JP2005048706A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可動体の揺動を防止するバルブタイミング調整装置を提供する。
【解決手段】 一定幅の案内路64を形成する案内部材25、案内路64の幅方向両側から案内部材25が嵌合し、案内部材25に対し相対滑り可能な可動体26,27、可動体26,27がリンク28,29に嵌合することで案内部材25及び可動体26,27と共に限定連鎖を構成し、案内部材25に対する可動体26,27の相対滑りに伴い駆動軸に対する従動軸の回転位相を変化させる位相変化機構10を設ける。可動体26は芯部材70及び殻部材72で構成され、芯部材70は円形輪郭の外周面部71を有し、殻部材72は外周面部71に相対回転可能に嵌合する円形輪郭の内周面部73及び内周面部73に対し偏心した円形輪郭の外周面部74を有し、外周面部71が案内部材25に相対回転可能に嵌合し、外周面部74がリンク28,29に相対回転可能に嵌合する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の弁の開閉タイミング(以下、バルブタイミングという)を調整する内燃機関(以下、エンジンという)のバルブタイミング調整装置に関する。
従来、バルブタイミング調整装置は、エンジンにおいて吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の弁を開閉駆動する従動軸に駆動軸の駆動トルクを伝達する伝達系に設けられ、駆動軸に対する従動軸の回転位相を変化させることでバルブタイミングを調整する。
特許文献1に開示のバルブタイミング調整装置では、駆動軸と同期して回転する駆動プレートと、従動軸と同期して回転するレバーとをリンクで連繋すると共に、リンクと中間回転体とを可動体を介して連繋することで、限定連鎖を構成している。可動体は、中間回転体の渦巻溝に相対滑り可能に嵌合する球と、球を同心的に保持する半球状の窪みを有し対応リンクの孔に同心的に嵌合するリテーナとから構成されている。中間回転体の回転により可動体を中間回転体に対し相対滑りさせてリンクを動かすことで、駆動プレートに対しレバーを相対回転させて駆動軸に対する従動軸の回転位相を変化させている。
特開2003−3810公報
特許文献1に開示のバルブタイミング調整装置では、複数のレバーに対応してリンクが複数設けられており、同じ中間体に嵌合した複数の可動体が各々対応するリンクに嵌合している。限定連鎖において各可動体の移動位置は駆動軸に対する従動軸の回転位相に応じて一意となるが、限定連鎖をなす各要素の製造公差及び組付公差により、ある回転位相での各可動体の移動位置は製品毎にばらつく。そのため、各可動体を、同じ中間体に設けられた溝に嵌合するには、各可動体の移動位置の製品ばらつきを考慮して溝幅を可動体の球の直径より十分に大きく設定しなければならない。この場合、可動体の球とそれを挟む溝内壁との間に大きなクリアランスが生じるので、溝の幅方向において球が揺動する。揺動する球は溝内壁と衝突して打音及び摩耗を発生する。また、ある移動位置での球の揺動方向を制御することは困難であるため、その球の揺動方向に応じて駆動軸に対する従動軸の回転位相が変動する。
本発明の目的は、可動体の揺動を防止するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1〜12に記載の発明によると、案内路の幅方向両側から案内部材が嵌合すると共に各々対応する位相変化機構のリンクに嵌合して限定連鎖を構成する複数の可動体のうち少なくとも一つは、芯部材及び殻部材を組み合わせて構成されている。その少なくとも一つの可動体(以下、複合可動体という)においては、芯部材の円形輪郭の外周面部がリンク及び案内部材の一方と殻部材の円形輪郭の内周面部とに相対回転可能に嵌合し、殻部材の円形輪郭の外周面部がリンク及び案内部材の他方に相対回転可能に嵌合している。このような構成の装置を組み立てるにあたり、位相変化機構のリンクに嵌合した可動体を同じ案内部材に嵌合する際には、複合可動体の芯部材及び殻部材のうち案内部材に嵌合する一方(以下、嵌合部材ともいう)が案内路に対し位置ずれし、嵌合部材に嵌合できなくなることがある。これは、位相変化機構において各リンクの製造公差及び組付公差が生じるからである。しかし請求項1〜12に記載の発明では、複合可動体の殻部材において外周面部に対し偏心する内周面部に芯部材が嵌合しているため、芯部材に対し殻部材を相対回転させることで案内路に対する嵌合部材の位置ずれを解消して、嵌合部材を案内部材に嵌合できる。したがって、位相変化機構における製造公差及び組付公差を考慮して案内路の幅を大きく設定しなくても小さなクリアランスで可動体を案内部材に嵌合することが可能になる。さらに、組立後の作動中に可動体が案内部材に対して相対滑りする際には、複合可動体において殻部材が芯部材に対し相対回転することで、各可動体と案内部材との嵌合状態が維持される。そのため、案内部材と可動体との間のクリアランスが小さくても案内部材に対する可動体の相対滑りが妨げられない。このように案内部材と可動体との間のクリアランスを小さくできる結果、案内路の幅方向における可動体の揺動が抑制されるため、打音及び摩擦を軽減でき、またその揺動によりシャフト位相が変動することを防止できる。
請求項2に記載の発明によると、殻部材及び芯部材の一方は、その他方に対する相対回転方向の少なくとも一箇所に位置決め溝を有する。これにより、装置の組立時に殻部材を芯部材に対して容易に相対回転させることができるので、組立作業が簡素化される。
請求項3に記載の発明によると、芯部材の外周面部及び殻部材の外周面部のうち案内部材に嵌合する一方の直径と案内路の幅との差は0.15mm以下に設定される。これにより、案内路の幅方向における可動体揺動の抑制効果が向上する。
請求項4に記載の発明によると、芯部材の外周面部及び殻部材の内周面部は共に円筒面状に形成される。請求項5に記載の発明によると、芯部材の外周面部は球面状に形成され、殻部材の内周面部はテーパ面状に形成される。このような請求項4及び5に記載の発明によれば、殻部材で芯部材を径方向への相対移動不能に確実に保持できる。
請求項6〜8に記載の発明によると、案内部材は、径方向軸線に対し傾斜して延伸すると共に回転中心線からの径方向距離が変化する案内路を形成し、その案内路の幅方向両側から可動体に嵌合している。これにより、トルク伝達手段から案内部材に制御トルクを伝達してその案内部材を対応リンクに対し相対回転させることで、可動体を案内部材に対して容易に相対滑りさせることができる。
請求項8に記載の発明によると、トルク伝達手段は、制御トルクを発生する電動機を有する。これにより、トルク付与手段の構成を簡素化しつつ、制御トルクを確実に発生させることができる。
請求項9〜12に記載の発明によると、案内部材に対する可動体の相対滑り運動が位相変化機構により第一回転部材に対する第二回転部材の相対回転運動に変換されることで、駆動軸に対する従動軸の回転位相が変化する。ここで、位相変化機構のリンクとしての第一回転部材及び第二回転部材はそれぞれ駆動軸及び従動軸と同期して回転するので、第一回転部材に対する第二回転体部材の回転位相は駆動軸に対する従動軸の回転位相と実質的に一致する。したがって、第一回転部材に対する第二回転体部材の回転位相を制御することで、駆動軸に対する従動軸の回転位相を精密に調整できる。
請求項9に記載の発明によると、位相変化機構は、第一回転部材と回り対偶により連繋する第一腕部材と、第二回転部材及び第一腕部材と回り対偶により連繋する第二腕部材をそれぞれリンクとして有し、また可動体は、第一腕部材及び第二腕部材の少なくとも一方に回り対偶により嵌合している。請求項10に記載の発明によると、位相変化機構は、第一回転部材及び第二回転部材の一方と回り対偶により連繋する腕部材をリンクとして有し、また可動体は、第一回転部材及び第二回転部材の他方に滑り回り対偶により嵌合すると共に腕部材に回り対偶により嵌合している。請求項11に記載の発明によると、位相変化機構は、第一回転部材及び第二回転部材の一方と回り対偶により連繋すると共に第一回転部材及び第二回転部材の他方と滑り回り対偶により連繋する腕部材をリンクとして有し、また可動体は、腕部材に回り対偶により嵌合している。請求項12に記載の発明によると、可動体は、第一回転部材及び第二回転部材に滑り回り対偶により嵌合している。このような請求項9〜12に記載の発明によれば、比較的簡素な構成により限定連鎖を実現できる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置を図2に示す。第一実施形態のバルブタイミング調整装置1は、エンジンにおいて駆動軸としてのクランクシャフトの駆動トルクを従動軸としてのカムシャフト2に伝達する伝達系に設けられている。バルブタイミング調整装置1は、クランクシャフトに対するカムシャフト2の回転位相を変化させることで、エンジンの吸気弁もしくは排気弁のバルブタイミングを調整する。
図2及び図3に示す位相変化機構10は、スプロケット11、出力軸16並びに腕部材28,29を複数のリンクとして連繋することで構成され、クランクシャフトに対するカムシャフト2の回転位相を変化させる。
スプロケット11は、支持筒部12、支持筒部12より大径の入力筒部13、支持筒部12と入力筒部13との間を階段状に繋ぐリンク部14を一体に有している。支持筒部12は、出力軸16の外周壁により回転中心線O周りに相対回転可能に支持されている。入力筒部13に形成された複数の歯13aとクランクシャフトに形成された複数の歯とにチェーンベルトが掛け渡される。クランクシャフトの駆動トルクがチェーンベルトを通じて入力筒部13に入力されるとき、スプロケット11はクランクシャフトに対する回転位相を保ちつつ回転中心線Oの周りに図3の時計方向に回転する。即ちスプロケット11は、クランクシャフトと同期して回転する第一回転部材である。
出力軸16は、固定部17及びリンク部18を一体に有している。固定部17の一端部にカムシャフト2の一端部が同心上にボルト固定されており、出力軸16はカムシャフト2に対する回転位相を保ちつつ回転中心線O周りに回転する。即ち出力軸16は、カムシャフト2と同期して回転する第二回転部材である。この同期回転によりスプロケット11に対する出力軸16の回転位相は、クランクシャフトに対するカムシャフト2の回転位相と実質的に一致する。
腕部材28,29は、入力筒部13に固定のカバー15とリンク部14とによって、リンク部18、案内部材25、可動体26,27、並びに減速機20の遊星歯車22及び伝達部材24と共に挟持されている。腕部材28はリンク部14と回り対偶により連繋し、腕部材29はリンク部18及び腕部材28と回り対偶により連繋している。かかる連繋構造により出力軸16は、クランクシャフトの回転に伴ってスプロケット11と同じ図3の時計方向に回転する。また、かかる連繋構造により出力軸16は、スプロケット11に対して遅角する方向である遅角方向Yと、スプロケット11に対して進角する方向である進角方向Xとに相対回転可能となっている。
図2に示す可動体26,27は案内部材25に滑り回り対偶により嵌合すると共に、位相変化機構10の腕部材28,29に回り対偶により嵌合している。これにより、可動体26,27、案内部材25及び位相変化機構10は共同して限定連鎖を構成している。
図2及び図4に示す電動機30は、ハウジング31、軸受32、回転軸33、ステータ34等から構成されている。
ハウジング31はステー35を介してエンジンに固定されている。ハウジング31には二つの軸受32及びステータ34が収容固定されている。
回転軸33は各軸受32により回転中心線O方向の二箇所を支持され、回転中心線O周りに回転可能である。回転軸33は、偏心軸19に軸継手36を介して連結固定されており、偏心軸19と一体となって図4の時計方向に回転する。回転軸33は、その本体33aから径方向外側に突出する円形板状のロータ部33bを有している。ロータ部33bの外周壁に複数の磁石37が埋設されている。磁石37は例えば希土類磁石等の永久磁石で構成され、回転中心線O周りに等間隔に並んでいる。
ステータ34は回転軸33の外周側に配置されており、円筒状の本体40、コア41及びコイル42を有している。コア41は複数枚の鉄片を積層して形成され、本体40の内周壁から回転軸33側に向かって突出している。コア41は、回転中心線O周りに等間隔に並ぶ形態で複数配設されている。各コア41にはコイル42が巻回しされている。ステータ34は、図示しない制御回路による各コイル42への通電状態に応じて回転軸33の外周側に磁界を形成する。ここで制御回路による各コイル42への通電は、各コイル42が形成する磁界によって遅角方向Yの制御トルクと進角方向Xの制御トルクとを回転軸33に付与するように実施される。具体的には、各コイル42が図4の反時計方向の回転磁界を回転軸33の外周側に形成するとき、その形成磁界内において各磁石37が吸引力と反発力とを受けることにより、遅角方向Yの制御トルクが回転軸33に付与される。また一方、各コイル42が図4の時計方向の回転磁界を回転軸33の外周側に形成するとき、その形成磁界内において回転軸33の各磁石37が吸引力と反発力とを受けることにより、進角方向Xの制御トルクが回転軸33に付与される。
尚、制御トルクを発生する電動機30については、上述した構成以外にも、公知の電動機における構成を採用することができる。また、クランクシャフトの駆動トルクを伝達されることで回転するブレーキ部材並びにブレーキ部材を磁気吸引するソレノイドを有し、ソレノイドに磁気吸引されたブレーキ部材に生じる制動トルクを制御トルクとして用いるように構成した装置を、電動機30の代わりに用いてもよい。
図2及び図5に示す減速機20は、リングギア21、偏心軸19、遊星歯車22、ベアリング23、伝達部材24等から構成されている。
リングギア21は入力筒部13の内周壁に同心上に固定されている。リングギア21は、歯先曲面が歯底曲面の内周側にある内歯車で構成されている。リングギア21はスプロケット11と一体となって回転中心線O周りに図5の時計方向に回転する。
偏心軸19は、電動機30の回転軸33に連結固定されることで回転中心線Oに対し偏心して配設されている。図5においてPは偏心軸19の中心軸線を表している。
遊星歯車22は、歯先曲面が歯底曲面の外周側にある外歯車で構成されている。遊星歯車22の歯先曲面の曲率半径はリングギア21の歯底曲面の曲率半径よりも小さく、遊星歯車22の歯数はリングギア21の歯数よりも1つ少ない。遊星歯車22は、複数の歯の一部をリングギア21の複数の歯の一部に噛み合わせる形態でリングギア21の内周側に遊星運動可能に配設されている。遊星歯車22には円筒孔22bが同心上に形成されており、偏心軸19の一端部がベアリング23を介して円筒孔22bに相対回転可能に嵌合されている。この嵌合により偏心軸19及び回転軸33がスプロケット11に対して遅角方向Y及び進角方向Xに相対回転可能となっている。
伝達部材24は円形平板状を呈し、両板面が回転中心線Oの平行線に垂直となる形態で配設されている。伝達部材24の複数箇所には円筒孔状の係合孔24aが形成されており、各係合孔24aは回転中心線O周りに等間隔に配設されている。遊星歯車22は、各係合孔24aと向き合う箇所から円柱状に突出する係合突起22aを有している。各係合突起22aは偏心軸19の偏心軸線P周りに等間隔に配設されており、向かい合う係合孔24aに突入している。伝達部材24を挟んで反遊星歯車側に配設された案内部材25は、伝達部材24に一体回転可能に固定されている。
回転軸33から偏心軸19に制御トルクが伝達されないとき、遊星歯車22は偏心軸19に対し相対回転しない。これにより遊星歯車22はクランクシャフトの回転に伴って、リングギア21に対する回転位相を崩すことなくリングギア21と噛み合いながらスプロケット11、偏心軸19及び回転軸33と一体に回転する。このとき係合突起22aが係合孔24aの内周壁を回転方向(ここでは進角方向X)に押圧するため、案内部材25と共に伝達部材24は、スプロケット11に対する回転位相を保ったまま回転中心線O周りに図5の時計方向へ回転する。
回転軸33から偏心軸19に遅角方向Yの制御トルクが伝達されるとき、遊星歯車22は、偏心軸19周りのベアリング23により中心孔内壁を押圧されつつリングギア21の作用を受けて、偏心軸19に対し進角方向Xに相対回転する。それと同時に遊星歯車22は、リングギア21と部分的に噛み合いつつスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転する。これにより係合突起22aが係合孔24aを進角方向Xに押圧する力が増大するため、案内部材25と共に伝達部材24はスプロケット11に対して進角方向Xに相対回転する。以上のようにして減速機20は、偏心軸19に伝達された遅角方向Yの制御トルクについてその向きを進角方向Xに変えて増大し、伝達部材24から案内部材25に伝達する。
回転軸33から偏心軸19に進角方向Xの制御トルクが伝達されるとき、偏心軸19周りのベアリング23で押圧されつつリングギア21の作用を受ける遊星歯車22は、偏心軸19に対し遅角方向Yに相対回転する。それと同時に遊星歯車22は、リングギア21と部分的に噛み合いつつスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転する。これにより係合突起22aが係合孔24aを遅角方向Yに押圧するようになるため、案内部材25と共に伝達部材24はスプロケット11に対して遅角方向Yに相対回転する。以上のようにして減速機20は、偏心軸19に伝達された進角方向Xの制御トルクについてその向きを遅角方向Yに変えて増大し、伝達部材24から案内部材25に伝達する。
尚、制御トルクを案内部材25に伝達する減速機20については、上述した構成以外にも、公知の減速機における構成を採用することができる。また、減速機20を設けないで、制御トルクを案内部材25に直接に伝達するようにしてもよい。
以上説明した電動機30及び減速機20からなるトルク伝達手段を装置1は備えている。
次に、案内部材25、可動体26,27及び位相変化機構10で構成される限定連鎖について図1、図3及び図6〜図12に基づき詳細に説明する。ここで図1及び図3は、スプロケット11に対する出力軸16の回転位相が最遅角位相となった状態を示し、図8及び図12は、スプロケット11に対する出力軸16の回転位相が最進角位相となった状態を示している。尚、図1、図3、図8及び図12では、断面を表すハッチングを省略している。
図1、図6及び図7に示すように案内部材25は円形平板状を呈し、両板面25a,25bが回転中心線Oの平行線に垂直となる形態で配設されている。案内部材25には、板面25bから突出する固定部材60が一体に形成されている。固定部材60に伝達部材24が嵌合固定されているので、案内部材25及び伝達部材24は回転中心線O周りに一体回転可能となっている。案内部材25は、可動体26,27をそれぞれ案内する二つの案内孔部62を有している。各案内孔部62は案内部材25の両板面25a,25bに開口し、互いに180°の回転対称となるように回転中心線Oを挟む二箇所に配設されている。各案内孔部62は、その互いに向き合う内壁部62a,62b間に案内路64を形成している。各案内孔部62が形成する案内路64は、案内部材25の径方向軸線に対し傾斜して一定幅で延伸すると共に回転中心線Oからの径方向距離が変化する形状を呈している。特に本実施形態の案内路64は、回転中心線Oから離れるに従って遅角方向Yに傾斜する直線状に延伸している。
尚、案内路64については、案内部材25の径方向軸線に対し傾斜して一定幅で延伸すると共に回転中心線Oからの径方向距離が変化する形状であれば、直線状の他にも、渦巻状等に形成することができる。
図1及び図6に示すように可動体26は、芯部材70及び殻部材72を組み合わせて構成されている。芯部材70は円柱状を呈しており、回転中心線Oに垂直な仮想平面Sとの交線で表される輪郭が円形である円筒面状の外周面部71を有している。芯部材70は、外周面部71の円形輪郭の中心線Lが回転中心線Oに対し偏心する形態で伝達部材24とリンク部14の間に挟持されている。殻部材72は筒状を呈しており、仮想平面Sとの交線で表される輪郭が円形である円筒面状の内周面部73及び外周面部74を有している。内周面部73の円形輪郭の中心線Mに対し外周面部74の円形輪郭の中心線Nは偏心している。内周面部73は芯部材70の一端部70aの外周面部71に相対回転可能に嵌合している。これにより、中心線Mが中心線Lと重なる形態で即ち中心線Mが回転中心線Oに対し偏心する形態で殻部材72が伝達部材24と腕部材29の間に挟持されている。外周面部74には、対応する案内孔部62の内壁部62a,62bが案内路64の幅方向両側から嵌合している。この嵌合形態において殻部材72は案内孔部62に対して相対回転可能且つ案内路64の延伸方向に相対滑り可能となっている。殻部材72の一端部には、その端面に開口し内周面部73及び外周面部74の間を貫く位置決め溝72bが二つ形成されている。各位置決め溝72bは、芯部材70に対する殻部材72の相対回転方向の二箇所であって中心線M,Nを共に挟む二箇所に配設されている。
図1及び図7に示すように可動体27は、芯部材70と同様な芯部材75並びに一部を除いて殻部材72と同様な殻部材77を組み合わせて構成されている。殻部材77は、内周面部78の円形輪郭の中心線Mと外周面部79の円形輪郭の中心線Nとが重なる点で殻部材72と相違する。
装置1において、案内部材25に嵌合する殻部材72,77の外周面部74,79の直径φと、案内路64の幅即ち本実施形態では内壁部62a,62b間の距離Dとの差(D−φ)は0.15mm以下に設定されている。けだし、差(D−φ)が0.15mmを超えると、案内路64の幅方向における可動体26,27の揺動が激しくなるからである。
図8〜図10に示すように、位相変化機構10においてリンク部14は、板面14aが回転中心線Oの平行線に垂直となる板状に形成されている。リンク部14において回転中心線Oを挟む二箇所には、回転中心線Oに対し中心線が偏心する円筒孔状に孔部50が形成されている。円柱状の軸部材51が各孔部50に対応して二つ設けられている。各軸部材51の一端部は、対応する孔部50に相対回転可能に同心嵌合している。腕部材28は小判形の平板状を呈し、各軸部材51に対応して二つ設けられている。各腕部材28は、両板面28a,28bが回転中心線Oの平行線に垂直となる形態で配設されている。各腕部材28の長手方向の一端部28cには、回転中心線Oに対し中心線が偏心する円筒孔状に孔部52が形成されている。各腕部材28の孔部52は、対応する軸部材51の他端部に相対回転可能に同心嵌合している。各腕部材28は、軸部材51が嵌合する孔部52の周囲において板面28aをリンク部14の板面14aに接触させている。以上、本実施形態においてリンク部14と腕部材28とがなす回り対偶80は、孔部50,52と軸部材51との嵌合により構成されていると考えることができる。
図8、図9及び図11に示すように、リンク部18は二つ設けられ、それぞれ固定部17の回転中心線Oを挟む二箇所から互いに逆向きに突出している。各リンク部18は、両板面18a,18bが回転中心線Oの平行線に垂直となる矩形平板状に形成されており、板面18bをリンク部14の板面14aに接触させている。一方のリンク部18は、スプロケット11に対する出力軸16の回転位相が最遅角位相となる状態(図3参照)で、その遅角側に位置するリンク部14の遅角側ストッパ14cに当接し、当該回転位相が最進角位相となる状態(図8参照)で、その進角側に位置するリンク部14の進角側ストッパ14dに当接する。各リンク部18の突出先端部には、回転中心線Oに対し中心線が偏心する円筒孔状に孔部54が形成されている。円柱状の軸部材55が各リンク部18の孔部54に対応して二つ設けられている。各軸部材55の一端部は、対応する孔部54に相対回転可能に同心嵌合している。腕部材29はC字形の平板状を呈し、各軸部材55に対応して二つ設けられている。各腕部材29は、両板面29a,29bが回転中心線Oの平行線に垂直となる形態で配設されており、板面29aを案内部材25の反伝達部材側の板面25aに接触させている。各腕部材29の長手方向の一端部29cには、回転中心線Oに対し中心線が偏心する円筒孔状に孔部56が形成されている。各腕部材29の孔部56は、対応する軸部材55の他端部に相対回転可能に同心嵌合している。各腕部材29は、軸部材55が嵌合する孔部56の周囲において板面29bを対応リンク部18の板面18aに接触させている。以上、本実施形態においてリンク部18と腕部材29とがなす回り対偶82は、孔部54,56と軸部材55との嵌合により構成されていると考えることができる。
図3、図6及び図7に示すように、各腕部材28の長手方向の他端部28dには、回転中心線Oに対し中心線が偏心する円筒孔状に孔部53が形成されている。各腕部材29の長手方向の他端部29dには、回転中心線Oに対し中心線が偏心する円筒孔状に孔部57が形成されている。芯部材70において端部70aを除く部分70bの外周面部71は、対応する一組の腕部材28,29の孔部53,57に相対回転可能に同心嵌合している。同様に、芯部材75において殻部材77の嵌合端部を除く部分75bの外周面部76は、対応する他組の腕部材28,29の孔部53,57に相対回転可能に同心嵌合している。各腕部材29は、芯部材70乃至は75が嵌合する孔部57の周囲において板面29bを対応腕部材28の板面28bに接触させている。腕部材28の短手方向の幅については腕部材28の長手方向において腕部材29との連繋端部28dに近い箇所ほど小さくなっており、腕部材28,29の接触面積が小さくされて摩耗の低減が図られている。以上、本実施形態において腕部材28と腕部材29とがなす回り対偶84は、孔部53,57と芯部材70乃至は75との嵌合により構成されていると考えることができる。
図3及び図8に示すように、腕部材28の長さは腕部材29の長さよりも短く設定されている。また、腕部材28の長手方向軸線Uに対し腕部材29の長手方向軸線Vが回り対偶84の近傍においてなす角θは、位相変化機構10の任意の作動状態において−90°<θ<90°を満たす。かかる長さ及び角θの採用により、リンク部18及び腕部材29がなす回り対偶82、リンク部14及び腕部材28がなす回り対偶80、並びに腕部材28,29がなす回り対偶84は遅角方向Yにおいて常にこの順で並ぶ。
ここで、限定連鎖が実現する作動について図1、図3、図8及び図12を参照しつつ説明する。案内部材25がスプロケット11に対し回転位相を保つとき、可動体26,27は、案内孔部62に対して相対滑りすることなく案内部材25と一体となって回転する。このとき、腕部材28,29がなす回り対偶84、リンク部18及び腕部材29がなす回り対偶82、リンク部14及び腕部材28がなす回り対偶80の各位置は変化しない。これにより、出力軸16がスプロケット11に対する回転位相を保ちつつカムシャフト2と同期回転するので、クランクシャフトに対するカムシャフト2の回転位相(以下、シャフト位相という)が一定に保持される。
案内部材25がスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転するとき、可動体26,27は、案内部材25において案内路64の径方向内側を延びる案内孔部62の内壁部62aにより押圧される。押圧された可動体26,27は、案内路64を遅角方向Yに通過するようにして案内孔部62に対して相対滑りし、回転中心線Oからの径方向距離を拡大される(例えば図1及び図3参照)。このとき腕部材28は、リンク部14及び腕部材29に対してそれぞれ軸部材51及び対応芯部材70,75の中心線周りに相対回転しつつ、対応可動体26,27の動きに応じて回り対偶84の位置を回転中心線Oから離す。それと同時に腕部材29は、リンク部18に対して軸部材55の中心線周りに相対回転しつつ、対応可動体26,27の動きに応じて回り対偶82の位置を回り対偶80の位置に対して遅角方向Yに近づける。これにより出力軸16がスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転するので、シャフト位相が遅れる。
案内部材25がスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転するとき、可動体26,27は、案内部材25において案内路64の径方向外側を延びる案内孔部62の内壁部62bにより押圧される。押圧された可動体26,27は、案内路64を進角方向Xに通過するようにして案内孔部62に対して相対滑りし、回転中心線Oからの径方向距離を縮小される(例えば図8及び図12参照)。このとき腕部材28は、リンク部14及び腕部材29に対してそれぞれ軸部材51及び対応芯部材70,75の中心線周りに相対回転しつつ、対応可動体26,27の動きに応じて回り対偶84の位置を回転中心線Oに近づける。それと同時に腕部材29は、リンク部18に対して軸部材55の中心線周りに相対回転しつつ、対応可動体26,27の動きに応じて回り対偶82の位置を回り対偶80の位置に対して進角方向Xに離す。これにより出力軸16がスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転するので、シャフト位相が進む。
このように位相変化機構10は、案内孔部62に対する可動体26,27の相対滑り運動をスプロケット11に対する出力軸16の相対回転運動に変換することで、シャフト位相を変化させることができる。
以上説明した装置1の組立にあたり、位相変化機構10の腕部材28,29に嵌合した可動体26,27を同じ案内部材25に設けられた案内孔部62に嵌合する際には、図13に示す如く一方の可動体26の殻部材72が案内路64に対し位置ずれし、嵌合孔部62に嵌合できなくなることがある。これは、位相変化機構10をなす各リンクの製造公差及び組付公差に依るものである。しかし、図示しない治具を殻部材72の位置決め溝72bに嵌合して殻部材72を芯部材70に対し相対回転させることで、図1に示す如く案内路64に対する殻部材72の位置ずれが解消し、殻部材72を案内孔部62に嵌合することができる。このとき、他方の可動体27については案内孔部62の所定位置に嵌合保持したままにできる。したがって、位相変化機構10における製造公差及び組付公差を考慮して案内孔部62の内壁部62a,62b間の距離Dを大きく設定しなくても、0.15mm以下という小さなクリアランスで可動体26,27を案内孔部62に嵌合できる。しかも、組立後における装置1の作動中に可動体26,27が案内孔部62に対して相対滑りする際には、例えば図1及び図12に示すように殻部材72が芯部材70及び案内孔部62に対して相対回転することで、可動体26,27と対応案内孔部62との嵌合状態が維持される。そのため、0.15mm以下という小さなクリアランスでも案内孔部62に対する可動体26,27の相対滑りが妨げられない。このように0.15mm以下というクリアランスを実現できる結果、案内路64の幅方向における可動体26,27の揺動が抑制されるため、打音及び摩擦を軽減でき、またその揺動によりシャフト位相が変動することを防止できる。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態によるバルブタイミング調整装置を図14に示す。第二実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。
第二実施形態では、可動体26,27の芯部材70,75が、対応腕部材29において有底円筒形状を呈する孔部57の底壁100と伝達部材24との間に挟持されている。そのため、芯部材70,75の部分70b,75bの外周面部71,76は対応腕部材29の孔部57のみに回り対偶により嵌合し、腕部材28の孔部53には嵌合していない。その代わりに、孔部57と同心の円柱状に板面29bから突出する軸部110が各腕部材29に形成され、各腕部材29の軸部110が対応する腕部材28の孔部53に相対回転可能に同心嵌合している。即ち腕部材28と腕部材29とがなす回り対偶84は、孔部53と軸部110との嵌合により構成されている。
第二実施形態では、殻部材72,77において案内部材25に嵌合した可動体26,27の芯部材70,75が上述の如く位相変化機構10の腕部材29に嵌合することで、限定連鎖が実現されている。したがって第二実施形態によると、第一実施形態と同様に作動し、また第一実施形態と同様な作用効果が得られる。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態によるバルブタイミング調整装置を図15〜図17に示す。第三実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。
第三実施形態において、各案内孔部62は案内部材25の板面25aにのみ開口している。各案内孔部62の内壁は半円筒面状の壁面を有し、当該内壁の開口縁部162a,162bが案内路64を挟んで互いに向き合っている。
可動体26は、球状を呈する芯部材170と有底筒状を呈する殻部材172とを組み合わせて構成されている。芯部材170は、回転中心線Oに垂直な仮想平面Sとの交線で表される輪郭が円形である球面状の外周面部171を有している。外周面部171の半球状部分には、対応する案内孔部62の開口縁部162a,162bが案内路64の幅方向両側から嵌合している。この嵌合形態において芯部材170は案内孔部62に対して相対回転可能且つ案内路64の延伸方向に相対滑り可能となっている。即ち芯部材170は案内部材25の案内孔部62に滑り回り対偶により嵌合している。殻部材172は、仮想平面Sとの交線で表される輪郭が円形であるテーパ面状の内周面部173と、仮想平面Sとの交線で表される輪郭が円形である円筒面状の外周面部174とを有している。内周面部173の円形輪郭の中心線Mに対し外周面部174の円形輪郭の中心線Nは偏心している。殻部材172の一端面に開口する内周面部173は、芯部材170の外周面部171において案内孔部62に嵌合していない残りの半球部分に相対回転可能に嵌合している。これにより殻部材172は、中心線Mが中心線Lと重なると共に回転中心線Oに対し偏心する形態で、案内部材25とリンク部14の間に芯部材170と共に挟持されている。
可動体27は、芯部材170と同様な芯部材175並びに一部を除いて殻部材172と同様な殻部材177を組み合わせて構成されている。殻部材177は、内周面部178の円形輪郭の中心線Mと外周面部179の円形輪郭の中心線Nとが重なる点で殻部材172と相違する。
本実施形態では、芯部材170,175の外周面部171,176において開口縁部162a,162bに嵌合する部分の直径φと、案内路64の幅即ち開口縁部162a,162b間の距離Dとの差(D−φ)が0.15mm以下に設定されている。
殻部材172の外周面部174は、対応する一組の腕部材28,29の孔部53,57に相対回転可能に同心嵌合している。同様に、殻部材177の外周面部179は、対応する他組の腕部材28,29の孔部53,57に相対回転可能に同心嵌合している。このように、芯部材170,175において案内部材25に嵌合した可動体26,27の殻部材172,177が位相変化機構10の腕部材28,29に回り対偶により嵌合することで、限定連鎖が実現されている。各腕部材29は、殻部材172乃至は177が嵌合する孔部57の周囲において板面29bを対応腕部材28の板面28bに接触させている。以上、第三実施形態において腕部材28と腕部材29とがなす回り対偶84は、孔部53,57と殻部材172乃至は177との嵌合により構成されていると考えることができる。
案内部材25がスプロケット11に対し回転位相を保つとき、可動体26,27は、案内孔部62に対して相対滑りすることなく案内部材25と一体となって回転する。そのため、位相変化機構10が第一実施形態と同様に作動してシャフト位相を一定に保持する。
案内部材25がスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転するとき、可動体26,27は、案内部材25において案内路64の径方向内側を延びる開口縁部162aにより押圧される。押圧された可動体26,27は案内路64を遅角方向Yに通過するようにして案内孔部62に対して相対滑りし、回転中心線Oからの径方向距離を拡大される。これにより、位相変化機構10は第一実施形態と同様に作動してシャフト位相を遅らせる。
案内部材25がスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転するときには、可動体26,27が、案内部材25において案内路64の径方向外側を延びる開口縁部162bにより押圧される。押圧された可動体26,27は案内路64を進角方向Xに通過するようにして案内孔部62に対して相対滑りし、回転中心線Oからの径方向距離を縮小される。これにより、位相変化機構10は第一実施形態と同様に作動してシャフト位相を進める。
以上説明した第三実施形態の組立にあたり、図18に示す如く可動体26の芯部材170が案内孔部62に対し位置ずれすることがあっても、殻部材172が孔部53,57に対し相対回転するようにして芯部材170を殻部材172に対し相対回転させることで、図15に示す如く芯部材170を案内孔部62に嵌合することが可能になる。このとき、他方の可動体27については案内孔部62の所定位置に嵌合保持したままにできる。したがって、案内孔部62の開口縁部162a,162b間の距離Dを大きく設定しなくても、0.15mm以下という小さなクリアランスで可動体26,27を案内孔部62に嵌合できる。しかも、組立後における装置1の作動中に可動体26,27が案内孔部62に対して相対滑りする際には、殻部材172が孔部53,57に対して相対回転することに応じ、芯部材170が殻部材172及び案内孔部62に対して相対回転することで、可動体26,27と対応案内孔部62との嵌合状態が維持される。そのため、0.15mm以下という小さなクリアランスでも案内孔部62に対する可動体26,27の相対滑りが妨げられない。このように0.15mm以下というクリアランスを実現できる結果、打音及び摩擦を軽減でき、また可動体26,27の揺動によるシャフト位相の変動を防止できる。
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態によるバルブタイミング調整装置を図19に示す。第四実施形態は第三実施形態の変形例であり、第三実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。
第四実施形態では、可動体26,27の殻部材172,177が、腕部材29において有底円筒状を呈する孔部57の底壁200と案内部材25との間に挟持されている。そのため、殻部材172,177の外周面部174,179は腕部材29の孔部57のみに回り対偶により嵌合し、腕部材28の孔部53には嵌合していない。その代わりに、孔部57と同心の円柱状に板面29bから突出する軸部210が各腕部材29に形成され、各腕部材29の軸部210が対応する腕部材28の孔部53に相対回転可能に同心嵌合している。即ち腕部材28と腕部材29とがなす回り対偶84は、孔部53と軸部210との嵌合により構成されている。
第四実施形態では、芯部材170,175において案内部材25に嵌合した可動体26,27の殻部材172,177が上述の如く位相変化機構10の腕部材29に嵌合することで、限定連鎖が実現されている。したがって第四実施形態によると、第三実施形態と同様に作動し、また第三実施形態と同様な作用効果が得られる。
(第五実施形態)
本発明の第五実施形態によるバルブタイミング調整装置を図20及び図21に示す。第五実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。
第五実施形態では、位相変化機構10において腕部材28及び軸部材51が設けられず、それに応じてリンク部14に孔部50が形成されていない。その代わりにリンク部14において回転中心線Oを挟む二箇所にはスライド孔部250が設けられている。各スライド孔部250は、リンク部14の板面14aから突出する二条の突条250a,250bと板面14aとで構成され、互いに180°の回転対称となる位置に配設されている。各スライド孔部250は、互いに向き合う突条250a,250bの間に通路252を形成している。各スライド孔部250が形成する通路252は、リンク部14の径方向軸線に沿う直線状に一定幅で延伸している。
芯部材70の部分70bの外周面部71には、対応する一スライド孔部250の突条250a,250bが通路252の幅方向両側から嵌合している。この嵌合形態において芯部材70はスライド孔部250に対して相対回転可能且つ通路252の延伸方向に相対滑り可能となっている。同様に、芯部材75の部分75bの外周面部76は対応する別のスライド孔部250に嵌合し、当該スライド孔部250に対して相対回転可能且つ相対滑り可能となっている。このように、可動体26,27の芯部材70,75はリンク部14のスライド孔部250と滑り回り対偶により嵌合し連繋している。そして第五実施形態では、殻部材72,77において案内部材25に嵌合した可動体26,27の芯部材70,75が位相変化機構10の腕部材29に回り対偶により嵌合することで、限定連鎖が実現されている。
案内部材25がスプロケット11に対し回転位相を保つとき、可動体26,27は、案内孔部62に対して相対滑りすることなく案内部材25と一体となって回転する。このとき、可動体26,27の芯部材70,75はスライド孔部250に対して相対滑りしないので、スライド孔部250に対する回り対偶82の相対位置も変化しない。これにより、出力軸16がスプロケット11に対する回転位相を保ちつつカムシャフト2と同期回転するので、シャフト位相が一定に保持される。
案内部材25がスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転するとき、可動体26,27は第一実施形態と同様にして回転中心線Oからの径方向距離を拡大される。このとき、可動体26,27は通路252を径方向外側に通過するようにしてスライド孔部250に対し相対滑りする。それと同時に腕部材29は、リンク部18に対して軸部材55の中心線周りに相対回転しつつ、対応可動体26,27の動きに応じて回り対偶82の位置をスライド孔部250に対し遅角方向Yに近づける。これにより出力軸16がスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転するので、シャフト位相が遅れる。
案内部材25がスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転するときには、可動体26,27が第一実施形態と同様にして回転中心線Oからの径方向距離を縮小される。このとき、可動体26,27は通路252を径方向内側に通過するようにしてスライド孔部250に対し相対滑りする。それと同時に腕部材29は、リンク部18に対して軸部材55の中心線周りに相対回転しつつ、対応可動体26,27の動きに応じて回り対偶82の位置をスライド孔部250に対し進角方向Xに離す。これにより出力軸16がスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転するので、シャフト位相が進む。
以上説明した第五実施形態では、芯部材70及び殻部材72からなる可動体26の採用により第一実施形態と同様な作用効果が得られる。
(第六実施形態)
本発明の第六実施形態によるバルブタイミング調整装置を図22に示す。第六実施形態は第五実施形態の変形例であり、第五実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。
第六実施形態では、可動体26,27の芯部材70,75が、腕部材29において有底円筒形状を呈する孔部57の底壁270と伝達部材24との間で挟持されている。そのため、芯部材70,75の部分70b,75bの外周面部71,76は腕部材29の孔部57のみに回り対偶により嵌合し、リンク部14のスライド孔部250には嵌合していない。その代わりに、孔部57と同心の円柱状に板面29bから突出する軸部280が各腕部材29に形成され、各腕部材29の軸部280が対応するスライド孔部250に相対滑り可能に嵌合している。即ち各腕部材29の軸部280はリンク部14と滑り回り対偶により嵌合し連繋している。
第六実施形態では、殻部材72,77において案内部材25に嵌合した可動体26,27の芯部材70,75が上述の如く位相変化機構10の腕部材29に嵌合することで、限定連鎖が実現されている。したがって第六実施形態によると、第五実施形態と同様に作動し、また第一実施形態と同様な作用効果が得られる。
(第七実施形態)
本発明の第七実施形態によるバルブタイミング調整装置を図23及び図24に示す。第七実施形態は第一実施形態の変形例であり、第一実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。
第七実施形態では、位相変化機構10において腕部材28,29及び軸部材51,55が設けられず、それに応じてリンク部14,18に孔部50,54が形成されていない。その代わりに、リンク部14,18にはそれぞれスライド孔部300,310が設けられている。
スライド孔部300は、リンク部14において回転中心線Oを挟む二箇所に設けられている。各スライド孔部300は、リンク部14の板面14aに開口し、互いに180°の回転対称となるように配設されている。各スライド孔部300は、その互いに向き合う内壁部300a,300b間に通路302を形成している。各スライド孔部300が形成する通路302は、リンク部14の径方向軸線に対し傾斜して一定幅で延伸すると共に回転中心線Oからの径方向距離が変化する形状を呈している。特に本実施形態の通路302は、回転中心線Oから離れるに従って遅角方向Yに傾斜する直線状に延伸している。
スライド孔部310は、一枚のS字形平板状に形成されたリンク部18の両端部において回転中心線Oを挟む箇所にそれぞれ設けられている。各スライド孔部310は、リンク部18において回転中心線Oの平行線に垂直な両板面18a,18bに開口し、互いに180°の回転対称となるように配設されている。各スライド孔部310は、その互いに向き合う内壁部310a,310b間に通路312を形成している。各スライド孔部310が形成する通路312は、リンク部18の径方向軸線に対し傾斜して一定幅で延伸すると共に回転中心線Oからの径方向距離が変化する形状を呈している。特に本実施形態の通路312は、回転中心線Oから離れるに従って進角方向Xに傾斜する直線状に延伸している。リンク部18の板面18aと板面18bはそれぞれ案内部材25の板面25aとリンク部14の板面14aとに接触しており、各スライド孔部310の通路312とそれに向き合うスライド孔部300の通路302はスプロケット11に対する出力軸16の回転位相に応じた箇所で互いに交差する。
芯部材70の部分70bの外周面部71は、対応する一組のスライド孔部300,310に嵌合している。具体的に部分70bの外周面部71は、通路302,312の交差箇所に挿入され、スライド孔部300の内壁部300a,300bで通路302の幅方向両側から挟持されると共にスライド孔部310の内壁部310a,310bで通路312の幅方向両側から挟持されている。これにより芯部材70は、各スライド孔部300,310に対して相対回転可能且つ各通路302,312の延伸方向に相対滑り可能となっている。同様に、芯部材75の部分75bの外周面部76は対応する他組のスライド孔部300,310に嵌合し、それらスライド孔部300,310に対して相対回転可能且つ相対滑り可能となっている。このように、殻部材72,77において案内部材25に嵌合した可動体26,27の芯部材70,75がリンク部14,18のスライド孔部300,310と滑り回り対偶により嵌合し連繋しており、かかる連繋によって限定連鎖が実現されている。
案内部材25がスプロケット11に対し相対回転しないとき、可動体26,27は、案内路64を動くことなく案内部材25と一体となって回転する。このとき、可動体26,27の芯部材70,75はスライド孔部300,310に対して相対滑りしない。これにより、出力軸16がスプロケット11に対する回転位相を保ちつつカムシャフト2と同期回転するので、シャフト位相が一定に保持される。
案内部材25がスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転するとき、可動体26,27は第一実施形態と同様にして回転中心線Oからの径方向距離を拡大される。このとき可動体26,27は、通路302の進角側を延びるスライド孔部300の内壁部300aを進角方向Xに押圧すると共に、通路312の遅角側を延びるスライド孔部310の内壁部310bを遅角方向Yに押圧する。これにより、可動体26,27がスライド孔部300,310に対し相対滑りしながら出力軸16がスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転するので、シャフト位相が遅れる。
案内部材25がスプロケット11に対し遅角方向Yに相対回転するとき、可動体26,27は第一実施形態と同様にして回転中心線Oからの径方向距離を縮小される。このとき可動体26,27は、通路302の遅角側を延びるスライド孔部300の内壁部300bを遅角方向Yに押圧すると共に、通路312の進角側を延びるスライド孔部310の内壁部310aを進角方向Xに押圧する。これにより、可動体26,27がスライド孔部300,310に対し相対滑りしながら出力軸16がスプロケット11に対し進角方向Xに相対回転するので、シャフト位相が進む。
以上説明した第七実施形態では、芯部材70及び殻部材72からなる可動体26の採用により第一実施形態と同様な作用効果が得られる。
尚、上述した第一〜第七実施形態では、可動体27の殻部材77について可動体26の殻部材72とは相違する構成を採用しているが、殻部材77について殻部材72と同様の構成を採用してもよい。
また、第一〜第七実施形態では、可動体26,27が嵌合する案内部材25を位相変化機構10の対応リンクたるスプロケット11に対し相対回転させることで、可動体26,27を案内部材25に対して相対滑りさせている。これに対し、可動体が嵌合する案内部材を位相変化機構の対応リンクに対して相対的に直線移動させることで、案内部材に対する可動体の相対滑りを実現してもよい。
さらに、第三実施形態の特徴的構成を第五実施形態に適用して、可動体26,27の殻部材172,177を腕部材29及びスライド孔部250に嵌合するようにしてもよい。またさらに、第四実施形態の特徴的構成を第五実施形態に適用して、可動体26,27の殻部材172,177を腕部材29に嵌合すると共に腕部材29の軸部210をスライド孔部250に嵌合するようにしてもよい。さらにまた、第三実施形態の特徴的構成を第七実施形態に適用して、可動体26,27の殻部材172,177をスライド孔部300,310に嵌合するようにしてもよい。
またさらに、第一〜第七実施形態では、少なくとも一つの可動体において芯部材が円形輪郭の外周面部を有し、殻部材が芯部材の外周面部に相対回転可能に嵌合する円形輪郭の内周面部並びにその内周面部に対し偏心した円形輪郭の外周面部を有し、芯部材の外周面部がリンク及び案内部材の一方に相対回転可能に嵌合し、殻部材の外周面部がリンク及び案内部材の他方に相対回転可能に嵌合する例について説明した。これに対し、少なくとも一つの可動体において芯部材が円形輪郭の外周面部並びにその外周面部と同心の内周面部を有し、殻部材が芯部材の外周面部に相対回転可能に嵌合する円形輪郭の内周面部並びにその内周面部に対し偏心した円形輪郭の外周面部を有し、芯部材の内周面部がリンクに相対回転可能に嵌合し、殻部材の外周面部が案内部材に相対回転可能に嵌合するようにしてもよい。また、少なくとも一つの可動体において芯部材が円形輪郭の外周面部を有し、殻部材が芯部材の外周面部に相対回転可能に嵌合する円形輪郭の第一内周面部並びにその第一内周面部に対し偏心した円形輪郭の第二内周面部を有し、芯部材の外周面部が案内部材に相対回転可能に嵌合し、殻部材の第二内周面部がリンクに相対回転可能に嵌合するようにしてもよい。
本発明の第一実施形態を示す図であって、図2のI−I線断面図である。 本発明の第一実施形態を示す図であって、図3のII−II線断面図である。 本発明の第一実施形態を示す図であって、図2のIII−III線断面図である。 本発明の第一実施形態を示す図であって、図2のIV−IV線断面図である。 本発明の第一実施形態を示す図であって、図2のV−V線断面図である。 図2の要部の拡大図である。 図2の別の要部の拡大図である。 本発明の第一実施形態の一作動状態を示す図であって、図3に相当する断面図である。 本発明の第一実施形態を示す図であって、図3のIX−IX線断面図である。 図9の要部の拡大図である。 図9の別の要部の拡大図である。 本発明の第一実施形態の一作動状態を示す図であって、図1に相当する断面図である。 本発明の第一実施形態の組立について説明するための模式図である。 本発明の第二実施形態を示す図であって、図6に対応する拡大図(A)及び図7に対応する拡大図(B)である。 本発明の第三実施形態を示す図であって、図1に対応する断面図である。 本発明の第三実施形態を示す図であって、図6に対応する断面図である。 本発明の第三実施形態を示す図であって、図7に対応する断面図である。 本発明の第三実施形態の組立について説明するための模式図である。 本発明の第四実施形態を示す図であって、図6に対応する拡大図(A)及び図7に対応する拡大図(B)である。 本発明の第五実施形態を示す図であって、図3に対応する断面図である。 本発明の第五実施形態を示す図であって、図6に対応する拡大図(A)及び図7に対応する拡大図(B)である。 本発明の第六実施形態を示す図であって、図6に対応する拡大図(A)及び図7に対応する拡大図(B)である。 本発明の第七実施形態を示す図であって、図3に対応する断面図である。 本発明の第七実施形態を示す図であって、図6に対応する拡大図(A)及び図7に対応する拡大図(B)である。
符号の説明
1 バルブタイミング調整装置、2 カムシャフト(従動軸)、10 位相変化機構、11 スプロケット(リンク、第一回転部材)、14,18 リンク部、16 出力軸(リンク、第二回転部材)、20 減速機(トルク伝達手段)、25 案内部材、26,27 可動体、28,29 腕部材(リンク)、30 電動機(トルク伝達手段)、50,52,53,54,56,57 孔部、51,55 軸部材、62 案内孔部、64 案内路、70,170 芯部材、71,171 芯部材の外周面部、72,172 殻部材、72b 位置決め溝、73,173 殻部材の内周面部、74,174 殻部材の外周面部、110,210,280 軸部、250,300,310 スライド孔部、L,M,N 中心線、O 回転中心線

Claims (12)

  1. 内燃機関において吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の弁を開閉駆動する従動軸に駆動軸の駆動トルクを伝達する伝達系に設けられ、前記少なくとも一方の弁の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、
    ほぼ一定幅で延伸する案内路を形成する案内部材と、
    前記案内路の幅方向両側から前記案内部材が嵌合し、前記案内部材に対し前記案内路の延伸方向に相対滑り可能な可動体と、
    複数のリンクを有し、複数の前記可動体が各々対応する前記リンクに嵌合することで前記案内部材及び複数の前記可動体と共同して限定連鎖を構成しており、前記案内部材に対する前記可動体の相対滑りに伴って前記駆動軸に対する前記従動軸の回転位相を変化させる位相変化機構と、
    を備え、
    少なくとも一つの前記可動体は芯部材及び殻部材を組み合わせて構成されており、
    前記芯部材は円形輪郭の外周面部を有し、
    前記殻部材は、前記芯部材の外周面部に相対回転可能に嵌合する円形輪郭の内周面部、並びにその内周面部に対し偏心した円形輪郭の外周面部を有し、
    前記芯部材の外周面部が前記リンク及び前記案内部材の一方に相対回転可能に嵌合し、前記殻部材の外周面部が前記リンク及び前記案内部材の他方に相対回転可能に嵌合することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 前記殻部材及び前記芯部材の一方は、その他方に対する相対回転方向の少なくとも一箇所に位置決め溝を有することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記芯部材の外周面部及び前記殻部材の外周面部のうち前記案内部材に嵌合する一方の直径と前記案内路の幅との差は0.15mm以下に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記芯部材の外周面部及び前記殻部材の内周面部は共に円筒面状に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記芯部材の外周面部は球面状に形成され、前記殻部材の内周面部はテーパ面状に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記案内部材に制御トルクを伝達するトルク伝達手段をさらに備えており、
    前記案内部材は、径方向軸線に対し傾斜して延伸すると共に回転中心線からの径方向距離が変化する前記案内路を形成しており、対応する前記リンクに対し前記制御トルクの伝達により相対回転することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記殻部材の内周面部は前記回転中心線に対し偏心して配置されることを特徴とする請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記トルク伝達手段は、前記制御トルクを発生する電動機を有することを特徴とする請求項6又は7に記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記位相変化機構は、前記駆動軸と同期して回転する第一回転部材、前記従動軸と同期して回転する第二回転部材、前記第一回転部材と回り対偶により連繋する第一腕部材、並びに前記第二回転部材及び前記第一腕部材と回り対偶により連繋する第二腕部材をそれぞれ前記リンクとして有し、
    前記可動体は、前記第一腕部材及び前記第二腕部材の少なくとも一方に回り対偶により嵌合しており、
    前記案内部材に対する前記可動体の相対滑り運動が前記位相変化機構により前記第一回転部材に対する前記第二回転部材の相対回転運動に変換されることで前記回転位相が変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記位相変化機構は、前記駆動軸と同期して回転する第一回転部材、前記従動軸と同期して回転する第二回転部材、並びに前記第一回転部材及び前記第二回転部材の一方と回り対偶により連繋する腕部材をそれぞれ前記リンクとして有し、
    前記可動体は、前記第一回転部材及び前記第二回転部材の他方に滑り回り対偶により嵌合すると共に前記腕部材に回り対偶により嵌合しており、
    前記案内部材に対する前記可動体の相対滑り運動が前記位相変化機構により前記第一回転部材に対する前記第二回転部材の相対回転運動に変換されることで前記回転位相が変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 前記位相変化機構は、前記駆動軸と同期して回転する第一回転部材、前記従動軸と同期して回転する第二回転部材、並びに前記第一回転部材及び前記第二回転部材の一方と回り対偶により連繋すると共に前記第一回転部材及び前記第二回転部材の他方と滑り回り対偶により連繋する腕部材をそれぞれ前記リンクとして有し、
    前記可動体は前記腕部材に回り対偶により嵌合しており、
    前記案内部材に対する前記可動体の相対滑り運動が前記位相変化機構により前記第一回転部材に対する前記第二回転部材の相対回転運動に変換されることで前記回転位相が変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  12. 前記位相変化機構は、前記駆動軸と同期して回転する第一回転部材、並びに前記従動軸と同期して回転する第二回転部材をそれぞれ前記リンクとして有し、
    前記可動体は前記第一回転部材及び前記第二回転部材に滑り回り対偶により嵌合しており、
    前記案内部材に対する前記可動体の相対滑り運動が前記位相変化機構により前記第一回転部材に対する前記第二回転部材の相対回転運動に変換されることで前記回転位相が変化することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
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