JP2007295675A - 電動ブレーキ及びバルブタイミング調整装置 - Google Patents

電動ブレーキ及びバルブタイミング調整装置 Download PDF

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Abstract

【課題】通電停止中における回転軸の保持要求を満たす電動ブレーキの提供。
【解決手段】回転自在に設けられる回転軸と、磁気ヒステリシス特性を有し、回転軸と共に回転するヒステリシス部材と、ヒステリシス部材を挟む両側に設けられ、それぞれヒステリシス部材の回転方向に複数の磁極を形成する第一及び第二永久磁石部材と、第一永久磁石部材に対して第二永久磁石部材を相対回転駆動する駆動手段とを備える電動ブレーキ100において、駆動手段は、第二永久磁石部材と共に回転する駆動軸131と、駆動軸131を回転駆動するためのトルクを通電により発生する電磁アクチュエータ132と、駆動軸131をストッパ位置において止めるストッパ143と、駆動軸131をストッパ位置へ向かって回転方向に付勢する弾性部材134とを有することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、電動ブレーキ及びそれを備えたバルブタイミング調整装置に関する。
従来、磁気ヒステリシス特性を有し回転軸と共に回転するヒステリシス部材を一対の永久磁石部材間に配置し、それら永久磁石部材間の相対位相に応じたブレーキトルクを回転軸に発生する電動ブレーキが知られている。
この種の電動ブレーキは、例えば特許文献1に開示される如く内燃機関のバルブタイミング調整装置に適用されて、クランク軸及びカム軸の間の相対位相(以下、機関位相という)をブレーキトルクに応じて変化させるのに使用される。
特開2004−11537号公報
上記特許文献1に開示の電動ブレーキでは、一方の永久磁石部材を回転駆動するためのトルクを電動モータにより発生しているが、電動モータへの通電が停止すると、永久磁石部材及び電動モータの間のウォーム歯車がセルフロックする。その結果、永久磁石部材間の相対位相が保持されるが、当該保持位相はウォーム歯車におけるセルフロック位置によって変化する。故に、保持位相でのブレーキトルクが小さくなり過ぎると、回転軸の保持が困難となるおそれがあるため、特許文献1に開示の構成は、通電停止状態において回転軸の保持が要求される電動ブレーキには適さない。ここで、例えばバルブタイミング調整装置に電動ブレーキが適用される場合、内燃機関と共に電動ブレーキへの通電が停止した状態で回転軸が回転すると、機関位相が変化して内燃機関の次の始動を困難にするおそれがある。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、通電停止状態において回転軸の保持要求を満たす電動ブレーキを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、内燃機関の運転を最適化するバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明によると、ヒステリシス部材の回転方向に複数の磁極を形成する第一及び第二永久磁石部材は、ヒステリシス部材を挟む両側に設けられる。これにより、永久磁石部材間の相対位相に応じた磁束がヒステリシス部材を通過することになるので、磁気ヒステリシス特性を有するヒステリシス部材が回転軸と共に回転しようとすると、ヒステリシス部材には通過磁束に応じたブレーキトルクが発生する。即ち、永久磁石部材間の相対位相に応じてブレーキトルクが発生する。そして、このブレーキトルクはヒステリシス部材から回転軸へ作用することになるので、回転軸におけるブレーキトルクは、駆動手段が第二永久磁石部材を第一永久磁石部材に対して相対回転駆動することにより調整することができる。また、永久磁石部材の採用により、通電とは関係なくヒステリシス部材の通過磁束を発生させることができるので、通電停止状態であっても、回転軸へブレーキトルクを与えることが可能となる。
さらに、請求項1に記載の発明によると、駆動手段の弾性部材は、駆動手段の電磁アクチュエータへの通電により第二永久磁石部材と共に回転駆動される駆動手段の駆動軸を、ストッパ位置へ向かって回転方向に付勢する。故に、電磁アクチュエータへの通電が停止すると、弾性部材により付勢される駆動軸がストッパ位置へ向かって回転し、駆動手段のストッパによりストッパ位置において止められる。その結果、永久磁石部材間の相対位相が保持されるが、当該保持位相は常に一定となる。したがって、保持位相でのブレーキトルクを、回転軸を保持するためのトルクに設定しておくことにより、通電停止状態であっても、回転自在の回転軸を保持することができる。
尚、第一及び第二永久磁石部材は、請求項2に記載の発明のように、磁極としてのN極及びS極をヒステリシス部材の回転方向に交互に形成するものであることが、大きなブレーキトルクを得る上で望ましいが、互いに異なる磁極のみを形成するもの等であってもよい。
また、第一及び第二永久磁石部材は、永久磁石のみから形成されるものであってもよいし、永久磁石と他の素材とを組み合わせて形成されるものであってもよい。
ここで、回転軸におけるブレーキトルクを最小にする駆動軸の回転位置を最小位置と定義し、回転軸におけるブレーキトルクを最大にする駆動軸の回転位置を最大位置と定義する。
請求項3に記載の発明によると、ストッパ位置は、最小位置を駆動軸の回転方向に挟んで最大位置とは反対側に設定される。これにより、最小位置及び最大位置の間において駆動軸を回転させてブレーキトルクの可変量を確保しつつ、回転軸を保持するためのブレーキトルクを与える範囲内において自由にストッパ位置を設定することができる。そこで、例えば回転軸を保持するための最小限のブレーキトルクを与えるようにストッパ位置を設定する場合、各永久磁石部材に必要な磁力を低減することができるので、特にその場合は、各永久磁石部材の小型化を図ることができる。
請求項4に記載の発明によると、駆動手段の通電制御回路は、電磁アクチュエータへの通電により駆動軸をストッパ位置及び最小位置の間へ回転させた後、アクチュエータへの通電を停止する。ここで、駆動軸が最小位置からストッパ位置へ回転するに従って回転軸におけるブレーキトルクが増大するので、通電停止後、駆動軸がストッパ位置へ達するまでにブレーキトルクが減少して回転軸の回転が許容される事態を回避することができる。
請求項5に記載の発明によると、最小位置から、最大位置と一致するストッパ位置へ駆動軸が回転するに従って、回転軸におけるブレーキトルクが増大する。故に、最小位置及びストッパ位置の間において駆動軸を回転させてブレーキトルクの可変量を確保しつつ、通電停止後、駆動軸がストッパ位置へ達するまでにブレーキトルクが減少して回転軸の回転が許容される事態を回避することができる。
請求項6に記載の発明であるバルブタイミング調整装置は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動ブレーキを備えるので、当該電動ブレーキの電磁アクチュエータへの通電が停止された状態であっても、回転軸を保持することができる。そして特に電動ブレーキの駆動手段は、内燃機関の停止に伴って電磁アクチュエータへの通電を停止する通電制御回路を有するので、内燃機関の停止状態では回転軸が保持されて、位相変化機構により機関位相も保持される。したがって、内燃機関の停止中は、内燃機関の次の始動を許容する機関位相を継続して維持し、また内燃機関の運転中は、機関位相を変化させて運転状況に合わせたバルブタイミングを実現することができる。即ち、請求項6に記載の発明によれば、内燃機関の運転を最適化することができる。
内燃機関が停止すると、バルブ反力によりカム軸から回転トルクが作用し、その回転トルクが位相変化機構を通じて回転軸へ作用することがある。そこで、請求項7に記載の発明によると、内燃機関の停止状態において電動ブレーキは、位相変化機構から回転軸へ作用するトルクよりも大きなブレーキトルクを回転軸に発生する。故に、上述の如くバルブ反力に起因したトルクが回転軸へ作用したとしても、回転軸を保持して機関位相を始動位相に留めることができる。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置1を示している。バルブタイミング調整装置1は、内燃機関のクランク軸(図示しない)からカム軸2へ機関トルクを伝達する伝達系に設けられている。バルブタイミング調整装置1はクランク軸及びカム軸2の間の機関位相を変化させることにより、内燃機関の吸気弁のバルブタイミングを調整する。また特に本実施形態のバルブタイミング調整装置は、内燃機関の停止中、内燃機関の次の始動を許容する始動位相を機関位相として実現する。
具体的にバルブタイミング調整装置1は、電気制御系4及び位相変化機構6を組み合わせてなる。
電気制御系4は、電動ブレーキ100及び通電制御回路150を備えている。電動ブレーキ100は、回転軸111と共に回転するヒステリシス部材112を一対の永久磁石部材113,114間に配置し、それら永久磁石部材113,114間の相対位相に応じたブレーキトルクを回転軸111に発生するヒステリシスブレーキである。通電制御回路150は駆動ドライバ及びその制御用マイクロコンピュータ等から構成されており、電動ブレーキ100の外部及び/又は内部に配置されて電動ブレーキ100のモータ132と電気的に接続されている。通電制御回路150は、モータ132への通電を内燃機関の運転状況等に応じて制御する。ここで、特に本実施形態の通電制御回路150は、内燃機関の停止に伴ってモータ132への通電を停止する機能を有する。このような通電制御に従うことにより電動ブレーキ100は、回転軸111に発生するブレーキトルクを保持又は増減する。
位相変化機構6は、駆動側回転体10、従動側回転体20、付勢部材30、遊星キャリア40、遊星歯車50を備えている。
図1,2に示すように駆動側回転体10は、二段円筒状のスプロケット12と二段円筒状の歯車部材13とを同軸上に螺子止めしてなる。スプロケット12には、外周側へ突出する形態で複数の歯19が形成されており、これらの歯19とクランク軸の複数の歯との間で環状のタイミングチェーンが巻き掛けられる。故に、クランク軸から出力された機関トルクがタイミングチェーンを通じてスプロケット12へ入力されるときに駆動側回転体10は、クランク軸と連動して当該クランク軸に対する相対位相を保ちつつ回転中心O周りに回転する。このとき駆動側回転体10の回転方向は、図2,3の反時計方向となる。
図1,2に示すように歯車部材13の周壁部は、歯先円が歯底円の内周側にある駆動側内歯車部14を形成している。
図1に示すように従動側回転体20は有底円筒状であり、スプロケット12の内周側に同心的に配置されている。従動側回転体20の底部は、カム軸2に同軸上にボルト固定される固定部21を形成している。このボルト固定により従動側回転体20は、カム軸2と連動して当該カム軸2に対する相対位相を保ちつつ回転中心O周りに回転可能となっており、また駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。尚、駆動側回転体10に対して従動側回転体20が進角する相対回転方向が図2,3の方向Xであり、駆動側回転体10に対して従動側回転体20が遅角する相対回転方向が図2,3の方向Yである。
図1,3に示すように従動側回転体20の周壁部は、歯先円が歯底円の内周側にある従動側内歯車部22を形成している。ここで、従動側内歯車部22の内径は駆動側内歯車部14の内径よりも大きく設定され、従動側内歯車部22の歯数は駆動側内歯車部14の歯数よりも多く設定されている。従動側内歯車部22は、駆動側内歯車部14に対して軸方向にずれて隣接する形態でスプロケット12の内周側に嵌合している。
図1に示すように付勢部材30はねじりコイルばねからなり、スプロケット12の内周側に同心的に配置されている。付勢部材30の一端部31はスプロケット12に連繋し、付勢部材30の他端部32は固定部21に連繋している。これらの連繋により付勢部材30は、従動側回転体20を駆動側回転体10に対して遅角させる側(即ち、図2,3の方向Y)へ付勢している。
図1〜3に示すように遊星キャリア40は全体として筒状であり、円筒面状の内周面部41が回転体10,20及び回転軸111に対して同心的に配置されている。この内周面部41には溝部42が開口しており、当該溝部42に嵌合する継手43を介して遊星キャリア40が回転軸111に連結されている。この連結により遊星キャリア40は、回転軸111と共に回転中心O周りに回転可能となっており、また駆動側回転体10に対して相対回転可能となっている。
遊星キャリア40は、円筒面状の外周面により偏心部44を形成している。偏心部44は内歯車部14,22に対し偏心して配置され、遊星歯車50の中心孔51の内周側にベアリング45を介して嵌合している。この嵌合により遊星歯車50は、偏心部44の偏心中心E周りに自転しつつ偏心部44の回転方向に公転する遊星運動を実現可能となっている。
遊星歯車50は二段円筒状であり、歯先円が歯底円の外周側にある駆動側外歯車部52及び従動側外歯車部54をそれぞれ小径部分及び大径部分によって形成している。ここで、駆動側外歯車部52の歯数は駆動側内歯車部14の歯数よりも所定数N(ここでは二つ)少なく設定され、また従動側外歯車部54の歯数は従動側内歯車部22よりも所定数N少なく設定されている。したがって、従動側外歯車部54の歯数は駆動側外歯車部52の歯数よりも多くなっている。駆動側外歯車部52は駆動側内歯車部14の内周側に配置され、当該歯車部14の一部と噛み合っている。また、従動側外歯車部54は従動側内歯車部22の内周側に配置され、当該歯車部22の一部と噛み合っている。
以上の構成により駆動側回転体10の内部には、遊星歯車50を介して駆動側内歯車部14と従動側内歯車部22とが連繋してなる差動歯車機構60が形成されている。この機構60によると、回転軸111におけるブレーキトルクの保持等により遊星キャリア40が駆動側回転体10に対して相対回転しないときには、遊星歯車50が外歯車部52,54の内歯車部14,22との噛合位置を保ちつつ要素10,20,40,111と連れ回りする。したがって、機関位相は変化せず、バルブタイミングが保持される。
一方、回転軸111におけるブレーキトルクの増大等により遊星キャリア40が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転するときには、遊星歯車50が外歯車部52,54の内歯車部14,22との噛合位置を変化させつつ遊星運動することにより、従動側回転体20が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転する。したがって、機関位相はクランク軸に対するカム軸2の進角側へと変化し、それに合わせてバルブタイミングが進角する。
また一方、回転軸111におけるブレーキトルクの減少等により遊星キャリア40が駆動側回転体10に対して方向Xへ相対回転するときには、遊星歯車50が外歯車部52,54の内歯車部14,22との噛合位置を変化させつつ遊星運動することにより、従動側回転体20が駆動側回転体10に対して方向Yへ相対回転する。したがって、機関位相はクランク軸に対するカム軸2の遅角側へと変化し、それに合わせてバルブタイミングが遅角する。
次に、第一実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
図1,4に示すように電動ブレーキ100は、ハウジング部102、磁気カップリング部110及び駆動部130を備えている。ハウジング部102は全体として中空状であり、磁気カップリング部110及び駆動部130を内部に収容している。ハウジング部102は、ステー(図示しない)を介して内燃機関に固定される。
磁気カップリング部110は、回転軸111、ヒステリシス部材112、永久磁石部材113,114等から構成されている。回転軸111は、ベアリング115を介してハウジング部102に回転自在に支持されている。ヒステリシス部材112は、磁気ヒステリシス特性(例えば図5参照)を発現する半硬磁性材から形成されている。ヒステリシス部材112は円環板状であり、回転軸111の外周側に同心的に配置されている。ヒステリシス部材112はホルダ116を介して回転軸111に固定され、回転軸111と共に回転中心O回りに回転可能となっている。
永久磁石部材113,114は、磁化された硬磁性材から形成されている。永久磁石部材113,114は円環板状であり、ヒステリシス部材112を軸方向に挟む両側においてヒステリシス部材112と同軸上に配置されている。一方の第一永久磁石部材113はハウジング部102に固定されているが、他方の第二永久磁石部材114は回転リング117に固定されており、当該回転リング117がベアリング118を介して回転軸111に支持されている。この支持により第二永久磁石部材114は、第一永久磁石部材113に対して相対回転可能となっている。即ち、第一永久磁石部材113に対する第二永久磁石部材114の相対位相(以下、磁石位相という)が可変となっている。
各永久磁石部材113,114は、磁気ギャップを挟んでヒステリシス部材112と向き合う磁極面120,121に複数の磁極を形成している。具体的に磁極の形成形態は、図6に模式的に示すように、N極及びS極がヒステリシス部材112の回転方向に交互に並んだ形態である。このように磁極が形成された永久磁石部材113,114の間においてヒステリシス部材112を通過する磁束は、磁石位相に応じて変化する。したがって、回転軸111と共にヒステリシス部材112が回転しようとすると、磁石位相に応じた磁気摩擦がヒステリシス部材112に発生し、当該磁気摩擦がブレーキトルクとしてヒステリシス部材112から回転軸111へと作用する。
ここで、図7(A)に模式的に示すように各永久磁石部材113,114の同極同士が完全に正対する磁石位相P1では、回転軸111におけるブレーキトルクが図8に示す最大トルクT1となる。また、図7(B)に模式的に示すように各永久磁石部材113,114の異極同士が完全に正対する磁石位相P2では、回転軸111におけるブレーキトルクが図8に示す最小トルクT2となる。尚、図8に示す磁石位相P3は、内燃機関の停止状態(モータ132への通電停止状態)において回転軸111を保持するための保持トルクとして、最小トルクT2よりも大きなブレーキトルクT3を回転軸111へ与える位相である。そして特に本実施形態では、内燃機関の停止状態において位相変化機構6から回転軸111へ作用する回転トルクT4よりも保持トルクT3が大きくなるように、磁石位相P3が設定されている。
図1に示すように駆動部130は、駆動軸131、モータ132、減速機構133及び弾性部材134等から構成されている。駆動軸131は第二永久磁石部材114と同軸上に配置され、連結部材135を介して回転リング117に連結されている。この連結により駆動軸131は、第二永久磁石部材114と共に回転中心O周りに回転可能となっている。モータ132は、通電によりコイル(図示しない)を励磁させて出力軸136を回転駆動する電磁アクチュエータである。このようなモータ132としては、例えばDCモータ、ステッピングモータ等が使用される。モータ132は通電制御回路150と電気的に接続されており、通電制御回路150からの制御信号に従う位置へ出力軸136を回転させる。
図1,4に示すように減速機構133は、複数の平歯車137,138,139が噛み合ってなる歯車機構であり、駆動軸131及び出力軸136の間を接続している。減速機構133は、出力軸136からの出力トルクを減速して駆動軸131へ伝達することにより、駆動軸131を第二永久磁石部材114と共に回転させる。したがって、駆動部130では、通電制御回路150からの制御に従って出力軸136、さらには駆動軸131が回転し、それにより磁石位相が調整される。
図4に示す減速機構133において、駆動軸131に同心的に固定の平歯車137は、回転方向の一周未満の部分に歯車部140が限定されてなる部分歯車である。この平歯車137の回転方向において歯車部140の両端部141,142と向き合うハウジング部102の二箇所には、ストッパ143,144が形成されている。一方のストッパ143は、駆動軸131の回転位置が第一ストッパ位置となるときに歯車部140の一端部141を係止して、磁石位相を図8の位相P3に設定する。即ち、駆動軸131が第一ストッパ位置において止められるときには、回転軸111におけるブレーキトルクが保持トルクT3となる。これに対して他方のストッパ144は、駆動軸131の回転位置が第二ストッパ位置となるときに歯車部140の他端部142を係止して、磁石位相を図8の位相P1に設定する。即ち、駆動軸131が第二ストッパ位置において止められるときには、回転軸111におけるブレーキトルクが最大トルクT1となる。
このように第一及び第二ストッパ位置が定義されている本実施形態では、回転軸111におけるブレーキトルクが最小トルクT2となるときの駆動軸131の回転位置、即ち最小位置が、それらストッパ位置の間に設定されている。したがって、駆動軸131が最小位置から第一ストッパ位置へ向かって回転するときにはブレーキトルクが増大傾向を示し、また駆動軸131が最小位置から第二ストッパ位置へ向かって回転するときにもブレーキトルクが増大傾向を示す。
図1,4に示すように弾性部材134はねじりコイルばねからなり、駆動軸131と同心的に配置されている。弾性部材134の一端部145はハウジング部102に連繋し、弾性部材134の他端部146は平歯車137を介して駆動軸131に連繋している。このような連繋により弾性部材134は、駆動軸131を第一ストッパ位置へ向かって回転方向に付勢している。したがって、第一ストッパ位置は、回転軸111におけるブレーキトルクが最小トルクT2となる最小位置よりも、弾性部材134の付勢側にある。
以上の特徴を有する第一実施形態では、内燃機関の停止に伴ってモータ132への通電が停止すると、弾性部材134の付勢トルクにより駆動軸131が第一ストッパ位置へ向かって回転する。その後、駆動軸131の回転が第一ストッパ位置において止められると、磁石位相が図8の位相P3となるので、回転軸111におけるブレーキトルクとしては保持トルクT3が得られる。したがって、内燃機関の停止後にカム軸2がバルブ反力により回転し、その回転トルクT4が位相変化機構6を通じて回転軸111へ伝達されたとしても、回転トルクT4よりも大きな保持トルクT3の発生により、回転軸111の回転位置が保持される。故に、例えば内燃機関を停止させる直前にモータ132への通電によって駆動軸131を回転駆動し、回転軸111を始動位相の実現位置へ回転させることにより、内燃機関の停止中には継続して始動位相を維持することができる。
また、第一実施形態によると、内燃機関の運転中は、モータ132への通電により駆動軸131を回転駆動して回転軸111におけるブレーキトルクを保持又は増減することができるので、内燃機関の運転状況に合わせたバルブタイミングを実現することができる。ここで特に電動ブレーキ100では、駆動軸131の回転位置について、保持トルクT3を与える第一ストッパ位置及び最大トルクT1を与える第二ストッパ位置の間に、最小トルクT2を与える最小位置が設定されている。換言すれば、最小位置を駆動軸131の回転方向に挟んで第二ストッパ位置とは反対側に第一ストッパ位置が設定されている。故に、例えば内燃機関の定常運転時には、最小位置及び第二ストッパ位置の間において駆動軸131を回転させることにより、ブレーキトルクの可変量を大きく確保することができる。したがって、その場合には、最小位置及び第二ストッパ位置の間から外れた第一ストッパ位置について、設定自由度が高くなる。また、例えば内燃機関の停止前等のアイドル運転時には、最小位置及び第一ストッパ位置の間へ駆動軸131を回転させておくことにより、当該運転後の内燃機関の停止から駆動軸131が第一ストッパ位置へ達するまでの間は、ブレーキトルクが最小トルクT2よりも大きな範囲で増大することとなる。したがって、その場合には、ブレーキトルクが最小トルクT2となって回転軸111の回転が許容される事態を回避することができる。
このような第一実施形態によれば、内燃機関の運転を最適化することが可能である。
尚、ここまで説明した第一実施形態では、ハウジング部102及び駆動部130が共同して特許請求の範囲に記載の「駆動手段」を構成し、モータ132が特許請求の範囲に記載の「電磁アクチュエータ」に相当する。また、第一実施形態では、一方のストッパ143が特許請求の範囲に記載の「ストッパ」に相当し、第一ストッパ位置が特許請求の範囲に記載の「ストッパ位置」に相当する。
(第二実施形態)
図9に示すように本発明の第二実施形態では、駆動軸131が第一ストッパ位置において止められるときにブレーキトルクが最大トルクT1となり、また駆動軸131が第二ストッパ位置において止められるときにブレーキトルクが最小トルクT2となる。したがって、第二実施形態では、駆動軸131が第二ストッパ位置から第一ストッパ位置へ向かって回転するときにブレーキトルクが増大傾向を示し、また内燃機関の停止状態において回転軸111を保持するための保持トルクが最大トルクT1に設定されている。
こうした特徴を有する第二実施形態では、内燃機関の停止に伴ってモータ132への通電が停止すると、駆動軸131が第一ストッパ位置まで回転して止められることにより、保持トルクとしての最大トルクT1が得られる。したがって、内燃機関の停止中は、第一実施形態と同様に回転軸111を保持して始動位相を維持することができる。また、例えば内燃機関の定常運転時にもアイドル運転時にも、第一及び第二ストッパ位置の間において駆動軸131を回転させることにより、ブレーキトルクの可変量の確保と、内燃機関停止後に駆動軸131が止められるまでの回転軸111の保持とを両立することができる。
このような第二実施形態によっても、内燃機関の運転を最適化することが可能である。
(他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用可能である。
例えば、各永久磁石部材113,114については、図10に変形例を示すように、一方において複数のN極がヒステリシス部材112の回転方向に並び、且つ他方において複数のS極がヒステリシス部材112の回転方向に並ぶ構成であってもよい。また、各永久磁石部材113,114については、ヒステリシス部材112を径方向に挟む両側においてヒステリシス部材112と同心的に配置してもよい。
さらに、電磁アクチュエータとしては、モータ132の代わりにロータリソレノイドを用いてもよい。また、駆動部130を設けないで、駆動軸131を出力軸136に連結又は駆動軸131を出力軸136と一体に形成してもよい。この場合、歯車部140の端部141,142に相当する部位を軸131,136に設ける、又は当該部位を有する部材を軸131,136に固定することにより、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
加えて、付勢部材30の付勢トルクは、従動側回転体20を駆動側回転体10に対して進角させる側(即ち、図2,3の方向X)へ作用するものであってもよい。また、回転体10をカム軸2と連動して回転させ、且つ回転体20をクランク軸と連動して回転させてもよい。さらにまた、位相変化機構6の構造については、電動ブレーキのブレーキトルクを利用してクランク軸及びカム軸間の相対位相を変化させ得る構造であれば、上述の実施形態の如き構造以外であってもよい。
さらに加えて、本発明は、吸気弁のバルブタイミングを調整する装置以外にも、排気弁のバルブタイミングを調整する装置や、吸気弁及び排気弁の双方のバルブタイミングを調整する装置に適用してもよい。また、本発明の電動ブレーキは、バルブタイミング調整装置以外にも、例えば回転軸と共に回転する回転体から線材を巻出及び当該回転体へ線材を巻取する装置に適用してもよい。この場合、線材の巻出位置を通電停止状態において保持することができるので、省エネルギー化に貢献することができる。
本発明の第一実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す図であって、図2のI−I線断面図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 本発明の第一実施形態による電動ブレーキを示す一部切欠側面図である。 図4の電動ブレーキの特性を説明するためのグラフである。 図4の電動ブレーキの構成を説明するための模式図である。 図4の電動ブレーキの作動を説明するための模式図である。 図4の電動ブレーキの作動を説明するためのグラフである。 本発明の第一実施形態による電動ブレーキの作動を説明するためのグラフである。 図6の変形例を示す模式図である。
符号の説明
1 バルブタイミング調整装置、2 カム軸、4 電気制御系、6 位相変化機構、10 駆動側回転体、12 スプロケット、13 歯車部材、14 駆動側内歯車部、20 従動側回転体、22 従動側内歯車部、30 付勢部材、40 遊星キャリア、50 遊星歯車、52 駆動側外歯車部、54 従動側外歯車部、60 差動歯車機構、100 電動ブレーキ、102 ハウジング部(駆動手段)、110 磁気カップリング部、111 回転軸、112 ヒステリシス部材、113 第一永久磁石部材、114 第二永久磁石部材、120,121 磁極面、130 駆動部(駆動手段)、131 駆動軸、132 モータ(電磁アクチュエータ)、133 減速機構、134 弾性部材、136 出力軸、137,138,139 平歯車、140 歯車部、141,142 端部、143 ストッパ、150 通電制御回路、O 回転中心、P1,P2,P3 磁石位相、T1 最大トルク、T2 最小トルク、T3 保持トルク

Claims (7)

  1. 回転自在に設けられる回転軸と、
    磁気ヒステリシス特性を有し、前記回転軸と共に回転するヒステリシス部材と、
    前記ヒステリシス部材を挟む両側に設けられ、それぞれ前記ヒステリシス部材の回転方向に複数の磁極を形成する第一永久磁石部材及び第二永久磁石部材と、
    前記第一永久磁石部材に対して前記第二永久磁石部材を相対回転駆動する駆動手段と、
    を備える電動ブレーキにおいて、
    前記駆動手段は、前記第二永久磁石部材と共に回転する駆動軸と、前記駆動軸を回転駆動するためのトルクを通電により発生する電磁アクチュエータと、前記駆動軸をストッパ位置において止めるストッパと、前記駆動軸を前記ストッパ位置へ向かって回転方向に付勢する弾性部材とを有することを特徴とする電動ブレーキ。
  2. 前記第一永久磁石部材及び前記第二永久磁石部材は、前記磁極としてのN極及びS極を前記ヒステリシス部材の回転方向に交互に形成することを特徴とする請求項1に記載の電動ブレーキ。
  3. 前記回転軸におけるブレーキトルクを最小にする前記駆動軸の回転位置を最小位置と定義し、前記回転軸におけるブレーキトルクを最大にする前記駆動軸の回転位置を最大位置と定義すると、
    前記ストッパ位置は、前記最小位置を前記駆動軸の回転方向に挟んで前記最大位置とは反対側に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動ブレーキ。
  4. 前記駆動手段は、前記電磁アクチュエータへの通電により前記駆動軸を前記ストッパ位置及び前記最小位置の間へ回転させた後、前記アクチュエータへの通電を停止する通電制御回路を有し、
    前記駆動軸が前記最小位置から前記ストッパ位置へ回転するに従って、前記回転軸におけるブレーキトルクが増大することを特徴とする請求項3に記載の電動ブレーキ。
  5. 前記回転軸におけるブレーキトルクを最小にする前記駆動軸の回転位置を最小位置と定義し、前記回転軸におけるブレーキトルクを最大にする前記駆動軸の回転位置を最大位置と定義すると、
    前記ストッパ位置は前記最大位置と一致し、
    前記駆動軸が前記最小位置から前記ストッパ位置へ回転するに従って、前記回転軸におけるブレーキトルクが増大することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動ブレーキ。
  6. クランク軸からのトルク伝達によりカム軸が開閉する吸気弁及び排気弁のうち少なくとも一方のバルブタイミングを調整する内燃機関のバルブタイミング調整装置において、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動ブレーキであって、前記内燃機関の停止に伴って前記電磁アクチュエータへの通電を停止する通電制御回路を前記駆動手段が有する電動ブレーキと、
    前記回転軸の回転に応じて前記クランク軸及び前記カム軸の間の相対位相を変化させる位相変化機構と、
    を備えることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
  7. 前記内燃機関の停止状態において前記電動ブレーキは、前記位相変化機構から前記回転軸へ作用するトルクよりも大きなブレーキトルクを前記回転軸に発生することを特徴とする請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
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