JP4459422B2 - 熱収縮性多層フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バージン材で得たフイルムでも、バージン材にリターン材を混入して得たフイルムでも透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性に優れた熱収縮性多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、容器の収縮包装や収縮ラベルとして用いられる熱収縮性フィルムには、熱収縮性や収縮後の仕上がりがよく、廃棄の際にもポリ塩化ビニルのような環境汚染問題がない点から、透明性に優れたスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体フィルムが用いられている。しかし、このフィルムは用途に応じては柔らかく腰がない、自然収縮が大きいといった問題があり、これらの欠点を改良すべく各種多層フィルムが提案されている(特開平9−114380号公報、特開平11−77916号公報)。
一方、実際のフィルム製膜は、得られたフィルムの端や良品が得られるまでにできた不要フィルムをリターン材としてバージン材と混ぜて行うのが通常である。しかしながら、上記の各種多層フィルムは、リターン材をバージン材と混合した際に白濁してしまい、フィルムとして使用できないという問題がある。また、近年、リサイクルの向上を目的として、ミシン目を入れたラベルがPETボトルに装着されているが、このミシン目に沿って容易に切れる、即ちミシン目切れ性に優れたラベルが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況を踏まえ、バージン材で得たフイルムの透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性に優れ、さらにバージン材にリターン材を混入して得たフイルムでも透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性に優れた熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる目的を果たすべく鋭意研究を重ねた結果、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルからなる特定の屈折率を有する共重合体と、特定の屈折率を有するゴム状弾性体樹脂、並びに特定の単量体比のスチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体とからなる組成物を多層フィルムの少なくとも1層とし、スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体、スチレン系重合体、並びにスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とした少なくとも1層を他層として形成させることにより、バージン材で得たフイルムの透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性に優れ、さらにリターン材が混入したフイルムでも透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性に優れた多層フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、(a)温度23℃における屈折率が1.550〜1.580であるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体(以下、スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体という)と、(b)温度23℃における屈折率が1.535〜1.550のゴム状弾性体樹脂と、(c)スチレン系単量体と共役ジエンの質量比が90/10〜60/40であるブロック共重合体との質量比が、(a)/(b)/(c)=50〜90/3〜30/5〜45であるA成分(合計100質量部とする)で形成された少なくとも1層と、(I)スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体(以下、スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体という)、(II)スチレン系重合体、並びに(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とし、温度23℃における屈折率が1.568〜1.582であるB成分で形成された少なくとも1層を有する熱収縮性多層フィルムである。
【0006】
特に、表裏層が(a)温度23℃における屈折率が1.550〜1.580であるスチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、(b)温度23℃における屈折率が1.535〜1.550のゴム状弾性体樹脂と、(c)スチレン系単量体と共役ジエンの質量比が90/10〜60/40であるブロック共重合体の質量比が、(a)/(b)/(c)=50〜90/3〜30/5〜45であるA成分(合計100質量部とする)で形成され、中間層が(I)スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体、(II)スチレン系重合体、並びに(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とし、かつ温度23℃における屈折率が1.568〜1.582であるB成分で形成された熱収縮性多層フィルムであるものが好ましい。
【0007】
更に、表裏層が(I)スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体、(II)スチレン系重合体、並びに(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とし、かつ温度23℃における屈折率が1.568〜1.582であるB成分で形成され、中間層が(a)温度23℃における屈折率が1.550〜1.580であるスチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、(b)温度23℃における屈折率が1.535〜1.550のゴム状弾性体樹脂と、(c)スチレン系単量体と共役ジエンの質量比が90/10〜60/40であるブロック共重合体の質量比が、(a)/(b)/(c)=50〜90/3〜30/5〜45であるA成分(合計100質量部とする)で形成された熱収縮性多層フィルムであるものが好ましい。
【0008】
また、A成分の(a)温度23℃における屈折率が1.550〜1.580であるスチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、スチレン系単量体がスチレン及び(メタ)アクリル酸エステル単量体がメチルメタクリレートである単量体を重合して得られる重合体、又はスチレン系単量体がスチレン及び(メタ)アクリル酸エステル単量体がメチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートである単量体を重合して得られる重合体を用いることが特に好ましい熱収縮性多層フィルムである。
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のA成分として用いられる(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に使用されるスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルは下記のとおりである。
スチレン系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどをあげることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいが2種以上を併用してもよい。一方(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートなどがあげられるが、好ましくはメチルメタクリレート及び/又はn−ブチルアクリレートである。これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体は単独で用いてもよいが2種以上を併用してもよい。メチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートの併用は好適な例である。
また、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で他の単量体を用いることもできる。例えば共重合可能な単量体としてアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが用いられる。
【0010】
本発明に用いる(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造法には、スチレン系重合体の製法で常用されている塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などが用いられる。また、回分式重合法、連続式重合法のいずれの方法も用いることができる。
【0011】
これらの重合法は、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル−3,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブチレートなどの有機過酸化物を用いることができる。また、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン−1を、可塑剤としてはブチルベンジルフタレートやジイソブチルアジペートなどを必要に応じて添加してもよい。
【0012】
本発明に用いる(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の温度23℃における屈折率は、1.550〜1.580である。1.550未満ではリターン材を混入した場合の透明性が劣り、1.580を超えるとフイルム製造時の延伸温度が高くなり、またフィルムの熱収縮性が劣るので実用に供せない。
【0013】
本発明に用いる(b)ゴム状弾性体樹脂としては、MBS樹脂、MBAS樹脂があげられる。これらのゴム状弾性体樹脂は単独でも、混合しても用いることができる。なお、これらは用いる際の屈折率は後記するように1.535〜1.550の範囲を満足することが必要である。
【0014】
MBS樹脂、MBAS樹脂は、まずポリブタジエン又はブタジエンを主成分とするスチレンとの共重合体ゴムラテックスを公知の乳化重合法で製造する。この際に、架橋剤や連鎖移動剤を使用しても良い。次に、MBS樹脂は、このゴムラテックスにスチレン、メチルメタクリレート、及び必要に応じてアルキルアクリレートを、MBAS樹脂はスチレン、メチルメタクリレート、アルキルアクリレート及び/又はアクリロニトリルを添加し、グラフト重合を行うことによって得られる。MBS樹脂、MBAS樹脂に使用されるアルキルアクリレートは、前記の(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体で述べたと同様のものがあげられる。
【0015】
本発明に用いる(b)ゴム状弾性体樹脂の温度23℃における屈折率は、1.535〜1.550である。1.535未満ではリターン材を混入時の透明性が劣り、1.550を超えると衝撃強度に劣り、実用に供せない。
【0016】
本発明に用いる(c)スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体は、有機溶剤中で有機リチウム化合物を開始剤としてスチレン系単量体と共役ジエンを特定の条件下で重合することによって得られる。有機溶剤としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素など公知の有機溶剤が使用できる。また、有機リチウム化合物は分子中に1個以上のリチウム原子が結合した化合物であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどが使用できる。
【0017】
使用されるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどをあげることができるが、好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいが2種以上を併用してもよい。また、使用される共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどがあげられるが、特に一般的なものとしては、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0018】
使用されるブロック共重合体の構造には特に制限はない。全体の構造としては線状の共重合体、星形の共重合体があげられる。線状の共重合体の分子量を上げたり、星形にするために公知のカップリング剤を使用することができる。また、ブロック共重合体を構成する各ブロック部分の構造もスチレン系単量体、あるいは共役ジエン単量体の単独ブロック、両者のテーパードブロック、ランダムブロックのどれでも良い。テーパードブロックやランダムブロック部分を形成するために、公知のランダム化剤を用いたり、両者を重合缶に連続フィードしたり、交互に少量ずつ添加しても良い。
【0019】
スチレン系単量体と共役ジエンの質量比は、90/10〜60/40である。スチレン系単量体が90質量%を超えるとフイルム製造時の延伸温度が高くなり、熱収縮性が劣り、また、60%未満では剛性劣り実用に供せない。
【0020】
本発明のA成分を構成する(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、(b)ゴム状弾性体樹脂と、(c)スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体の質量比は、(a)/(b)/(c)=50〜90/3〜30/5〜45(合計100質量部とする)であり、好ましくは55〜85/4〜25/10〜40であり、さらに好ましくは60〜80/5〜20/15〜30未満である。(a)の割合が50質量部未満では剛性が劣り、90質量部を超えると衝撃強度に劣り、(b)の割合が3質量部未満では衝撃強度に劣り、30質量部を超えると剛性に劣り、(c)の割合が10質量部未満ではミシン目切れ性に劣り、45質量部を超えると剛性に劣り、実用に供せない。
【0021】
(a)と(b)と(c)の混合方法は特に規定はないが、例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダーなどでドライブレンドしてもよく、さらに押出機で溶融化してペレット化しても良い。
【0022】
つぎに、本発明のB成分として用いられる(I)スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体、(II)スチレン系重合体、並びに(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体について説明する。
本発明の(I)スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体は、スチレン系単量体と共役ジエンを、前記の(c)のスチレン系単量体と共役ジエンのブロック共重合体で述べたと同様の有機溶媒、開始剤を用いて重合することによって得られる。
【0023】
使用されるスチレン系単量体としては、前記の(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体で述べたと同様のものがあげられる。また、使用される共役ジエンとしては、(c)スチレン系単量体と共役ジエンのブロック共重合体で述べたと同様のものがあげられる。使用されるブロック共重合体の構造や組成などに特に制限はない。
【0024】
つぎに、本発明に用いられる(II)スチレン系重合体としては、前記の(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体や(c)スチレン系単量体と共役ジエンのブロック共重合体で述べたと同様のスチレン系単量体を用い、これらスチレン系単量体の単独重合体又は2種以上の共重合体、さらには耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などがあげられる。
【0025】
また、本発明に用いられる(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸を重合することによって得られる。
スチレン系単量体としては、前記の(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体や(c)スチレン系単量体と共役ジエンのブロック共重合体で述べたと同様のスチレン系単量体があげられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、前記の(a)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体で述べたと同様の(メタ)アクリル酸エステルがあげられる。また、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタアクリル酸があげられる。
【0026】
本発明において、(I)スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体、(II)スチレン系重合体、並びに(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体は、それぞれ単独で多層フィルムの層を形成しても良いし、2種以上の混合物を主体として多層フィルムの層を形成しても良い。混合する際は、前記したA成分の場合と同様の方法を用いることができる。
【0027】
なお、このB成分の温度23℃における屈折率は、1.568〜1.582である。1.568未満では剛性に劣り、1.582を超えるとフイルム製造時の延伸温度が高くなり、フィルムの熱収縮性に劣るので実用に供せない。
【0028】
また、本発明に用いる各(共)重合体には、必要に応じて、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤、帯電防止剤、鉱油、難燃化剤、フィラーなどの添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で配合しても良い。添加剤を配合する方法については、特に規定はないが、たとえばヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、Vブレンダーなどでドライブレンドしても良く、さらに押出機で溶融してペレット化しても良い。あるいは、各重合体の製造時、重合開始前、重合反応途中、重合体の後処理などの段階で、添加しても良い。
【0029】
なお、本発明で用いる可塑剤としては、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸など脂肪族−塩基酸エステル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、サバシン酸ジブチル、サバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族−二塩基酸エステル、あるいはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステルが好ましい。好ましい添加量としては、A成分100質量部に対して0〜3質量部添加することが好ましい。
【0030】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、表裏層用、中間層用に上記の(共)重合体及び樹脂を各々押出機で溶融し、それをダイ内又はフイードブロックなどで多層化後、一軸、二軸あるいは多軸に延伸することによって得られる。ダイは、Tダイ、環状ダイなど公知のものが使用できる。一軸延伸の例としては、押し出されたシートをテンターで押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを円周方向に延伸する方法などがあげられる。二軸延伸の例としては、押し出されたシートをロールで押し出し方向に延伸した後、テンターなどで押し出し方向と直交する方向に延伸する方法、押し出されたチューブ状フィルムを押し出し方向及び円周方向に同時又は別々に延伸する方法などがあげられる。
【0031】
本発明において、延伸温度は60〜120℃が好ましい。60℃未満では延伸時にシートやフィルムが破断してしまい、また、120℃を越える場合は良好な収縮特性が得られないため好ましくない。延伸倍率は、特に制限はないが、1.5〜8倍が好ましい。1.5倍では熱収縮性が不足してしまい、また、8倍を越える場合は延伸が難しいため好ましくない。これらのフィルムを熱収縮性ラベルや包装材料として使用する場合、熱収縮率は温度80℃において20%以上必要である。20%未満では収縮時に高温が必要となるため、被覆される物品に悪影響を与えてしまい好ましくない。フィルムの厚さは10〜300μmが好適である。
【0032】
また、本発明は、本発明の熱収縮性多層フィルムのリターン材を、A成分及び/又はB成分のバージン材に混入して得た熱収縮性多層フィルムは、透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性にも優れた熱収縮性多層フィルムを形成するものである。
この混合割合は、特に限定されるものではないが、好ましくはA成分及び/又はB成分のバージン材に50質量%以下(但し、0質量%は含まず)混合することが透明性から望まれる。
【0033】
また、本発明では、得られたフィルムの表面特性を良好にするために帯電防止剤や滑剤などを表面に塗布してもよい。
【0034】
本発明の熱収縮性フィルムの用途としては、熱収縮性ラベル、熱収縮性キャップシールなどが特に好適であるが、その他、包装フィルムなどにも適宜利用することができる。
【0035】
【実施例】
次に実施例をもって本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1〜6及び比較例1〜12
(イ)原料重合体について
A成分:(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
表1に示すとおりのスチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いた。
【0037】
【表1】
Figure 0004459422
【0038】
A成分:(b)ゴム状弾性体樹脂
表2に示すとおりのゴム状弾性体樹脂を用いた。
【0039】
【表2】
Figure 0004459422
【0040】
A成分:(c)スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体
表3に示すとおりのスチレン−ブタジエンブロック共重合体を用いた。
【0041】
【表3】
Figure 0004459422
【0042】
B成分:表4に示すとおりの(I)スチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体、(II)スチレン系重合体、並びに(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体を用いた。
【0043】
【表4】
Figure 0004459422
【0044】
屈折率は、各重合体の射出成形品(厚さ2mm)を、JIS K7105に準拠しアタゴ社製デジタル屈折率計RX−2000を用い、温度23℃で測定した。
【0045】
(ロ)フイルムの製造
A成分として表1に示した(a)スチレン系単量体−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、表2に示した(b)ゴム状弾性体樹脂、及び表3に示したスチレン系単量体−共役ジエンブロック共重合体、並びにB成分として表4に示した重合体を用いて、表5〜表7に示した各層の原料重合体の配合量(質量部)、層比(%)で熱収縮性多層フィルムを作成した。
フィルムは、まず各層に対応する重合体又は重合体組成物を別々の押出機で溶融し、Tダイ内で多層化し、厚さ0.3mmのシートを成形した。また、得られた多層シートの一部をペレット化し(このペレットをリターン材という)、中間層を構成する成分に30質量%混合し、上記と同様の方法でシートを作成した。その後、東洋製作所社製の二軸延伸装置を用い、温度90℃で5倍に横一軸延伸することによって延伸フイルム作成した。
【0046】
表5〜表7に各層の原料重合体の配合量(質量部)、層比(%)とともに物性を示した。
なお、実施例3の表裏層の屈折率は1.573、実施例4の表裏層の屈折率は1.577であった。また、比較例1,6,8はシート成形はできたが延伸フイルムは得られなかった。
【0047】
なお、フィルムの各物性は下記の方法によった。
(1)曇度:ASTM D1003に準拠し、日本電色工業製HAZEメーター(NDH−1001DP型)を用いて測定した。
(2)熱収縮率:80℃の温水中に30秒間浸漬し、次式より算出した。
熱収縮率(%)={(L1−L2)/L1}×100
但し、L1:浸漬前の長さ(延伸方向)、L2:80℃の温水中に30秒間浸漬した収縮後の長さ(延伸方向)
(3)引張弾性率:JIS K6871に準拠し、エー・アンド・デイ製テンシロン万能試験機(RTC−1210A)を用いて測定した。
(4)フィルムインパクト:延伸フイルムを用いてテスター産業製フィルムインパクトテスターを用いて測定した。
(5)ミシン目切れ性:得られたフィルムに、カット0.7mm、ブリッジ1.4mmでミシン目を入れ、手で引き裂き、下記の基準で評価した。
○:ミシン目に沿って切れる
△:途中でミシン目からずれる
×:ミシン目通りに切れない
【0048】
表5〜表7に示した物性より、本発明のフィルムは、バージン材で得たフイルムでも、バージン材にリターン材を混入して得たフイルムでも透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性に優れることがわかる。
【0049】
【表5】
Figure 0004459422
【0050】
【表6】
Figure 0004459422
【0051】
【表7】
Figure 0004459422
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、バージン材で得たフイルムの透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性に優れ、さらにバージン材にリターン材を混入して得たフイルムの透明性、熱収縮性、剛性、衝撃強度、ミシン目切れ性にも優れた熱収縮性多層フィルムを提供することができる。本フイルムは、各種物品の包装に用いたり、印刷を施してラベルとして用いることが出来る。

Claims (11)

  1. (a)温度23℃における屈折率が1.550〜1.580であるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体と、(b)温度23℃における屈折率が1.535〜1.550のゴム状弾性体樹脂と、(c)スチレン系単量体と共役ジエンの質量比が90/10〜60/40であるブロック共重合体との質量比が、(a)/(b)/(c)=50〜90/3〜30/5〜45であるA成分(合計100質量部とする)で形成された少なくとも1層と、(I)スチレン系単量体と共役ジエンからなるブロック共重合体、(II)スチレン系重合体、並びに(III)スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル及び/又は(メタ)アクリル酸からなる共重合体より選ばれた少なくとも1種以上の重合体を主体とし、かつ温度23℃における屈折率が1.568〜1.582であるB成分で形成された少なくとも1層を有することを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  2. A成分の(a)の共重合体において、スチレン系単量体がスチレンで(メタ)アクリル酸エステル単量体がメチルメタクリレートからなる共重合体、又はスチレン系単量体がスチレンで、(メタ)アクリル酸エステル単量体がメチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートからなる共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  3. A成分の(b)のゴム状弾性体樹脂がMBS樹脂、又はMBAS樹脂から選ばれた1種以上の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  4. A成分の(c)のブロック共重合体が、スチレンとブタジエンからなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  5. A成分の(a)が、スチレン−メチルメタクリレート共重合体及び/又はスチレン−メチルメタクリレート−n−ブチルアクリレート共重合体、(b)がMBS樹脂及び/又はMBAS樹脂、(c)がスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性多層フィルム。
  6. B成分がスチレンとブタジエンからなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1乃至5記載の熱収縮性多層フィルム。
  7. 表裏層が請求項1乃至5記載のA成分で形成され、中間層が、請求項1又は6記載のB成分で形成されたことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  8. 表裏層が請求項1又は6記載のB成分で形成され、中間層が、請求項1乃至5記載のA成分で形成されたことを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
  9. 請求項1乃至6記載の熱収縮性多層フイルムのリターン材をA成分及び/又はB成分のバージン材に50質量%以下(但し、0質量%は含まず)混合しなること特徴とする熱収縮性多層フイルム。
  10. 請求項7記載の熱収縮性多層フイルムのリターン材をA成分及び/又はB成分のバージン材に50質量%以下(但し、0質量%は含まず)混合しなること特徴とする熱収縮性多層フイルム。
  11. 請求項8記載の熱収縮性多層フイルムのリターン材をA成分及び/又はB成分のバージン材に50質量%以下(但し、0質量%は含まず)混合しなること特徴とする熱収縮性多層フイルム。
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