JP6276130B2 - 磁性流体シール付き軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、各種の駆動力伝達機構に配設され、回転軸を回転自在に支持すると共に、磁性流体を用いて内部に埃や水分などの異物が侵入しないようにする磁性流体シール付き軸受に関する。
一般的に、各種の駆動力伝達機構に設けられる回転軸は、軸受を介して回転自在に支持されている。この場合、軸受は、内輪と外輪との間に周方向に沿って複数の転動体(転がり部材)を収容した、いわゆるボールベアリング(玉軸受)を用いることが多く、このようなタイプの軸受を用いることで、回転軸の回転性能の向上を図っている。
上記の軸受は、様々な駆動装置における駆動力伝達機構の回転軸の支持手段として用いられるが、駆動装置によっては、軸受部分を通過して、内部に埃、水分等の異物の侵入を防止したいことがある。また、軸受そのものに異物が侵入すると、回転性能が劣化したり、異音が生じる等の問題が生じる。このような問題の対策として、軸受に近接する回転軸の外周に、弾性材からなるシール部材を接触させて軸受部分の防水、防塵を図ることが行われているが、弾性材からなるシール部材の接触圧の影響で、回転軸の回転性能が低下してしまう。
そこで、回転軸の回転性能を低下させることなく、軸受部分に対する異物の侵入防止を図る構成として、磁性流体を用いた磁性流体シールを備えた軸受(磁性流体シール付き軸受と称する)が知られている。例えば、特許文献1には、外輪と内輪との間に転動体を保持したボールベアリングに関し、相対回転する外輪と内輪との間に磁性体を介在するとともに、磁性体の一方側を固定し、他方側の隙間に磁性流体を配設した磁性流体シール(磁気シール機構)が開示されている。
前記磁性流体シールは、内輪または外輪との間で磁気回路を形成する磁石と、この磁石を保持する保持板と、内輪または外輪と保持板との間に保持される磁性流体とを備え、前記磁気回路に磁性流体を保持して軸受本体の内部をシールしている。すなわち、内輪と外輪との間に磁性体を配設するとともに、磁性体の一方側を固定し、他方側の隙間に磁性流体を配設することで、転動体を密閉状態にシールして転動体部分への異物の侵入を防止している。
特開2013−228044号
ところで、上記した特許文献1に開示されている磁性流体シール付き軸受は、一般的に転動体がSUS440Cなどの磁性を有する材料によって形成されており、磁性流体シールの磁石がこれに近接する内輪または外輪との間の狭い領域で磁気回路を形成するため、この磁気回路による強い磁力が転動体に作用し、それにより、転動体と内外輪との間の磁気吸引力が高まり、これが負荷となって転動体の動きが悪くなるという問題がある。すなわち、磁力によって転動体が内外輪に引き付けられるため、転動体の転がりが滑らかになりにくい(回転トルクが大きくなる)という現象が生じる。
このように、従来の磁性流体シール付き軸受は、シール性能を従来の軸受に比べて格段に向上できる一方で、転動体部分に、磁石による磁気回路の影響が大きく作用して回転トルクが大きくなる(軽く回転し難くなる)という問題を内在している。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、回転トルクの軽減を図って、転動体の滑らかな転がりを実現できる磁性流体シール付き軸受を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の磁性流体シール付き軸受は、磁性材で形成された内輪及び外輪間に、磁性材で形成された転動体を転動可能に介在した軸受本体と、前記転動体を挟んで前記軸受本体の軸方向の両側にそれぞれ一体的に保持され、前記軸受本体の内部を磁気的にシールする一対の磁性流体シールと、を有する構成であって、前記各磁性流体シールは、前記転動体に面して対向配設される磁石と、この磁石の軸方向外側面に配設され前記内輪の外周又は前記外輪の内周に嵌着される極板と、前記内輪または前記外輪と前記磁石との間の隙間に保持される磁性流体とを有し、前記一対の磁性流体シールの各磁石は、前記内輪の外周面又は前記外輪の内周面との間に形成される環状空間に非磁性体であるスペーサを介在して取着されるとともに、前記磁石の前記スペーサと反対側の前記内輪又は外輪との間に前記転動体をシールする磁性流体を保持していることを特徴とする。
上記した構成によれば、転動体を挟んで両側に配設される一対の磁性流体シールの磁石は、非磁性体であるスペーサを介在して内輪または外輪に取着されることにより、これに近接する内輪または外輪との間の狭い領域で磁気回路を形成することはない。すなわち、転動体を挟んで軸受本体の軸方向の両側にそれぞれ配設される一対の磁性流体シールの磁石間にわたって広い領域で磁気回路を形成することが可能となり、転動体に対して強い磁力を作用させないようにすることができる。したがって、磁気回路による磁力が転動体に作用することが抑制され、転動体の動きに悪影響を与えることがなくなって、転動体の滑らかな転がりを実現することができる(転動体の回転トルクを低くできるので、軸受本体の内外輪の相対回転が軽くなる)。
本発明によれば、回転トルクの軽減を図って、転動体の滑らかな転がりを実現できる磁性流体シール付き軸受が得られる。
本発明に係る磁性流体シール付き軸受の第1の実施形態を示す分解斜視図。 図1の磁性流体シール付き軸受の軸方向に沿う断面図。 図2の要部拡大断面図。 第1の実施形態の変形例に係る磁性流体シール付き軸受の軸方向に沿う要部拡大断面図。 第2の実施形態に係る磁性流体シール付き軸受の軸方向に沿う要部拡大断面図。 第2の実施形態の変形例に係る磁性流体シール付き軸受の軸方向に沿う要部拡大断面図。 本発明に係る磁性流体シール付き軸受を配設したスピニングリールの一部断面側面図。 本発明に係る磁性流体シール付き軸受を配設した両軸受型リールの断面図。
以下、図面を参照しながら本発明に係る磁性流体シール付き軸受の実施形態について説明する。
図1から図3は、本発明の第1の実施形態に係る磁性流体シール付き軸受を示し、図1は、磁性流体シール付き軸受の分解斜視図、図2は、図1の磁性流体シール付き軸受の軸方向に沿う断面図、図3は、図2の要部拡大断面図である。
本実施形態に係る磁性流体シール付き軸受(以下、軸受とも称する)1は、円筒状の内輪3と、これを囲繞する円筒状の外輪5と、内輪3と外輪5との間に転動可能に介在される複数の転動体(転がり部材)7とを有する軸受本体40を備えている。なお、転動体7は、環状のリテーナ(保持器)8によって保持されており、内輪3と外輪5とを相対的に回転可能としている。
前記内輪3、外輪5および転動体7は、磁性を有する材料(磁性体)、例えば、クロム系ステンレス(SUS440C)によって形成されており、前記リテーナ8は、耐食性、耐熱性に優れた材料、例えばステンレス材(SUS304)によって形成されている。
また、磁性流体シール付き軸受1は、一対の磁性流体シール10A,10Bを備える。すなわち、前記転動体7を挟んで軸受本体40の軸方向(軸受の軸芯方向X)の両側には、それぞれ、内輪3と外輪5との間の環状空間42内に、その開口にほぼ位置して、磁性流体シール10A,10Bが配置されている。これらの一対の磁性流体シール10A,10Bは、それぞれ、軸受本体40に一体的に保持されて(軸受本体40と一体化されて軸受本体40と共にユニットとして構成されてもよい)、軸受本体40の内部を磁気的にシールする機能を有する。
具体的に、各磁性流体シール10A,10Bは、転動体7に面して軸方向内側に配設されるリング状の磁石12A(12B)と、磁石12A(12B)の軸方向外側面に接して配置されることにより磁石12A(12B)を軸方向外側から保持するリング状の極板14A(14B)と、内輪3または外輪5と磁石12A(12B)との間に保持される(磁石12A(12B)によって形成される後述する磁気回路に保持される)磁性流体15とを有しており、これらの部材により、転動体7内に埃、水分等が侵入しないようにシールする機能を有する。
この場合、磁石12A(12B)は、転動体7と対向する(極板14A(14B)が磁石12A(12B)の一方側を保持し、磁石12A(12B)の他方側が転動体7と対向する)ようにして、前記極板14A(14B)に取着されており、極板14A(14B)は、内輪側の内面および外輪側の外面のいずれか一方を固定側としている。なお、本実施形態では、極板14Aが内輪側に固定されており、極板14Bが外輪側に固定されている。
前記磁石12A(12B)は、磁束密度が高く、磁力が強い永久磁石、例えば焼結製法によって作成されるネオジム磁石を用いることができ、図1,図3に示すように、予め軸方向Xに磁極(S極、N極)が向くように着磁されている。また、磁石12A(12B)の軸方向外側面に接するように配設される極板14A(14B)は、前述したように磁石12A(12B)と略同一のリング形状となっており、磁性を有する材料、例えばクロム系ステンレス(SUS440C)によって形成されている。
前記磁石12A(12B)と極板14A(14B)は、組み付け時では取着された状態にあり、本実施形態では、両部材が予め接着されているが、磁気吸着で接着されていなくてもよい。この場合、両部材を予め接着しておくことで、磁石12A(12B)の位置決めや芯出しが容易に行えるとともに、磁石12A(12B)と極板14A(14B)とがユニット化され、軸受本体40に対する組み込み作業が容易に行えるようになる。
ここで、一対の磁性流体シール10A,10Bのそれぞれについて具体的に説明する。
一対の磁性流体シール10A,10Bのうちの一方側の磁性流体シール10A(図1から図3において左側に配設される磁性流体シール)において、磁石12Aは、その外径が極板14Aの外径と略同一であるとともに、その内径が極板14Aの内径よりも大きく設定されている。また、極板14Aは、内輪側の内面を固定側としており、転動体側に接着した磁石12Aとともに環状空間42の一方の開口側から内輪3の外周に嵌着(圧入してもよい)される。そして、その嵌着時には、外輪5の内周面と磁石12Aおよび極板14Aの外周面との間に隙間Sが生じるようになっている。
また、一対の磁性流体シール10A,10Bのうちの他方側の磁性流体シール10B(図1から図3において右側に配設される磁性流体シール)において、磁石12Bは、その内径が極板14Bの内径と略同一であるとともに、その外径が極板14Bの外径よりも小さく設定されている。また、極板14Bは、外輪側の外面を固定側としており、転動体側に接着した磁石12Bとともに環状空間42の他方の開口側から外輪5の内周に嵌着(圧入してもよい)される。そして、その嵌着時には、内輪3の外周面と磁石12Bおよび極板14Bの内周面との間に隙間Sが生じるようになっている。
また、一対の各磁性流体シール10A,10Bにおいて、前記磁石12Aと内輪3との間、および、前記磁石12Bと外輪5との間には、それぞれ非磁性体であるスペーサ30A,30Bが介在される。このスペーサ30A,30Bは、リング状に構成されており、各磁石12A,12Bは、スペーサを介在した状態で内輪および外輪に取着される。このため、非磁性体であるスペーサ30A,30Bは、後述するように、各磁石に近接する内輪、外輪、および転動体間の狭い領域で磁気回路を形成することなく、転動体7を迂回するような磁気回路M1を形成する機能を有する。なお、スペーサ30A,30Bを構成する非磁性材料としては、例えばセラミック(窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、SiCなど)、非磁性鋼(オーステナイトステンレス鋼、チタン、チタン合金、超硬材(タングステンカーバイト等)など)、銅合金、プラスチックなどを挙げることができる。
具体的に、一方側の磁性流体シール10Aは、極板14Aおよび磁石12Aの内径寸法の違いに起因して磁石12Aの内周面と内輪3の外周面との間に形成される環状空間に前記スペーサ30Aが介在される。また、他方側の磁性流体シール10Bは、極板14Bおよび磁石12Bの外径寸法の違いに起因して磁石12Bの外周面と外輪5の内周面との間に形成される環状空間に前記スペーサ30Bが介在される。
前記内輪3および外輪5には、それぞれ段差部3a,5aを形成しておくことが好ましく、これにより、各磁石12A,12Bは、それぞれスペーサ30A,30Bが段差部3a,5aに当て付くことで軸方向の位置決めがされるようになっている。また、各磁石12A,12Bのスペーサの反対側は、転動体に面する側面と外輪の段差部5aおよび内輪の段差部3aとの間で、軸方向の隙間が生じるように構成されている。このように、内輪3および外輪5に、それぞれ段差部3a,5aを形成しておくことで、磁性流体シール10A,10Bの組み込みが容易に行えるとともに、後述するように、転動体7を迂回するような(転動体7を囲むような)磁気回路M1が形成された際、特に磁束密度が高くなる段差部と磁石との間の軸方向の隙間に磁性流体15を保持し易くすることが可能となる。
以上のように、本実施形態では、一対の磁性流体シールのうちの一方側の磁性流体シール10Aの磁石12Aは、内輪3との間でスペーサ30Aを保持するとともに、外輪5(の段差部5a)との間で磁性流体15を保持しており、他方側の磁性流体シール10Bの磁石12Bは、外輪5との間でスペーサ30Bを保持するとともに、内輪3(の段差部3a)との間で磁性流体15を保持している。
そして、上記したようなスペーサ30A,30Bの配置(径方向位置が互いに異なる互い違いの配置)に伴って、一方側の磁性流体シール10Aの磁石12Aは、転動体7に面する側にS極が着磁され、軸方向の反対側にN極が着磁される。一方、他方側の磁性流体シール10Bの磁石12Bも、転動体7に面する側にS極が着磁され、軸方向の反対側にN極が着磁される。すなわち、本実施形態では、軸受本体40の軸方向Xに磁極が向くように着磁される一対の磁性流体シール10A,10Bの磁石12A,12Bは、転動体7を挟んで互いに対向する側の磁極(ここではS極)が同一となっている。
ここで、前記スペーサ30A,30Bを配設したことで形成される磁気回路について説明する。
磁力線の主要な流れを解りやすくするために図3に点線で示すと、磁性流体シール10Bの磁石12BのN極から発する磁力線は、極板14Bに導かれて外輪5へ向かう。このとき、非磁性体のスペーサ30Bによって外輪5と磁石12Bとは離間(磁気的な離間を意味する)されるため、磁力線は磁石12BのS極へは向かわず、外輪5を通って反対側の磁性流体シール10Aの磁石12AのS極へと向かう。また、磁性流体シール10Aの磁石12AのN極から発する磁力線は、極板14Aに導かれて内輪3へ向かう。このときも、非磁性体のスペーサ30Aによって内輪3と磁石12Aとは離間されるため、磁力線は磁石12AのS極へは向かわず、内輪3を通って反対側の磁性流体シール10Bの磁石12BのS極へと向かう。すなわち、磁性流体シール10A,10Bの磁石12A,12B間において、内輪3および外輪5を通じ(内輪3および外輪5の内部を経由する)転動体7を迂回するような磁気回路M1が形成されるようになる。
そして、磁性流体シール10A側では、前記隙間Sから転動体7へと至る通路の連通を完全に遮断するように、磁石12Aの径方向外側の端面(端縁を含む)と外輪5の内周面(詳細には段差部5a)との間の隙間に磁性流体15が磁気的に保持される。また、磁性流体シール10B側では、前記隙間Sから転動体7へと至る通路の連通を完全に遮断するように、磁石12Bの径方向内側の端面(端縁を含む)と内輪3の外周面(詳細には段差部3a)との間の隙間に磁性流体15が磁気的に保持される。
この場合、隙間Sを塞ぐように注入される磁性流体15は、例えばFe34のような磁性微粒子が、界面活性剤によりベースオイルに分散させて構成されたもの(界面活性剤を磁性微粒子にまぶすことにより、ベースオイル内に分散させている)であり、粘性があって磁石を近づけると反応する特性を備えている。このため、磁性流体15は、スポイト等の注入器具によって隙間Sに注入されると、磁気回路M1によって所定の位置、特に、磁束密度が高い段差部と磁石との間の隙間に安定して保持されるようになる。なお、極板14Aと内輪3との嵌合部および極板14Bと外輪5との嵌合部において、各極板がそれぞれ内輪3および外輪5に対して圧入固定できない場合は、その部分にも磁性流体15を注入し、保持しておくことが好ましい(このような磁性流体の注入、保持に関しては、後述する図4から図6で示す構成においても、同様に適用することが可能である)。すなわち、このような磁性流体の注入、保持により、内部を確実にシールすることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の磁性流体シール付き軸受1では、非磁性体であるスペーサ30A,30Bを配設したことにより、磁性流体シール10A,10Bの磁石12A,12B間に、内輪3および外輪5を通じて転動体7を迂回するような磁気回路M1(図3では反時計回り方向)が形成されるため、磁気回路M1による磁力が転動体7の動きに悪影響を与えることはなく、転動体7の滑らかな転がりが実現される(転動体7の回転トルクを低くできる)。すなわち、磁性流体シールの磁石が、これに近接する内輪または外輪との間の狭い領域で磁気回路を形成するのではなく、転動体7を挟んで軸受本体40の軸方向Xの両側にそれぞれ位置される一対の磁性流体シール10A,10Bの磁石12A,12B間にわたって広い領域で磁気回路M1を形成するため、転動体7には強い磁力が作用しない。
なお、磁石12A,12Bの着磁に関しては、磁石12Aの転動体7に面する側をN極、軸方向反対側をS極に着磁し、かつ、磁石12Bの転動体7に面する側をN極、軸方向反対側をS極に着磁してもよい。その場合は、磁気回路M1の向きが図3と反対(時計回り方向)になる。
図4は、前述した第1の実施形態の変形例に係る磁性流体シール付き軸受1Aの軸方向に沿う要部拡大断面図を示す図である。
この変形例では、磁性流体シール10A,10Bの構成が第1の実施形態と逆になっている。
すなわち、一対の磁性流体シールのうちの一方側の磁性流体シール10A(図4において左側に配設される磁性流体シール)は、外輪5の内周に嵌合又は圧入されて、その磁石12A’が、外輪5との間でスペーサ30A’を保持するとともに、内輪3との間で磁性流体15を保持する。一方、他方側の磁性流体シール10B(図4において右側に配設される磁性流体シール)は、内輪3の外周に嵌合又は圧入されて、その磁石12B’が、内輪3との間でスペーサ30B’を保持するとともに、外輪5との間で磁性流体15を保持する。
また、一方側の磁性流体シール10Aの磁石12A’は、転動体7に面する側がS極に着磁され、軸方向の反対側がN極に着磁される。一方、他方側の磁性流体シール10Bの磁石12B’も、転動体7に面する側がS極に着磁され、軸方向の反対側がN極に着磁される(転動体7を挟んで互いに対向する側の磁極が同じとなるように着磁される)。
このため、磁性流体シール10Aの磁石12A’のN極から発する磁力線は、極板14Aに導かれて外輪5へ向かう。このとき、非磁性体のスペーサ30A’によって外輪5と磁石12A’とが離間されるため、磁力線は磁石12A’のS極へは向かわず、外輪5を通って反対側の磁性流体シール10Bの磁石12B’のS極へと向かう。また、磁性流体シール10Bの磁石12B’のN極から発する磁力線は、極板14Bに導かれて内輪3へ向かう。このとき、非磁性体のスペーサ30B’によって内輪3と磁石12B’とが離間されるため、磁力線は磁石12B’のS極へは向かわず、内輪3を通って反対側の磁性流体シール10Aの磁石12A’のS極へと向かう。すなわち、図3の磁気回路M1とは反対方向の磁気回路M2が形成される。
したがって、このような構成においても、前記実施形態と同様、磁性流体シール10A,10Bの磁石12A’,12B’間に内輪3および外輪5を通じ転動体7を迂回するような磁気回路M2が形成されることから、上記した実施形態と同様な作用効果が得られる。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る磁性流体シール付き軸受1Bの軸方向に沿う要部拡大断面を示す図である。図示のように、本実施形態では、一対の磁性流体シール10A,10Bの各磁石12A’,12Bがいずれも外輪5との間でスペーサ30A’,30Bを保持し、また、一対の磁性流体シール10A,10Bの磁石12A’,12Bは、転動体7を挟んで互いに対向する側の磁極が異なるように着磁されている。
すなわち、一対の磁性流体シールのうちの一方側の磁性流体シール10A(図5において左側に配設される磁性流体シール)は、外輪5の内周に圧入されて、その磁石12A’が、外輪5との間でスペーサ30A’を保持するとともに、内輪3との間で磁性流体15を保持している。一方、他方側の磁性流体シール10B(図5において右側に配設される磁性流体シール)も、外輪5の内周に圧入されて、その磁石12Bが、外輪5との間でスペーサ30Bを保持するとともに、内輪3との間で磁性流体15を保持している。
上記した構成では、磁性流体シール10Aの磁石12A’のN極から発する磁力線は極板14Aに導かれて外輪5へ向かう。このとき非磁性体のスペーサ30A’によって外輪5と磁石12A’とが離間されるため、磁力線は磁石12A’のS極へは向かわず、外輪5を通って反対側の磁性流体シール10Bへと向かうと共に、この磁力線は、磁性流体シール10Bの非磁性体のスペーサ30Bによって外輪5と磁石12Bとが離間されるため、磁石12BのS極へと向かう。また、磁性流体シール10Bの磁石12BのN極から発する磁力線は、内輪3へと向かい、内輪3を通って反対側の磁性流体シール10Aの磁石12A’のS極へと向かう。すなわち、このような構成では、磁性流体シール10A,10Bの磁石12A’,12B間に、内輪3および外輪5を通じ転動体7を迂回するような磁気回路M3が形成される。
このように、本実施形態においても、非磁性体であるスペーサ30A’,30Bにより、磁性流体シール10A,10Bの磁石12A’,12B間に、内輪3および外輪5を通じ転動体7を迂回するような磁気回路M3が形成されるため、磁気回路M3による磁力が転動体7の動きに悪影響を与えることはなく、転動体7の滑らかな転がりを実現できる。
図6は、第2の実施形態の変形例に係る磁性流体シール付き軸受1Cの軸方向に沿う要部拡大断面を示す図である。図示のように、この変形例では、一対の磁性流体シール10A,10Bの各磁石12A,12B’がいずれも内輪3との間でスペーサ30A,30B’を保持している。
すなわち、一方側の磁性流体シール10Aは、内輪3の外周に嵌合又は圧入されて、その磁石12Aが、内輪3との間でスペーサ30Aを保持するとともに、外輪5との間で磁性流体15を保持する。また、他方側の磁性流体シール10Bも、内輪3の外周に嵌合又は圧入されて、その磁石12B’が、内輪3との間でスペーサ30B’を保持するとともに、外輪5との間で磁性流体15を保持する。また、この構成でも、第2の実施形態と同様、一対の磁性流体シール10A,10Bの磁石12A,12B’は、転動体7を挟んで互いに対向する側の磁極が異なるように着磁されている。
このような構成では、磁性流体シール10Aの磁石12AのN極から発する磁力線は極板14Aに導かれて内輪3へ向かう。このとき、非磁性体のスペーサ30Aによって内輪3と磁石12Aとが離間されるため、磁力線は磁石12AのS極へは向かわず、内輪3を通って反対側の磁性流体シール10Bへと向かうと共にこの磁力線は、磁性流体シール10Bの非磁性体のスペーサ30B’によって内輪3と磁石12B’とが離間されるため、磁石12B’のS極へと向かう。また、磁性流体シール10Bの磁石12B’のN極から発する磁力線は、外輪5へと向かい、外輪5を通って反対側の磁性流体シール10Aの磁石12AのS極へと向かう。すなわち、磁性流体シール10A,10Bの磁石12A,12B’間に内輪3および外輪5を通じた転動体7を迂回するような磁気回路M4が形成される。
このように、本変形例においても、非磁性体であるスペーサ30A,30B’により、磁性流体シール10A,10Bの磁石12A,12B’間に、内輪3および外輪5を通じた転動体7を迂回するような磁気回路M4が形成されることから、上記した実施形態と同様な作用効果が得られる。
以上のように構成される磁性流体シールを具備した軸受については、防塵性、防水性が要求される様々な装置の回転軸部分に設置することが可能であり、特に、塩分を有する(海水)環境下において使用される装置では、過酷な条件になると考えられる。すなわち、海水は、粘度が低いことから、僅かな隙間から侵入し易く、かつ、侵入した後、乾燥すると、塩分が結晶化して残存し、このような結晶が、転動体部分に付着すると回転性能が著しく低下してしまう。
このため、上述した実施形態の磁性流体シール付き軸受1,1A,1B,1Cについては、海辺や海上で使用される各種魚釣用リールにおける動力伝達部分の駆動軸部分に配設することで、駆動軸部分を長期に亘って安定して支持することが可能となる。例えば、上述した実施形態の軸受を、スピニングリールのハンドルによって回転駆動される回転軸部分(例えばピニオン軸など)、両軸受型リールのスプール軸部分に配設することが好ましい。また、上述した実施形態の軸受を一方向クラッチベアリングにも適用することも可能である。
例えば、上述した実施形態の軸受を、図7に示すような魚釣用スピニングリール60のハンドル軸61、ピニオン軸62等のハンドル回転操作によって回転駆動される回転軸部分(軸受63を上述した磁性流体シール付き軸受で構成する)に配設したり、或いは、スプール64に釣糸を案内するラインローラ65の支持部分に配設することが可能である。また、図8に示すような両軸受型リール70の場合には、ハンドル軸71の軸受72、ピニオン軸73の軸受74等を上述した磁性流体シール付き軸受で構成することもできる。
特に、リール本体の左右側板75A,75B間に回転自在に支持され、クラッチ機構76で巻取動力伝達状態がON/OFFされるスプール軸78部分を支持する軸受80部分に配設することが好ましい。すなわち、上述した磁性流体シール付き軸受は、転動体が磁石の影響を受けることがなく、スムーズな回転性能が得られるので、特に、フリー回転性能が要求される両軸受型リールのスプール軸の軸受部分に配設することが好ましい。或いは、上記した磁性流体シールは、一方向ベアリング90にも適用することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形して実施することが可能である。本発明は、軸受の転動体の両側に磁性流体シールを配設するにあたり、非磁性体であるスペーサによって、一方側の磁性流体シールの磁石と他方側の磁性流体シールの磁石との間に、内輪および前記外輪を通じ転動体を迂回するような磁気回路を形成できれば、磁性流体シールの配置構成については適宜、変形することができる。また、スペーサの構成や肉厚等についても適宜変形することが可能である。
1,1A,1B,1C 磁性流体シール付き軸受
3 内輪
5 外輪
7 転動体
10A,10B 磁性流体シール
12A,12A’,12B,12B’ 磁石
14A,14A’,14B,14B’ 極板
15 磁性流体
30A,30A’,30B,30B’ スペーサ

Claims (3)

  1. 磁性材で形成された内輪及び外輪間に、磁性材で形成された転動体を転動可能に介在した軸受本体と、
    前記転動体を挟んで前記軸受本体の軸方向の両側にそれぞれ一体的に保持され、前記軸受本体の内部を磁気的にシールする一対の磁性流体シールと、
    を有する磁性流体シール付き軸受であって、
    前記各磁性流体シールは、前記転動体に面して対向配設される磁石と、この磁石の軸方向外側面に配設され前記内輪の外周又は前記外輪の内周に嵌着される極板と、前記内輪または前記外輪と前記磁石との間の隙間に保持される磁性流体とを有し、
    前記一対の磁性流体シールの各磁石は、前記内輪の外周面又は前記外輪の内周面との間に形成される環状空間に非磁性体であるスペーサを介在して取着されるとともに、前記磁石の前記スペーサと反対側の前記内輪又は外輪との間に前記転動体をシールする磁性流体を保持していることを特徴とする磁性流体シール付き軸受。
  2. 一対の前記磁性流体シールのうち一方側の磁性流体シールの磁石は、前記内輪との間で前記スペーサを保持し、他方側の磁性流体シールの磁石は、前記外輪との間で前記スペーサを保持し、
    一対の前記磁性流体シールの各磁石は、前記軸受本体の軸方向に磁極が向くように着磁されるとともに、前記転動体を挟んで互いに対向する側の磁極が同じであることを特徴する請求項1に記載の磁性流体シール付き軸受。
  3. 一対の前記磁性流体シールの各磁石は、いずれも前記内輪又は外輪との間で前記スペーサを保持し、
    一対の前記磁性流体シールの各磁石は、前記軸受本体の軸方向に磁極が向くように着磁されるとともに、前記転動体を挟んで互いに対向する側の磁極が異なることを特徴する請求項1に記載の磁性流体シール付き軸受。
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