JP6872456B2 - 制動力調整装置 - Google Patents
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Description
これらの特許文献1,2に開示された制動力付与装置は、制動力が付与される回転軸に設けられた円板と、この円板の一方の面と対向する複数の第1の永久磁石と、この円板の他方の面と対向する複数の第2の永久磁石とを備えている。複数の第1および第2の永久磁石は、それぞれ極性が円板の周方向に交互に変わるように円板の周方向に並べられている。
可動部材に駆動装置から回転力が付与されていない状態においては、カム機構で押圧力が生じることがなく、押圧部材の外縁部がばね部材のばね力によってケースに接触する。このように押圧部材がケースに接触することにより、可動部材の円筒部の周方向への押圧部材の移動が摩擦抵抗によって規制される。また、このときは、可動部材と押圧部材とがカム機構によって周方向の同一位置に保持される。すなわち、固定部材に対する可動部材の相対的な回転が規制される。
このように、本発明に係る制動力調整装置によれば、可動部材の回転角が所望の角度になるように駆動装置の動作を制御することによって、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作によって変えることができる。
したがって、本発明によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。しかも、この制動力調整装置は、ブレーキトルクを調整するとき以外は電力を消費することがないから、電力消費量を可及的少なく抑えることができる。
また、この制動力調整装置においては、ばね部材のばね力を原動力として押圧部材とカム機構とを用いて可動部材を所定の位置に保持するから、専ら可動部材の移動を規制するブレーキは不要である。このため、この制動力調整装置は、専ら可動部材の移動を規制するブレーキを装備する場合と較べると、小型になるとともに安価に提供できるようになるし、ブレーキの動作を制御する回路も不要になる。
<制動力調整装置の概略の説明>
図1に示す制動力調整装置1は、図1において中央部に位置するモータ2と回転軸3とを備えており、回転軸3にブレーキトルクを付与するとともに、このブレーキトルクの大きさをモータ2によって調整する装置である。図1は、モータ2の一部を省略した状態で描いてある。
被制動部材11は、詳細には図示してはいないが、例えばリールやボビンなどである。これらのリールやボビンは、テープやケーブル、糸などの長尺材料が巻き付けられており、この長尺材料が引かれて消費されることによって回転する。
リールやボビンなどの被制動部材11を用いて長尺材料を供給する材料供給装置15は、複数の被制動部材11を備えていることが多い。このような場合、制動力調整装置1は、被制動部材11毎に装備される。
制動力調整装置1の固定部材12は、回転軸3が挿通される貫通穴16を有する第1の円筒部17と、この第1の円筒部17の一端部から径方向の外側に延びる第1の円板部18とを有している。回転軸3は、第1の円筒部17に軸受13,14を介して回転自在に支持されている。第1の円筒部17および第1の円板部18は、回転軸3と同一軸線上に位置付けられている。
また、この固定部材12は、他端部において、被制動部材11を有する材料供給装置15の支持板19に支持されている。
ブレーキトルク発生部23は、3つの機能部品によって構成されている。第1の機能部品は、上述した複数の第1の永久磁石21である。第2の機能部品は、第1の永久磁石21から制動力調整装置1の一端側に所定の距離だけ離れて位置する複数の第2の永久磁石25である。第3の機能部品は、第1の永久磁石21と第2の永久磁石25との間に位置するヒステリシス板26である。
第2の永久磁石25は、第1の永久磁石21と対向する状態で可動部材31の第2の円板部32に固定されている。可動部材31は、回転軸3が挿通された第2の円筒部33と、この第2の円筒部33の他端部から径方向の外側に延びる第2の円板部32と、第2の円筒部33の一端部に固着されたばね受け板34とによって構成されている。この実施の形態においては、第2の円板部32が本発明でいう「可動部材の板状部」に相当し、第2の円筒部33が本発明でいう「可動部材の円筒部」に相当する。第2の円筒部33と第2の円板部32は、回転軸3と同一軸線上に位置付けられている。また、この実施の形態による第2の円板部32と第2の円筒部33は、1つの可動ベース35として一体に形成されている。
この第2の円板部32の他端部の端面に複数の第2の永久磁石25がそれぞれ固着されている。これらの第2の永久磁石25は、第1の永久磁石21と同様に、第2の円板部32の周方向(回転軸3の回転方向)に並ぶ状態で第2の円板部32に固定されている。これらの第2の永久磁石25の磁極は、回転軸3の軸線方向において、第2の永久磁石25の両端部に設けられている。この磁極の極性は、第2の円板部32の周方向に交互に変えられている。
トルクアーム8は、ばね受け板34とモータ2との間に配置されており、モータ2の出力軸7に接続された基端部を中心にして回る。トルクアーム8が回ることにより、ボールベアリング52が溝51の壁を押しながら溝51に対してばね受け板34の周方向と径方向とに移動する。
このヒステリシス板26と第1の永久磁石21との間と、ヒステリシス板26と第2の永久磁石25との間とには、それぞれ所定の隙間が形成されている。ヒステリシス板26の軸線方向への移動は、回転軸3の一端部と他端部とにそれぞれ設けられたサークリップ58,59と、これらのサークリップ58,59どうしの間に設けられた2組の軸受13,14,36,37と、第1および第2のハブ56,57と、一対の軸受どうしの間に設けられたカラー61,62などによって規制されている。
押圧板24は、円環板状に形成され、可動部材31の第2の円板部32と隣接する位置に配置されており、上述したように第2の円筒部33に移動自在に支持されている。この実施の形態においては、この押圧板24が本発明でいう「押圧部材」に相当する。押圧板24の外径は、上述したケース6の外径より僅かに小さい径である。このため、押圧板24は、ケース6と接触可能な外縁部24aを有している。
この押圧板24の一端部であって、押圧板24を周方向に3等分する位置には、図3,4および図6に示すように、ばね部材48の他端部が挿入される円形凹部49がそれぞれ形成されている。また、押圧板24の他端面、すなわち可動部材31の第2の円板部32と対向する端面であって、押圧板24の軸線方向から見て3箇所の円形凹部49どうしの間には、後述するカム機構41の一部を構成する第2の凹部63と、これらの第2の凹部63の底に開口するねじ孔64とが設けられている。第2の凹部63とねじ孔64は、押圧板24を周方向に3等分する位置であって、径方向において、上述した第1の凹部42と同一の位置に位置付けられている。
カム機構41は、図7に示すように、可動部材31の第2の円板部32に設けられた第1の凹部42と、押圧板24に設けられた第2の凹部63と、これらの第1および第2の凹部42,63に挿入されて保持されたボール65とによって構成されている。
第1の凹部42と第2の凹部63は、開口形状が円形となる凹部で、それぞれ壁面がテーパー面になるように形成されている。また、第1および第2の凹部42,63の深さは、図3に示すように、押圧板24の外縁部24aがケース6に当接している状態で第1および第2の凹部42,63の中でボール65が自由に移動できるような深さである。
モータ2の動作を制御する制御装置55は、図9に示すように、複数の制動力調整装置1の個々の制御回路4に信号線71によってそれぞれ接続されている。言い換えれば、各制動力調整装置1の制御回路4は、信号線71を介して制御装置55に並列に接続されている。また、各々の制動力調整装置1のモータ2は、電源線72を介して1つの電源装置73に並列に接続されている。
制御回路4は、制御装置55から送られた制御信号中に自らのアドレスが含まれていた場合、制御信号に含まれているモータ2の作動内容通りにモータ2を動作させる。
このように構成された制動力調整装置1においては、回転軸3が被制動部材11とともに回転し、ヒステリシス板26が第1および第2の永久磁石21,25に対して回転することによって、ヒステリシス板26にブレーキトルクが付与される。ブレーキトルクの大きさは、第2の円筒部33の周方向における第1の永久磁石21に対する第2の永久磁石25の位置に依存して増減する。
したがって、この実施の形態によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。しかも、この制動力調整装置1は、ブレーキトルクを調整するとき以外はモータ2への給電を停止させることが可能で電力を消費することがないから、電力消費量を可及的少なく抑えることができる。
このため、このカム機構41によれば、押圧板24をケース6から離れる方向に押す押圧力が可動部材31の回転方向に依存することなく発生する。また、第1の凹部42および第2の凹部63を機械加工によって可動部材31および押圧板24に簡単に形成することができる。
したがって、この実施の形態によれば、ブレーキトルクの調整を正確に行うことができる制動力調整装置を安価に提供することができる。
Claims (2)
- 被制動部材と一体に回転する回転軸と、
前記回転軸が挿通される貫通穴を有し、前記回転軸を軸受によって回転自在に支持する固定部材と、
前記回転軸の回転方向に並ぶ状態で前記固定部材の一端部に固定され、極性が前記回転方向に交互に変えられた複数の第1の永久磁石と、
前記第1の永久磁石から前記固定部材とは反対側へ所定の距離だけ離間する板状部が他端部に設けられかつ前記回転軸が挿通された状態で前記回転軸に軸受を介して回転自在に支持された円筒部を有する可動部材と、
前記回転方向に並ぶとともに前記第1の永久磁石と対向する状態で前記可動部材の板状部に固定され、極性が前記回転方向に交互に変えられた複数の第2の永久磁石と、
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間に配置され、前記回転軸と同一軸線上に位置する状態で前記回転軸に固定された磁性材からなる円板状のヒステリシス板と、
前記固定部材に対して固定され、前記可動部材の前記板状部を覆う筒状のケースと、
前記可動部材の前記板状部と隣接する位置に配置されて前記可動部材の前記円筒部に周方向および軸線方向へ移動自在に支持され、前記ケースと接触可能な外縁部を有する押圧部材と、
前記可動部材の一端部と前記押圧部材との間に設けられ、前記押圧部材を前記ケースに向けて付勢するばね部材と、
前記可動部材を前記固定部材に対して回転させる駆動装置と、
前記板状部が前記押圧部材に対して相対的に回ることにより前記押圧部材を前記ケースから離れる方向へ押す押圧力が生じ、かつ前記相対的な回転が停止した状態では前記押圧力が消失して前記板状部と前記押圧部材とを前記周方向の同一位置に保持するカム機構とを備えていることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1記載の制動力調整装置において、
前記カム機構は、
前記可動部材の前記板状部における前記押圧部材と対向する端面に形成され、壁面がテーパー面からなる第1の凹部と、
前記押圧部材における前記可動部材の前記板状部と対向する端面に形成され、壁面がテーパー面からなる第2の凹部と、
前記第1の凹部と前記第2の凹部とに挿入されて保持されたボールとによって構成されていることを特徴とする制動力調整装置。
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