JP7161944B2 - 制動力調整装置 - Google Patents
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この特許文献1に開示された制動力付与装置は、制動対象の回転軸に設けられた円板と、この円板の一方の面と対向する複数の第1の永久磁石と、この円板の他方の面と対向する複数の第2の永久磁石とを備えている。複数の第1および第2の永久磁石は、それぞれ極性が円板の周方向に交互に変わるように円板の周方向に並べられている。
このため、制動部材の回転方向の位置、すなわちブレーキトルクの大きさを遠隔操作によって変えることができる。
したがって、本発明によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。
<制動力調整装置の概略の説明>
図1に示す制動力調整装置1は、ハウジング2と、このハウジング2の一端(図1においては左端)から図1において左方に突出する、制動対象としての回転軸3と、ハウジング2内に収容されたヒステリシスブレーキ4と、ハウジング2の他端部に取付けられたステッピングモータ5などを備えている。この制動力調整装置1は、詳細は後述するが、ヒステリシスブレーキ4によって回転軸3を制動し、回転軸3に付与されるブレーキトルクの大きさをステッピングモータ5によって調整する装置である。以下においては、便宜上、ハウジング2から回転軸3が突出する方向を制動力調整装置1の前方とし、この方向とは反対方向を制動力調整装置1の後方として説明する。
固定ベース6の外周部には、図2に示すように、貫通孔6aと貫通孔6bの他に、この制動力調整装置1を図示していない支持体(図示せず)に取付ける取付用ボルトを通すための複数の貫通孔6cが穿設されている。
回転軸3は、ハウジング2の固定ベース6を前後方向に貫通し、固定ベース6に二つの前側軸受14を介して回転自在に支持されている。前側軸受14は、固定ベース6の軸心部の貫通孔15に嵌合して固定ベース6に支持されている。
回転軸3の前端部には、図示してはいないが、被制動用の部材が接続されている。被制動用の部材は、例えばリールやボビンなどである。これらのリールやボビンは、テープやケーブル、糸などの長尺材料が巻き付けられており、この長尺材料が引かれて消費されることによって回転する。
この実施の形態による制動力調整装置1は、この被制動用の部材が回転するときにブレーキトルクを付与するとともに、このブレーキトルクを調整して長尺材料の張力を調整する。
ヒステリシス板19は、後述するヒステリシスブレーキ4の一部を構成するものである。このヒステリシス板19の前端面21は、固定ベース6の後端面22に所定の間隔をおいて対向している。
固定ベース6の後端面22には、図2に示すように、複数の第1の永久磁石23がそれぞれ固着されている。これらの第1の永久磁石23は、固定ベース6の周方向(ヒステリシス板19の回転方向)に並ぶ状態で固定ベース6の後端面22に接着剤(図示せず)によって固定されている。これらの第1の永久磁石23の磁極23aは、回転軸3の軸線方向において、第1の永久磁石23の両端部に設けられている。この磁極23aの極性は、固定ベース6の周方向に交互に変えられている。
可動ベース17は、図3~図5に示すように、円板状に形成されており、軸心部に位置する円筒部24と、この円筒部24の前端から径方向の外側に延びる環状の円板部25とを有している。円筒部24の中には、図1に示すように後側軸受16が嵌合する。可動ベース17は、回転軸3との間に後側軸受16が介在することによって、回転軸3に対して前側に移動することができないように回転軸3に支持されている。
円筒部24の後端部には、図3に示すように、可動ベース17と協働して本発明でいう制動部材41を構成する従動部材42が複数の結合用ボルト43によって結合されている。
結合部44の後端面46には、図6に示すように、複数の位置検出用の永久磁石47が設けられている。これらの永久磁石47は、それぞれ円柱状に形成されており、中心線C1(図3参照)が回転軸3の軸線C2と平行になるように結合部44に取付けられている。また、これらの永久磁石47の前端部は、図3に示すように、結合部44の円形凹部48に嵌合し、図示していない接着剤によって接着されている。図3の破断位置は、図6中にIII-III線で示した位置である。
これらの永久磁石47が取付けられる位置は、制動部材41の回転方向に列をなして所定の間隔で並ぶ複数の位置であって、列の一端から他端に向かうにしたがって回転中心からの距離が連続的に変化する位置である。ここでいう「連続的に」とは、距離が連続して増大するか、距離が連続して減少するという意味である。このため、これらの永久磁石47は、仮想の渦巻き線Lに沿って配置されている。
ラック51は、従動部材42の周方向において所定の長さだけ延びる円弧状に形成されており、図3に示すように、突壁部45の内周面に形成された溝54に嵌合している。
従動部材42の周方向におけるラック51の位置決めは、図7に示すように、ラック51の長手方向の両端と隣接するように従動部材42に設けられた第1および第2の移動規制部材55,56によって行われている。
第1の移動規制部材55が図7に示すように一方のストッパエンドピン61に当接したときは、同じ極性の第1および第2の永久磁石23,27が対向しており、ブレーキトルクは最大になる。一方、第1の移動規制部材55が他方のストッパエンドピン62に当接した場合には、互いに異なる磁極の第1および第2の永久磁石23,27が対向しており、ブレーキトルクは最小になる。
この第2の移動規制部材56においては、固定用ボルト66を緩めた状態でカラー65を固定用ボルト66に対して回すことによって、カラー65の外周面が偏心カムとして機能し、ラック51の端部を押す量が増減する。ラック51は、この第2の移動規制部材56により押圧されることによって、溝54の底部に押し付けられて密着した状態で固定される。
可動ベース17と従動部材42とからなる制動部材41は、従動部材42に減速機構52を介して接続されたステッピングモータ5を動力源とする駆動装置71(図8参照)によって駆動される。
ステッピングモータ5は、図1および図10に示すように、出力軸72が前後方向に延びてハウジング2内に挿入される状態でモータ取付板7の後端面73に複数の固定用ボルト74によって固定されている。モータ取付板7の後端面73には、ステッピングモータ5の動作を制御する制御装置75が取付けられている。モータ取付板7は、可動ベース17に対してヒステリシス板19とは反対側に位置しており、駆動装置71の構成部品を支持するフレームとして機能している。
ステッピングモータ5の出力軸72は、モータ取付板7の貫通孔76に通されてハウジング2内に挿入されている。出力軸72には、減速機構52の一部を構成するピニオン歯車77が固定されている。貫通孔76にはステッピングモータ5の前端部の一部が嵌合している。
減速機構52は、いわゆるスター型の遊星歯車減速機構で、出力軸72の回転を減速して従動部材42(制動部材41)に伝える。
減速機構52は、図7および図11に示すように、ステッピングモータ5の出力軸72に固定されたピニオン歯車77と、このピニオン歯車77と噛み合う大歯車78と、この大歯車78と同一軸線上で一体に回転するピニオン53と、このピニオン53と噛み合う従動部材42のラック51などによって構成されている。
この減速機構52によれば、ステッピングモータ5の出力軸72の回転がピニオン歯車77から大歯車78に伝達されることにより減速され、さらに、この回転がピニオン53からラック51に伝達されることにより減速される。
磁気センサー82は、図1に示すように、従動部材42に設けられている位置検出用の複数の永久磁石47の後方近傍に位置付けられており、これらの永久磁石47の磁束を検出し、検出結果を信号としてリード線84を介して制御装置75に送る。
この実施の形態による位置検出用の永久磁石47と磁気センサー82は、図1に示すように、回転軸3の軸線方向において、ラック51と重なる位置に配置されている。
制御装置75は、図12に示すように、操作スイッチ91、磁気センサー82およびステッピングモータ5などが接続され、位置検出部92と、目標設定部93と、動作制御部94とを備えている。操作スイッチ91は、オペレーター(図示せず)がこの制動力調整装置1のブレーキトルクを増やしたり減らしたりするために操作される。この制御装置75は、例えばマイクロコンピュータによって構成することができる。
第1の方法は、マップ95を用いる方法である。このマップ95は、ヒステリシスブレーキ4で生じるブレーキトルクを制動部材41の回転方向の位置に割り付けて形成されている。
マップ95には回転方向の位置と対応する、上記の方法で測定したブレーキトルクが書き込まれている。目標設定部93は、目標とするブレーキトルクが生じる、制動部材41の回転方向の目標位置をマップ95から読み出す。
このように構成された制動力調整装置1においては、回転軸3が被制動用の部材とともに回転し、ヒステリシス板19が第1および第2の永久磁石23,27に対して回転することによって、ヒステリシス板19にブレーキトルクが付与される。ブレーキトルクの大きさは、可動ベース17の周方向における第1の永久磁石23に対する第2の永久磁石27の位置に依存して増減する。
このとき制御装置75は、現在の制動部材41の回転方向の位置を検出するとともに、目標とするブレーキトルクが生じる制動部材41の回転方向の目標位置をマップ95から読み出すか、あるいは演算を行って求める。そして、制御装置75は、現在の制動部材41の回転方向の位置が目標位置と一致するようにステッピングモータ5を動作させて制動部材41を回す。このとき、制動部材41は、摩擦板36が受圧板12に対して滑ることにより、摩擦ブレーキ37の制動力に抗して回る。
したがって、この実施の形態によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。
また、位置検出用の複数の永久磁石47は市販のものを使用できるから、制動部材41の回転方向の位置を高い精度で検出する検出機構を安価に実現することができる。このため、この実施の形態によれば、遠隔操作が可能な制動力調整装置を安価に提供することが可能になる。
<実施の形態による効果の説明>
図12に示した制御装置75の目標設定部93は、ブレーキトルクを制動部材41の回転方向の位置に割り付けたマップ95を有している。目標とするブレーキトルクが生じる制動部材41の回転方向の目標位置は、マップ95から読み出して取得することができる。このため、目標位置を速く求めることができるから、ブレーキトルクを変更するときの応答性が高い制動力調整装置を提供することができる。
したがって、ブレーキトルクを変更するとき以外はステッピングモータ5に通電する必要がないから、電力消費量が少ない制動力調整装置を提供することができる。
Claims (5)
- 制動の対象となる回転軸と、
前記回転軸と一体に回転するヒステリシス板および前記ヒステリシス板に磁気的に接続された制動部材を有し、前記制動部材が前記回転軸と同一軸線上で回ることにより前記ヒステリシス板に作用するブレーキトルクが変化するヒステリシスブレーキと、
ステッピングモータを動力源として前記制動部材の回転方向の位置を変える駆動装置と、
前記制動部材の回転方向に列をなして所定の間隔で並ぶ複数の位置であって、前記列の一端から他端に向かうにしたがって回転中心からの距離が連続的に変化する位置にそれぞれ設けられた位置検出用の永久磁石と、
前記永久磁石を検出する磁気センサーと、
前記ステッピングモータおよび前記磁気センサーに接続された制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記磁気センサーの検出信号に基づいて前記制動部材の回転方向の現在の位置を検出する位置検出部と、
目標とするブレーキトルクが生じる、前記制動部材の回転方向の目標位置を求める目標設定部と、
前記現在の位置が前記目標位置と一致するように前記駆動装置の動作を制御する動作制御部とを有していることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1記載の制動力調整装置において、
前記目標設定部は、ブレーキトルクを前記制動部材の回転方向の位置に割り付けたマップを有し、
前記目標位置は、前記マップから読み出した、前記目標とするブレーキトルクと対応する前記制動部材の回転方向の位置であることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1記載の制動力調整装置において、
前記目標設定部は、ブレーキトルクに対応する前記制動部材の回転方向の位置が得られる関数を用いて前記目標とするブレーキトルクから前記目標位置を演算によって求める演算部を有していることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の制動力調整装置において、
さらに、前記制動部材を制動する摩擦ブレーキを備え、
前記制動部材は、前記駆動装置によって駆動されることにより前記摩擦ブレーキの制動力に抗して回ることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の制動力調整装置において、
前記制動部材は、前記ヒステリシス板と同一軸線上に位置付けられているとともに、前記ヒステリシス板とは反対側の端部に内歯車を有し、
前記駆動装置は、前記内歯車に噛合して前記内歯車を駆動する歯車を有し、
前記位置検出用の永久磁石と前記磁気センサーは、前記回転軸の軸線方向において前記内歯車と重なる位置に配置されていることを特徴とする制動力調整装置。
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