JP4460682B2 - ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックレンズ用モノマー、ポリウレタン樹脂用原料、エポキシ硬化剤、塗料硬化剤、合成樹脂の加硫剤等として有用な精製されたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)、その精製方法、並びに精製されたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を用いたプラスチックレンズ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)は、チオグリコール酸とペンタエリスリトールの脱水エステル化反応によって製造される為、多くの場合、未反応のチオグリコール酸が不純物として製品中に残存してしまう。
【0003】
この不純物であるチオグリコール酸を除去する精製方法としては、充分水洗を行ったり、高温(160℃)、高真空(0.13kPa)下で蒸留留去したり(US3144422)、水酸化ナトリウム水溶液で中和後、水洗を繰り返したり(US3144422、Fr1194552)、アルコールで洗浄したりする方法(特公平3−20390号公報)等が知られているが、同様な方法でチオグリコール酸の除去を試みた場合、充分にチオグリコール酸が除去されなかったり、得られた製品が黄色く着色したり、収率が低くなったりする等の問題があった。
【0004】
別法として、不純物となるチオグリコール酸の代わりにチオグリコール酸エステルを用いる方法(特公昭63−58824号公報)が知られている。
【0005】
本法によれば、一見、チオグリコール酸を含まない製品が得られるように見えるが、実際は、酸性触媒の存在下、水を加えてチオグリコール酸アルキルエステルとペンタエリスリトール反応させる為、原料のチオグリコール酸エステルが加水分解して、結局チオグリコール酸は残存してしまう。
【0006】
さらに、本法の大きな問題点として、原料であるチオグリコール酸アルキルエステルはチオグリコール酸から製造しなければならない点、エステル化の際に留出してくるアルコール−水混合液は、ほとんどの場合、共沸混合物を形成するために分離が不可能で、リサイクルできないばかりか処理費用が必要となってくる点、唯一メタノールの場合は共沸混合物を形成しないが分離に超高段数の蒸留塔が必要となり設備費が膨大になる点等が挙げられ、結果としてコスト高になる。
【0007】
従って、工業的にはあまり好ましい方法とは言えず、実際には、チオグリコール酸エステルを用いる方法は殆ど使われていない。
【0008】
一方、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を使ったプラスチックレンズの製造方法としては、特公平8−30762号公報、特公平6−5323号公報等に開示されている。
【0009】
例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)とm−キシリレンジイソシアナートを混合、均一化し、脱泡後、ガラスモールドに注入し、加熱硬化させるといった方法である。
【0010】
ところが、従来の精製方法で製造されたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)は、一般的な汎用ポリイソシアナートと重合させてポリウレタン系プラスチックレンズを製造する場合、重合速度が速く極めて成型しづらいばかりか、場合によっては、モールドに注入する前に、ごく短時間で混合液が樹脂化してしまい、プラスチックレンズが製造できないといったこともあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、着色がなく、重合速度が遅いペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)、及びそれを工業的に、容易に、高収率で、安価に提供する精製法の開発が強く望まれていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題に鑑み、チオグリコール酸の含有量が0.3wt%以下であれば、重合速度の問題が解消されて、ポリウレタン系プラスチックレンズ用モノマーとして好適に使用できることを見出した。
【0013】
さらに、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を、アルカリ金属炭酸塩水溶液で洗浄すれば、極めて容易に且つ効率的に、チオグリコール酸の含有量を0.3wt%以下に出来る事も見出した。
【0014】
即ち、本発明は、チオグリコール酸の含有量が0.3wt%以下であるペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)、アルカリ金属炭酸塩水溶液洗浄によってチオグリコール酸の含有量を0.3wt%以下する精製方法、並びにチオグリコール酸の含有量が0.3wt%以下のペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)とポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン系プラスチックレンズ及びその製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、発明を詳細に説明する。
本発明に関わるペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)とは、ペンタエリスリトールとチオグリコール酸が脱水エステル化反応して生成したエステル化合物をさし、例えば、ペンタエリスリトールモノ(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールジ(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールモノ(メルカプトメチルカルボニルチオグリコレート)トリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールジ(メルカプトメチルカルボニルチオグリコレート)ジ(チオグリコレート)等が挙げられ、更にはこれらの混合物も挙げられる。
【0016】
ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)中のチオグリコール酸量は、少なければ少ない方が好ましいが、現実的には、0.30wt%以下が好ましく、0.25wt%以下あれば更に好ましく、0wt%が最も好ましい。
【0017】
残存チオグリコール酸を除く方法としては、アルカリ金属炭酸塩水溶液による洗浄が、容易で、効果的かつ効率的である。アルカリ金属炭酸塩は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。それらの中でも、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが比較的に好ましい。
【0018】
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等に代表される強塩基性水溶液による洗浄を行った場合、製品まで廃水に流れてしまい、収率が極端に落ちてしまう。また、逆に、燐酸ナトリウム水溶液、燐酸カリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液等の弱塩基水、または水を用いた場合、効率的にペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を精製することは困難である。
【0019】
ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)のアルカリ金属炭酸塩水溶液による洗浄は、溶媒を用いても用いなくても良いが、溶媒を用いた方が、分液性が良かったり、収率が高かったりする場合がある為、溶媒を使用する場合が多い。
【0020】
溶媒の種類は、得られる製品の品質に悪影響を与えず、分液性が良好で、収率が高くなる溶媒が好ましく用いられる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン溶媒などが挙げられる。
【0021】
これらのアルカリ金属炭酸塩水洗浄は、通常、一回で充分であるが、必要に応じて数回行っても良い。
【0022】
アルカリ金属炭酸塩水洗浄後は、通常、水洗等の必要な操作が、必要に応じて数回行われる。
【0023】
こうして得られたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)溶液は、通常、減圧下で加熱されて脱溶媒される。
【0024】
減圧度は、凡そ300〜1torr(40〜0.1kPa)の範囲で、200〜5torr(27〜0.7kPa)であれば更に好ましい。
【0025】
加熱温度は、凡そ20〜150℃で、40〜120℃であれば更に好ましい。
【0026】
得られたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)は、通常、濾過工程を経て製品となるが、この濾過は、減圧濾過でも加圧濾過でもできる。
【0027】
通常、窒素による加圧濾過が用いられ、凡そ0.1〜0.3MPa(ゲージ圧)程度で加圧される場合が多い。
【0028】
通常、濾過は室温で行われるが、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)は室温での粘度が高い為、場合によっては、問題の無い範囲で、室温よりも高い温度で濾過が行われる事もある。
【0029】
こうして得られたチオグリコール酸の含有量が0.3wt%以下の精製ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)は、重合速度が遅く成型し易い為、プラスチックレンズ用モノマーとして使用する以外に、ポリウレタン樹脂用原料、エポキシ硬化剤、塗料硬化剤、合成樹脂の加硫剤等の多種多様な用途にも好適に使用できる。
【0030】
次に、本発明に関わるポリウレタン系プラスチックレンズの製造法について、簡単に述べる。
【0031】
本発明の精製されたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)とポリイソシアナート、さらに必要に応じて、その他のモノマーと添加剤とを混合均一化し、減圧撹拌等によって脱泡を行う。
【0032】
その後、主にガラスモールドと樹脂製のガスケットまたはテープからなるガラス製モールドに脱泡液を注入し、主に熱によって硬化させる。
【0033】
加熱条件は、凡そ0〜200℃の温度範囲で低温から高温迄徐々に昇温し、凡そ1〜100時間で終了させる。
【0034】
その他のモノマーに放射線重合性モノマーを用いた場合、放射線照射を併用しても良い。放射線を照射する場合は、主に400nm以下の紫外線が良く用いられる。紫外線の照射条件は、凡そ1〜1000mJ/secの強度で1〜7200sec照射される場合が多く、時には除熱や、光学的に均一な成型物を得る目的で、照射前に冷却したり、照射を数回に分けて行ったりする場合もある。
【0035】
プラスチックレンズ用モノマーとして用いるポリイソシアナートとは、分子内に二個以上のイソシアナト基をもつ有機化合物であり、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【0036】
例えば、m−キシリレンジイソシアナート、α、α,α’、α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン等が挙げられる。なお、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0037】
必要に応じて加えられるその他のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)以外のポリチオール、(メタ)アクリル化合物、アリルまたはビニル化合物、(チオ)エポキシ化合物等が挙げられる。
【0038】
ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)以外のポリチオールとしては、例えば、ペンタエリスリトールポリ(3−メルカプトプロピオネート)、4−(メルカプトメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、トリチオグリセリン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチル)−2−チアプロパン等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0039】
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、エチレングリコールジ[(メタ)アクリレート]、ジエチレングリコールジ[(メタ)アクリレート]、ブタンジオールジ[(メタ)アクリレート]、ネオペンチルグリコールジ[(メタ)アクリレート]、トリメチロールプロパントリス[(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールトリス[(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールテトラキス[(メタ)アクリレート]、ジペンタエリスリトールヘキサ[(メタ)アクリレート]、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルエトキシフェニル]プロパン、ビス[(メタ)アクリロイルエトキシエトキシフェニル]メタン、ビス[(メタ)アクリロイルエトキシフェニル]メタン、ビス[(メタ)アクリロイルメチル]トリシクロデカン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エタンジチオールジ[(メタ)アクリレート]、3−チアヘプタン−1,5−ジチオールジ[(メタ)アクリレート]、2,5−ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]−1,4−ジチアン等が挙げられる。なお、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0040】
アリルまたはビニル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジアリルスルフィド、スチレン、イソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ジイソプロペニルベンゼン、3−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアナート等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0041】
(チオ)エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAビス[3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロピルエーテル]、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエステル、1,4−ブタンジカルボン酸ジ3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエステル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジグリシジルスルフィド、ビス(エピチオプロピル)スルフィド、ビス(エピチオプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0042】
本発明のプラスチックレンズの製造に於て、必要に応じて、熱触媒、光触媒、紫外線吸収剤、内部離型剤、酸化防止剤、重合禁止剤、油溶染料、充填剤、可塑剤等の公知の添加剤が加えられてもよい。
【0043】
また、得られた透明樹脂、透明光学材料、及びプラスチックレンズは、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐摩耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、得られたプラスチックレンズの屈折率、アッベ数、着色度は、以下の試験方法により評価した。
【0045】
屈折率、アッベ数;プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
【0046】
参考例1[ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)の製造]
2リットル反応フラスコに、チオグリコール酸1105.4g(12.0モル)、ペンタエリスリトール408.4g(3.0モル)、p−トルエンスルホン酸・一水塩8.4g、とトルエン250mlを仕込み、加熱撹拌共沸脱水反応(93〜124℃)を6時間行った。抜き出した生成水の量は209.9g(96.7wt%/理論生成量)であった。
【0047】
反応液を室温まで冷却後、水500mlで5回洗浄した。得られた下層の有機層を減圧下60℃で脱溶媒し、溶媒の留出が殆ど無くなったところで真空度を上げて(0.4〜0.7kPa)、そのままトッピングを行った。最後に、残渣を濾過して、僅かに黄味のある透明のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)を1273.4g(粗収率=98.1%)を得た。
【0048】
得られた製品の色相はAPHA15で、SH価は8.49meq/g(理論値9.25meq/g)、HPLC(内標法)によって定量したチオグリコール酸含有量は0.90wt%であった。
【0049】
実施例1
参考例1のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)310.1gをベンゼン1200gに溶解し、ついで5wt%炭酸カリウム水820gで洗浄し、下層の水層を分液廃棄した。
【0050】
得られた有機層を水500mlで5回洗浄して、参考例1と同様に脱溶媒、トッピング、濾過を行い、製品ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)264.8g(精製収率85.4%)を得た。
【0051】
得られた製品のチオグリコール酸含有量は、0.10wt%(HPLC内標法)であった。
【0052】
比較例1
実施例1の炭酸カリウム水洗浄の代わりに、1wt%アンモニア水による煩雑な中和(pH7.5)操作を行い、下層の水層を廃棄した。それ以外は、実施例1と同様な精製を行った。
【0053】
得られた製品のチオグリコール酸含有量は0.60wt%(HPLC内標法)であった。
【0054】
比較例2
比較例1のアンモニア水による中和洗浄のかわりに、5wt%アンモニア水820gで30分間、25℃で洗浄を行った。それ以外は比較例1と同じ操作を行った。
【0055】
結果、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)は、全く得られなかった。
【0056】
実施例2、比較例3〜4(重合速度の比較−1)
m−キシリレンジイソシアナート33.0g(0.175モル)、ヘキサメチレンジイソシアナート12.7g(0.076モル)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール50mg(500ppm)、内部離型剤としてジ(1,4,7−トリメチル−3,6,9−トリオキサトリデシル)燐酸150mg(1500ppm)の調整直後混合液に、実施例1、参考例1、または比較例1のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)54.3g(0.126モル)をおのおの別々に加えて、水温20℃の水浴下で、逐次粘度を測度しながら混合撹拌していき、それぞれの混合液が100cpsに到達する時間を測定して行った。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
PETG;ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)
【0058】
実施例3
3リットル反応フラスコに、チオグリコール酸1473.8g(16.0モル)、ペンタエリスリトール544.6g(4.0モル)、p−トルエンスルホン酸・一水塩44.0gとジクロロエタン700mlを仕込み、加熱撹拌共沸脱水反応(83〜95℃)を8時間行った。抜き出した生成水の量は279.0g(95.4wt%/理論生成量)であった。
【0059】
反応液を室温まで冷却後、2wt%塩酸600g、水600g、16.7wt%炭酸ナトリウム水600gで順次洗浄を行い、得られた下層の有機層を、さらに水600gで4回(計2400g)洗浄した。引き続き、得られた有機層を減圧下60℃で脱溶媒し、溶媒の留出が殆ど無くなったところで真空度を上げて(0.4〜0.7kPa)そのままトッピングを行った。最後に、残渣を室温まで冷却して濾過を行い、無色透明のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)を1602.7g(粗収率=92.6%)を得た。
【0060】
得られた製品の色相はAPHA10で、SH価は8.63meq/g(理論値9.25meq/g)、HPLC(内標法)によって定量したチオグリコール酸含有量は0.25wt%であった。
【0061】
実施例4,比較例5(重合速度の比較−2)
ビス(イソシアナートメチル)ノルボルナン51.4g(0.249モル)、4−(メルカプトメチル)−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール21.7g(0.083モル)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール50mg(500ppm)、内部離型剤としてジ(1,4,7−トリメチル−3,6,9−トリオキサトリデシル)燐酸150mg(1500ppm)の調整直後混合液に、実施例3、または市販品(淀化学社製)のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)26.9g(0.062モル)をおのおの別々に加えて、内温20℃で、逐次粘度を測定しながら混合撹拌していき、それぞれの混合液が100cpsに到達した時間を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
PETG:ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)
【0063】
参考例2(プラスチックレンズの製造)
実施例3のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)26.9g(0.062モル)、ビス(イソシアナートメチル)ノルボルナン51.4g(0.249モル)、4−(メルカプトメチル)−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール21.7g(0.083モル)、触媒としてジブチル錫ジクロライド40mg(400ppm)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール50mg(500ppm)、内部離型剤としてジ(1,4,7−トリメチル−3,6,9−トリオキサトリデシル)燐酸を150mg(1500ppm)混合溶解し、減圧下で混合脱泡を行った。
【0064】
脱泡終了後、あらかじめ用意しておいた成型モールドに注入し、室温から120℃まで徐々に昇温し、20時間かけて加熱硬化させた。尚、モールドヘの注入作業は容易に行えた。
【0065】
冷却後、離型して得られたレンズは無色透明で、屈折率Nd=1.594、アッベ数νd=42であった。
【0066】
○実施例1、実施例3、参考例1、と比較例1の比較によって、炭酸カリウム水、炭酸ナトリウム水による洗浄では0.30wt%以下迄チオグリコール酸を除くことができるが、水洗、または中和では、チオグリコール酸は充分に除去できない事が判る。
○比較例2によって、アンモニア水による洗浄では、精製収率が大幅低下する事が判る。
○実施例2、比較例3、と比較例4の比較、更には実施例4と比較例5の比較によって、チオグリコール酸量が低下すると、重合速度が遅くなることが判る。
○参考例2によって、本発明の精製方法で得られたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)が、プラスチックレンズ用モノマーとして好適に使用できる事が判る。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、0.30wt%以下迄チオグリコール酸を除去したペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を提供することができ、このようにチオグリコール酸の少ないペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を用いることで、重合速度が遅くなりポリウレタン系プラスチックレンズの製造が容易となる。
Claims (3)
- ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)をアルカリ金属炭酸塩水溶液で洗浄する事を特徴とするペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の精製方法。
- アルカリ金属炭酸塩が、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである請求項1記載の精製方法。
- 請求項1又は2に記載の精製方法により、チオグリコール酸の含有量が0.30wt%以下であるペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を得、当該化合物とポリイソシアナートを反応させることを特徴とするポリウレタン系プラスチックレンズの製造方法。
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