JP2004000141A - 新規ペプチドおよびその用途 - Google Patents

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周郷 司
Hiroko Murakami
村上 裕子
Nobuyuki Miyajima
宮嶋 伸行
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Abstract

【課題】新規ペプチドおよびその用途の提供
【解決手段】新規ペプチドおよびそれをコードするDNA、該ペプチドもしくはDNAを含有してなる医薬、該ペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法/スクリーニング用キット、該スクリーニングによって得られる化合物またはその塩、該化合物またはその塩を含有してなる医薬など。
【効果】本発明のペプチドおよびそれをコードするDNAは、例えば、中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患、泌尿器系疾患などの診断、治療、予防などに使用することができる。また、本発明のペプチドは、本発明の蛋白質の活性を促進もしくは阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬として有用である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規ペプチド、そのDNAおよび用途等に関する。さらに詳しくは、中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患などの予防・治療剤または診断薬として有用な化合物またはその塩などのスクリーニング方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒトなど哺乳動物においては、心機能や血圧などの心循環器系の調節にアンジオテンシンII、ブラディキニンおよびエンドセリンなどの種々の内在性生理活性ペプチドが関与していることが知られている。最近、これらのペプチドに加えて新たにウロテンシンIIの心循環器系に対する関与が明らかとなり、新規の心循環器系作用ペプチドとして注目されている。ウロテンシンIIは、当初、魚類の尾部下垂体から見出されたペプチドであり、魚類においては心循環調節、浸透圧調節、脂質代謝などに関与することが知られていたが、一方で、魚類のウロテンシンIIがラットなど哺乳動物に対して静脈内投与による血圧低下作用または血管標本に対する収縮または弛緩活性を示すこと、また、標識化したウロテンシンIIに対する特異的結合がラット血管より調製された膜画分に確認されたことから、哺乳動物においてもウロテンシンIIのホモログが存在して内在性のペプチドとして機能し、さらにその特異的受容体が存在することが予想されていた(Conlon, J.ら、J. Exp. Zool.、275巻、226−238頁、1996年)。そして、その予想どおり、最近になってウロテンシンIIの前駆体遺伝子が魚類以外にカエル、さらには哺乳動物であるマウス、ラットおよびヒトにも存在することが示された(Coulouarn, Y.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95巻、15803−15808頁、1998年、Coulouarn, Y.ら、FEBS Lett.、457巻、28−32頁、1999年)。また、前駆体遺伝子からプロセスされた成熟ペプチドとしてのウロテンシンIIがブタ脊髄から精製・単離され、哺乳動物においても実際にウロテンシンIIがペプチドとして存在することも示された(Mori, M.ら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、265巻、123−129頁、1999年)。さらに、リガンド未知のオーファン受容体であるヒトおよびラットGPR14(SENRと称されることもある)がウロテンシンIIの機能的な受容体であることが明らかにされた(Ames, R. S.ら、Nature、401巻、282−286頁、1999年、Mori, M.ら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、265巻、123−129頁、1999年、Liu, Q.ら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、266巻、174−178頁、1999年、Nothacker, H.−P.ら、Nature Cell Biol.、1巻、383−385頁、1999年)。ウロテンシンIIが極めて強力な血管収縮活性を示すことは、哺乳動物におけるホモログペプチドおよび受容体の発見に先んじて、ハゼウロテンシンIIおよびラット胸部大動脈を用いて見出されていた(Itoh, H.ら、Am. J. Phys.、21巻、R361−R366頁、1987年、 Itoh, H.ら、Eur. J. Pharmacol.、149巻、61−66頁、1988年)が、ヒトウロテンシンIIを用いても確認された(Ames, R. S.ら、Nature、401巻、282−286頁、1999年)。さらに、ウロテンシンIIをサルに静脈投与すると全身性の血管収縮により血流量が減少し、また、冠血管の収縮によって心不全に陥ることが示された(Ames, R. S.ら、Nature、401巻、282−286頁、1999年)。これらのことからウロテンシンIIが新たな心循環器系関連ペプチドとして心疾患などの発症に関与している可能性が予想された。しかし、その後、単離ヒト血管を用いた検討によってウロテンシンIIがヒト血管に対しては、冠血管または微小血管において必ずしも顕著な収縮作用を示さず、ヒト循環器系に対する作用はあまり大きなものではないことが示された(Maguire, J. J.ら、Br. J. Pharmacol.、131巻、441−446頁、2000年、Stirrat, A.ら、Am. J.Physiol. Heart Circ. Physiol.、280巻、H925−H928頁、2001年、Hillier, C.ら、Circulation、103巻、1378−1381頁、2001年)。しかし、ヒト上腕動脈にウロテンシンIIを投与することにより、前腕部の血流が減少することも報告されている(Bohm, F.およびPernow, J.、Br. J. Pharamacol.、135巻、25−27頁、2002年)。一方、腎不全患者などの血中または尿中ウロテンシンII量が増加していることが報告され(Totsune, K.ら、Lancet、358巻、810−811頁、2001年、Matsushita,M.ら、J. Hypertention、19巻、2185−2190頁、2001年)、腎機能に対するウロテンシンIIの関与が示唆されている。
しかしながら、ウロテンシンIIの疾患に対する関与については、いまだ明確な知見が得られておらず、さらなる検討が必要とされていた。
また、ウロテンシンIIアナログとして26種類の合成ペプチドが報告されている(特許文献1 WO 01/37780号公報)。
【0003】
【特許文献1】
WO 01/37780号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ウロテンシンIIの疾患に対する関与のメカニズムを明らかにし、見出されたメカニズムに基づく医薬のスクリーニング系を利用することにより、全く新規な作用機序を有する医薬の開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者たちは上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、成熟ペプチドとしてウロテンシンIIに類似したペプチドであるウロテンシンII関連ペプチド(ペプチドA成熟体およびペプチドB成熟体)を生成することが予想される蛋白質(ペプチドA前駆体およびペプチドB前駆体)をコードする遺伝子を、ヒト脳cDNAより見出してクローニングすることに成功した。さらに、上記ペプチドA成熟体はGPR14と結合することも見出し、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) 配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするペプチドまたはその塩、
(2) 配列番号:8で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩、
(3) 配列番号:7で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とする上記(1)記載のペプチドまたはその塩、
(4) 上記(1)記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(5) DNAである上記(4)記載のポリヌクレオチド、
(6) 配列番号:10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(7) 配列番号:4または配列番号:12で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(8) 上記(5)記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(9) 上記(8)記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(10) 上記(9)記載の形質転換体を培養し、上記(1)記載のペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする上記(1)記載のペプチドまたはその塩の製造法、
(11) 上記(1)記載のペプチドまたはその塩を含有してなる医薬、
(12) 上記(4)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(13) 上記(4)記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
(14) 上記(1)記載のペプチドもしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(15) 上記(14)記載の抗体を含有してなる医薬、
(16) 上記(14)記載の抗体を含有してなる診断薬、
(17) 配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするペプチドまたはその塩、
(18) 配列番号:5で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩、
(19) 配列番号:22で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩、
(20) 配列番号:26で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩、
(21) 上記(17)記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(22) DNAである上記(21)記載のポリヌクレオチド、
(23) 配列番号:3または配列番号:11で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(24) 配列番号:21または配列番号:27で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(25) 配列番号:25または配列番号:28で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、
(26) 上記(22)記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(27) 上記(26)記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(28) 上記(27)記載の形質転換体を培養し、上記(17)記載のペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする上記(17)記載のペプチドまたはその塩の製造法、
(29) 上記(17)記載のペプチドまたはその塩を含有してなる医薬、
(30) 上記(21)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(31) 上記(21)記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
(32) 上記(17)記載のペプチドもしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(33) 上記(32)記載の抗体を含有してなる医薬、
(34) 上記(32)記載の抗体を含有してなる診断薬、
(35) 上記(1)記載のペプチドを用いることを特徴とする、上記(1)記載のペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(36) 上記(1)記載のペプチドを含有することを特徴とする、上記(1)記載のペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(37) 上記(35)記載のスクリーニング方法または上記(36)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記(1)記載のペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩、
(38) 配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドまたはその塩と配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩とを用いることを特徴とする、該ペプチドまたはその塩と該蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(39) 配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドまたはその塩と配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩とを含有することを特徴とする、該ペプチドまたはその塩と該蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、(40) 上記(38)記載のスクリーニング方法または上記(39)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドまたはその塩と配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(41) 上記(4)記載のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする、上記(1)記載のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(42) ポリヌクレオチドが配列番号:10または配列番号:12で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドである上記(41)記載のスクリーニング方法、
(43) 上記(4)記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とする、上記(1)記載のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(44) 上記(41)記載のスクリーニング方法または上記(43)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記(1)記載のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩、
(45) 配列番号:9で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを用いることを特徴とする、配列番号:6で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(46) ポリヌクレオチドが配列番号:11で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドである上記(45)記載のスクリーニング方法、
(47) 配列番号:9で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有することを特徴とする、配列番号:6で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(48) 上記(45)記載のスクリーニング方法または上記(47)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:6で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩、
(49) 上記(37)、(40)、(44)または(48)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(50) 中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の予防・治療剤である上記(11)、(12)、(15)、(29)、(30)、(33)または(49)記載の医薬、
(51) 中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の診断薬である上記(13)、(16)、(31)または(34)記載の医薬、
(52) 哺乳動物に対して、上記(37)、(40)、(44)または(48)記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の予防・治療方法、
(53) 中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の予防・治療剤を製造するための上記(37)、(40)、(44)または(48)記載の化合物またはその塩の使用などを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
配列番号:6もしくは配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするペプチドまたはその塩(以下、本発明のペプチドと略記することがある)は、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)や血球系の細胞、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など(特に、脳や脳の各部位)に由来するペプチドであってもよく、また合成ペプチドであってもよい。
本発明のペプチドがシグナル配列を有している場合は該ペプチドを効率良く細胞外に分泌させることができる。
【0008】
配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:6で表されるアミノ酸配列と例えば約70%以上、好ましくは約80%以上、好ましくは約90%以上、好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:8で表されるアミノ酸配列と例えば約60%以上、好ましくは約70%以上、好ましくは約80%以上、好ましくは約90%以上、好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:6または配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドとしては、例えば、配列番号:6または配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:6または配列番号:8で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチドなどが好ましい。
本明細書中、配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドをペプチドA成熟体と、配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドをペプチドB成熟体と記載することがある。
【0009】
配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドとしては、例えば、配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:6で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチドなどが好ましく、例えば、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチド等が挙げられる。
配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:5で表されるアミノ酸配列と例えば約45%以上、好ましくは約60%以上、好ましくは約70%以上、好ましくは約80%以上、好ましくは約90%以上、好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドとしては、例えば、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチドなどが好ましい。具体例としては、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド、配列番号:26で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドなどが挙げられる。
配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドとしては、例えば、配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:8で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチドなどが好ましく、具体的には配列番号:7で表わされるアミノ酸配列を有するペプチド等が挙げられる。
本明細書中、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドをペプチドA前駆体と、配列番号:7で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドをペプチドB前駆体と記載することがある。
実質的に同質の活性としては、例えば、本発明のペプチドが結合する受容体(以下、本発明の蛋白質と略記することもある)に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、本発明の蛋白質に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度やペプチドの分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
これらの活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができるが、例えば、後述するスクリーニング方法などに従って測定することができる。
本発明のペプチドの具体例としては、例えば、配列番号:6で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド、配列番号:26で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド、配列番号:8で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチド、配列番号:7で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドなどがあげられる。
【0010】
また、本発明のペプチドとしては、(i)配列番号:6または配列番号:8で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜5個程度、より好ましくは1〜2個程度)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(ii)配列番号:6または配列番号:8で表されるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜2個程度)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(iii)配列番号:6または配列番号:8で表されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜4個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(iv)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するペプチドなども用いられる。
【0011】
本発明の蛋白質は、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)や血球系の細胞(例えば、MEL,M1,CTLL−2,HT−2,WEHI−3,HL−60,JOSK−1,K562,ML−1,MOLT−3,MOLT−4,MOLT−10,CCRF−CEM,TALL−1,Jurkat,CCRT−HSB−2,KE−37,SKW−3,HUT−78,HUT−102,H9,U937,THP−1,HEL,JK−1,CMK,KO−812,MEG−01など)、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など(特に、脳や脳の各部位)に由来する蛋白質であってもよく、また合成蛋白質であってもよい。
本発明の蛋白質として、本発明のペプチドが結合する受容体であればよく、例えば、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質などが用いられる。
【0012】
配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有し、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。具体的には、配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:15で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質などがあげられる。
実質的に同質の活性としては、例えば、本発明のペプチドに対する結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、本発明のペプチドに対する結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
本発明のペプチドに対する結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができる。
本明細書中、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質をヒトGPR14(Nature、401巻、282−286頁、1999年)と、配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質をラットGPR14(Biochem. Biophys. Res.Commun.、209巻、752−759頁、1995年、Genomics、29巻、335−344頁、1995年)と、配列番号:15で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質をマウスGPR14(GenBank Accession No. AAL34551)とそれぞれ記載することがある。
本発明の蛋白質の具体例としては、例えば、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:15で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質などがあげられる。
【0013】
本明細書におけるペプチドおよび蛋白質は、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。本発明のペプチドおよび蛋白質は、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
本発明のペプチドおよび本発明の蛋白質(本発明のペプチド・蛋白質)がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のペプチド・蛋白質に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明のペプチド・蛋白質には、上記したペプチド・蛋白質において、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチド・糖蛋白質などの複合ペプチド・複合蛋白質なども含まれる。
【0014】
本発明の蛋白質の部分ペプチド(以下、本発明の部分ペプチドと略記する場合がある)としては、前記した本発明の蛋白質の部分ペプチドであれば何れのものであってもよいが、例えば、本発明の蛋白質分子のうち、細胞膜の外に露出している部位であって、実質的に同質のリガンド結合活性を有するものなどが用いられる。
具体例としては、配列番号:13、配列番号:14または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列を有する蛋白質の部分ペプチドとしては、例えば疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。
本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、前記した本発明の蛋白質の構成アミノ酸配列のうち例えば20個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
実質的に同一のアミノ酸配列とは、これらアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を示す。
ここで、「実質的に同質のリガンド結合活性」とは、前記と同意義を示す。「実質的に同質のリガンド結合活性」の測定は自体公知の方法に準じて行なうことができる。
【0015】
また、本発明の部分ペプチドは、配列番号:13、配列番号:14または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは1〜5個程度、さらに好ましくは数個(1または2個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、本発明の部分ペプチドはC末端が、カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)であってもよい。本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明の部分ペプチドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明の部分ペプチドには、前記した本発明の蛋白質と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したGlnがピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
【0016】
本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質もしくはその部分ペプチドの塩としては、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
【0017】
本発明のペプチドおよび本発明の蛋白質は、前述したヒトや哺乳動物の細胞または組織から自体公知のペプチドの精製方法または蛋白質の精製方法によって製造することもできるし、本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養する方法またはこれに準じた方法によっても製造することができる。また、後述のペプチド・蛋白質合成法またはこれに準じて製造することもできる。さらに、配列番号:6で表されるアミノ酸配列を有するペプチドは、WO 01/37780号公報に記載の方法に準じて製造することもできる。ヒトや哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0018】
本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはそれらのアミド体またはそれらの塩の合成には、通常市販のペプチド・蛋白質合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするペプチド・蛋白質の配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からペプチド・蛋白質を切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のペプチド・蛋白質またはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、ペプチド・蛋白質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt,HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0019】
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ペプチド・蛋白質縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度は蛋白質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することができる。
【0020】
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0021】
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
【0022】
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
ペプチド・蛋白質のアミド体を得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたペプチド・蛋白質とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したペプチド・蛋白質とを製造し、この両ペプチド・両蛋白質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ペプチド・保護蛋白質を精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ペプチド・粗蛋白質を得ることができる。この粗ペプチド・粗蛋白質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のペプチド・蛋白質のアミド体を得ることができる。
ペプチド・蛋白質のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、ペプチド・蛋白質のアミド体と同様にして、所望のペプチド・蛋白質のエステル体を得ることができる。
【0023】
本発明のペプチドおよび本発明の蛋白質は、自体公知のペプチドの合成法に従って製造することができる。また、本発明の蛋白質の部分ペプチドまたはその塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明の蛋白質を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。
ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のペプチドもしくは本発明の蛋白質を構成し得る部分ペプチドまたはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の(i)〜(v)に記載された方法が挙げられる。
(i)M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)(ii)SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
(iii)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
(iv)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 蛋白質の化学IV、 205、(1977年)
(v)矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のペプチド、本発明の蛋白質またはその部分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られるペプチド、蛋白質または部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0024】
本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、前述した本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。好ましくはDNAである。DNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtotal RNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
【0025】
配列番号:6で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:9で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:9で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含有し、配列番号:6で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性(例、本発明の蛋白質に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用など)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:9で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:9で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:11または配列番号:3で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:11または配列番号:3で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含有し、配列番号:5で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性(例、本発明の蛋白質に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用など)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:11または配列番号:3で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:11または配列番号:3で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:22で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:27または配列番号:21で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:27または配列番号:21で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含有し、配列番号:22で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性(例、本発明の蛋白質に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用など)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:27または配列番号:21で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:27または配列番号:21で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:26で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:28または配列番号:25で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:28または配列番号:25で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含有し、配列番号:26で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性(例、本発明の蛋白質に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用など)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:28または配列番号:25で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:28または配列番号:25で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:8で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:10で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:10で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含有し、本発明のペプチドと実質的に同質の活性(例、本発明の蛋白質に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用など)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:10で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:10で表わされる塩基配列と約60%以上、好ましくは約70%以上、好ましくは約80%以上、好ましくは約90%以上、好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:7で表されるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:12または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:12または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含有し、本発明のペプチドと実質的に同質の活性(例、本発明の蛋白質に対する結合活性、本発明の蛋白質を介するシグナル情報伝達作用など)を有するペプチドをコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:12または配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:12または配列番号:4で表わされる塩基配列と約60%以上、好ましくは約70%以上、好ましくは約80%以上、好ましくは約90%以上、好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0026】
配列番号:13、配列番号:14または配列番号:15で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配列番号:13で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質と実質的に同質の活性(例、本発明のペプチドに対する結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有する蛋白質をコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0027】
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
【0028】
より具体的には、配列番号:6で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:9で表わされる塩基配列を含有するDNAがあげられ、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:11または配列番号:3で表わされる塩基配列を含有するDNAがあげられ、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:27または配列番号:21で表わされる塩基配列を含有するDNAがあげられ、配列番号:26で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:28または配列番号:25で表わされる塩基配列を含有するDNAがあげられ、配列番号:8で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:10で表わされる塩基配列を含有するDNAがあげられ、配列番号:7で表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:12または配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAなどがあげられる。
また、配列番号:13で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:16で表わされる塩基配列を含有するDNAがあげられ、配列番号:14で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:17で表わされる塩基配列を含有するDNAがあげられ、配列番号:15で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:18で表わされる塩基配列を含有するDNAなどがあげられる。
【0029】
本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse TranscriptasePolymerase Chain Reactionによって増幅することもできる。具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列を含有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、または(ii)配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、本発明の蛋白質と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有する蛋白質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、例えば、配列番号:16、配列番号:17または配列番号:18で表わされる塩基配列と約90%以上、好ましくは約95%以上、より好ましくは約98%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0030】
本発明のペプチドを完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のペプチドをコードするDNAの塩基配列の部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のペプチドの一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
本発明の蛋白質またはその部分ペプチド(以下、本発明の蛋白質と略記する)を完全にコードするDNAのクローニングも本発明のペプチドを完全にコードするDNAのクローニングと同様にして行うことができる。
【0031】
DNAの塩基配列の変換は、PCRや公知のキット、例えば、MutanTM−super Express Km(宝酒造(株))、MutanTM−K(宝酒造(株))等を用いて、ODA−LA PCR法、Gupped duplex法、Kunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化されたペプチド・蛋白質をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のペプチドおよび本発明の蛋白質の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のペプチドおよび本発明の蛋白質をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
【0032】
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo、pcDNA3.1、pRc/CMV2、pRc/RSV(Invitrogen社)などが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、HIV−LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどが挙げられる。
これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
【0033】
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Ampと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr)細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明の蛋白質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のペプチド・蛋白質をコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
【0034】
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. . Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology),120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。
【0035】
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo),13, 213−217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞などが用いられる。
【0036】
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。 バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メッソズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47−55(1988)などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新 細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。このようにして、G蛋白質共役型蛋白質をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0037】
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることができる。 宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. . Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0038】
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace’s Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜または細胞外に本発明のペプチド・蛋白質を生成せしめることができる。
【0039】
上記培養物から本発明のペプチド・蛋白質を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
本発明のペプチド・蛋白質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により蛋白質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にペプチド・蛋白質が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるペプチド・蛋白質の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0040】
かくして得られるペプチド・蛋白質が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生するペプチド・蛋白質を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ペプチド・ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のペプチドの活性は、標識した本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
また、生成する本発明の蛋白質の活性は、標識した本発明のペプチドとの結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
本発明のペプチドをコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)の塩基配列に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するアンチセンスヌクレオチドとしては、本発明のDNAの塩基配列に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチセンス(オリゴ)ヌクレオチドであってもよいが、アンチセンスDNAが好ましい。
本発明のDNAに実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、本発明のDNAに相補的な塩基配列(すなわち、本発明のDNAの相補鎖)の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNAの相補鎖の全塩基配列うち、本発明のタンパク質のN末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセンスポリヌクレオチドが好適である。
具体的には、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:10または配列番号:12で表わされる塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補的な、もしくは実質的に相補的な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスヌクレオチド、好ましくは例えば、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:10または配列番号:12で表わされる塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチド(より好ましくは、配列番号:9、配列番号:11、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:10または配列番号:12で表わされる塩基配列を有するDNAの塩基配列に相補な塩基配列、またはその一部分を有するアンチセンスヌクレオチド)などが挙げられる。
ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、アンチセンスDNAを構成する各ヌクレオチドのりん酸残基(ホスフェート)は、例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオネートなどの化学修飾りん酸残基に置換されていてもよい。これらのアンチセンスヌクレオチドは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
本発明に従えば、本発明のペプチドの遺伝子の複製又は発現を阻害することのできるアンチセンス(オリゴ)ヌクレオチド(核酸)を、クローン化したあるいは決定されたペプチドをコードするDNAの塩基配列の塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。そうした(オリゴ)ヌクレオチド(核酸)は、本発明のペプチドの遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成又は機能を阻害することができるか、あるいは本発明のペプチド関連RNAとの相互作用を介して本発明のペプチドの遺伝子の発現を調節・制御することができる。本発明のペプチド関連RNAの選択された配列に相補的な(オリゴ)ヌクレオチド、及び本発明のペプチド関連RNAと特異的にハイブリダイズすることができる(オリゴ)ヌクレオチドは、生体内及び生体外で本発明のペプチドの遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療又は診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列または核酸とタンパク質との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)の配列またはその相補体から誘導される(指令にある)ペプチドのアミノ酸を通常指している。本発明のペプチドの遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領域、ORF翻訳終始コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、及び3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、本発明のペプチドの遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
【0041】
目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的な(オリゴ)ヌクレオチドとの関係は、対象物とハイブリダイズすることができる(オリゴ)ヌクレオチドとの関係は、「アンチセンス」であるということができる。アンチセンス(オリゴ)ヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、プリン又はピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質核酸及び合成配列特異的な核酸ポリマー)又は特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリナグや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、1本鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオチド又は非修飾オリゴヌクレオチド、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合又は硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」及び「核酸」とは、プリン及びピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリン及びピリミジン、アシル化されたプリン及びピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチド及び修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0042】
本発明のアンチセンス(オリゴ)ヌクレオチドは、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸である。修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。
こうして修飾は当該分野で数多く知られており、例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Crooke et al. ed., Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993 などに開示がある。
本発明のアンチセンス(オリゴ)ヌクレオチドは、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピッド、コレステロールなど)といった疎水性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。
アンチセンス(オリゴ)ヌクレオチドの阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいは蛋白質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸それ自体公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0043】
本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体は、本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはそれらの塩を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはそれらの塩(本文中、本発明のペプチド・蛋白質と略記する場合がある)に対する抗体は、本発明のペプチド・蛋白質を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0044】
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のペプチド・蛋白質は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化した本発明のペプチド・蛋白質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁、1975年〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
【0045】
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、本発明のペプチド・蛋白質抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識した本発明のペプチド・蛋白質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0046】
(b)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
【0047】
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(本発明のペプチド・蛋白質の抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のペプチド・蛋白質に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0048】
本発明のペプチド、本発明のペプチドをコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)および本発明のペプチドに対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)は、(i)本発明のペプチドが関与する各種疾病の予防・治療剤、(ii)本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング、(iii)本発明のペプチドまたはその塩の定量、(iv)遺伝子診断薬、(v)アンチセンスDNAを含有する医薬、(vi)本発明の抗体を含有する医薬および診断薬、(vii)本発明のDNAを有する非ヒト動物の作製、(viii)構造的に類似したリガンド・レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザインなどの実施のために有用である。
特に、本発明の組換え蛋白質の発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、ヒトや哺乳動物に特異的な本発明の蛋白質に対するリガンドの結合性を変化させる化合物(例、アゴニスト、アンタゴニストなど)をスクリーニングすることができ、該アゴニストまたはアンタゴニストを各種疾病の予防・治療剤などとして使用することができる。
本発明のペプチド、本発明のDNA、本発明の抗体および本発明のアンチセンスヌクレオチドなどの用途について、以下に具体的に説明する。
【0049】
(1)本発明のペプチドが関与する各種疾病の予防・治療剤
本発明のペプチド、特にペプチドAは、中枢神経系、循環器系、心臓、腎臓、泌尿器系などで発現しているGPR14と結合し、ウロテンシンIIと相同性を有し、中枢神経機能調節作用、循環機能調節作用、心臓機能調節作用、腎臓機能調節作用、泌尿器機能調節作用などに関与している。したがって、本発明のDNA等が欠損している場合または発現量が異常に減少している場合、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)など種々の疾病が発症する。したがって、本発明のペプチドおよび本発明のDNAは、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)など種々の疾病の予防・治療剤等の医薬として使用することができる。
例えば、生体内において本発明のペプチドが減少あるいは欠損しているために、本発明の蛋白質が発現している細胞における情報伝達が十分に、あるいは正常に発揮されない患者がいる場合に、(イ)本発明のDNAを該患者に投与し、生体内で本発明のペプチドを発現させることによって、(ロ)細胞に本発明のDNAを挿入し、本発明のペプチドを発現させた後に、該細胞を患者に移植することによって、または(ハ)本発明のペプチドを該患者に投与すること等によって、該患者における本発明のペプチドの役割を十分に、あるいは正常に発揮させることができる。
本発明のDNAを上記の予防・治療剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクター等の適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤等の生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
本発明のペプチドを上記の予防・治療剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0050】
本発明のペプチドは、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等として経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤等の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のペプチドを生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤等とともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤等に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸等のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤等が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油等のような天然産出植物油等を溶解または懸濁させる等の通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム等)等が挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール等)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50等)等と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)、酸化防止剤等と配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
本発明のDNAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
【0051】
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、哺乳動物(例えばヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与することができる。
本発明のペプチドの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルート等により差異はあるが、例えば、心不全の治療目的で本発明のペプチドを経口投与する場合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日につき本発明のペプチドを約1〜1000mg、好ましくは約10〜500mg、より好ましくは約10〜200mg投与する。非経口的に投与する場合は、本発明のペプチドの1回投与量は投与対象、対象疾患等によっても異なるが、例えば、心不全の治療目的で本発明のペプチドを注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該ペプチドを約1〜1000mg程度、好ましくは約1〜200mg、より好ましくは約10〜100mg程度を患部に注射することにより投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0052】
(2)本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング
(a)本発明のペプチドおよび本発明の蛋白質(本発明の蛋白質の部分ペプチドも含む)を用いることを特徴とする、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、(b)本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いることを特徴とする本発明のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、(c)本発明のペプチドおよび本発明の蛋白質を含有する本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、(d)本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する本発明のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット(以下、それぞれ本発明のスクリーニング方法、本発明のスクリーニング用キットと略記することもある)について以下に詳述する。
【0053】
本発明の蛋白質を用いるか、または組換え型本発明の蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いた本発明のペプチドとの結合アッセイ系(リガンド・レセプターアッセイ系)を用いることによって、本発明のペプチドの活性を促進または阻害する化合物(例、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物など)またはその塩をスクリーニングすることができる。
このような化合物には、本発明の蛋白質を介して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP産生抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を有する化合物(アゴニスト)と該細胞刺激活性を有しない化合物(アンタゴニスト)などが含まれる。「本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる」とは、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合を阻害する場合と促進する場合の両方を包含するものである。
本発明は、(i)本発明の蛋白質に、本発明のペプチドを接触させた場合と(ii)上記した本発明の蛋白質に、本発明のペプチドおよび試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)上記した本発明の蛋白質に本発明のペプチドを接触させた場合と(ii)上記した本発明の蛋白質に本発明のペプチドおよび試験化合物を接触させた場合における、例えば該本発明の蛋白質に対する本発明のペプチドの結合量、細胞刺激活性などを測定して比較する。
【0054】
本発明のスクリーニング方法としての具体例としては、例えば、
(a)本発明のペプチドを本発明の蛋白質に接触させた場合と、本発明のペプチドおよび試験化合物を本発明の蛋白質に接触させた場合における、本発明のペプチドの本発明の蛋白質に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(b)本発明のペプチドを、本発明の蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、本発明のペプチドおよび試験化合物を本発明の蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、本発明のペプチドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(c)本発明の蛋白質が、本発明の蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明の蛋白質である上記(b)記載のスクリーニング方法、および
(d)本発明のペプチドが、標識した本発明のペプチドである上記(a)〜(c)のスクリーニング方法などのレセプター結合アッセイ系、
(e)本発明のペプチドを本発明の蛋白質に接触させた場合と、本発明のペプチドおよび試験化合物を本発明の蛋白質に接触させた場合における、本発明の蛋白質を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(f)本発明のペプチドを本発明の蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、本発明のペプチドおよび試験化合物を本発明の蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、本発明の蛋白質を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
(g)本発明の蛋白質が、本発明の蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明の蛋白質である上記(f)のスクリーニング方法などの細胞刺激アッセイ系などが挙げられる。
【0055】
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、本発明のスクリーニング方法に用いる本発明の蛋白質としては、上記の本発明の蛋白質を含有するものであれば何れのものであってもよい。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させた本発明の蛋白質などが適している。
本発明のペプチドとして、ペプチドA(成熟体,前駆体)を使用する場合、本発明の蛋白質としては、例えば、配列番号:13で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一なアミノ酸配列を含有する蛋白質などが用いられ、さらに好ましくは、ヒトGPR14、ラットGPR14、マウスGPR14などが用いられる。
本発明の蛋白質を製造するには、前述の方法などが用いられる。
本発明のスクリーニング方法において、本発明の蛋白質を含有する細胞あるいは該細胞膜画分などを用いる場合、後述の調製法に従えばよい。
本発明の蛋白質を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行うことができる。
本発明の蛋白質を含有する細胞としては、本発明の蛋白質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、前述の大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などがあげられる。
膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などがあげられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500〜3000rpm)で短時間(通常、約1〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現した本発明の蛋白質と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該本発明の蛋白質を含有する細胞や膜画分中の本発明の蛋白質の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0056】
前記のレセプター結合アッセイ系や細胞刺激アッセイ系などのスクリーニング方法を実施するためには、例えば、本発明の蛋白質画分と、本発明のペプチド(例、標識した本発明のペプチド)などが用いられる。本発明の蛋白質画分としては、天然型の本発明の蛋白質画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型本発明の蛋白質画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。標識した本発明のペプチドとしては、例えば、放射性同位元素(例、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、〔14C〕など)、蛍光物質〔例、シアニン蛍光色素(例、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7(アマシャムバイオサイエンス社製)など)、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなど〕、酵素(例、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素など)、発光物質(例、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど)、ビオチンまたはランタニド元素などで標識された本発明のペプチドなどを用いることができる。好ましくは放射性同位元素で標識された本発明のペプチドなどである。ボルトン−ハンター試薬を用いて公知の方法で調製した本発明のペプチドの標識体を利用することもできる。
具体的には、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物のスクリーニングを行うには、まず、本発明の蛋白質を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドと蛋白質との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによる本発明の蛋白質や本発明のペプチドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000〜500000cpm)の標識した本発明のペプチドを添加し、同時に10−4〜10−1μMの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の本発明のペプチドを加えた反応チューブも用意する。反応は0〜50℃、望ましくは4〜37℃で、20分〜24時間、望ましくは30分〜3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
【0057】
また、本発明の蛋白質と本発明のペプチドとの結合を測定する方法として、BIAcore(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いることもできる。この方法では、本発明のペプチドを装置に添付のプロトコールに従ったアミノカップリング法によってセンサーチップに固定し、本発明の蛋白質を含有する細胞または本発明の蛋白質をコードするDNAを含有する形質変換体から精製した本発明の蛋白質または本発明の蛋白質を含む膜画分、あるいは精製した本発明の蛋白質または本発明の蛋白質を含む膜画分および試験化合物を含むリン酸バッファーまたはトリスバッファーなどの緩衝液をセンサーチップ上を毎分2〜20μlの流量で通過させる。 センサーチップ上の本発明のペプチドと本発明の蛋白質とが結合することによって生じる表面プラズモン共鳴の変化を共存する試験化合物が変化させることを観察することによって本発明の蛋白質と本発明のペプチドとの結合を変化させる化合物のスクリーニングを行なうことができる。この方法は、本発明の蛋白質をセンサーチップに固定し、本発明のペプチドまたは本発明のペプチドおよび試験化合物を含むリン酸バッファーまたはトリスバッファーなどの緩衝液をセンサーチップ上を通過させる方法を用いても同様に測定することができる。試験化合物としては、上記と同様のものなどがあげられる。
【0058】
前記の細胞刺激アッセイ系のスクリーニング方法を実施するためには、本発明の蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP産生抑制、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、GTPγS結合活性などを促進する活性または抑制する活性など)を、自体公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、本発明の蛋白質を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行うにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
【0059】
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当な本発明の蛋白質を発現した細胞が用いられる。本発明の蛋白質を発現した細胞としては、前述の組換え型本発明の蛋白質発現細胞株などが望ましい。形質転換体である本発明の蛋白質発現細胞は安定発現株でも一過性発現株でも構わない。また、動物細胞の種類は上記と同様のものが用いられる。
試験化合物としては、例えばペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などがあげられる。
【0060】
また、本発明は、(iii)本発明のペプチドを産生する能力を有する細胞を培養した場合と(iv)本発明のペプチドを産生する能力を有する細胞と試験化合物の混合物を培養した場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法も提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、上記(iii)と(iv)の場合における、本発明のペプチド遺伝子の発現量(具体的には、本発明のペプチド量または該ペプチドをコードするmRNA量など)を測定して、比較する。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
上記のスクリーニング方法を実施するには、本発明のペプチドを産生する能力を有する細胞をスクリーニングに適したバッファーに浮遊して調製する。バッファーには、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜8)のリン酸バッファー、ほう酸バッファーなどの、本発明のペプチドの活性を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。
本発明のペプチドを産生する能力を有する細胞としては、例えば、前述した本発明のペプチドをコードするDNAを含有するベクターで形質転換された宿主(形質転換体)が用いられる。宿主としては、例えば、CHO細胞などの動物細胞が好ましく用いられる。該スクリーニングには、例えば、前述の方法で培養することによって、本発明のペプチドを発現させた形質転換体が好ましく用いられる。
本発明のペプチド量の測定は、公知の方法、例えば、本発明のペプチドを認識する抗体を用いて、細胞抽出液中などに存在する前記ペプチドを、ウェスタン解析、ELISA法などの方法またはそれに準じる方法に従い測定することができる。
本発明のペプチド遺伝子の発現量は、公知の方法、例えば、ノーザンブロッティングやReverse transcription−polymerase chain reaction(RT−PCR)、リアルタイムPCR解析システム(ABI社製、TaqMan polymerase chain reaction)などの方法あるいはそれに準じる方法にしたがって測定することができる。
例えば、上記(iv)の場合における本発明のペプチド遺伝子の発現量を、上記(iii)の場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上促進する試験化合物を本発明のペプチド遺伝子の発現を促進する化合物またはその塩として選択することができる。
例えば、上記(iv)の場合における本発明のペプチド遺伝子の発現量を、上記(iii)の場合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を本発明のペプチド遺伝子の発現を阻害する化合物またはその塩として選択することができる。
【0061】
本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、本発明の蛋白質、本発明の蛋白質を含有する細胞、あるいは本発明の蛋白質を含有する細胞の膜画分、および本発明のペプチドを含有するものである。本発明のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものがあげられる。
1.スクリーニング用試薬
(i)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks’ Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(ii)本発明の蛋白質の標品
本発明の蛋白質を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×10個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養したもの。
(iii)標識された本発明のペプチド
H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した本発明のペプチド。
適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを4℃または−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
(iv)リガンド標準液
本発明のペプチドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
2.測定法
(i)12穴組織培養用プレートにて培養した本発明の蛋白質を発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(ii)10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識した本発明のペプチドを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物のかわりに10−3Mの本発明のペプチドを5μl加えておく。
(iii)反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識した本発明のペプチドを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(iv)液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式〔数1〕で求める。
〔数1〕
PMB=[(B−NSB)/(B−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B  :検体を加えた時の値
NSB:Non−specific Binding(非特異的結合量)
  :最大結合量
【0062】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合を変化させる(結合を阻害または促進する)化合物であり、具体的には本発明の蛋白質を介して細胞刺激活性を有する化合物またはその塩(いわゆる本発明の蛋白質のアゴニスト)、または該刺激活性を有しない化合物(いわゆる本発明の蛋白質のアンタゴニスト)である。該化合物としては、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
上記本発明の蛋白質のアゴニストであるかアンタゴニストであるかの具体的な評価方法は以下の(A)または(B)に従えばよい。
(A)前記のスクリーニング方法で示されるレセプター結合アッセイを行い、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる(特に、結合を阻害する)化合物を得た後、該化合物が上記した本発明の蛋白質を介する細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩は本発明の蛋白質のアゴニストであり、該活性を有しない化合物またはその塩は本発明の蛋白質のアンタゴニストである。
(B)(a)試験化合物を本発明の蛋白質を含有する細胞に接触させ、上記本発明の蛋白質を介した細胞刺激活性を測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩は本発明の蛋白質のアゴニストである。
(b) 本発明の蛋白質を活性化する化合物(例えば、本発明のペプチドまたは本発明の蛋白質のアゴニストなど)を本発明の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合と、本発明の蛋白質を活性化する化合物および試験化合物を本発明の蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、本発明の蛋白質を介した細胞刺激活性を測定し、比較する。本発明の蛋白質を活性化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る化合物またはその塩は本発明の蛋白質のアンタゴニストである。
該本発明の蛋白質のアゴニストは、本発明の蛋白質に対する本発明のペプチドが有する生理活性と同様の作用を有しているので、本発明のペプチドと同様に安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明の蛋白質アンタゴニストは、 本発明の蛋白質に対する本発明のペプチドが有する生理活性を抑制することができるので、該レセプター活性を抑制する安全で低毒性な医薬、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などの予防・治療剤、好ましくは中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患などの予防・治療剤として有用である。
【0063】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる、本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩、本発明のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩は、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などの疾病の予防・治療剤などとして安全に用いることができる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物の中でも好ましくは、本発明の蛋白質アンタゴニスト、本発明のペプチド遺伝子の発現を阻害する化合物である。該化合物またはその塩は、好ましくは、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)などの予防・治療剤として有用である。
【0064】
上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物の塩としては、例えば、薬学的に許容可能な塩などが用いられる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などがあげられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩などがあげられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などとの塩があげられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸などとの塩があげられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルチニンなどとの塩があげられ、酸性アミノ酸との好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩を上述の医薬として使用する場合、上記の本発明のペプチドを医薬として実施する場合と同様にして実施することができる。
【0065】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩を上述の医薬として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
【0066】
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩の投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1〜1000mg、好ましくは約1.0〜300mg、より好ましくは約3.0〜50mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえば注射剤の形では成人の心不全患者(体重60kgとして)への投与においては、(本発明の蛋白質の)アンタゴニストを一日につき約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0067】
(3)本発明のペプチドまたはその塩の定量
本発明の抗体は、本発明のペプチドを特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のペプチドの定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量等に使用することができる。
すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発明のペプチドとを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された本発明のペプチドの割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明のペプチドの定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のペプチドの定量法を提供する。
【0068】
また、本発明のペプチドに対するモノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称する場合がある)を用いて本発明のペプチドの定量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab’) 、Fab’、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明のペプチドの定量法は、 特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、本発明のペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素(例、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、〔14C〕など)、蛍光物質〔例、シアニン蛍光色素(例、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7(アマシャムバイオサイエンス社製)など)、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなど〕、酵素(例、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素など)、発光物質(例、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど)、ビオチン、ランタニド元素などが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0069】
抗原あるいは抗体の不溶化にあたっては、物理吸着を用いてもよく、また通常ペプチドあるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロース等の不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が挙げられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のペプチド量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法による本発明のペプチドの測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、本発明のペプチドの結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のペプチドのC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
【0070】
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリー等に用いることができる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体等を用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリー等が好適に用いられる。
【0071】
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のペプチドの測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書等を参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書 Vol. 73(ImmunochemicalTechniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies andGeneral Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)等を参照することができる。
以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明のペプチドを感度良く定量することができる。
さらには、本発明の抗体を用いて本発明のペプチドの濃度を定量することによって、(1)本発明のペプチドの濃度の増加が検出された場合、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などに罹患している、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。また、(2)本発明のペプチドの濃度の減少が検出された場合、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などに罹患している、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、本発明の抗体は、体液や組織等の被検体中に存在する本発明のペプチドを検出するために使用することができる。また、本発明のペプチドを精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のペプチドの検出、被検細胞内における本発明のペプチドの挙動の分析等のために使用することができる。
【0072】
(4)遺伝子診断薬
本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用することにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル等)における本発明のペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多等の遺伝子診断薬として有用である。
特に、本発明のペプチドAは、ウロテンシンIIの受容体であるGPR14に結合し、ウロテンシンIIと同様な作用を有すると推定される。しかしながら、本発明のペプチドAは、これまでに知られているウロテンシンII前駆体遺伝子とは異なる前駆体遺伝子(ペプチドA前駆体の遺伝子)から生成する。従って、GPR14受容体を介したリガンド応答が関与する疾患において、実際にはペプチドAが関与している場合は、ウロテンシンII前駆体遺伝子の変動などを検出する方法を用いても、原因となる遺伝子異常は見出されず、ペプチドA前駆体遺伝子の変動などを検出することにより、原因となる遺伝子異常、遺伝子変動等を見出すことが可能となる。
本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(Genomics,5巻,874〜879頁,1989年、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,86巻,2766〜2770頁,1989年)、 DNAマイクロアレイ等により実施することができる。
例えば、ノーザンハイブリダイゼーションやDNAマイクロアレイにより発現低下が検出された場合やPCR−SSCP法やDNAマイクロアレイによりDNAの突然変異が検出された場合は、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などに罹患している可能性が高いと診断することができる。
【0073】
(5)アンチセンスDNAを含有する医薬
本発明のDNAに相補的に結合し、該DNAの発現を抑制することができるアンチセンスDNAは、生体内における本発明のペプチドまたは本発明のDNAの機能を抑制することができるので、例えば、本発明のペプチドの発現過多に起因する疾患(例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)など)の予防・治療剤、好ましくは中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患などの予防・治療剤として使用することができる。
上記アンチセンスDNAを上記の予防・治療剤として、前記した本発明のDNAを含有する各種疾病の予防・治療剤と同様に使用することができる。
例えば、該アンチセンスDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクター等の適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って投与することができる。該アンチセンスDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤等の生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
さらに、本発明は、
(i)本発明のペプチドをコードするRNAの一部を含有する二重鎖RNA、
(ii)前記二重鎖RNAを含有してなる医薬、
(iii)本発明のペプチドをコードするRNAの一部を含有するリボザイム、
(iv)前記リボザイムを含有してなる医薬も提供する。
上記アンチセンスヌクレオチドと同様に、二重鎖RNA(RNAi;RNA interference法)、リボザイムなども、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド(例、DNA)の発現を抑制することができ、生体内における本発明のペプチドまたはDNAの機能抑制することができるので、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などの予防・治療剤、好ましくは中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患などの予防・治療剤などとして使用することができる。
二重鎖RNAは、公知の方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。
リボザイムは、公知の方法(例、TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。例えば、本発明のペプチドをコードするRNAの一部に公知のリボザイムを連結することによって製造することができる。本発明のペプチドをコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得る本発明のRNA上の切断部位に近接した部分(RNA断片)が挙げられる。
上記の二重鎖RNAまたはリボザイムを上記予防・治療剤として使用する場合、アンチセンスポリヌクレオチドと同様にして製剤化し、投与することができる。
【0074】
(6)本発明の抗体を含有する医薬および診断薬
本発明のペプチドの活性を中和する作用を有する本発明の抗体は、例えば、本発明のペプチドの発現過多に起因する疾患(例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)など)の予防・治療剤など、好ましくは中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患などの予防・治療剤などの医薬として有用である。さらに、本発明の抗体は、本発明のペプチドの発現過多に起因する疾患(例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)など)の診断薬、好ましくは中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患などの診断薬として使用することもできる。
本発明の抗体を含有する上記疾患の予防・治療剤は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル等)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルート等によっても異なるが、例えば、心不全治療の目的で本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬組成物として投与することができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等があげられる。かかる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウム等が用いられる。
【0075】
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤等が用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等の剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液等が用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕等と併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤等が例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常約5〜500mg、とりわけ注射剤では約5〜100mg、その他の剤形では約10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
【0076】
(7)本発明のDNAを有する非ヒト動物の作製
本発明のDNAを用いて、本発明のペプチドを発現するトランスジェニック非ヒト動物を作製することができる。非ヒト動物としては、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)など(以下、動物と略記する)が挙げられるが、特に、マウス、ウサギなどが好適である。
本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、ウサギ由来の本発明のDNAを転移させる場合、これと相同性が高い動物由来の本発明のDNAを動物細胞で発現させうる各種プロモーターの下流に結合した遺伝子コンストラクトを、例えば、ウサギ受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明の蛋白質を高産生するDNA転移動物を作出できる。このプロモーターとしては、例えば、ウイルス由来プロモーター、メタロチオネイン等のユビキアスな発現プロモーターも使用しうるが、好ましくは脳で特異的に発現するNGF遺伝子プロモーターやエノラーゼ遺伝子プロモーターなどが用いられる。
【0077】
受精卵細胞段階における本発明のDNAの転移は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の蛋白質が存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞及び体細胞の全てに本発明の蛋白質を有することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の蛋白質を有する。
本発明のDNA転移動物は、交配により遺伝子を安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で飼育継代を行うことができる。さらに、目的DNAを保有する雌雄の動物を交配することにより、導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。本発明のDNAが転移された動物は、本発明の蛋白質が高発現させられているので、本発明の蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用の動物などとして有用である。
本発明のDNA転移動物を、組織培養のための細胞源として使用することもできる。例えば、本発明のDNA転移マウスの組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、あるいは遺伝子により発現された本発明の蛋白質が存在する組織を分析することにより、本発明の蛋白質について分析することができる。本発明の蛋白質を有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、例えば、脳や末梢組織由来のような一般に培養困難な組織からの細胞の機能を研究することができる。また、その細胞を用いることにより、例えば、各種組織の機能を高めるような医薬の選択も可能である。また、高発現細胞株があれば、そこから、本発明の蛋白質を単離精製することも可能である。
【0078】
(8)ノックアウト動物
本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
1)本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された上記1)記載の胚幹細胞、
3)ネオマイシン耐性である上記1)記載の胚幹細胞、
4)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記1)記載の胚幹細胞、
5)ゲッ歯動物がマウスである上記4)記載の胚幹細胞、
6)本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
7)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる上記6)記載の非ヒト哺乳動物、
8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記6)記載の非ヒト哺乳動物、
9)ゲッ歯動物がマウスである上記8)記載の非ヒト哺乳動物、および
10)上記7)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、あるいは該DNAがコードしている本発明のペプチドの活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に本発明のペプチドの発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
【0079】
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
【0080】
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知 EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDFマウス(C57BL/6とDBA/2とのF)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDFマウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約10個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
【0081】
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明のペプチドの細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
【0082】
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明のペプチドのヘテロ発現不全個体であり、本発明のペプチドのヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本発明のペプチドのホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のペプチドにより誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のペプチドの生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
【0083】
(8a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して予防・治療効果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して予防・治療効果を有する化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して予防・治療効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
具体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の予防・治療効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
【0084】
例えば、心不全に対して予防・治療効果を有する化合物をスクリーニングする場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の拘束ストレスに対する排便量変化を経時的に測定する。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のペプチドの欠損や損傷などによって引き起こされる疾患に対して予防・治療効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤などの医薬として使用することができる。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
【0085】
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、アルカリ金属など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のペプチドを含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の心不全の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の心不全の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mgを静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0086】
(8b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。
【0087】
本発明のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、本発明のペプチドをコードするDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明のペプチドの発現する組織で、本発明のペプチドの代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明のペプチドの動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、本発明のペプチド欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物である。
【0088】
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸など)や塩基(例、有機酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のペプチドの発現を促進し、該ペプチドの機能を促進することができるので、例えば、中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などの予防・治療剤などの医薬として有用である。
【0089】
また、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、本発明のペプチドの発現を阻害し、該ペプチドの機能を阻害することができるので、例えば中枢神経疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン症候群、精神分裂病、ピック病、ハンチントン病、老人性痴呆、脳血管性痴呆など)、循環器疾患(例、高血圧症、低血圧症、腎血管性高血圧、原発性肺高血圧など)、心疾患(例、心不全、不整脈、QT延長症候群、狭心症、心筋梗塞、拡張型鬱血性心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、心房細動など)、腎臓疾患(例、腎炎、腎不全、間室性腎疾患など)、泌尿器系疾患(例、頻尿、尿失禁など)などの予防・治療剤などの医薬として有用である。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のペプチドを含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の心不全患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の心不全の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0090】
一方、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)の心不全の患者においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)の心不全の患者に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg、好ましくは約0.1〜20mg、より好ましくは約0.1〜10mgを静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、本発明のDNAのプロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種々の蛋白質をコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子移入動物)を作成すれば、特異的にそのポリペプチドを合成させ、その生体での作用を検討することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポーター遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、本発明のペプチドそのものの体内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
【0091】
本明細書において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
Figure 2004000141
Figure 2004000141
【0092】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬等を下記の記号で表記する。
Figure 2004000141
Figure 2004000141
Figure 2004000141
【0093】
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
以下の実施例1におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:2〕
以下の実施例1におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
以下の実施例1で得られたペプチドA前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
以下の実施例1で得られたペプチドB前駆体をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕
ペプチドA前駆体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:6〕
ペプチドA成熟体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:7〕
ペプチドB前駆体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:8〕
ペプチドB成熟体のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:9〕
配列番号:6で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:10〕
配列番号:8で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:11〕
配列番号:5で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:12〕
配列番号:7で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:13〕
ヒトGPR14のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:14〕
ラットGPR14のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:15〕
マウスGPR14のアミノ酸配列を示す。Accession No. AAL34551
〔配列番号:16〕
ヒトGPR14をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:17〕
ラットGPR14をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:18〕
マウスGPR14をコードする塩基配列を示す。Accession No. AF441863
〔配列番号:19〕
以下の実施例2におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:20〕
以下の実施例2におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:21〕
以下の実施例2で得られたペプチドA前駆体マウスホモログをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:22〕
ペプチドA前駆体マウスホモログのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:23〕
以下の実施例3におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:24〕
以下の実施例3におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:25〕
以下の実施例3で得られたペプチドA前駆体ラットホモログをコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:26〕
ペプチドA前駆体ラットホモログのアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:27〕
配列番号:22で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
〔配列番号:28〕
配列番号:26で表されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を示す。
【0094】
後述の実施例1で取得された大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pcr2.1 TOPO−hURPは、Escherichia coli TOP10/pCR2.1 TOPO−hURPとして、2002年2月27日から、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7927として、2002年2月7日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人 発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16757として寄託されている。
後述の実施例1で取得された大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pcr2.1 TOPO−hUGRPは、Escherichia coli TOP10/pCR2.1 TOPO−hUGRPとして、2002年2月27日から、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7926として、2002年2月7日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人 発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16756として寄託されている。
後述の実施例2で取得された大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pCR4−TOPO−mURPは、2002年3月13日から、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7961として、2002年2月28日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人 発酵研究所(IFO)に受託番号IFO 16765として寄託されている。
後述の実施例3で取得された大腸菌(Escherichia coli)TOP10/pCDNA3.1/V5−His−TOPO−rURPは、2002年3月13日から、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7962として、2002年2月28日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人 発酵研究所(IFO)に受託番号IFO16766として寄託されている。
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載されている方法に従った。
【0095】
実施例1
ヒト全脳cDNAからのペプチドA前駆体遺伝子およびペプチドB前駆体遺伝子のクローニング
ヒト全脳polyA RNA (クロンテック社) 1.0μgを鋳型に、SuperScript reversetranscriptase (ギブコBRL社)を用い、添付のマニュアルにしたがってランダムプライマーを用いて逆転写を行ない、cDNAを作製した。作製したヒト全脳cDNAを鋳型とし、プライマー1(配列番号:1)およびプライマー2(配列番号:2)を用いてPCR反応を行なった。PCR反応の液量は20μlとし、組成は、鋳型としてcDNA調製液を5 ng mRNA相当分、プライマー各0.5μM、2.5 mM MgCl、 dNTP 0.2mM、 AmpliTaq Gold(パーキンエルマー社)1/100 volumeおよび10倍濃縮AmpliTaqGold Buffer 1/10 volumeとした。反応は、95℃で9分保温した後、95℃・12秒、55℃・15秒、72℃・20秒のサイクルを45回繰り返した後、72℃で10分保温して行なった。得られた反応液を用い、TOPO TA cloning kit(インビトロジェン社)を用いてプラスミドベクターpcDNA2.1−TOPOへサブクローニングし、大腸菌TOP10へ導入した。生じた形質転換体からQIA prep8 mini prep(キアゲン社)を用いてプラスミドDNAを精製した。塩基配列決定のための反応は、BigDye TerminatorCycle Sequence Ready Reaction Kit(パーキンエルマー社)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読した。
その結果、配列番号:3およびその252番目から289番目までの38塩基が欠落したスプライシングバリアントと推定される配列番号:4に示す塩基配列が得られた。
配列番号:3の塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTAAに至る翻訳枠が存在した。この翻訳枠から翻訳される蛋白のアミノ酸配列を配列番号:5に示す。配列番号:5のC末には、通常生理活性ペプチドがその前駆体蛋白から切り出されるとされるLys−Argの配列(Seidah, N. G.ら、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9−24頁、1998年)に続き、ウロテンシンIIと極めて類似した配列であるACFWKYCV(配列番号:6)が存在した。したがって、配列番号:5の蛋白質からこの8アミノ酸残基からなるウロテンシンII関連ペプチド(ペプチドA成熟体)が成熟ペプチドとして切り出されることが予想される。
配列番号:3には、ペプチドA成熟体の前駆体である配列番号:5をコードする領域の全長が含まれていたので、この配列を含むプラスミドで大腸菌TOP10を形質転換し、Escherichia coli TOP10/pcr2.1 TOPO−hURPを得た。
一方、配列番号:3のスプライシングバリアントと推定される配列番号:4の塩基配列にも、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在した。この翻訳枠から翻訳される蛋白のアミノ酸配列を配列番号:7に示す。配列番号:7は、スプライシングの違いによって翻訳枠が途中から異なるものの、やはりC末に通常生理活性ペプチドがその前駆体蛋白から切り出されるとされるLys−Argの配列(Seidah, N. G.ら、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9−24頁、1998年)に続き、成熟ペプチドと予想される8アミノ酸残基からなる配列TASGGEGF(配列番号:8)が存在した。この配列はウロテンシンIIとは全く無関係であったが、配列番号:7の蛋白質からこのウロテンシンII関連ペプチド遺伝子関連ペプチド(ペプチドB成熟体)が成熟ペプチドとして切り出されることが予想される。配列番号:4には、ペプチドB成熟体の前駆体である配列番号:7をコードする領域の全長が含まれていたので、この配列を含むプラスミドで大腸菌TOP10を形質転換し、Escherichia coli TOP10/pcr2.1 TOPO−hUGRPを得た。
【0096】
実施例2
マウス全脳cDNAからのペプチドA前駆体マウスホモログ遺伝子のクローニング
マウス全脳polyA RNA (クロンテック社) 1.0μgを鋳型に、SuperScript reversetranscriptase (ギブコBRL社)を用い、添付のマニュアルにしたがってランダムプライマーを用いて逆転写を行ない、cDNAを作製した。作製したマウス全脳cDNAを鋳型とし、プライマー1(配列番号:19)およびプライマー2(配列番号:20)を用いてPCR反応を行なった。PCR反応の液量は20μlとし、組成は、鋳型としてcDNA調製液を10 ng mRNA相当分、プライマー各0.5μM、2.5 mM MgCl、 dNTP 0.2 mM、Advantage 2 Polymerase Mix(クロンテック社)1/50 volumeおよび10倍濃縮Buffer 1/10 volumeとした。反応は、94℃で5秒保温した後、95℃・5秒、58℃・15秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返した後、72℃で10分保温して行なった。得られた反応液を用い、TOPO TA cloning kit(インビトロジェン社)を用いてプラスミドベクターpCR4−TOPOへサブクローニングし、大腸菌TOP10へ導入した。生じた形質転換体からQIA prep8 mini prep(キアゲン社)を用いてプラスミドDNAを精製した。塩基配列決定のための反応は、BigDye Terminator Cycle Sequence Ready Reaction Kit(パーキンエルマー社)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読した。その結果、配列番号:21に示す塩基配列が得られた。
配列番号:21の塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在した。この翻訳枠から翻訳される蛋白のアミノ酸配列を配列番号:22に示す。配列番号:22のC末には、ペプチドA前駆体(ヒト型)(配列番号:5)と同様に、通常生理活性ペプチドがその前駆体蛋白から切り出されるとされるLys−Argの配列(Seidah, N. G.ら、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9−24頁、1998年)に続き、ウロテンシンIIと極めて類似した配列であるACFWKYCV(配列番号:6)が存在した。したがって、配列番号:22の蛋白質からもこの8アミノ酸残基からなるウロテンシンII関連ペプチド(ペプチドA成熟体)が成熟ペプチドとして切り出されることが予想される。以上から、配列番号:21はペプチドA前駆体マウスホモログ遺伝子であると結論された。
配列番号:21には、ペプチドA成熟体の前駆体である配列番号:22をコードする領域の全長が含まれていたので、この配列を含むプラスミドで大腸菌TOP10を形質転換し、Escherichia coli TOP10/pCR4−TOPO−mURPを得た。
【0097】
実施例3
ラット全脳cDNAからのペプチドA前駆体ラットホモログ遺伝子のクローニング
ラットMarathon Ready cDNA (Brain) (クロンテック社) 0.2 ngを鋳型とし、プライマー1(配列番号:23)およびプライマー2(配列番号:24)を用いてPCR反応を行なった。PCR反応の液量は20μlとし、組成は、鋳型としてcDNA 0.2 ng、プライマー各0.5μM、2.5 mM MgCl、 dNTP 0.2 mM、Advantage 2 Polymerase Mix(クロンテック社)1/50 volumeおよび10倍濃縮Buffer 1/10 volumeとした。反応は、94℃で5秒保温した後、94℃・5秒、58℃・15秒、72℃・30秒のサイクルを35回繰り返した後、72℃で10分保温して行なった。得られた反応液を用い、TOPO TA cloning kit(インビトロジェン社)を用いてプラスミドベクターpcDNA3.1/V5−His−TOPOへサブクローニングし、大腸菌TOP10へ導入した。生じた形質転換体からQIA prep8 mini prep(キアゲン社)を用いてプラスミドDNAを精製した。塩基配列決定のための反応は、BigDye Terminator Cycle Sequence Ready Reaction Kit(パーキンエルマー社)を用いて行ない、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読した。その結果、配列番号:25に示す塩基配列が得られた。
配列番号:25の塩基配列には、開始コドンであるATGから終止コドンであるTGAに至る翻訳枠が存在した。この翻訳枠から翻訳される蛋白のアミノ酸配列を配列番号:26に示す。配列番号:26のC末には、ペプチドA前駆体(ヒト型)(配列番号:5)と同様に、通常生理活性ペプチドがその前駆体蛋白から切り出されるとされるLys−Argの配列(Seidah, N. G.ら、Ann. N. Y. Acad. Sci.、839巻、9−24頁、1998年)に続き、ウロテンシンIIと極めて類似した配列であるACFWKYCV(配列番号:6)が存在した。したがって、配列番号:26で表されるアミノ酸配列を有する蛋白質からもこの8アミノ酸残基からなるウロテンシンII関連ペプチド(ペプチドA成熟体)が成熟ペプチドとして切り出されることが予想される。以上から、配列番号:25で表される塩基配列は、ペプチドA前駆体ラットホモログ遺伝子であると結論された。
配列番号:25には、ペプチドA成熟体の前駆体である配列番号:22をコードする領域の全長が含まれていたので、この配列を含むプラスミドで大腸菌TOP10を形質転換し、Escherichia coli TOP10/pCDNA3.1/V5−His−TOPO−rURPを得た。
【0098】
実施例4
ウロテンシンII関連ペプチド(ペプチドA):Ala−Cys−Phe−Trp−Lys−Tyr−Cys−Val(配列番号:6)の製造
市販のBoc−Val−OCH−PAM樹脂(0.77 mmole/g resin) 0.5 mmole 分をペプチド合成機ACT−90(Advanced Chemtech社)の反応槽に入れ、Boc−strategy (NMP−HOBt) ペプチド合成方法でBoc−Cys(MeBzl)、Boc−Tyr(Br−Z)、Boc−Lys(Cl−Z)、Boc−Trp(CHO)、Boc−Phe、Boc−Cys(MeBzl)、Boc−Alaを順に導入して目的の保護ペプチド樹脂を得た。この樹脂0.32 gをp−クレゾール2 ml、1,4−ブタンジチオール1.5 mlと共に無水弗化水素20 ml中0℃60分撹袢した後、弗化水素を減圧留去し、残留物にジエチルエーテルを加えて沈殿を濾過した。この沈殿に50%酢酸水を加えて抽出し、不溶部分を除き、抽出液を十分に濃縮後50%酢酸水で充填したセファデックス(登録商標)G−25カラム(2.0 x 80 cm)に付した。同溶媒で展開して主要画分を集め、凍結乾燥して粗SHペプチド118 mgを得た。このうち50mgを6 M尿素水溶液100 mlに溶解し、蒸留数400 mlを加えて希釈の後、アンモニア水を用いてpH8に調整し、緩やかに空気を吹込みながら攪拌した。反応をHPLCで追跡し、SH体ペプチドのピークがすべてSS体に変化したことを確認した後、酢酸を加えて溶液のpHを3に調整した。LiChroprep(登録商標) RP−18を充填した逆相クロマトカラム(2.6 x 60 cm)に付し、0.1% TFA水200ml、続いて0.1% TFA含有20%アセとにトリル水200 mlで洗浄した。次に0.1% TFA含有20%アセトニトリル水300mlと0.1% TFA含有50%アセトニトリル水300 mlを用いた線型勾配溶出を行ない、主要画分を集めて凍結乾燥し、白色粉末7.9 mgを得た。
ESI−MS:M1017.1 (理論値 1017.2)
HPLC溶出時間:9.9分
カラム条件
カラム:Wakosil−II 5C18HG 4.6 x 100mm
溶離液:A液: 0.1% TFA−水、B液: 0.1% TFA含有アセトニトリルを用い、A/B: 80/20〜60/40へ直線型濃度勾配溶出(10分)
流速:1.0ml/分
【0099】
実施例5
FLIPRを用いて測定したペプチドAによるヒトまたはラットSENR(GPR14)発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定
実施例4に示す方法によって製造したペプチドA(配列番号:6)によるヒトまたはラットSENR(GPR14)発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度上昇活性の測定をFLIPR(モレキュラーデバイス社)を用いて行なった。
WO 00/32627号公報に記載の方法と同様にしてヒトまたはラットSENR発現CHO細胞を作製した。これらの細胞を3 x 10 cells/mlとなるように10%透析ウシ胎児血清を含むDMEMに懸濁し、FLIPR用96穴プレート(Black plate clear bottom、コースター社)に分注器を用いて各ウェルに100μlずつ植え込み(3.0×10 cells/100μl/ウェル)、5% COインキュベーター中にて37℃で一晩培養した後、アッセイに用いた(以後このプレートを細胞プレートと略する)。HANKS’/HBSS(ニッスイハンクス2(日水製薬)9.8 g、炭酸水素ナトリウム0.35 g、HEPES 4.77 g、6 M水酸化ナトリウム溶液で pH7.4に合わせた後、フィルター滅菌処理)20 ml、250 mM Probenecid 200μl、ウシ胎児血清(FBS)200μlを混合したものにFluo 3−AM(同仁化学研究所)2バイアル(50μg)をジメチルスルフオキシド40μlおよび20% Pluronic acid(モレキュラープローブ社)40μlに溶解して加えて混和し、8連ピペットを用いて培養液を除いた細胞プレートに各ウェル100μlずつ分注した後、5% COインキュベーター中にて37℃で1時間インキュベートして細胞に色素をロードした。FLIPR用96穴プレート(V−Bottomプレート、コースター社)の各ウェルに2.5 mM Probenecid、0.1% BSAを含むHANKS’/HBSS150μlを入れ、さらに種々の濃度のペプチドAを添加してサンプルプレートを調製した。細胞プレートの色素ローディング終了後、HANKS’/HBSSに2.5 mM Probenecidを加えた洗浄バッファーでプレートウォッシャー(モレキュラーデバイス社)を用いて細胞プレートを4回洗浄し、洗浄後100μlの洗浄バッファーを残した。この細胞プレートとサンプルプレートをFLIPRにセットし、アッセイを行なった(FLIPRにより、サンプルプレートから50μlのサンプルが細胞プレートへと移される)。
その結果、ペプチドAは濃度依存的にヒトSENR発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度およびラットSENR発現CHO細胞の細胞内Caイオン濃度を上昇させることが示された(図1)。なお、細胞内Caイオン濃度の上昇は、Caによって生じる細胞にロードされた色素の蛍光の上昇によって示される。
【0100】
実施例6
ラクトパーオキシダーゼ法を用いた[125I−Tyr]ペプチドAの作製
DMSO 6μlに溶かした、実施例4に示す方法によって製造したペプチドA(配列番号:6)3 nmolを0.1 M HEPES (pH 7)に溶かした0.003%過酸化水素水6μl、0.1 M HEPES (pH 7)に溶かしたラクトパーオキシダーゼ (シグマ社) 10μg/mlを6μlおよび[125I]NaI 37 MBq(NENライフサイエンスプロダクツ社)6μlと混合して室温で30分間反応させた後、生成した[125I−Tyr] ペプチドAを以下の条件でHPLC分取した。
用いたカラムはODS−80TM (4.6 mm x 15 cm)(トーソー社)、溶出液Aとして10%アセトニトリル/0.1% TFA、溶出液Bとして60%アセトニトリル/0.1% TFAを用い、0−0 (2 min)、0−34 (3 min)、34−40 (5 min)、40−70 (37 min) %B/A+Bのグラディエント溶出法を行なった。流速は1 mL/min、カラム温度は40℃、検出は215 nmとした。このHPLC条件では、[125I−Tyr] ペプチドAは24分付近に溶出した。
【0101】
実施例7
125I−Tyr]ペプチドAを用いた受容体結合実験
実施例6に記載した方法によって作製した[125I−Tyr]ペプチドAおよびWO 00/32627号公報に記載の方法と同様にして調製したヒトまたはラットSENR(GPR14)発現CHO細胞膜画分を用いて受容体結合実験を行なった。
ヒトSENR発現CHO細胞およびラットSENR発現CHO細胞から調製した細胞膜画分をアッセイ用バッファー(25 mM Tris−HCl、5 mM EDTA、0.05% CHAPS、0.1% BSA、0.5 mM PMSF、1μg/ml ペプスタチン、20μg/ml ロイペプチン、4μg/ml E−64、pH 7.4)で各種濃度に希釈後、ポリプロピレン製試験管(Falcon 2053)に200μlずつ分注した。最大結合量を測定するために2μlのDMSOと10 nMの[125I−Tyr]ペプチドA2μlを膜画分溶液に添加した。また、非特異的結合を測定するために1 mMペプチドAのDMSO溶液2μlと10 nMの[125I−Tyr]ペプチドA2μlを膜画分溶液に添加した。25 ℃で90分間反応させた後、ポリエチレンイミン処理したワットマングラスフィルター(GF−F)を用いて反応液を吸引ろ過した。ろ過後、γ−カウンターを用いて濾紙上に残った放射活性を測定し、最大結合量から非特異的結合量を引いて特異的結合量を見積もった。膜画分の濃度を変化させると膜画分の濃度に依存した[125I−Tyr]ペプチドAの特異的な結合が認められた。被験試料のヒトSENRまたはラットSENRに対する結合阻害活性(阻害率(%))は、最大結合量(TB)から被検試料および[125I−Tyr]ペプチドAを加えたときに濾紙上に残った放射活性(X)を減じた値の特異的結合量(SB)に対する比率((TB−X)/SB x 100 (%))で示される。
ヒトまたはラットSENR発現CHO細胞から調製した膜画分について、膜画分濃度をヒトSENR発現CHO細胞については76μg/ml、ラットSENR発現CHO細胞については1.9μg/mlにそれぞれ設定して、阻害率からペプチドAの50%阻害濃度(IC50値)を算出したところ、IC50値は、ヒトSENR発現CHO細胞については2.8 nM、ラットSENR発現CHO細胞については1.4 nMであった。図2に種々の濃度におけるペプチドAの結合阻害活性を示す。
【0102】
実施例8
ペプチドAの麻酔下ラットの血圧に対する作用
実施例4に示す方法によって製造したペプチドA(配列番号:6)の麻酔下ラットの血圧に対する作用を以下の方法により測定した。
10−12週齢の雄性Wistar rat(日本クレア)をチオブタバルビタールナトリウム(和光純薬工業、100 mg/kg腹腔内投与)で麻酔した。トランスデューサーに接続した血圧測定用カテーテルをラットの左頚動脈に、静脈投与用カテーテル(SP−35)を左大腿静脈にそれぞれ挿入し固定した。ペプチドAは0.05% BSAを含む生理食塩水に溶解し10 nmol/kgとなるように静脈内投与した。血圧および心拍数はポリグラフ(NEC三栄社製)で連続的に記録した。その結果、ペプチドAは麻酔下におけるラットの平均血圧を15.7%低下させた。結果を図3に示す。
【0103】
【発明の効果】
本発明のペプチド、本発明のペプチドをコードするDNA(本発明のDNAと略記する場合がある)および本発明のペプチドに対する抗体(本発明の抗体と略記する場合がある)は、(i)本発明のペプチドが関与する各種疾病の予防・治療剤、(ii)本発明のペプチドと本発明の蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング、(iii)本発明のペプチドまたはその塩の定量、(iv)遺伝子診断薬、(v)アンチセンスDNAを含有する医薬、(vi)本発明の抗体を含有する医薬、(vii)本発明のDNAを有する非ヒト動物の作製、(viii)構造的に類似したリガンド・レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザインなどの実施のために有用である。
また、本発明のペプチドAは、ウロテンシンIIの受容体であるGPR14に結合し、ウロテンシンIIと同様な作用を有すると推定される。しかしながら、本発明のペプチドAは、これまでに知られているウロテンシンII前駆体遺伝子とは異なる前駆体遺伝子から生成する。従って、GPR14受容体を介したリガンド応答が関与する疾患において、実際にはペプチドAが関与している場合は、ウロテンシンII前駆体遺伝子の変動などを検出する方法を用いても、原因となる遺伝子異常は見出されず、ペプチドA前駆体遺伝子の変動などを検出することにより、原因となる遺伝子異常、遺伝子変動等を見出すことが可能となる。
【0104】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】FLIPRを用いて測定した種々の濃度のペプチドAによるヒトまたはラットSENR発現CHO細胞の細胞内Caイオン上昇活性を示す図を示す。図中、−○−はヒトSENR発現CHO細胞の細胞内Caイオン上昇活性を、−□−はラットSENR発現CHO細胞の細胞内Caイオン上昇活性をそれぞれ示す。
【図2】ヒトまたはラットSENR発現CHO細胞から調製した細胞膜画分を用いた、 [125I]で標識したペプチドAに対するペプチドAの結合阻害活性を示す図を示す。図中、−○−はヒトSENR発現CHO細胞膜画分を、−□−はラットSENR発現CHO細胞膜画分をそれぞれ用いて測定した阻害活性を示す。
【図3】ペプチドAの麻酔下ラットに対する降圧作用を示す図である。図中、矢印の点においてラットにペプチドA(10 nmol/kg)を静脈内投与した。

Claims (53)

  1. 配列番号:8で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするペプチドまたはその塩。
  2. 配列番号:8で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩。
  3. 配列番号:7で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とする請求項1記載のペプチドまたはその塩。
  4. 請求項1記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  5. DNAである請求項4記載のポリヌクレオチド。
  6. 配列番号:10で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  7. 配列番号:4または配列番号:12で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  8. 請求項5記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  9. 請求項8記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
  10. 請求項9記載の形質転換体を培養し、請求項1記載のペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする請求項1記載のペプチドまたはその塩の製造法。
  11. 請求項1記載のペプチドまたはその塩を含有してなる医薬。
  12. 請求項4記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬。
  13. 請求項4記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬。
  14. 請求項1記載のペプチドもしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  15. 請求項14記載の抗体を含有してなる医薬。
  16. 請求項14記載の抗体を含有してなる診断薬。
  17. 配列番号:5で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするペプチドまたはその塩。
  18. 配列番号:5で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩。
  19. 配列番号:22で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩。
  20. 配列番号:26で表わされるアミノ酸配列からなるペプチドまたはその塩。
  21. 請求項17記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  22. DNAである請求項21記載のポリヌクレオチド。
  23. 配列番号:3または配列番号:11で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  24. 配列番号:21または配列番号:27で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  25. 配列番号:25または配列番号:28で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  26. 請求項22記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  27. 請求項26記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
  28. 請求項27記載の形質転換体を培養し、請求項17記載のペプチドを生成・蓄積せしめることを特徴とする請求項17記載のペプチドまたはその塩の製造法。
  29. 請求項17記載のペプチドまたはその塩を含有してなる医薬。
  30. 請求項21記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬。
  31. 請求項21記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬。
  32. 請求項17記載のペプチドもしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  33. 請求項32記載の抗体を含有してなる医薬。
  34. 請求項32記載の抗体を含有してなる診断薬。
  35. 請求項1記載のペプチドを用いることを特徴とする、請求項1記載のペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  36. 請求項1記載のペプチドを含有することを特徴とする、請求項1記載のペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  37. 請求項35記載のスクリーニング方法または請求項36記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、請求項1記載のペプチドの活性を促進または阻害する化合物またはその塩。
  38. 配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドまたはその塩と配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩とを用いることを特徴とする、該ペプチドまたはその塩と該蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  39. 配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドまたはその塩と配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩とを含有することを特徴とする、該ペプチドまたはその塩と該蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  40. 請求項38記載のスクリーニング方法または請求項39記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:6で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドまたはその塩と配列番号:13で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩。
  41. 請求項4記載のポリヌクレオチドを用いることを特徴とする、請求項1記載のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  42. ポリヌクレオチドが配列番号:10または配列番号:12で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドである請求項41記載のスクリーニング方法。
  43. 請求項4記載のポリヌクレオチドを含有することを特徴とする、請求項1記載のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  44. 請求項41記載のスクリーニング方法または請求項43記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、請求項1記載のペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩。
  45. 配列番号:9で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを用いることを特徴とする、配列番号:6で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  46. ポリヌクレオチドが配列番号:11で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドである請求項45記載のスクリーニング方法。
  47. 配列番号:9で表される塩基配列を含有するポリヌクレオチドを含有することを特徴とする、配列番号:6で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  48. 請求項45記載のスクリーニング方法または請求項47記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:6で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチド遺伝子の発現を促進または阻害する化合物またはその塩。
  49. 請求項37、40、44または48記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  50. 中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の予防・治療剤である請求項11、12、15、29、30、33または49記載の医薬。
  51. 中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の診断薬である請求項13、16、31または34記載の医薬。
  52. 哺乳動物に対して、請求項37、40、44または48記載の化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の予防・治療方法。
  53. 中枢神経疾患、循環器疾患、心疾患、腎臓疾患または泌尿器系疾患の予防・治療剤を製造するための請求項37、40、44または48記載の化合物またはその塩の使用。
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