JP2002320496A - 新規マウス型KiSS−1レセプタータンパク質およびそのDNA - Google Patents

新規マウス型KiSS−1レセプタータンパク質およびそのDNA

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JP2002320496A
JP2002320496A JP2002048124A JP2002048124A JP2002320496A JP 2002320496 A JP2002320496 A JP 2002320496A JP 2002048124 A JP2002048124 A JP 2002048124A JP 2002048124 A JP2002048124 A JP 2002048124A JP 2002320496 A JP2002320496 A JP 2002320496A
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receptor protein
present
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coupled receptor
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Yasuko Terao
寧子 寺尾
Yasushi Shintani
靖 新谷
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニン
グ等に有用な新規タンパク質の提供。 【解決手段】 マウス由来のレセプタータンパク質また
はその塩、該タンパク質をコードするDNA、リガンド
と該タンパク質との結合性を変化させる化合物のスクリ
ーニング方法/スクリーニング用キット、該スクリーニ
ングで得られる化合物またはその塩など。 【効果】 本発明のマウス由来のタンパク質またはそれ
をコードするDNAは、(1)本発明のタンパク質に対
するリガンドの決定、(2)本発明のタンパク質の機能
不全に関連する疾患の予防および/または治療剤、
(3)本発明のタンパク質とリガンドとの結合性を変化
させる化合物(アゴニスト、アンタゴニストなど)のス
クリーニングなどに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マウス脳由来の新
規Gタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその
塩およびそれをコードするDNAなどに関する。
【0002】
【従来の技術】多くのホルモンや神経伝達物質などの生
理活性物質は、細胞膜に存在する特異的なレセプタータ
ンパク質を通じて生体の機能を調節している。これらの
レセプタータンパク質のうち多くは共役しているguanin
e nucleotide-binding protein(以下、Gタンパク質と
略称する場合がある)の活性化を通じて細胞内のシグナ
ル伝達を行ない、また7個の膜貫通領域を有する共通し
た構造をもっていることから、Gタンパク質共役型レセ
プタータンパク質あるいは7回膜貫通型レセプタータン
パク質(7TMR)と総称される。Gタンパク質共役型
レセプタータンパク質は生体の細胞や臓器の各機能細胞
表面に存在し、それら細胞や臓器の機能を調節する分
子、例えばホルモン、神経伝達物質および生理活性物質
等の標的として生理的に重要な役割を担っている。レセ
プターは生理活性物質との結合を介してシグナルを細胞
内に伝達し、このシグナルにより細胞の賦活や抑制とい
った種々の反応が惹起される。各種生体の細胞や臓器の
内の複雑な機能を調節する物質と、その特異的レセプタ
ータンパク質、特にはGタンパク質共役型レセプタータ
ンパク質との関係を明らかにすることは、各種生体の細
胞や臓器の機能を解明し、それら機能と密接に関連した
医薬品開発に非常に重要な手段を提供することとなる。
【0003】例えば、生体の種々の器官では、多くのホ
ルモン、ホルモン様物質、神経伝達物質あるいは生理活
性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行なわ
れている。特に、生理活性物質は生体内の様々な部位に
存在し、それぞれに対応するレセプタータンパク質を通
してその生理機能の調節を行っている。生体内には未知
のホルモンや神経伝達物質その他の生理活性物質も多
く、それらのレセプタータンパク質の構造に関しても、
これまで報告されていないものが多い。さらに、既知の
レセプタータンパク質にいてもサブタイプが存在するか
どうかについても分かっていないものが多い。生体にお
ける複雑な機能を調節する物質と、その特異的レセプタ
ータンパク質との関係を明らかにすることは、医薬品開
発に非常に重要な手段である。また、レセプタータンパ
ク質に対するアゴニスト、アンタゴニストを効率よくス
クリーニングし、医薬品を開発するためには、生体内で
発現しているレセプタータンパク質の遺伝子の機能を解
明し、それらを適当な発現系で発現させることが必要で
あった。近年、生体内で発現している遺伝子を解析する
手段として、cDNAの配列をランダムに解析する研究
が活発に行なわれており、このようにして得られたcD
NAの断片配列がExpressed Sequence Tag(EST)と
してデータベースに登録され、公開されている。しか
し、多くのESTは配列情報のみであり、その機能を推
定することは困難である。本発明者らは、これまでにラ
ット脳幹周辺部およびヒト脳由来のGタンパク質共役型
レセプタータンパク質を見出し、該レセプターに対する
細胞内Caイオン濃度上昇活性を有するペプチドを探索し
た。その結果、ガン転移抑制遺伝子KiSS-1(Genomics,
54巻, 145頁-148頁, 1998年)にコードされるタンパク
質のC端ペプチドがヒト脳由来のGタンパク質共役型レ
セプターを活性化する作用を有することを明らかにし、
KiSS-1中のアミノ酸54残基からなるペプチド配列さら
にそのC端部分ペプチドにリガンド活性を有することを
確認した(WO 00/24890号)。しかし、ガン
転移抑制遺伝子KiSS-1(Genomics, 54巻, 145頁-148頁,
1998年)にコードされるタンパク質のC端ペプチドに
よって活性化されるヒト、ラット以外の種由来のGタン
パク質共役型レセプタータンパク質は全く知られていな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、Gタンパク質共
役型レセプターと生理活性物質(即ち、リガンド)との
結合を阻害する物質や、結合して生理活性物質(即ち、
リガンド)と同様なシグナル伝達を引き起こす物質は、
これらレセプターの特異的なアンタゴニストまたはアゴ
ニストとして、生体機能を調節する医薬品として活用さ
れてきた。従って、このように生体内での生理発現にお
いて重要であるばかりでなく、医薬品開発の標的ともな
りうるGタンパク質共役型レセプタータンパク質を新規
に見出すことは、アゴニスト、アンタゴニストを見出す
際に、非常に重要な手段となる。さらにその際、レセプ
ターの生理機構を明らかにするため、ヒトレセプター遺
伝子に対する他種(例えば、マウスなど)のカウンター
パート遺伝子を取得し、その遺伝子産物のタンパク化学
的諸性質、生物学的諸活性を検索し、また動物体内での
質的、量的動態や生理機構を詳細に調べて、ヒトにおけ
る機能を推定することは、有効な医薬を創製する上でも
重要な事柄である。さらに候補となるアゴニスト、アン
タゴニストを選択する際に、種差の有無を認識しなが
ら、候補化合物を選定、決定することは、医薬品の創製
上欠くべからざる項目となっている。本発明は、有用な
ヒトGタンパク質共役型レセプタータンパク質に対す
る、マウスホモログレセプタータンパク質などを提供す
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために、鋭意研究を重ねた結果、マウス脳cD
NAより前記ヒトGタンパク質共役型レセプターに相同
性の高い配列をコードするcDNAを単離し、その全塩
基配列を解析することに成功した。そして、この塩基配
列をアミノ酸配列に翻訳したところ、前記ヒトGタンパ
ク質共役型レセプタータンパク質のアミノ酸配列と有意
に高い相同性を有するタンパク質をコードすることを確
認した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さら
に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、 (1) 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と同一も
しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特
徴とするGタンパク質共役型レセプタータンパク質また
はその塩; (2) 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有す
る前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータン
パク質; (3) メタスチンに対するレセプターである前記
(1)または(2)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質; (4) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質の部分ペプチドまたはその塩; (5) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する
ポリヌクレオチド; (6) DNAである前記(5)記載のポリヌクレオチ
ド; (7) 配列番号:2で表される塩基配列を含有する前
記(6)記載のDNA; (8) 前記(5)記載のポリヌクレオチドを含有する
組換えベクター; (9) 前記(8)記載の組換えベクターで形質転換さ
せた形質転換体; (10) 前記(9)記載の形質転換体を培養し、前記
(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質
または前記(4)記載の部分ペプチドを生成せしめるこ
とを特徴とする前記(1)記載のGタンパク質共役型レ
セプタータンパク質もしくはその塩または前記(4)記
載の部分ペプチドもしくはその塩の製造法; (11) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩に対する抗体; (12) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質のシグナル伝達を不活性化する中和抗体
である前記(11)記載の抗体; (13) 前記(11)記載の抗体を含有してなる診断
薬; (14) 前記(11)記載の抗体を含有してなる医
薬; (15) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩を用いることにより得られうる前記(1)
記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質または
その塩に対するリガンド; (16) 前記(15)記載のGタンパク質共役型レセ
プターのリガンドを含有してなる医薬; (17) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩を用いることを特徴とする前記(1)記載
のGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその
塩に対するリガンドの決定方法; (18) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩を用いることを特徴とするリガンドと前記
(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質
またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
塩のスクリーニング方法; (19) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩を含有することを特徴とするリガンドと前
記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク
質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはそ
の塩のスクリーニング用キット; (20) リガンドが配列番号:3、配列番号:4、配
列番号:5または配列番号:6で表されるアミノ酸配列
と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するこ
とを特徴とするポリペプチドまたはその塩である前記
(18)記載のスクリーニング方法または前記(19)
記載のスクリーニング用キット; (21) 前記(18)記載のスクリーニング方法また
は前記(19)記載のスクリーニング用キットを用いて
得られうるリガンドと前記(1)記載のGタンパク質共
役型レセプタータンパク質またはその塩との結合性を変
化させる化合物またはその塩; (22) 前記(18)記載のスクリーニング方法また
は前記(19)記載のスクリーニング用キットを用いて
得られうるリガンドと前記(1)記載のGタンパク質共
役型レセプタータンパク質またはその塩との結合性を変
化させる化合物またはその塩を含有してなる医薬; (23) 前記(5)記載のポリヌクレオチドとハイス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌク
レオチド; (24) 前記(5)記載のポリヌクレオチドと相補的
な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオ
チド; (25) 前記(5)記載のポリヌクレオチドまたはそ
の一部を用いることを特徴とする前記(1)記載のGタ
ンパク質共役型レセプタータンパク質のmRNAの定量
方法; (26) 前記(11)記載の抗体を用いることを特徴
とする前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプター
タンパク質の定量方法; (27) 前記(25)または前記(26)記載の定量
方法を用いることを特徴とする前記(1)記載のGタン
パク質共役型レセプターの機能が関連する疾患の診断方
法; (28) 前記(25)記載の定量方法を用いることを
特徴とする前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質の発現量を変化させる化合物またはその
塩のスクリーニング方法; (29) 前記(26)記載の定量方法を用いることを
特徴とする細胞膜における前記(1)記載のGタンパク
質共役型レセプタータンパク質量を変化させる化合物ま
たはその塩のスクリーニング方法; (30) 前記(28)記載のスクリーニング方法を用
いて得られうる前記(1)記載のGタンパク質共役型レ
セプタータンパク質の発現量を変化させる化合物または
その塩; (31) 前記(29)記載のスクリーニング方法を用
いて得られうる細胞膜における前記(1)記載のGタン
パク質共役型レセプタータンパク質量を変化させる化合
物またはその塩; (32) 前記(30)記載の化合物またはその塩を含
有してなる医薬; (33) 前記(31)記載の化合物またはその塩を含
有してなる医薬; (34) 癌の予防・治療剤である前記(14)、(1
6)、(22)、(32)または(33)記載の医薬; (35) 哺乳動物に対して、前記(21)、(30)
または(31)記載の化合物またはその塩の有効量を投
与することを特徴とする癌の予防・治療方法; (36) 癌の予防・治療剤を製造するための前記(2
1)、(30)または(31)記載の化合物またはその
塩の使用; (37) 外来性の前記(1)記載のGタンパク質共役
型レセプタータンパク質をコードするDNAまたはその
変異DNAを含有する非ヒト哺乳動物; (38) 非ヒト哺乳動物がげっ歯動物である前記(3
7)記載の動物; (39) げっ歯動物がマウスである前記(38)記載
の動物; (40) 外来性の前記(1)記載のGタンパク質共役
型レセプタータンパク質をコードするDNAまたはその
変異DNAを含有し、非ヒト哺乳動物において発現しう
る組換えベクター; (41) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質をコードするDNAが不活性化された非
ヒト哺乳動物胚幹細胞; (42) DNAがレポーター遺伝子を導入することに
より不活性化された前記(41)記載の胚幹細胞; (43) 非ヒト哺乳動物がげっ歯動物である前記(4
2)記載の胚幹細胞; (44) 前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質をコードするDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物; (45) DNAがレポーター遺伝子を導入することに
より不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDN
Aに対するプロモーターの制御下で発現しうる前記(4
4)記載の非ヒト哺乳動物; (46) 非ヒト哺乳動物がげっ歯動物である前記(4
4)記載の非ヒト哺乳動物および (47) 前記(45)記載の動物に、試験化合物を投
与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴と
する前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータ
ンパク質をコードするDNAに対するプロモーター活性
を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法などに関する。
【0007】さらには、 (48)タンパク質が、配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中
の1または2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに
好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したア
ミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
に1または2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに
好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したア
ミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
中の1または2個以上(好ましくは1〜10個程度、さら
に好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミ
ノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み
合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質である前記
(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質
またはその塩、 (49)(i)前記(1)記載のGタンパク質共役型レ
セプタータンパク質もしくはその塩または前記(4)記
載の部分ペプチドもしくはその塩と、リガンドとを接触
させた場合と、(ii)前記(1)記載のGタンパク質共
役型レセプタータンパク質もしくはその塩または前記
(4)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、リガンド
および試験化合物とを接触させた場合との比較を行うこ
とを特徴とする前記(18)記載のスクリーニング方
法、 (50)(i)標識したリガンドを前記(1)記載のG
タンパク質共役型レセプタータンパク質もしくはその塩
または前記(4)記載の部分ペプチドもしくはその塩に
接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験
化合物を前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質もしくはその塩または前記(4)記載の部
分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合における、
標識したリガンドの前記(1)記載のGタンパク質共役
型レセプタータンパク質もしくはその塩または前記
(4)記載の部分ペプチドもしくはその塩に対する結合
量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと前記
(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質
またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
塩のスクリーニング方法、 (51)(i)標識したリガンドを前記(1)記載のG
タンパク質共役型レセプタータンパク質を含有する細胞
に接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試
験化合物を前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質を含有する細胞に接触させた場合におけ
る、標識したリガンドの該細胞に対する結合量を測定
し、比較することを特徴とするリガンドと前記(1)記
載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはそ
の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスク
リーニング方法、 (52)(i)標識したリガンドを前記(1)記載のG
タンパク質共役型レセプタータンパク質を含有する細胞
の膜画分に接触させた場合と、(ii)標識したリガンド
および試験化合物を前記(1)記載のGタンパク質共役
型レセプタータンパク質を含有する細胞の膜画分に接触
させた場合における、標識したリガンドの該細胞の膜画
分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする
リガンドと前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質またはその塩との結合性を変化させる化
合物またはその塩のスクリーニング方法、 (53)(i)標識したリガンドを前記(9)記載の形
質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞膜
に発現したGタンパク質共役型レセプタータンパク質に
接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよび試験
化合物を前記(9)記載の形質転換体を培養することに
よって該形質転換体の細胞膜に発現したGタンパク質共
役型レセプタータンパク質に接触させた場合における、
標識したリガンドの該Gタンパク質共役型レセプタータ
ンパク質に対する結合量を測定し、比較することを特徴
とするリガンドと前記(1)記載のGタンパク質共役型
レセプタータンパク質またはその塩との結合性を変化さ
せる化合物またはその塩のスクリーニング方法、 (54)(i)前記(1)記載のGタンパク質共役型レ
セプタータンパク質またはその塩を活性化する化合物を
前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパ
ク質を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)前記
(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質
またはその塩を活性化する化合物および試験化合物を前
記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク
質を含有する細胞に接触させた場合における、Gタンパ
ク質共役型レセプタータンパク質を介した細胞刺激活性
を測定し、比較することを特徴とするリガンドと前記
(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質
またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
塩のスクリーニング方法、 (55)前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質またはその塩を活性化する化合物を前記
(9)記載の形質転換体を培養することによって該形質
転換体の細胞膜に発現したGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質に接触させた場合と、前記(1)記載のG
タンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩を
活性化する化合物および試験化合物を前記(9)記載の
形質転換体を培養することによって該形質転換体の細胞
膜に発現したGタンパク質共役型レセプタータンパク質
に接触させた場合における、Gタンパク質共役型レセプ
タータンパク質を介する細胞刺激活性を測定し、比較す
ることを特徴とするリガンドと前記(1)記載のGタン
パク質共役型レセプタータンパク質またはその塩との結
合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング
方法、 (56)前記(49)〜(55)記載のスクリーニング
方法で得られうるリガンドと前記(1)記載のGタンパ
ク質共役型レセプタータンパク質またはその塩との結合
性を変化させる化合物またはその塩、 (57)前記(49)〜前記(55)記載のスクリーニ
ング方法で得られうるリガンドと前記(1)記載のGタ
ンパク質共役型レセプタータンパク質またはその塩との
結合性を変化させる化合物またはその塩を含有すること
を特徴とする医薬、 (58)前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質を含有する細胞を含有することを特徴とす
る前記(19)記載のスクリーニング用キット、 (59)前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質を含有する細胞の膜画分を含有することを
特徴とする前記(19)記載のスクリーニング用キッ
ト、 (60)前記(9)記載の形質転換体を培養することに
よって該形質転換体の細胞膜に発現したGタンパク質共
役型レセプタータンパク質を含有することを特徴とする
前記(19)記載のスクリーニング用キット、 (61)前記(58)〜(60)記載のスクリーニング
用キットを用いて得られうる、リガンドと前記(1)記
載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはそ
の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、 (62)前記(58)〜(60)記載のスクリーニング
用キットを用いて得られうる、リガンドと前記(1)記
載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはそ
の塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有
することを特徴とする医薬、 (63)前記(11)記載の抗体と、前記(1)記載の
Gタンパク質共役型レセプタータンパク質もしくは前記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩とを接触させる
ことを特徴とする前記(1)のGタンパク質共役型レセ
プタータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチ
ドまたはその塩の定量法、 (64)前記(11)記載の抗体と、被検液および標識
化された前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタ
ータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチドま
たはその塩とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標
識化された前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプ
タータンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩の割合を測定することを特徴とする被検液
中の前記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータ
ンパク質もしくは前記(4)記載の部分ペプチドまたは
その塩の定量法および (65)被検液と担体上に不溶化した前記(11)記載
の抗体および標識化された前記(11)記載の抗体とを
同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の
標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の前
記(1)記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク
質もしくは前記(4)記載の部分ペプチドまたはその塩
の定量法等を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のGタンパク質共役型レセ
プタータンパク質(以下、レセプタータンパク質と略記
する場合がある)は、配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含
有するレセプタータンパク質である。本発明のレセプタ
ータンパク質は、例えば、ヒトや非ヒト哺乳動物(例え
ば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツ
ジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細
胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メ
サンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮
細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪
細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細
胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基
球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨
細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは
間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしく
はガン細胞など)や血球系の細胞、またはそれらの細胞
が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位
(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下
部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭
葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂
体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、
骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小
腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢
血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関
節、骨格筋などに由来するタンパク質であってもよく、
また合成タンパク質であってもよい。
【0009】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と約95%以上、好ま
しくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列など
が挙げられる。本発明の配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタン
パク質としては、例えば、配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同質の活
性を有するタンパク質などが好ましい。実質的に同質の
活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情
報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それ
らの活性が性質的に同質であることを示す。したがっ
て、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活
性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20
倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好まし
いが、これらの活性の程度やタンパク質の分子量などの
量的要素は異なっていてもよい。リガンド結合活性やシ
グナル情報伝達作用などの活性の測定は、公知の方法に
準じて行うことができるが、例えば、後に記載するリガ
ンドの決定方法やスクリーニング方法に従って測定する
ことができる。
【0010】また、本発明のレセプタータンパク質とし
ては、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1
または2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに好ま
しくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ
酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1
または2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに好ま
しくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ
酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の
1または2個以上(好ましくは1〜10個程度、さらに好
ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸
で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わ
せたアミノ酸配列を含有するタンパク質なども用いられ
る。
【0011】本明細書におけるレセプタータンパク質の
アミノ酸配列は、ペプチド標記の慣例に従って、左端が
N末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末
端)である。配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を
含有するレセプタータンパク質をはじめとする、本発明
のレセプタータンパク質は、C末端が通常カルボキシル
基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-)である
が、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−COO
R)であってもよい。ここでエステルにおけるRとして
は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例え
ば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シク
ロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどの
6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなど
のフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメ
チルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC
7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用さ
れるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。本発
明のレセプタータンパク質がC末端以外にカルボキシル
基(またはカルボキシレート)を有している場合、カル
ボキシル基がアミド化またはエステル化されているもの
も本発明のレセプタータンパク質に含まれる。この場合
のエステルとしては、例えば前記したC末端のエステル
などが用いられる。さらに、本発明のレセプタータンパ
ク質には、前記したタンパク質において、N末端のメチ
オニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、
アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル
基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断
され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したも
の、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−O
H、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール
基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホル
ミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC
1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖
鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク
質なども含まれる。本発明のレセプタータンパク質の具
体例としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列を含有するレセプタータンパク質などが用いら
れる。
【0012】本発明のレセプタータンパク質の部分ペプ
チド(以下、部分ペプチドと略記する場合がある)とし
ては、前記した本発明のレセプタータンパク質の部分ペ
プチドであれば何れのものであってもよいが、例えば、
本発明のレセプタータンパク質分子のうち、細胞膜の外
に露出している部位であって、実質的に同質の活性を有
するものなどが用いられる。ここで、「実質的に同質の
活性」とは、例えばリガンド結合活性を示す。リガンド
結合活性の測定は前記と同様に行なうことができる。具
体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有
するレセプタータンパク質の部分ペプチドとしては、図
1に示される疎水性プロット解析において細胞外領域
(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部
分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobi
c)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることがで
きる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得る
が、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでもよ
い。本発明の部分ペプチドのアミノ酸数は、前記した本
発明のレセプタータンパク質の構成アミノ酸配列のうち
少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好まし
くは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが
好ましい。実質的に同一のアミノ酸配列とは、これらア
ミノ酸配列と約90%以上、好ましくは約95%以上、より
好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列を
示す。
【0013】また、本発明の部分ペプチドは、前記ア
ミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは1〜10個
程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸
が欠失し、前記アミノ酸配列に1または2個以上(好
ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5
個))のアミノ酸が付加し、または前記アミノ酸配列
中の1または2個以上(好ましくは1〜10個程度、さら
に好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸
で置換されていてもよい。また、本発明の部分ペプチド
はC末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボ
キシレート(−COO-)であるが、前記した本発明のタン
パク質のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエ
ステル(−COOR)であってもよい(Rは前記と同意義を
示す)。本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボキ
シル基(またはカルボキシレート)を有している場合、
カルボキシル基がアミド化またはエステル化されている
ものも本発明の部分ペプチドに含まれる。この場合のエ
ステルとしては、例えば前記したC末端のエステルなど
が用いられる。さらに、本発明の部分ペプチドには、前
記した本発明のレセプタータンパク質と同様に、N末端
のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されている
もの、N端側が生体内で切断され生成したGlnがピロ
グルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の
置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは
糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチド
なども含まれる。本発明のレセプタータンパク質または
その部分ペプチドの塩としては、酸または塩基との生理
学的に許容される塩が挙げられ、とりわけ生理学的に許
容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例
えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫
酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プ
ロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石
酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられ
る。
【0014】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩は、前記したヒトや非ヒト哺乳動物の細胞または組織
から公知のレセプタータンパク質の精製方法によって製
造することもできるし、後に記載する本発明のレセプタ
ータンパク質をコードするDNAを含有する形質転換体
を培養することによっても製造することができる。ま
た、後に記載するタンパク質合成法またはこれに準じて
製造することもできる。ヒトや非ヒト哺乳動物の組織ま
たは細胞から製造する場合、ヒトや非ヒト哺乳動物の組
織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行
ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換
クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合
わせることにより精製単離することができる。
【0015】本発明のレセプタータンパク質もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩またはそのアミド体の合成
には、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることが
できる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチ
ル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン
樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジル
アルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹
脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニル
アセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4
−(2',4'−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチ
ル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'−ジメトキシフェ
ニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙
げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ
基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とす
るタンパク質またはペプチドのアミノ酸配列通りに、公
知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の
最後に樹脂からタンパク質またはペプチドを切り出すと
同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子
内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク
質もしくは部分ペプチドまたはそのアミド体を取得す
る。前記した保護アミノ酸の縮合に関しては、タンパク
質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができ
るが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド
類としては、DCC、N,N'−ジイソプロピルカルボジ
イミド、N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロ
リル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる
活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、H
OOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加する
か、または、対称酸無水物またはHOBtエステルある
いはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸
の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0016】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルア
セトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、
塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素
類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメ
チルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジン,ジ
オキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセ
トニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸
メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの
適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタンパク質
結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲か
ら適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選
択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4
倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテスト
の結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うこ
となく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行な
うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得ら
れないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾール
を用いて未反応アミノ酸をアセチル化することができ
る。
【0017】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマン
チルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロ
イル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジ
フェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられ
る。カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシ
ャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シク
ロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの
直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、ア
ラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−
ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステ
ル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエス
テル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカル
ボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニル
ヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護
することができる。セリンの水酸基は、例えば、エステ
ル化またはエーテル化によって保護することができる。
このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル
基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロ
イル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。
また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジ
ル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などであ
る。チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、
例えば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベンジ
ル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼン
スルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、
Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0018】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニト
ロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフ
ェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−
ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕な
どが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものと
しては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒
あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気流中
での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホ
ン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢
酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソ
プロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジ
ン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニ
ア中ナトリウムによる還元なども用いられる。前記酸処
理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行
なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、
フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラク
レゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオ
ール、1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン
捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダ
ゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニ
ル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトフ
ァンのインドール保護基として用いられるホルミル基は
前記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオ
ールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸
化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処
理によっても除去される。
【0019】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を前記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については前記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、前記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0020】本発明のタンパク質の部分ペプチドまたは
その塩は、公知のペプチドの合成法に従って、あるいは
本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断するこ
とによって製造することができる。ペプチドの合成法と
しては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによ
っても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成し得
る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合さ
せ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離するこ
とにより目的のペプチドを製造することができる。公知
の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の
〜に記載された方法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精
製単離することができる。前記方法で得られる部分ペプ
チドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な
塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法によって遊離体に変換することができ
る。
【0021】本発明のレセプタータンパク質をコードす
るポリヌクレオチドとしては、前記した本発明のレセプ
タータンパク質をコードする塩基配列(DNAまたはR
NA、好ましくはDNA)を含有するものであればいか
なるものであってもよい。該ポリヌクレオチドとして
は、本発明のレセプタータンパク質をコードするDN
A、mRNA等のRNAであり、二本鎖であっても、一
本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、
二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでも
よい。一本鎖の場合は、センス鎖(すなわち、コード
鎖)であっても、アンチセンス鎖(すなわち、非コード
鎖)であってもよい。本発明のレセプタータンパク質を
コードするポリヌクレオチドを用いて、公知の実験医学
増刊「新PCRとその応用」15(7)、1997記載の方法ま
たはそれに準じた方法、例えば、TaqMan PCRなどの方法
により、本発明のレセプタータンパク質のmRNAを定
量することができる。本発明のレセプタータンパク質を
コードするDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDN
Aライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、
前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成
DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベク
ターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、
ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記し
た細胞・組織より全RNAまたはmRNA画分を調製し
たものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase
Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)に
よって増幅することもできる。
【0022】具体的には、本発明のレセプタータンパク
質をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:2
で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番
号:2で表わされる塩基配列を有するDNAとハイスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有
し、本発明のレセプタータンパク質と実質的に同質の活
性、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用
など、を有するレセプタータンパク質をコードするDN
Aであれば何れのものでもよい。配列番号:2で表わさ
れる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな
条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、
配列番号:2で表わされる塩基配列と約90%以上、好ま
しくは約95%以上、さらに好ましくは約98%の相同性を
有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0023】ハイブリダイゼーションは、公知の方法あ
るいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クロ
ーニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et
al.,Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の
方法などに従って行なうことができる。また、市販のラ
イブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の
方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハ
イストリンジェントな条件に従って行なうことができ
る。該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナト
リウム濃度が約19〜40 mM、好ましくは約19〜20 mM
で、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を
示す。特に、ナトリウム濃度が約19 mMで温度が約65
℃の場合が最も好ましい。
【0024】より具体的には、配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列を含有するレセプタータンパク質をコー
ドするDNAとしては、配列番号:2で表わされる塩基
配列を含有するDNAなどが用いられる。本発明のレセ
プタータンパク質をコードするDNAの塩基配列の一
部、または該DNAと相補的な塩基配列の一部を含有し
てなるポリヌクレオチドとは、下記の本発明の部分ペプ
チドをコードするDNAを包含するだけではなく、RN
Aをも包含する意味で用いられる。本発明に従えば、G
タンパク質共役型レセプタータンパク質遺伝子の複製ま
たは発現を阻害することのできるアンチセンス・ポリヌ
クレオチド(核酸)を、クローン化した、あるいは決定
されたGタンパク質共役型レセプタータンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しう
る。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、Gタンパク
質共役型レセプタータンパク質遺伝子のRNAとハイブ
リダイズすることができ、該RNAの合成または機能を
阻害することができるか、あるいはGタンパク質共役型
レセプタータンパク質関連RNAとの相互作用を介して
Gタンパク質共役型レセプタータンパク質遺伝子の発現
を調節・制御することができる。Gタンパク質共役型レ
セプタータンパク質関連RNAの選択された配列に相補
的なポリヌクレオチド、およびGタンパク質共役型レセ
プタータンパク質関連RNAと特異的にハイブリダイズ
することができるポリヌクレオチドは、生体内および生
体外でGタンパク質共役型レセプタータンパク質遺伝子
の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気など
の治療または診断に有用である。また、Gタンパク質共
役型レセプタータンパク質遺伝子の5'端ヘアピンルー
プ、5'端6−ベースペア・リピート、5'端非翻訳領
域、ポリペプチド翻訳開始コドン、タンパク質コード領
域、ORF翻訳終止コドン、3'端非翻訳領域、3'端パ
リンドローム領域、および3'端ヘアピンループは好ま
しい対象領域として選択しうるが、Gタンパク質共役型
レセプタータンパク質遺伝子内の如何なる領域も対象と
して選択しうる。
【0025】目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に
相補的なポリヌクレオチドとの関係、即ち、対象物とハ
イブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関
係は、「アンチセンス」であるということができる。ア
ンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−
リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、D
−リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、
プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるそ
の他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオ
チド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販のタ
ンパク質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)ま
たは特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該
ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基の
ペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオ
チドを含有する)などが挙げられる。それらは、二本鎖
DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、
さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、
さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌ
クレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、
例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの
付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌ
クレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチ
ド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチ
ルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデ
ート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結
合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、
ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えばタンパ
ク質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、ト
キシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンな
ど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖
基を有しているもの、インターカレート化合物(例え
ば、アクリジン、ソラレン(psoralen)など)
を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性
をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するも
の、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持
つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であっても
よい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」およ
び「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有す
るのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつ
ようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチ
ル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプ
リンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含む
ものであってよい。修飾されたヌクレオシドおよび修飾
されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてもよ
く、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族
基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミン
などの官能基に変換されていてもよい。
【0026】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定さ
れるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のよ
うな方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内で
のアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセ
ンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス
鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし
毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなも
のにする。このような修飾は当該分野で数多く知られて
おり、例えば J. Kawakami et al., Pharm Tech Japan,
Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T.
Crooke et al. ed., Antisense Research and Applica
tions, CRC Press, 1993などに開示がある。
【0027】本発明のアンチセンス核酸は、変化せしめ
られたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良
く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で
供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加さ
れた形態で与えられることができうる。こうして付加形
態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中
和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、
細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せ
しめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロ
ールなど)といった疎水性のものが挙げられる。付加す
るに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導
体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸
など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3'端あ
るいは5'端に付着させることができ、塩基、糖、分子
内ヌクレオシド結合を介して付着させることができう
る。その他の基としては、核酸の3'端あるいは5'端に
特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレア
ーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止
するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基
としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレング
リコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知
られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定され
るものではない。アンチセンス核酸の阻害活性は、本発
明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現
系、あるいはGタンパク質共役型レセプタータンパク質
の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができ
る。該核酸は、公知の各種の方法で細胞に適用できる。
本発明で用いられるタンパク質または部分ペプチドをコ
ードするポリヌクレオチド(例、DNA)の塩基配列に
相補的な、または実質的に相補的な塩基配列を有するア
ンチセンスポリヌクレオチドとしては、本発明のポリヌ
クレチド(例、DNA)の塩基配列に相補的な、または
実質的に相補的な塩基配列を有し、該ポリヌクレオチド
(例、DNA)の発現を抑制し得る作用を有するもので
あれば、いずれのアンチセンスポリヌクレオチドであっ
てもよく、DNAとRNAのキメラ鎖であってもよい
が、アンチセンスDNAが好ましい。本発明のポリヌク
レオチド(例、DNA)に実質的に相補的な塩基配列と
は、例えば、本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)
に相補的な塩基配列(すなわち、本発明のポリヌクレオ
チドの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約
90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約98
%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。特
に、本発明のポリヌクレオチド(例、DNA)の相補鎖
の全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN末端部位を
コードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の
塩基配列など)の相補鎖と約90%以上、好ましくは約95
%以上、より好ましくは約98%以上の相同性を有するア
ンチセンスポリヌクレオチドが好適である。具体的に
は、配列番号:2で表わされる塩基配列を有するDNA
の塩基配列に相補的な、もしくは実質的に相補的な塩基
配列、またはその一部分を有するアンチセンスポリヌク
レオチドなどが挙げられる。また、5’非翻訳領域また
は3’非翻訳領域(好ましくは5’非翻訳領域)の塩基
配列に相補的な、もしくは実質的に相補的な塩基配列、
またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチ
ドなどが挙げられる。
【0028】アンチセンスポリヌクレオチドは通常、10
〜40個程度、好ましくは15〜30個程度の塩基から構成さ
れる。ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防
ぐために、アンチセンスポリヌクレオチドを構成する各
ヌクレオチドのりん酸残基(ホスフェート)は、例え
ば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホ
ロジチオネートなどの化学修飾りん酸残基に置換されて
いてもよい。これらのアンチセンスポリヌクレオチド
は、公知のDNA合成装置などを用いて製造することが
できる。
【0029】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、前記した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織
よりmRNA画分を調製したものを用いて直接RT−P
CR法によって増幅することもできる。具体的には、本
発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、例え
ば、(1)配列番号:2で表わされる塩基配列を有する
DNAの部分塩基配列を有するDNA、または(2)配
列番号:2で表わされるDNAとハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズするDNAを有し、本発明の
タンパク質ペプチドと実質的に同質の活性、例えば、リ
ガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など、を有する
タンパク質をコードするDNAの部分塩基配列を有する
DNAなどが用いられる。配列番号:2で表わされるD
NAとハイストリンジェントな条件でハイブリダイズす
るDNAとしては、例えば、配列番号:2で表わされる
塩基配列と約90%以上、好ましくは約95%以上、さらに
好ましくは約98%以上の相同性を有する塩基配列を含有
するDNAなどが用いられる。
【0030】本発明のレセプタータンパク質またはその
部分ペプチド(以下、本発明のレセプタータンパク質と
略記する場合がある)を完全にコードするDNAのクロ
ーニングの手段としては、本発明のペプチドをコードす
るDNAの塩基配列の部分塩基配列を有する合成DNA
プライマーを用いてPCR法によって増幅するか、また
は適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のレセプ
タータンパク質の一部あるいは全領域をコードするDN
A断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハ
イブリダイゼーションによって選別することができる。
ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラ
ー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambr
ook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)
に記載の方法などに従って行なうことができる。また、
市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書
に記載の方法に従って行なうことができる。
【0031】DNAの塩基配列の置換は、PCRや公知
のキット、例えば、MutanTM−superExpress Km(宝酒造
(株))、MutanTM−K(宝酒造(株))等を用いて、OD
A−LA PCR法、gapped duplex法、Kunkel法等の公知の方
法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことがで
きる。クローン化されたレセプタータンパク質をコード
するDNAは目的によりそのまま、または所望により制
限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用す
ることができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始
コドンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳
終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有し
ていてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コド
ンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加するこ
ともできる。本発明のレセプタータンパク質の発現ベク
ターは、例えば、(イ)本発明のレセプタータンパク質
をコードするDNAを含む、例えばcDNAから目的と
するDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当
な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結すること
により製造することができる。
【0032】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pCR4、pCR2.1、pBR322、pBR325、pUC12、pUC1
3)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110、pTP5、pC1
94)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15)、λフ
ァージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス、ワ
クシニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイル
スなどの他、pA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI
/Neoなどが用いられる。本発明で用いられるプロモータ
ーとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切
なプロモーターであればいかなるものでもよい。例え
ば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモ
ーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、
CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどが
挙げられる。これらのうち、CMVプロモーター、SR
αプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシ
ェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、la
cプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモー
ター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌
である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモ
ーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である
場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、
GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好まし
い。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモ
ーター、P10プロモーターなどが好ましい。
【0033】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有し
ているものを用いることができる。選択マーカーとして
は、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称
する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)
耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略
称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、
Neorと略称する場合がある、G418耐性)等が挙
げられる。特に、CHO(dhfr-)細胞を用いてdhfr遺
伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含
まない培地によっても目的遺伝子を選択できる。また、
必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明の
レセプタータンパク質のN端末側に付加する。宿主がエ
シェリヒア属菌である場合は、PhoAシグナル配列、
OmpAシグナル配列などが、宿主がバチルス属菌であ
る場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシ
ン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、M
Fα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿
主が動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル
配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子
・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。このように
して構築された本発明のレセプタータンパク質をコード
するDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を
製造することができる。
【0034】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プ
ロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160 (1968)〕,JM1
03〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Ac
idsResearch),9巻,309 (1981)〕,JA221〔ジャーナ
ル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of M
olecular Biology)〕,120巻,517 (1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41
巻,459 (1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetic
s),39巻,440 (1954)〕,DH5α〔Inoue, H.,Nojima,
H. and Okayama, H., Gene, 96, 23-28 (1990)〕,DH10
B〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),87巻,4645−4649
(1990)〕などが用いられる。バチルス属菌としては、例
えば、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)MI1
14〔ジーン,24巻,255 (1983)〕,207−21〔ジャーナ
ル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemis
try),95巻,87 (1984)〕などが用いられる。酵母とし
ては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccha
romyces cerevisiae)AH22、AH22R-、0NA87-11A、DKD-
5D、20B-12、シゾサッカロマイセスポンベ(Schizosacc
haromyces pombe)NCYC1913、NCYC2036、ピキア パス
トリス(Pichia pastoris)などが用いられる。
【0035】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、ヨトウガの幼虫由来株化細胞(Spod
optera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia n
iの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来の
High FiveTM 細胞、Mamestra brassicae由来の細胞また
はEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイ
ルスがBmNPVの場合は、カイコ由来株化細胞(Bomb
yx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf
21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In V
ivo), 13, 213-217 (1977))などが用いられる。昆虫
としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前
田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592 (1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7、Ve
ro、チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CH
O細胞と略記)、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスタ
ー細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記)、
マウスL細胞,マウスAtT−20、マウスミエローマ
細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などが用いられる。
【0036】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110 (197
2)やジーン(Gene),17巻,107 (1982)などに記載の方
法に従って行なうことができる。バチルス属菌を形質転
換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラ
ル・ジェネティックス(Molecular & General Genetic
s),168巻,111 (1979)などに記載の方法に従って行な
うことができる。酵母を形質転換するには、例えば、メ
ッソズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymol
ogy),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
イズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA),75巻,1929 (1978)などに記載の方法に従っ
て行なうことができる。昆虫細胞または昆虫を形質転換
するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Techno
logy), 6, 47-55 (1988))などに記載の方法に従って行
なうことができる。動物細胞を形質転換するには、例え
ば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール.26
3−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virolo
gy),52巻,456 (1973)に記載の方法に従って行なうこ
とができる。このようにして、Gタンパク質共役型レセ
プタータンパク質をコードするDNAを含有する発現ベ
クターで形質転換された形質転換体が得られる。宿主が
エシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培
養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適
当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素
源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源
としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性
澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニ
ウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプト
ン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液な
どの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩
化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシ
ウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタミン
類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは
約5〜8が望ましい。
【0037】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−43
3,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕
が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく
働かせるために、例えば、3β−インドリルアクリル酸
のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒ
ア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行
ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約
6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えること
もできる。宿主が酵母である形質転換体を培養する際、
培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholde
r)最小培地〔Bostian, K. L. ら、「プロシージングズ
・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
シイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA),77巻,4505 (1980)」や0.5%カザミノ酸を
含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA),81巻,5330(1984)」が挙げられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は
通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて
通気や撹拌を加える。
【0038】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Mediu
m(Grace, T.C.C., ネイチャー(Nature),195, 788 (1
962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加え
たものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調
整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間
行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿主が動物
細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例
えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイ
エンス(Science),122巻,501 (1952)〕,DMEM培
地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396 (1959)〕,
RPMI1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン
・メディカル・アソシエーション(The Journal of the
American Medical Association)199巻,519 (196
7)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエ
ティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proc
eeding of the Society for the Biological Medicin
e),73巻,1 (1950)〕などが用いられる。pHは約6
〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約
15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜または
細胞外に本発明のGタンパク質共役型レセプタータンパ
ク質を生成せしめることができる。
【0039】前記培養物から本発明のレセプタータンパ
ク質を分離精製するには、例えば、下記の方法により行
なうことができる。本発明のレセプタータンパク質を培
養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、
公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩
衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結
融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠
心分離やろ過によりレセプタータンパク質の粗抽出液を
得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩
酸グアニジンなどのタンパク質変性剤や、トリトンX−
100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液
中にレセプタータンパク質が分泌される場合には、培養
終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離
し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、
あるいは抽出液中に含まれるレセプタータンパク質の精
製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なう
ことができる。これらの公知の分離、精製法としては、
塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析
法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を
利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷
電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフ
ィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体
クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、
等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法など
が用いられる。
【0040】このようにして得られるレセプタータンパ
ク質が遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいは
それに準じる方法によって塩に変換することができ、逆
に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じ
る方法により、遊離体または他の塩に変換することがで
きる。なお、組換え体が産生するレセプタータンパク質
を、精製前または精製後に適当なタンパク修飾酵素を作
用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプ
チドを部分的に除去することもできる。タンパク修飾酵
素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、ア
ルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グ
リコシダーゼなどが用いられる。このようにして生成す
る本発明のレセプタータンパク質またはその塩の活性
は、標識したリガンドとの結合実験および特異抗体を用
いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定すること
ができる。
【0041】本発明のレセプタータンパク質もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、本発明の
レセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまたは
その塩を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗
体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。本発明
のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまた
はその塩(以下、本発明のレセプタータンパク質等と略
記する場合がある)に対する抗体は、本発明のレセプタ
ータンパク質等を抗原として用い、公知の抗体または抗
血清の製造法に従って製造することができる。
【0042】〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクローナル抗体産生細胞の作製 本発明のレセプタータンパク質等は、哺乳動物に対して
投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担
体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生
能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全
フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常
2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用
いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イ
ヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げ
られるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を
免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認め
られた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓または
リンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨
髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体
産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中
の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプタータ
ンパク質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合し
た標識剤の活性を測定することにより行なうことができ
る。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルス
タインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁
(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤
としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)
やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはP
EGが用いられる。骨髄腫細胞としては、例えば、NS
−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1
が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓
細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜2
0:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6
000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、
好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートす
ることにより効率よく細胞融合を実施できる。
【0043】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、レセプタータンパク質等の抗原を直接あるいは担体
とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハ
イブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素
などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用い
られる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗
体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロ
ブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイ
ブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで
標識したレセプタータンパク質等を加え、固相に結合し
たモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられ
る。モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに
準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHA
T(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添
加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別
および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育でき
るものならばどのような培地を用いても良い。例えば、
1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRP
MI1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地
(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無
血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用
いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好まし
くは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好
ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸
ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清
の抗体価は、前記の抗血清中の抗体価の測定と同様にし
て測定できる。
【0044】(b)モノクローナル抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナ
ル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテ
インAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗
体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精
製法〕に従って行なうことができる。
【0045】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に
したがって製造することができる。例えば、免疫抗原
(本発明のタンパク質等の抗原)とキャリアータンパク
質との複合体をつくり、前記のモノクローナル抗体の製
造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から
本発明のレセプタータンパク質等に対する抗体含有物を
採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造でき
る。哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキ
ャリアータンパク質との複合体に関し、キャリアータン
パク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比
は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して
抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率
で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、
ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモ
シアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好
ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられ
る。また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種
々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒ
ドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオー
ル基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等
が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対して、抗体
産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とと
もに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週
毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、前記の方法で免疫された哺乳動
物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取すること
ができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、
前記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
ポリクローナル抗体の分離精製は、前記のモノクローナ
ル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法
に従って行なうことができる。
【0046】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩、その部分ペプチドまたはその塩、および該レセプタ
ータンパク質またはその部分ペプチドをコードするDN
Aは、(1)本発明のGタンパク質共役型レセプタータ
ンパク質に対するリガンド(アゴニスト)の決定、
(2)本発明のGタンパク質共役型レセプタータンパク
質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療
剤、(3)遺伝子診断剤、(4)本発明のGタンパク質共
役型レセプタータンパク質に対するリガンドの定量法、
(5)本発明のGタンパク質共役型レセプタータンパク
質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニス
ト、アンタゴニストなど)のスクリーニング方法、
(6)本発明のGタンパク質共役型レセプタータンパク
質とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニス
ト、アンタゴニスト)を含有する各種疾病の予防および
/または治療剤、(7)本発明のレセプタータンパク質
もしくはその部分ペプチドまたはその塩の定量、(8)
本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチ
ドまたはその塩に対する抗体による中和、(9)本発明
のGタンパク質共役型レセプタータンパク質をコードす
るDNAを有する非ヒトトランスジェニック動物の作
出、(10)ノックアウト動物、(11)本発明のレセプタ
ータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化さ
せる化合物のスクリーニング方法、(12)本発明のレセ
プタータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変
化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/また
は治療剤、(13)細胞膜における本発明のレセプタータ
ンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物のスクリーニング方法、(14)細胞膜における本発明
のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を
変化させる化合物を含有する各種疾病の予防および/ま
たは治療剤などに用いることができる。特に、本発明の
組換え型Gタンパク質共役型レセプタータンパク質の発
現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることに
よって、ヒトや非ヒト哺乳動物に特異的なGタンパク質
共役型レセプターに対するリガンドの結合性を変化させ
る化合物(例、アゴニスト、アンタゴニストなど)をス
クリーニングすることができ、該アゴニストまたはアン
タゴニストを各種疾病の予防・治療剤などとして使用す
ることができる。本発明のレセプタータンパク質もしく
は部分ペプチドまたはその塩(以下、本発明のレセプタ
ータンパク質と略記する場合がある)、本発明のレセプ
タータンパク質またはその部分ペプチドをコードするD
NA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)お
よび本発明のレセプタータンパク質等に対する抗体(以
下、本発明の抗体と略記する場合がある)の用途につい
て、以下に具体的に説明する。
【0047】(1) 本発明のレセプタータンパク質も
しくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその
塩は、本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対
するリガンド(アゴニスト)を探索し、または決定する
ための試薬として有用である。すなわち、本発明は、本
発明のレセプタータンパク質もしくはその塩または本発
明の部分ペプチドもしくはその塩と、試験化合物とを接
触させることを特徴とする本発明のレセプタータンパク
質に対するリガンドの決定方法を提供する。試験化合物
としては、公知のリガンド(例えば、アンギオテンシ
ン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グ
ルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチド
Y、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシ
ン、PACAP(例、PACAP27,PACAP3
8)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレ
ノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、A
CTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ イ
ンテスティナル アンドリレイテッド ポリペプチ
ド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリ
ン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレ
ーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアス
タチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノ
シン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー
(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NA
P−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−1
0,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカ
インサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−
2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RAN
TES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,M
IP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−3
09,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eot
axin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SL
CなどのCCケモカインサブファミリー;lympho
tactinなどのCケモカインサブファミリー;fr
actalkineなどのCX3Cケモカインサブファ
ミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒス
タミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティッ
クポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸
(LPA)、スフィンゴシン1−リン酸など)の他に、
例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、
ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の組織抽出
物、細胞培養上清などが、さらには配列番号:3、配列
番号:4、配列番号:5または配列番号:6で表される
アミノ酸配列を含有するポリペプチドなどが用いられ
る。例えば、該組織抽出物、細胞培養上清などを本発明
のレセプタータンパク質に添加し、細胞刺激活性などを
測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得るこ
とができる。
【0048】具体的には、本発明のリガンド決定方法
は、本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペ
プチドもしくはその塩を用いるか、または組換え型レセ
プタータンパク質の発現系を構築し、該発現系を用いた
レセプター結合アッセイ系を用いることによって、本発
明のレセプタータンパク質に結合して細胞刺激活性(例
えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内
Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑
制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細
胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fo
s活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制す
る活性)を有する化合物(例えば、ペプチド、タンパク
質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物な
ど)またはその塩を決定する方法である。本発明のリガ
ンド決定方法においては、本発明のレセプタータンパク
質またはその部分ペプチドと試験化合物とを接触させた
場合の、例えば、該レセプタータンパク質または該部分
ペプチドに対する試験化合物の結合量や、細胞刺激活性
などを測定することを特徴とする。
【0049】より具体的には、本発明は、 標識した試験化合物を、本発明のレセプタータンパク
質もしくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくは
その塩に接触させた場合における、標識した試験化合物
の該タンパク質もしくはその塩、または該部分ペプチド
もしくはその塩に対する結合量を測定することを特徴と
する本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対す
るリガンドの決定方法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプタータンパク
質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場
合における、標識した試験化合物の該細胞または該膜画
分に対する結合量を測定することを特徴とする本発明の
レセプタータンパク質またはその塩に対するリガンドの
決定方法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプタータンパク
質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養する
ことによって細胞膜上に発現したレセプタータンパク質
に接触させた場合における、標識した試験化合物の該レ
セプタータンパク質またはその塩に対する結合量を測定
することを特徴とする本発明のレセプタータンパク質に
対するリガンドの決定方法、
【0050】試験化合物を、本発明のレセプタータン
パク質を含有する細胞に接触させた場合における、レセ
プタータンパク質を介した細胞刺激活性(例えば、アラ
キドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP抑制、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性
化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性
など)を測定することを特徴とする本発明のレセプター
タンパク質またはその塩に対するリガンドの決定方法、
および 試験化合物を、本発明のレセプタータンパク質をコー
ドするDNAを含有する形質転換体を培養することによ
って細胞膜上に発現したレセプタータンパク質に接触さ
せた場合における、レセプタータンパク質を介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内
cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸
化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活
性または抑制する活性など)を測定することを特徴とす
る本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対する
リガンドの決定方法を提供する。特に、上記〜の試
験を行ない、試験化合物が本発明のレセプタータンパク
質に結合することを確認した後に、上記〜の試験を
行なうことが好ましい。
【0051】まず、リガンド決定方法に用いるレセプタ
ータンパク質としては、上記した本発明のレセプタータ
ンパク質または本発明の部分ペプチドを含有するもので
あれば何れのものであってもよいが、動物細胞を用いて
大量発現させたレセプタータンパク質が適している。本
発明のレセプタータンパク質を製造するには、上記の発
現方法が用いられるが、該レセプタータンパク質をコー
ドするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現すること
により行なうことが好ましい。目的とするタンパク質部
分をコードするDNA断片には、通常、相補DNAが用
いられるが、必ずしもこれに制約されるものではない。
例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。本発
明のレセプタータンパク質をコードするDNA断片を宿
主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現させるため
には、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキュロウイル
スに属する核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis
virus;NPV)のポリヘドリンプロモーター、SV4
0由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモータ
ー、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒートショッ
クプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、
SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが好まし
い。発現したレセプターの量と質の検査は公知の方法で
行うことができる。例えば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.
Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載
の方法に従って行うことができる。
【0052】したがって、本発明のリガンド決定方法に
おいて、本発明のレセプタータンパク質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩を含有するものとしては、公知
の方法に従って精製したレセプタータンパク質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩であってもよいし、該レ
セプタータンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画
分を用いてもよい。本発明のリガンド決定方法におい
て、本発明のレセプタータンパク質を含有する細胞を用
いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンな
どで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従っ
て行なうことができる。本発明のレセプタータンパク質
を含有する細胞としては、本発明のレセプタータンパク
質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、
大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用い
られる。細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、公知
の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをい
う。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモ
ジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダ
ーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波
による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を
細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げら
れる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠
心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられ
る。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜300
0rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、
上清をさらに高速(15000rpm〜30000rp
m)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画
分とする。該膜画分中には、発現したレセプタータンパ
ク質と細胞由来のリン脂質や膜タンパク質などの膜成分
が多く含まれる。
【0053】該レセプタータンパク質を含有する細胞や
その膜画分中のレセプタータンパク質の量は、1細胞当
たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜1
7分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほ
ど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くな
り、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばか
りでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるように
なる。本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対
するリガンドを決定する上記の〜の方法を実施する
ためには、適当なレセプタータンパク質画分と、標識し
た試験化合物が必要である。レセプタータンパク質画分
としては、天然型のレセプタータンパク質画分か、また
はそれと同等の活性を有する組換え型レセプター画分な
どが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガン
ド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識し
た試験化合物としては、〔3H〕、〔125I〕、
14C〕、〔35S〕などで標識したアンギオテンシン、
ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタ
ミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、
オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、
PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、
セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジ
ュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACT
H、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテ
スティナル アンド リイテッド ポリペプチド)、ソ
マトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラ
ジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッ
ドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、
プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、ア
ドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL
−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,E
NA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mi
g,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブ
ファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MC
P−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,
MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3
α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,T
ARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin
−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどの
CCケモカインサブファミリー;lymphotact
inなどのCケモカインサブファミリー;fracta
lkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー
等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミ
ン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポ
リペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LP
A)、スフィンゴシン1−リン酸、あるいは、配列番
号:3、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:
6、で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドな
どが好適である。
【0054】具体的には、本発明のレセプタータンパク
質またはその塩に対するリガンドの決定方法を行なうに
は、まず本発明のレセプタータンパク質を含有する細胞
または細胞の膜画分を、決定方法に適したバッファーに
懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッフ
ァーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリ
ン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガン
ドとレセプタータンパク質との結合を阻害しないバッフ
ァーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低
減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花
王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなど
の界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各
種タンパク質をバッファーに加えることもできる。さら
に、プロテアーゼによるリセプターやリガンドの分解を
抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプ
チド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害
剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの
該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500
000cpm)の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35
S〕などで標識した試験化合物を共存させる。非特異的
結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の試験化
合物を加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃〜
50℃、望ましくは約4℃〜37℃で、約20分〜24
時間、望ましくは約30分〜3時間行なう。反応後、ガ
ラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄し
た後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチ
レーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測す
る。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引
いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験化
合物を本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対
するリガンド(アゴニスト)として選択することができ
る。
【0055】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩に対するリガンドを決定する上記の〜の方法を実
施するためには、該レセプタータンパク質を介する細胞
刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン
遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内
cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン
酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸
化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活
性または抑制する活性など)を公知の方法または市販の
測定用キットを用いて測定することができる。具体的に
は、まず、レセプタータンパク質を含有する細胞をマル
チウェルプレート等に培養する。リガンド決定を行なう
にあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を
示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを
添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あ
るいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方
法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質
(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有す
る分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対
する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。ま
た、cAMP産生抑制などの活性については、フォルス
コリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細
胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
【0056】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩に結合するリガンド決定用キットは、本発明のレセプ
タータンパク質もしくはその塩、本発明の部分ペプチド
もしくはその塩、本発明のレセプタータンパク質を含有
する細胞、または本発明のレセプタータンパク質を含有
する細胞の膜画分などを含有するものである。本発明の
リガンド決定用キットの例としては、次のものが挙げら
れる。 1.リガンド決定用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 Gタンパク質共役型レセプタータンパク質標品 本発明のレセプタータンパク質を発現させたCHO細胞
を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37
℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識試験化合物 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した化合物、または適当な方法で標識化したもの 水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存
し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。水に難
溶性を示す試験化合物については、ジメチルホルムアミ
ド、DMSO、メタノール等に溶解する。 非標識試験化合物 標識化合物と同じものを100〜1000倍濃い濃度に
調製する。
【0057】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プタータンパク質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1m
lで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴
に加える。 標識試験化合物を5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには非標識試験化合物
を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識試験化合物を0.2N NaO
H−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーター
A(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定する。
【0058】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩に結合することができるリガンドとしては、例えば、
視床下部、大脳皮質、結腸癌、肺癌などに特異的に存在
する物質などが挙げられ、具体的には、アンギオテンシ
ン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グ
ルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチド
Y、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシ
ン、PACAP(例、PACAP27,PACAP3
8)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレ
ノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、A
CTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ イ
ンテスティナル アンド リレイテッドポリペプチ
ド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリ
ン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレ
ーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアス
タチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノ
シン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー
(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NA
P−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−1
0,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカ
インサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−
2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RAN
TES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,M
IP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−3
09,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eot
axin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SL
CなどのCCケモカインサブファミリー;lympho
tactinなどのCケモカインサブファミリー;fr
actalkineなどのCX3Cケモカインサブファ
ミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒス
タミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティッ
クポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸
(LPA)、スフィンゴシン1−リン酸、配列番号:
3、配列番号:4、配列番号:5または配列番号:6、
で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどが
用いられる。
【0059】(2)本発明の本発明のレセプタータンパ
ク質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治
療剤 上記(1)の方法において、本発明のレセプタータンパ
ク質に対するリガンドが明らかになれば、該リガンドが
有する作用に応じて、本発明のレセプタータンパク質
または該レセプタータンパク質をコードするDNA
を、本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連す
る疾患の予防および/または治療剤などの医薬として使
用することができる。
【0060】例えば、生体内において本発明のレセプタ
ータンパク質が減少しているためにレセプターの生理作
用が期待できない(該本発明のレセプタータンパク質欠
乏症)患者がいる場合に、本発明のレセプタータンパ
ク質を該患者に投与し該本発明のレセプタータンパク質
の量を補充したり、(イ)本発明のレセプタータンパ
ク質をコードするDNAを該患者に投与し発現させるこ
とによって、あるいは(ロ)対象となる細胞に本発明の
レセプタータンパク質をコードするDNAを挿入し発現
させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによっ
て、患者の体内における本発明のレセプタータンパク質
の量を増加させたりして、それに対するリガンド(例、
配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5または配列
番号:6で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に
同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするポリペ
プチドまたはその塩など)の作用を充分に発揮させるこ
とができる。したがって、本発明のレセプタータンパク
質および本発明のレセプタータンパク質をコードするD
NAは、安全で低毒性な本発明のレセプタータンパク質
の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤
などの医薬として有用である。本発明のリガンドタンパ
ク質および本発明のレセプタータンパク質をコードする
DNAは、癌転移抑制活性を有する(WO 00/24
890号)ため、該リガンドの受容体である本発明のレ
セプタータンパク質は、あらゆる癌(例えば、肺癌、胃
癌、肝癌、膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、
卵巣癌、子宮頚癌、乳癌等)の予防または治療薬に有用
である。本発明のレセプタータンパク質を前記予防・治
療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化す
ることができる。一方、本発明のレセプタータンパク質
をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する
場合がある)を前記予防・治療剤として使用する場合
は、本発明のDNAを単独あるいはレトロウイルスベク
ター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシ
エーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿
入した後、常套手段に従って実施することができる。本
発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のため
の補助剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテル
のようなカテーテルによって投与できる。例えば、本
発明のレセプタータンパク質または該レセプタータン
パク質をコードするDNAは、必要に応じて糖衣を施し
た錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル
剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の
薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤
などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、
本発明のレセプタータンパク質または該レセプタータ
ンパク質をコードするDNAを生理学的に認められる公
知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定
剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要
求される単位用量形態で混和することによって製造する
ことができる。これら製剤における有効成分量は指示さ
れた範囲の適当な容量が得られるようにするものであ
る。
【0061】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどと併用してもよい。
【0062】また、前記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、
ヒト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができ
る。本発明のレセプタータンパク質の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60k
gとして)においては、一日につき約0.1mg〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常例えば、癌患者(60kgとして)においては、一
日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.
1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg
程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の
動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与する
ことができる。本発明のレセプタータンパク質をコード
するDNAの投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投
与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般
的に例えば、癌患者(60kgとして)においては、一
日につき約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.
0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgであ
る。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与
対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なる
が、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60
kgとして)においては、一日につき約0.01〜30
mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好
ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与
するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当
たりに換算した量を投与することができる。
【0063】(3)遺伝子診断剤 本発明のレセプタータンパク質をコードするDNAは、
プローブとして使用することにより、ヒトまたは非ヒト
哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、
ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)における本発明の
レセプタータンパク質をコードするDNAまたはmRN
Aの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、
例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異ある
いは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるい
は発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。本発
明のレセプタータンパク質をコードするDNAを用いる
前記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイ
ブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミック
ス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989
年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー
(Proceedings of the National Academy of Sciences
of theUnited States of America),第86巻,276
6〜2770頁(1989年))などにより実施するこ
とができる。
【0064】(4)本発明のレセプタータンパク質に対
するリガンドの定量法 本発明のレセプタータンパク質は、リガンドタンパク質
に対して結合性を有しているので、生体内におけるレセ
プター濃度を感度良く定量することができる。本発明の
定量法は、例えば、競合法と組み合わせることによって
用いることができる。すなわち、被検体を本発明のレセ
プタータンパク質と接触させることによって被検体中の
リガンド濃度を測定することができる。具体的には、例
えば、以下のまたはなどに記載の方法あるいはそれ
に準じる方法に従って用いることができる。 入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和4
9年発行) 入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和
54年発行)
【0065】(5)本発明のレセプタータンパク質また
はその塩とリガンドとの結合性を変化させる化合物(ア
ゴニスト、アンタゴニストなど)のスクリーニング方法 本発明のレセプタータンパク質に対するリガンドタンパ
ク質またはその塩を用いるか、または組換え型レセプタ
ータンパク質の発現系を構築し、該発現系を用いたリガ
ンド結合アッセイ系を用いることによって、本発明のレ
セプタータンパク質とリガンドタンパク質との結合性を
変化させる化合物(例えば、ペプチド、タンパク質、非
ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)また
はその塩を効率よくスクリーニングすることができる。
ここで使用するリガンドとしては、性質等が十分に知ら
れているもの、例えば、配列番号:3、配列番号:4、
配列番号:5または配列番号:6で表されるアミノ酸配
列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
ことを特徴とするポリペプチドまたはその塩などが好ま
しい。このような化合物には、(イ)例えば、Gタンパ
ク質共役型レセプターを介して細胞刺激活性(例えば、
アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca 2+
遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノ
シトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク
質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを
促進する活性または抑制する活性など)を有する化合物
(いわゆる、レセプタータンパク質に対するアゴニス
ト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物(いわゆ
る、レセプタータンパク質に対するアンタゴニスト)、
あるいは(ハ)本発明のレセプタータンパク質とリガン
ドとの結合力を減少させる化合物などが含まれる。すな
わち、本発明は、(i)リガンドと本発明のレセプター
タンパク質とを接触させた場合と(ii)本発明のレセプ
タータンパク質および試験化合物とリガンドとを接触さ
せた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のレ
セプタータンパク質とリガンドとの結合性を変化させる
化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(i
i)の場合における、例えば、本発明のレセプタータン
パク質に対するリガンドの結合量、細胞刺激活性などを
測定して、比較することを特徴とする。
【0066】より具体的には、本発明は、 標識したリガンドタンパク質を、本発明のレセプター
タンパク質に接触させた場合と、標識したリガンドタン
パク質および試験化合物を本発明のレセプタータンパク
質に接触させた場合における、標識したリガンドタンパ
ク質の該レセプタータンパク質に対する結合量を測定
し、比較することを特徴とするリガンドタンパク質と本
発明のレセプタータンパク質との結合性を変化させる化
合物またはその塩のスクリーニング方法(この場合、リ
ガンドではなくレセプターを標識してもよい)、 標識したリガンドタンパク質を、本発明のレセプター
タンパク質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触
させた場合と、標識したリガンドタンパク質および試験
化合物を本発明のレセプタータンパク質を含有する細胞
または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識
したリガンドタンパク質の該細胞または該膜画分に対す
る結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンド
タンパク質と本発明のレセプタータンパク質との結合性
を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方
法、 標識したリガンドタンパク質を、本発明のDNAを含
有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発
現した本発明のレセプタータンパク質に接触させた場合
と、標識したリガンドタンパク質および試験化合物を本
発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによ
って細胞膜上に発現した本発明のレセプタータンパク質
に接触させた場合における、標識したリガンドタンパク
質の本発明のレセプタータンパク質に対する結合量を測
定し、比較することを特徴とするリガンドタンパク質と
本発明のレセプタータンパク質との結合性を変化させる
化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0067】リガンドタンパク質を本発明のレセプタ
ータンパク質を含有する細胞に接触させた場合と、リガ
ンドタンパク質をおよび試験化合物を本発明のレセプタ
ータンパク質を含有する細胞に接触させた場合におけ
る、本発明のレセプタータンパク質を介した細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細
胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pH
の低下などを促進する活性または抑制する活性など)を
測定し、比較することを特徴とするリガンドタンパク質
と本発明のレセプタータンパク質との結合性を変化させ
る化合物またはその塩のスクリーニング方法、および リガンドタンパク質を本発明のDNAを含有する形質
転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発
明のレセプタータンパク質に接触させた場合と、リガン
ドタンパク質および試験化合物を本発明のDNAを含有
する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現
した本発明のレセプタータンパク質に接触させた場合に
おける、レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、ア
ラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシ
トールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質
のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促
進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較す
ることを特徴とするリガンドタンパク質と本発明のレセ
プタータンパク質との結合性を変化させる化合物または
その塩のスクリーニング方法などを提供する。
【0068】前記〜いずれかの方法を用いることに
よって、リガンドと本発明のレセプタータンパク質との
結合を阻害する化合物を効率良くスクリーニングするこ
とができる。さらに、スクリーニングされた化合物がア
ゴニストかアンタゴニストかを簡便に評価することがで
きる。本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以
下にする。まず、本発明のスクリーニング方法に用いる
本発明のレセプタータンパク質としては、前記した本発
明のレセプタータンパク質を含有するものであれば何れ
のものであってもよいが、本発明のレセプタータンパク
質を含有する哺乳動物の臓器の細胞膜画分が好適であ
る。しかし、スクリーニングに用いる大量の本発明のレ
セプタータンパク質を得るには、組換え体を用いて大量
発現させた本発明のレセプタータンパク質などが適して
いる。
【0069】本発明のレセプタータンパク質を製造する
には、前述の方法が用いられるが、そのDNAを哺乳細
胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好まし
い。目的とするタンパク質部分をコードするDNA断片
には相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制約さ
れるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを
用いてもよい。本発明のレセプタータンパク質をコード
するDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率
よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主と
するバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nu
clear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプ
ロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロウイ
ルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、
ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウイル
スプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に組み
込むのが好ましい。発現したレセプターの量と質の検査
は公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Namb
i,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー(J. Biol. Chem.), 267巻, 19555〜19559
頁, 1992年〕に記載の方法に従って行なうことができ
る。したがって、本発明のスクリーニング方法におい
て、レセプタータンパク質を含有するものとしては、公
知の方法に従って精製したレセプタータンパク質であっ
てもよいし、該レセプタータンパク質を含有する細胞を
用いてもよく、また該レセプタータンパク質を含有する
細胞の膜画分を用いてもよい。
【0070】本発明のスクリーニング方法において、本
発明のレセプタータンパク質を含有する細胞を用いる場
合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固
定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行な
うことができる。本発明のレセプタータンパク質を含有
する細胞としては、該レセプタータンパク質を発現した
宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草
菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが好ましい。細胞膜
画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られ
る細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕
方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細
胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン
(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フ
レンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから
噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の
分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの
遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細
胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短
時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高
速(15000rpm〜30000rpm)で通常30
分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜
画分中には、発現した本発明のレセプタータンパク質と
細胞由来のリン脂質や膜タンパク質などの膜成分が多く
含まれる。該本発明のレセプタータンパク質を含有する
細胞や膜画分中のレセプタータンパク質の量は、1細胞
当たり103〜108分子であるのが好ましく、105
107分子であるのが好適である。なお、発現量が多い
ほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高く
なり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるば
かりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるよう
になる。
【0071】リガンドタンパク質と本発明のレセプター
タンパク質との結合性を変化させる化合物をスクリーニ
ングする前記の〜を実施するためには、例えば、適
当な本発明のレセプタータンパク質画分と、標識したリ
ガンドが必要である。本発明のレセプタータンパク質画
分としては、天然型の本発明のレセプタータンパク質画
分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型レセプ
タータンパク質画分などが望ましい。ここで、同等の活
性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作
用などを示す。標識したリガンドとしては、標識したリ
ガンド、標識したリガンドアナログ化合物などが用いら
れる。例えば〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕
などで標識されたリガンド(例えば、配列番号:3、配
列番号:4、配列番号:5または配列番号:6で表され
るアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配
列を含有することを特徴とするポリペプチドまたはその
塩など)などが用いられる。具体的には、リガンドタン
パク質と本発明のレセプタータンパク質との結合性を変
化させる化合物のスクリーニングを行なうには、まず本
発明のレセプタータンパク質を含有する細胞または細胞
の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁
することによりレセプタータンパク質標品を調製する。
バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜
8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなど
のリガンドとレセプタータンパク質との結合を阻害しな
いバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的
結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−8
TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレ
ートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもでき
る。さらに、プロテアーゼによるレセプターや本発明の
リガンドタンパク質の分解を抑える目的でPMSF、ロ
イペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタ
チンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもでき
る。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一
定量(5000cpm〜500000cpm)の標識し
たリガンドタンパク質を添加し、同時に10-4M〜10
-10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(N
SB)を知るために大過剰の未標識のリガンドタンパク
質を加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃から
50℃、望ましくは約4℃から37℃で、約20分から
24時間、望ましくは約30分から3時間行う。反応
後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで
洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体
シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計
測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から
非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−N
SB)を100%とした時、特異的結合量(B−NS
B)が、例えば、50%以下になる試験化合物を拮抗阻
害能力のある候補物質として選択することができる。
【0072】リガンドタンパク質と本発明のレセプター
タンパク質との結合性を変化させる化合物スクリーニン
グする前記の〜の方法を実施するためには、例え
ば、本発明のレセプタータンパク質を介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞
内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの
低下などを促進する活性または抑制する活性など)を公
知の方法または市販の測定用キットを用いて測定するこ
とができる。具体的には、まず、本発明のレセプタータ
ンパク質を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培
養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もって
新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッフ
ァーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間イン
キュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収し
て、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。
細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸
など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定
困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してア
ッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制など
の活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的
産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用と
して検出することができる。細胞刺激活性を測定してス
クリーニングを行なうには、適当な本発明のレセプター
タンパク質を発現した細胞が必要である。本発明のレセ
プタータンパク質を発現した細胞としては、天然型のレ
セプタータンパク質を有する細胞株、前述の組換え型レ
セプタータンパク質を発現した細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非
ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出
液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これ
ら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合
物であってもよい。
【0073】リガンドタンパク質と本発明のレセプター
タンパク質との結合性を変化させる化合物またはその塩
のスクリーニング用キットは、本発明のレセプタータン
パク質、本発明のレセプタータンパク質を含有する細
胞、または本発明のレセプタータンパク質を含有する細
胞の膜画分を含有するものなどである。本発明のスクリ
ーニング用キットの例としては、次のものが挙げられ
る。 1.スクリーニング用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 Gタンパク質共役型レセプター標品 本発明のレセプタータンパク質を発現させたCHO細胞
を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37
℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識リガンド 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識したリガンドタンパク質 水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存
し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。 リガンド標準液 リガンドタンパク質を0.1%ウシ血清アルブミン(シ
グマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、
−20℃で保存する。
【0074】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プタータンパク質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1m
lで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴
に加える。 10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた
後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わ
りに10-3Mのリガンドを5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH
−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA
(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式〔数1〕で求める。
【0075】
【数1】PMB=[(B−NSB)/(B0−NS
B)]×100 PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の値 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B0 :最大結合量
【0076】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られうる化合物またはその
塩は、リガンドタンパク質と本発明のレセプタータンパ
ク質との結合性を変化させる作用を有する化合物であ
り、具体的には、(イ)本発明のレセプターを介して細
胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリ
ン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞
内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位
変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活性
化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性
など)を有する化合物(いわゆる、本発明のレセプター
タンパク質に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活
性を有しない化合物(いわゆる、本発明のレセプタータ
ンパク質に対するアンタゴニスト)、あるいは(ハ)リ
ガンドタンパク質と本発明のレセプタータンパク質との
結合力を減少させる化合物である。該化合物としては、
ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合
物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な
化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよ
い。本発明のレセプタータンパク質に対するアゴニスト
は、本発明のレセプタータンパク質に対するリガンドタ
ンパク質が有する生理活性と同様の作用を有しているの
で、該リガンド活性に応じて安全で低毒性な医薬として
有用である。具体的には、本発明のレセプタータンパク
質に対するアゴニストは癌転移抑制活性を有するため、
あらゆる癌(例えば、肺癌、胃癌、肝癌、膵癌、大腸
癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頚癌、乳
癌等)の予防または治療薬に有用である。また、本発明
のレセプタータンパク質に対するアゴニストは、胎盤機
能調節作用を有するため、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇
胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常
または分娩誘発の予防または治療薬に有用である。本発
明のレセプタータンパク質に対するアンタゴニストは、
本発明のレセプタータンパク質に対するリガンドタンパ
ク質が有する生理活性を抑制することができるので、該
リガンド活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用
である。リガンドタンパク質と本発明のレセプタータン
パク質との結合力を減少させる化合物は、本発明のレセ
プタータンパク質に対するリガンドタンパク質が有する
生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として
有用である。
【0077】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られうる化合物またはその
塩を上述の医薬組成物として使用する場合、常套手段に
従って実施することができる。例えば、前記した本発明
のDNAを含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル
剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、
懸濁液剤などとすることができる。このようにして得ら
れる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物
(例えば、ヒト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。該化合物またはその塩(アゴニストの場
合)の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法
などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例
えば、癌患者(60kgとして)においては、一日につ
き約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50m
g、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口
的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象
臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例え
ば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。
【0078】(6)リガンドタンパク質と本発明のレセ
プタータンパク質との結合性を変化させる化合物(アゴ
ニスト、アンタゴニスト)を含有する各種疾病の予防お
よび/または治療剤 本発明のレセプタータンパク質は前述のとおり、癌転移
抑制活性を有するため、あらゆる癌(例えば、肺癌、胃
癌、肝癌、膵癌、大腸癌、直腸癌、結腸癌、前立腺癌、
卵巣癌、子宮頚癌、乳癌等)の予防または治療薬に有用
である。また、本発明のレセプタータンパク質は、胎盤
機能調節作用を有するため、絨毛癌、胞状奇胎、侵入奇
胎、流産、胎児の発育不全、糖代謝異常、脂質代謝異常
または分娩誘発の予防または治療薬に有用である。従っ
て、リガンドタンパク質と本発明のレセプタータンパク
質との結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタ
ゴニスト)は、リガンドタンパク質の機能不全または不
足もしくは過剰に関連する疾患の予防および/または治
療剤として用いることができる。該化合物をリガンドタ
ンパク質の機能不全または不足もしくは過剰に関連する
疾患の予防および/または治療剤として使用する場合
は、常套手段に従って製剤化することができる。例え
ば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプ
セル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして
経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容
し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤
の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理
学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒク
ル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認めら
れた製剤実施に要求される単位用量形態で混和すること
によって製造することができる。これら製剤における有
効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるよう
にするものである。
【0079】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の方法に従って処方
することができる。注射用の水性液としては、例えば、
生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液
(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化
ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80
(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性
液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、
溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコー
ルなどと併用してもよい。
【0080】また、前記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えば、
ヒト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができ
る。該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象
臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投
与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)
においては、一日につき約0.1〜100mg、好まし
くは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜2
0mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投
与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっ
ても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌
患者(60kgとして)においては、一日につき約0.
01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0081】(7)本発明のレセプタータンパク質もし
くはその部分ペプチドまたはその塩の定量 本発明のレセプタータンパク質に対する抗体は、本発明
のレセプタータンパク質を特異的に認識することができ
るので、被検液中の本発明のレセプタータンパク質の定
量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用
することができる。すなわち、本発明は、例えば、
(i)本発明のレセプタータンパク質に対する抗体と、
被検液および標識化レセプタータンパク質とを競合的に
反応させ、該抗体に結合した標識化レセプタータンパク
質の割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明
のレセプタータンパク質の定量法、(ii)被検液と担体
上に不溶化した本発明のレセプタータンパク質に対する
抗体および標識化された本発明のレセプタータンパク質
に対する抗体とを同時あるいは連続的に反応させたの
ち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴
とする被検液中の本発明のレセプタータンパク質の定量
法を提供する。前記(ii)においては、一方の抗体が本
発明のレセプタータンパク質のN端部を認識する抗体
で、他方の抗体が本発明のレセプタータンパク質のC端
部に反応する抗体であることが好ましい。
【0082】本発明のレセプタータンパク質に対するモ
ノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体
と称する場合がある)を用いて本発明のレセプタータン
パク質の測定を行なえるほか、組織染色等による検出を
行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子その
ものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2、F
ab'、あるいはFab画分を用いてもよい。本発明の
レセプタータンパク質に対する抗体を用いる測定法は、
特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量
(例えば、レセプタータンパク質量)に対応した抗体、
抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理
的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液
を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれ
ば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメ
トリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッ
チ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述
するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。標識物
質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例え
ば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが
用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125
I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられ
る。前記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好
ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシ
ダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダー
ゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質と
しては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイ
ソチオシアネートなどが用いられる。発光物質として
は、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェ
リン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体ある
いは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用
いることもできる。
【0083】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常、タンパク質あるいは
酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を
用いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラス等が用いられる。サンドイッチ法に
おいては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検
液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した本発明の
モノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不
溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液
中の本発明のレセプタータンパク質量を定量することが
できる。1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、
また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なって
もよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに
準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫
測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用い
られる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感
度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を
用いてもよい。本発明のサンドイッチ法によるレセプタ
ータンパク質の測定法においては、1次反応と2次反応
に用いられる本発明のモノクローナル抗体はレセプター
タンパク質の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用
いられる。即ち、1次反応および2次反応に用いられる
抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、レセプ
タータンパク質のC端部を認識する場合、1次反応で用
いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部
を認識する抗体が用いられる。
【0084】本発明のレセプタータンパク質に対するモ
ノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システ
ム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフ
ロメトリーなどに用いることができる。競合法では、被
検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応
させたのち、未反応の標識抗原と(F)と抗体と結合し
た標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fい
ずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量す
る。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/
F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第
2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固
相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のも
のを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法と
が用いられる。イムノメトリック法では、被検液中の抗
原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反
応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液
中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相
化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたの
ち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識
量を測定し被検液中の抗原量を定量する。また、ネフロ
メトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の
結果、生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中
の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場
合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリ
ーなどが好適に用いられる。
【0085】これら個々の免疫学的測定法を本発明の測
定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のレセプタータンパク質の測定系を構築すればよい。
これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成
書などを参照することができる〔例えば、入江 寛編
「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発
行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談
社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定
法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵
素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医
学書院、昭和62年発行)、「メソッズ・イン・エンジ
モノジー(Methods in ENZYMOLOGY)」 Vol. 70(Immunoc
hemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunoc
hemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunoc
hemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunoc
hemical Techniques(Part D:Selected Immunoassay
s))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part
E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Me
thods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques
(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibo
dies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照」。
以上のように、本発明の抗体を用いることによって、本
発明のレセプタータンパク質を感度良く定量することが
できる。さらに、本発明の抗体を用いて、生体内での本
発明のレセプタータンパク質を定量することによって、
本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連する各
種疾患の診断をすることができる。また、本発明のレセ
プタータンパク質に対する抗体は、体液や組織などの被
検体中に存在する本発明のレセプタータンパク質を特異
的に検出するために使用することができる。また、本発
明のレセプタータンパク質を精製するために使用する抗
体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のレセプタ
ータンパク質の検出、被検細胞内における本発明のレセ
プタータンパク質の挙動の分析などのために使用するこ
とができる。
【0086】(8)本発明のレセプタータンパク質に対
する抗体による中和 本発明のレセプタータンパク質に対する抗体の、それら
レセプタータンパク質に対する中和活性とは、即ち、該
レセプタータンパク質の関与するシグナル伝達機能を不
活性化する活性を意味する。従って、該抗体が中和活性
を有する場合は、該レセプタータンパク質の関与するシ
グナル伝達、例えば、該レセプタータンパク質を介する
細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコ
リン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細
胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電
位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c−fosの活
性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活
性など)を不活性化することができる。従って、該レセ
プタータンパク質の過剰発現などに起因する疾患の予防
および/または治療に用いることができる。 (9)本発明のレセプタータンパク質をコードするDN
Aを有する動物の作出 本発明のDNAを用いて、本発明のレセプタータンパク
質を発現するトランスジェニック動物を作出することが
できる。動物としては、哺乳動物(例えば、ラット、マ
ウス、ラット、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル
など)などが挙げれるが、特に、マウスなどが好適であ
る。本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたって
は、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの
下流に結合した遺伝子コンストラクトとして用いるのが
一般に有利である。例えば、マウス由来の本発明のDN
Aを転移させる場合、これと相同性が高い動物由来の本
発明のDNAを動物細胞で発現させうる各種プロモータ
ーの下流に結合した遺伝子コンストラクトを、例えば、
マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによ
って本発明のレセプタータンパク質を高産生するDNA
転移動物を作出できる。このプロモーターとしては、例
えば、ウイルス由来プロモーター、メタロチオネイン等
のユビキアスな発現プロモーターも使用しうるが、好ま
しくは脳で特異的に発現するNGF遺伝子プロモーター
やエノラーゼ遺伝子プロモーターなどが用いられる。
【0087】受精卵細胞段階における本発明のDNAの
導入は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在
するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽
細胞において本発明のレセプタータンパク質が存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞及び体細胞
の全てに本発明のレセプタータンパク質を有することを
意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のレセプタータ
ンパク質を有する。本発明のDNA転移動物は、交配に
より遺伝子を安定に保持することを確認して、該DNA
保有動物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことが
できる。さらに、目的DNAを保有する雌雄の動物を交
配することにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明のDNAが転移され
た動物は、本発明のレセプタータンパク質が高発現させ
られているので、本発明のレセプタータンパク質に対す
るアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用
の動物などとして有用である。本発明のDNA転移動物
を、組織培養のための細胞源として使用することもでき
る。例えば、本発明のDNA転移マウスの組織中のDN
AもしくはRNAを直接分析するか、あるいは遺伝子に
より発現された本発明のレセプタータンパク質が存在す
る組織を分析することにより、本発明のレセプタータン
パク質について分析することができる。本発明のレセプ
タータンパク質を有する組織の細胞を標準組織培養技術
により培養し、これらを使用して、例えば、脳や末梢組
織由来のような一般に培養困難な組織からの細胞の機能
を研究することができる。また、その細胞を用いること
により、例えば、各種組織の機能を高めるような医薬の
選択も可能である。また、高発現細胞株があれば、そこ
から、本発明のレセプタータンパク質を単離精製するこ
とも可能である。
【0088】(10)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された上記(1)記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である上記(1)記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(1)記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである上記(4)記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる上記(6)記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(6)記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
上記(8)記載の非ヒト哺乳動物、および(10)上記
(7)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター
遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDN
Aに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合
物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。本発
明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞と
は、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的
に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制する
か、あるいは該DNAがコードしている本発明のポリペ
プチドの活性を実質的に喪失させることにより、DNA
が実質的に本発明のポリペプチドの発現能を有さない
(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがあ
る)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記
する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前記と同様の
ものが用いられる。本発明のDNAに人為的に変異を加
える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該
DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入また
は置換させることによって行なうことができる。これら
の変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらした
り、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊するこ
とにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよ
い。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚
幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または
本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例と
しては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本
発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシ
ン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とす
る薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシ
ダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチ
ルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター
遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊す
るか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の
転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加
シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーRNA
を合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破
壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以
下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば
相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られた
ES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍の
DNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーシ
ョン解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA
配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明
のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとし
たPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細
胞を選別することにより得ることができる。また、相同
組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のE
S細胞としては、例えば、前述のような既に樹立された
ものを用いてもよく、また公知のEvansとKaufmanの方法
に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウス
のES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細
胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしてい
ないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が
明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C5
7BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさを
DBA/2との交雑により改善したBDF1マウス(C
57BL/6とDBA/2とのF1)を用いて樹立した
ものなども良好に用いうる。BDF1マウスは、採卵数
が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C
57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得
られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C
57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝
的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能であ
る点で有利に用い得る。また、ES細胞を樹立する場
合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、
これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用い
ることにより効率よく多数の初期胚を取得することがで
きる。また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、
通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに
都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するために
もできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法
によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出す
る方法が、その1例としてあげることができる。この方
法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約106
の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のE
S細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるE
S細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうこと
が可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことに
より培養初期の手間は大幅に削減できる。また、第二次
セレクションとしては、例えば、G−バンディング法に
よる染色体数の確認等により行うことができる。得られ
るES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましい
が、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、E
S細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例え
ば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再
びクローニングすることが望ましい。このようにして得
られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個
体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養
することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のよ
うな適当なフィーダー細胞上でLIF(1−10000
U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭
酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、9
0%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、
継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常
0.001−0.5%トリプシン/0.1−5mM EDT
A、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDT
A)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー
細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代
は、通常1−3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を
行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培
養細胞は放棄することが望まれる。ES細胞は、適当な
条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または
細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂
筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させ
ることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman,
ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R.
Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Nat
l. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T.
C. Doetschmanら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジ
ー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第
87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて
得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロに
おける本発明のポリペプチドの細胞生物学的検討におい
て有用である。本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、該動物のmRNA量を公知の方法を用いて測定して
間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と
区別することが可能である。該非ヒト哺乳動物として
は、前記と同様のものが用いられる。本発明のDNA発
現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作
製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞また
はマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティング
ベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列
が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウ
ス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同
組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックア
ウトさせることができる。本発明のDNAがノックアウ
トされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のD
NA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーショ
ン解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列
と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の
本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライ
マーとしたPCR法による解析で判定することができ
る。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相
同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞
株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、
8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作
製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮
に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座
をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ
細胞との両者から構成されるキメラ動物である。該キメ
ラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座を
もつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配する
ことにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に
変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された
個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別する
ことにより得られる。このようにして得られた個体は、
通常、本発明のポリペプチドのヘテロ発現不全個体であ
り、本発明のポリペプチドのヘテロ発現不全個体同志を
交配し、それらの産仔から本発明のポリペプチドのホモ
発現不全個体を得ることができる。卵細胞を使用する場
合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション
法でDNA溶液を注入することによりターゲッティング
ベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒ
ト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニ
ック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより
本発明のDNA座に変異のあるものを選択することによ
り得られる。このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のポリペプチドに
より誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発
明のポリペプチドの生物活性の不活性化を原因とする疾
病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及
び治療法の検討に有用である。
【0089】(10a)本発明のDNAの欠損や損傷な
どに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合
物のスクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予
防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることが
できる。すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全
非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を
観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠
損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を
有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供
する。該スクリーニング方法において用いられる本発明
のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様
のものがあげられる。試験化合物としては、例えば、ペ
プチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、
発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出
液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物
であってもよいし、公知の化合物であってもよい。具体
的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試
験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物
の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試
験化合物の治療・予防効果を試験することができる。試
験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、
経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、
試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することがで
きる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化
合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
例えば、中枢疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、
摂食障害など)、内分泌疾患(例えば、高血圧症、性腺機
能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝
疾患(例えば、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)、
癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、
膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌等)に対し
て予防・治療効果を有する化合物をスクリーニングする
場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に糖負荷
処置を行ない、糖負荷処置前または処置後に試験化合物
を投与し、該動物の血糖値および体重変化などを経時的
に測定する。該スクリーニング方法において、試験動物
に試験化合物を投与した場合、該試験動物の癌転移が約
10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは
約50%以上低下した場合、該試験化合物を上記の疾患
に対して予防・治療効果を有する化合物として選択する
ことができる。該スクリーニング方法を用いて得られる
化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であ
り、本発明のポリペプチドの欠損や損傷などによって引
き起こされる疾患に対して予防・治療効果を有するの
で、該疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤などの
医薬として使用することができる。さらに、上記スクリ
ーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様
に用いることができる。該スクリーニング方法で得られ
た化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩とし
ては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸な
ど)や塩基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用い
られ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好まし
い。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩
酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは
有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル
酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸など)との塩などが用いられる。該スクリーニン
グ方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬
は、前記した本発明のポリペプチドを含有する医薬と同
様にして製造することができる。このようにして得られ
る製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまた
は非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモッ
ト、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、
サルなど)に対して投与することができる。該化合物ま
たはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルー
トなどにより差異はあるが、例えば、該化合物を経口投
与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の癌
の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜1
00mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好まし
くは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する
場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患な
どによっても異なるが、例えば、該化合物を注射剤の形
で通常成人(60kgとして)の癌の患者に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。
【0090】(10b)本発明のDNAに対するプロモ
ーターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニ
ング方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものがあげられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。例えば、本発明のポリペプチドをコードす
るDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダー
ゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発
明のポリペプチドの発現する組織で、本発明のポリペプ
チドの代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従っ
て、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル
−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−
ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色するこ
とにより、簡便に本発明のポリペプチドの動物生体内に
おける発現状態を観察することができる。具体的には、
本発明のポリペプチド欠損マウスまたはその組織切片を
グルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩
液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室
温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させ
た後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄
することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止さ
せ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lac
ZをコードするmRNAを検出してもよい。上記スクリ
ーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、
上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明
のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害す
る化合物である。該スクリーニング方法で得られた化合
物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、
生理学的に許容される酸(例、無機酸など)や塩基
(例、有機酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生
理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩と
しては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化
水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、
酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コ
ハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香
酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との
塩などが用いられる。本発明のDNAに対するプロモー
ター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のポ
リペプチドの発現を促進し、該ポリペプチドの機能を促
進することができるので、例えば、中枢疾患(例えば、
アルツハイマー病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患
(例えば、高血圧症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、
下垂体機能異常など)、代謝疾患(例えば、糖尿病、脂質
代謝異常、高脂血症など)、癌(例えば、非小細胞肺
癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部
癌、結腸癌、直腸癌等)などの医薬として有用である。
また、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害
する化合物またはその塩は、本発明のポリペプチドの発
現を阻害し、該ポリペプチドの機能を阻害することがで
きるので、例えば中枢疾患(例えば、アルツハイマー
病、痴呆、摂食障害など)、内分泌疾患(例えば、高血圧
症、性腺機能異常、甲状腺機能異常、下垂体機能異常な
ど)、代謝疾患(例えば、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血
症など)、癌(例えば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺
癌、胃癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌
等)などの予防・治療剤などの医薬として有用である。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導
される化合物も同様に用いることができる。該スクリー
ニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医
薬は、前記した本発明のポリペプチドまたはその塩を含
有する医薬と同様にして製造することができる。このよ
うにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例
えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、マ
ウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウ
マ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することがで
きる。該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投
与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化
合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg
として)の癌の患者においては、一日につき該化合物を
約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50m
g、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経
口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対
象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明
のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を
注射剤の形で通常成人(60kgとして)の癌の患者に
投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30
mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好
ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与
するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当
たりに換算した量を投与することができる。一方、例え
ば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害す
る化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60
kgとして)の癌の患者においては、一日につき該化合
物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50
mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非
経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与
対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発
明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物
を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の癌の患者
に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜3
0mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より
好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投
与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg
当たりに換算した量を投与することができる。このよう
に、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明
のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害
する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極め
て有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種
疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献
することができる。また、本発明のポリペプチドのプロ
モーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種
々のタンパクをコードする遺伝子を連結し、これを動物
の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物
(遺伝子導入動物)を作成すれば、特異的にそのポリペ
プチドを合成させ、その生体での作用を検討することも
可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポ
ータ遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を
樹立すれば、本発明のポリペプチドそのものの体内での
産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低
分子化合物の探索系として使用できる。
【0091】(11)本発明のレセプタータンパク質ま
たはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のス
クリーニング方法 本発明のDNAは、プローブとして用いることにより、
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド
の発現量を変化させる化合物のスクリーニングに用いる
ことができる。すなわち、本発明は、例えば、(i)非
ヒト哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離
した組織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含
まれる本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペ
プチドのmRNA量を測定することによる、本発明のレ
セプタータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を
変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。本
発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの
mRNA量の測定は具体的には以下のようにして行な
う。 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肺、大腸など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた細胞に含まれる本発
明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドのm
RNAは、例えば、通常の方法により細胞等からmRN
Aを抽出し、例えば、TaqManPCRなどの手法を
用いることにより定量することができ、公知の手段によ
りノザンブロットを行うことにより解析することもでき
る。 (ii)本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分
ペプチドを発現する形質転換体を上記の方法に従い作製
し、該形質転換体に含まれる本発明のレセプタータンパ
ク質またはその部分ペプチドのmRNAを同様にして定
量、解析することができる。本発明のレセプタータンパ
ク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合
物のスクリーニングは、(i)正常あるいは疾患モデル
非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレス
などを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ま
しくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前
〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、
好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後
〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと
同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後(3
0分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好
ましくは1時間後〜24時間後)、細胞に含まれる本発
明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドのm
RNA量を定量、解析することにより行なうことがで
き、(ii)形質転換体を常法に従い培養する際に被検化
合物を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7
日後、好ましくは1日後〜3日後、より好ましくは2日
後〜3日後)、該形質転換体に含まれる本発明のレセプ
タータンパク質またはその部分ペプチドのmRNA量を
定量、解析することにより行なうことができる。本発明
のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはそ
の塩は、本発明のレセプタータンパク質またはその部分
ペプチドの発現量を変化させる作用を有する化合物であ
り、具体的には、(イ)本発明のレセプタータンパク質
またはその部分ペプチドの発現量を増加させることによ
り、Gタンパク質共役型レセプターを介する細胞刺激活
性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、
細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAM
P抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産
生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン酸化、c
−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性また
は抑制する活性など)を増強させる化合物、(ロ)本発
明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの発
現量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱さ
せる化合物である。該化合物としては、ペプチド、タン
パク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物な
どが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であっても
よいし、公知の化合物であってもよい。該細胞刺激活性
を増強させる化合物は、本発明のレセプタータンパク質
等の生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬とし
て有用である。該細胞刺激活性を減弱させる化合物は、
本発明のレセプタータンパク質等の生理活性を減少させ
るための安全で低毒性な医薬として有用である。本発明
のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはそ
の塩を医薬組成物として使用する場合、常套手段に従っ
て実施することができる。例えば、上記した本発明のレ
セプタータンパク質を含有する医薬と同様にして、錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、
無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。このよ
うにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例え
ば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウ
ス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法
などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に、
例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日に
つき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50
mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経
口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対
象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例え
ば、注射剤の形では通常例えば、癌患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。
【0092】(12)本発明のレセプタータンパク質ま
たはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物を含
有する各種疾病の予防および/または治療剤 本発明のレセプタータンパク質は上記のとおり、例え
ば、中枢機能など生体内で何らかの重要な役割を果たし
ていると考えられる。したがって、本発明のレセプター
タンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させ
る化合物は、本発明のレセプタータンパク質の機能不全
に関連する疾患の予防および/または治療剤として用い
ることができる。該化合物を本発明のレセプタータンパ
ク質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治
療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化す
ることができる。例えば、該化合物は、必要に応じて糖
衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロ
カプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそ
れ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または
懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例
えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香
味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤など
とともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用
量形態で混和することによって製造することができる。
これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当
な用量が得られるようにするものである。錠剤、カプセ
ル剤などに混和することができる添加剤としては、例え
ば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビア
ゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形
剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのよう
な膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、
ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパー
ミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤など
が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合に
は、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を
含有することができる。注射のための無菌組成物は注射
用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油な
どのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させる
などの通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ
糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビ
トール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)など
が用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール
(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界
面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)
などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ
油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸
ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、
リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤
(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインな
ど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチ
レングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアル
コール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合して
もよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充
填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性
であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例え
ば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓
器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与
の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)に
おいては、一日につき約0.1〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与
量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによって
も異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌症
患者(60kgとして)においては、一日につき約0.
01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0093】(13)細胞膜における本発明のレセプタ
ータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる
化合物のスクリーニング方法 本発明の抗体は、本発明のレセプタータンパク質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩を特異的に認識するこ
とができるので、細胞膜における本発明のレセプタータ
ンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物のスクリーニングに用いることができる。すなわち本
発明は、例えば、(i)非ヒト哺乳動物の血液、特
定の臓器、臓器から単離した組織もしくは細胞等を破
壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド
を定量することによる、細胞膜における本発明のレセプ
タータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させ
る化合物のスクリーニング方法、(ii)本発明のレセプ
タータンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する形
質転換体等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜
画分に含まれる本発明のレセプタータンパク質またはそ
の部分ペプチドを定量することによる、細胞膜における
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド
の量を変化させる化合物のスクリーニング方法、(ii
i)非ヒト哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器か
ら単離した組織もしくは細胞等を切片とした後、免疫染
色法を用いることにより、細胞表層での該レセプタータ
ンパク質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜
上の該タンパク質を確認することによる、細胞膜におけ
る本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチ
ドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供
する。(iv)本発明のレセプタータンパク質もしくはそ
の部分ペプチドを発現する形質転換体等を切片とした
後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該レ
セプタータンパク質の染色度合いを定量化することによ
り、細胞膜上の該タンパク質を確認することによる、細
胞膜における本発明のレセプタータンパク質またはその
部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング
方法を提供する。細胞膜画分に含まれる本発明のレセプ
タータンパク質またはその部分ペプチドの定量は具体的
には以下のようにして行なう。 (i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肺、大腸など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細
胞等を、例えば、適当な緩衝液(例えば、トリス塩酸緩
衝液、リン酸緩衝液、ヘペス緩衝液など)等に懸濁し、
臓器、組織あるいは細胞を破壊し、界面活性剤(例え
ば、トリトンX100TM、ツイーン20TMなど)などを
用い、さらに遠心分離や濾過、カラム分画などの手法を
用いて細胞膜画分を得る。細胞膜画分としては、細胞を
破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれ
る画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter
−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワ
ーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)の
よる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加
圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる
破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分
離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が
主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(50
0rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜
10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm
〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得
られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現した
レセプタータンパク質等と細胞由来のリン脂質や膜タン
パク質などの膜成分が多く含まれる。細胞膜画分に含ま
れる本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプ
チドは、例えば、本発明の抗体を用いたサンドイッチ免
疫測定法、ウエスタンブロット解析などにより定量する
ことができる。かかるサンドイッチ免疫測定法は上記の
方法と同様にして行なうことができ、ウエスタンブロッ
トは公知の手段により行なうことができる。 (ii)本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分
ペプチドを発現する形質転換体を上記の方法に従い作製
し、細胞膜画分に含まれる本発明のレセプタータンパク
質またはその部分ペプチドを定量することができる。細
胞膜における本発明のレセプタータンパク質またはその
部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング
は、(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対
して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時
間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜1
2時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしく
は一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後
〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、ま
たは薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を
投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好
ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜
24時間後)、細胞膜における本発明のレセプタータン
パク質またはその部分ペプチドの量を定量することによ
り行なうことができ、(ii)形質転換体を常法に従い培
養する際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間培
養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、よ
り好ましくは2日後〜3日後)、細胞膜における本発明
のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を
定量することにより行なうことができる。細胞膜画分に
含まれる本発明のレセプタータンパク質またはその部分
ペプチドの確認は具体的には以下のようにして行なう。
(iii)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満
マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、
薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満
薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレ
ス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定
時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例え
ば、脳、肺、大腸など)、または臓器から単離した組
織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細
胞等を、常法に従い組織切片とし、本発明の抗体を用い
て免疫染色を行う。細胞表層での該レセプタータンパク
質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該
タンパク質を確認することにより、定量的または定性的
に、細胞膜における本発明のレセプタータンパク質また
はその部分ペプチドの量を確認することができる。(i
v)本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペ
プチドを発現する形質転換体等を用いて同様の手段をと
ることにより確認することもできる。本発明のスクリー
ニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、細
胞膜における本発明のレセプタータンパク質またはその
部分ペプチドの量を変化させる作用を有する化合物であ
り、具体的には、(イ)細胞膜における本発明のレセプ
タータンパク質またはその部分ペプチドの量を増加させ
ることにより、Gタンパク質共役型レセプターを介する
細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコ
リン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細
胞内cAMP抑制、細胞内cGMP生成、イノシトール
リン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内タンパク質のリン
酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する
活性または抑制する活性など)を増強させる化合物、
(ロ)細胞膜における本発明のレセプタータンパク質ま
たはその部分ペプチドの量を減少させることにより、該
細胞刺激活性を減弱させる化合物である。該化合物とし
ては、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合
成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は
新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であって
もよい。該細胞刺激活性を増強させる化合物は、本発明
のレセプタータンパク質等の生理活性を増強するための
安全で低毒性な医薬として有用である。該細胞刺激活性
を減弱させる化合物は、本発明のレセプタータンパク質
等の生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬と
して有用である。本発明のスクリーニング方法を用いて
得られる化合物またはその塩を医薬組成物として使用す
る場合、常套手段に従って実施することができる。例え
ば、上記した本発明のレセプタータンパク質を含有する
医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、
マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとする
ことができる。このようにして得られる製剤は安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例
えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができ
る。該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象
臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投
与の場合、一般的に例えば、癌患者(60kgとして)
においては、一日につき約0.1〜100mg、好まし
くは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜2
0mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投
与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっ
ても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、癌
患者(60kgとして)においては、一日につき約0.
01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0094】(14)細胞膜における本発明のレセプタ
ータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる
化合物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤
本発明のレセプタータンパク質は上記のとおり、例え
ば、中枢機能など生体内で何らかの重要な役割を果たし
ていると考えられる。したがって、細胞膜における本発
明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの量
を変化させる化合物は、本発明のレセプタータンパク質
の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤
として用いることができる。該化合物を本発明のレセプ
タータンパク質の機能不全に関連する疾患の予防および
/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従っ
て製剤化することができる。例えば、該化合物は、必要
に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル
剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは
水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性
溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使
用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公
知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定
剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要
求される単位用量形態で混和することによって製造する
ことができる。これら製剤における有効成分量は指示さ
れた範囲の適当な用量が得られるようにするものであ
る。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加
剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラ
ガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロー
スのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギ
ン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムの
ような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような
甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのよ
うな香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセル
である場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のよう
な液状担体を含有することができる。注射のための無菌
組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻
油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解また
は懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ
とができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食
塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例え
ば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリ
ウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例え
ば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール
(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80
TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液とし
ては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補
助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなど
と併用してもよい。また、上記予防・治療剤は、例え
ば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム
緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、
塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アル
ブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例え
ば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止
剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適
当なアンプルに充填される。このようにして得られる製
剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の
哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、
ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与する
ことができる。該化合物またはその塩の投与量は、投与
対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、癌患者(60k
gとして)においては、一日につき約0.1〜100m
g、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約
1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、
その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法
などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常
例えば、癌患者(60kgとして)においては、一日に
つき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜
20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度
を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0095】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、その表示は、IUPAC-IU
B Commission on Biochemical Nomenclatureによる略号
あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであ
る。その例を以下に示す。またアミノ酸に関し光学異性
体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すも
のとする。 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
【0096】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl-Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br-Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N-9−フルオレニルメトキシカルボ
ニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−
4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−
2,3−ジカルボキシイミド DCC :N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド
【0097】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のレセプタータンパク質のアミ
ノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕本発明のレセプタータンパク質をコー
ドするDNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:3〕本発明のレセプタータンパク質のヒト
型リガンドタンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:4〕本発明のレセプタータンパク質のマウ
ス型1リガンドタンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:5〕本発明のレセプタータンパク質のマウ
ス型2リガンドタンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:6〕本発明のレセプタータンパク質のラッ
ト型リガンドタンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:7〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ー1の塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕後述の実施例1で用いられたプライマ
ー2の塩基配列を示す。
【0098】後述の実施例1で得られた大腸菌(Escheri
chia coli)DH5α / pCR−BluntII−mOT7T175は、200
1年1月11日より、茨城県つくば市東1丁目1番地1
中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法
人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧 経
済産業省産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所
(NIBH))に受託番号FERM BP−7428と
して寄託され、また、2000年12月22日より、大
阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵便番
号532−8686)の財団法人発酵研究所(IFO)
に受託番号IFO 16523として寄託されている。
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をより詳細に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。
【0099】実施例1 マウス全脳由来 新規Gタンパク
質共役型レセプタータンパク質をコードするcDNAのクロ
ーニングと塩基配列の決定 マウス全脳cDNA(CLONTECH社)を鋳型とし、2個のプラ
イマー、プライマー1(配列番号:7)およびプライマ
ー2(配列番号:8)を用いてPCR反応を行った。該反応
における反応液の組成は、前記cDNAを10分の1量鋳型と
して使用し、Pfu Turbo DNA Polymerase(STRATAGENE
社)1/50量、プライマー1およびプライマー2を各0.2μ
M、dNTPs 200μM、および酵素に添付のバッファーを加
え、25μlの液量とした。PCR反応は、94℃・2分の
後、94℃・20秒、72℃・2分のサイクルを3回、94℃・
20秒、68℃・2分のサイクルを3回、94℃・20秒、62℃・
20秒、68℃・1分30秒のサイクルを38回繰り返し、最後に
68℃・7分の伸長反応を行った。該PCR反応後の反応
産物を、Zero−blunt TOPO TA Cloning Kit(Invitroge
n社)の処方に従い、プラスミドベクターpCR−Blunt II
−TOPO(Invitrogen社)へサブクローニングした。これ
を大腸菌DH5αに導入し、cDNAを持つクローンを、カナ
マイシンを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクロー
ンの配列を解析した結果、新規Gタンパク質共役型レセ
プタータンパク質をコードするcDNAの塩基配列(配列番
号:2)を得た。この塩基配列より導き出される396残
基からなるアミノ酸配列(配列番号:1)は、既知Gタ
ンパク質共役型レセプターであるrOT7T175(GPR54)と
の間に、94.4%ともっとも高い相同性がみられた。ま
た、そのヒト型カウンターパートであるhOT7T175との間
にも82.4%の相同性が見られたことから、これらのマウ
ス型カウンターパートであると考えられた。そこで、こ
のアミノ酸配列を含有する新規Gタンパク質共役型レセ
プタータンパク質をmOT7T175と命名した。またmOT7T175
配列を有する前記の形質転換体を、大腸菌(Escherichia
coli)DH5α / pCR−Blunt II−mOT7T175と命名した。
【0100】
【発明の効果】本発明のGタンパク質共役型レセプター
タンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該
レセプタータンパク質またはその部分ペプチドをコード
するポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNAおよび
それらの誘導体)は、抗体および抗血清の入手、組
換え型レセプタータンパク質の発現系の構築、同発現
系を用いたレセプター結合アッセイ系の開発と医薬品候
補化合物のスクリーニング、構造的に類似したリガン
ド・レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザイン
の実施、遺伝子診断におけるプローブやPCRプライ
マーの作成のための試薬、トランスジェニック動物の
作出または遺伝子予防・治療剤等の医薬等として用い
ることができる。
【0101】
【配列表】 <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel Mouse KiSS-1 Receptor Protein and its DNA <130> P02-0018 <150> JP 2001-51105 <151> 2001-02-26 <160> 8 <210> 1 <211> 396 <212> PRT <213> Mouse <400> 1 Met Ala Thr Glu Ala Thr Leu Ala Pro Asn Val Thr Trp Trp Ala Pro 1 5 10 15 Ser Asn Ala Ser Gly Cys Pro Gly Cys Gly Val Asn Ala Ser Asp Asp 20 25 30 Pro Gly Ser Ala Pro Arg Pro Leu Asp Ala Trp Leu Val Pro Leu Phe 35 40 45 Phe Ala Thr Leu Met Leu Leu Gly Leu Val Gly Asn Ser Leu Val Ile 50 55 60 Tyr Val Ile Cys Arg His Lys His Met Gln Thr Val Thr Asn Phe Tyr 65 70 75 80 Ile Ala Asn Leu Ala Ala Thr Asp Val Thr Phe Leu Leu Cys Cys Val 85 90 95 Pro Phe Thr Ala Leu Leu Tyr Pro Leu Pro Ala Trp Val Leu Gly Asp 100 105 110 Phe Met Cys Lys Phe Val Asn Tyr Ile Gln Gln Val Ser Val Gln Ala 115 120 125 Thr Cys Ala Thr Leu Thr Ala Met Ser Val Asp Arg Trp Tyr Val Thr 130 135 140 Val Phe Pro Leu Arg Ala Leu His Arg Arg Thr Pro Arg Leu Ala Leu 145 150 155 160 Ala Val Ser Leu Ser Ile Trp Val Gly Ser Ala Ala Val Ser Ala Pro 165 170 175 Val Leu Ala Leu His Arg Leu Ser Pro Gly Pro Arg Thr Tyr Cys Ser 180 185 190 Glu Ala Phe Pro Ser Arg Ala Leu Glu Arg Ala Phe Ala Leu Tyr Asn 195 200 205 Leu Leu Ala Leu Tyr Leu Leu Pro Leu Leu Ala Thr Cys Ala Cys Tyr 210 215 220 Gly Ala Met Leu Arg His Leu Gly Arg Ala Ala Val Arg Pro Ala Pro 225 230 235 240 Thr Asp Gly Ala Leu Gln Gly Gln Leu Leu Ala Gln Arg Ala Gly Ala 245 250 255 Val Arg Thr Lys Val Ser Arg Leu Val Ala Ala Val Val Leu Leu Phe 260 265 270 Ala Ala Cys Trp Gly Pro Ile Gln Leu Phe Leu Val Leu Gln Ala Leu 275 280 285 Gly Pro Ser Gly Ala Trp His Pro Arg Ser Tyr Ala Ala Tyr Ala Val 290 295 300 Lys Ile Trp Ala His Cys Met Ser Tyr Ser Asn Ser Ala Leu Asn Pro 305 310 315 320 Leu Leu Tyr Ala Phe Leu Gly Ser His Phe Arg Gln Ala Phe Cys Arg 325 330 335 Val Cys Pro Cys Cys Arg Gln Arg Gln Arg Arg Pro His Thr Ser Ala 340 345 350 His Ser Asp Arg Ala Ala Thr His Thr Val Pro His Ser Arg Ala Ala 355 360 365 His Pro Val Arg Ile Arg Ser Pro Glu Pro Gly Asn Pro Val Val Arg 370 375 380 Ser Pro Cys Ala Gln Ser Glu Arg Thr Ala Ser Leu 385 390 395 <210> 2 <211> 1188 <212> DNA <213> Mouse <400> 2 atggccaccg aggcgacatt ggctcccaat gtgacctggt gggctccgtc caacgcttca 60 ggatgcccag gctgcggtgt caacgcctcg gatgacccag gctctgcgcc aaggcccctg 120 gatgcctggc tggttcccct gtttttcgct acactcatgt tgcttgggct ggtcggaaac 180 tcattggtca tctacgttat ctgccgccac aagcacatgc agacagttac caacttctac 240 atcgctaacc tggctgccac agacgtcact ttcctactgt gctgcgtgcc cttcaccgca 300 ctcctctacc cgctgcccgc ctgggtgctg ggagacttca tgtgcaaatt cgtcaactac 360 atccagcagg tctcggtgca agccacatgt gccactctga cggccatgag tgtggaccgc 420 tggtatgtga ctgtgttccc gctgcgtgca cttcaccgcc gcactccgcg cctggccctg 480 gctgtcagcc tcagcatctg ggtggggtca gcagctgtgt ccgccccggt gctggccctg 540 caccgcctgt cgccagggcc tcgcacctac tgcagcgagg cgtttcccag ccgcgccctg 600 gagcgcgcct tcgcgctcta caacctgctg gctctatatc tgctgccgct gctcgccacc 660 tgcgcctgct acggcgccat gctgcgccac ctgggccgtg cggctgtacg ccccgcaccc 720 actgacggcg ccctgcaggg acagctgcta gcacagcgcg ccggagcagt gcgcaccaag 780 gtctcccggc tggtggccgc tgtcgtcctg ctcttcgccg cctgctgggg cccgatccag 840 ctgttcctgg tgcttcaagc cctgggcccc tcgggggcct ggcaccctcg aagctatgcc 900 gcctacgcgg tcaagatctg ggctcactgc atgtcctaca gcaactcggc gctcaatccg 960 ctgctctatg ccttcctggg ttcacacttc agacaggcct tctgccgcgt gtgcccctgc 1020 tgccggcaac gccagcgccg gccccacacg tcagcgcact cggaccgagc tgcaactcac 1080 actgtgccgc acagccgtgc tgcgcaccct gtgcggatca ggagcccgga gcctgggaac 1140 cctgtggtgc gctcgccctg cgctcagagt gaacgcactg cctcactc 1188 <210> 3 <211> 54 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> the C-terminus of the polypeptide is amide (-CONH2) form <400> 3 Gly Thr Ser Leu Ser Pro Pro Pro Glu Ser Ser Gly Ser Arg Gln Gln 1 5 10 15 Pro Gly Leu Ser Ala Pro His Ser Arg Gln Ile Pro Ala Pro Gln Gly 20 25 30 Ala Val Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Pro Asn Tyr Asn Trp Asn 35 40 45 Ser Phe Gly Leu Arg Phe 50 <210> 4 <211> 52 <212> PRT <213> Mouse <400> 4 Ser Ser Pro Cys Pro Pro Val Glu Gly Pro Ala Gly Arg Gln Arg Pro 1 5 10 15 Leu Cys Ala Ser Arg Ser Arg Leu Ile Pro Ala Pro Arg Gly Ala Val 20 25 30 Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Ser Thr Tyr Asn Trp Asn Ser Phe 35 40 45 Gly Leu Arg Tyr 50 <210> 5 <211> 52 <212> PRT <213> Mouse <400> 5 Ser Ser Pro Cys Pro Pro Val Glu Gly Pro Ala Gly Arg Gln Arg Pro 1 5 10 15 Leu Cys Ala Ser Arg Ser Arg Leu Ile Pro Ala Pro Arg Gly Ala Val 20 25 30 Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Leu Ser Thr Tyr Asn Trp Asn Ser Phe 35 40 45 Gly Leu Arg Tyr 50 <210> 6 <211> 52 <212> PRT <213> Rat <400> 6 Thr Ser Pro Cys Pro Pro Val Glu Asn Pro Thr Gly His Gln Arg Pro 1 5 10 15 Pro Cys Ala Thr Arg Ser Arg Leu Ile Pro Ala Pro Arg Gly Ser Val 20 25 30 Leu Val Gln Arg Glu Lys Asp Met Ser Ala Tyr Asn Trp Asn Ser Phe 35 40 45 Gly Leu Arg Tyr 50 <210> 7 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 7 tccccacagt cccaggacac aatcct 26 <210> 8 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 8 caccagcgca agcagcctgg gatgct 26
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のレセプタータンパク質の疎水性プロ
ット図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/705 C07K 16/28 4C085 16/28 C12N 1/15 4H045 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 A C12Q 1/02 C12N 15/00 ZNAA 1/68 5/00 A B Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA61 BA63 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 HA14 HA15 4B063 QA01 QA05 QA18 QQ03 QQ08 QQ20 QQ53 QR32 QR75 4B064 AG20 AG26 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA91X AA91Y AB01 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA17 NA14 ZB26 4C085 AA13 AA14 BB11 CC23 EE01 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 CA40 DA50 DA75 EA20 EA50 FA74

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1で表されるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するこ
    とを特徴とするGタンパク質共役型レセプタータンパク
    質またはその塩。
  2. 【請求項2】 配列番号:1で表されるアミノ酸配列を
    含有する請求項1記載のGタンパク質共役型レセプター
    タンパク質。
  3. 【請求項3】 メタスチンに対するレセプターである請
    求項1または2記載のGタンパク質共役型レセプタータ
    ンパク質。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のGタンパク質共役型レセ
    プタータンパク質の部分ペプチドまたはその塩。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のGタンパク質共役型レセ
    プタータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有
    するポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 DNAである請求項5記載のポリヌクレ
    オチド。
  7. 【請求項7】 配列番号:2で表される塩基配列を含有
    する請求項6記載のDNA。
  8. 【請求項8】 請求項5記載のポリヌクレオチドを含有
    する組換えベクター。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の組換えベクターで形質転
    換させた形質転換体。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の形質転換体を培養し、
    請求項1記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク
    質または請求項4記載の部分ペプチドを生成せしめるこ
    とを特徴とする請求項1記載のGタンパク質共役型レセ
    プタータンパク質もしくはその塩または請求項4記載の
    部分ペプチドもしくはその塩の製造法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質もしくは請求項4記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩に対する抗体。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質のシグナル伝達を不活性化する中和
    抗体である請求項11記載の抗体。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の抗体を含有してなる
    診断薬。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の抗体を含有してなる
    医薬。
  15. 【請求項15】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質もしくは請求項4記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を用いることにより得られうる請求項1
    記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質または
    その塩に対するリガンド。
  16. 【請求項16】 請求項15記載のGタンパク質共役型
    レセプターのリガンドを含有してなる医薬。
  17. 【請求項17】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質もしくは請求項4記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を用いることを特徴とする請求項1記載
    のGタンパク質共役型レセプタータンパク質またはその
    塩に対するリガンドの決定方法。
  18. 【請求項18】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質もしくは請求項4記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を用いることを特徴とするリガンドと請
    求項1記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク質
    またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
    塩のスクリーニング方法。
  19. 【請求項19】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質もしくは請求項4記載の部分ペプチ
    ドまたはその塩を含有することを特徴とするリガンドと
    請求項1記載のGタンパク質共役型レセプタータンパク
    質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはそ
    の塩のスクリーニング用キット。
  20. 【請求項20】 リガンドが配列番号:3、配列番号:
    4、配列番号:5または配列番号:6で表されるアミノ
    酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有
    することを特徴とするポリペプチドまたはその塩である
    請求項18記載のスクリーニング方法または請求項19
    記載のスクリーニング用キット。
  21. 【請求項21】 請求項18記載のスクリーニング方法
    または請求項19記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られうるリガンドと請求項1記載のGタンパク質共
    役型レセプタータンパク質またはその塩との結合性を変
    化させる化合物またはその塩。
  22. 【請求項22】 請求項18記載のスクリーニング方法
    または請求項19記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られうるリガンドと請求項1記載のGタンパク質共
    役型レセプタータンパク質またはその塩との結合性を変
    化させる化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  23. 【請求項23】 請求項5記載のポリヌクレオチドとハ
    イストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリ
    ヌクレオチド。
  24. 【請求項24】 請求項5記載のポリヌクレオチドと相
    補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌク
    レオチド。
  25. 【請求項25】 請求項5記載のポリヌクレオチドまた
    はその一部を用いることを特徴とする請求項1記載のG
    タンパク質共役型レセプタータンパク質のmRNAの定
    量方法。
  26. 【請求項26】 請求項11記載の抗体を用いることを
    特徴とする請求項1記載のGタンパク質共役型レセプタ
    ータンパク質の定量方法。
  27. 【請求項27】 請求項25または請求項26記載の定
    量方法を用いることを特徴とする請求項1記載のGタン
    パク質共役型レセプターの機能が関連する疾患の診断方
    法。
  28. 【請求項28】 請求項25記載の定量方法を用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載のGタンパク質共役型レセ
    プタータンパク質の発現量を変化させる化合物またはそ
    の塩のスクリーニング方法。
  29. 【請求項29】 請求項26記載の定量方法を用いるこ
    とを特徴とする細胞膜における請求項1記載のGタンパ
    ク質共役型レセプタータンパク質量を変化させる化合物
    またはその塩のスクリーニング方法。
  30. 【請求項30】 請求項28記載のスクリーニング方法
    を用いて得られうる請求項1記載のGタンパク質共役型
    レセプタータンパク質の発現量を変化させる化合物また
    はその塩。
  31. 【請求項31】 請求項29記載のスクリーニング方法
    を用いて得られうる細胞膜における請求項1記載のGタ
    ンパク質共役型レセプタータンパク質量を変化させる化
    合物またはその塩。
  32. 【請求項32】 請求項30記載の化合物またはその塩
    を含有してなる医薬。
  33. 【請求項33】 請求項31記載の化合物またはその塩
    を含有してなる医薬。
  34. 【請求項34】 癌の予防・治療剤である請求項14、
    16、22、32または33記載の医薬。
  35. 【請求項35】 哺乳動物に対して、請求項21、30
    または31記載の化合物またはその塩の有効量を投与す
    ることを特徴とする癌の予防・治療方法。
  36. 【請求項36】 癌の予防・治療剤を製造するための請
    求項21、30または31記載の化合物またはその塩の
    使用。
  37. 【請求項37】 外来性の請求項1記載のGタンパク質
    共役型レセプタータンパク質をコードするDNAまたは
    その変異DNAを含有する非ヒト哺乳動物。
  38. 【請求項38】 非ヒト哺乳動物がげっ歯動物である請
    求項37記載の動物。
  39. 【請求項39】 げっ歯動物がマウスである請求項38
    記載の動物。
  40. 【請求項40】 外来性の請求項1記載のGタンパク質
    共役型レセプタータンパク質をコードするDNAまたは
    その変異DNAを含有し、非ヒト哺乳動物において発現
    しうる組換えベクター。
  41. 【請求項41】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質をコードするDNAが不活性化され
    た非ヒト哺乳動物胚幹細胞。
  42. 【請求項42】 DNAがレポーター遺伝子を導入する
    ことにより不活性化された請求項41記載の胚幹細胞。
  43. 【請求項43】 非ヒト哺乳動物がげっ歯動物である請
    求項42記載の胚幹細胞。
  44. 【請求項44】 請求項1記載のGタンパク質共役型レ
    セプタータンパク質をコードするDNAが不活性化され
    た該DNA発現不全非ヒト哺乳動物。
  45. 【請求項45】 DNAがレポーター遺伝子を導入する
    ことにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明
    のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる請
    求項44記載の非ヒト哺乳動物。
  46. 【請求項46】 非ヒト哺乳動物がげっ歯動物である請
    求項44記載の非ヒト哺乳動物。
  47. 【請求項47】 請求項45記載の動物に、試験化合物
    を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特
    徴とする請求項1記載のGタンパク質共役型レセプター
    タンパク質をコードするDNAに対するプロモーター活
    性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリー
    ニング方法。
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