JP4426018B2 - ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックレンズ用モノマー、ポリウレタン樹脂用原料、エポキシ硬化剤、塗料硬化剤、合成樹脂の加硫剤等として有用なペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の製造方法、その製造方法によって得られたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)、並びにそのペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を用いるプラスチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の製造方法としては、従来から2通りの方法が知られている。一つは、ペンタエリスリトールとチオグリコール酸を直接反応させる脱水法(GB 1082104、US 3340236、US 3144422、Fr 1194552)で、もう一つは、ペンタエリスリトールとチオグリコール酸アルキルエステルを反応させるエステル交換法(特公平3−20390号公報、特公昭63−58824号公報)である。
【0003】
脱水法は、酸性触媒の存在下、ペンタエリスリトールとチオグリコール酸をベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒中で共沸脱水を行いながら反応を行い、次いで、反応液を室温まで冷却後、場合よって塩基で中和し、水洗を行い、150〜175℃/1〜3torrの高温高真空下で溶媒を留去して、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を製造する方法である。
【0004】
この脱水法は、比較的安価にペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の製造が可能であるが、得られた製品が黄色く着色したり(US 3144422)、未反応のチオグリコール酸を除去するために水酸化ナトリウム水溶液で中和したり、水洗を繰り返した場合、収率が低くなるといった問題があった(US3144422、Fr 1194552)。
【0005】
もう一つのエステル交換法は、酸性触媒の存在下、水を加えてペンタエリスリトールとチオグリコール酸アルキルエステル加熱撹拌し、反応の進行とともに生成してくるアルコールと仕込んだ水を抜き出しながら反応を行う。次いで、アルコールで洗浄し、減圧下(10torr/1.3kPa)で溶媒を留去して、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を製造する方法である。
【0006】
このエステル交換法では、脱水法と比較して、比較的高品質のペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を高収率で製造可能である(特公平3−20390号公報)。
【0007】
しかしながら、原料であるチオグリコール酸アルキルエステルはチオグリコール酸を一旦エステル化しなければならない点、エステル化の際に留出してくるアルコール−水混合液は、ほとんどの場合、共沸混合物を形成するために分液不可能で、リサイクルできないばかりか、廃液処理費用が必要となってくる点、唯一、メタノールの場合は共沸混合物を形成しないが、分離に超高段数の蒸留塔が必要となり設備費が膨大になる点等の問題があり、結局、脱水法よりもコスト高となってしまう。
【0008】
一方、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を使ったプラスチックレンズが、特公平8−30762号公報、特公平6−5323号公報等に、既に開示されている。
【0009】
例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)とm−キシリレンジイソシアナートを混合、均一化し、脱泡後、ガラスモールドに注入し、加熱硬化させるといった方法である。
【0010】
ところが、従来の製造方法でペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を製造した場合、得られたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)自身が既に着色していたり、それ自身は無色でも、一般的な汎用ポリイソシアナートと重合させて得られたポリウレタン系プラスチックレンズが、着色する場合があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、無色透明のプラスチックレンズを与える高品質のペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を高収率で安価に提供できる製造法の開発が強く望まれていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題に鑑み、エステル法よりも安価な脱水法によって、着色の少ないペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を製造すべく、鋭意検討を行った結果、反応溶媒に、誘電率が3〜15で尚且つ水と分離する不活性溶媒を用いれば、製品自身の着色が少なくなるばかりでなく、プラスチックレンズにした後の評価でも着色が殆どなく、更には洗浄操作等による廃水へのロスが減少して収率も向上することを見出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち、本発明は、チオグリコール酸とペンタエリスリトールから酸性触媒の存在下に脱水エステル化反応によりペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を製造する際に、誘電率が3〜15で、水と分離し、尚且つ水と共沸混合物を形成するハロゲン化炭化水素溶媒を、溶媒として用いることを特徴とするペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の製造方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明に関わるペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)とは、ペンタエリスリトールとチオグリコール酸が脱水エステル化反応して生成したエステル化合物をさし、例えば、ペンタエリスリトールモノ(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールジ(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールモノ(メルカプトメチルカルボニルチオグリコレート)トリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールジ(メルカプトメチルカルボニルチオグリコレート)ジ(チオグリコレート)等が挙げられ、更にはこれらの混合物も挙げられる。
【0016】
本発明の方法の例としては、先ず、チオグリコール酸とペンタエリスリトールを、酸性触媒の存在下、誘電率が3〜15で尚且つ水と分離する不活性溶媒を用いて加熱還流せしめ、留出してきた生成水を系外に除去しながら反応を進行させる。
【0017】
その後、鉱酸洗浄、アルカリ金属炭酸塩水洗浄、水洗等の洗浄操作等に代表されるような一般的な精製操作を経て、脱溶媒、必要に応じて濾過し、本発明に関わるペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を得る。
【0018】
本発明で使用する誘電率が3〜15で尚且つ水と分離する不活性溶媒とは、誘電率が3〜15の範囲内であり、尚且つ、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボニル基等に代表されるような原料及び生成物等に対して反応したり、問題を与えたりする活性基等を持たない不活性な溶媒である。
【0019】
これらの不活性溶媒は、誘電率が7〜13であれば更に好ましく、8〜12であれば尚好ましい結果を与える場合がある。
【0020】
更に、これらの誘電率が3〜15で尚且つ水と分離する不活性溶媒は、水と共沸混合物を形成する不活性溶媒であれば、エステル化反応の進行とともに生成する生成水の留出が容易になることによって、反応速度が早くなり易く、より好ましい結果を与える場合が多い。
【0021】
このような条件を満たす溶媒であれば、いずれの種類の溶媒であっても、差し支えないが、分子内に少なくとも1個以上のハロゲン原子を有する不活性なハロゲン化炭化水素溶媒が、比較的好ましい。
【0022】
ハロゲン化炭化水素溶媒の中で、具体的な化合物を挙げるならば、例えば、ジクロロメタン(ε=7.77(10℃))、ジクロロエタン(ε=10.0(1,1置換、18℃)、10.65(1,2置換、20℃))、クロロホルム(ε=4.806(20℃))、クロロベンゼン(ε=5.71(20℃))、o−ジクロロベンゼン(ε=9.93(25℃))等が挙げられる。中でも適当な沸点を持つジクロロエタンが、操作し易く、好ましく用いられる場合が多い。
【0023】
本発明は、上記に列記した具体的な溶媒のみに限定されるものではない。
【0024】
誘電率が3〜15で尚且つ水と分離する不活性溶媒を用いた場合、従来のベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される芳香族炭化水素系溶媒を用いた場合と比較して、得られた製品ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の着色が少なくなる。
【0025】
また、従来の芳香族系炭化水素溶媒と比較して、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)に対する溶解力が高いため、廃水への製品のロスが抑えられて収率が低下しなかったり、特に塩基性無機炭酸塩水洗浄時、又はその後の水洗時にエマルジョンが生成し難いといった特徴がある。
【0026】
これらの誘電率が3〜15で尚且つ水と分離する不活性溶媒は、同一溶媒を、反応から洗浄に代表されるような精製工程まで通して使っても、反応と精製を別々に別々の溶媒を分けて使っても構わないが、反応から精製まで同一溶媒で通して使った方が、操作的にも、コスト的にも有利である。
【0027】
ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の原料であるチオグリコール酸は、蒸留によって精製された市販品が使用されるが、製品の品質に問題のない範囲で、およそ0〜数%以下の不純物が含まれていても良い。
【0028】
また、同様に、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の原料であるペンタエリスリトールも市販品が使用されるが、主成分であるペンタエリスリトールの他に、ペンタエリスリトールの脱水二量体であるジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールのホルマリン縮合体であるビスペンタエリスリトール等の不純物を、製品の品質に問題のない範囲で、数%〜数十%含んでいても良い。
【0029】
エステル化を促進させる酸性触媒は、通常のエステル化触媒が用いられる。例えば、硫酸、塩酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ジブチル錫オキサイド等が挙げられる。
【0030】
エステル化の反応温度は、およそ20〜200℃であるが、50〜135℃が好ましく、60〜100℃であれば更に好ましい。
【0031】
共沸脱水によって、系外に除去される生成水の量は、およそ理論量に対して、少なくとも80wt%以上、好ましくは90wt%以上、更に好ましくは93wt%以上である。
【0032】
この脱水率が低い場合は、収率が低下したり、不純物である未反応チオグリコール酸の含有量が増加したり、次の精製工程及び廃水処理に多大な負荷をかけたりすることになり、好ましくない。
【0033】
こうして得られた反応液は、未反応のチオグリコール酸、酸性触媒等の不純物を除くために、鉱酸洗浄、アルカリ金属炭酸塩水洗浄、水洗等の精製操作が必要に応じて行われる。
【0034】
洗浄されたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)溶液は、通常、減圧加熱下で脱溶媒される。
【0035】
減圧度は、およそ300〜1torr(40〜0.1kPa)で、200〜5torr(27〜0.7kPa)であれば更に好ましい。
【0036】
加熱温度は、およそ30〜150℃で、50〜120℃であれば更に好ましい。
【0037】
得られたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)は、通常、濾過工程を経て製品となるが、この濾過は、減圧濾過でも加圧濾過でも良い。工業的には、加圧濾過が好ましく用いられる。加圧濾過の場合は、通常、窒素で加圧され、およそ0.1〜0.3MPa(ゲージ圧)程度で加圧される場合が多い。
【0038】
通常、濾過は室温で行われるが、場合によっては、室温ではペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の粘度が高いため、問題のない範囲で、室温よりも高い温度で濾過が行われることもある。
【0039】
こうして得られた製品ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)は、無色透明で、プラスチックレンズ用モノマーとして使用する以外に、ポリウレタン樹脂用原料、エポキシ硬化剤、塗料硬化剤、合成樹脂の加硫剤等の多種多様な用途にも好適に使用できる。
【0040】
次に、本発明に関わるポリウレタン系プラスチックレンズの製造法について、簡単に述べる。
【0041】
ポリイソシアナート、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)、必要に応じてその他のモノマーと添加剤を、混合均一化し、減圧撹拌等によって脱泡を行う。
【0042】
その後、主にガラスモールドと樹脂製のガスケット又はテープからなるガラス製モールドに脱泡液を注入し、主に熱によって硬化させる。
【0043】
加熱条件は、およそ0〜200℃の温度範囲で低温から高温迄徐々に昇温し、およそ1〜100時間で終了させる。
【0044】
その他のモノマーに放射線重合性モノマーを用いた場合、放射線照射を併用しても良い。放射線を照射する場合は、主に400nm以下の紫外線が良く用いられる。紫外線の照射条件は、およそ1〜1000mJ/seeの強度で1〜7200sec照射される場合が多く、時には除熱や、光学的に均一な成型物を得る目的で、照射前に冷却したり、照射を数回に分けて行ったりする場合もある。
【0045】
プラスチックレンズ用モノマーとして用いるポリイソシアナートとは、分子内に二個以上のイソシアナト基をもつ有機化合物であり、例えば、以下の化合物が挙げられる。
【0046】
例えば、m−キシリレンジイソシアナート、α、α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン等が挙げられる。尚、本発明はこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0047】
必要に応じて加えられるその他のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)以外のポリチオール、(メタ)アクリル化合物、アリル又はビニル化合物、(チオ)エポキシ化合物等が挙げられる。
【0048】
ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)以外のポリチオールとしては、例えば、ペンタエリスリトールポリ(3−メルカプトプロピオネート)、4−(メルカプトメチル)−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、トリチオグリセリン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチル)−2−チアプロパン等が挙げられる。尚、本発明がこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0049】
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、エチレングリコールジ[(メタ)アクリレート]、ジエチレングリコールジ[(メタ)アクリレート]、ブタンジオールジ[(メタ)アクリレート]、ネオペンチルグリコールジ[(メタ)アクリレート]、トリメチロールプロパントリス[(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールトリス[(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールテトラキス[(メタ)アクリレート]、ジペンタエリスリトールヘキサ[(メタ)アクリレート]、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[(メタ)アクリロイルエトキシフェニル]プロパン、ビス[(メタ)アクリロイルエトキシエトキシフェニル]メタン、ビス[(メタ)アクリロイルエトキシフェニル]メタン、ビス[(メタ)アクリロイルメチル]トリシクロデカン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エタンジチオールジ[(メタ)アクリレート]、3−チアヘプタン−1,5−ジチオールジ[(メタ)アクリレート]、2,5−ビス[(メタ)アクリロイルチオメチル]−1,4−ジチアン等が挙げられる。尚、本発明がこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0050】
アリル又はビニル化合物としては、例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジアリルスルフィド、スチレン、イソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ジイソプロペニルベンゼン、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアナート等が挙げられる。尚、本発明がこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0051】
(チオ)エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAビス[3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロピルエーテル]、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシメチルエステル、1,4−ブタンジカルボン酸−ジ(3,4−エポキシシクロヘキシメチルエステル)、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジグリシジルスルフィド、ビス(エピチオプロピル)スルフィド、ビス(エピチオプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。尚、本発明がこれら列記化合物のみに限定されるものではない。
【0052】
本発明のプラスチックレンズの製造において、必要に応じて、熱触媒、光触媒、紫外線吸収剤、内部離型剤、酸化防止剤、重合禁止剤、油溶染料、充填剤、可塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。
【0053】
また、得られた透明樹脂、透明光学材料、及びプラスチックレンズは、必要に応じ反射防止、高硬度付与、耐磨耗性向上、耐薬品性向上、防曇性付与、あるいはファッション性付与等の改良を行うため、表面研磨、帯電防止処理、ハードコート処理、無反射コート処理、調光処理等の物理的あるいは化学的処理を施すことができる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。尚、得られたプラスチックレンズの屈折率、アッベ数、着色度は、以下の試験方法により評価した。
【0055】
屈折率、アッベ数;プルフリッヒ屈折計を用い、20℃で測定した。
【0056】
着色度;9mm平板を作成し、ミノルタ色彩色差計にてYIを測定した。
【0057】
実施例1
3リットル反応フラスコに、チオグリコール酸1473.8g(16.0モル)、ペンタエリスリトール544.6g(4.0モル)、p−トルエンスルホン酸・一水塩44.0gと1,2−ジクロロエタン700mlを仕込み、加熱撹拌共沸脱水反応(83〜95℃)を8時間行った。抜き出した生成水の量は279.0g(95.4wt%/理論生成量)であった。
【0058】
反応液を室温まで冷却後、2wt%塩酸600g、水600g、16.7wt%炭酸ナトリウム水600gで順次洗浄を行い、得られた下層の有機層を、更に水600gで4回(計2400g)洗浄した。
【0059】
引き続き、得られた有機層を減圧下60℃で脱溶媒し、溶媒の留出がほとんどなくなったところで真空度を上げて(0.4〜0.7kPa)そのままトッピングを行った。
【0060】
最後に、残渣を室温まで冷却して濾過を行い、無色透明のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)を1602.7g(粗収率=92.6%)で得た。
【0061】
得られた製品の色相はAPHA 10で、SH価は8.63meq/g(理論値9.25meq/g)、HPLC(内標法)によって定量したチオグリコール酸含有量は0.25wt%であった。
【0062】
比較例1
p−トルエンスルホン酸・一水塩を11.2g、1,2−ジクロロエタンの替わりにトルエンを130ml使用して、実施例1と同様に反応を行った。
【0063】
反応は、110〜125℃で6時間行い、抜き出した生成水の量は282.3g(96.7wt%/理論生成量)であった。
【0064】
反応液を室温まで冷却後、1wt%アンモニア水で中和し(pH7.5)、上層の水層を分液廃棄して、下層の有機層を水600gで4回(計2400g)洗浄した。
【0065】
あとは、実施例1と同様にして製品を取り出したところ、僅かに黄味のある透明のペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)を1676.5g(粗収率=96.9%)を得た。
【0066】
得られた製品の色相はAPHA 15で、SH価は8.49meq/g(理論値9.25meq/g)であった。
【0067】
比較例2
溶媒をトルエン130mlに変更して、実施例1と同様にペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)の製造を行った。結果、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)の収率79%であった。
【0068】
実施例2
溶媒をジクロロエタン700mlとして、比較例1と同様にしてペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)の製造を行った。
【0069】
製品の粗収率は97.5%で、製品の品質は、無色透明で(APHA 10)、SH価は8.68meq/g(理論値9.25meq/g)であった。
【0070】
実施例3(プラスチックレンズの製造)
実施例1で得られたペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)26.9g(0.062モル)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン51.4g(0.249モル)、4−(メルカプトメチル)−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール21.7g(0.083モル)、触媒としてジブチル錫ジクロライド40mg(400ppm)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール50mg(500ppm)、内部離型剤としてジ(1,4,7−トリメチル−3,6,9−トリオキサトリデシル)燐酸を150mg(1500ppm)混合溶解し、減圧下で混合脱泡を行った。
【0071】
脱泡終了後、あらかじめ用意しておいた成型モールドに注入し、室温から120℃まで徐々昇温し、20時間かけて加熱硬化させた。
【0072】
冷却後、離型して得られたレンズは無色透明(YI=4.5)で、屈折率Nd=1.594、アッベ数νd=42であった。結果を表1に示す。
【0073】
比較例3〜4(プラスチックレンズの製造)
比較例1で得られたペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)及び市販されているペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)〔淀化学社製、ロット80802〕を用いて、実施例3と同様にプラスチックレンズの製造を行った。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
PETG;ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)
【0075】
実施例4(プラスチックレンズの製造)
実施例1で得られたペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)26.0g(0.060モル)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン58.3g(0.30モル)、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン38.2g(0.18モル)、触媒としてジブチル錫ジクロライド365mg(3000ppm)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ −5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール50mg(500ppm)、内部離型剤としてジ(1,4,7−トリメチル−3,6,9−トリオキサトリデシル)燐酸185mg(1500ppm)を混合溶解し、減圧下で混合脱泡を行った。
【0076】
脱泡終了後、あらかじめ用意しておいた成型モールドに注入し、室温から120℃まで徐々昇温し、20時間かけて加熱硬化させた。
【0077】
尚、モールドへの注入作業は、容易に行えた。
【0078】
冷却後、離型して得られたレンズは無色透明(YI=4.5)で、屈折率Nd=1.593、アッベ数νd=41であった。
【0079】
以上の結果から、
・実施例1と比較例1、並びに実施例2と比較例1の比較によって、溶媒にトルエンよりもジクロロエタンを使用したほうが、製品ペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)自身の色相が良いことが判る。
・実施例3と比較例3の比較よって、溶媒にトルエンよりもジクロロエタンを使用したはうが、プラスチックレンズの色相も良いことが判る。
・実施例1と比較例2、並びに実施例2と比較例1の比較によって、溶媒にトルエンよりもジクロロエタンを使用したほうが、収率が向上することが判る。
・実施例3〜4と比較例4によって、本発明の製造方法で得られたペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)が、プラスチックレンズ用モノマーとして好適に使用でき、また出来上がったプラスチックレンズも市販されているペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を用いたプラスチックレンズよりも品質(色相)が良いことが判る。
【0080】
【発明の効果】
以上本発明によれば、脱水法によるペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の製造において、反応溶媒に、誘電率が3〜15で尚且つ水と分離する不活性溶媒を用いれば、製品自身の着色が少なくなるばかりでなく、プラスチックレンズにした後の評価でも着色が殆どなく、更には洗浄操作等による廃水へのロスが減少して収率も向上する。
Claims (2)
- チオグリコール酸とペンタエリスリトールから酸性触媒の存在下に脱水エステル化反応によりペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)を製造する際に、誘電率が3〜15で、水と分離し、尚且つ水と共沸混合物を形成するハロゲン化炭化水素溶媒を、溶媒として用いることを特徴とするペンタエリスリトールポリ(チオグリコレート)の製造方法。
- 前記ハロゲン化炭化水素溶媒が、ジクロロエタンである請求項1記載の製造方法。
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