JP2019176608A - 制動力調整装置 - Google Patents
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これらの特許文献1,2に開示された制動力付与装置は、制動力が付与される回転軸に設けられた円板と、この円板の一方の面と対向する複数の第1の永久磁石と、この円板の他方の面と対向する複数の第2の永久磁石とを備えている。複数の第1および第2の永久磁石は、それぞれ極性が円板の周方向に交互に変わるように円板の周方向に並べられている。
駆動装置のステッピングモータが通電状態で停止すると、ステッピングモータの自己保持力で可動部材が停止した位置に保持され、ブレーキトルクが一定になる。
このように、本発明に係る制動力調整装置によれば、可動部材の回転角が所望の角度になるように駆動装置の動作を制御することによって、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作によって変えることができる。
したがって、本発明によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。
<制動力調整装置の概略の説明>
図1に示す制動力調整装置1は、図1において中央部に位置するハウジング2と、このハウジング2の一端(図1においては左端)から図1において左方に突出する回転軸3と、ハウジング2の端部に取付けられたステッピングモータ4とを備えている。この制動力調整装置1は、回転軸3を制動の対象とし、回転軸3に付与されるブレーキトルクの大きさをステッピングモータ4によって調整する装置である。以下においては、便宜上、ハウジング2から回転軸3が突出する方向を制動力調整装置1の前方とし、この方向とは反対方向を制動力調整装置1の後方として説明する。
回転軸3は、ハウジング2の固定ベース5を前後方向に貫通し、固定ベース5に二つの前側軸受11を介して回転自在に支持されている。前側軸受11は、固定ベース5の軸心部の貫通孔12に嵌合して固定されている。
回転軸3の前端部には、図示してはいないが、被制動部材が接続されている。被制動部材は、例えばリールやボビンなどである。これらのリールやボビンは、テープやケーブル、糸などの長尺材料が巻き付けられており、この長尺材料が引かれて消費されることによって回転する。
この実施の形態による制動力調整装置1は、この被制動部材が回転するときにブレーキトルクを付与するとともに、このブレーキトルクを調整して長尺材料の張力を調整する。
固定ベース5の後端面22には、図2に示すように、複数の第1の永久磁石23がそれぞれ固着されている。これらの第1の永久磁石23は、図10に示すように、固定ベース5の周方向(ヒステリシス板19の回転方向)に並ぶ状態で固定ベース5の後端面22に接着剤(図示せず)によって固定されている。これらの第1の永久磁石23の磁極23aは、回転軸3の軸線方向において、第1の永久磁石23の両端部に設けられている。この磁極23aの極性は、固定ベース5の周方向に交互に変えられている。
ステッピングモータ4は、図1に示すように、出力軸24が前後方向に延びてハウジング2内に挿入される状態でモータ取付板6の後端面25に複数の固定用ボルト26によって固定されている。モータ取付板6は、可動ベース14に対してヒステリシス板19とは反対側に位置している。この実施の形態においては、モータ取付板6が請求項3記載の発明でいう「モータ取付部材」に相当する。
ステッピングモータ4の出力軸24には、後述する減速機構31の一部を構成するピニオン歯車32が固定されている。モータ取付板6には、出力軸24およびピニオン歯車32が挿入される貫通孔33が穿設されている。
可動ベース14は、図4に示すように、二つの後側軸受13が内部に嵌合する内側円筒部41と、この内側円筒部41の前端から径方向の外側に延びる環状の円板部42と、この円板部42の外周部から後方に延びる外側円筒部43とによって環状に形成されている。この実施の形態においては、この可動ベース14が本発明でいう「可動部材」に相当する。
円板部42は、ヒステリシス板19の後端面44と対向する前端面45を有している。この実施の形態においては、ヒステリシス板19の後端面44が本発明でいう「ヒステリシス板の他方の主面」に相当する。
これらの第2の永久磁石46は、図11に示すように、可動ベース14の周方向(ヒステリシス板19の回転方向)に並ぶとともに上述した第1の永久磁石23と対向する状態で可動ベース14の前端面45に接着剤(図示せず)によって固定されている。これらの第2の永久磁石46の磁極46aは、回転軸3の軸線方向において、第2の永久磁石46の両端部に設けられている。この磁極46aの極性は、可動ベース14の周方向に交互に変えられている。
可動ベース14の外側円筒部43は、回転軸3と同一軸線上に位置している。この実施の形態においては、この外側円筒部43が請求項2記載の発明でいう「円筒部」に相当する。
減速機構31は、ステッピングモータ4と協働して駆動装置51を構成するものである。この実施の形態による減速機構31は、いわゆるスター型の遊星歯車減速機構で、外側円筒部43の内周部に設けられたラック52に出力軸24の回転が減速されて伝達される構成が採られている。
外側円筒部43の周方向におけるラック52の位置決めは、図6に示すように、ラック52の長手方向の両端と隣接するように外側円筒部43に設けられた第1および第2の移動規制部材54,55によって行われている。
カラー64と固定用ボルト65は、外側円筒部43の軸線方向(図8においては上下方向)に延びている。カラー64は、固定用ボルト65が嵌合する貫通孔66と、この貫通孔66とは偏心した外周面67とを有している。
外側円筒部43の軸線方向におけるカラー64の長さは、カラー64の後端が外側円筒部43より後方(図8においては上方)に突出する長さである。このカラー64の突出部には、工具(図示せず)が係合する複数の平坦面69が形成されている。図5においては一つの平坦面69のみが描かれている。
この実施の形態による固定用ボルト65は、可動ベース14の回転方向の位置を目視で確認するための目印として用いられている。この実施の形態によるモータ取付板6には、固定用ボルト65をハウジング2の外から見るために、固定用ボルト65と対向する位置に貫通孔70が穿設されている。
減速機構31は、図7に示すように、ステッピングモータ4の出力軸24に固定されたピニオン歯車32と、可動ベース14のラック52と、ピニオン歯車32とラック52との間に設けられた減速歯車71とによって構成されている。減速歯車71は、ピニオン歯車32と噛合する環状の大歯車72と、この大歯車72の中空部内に圧入された小歯車73とによって構成されており、支軸74に軸受75によって回転自在に支持されている。小歯車73は、ラック52と噛合している。
この減速機構31によれば、ステッピングモータ4の出力軸24が回転することにより、この回転がピニオン歯車32から減速歯車71に減速して伝達され、さらに、減速歯車71から減速してラック52(可動ベース14)に伝達される。
このように構成された制動力調整装置1においては、回転軸3が被制動部材とともに回転し、ヒステリシス板19が第1および第2の永久磁石23,46に対して回転することによって、ヒステリシス板19にブレーキトルクが付与される。ブレーキトルクの大きさは、可動ベース14の周方向における第1の永久磁石23に対する第2の永久磁石46の位置に依存して増減する。
被制動部材から引き出されている長尺材料の張力が不足している場合、制御装置27は、ステッピングモータ4の出力軸24がブレーキトルク増大方向に目標とする回転角だけ回るように、ステッピングモータ4の動作を制御する。なお、ブレーキトルクを減少させる場合には、制御装置27は、出力軸24が目標とする回転角だけ上記とは逆方向に回るようにステッピングモータ4の動作を制御する。
ステッピングモータ4の回転力で可動ベース14が固定ベース5に対して回ると、この回転に伴って第2の永久磁石46が第1の永久磁石23に対して回る。この結果、ブレーキトルクの大きさが変化する。制御装置27は、ブレーキトルクが目標値に達するような回転角だけ可動ベース14が変位したときにステッピングモータ4を停止させる。
したがって、この実施の形態によれば、ブレーキトルクの大きさを遠隔操作で調整可能な制動力調整装置を提供することができる。特にこの実施の形態によれば、専ら可動ベース14を停止位置に保持するブレーキは不要であるから、構造が簡単で安価な制動力調整装置を実現できる。
この実施の形態による可動ベース14は、回転軸3と同一軸線上に位置する外側円筒部43を有している。外側円筒部43の内周面には、周方向に延びる環状溝53が形成されている。ラック52は、内歯車として形成されて環状溝53に収容されている。外側円筒部43の軸線方向におけるラック52の位置決めは環状溝53の一対の側壁53a,53bによって行われている。外側円筒部43の周方向におけるラック52の位置決めは、ラック52の一端部が当接するように可動ベース14に設けられた第1の移動規制部材54と、ラック52の他端部が当接するように可動ベース14に設けられた第2の移動規制部材55とによって行われている。
このため、この実施の形態によれば、可撓性を有するプラスチックによって形成された既製品のラック52を外側円筒部43の内周部に精度良く固定することができる。したがって、ブレーキトルクを調整するうえで精度が高い制動力調整装置を低い価格で提供することができる。
このため、可動ベース14が過度に大きく回ることを確実に防ぐことができる。また、ステッピングモータ4の動作を制御する際に使用する可動ベース14の基準となる位置をストッパエンドピン61,62を使用して簡単に設定することができる。
このため、可動ベース14の絶対位置を検出回路36によって検出できるから、制御装置27によって制御されている可動ベース14の相対位置を修正することができる。
したがって、可動ベース14の位置の制御をオープンループ制御によって簡単に行うにもかかわらず、ブレーキトルクの精度が高い制動力調整装置を提供することができる。
Claims (5)
- 制動の対象となる回転軸と、
前記回転軸に設けられて前記回転軸と一体に回転するヒステリシス板と、
前記ヒステリシス板の一方の主面と対向する端面を有する固定部材と、
前記ヒステリシス板の他方の主面と対向する端面を有し、前記回転軸と同一軸線上で前記固定部材に対して回動自在に構成された可動部材と、
前記ヒステリシス板の回転方向に並ぶ状態で前記固定部材の前記端面に固定され、極性が前記回転方向に交互に変えられた複数の第1の永久磁石と、
前記ヒステリシス板の回転方向に並ぶとともに前記第1の永久磁石と対向する状態で前記可動部材の前記端面に固定され、極性が前記回転方向に交互に変えられた複数の第2の永久磁石と、
前記可動部材に設けられて前記回転方向に所定の長さだけ延びる円弧状のラックを有し、このラックにステッピングモータの回転を伝達して前記可動部材を駆動する駆動装置とを備えていることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1記載の制動力調整装置において、
前記可動部材は、前記回転軸と同一軸線上に位置する円筒部を有し、
前記円筒部の内周面には、周方向に延びる溝が形成され、
前記ラックは、内歯車として形成されて前記溝に収容され、
前記円筒部の軸線方向における前記ラックの位置決めは前記溝の一対の側壁によって行われ、
前記円筒部の周方向における前記ラックの位置決めは、前記ラックの一端部が当接するように前記可動部材に設けられた第1の移動規制部材と、前記ラックの他端部が当接するように前記可動部材に設けられた第2の移動規制部材とによって行われ、
前記第1の移動規制部材と第2の移動規制部材とのうちいずれか一方の移動規制部材は、前記円筒部の軸線方向に延びる支軸と、この支軸が嵌合する貫通孔および前記貫通孔とは偏心した外周面を有する円筒状のカラーとを備えていることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1または請求項2記載の制動力調整装置において、
前記ステッピングモータは、前記可動部材に対して前記ヒステリシス板とは反対側に位置するモータ取付部材に支持され、
前記モータ取付部材は、前記可動部材に向けて突出して前記可動部材の回動範囲を制限するための回転規制部を有していることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の制動力調整装置において、
前記ステッピングモータは、PM型ステッピングモータによって構成されていることを特徴とする制動力調整装置。 - 請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の制動力調整装置において、
さらに、
前記可動部材に設けられた位置検出用の永久磁石と、
前記永久磁石を検出する磁気センサーとを用いて前記可動部材の前記回転方向の位置を検出する位置検出装置を備えていることを特徴とする制動力調整装置。
Priority Applications (1)
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JP2007295675A (ja) * | 2006-04-21 | 2007-11-08 | Denso Corp | 電動ブレーキ及びバルブタイミング調整装置 |
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