JP2007231841A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】円滑なバルブタイミング調整を実現するバルブタイミング調整装置の提供。
【解決手段】バルブタイミング調整装置は、クランク軸に連動して回転する第一回転体10と、第一回転体10と共通の回転軸線Oを有し、カム軸に連動して回転する第二回転体18と、第一回転体10の回転方向に並んで設けられ、第一及び第二回転体10,18間の相対回転位相を変化させる複数組のリンク機構部51とを備える。各組のリンク機構部51は、回り対偶により第一回転体10に連繋する第一リンク52と、回り対偶により第二回転体18及び第一リンク52に連繋する第二リンク53とを組み合わせてなる。各組のリンク機構部51の第二リンク53は、第一回転体10の回転軸方向において同一組及び他組のリンク機構部51の第一リンク52を第一回転体10の間に挟持する。
【選択図】図1

Description

本発明は、クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置に関する。
従来、クランク軸及びカム軸の一方と他方とにそれぞれ連動して回転する第一及び第二回転体を備え、それら回転体間の相対回転位相をリンク機構部によって変化させることによりバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置が知られている。
具体的に、特許文献1に開示される装置では、回り対偶により第一回転体に連繋する第一リンクと、回り対偶により第二回転体及び第一リンクに連繋する第二リンクとを組み合わせてなるリンク機構部が二組設けられている。ここで各組のリンク機構部は、第一及び第二回転体の回転方向に並んで設けられることにより、それら回転体が回転軸線に対して傾いて回転バランスが崩れることを抑制している。
特開2005−48707号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるように各組のリンク機構部の第一リンクを同一組の第二リンクと第一回転体との間に挟持させた場合、それらリンクの配置形態によっては、第一リンクにおいて挟持される部分の面積が小さくなることがある。この場合、第一リンクにおいて挟持されない部分が第一及び第二回転体の回転軸方向へ変位し易くなり、それら回転体の回転軸線に対して第一リンクが傾くおそれがある。こうした第一リンクの傾きは、リンク機構部の作動、ひいてはバルブタイミング調整を阻害する要因となるため、望ましくない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、円滑なバルブタイミング調整を実現するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明によると、回り対偶により第一回転体に連繋する第一リンクと、回り対偶により第二回転体及び第一リンクに連繋する第二リンクとを組み合わせてなるリンク機構部が複数組、第一回転体の回転方向に並んで設けられる。故に、共通の回転軸線(以下、単に回転軸線という)を有する第一及び第二回転体は、当該回転軸線に対して傾くことを抑制される。しかも、請求項1に記載の発明によると、各組のリンク機構部の第二リンクは、第一回転体の回転軸方向において同一組及び他組のリンク機構部の第一リンクを第一回転体との間に挟持する。これにより各組のリンク機構部では、第一リンクが同一組の第二リンクと第一回転体との間のみならず、他組の第二リンクと第一回転体との間にも挟持されるので、第一リンクにおいて挟持される部分の面積を大きく確保できる。故に各組のリンク機構部では、第一リンクにおいて挟持されない部分が第一回転体の回転軸方向へ変位し難くなり、その結果、回転軸線に対する第一リンクの傾きが抑制される。
このように請求項1に記載の発明によれば、第一及び第二回転体の傾きに加えて、第一リンクの傾きも抑制されるので、円滑なバルブタイミング調整を実現できる。
請求項2に記載の発明によると、第二回転体及び同一組のリンク機構部の第一リンクとそれぞれ回り対偶をなす第一及び第二対偶素を有する各組のリンク機構部の第二リンクの延長部は、第一回転体の回転方向において第一対偶素よりも第二対偶素とは反対側へ延長される。この延長部によれば、延長部自身が属する組のリンク機構部の作動を妨げることなく、他組のリンク機構部の第一リンクを第一回転体との間に確実に挟持できる。
請求項3に記載の発明によると、請求項2に記載の延長部である第一延長部を有する各組のリンク機構部の第二リンクの第二延長部は、第一回転体の回転方向において第二対偶素よりも第一対偶素とは反対側へ延長される。この第二延長部によれば、第二延長部自身が属する組のリンク機構部の第一リンクを、他組のリンク機構部の第一延長部と共同して挟持できる。故に各組のリンク機構部では、第一リンクにおいて挟持される部分の面積が増大するので、第一リンクの傾きの抑制効果が向上する。
請求項4に記載の発明によると、各組のリンク機構部の第二リンクは、第一回転体の回転軸方向において第一回転体との間に挟持した他組のリンク機構部の第一リンクに相対回転自在に嵌合する軸体に対して、第一回転体とは反対側から当接する。これにより各組のリンク機構部では、軸体を介した回り対偶により第一回転体と連繋する第一リンクに対して、軸体が第一回転体の回転軸方向へ相対変位し難くなるので、第一回転体と第一リンクとの連繋が解除される事態を回避できる。
請求項5に記載の発明によると、駆動手段は、電動モータが発生する回転トルクを利用して各組のリンク機構部を駆動するので、当該回転トルクの制御によって高精度なバルブタイミング調整を実現できる。
尚、各組のリンク機構部を駆動する駆動手段としては、電動モータが発生する回転トルクを利用する以外にも、例えば油圧モータや電磁ブレーキ装置等が発生する回転トルクを利用するものであってもよい。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は、内燃機関のクランク軸からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設けられている。バルブタイミング調整装置1は、クランク軸及びカム軸2の間の相対回転位相を変化させることにより、内燃機関の吸気弁のバルブタイミングを調整する。
バルブタイミング調整装置1は駆動側回転体10、従動側回転体18、制御ユニット20、差動歯車機構30及び位相変化機構50を備えている。
図1〜3に示すように、駆動側回転体10は全体として中空形状に形成され、差動歯車機構30、位相変化機構50等を収容している。この駆動側回転体10は、二段円筒状のスプロケット11の大径側端部に二段円筒状のカバー12の大径側端部を同軸に螺子止めしてなる。スプロケット11において大径部13と小径部14との間を接続する接続部15には、外周側へ突出する形態で複数の歯16が形成されており、これらの歯16とクランク軸の複数の歯との間で環状のタイミングチェーンが巻き掛けられる。故に、クランク軸から出力された機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット11へ伝達されるときには、駆動側回転体10がクランク軸と連動して、当該クランク軸に対する相対回転位相を保ちつつ回転軸線O周りに回転する。このとき駆動側回転体10の回転方向は、図1,3の時計方向となる。
図1,2に示すように、従動側回転体18は軸部17及び一対の連繋部19を有している。軸部17は円筒状に形成され、駆動側回転体10及びカム軸2と同軸に配置されている。軸部17の一端部は、スプロケット11の接続部15の内周側に摺動回転自在に嵌合していると共に、カム軸2の一端部にボルト固定されている。これにより、従動側回転体18はカム軸2と連動して、当該カム軸2に対する相対回転位相を保ちつつ回転軸線O周りに回転可能となっており、また従動側回転体18は駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。尚、駆動側回転体10に対して従動側回転体18が進角する相対回転方向が方向Xであり、駆動側回転体10に対して従動側回転体18が遅角する相対回転方向が方向Yである。
各連繋部19は、軸部17の中間部から径方向外側へ突出する平板状に形成され、回転軸線Oに関する180度の回転対称位置にそれぞれ配置されている。
図2に示すように、制御ユニット20は電動モータ21及び通電制御回路22等から構成されている。電動モータ21は例えばブラシレスモータ等であり、内燃機関にステー(図示しない)を介して固定されるモータケース23並びにモータケース23によって正逆回転自在に支持されるモータ軸24を有している。通電制御回路22はマイクロコンピュータ等の電気回路であり、モータケース23の外部又は内部に配置されて電動モータ21と電気的に接続されている。通電制御回路22は、電動モータ21のコイル(図示しない)への通電を内燃機関の運転状態等に応じて制御する。この通電制御によって電動モータ21は、モータ軸24の周りに回転磁界を形成し、その回転磁界の方向に応じた方向X,Y(図4参照)の回転トルクをモータ軸24に発生する。
図2,4に示すように、差動歯車機構30は外歯車31、遊星キャリヤ32、内歯車33及び案内回転体34等から構成されている。
歯先円が歯底円の外周側に設定された外歯車31はカバー12に同軸にリベットかしめされ、駆動側回転体10と一体回転可能となっている。
遊星キャリヤ32は全体として筒状に形成されており、駆動側回転体10と同軸の円筒面状に形成された内周面35を有している。遊星キャリヤ32の内周面35には溝部36が開口しており、当該溝部36に嵌合する継手37によってモータ軸24が内周面35と同軸に遊星キャリヤ32に固定されている。この固定によって遊星キャリヤ32は、モータ軸24と連動して回転軸線O周りに回転可能となっており、また駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。遊星キャリヤ32においてモータ軸24とは反対側に設けられている偏心カム部38は、駆動側回転体10に対して偏心する円筒面状の外周面を有している。
内歯車33は有底円筒状に形成され、歯先円が歯底円の内周側に設定された歯車部39を有している。歯車部39の歯底円は外歯車31の歯先円よりも大きく、また歯車部39の歯数は外歯車31の歯数よりも一つ多い。歯車部39は、回転軸線Oに対し偏心して外歯車31の外周側に配置されており、その偏心側とは反対側において外歯車31に噛合している。内歯車33の中心孔41は歯車部39と同軸の円筒孔状を呈しており、当該中心孔41がベアリング40を介して偏心カム部38の外周側に嵌合している。これにより、内歯車33は遊星キャリヤ32により支持されて、偏心カム部38の外周面の偏心中心線P周りに自転しつつ偏心カム部38の回転方向へ公転する遊星運動を実現可能である。尚、本実施形態では、偏心カム部38の外周面に開口する収容孔42にU字状の板ばね43が収容されており、当該板ばね43がベアリング40を通じて内歯車33の中心孔41の内周面を押すことにより、内歯車33が外歯車31にしっかりと噛合している。
図2,3に示すように、案内回転体34は駆動側回転体10と同軸の円環板状に形成されており、従動側回転体18の軸部17においてカム軸2とは反対側端部の外周側に摺動回転自在に嵌合している。これにより案内回転体34は、回転軸線O周りに回転可能となっており、また回転体10,18に対して相対回転可能となっている。図2,4に示すように、案内回転体34において回転方向に等間隔をあけた複数箇所(ここでは九箇所)には、円筒孔状の係合孔48が形成されている。またそれに対応して、内歯車33の回転方向に等間隔をあけた複数箇所(ここでは九箇所)には、対応する係合孔48へ突入して係合する円柱状の係合突起49が形成されている。
こうした構成の差動歯車機構30では、遊星キャリヤ32が駆動側回転体10に対して相対回転しないときには、内歯車33が遊星運動することなく駆動側回転体10と共に回転し、各係合突起49が係合孔48を回転側へ押圧する。その結果、案内回転体34が駆動側回転体10との間の相対回転位相を保ちつつ、図4の時計方向へ回転する。
電動モータ21が発生する回転トルクの方向Xへの増大等により、遊星キャリヤ32が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転して進角するときには、内歯車33が外歯車31との噛合歯を変化させつつ遊星運動することで、各係合突起49が係合孔48を回転側へ押圧する力が増大する。その結果、案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転して進角する。一方、電動モータ21が発生する回転トルクの方向Yへの増大や、内燃機関の運転中における電動モータ21の異常停止等により、遊星キャリヤ32が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転して遅角するときには、内歯車33が外歯車31との噛合歯を変化させつつ遊星運動することで、各係合突起49が係合孔48を反回転側へ押圧する。その結果、案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転して遅角する。
このように、駆動側回転体10に対する遊星キャリヤ32の相対回転運動により内歯車33が遊星運動し、当該遊星運動が案内回転体34へ伝達されることで、案内回転体34が駆動側回転体10に対して相対回転する。
図1〜3,5,6に示すように、位相変化機構50は二組のリンク機構部51、溝形成部54及び一対の可動体55等から構成されている。尚、図1〜3は、駆動側回転体10に対して従動側回転体18が最遅角したときの位相変化機構50の状態を示し、図5,6は、駆動側回転体10に対して従動側回転体18が最進角したときの位相変化機構50の状態を示している。また、図1,3,5では、断面を表すハッチングの図示を省略している。
図1,2に示すように、各組のリンク機構部51は二種類のリンク52,53を組み合わせてなり、回転軸線Oに関する180度の回転対称位置にそれぞれ配置されることによって回転体10,18,34の回転方向に等間隔に並んでいる。
各組のリンク機構部51の第一リンク52は、円弧形に延伸する平板状に形成されており、対偶素60,61を両端部に有している。図5,6に示すように対偶素60には、接続部15に圧入固定されている軸体62が相対回転自在に嵌合しており、これによって第一リンク52が軸体62を介した回り対偶により駆動側回転体10に連繋している。また、図1,2に示すように対偶素61には、同一組のリンク機構部51の第二リンク53に圧入固定されている可動体55が相対回転自在に嵌合しており、これによって第一リンク52が可動体55を介した回り対偶により同一組のリンク機構部51の第二リンク53に連繋している。
各組のリンク機構部51の第二リンク53は、ω字形に延伸する平板状に形成されており、対偶素64,65を中間部に有している。図1に示すように対偶素64には、対応する連繋部19に圧入固定されている軸体66が相対回転自在に嵌合しており、これによって第二リンク53が軸体66を介した回り対偶により従動側回転体18に連繋している。また、対偶素65には、上述の如く同一組のリンク機構部51のリンク52,53同士が回り対偶をなすための可動体55が圧入固定されている。そして図1,2,5に示すように、任意の作動状態において対偶素65は、同一組のリンク機構部51の第一リンク52の対偶素61を接続部15との間に挟持する。尚、対偶素65が同一組のリンク機構部51の第一リンク52を接続部15との間に挟持する方向は、図2に示すように、回転軸線Oに沿う回転体10,18,34の回転軸方向と略一致している。
図1,5に示すように、各組のリンク機構部51において第一リンク52の対偶素60と第二リンク53の対偶素64とは、任意の作動状態において、径方向線Rの両側に位置する。ここで径方向線Rとは、各組のリンク機構部51に対応する可動体55の中心線Qと回転軸線Oとの間を結ぶ仮想線である。
図1,2に示すように、各組のリンク機構部51の第二リンク53は、回転体10,18,34の回転方向において対偶素64よりも対偶素65とは反対側へ延長されている延長部68と、当該回転方向において対偶素65よりも対偶素64とは反対側へ延長されている延長部69とを、両端部に有している。図1,5,6に示すように、任意の作動状態において延長部68は、他組のリンク機構部51の第一リンク52の対偶素60を接続部15との間に挟持しつつ、当該対偶素60に嵌合する軸体62に対して接続部15とは反対側から当接する。また、任意の作動状態において延長部69は、同一組のリンク機構部51の第一リンク52において対偶素61よりも対偶素60側となる部分67を接続部15との間に挟持する。尚、延長部68,69がそれぞれ同一組及び他組のリンク機構部51の第一リンク52を接続部15との間に挟持する方向は、図6に示すように、回転軸線Oに沿う回転体10,18,34の回転軸方向と略一致している。また、各組のリンク機構部51の第二リンク53には、同一組及び他組のリンク機構部51の第一リンク52とは反対側から案内回転体34(本実施形態では溝形成部54)が当接しており、回転体10,18,34の回転軸方向へ向かう第二リンク53の変位が規制されている。
図2,3に示すように、溝形成部54は、案内回転体34において内歯車33とは反対側の壁面を含む部分により形成されている。溝形成部54において回転軸線Oに関する180度の回転対称位置には、それぞれ案内溝58が形成されている。各案内溝58は回転軸線Oの外周側を所定の幅をもって延伸し、その延伸方向において回転軸線Oからの距離が変化するように案内回転体34の径方向軸線に対して傾斜する曲線状である。尚、本実施形態の案内溝58は、図3に示すように、方向Xへ向かうほど回転軸線Oから離間するように傾斜しているが、方向Yへ向かうほど回転軸線Oから離間するように傾斜していてもよい。また、案内溝58は、図3に示すような曲線状以外の形状、例えば直線状等であってもよい。
図1〜3に示すように、各可動体55は、回転軸線Oに対して偏心する円柱軸状に形成されている。各可動体55の一端部は、対応する案内溝58内に滑動可能に嵌合している。各可動体55の他端部は、対応する組のリンク機構部51を構成する第一リンク52の対偶素61に相対回転自在に嵌合している。各可動体55の中間部は、対応する組のリンク機構部51を構成する第二リンク53の対偶素65に圧入固定されている。
こうした構成の位相変化機構50では、案内回転体34が駆動側回転体10との間の相対回転位相を保っているときには、各可動体55が案内溝58内を案内されずに案内回転体34と共に回転する。このとき、各組のリンク機構部51においてリンク52,53の相対位置関係が変化しないので、従動側回転体18が駆動側回転体10との間の相対回転位相を保ちつつ図3の時計方向へ回転し、カム軸2のクランク軸に対する相対回転位相、即ちバルブタイミングが保持される。
案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転して進角するときには、各可動体55が案内溝58内を回転軸線Oへ接近する側へ滑動する。このとき各可動体55は、対応する組のリンク機構部51の第一リンク52を軸体62を支点として回転駆動しつつ、回転軸線O及び中心線Qの間の距離を縮小するように変位する。その結果、各組のリンク機構部51の第二リンク53が可動体55により押されて連繋部19と共に方向Xへ駆動されるため、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して進角し、それに合わせてバルブタイミングが進角する。一方、案内回転体34が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転して遅角するときには、各可動体55が案内溝58内を回転軸線Oから離間する側へ滑動する。このとき各可動体55は、対応する組のリンク機構部51の第一リンク52を軸体62を支点として回転駆動しつつ、回転軸線O及び中心線Qの間の距離を拡大するように変位する。その結果、各組のリンク機構部51の第二リンク53が可動体55により引張られて連繋部19と共に方向Yへ駆動されるため、従動側回転体18が駆動側回転体10に対して遅角し、それに合わせてバルブタイミングが遅角する。
このように、駆動側回転体10に対する案内回転体34の相対回転運動に応じて各可動体55が変位しつつ各組のリンク機構部51のリンク52,53を駆動することで、回転体10,18間の相対回転位相、ひいてはバルブタイミングが変化する。
ここまで説明した本実施形態によると、各組のリンク機構部51の第二リンク53は、作動状態にかかわらず、同一組及び他組のリンク機構部51の第一リンク52を接続部15との間に挟持できる。これにより、各組のリンク機構部51の第一リンク52において挟持される面積を大きく確保できるので、各組のリンク機構部51の第一リンク52が回転体10,18,34の回転軸方向へ変位して回転軸線Oに対して傾くことを抑制できる。しかも本実施形態によると、各組のリンク機構部51が回転体10,18,34の回転方向に等間隔に並んでいるので、それらの回転体10,18,34が回転軸線Oに対して傾いて回転バランスが崩れることを抑制できる。
このような本実施形態によれば、第一リンク52や回転体10,18,34の傾きを抑制することによって、円滑なバルブタイミング調整を実現できる。
尚、本実施形態では、駆動側回転体10が特許請求の範囲に記載の「第一回転体」に相当し、従動側回転体18が特許請求の範囲に記載の「第二回転体」に相当している。また、本実施形態では、第二リンク53の対偶素64が特許請求の範囲に記載の「第一対偶素」に相当し、第二リンク53の対偶素65が特許請求の範囲に記載の「第二対偶素」に相当している。さらに、本実施形態では、第二リンク53の延長部68が特許請求の範囲に記載の「延長部」及び「第一延長部」に相当し、第二リンク53の延長部69が特許請求の範囲に記載の「第二延長部」に相当し、第一リンク52に嵌合する軸体62が特許請求の範囲に記載の「軸体」に相当している。加えて、本実施形態では、制御ユニット20、差動歯車機構30、溝形成部54及び可動体55が共同して特許請求の範囲に記載の「駆動手段」を構成している。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はそれに限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用できる。
例えば、上述の実施形態で説明したリンク機構部51を三組以上設けて、それらのリンク機構部51を回転体10,18,34の回転方向に並べてもよい。この場合、各組のリンク機構部51の第二リンク53については、回転体10,18,34の回転方向において隣接する他組のリンク機構部51の第一リンク52を回転体10との間に挟持する形態とする。
また、上述の実施形態の場合とは反対に、回転体10をカム軸2に連動して回転させ、回転体18をクランク軸に連動して回転させてもよい。
さらに、図7に示すように、係合突起49を有し遊星キャリヤ32により支持される外歯車100を上述の実施形態の内歯車33の代わりに設けると共に、当該外歯車100に噛合する内歯車102を上述の実施形態の外歯車31の代わりに回転体10に設けてもよい。
加えて、上述の実施形態の電動モータ21に代えて、クランク軸の駆動トルクが伝達されることにより回転するブレーキ部材並びにブレーキ部材を磁気吸引するソレノイドを有し、ソレノイドに磁気吸引されたブレーキ部材に生じる制動トルクを回転トルクとして発生する電磁ブレーキ装置や、油圧モータ等を用いてもよい。
また加えて、本発明は、上述の実施形態のように吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用してもよい。
本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す図であって、図2のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 図1とは異なる作動状態を示す断面図である。 図5のVI−VI線断面図である。 図2の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、10 駆動側回転体(第一回転体)、15 接続部、18 従動側回転体(第二回転体)、19 連繋部、20 制御ユニット(駆動手段)、21 電動モータ、30 差動歯車機構(駆動手段)、31,100 外歯車、32 遊星キャリヤ、33,102 内歯車、34 案内回転体、50 位相変化機構、51 リンク機構部、52 第一リンク、53 第二リンク、54 溝形成部(駆動手段)、55 可動体(駆動手段)、58 案内溝、62 軸体、64 対偶素(第一対偶素)、65 対偶素(第二対偶素)、68 延長部(第一延長部)、69 延長部(第二延長部)、O 回転軸線

Claims (5)

  1. クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置であって、
    前記クランク軸及び前記カム軸の一方に連動して回転する第一回転体と、
    前記第一回転体と共通の回転軸線を有し、前記クランク軸及び前記カム軸の他方に連動して回転する第二回転体と、
    前記第一回転体の回転方向に並んで設けられ、前記第一回転体及び前記第二回転体の間の相対回転位相を変化させる複数組のリンク機構部とを備え、
    各組の前記リンク機構部は、回り対偶により前記第一回転体に連繋する第一リンクと、回り対偶により前記第二回転体及び前記第一リンクに連繋する第二リンクとを組み合わせてなり、
    各組の前記リンク機構部の前記第二リンクは、前記第一回転体の回転軸方向において同一組の前記リンク機構部の前記第一リンク及び他組の前記リンク機構部の前記第一リンクを前記第一回転体との間に挟持することを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  2. 各組の前記リンク機構部の前記第二リンクは、前記第二回転体と回り対偶をなす第一対偶素と、同一組の前記リンク機構部の前記第一リンクと回り対偶をなす第二対偶素と、前記回転方向において前記第一対偶素よりも前記第二対偶素とは反対側へ延長される延長部とを有し、前記延長部が他組の前記リンク機構部の前記第一リンクを前記第一回転体との間に挟持することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 各組の前記リンク機構部の前記第二リンクは、前記延長部である第一延長部と、前記回転方向において前記第二対偶素よりも前記第一対偶素とは反対側へ延長される第二延長部とを有し、前記第二延長部が同一組の前記リンク機構部の前記第一リンクを前記第一回転体との間に挟持することを特徴とする請求項2に記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 各組の前記リンク機構部の前記第一リンクは、軸体を介した回り対偶により前記第一回転体に連繋し、
    各組の前記リンク機構部の前記第二リンクは、前記回転軸方向において前記第一回転体との間に挟持した他組の前記リンク機構部の前記第一リンクに相対回転自在に嵌合する前記軸体に対して、前記第一回転体とは反対側から当接することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 電動モータが発生する回転トルクを利用して各組の前記リンク機構部を駆動する駆動手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。




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