JP4461118B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁と排気弁とのうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置に関する。
従来、案内回転体の案内溝内を案内される複数の可動体と、案内回転体を径方向に軸受する軸受回転体との間が複数のリンク機構部により個別に接続され、案内回転体の回転に応じた軸受回転体の回転によりバルブタイミングを変化させる装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このような装置において、案内回転体から軸受回転体へ至る運動伝達経路上の各要素は限定連鎖を形成しているため、それら各要素の作動状態は、実現するバルブタイミング毎に一義的に決まることとなる。
2005−048706号公報
上記構成の装置において案内回転体と軸受回転体との間には、通常、それらの相対回転を許容するために径方向の隙間が形成される。それ故、作動状態によっては、製造公差に起因した径方向の位置ずれが案内回転体と軸受回転体との間で生じようとするが、それら回転体間の隙間が過度に小さい場合、回転体同士が衝突して位置ずれが規制されてしまう。その結果、案内回転体が軸受回転体に対してこじり、作動ロックや強度低下を招くこととなる。また、通常、案内回転体の案内溝と可動体との間にも溝幅方向の隙間が形成されるため、位置ずれの規制状態で一部の可動体は案内溝に係合できたとしても、残りの可動体は案内溝に係合できずに案内溝から浮くというおそれもある。この場合、案内溝に係合する可動体や当該可動体に連繋するリンク機構部に荷重が集中するため、強度低下を招くこととなる。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、作動ロック及び強度低下を防止するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明によると、案内回転体を径方向に軸受する軸受部材と、各リンク機構部に連繋する連繋部材とが、それら部材の径方向における相対移動の可能な状態にて結合部材で結合されることにより、軸受回転体が形成され、案内回転体と軸受部材との間には、軸受部材に対する案内回転体の径方向の相対移動を任意の作動状態において許容する隙間が形成される。故に、案内回転体から軸受回転体へ至る運動伝達経路上の要素の製造公差に起因して、案内回転体が軸受部材に対して径方向へ位置ずれしたとしても、当該位置ずれが規制されることはない。したがって、位置ずれの規制により案内回転体が軸受部材に対してこじる事態も、位置ずれの規制により一部の可動体が案内溝から浮いて残りの可動体等に荷重が集中する事態も、回避される。このような請求項1に記載の発明によれば、作動ロック及び強度低下を防止することができる。
また、請求項1に記載の発明によると、上述したように軸受回転体は、案内回転体を軸受する軸受部材と、各リンク機構部に連繋する連繋部材とが結合部材により結合されてなる。これにより製造時には、案内回転体と軸受部材とを心合わせした状態で軸受部材と連繋部材とを結合することができるので、当該心合わせによって製造公差の影響を吸収することができる。この場合、案内回転体と軸受部材との間の隙間については、製品保証すべく製造公差の影響を考慮して設定する安全余裕分を小さくすることができるので、過大な隙間設定により軸受部材が本来の軸受機能を果たせなくなる事態を回避することができる。
請求項2に記載の発明によると、各リンク機構部は、クランク軸とカム軸とのうち一方に連動して回転する案内回転体と各可動体との間のみならず、クランク軸とカム軸とのうち他方に連動して回転する連動回転体と各可動体との間も接続している。こうした構成では、案内回転体の位置ずれを誘引する製造公差の発生要素は増加するが、位置ずれ自体は案内回転体と軸受部材との間の隙間により確実に許容されるので、作動ロック及び強度低下の防止効果は損なわれない。
請求項に記載の発明によると、円環状の弾性部材は、隙間を埋める形態で案内回転体と軸受部材との間に介装される。これにより製造時には、案内回転体と軸受部材との間に弾性部材を介装してそれら回転体の心合わせ作業を行うことで、円環状の弾性部材が復原力を発生することによる調心作用が得られるので、心合わせ作業がアシストされて容易となる。
請求項に記載の発明によると、軸受部材は、結合部材が挿入される挿入溝を有し、連繋部材は、結合部材に周方向に嵌合する嵌合孔を有している。これにより製造時には、結合部材を挿入溝に挿入且つ嵌合孔に嵌合した状態下、結合部材に対して軸受部材を挿入溝の延伸方向へ相対移動させることで、案内回転体と軸受部材とを心合わせしつつ軸受部材と連繋部材との結合位置を決定することができる。
請求項に記載の発明によると、連繋部材は、結合部材が挿入される挿入溝を有し、軸受部材は、結合部材に周方向に嵌合する嵌合孔を有している。これにより製造時には、結合部材を挿入溝に挿入且つ嵌合孔に嵌合した状態下、結合部材と共に軸受部材を挿入溝の延伸方向へ移動させることで、案内回転体と軸受部材とを心合わせしつつ軸受部材と連繋部材との結合位置を決定することができる。
請求項に記載の発明によると、結合部材は、挿入溝に圧入される大径部と、嵌合孔に圧入される小径部とを軸方向に有している。これにより製造時には、小径部を挿入溝に挿入且つ嵌合孔に圧入した状態で案内回転体と軸受部材とを心合わせした後、大径部を挿入溝に圧入することで、容易に軸受部材と連繋部材とを結合することができる。
請求項に記載の発明によると、結合部材は、挿入溝と嵌合孔とに圧入される大径部と、挿入溝に挿入される小径部とを軸方向に有している。これにより製造時には、大径部を嵌合孔に圧入すると共に小径部を挿入溝に挿入した状態で案内回転体と軸受部材とを心合わせした後、大径部を挿入溝に圧入することで、容易に軸受部材と連繋部材とを結合することができる。
請求項に記載の発明によると、一対の結合部材が個別に挿入される一対の挿入溝は、軸受部材の一径方向線に沿って延伸している。これにより製造時には、軸受部材の移動を当該軸受部材の一径方向線に沿って実現することができるので、案内回転体と軸受部材との心合わせを容易且つ正確に行うことができる。
請求項に記載の発明によると、各挿入溝は、一対の可動体を個別に案内する一対の案内溝の案内範囲の中央を通る径方向線に沿って延伸している。故に、径方向線に沿った軸受部材の移動により案内回転体と軸受部材とが心合わせされた後においては、各可動体が各案内溝の案内範囲の中央から両端へ達するまでに生じる案内回転体の位置ずれを小さく抑えることができる。これにより、案内回転体と軸受部材との間の隙間については、製造公差に起因の位置ずれを考慮して設定する安全余裕分を小さくすることができるので、過大な隙間設定により軸受部材が本来の軸受機能を果たせなくなる事態を回避することができる。
請求項10に記載の発明によると、軸受部材と連繋部材とは螺子で軸方向に共締めされるが、それらを結合する結合部材は軸受部材の径方向線に沿った挿入溝に挿入されているので、結合後の共締時に軸受部材が螺子と共に回転して位置ずれすることを規制できる。
請求項11に記載の発明によると、電動モータは、案内回転体を回転駆動するための回転トルクを発生するので、電動モータの回転トルク制御により高精度なバルブタイミング調整を実現することができる。尚、案内回転体を回転駆動するための回転トルクを発生する手段としては、電動モータ以外にも、例えば油圧モータや電磁ブレーキ等を用いてもよい。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
図2は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は、内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設けられている。バルブタイミング調整装置1は、クランク軸に連動して回転する駆動側回転体10に対して、カム軸2に連動して回転する従動側回転体18を相対回転駆動することにより、内燃機関の吸気弁のバルブタイミングを調整する。バルブタイミング調整装置1は、具体的には、電気制御系4と位相変化機構6とを組み合わせてなる。
電気制御系4は、電動モータ21及び通電制御回路22を備えている。電動モータ21は例えばブラシレスモータ等であり、内燃機関にステー(図示しない)を介して固定されるモータケース23並びにモータケース23により軸受されるモータ軸24を有している。通電制御回路22は駆動ドライバ及びその制御用マイクロコンピュータ等から構成されており、モータケース23の外部及び/又は内部に配置されて電動モータ21と電気的に接続されている。通電制御回路22は、電動モータ21のコイル(図示しない)への通電を内燃機関の運転状態等に応じて制御する。この通電制御に従って電動モータ21は、モータ軸24の周りに回転磁界を形成し、その回転磁界の方向に応じた方向X,Y(図5参照)の回転トルクをモータ軸24に発生する。尚、以下の説明では、電動モータ21が発生する回転トルクをモータトルクという。
位相変化機構6は、駆動側回転体10、従動側回転体18、減速ユニット30及びリンクユニット50を備えている。
図2〜4に示すように駆動側回転体10は全体として中空形状であり、減速ユニット30、リンクユニット50等を収容している。駆動側回転体10は、二段円筒状のスプロケット11の大径側端部に二段円筒状のカバー12の大径側端部を同軸上に螺子止めしてなる。スプロケット11において大径部13と小径部14との間を接続する平板状の接続部15には、複数の歯16が突出形成されており、これらの歯16とクランク軸の複数の歯との間で環状のタイミングチェーンが巻き掛けられる。故に、クランク軸から出力された機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット11へ伝達されるときには、駆動側回転体10がクランク軸との間の相対位相を保って回転中心O周りに回転する。このとき駆動側回転体10の回転方向は、図3,4の時計方向となる。
図2,3に示すように従動側回転体18は、固定部17、一対の連繋部19及び軸受部20を有している。固定部17は円筒状に形成され、駆動側回転体10と同心的に配置されている。固定部17は、接続部15の内周側に相対回転自在に嵌合している。これにより従動側回転体18は、駆動側回転体10を径方向に軸受している。さらに固定部17は、カム軸2に同軸上に連結されている。これにより従動側回転体18は、カム軸2との間の相対位相を保って回転中心O周りに回転可能となっていると共に、駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。尚、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して進角する相対回転方向が方向Xであり、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して遅角する相対回転方向が方向Yである。
固定部17において回転中心Oに関する180度の回転対称位置には、それぞれ平板状の連繋部19が突出形成されている。固定部17を軸方向に挟んでカム軸2とは反対側には、円筒状の軸受部20が形成されている。
図2,5に示すように減速ユニット30は、外歯車31、遊星キャリア32、内歯車33及び案内回転体34等から構成されている。
歯先円が歯底円の外周側に設定された外歯車31は、カバー12に同心的にリベットかしめされて駆動側回転体10と一体に回転可能となっている。
遊星キャリア32は全体として筒状であり、内周面35が駆動側回転体10及びモータ軸24と同心的に配置されている。遊星キャリア32の内周面35には溝部36が開口しており、この溝部36に嵌合する継手37を介して遊星キャリア32がモータ軸24に連結されている。これにより遊星キャリア32は、モータ軸24に連動して回転中心O周りに回転可能となっていると共に、駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。遊星キャリア32は、回転中心Oに対して偏心する偏心部38を外周面に有している。
遊星歯車である内歯車33は有底円筒状に形成され、歯先円が歯底円の内周側に設定された歯車部39を有している。歯車部39の歯底円は外歯車31の歯先円よりも大きく、また歯車部39の歯数は外歯車31の歯数よりも一つ多い。歯車部39は、外歯車31に対して偏心する形態で外歯車31の外周側に配置されており、その偏心側とは反対側で外歯車31に噛合している。内歯車33の中心孔41は歯車部39と同心的に配置され、この中心孔41がベアリング40を介して偏心部38に嵌合している。これにより内歯車33は、偏心部38の偏心中心E周りに自転しつつ偏心部38の回転方向へ公転する遊星運動を実現可能となっている。尚、本実施形態では、偏心部38に開口する収容孔42にU字状の板ばね43が収容されており、この板ばね43がベアリング40を介して内歯車33の中心孔41を押圧することにより、内歯車33が外歯車31にしっかりと噛合している。
図2,4に示すように案内回転体34は円環板状に形成され、従動側回転体18の軸受部20の外周側に相対回転自在に嵌合している。これにより案内回転体34は、軸受部20による径方向の軸受作用を受けて回転中心O周りに回転可能となっていると共に、回転体10,18に対して相対回転可能となっている。図2,5に示すように、案内回転体34において回転方向へ等間隔をあけた複数箇所には、係合孔48が形成されている。また、内歯車33において自転方向へ等間隔をあけた複数箇所には、係合突起49が形成されている。各係合突起49は各係合孔48に個別に遊挿されて係合することにより、内歯車33の遊星運動を許容しつつ内歯車33から案内回転体34へのトルク伝達を可能にしている。
こうした構成の減速ユニット30では、遊星キャリア32が駆動側回転体10に対して相対回転しないときには、内歯車33が遊星運動することなく駆動側回転体10と共に回転し、各係合突起49が係合孔48を回転側へ押圧する。その結果、案内回転体34が駆動側回転体10との間の相対位相を保ちつつ、図5の時計方向へ回転する。
モータトルクの方向Xへの増大等により遊星キャリア32が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転するときには、内歯車33が外歯車31との噛合歯を変化させつつ遊星運動することにより、各係合突起49が係合孔48を回転側へ押圧する力が増大する。その結果、案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転する。
一方、モータトルクの方向Yへの増大等により遊星キャリア32が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転するときには、内歯車33が外歯車31との噛合歯を変化させつつ遊星運動することにより、各係合突起49が係合孔48を反回転側へ押圧する。その結果、案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転する。
このような減速ユニット30によれば、モータトルクを増幅して案内回転体34へ伝達することで、当該案内回転体34を駆動側回転体10に対して相対回転駆動することができる。
図2〜4,6に示すようにリンクユニット50は、一対のリンク機構部51、溝形成部54及び一対の可動軸体56等から構成されている。尚、図2〜4は、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して最遅角したときのリンクユニット50の状態を示し、図6は、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して最進角したときのリンクユニット50の状態を示している。また、図3,4,6では、断面を表すハッチングの図示を省略している。
図2,3に示すように各リンク機構部51は、二種類のリンク52,53を組み合わせてなり、回転中心Oに関する180度の回転対称位置にそれぞれ配置されている。各リンク機構部51の第一リンク52は円弧形の平板状に形成され、接続部15の相異なる二箇所にそれぞれ軸体55を介した回り対偶によって連繋している。各リンク機構部51の第二リンク53はω字形の平板状に形成され、同一組の第一リンク52に可動軸体56を介した回り対偶によって連繋していると共に、対応する連繋部19に軸体57を介した回り対偶によって連繋している。
図2,4に示すように溝形成部54は、案内回転体34の内歯車33とは反対側部分により形成されている。溝形成部54においてその形状中心に関する180度の回転対称位置には、それぞれ案内溝58が形成されている。各案内溝58は所定の幅をもって延伸し、その延伸方向において回転中心Oからの距離が変化するように案内回転体34の径方向線に対して傾斜する曲線状である。ここで、図4,6に示すように本実施形態の案内溝58は、曲率が漸次変化する渦巻形の曲線状であり、方向Xへ向かうほど回転中心Oから離間するように傾斜している。また、本実施形態の案内溝58は、係合孔48と連通する箇所を除いて、案内回転体34を貫通しない有底溝状である。
図2〜4に示すように各可動軸体56は全体として円柱状であり、回転中心Oに対して偏心する形態で配置されている。各可動軸体56の一端部は、対応する案内溝58に滑動自在に嵌合している。これにより各可動軸体56は、案内回転体34の回転に応じて案内溝58内を当該溝58の延伸方向へ案内される。各可動軸体56の他端部は、対応するリンク機構部51において接続部15と連繋する第一リンク52に相対回転自在に嵌合している。これにより各リンク機構部51の第一リンク52は、各可動軸体56と駆動側回転体10との間を個別に接続した形となっている。各可動軸体56の中間部は、対応するリンク機構部51において連繋部19と連繋する第二リンク53に圧入固定されている。これにより各リンク機構部51の第二リンク53は、各可動軸体56と従動側回転体18との間を個別に接続した形となっている。
こうした構成のリンクユニット50では、案内回転体34が駆動側回転体10との間の相対位相を保っているときには、各可動軸体56が案内溝58内を案内されることなく案内回転体34と共に回転する。このとき、各リンク機構部51においてリンク52,53の相対位置関係は変化しないので、従動側回転体18が駆動側回転体10との間の相対位相を保ちつつ図4,6の時計方向へ回転する。したがって、バルブタイミングが保持される。
案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転するときには、各可動軸体56が案内溝58内を回転中心Oに対する接近側へ案内される。このとき各可動軸体56は、対応するリンク機構部51の第一リンク52を回転駆動しつつ、自身と回転中心Oとの間の距離を縮小するように移動する。その結果、各リンク機構部51の第二リンク53が可動軸体56により押圧されて連繋部19と共に方向Xへと駆動されるため、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して進角する。したがって、バルブタイミングが進角側へ変化する。
一方、案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転するときには、各可動軸体56が案内溝58内を回転中心Oに対する離間側へ案内される。このとき各可動軸体56は、対応するリンク機構部51の第一リンク52を回転駆動しつつ、自身と回転中心Oとの間の距離を拡大するように移動する。その結果、各リンク機構部51の第二リンク53が可動軸体56により引張られて連繋部19と共に方向Yへと駆動されるため、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して遅角する。したがって、バルブタイミングが遅角側へ変化する。
このようにリンクユニット50は、駆動側回転体10に対する案内回転体34の相対回転に追従した各可動軸体56の移動に応じ、駆動側回転体10に対する従動側回転体18の相対回転を各リンク機構部51で生じさせることで、バルブタイミングを変化させる。
次に、第一実施形態の特徴的構成について説明する。図2に示すように第一実施形態の従動側回転体18は、固定部17及び連繋部19を形成する連繋部材60と、軸受部20を形成する軸受部材61とを、一対の結合部材62により結合してなる。
図7に示すように各結合部材62は、円柱状の小径部63と、小径部63より大径円柱状の大径部64とを同軸上に有している。
図8に示すように、連繋部材60においてその形状中心(ここでは、回転中心Oと一致する)に関する180度の回転対称位置には、それぞれ円筒孔状の嵌合孔65が形成されている。また図3に示すように、軸受部材61においてその形状中心に関する180度の回転対称位置には、それぞれ長孔状の挿入溝66が形成されている。
図7に示すように各嵌合孔65には、対応する結合部材62の小径部63が周方向に嵌合し、特に第一実施形態では当該小径部63が圧入固定されている。また、各挿入溝66には、対応する結合部材62の大径部64が挿入され、特に第一実施形態では当該大径部64が圧入固定されている。これにより各挿入溝66は、幅方向両側の側壁67,68を大径部64に嵌合させていると共に、溝延伸方向において大径部64との間に空間部69を形成している。
図4,6に示すように従動側回転体18が駆動側回転体10に対して最遅角及び最進角するとき、一方の案内溝58の端部には可動軸体56が当接して係止されるが、他方の案内溝58の端部には可動軸体56が当接せず係止されない。したがって、一方の案内溝58による可動軸体56の案内範囲は、図9に示すように案内溝58の長さと一致する範囲W1であり、他方の案内溝58による可動軸体56の案内範囲は、図9に示すように案内溝58の長さより短い範囲W2である。そして第一実施形態では、これら各案内範囲W1,W2の中央C1,C2を通る軸受部材61の一径方向線Rに沿って、各挿入溝66が延伸している。尚、図9において、A1,A2は、従動側回転体18が最遅角したときに各可動軸体56が位置する案内範囲W1,W2の最遅角端を示し、またB1,B2は、従動側回転体18が最進角したときに各可動軸体56が位置する案内範囲W1,W2の最進角端を示している。
以上の構成により互いに結合されている連繋部材60と軸受部材61とは、図2に示すように、それら部材60,61からなる従動側回転体18をカム軸2と連結するボルト70によって軸方向に共締めされる。したがって、各結合部材62による結合力は、後述する案内回転体34と軸受部材61との心合わせ後、連繋部材60と軸受部材61とが共締めされるまでに軸受部材61が位置ずれしない程度であればよい。
図1に模式的に示すように、案内回転体34と軸受部材61の軸受部20との間には径方向の隙間80が形成されている。また、図2に示すように案内回転体34と軸受部材61の軸受部20との間には、ゴムからなる円環状のOリング82が介装されており、このOリング82が隙間80の軸方向の一部を周方向の全域に亘って埋めている。
次に、第一実施形態の特徴的製造方法について説明する。この製造方法では、まず、スプロケット11の接続部15、連繋部材60の連繋部19及び可動軸体56と連繋するリンク機構部51を一対形成する。
続いて、スプロケット11の内周側に案内回転体34を配置し、各リンク機構部51に連繋する可動軸体56を図1に示すように径方向線R上で案内溝58に嵌合する。このときには、各案内溝58の外周側の側壁84に可動軸体56を当接させておく。
さらに続いて、案内回転体34に装着されたOリング82の内周側に軸受部材61を圧入した後、図10に示すように各結合部材62の小径部63を軸受部材61の挿入溝66に挿通して、当該小径部63の大径部64とは反対側端部を連繋部材60の嵌合孔65に圧入する。このとき、小径部63の嵌合孔65への圧入量は、図7(a)に示す完全結合状態での圧入量より小さくされる。これにより、各結合部材62の大径部64が挿入溝66には圧入されず、また各結合部材62の小径部63が挿入溝66の側壁67,68に対して溝延伸方向へ摺動可能に嵌挿される。
この後、各結合部材62に挿入溝66の側壁67,68を摺動案内させつつ軸受部材61を径方向線Rに沿って動かすことにより、軸受部材61の軸受部20と案内回転体34とを正確に心合わせする。このとき、軸受部材61と案内回転体34との間のOリング82は、弾性変形により復原力を発生することで調心作用を発揮するので、心合わせ作業がアシストされる。
心合わせが完了したら、図7(a)に示すように各結合部材62の小径部63を嵌合孔65にさらに圧入しつつ、各結合部材62の大径部64を挿入溝66に圧入する。これにより、連繋部材60と軸受部材61とが結合部材62を介して結合され、従動側回転体18が形成される。
従動側回転体18の形成後には、スプロケット11にタイミングチェーンを巻き掛けると共に、ボルト70により連繋部材60と軸受部材61とを共締めしてカム軸2に固定する。このとき各結合部材62は、軸受部材61の径方向線Rに沿って長い挿入溝66の側壁67,68間に圧入されているので、ボルト70の締付トルクにより軸受部材61が連繋部材60に対して相対回転し案内回転体34に対して心ずれすることを防止できる。
以上の後、駆動側回転体10内に減速ユニット30を形成し、カバー12をスプロケット11に螺子止めする。さらに、モータ軸24を遊星キャリア32に連結し、電動モータ21と通電制御回路22とを電気的に接続することで、バルブタイミング調整装置1が完成する。
次に、第一実施形態による隙間80の設計方法について説明する。この設計方法では、(i)回転体10,18、リンク機構部51及び可動軸体56の製造公差に起因する案内回転体34の位置ずれ量と、(ii)案内溝58の製造公差に起因する案内回転体34の位置ずれ量と、を考慮する。
(i)案内範囲W1,W2の最遅角端A1,A2、最進角端B1,B2及び中央C1,C2における可動軸体56の位置(以下、軸体位置という)は、所定因子を製造公差の想定範囲内で変化させると、例えば図11(a),(b),(c)に示すようにばらつく。ここで所定因子とは、例えば第一リンク52の長さ、第二リンク53の長さ、第一リンク52と軸体55,56との間の隙間、第二リンク53と軸体55,57との間の隙間、軸体55,57との間の位置関係等である。尚、図11(a),(b),(c)において、縦軸方向は、最遅角端A1,A2、最進角端B1,B2及び中央C1,C2における可動軸体56の中心と回転中心Oとを通る径方向線(即ち、中央C1,C2では径方向線R)に沿った方向であり、縦軸方向は、当該径方向線の直交線に沿った方向である。
製品保証すべき軸体位置のばらつき範囲は、例えば図11(a),(b),(c)に示すように、菱形で囲まれた範囲D,D,Dとされる。したがって、範囲D,D,Dの縦軸方向の二つの頂点位置から、設計基準位置に対する軸体位置の径方向の保証ばらつき量として、±σ,±σ,±σが得られる。尚、ここで設計基準位置とは、製造公差が0であると仮定したときの軸体位置である。また、第一実施形態では、案内溝58が上述した渦巻形の曲線状に形成されていることにより、各保証ばらつき量の絶対値σ,σ,σが下記式(1)の関係を満たしている。
σ<σ<σ ・・・(1)
上述したように、製造時における軸受部材61と案内回転体34との心合わせは、中央C1,C2を通る径方向線R上において可動軸体56を案内溝58に嵌合した状態下、行われる。したがって、軸体位置のばらつきに起因する案内回転体34の位置ずれ量として製品保証すべき保証量±σは、中央C1,C2における保証ばらつき量の絶対値σと、それより大きな最進角端B1,B2における保証ばらつき量の絶対値σとを用いた下記式(2)にて表される。
±σ=±(σ−σ) ・・・(2)
(ii)案内溝58が上述した渦巻形の曲線状に形成されていることにより、案内回転体34における案内溝58の形成箇所が図9に示す設計箇所から左右へ最もずれると、回転中心Oに対する案内溝58の幅方向中心の位置(以下、溝中心位置という)が最もばらつく。
そこで、まず、右へのずれが最大となる場合を想定すると、溝中心位置は、図12(a)に示すように変化する。即ち溝中心位置は、最遅角端A1,A2と中央C1,C2との間では製造公差が0の設計基準位置よりも回転中心Oに対する離間側において、また最進角端B1,B2と中央C1,C2との間では設計基準位置よりも回転中心Oに対する接近側において、線形変化する。したがって、この場合の変化幅は、最遅角端A1,A2における溝中心位置と最進角端B1,B2における溝中心位置との差Δにて表される。
これに対して、左へのずれが最大となる場合を想定すると、溝中心位置は、図12(b)に示すように変化する。即ち溝中心位置は、最遅角端A1,A2と中央C1,C2との間では設計基準位置よりも回転中心Oに対する接近側において、また最進角端B1,B2と中央C1,C2との間では設計基準位置よりも回転中心Oに対する離間側において、線形変化する。したがって、この場合の変化幅も、最遅角端A1,A2における溝中心位置と最進角端B1,B2における溝中心位置との差Δにて表される。
上述したように、軸受部材61と案内回転体34との心合わせは、中央C1,C2を通る径方向線R上において可動軸体56を案内溝58に嵌合した状態下、行われる。したがって、溝中心位置の変化に起因する案内回転体34の位置ずれ量として製品保証すべき保証量±σiiは、図12(a),(b)に示す変化幅Δを用いた下記式(3)にて表される。
±σii=±Δ/2 ・・・(3)
以上説明した(i),(ii)の考慮結果から第一実施形態では、下記式(4)にて示すように、上記式(2),(3)から求められる保証量の絶対値σ,σiiの和の2倍を、隙間80の径方向のトータルサイズ(幅)として設定する。
δ=2(σ+σii)=2(σ−σ)+Δ ・・・(4)
このような設計により隙間80は、案内回転体34の径方向の位置ずれを任意の作動状態において許容するサイズδとなる。故に、製造公差に起因して案内回転体34が位置ずれしたとしても、当該位置ずれは規制されることがないので、軸受部材61に対する案内回転体34のこじりや、一方の可動軸体56及び一方のリンク機構部51における荷重の集中を回避することができる。したがって、第一実施形態によれば、バルブタイミング調整装置1の作動ロック及び強度低下を防止することができる。
また、隙間80のサイズδを規定するために案内回転体34の位置ずれ保証量として求められる±σ,±σiiは、軸受部材61と案内回転体34との心合わせの結果、非常に小さくなる。これにより、隙間80のサイズδも非常に小さくなるので、軸受部材61により案内回転体34の軸受機能を十分に果たすことができる。
尚、以上の第一実施形態では、従動側回転体18が特許請求の範囲に記載の「軸受回転体」に相当し、可動軸体56が特許請求の範囲に記載の「可動体」に相当する。また、第一実施形態では、駆動側回転体10が特許請求の範囲に記載の「連動回転体」に相当し、Oリング82が特許請求の範囲に記載の「弾性部材」に相当し、ボルト70が特許請求の範囲に記載の「螺子」に相当する。
(第二実施形態)
図13〜15に示す本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例であり、結合部材62による連繋部材60と軸受部材61との結合形態が第一実施形態とは異なっている。
図13に示すように、軸受部材61においてその形状中心に関する180度の回転対称位置には、それぞれ円筒孔状の嵌合孔100が形成されている。また図14に示すように、連繋部材60においてその形状中心(ここでは、回転中心Oと一致する)に関する180度の回転対称位置には、それぞれ長孔状の挿入溝110が軸受部材61の一径方向線Rに沿って延伸する形態で形成されている。
図15に示すように各嵌合孔100には、対応する結合部材62の大径部64が周方向に嵌合し、特に第二実施形態では当該大径部64が圧入固定されている。また、各挿入溝110には、対応する結合部材62の大径部64及び小径部63が挿入され、特に第一実施形態では当該大径部64が圧入固定されている。これにより各挿入溝110は、幅方向両側の側壁111,112を大径部64に嵌合且つ小径部63から離間させていると共に、溝延伸方向において大径部64及び小径部63との間に空間部113を形成している。
このような第二実施形態の製造方法において、Oリング82の内周側への軸受部材61の圧入後には、図16に示すように各結合部材62の小径部63を軸受部材61の嵌合孔100及び連繋部材60の挿入溝110に順次挿入して、各結合部材62の大径部64を当該嵌合孔100に圧入する。このとき、各結合部材62の大径部64は挿入溝110には圧入されず、それにより各結合部材62の小径部63が挿入溝110の側壁111,112に対して溝延伸方向へ摺動可能に嵌挿される。
また、この後には、各結合部材62を挿入溝110の側壁111,112に摺動案内させつつ、それら各結合部材62と共に軸受部材61を径方向線Rに沿って動かすことにより、軸受部材61の軸受部20と案内回転体34とを正確に心合わせする。さらに、この心合わせが完了したら、図15(a)に示すように各結合部材62の大径部64において嵌合孔100への圧入位置を変化させつつ、当該大径部64を挿入溝110に圧入する。これにより、連繋部材60と軸受部材61とが結合部材62を介して結合され、従動側回転体18が形成される。
こうして製造される第二実施形態においても、第一実施形態と同様な方法により隙間80を設計することができるので、バルブタイミング調整装置1の作動ロック及び強度低下を防止することができる。
(第三実施形態)
図17に示す本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例であり、従動側回転体150が一部材で形成されている。これにより製造時には、Oリング82の調心作用のみにより軸受部20と案内回転体34とを概ね心合わせした状態下、各可動軸体56を案内溝58に嵌合することになる。そのため、各可動軸体56を嵌合可能な位置(以下、単に嵌合位置という)は、案内範囲W1,W2内でばらつく。したがって、第三実施形態では、軸受部20と案内回転体34との間の隙間80の設計方法が第一実施形態の場合と異なっている。
即ち、嵌合位置のばらつきを考慮して製品保証する必要が生じるため、要素10,18,51,56の製造公差に起因する案内回転体34の位置ずれ量については、図11(a),(b),(c)に示す保証ばらつき量±σ,±σ,±σのうち絶対値が最大の±σを保証量±σとする。また、同様の理由により、案内溝58の製造公差に起因する案内回転体34の位置ずれ量については、図12(a),(b)に示す変化幅Δを用いた下記式(5)にて表される値を保証量±σiiとする。したがって、第三実施形態では、下記式(6)にて表される値が隙間80の径方向のトータルサイズδとして設定される。
±σii=±Δ ・・・(5)
δ=2(σ+σii)=2σ+2Δ ・・・(6)
このような第三実施形態によれば、サイズδの隙間80が案内回転体34の位置ずれを任意の作動状態において許容することができるので、バルブタイミング調整装置1の作動ロック及び強度低下を防止することができる。尚、以上の第二実施形態では、従動側回転体150が特許請求の範囲に記載の「軸受回転体」に相当する。
(他の実施形態)
本発明は、上述した実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の実施形態に適用することができる。
例えば、案内溝58については、方向Yへ向かうほど回転中心Oから離間するように傾斜していてもよいし、あるいは曲線状以外の例えば直線状等であってもよい。また、案内溝58については、可動軸体56と同数設ける以外にも、複数の可動軸体56に共通の一つを設けるようにしてもよい。さらにまた、リンク機構部51については、第一リンク52及び軸体55を設けないで、可動軸体56を接続部15にスライド嵌合させることで滑り回り対偶による連繋を実現してもよい。
さらに、図18(同図は、第一実施形態の変形例)に示すように、係合突起49を有し遊星キャリア32により支持される外歯車200を内歯車33の代わりに設けると共に、当該外歯車200に噛合する内歯車202を外歯車31の代わりに回転体10に設けてもよい。また、回転体10をカム軸2と連動して回転させ、且つ回転体18をクランク軸と連動して回転させてもよい。さらにまた、電動モータ21の代わりに、電磁ブレーキ装置や油圧モータ等を用いてもよい。
加えて、本発明は、吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用してもよい。
本発明の第一実施形態の特徴的構成を説明するための模式図である。 本発明の第一実施形態の全体構成を示す図であって、図3のII−II線断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 図2のV−V線断面図である。 図4とは異なる作動状態を示す断面図である。 本発明の第一実施形態の特徴部分を拡大して示す断面図(a)及び側面図(b)である。 本発明の第一実施形態の特徴部分を示す側面図である。 本発明の第一実施形態の特徴部分を説明するための模式図である。 本発明の第一実施形態の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第一実施形態の設計方法を説明するための模式図である。 本発明の第一実施形態の設計方法を説明するための模式図である。 本発明の第二実施形態を示す図であって、図3に対応する断面図である。 本発明の第二実施形態の特徴部分を示す側面図である。 本発明の第二実施形態の特徴部分を拡大して示す断面図(a)及び側面図(b)である。 本発明の第二実施形態の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第三実施形態を示す図であって、図2に対応する断面図である。 図2の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 電気制御系、6 位相変化機構、10 駆動側回転体(連動回転体)、11 スプロケット、15 接続部、17 固定部、18,150 従動側回転体(軸受回転体)、19 連繋部、20 軸受部、21 電動モータ、30 減速ユニット、34 案内回転体、50 リンクユニット、51 リンク機構部、52 第一リンク、53 第二リンク、54 溝形成部、55,57 軸体、56 可動軸体(可動体)、58 案内溝、60 連繋部材、61 軸受部材、62 結合部材、63 小径部、64 大径部、65,100 嵌合孔、66,110 挿入溝、67,68,111,112 側壁、70 ボルト(螺子)、80 隙間、82 Oリング(弾性部材)、A1,A2 最遅角端、B1,B2 最進角端、C1,C2 中央、R 径方向線、W1,W2 案内範囲

Claims (11)

  1. 案内溝を有する案内回転体と、
    前記案内回転体を径方向に軸受する軸受回転体と、
    前記案内回転体の回転に応じて前記案内溝内を案内される複数の可動体と、
    前記軸受回転体と各前記可動体との間を個別に接続し、各前記可動体の移動に応じて前記軸受回転体を回転駆動する複数のリンク機構部と、
    を備え、クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁と排気弁とのうち少なくとも一方のバルブタイミングを前記軸受回転体の回転に応じて調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置において、
    前記案内回転体を径方向に軸受する軸受部材と、各前記リンク機構部に連繋する連繋部材とが、それら部材の径方向における相対移動の可能な状態にて結合部材で結合されることにより、前記軸受回転体が形成され、
    前記案内回転体と前記軸受部材との間には、前記軸受部材に対する前記案内回転体の径方向の相対移動を任意の作動状態において許容する隙間が形成されることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記クランク軸と前記カム軸とのうち一方に連動して回転する前記軸受回転体と、
    前記クランク軸と前記カム軸とのうち他方に連動して回転する連動回転体と、
    前記連動回転体と各前記可動体との間を個別に接続し、各前記可動体の移動に応じて前記軸受回転体を前記連動回転体に対して相対回転駆動する複数の前記リンク機構部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記隙間を埋める形態で前記案内回転体と前記軸受部材との間に介装される円環状の弾性部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記軸受部材は、前記結合部材が挿入される挿入溝を有し、
    前記連繋部材は、前記結合部材に周方向に嵌合する嵌合孔を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記連繋部材は、前記結合部材が挿入される挿入溝を有し、
    前記軸受部材は、前記結合部材に周方向に嵌合する嵌合孔を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記結合部材は、大径部と小径部とを軸方向に有し、
    前記大径部は前記挿入溝に圧入され、前記小径部は前記嵌合孔に圧入されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記結合部材は、大径部と小径部とを軸方向に有し、
    前記大径部は前記挿入溝と前記嵌合孔とに圧入され、前記小径部は前記挿入溝に挿入されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記軸受部材と前記連繋部材とは、一対の前記挿入溝に個別に挿入されると共に一対の前記嵌合孔に個別に嵌合する一対の前記結合部材により結合されており、
    各前記挿入溝は、前記軸受部材の一径方向線に沿って延伸していることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記案内回転体は、一対の前記可動体を個別に案内する一対の前記案内溝を有し、
    各前記挿入溝は、各前記案内溝の案内範囲の中央を通る前記径方向線に沿って延伸していることを特徴とする請求項に記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記軸受部材と前記連繋部材とを軸方向に共締めする螺子を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 前記案内回転体を回転駆動するための回転トルクを発生する電動モータを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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