JP6223930B2 - 磁性流体を用いたドラグ機構を有する魚釣用リール - Google Patents

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本発明は、魚釣用リールに関し、詳しくは、磁性流体を用いたドラグ機構を有する魚釣用リールに関する。
従来より、釣糸が強く引かれたときの糸切れを防止するドラグ機構を備えた魚釣用リールが知られている。このドラグ機構は、例えば、スプール又は当該スプールと連動して回転する回転部材に対して複数のライニング材を介して制動板を押圧して当該制動板から当該スプールに対して静止摩擦力を作用させることによりスプールの回転を制動するものである。このドラグ機構により、スプールに巻かれた釣糸が静止摩擦力よりも小さな力で引かれている場合にはスプールは回転しないが、この静止摩擦力を超える力で釣糸が引かれた場合にはスプールと制動板とが滑ってスプールが回転する(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−252760号公報
しかしながら、こうしたスプール又はスプールと連動して回転する回転部材に制動板を押圧するドラグ機構では、釣糸が引き出されてスプールが回転すると、スプールの回転軸と制動板とが滑ってスティックスリップ現象が起こることがある。このスティックスリップ現象は、制動板やライニング材の摩擦係数のムラ、制動版やライニング材の径方向の移動により生じる。スティックスリップ現象が起こると、釣糸の引出し時の張力に変化が生じ、糸切れや口切れの原因となる。また、ライニング材の劣化に伴って制動力が低下し、ドラグ機構が正常に動作しなくなるおそれがある。
そこで、本発明は、制動板による摩擦力以外の制動力によりスプールを制動することができる魚釣用リールを提供することを目的の一つとする。本発明の様々な実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールは、スプールの回転と連動して所定の回転軸の回りで回転する回転部材と、前記回転軸に対して回転不能に設置された回り止め部材と、前記回り止め部材に設けられた第1の磁石と、前記回り止め部材に、前記第1の磁石と所定の隙間を介して前記回転軸の径方向において対向するように設けられた第2の磁石と、
前記所定の隙間に延伸するように前記回転部材に固定され、その少なくとも一部が磁性材料から成る磁性体部材と、前記所定の隙間に収容された磁性流体と、を備える。また、本発明の他の実施形態に係る魚釣用リールは、スプールの回転と連動して所定の回転軸の回りで回転する回転部材と、前記回転軸に対して回転不能に設置された回り止め部材と、前記回転部材に設けられた第1の磁石と、前記回転部材に、前記第1の磁石と所定の隙間を介して前記回転軸の径方向において対向するように設けられた第2の磁石と、前記所定の隙間に延伸するように前記固定部材に固定され、その少なくとも一部が磁性材料から成る磁性体部材と、前記所定の隙間に収容された磁性流体と、を備える。本発明の一実施形態においては、前記磁性体部材と前記第1及び第2の磁石との配置を変更することにより前記磁性流体に作用する磁力を変化させることができる。
当該魚釣用リールによれば、第1の磁石及び第2の磁石の磁力により、所定の隙間に収容されている磁性流体の粘度が高められる。この隙間には、磁性体部材が延伸しているので、磁性流体の粘度が高くなると、当該磁性体部材により高いせん断抵抗を作用させることができる。これにより、例えば釣糸が引き出されたことに伴ってスプールが回転したときに、当該回転部材の回転を制動する抵抗を作用させることができる。このようにして、磁性流体のせん断応力に応じた制動力をスプールに対して作用させるドラグ機構を実現することができる。この制動力は、磁性体部材と第1及び第2の磁石との配置を変更することにより、前記隙間における磁束密度を変化させて当該隙間に収容されている磁性流体に作用する磁力を変化させることにより調節可能である。
本発明の様々な実施形態によって、制動板による摩擦力以外の制動力によりスプールを制動することができる魚釣用リールを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールを示す部分断面図。 本発明の一実施形態における魚釣用リールのスプール30周辺の縦断面図。 本発明一実施形態における魚釣用リールが備えるドラグ機構の縦断面図 本発明一実施形態における魚釣用リールが備えるドラグ機構の縦断面図 本発明の他の実施形態における魚釣用リールが備えるドラグ機構の縦断面図 本発明の他の実施形態における魚釣用リールが備えるドラグ機構の縦断面図
以下、様々な実施形態を適宜図面を参照して説明する。なお、複数の図面にわたって共通する又は類似の構成要素には同一又は類似の参照符号が付されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール10の一部を断面とした部分断面図である。この魚釣用リール10は、図示するように、リール本体12と、このリール本体12の前方に設けられたロータ20と、このロータ20の内側に設けられ、その外表面に釣糸(不図示)が巻かれるスプール30とを備える。ロータ20は、リール本体12に回転可能に設けられる。また、ロータ20は左右一対のアームを有しており、当該アームの一方の前端には釣糸を案内するラインローラ20aが設けられている。
この魚釣用リール10は、リール本体12に設けられた略T字形状の脚部12aを介して図示しない釣竿に取り付けられる。魚釣用リール10は、ドラグ機構以外は、一般的なスピニングリールと同様の構成を備え得る。スピニングリールは、本発明を適用可能なリールの例に過ぎず、後述するように、本発明は、スピニングリール以外の様々な種類のリール(例えば、両軸受型リール、片軸受型リール、及び電動リール)に適用可能である。
リール本体12には、ハンドル軸16が回転可能に支持されている。このハンドル軸16の一端にはハンドル14が取り付けられており、ハンドル軸16は、ハンドル14の回転操作に応じて回転するようにリール本体12に取り付けられる。また、このハンドル軸16の他端付近にはドライブギヤ18が取り付けられている。このドライブギヤ18には、ハンドル軸16の軸方向に対して直交する方向に延出する略円筒形状のピニオンギヤ19が噛合している。このピニオンギヤ19は、その外周面を介してロータ20と一体に取り付けられているため、ハンドル14の回転は、ハンドル軸14、ドライブギヤ18、及びピニオンギヤ19を介してロータ20に伝達される。
また、ピニオンギヤ19にはスプール軸31が貫通している。このスプール軸31の後端(手元端)には、ドライブギヤ18の回転に応じて動作するオシレート機構22が連結されており、スプール軸31の先端側にはスプール30が取り付けられている。このオシレート機構22の動作によって、スプール軸31及びその先端側に取り付けられたスプール30は、ハンドル14を回転操作したときにリール本体12の前後方向(ハンドル軸16と直交する方向)に往復運動する。
このような魚釣用リール10によれば、ハンドル14を回転操作することにより、ドライブギヤ18及びピニオンギヤ19を介してロータ20を回転させるとともにオシレート機構22及びスプール軸31を介してスプール30を前後方向に往復運動させることができるので、釣糸をスプール30にその軸方向にほぼ均一に巻くことができる。
図2は、一実施形態における魚釣用リール10のスプール30周辺の縦断面図である。図示するように、スプール軸31には、円筒形状のスプール支持部材32がピン止めによって固定されている。このスプール支持部材32には、スプール30が軸受33aを介して取り付けられている。これにより、スプール30は、例えば当該スプール30に捲回された釣糸が強く引かれたときにスプール軸31の回りに回転することができる。スプール30の前方内側には、後述する回転部材35がスプール30と一体に回転できるように嵌め込まれている。これにより、回転部材35はスプール30の回転と連動してスプール軸31の回りで回転することができる。一方、回転部材35のスプール軸31の軸方向の移動は規制されており、通常の使用状態では回転部材35は当該軸方向に移動することができない。
また、スプール支持部材32の前方には、後述するように、スプール軸31と略同心に、略円筒形状の回り止め部材36が固定されている。回り止め部材36は、バネSにより、スプール軸31の前方側に常時付勢されている。回転部材35は、軸受33b、33c、回り止め部材36のボス部36a、及び後述するノブ37の突出部37aを介してスプール軸31の回りに回転可能に支持される。
スプール軸31の前方側端部には、回転部材35と回り止め部材36とのスプール30の回転軸方向(スプール軸31の軸方向)の位置を調整するための蓋状のノブ37が取り付けられている。ノブ37は、スプール軸31の前方端部に螺合しており、ノブ37をねじ込むことにより、バネSからの力に抗して回り止め部材36をスプール軸31の軸方向後方側に押し込むことができる。
回転部材35の詳細についてさらに説明する。回転部材35は、ほぼ円筒形状に構成されており、スプール軸31と略同心に配置される。一実施形態における回転部材35は、スプール軸31を取り囲み、軸受33b、33cを介してボス36aに支持される内壁35aと、この内壁35aとほぼ並行に延伸し、内壁35aよりもスプール軸31の径方向外方に配置された外壁35bと、この内壁35aと外壁35bとを接続する円板状の底部35cとを有する。底部35cの中心にはスプール軸31が貫通する孔が設けられる。これにより、回転部材35は、軸受33b、33cを介して回り止め部材36に取り付けられている。一実施形態において、外壁35bの外径はスプール30の前方側の開口部の内径とほぼ同一であるため、回転部材35は、その外壁35bの外表面がスプール30の開口部の内表面と密着するようにスプール30に一体回転するように嵌め込まれる。
回転部材35には、その少なくとも一部分が磁性材料から成るフィン39が固定される。このフィン39は、円板状の底部39aと、スプール軸31を囲むリング形状に構成され、底部39aからスプール軸31の軸方向に延伸する壁部39bとを有する。この壁部39bは、厚肉部39cと、この厚肉部39cよりも径方向の厚さが薄い薄肉部39dとを有する。一実施形態におけるフィン39は、磁性材料、例えば鉄、ケイ素鋼、パーマロイ等の軟磁性材料から成る。また、一実施形態においては、フィン39のうち、厚肉部39cが磁性材料から成り、薄肉部39dが非磁性材料から成るようにしてもよい。一実施形態においては、フィン39の全部又は一部(特に厚肉部39c)の透磁率が後述する磁性流体40の透磁率よりも高くなるようにフィン39を形成することができる。
回り止め部材36は、ノブ37の突出部37aを介してスプール軸31に固定されたスプール支持部材32の前部外周に軸方面移動可能に回り止め嵌合されるボス36aと、当該ボス36aの前方(図2の左方)端部からスプール軸31の径方向に延伸する底部36bと、当該底部36bの外側端部に設けられたハウジング部36cとを有する。一実施形態における回り止め部材36は非磁性材料から成る。ボス36aの外表面には上述した軸受33b、33cが設けられており、回り止め部材36は、この軸受33b、33cを介して回転部材35を支持している。
ハウジング36cは、スプール軸31とほぼ同軸のリング形状を有する内壁36c1と、同様にスプール軸31とほぼ同軸で内壁36c1よりも大径のリング形状に形成された外壁36c2と、この内壁36c1と外壁36c2とを接続する底部36c3とを有する。したがって、ハウジング36cには、リール10の後方に向かって開口する凹部が形成される。この凹部は、内壁36c1、外壁36c2、及び底部36c3で画定される。
このハウジング36cの凹部には、磁性体ユニット38が収容される。この磁性体ユニット38について、図3を参照して説明する。図示のように、磁性体ユニット38は、リング状に形成された永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2と、これらの永久磁石38a1、38b1の軸方向の両端にそれぞれ配置されたリング状の複数(図では4枚)の磁性体プレートP1と、永久磁石38a2、38b2の軸方向の両端にそれぞれ配置されたリング状の複数(図では4枚)の磁性体プレートP2と、永久磁石38a1と永久磁石38b1との間及び永久磁石38a2と永久磁石38b2との間にそれぞれ設けられた非磁性体のスペーサ38c1、38c2と、を備える。
一実施形態における永久磁石38a1は、リング形状に形成されており、その内周面を介してハウジング36cの内壁36c1に接着等により固定されている。一実施形態において、永久磁石38a1は、リール10の前方側(図3の左側)がS極、後方側(図3の右側)がN極となるように配置されている。永久磁石38a1の磁極の向きはこれに限られず、リール10の後方側がS極、前方側がN極となるように配置されてもよい。
永久磁石38a2は、永久磁石38a1よりも大径のリング形状に構成されており、その外周面を介してハウジング36cの外壁36c2に接着等により固定されている。永久磁石38a2は、永久磁石38a1とスプール軸31の径方向において対向する位置、具体的には永久磁石38a1の径方向外方に配置される。また、永久磁石38a2は、その磁極の向きが永久磁石38a1の磁極の向きと逆向きになるように配置される。
一実施形態において、永久磁石38b1は、永久磁石38a1と同様に、ハウジング36cの内壁36c1に接着等により固定されている。一実施形態における永久磁石38b1は、永久磁石38a1とほぼ同寸・同形に形成され、永久磁石38a1よりもスプール軸31の軸方向後方に配置される。一実施形態において、永久磁石38b1は、リール10の前方側がS極、後方側がN極となるように配置される。永久磁石38b1の磁極の向きはこれに限られず、リール10の後方側がS極、前方側がN極となるように配置されてもよい。
永久磁石38b2は、永久磁石38b1よりも大径に構成されており、永久磁石38a2と同様に、ハウジング36cの外壁36c2に接着等により固定されている。一実施形態における永久磁石38b2は、永久磁石38a2とほぼ同寸・同形に形成される。一実施形態における永久磁石38b2は、永久磁石38b1とスプール軸31の径方向において対向する位置、具体的には永久磁石38b1の径方向外方に配置される。また、永久磁石38b2は、その磁極の向きが永久磁石38b1の磁極の向きと逆向きになるように配置される。
例えば、永久磁石38a1及び永久磁石38b1のN極がリール10の後方を向き、永久磁石38a2及び永久磁石38b2のN極がリール10の前方を向くように配置された場合には、これらの永久磁石の回りに図3に破線矢印で示すように反時計回りの磁力線が生じる。永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2の軸方向の両端に磁性体プレートP1、P2を設けることにより、対向するプレートP1とプレートP2とを結ぶ経路に、永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2からの磁力線を集中させることができる。
以上説明した永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2は例示に過ぎず、回り止め部材36に設けることができる永久磁石の数、形状、配置は以上説明したものに限定されない。また、永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2に代えて電磁石を用いることもできる。
スペーサ38c1は、アルミニウム等の非磁性材料から成り、永久磁石38a1と永久磁石38b1との間に配置されて、永久磁石38a1と永久磁石38b1とをスプール軸31の軸方向に隔てている。スペーサ38c2は、アルミニウム等の非磁性材料から成り、永久磁石38a2と永久磁石38b2との間に配置され、永久磁石38a2と永久磁石38b2とをスプール軸31の軸方向に隔てている。
永久磁石38a2、永久磁石38b2、及びスペーサ38c2は、それぞれが対向する永久磁石38a1、永久磁石38b1、及びスペーサ38c1から径方向に所定距離だけ離間して配置されるので、永久磁石38a2、永久磁石38b2、及びスペーサ38c2と永久磁石38a1、永久磁石38b1、及びスペーサ38c1との径方向の間には隙間Gが設けられる。この隙間Gには、図2に示すように、フィン39の壁部30bが受け入れられる。
また、この隙間Gには、磁性流体(磁性流体40)が充填される。磁性流体は、マグネタイト等の強磁性体の微細粉末を液体中に均一に分散させた複合材料であり、強い磁力が作用する環境下においても粒子の凝集や固液の分離がおこらず、磁性流体全体が強磁性を有するように挙動し、磁力に応じてせん断応力(粘度)が変化するという特徴を有する。本発明の一実施形態における磁性流体は、磁気粘性流体(MR流体)である。本発明には、任意の種類の磁性流体を適用することができるが、ベース液に油を用いたオイルベースの磁性流体を用いるのが好ましい。ベース液を油にすることにより、外部からリール10内に水分が浸入しても、オイルベースである磁性流体に混ざることがない。特開昭63−164828号公報に記載されているドラグ機構のように、磁力を作用させた磁性粉粒と回転板との摩擦力とを用いて制動力を作用させる方式では、リール10内に水分が侵入したときに、磁性粉粒に水分が付着して磁性粉粒が劣化し、その結果、ドラグ性能が低下してしまう。磁性流体をオイルベースとすることにより、こうした水分の付着に伴う問題が生じないから、磁性流体40を収容する隙間を密閉する必要がなくなり、製造工程を簡素化することができる。
回り止め部材36の隙間Gに収容されている磁気粘性流体(MR流体)は、永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2に吸着される。磁性流体40のせん断応力は、当該磁気粘性流体(MR流体)が永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2から受ける磁力の強さに応じて変化する。釣糸が引かれるなどして回転部材35にスプール軸31周りのトルクが作用すると、隙間Gに収容されている磁気粘性流体(MR流体)によって回転部材35とともに回転する(又は回転しようとする)フィン39に対し、永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2から作用する磁力によって粘性が増した磁気粘性流体(MR流体)から、当該磁力の強さに応じたせん断抵抗が発生する。磁気粘性流体(MR流体)が収容されている回り止め部材36はスプール軸31に対して回り止め固定されているので、このせん断抵抗によって、上記トルクによる回転部材35の回転が制動される。磁気粘性流体(MR流体)に回転部材35から作用するせん断力が磁性流体によるせん断応力を超えると、回転部材35はスプール軸31の回りに回転し、これによりスプール30も回転することとなる。このように、魚釣用リール10においては、磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力に応じた制動力をスプール30に対して作用させるドラグ機構が実現される。
図2に戻り、ノブ37は、蓋状の本体から後方に延びると共に内周面に雌ネジ37bを有する突出部37aを有する。この突出部37aは回り止め部材36のボス36a内に回転可能に嵌合されている。この突出部37aは、雄ネジ31aが形成されたスプール軸31の前方側端部に螺合し、ノブ37を回転させるとノブ37の蓋状の本体が回り止め部材36の前部に当接しているので、バネSの付勢力に抗して回り止め部材36をスプール30側に移動する。よって、ノブ37を回転操作することにより、回り止め部材36に設けられた永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2と、回転部材35に設けられたフィン39との、回転軸方向の相対的な位置を調整することができる。
ここで、図3と図4とを比較して、フィン39を介して回転部材35に作用するせん断抵抗の調整について説明する。図3においては、スプール軸31の軸方向におけるフィン39の厚肉部39cの位置と磁性体プレートP1、P2の対向する位置とが略同一となるように回転部材35と回り止め部材36との回転軸方向の位置が調整されている。つまり、図3においては、磁性体プレートP1と当該プレートP1に対向して配置されたプレートP2との間に厚肉部39cが位置する。一方、図4においては、スプール軸31の軸方向におけるフィン39の厚肉部39cの位置が磁性体プレートP1、P2の位置から軸方向にずれている。つまり、図4においては、厚肉部39cと磁性体プレートP1、P2とが対向しない。図3に示した配置において、ノブ37を回転操作することにより、回り止め部材36を図4に示す位置までリール10前方に引き出すことができる。
図3の配置においては、対向する一組の磁性体プレートP1、P2の間にフィン39の厚肉部39cが位置しており、厚肉部39cは磁気粘性流体40よりも透磁率が高い磁性材料で形成されているため、この一組の磁性体プレートP1、P2の間にフィン39の薄肉部39dが位置している場合(図4)よりも磁性体プレートP1、P2間における磁力が強くなる(磁束密度が高くなる)。この結果、図3における状態の方が、図4の状態よりも磁気粘性流体40の強磁性体粒子間の結合力が強くなって磁気粘性流体40のせん断応力が大きくなり、スプール30に作用する制動力も大きくなる。このように、一実施形態の魚釣用リール10においては、互いに対向する磁性体プレートP1、P2に対するフィン39の厚肉部39cの位置を調整することにより、スプール30に対する制動力を調整することができる。この厚肉部39cの位置と磁性体プレートP1、P2との相対位置の調整は、上記のように、ノブ37を操作して、回り止め部材36をスプール軸31の軸方向に移動させることによって行われる。
本発明の一実施形態においては、図示のように、厚肉部39cの厚さがスプール軸31の軸方向に向かって徐々に厚くなるように、フィン39を形成することができる。磁性体プレートP1、P2間の磁力は、磁性体プレートP1、P2間に位置するフィン39の厚さが厚くなるほど強くなるので、ノブ37を操作して回り止め部材36を軸方向に移動させることにより、磁性体プレートP1、P2間の磁力を徐々に増減させることができる。これにより、スプール30に作用する制動力の調節を、離散的ではなく、スムーズに行うことができる。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール10は、回り止め部材36に形成された隙間Gに収容された磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力に応じた制動力をスプール30に対して作用させることができる。そして、フィン39の厚肉部39cとこれらの永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2(又はその軸方向端部に設けられた磁性体プレートP1、P2)との回転軸方向の相対的な位置を調整することにより、磁気粘性流体(MR流体)に作用する磁力を変化させ、これにより磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力を調節することができる。
図5は、本発明の他の実施形態におけるドラグ機構を示す断面図である。図5に示した実施形態においては、図3の磁性体ユニット38に代えて回り止め部材36に磁性体ユニット48が設けられており、図3のフィン39に代えてフィン49が設けられている。図示のように、磁性体ユニット48は、リング状に形成された永久磁石48a1、48a2、48b1、48b2と、永久磁石48a1と永久磁石48b1との間及び永久磁石48a2と永久磁石48b2との間にそれぞれ設けられた非磁性体のスペーサ48c1、48c2と、を備える。フィン49は、隙間G内に延伸する壁部を有し、この壁部の先端側(図5の左側)には、根元側よりも肉厚の厚肉部49aが形成される。一実施形態において、この厚肉部49aは、その透磁率が磁性流体40の透磁率よりも高い磁性材料から構成される。
一実施形態において、永久磁石48a1は、スプール軸31の径方向外側(図5の上側)がN極、径方向内側(図5の下側)がS極となるように配置されている。つまり、永久磁石48a1は、リング状に形成されており、その外径側がN極、内径側がS極となるように構成されている。これと同様に、永久磁石48a2、永久磁石48b1、及び永久磁石48b2も、リング状に形成されており、その外径側がN極、内径側がS極となるように構成されている。永久磁石48a1、48a2、48b1、48b2をこのように配置すると、図5に破線矢印で示すように、永久磁石48a1と永久磁石48a2との間、及び、永久磁石48b1と永久磁石48b2との間に、スプール軸の径方向の内側から外側に向かう磁力線が生じる。このように永久磁石48a1、48a2、48b1、48b2からの磁力により磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力を増加させることにより、回転部材35の回転に対して制動力を及ぼすことができる。各永久磁石の極性は逆になっていてもよい。つまり、各永久磁石は、その外径側がS極、内径側がN極となるように構成されてもよい。
図示のとおり、永久磁石48a1及び永久磁石48a2は、その径方向の厚さが永久磁石48b1及び永久磁石48b2の厚さよりも厚くなるように構成されている。したがって、隙間Gにおいて、永久磁石48a1と永久磁石48a2との間の領域の磁力は、永久磁石48b1と永久磁石48b2との間の領域の磁力よりも強くなっている。
ここで、図5と図6とを比較して、フィン39を介して回転部材35に作用するせん断抵抗の調整について説明する。図5に示す磁性体ユニット48においては、回り止め部材36がリール10の後方に押し込まれており、これにより、フィン49の厚肉部49aが、スプール軸31の軸方向において、永久磁石48a1及び永久磁石48a2と対向する位置に配置されている。一実施形態における磁性体ユニット48は、回り止め部材36をスプール10の後方に最も押し込んだ状態において(つまり、回り止め部材36が最後端まで押し込まれた状態において)、厚肉部49aの前端が永久磁石48a1及び永久磁石48a2のスプール前方側の端部とスプール軸31の軸方向において整列するように構成される。この場合、隙間Gの永久磁石48a1と永久磁石48a2との間の領域全体にわたって厚肉部49aが存在しているので、永久磁石48a1と永久磁石48a2との間の領域における磁力が強くなり(磁束密度が高くなり)、この永久磁石48a1と永久磁石48a2との間の領域における磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力が大きくなる。
図6に示す磁性体ユニット48においては、回り止め部材36が図5の位置からリール10の前方に引き出されており、これにより、フィン49の厚肉部49aが永久磁石48a1と永久磁石48a2との間の領域から、スプール10の後方に向かって離脱する。したがって、永久磁石48a1と永久磁石48a2との間の領域において、厚肉部49aが存在しない位置(当該領域の前端側)においては磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力が減少する。そして、この磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力の減少により、回転部材35(ひいてはスプール30)の回転に対する制動力が弱くなる。このとき、厚肉部49aの後端側は永久磁石48b1と永久磁石48b2との間の領域に侵入するため、この永久磁石48b1と永久磁石48b2との間の領域における磁力が強くなり(磁束密度が高くなり)、この領域における磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力が大きくなるが、永久磁石48a1と永久磁石48a2との間の領域におけるせん断応力の減少量の方が永久磁石48b1と永久磁石48b2との間の領域におけるせん断応力の増加量よりも大きいので、回り止め部材36をリール10の前方側に引き出すことにより回転部材35に対する制動力は弱められることになる。
このように、図5及び図6に示す実施形態においても、回り止め部材36に形成された隙間Gに収容された磁気粘性流体(MR流体)のせん断応力に応じた制動力をスプール30に対して作用させることができ、また、ノブ37を操作して、回り止め部材36をスプール軸31の軸方向に移動させることにより、回転部材35に対する制動力を調節することができる。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。例えば、上述した実施形態においては、永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2を回り止め部材36に設けると共にフィン39を回転部材35に設けたが、これとは逆に、フィン39を回り止め部材36に設けると共に永久磁石38a1、38a2、38b1、38b2を回転部材35に設けてもよい。例えば、回転部材35に、ハウジング36cに相当する部材を凹部がリール前方に開口するように形成し、回り止め部材36にはフィン39に相当する部材を設けることができる。
一実施形態における魚釣用リール10は、一般的なスピニングリールとして機能するように構成したが、本発明を適用可能なリールの種類は特に限定されず、両軸受型リールにも適用することができる。本発明を両軸受型リールに適用する際には、例えば、回転部材35を釣糸の繰出しで回転するドライブギヤとし、また、回り止め部材36を例えばハンドル軸に固定すればよい。これ以外にも、本発明は、様々な態様で、両軸受型リールのドラグ装置に適用され得る。
また、本発明は、片軸受型リールにも適用することができる。例えば、実開平5−82285号に記載された片軸受型リールの制動機構部を、本明細書で開示したドラグ機構で置き換えることにより、片軸受型リールにも本発明のドラグ装置を適用することができる。
上述した以外にも、本明細書に例示的に示した実施形態には様々な変更を加えることができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
10 魚釣用リール
14 ハンドル
16 ハンドル軸
18 ドライブギヤ
19 ピニオンギヤ
20 ロータ
22 オシレート機構
30 スプール
31 スプール軸
32 スプール支持部材
35 回転部材
36 回り止め部材
37 ノブ
38、48 磁性体ユニット
38a1、38a2、38b1、38b2、48a1、48a2、48b1、48b2 永久磁石
39、49 フィン
40 磁性流体
P1、P2 磁性体プレート

Claims (4)

  1. スプールの回転と連動して所定の回転軸の回りで回転する回転部材と、
    前記回転軸に対して回転不能に設置された回り止め部材と、
    前記回り止め部材に設けられた第1の磁石と、
    前記回り止め部材に、前記第1の磁石と所定の隙間を介して前記回転軸の径方向において対向するように設けられた第2の磁石と、
    前記所定の隙間に延伸するように前記回転部材に固定され、その少なくとも一部が磁性材料から成る磁性体部材と、
    前記所定の隙間に収容された磁性流体と、
    を備え、
    前記磁性体部材と前記第1及び第2の磁石との配置を変更することにより前記磁性流体に作用する磁力を変化させる魚釣用リール。
  2. スプールの回転と連動して所定の回転軸の回りで回転する回転部材と、
    前記回転軸に対して回転不能に設置された回り止め部材と、
    前記回転部材に設けられた第1の磁石と、
    前記回転部材に、前記第1の磁石と所定の隙間を介して前記回転軸の径方向において対向するように設けられた第2の磁石と、
    前記所定の隙間に延伸するように前記固定部材に固定され、その少なくとも一部が磁性材料から成る磁性体部材と、
    前記所定の隙間に収容された磁性流体と、
    を備え、
    前記磁性体部材と前記第1及び第2の磁石との配置を変更することにより前記磁性流体に作用する磁力を変化させる魚釣用リール。
  3. 前記磁性体部材を前記回転軸の軸方向に移動させることにより、前記磁性流体に作用させる磁力を変化させる請求項1又は請求項2に記載の魚釣用リール。
  4. 前記第1の磁石及び前記第2の磁石の前記軸方向の両端面に磁性体プレートを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用リール。
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