-,NA87−11A,DKD−5D,20B−1
2、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア パストリス(Pichia pastoris)などが用いられ
る。昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPV
の場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera fru
giperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由
来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh Five
TM 細胞、Mamestrabrassicae由来の細胞またはEstigmen
a acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBm
NPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;B
mN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例
えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以
上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo),13, 21
3-217,(1977))などが用いられる。昆虫としては、例え
ば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャ
ー(Nature),315巻,592(1985)〕。動物細
胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チ
ャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と
略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細
胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記),
マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ
細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(197
2)やジーン(Gene),17巻,107(1982)など
に記載の方法に従って行なうことができる。 バチルス
属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アン
ド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & Gen
eral Genetics),168巻,111(1979)などに
記載の方法に従って行なうことができる。
【0028】酵母を形質転換するには、例えば、メッソ
ズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(197
8)などに記載の方法に従って行なうことができる。昆
虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ
/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))
などに記載の方法に従って行なうことができる。動物細
胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8新細胞
工学実験プロトコール.263−267(1995)
(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,
456(1973)に記載の方法に従って行なうことがで
きる。このようにして、G蛋白質共役型レセプター蛋白
質をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転
換された形質転換体が得られる。宿主がエシェリヒア属
菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養
に使用される培地としては液体培地が適当であり、その
中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無
機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例え
ば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖な
ど、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸
塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、
肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または
有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、
リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがあげ
られる。また、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを
添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。エ
シェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、
グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Mill
er),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モ
レキュラー・ジェネティックス(Journal of Experimen
ts in Molecular Genetics),431−433,Cold S
pring Harbor Laboratory, New York1972〕が好ま
しい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせ
るために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のよ
うな薬剤を加えることができる。 宿主がエシェリヒア
属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時
間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもでき
る。
【0029】宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約
30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気
や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質転
換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホー
ルダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、
「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,450
5(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培
地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オ
ブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),81巻,5330(1984)〕があげられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は
通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要
に応じて通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆
虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grac
e's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Natur
e),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の
添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpH
は約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通
常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や
撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛
血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),12
2巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・
メディカル・アソシエーション(The Journal of the A
merican Medical Association)199巻,519(19
67)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソ
サイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding ofthe Society for the Biological Medi
cine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。p
Hは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃
〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気
や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細胞
膜に本発明のレセプター蛋白質を生成せしめることがで
きる。
【0030】上記培養物から本発明のレセプター蛋白質
を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なう
ことができる。本発明のレセプター蛋白質を培養菌体あ
るいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方
法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸
濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解など
によって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離や
ろ過によりレセプター蛋白質の粗抽出液を得る方法など
が適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジン
などの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界
面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にレセプター
蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公
知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を
集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽
出液中に含まれるレセプター蛋白質の精製は、自体公知
の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができ
る。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒
沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過
法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方
法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利
用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの
特異的新和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグ
ラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気
泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられ
る。かくして得られるレセプター蛋白質が遊離体で得ら
れた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方
法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた
場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によ
り、遊離体または他の塩に変換することができる。な
お、組換え体が産生するレセプター蛋白質を、精製前ま
たは精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることによ
り、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除
去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、
トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチ
ダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用
いられる。かくして生成する本発明のレセプター蛋白質
またはその塩の活性は、標識したリガンドとの結合実験
および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなど
により測定することができる。本発明のレセプター蛋白
質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体
は、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチ
ドまたはその塩を認識し得る抗体であれば、ポリクロー
ナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
【0031】本発明のレセプター蛋白質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩(以下、本発明のレセプター蛋
白質と略記する場合もある)に対する抗体は、本発明の
レセプター蛋白質を抗原として用い、自体公知の抗体ま
たは抗血清の製造法に従って製造することができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のレセプター蛋白質は、哺乳動物に対して投与に
より抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希
釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高
めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイ
ントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6
週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いら
れる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、
モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギがあげられ
るが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モノ
クローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫
された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められ
た個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリン
パ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫
細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生
ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗
体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプター蛋白質
と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の
活性を測定することにより行なうことができる。融合操
作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方
法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(19
75年)〕に従い実施することができる。融合促進剤と
しては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)や
センダイウィルスなどがあげられるが、好ましくはPE
Gが用いられる。骨髄腫細胞としては、例えば、NS−
1、P3U1、SP2/0などがあげられるが、P3U
1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾
臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜
20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG10
00〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添
加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で
約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく
細胞融合を実施できる。モノクローナル抗体産生ハイブ
リドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できる
が、例えば、本発明のレセプター蛋白質の抗原を直接あ
るいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレ
ート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性
物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞
融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グ
ロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加
え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方
法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着さ
せた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物
質や酵素などで標識したレセプター蛋白質を加え、固相
に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などがあ
げられる。
【0032】モノクローナル抗体の選別は、自体公知あ
るいはそれに準じる方法に従って行なうことができる
が、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、
チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうこと
ができる。選別および育種用培地としては、ハイブリド
ーマが生育できるものならばどのような培地を用いても
良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の
牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%
の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))
またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−10
1、日水製薬(株))などを用いることができる。培養
温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃であ
る。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間
〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なう
ことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上
記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0033】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナ
ル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテ
インAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗
体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精
製法〕に従って行なうことができる。 〔ポリクローナル抗体の作製〕 本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいは
それに準じる方法にしたがって製造することができる。
例えば、免疫抗原(レセプター蛋白質の抗原)とキャリ
アー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル
抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫
動物から本発明のレセプター蛋白質に対する抗体含有物
を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造で
きる。哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原と
キャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質
の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャ
リアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効
率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋さ
せてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイ
ログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン
等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ま
しくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられ
る。また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種
々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒ
ドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオー
ル基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等
が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対して、抗体
産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とと
もに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週
毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができ
る。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺
乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取する
ことができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定
は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定でき
る。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクロ
ーナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精
製法に従って行なうことができる。本発明のレセプター
蛋白質またはその塩、その部分ペプチドまたはその塩、
および該レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコ
ードするDNAは、(1)本発明のレセプター蛋白質に
対するリガンド(アゴニスト)の決定、(2)本発明の
レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防およ
び/または治療剤、(3)遺伝子診断剤、(4)本発明
のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を
変化させる化合物のスクリーニング方法、(5)本発明
のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を
変化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/ま
たは治療剤、(6)本発明のレセプター蛋白質に対する
リガンドの定量法、(7)本発明のレセプター蛋白質と
リガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、
アンタゴニストなど)のスクリーニング方法、(8)本
発明のレセプター蛋白質とリガンドとの結合性を変化さ
せる化合物(アゴニスト、アンタゴニスト)を含有する
各種疾病の予防および/または治療剤、(9)本発明の
レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその
塩の定量、(10)細胞膜における本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物
のスクリーニング方法、(11)細胞膜における本発明
のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化
させる化合物を含有する各種疾病の予防および/または
治療剤、(12)本発明のレセプター蛋白質もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体による中和、
(13)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコ
ードするDNAを有する非ヒト動物の作製などに用いる
ことができる。
【0034】特に、本発明の組換え型レセプター蛋白質
の発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いるこ
とによって、ヒトや哺乳動物に特異的なG蛋白質共役型
レセプターに対するリガンドの結合性を変化させる化合
物(例、アゴニスト、アンタゴニストなど)をスクリー
ニングすることができ、該アゴニストまたはアンタゴニ
ストを各種疾病の予防・治療剤などとして使用すること
ができる。本発明のレセプター蛋白質もしくは部分ペプ
チドまたはその塩(以下、本発明のレセプター蛋白質と
略記する場合がある)、本発明のレセプター蛋白質また
はその部分ペプチドをコードするDNA(以下、本発明
のDNAと略記する場合がある)および本発明のレセプ
ター蛋白質に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記す
る場合がある)の用途について、以下に具体的に説明す
る。
【0035】(1)本発明のレセプター蛋白質に対する
リガンド(アゴニスト)の決定 本発明のレセプター蛋白質もしくはその塩または本発明
の部分ペプチドもしくはその塩は、本発明のレセプター
蛋白質またはその塩に対するリガンド(アゴニスト)を
探索し、または決定するための試薬として有用である。
すなわち、本発明は、本発明のレセプター蛋白質もしく
はその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩
と、試験化合物とを接触させることを特徴とする本発明
のレセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法を提供
する。試験化合物としては、公知のリガンド(例えば、
アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシ
ストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニ
ューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシ
ン、オキシトシン、PACAP、セクレチン、グルカゴ
ン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチ
ン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、V
IP(バソアクティブ インテスティナル アンド リ
レイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパ
ミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP
(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイ
コトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジ
ン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αお
よびβ−ケモカイン(chemokine)(例えば、IL−
8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2、EN
A−78、PF4、IP10、GCP−2、MCP−
1、HC14、MCP−3、I−309、MIP−1
α、MIP−1β、RANTESなど)、エンドセリ
ン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシ
ン、TRH、パンクレアティックポリペプタイドまたは
ガラニンなど)の他に、例えば、ヒトまたは哺乳動物
(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル
など)の組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。
例えば、該組織抽出物、細胞培養上清などを本発明のレ
セプター蛋白質に添加し、細胞刺激活性などを測定しな
がら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができ
る。
【0036】具体的には、本発明のリガンド決定方法
は、本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチ
ドもしくはその塩を用いるか、または組換え型レセプタ
ー蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプタ
ー結合アッセイ系を用いることによって、本発明のレセ
プター蛋白質に結合して細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、c−fos活性化、pHの低下などを促進する活性
または抑制する活性)を有する化合物(例えば、ペプチ
ド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生
産物など)またはその塩を決定する方法である。本発明
のリガンド決定方法においては、本発明のレセプター蛋
白質またはその部分ペプチドと試験化合物とを接触させ
た場合の、例えば、該レセプター蛋白質または該部分ペ
プチドに対する試験化合物の結合量や、細胞刺激活性な
どを測定することを特徴とする。
【0037】より具体的には、本発明は、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質も
しくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその
塩に接触させた場合における、標識した試験化合物の該
蛋白質もしくはその塩、または該部分ペプチドもしくは
その塩に対する結合量を測定することを特徴とする本発
明のレセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの
決定方法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を
含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合に
おける、標識した試験化合物の該細胞または該膜画分に
対する結合量を測定することを特徴とする本発明のレセ
プター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方
法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を
コードするDNAを含有する形質転換体を培養すること
によって細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触さ
せた場合における、標識した試験化合物の該レセプター
蛋白質またはその塩に対する結合量を測定しすることを
特徴とする本発明のレセプター蛋白質に対するリガンド
の決定方法、 試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質を含有する
細胞に接触させた場合における、レセプター蛋白質を介
した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチ
ルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生
成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの
活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する
活性など)を測定することを特徴とする本発明のレセプ
ター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、
および 試験化合物を、本発明のレセプター蛋白質をコードす
るDNAを含有する形質転換体を培養することによって
細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触させた場合
における、レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生
成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内
蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下な
どを促進する活性または抑制する活性など)を測定する
ことを特徴とする本発明のレセプター蛋白質またはその
塩に対するリガンドの決定方法を提供する。
【0038】特に、上記〜の試験を行ない、試験化
合物が本発明のレセプター蛋白質に結合することを確認
した後に、上記〜の試験を行なうことが好ましい。
まず、リガンド決定方法に用いるレセプター蛋白質とし
ては、上記した本発明のレセプター蛋白質または本発明
の部分ペプチドを含有するものであれば何れのものであ
ってもよいが、動物細胞を用いて大量発現させたレセプ
ター蛋白質が適している。本発明のレセプター蛋白質を
製造するには、前述の発現方法が用いられるが、該レセ
プター蛋白質をコードするDNAを哺乳動物細胞や昆虫
細胞で発現することにより行なうことが好ましい。目的
とする蛋白質部分をコードするDNA断片には、通常、
相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制約される
ものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用い
てもよい。本発明のレセプター蛋白質をコードするDN
A断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現
させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキ
ュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear po
lyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモータ
ー、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプ
ロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒー
トショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモ
ーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが
好ましい。発現したレセプターの量と質の検査はそれ自
体公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Namb
i,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,
1992年〕に記載の方法に従って行うことができる。した
がって、本発明のリガンド決定方法において、本発明の
レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその
塩を含有するものとしては、それ自体公知の方法に従っ
て精製したレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチド
またはその塩であってもよいし、該レセプター蛋白質を
含有する細胞またはその細胞膜画分を用いてもよい。
【0039】本発明のリガンド決定方法において、本発
明のレセプター蛋白質を含有する細胞を用いる場合、該
細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化し
てもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行
なうことができる。本発明のレセプター蛋白質を含有す
る細胞としては、本発明のレセプター蛋白質を発現した
宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草
菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。細胞
膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方
法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。
細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナ
イザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーや
ポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波によ
る破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細い
ノズルから噴出させることによる破砕などがあげられ
る。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心
分離法などの遠心力による分画法が主として用いられ
る。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜300
0rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、
上清をさらに高速(15000rpm〜30000rp
m)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画
分とする。該膜画分中には、発現したレセプター蛋白質
と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含
まれる。該レセプター蛋白質を含有する細胞やその膜画
分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり103
108分子であるのが好ましく、105〜107分子であ
るのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当た
りのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度な
スクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同
一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0040】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
対するリガンドを決定する上記の〜の方法を実施す
るためには、適当なレセプター蛋白質画分と、標識した
試験化合物が必要である。レセプター蛋白質画分として
は、天然型のレセプター蛋白質画分か、またはそれと同
等の活性を有する組換え型レセプター画分などが望まし
い。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活
性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識した試験化
合物としては、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、
35S〕などで標識したアンギオテンシン、ボンベシ
ン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セ
ロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイ
ド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACA
P、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノ
メジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、AC
TH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ イン
テスティナル アンド リイテッド ポリペプチド)、
ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブ
ラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティ
ッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチ
ン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシ
ン、アドレナリン、αおよびβ−ケモカイン(chemokin
e)(例えば、IL−8、GROα、GROβ、GRO
γ、NAP−2、ENA−78、PF4、IP10、G
CP−2、MCP−1、HC14、MCP−3、I−3
09、MIP−1α、MIP−1β、RANTESな
ど)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミ
ン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポ
リペプタイドまたはガラニンなどが好適である。
【0041】具体的には、本発明のレセプター蛋白質ま
たはその塩に対するリガンドの決定方法を行なうには、
まず本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞または細
胞の膜画分を、決定方法に適したバッファーに懸濁する
ことによりレセプター標品を調製する。バッファーに
は、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バ
ッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレ
セプター蛋白質との結合を阻害しないバッファーであれ
ばいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目
的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラ
ス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性
剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各種蛋白質を
バッファーに加えることもできる。さらに、プロテアー
ゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的でP
MSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所
製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加す
ることもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター
溶液に、一定量(5000cpm〜500000cp
m)の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した試験化合物を共存させる。非特異的結合量(N
SB)を知るために大過剰の未標識の試験化合物を加え
た反応チューブも用意する。反応は約0℃から50℃、
望ましくは約4℃から37℃で、約20分から24時
間、望ましくは約30分から3時間行なう。反応後、ガ
ラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄し
た後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチ
レーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測す
る。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引
いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験化
合物を本発明のレセプター蛋白質またはその塩に対する
リガンド(アゴニスト)として選択することができる。
【0042】本発明のレセプター蛋白質またはその塩に
対するリガンドを決定する上記の〜の方法を実施す
るためには、該レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下
などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の
方法または市販の測定用キットを用いて測定することが
できる。具体的には、まず、レセプター蛋白質を含有す
る細胞をマルチウェルプレート等に培養する。リガンド
決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは
細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験
化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、
細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物を
それぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標
とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細
胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分
解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なっても
よい。また、cAMP産生抑制などの活性については、
フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させて
おいた細胞に対する産生抑制作用として検出することが
できる。本発明のレセプター蛋白質またはその塩に結合
するリガンド決定用キットは、本発明のレセプター蛋白
質もしくはその塩、本発明の部分ペプチドもしくはその
塩、本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞、または
本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分など
を含有するものである。
【0043】本発明のリガンド決定用キットの例として
は、次のものがあげられる。 1.リガンド決定用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 G蛋白質共役型レセプター蛋白質標品 本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、
12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、
5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識試験化合物 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した化合物、または適当な方法で標識化したもの水
溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、
用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。水に難溶性
を示す試験化合物については、ジメチルホルムアミド、
DMSO、メタノール等に溶解する。 非標識試験化合物 標識化合物と同じものを100〜1000倍濃い濃度に
調製する。
【0044】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 標識試験化合物を5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには非標識試験化合物
を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識試験化合物を0.2N NaO
H−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーター
A(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定する。 本発明のレセプター蛋白質またはその塩に結合すること
ができるリガンドとしては、例えば、脳、下垂体、膵臓
などに特異的に存在する物質などがあげられ、具体的に
は、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コ
レシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニ
ン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプ
レッシン、オキシトシン、PACAP、セクレチン、グ
ルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマト
スタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PT
H、VIP(バソアクティブ インテスティナル アン
ドリレイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ド
ーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGR
P(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロ
イコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジ
ン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αお
よびβ−ケモカイン(chemokine)(例えば、IL−
8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2、EN
A−78、PF4、IP10、GCP−2、MCP−
1、HC14、MCP−3、I−309、MIP−1
α、MIP−1β、RANTESなど)、エンドセリ
ン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシ
ン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラ
ニンなどが用いられる。
【0045】(2)本発明のレセプター蛋白質の機能不
全に関連する疾患の予防および/または治療剤 上記(1)の方法において、本発明のレセプター蛋白質
に対するリガンドが明らかになれば、該リガンドが有す
る作用に応じて、本発明のレセプター蛋白質または
該レセプター蛋白質をコードするDNAを、本発明のレ
セプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防および
/または治療剤などの医薬として使用することができ
る。例えば、生体内において本発明のレセプター蛋白質
が減少しているためにリガンドの生理作用が期待できな
い(該レセプター蛋白質の欠乏症)患者がいる場合に、
本発明のレセプター蛋白質を該患者に投与し該レセプ
ター蛋白質の量を補充したり、(イ)本発明のレセプ
ター蛋白質をコードするDNAを該患者に投与し発現さ
せることによって、あるいは(ロ)対象となる細胞に本
発明のレセプター蛋白質をコードするDNAを挿入し発
現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによ
って、患者の体内におけるレセプター蛋白質の量を増加
させ、リガンドの作用を充分に発揮させることができ
る。即ち、本発明のレセプター蛋白質をコードするDN
Aは、安全で低毒性な本発明のレセプター蛋白質の機能
不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として
有用である。本発明のレセプター蛋白質は、G蛋白共役
型レセプター蛋白質であるSLC−1受容体またはソマ
トスタチン受容体タイプ3またはタイプ5(SS5Rま
たはSS3R)にアミノ酸配列レベルで約60%の相同
性が認められる。本発明のレセプター蛋白質および本発
明のレセプター蛋白質をコードするDNAは、中枢疾患
(例えばアルツハイマー病・痴呆・摂食障害(拒食症)・
てんかんなど)、ホルモン系の疾患(例えば、微弱陣
痛、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、帝王切開
術、人工妊娠中絶、乳汁うっ滞など)、肝/胆/膵/内分
泌疾患(例えば糖尿病・摂食障害など)、炎症性疾患(アレ
ルギー・喘息・リュウマチなど)、循環器疾患(例えば高
血圧症・心肥大・狭心症・動脈硬化等)の予防および/ま
たは治療に有用である。
【0046】本発明のレセプター蛋白質を上記予防・治
療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化す
ることができる。一方、本発明のレセプター蛋白質をコ
ードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合
がある)を上記予防・治療剤として使用する場合は、本
発明のDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、
アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテ
ッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した
後、常套手段に従って投与することができる。本発明の
DNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助
剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのよう
なカテーテルによって投与できる。例えば、本発明の
レセプター蛋白質または該レセプター蛋白質をコード
するDNAは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセ
ル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経
口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し
得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の
形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のレセプ
ター蛋白質または該レセプター蛋白質をコードするD
NAを生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形
剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一
般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混
和することによって製造することができる。これら製剤
における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得
られるようにするものである。
【0047】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0048】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例
えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。本発明
のレセプター蛋白質の投与量は、投与対象、対象臓器、
症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に例えば、拒食症患者(60kgとして)に
おいては、一日につき約0.1mg〜100mg、好ま
しくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜
20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回
投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによ
っても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、
拒食症患者(60kgとして)においては、一日につき
約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20
mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静
脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場
合も、60kg当たりに換算した量を投与することがで
きる。本発明のDNAの投与量は、投与対象、対象臓
器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与
の場合、一般的に例えば、拒食症患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.1mg〜100m
g、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約
1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、
その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法
などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常
例えば、拒食症患者(60kgとして)においては、一
日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.
1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg
程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の
動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与する
ことができる。
【0049】(3)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒ
ツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)における本
発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコー
ドするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検
出することができるので、例えば、該DNAまたはmR
NAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAま
たはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断
剤として有用である。本発明のDNAを用いる上記の遺
伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイ
ゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Geno
mics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プ
ロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedi
ngs ofthe National Academy of Sciences of the Unit
ed States of America),第86巻,2766〜277
0頁(1989年))などにより実施することができ
る。
【0050】(4)本発明のレセプター蛋白質またはそ
の部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリー
ニング方法 本発明のDNAは、プローブとして用いることにより、
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発
現量を変化させる化合物のスクリーニングに用いること
ができる。すなわち本発明は、例えば、(i)非ヒト哺
乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離した組
織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含まれる
本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのm
RNA量を測定することによる、本発明のレセプター蛋
白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合
物のスクリーニング方法を提供する。本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドのmRNA量の測定は
具体的には以下のようにして行なう。 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた細胞に含まれる本発
明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドのmRN
Aは、例えば、通常の方法により細胞等からmRNAを
抽出し、例えばTaqManPCRなどの手法を用いることによ
り定量することができ、自体公知の手段によりノザンブ
ロットを行うことにより解析することもできる。 (ii)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプ
チドを発現する形質転換体を前述の方法に従い作製し、
該形質転換体に含まれる本発明のレセプター蛋白質また
はその部分ペプチドのmRNAを同様にして定量、解析
することができる。
【0051】本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニング
は、(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対
して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時
間前(30分前ないし24時間前、好ましくは30分前
ないし12時間前、より好ましくは1時間前ないし6時
間前)もしくは一定時間後(30分後ないし3日後、好
ましくは1時間後ないし2日後、より好ましくは1時間
後ないし24時間後)、または薬剤あるいは物理的スト
レスと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過
後(30分後ないし3日後、好ましくは1時間後ないし
2日後、より好ましくは1時間後ないし24時間後)、
細胞に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部
分ペプチドのmRNA量を定量、解析することにより行
なうことができ、(ii)形質転換体を常法に従い培養す
る際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後
(1日後ないし7日後、好ましくは1日後ないし3日
後、より好ましくは2日後ないし3日後)、該形質転換
体に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドのmRNA量を定量、解析することにより行な
うことができる。
【0052】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩は、本発明のレセプター蛋白質
またはその部分ペプチドの発現量を変化させる作用を有
する化合物であり、具体的には、(イ)本発明のレセプ
ター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ
ることにより、G蛋白質共役型レセプターを介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、p
Hの低下などを促進する活性または抑制する活性など)
を増強させる化合物、(ロ)本発明のレセプター蛋白質
またはその部分ペプチドの発現量を減少させることによ
り、該細胞刺激活性を減弱させる化合物である。該化合
物としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物などがあげられ、これら化
合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物で
あってもよい。該細胞刺激活性を増強させる化合物は、
本発明のレセプター蛋白質の生理活性を増強するための
安全で低毒性な医薬(例えば、中枢疾患(例えばアルツ
ハイマー病・痴呆・摂食障害(拒食症)・てんかんな
ど)、ホルモン系の疾患(例えば、微弱陣痛、弛緩出
血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、帝王切開術、人工妊
娠中絶、乳汁うっ滞など)、肝/胆/膵/内分泌疾患(例え
ば糖尿病・摂食障害など)、炎症性疾患(アレルギー・喘
息・リュウマチなど)、循環器疾患(例えば高血圧症・心
肥大・狭心症・動脈硬化等)の予防および/または治療
剤)として有用である。該細胞刺激活性を減弱させる化
合物は、本発明のレセプター蛋白質の生理活性を減少さ
せるための安全で低毒性な医薬として有用である。
【0053】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場
合、常套手段に従って実施することができる。例えば、
上記した本発明のレセプター蛋白質を含有する医薬と同
様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロ
カプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることがで
きる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であ
るので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に
対して投与することができる。該化合物またはその塩の
投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
より差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、
拒食症患者(60kgとして)においては、一日につき
約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50m
g、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口
的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象
臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例え
ば、注射剤の形では通常例えば、拒食症患者(60kg
として)においては、一日につき約0.01〜30mg
程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好まし
くは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与する
のが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たり
に換算した量を投与することができる。
【0054】(5)本発明のレセプター蛋白質またはそ
の部分ペプチドの発現量を変化させる化合物を含有する
各種疾病の予防および/または治療剤 本発明のレセプター蛋白質は前述のとおり、例えば中枢
機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると
考えられる。従って、本発明のレセプター蛋白質または
その部分ペプチドの発現量を変化させる化合物は、本発
明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患(例え
ば、中枢疾患(例えばアルツハイマー病・痴呆・摂食障害
(拒食症)・てんかんなど)、ホルモン系の疾患(例え
ば、微弱陣痛、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不
全、帝王切開術、人工妊娠中絶、乳汁うっ滞など)、肝
/胆/膵/内分泌疾患(例えば糖尿病・摂食障害など)、炎症
性疾患(アレルギー・喘息・リュウマチなど)、循環器疾
患(例えば高血圧症・心肥大・狭心症・動脈硬化等)等)の
予防および/または治療剤として用いることができる。
該化合物を本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連
する疾患の予防および/または治療剤として使用する場
合は、常套手段に従って製剤化することができる。例え
ば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプ
セル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして
経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容
し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤
の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理
学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒク
ル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認めら
れた製剤実施に要求される単位用量形態で混和すること
によって製造することができる。これら製剤における有
効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるよう
にするものである。
【0055】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。また、上記予防・治療剤は、例
えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウ
ム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウ
ム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清
アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤
(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸
化防止剤などと配合してもよい。調整された注射液は通
常、適当なアンプルに充填される。このようにして得ら
れる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺
乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することがで
きる。該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対
象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口
投与の場合、一般的に例えば、拒食症患者(60kgと
して)においては、一日につき約0.1〜100mg、
好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.
0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その
1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法など
によっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例え
ば、拒食症患者(60kgとして)においては、一日に
つき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜
20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度
を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0056】(6)本発明のレセプター蛋白質に対する
リガンドの定量法 本発明のレセプター蛋白質は、リガンドに対して結合性
を有しているので、生体内におけるリガンド濃度を感度
良く定量することができる。本発明の定量法は、例え
ば、競合法と組み合わせることによって用いることがで
きる。すなわち、被検体を本発明のレセプター蛋白質と
接触させることによって被検体中のリガンド濃度を測定
することができる。具体的には、例えば、以下のまた
はなどに記載の方法あるいはそれに準じる方法に従っ
て用いることができる。 入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和4
9年発行) 入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和
54年発行)
【0057】(7)本発明のレセプター蛋白質とリガン
ドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタ
ゴニストなど)のスクリーニング方法 本発明のレセプター蛋白質を用いるか、または組換え型
レセプター蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いた
レセプター結合アッセイ系を用いることによって、リガ
ンドと本発明のレセプター蛋白質との結合性を変化させ
る化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化
合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩を効
率よくスクリーニングすることができる。このような化
合物には、(イ)G蛋白質共役型レセプターを介して細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞
内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位
変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、
pHの低下などを促進する活性または抑制する活性な
ど)を有する化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋
白質に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有
しない化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に
対するアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のG
蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合力を増強する化
合物、あるいは(ニ)リガンドと本発明のG蛋白質共役
型レセプター蛋白質との結合力を減少させる化合物など
が含まれる(なお、上記(イ)の化合物は、上記したリ
ガンド決定方法によってスクリーニングすることが好ま
しい)。すなわち、本発明は、(i)本発明のレセプタ
ー蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と、リ
ガンドとを接触させた場合と(ii)本発明のレセプター
蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩と、リガ
ンドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を行
なうことを特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋
白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩との結合性
を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法
を提供する。本発明のスクリーニング方法においては、
(i)と(ii)の場合における、例えば、該レセプター
蛋白質に対するリガンドの結合量、細胞刺激活性などを
測定して、比較することを特徴とする。
【0058】より具体的には、本発明は、 標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質に接
触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物を
本発明のレセプター蛋白質に接触させた場合における、
標識したリガンドの該レセプター蛋白質に対する結合量
を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明
のレセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物また
はその塩のスクリーニング方法、 標識したリガンドを、本発明のレセプター蛋白質を含
有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、
標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のレセプタ
ー蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触さ
せた場合における、標識したリガンドの該細胞または該
膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴と
するリガンドと本発明のレセプター蛋白質との結合性を
変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、 標識したリガンドを、本発明のDNAを含有する形質
転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセ
プター蛋白質に接触させた場合と、標識したリガンドお
よび試験化合物を本発明のDNAを含有する形質転換体
を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレ
セプター蛋白質に接触させた場合における、標識したリ
ガンドの該レセプター蛋白質に対する結合量を測定し、
比較することを特徴とするリガンドと本発明のレセプタ
ー蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩の
スクリーニング方法、 本発明のレセプター蛋白質を活性化する化合物(例え
ば、本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドなど)
を本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞に接触させ
た場合と、本発明のレセプター蛋白質を活性化する化合
物および試験化合物を本発明のレセプター蛋白質を含有
する細胞に接触させた場合における、レセプターを介し
た細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチル
コリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜
電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性
化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性
など)を測定し、比較することを特徴とするリガンドと
本発明のレセプター蛋白質との結合性を変化させる化合
物またはその塩のスクリーニング方法、および 本発明のレセプター蛋白質を活性化する化合物(例え
ば、本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドなど)
を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養すること
によって細胞膜上に発現した本発明のレセプター蛋白質
に接触させた場合と、本発明のレセプター蛋白質を活性
化する化合物および試験化合物を本発明のDNAを含有
する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現
した本発明のレセプター蛋白質に接触させた場合におけ
る、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキ
ドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトー
ルリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活
性または抑制する活性など)を測定し、比較することを
特徴とするリガンドと本発明のレセプター蛋白質との結
合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング
方法を提供する。
【0059】本発明のレセプター蛋白質が得られる以前
は、G蛋白質共役型レセプターアゴニストまたはアンタ
ゴニストをスクリーニングする場合、まずラットなどの
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含む細胞、組織また
はその細胞膜画分を用いて候補化合物を得て(一次スク
リーニング)、その後に該候補化合物が実際にヒトのG
蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合を阻
害するか否かを確認する試験(二次スクリーニング)が
必要であった。細胞、組織または細胞膜画分をそのまま
用いれば他のレセプター蛋白質も混在するために、目的
とするレセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアン
タゴニストを実際にスクリーニングすることは困難であ
った。しかしながら、例えば、本発明のヒト由来レセプ
ター蛋白質を用いることによって、一次スクリーニング
の必要がなくなり、リガンドとG蛋白質共役型レセプタ
ー蛋白質との結合を阻害する化合物を効率良くスクリー
ニングすることができる。さらに、スクリーニングされ
た化合物がアゴニストかアンタゴニストかを簡便に評価
することができる。
【0060】本発明のスクリーニング方法の具体的な説
明を以下にする。まず、本発明のスクリーニング方法に
用いる本発明のレセプター蛋白質としては、上記した本
発明のレセプター蛋白質を含有するものであれば何れの
ものであってもよいが、本発明のレセプター蛋白質を含
有する哺乳動物の臓器の細胞膜画分が好適である。しか
し、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことか
ら、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え
体を用いて大量発現させたラット由来のレセプター蛋白
質などが適している。本発明のレセプター蛋白質を製造
するには、前述の方法が用いられるが、本発明のDNA
を哺乳細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうこと
が好ましい。目的とする蛋白質部分をコードするDNA
断片には相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制
約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DN
Aを用いてもよい。本発明のレセプター蛋白質をコード
するDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率
よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主と
するバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nu
clear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプ
ロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロウイ
ルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、
ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウイル
スプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に組み
込むのが好ましい。発現したレセプターの量と質の検査
はそれ自体公知の方法で行うことができる。例えば、文
献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜
19559頁,1992年〕に記載の方法に従って行なうことがで
きる。したがって、本発明のスクリーニング方法におい
て、本発明のレセプター蛋白質を含有するものとして
は、それ自体公知の方法に従って精製したレセプター蛋
白質であってもよいし、該レセプター蛋白質を含有する
細胞を用いてもよく、また該レセプター蛋白質を含有す
る細胞の膜画分を用いてもよい。本発明のスクリーニン
グ方法において、本発明のレセプター蛋白質を含有する
細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホル
マリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体
公知の方法に従って行なうことができる。本発明のレセ
プター蛋白質を含有する細胞としては、該レセプター蛋
白質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞として
は、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが
好ましい。細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、そ
れ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分
のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elve
hjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリン
グブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破
砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しな
がら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕な
どがあげられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や
密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主とし
て用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rp
m〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10
分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜3
0000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られ
る沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセ
プター蛋白質と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜
成分が多く含まれる。
【0061】該レセプター蛋白質を含有する細胞や膜画
分中のレセプター蛋白質の量は、1細胞当たり103
108分子であるのが好ましく、105〜107分子であ
るのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当た
りのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度な
スクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同
一ロットで大量の試料を測定できるようになる。リガン
ドと本発明のレセプター蛋白質との結合性を変化させる
化合物をスクリーニングする上記の〜を実施するた
めには、例えば、適当なレセプター蛋白質画分と、標識
したリガンドが必要である。レセプター蛋白質画分とし
ては、天然型のレセプター蛋白質画分か、またはそれと
同等の活性を有する組換え型レセプター蛋白質画分など
が望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド
結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識した
リガンドとしては、標識したリガンド、標識したリガン
ドアナログ化合物などが用いられる。例えば〔3H〕、
125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたリガ
ンドなどが用いられる。具体的には、リガンドと本発明
のレセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物のス
クリーニングを行なうには、まず本発明のレセプター蛋
白質を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニ
ングに適したバッファーに懸濁することによりレセプタ
ー蛋白質標品を調製する。バッファーには、pH4〜1
0(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリ
ス−塩酸バッファーなどのリガンドとレセプター蛋白質
との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよ
い。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAP
S、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギト
ニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファー
に加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレ
セプターやリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロ
イペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタ
チンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもでき
る。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一
定量(5000cpm〜500000cpm)の標識し
たリガンドを添加し、同時に10-4M〜10-10Mの試
験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知
るために大過剰の未標識のリガンドを加えた反応チュー
ブも用意する。反応は約0℃から50℃、望ましくは約
4℃から37℃で、約20分から24時間、望ましくは
約30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙で濾
過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾
紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンタ
ーまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がな
い場合のカウント(B0)から非特異的結合量(NSB)
を引いたカウント(B0−NSB)を100%とした
時、特異的結合量(B−NSB)が、例えば、50%以
下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質とし
て選択することができる。
【0062】リガンドと本発明のレセプター蛋白質との
結合性を変化させる化合物スクリーニングする上記の
〜の方法を実施するためには、例えば、レセプター蛋
白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊
離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca遊離、細胞内cA
MP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産
生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−f
osの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑
制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キッ
トを用いて測定することができる。具体的には、まず、
本発明のレセプター蛋白質を含有する細胞をマルチウェ
ルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうにあ
たっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さ
ない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加
して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるい
は上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に
従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例え
ば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解
酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻
害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cA
MP産生抑制などの活性については、フォルスコリンな
どで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対す
る産生抑制作用として検出することができる。細胞刺激
活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当なレ
セプター蛋白質を発現した細胞が必要である。本発明の
レセプター蛋白質を発現した細胞としては、天然型の本
発明のレセプター蛋白質を有する細胞株、前述の組換え
型レセプター蛋白質を発現した細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非
ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出
液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これ
ら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合
物であってもよい。リガンドと本発明のレセプター蛋白
質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリ
ーニング用キットは、本発明のレセプター蛋白質、本発
明のレセプター蛋白質を含有する細胞、または本発明の
レセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分を含有するも
のなどである。
【0063】本発明のスクリーニング用キットの例とし
ては、次のものがあげられる。 1.スクリーニング用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 G蛋白質共役型レセプター標品 本発明のレセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、
12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、
5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識リガンド 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識したリガンド 水溶液の状態のものを4℃あるいは
−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに
希釈する。 リガンド標準液 リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)
を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で
保存する。
【0064】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プター蛋白質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで
2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加
える。 10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた
後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わ
りに10-3Mのリガンドを5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH
−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA
(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式〔数1〕で求める。 〔数1〕 PMB=[(B−NSB)/(B0−NSB)]×10
0 PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の値 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B0 :最大結合量
【0065】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、リガンドと本発明のレセプター蛋白質との結合性を
変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、
(イ)G蛋白質共役型レセプターを介して細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下
などを促進する活性または抑制する活性など)を有する
化合物(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対する
アゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物
(いわゆる、本発明のレセプター蛋白質に対するアンタ
ゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型
レセプター蛋白質との結合力を増強する化合物、あるい
は(ニ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型レセプター
蛋白質との結合力を減少させる化合物である。該化合物
としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、
合成化合物、発酵生産物などがあげられ、これら化合物
は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であっ
てもよい。本発明のレセプター蛋白質に対するアゴニス
トは、本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドが有
する生理活性と同様の作用を有しているので、該リガン
ド活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のレセプター蛋白質に対するアンタゴニストは、
本発明のレセプター蛋白質に対するリガンドが有する生
理活性を抑制することができるので、該リガンド活性を
抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
【0066】リガンドと本発明のレセプター蛋白質との
結合力を増強する化合物は、本発明のレセプター蛋白質
に対するリガンドが有する生理活性を増強するための安
全で低毒性な医薬(例えば、中枢疾患(例えばアルツハ
イマー病・痴呆・摂食障害(拒食症)・てんかんなど)、
ホルモン系の疾患(例えば、微弱陣痛、弛緩出血、胎盤
娩出前後、子宮復古不全、帝王切開術、人工妊娠中絶、
乳汁うっ滞など)、肝/胆/膵/内分泌疾患(例えば糖尿病
・摂食障害など)、炎症性疾患(アレルギー・喘息・リュ
ウマチなど)、循環器疾患(例えば高血圧症・心肥大・狭心
症・動脈硬化等)の予防および/または治療剤)として
有用である。リガンドと本発明のレセプター蛋白質との
結合力を減少させる化合物は、本発明のレセプター蛋白
質に対するリガンドが有する生理活性を減少させるため
の安全で低毒性な医薬として有用である。本発明のスク
リーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて
得られる化合物またはその塩を上述の医薬組成物として
使用する場合、常套手段に従って使用することができ
る。例えば、上記した本発明のレセプター蛋白質を含有
する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル
剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などと
することができる。このようにして得られる製剤は安全
で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例え
ば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。
【0067】該化合物またはその塩の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、拒食症患者(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常例えば、拒食症患者(60kgとして)において
は、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0068】(8)本発明のレセプター蛋白質とリガン
ドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタ
ゴニスト)を含有する各種疾病の予防および/または治
療剤本発明のレセプター蛋白質は前述のとおり、例えば
中枢機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしてい
ると考えられる。従って、本発明のレセプター蛋白質と
リガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、
アンタゴニスト)は、本発明のレセプター蛋白質の機能
不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として
用いることができる。該化合物を本発明のレセプター蛋
白質の機能不全に関連する疾患(例えば、中枢疾患(例
えばアルツハイマー病・痴呆・摂食障害(拒食症)・てん
かんなど)、ホルモン系の疾患(例えば、微弱陣痛、弛
緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、帝王切開術、人
工妊娠中絶、乳汁うっ滞など)、肝/胆/膵/内分泌疾患
(例えば糖尿病・摂食障害など)、炎症性疾患(アレルギー
・喘息・リュウマチなど)、循環器疾患(例えば高血圧症
・心肥大・狭心症・動脈硬化等)等)の予防および/また
は治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤
化することができる。例えば、該化合物は、必要に応じ
て糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイ
クロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしく
はそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、ま
たは懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用でき
る。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担
体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合
剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される
単位用量形態で混和することによって製造することがで
きる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲
の適当な用量が得られるようにするものである。
【0069】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。また、上記予防・治療剤は、例
えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウ
ム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウ
ム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清
アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤
(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸
化防止剤などと配合してもよい。調整された注射液は通
常、適当なアンプルに充填される。このようにして得ら
れる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺
乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することがで
きる。
【0070】該化合物またはその塩の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、拒食症患者(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常例えば、拒食症患者(60kgとして)において
は、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0071】(9)本発明のレセプター蛋白質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩の定量本発明の抗体は、
本発明のレセプター蛋白質を特異的に認識することがで
きるので、被検液中の本発明のレセプター蛋白質の定
量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用
することができる。すなわち、本発明は、例えば、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化レセプター
蛋白質とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化
レセプター蛋白質の割合を測定することを特徴とする被
検液中の本発明のレセプター蛋白質の定量法、(ii)被
検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化さ
れた本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反応させた
のち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特
徴とする被検液中の本発明のレセプター蛋白質の定量法
を提供する。上記(ii)においては、一方の抗体が本発
明のレセプター蛋白質のN端部を認識する抗体で、他方
の抗体が本発明のレセプター蛋白質のC端部に反応する
抗体であることが好ましい。本発明のレセプター蛋白質
に対するモノクローナル抗体(以下、本発明のモノクロ
ーナル抗体と称する場合がある)を用いて本発明のレセ
プター蛋白質の測定を行なえるほか、組織染色等による
検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分
子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(a
b')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよ
い。本発明のレセプター蛋白質に対する抗体を用いる測
定法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中
の抗原量(例えば、レセプター蛋白質量)に対応した抗
体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または
物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標
準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であ
れば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロ
メトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイ
ッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後
述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
【0072】標識物質を用いる測定法に用いられる標識
剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物
質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素として
は、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、
14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で
比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクト
シダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファタ
ーゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用
いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられ
る。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノー
ル誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられ
る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオ
チン−アビジン系を用いることもできる。抗原あるいは
抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、ま
た通常、蛋白質あるいは酵素等を不溶化、固定化するの
に用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体とし
ては、例えば、アガロース、デキストラン、セルロース
などの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミ
ド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が用いら
れる。サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモ
ノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さ
らに標識化した本発明のモノクローナル抗体を反応させ
(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測
定することにより被検液中の本発明のレセプター蛋白質
量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の
順序に行なっても、また、同時に行なってもよいし時間
をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方
法は上記のそれらに準じることができる。また、サンド
イッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるい
は標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である
必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以
上の抗体の混合物を用いてもよい。本発明のサンドイッ
チ法によるレセプター蛋白質の測定法においては、1次
反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗
体はレセプター蛋白質の結合する部位が相異なる抗体が
好ましく用いられる。即ち、1次反応および2次反応に
用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体
が、レセプター蛋白質のC端部を認識する場合、1次反
応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えば
N端部を認識する抗体が用いられる。本発明のモノクロ
ーナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例え
ば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリ
ーなどに用いることができる。競合法では、被検液中の
抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたの
ち、未反応の標識抗原と(F)と抗体と結合した標識抗
原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの
標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応
法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポ
リエチレングリコール、上記抗体に対する第2抗体など
を用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を
用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第
2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられ
る。イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化
抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後
固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と
過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加
え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と
液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し
被検液中の抗原量を定量する。
【0073】また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果、生じた不溶性の沈降物
の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量
の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用
するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用
するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要と
されない。それぞれの方法における通常の条件、操作法
に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその塩の測定系を構築すればよい。これ
らの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書な
どを参照することができる〔例えば、入江 寛編「ラジ
オイムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江
寛編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54
年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書
院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定
法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄
治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和
62年発行)、「メソッズ・イン・エンジモノジー(Me
thods in ENZYMOLOGY)」Vol. 70(Immunochemical Techn
iques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techn
iques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techn
iques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techn
iques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 9
2(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Anti
bodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vo
l. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma
Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカ
デミックプレス社発行)など参照〕。以上のように、本
発明の抗体を用いることによって、本発明のレセプター
蛋白質またはその塩を感度良く定量することができる。
【0074】さらに、本発明の抗体を用いて、生体内で
の本発明のレセプター蛋白質またはその塩を定量するこ
とによって、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関
連する各種疾患(例えば、中枢疾患(例えばアルツハイ
マー病・痴呆・摂食障害(拒食症)・てんかんなど)、ホ
ルモン系の疾患(例えば、微弱陣痛、弛緩出血、胎盤娩
出前後、子宮復古不全、帝王切開術、人工妊娠中絶、乳
汁うっ滞など)、肝/胆/膵/内分泌疾患(例えば糖尿病・
摂食障害など)、炎症性疾患(アレルギー・喘息・リュウ
マチなど)、循環器疾患(例えば高血圧症・心肥大・狭心症
・動脈硬化等)等)の診断をすることができる。また、
本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する
本発明のレセプター蛋白質を特異的に検出するために使
用することができる。また、本発明のレセプター蛋白質
を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の
各分画中の本発明のレセプター蛋白質の検出、被検細胞
内における本発明のレセプター蛋白質の挙動の分析など
のために使用することができる。
【0075】(10)細胞膜における本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物のスクリーニング方法本発明の抗体は、本発明のレセ
プター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を
特異的に認識することができるので、細胞膜における本
発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を
変化させる化合物のスクリーニングに用いることができ
る。すなわち本発明は、例えば、(i)非ヒト哺乳動物
の血液、特定の臓器、臓器から単離した組織もし
くは細胞等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜
画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその部
分ペプチドを定量することによる、細胞膜における本発
明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変
化させる化合物のスクリーニング方法、(ii)本発明の
レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドを発現する
形質転換体等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞
膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質またはその
部分ペプチドを定量することによる、細胞膜における本
発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を
変化させる化合物のスクリーニング方法、(iii)非ヒ
ト哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離し
た組織もしくは細胞等を切片とした後、免疫染色法を用
いることにより、細胞表層での該受容体タンパク質の染
色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該タンパ
ク質を確認することによる、細胞膜における本発明のレ
セプター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させ
る化合物のスクリーニング方法を提供する。(iv)本発
明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドを発現
する形質転換体等を切片とした後、免疫染色法を用いる
ことにより、細胞表層での該受容体タンパク質の染色度
合いを定量化することにより、細胞膜上の該タンパク質
を確認することによる、細胞膜における本発明のレセプ
ター蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化
合物のスクリーニング方法を提供する。
【0076】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドの定量は具体的には以下
のようにして行なう。 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細
胞等を、例えば、適当な緩衝液(例えば、トリス塩酸緩
衝液、リン酸緩衝液、ヘペス緩衝液など)等に懸濁し、
臓器、組織あるいは細胞を破壊し、界面活性剤(例え
ば、トリトンX100TM、ツイーン20TMなど)などを
用い、さらに遠心分離や濾過、カラム分画などの手法を
用いて細胞膜画分を得る。細胞膜画分としては、細胞を
破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多
く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法として
は、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰
す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinemati
ca社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレ
スなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させる
ことによる破砕などがあげられる。細胞膜の分画には、
分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力によ
る分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を
低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通
常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15
000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時
間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中に
は、発現したレセプター蛋白質と細胞由来のリン脂質や
膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
【0077】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドは、例えば、本発明の抗
体を用いたサンドイッチ免疫測定法、ウエスタンブロッ
ト解析などにより定量することができる。かかるサンド
イッチ免疫測定法は前述の方法と同様にして行なうこと
ができ、ウエスタンブロットは自体公知の手段により行
なうことができる。 (ii)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプ
チドを発現する形質転換体を前述の方法に従い作製し、
細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター蛋白質または
その部分ペプチドを定量することができる。細胞膜にお
ける本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペプチド
の量を変化させる化合物のスクリーニングは、 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対し
て、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間
前(30分前ないし24時間前、好ましくは30分前な
いし12時間前、より好ましくは1時間前ないし6時間
前)もしくは一定時間後(30分後ないし3日後、好ま
しくは1時間後ないし2日後、より好ましくは1時間後
ないし24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレ
スと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後
(30分後ないし3日後、好ましくは1時間後ないし2
日後、より好ましくは1時間後ないし24時間後)、細
胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分
ペプチドの量を定量することにより行なうことができ、 (ii)形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物
を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後ないし7
日後、好ましくは1日後ないし3日後、より好ましくは
2日後ないし3日後)、細胞膜における本発明のレセプ
ター蛋白質またはその部分ペプチドの量を定量すること
により行なうことができる。
【0078】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドの確認は具体的には以下
のようにして行なう。 (iii)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細
胞等を、常法に従い組織切片とし、本発明の抗体を用い
て免疫染色を行う。細胞表層での該受容体タンパク質の
染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該タン
パク質を確認することにより、定量的または定性的に、
細胞膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部
分ペプチドの量を確認することができる。 (iv)本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプ
チドを発現する形質転換体等を用いて同様の手段をとる
ことにより確認することもできる。本発明のスクリーニ
ング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、細胞
膜における本発明のレセプター蛋白質またはその部分ペ
プチドの量を変化させる作用を有する化合物であり、具
体的には、(イ)細胞膜における本発明のレセプター蛋
白質またはその部分ペプチドの量を増加させることによ
り、G蛋白質共役型レセプターを介する細胞刺激活性
(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細
胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下
などを促進する活性または抑制する活性など)を増強さ
せる化合物、(ロ)細胞膜における本発明のレセプター
蛋白質またはその部分ペプチドの量を減少させることに
より、該細胞刺激活性を減弱させる化合物である。
【0079】該化合物としては、ペプチド、タンパク、
非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などがあ
げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよい
し、公知の化合物であってもよい。該細胞刺激活性を増
強させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質の生理活
性を増強するための安全で低毒性な医薬(例えば、中枢
疾患(例えばアルツハイマー病・痴呆・摂食障害(拒食
症)・てんかんなど)、ホルモン系の疾患(例えば、微
弱陣痛、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、帝王
切開術、人工妊娠中絶、乳汁うっ滞など)、肝/胆/膵/
内分泌疾患(例えば糖尿病・摂食障害など)、炎症性疾患
(アレルギー・喘息・リュウマチなど)、循環器疾患(例
えば高血圧症・心肥大・狭心症・動脈硬化等)の予防およ
び/または治療剤)として有用である。該細胞刺激活性
を減弱させる化合物は、本発明のレセプター蛋白質の生
理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有
用である。本発明のスクリーニング方法を用いて得られ
る化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場
合、常套手段に従って実施することができる。例えば、
上記した本発明のレセプター蛋白質を含有する医薬と同
様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロ
カプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすることがで
きる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であ
るので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウ
サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に
対して投与することができる。
【0080】該化合物またはその塩の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、拒食症患者(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常例えば、拒食症患者(60kgとして)において
は、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0081】(11)細胞膜における本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤 本発明のレセプター蛋白質は前述のとおり、例えば中枢
機能など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると
考えられる。従って、細胞膜における本発明のレセプタ
ー蛋白質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物は、本発明のレセプター蛋白質の機能不全に関連する
疾患の予防および/または治療剤として用いることがで
きる。該化合物を本発明のレセプター蛋白質の機能不全
に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用
する場合は、常套手段に従って製剤化することができ
る。例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤な
どとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学
的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤など
の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合
物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形
剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一
般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混
和することによって製造することができる。これら製剤
における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得
られるようにするものである。錠剤、カプセル剤などに
混和することができる添加剤としては、例えばゼラチ
ン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのよう
な結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンス
ターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ス
テアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖
またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカ
モノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられ
る。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイ
プの材料にさらに油脂のような液状担体を含有すること
ができる。注射のための無菌組成物は注射用水のような
ベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天
然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の
製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性
液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の
補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−
マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、
適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノー
ル)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、
ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用して
もよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油など
が用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベン
ジルアルコールなどと併用してもよい。
【0082】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例
えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して投与することができる。該化合
物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症
状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場
合、一般的に例えば、拒食症患者(60kgとして)に
おいては、一日につき約0.1〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与
量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによって
も異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、拒食
症患者(60kgとして)においては、一日につき約
0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20m
g程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈
注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合
も、60kg当たりに換算した量を投与することができ
る。
【0083】(12)本発明のレセプター蛋白質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体による中
和 本発明のレセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドま
たはその塩に対する抗体が、それらレセプター蛋白質な
どに対する中和活性とは、即ち、該レセプター蛋白質の
関与するシグナル伝達機能を不活性化する活性を意味す
る。従って、該抗体が中和活性を有する場合は、該レセ
プター蛋白質の関与するシグナル伝達、例えば、該レセ
プター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキド
ン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細
胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトール
リン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸
化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活
性または抑制する活性など)を不活性化することができ
る。従って、該レセプター蛋白質の過剰発現などに起因
する疾患の予防および/または治療に用いることができ
る。
【0084】(13)本発明のレセプター蛋白質をコー
ドするDNAを有する非ヒト動物の作製 本発明のDNAを用いて、本発明のレセプター蛋白質を
発現するトランスジェニック非ヒト動物を作製すること
ができる。非ヒト動物としては、哺乳動物(例えば、ラ
ット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)など(以下、動物と略記する)があげら
れるが、特に、マウス、ウサギなどが好適である。本発
明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該D
NAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結
合した遺伝子コンストラクトとして用いるのが一般に有
利である。例えば、ウサギ由来の本発明のDNAを転移
させる場合、これと相同性が高い動物由来の本発明のD
NAを動物細胞で発現させうる各種プロモーターの下流
に結合した遺伝子コンストラクトを、例えば、ウサギ受
精卵へマイクロインジェクションすることによって本発
明のレセプター蛋白質を高産生するDNA転移動物を作
出できる。このプロモーターとしては、例えば、ウイル
ス由来プロモーター、メタロチオネイン等のユビキアス
な発現プロモーターも使用しうるが、好ましくは脳で特
異的に発現するNGF遺伝子プロモーターやエノラーゼ
遺伝子プロモーターなどが用いられる。受精卵細胞段階
における本発明のDNAの転移は、対象動物の胚芽細胞
および体細胞の全てに存在するように確保される。DN
A転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明のレセプ
ター蛋白質が存在することは、作出動物の子孫が全てそ
の胚芽細胞及び体細胞の全てに本発明のレセプター蛋白
質を有することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種
の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発
明のレセプター蛋白質を有する。本発明のDNA転移動
物は、交配により遺伝子を安定に保持することを確認し
て、該DNA保有動物として通常の飼育環境で飼育継代
を行うことができる。さらに、目的DNAを保有する雌
雄の動物を交配することにより、導入遺伝子を相同染色
体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄
の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを
有するように繁殖継代することができる。
【0085】本発明のDNAが転移された動物は、本発
明のレセプター蛋白質が高発現させられているので、本
発明のレセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアン
タゴニストのスクリーニング用の動物などとして有用で
ある。本発明のDNA転移動物を、組織培養のための細
胞源として使用することもできる。例えば、本発明のD
NA転移マウスの組織中のDNAもしくはRNAを直接
分析するか、あるいは遺伝子により発現された本発明の
レセプター蛋白質が存在する組織を分析することによ
り、本発明のレセプター蛋白質について分析することが
できる。本発明のレセプター蛋白質を有する組織の細胞
を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、
例えば、脳や末梢組織由来のような一般に培養困難な組
織からの細胞の機能を研究することができる。また、そ
の細胞を用いることにより、例えば、各種組織の機能を
高めるような医薬の選択も可能である。また、高発現細
胞株があれば、そこから、本発明のレセプター蛋白質を
単離精製することも可能である。
【0086】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commission on Biochemical Nomenclature による略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
り、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体
があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すもの
とする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
【0087】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0088】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のヒト海馬由来新規G蛋白質共
役型レセプター蛋白質hSLTのアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のヒト海馬由来新規G蛋白質共役型レ
セプター蛋白質hSLTをコードするcDNAの塩基配
列を示す。 〔配列番号:3〕本発明のヒト海馬由来新規G蛋白質共
役型レセプター蛋白質hSLTをコードするcDNAを
クローニングするために使用したプライマー1の塩基配
列を示す。 〔配列番号:4〕本発明のヒト海馬由来新規G蛋白質共
役型レセプター蛋白質hSLTをコードするcDNAを
クローニングするために使用したプライマー2の塩基配
列を示す。
【0089】後述の実施例1で得られたEscherichia co
li DH5α/pCR3.1−hSLTは、平成11年
(1999年)4月28日から日本国茨城県つくば市東
1−1−3、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研
究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−6710
として、平成11年(1999年)4月20日から日本
国大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85、財団法
人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 1628
4として寄託されている。
【0090】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をより詳細に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載さ
れている方法に従った。
【0091】以下に参考例および実施例を示して、本発
明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限
定するものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操
作法は、モレキュラー・クローニング(Molecular clon
ing)に記載されている方法に従った。
【0092】実施例1 ヒト海馬のG蛋白質共役型レセ
プター蛋白質をコードするcDNAのクローニングと塩
基配列の決定 ヒト海馬cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、
2個のプライマー、プライマー1(配列番号:3)およ
びプライマー2(配列番号:4)を用いてPCR反応を
行った。該反応における反応液の組成は上記cDNAの
10分の1量を鋳型として使用し、Advantage
2 Polymerase Mix (CLONTEC
H社)1/50量、プライマー1(配列番号:3)およ
びプライマー2(配列番号:4)を 各0.2μM、 d
NTPs 200μM、および酵素に添付のバッファー
を加え、25μlの液量とした。PCR反応は、 9
4℃・1分の後、 94℃・20秒、72℃・2分の
サイクルを3回、94℃・20秒、65℃・20秒、
68℃・2分のサイクルを3回、94℃・20秒、5
8℃・20秒、68℃・2分のサイクルを36回繰り返
し、 最後に68℃・7分の伸長反応を行った。該P
CR反応後の反応産物をTAクローニングキット(In
vitrogen社)の処方に従いプラスミドベクター
pCR3.1(Invitrogen社)へ サブクロー
ニングした。これを大腸菌DH5αに導入し、cDNA
をもつクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で
選択した後、個々のクローンの配列を解析した結果、新
規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDN
A配列(配列番号:2)を得た。 このcDNAより導
き出されるアミノ酸配列(配列番号:1を含有する新規
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をhSLTと命名し、
この形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)DH5α
/pCR3.1−hSLTと命名した。 実施例2 hSLT発現CHO細胞の作製 実施例1で配列が確認されたヒト海馬由来hSLTの全長ア
ミノ酸配列をコードした遺伝子を導入したプラスミドpC
R3.1-hSLTを用いて形質転換をしたE. coli DH5α(トー
ヨーボー)を培養し、Plasmid Midi Kit(キアゲン社)
を用いてpCR3.1-hSLTのプラスミドDNAを調製した。これ
をCellPhect Transfection Kit(アマシャムファルマシ
アバイオテク社)を用い添付のプロトコールに従ってCH
O-K1細胞に導入した。10 mgのプラスミドDNAをリン酸カ
ルシウムとの共沈懸濁液とし、24時間前に5 x 105また
は1 x 106個のCHO-K1細胞を播種した10 cmシャーレに添
加した。10%ウシ胎児血清を含むDMEM培地で1日間培養し
た後、継代し、選択培地である10%ウシ胎児血清及び1mg
/ml G418を含むDMEM培地で培養した。選択培地中で増
殖してくるhSLT発現CHO細胞のコロニー40クローンを
選択した。さらに、選択したhSLT発現CHO細胞から常法
に従い全RNAを抽出した後、TaqMan法によりhSLTのmRNA
量を測定・コピー数を算出した。その結果、発現量の高
い株とし、3クローン(#5、#7および#28)を選
択した。
【0093】
【発明の効果】本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白
質、その部分ペプチドまたはそれらの塩、およびそれら
をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA、RN
Aおよびそれらの誘導体)は、リガンド(アゴニス
ト)の決定、抗体および抗血清の入手、組み替え型
レセプター蛋白質の発現系の構築、同発現系を用いた
レセプター結合アッセイ系の開発と医薬品候補化合物の
スクリーニング、構造的に類似したリガンド・レセプ
ターとの比較にもとづいたドラッグデザインの実施、
遺伝子診断におけるプローブやPCRプライマーの作成
のための試薬、トランスジェニック動物の作製または
遺伝子予防・治療剤等の医薬等として用いることがで
きる。
【0094】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel G Protein Coupled Receptor Protein and Its DNA <130> B00021 <150> JP 11-041336 <151> 1999-02-19 <150> JP 11-125768 <151> 1999-05-06 <160> 4 <210> 1 <211> 340 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Asn Pro Phe His Ala Ser Cys Trp Asn Thr Ser Ala Glu Leu Leu 5 10 15 Asn Lys Ser Trp Asn Lys Glu Phe Ala Tyr Gln Thr Ala Ser Val Val 20 25 30 Asp Thr Val Ile Leu Pro Ser Met Ile Gly Ile Ile Cys Ser Thr Gly 35 40 45 Leu Val Gly Asn Ile Leu Ile Val Phe Thr Ile Ile Arg Ser Arg Lys 50 55 60 Lys Thr Val Pro Asp Ile Tyr Ile Cys Asn Leu Ala Val Ala Asp Leu 65 70 75 80 Val His Ile Val Gly Met Pro Phe Leu Ile His Gln Trp Ala Arg Gly 85 90 95 Gly Glu Trp Val Phe Gly Gly Pro Leu Cys Thr Ile Ile Thr Ser Leu 100 105 110 Asp Thr Cys Asn Gln Phe Ala Cys Ser Ala Ile Met Thr Val Met Ser 115 120 125 Val Asp Arg Tyr Phe Ala Leu Val Gln Pro Phe Arg Leu Thr Arg Trp 130 135 140 Arg Thr Arg Tyr Lys Thr Ile Arg Ile Asn Leu Gly Leu Trp Ala Ala 145 150 155 160 Ser Phe Ile Leu Ala Leu Pro Val Trp Val Tyr Ser Lys Val Ile Lys 165 170 175 Phe Lys Asp Gly Val Glu Ser Cys Ala Phe Asp Leu Thr Ser Pro Asp 180 185 190 Asp Val Leu Trp Tyr Thr Leu Tyr Leu Thr Ile Thr Thr Phe Phe Phe 195 200 205 Pro Leu Pro Leu Ile Leu Val Cys Tyr Ile Leu Ile Leu Cys Tyr Thr 210 215 220 Trp Glu Met Tyr Gln Gln Asn Lys Asp Ala Arg Cys Cys Asn Pro Ser 225 230 235 240 Val Pro Lys Gln Arg Val Met Lys Leu Thr Lys Met Val Leu Val Leu 245 250 255 Val Val Val Phe Ile Leu Ser Ala Ala Pro Tyr His Val Ile Gln Leu 260 265 270 Val Asn Leu Gln Met Glu Gln Pro Thr Leu Ala Phe Tyr Val Gly Tyr 275 280 285 Tyr Leu Ser Ile Cys Leu Ser Tyr Ala Ser Ser Ser Ile Asn Pro Phe 290 295 300 Leu Tyr Ile Leu Leu Ser Gly Asn Phe Gln Lys Arg Leu Pro Gln Ile 305 310 315 320 Gln Arg Arg Ala Thr Glu Lys Glu Ile Asn Asn Met Gly Asn Thr Leu 325 330 335 Lys Ser His Phe 340 <210> 2 <211> 1023 <212> DNA <213> Human <400> 2 ATGAATCCAT TTCATGCATC TTGTTGGAAC ACCTCTGCCG AACTTTTAAA CAAATCCTGG 60 AATAAAGAGT TTGCTTATCA AACTGCCAGT GTGGTAGATA CAGTCATCCT CCCTTCCATG 120 ATTGGGATTA TCTGTTCAAC AGGGCTGGTT GGCAACATCC TCATTGTATT CACTATAATA 180 AGATCCAGGA AAAAAACAGT CCCTGACATC TATATCTGCA ACCTGGCTGT GGCTGATTTG 240 GTCCACATAG TTGGAATGCC TTTTCTTATT CACCAATGGG CCCGAGGGGG AGAGTGGGTG 300 TTTGGGGGGC CTCTCTGCAC CATCATCACA TCCCTGGATA CTTGTAACCA ATTTGCCTGT 360 AGTGCCATCA TGACTGTAAT GAGTGTGGAC AGGTACTTTG CCCTCGTCCA ACCATTTCGA 420 CTGACACGTT GGAGAACAAG GTACAAGACC ATCCGGATCA ATTTGGGCCT TTGGGCAGCT 480 TCCTTTATCC TGGCATTGCC TGTCTGGGTC TACTCGAAGG TCATCAAATT TAAAGACGGT 540 GTTGAGAGTT GTGCTTTTGA TTTGACATCC CCTGACGATG TACTCTGGTA TACACTTTAT 600 TTGACGATAA CAACTTTTTT TTTCCCTCTA CCCTTGATTT TGGTGTGCTA TATTTTAATT 660 TTATGCTATA CTTGGGAGAT GTATCAACAG AATAAGGATG CCAGATGCTG CAATCCCAGT 720 GTACCAAAAC AGAGAGTGAT GAAGTTGACA AAGATGGTGC TGGTGCTGGT GGTAGTCTTT 780 ATCCTGAGTG CTGCCCCTTA TCATGTGATA CAACTGGTGA ACTTACAGAT GGAACAGCCC 840 ACACTGGCCT TCTATGTGGG TTATTACCTC TCCATCTGTC TCAGCTATGC CAGCAGCAGC 900 ATTAACCCTT TTCTCTACAT CCTGCTGAGT GGAAATTTCC AGAAACGTCT GCCTCAAATC 960 CAAAGAAGAG CGACTGAGAA GGAAATCAAC AATATGGGAA ACACTCTGAA ATCACACTTT 1020 TAG 1023 <210> 3 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 3 ATGAATCCAT TTCATGCATC TTGT 24 <210> 4 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> <400> 4 CTAAAAGTGT GATTTCAGAG TGTTT 25
【0095】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明のヒト海馬由来新規
G蛋白質共役型レセプター蛋白質hSLTをコードする
DNAの塩基配列、およびそれから推定されるアミノ酸
配列を示す(図2に続く)。
【図2】実施例1で得られた本発明のヒト海馬由来新規
G蛋白質共役型レセプター蛋白質hSLTをコードする
DNAの塩基配列、およびそれから推定されるアミノ酸
配列を示す(図1の続き)。
【図3】図1〜図2に示したアミノ酸配列をもとに作成
した、本発明のヒト海馬由来新規G蛋白質共役型レセプ
ター蛋白質hSLTの疎水性プロットを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 1/18 A61P 1/18 3/10 3/10 9/10 9/10 101 101 9/12 9/12 11/06 11/06 15/00 15/00 25/00 25/00 25/08 25/08 25/28 25/28 29/00 29/00 101 101 37/08 37/08 C07K 14/705 C07K 14/705 16/28 16/28 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 5/10 C12P 21/02 C12P 21/02 21/08 21/08 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 33/566 33/566 C12N 5/00 A //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:91)

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するこ
    とを特徴とする蛋白質またはその塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載の蛋白質の部分ペプチドまた
    はその塩。
  3. 【請求項3】請求項1記載の蛋白質をコードする塩基配
    列を有するポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチ
    ド。
  4. 【請求項4】DNAである請求項3記載のポリヌクレオ
    チド。
  5. 【請求項5】配列番号:2で表される塩基配列を有する
    請求項3記載のポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】請求項3記載のポリヌクレオチドを含有す
    る組換えベクター。
  7. 【請求項7】請求項6記載の組換えベクターで形質転換
    させた形質転換体。
  8. 【請求項8】請求項7記載の形質転換体を培養し、請求
    項1記載の蛋白質を生成せしめることを特徴とする請求
    項1記載の蛋白質またはその塩の製造法。
  9. 【請求項9】請求項1記載の蛋白質もしくは請求項2記
    載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  10. 【請求項10】請求項1記載の蛋白質のシグナル伝達を
    不活性化する中和抗体である請求項9記載の抗体。
  11. 【請求項11】請求項9記載の抗体を含有してなる診断
    薬。
  12. 【請求項12】請求項1記載の蛋白質もしくは請求項2
    記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることにより得
    られうる請求項1記載の蛋白質またはその塩に対するリ
    ガンド。
  13. 【請求項13】請求項12記載のリガンドを含有してな
    る医薬。
  14. 【請求項14】請求項1記載の蛋白質もしくは請求項2
    記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを特徴と
    する請求項1記載の蛋白質またはその塩に対するリガン
    ドの決定方法。
  15. 【請求項15】請求項1記載の蛋白質もしくは請求項2
    記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを特徴と
    するリガンドと請求項1記載の蛋白質またはその塩との
    結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニン
    グ方法。
  16. 【請求項16】請求項1記載の蛋白質もしくは請求項2
    記載の部分ペプチドまたはその塩を含有することを特徴
    とするリガンドと請求項1記載の蛋白質またはその塩と
    の結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニ
    ング用キット。
  17. 【請求項17】請求項15記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項16記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、リガンドと請求項1記載の蛋白質またはそ
    の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩。
  18. 【請求項18】請求項15記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項16記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られうる、リガンドと請求項1記載の蛋白質またはそ
    の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有
    してなる医薬。
  19. 【請求項19】請求項3記載のポリヌクレオチドとハイ
    ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌ
    クレオチド。
  20. 【請求項20】請求項3記載のポリヌクレオチドと相補
    的な塩基配列およびその一部を含有してなるポリヌクレ
    オチド。
  21. 【請求項21】請求項3記載のポリヌクレオチドまたは
    その一部を用いることを特徴とする請求項1記載の蛋白
    質のmRNAの定量方法。
  22. 【請求項22】請求項9記載の抗体を用いることを特徴
    とする請求項1記載の蛋白質の定量方法。
  23. 【請求項23】請求項21または請求項22記載の定量
    方法を用いることを特徴とする請求項1記載の蛋白質の
    機能が関連する疾患の診断方法。
  24. 【請求項24】請求項21記載の定量方法を用いること
    を特徴とする、請求項1記載の蛋白質の発現量を変化さ
    せる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  25. 【請求項25】請求項22記載の定量方法を用いること
    を特徴とする、細胞膜における請求項1記載の蛋白質量
    を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方
    法。
  26. 【請求項26】請求項24記載のスクリーニング方法を
    用いて得られうる、請求項1記載の蛋白質の発現量を変
    化させる化合物またはその塩。
  27. 【請求項27】請求項25記載のスクリーニング方法を
    用いて得られうる、細胞膜における請求項1記載の蛋白
    質量を変化させる化合物またはその塩。
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