JP2003000275A - 新規膜貫通型レセプター様タンパク質およびそのdna - Google Patents

新規膜貫通型レセプター様タンパク質およびそのdna

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JP2003000275A
JP2003000275A JP2001384376A JP2001384376A JP2003000275A JP 2003000275 A JP2003000275 A JP 2003000275A JP 2001384376 A JP2001384376 A JP 2001384376A JP 2001384376 A JP2001384376 A JP 2001384376A JP 2003000275 A JP2003000275 A JP 2003000275A
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salt
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JP2001384376A
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Kenichi Horikoshi
研一 堀越
Yoshihisa Taniyama
佳央 谷山
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 膜貫通型レセプタータンパク質は,新たな生
理活性物質の探索,該レセプターに対するアゴニストま
たはアンタゴニストの探索に有用であり,この種の新規
タンパク質を提供する。 【解決手段】 ヒト由来の2種類の特定配列を持つアミ
ノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を
含有する新規膜貫通レセプター様タンパク質またはその
塩およびそれをコードするポリヌクレオチドを提供す
る。それらの医薬用等の用途も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト白血球由来の
新規膜貫通型レセプター様タンパク質またはその塩およ
びそれをコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】多くの生理活性物質は、細胞膜に存在す
る特異的なレセプタータンパク質を通じて生体の機能を
調節している。これらのレセプタータンパク質は生理活
性物質との結合を介して細胞内へのシグナル伝達を行
い、また膜貫通型の構造を有している。膜貫通型レセプ
ター様タンパク質は生体の細胞や臓器の各機能細胞表面
に存在し、それら細胞や臓器の機能を調節する分子、例
えば、生理活性物質等の標的として生理的に重要な役割
を担っている。レセプターは生理活性物質との結合を介
してシグナルを細胞内に伝達し、このシグナルにより細
胞の賦活や抑制といった種々の反応が惹起される。各種
生体の細胞や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、
その特異的レセプタータンパク質との関係を明らかにす
ることは、各種生体の細胞や臓器の機能を解明し、それ
ら機能と密接に関連した医薬品開発に非常に重要な手段
を提供することとなる。
【0003】例えば、生体の種々の器官では、多くの生
理活性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行
なわれている。生理活性物質は生体内の様々な部位に存
在し、それぞれに対応するレセプタータンパク質を通し
てその生理機能の調節を行っている。生体内には未知の
生理活性物質も多く、それらのレセプタータンパク質の
構造に関しても、これまで報告されていないものが多
い。さらに、既知のレセプタータンパク質においてもサ
ブタイプが存在するかどうかについても分かっていない
ものが多い。生体における複雑な機能を調節する物質
と、その特異的レセプタータンパク質との関係を明らか
にすることは、医薬品開発に非常に重要な手段である。
また、レセプタータンパク質に対するアゴニスト、アン
タゴニストを効率よくスクリーニングし、医薬品を開発
するためには、生体内で発現しているレセプタータンパ
ク質の遺伝子の機能を解明し、それらを適当な発現系で
発現させることが必要であった。近年、生体内で発現し
ている遺伝子を解析する手段として、cDNAの配列を
ランダムに解析する研究が活発に行なわれており、この
ようにして得られたcDNAの断片配列がExpressed Se
quence Tag(EST)としてデータベースに登録され、
公開されている。しかし、多くのESTは配列情報のみ
であり、その機能を推定することは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、膜貫通型レセプ
タータンパク質と生理活性物質(すなわち、リガンド)
との結合を阻害する物質や、結合して生理活性物質(リ
ガンド)と同様なシグナル伝達を引き起こす物質は、こ
れらレセプターの特異的なアンタゴニストまたはアゴニ
ストとして、生体機能を調節する医薬品として活用され
てきた。従って、このように生体内での生理発現におい
て重要であるばかりでなく、医薬品開発の標的ともなり
うる膜貫通型レセプタータンパク質を新規に見出し、そ
の遺伝子(例えばcDNA)をクローニングすること
は、該タンパク質の特異的リガンドや、アゴニスト、ア
ンタゴニストを見出す際に、非常に重要な手段となる。
しかし、膜貫通型レセプタータンパク質はその全てが見
出されているわけではなく、現時点でもなお、未知の膜
貫通型レセプタータンパク質、また対応するリガンドが
同定されていない、いわゆるオーファンレセプターが多
数存在しており、新たな膜貫通型レセプタータンパク質
の探索および機能解明が切望されている。膜貫通型レセ
プタータンパク質は、そのシグナル伝達作用を指標とす
る、新たな生理活性物質(リガンド)の探索、また、該
レセプターに対するアゴニストまたはアンタゴニストの
探索に有用である。一方、生理的なリガンドが見出され
なくても、該レセプターの不活化実験(ノックアウト動
物)から該レセプターの生理作用を解析することによ
り、該レセプターに対するアゴニストまたはアンタゴニ
ストを作製することも可能である。これら該レセプター
に対するリガンド、アゴニストまたはアンタゴニストな
どは、該レセプターの機能不全に関連する疾患の予防/
治療薬や診断薬として活用することが期待できる。さら
にまた、膜貫通型レセプタータンパク質の遺伝子変異に
基づく、生体での該レセプターの機能の低下または昂進
が、何らかの疾患の原因となっている場合も多い。この
場合には、該レセプターに対するアンタゴニストやアゴ
ニストの投与だけでなく、該レセプター遺伝子の生体内
(またはある特定の臓器)への導入や、該レセプター遺
伝子に対するアンチセンス核酸の導入による、遺伝子治
療に応用することもできる。この場合には該レセプター
の塩基配列は遺伝子上の欠失や変異の有無を調べるため
に必要不可欠な情報であり、該レセプターの遺伝子は、
該レセプターの機能不全に関与する疾患の予防/治療薬
や診断薬に応用することもできる。本発明は、上記のよ
うに有用な新規膜貫通型レセプター様タンパク質を提供
するものである。すなわち、新規膜貫通型レセプター様
タンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該
タンパク質またはその部分ペプチドをコードするポリヌ
クレオチド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)を
含有するポリヌクレオチド(DNA、RNAおよびそれ
らの誘導体)、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベ
クター、該組換えベクターを保持する形質転換体、該タ
ンパク質またはその塩の製造法、該タンパク質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、該タンパ
ク質の発現量を変化させる化合物、該タンパク質に対す
るリガンドの決定方法、リガンドと該タンパク質との結
合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニス
ト)またはその塩のスクリーニング方法、該スクリーニ
ング用キット、該スクリーニング方法もしくはスクリー
ニングキットを用いて得られうるリガンドと該タンパク
質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、ア
ゴニスト)またはその塩、およびリガンドと該タンパク
質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、ア
ゴニスト)もしくは該タンパク質の発現量を変化させる
化合物またはその塩を含有してなる医薬などを提供す
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、ヒト末梢血白血球由来の新規な膜貫通型
レセプター様タンパク質をコードするcDNAを単離
し、その全塩基配列を解析することに成功した。そし
て、この塩基配列をアミノ酸配列に翻訳したところ、第
1〜第5膜貫通領域が疎水性プロット上で確認され、こ
れらのcDNAにコードされるタンパク質が5回膜貫通
型のレセプター様タンパク質であることを確認した。本
発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに研究を重
ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、 (1)配列番号:1もしくは配列番号:3で表わされる
アミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列
を含有することを特徴とする膜貫通型レセプター様タン
パク質またはその塩; (2)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有す
る上記(1)記載のタンパク質; (3)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有す
る上記(1)記載のタンパク質; (4)上記(1)記載のタンパク質の部分ペプチドまた
はその塩; (5)上記(1)記載のタンパク質をコードするポリヌ
クレオチドを含有するポリヌクレオチド; (6)DNAである上記(5)記載のポリヌクレオチ
ド; (7)配列番号:2または配列番号:4で表される塩基
配列を含有する上記(6)記載のDNA; (8)上記(5)記載のポリヌクレオチドを含有する組
換えベクター; (9)上記(8)記載の組換えベクターで形質転換させ
た形質転換体; (10)上記(9)記載の形質転換体を培養し、上記
(1)記載のタンパク質を生成せしめることを特徴とす
る上記(1)記載のタンパク質またはその塩の製造法; (11)上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体; (12)上記(1)記載のタンパク質のシグナル伝達を
不活性化する中和抗体である上記(11)記載の抗体; (13)上記(11)記載の抗体を含有してなる診断
薬; (14)上記(11)記載の抗体を含有してなる医薬; (15)上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(3)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることに
より得られうる上記(1)記載のタンパク質またはその
塩に対するリガンド; (16)上記(15)記載のリガンドを含有してなる医
薬; (17)上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを
特徴とする上記(1)記載のタンパク質またはその塩に
対するリガンドの決定方法; (18)上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを
特徴とする、リガンドと上記(1)記載のタンパク質ま
たはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩
のスクリーニング方法; (19)上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩を含有すること
を特徴とする、リガンドと上記(1)記載のタンパク質
またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその
塩のスクリーニング用キット; (20)上記(18)記載のスクリーニング方法または
上記(19)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうるリガンドと上記(1)記載のタンパク質または
その塩との結合性を変化させる化合物またはその塩; (21)上記(18)記載のスクリーニング方法または
上記(19)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られうるリガンドと上記(1)記載のタンパク質または
その塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含
有してなる医薬; (22)上記(5)記載のポリヌクレオチドとハイスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレ
オチド; (23)上記(5)記載のポリヌクレオチドと相補的ま
たは実質的に相補的な塩基配列またはその一部を含有し
てなるポリヌクレオチド; (24)上記(23)記載のポリヌクレオチドを用いる
ことを特徴とする上記(1)記載のタンパク質のmRN
Aの定量方法; (25)上記(11)記載の抗体を用いることを特徴と
する上記(1)記載のタンパク質の定量方法; (26)上記(24)または上記(25)記載の定量方
法を用いることを特徴とする上記(1)記載のタンパク
質の機能が関連する疾患の診断法; (27)上記(24)記載の定量方法を用いることを特
徴とする上記(1)記載のタンパク質の発現量を変化さ
せる化合物またはその塩のスクリーニング方法; (28)上記(25)記載の定量方法を用いることを特
徴とする細胞膜における上記(1)記載のタンパク質量
を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方
法; (29)上記(27)記載のスクリーニング方法を用い
て得られうる上記(1)記載のタンパク質の発現量を変
化させる化合物またはその塩; (30)上記(28)記載のスクリーニング方法を用い
て得られうる細胞膜における上記(1)記載のタンパク
質量を変化させる化合物またはその塩; (31)上記(29)記載の化合物またはその塩を含有
してなる医薬; (32)上記(30)記載の化合物またはその塩を含有
してなる医薬; (33)感染症、中枢疾患、内分泌疾患、代謝疾患、
癌、心疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患または免疫系
疾患の予防・治療剤である上記(21)、(31)また
は(32)記載の医薬; (34)哺乳動物に対して、上記(20)、(29)ま
たは(30)記載の化合物またはその塩の有効量を投与
することを特徴とする感染症、中枢疾患、内分泌疾患、
代謝疾患、癌、心疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患ま
たは免疫系疾患の予防・治療方法; (35)感染症、中枢疾患、内分泌疾患、代謝疾患、
癌、心疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患または免疫系
疾患の予防・治療剤を製造するための上記(20)、
(29)または(30)記載の化合物またはその塩の使
用等に関する。
【0007】さらには、 (36)タンパク質が、配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜3
0個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ま
しくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ
酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1
または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好
ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜
5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミ
ノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または
それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質である上記(1)記載のタンパク質またはその塩; (37)タンパク質が、配列番号:3で表わされるア
ミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜3
0個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ま
しくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ
酸配列、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に1
または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好
ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜
5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番
号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上
(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミ
ノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または
それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパ
ク質である上記(1)記載のタンパク質またはその塩; (38)上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩ま
たは上記(4)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、
試験化合物とを接触させることを特徴とする上記(1
7)記載のリガンドの決定方法;
【0008】(39)(i)上記(1)記載のタンパク
質もしくはその塩または上記(4)記載の部分ペプチド
もしくはその塩と、リガンドとを接触させた場合と、
(ii)上記(1)記載のタンパク質もしくはその塩また
は上記(4)記載の部分ペプチドもしくはその塩と、リ
ガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を
行なうことを特徴とする上記(18)記載のスクリーニ
ング方法; (40)(i)標識したリガンドを上記(1)記載のタ
ンパク質もしくはその塩または上記(4)記載の部分ペ
プチドもしくはその塩に接触させた場合と、(ii)標識
したリガンドおよび試験化合物を上記(1)記載のタン
パク質もしくはその塩または上記(4)記載の部分ペプ
チドもしくはその塩に接触させた場合における、標識し
たリガンドの上記(1)記載のタンパク質もしくはその
塩または上記(4)記載の部分ペプチドもしくはその塩
に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリ
ガンドと上記(1)記載のタンパク質またはその塩との
結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニン
グ方法; (41)(i)標識したリガンドを上記(1)記載のタ
ンパク質を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)標
識したリガンドおよび試験化合物を上記(1)記載のタ
ンパク質を含有する細胞に接触させた場合における、標
識したリガンドの該細胞に対する結合量を測定し、比較
することを特徴とするリガンドと上記(1)記載のタン
パク質またはその塩との結合性を変化させる化合物また
はその塩のスクリーニング方法; (42)(i)標識したリガンドを上記(1)記載のタ
ンパク質を含有する細胞の膜画分に接触させた場合と、
(ii)標識したリガンドおよび試験化合物を上記(1)
記載のタンパク質を含有する細胞の膜画分に接触させた
場合における、標識したリガンドの該細胞の膜画分に対
する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガン
ドと上記(1)記載のタンパク質またはその塩との結合
性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方
法;
【0009】(43)(i)標識したリガンドを上記
(9)記載の形質転換体を培養することによって該形質
転換体の細胞膜に発現した膜貫通型レセプター様タンパ
ク質に接触させた場合と、(ii)標識したリガンドおよ
び試験化合物を上記(9)記載の形質転換体を培養する
ことによって該形質転換体の細胞膜に発現した膜貫通型
レセプター様タンパク質に接触させた場合における、標
識したリガンドの該膜貫通型レセプター様タンパク質に
対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガ
ンドと上記(1)記載のタンパク質またはその塩との結
合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング
方法; (44)(i)上記(1)記載のタンパク質またはその
塩を活性化する化合物を上記(1)記載のタンパク質を
含有する細胞に接触させた場合と、(ii)上記(1)記
載のタンパク質またはその塩を活性化する化合物および
試験化合物を上記(1)記載のタンパク質を含有する細
胞に接触させた場合における、膜貫通型レセプター様タ
ンパク質を介した細胞刺激活性を測定し、比較すること
を特徴とするリガンドと上記(1)記載のタンパク質ま
たはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩
のスクリーニング方法; (45)上記(1)記載のタンパク質またはその塩を活
性化する化合物を上記(9)記載の形質転換体を培養す
ることによって該形質転換体の細胞膜に発現した膜貫通
型レセプター様タンパク質に接触させた場合と、上記
(1)記載のタンパク質またはその塩を活性化する化合
物および試験化合物を上記(9)記載の形質転換体を培
養することによって該形質転換体の細胞膜に発現した膜
貫通型レセプター様タンパク質に接触させた場合におけ
る、膜貫通型レセプター様タンパク質を介する細胞刺激
活性を測定し、比較することを特徴とするリガンドと上
記(1)記載のタンパク質またはその塩との結合性を変
化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法;
【0010】(46)上記(39)〜(45)記載のス
クリーニング方法で得られうるリガンドと上記(1)記
載のタンパク質またはその塩との結合性を変化させる化
合物またはその塩; (47)上記(39)〜上記(45)記載のスクリーニ
ング方法で得られうるリガンドと上記(1)記載のタン
パク質またはその塩との結合性を変化させる化合物また
はその塩を含有することを特徴とする医薬;
【0011】(48)上記(1)記載のタンパク質を含
有する細胞を含有することを特徴とする上記(19)記
載のスクリーニング用キット; (49)上記(1)記載のタンパク質を含有する細胞の
膜画分を含有することを特徴とする上記(19)記載の
スクリーニング用キット; (50)上記(9)記載の形質転換体を培養することに
よって該形質転換体の細胞膜に発現した膜貫通型レセプ
ター様タンパク質を含有することを特徴とする上記(1
9)記載のスクリーニング用キット; (51)上記(48)〜(50)記載のスクリーニング
用キットを用いて得られうる、リガンドと上記(1)記
載のタンパク質またはその塩との結合性を変化させる化
合物またはその塩; (52)上記(48)〜(50)記載のスクリーニング
用キットを用いて得られうる、リガンドと上記(1)記
載のタンパク質またはその塩との結合性を変化させる化
合物またはその塩を含有することを特徴とする医薬; (53)上記(11)記載の抗体と、上記(1)記載の
タンパク質もしくは上記(4)記載の部分ペプチドまた
はその塩とを接触させることを特徴とする上記(1)記
載のタンパク質もしくは上記(4)記載の部分ペプチド
またはその塩の定量法; (54)上記(11)記載の抗体と、被検液および標識
化された上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(4)記載の部分ペプチドまたはその塩とを競合的に反
応させ、該抗体に結合した標識化された上記(1)記載
のタンパク質もしくは上記(4)記載の部分ペプチドま
たはその塩の割合を測定することを特徴とする被検液中
の上記(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)記載
の部分ペプチドまたはその塩の定量法;および (55)被検液と担体上に不溶化した上記(11)記載
の抗体および標識化された上記(11)記載の抗体とを
同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の
標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の上
記(1)記載のタンパク質もしくは上記(4)記載の部
分ペプチドまたはその塩の定量法等を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の膜貫通型レセプター様タ
ンパク質(以下、本発明のレセプタータンパク質と略記
する場合がある)は、配列番号:1もしくは配列番号:
3で表わされるアミノ酸配列(図3,図4)と同一また
は実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプター様
タンパク質である。本発明のレセプタータンパク質は、
例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、モルモッ
ト、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サ
ルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、
グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細
胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細
胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細
胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラル
キラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単
球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細
胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、ま
たはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞な
ど)や血球系の細胞、またはそれらの細胞が存在するあ
らゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭
核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大
脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、
尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎
臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮
膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心
臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、
睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋など
に由来するタンパク質であってもよく、また合成タンパ
ク質であってもよい。
【0013】配列番号:1または配列番号:3で表わさ
れるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列として
は、例えば、配列番号:1または配列番号:3で表わさ
れるアミノ酸配列と約50%以上、好ましくは約60%
以上、より好ましくは約70%以上、さらに好ましくは
約80%以上、なかでも好ましくは約90%以上、最も
好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列
などが挙げられる。本発明の配列番号:1または配列番
号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質としては、例えば、配列
番号:1または配列番号:3表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1また
は配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同
質の活性を有するタンパク質などが好ましい。実質的に
同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグ
ナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質と
は、それらの活性が性質的に同質であることを示す。し
たがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用な
どの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましく
は約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)
であることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパ
ク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。リ
ガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測
定は、公知の方法に準じて行なうことができるが、例え
ば、後に記載するリガンドの決定方法やスクリーニング
方法に従って測定することができる。
【0014】また、本発明のレセプタータンパク質とし
ては、配列番号:1または配列番号:3で表わされる
アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜
30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好
ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミ
ノ酸配列、配列番号:1または配列番号:3で表わさ
れるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1
〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに
好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したア
ミノ酸配列、配列番号:1または配列番号:3で表わ
されるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、
さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他の
アミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを
組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質なども
用いられる。
【0015】本発明のレセプタータンパク質は、ペプチ
ド標記の慣例に従って、左端がN末端(アミノ末端)、
右端がC末端(カルボキシル末端)である。本発明のレ
セプタータンパク質は、C末端がカルボキシル基(−C
OOH)、カルボキシレート(−COO-)、アミド
(−CONH2)またはエステル(−COOR)の何れ
であってもよい。ここでエステルにおけるRとしては、
例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル
もしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、
シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロア
ルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC
6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどの
フェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチ
ルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14
アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用される
ピバロイルオキシメチル基などが用いられる。本発明の
レセプタータンパク質がC末端以外にカルボキシル基
(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボ
キシル基がアミド化またはエステル化されているものも
本発明のレセプタータンパク質に含まれる。この場合の
エステルとしては、例えば上記したC末端のエステルな
どが用いられる。さらに、本発明のレセプタータンパク
質には、上記したタンパク質において、N末端のメチオ
ニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、ア
セチルなどのC2-6アルカノイル基などのC1-6アシル基
など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断さ
れ生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したも
の、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−O
H、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール
基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホル
ミル基、アセチルなどのC2-6アルカノイル基などのC
1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖
鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク
質なども含まれる。本発明のレセプタータンパク質の具
体例としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列を含有するレセプター様タンパク質、または配
列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するレセプ
ター様タンパク質などが用いられる。
【0016】本発明のレセプタータンパク質の部分ペプ
チド(以下、部分ペプチドと略記する場合がある)とし
ては、上記した本発明のレセプタータンパク質の部分ペ
プチドであれば何れのものであってもよいが、例えば、
本発明のレセプタータンパク質分子のうち、細胞膜の外
に露出している部位であって、実質的に同一の活性
(例、リガンド結合活性など)を有するものなどが用い
られる。具体的には、配列番号:1または配列番号:3
で表わされるアミノ酸配列を有するレセプタータンパク
質の部分ペプチドとしては、疎水性プロット解析におい
て細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると
分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性
(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用
いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチ
ドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペ
プチドでもよい。本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数
は、上記した本発明のレセプタータンパク質の構成アミ
ノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50
個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を
有するペプチドなどが好ましい。実質的に同一のアミノ
酸配列とは、これらアミノ酸配列と約50%以上、好ま
しくは約60%以上、より好ましくは約70%以上、さ
らに好ましくは約80%以上、なかでも好ましくは約9
0%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有す
るアミノ酸配列を示す。ここで、「実質的に同質の活
性」とは、上記と同意義を示す。「実質的に同質の活
性」の測定は上記と同様に行なうことができる。
【0017】また、本発明の部分ペプチドは、上記ア
ミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜1
0個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミ
ノ酸が欠失し、上記アミノ酸配列に1または2個以上
(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミ
ノ酸が付加し、または上記アミノ酸配列中の1または
2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましく
は数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が
他のアミノ酸で置換されていてもよい。また、本発明の
部分ペプチドはC末端がカルボキシル基(−COO
H)、カルボキシレート(−COO-)、アミド(−C
ONH2)またはエステル(−COOR)であってもよ
い。また、本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボ
キシル基(またはカルボキシレート)を有している場
合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されて
いるものも本発明の部分ペプチドに含まれる。この場合
のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステル
などが用いられる。さらに、本発明の部分ペプチドに
は、上記した本発明のレセプタータンパク質と同様に、
N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護され
ているもの、N端側が生体内で切断され生成したGln
がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側
鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あ
るいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペ
プチドなども含まれる。本発明のレセプタータンパク質
またはその部分ペプチドの塩としては、酸または塩基と
の生理学的に許容される塩が挙げられ、とりわけ生理学
的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩として
は、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素
酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ
酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、
酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いら
れる。
【0018】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩は、上記したヒトやその他の哺乳動物の細胞または組
織から公知のレセプタータンパク質の精製方法によって
製造することもできるし、後に記載する本発明のレセプ
タータンパク質をコードするDNAを含有する形質転換
体を培養することによっても製造することができる。ま
た、後に記載するタンパク質合成法またはこれに準じて
製造することもできる。ヒトやその他の哺乳動物の組織
または細胞から製造する場合、ヒトやその他の哺乳動物
の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出
を行ない、得られた抽出液を逆相クロマトグラフィー、
イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィ
ーを組み合わせることにより精製単離することができ
る。
【0019】本発明のレセプタータンパク質もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩またはそのアミド体の合成
には、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることが
できる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチ
ル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン
樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジル
アルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹
脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニル
アセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4
−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチ
ル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフ
ェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを
挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミ
ノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的と
するタンパク質の配列通りに、公知の各種縮合方法に従
い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパ
ク質を切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高
希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施
し、目的のタンパク質またはそのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、タンパク質合
成に使用できる各種活性化試薬を用いることができる
が、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類
としては、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジ
イミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロ
リル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる
活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、H
OOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加する
か、または、対称酸無水物またはHOBtエステルある
いはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸
の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0020】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十
分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十
分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチ
ルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化す
ることができる。
【0021】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニ
ル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベン
ジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマン
チルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロ
イル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジ
フェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられ
る。カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシ
ャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シク
ロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの
直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、ア
ラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−
ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステ
ル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエス
テル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカル
ボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニル
ヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護
することができる。セリンの水酸基は、例えば、エステ
ル化またはエーテル化によって保護することができる。
このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル
基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロ
イル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。
また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジ
ル基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などであ
る。チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、
例えば、Bzl、Cl2−Bzl、2−ニトロベンジ
ル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼ
ンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bu
m、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0022】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニ
トロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロ
フェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N
−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕
などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたもの
としては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられ
る。保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd
−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気
流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンス
ルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオ
ロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジ
イソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリ
ジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモ
ニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸
処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温
度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソ
ール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、
パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタン
ジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカ
チオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンの
イミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロ
フェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリ
プトファンのインドール保護基として用いられるホルミ
ル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタ
ンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外
に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによる
アルカリ処理によっても除去される。
【0023】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。タンパク質のアミド体を得る別の
方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸
のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミ
ノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延
ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護
基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の
保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タ
ンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮
合反応の詳細については上記と同様である。縮合により
得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法により
すべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得るこ
とができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を
駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の
タンパク質のアミド体を得ることができる。タンパク質
のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミ
ノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合
しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と
同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ること
ができる。
【0024】本発明のレセプタータンパク質の部分ペプ
チドまたはその塩は、公知のペプチドの合成法に従っ
て、あるいは本発明のレセプタータンパク質を適当なペ
プチダーゼで切断することによって製造することができ
る。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、
液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明
のレセプタータンパク質を構成し得る部分ペプチドもし
くはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基
を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプ
チドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基
の脱離としては、例えば、以下の〜に記載された方
法が挙げられる。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide),
Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成
広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精
製単離することができる。上記方法で得られる部分ペプ
チドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な
塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合
は、公知の方法によって遊離体に変換することができ
る。
【0025】本発明のレセプタータンパク質をコードす
るポリヌクレオチドとしては、上記した本発明のレセプ
タータンパク質をコードする塩基配列(DNAまたはR
NA、好ましくはDNA)を含有するものであればいか
なるものであってもよい。該ポリヌクレオチドとして
は、本発明のレセプタータンパク質をコードするDN
A、mRNA等のRNAであり、二本鎖であっても、一
本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、
二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでも
よい。一本鎖の場合は、センス鎖(すなわち、コード
鎖)であっても、アンチセンス鎖(すなわち、非コード
鎖)であってもよい。本発明のレセプタータンパク質を
コードするポリヌクレオチドを用いて、例えば、公知の
実験医学増刊「新PCRとその応用」15(7)、1997記載
の方法またはそれに準じた方法により、本発明のレセプ
タータンパク質のmRNAを定量することができる。本
発明のレセプタータンパク質をコードするDNAとして
は、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記し
た細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来
のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよ
い。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオフ
ァージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいず
れであってもよい。また、上記した細胞・組織よりto
talRNAまたはmRNA画分を調製したものを用い
て直接 Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reac
tion(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅
することもできる。具体的には、本発明のレセプタータ
ンパク質をコードするDNAとしては、例えば、(1)
配列番号:2で表わされる塩基配列を含有するDNA、
(2)配列番号:2で表わされる塩基配列を有するDN
Aとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
るDNAを含有し、配列番号:1で表されるアミノ酸配
列を含有するレセプター様タンパク質と実質的に同質の
活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用な
ど)を有するタンパク質をコードするDNA、(3)配
列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNA、
(4)配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDN
Aとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
るDNAを含有し、配列番号:3で表されるアミノ酸配
列を含有するレセプター様タンパク質と実質的に同質の
活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用な
ど)を有するタンパク質をコードするDNAであれば何
れのものでもよい。配列番号:2または配列番号:4で
表わされる塩基配列を含有するDNAとハイストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、
例えば、配列番号:2または配列番号:4で表わされる
塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、よ
り好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%
以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが
用いられる。
【0026】ハイブリダイゼーションは、公知の方法あ
るいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クロ
ーニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook e
t al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載
の方法などに従って行なうことができる。また、市販の
ライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載
の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、
ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができ
る。該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナト
リウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜2
0mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜
65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19m
Mで温度が約65℃の場合が最も好ましい。より具体的
には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有す
るレセプター様タンパク質をコードするDNAとして
は、配列番号:2で表わされる塩基配列を含有するDN
Aなどが用いられ、また、配列番号:3で表わされるア
ミノ酸配列を含有するレセプター様タンパク質をコード
するDNAとしては、配列番号:4で表わされる塩基配
列を含有するDNAなどが用いられる。本発明のレセプ
タータンパク質をコードするDNAの塩基配列の一部、
または該DNAと相補的な塩基配列の一部を含有してな
るポリヌクレオチドとは、下記の本発明の部分ペプチド
をコードするDNAを包含するだけではなく、RNAを
も包含する意味で用いられる。本発明に従えば、本発明
のレセプタータンパク質遺伝子の複製または発現を阻害
することのできるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核
酸)を、クローン化した、あるいは決定された本発明の
レセプタータンパク質をコードするDNAの塩基配列情
報に基づき設計し、合成しうる。そうしたポリヌクレオ
チド(核酸)は、本発明のレセプタータンパク質遺伝子
のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの
合成または機能を阻害することができるか、あるいは本
発明のレセプタータンパク質関連RNAとの相互作用を
介して本発明のレセプタータンパク質の発現を調節・制
御することができる。本発明のレセプタータンパク質関
連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチ
ド、および本発明のレセプタータンパク質関連RNAと
特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオ
チドは、生体内および生体外で本発明のレセプタータン
パク質遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、
また病気などの治療または診断に有用である。用語「対
応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列
または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補
的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列また
は核酸とペプチド(タンパク質)との間で「対応する」
とは、ヌクレオチド(核酸)の配列またはその相補体か
ら誘導される指令にあるペプチド(タンパク質)のアミ
ノ酸を通常指している。本発明のレセプタータンパク質
遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア
・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始
コドン、タンパク質コード領域、ORF翻訳終止コド
ン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、お
よび3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選
択しうるが、本発明のレセプタータンパク質遺伝子内の
如何なる領域も対象として選択しうる。
【0027】目的核酸と対象領域の少なくとも一部に相
補的なポリヌクレオチドとの関係、すなわち対象物とハ
イブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関
係は、「アンチセンス」であるということができる。ア
ンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−
リボースを含有しているポリデオキシヌクレオチド、D
−リボースを含有しているポリヌクレオチド、プリンま
たはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタ
イプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格
を有するその他のポリマー(例えば、市販のタンパク質
核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊
な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマー
はDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリン
グや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含
有する)などが挙げられる。それらは、二本鎖DNA、
一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、さらにD
NA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非
修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチ
ド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当
該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたも
の、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチ
ドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾の
されたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホ
ネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カ
ルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または
硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロ
ジチオエートなど)を持つもの、例えばタンパク質(ヌ
クレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、
抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖
(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有し
ているもの、インターカレート化合物(例えば、アクリ
ジン、ソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例
えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金
属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するも
の、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型
の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシ
ド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンお
よびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾された
その他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良
い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピ
リミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あ
るいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾さ
れたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた
糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸
基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、
あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されてい
てよい。
【0028】本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド
(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸
(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例と
しては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そ
してポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミ
ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定さ
れるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のよ
うな方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内で
のアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセ
ンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス
鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし
毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなも
のにする。こうした修飾は当該分野で数多く知られてお
り、例えば J. Kawakami et al.,Pharm Tech Japan, Vo
l. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Cr
ooke et al. ed., Antisense Research and Applicatio
ns, CRC Press, 1993 などに開示がある。本発明のアン
チセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、
塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロス
フェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療
により適用されたり、付加された形態で与えられること
ができうる。こうして付加形態で用いられるものとして
は、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジ
ンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高め
たり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例え
ば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水
性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質として
は、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリ
ルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こ
うしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させ
ることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介
して付着させることができうる。その他の基としては、
核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャ
ップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどの
ヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げら
れる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコー
ルをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が
挙げられるが、それに限定されるものではない。アンチ
センス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明
の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいは本発明のレ
セプタータンパク質の生体内や生体外の翻訳系を用いて
調べることができる。該核酸は公知の各種の方法で細胞
に適用できる。
【0029】本発明の部分ペプチドをコードするDNA
としては、上記した本発明の部分ペプチドをコードする
塩基配列を含有するものであればいかなるものであって
もよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、上記した細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バク
テリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミド
などいずれであってもよい。また、上記した細胞・組織
よりmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse
TranscriptasePolymerase Chain Reaction(以下、R
T−PCR法と略称する)によって増幅することもでき
る。具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするD
NAとしては、例えば、(1)配列番号:2または配列
番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAの部分
塩基配列を有するDNA、または(2)配列番号:2ま
たは配列番号:4で表わされるDNAとハイストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズするDNAを有し、配
列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列
を含有するレセプター様タンパク質と実質的に同質の活
性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用な
ど)を有するタンパク質をコードするDNAの部分塩基
配列を含有するDNAなどが用いられる。配列番号:2
または配列番号:4で表わされるDNAとハイストリン
ジェントな条件でハイブリダイズするDNAとしては、
例えば、配列番号:2または配列番号:4で表わされる
塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、よ
り好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%
以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが
用いられる。
【0030】本発明のレセプタータンパク質またはその
部分ペプチド(以下、本発明のレセプタータンパク質と
略記する場合がある)を完全にコードするDNAのクロ
ーニングの手段としては、本発明のペプチドをコードす
るDNAの塩基配列の部分塩基配列を有する合成DNA
プライマーを用いてPCR法によって増幅するか、また
は適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のレセプ
タータンパク質の一部あるいは全領域をコードするDN
A断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハ
イブリダイゼーションによって選別することができる。
ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラ
ー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sa
mbrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 198
9)に記載の方法などに従って行なうことができる。ま
た、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説
明書に記載の方法に従って行なうことができる。
【0031】DNAの塩基配列の置換は、PCRや公知
のキット、例えば、MutanTM−super Exp
ress Km(宝酒造)、MutanTM−K(宝酒
造)等を用いて、ODA−LA PCR法、Gappe
d duplex法、Kunkel法等の公知の方法あ
るいはそれらに準じる方法に従って行なうことができ
る。クローン化されたレセプタータンパク質をコードす
るDNAは目的によりそのまま、または所望により制限
酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用する
ことができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コ
ドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終
止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有して
いてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドン
は、適当な合成DNAアダプターを用いて付加すること
もできる。本発明のレセプタータンパク質の発現ベクタ
ーは、例えば、(イ)本発明のレセプタータンパク質を
コードするDNAを含有するDNA(例えば、cDN
A)から目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該D
NA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流
に連結することにより製造することができる。
【0032】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pCR4、pCR2.1、pBR322、pB
R325、pUC12、pUC13)、枯草菌由来のプ
ラスミド(例、pUB110、pTP5、pC19
4)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH1
5)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウ
イルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどの
動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pR
c/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoな
どが用いられる。本発明で用いられるプロモーターとし
ては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロ
モーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物
細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、
SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプ
ロモーター、HSV−TKプロモーターなどが挙げられ
る。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である
場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモータ
ー、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合
は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GA
Pプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。
宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモータ
ー、P10プロモーターなどが好ましい。
【0033】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr-)細胞
を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する
場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても
選択できる。また、必要に応じて、宿主に合ったシグナ
ル配列を、本発明のレセプタータンパク質のN端末側に
付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、Ph
oA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、
宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シ
グナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主
が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2
・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、
インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・
シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ
利用できる。このようにして構築された本発明のレセプ
タータンパク質をコードするDNAを含有するベクター
を用いて、形質転換体を製造することができる。
【0034】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH
1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1
968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リ
サーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309
(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキ
ュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biolog
y)〕,120巻,517(1978)〕,HB101
〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,4
1巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティック
ス(Genetics),39巻,440(1954)〕,DH5
α〔Inoue,H.,Nojima,H.and Okayama,H.,Gene,96,23-2
8(1990)〕,DH10B〔プロシージングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オ
ブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),87巻,4645−4649(1990)〕などが
用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス
・ズブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジー
ン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャ
ーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Bioch
emistry),95巻,87(1984)〕などが用いられ
る。酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セレビ
シェ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22
-,NA87−11A,DKD−5D、20B−1
2、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomy
ces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ
キア・パストリス(Pichia pastoris)などが用いられ
る。
【0035】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、ヨトウガの幼虫由来株化細胞(Spod
optera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia n
iの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来の
High FiveTM 細胞、Mamestra brassicae由来の細胞また
はEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイ
ルスがBmNPVの場合は、カイコ由来株化細胞(Bomb
yx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細
胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、S
f21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In
Vivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫
としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前
田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(19
85)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS
−7、Vero、チャイニーズハムスター細胞CHO
(以下、CHO細胞と略記)、dhfr遺伝子欠損チャ
イニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記)、マウスL細胞,マウスAtT−2
0、マウスミエローマ細胞、ラットGH3、ヒトFL細
胞などが用いられる。
【0036】エシェリヒア属菌を形質転換するには、例
えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110
(1972)やジーン(Gene),17巻,107(198
2)などに記載の方法に従って行なうことができる。バ
チルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー
・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular
& General Genetics),168巻,111(1979)
などに記載の方法に従って行なうことができる。酵母を
形質転換するには、例えば、メッソズ・イン・エンザイ
モロジー(Methods in Enzymology),194巻,18
2−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オ
ブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),75巻,1929(1978)などに記載の方法に
従って行なうことができる。昆虫細胞または昆虫を形質
転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Te
chnology), 6, 47-55(1988))などに記載の方法に従っ
て行なうことができる。動物細胞を形質転換するには、
例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験プロトコール.
263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロ
ジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の
方法に従って行なうことができる。このようにして、本
発明のレセプタータンパク質をコードするDNAを含有
する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られ
る。宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質
転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液
体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に
必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられ
る。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリ
ン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例え
ば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リ
カー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイ
ショ抽出液などの無機または有機物質、無機物として
は、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウ
ム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エ
キス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよ
い。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0037】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエ
ー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505
(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地
〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),
81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地の
pHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約
20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じ
て通気や撹拌を加える。
【0038】宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換
体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Mediu
m(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(196
2))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加え
たものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.
4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3
〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。宿
主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地とし
ては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM
培地〔サイエンス(Science),122巻,501(19
52)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),
8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地
〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・ア
ソシエーション(The Journal of the American Medica
l Association)199巻,519(1967)〕,19
9培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フ
ォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding o
fthe Society for the Biological Medicine),73
巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8
であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約
15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加え
る。以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜ま
たは細胞外に本発明のレセプタータンパク質を生成せし
めることができる。
【0039】上記培養物から本発明のレセプタータンパ
ク質を分離精製するには、例えば、下記の方法により行
なうことができる。本発明のレセプタータンパク質を培
養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、
公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩
衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結
融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠
心分離やろ過によりレセプタータンパク質の粗抽出液を
得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩
酸グアニジンなどのタンパク質変性剤や、トリトンX−
100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養
液中にレセプタータンパク質が分泌される場合には、培
養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分
離し、上清を集める。このようにして得られた培養上
清、あるいは抽出液中に含まれるレセプタータンパク質
の精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行
なうことができる。これらの公知の分離、精製法として
は、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透
析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差
を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの
荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラ
フィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液
体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方
法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法
などが用いられる。
【0040】このようにして得られるレセプタータンパ
ク質が遊離体で得られた場合には、公知の方法あるいは
それに準じる方法によって塩に変換することができ、逆
に塩で得られた場合には公知の方法あるいはそれに準じ
る方法により、遊離体または他の塩に変換することがで
きる。なお、組換え体が産生するレセプタータンパク質
を、精製前または精製後に適当なタンパク質修飾酵素を
作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペ
プチドを部分的に除去することもできる。タンパク質修
飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシ
ン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナー
ゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。このようにして
生成する本発明のレセプタータンパク質またはその塩の
活性は、標識したリガンドとの結合実験および特異抗体
を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定する
ことができる。
【0041】本発明のレセプタータンパク質もしくはそ
の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体は、本発明の
レセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまたは
その塩を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗
体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。本発明
のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまた
はその塩(以下、本発明のレセプタータンパク質等と略
記する場合がある)に対する抗体は、本発明のレセプタ
ータンパク質等を抗原として用い、公知の抗体または抗
血清の製造法に従って製造することができる。
【0042】〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクローナル抗体産生細胞の作製 本発明のレセプタータンパク質等は、哺乳動物に対して
投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担
体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生
能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全
フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常
2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。
用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、
イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙
げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられ
る。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗
原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の
認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓ま
たはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞
を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル
抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血
清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプタ
ータンパク質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結
合した標識剤の活性を測定することにより行なうことが
できる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミ
ルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、
495頁(1975年)〕に従い実施することができ
る。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコ
ール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられる
が、好ましくはPEGが用いられる。骨髄腫細胞として
は、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙
げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられ
る抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ま
しい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ま
しくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜8
0%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましく
は約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートする
ことにより効率よく細胞融合を実施できる。
【0043】モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの
スクリーニングには種々の方法が使用できるが、例え
ば、レセプタータンパク質等の抗原を直接あるいは担体
とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハ
イブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素
などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用い
られる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗
体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロ
ブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイ
ブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで
標識したレセプタータンパク質等を加え、固相に結合し
たモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられ
る。モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに
準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHA
T(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添
加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別
および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育でき
るものならばどのような培地を用いても良い。例えば、
1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含
むRPMI1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含
むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリド
ーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0044】(b)モノクローナル抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナ
ル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法
〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気
泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着
法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテ
インAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗
体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精
製法〕に従って行なうことができる。
【0045】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に
したがって製造することができる。例えば、免疫抗原
(本発明のタンパク質等の抗原)とキャリアータンパク
質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製
造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から
本発明のレセプタータンパク質等に対する抗体含有物を
採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造でき
る。哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキ
ャリアータンパク質との複合体に関し、キャリアータン
パク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比
は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して
抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率
で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、
ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモ
シアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜2
0、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用
いられる。また、ハプテンとキャリアーのカプリングに
は、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルア
ルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、
チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル
試薬等が用いられる。縮合生成物は、温血動物に対し
て、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希
釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高
めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイ
ントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2
〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことが
できる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫され
た哺乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取
することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の
測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定
できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノ
クローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分
離精製法に従って行なうことができる。
【0046】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩、その部分ペプチドまたはその塩、および本発明のレ
セプタータンパク質またはその部分ペプチドをコードす
るDNAは、(1)本発明のレセプタータンパク質に対
するリガンド(アゴニスト)の決定、(2)本発明のレ
セプタータンパク質の機能不全に関連する疾患の予防お
よび/または治療剤、(3)遺伝子診断剤、(4)本発
明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチドの発
現量を変化させる化合物のスクリーニング方法、(5)
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド
の発現量を変化させる化合物を含有する各種疾病の予防
および/または治療剤、(6)本発明のレセプタータン
パク質に対するリガンドの定量法、(7)本発明のレセ
プタータンパク質とリガンドとの結合性を変化させる化
合物(アゴニスト、アンタゴニストなど)のスクリーニ
ング方法、(8)本発明のレセプタータンパク質とリガ
ンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アン
タゴニスト)を含有する各種疾病の予防および/または
治療剤、(9)本発明のレセプタータンパク質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩の定量、(10)細胞膜
における本発明のレセプタータンパク質またはその部分
ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニング方
法、(11)細胞膜における本発明のレセプタータンパ
ク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物を
含有する各種疾病の予防および/または治療剤、(1
2)本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペ
プチドまたはその塩に対する抗体による中和、(13)
本発明のレセプタータンパク質をコードするDNAを有
する非ヒト動物の作製などに用いることができる。特
に、本発明の組換え型レセプタータンパク質の発現系を
用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによっ
て、ヒトや哺乳動物に特異的な本発明のレセプタータン
パク質に対するリガンドの結合性を変化させる化合物
(例、アゴニスト、アンタゴニストなど)をスクリーニ
ングすることができ、該アゴニストまたはアンタゴニス
トを各種疾病の予防・治療剤などとして使用することが
できる。本発明のレセプタータンパク質もしくは部分ペ
プチドまたはその塩(以下、本発明のレセプタータンパ
ク質等と略記する場合がある)、本発明のレセプタータ
ンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNA
(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)および
本発明のレセプタータンパク質等に対する抗体(以下、
本発明の抗体と略記する場合がある)の用途について、
以下に具体的に説明する。
【0047】(1)本発明のレセプタータンパク質に対
するリガンド(アゴニスト)の決定本発明のレセプター
タンパク質もしくはその塩または本発明の部分ペプチド
もしくはその塩は、本発明のレセプタータンパク質また
はその塩に対するリガンド(アゴニスト)を探索し、ま
たは決定するための試薬として有用である。すなわち、
本発明は、本発明のレセプタータンパク質もしくはその
塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩と、試験
化合物とを接触させることを特徴とする本発明のレセプ
タータンパク質に対するリガンドの決定方法を提供す
る。試験化合物としては、公知のリガンドの他に、例え
ば、ヒトまたはその他の哺乳動物(例えば、マウス、ラ
ット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の組織抽出物、
細胞培養上清などが用いられる。例えば、該組織抽出
物、細胞培養上清などを本発明のレセプタータンパク質
に添加し、細胞刺激活性などを測定しながら分画し、最
終的に単一のリガンドを得ることができる。
【0048】具体的には、本発明のリガンド決定方法
は、本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペ
プチドもしくはその塩を用いるか、または組換え型レセ
プタータンパク質の発現系を構築し、該発現系を用いた
レセプター結合アッセイ系を用いることによって、本発
明のレセプタータンパク質に結合して細胞刺激活性(例
えば、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、細胞
内タンパク質のリン酸化などを促進または抑制する活
性)を有する化合物(例えば、ペプチド、タンパク質、
非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)ま
たはその塩を決定する方法である。本発明のリガンド決
定方法においては、本発明のレセプタータンパク質また
はその部分ペプチドと試験化合物とを接触させた場合
の、例えば、該レセプタータンパク質または該部分ペプ
チドに対する試験化合物の結合量や、細胞刺激活性など
を測定することを特徴とする。
【0049】より具体的には、本発明は、 標識した試験化合物を、本発明のレセプタータンパク
質もしくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくは
その塩に接触させた場合における、標識した試験化合物
の該タンパク質もしくはその塩、または該部分ペプチド
もしくはその塩に対する結合量を測定することを特徴と
する本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対す
るリガンドの決定方法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプタータンパク
質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場
合における、標識した試験化合物の該細胞または該膜画
分に対する結合量を測定することを特徴とする本発明の
レセプタータンパク質またはその塩に対するリガンドの
決定方法、 標識した試験化合物を、本発明のレセプタータンパク
質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養する
ことによって細胞膜上に発現した該レセプタータンパク
質に接触させた場合における、標識した試験化合物の該
レセプタータンパク質またはその塩に対する結合量を測
定することを特徴とする本発明のレセプタータンパク質
に対するリガンドの決定方法、
【0050】試験化合物を、本発明のレセプタータン
パク質を含有する細胞に接触させた場合における、レセ
プタータンパク質を介した細胞刺激活性(例えば、細胞
内cAMP生成、細胞内cGMP生成、細胞内タンパク
質のリン酸化などを促進または抑制する活性など)を測
定することを特徴とする本発明のレセプタータンパク質
またはその塩に対するリガンドの決定方法、および 試験化合物を、本発明のレセプタータンパク質をコー
ドするDNAを含有する形質転換体を培養することによ
って細胞膜上に発現した該レセプタータンパク質に接触
させた場合における、レセプタータンパク質を介する細
胞刺激活性(例えば、細胞内cAMP生成、細胞内cG
MP生成、細胞内タンパク質のリン酸化などを促進また
は抑制する活性など)を測定することを特徴とする本発
明のレセプタータンパク質またはその塩に対するリガン
ドの決定方法を提供する。特に、上記〜の試験を行
ない、試験化合物が本発明のレセプタータンパク質に結
合することを確認した後に、上記〜の試験を行なう
ことが好ましい。
【0051】まず、リガンド決定方法に用いるレセプタ
ータンパク質としては、上記した本発明のレセプタータ
ンパク質または本発明の部分ペプチドを含有するもので
あれば何れのものであってもよいが、動物細胞を用いて
大量発現させたレセプタータンパク質が適している。本
発明のレセプタータンパク質を製造するには、上記の発
現方法が用いられるが、該レセプタータンパク質をコー
ドするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現すること
により行なうことが好ましい。目的とするタンパク質部
分をコードするDNA断片には、通常、cDNAが用い
られるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例
えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。本発明
のレセプタータンパク質をコードするDNA断片を宿主
動物細胞に導入し、それらを効率よく発現させるために
は、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキュロウイルス
に属する核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis v
irus;NPV)のポリヘドリンプロモーター、SV40
由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、
メタロチオネインプロモーター、ヒトヒートショックプ
ロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SR
αプロモーターなどの下流に組み込むのが好ましい。発
現したレセプターの量と質の検査は公知の方法で行うこ
とができる。例えば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol.
Chem.),267巻,19555〜19559頁,19
92年〕に記載の方法に従って行うことができる。
【0052】したがって、本発明のリガンド決定方法に
おいて、本発明のレセプタータンパク質もしくはその部
分ペプチドまたはその塩を含有するものとしては、公知
の方法に従って精製したレセプタータンパク質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩であってもよいし、該レ
セプタータンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画
分を用いてもよい。本発明のリガンド決定方法におい
て、本発明のレセプタータンパク質を含有する細胞を用
いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンな
どで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従っ
て行なうことができる。本発明のレセプタータンパク質
を含有する細胞としては、本発明のレセプタータンパク
質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、
大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用い
られる。細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、公知
の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをい
う。細胞の破砕方法としては、Potter−Elve
hjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワー
リングブレンダーやポリトロン(Kinematica
社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレス
などで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させるこ
とによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分
画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による
分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低
速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、
約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(1500
0rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠
心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、
発現したレセプタータンパク質と細胞由来のリン脂質や
膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。
【0053】該レセプタータンパク質を含有する細胞や
その膜画分中のレセプタータンパク質の量は、1細胞当
たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜1
7分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほ
ど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くな
り、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばか
りでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるように
なる。本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対
するリガンドを決定する上記の〜の方法を実施する
ためには、適当なレセプタータンパク質画分と、標識し
た試験化合物が必要である。レセプタータンパク質画分
としては、天然型のレセプタータンパク質画分か、また
はそれと同等の活性を有する組換え型レセプター画分な
どが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガン
ド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。試験化
合物の標識には、例えば[3H]、[125I]、
14C]、[35S]などの放射性同位元素が好ましく用
いられる。
【0054】具体的には、本発明のレセプタータンパク
質またはその塩に対するリガンドの決定方法を行なうに
は、まず本発明のレセプタータンパク質を含有する細胞
または細胞の膜画分を、決定方法に適したバッファーに
懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッフ
ァーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリ
ン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガン
ドとレセプタータンパク質との結合を阻害しないバッフ
ァーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低
減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花
王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなど
の界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各
種タンパク質をバッファーに加えることもできる。さら
に、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を
抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプ
チド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害
剤を添加してもよい。0.01ml〜10mlの該レセ
プター溶液に、一定量(5000cpm〜500000
cpm)の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕な
どで標識した試験化合物を共存させる。非特異的結合量
(NSB)を知るために大過剰の未標識の試験化合物を
加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃〜50
℃、望ましくは約4℃〜37℃で、約20分〜24時
間、望ましくは約30分〜3時間行なう。反応後、ガラ
ス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した
後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレ
ーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測す
る。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引
いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験化
合物を本発明のレセプタータンパク質またはその塩に対
するリガンド(アゴニスト)として選択することができ
る。
【0055】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩に対するリガンドを決定する上記の〜の方法を実
施するためには、該レセプタータンパク質を介する細胞
刺激活性(例えば、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、細胞内タンパク質のリン酸化などを促進または
抑制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キ
ットを用いて測定することができる。具体的には、ま
ず、本発明のレセプタータンパク質を含有する細胞をマ
ルチウェルプレート等に培養する。リガンド決定を行な
うにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性
を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物など
を添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出
あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの
方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質
の生成(例えば、細胞内cAMP生成など)が、細胞が
含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵
素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよ
い。また、cAMP産生抑制などの活性については、フ
ォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させてお
いた細胞に対する産生抑制作用として検出することがで
きる。
【0056】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩に結合するリガンド決定用キットは、本発明のレセプ
タータンパク質もしくはその塩、本発明の部分ペプチド
もしくはその塩、本発明のレセプタータンパク質を含有
する細胞、または本発明のレセプタータンパク質を含有
する細胞の膜画分などを含有するものである。本発明の
リガンド決定用キットの例としては、次のものが挙げら
れる。 1.リガンド決定用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 本発明のレセプタータンパク質標品 本発明のレセプタータンパク質を発現させたCHO細胞
を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37
℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識試験化合物 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識した化合物、または適当な方法で標識化したもの水
溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、
用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。水に難溶性
を示す試験化合物については、ジメチルホルムアミド、
DMSO、メタノール等に溶解する。 非標識試験化合物 標識化合物と同じものを100〜1000倍濃い濃度に
調製する。
【0057】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プタータンパク質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1m
lで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴
に加える。 標識試験化合物を5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには非標識試験化合物
を5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識試験化合物を0.2N NaO
H−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーター
A(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定する。
【0058】本発明のレセプタータンパク質またはその
塩に結合することができるリガンドとしては、例えば、
肺、白血球、精巣、脾臓などに特異的に存在する物質な
どが挙げられる。
【0059】(2)本発明のレセプタータンパク質の機
能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤 上記(1)の方法において、本発明のレセプタータンパ
ク質に対するリガンドが明らかになれば、該リガンドが
有する作用に応じて、本発明のレセプタータンパク質
または該レセプタータンパク質をコードするDNA
を、本発明のレセプタータンパク質の機能不全に関連す
る疾患の予防および/または治療剤などの医薬として使
用することができる。例えば、生体内において本発明の
レセプタータンパク質が減少しているためにリガンドの
生理作用が期待できない(該レセプタータンパク質の欠
乏症)患者がいる場合に、本発明のレセプタータンパ
ク質を該患者に投与し該レセプタータンパク質の量を補
充したり、(イ)本発明のレセプタータンパク質をコ
ードするDNAを該患者に投与し発現させることによっ
て、あるいは(ロ)対象となる細胞に本発明のレセプタ
ータンパク質をコードするDNAを挿入し発現させた後
に、該細胞を該患者に移植することなどによって、患者
の体内におけるレセプタータンパク質の量を増加させ、
リガンドの作用を充分に発揮させることができる。すな
わち、本発明のレセプタータンパク質をコードするDN
Aは、安全で低毒性な本発明のレセプタータンパク質の
機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤と
して有用である。本発明のレセプタータンパク質は、G
タンパク質共役型レセプタータンパク質であるα 1a
−アドレノセプター isomer 3〔ブリティッシュ
・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Br. J. Pharm
acol.), 129(8),1569−1576(200
0)〕にアミノ酸配列レベルで、約30%の相同性が認
められる新規膜貫通型レセプター様タンパク質である。
本発明のレセプタータンパク質または該レセプタータン
パク質をコードするDNAは、例えば、感染症(例え
ば、免疫機能不全、肺炎、インフルエンザなど)、中枢
疾患(例えば、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害な
ど)、内分泌疾患(例えば、高血圧症、性腺機能異常、甲
状腺機能異常、下垂体機能異常など)、代謝疾患(例え
ば、糖尿病、脂質代謝異常、高脂血症など)、癌(例え
ば、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、胃癌、膀胱癌、
乳癌、子宮頸部癌、結腸癌、直腸癌など)、心疾患(例
えば、狭心症、心筋梗塞など)、呼吸器系疾患(例え
ば、気道閉塞性疾患、感染性肺疾患など)、消化器系疾
患(例えば、潰瘍、ポリポーシスなど)、免疫系疾患
(例えば、全身性エリテマトーデス、リウマチ性疾患な
ど)などの予防および/または治療に有用である。本発
明のレセプタータンパク質を上記予防・治療剤として使
用する場合は、常套手段に従って製剤化することができ
る。一方、本発明のレセプタータンパク質をコードする
DNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)
を上記予防・治療剤として使用する場合は、本発明のD
NAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウ
イルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイ
ルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套
手段に従って実施することができる。本発明のDNA
は、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤とと
もに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテ
ーテルによって投与できる。例えば、本発明のレセプ
タータンパク質または該レセプタータンパク質をコー
ドするDNAは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプ
セル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして
経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容
し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤
の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のレセ
プタータンパク質または該レセプタータンパク質をコ
ードするDNAを生理学的に認められる公知の担体、香
味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤など
とともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用
量形態で混和することによって製造することができる。
これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当
な用量が得られるようにするものである。
【0060】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0061】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳
動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。本発明のレセプタータンパク質の投与量
は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差
異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、感染症
患者(60kgとして)においては、一日につき約0.
1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、
より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に
投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓
器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、
注射剤の形では通常例えば、感染症患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。本発明のDNAの
投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
より差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、
感染症患者(60kgとして)においては、一日につき
約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50
mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経
口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対
象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例え
ば、注射剤の形では通常例えば、感染症患者(60kg
として)においては、一日につき約0.01〜30mg
程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好まし
くは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与する
のが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たり
に換算した量を投与することができる。
【0062】(3)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、プローブとして使用することによ
り、ヒトまたはその他の哺乳動物(例えば、ラット、マ
ウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル
など)における本発明のレセプタータンパク質またはそ
の部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異
常(遺伝子異常)を検出することができるので、例え
ば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは
発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発
現過多などの遺伝子診断剤として有用である。本発明の
DNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、公知のノ
ーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法
(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879
頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナシ
ョナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユ
ーエスエー(Proceedings of theNational Academy of
Sciences of the United States of America),第86
巻,2766〜2770頁(1989年))などにより
実施することができる。
【0063】(4)本発明のレセプタータンパク質また
はその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスク
リーニング方法 本発明のDNAは、プローブとして用いることにより、
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド
の発現量を変化させる化合物のスクリーニングに用いる
ことができる。すなわち、本発明は、例えば、(i)非
ヒト哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離
した組織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含
まれる本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペ
プチドのmRNA量を測定することによる、本発明のレ
セプタータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を
変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
【0064】本発明のレセプタータンパク質またはその
部分ペプチドのmRNA量の測定は具体的には以下のよ
うにして行なう。(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト
哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、
ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴
呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスな
ど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、
抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例え
ば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)な
どを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定
の臓器(例えば、肺、精巣、脾臓、脳、肺、大腸な
ど)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得
る。得られた細胞に含まれる本発明のレセプタータンパ
ク質またはその部分ペプチドのmRNAは、例えば、通
常の方法により細胞等からmRNAを抽出し、例えば、
TaqManPCRなどの手法を用いることにより定量
することができ、公知の手段によりノザンブロットを行
うことにより解析することもできる。(ii)本発明のレ
セプタータンパク質もしくはその部分ペプチドを発現す
る形質転換体を上記の方法に従い作製し、該形質転換体
に含まれる本発明のレセプタータンパク質またはその部
分ペプチドのmRNAを同様にして定量、解析すること
ができる。
【0065】本発明のレセプタータンパク質またはその
部分ペプチドの発現量を変化させる化合物のスクリーニ
ングは、(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物
に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一
定時間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前
〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)も
しくは一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時
間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間
後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検
化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3
日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1
時間後〜24時間後)、細胞に含まれる本発明のレセプ
タータンパク質またはその部分ペプチドのmRNA量を
定量、解析することにより行なうことができ、(ii)
形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地
中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ま
しくは1日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日
後)、該形質転換体に含まれる本発明のレセプタータン
パク質またはその部分ペプチドのmRNA量を定量、解
析することにより行なうことができる。
【0066】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩は、本発明のレセプタータンパ
ク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる作用
を有する化合物であり、具体的には、(イ)本発明のレ
セプタータンパク質またはその部分ペプチドの発現量を
増加させることにより、本発明のレセプタータンパク質
を介する細胞刺激活性(例えば、細胞内cAMP生成、
細胞内cGMP生成、細胞内タンパク質のリン酸化など
を促進または抑制する活性など)を増強させる化合物、
(ロ)本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペ
プチドの発現量を減少させることにより、該細胞刺激活
性を減弱させる化合物である。該化合物としては、ペプ
チド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、
発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合
物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。該
細胞刺激活性を増強させる化合物は、本発明のレセプタ
ータンパク質等の生理活性を増強するための安全で低毒
性な医薬として有用である。該細胞刺激活性を減弱させ
る化合物は、本発明のレセプタータンパク質等の生理活
性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用で
ある。
【0067】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場
合、常套手段に従って実施することができる。例えば、
上記した本発明のレセプタータンパク質を含有する医薬
と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイ
クロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすること
ができる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性
であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例え
ば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓
器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与
の場合、一般的に、例えば、感染症患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.1〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1
回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
よっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例え
ば、感染症患者(60kgとして)においては、一日に
つき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜
20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度
を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0068】(5)本発明のレセプタータンパク質また
はその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物を含有
する各種疾病の予防および/または治療剤 本発明のレセプタータンパク質は上記のとおり、例え
ば、免疫機能など生体内で何らかの重要な役割を果たし
ていると考えられる。したがって、本発明のレセプター
タンパク質またはその部分ペプチドの発現量を変化させ
る化合物は、本発明のレセプタータンパク質の機能不全
に関連する疾患の予防および/または治療剤として用い
ることができる。該化合物を本発明のレセプタータンパ
ク質の機能不全に関連する疾患の予防および/または治
療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化す
ることができる。例えば、該化合物は、必要に応じて糖
衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロ
カプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそ
れ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または
懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例
えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香
味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤など
とともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用
量形態で混和することによって製造することができる。
これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当
な用量が得られるようにするものである。
【0069】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0070】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳
動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。該化合物またはその塩の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、感染症患者(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常例えば、感染症患者(60kgとして)において
は、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0071】(6)本発明のレセプタータンパク質に対
するリガンドの定量法 本発明のレセプタータンパク質等は、リガンドに対して
結合性を有しているので、生体内におけるリガンド濃度
を感度良く定量することができる。本発明の定量法は、
例えば、競合法と組み合わせることによって用いること
ができる。すなわち、被検体を本発明のレセプタータン
パク質等と接触させることによって被検体中のリガンド
濃度を測定することができる。具体的には、例えば、以
下のまたはなどに記載の方法あるいはそれに準じる
方法に従って用いることができる。 入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和4
9年発行) 入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和
54年発行)
【0072】(7)本発明のレセプタータンパク質とリ
ガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、ア
ンタゴニストなど)のスクリーニング方法 本発明のレセプタータンパク質等を用いるか、または組
換え型レセプタータンパク質等の発現系を構築し、該発
現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることに
よって、リガンドと本発明のレセプタータンパク質等と
の結合性を変化させる化合物(例えば、ペプチド、タン
パク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物
など)またはその塩を効率よくスクリーニングすること
ができる。このような化合物には、(イ)本発明のレセ
プタータンパク質を介して細胞刺激活性(例えば、細胞
内cAMP生成、細胞内cGMP生成、細胞内タンパク
質のリン酸化などを促進または抑制する活性など)を有
する化合物(いわゆるアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激
活性を有しない化合物(いわゆるアンタゴニスト)、
(ハ)リガンドと本発明のレセプタータンパク質との結
合力を増強する化合物、あるいは(ニ)リガンドと本発
明のレセプタータンパク質との結合力を減少させる化合
物などが含まれる(なお、上記(イ)の化合物は、上記
したリガンド決定方法によってスクリーニングすること
が好ましい)。すなわち、本発明は、(i)本発明のレ
セプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまたはそ
の塩と、リガンドとを接触させた場合と(ii)本発明
のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドまた
はその塩と、リガンドおよび試験化合物とを接触させた
場合との比較を行なうことを特徴とするリガンドと本発
明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチドま
たはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩
のスクリーニング方法を提供する。本発明のスクリーニ
ング方法においては、(i)と(ii)の場合におけ
る、例えば、該レセプタータンパク質等に対するリガン
ドの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較するこ
とを特徴とする。
【0073】より具体的には、本発明は、 標識したリガンドを、本発明のレセプタータンパク質
等に接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化
合物を本発明のレセプタータンパク質等に接触させた場
合における、標識したリガンドの該レセプタータンパク
質等に対する結合量を測定し、比較することを特徴とす
るリガンドと本発明のレセプタータンパク質等との結合
性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方
法、 標識したリガンドを、本発明のレセプタータンパク質
等を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場
合と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のレ
セプタータンパク質等を含有する細胞または該細胞の膜
画分に接触させた場合における、標識したリガンドの該
細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較する
ことを特徴とするリガンドと本発明のレセプタータンパ
ク質等との結合性を変化させる化合物またはその塩のス
クリーニング方法、 標識したリガンドを、本発明のDNAを含有する形質
転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセ
プタータンパク質等に接触させた場合と、標識したリガ
ンドおよび試験化合物を本発明のDNAを含有する形質
転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発
明のレセプタータンパク質等に接触させた場合におけ
る、標識したリガンドの該レセプタータンパク質等に対
する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガン
ドと本発明のレセプタータンパク質等との結合性を変化
させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0074】本発明のレセプタータンパク質等を活性
化する化合物(例えば、本発明のレセプタータンパク質
等に対するリガンドなど)を本発明のレセプタータンパ
ク質等を含有する細胞に接触させた場合と、本発明のレ
セプタータンパク質等を活性化する化合物および試験化
合物を本発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞
に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺
激活性(例えば、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、細胞内タンパク質のリン酸化などを促進または抑
制する活性など)を測定し、比較することを特徴とする
リガンドと本発明のレセプタータンパク質等との結合性
を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方
法、および 本発明のレセプタータンパク質等を活性化する化合物
(例えば、本発明のレセプタータンパク質等に対するリ
ガンドなど)を本発明のDNAを含有する形質転換体を
培養することによって細胞膜上に発現した本発明のレセ
プタータンパク質等に接触させた場合と、本発明のレセ
プタータンパク質等を活性化する化合物および試験化合
物を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養するこ
とによって細胞膜上に発現した本発明のレセプタータン
パク質等に接触させた場合における、レセプターを介す
る細胞刺激活性(例えば、細胞内cAMP生成、細胞内
cGMP生成、細胞内タンパク質のリン酸化などを促進
または抑制する活性など)を測定し、比較することを特
徴とするリガンドと本発明のレセプタータンパク質等と
の結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニ
ング方法を提供する。
【0075】本発明のレセプタータンパク質等が得られ
る以前は、膜貫通型レセプタータンパク質アゴニストま
たはアンタゴニストをスクリーニングする場合、まずラ
ットなどの膜貫通型レセプタータンパク質を含む細胞、
組織またはその細胞膜画分を用いて候補化合物を得て
(一次スクリーニング)、その後に該候補化合物が実際
にヒトの膜貫通型レセプタータンパク質とリガンドとの
結合を阻害するか否かを確認する試験(二次スクリーニ
ング)が必要であった。細胞、組織または細胞膜画分を
そのまま用いれば他のレセプタータンパク質も混在する
ために、目的とするレセプタータンパク質に対するアゴ
ニストまたはアンタゴニストを実際にスクリーニングす
ることは困難であった。しかしながら、例えば、本発明
のレセプタータンパク質を用いることによって、一次ス
クリーニングの必要がなくなり、リガンドと該レセプタ
ータンパク質との結合を阻害する化合物を効率良くスク
リーニングすることができる。さらに、スクリーニング
された化合物がアゴニストかアンタゴニストかを簡便に
評価することができる。本発明のスクリーニング方法の
具体的な説明を以下にする。まず、本発明のスクリーニ
ング方法に用いる本発明のレセプタータンパク質等とし
ては、上記した本発明のレセプタータンパク質等を含有
するものであれば何れのものであってもよいが、本発明
のレセプタータンパク質等を含有する哺乳動物の臓器の
細胞膜画分が好適である。しかし、特にヒト由来の臓器
は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用い
られるものとしては、組換え体を用いて大量発現させた
ヒト由来のレセプタータンパク質等などが適している。
【0076】本発明のレセプタータンパク質等を製造す
るには、上記の方法が用いられるが、本発明のDNAを
哺乳細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが
好ましい。目的とするタンパク質部分をコードするDN
A断片にはcDNAが用いられるが、必ずしもこれに制
約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DN
Aを用いてもよい。本発明のレセプタータンパク質をコ
ードするDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを
効率よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿
主とするバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス
(nuclear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリ
ンプロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロ
ウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモータ
ー、ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウ
イルスプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に
組み込むのが好ましい。発現したレセプターの量と質の
検査は公知の方法で行うことができる。例えば、文献
〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカ
ル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻, 19555〜1
9559頁, 1992年〕に記載の方法に従って行なうことがで
きる。したがって、本発明のスクリーニング方法におい
て、本発明のレセプタータンパク質等を含有するものと
しては、公知の方法に従って精製したレセプタータンパ
ク質等であってもよいし、該レセプタータンパク質等を
含有する細胞を用いてもよく、また該レセプタータンパ
ク質等を含有する細胞の膜画分を用いてもよい。
【0077】本発明のスクリーニング方法において、本
発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞を用いる
場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで
固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行
なうことができる。本発明のレセプタータンパク質等を
含有する細胞としては、該レセプタータンパク質等を発
現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸
菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが好まし
い。細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方
法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。
細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehj
em型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリン
グブレンダーやポリトロン(Kinematica社
製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスな
どで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させること
による破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画
遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分
画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速
(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約
1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000
rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心
し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発
現したレセプタータンパク質等と細胞由来のリン脂質や
膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。該レセプタ
ータンパク質等を含有する細胞や膜画分中のレセプター
タンパク質の量は、1細胞当たり103〜108分子であ
るのが好ましく、105〜107分子であるのが好適であ
る。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結
合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング
系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量
の試料を測定できるようになる。
【0078】リガンドと本発明のレセプタータンパク質
等との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする
上記の〜を実施するためには、例えば、適当なレセ
プタータンパク質画分と、標識したリガンドが必要であ
る。レセプタータンパク質画分としては、天然型のレセ
プタータンパク質画分か、またはそれと同等の活性を有
する組換え型レセプタータンパク質画分などが望まし
い。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活
性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識したリガン
ドとしては、標識したリガンド、標識したリガンドアナ
ログ化合物などが用いられる。例えば〔3H〕、
125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたリガ
ンドなどが用いられる。具体的には、リガンドと本発明
のレセプタータンパク質等との結合性を変化させる化合
物のスクリーニングを行なうには、まず本発明のレセプ
タータンパク質等を含有する細胞または細胞の膜画分
を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁すること
によりレセプタータンパク質標品を調製する。バッファ
ーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン
酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンド
とレセプタータンパク質との結合を阻害しないバッファ
ーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減
させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王
−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの
界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さら
に、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を
抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプ
チド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害
剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの
該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500
000cpm)の標識したリガンドを添加し、同時に1
-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。非特異
的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のリガ
ンドを加えた反応チューブも用意する。反応は約0℃か
ら50℃、望ましくは約4℃から37℃で、約20分か
ら24時間、望ましくは約30分から3時間行う。反応
後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで
洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体
シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計
測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)か
ら非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0
NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NS
B)が、例えば、50%以下になる試験化合物を拮抗阻
害能力のある候補物質として選択することができる。
【0079】リガンドと本発明のレセプタータンパク質
等との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする
上記の〜の方法を実施するためには、例えば、レセ
プタータンパク質を介する細胞刺激活性(例えば、細胞
内cAMP生成、細胞内cGMP生成、細胞内タンパク
質のリン酸化などを促進または抑制する活性など)を公
知の方法または市販の測定用キットを用いて測定するこ
とができる。具体的には、まず、本発明のレセプタータ
ンパク質等を含有する細胞をマルチウェルプレート等に
培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もっ
て新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッ
ファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間イ
ンキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収
して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量す
る。細胞刺激活性の指標とする物質の生成が、細胞が含
有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素
に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。
また、cAMP産生抑制などの活性については、フォル
スコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた
細胞に対する産生抑制作用として検出することができ
る。細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうに
は、適当なレセプタータンパク質を発現した細胞が必要
である。本発明のレセプタータンパク質等を発現した細
胞としては、天然型の本発明のレセプタータンパク質等
を有する細胞株、上記の組換え型レセプタータンパク質
等を発現した細胞株などが望ましい。試験化合物として
は、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液などが用いられ、これら化合物は新
規な化合物であってもよいし、公知の化合物であっても
よい。
【0080】リガンドと本発明のレセプタータンパク質
等との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリ
ーニング用キットは、本発明のレセプタータンパク質
等、本発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞、
または本発明のレセプタータンパク質等を含有する細胞
の膜画分を含有するものなどである。本発明のスクリー
ニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。 1.スクリーニング用試薬 測定用緩衝液および洗浄用緩衝液 Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.
05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたも
の。孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃
で保存するか、あるいは用時調製しても良い。 本発明のレセプタータンパク質標品 本発明のレセプタータンパク質を発現させたCHO細胞
を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37
℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。 標識リガンド 市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで
標識したリガンド水溶液の状態のものを4℃あるいは−
20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希
釈する。 リガンド標準液 リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)
を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で
保存する。
【0081】2.測定法 12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のレセ
プタータンパク質発現CHO細胞を、測定用緩衝液1m
lで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴
に加える。 10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた
後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応さ
せる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わ
りに10-3Mのリガンドを5μl加えておく。 反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄す
る。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH
−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA
(和光純薬製)と混合する。 液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)
を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding
(PMB)を次の式で求める。 PMB=[(B−NSB)/(B0−NSB)]×10
0 PMB:Percent Maximum Binding B :検体を加えた時の値 NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量) B0 :最大結合量
【0082】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、リガンドと本発明のレセプタータンパク質等との結
合性を変化させる作用を有する化合物であり、具体的に
は、(イ)本発明のレセプタータンパク質を介して細胞
刺激活性(例えば、細胞内cAMP生成、細胞内cGM
P生成、細胞内タンパク質のリン酸化などを促進または
抑制する活性など)を有する化合物(いわゆるアゴニス
ト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物(いわゆ
るアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のレセプ
タータンパク質との結合力を増強する化合物、あるいは
(ニ)リガンドと本発明のレセプタータンパク質との結
合力を減少させる化合物である。該化合物としては、ペ
プチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合
物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な
化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよ
い。本発明のレセプタータンパク質等に対するアゴニス
トは、本発明のレセプタータンパク質等に対するリガン
ドが有する生理活性と同様の作用を有しているので、該
リガンド活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用で
ある。本発明のレセプタータンパク質等に対するアンタ
ゴニストは、本発明のレセプタータンパク質等に対する
リガンドが有する生理活性を抑制することができるの
で、該リガンド活性を抑制する安全で低毒性な医薬とし
て有用である。リガンドと本発明のレセプタータンパク
質との結合力を増強する化合物は、本発明のレセプター
タンパク質等に対するリガンドが有する生理活性を増強
するための安全で低毒性な医薬として有用である。リガ
ンドと本発明のレセプタータンパク質との結合力を減少
させる化合物は、本発明のレセプタータンパク質等に対
するリガンドが有する生理活性を減少させるための安全
で低毒性な医薬として有用である。
【0083】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
を上記の医薬組成物として使用する場合、常套手段に従
って実施することができる。例えば、上記した本発明の
レセプタータンパク質を含有する医薬と同様にして、錠
剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、
無菌性溶液、懸濁液剤などとすることができる。このよ
うにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例え
ば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対
して投与することができる。該化合物またはその塩の投
与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによ
り差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、感
染症患者(60kgとして)においては、一日につき約
0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、
より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に
投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓
器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、
注射剤の形では通常例えば、感染症患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.01〜30mg程
度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましく
は約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するの
が好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに
換算した量を投与することができる。
【0084】(8)本発明のレセプタータンパク質とリ
ガンドとの結合性を変化させる化合物(例、アゴニス
ト、アンタゴニスト)を含有する各種疾病の予防および
/または治療剤 本発明のレセプタータンパク質は上記のとおり、例えば
免疫機能、中枢機能、循環機能、消化機能、心機能など
生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられ
る。従って、本発明のレセプタータンパク質とリガンド
との結合性を変化させる化合物(例、アゴニスト、アン
タゴニスト)や本発明のレセプタータンパク質に対する
リガンドは、本発明のレセプタータンパク質の機能不全
に関連する疾患の予防および/または治療剤として用い
ることができる。該化合物やリガンドを本発明のレセプ
タータンパク質の機能不全に関連する疾患の予防および
/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従っ
て製剤化することができる。例えば、該化合物やリガン
ドは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、
あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液と
の無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経
口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認め
られる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐
剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤
実施に要求される単位用量形態で混和することによって
製造することができる。これら製剤における有効成分量
は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするも
のである。
【0085】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0086】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。さらに、上記予防・治療剤は適
当な薬剤と組み合わせて例えば本発明のレセプタータン
パク質が高発現している臓器や組織を特異的なターゲッ
トとしたDDS製剤として使用することもできる。この
ようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例
えば、ヒトやその他の哺乳動物(例えば、ラット、マウ
ス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法
などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例
えば、感染症患者(60kgとして)においては、一日
につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜5
0mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非
経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、
対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例
えば、注射剤の形では通常例えば、感染症患者(60k
gとして)においては、一日につき約0.01〜30m
g程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ま
しくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与す
るのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当た
りに換算した量を投与することができる。
【0087】(9)本発明のレセプタータンパク質もし
くはその部分ペプチドまたはその塩の定量 本発明の抗体は、本発明のレセプタータンパク質等を特
異的に認識することができるので、被検液中の本発明の
レセプタータンパク質等の定量、特にサンドイッチ免疫
測定法による定量などに使用することができる。すなわ
ち、本発明は、例えば、(i)本発明の抗体と、被検液
および標識化レセプタータンパク質等とを競合的に反応
させ、該抗体に結合した標識化レセプタータンパク質等
の割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明の
レセプタータンパク質等の定量法、(ii)被検液と担
体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発
明の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不
溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする
被検液中の本発明のレセプタータンパク質等の定量法を
提供する。上記(ii)においては、一方の抗体が本発
明のレセプタータンパク質等のN端部を認識する抗体
で、他方の抗体が本発明のレセプタータンパク質等のC
端部に反応する抗体であることが好ましい。
【0088】本発明のレセプタータンパク質等に対する
モノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗
体と称する場合がある)を用いて本発明のレセプタータ
ンパク質等の測定を行なえるほか、組織染色等による検
出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子
そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(a
b')2、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明のレセプタータンパク質等に対する抗体を用いる
測定法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液
中の抗原量(例えば、レセプタータンパク質量)に対応
した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的
または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を
含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定
法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、
ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサ
ンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点
で、後に記載するサンドイッチ法を用いるのが特に好ま
しい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤とし
ては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光
物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例え
ば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが
用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きな
ものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−
グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキ
シダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光
物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッ
センイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質と
しては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシ
フェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体
あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系
を用いることもできる。
【0089】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常、タンパク質あるいは
酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を
用いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロー
ス、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポ
リスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹
脂、あるいはガラス等が用いられる。サンドイッチ法に
おいては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検
液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した本発明の
モノクローナル抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶
化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中
の本発明のレセプタータンパク質量を定量することがで
きる。1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、ま
た、同時に行なってもよいし時間をずらして行なっても
よい。標識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準
じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測
定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いら
れる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度
を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用
いてもよい。本発明のサンドイッチ法によるレセプター
タンパク質等の測定法においては、1次反応と2次反応
に用いられる本発明のモノクローナル抗体はレセプター
タンパク質等の結合する部位が相異なる抗体が好ましく
用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用い
られる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、
レセプタータンパク質のC端部を認識する場合、1次反
応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えば
N端部を認識する抗体が用いられる。
【0090】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と
(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B
/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液
中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶
性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、
上記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、およ
び、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、
第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗
体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック
法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識
化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離する
か、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体と
を反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体
を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次
に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を
定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは
溶液中で抗原抗体反応の結果、生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0091】これら個々の免疫学的測定法を本発明の測
定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のレセプタータンパク質またはその塩の測定系を構築
すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細について
は、総説、成書などを参照することができる〔例えば、
入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和4
9年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」
(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫
測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年
発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)
(医学書院、昭和62年発行)、「メソッズ・イン・エ
ンジモノジー(Methods in ENZYMOLOGY)」 Vol. 70(Imm
unochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Imm
unochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Imm
unochemical Techniques(PartC))、 同書 Vol. 84(Immu
nochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassay
s))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part
E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Me
thods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques
(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibo
dies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。
以上のように、本発明の抗体を用いることによって、本
発明のレセプタータンパク質またはその塩を感度良く定
量することができる。さらに、本発明の抗体を用いて、
生体内での本発明のレセプタータンパク質またその塩を
定量することによって、本発明のレセプタータンパク質
の機能不全に関連する各種疾患の診断をすることができ
る。また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中
に存在する本発明のレセプタータンパク質等を特異的に
検出するために使用することができる。また、本発明の
レセプタータンパク質等を精製するために使用する抗体
カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のレセプター
タンパク質等の検出、被検細胞内における本発明のレセ
プタータンパク質の挙動の分析などのために使用するこ
とができる。
【0092】(10)細胞膜における本発明のレセプタ
ータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる
化合物のスクリーニング方法 本発明の抗体は、本発明のレセプタータンパク質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩を特異的に認識するこ
とができるので、細胞膜における本発明のレセプタータ
ンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合
物のスクリーニングに用いることができる。すなわち本
発明は、例えば、(i)非ヒト哺乳動物の血液、特
定の臓器、臓器から単離した組織もしくは細胞等を破
壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド
を定量することによる、細胞膜における本発明のレセプ
タータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させ
る化合物のスクリーニング方法、(ii)本発明のレセ
プタータンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する
形質転換体等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞
膜画分に含まれる本発明のレセプタータンパク質または
その部分ペプチドを定量することによる、細胞膜におけ
る本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチ
ドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法、(i
ii)非ヒト哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器
から単離した組織もしくは細胞等を切片とした後、免疫
染色法を用いることにより、細胞表層での該レセプター
タンパク質の染色度合いを定量化することにより、細胞
膜上の該タンパク質を確認することによる、細胞膜にお
ける本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプ
チドの量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提
供する。(iv)本発明のレセプタータンパク質もしく
はその部分ペプチドを発現する形質転換体等を切片とし
た後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該
レセプタータンパク質の染色度合いを定量化することに
より、細胞膜上の該タンパク質を確認することによる、
細胞膜における本発明のレセプタータンパク質またはそ
の部分ペプチドの量を変化させる化合物のスクリーニン
グ方法を提供する。
【0093】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
タンパク質またはその部分ペプチドの定量は具体的には
以下のようにして行なう。(i)正常あるいは疾患モデ
ル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、
ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体
的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌
マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧
低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレ
ス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温
など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、ある
いは特定の臓器(例えば、肺、白血球、精巣、脾臓な
ど)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得
る。得られた臓器、組織または細胞等を、例えば、適当
な緩衝液(例えば、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、
ヘペス緩衝液など)等に懸濁し、臓器、組織あるいは細
胞を破壊し、界面活性剤(例えば、トリトンX10
TM、ツイーン20TMなど)などを用い、さらに遠心分
離や濾過、カラム分画などの手法を用いて細胞膜画分を
得る。
【0094】細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、
公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のこと
をいう。細胞の破砕方法としては、Potter−El
vehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、
ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinemati
ca社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプ
レスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させ
ることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画に
は、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力
による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕
液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間
(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速
(15000rpm〜30000rpm)で通常30分
〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画
分中には、発現したレセプタータンパク質等と細胞由来
のリン脂質や膜タンパク質などの膜成分が多く含まれ
る。
【0095】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
タンパク質またはその部分ペプチドは、例えば、本発明
の抗体を用いたサンドイッチ免疫測定法、ウエスタンブ
ロット解析などにより定量することができる。このよう
なサンドイッチ免疫測定法は上記の方法と同様にして行
なうことができ、ウエスタンブロットは公知の手段によ
り行なうことができる。
【0096】(ii)本発明のレセプタータンパク質も
しくはその部分ペプチドを発現する形質転換体を上記の
方法に従い作製し、細胞膜画分に含まれる本発明のレセ
プタータンパク質またはその部分ペプチドを定量するこ
とができる。
【0097】細胞膜における本発明のレセプタータンパ
ク質またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物の
スクリーニングは、(i)正常あるいは疾患モデル非ヒ
ト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなど
を与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ましく
は30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6
時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、好ま
しくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜2
4時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時
に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分
後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好まし
くは1時間後〜24時間後)、細胞膜における本発明の
レセプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を定
量することにより行なうことができ、(ii)形質転換
体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地中に混合
させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ましくは1
日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日後)、細胞
膜における本発明のレセプタータンパク質またはその部
分ペプチドの量を定量することにより行なうことができ
る。
【0098】細胞膜画分に含まれる本発明のレセプター
タンパク質またはその部分ペプチドの確認は具体的には
以下のようにして行なう。(iii)正常あるいは疾患
モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より
具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、
担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、
血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ス
トレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、
低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、
あるいは特定の臓器(例えば、肺、白血球、精巣、脾臓
など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を
得る。得られた臓器、組織または細胞等を、常法に従い
組織切片とし、本発明の抗体を用いて免疫染色を行う。
細胞表層での該レセプタータンパク質の染色度合いを定
量化することにより、細胞膜上の該タンパク質を確認す
ることにより、定量的または定性的に、細胞膜における
本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプチド
の量を確認することができる。(iv)本発明のレセプ
タータンパク質もしくはその部分ペプチドを発現する形
質転換体等を用いて同様の手段をとることにより確認す
ることもできる。
【0099】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩は、細胞膜における本発明のレ
セプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化
させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)
細胞膜における本発明のレセプタータンパク質またはそ
の部分ペプチドの量を増加させることにより、本発明の
レセプタータンパク質を介する細胞刺激活性(例えば、
細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、細胞内タン
パク質のリン酸化などを促進または抑制する活性など)
を増強させる化合物、(ロ)細胞膜における本発明のレ
セプタータンパク質またはその部分ペプチドの量を減少
させることにより、該細胞刺激活性を減弱させる化合物
である。該化合物としては、ペプチド、タンパク質、非
ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げ
られ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、
公知の化合物であってもよい。該細胞刺激活性を増強さ
せる化合物は、本発明のレセプタータンパク質等の生理
活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用で
ある。該細胞刺激活性を減弱させる化合物は、本発明の
レセプタータンパク質等の生理活性を減少させるための
安全で低毒性な医薬として有用である。
【0100】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場
合、常套手段に従って実施することができる。例えば、
上記した本発明のレセプタータンパク質を含有する医薬
と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイ
クロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとすること
ができる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性
であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳動物(例え
ば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネ
コ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓
器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与
の場合、一般的に例えば、感染症患者(60kgとし
て)においては、一日につき約0.1〜100mg、好
ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0
〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1
回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などに
よっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例え
ば、感染症患者(60kgとして)においては、一日に
つき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜
20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度
を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物
の場合も、60kg当たりに換算した量を投与すること
ができる。
【0101】(11)細胞膜における本発明のレセプタ
ータンパク質またはその部分ペプチドの量を変化させる
化合物を含有する各種疾病の予防および/または治療剤 本発明のレセプタータンパク質は上記のとおり、例え
ば、肺または免疫機能など生体内で何らかの重要な役割
を果たしていると考えられる。したがって、細胞膜にお
ける本発明のレセプタータンパク質またはその部分ペプ
チドの量を変化させる化合物は、本発明のレセプタータ
ンパク質の機能不全に関連する疾患の予防および/また
は治療剤として用いることができる。該化合物を本発明
のレセプタータンパク質の機能不全に関連する疾患の予
防および/または治療剤として使用する場合は、常套手
段に従って製剤化することができる。例えば、該化合物
は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリ
キシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あ
るいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との
無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口
的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認めら
れる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、
安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施
に要求される単位用量形態で混和することによって製造
することができる。これら製剤における有効成分量は指
示された範囲の適当な用量が得られるようにするもので
ある。
【0102】錠剤、カプセル剤などに混和することがで
きる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスター
チ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性
セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチ
ン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグ
ネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチ
ェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態
がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに
油脂のような液状担体を含有することができる。注射の
ための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性
物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油など
を溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って
処方することができる。注射用の水性液としては、例え
ば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張
液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩
化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助
剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアル
コール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート
80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液
としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶
解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール
などと併用してもよい。
【0103】また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝
剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝
液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸
プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミ
ン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、
ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤な
どと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当な
アンプルに充填される。このようにして得られる製剤は
安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやその他の哺乳
動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。該化合物またはその塩の投与量は、投与対
象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はある
が、経口投与の場合、一般的に例えば、感染症患者(6
0kgとして)においては、一日につき約0.1〜10
0mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましく
は約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合
は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与
方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では
通常例えば、感染症患者(60kgとして)において
は、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。
【0104】(12)本発明のレセプタータンパク質、
その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体による
中和 本発明のレセプタータンパク質もしくはその部分ペプチ
ドまたはその塩に対する抗体の、それらレセプタータン
パク質などに対する中和活性とは、すなわち、該レセプ
タータンパク質の関与するシグナル伝達機能を不活性化
する活性を意味する。従って、該抗体が中和活性を有す
る場合は、該レセプタータンパク質の関与するシグナル
伝達、例えば、該レセプタータンパク質を介する細胞刺
激活性(例えば、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP
生成、細胞内タンパク質のリン酸化などを促進または抑
制する活性など)を不活性化することができる。したが
って、該レセプタータンパク質の過剰発現などに起因す
る疾患の予防および/または治療に用いることができ
る。
【0105】(13)本発明のレセプタータンパク質を
コードするDNAを有する動物の作出 本発明のDNAを用いて、本発明のレセプタータンパク
質等を発現するトランスジェニック動物を作出すること
ができる。動物としては、非ヒト哺乳動物(例えば、ラ
ット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)など(以下、動物と略記する場合があ
る)が挙げられるが、特に、マウス、ウサギなどが好適
である。本発明のDNAを対象動物に導入するにあたっ
ては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーター
の下流に結合した遺伝子コンストラクトとして用いるの
が一般に有利である。例えば、ウサギ由来の本発明のD
NAを導入する場合、これと相同性が高い動物由来の本
発明のDNAを動物細胞で発現させうる各種プロモータ
ーの下流に結合した遺伝子コンストラクトを、例えば、
ウサギ受精卵へマイクロインジェクションすることによ
って本発明のレセプタータンパク質等を高産生するDN
A導入動物を作出できる。このプロモーターとしては、
例えば、ウイルス由来プロモーター、メタロチオネイン
等のユビキアスな発現プロモーターも使用しうるが、好
ましくは白血球で特異的に発現する遺伝子のプロモータ
ーが用いられる。
【0106】受精卵細胞段階における本発明のDNAの
導入は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在
するように確保される。DNA導入後の作出動物の胚芽
細胞において本発明のレセプタータンパク質等が存在す
ることは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体
細胞の全てに本発明のレセプタータンパク質等を有する
ことを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の動物の子
孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明のレセプ
タータンパク質等を有する。本発明のDNA導入動物
は、交配により遺伝子を安定に保持することを確認し
て、該DNA保有動物として通常の飼育環境で飼育継代
を行うことができる。さらに、目的DNAを保有する雌
雄の動物を交配することにより、導入遺伝子を相同染色
体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄
の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを
有するように繁殖継代することができる。本発明のDN
Aが導入された動物は、本発明のレセプタータンパク質
等が高発現させられているので、本発明のレセプタータ
ンパク質等に対するアゴニストまたはアンタゴニストの
スクリーニング用の動物などとして有用である。本発明
のDNA導入動物を、組織培養のための細胞源として使
用することもできる。例えば、本発明のDNA導入マウ
スの組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、
あるいは遺伝子により発現された本発明のレセプタータ
ンパク質が存在する組織を分析することにより、本発明
のレセプタータンパク質等について分析することができ
る。本発明のレセプタータンパク質等を有する組織の細
胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用し
て、例えば、脳や末梢組織由来のような一般に培養困難
な組織からの細胞の機能を研究することができる。ま
た、その細胞を用いることにより、例えば、各種組織の
機能を高めるような医薬の選択も可能である。また、高
発現細胞株があれば、そこから、本発明のレセプタータ
ンパク質等を単離精製することも可能である。
【0107】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commission
on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当
該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を
下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場
合は、特に明示しなければL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0108】Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸 * :終止コドンに対応する Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキ
サミド基
【0109】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェノール Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ キシイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0110】本明細書の配列表の配列番号は、以下の配
列を示す。 配列番号:1 本発明のヒト由来新規膜貫通型レセプター様タンパク質
pTB2184のアミノ酸配列を示す。 配列番号:2 本発明のヒト由来新規膜貫通型レセプター様タンパク質
pTB2184をコードするcDNAの塩基配列を示
す。 配列番号:3 本発明のヒト由来新規膜貫通型レセプター様タンパク質
pTB2185のアミノ酸配列を示す。 配列番号:4 本発明のヒト由来新規膜貫通型レセプター様タンパク質
pTB2185をコードするcDNAの塩基配列を示
す。 配列番号:5 以下の実施例1におけるPCR反応で使用したプライマ
ー1の塩基配列を示す。 配列番号:6 以下の実施例1におけるPCR反応で使用したプライマ
ー2の塩基配列を示す。
【0111】後述の実施例1で得られた形質転換体Es
cherichia coli DH5α/pTB21
84は、2000年12月14日から大阪府大阪市淀川
区十三本町2丁目17番85号(郵便番号532−86
86)の財団法人・発酵研究所に寄託番号IFO 16
514として、平成12年12月25日から茨城県つく
ば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8
566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物
寄託センター(旧 通商産業省工業技術院生命工学工業
技術研究所(NIBH))に寄託番号FERM BP−
7415として寄託されている。後述の実施例1で得ら
れた形質転換体Escherichia coli D
H5α/pTB2185は、2000年12月14日か
ら大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵
便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所に寄
託番号IFO 16515として、平成12年12月2
5日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術
総合研究所 特許生物寄託センター(旧 通商産業省工
業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH))に寄託
番号FERM BP−7416として寄託されている。
【0112】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明をより詳細に
説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。なお、大腸菌を用いての遺伝子は、モレキュラー
・クローニング(Molecular cloning)に記載されている
方法に従った。 実施例1 ヒト末梢血白血球由来膜貫通型レセプター様タンパク質
をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定 ヒト末梢血白血球cDNA(CLONTECH社)を鋳
型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:
5)およびプライマー2(配列番号:6)を用いてPC
R反応を行った。該反応における反応液の組成は上記c
DNA5μlを鋳型として使用し、Pfu Turbo
DNA Polymerase(STRATAGEN
E社)1μl量、プライマー1(配列番号:5)および
プライマー2(配列番号:6)を各0.5μM、dNT
Psを200μM、および酵素に添付のバッファーを1
0μl加え、100μlの液量とした。PCR反応は、
96℃・1分の後、96℃・15秒、72℃・1分30
秒のサイクルを5回、次に96℃・15秒、65℃・3
0秒、72℃・1分のサイクルを30回繰り返し、最後
に72℃・7分の伸長反応を行った。次に該PCR反応
産物の3’末端へのアデニン付加反応を行った。まずア
ガロースゲル電気泳動にて912塩基対の該PCR反応
産物を精製した後、これを該反応における鋳型として使
用した。該反応における反応液の組成は、上記精製済み
該PCR反応産物1/10量、ExTaq DNA P
olymerase(宝酒造)0.1μl、dNTPs
を50μM、および酵素に添付のバッファーを5μl加
え、30μlの液量とした。アデニン付加反応は、72
℃・15分で行った。該3’末端アデニン付加済みPC
R反応産物をDNA Ligation Kit Ve
r.2(宝酒造)の処方に従い、プラスミドベクターp
CR2.1(Invitrogen社)へサブクローニ
ングした。これを大腸菌DH5αに導入し、cDNAを
持つクローンをアンピシリンを含むLB寒天培地中で選
択した。個々のクローンの配列を解析した結果、新規膜
貫通型レセプター様タンパク質をコードする2種類のc
DNAの塩基配列(配列番号:2および配列番号:4)
を得た。配列番号:2で表されるDNAの塩基配列がコ
ードするアミノ酸配列(配列番号:1)を含有する新規
膜貫通型レセプター様タンパク質をpTB2184と命
名した。配列番号:4で表されるDNAの塩基配列がコ
ードするアミノ酸配列(配列番号:3)を含有する新規
膜貫通型レセプター様タンパク質をpTB2185と命
名した。さらに、それらの形質転換体を、大腸菌(Es
cherichia coli)DH5α/pTB21
84および大腸菌(Escherichia col
i)DH5α/pTB2185とそれぞれ命名した。p
TB2185のアミノ酸配列では、pTB2184のア
ミノ酸配列の9番目のThrがMetに、140番目の
LeuがArgにそれぞれ置換されている。また、pT
B2185をコードするDNAの塩基配列では、pTB
2184をコードするDNAの塩基配列の26番目のC
がTに、419番目のTがGにそれぞれ置換されてい
る。pTB2184の疎水性プロット図を〔図1〕に、
pTB2185の疎水性プロット図を〔図2〕にそれぞ
れ示す。
【0113】
【発明の効果】本発明の膜貫通型レセプター様タンパク
質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該レセプタ
ータンパク質またはその部分ペプチドをコードするポリ
ヌクレオチド(例えば、DNA、RNAおよびそれらの
誘導体)は、リガンド(アゴニスト)の決定、抗体
および抗血清の入手、組換え型レセプタータンパク質
の発現系の構築、同発現系を用いたレセプター結合ア
ッセイ系の開発と医薬品候補化合物のスクリーニング、
構造的に類似したリガンド・レセプターとの比較にも
とづいたドラッグデザインの実施、遺伝子診断におけ
るプローブやPCRプライマーの作成のための試薬、
トランスジェニック動物の作製または遺伝子治療剤等
の医薬等として用いることができる。
【0114】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel Transmembrane Receptor-like Protein and its DNA <130> P01-0267 <150> JP 2000-385897 <151> 2000-12-19 <150> JP 2001-011909 <151> 2001-01-19 <160> 6 <210> 1 <211> 233 <212> PRT <213> Human <400> 1 Met Glu Pro Asn Ala Thr Phe Thr Thr Gln Leu Thr Ala Thr Pro Glu 5 10 15 Arg Leu Leu Arg Leu Ile Ser Ala Gly Val Cys Gly Leu Ile Leu Leu 20 25 30 Val Gly Leu Ser Ala Asn Gly Leu Met Leu Leu Val Val Gly Arg Gly 35 40 45 Pro Gly Ser Pro His Pro Leu His Ser Leu Thr His Ser Leu Met Met 50 55 60 Asn Ile Thr Pro Ser Asp Leu Leu Phe Leu Ala Cys Val Val Pro Val 65 70 75 80 Leu Leu Leu Ser Phe Leu Gln His Asn Trp Trp Leu Gly Pro Ala Ile 85 90 95 Cys Thr Ile Ser Gln Ala Thr Asn Thr Ala Thr Thr Phe Cys Ile Phe 100 105 110 Tyr Ser Met Val Ala Thr Ala Leu Leu Arg His Val Ala Val Ala Arg 115 120 125 Pro Asp Leu Ala Phe Pro Ala Gly Trp Gly Thr Leu Leu Leu Leu Cys 130 135 140 Gly Ala Met Trp Ala Leu Gly Leu Thr Glu Ser Leu Pro Asn Trp Leu 145 150 155 160 Phe Gln Arg Val Ala Val Glu Glu Glu Thr Ala Gly Ala Pro Lys Thr 165 170 175 Gln Ala Cys Leu Leu Leu Leu Ser Pro Ala Gly Thr Ser Cys Tyr Ile 180 185 190 Ser Leu Leu Gly Ala Leu Ala Phe Leu Pro Cys Thr Leu Gly Leu Gly 195 200 205 Cys Ser Phe Ser His Val Gly Trp Leu Leu Trp Thr Gln Pro Gln Gly 210 215 220 Pro Met Gly Glu Ser Ile Gln Glu His 225 230 <210> 2 <211> 699 <212> DNA <213> Human <400> 2 atggagccca atgctacgtt caccacgcag ctcacggcca cacctgagcg actgctccga 60 ctcatctctg ctggggtctg tggcctcatc ctgctggtgg ggctgtcagc taatgggctc 120 atgctgctgg tggtgggccg gggcccgggc tccccccacc cgctccactc cctgacccac 180 agcctcatga tgaacatcac gccatctgac ctgctcttcc tggcctgcgt ggtgcctgtg 240 ctgctgctga gcttcctgca gcacaactgg tggctgggcc ctgccatctg caccattagc 300 caggccacca acacagccac cacgttctgc atcttctata gcatggtggc cacagctctc 360 ctgcgccatg tggctgtggc ccggcctgac ctggccttcc cagccggctg gggcaccctc 420 ttgctgctct gtggggccat gtgggccctg ggccttacag aatccctgcc caactggctg 480 ttccagaggg tggcagtgga ggaggagaca gcgggggctc ccaagaccca ggcctgcctc 540 ttgctcctga gccctgctgg gacctcctgc tacatcagcc tgctgggagc cctggccttc 600 ctgccatgca cgctggggct gggctgctct ttcagccacg tgggctggct cctgtggacc 660 cagccccaag gtcccatggg agagagcatc caggagcat 699 <210> 3 <211> 233 <212> PRT <213> Human <400> 3 Met Glu Pro Asn Ala Thr Phe Thr Met Gln Leu Thr Ala Thr Pro Glu 5 10 15 Arg Leu Leu Arg Leu Ile Ser Ala Gly Val Cys Gly Leu Ile Leu Leu 20 25 30 Val Gly Leu Ser Ala Asn Gly Leu Met Leu Leu Val Val Gly Arg Gly 35 40 45 Pro Gly Ser Pro His Pro Leu His Ser Leu Thr His Ser Leu Met Met 50 55 60 Asn Ile Thr Pro Ser Asp Leu Leu Phe Leu Ala Cys Val Val Pro Val 65 70 75 80 Leu Leu Leu Ser Phe Leu Gln His Asn Trp Trp Leu Gly Pro Ala Ile 85 90 95 Cys Thr Ile Ser Gln Ala Thr Asn Thr Ala Thr Thr Phe Cys Ile Phe 100 105 110 Tyr Ser Met Val Ala Thr Ala Leu Leu Arg His Val Ala Val Ala Arg 115 120 125 Pro Asp Leu Ala Phe Pro Ala Gly Trp Gly Thr Arg Leu Leu Leu Cys 130 135 140 Gly Ala Met Trp Ala Leu Gly Leu Thr Glu Ser Leu Pro Asn Trp Leu 145 150 155 160 Phe Gln Arg Val Ala Val Glu Glu Glu Thr Ala Gly Ala Pro Lys Thr 165 170 175 Gln Ala Cys Leu Leu Leu Leu Ser Pro Ala Gly Thr Ser Cys Tyr Ile 180 185 190 Ser Leu Leu Gly Ala Leu Ala Phe Leu Pro Cys Thr Leu Gly Leu Gly 195 200 205 Cys Ser Phe Ser His Val Gly Trp Leu Leu Trp Thr Gln Pro Gln Gly 210 215 220 Pro Met Gly Glu Ser Ile Gln Glu His 225 230 <210> 4 <211> 699 <212> DNA <213> Human <400> 4 atggagccca atgctacgtt caccatgcag ctcacggcca cacctgagcg actgctccga 60 ctcatctctg ctggggtctg tggcctcatc ctgctggtgg ggctgtcagc taatgggctc 120 atgctgctgg tggtgggccg gggcccgggc tccccccacc cgctccactc cctgacccac 180 agcctcatga tgaacatcac gccatctgac ctgctcttcc tggcctgcgt ggtgcctgtg 240 ctgctgctga gcttcctgca gcacaactgg tggctgggcc ctgccatctg caccattagc 300 caggccacca acacagccac cacgttctgc atcttctata gcatggtggc cacagctctc 360 ctgcgccatg tggctgtggc ccggcctgac ctggccttcc cagccggctg gggcacccgc 420 ttgctgctct gtggggccat gtgggccctg ggccttacag aatccctgcc caactggctg 480 ttccagaggg tggcagtgga ggaggagaca gcgggggctc ccaagaccca ggcctgcctc 540 ttgctcctga gccctgctgg gacctcctgc tacatcagcc tgctgggagc cctggccttc 600 ctgccatgca cgctggggct gggctgctct ttcagccacg tgggctggct cctgtggacc 660 cagccccaag gtcccatggg agagagcatc caggagcat 699 <210> 5 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA encoding pTB2184 an d pTB2185 <400> 5 ggagtccatc ccatggggtt gtc 23 <210> 6 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Designed oligonucleotide primer to amplify DNA encoding pTB2184 an d pTB2185 <400> 6 accagcacca caaggctgag cc 22
【図面の簡単な説明】
【図1】 pTB2184の疎水性プロット図である。
【図2】 pTB2185の疎水性プロット図である。
【図3】 一文字表記によるpTB2184のアミノ酸
配列を示す図である。
【図4】 一文字表記によるpTB2185のアミノ酸
配列を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 3/00 4C084 A61P 1/00 5/00 4C085 3/00 9/00 4H045 5/00 11/00 9/00 25/00 11/00 31/00 25/00 35/00 31/00 37/00 35/00 C07K 14/705 37/00 16/28 C07K 14/705 C12N 1/15 16/28 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/68 Z C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/02 33/50 Z 1/68 33/53 D G01N 33/15 M 33/50 33/566 33/53 C12N 15/00 ZNAA 5/00 A 33/566 A61K 37/02 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 FB03 4B024 AA01 AA11 BA63 BA80 CA04 CA09 CA12 CA20 DA01 DA02 DA05 DA12 GA11 HA11 HA14 4B063 QA01 QA05 QA13 QA17 QA19 QQ21 QQ41 QQ53 QQ61 QQ89 QR08 QR32 QR35 QR40 QR42 QR55 QR62 QR77 QR80 QS16 QS25 QS34 QS36 QX02 4B064 AG20 CA01 CA19 CC01 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA58X AA72X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 AA14 AA17 BA01 BA08 BA22 BA23 BA35 BA44 CA18 CA53 CA56 CA59 NA14 ZA022 ZA362 ZA592 ZA662 ZB072 ZB262 ZB322 ZC022 ZC212 4C085 AA13 AA14 BB11 CC02 CC04 CC05 CC21 CC23 EE01 EE06 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA50 DA75 EA20 EA50

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1もしくは配列番号:3で表
    わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミ
    ノ酸配列を含有することを特徴とする膜貫通型レセプタ
    ー様タンパク質またはその塩。
  2. 【請求項2】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列
    を含有する請求項1記載のタンパク質。
  3. 【請求項3】 配列番号:3で表わされるアミノ酸配列
    を含有する請求項1記載のタンパク質。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のタンパク質の部分ペプチ
    ドまたはその塩。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のタンパク質をコードする
    ポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 DNAである請求項5記載のポリヌクレ
    オチド。
  7. 【請求項7】 配列番号:2または配列番号:4で表さ
    れる塩基配列を含有する請求項6記載のDNA。
  8. 【請求項8】 請求項5記載のポリヌクレオチドを含有
    する組換えベクター。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の組換えベクターで形質転
    換させた形質転換体。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の形質転換体を培養し、
    請求項1記載のタンパク質を生成せしめることを特徴と
    する請求項1記載のタンパク質またはその塩の製造法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のタンパク質もしくは請
    求項4記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のタンパク質のシグナル
    伝達を不活性化する中和抗体である請求項11記載の抗
    体。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の抗体を含有してなる
    診断薬。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の抗体を含有してなる
    医薬。
  15. 【請求項15】 請求項1記載のタンパク質もしくは請
    求項3記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることに
    より得られうる請求項1記載のタンパク質またはその塩
    に対するリガンド。
  16. 【請求項16】 請求項15記載のリガンドを含有して
    なる医薬。
  17. 【請求項17】 請求項1記載のタンパク質もしくは請
    求項4記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを
    特徴とする請求項1記載のタンパク質またはその塩に対
    するリガンドの決定方法。
  18. 【請求項18】 請求項1記載のタンパク質もしくは請
    求項4記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを
    特徴とする、リガンドと請求項1記載のタンパク質また
    はその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩の
    スクリーニング方法。
  19. 【請求項19】 請求項1記載のタンパク質もしくは請
    求項4記載の部分ペプチドまたはその塩を含有すること
    を特徴とする、リガンドと請求項1記載のタンパク質ま
    たはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩
    のスクリーニング用キット。
  20. 【請求項20】 請求項18記載のスクリーニング方法
    または請求項19記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られうるリガンドと請求項1記載のタンパク質また
    はその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩。
  21. 【請求項21】 請求項18記載のスクリーニング方法
    または請求項19記載のスクリーニング用キットを用い
    て得られうるリガンドと請求項1記載のタンパク質また
    はその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を
    含有してなる医薬。
  22. 【請求項22】 請求項5記載のポリヌクレオチドとハ
    イストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリ
    ヌクレオチド。
  23. 【請求項23】 請求項5記載のポリヌクレオチドと相
    補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を
    含有してなるポリヌクレオチド。
  24. 【請求項24】 請求項23記載のポリヌクレオチドを
    用いることを特徴とする請求項1記載のタンパク質のm
    RNAの定量方法。
  25. 【請求項25】 請求項11記載の抗体を用いることを
    特徴とする請求項1記載のタンパク質の定量方法。
  26. 【請求項26】 請求項24または請求項25記載の定
    量方法を用いることを特徴とする請求項1記載のタンパ
    ク質の機能が関連する疾患の診断法。
  27. 【請求項27】 請求項24記載の定量方法を用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載のタンパク質の発現量を変
    化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  28. 【請求項28】 請求項25記載の定量方法を用いるこ
    とを特徴とする細胞膜における請求項1記載のタンパク
    質量を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング
    方法。
  29. 【請求項29】 請求項27記載のスクリーニング方法
    を用いて得られうる請求項1記載のタンパク質の発現量
    を変化させる化合物またはその塩。
  30. 【請求項30】 請求項28記載のスクリーニング方法
    を用いて得られうる細胞膜における請求項1記載のタン
    パク質量を変化させる化合物またはその塩。
  31. 【請求項31】 請求項29記載の化合物またはその塩
    を含有してなる医薬。
  32. 【請求項32】 請求項30記載の化合物またはその塩
    を含有してなる医薬。
  33. 【請求項33】 感染症、中枢疾患、内分泌疾患、代謝
    疾患、癌、心疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患または
    免疫系疾患の予防・治療剤である請求項21、請求項3
    1または請求項32記載の医薬。
  34. 【請求項34】 哺乳動物に対して、請求項20、請求
    項29または請求項30記載の化合物またはその塩の有
    効量を投与することを特徴とする感染症、中枢疾患、内
    分泌疾患、代謝疾患、癌、心疾患、呼吸器系疾患、消化
    器系疾患または免疫系疾患の予防・治療方法。
  35. 【請求項35】 感染症、中枢疾患、内分泌疾患、代謝
    疾患、癌、心疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患または
    免疫系疾患の予防・治療剤を製造するための請求項2
    0、請求項29または請求項30記載の化合物またはそ
    の塩の使用。
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