JP4461345B2 - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気装置に係り、特に、車両の前方側にエンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内に車幅方向に向けてエンジンが配置され、このエンジンの前方側に配置されると共に動的過給装置を備えた内燃機関の吸気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、特開平10−61510号公報に示されているように、吸気温度の上昇を防止すると共に排気温度を高温に保持するために、エンジンルーム内に車幅方向に向けて(横置きに)エンジンが配置され、このエンジンの前方側に吸気マニホールドを配置すると共に後方側に排気マニホールドを配置するようにした内燃機関の吸気装置が知られている。
また、特許第2778369号公報には、吸気マニホールドを構成する吸気通路を長い吸気通路と短い吸気通路とに切り換えて吸気長を変更することにより動的過給を行なうようにした動的過給装置を備えた内燃機関の吸気装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、最近では、車両の軽量化及び製造コストの低減を図るため、吸気装置の吸気マニホールドを樹脂により形成することが試みられている。吸気マニホールドは、従来から鉄やアルミニウム等の金属の鋳物から作られており、これらの金属性の吸気マニホールドは、それ自体で大きな剛性を有するものであった。従って、このような金属性の吸気マニホールドを備えた吸気装置を、特開平10−61510号公報に示されているように、横置きエンジンの前方側に配置した場合、車両の正面衝突に対して比較的大きな耐力を持つことができる。しかしながら、吸気マニホールドを樹脂で形成して、この樹脂の吸気マニホールドを横置きエンジンの前方側に配置した場合、前後方向の耐力は、金属性のものと比較して小さな値となるため、問題となる。そのため、吸気マニホールドを樹脂で形成した場合、前後方向の耐力を向上させる必要がある。
また、動的過給装置を備えた吸気装置の吸気マニホールドを樹脂で形成した場合も同様な問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、動的過給装置を備えたエンジンの吸気装置の吸気マニホールドを樹脂で形成した場合の問題点を解決するためになされたものであり、前後方向の耐力を向上させた内燃機関の吸気装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の発明は、車両の前方側にエンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内に車幅方向に向けてエンジンが配置され、このエンジンの前方側に配置されると共に動的過給手段を備えた内燃機関の吸気装置であって、樹脂により成形された吸気マニホールドと、この吸気マニホールドの上流側に接続され且つ吸気マニホールドのほぼ中心位置に設けられたサージタンクと、を備え、吸気マニホールドが、最長の吸気通路となる複数の第1の吸気通路と最短の吸気通路となる複数の第2の吸気通路を有し、第1の吸気通路は上記サージタンクから延びてサージタンク周囲を取り囲むように設けられ且つ車両前方に向けてほぼ水平方向に延びる水平方向部及びこの水平方向部に連続して上方に向けてほぼ上下方向に延びる上下方向部を有し、第2の吸気通路は第1の吸気通路の水平方向部と重ねて設けられた水平方向部を有し且つこの水平方向部の下流側端が第1の吸気通路の上下方向部と連結されそれより下流側が第1の吸気通路の上下方向部と兼用されており、更に、サージタンクと上記第1及び第2の吸気通路の上下方向部をほぼ前後方向に延びて連結し且つ上記第2の吸気通路から離間させて設けられた第1の連結部材を備えたことを特徴としている。
【0006】
このように構成された本発明においては、車両正面から力が作用した場合、その力は、先ず、第1の吸気通路の上下方向部に作用し、次ぎに、第1の連結部材、重ねて設けられた第1及び第2の吸気通路の各水平方向部並びにサージタンクに作用する。この場合、第1の連結部材、並びに、第1及び第2の吸気通路の各水平方向部は、車両前後方向に設けられているため、吸気装置の前後方向の耐力が向上する。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第2の発明は、車両の前方側にエンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内に車幅方向に向けてエンジンが配置され、このエンジンの前方側に配置されると共に動的過給手段を備えた内燃機関の吸気装置であって、樹脂により成形された吸気マニホールドと、この吸気マニホールドの上流側に接続され且つ吸気マニホールドのほぼ中心位置に設けられたサージタンクと、を備え、吸気マニホールドが、最長の吸気通路となる複数の第1の吸気通路と最短の吸気通路となる複数の第2の吸気通路を有し、第1の吸気通路はサージタンクから延びてサージタンクの周囲を取り囲むように設けられ且つ車両前方に向けてほぼ水平方向に延びる水平方向部及びこの水平方向部に連続して上方に向けてほぼ上下方向に延びる上下方向部を有し、第2の吸気通路は第1の吸気通路の水平方向部と重ねて設けられた水平方向部を有し且つこの水平方向部の下流側端が第1の吸気通路の上下方向部と連結されそれより下流側が第1の吸気通路の上下方向部と兼用されており、更に、吸気マニホールドの後側部と第1及び第2の吸気通路のエンジン取付部近傍をほぼ前後方向に延びて連結する第2の連結部材と、を備えたことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、車両正面から力が作用した場合、その力は、先ず、第1の吸気通路の上下方向部に作用し、次ぎに、重ねて設けられた第1及び第2の吸気通路の各水平方向部、サージタンク、並びに、第2の連結部材に作用する。この場合、第1及び第2の吸気通路の各水平方向部並びに第2の連結部材は、車両前後方向に設けられているため、吸気装置の前後方向の耐力が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図5を参照して説明する。先ず、図示しないが、前提として、車両の前方側にエンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内に車幅方向に向けて内燃機関(以下、エンジンともいう)1が配置されている。
次に、図1に示すように、このエンジン1の吸気装置2は、外部から新気を導入するフレッシュエアダクト4と、このフレッシュエアダクト4の下流側に接続されたエアクリーナ6と、このエアクリーナ6の下流側に接続されたエアホース8と、このエアホース8の一部に取り付けられたエアフローメータ10と、を備えている。吸気装置2は、更に、エアホース8の下流側に形成された拡大室12とこの拡大室12に隣接して設けられたPCM(Power-train Control Module)収納室14と、このPCM収納室14の下流側に設けられたスロットルバルブ16(図3参照)と、このスロットルバルブ16の下流側に設けられたサージタンク18(図3及び図4参照)と、スロットルバルブ16とサージタンク18とを接続するエアダクト20(図3及び図4参照)と、サージタンク18の下流側に接続されている吸気マニホールド22を備えている。
【0009】
図2は、図1のA方向から見た部分側面図であり、エアクリーナ6、拡大室12、PCM収納室14等が省略されている。また、図3に示すように、エアダクト20の下流側端は、サージタンク18の長手方向のほぼ中央部18aに接続されている。また、図4に示すように、サージタンク18は、吸気マニホールド22のほぼ中心位置に設けられている。
図3及び図4に示すように、吸気マニホールド22は、全体が樹脂で形成されている。この吸気マニホールド22は、複数の吸気管24からなり、これらの吸気管24は、図面上は明確でないが、各々の長さが等しく設定され、エンジン1の各シリンダの燃焼条件の違いによる出力のばらつきを少なくしている。
【0010】
さらに、図4に示すように、吸気管24の各々は、吸気通路が相対的に短い高速域用吸気通路26と相対的に長い低速域用吸気通路28を備え、これらの吸気通路26,28が、高速域用吸気通路26に設けられた切換えバルブ30により切り換え、吸気長を可変とすることができる。これにより、動的過給を低速域及び高速域において得ることができるようになっている。本実施形態では、動的過給を得るために、2つの速度域において切り換えるようになっているが、3つの速度域を切り換えるようにしてもよい。従って、本実施形態では、吸気通路が長い低速域用吸気通路28が最長の吸気通路(第1の吸気通路)となり、吸気通路が短い高速域用吸気通路26が最短の吸気通路(第2の吸気通路)となる。
【0011】
図4に示すように、吸気マニホールド22の低速域用吸気通路28は、サージタンク18から延びてサージタンク18を周囲を取り囲むように設けられている。また、低速用吸気通路28は、車両前方に向けてほぼ水平方向に延びる水平方向部28a及びこの水平方向部28aに連続して上方に向けてほぼ上下方向に延びる上下方向部28bを有している。
吸気マニホールド22の高速域用吸気通路26は、低速域用吸気通路28の水平方向部28aと重ねて設けられた水平方向部26aを有し、さらに、この水平方向部26aの下流側端が低速域用吸気通路28の上下方向部28bと連結されており、それより高速域用吸気通路26の下流側である上下方向部26bが低速域用吸気通路28の上下方向部28bと兼用されている。
【0012】
さらに、図4に示すように、サージタンク18と高速域用及び低速域用吸気通路26,28の上下方向部26b,28bとは、第1の連結部材32により連結されている。この第1の連結部材32は、車両前後方向に向けてほぼ水平方向に延びており、さらに、高速域用吸気通路26の水平方向部26aから所定の空間34だけ離間して設けられている。さらに、第1の連結部材32は、4本の吸気管24と連結され、図示されていないが、サージタンク18の水平方向全周を取り囲むように設けられている。
一方、高速域用及び低速域用吸気通路26,28の上下方向部26b,28bの下流端側には、エンジン1に対する取付け用のフランジ36が設けられており、この取付け用のフランジ36と吸気マニホールド22の後側部とが、第2の連結部材38により連結されている。第2の連結部材38も、同様に、ほぼ前後方向に延びており、4本の吸気管24と連結されている。なお、第1の連結部32は、第2の連結部38の水平方向両端のそれぞれに対して連結されている。
【0013】
図5は吸気装置2を車両の前方の上方から見た斜視図である。この図5に示すように、吸気マニホールド22の高速域用及び低速域用吸気通路26,28の4本の上下方向部26b,28bは、正面プレート40と共に樹脂により一体成形されている。この結果、4本の吸気管24の上下方向部26b,28bは、この正面プレート40を介してそれぞれ連結された構造となっている。
【0014】
次に上述した実施形態の動作を説明する。まず、空気(新気)は、フレッシュエアダクト4から吸入され、エアクリーナ6により吸入空気中のダストが取り除かれ、次に、エアホース8及びエアフローメータ10を経由して、拡大室12内に導入される。吸入空気は、拡大室12内で膨張する。吸入空気は、拡大室12からスロットルバルブ16を通過するため、このスロットルバルブ16により、吸入空気量が所望の値に調整される。さらに、吸入空気は、エアダクト20を経由してサージタンク18内に導入される。このサージタンク18内において、吸入空気は膨張して均一化され、吸気マニホールド22の各吸気管24に供給される。
【0015】
一方、車両が正面衝突するような場合、車両前方から吸気装置2に対して力が作用することになる。このとき、正面からの力は、まず、吸気マニホールド22の高速域用及び低速域用吸気通路26、28の4本の上下方向部26b,28bに作用し、次に、正面プレート40に伝わり、この正面プレート40により力が均一に分散する。この分散して小さくなった力は、第1の連結部材32及び重ねて設けられた高速域用及び低速域用吸気通路26,28の水平方向部26a,26bに伝達される。さらに、力は、サージタンク18にも伝達される。さらに、力は、最終的には、第2の連結部材38及び取付け用フランジ36を介してエンジン1側に伝達される。
【0016】
このように、本実施形態においては、第1の連結部材32、高速域用及び低速域用吸気通路26、28の水平方向部26a,26b、第2の連結部材38が、全て、水平方向、即ち、ほぼ前後方向に設けられているため、これらが、作用する力に対して前後方向に突っ張るため、吸気マニホールド22の前後方向の耐力が大幅に向上することになる。
この結果、本実施形態によれば、吸気マニホールド22が樹脂で形成されたものであっても、動的過給のための機構、即ち、高速域用及び低速域用吸気通路26,28の構成を有効に利用して、吸気装置2の前後方向の耐力を大幅に向上させることが可能となる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の内燃機関の吸気装置によれば、動的過給装置を備えたエンジンの吸気装置の吸気マニホールドを樹脂で形成した場合であっても、前後方向の耐力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関の吸気装置の一実施形態を示す全体概略斜視図である。
【図2】図1のA方向から見た部分側面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿って見た断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿って見た断面図である。
【図5】図1の吸気装置を車両の前方の上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
1 内燃機関(エンジン)
2 吸気装置
18 サージタンク
20 エアダクト
22 吸気マニホールド
24 吸気管
26 高速域用吸気通路(第2の吸気通路)
28 低速域用吸気通路(第1の吸気通路)
26a,28a 水平方向部
26b,28b 上下方向部
30 切換えバルブ
32 第1の連結部材
34 空間
36 取付け用フランジ
38 第2の連結部材
40 正面プレート

Claims (2)

  1. 車両の前方側にエンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内に車幅方向に向けてエンジンが配置され、このエンジンの前方側に配置されると共に動的過給手段を備えた内燃機関の吸気装置であって、
    樹脂により成形された吸気マニホールドと、この吸気マニホールドの上流側に接続され且つ吸気マニホールドのほぼ中心位置に設けられたサージタンクと、を備え、
    上記吸気マニホールドが、最長の吸気通路となる複数の第1の吸気通路と最短の吸気通路となる複数の第2の吸気通路を有し、上記第1の吸気通路は上記サージタンクから延びてサージタンク周囲を取り囲むように設けられ且つ車両前方に向けてほぼ水平方向に延びる水平方向部及びこの水平方向部に連続して上方に向けてほぼ上下方向に延びる上下方向部を有し、上記第2の吸気通路は上記第1の吸気通路の水平方向部と重ねて設けられた水平方向部を有し且つこの水平方向部の下流側端が上記第1の吸気通路の上下方向部と連結されそれより下流側が上記第1の吸気通路の上下方向部と兼用されており、
    更に、上記サージタンクと上記第1及び第2の吸気通路の上下方向部をほぼ前後方向に延びて連結し且つ上記第2の吸気通路から離間させて設けられた第1の連結部材を備えたことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
  2. 車両の前方側にエンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内に車幅方向に向けてエンジンが配置され、このエンジンの前方側に配置されると共に動的過給手段を備えた内燃機関の吸気装置であって、
    樹脂により成形された吸気マニホールドと、この吸気マニホールドの上流側に接続され且つ吸気マニホールドのほぼ中心位置に設けられたサージタンクと、を備え、
    上記吸気マニホールドが、最長の吸気通路となる複数の第1の吸気通路と最短の吸気通路となる複数の第2の吸気通路を有し、上記第1の吸気通路は上記サージタンクから延びてサージタンク周囲を取り囲むように設けられ且つ車両前方に向けてほぼ水平方向に延びる水平方向部及びこの水平方向部に連続して上方に向けてほぼ上下方向に延びる上下方向部を有し、上記第2の吸気通路は上記第1の吸気通路の水平方向部と重ねて設けられた水平方向部を有し且つこの水平方向部の下流側端が上記第1の吸気通路の上下方向部と連結されそれより下流側が上記第1の吸気通路の上下方向部と兼用されており、
    更に、上記吸気マニホールドの後側部と上記第1及び第2の吸気通路のエンジン取付部近傍をほぼ前後方向に延びて連結する第2の連結部材と、を備えたことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
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