JP6239848B2 - 熱収縮積層フィルム - Google Patents
熱収縮積層フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP6239848B2 JP6239848B2 JP2013088603A JP2013088603A JP6239848B2 JP 6239848 B2 JP6239848 B2 JP 6239848B2 JP 2013088603 A JP2013088603 A JP 2013088603A JP 2013088603 A JP2013088603 A JP 2013088603A JP 6239848 B2 JP6239848 B2 JP 6239848B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- block copolymer
- vinyl aromatic
- mass
- aromatic hydrocarbon
- intermediate layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Description
とりわけビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体を用いた熱収縮性フィルムは、従来使用されている塩化ビニル樹脂における残留モノマーの問題や、可塑剤の残留及び焼却時の塩化水素の発生の問題も無いため、食品包装やキャップシール、ラベル等に利用されている。
しかしながら、例えば、ポリスチレン(以下「PS」と略する。)系樹脂からなる熱収縮性フィルムを被覆したポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略する。)系樹脂製ボトルの粉砕品を、上記液比重分離法により分離する場合、PET系樹脂及びPS系樹脂は共に水に沈むため、両方の樹脂を高精度で分離することは困難である。
かかる問題を解決するため、密度が1.0g/cm3 未満のオレフィン系樹脂からなる層とスチレン系樹脂からなる層を積層した熱収縮性フィルムが種々提案されている。
すなわち本発明は下記の通りである。
少なくとも一軸方向に延伸された熱収縮積層フィルムであって、
表面層及び中間層を有し、
前記表面層は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを有する、水添又は非水添のブロック共重合体100質量部に対して、下記(a)〜(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素系重合体を0〜80質量部含むものであり、
(a)スチレン系重合体
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カル
ボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とビニル芳香族炭化水素の共重合体
(c)ゴム変性スチレン系重合体
前記ブロック共重合体に対する、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量
%であり、
前記ブロック共重合体に対する、共役ジエン単位の含有量が5〜35質量%であり、
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E')が0.3×109〜1.8×109
Paの範囲であり、
前記ブロック共重合体の損失弾性率(E")のピーク温度が60〜105℃の範囲に少
なくとも1つ存在しており、
前記中間層は、ポリプロピレン系樹脂からなり、
前記中間層の荷重たわみ温度が40〜70℃の範囲であり、
前記中間層の曲げ弾性率が800〜1600MPaの範囲である、
熱収縮積層フィルム。
〔2〕
前記中間層の荷重たわみ温度が45〜65℃の範囲であり、
前記中間層の曲げ弾性率が900〜1500MPaの範囲である、
前記〔1〕に記載の熱収縮積層フィルム。
〔3〕
前記ブロック共重合体に対する、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が70〜93質量
%であり、
前記ブロック共重合体に対する、共役ジエン単位の含有量が7〜30質量%であり、
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E')が0.5×109〜1.7×109
Paの範囲であり、
前記ブロック共重合体の損失弾性率(E")のピーク温度が65〜102℃以下に少な
くとも1つ存在する、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の熱収縮積層フィルム。
〔4〕
前記表面層が、前記ブロック共重合体100質量部に対して、
下記(a)〜(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素系
重合体0.1〜80質量部をさらに含む、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の熱収縮積層フィルム。
(a)スチレン系重合体
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カル
ボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とビニル芳香族炭化水素の共重合
体
(c)ゴム変性スチレン系重合体
〔5〕
縦方向(MD方向)に1.5〜7倍延伸されている、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の熱収縮積層フィルム。
〔6〕
少なくとも一軸方向に延伸された熱収縮積層フィルムの製造方法であって、
前記熱収縮積層フィルムは、表面層及び中間層を有し、
前記表面層は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを有する、水添又は非水添のブロック共重合体100質量部に対して、下記(a)〜(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素系重合体を0〜80質量部含むものであり、
(a)スチレン系重合体
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カル
ボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とビニル芳香族炭化水素の共重合体
(c)ゴム変性スチレン系重合体
前記ブロック共重合体に対する、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量
%であり、
前記ブロック共重合体に対する、共役ジエン単位の含有量が5〜35質量%であり、
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E')が0.3×109〜1.8×109
Paの範囲であり、
前記ブロック共重合体の損失弾性率(E")のピーク温度が60〜105℃の範囲に少
なくとも1つ存在しており、
前記中間層は、ポリプロピレン系樹脂からなり、
前記中間層の荷重たわみ温度が40〜70℃の範囲であり、
前記中間層の曲げ弾性率が800〜1600MPaの範囲であり、
前記表面層を形成する層と、前記中間層を形成する層を含む溶融フィルムを、縦方向(
MD方向)に1.5〜7倍に延伸する工程を有する、熱収縮積層フィルムの製造方法。
本実施形態の熱収縮積層フィルムは、少なくとも一軸方向に延伸された熱収縮積層フィルムであって、表面層及び中間層を有する。
前記表面層は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを有するブロック共重合体を含み、
前記ブロック共重合体に対する、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量%であり、
前記ブロック共重合体に対する、共役ジエン単位の含有量が5〜35質量%であり、
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E’)が0.3×109〜1.8×109Paの範囲であり、
前記ブロック共重合体の損失弾性率(E”)のピーク温度が60〜105℃の範囲に少なくとも1つ存在しており、
前記中間層は、ポリプロピレン系樹脂を含み、
前記中間層の荷重たわみ温度(JISK7191−A法で測定;以下、「荷重たわみ温度」と記載する。)が40〜70℃の範囲であり、
前記中間層の曲げ弾性率(JISK7171で測定:以下、「曲げ弾性率」と記載する。)が800〜1600MPaの範囲である、熱収縮積層フィルムである。
本実施形態の熱収縮積層フィルムは、上記のように、表面層と中間層を有している。
本実施形態の熱収縮積層フィルムは、表面層と中間層を有する少なくとも2層構成のものであれば、層構成は特に限定されるものではない。
本実施形態の熱収縮積層フィルムの積層構成は、表面層/中間層からなる少なくとも2種構成である。
熱収縮積層フィルムを構成する表面層と中間層の厚さ比は、接着効果及び透明性の観点から、中間層/表面層として、2/1〜12/1であることが好ましく、4/1〜8/1であることより好ましい。
また、本実施形態の熱収縮積層フィルムの好ましい層構成としては、表面層/中間層/表面層の2種3層構造が挙げられ、この場合の厚さ比は、接着効果及び透明性の観点から、表面層/中間層/表面層として、1/2/1〜1/12/1であることが好ましく、1/4/1〜1/8/1であることがより好ましい。
また、表面層と中間層の間に接着層を有していてもよく、接着層の厚さは表面層の厚さの10〜150%であることが接着効果及び透明性の観点から好ましい。
本実施形態の熱収縮積層フィルムが接着層を有する場合、好ましい層構成は、表面層/接着層/中間層/接着層/表面層の3種5層構造である。5層構造の場合、表面層/接着層/中間層/接着層/裏面層という構成となっていてもよく、この場合、表面層と裏面層に用いられる材料は同一であっても、異なっていてもよい。
接着層は中間層と表面層から構成されるフィルムの剥離強度以上の効果を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、中間層成分及び/又は表面層成分を含む組成物や、特開2006−44179号公報、特開2006−123482号公報、特開2006−263979号公報、特開2006−15745号公報、特開2006−323339号公報、特開2006−3233340号公報、特開2008−62640号公報、特開2011−203741号公報、国際公開第08/007710号等に記載の接着層成分が利用できる。
なお、本明細書において、「主収縮方向」とは、本実施形態の熱収縮積層フィルムの横方向(TD方向)、縦方向(MD方向)のうち、収縮率のうち大きい方向を言うものとする。
前記主収縮方向は、少なくとも一軸方向に延伸される延伸倍率の大きい方の方向である。
本実施形態の熱収縮積層フィルムを構成する中間層は、ポリプロピレン系樹脂を含む。
ポリプロピレン系樹脂は、本実施形態の熱収縮積層フィルムの低比重化に寄与するとともに、本実施形態の熱収縮積層フィルムに所定の印刷を施した場合、当該印刷後の伸びに優れることから、中間層は、40μm以下とすることが好ましく、35μm以下とすることがより好ましく、30μm以下とすることがさらに好ましい。
中間層の荷重たわみ温度が40〜70℃の範囲であると、本実施形態の熱収縮積層フィルムは、低温収縮性と自然収縮性に優れたものとなる。
中間層の荷重たわみ温度は、上述したように、JISK7191−A法で測定することができる。
中間層の荷重たわみ温度は、中間層を構成するポリプロピレン系樹脂の分子量あるいは結晶化度を制御することにより上記数値範囲とすることができる。
曲げ弾性率が800〜1600MPaの範囲であると、本実施形態の熱収縮積層フィルムは剛性と低温伸びに優れたものとなる。
前記中間層の曲げ弾性率は、上述したように、JISK7171で測定することができる。
中間層の曲げ弾性率は、中間層を構成するポリプロピレン系樹脂の分子量あるいは結晶化度を制御することにより、上記数値範囲に制御することができる。
中間層に使用するポリプロピレン系樹脂としては特に限定されるものではなく、アイソタクチックポリプロピレン等のプロピレンの単独重合体や、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
前記共重合体に使用される前記α−オレフィン成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン、ブテン−1,ペンテン−1,3−メチル−1−ブテン、ヘキセン−1,3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、へプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でもプロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
前記MFRが0.5g/10分以上であると、溶融押出時に押出負荷が過大になることを防止でき、20g/10分以下であると、延伸安定性が良好なものとなる。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、ポリプロピレン系樹脂の分子量をコントロールすることにより上記数値範囲に制御することができる。
中間層を構成する組成物を製造する方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を利用できる。
例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が適用できる。
特に、押出機による溶融混練法が、生産性、良混練性の観点から好ましい。
本実施形態の熱収縮積層フィルムを構成する表面層は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを有するブロック共重合体を含む。
なお、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体は、その水添物であるブロック共重合体も含んでいてもよい。
以下、これらをまとめてブロック共重合体と記載する場合がある。
前記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含むブロック共重合体は、前記ブロック共重合体に対するビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量%であり、前記ブロック共重合体に対する共役ジエン単位の含有量が5〜35質量%である。
前記ブロック共重合体における、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量及び共役ジエン単位の含有量は、前記ブロック共重合体の重合工程において、単量体の仕込み量を調整することにより制御することができる。
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E')は0.3×109〜1.8×109Paの範囲であり、損失弾性率(E”)のピーク温度が60〜105℃の範囲に少なくとも1つ存在する。
本明細書において、「ビニル芳香族炭化水素単位」とは、単量体であるビニル芳香族炭化水素を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
また、「共役ジエン単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエンに由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
前記ブロック共重合体又はその水添物は、上述したように、前記ブロック共重合体に対するビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量%である。好ましくは70〜93質量%、より好ましくは75〜90質量%の範囲である。前記ブロック共重合体又はその水添物は、上述したように、共役ジエン単位の含有量は5〜35質量%であり、好ましくは7〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%の範囲である。前記ブロック共重合体又はその水添物において、前記ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量%、共役ジエン単位の含有量が5〜35質量%の範囲であることにより、本実施形態の熱収縮性フィルムは、自然収縮性と低温伸び及び収縮率のバランスに優れたものとなる。なお、水添ブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素含有量は、水添前のブロック共重合体のビニル芳香族化合物含有量により把握してもよい。
ブロック共重合体又はその水添物のポリマー構造については、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式が挙げられる。
(A−B)n、A−(B−A)n、B−(A−B)n+1
[(A−B)k]m+1−X、[(A−B)k−A]m+1−X
[(B−A)k]m+1−X、[(B−A)k−B]m+1−X
(上記一般式において、セグメントAはビニル芳香族炭化水素単独重合体又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。セグメントBは共役ジエン単独重合体又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。
Xは、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
n、k及びmは1以上の整数であり、一般的には1〜5の整数である。
また、Xに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)
前記各一般式で表されるブロック共重合体又はその水添加物のポリマー構造は、線状ブロック共重合体、ラジアルブロック共重合体、或いはこれらのポリマー構造の任意の混合物のいずれであってもよい。また、上記一般式で表されるラジアルブロック共重合体においては、更にA又はBが、少なくとも一つ、Xに結合していてもよい。
ビニル芳香族炭化水素は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
共役ジエンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
共役ジエンとして、1,3−ブタジエンとイソプレンとを併用する場合、1,3−ブタジエンとイソプレンとの全質量に対してイソプレンは10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。
イソプレンが10質量%以上であると、高温での成形加工時等に熱分解を起こさず分子量が低下しないため外観特性や機械的強度のバランス性能の良好なブロック共重合体とすることができる。
前記炭化水素溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等を使用することができる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であって、1分子中に1個のリチウムを含む化合物や1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が挙げられる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。更に、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。これらは1種のみならず2種以上を混合して使用してもよい。
水添触媒としては、特に制限されるものではなく、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
熱安定性及び耐候性の良好な水添ブロック共重合体を得る場合、水添ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の70%よりも多くが水添されていることが好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上である。
また、熱安定性の良好な水添ブロック共重合体を得る場合、水素添加率は3〜70%であることが好ましく、5〜65%であることがより好ましく、10〜60%であることがさらに好ましい。なお、水添ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下とすることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下とする。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
前記ブロック共重合体の50℃での貯蔵弾性率(E’)が0.3×109〜1.8×109Paの範囲であると、剛性と低温伸びの物性バランスに優れる熱収縮積層フィルムが得られる。
前記ブロック共重合体の50℃での貯蔵弾性率(E’)は、(1)ブロック共重合体又はその水添物中のビニル芳香族炭化水素単位と共役ジエン単位との含有比率、及び(2)ブロック共重合体又はその水添物中の、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が60質量%以下であるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体部量を調整することで制御できる。
前記(1)の含有比率に関しては、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が増すほど50℃での貯蔵弾性率(E’)は高くなり、減少すると50℃での貯蔵弾性率(E’)は低くなる。
前記(2)の共重合体部量は、例えば、ビニル芳香族炭化水素を単独重合させ、重合完結後、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの混合物を連続的に仕込むことで制御することができ、前記ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が60質量%以下である共重合体部は、低温伸びを発現させるソフト成分として機能する。
前記ブロック共重合体又はその水添物中の、ビニル芳香族炭化水素含有量が60質量%以下であるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体部量が多いほど50℃での貯蔵弾性率(E’)は低くなり、少なくなると50℃での貯蔵弾性率(E’)は高くなる。
なお、本実施形態の熱収縮積層フィルムにおいて、前記「前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E’)が0.3×109〜1.8×109Paの範囲」とは、表面層(表面層が複数あり、裏面層と称する場合には、その裏面層も含む)に含有されているブロック共重合体の全てが、「50℃の貯蔵弾性率(E’)が0.3×109〜1.8×109Paの範囲」である必要はなく、表面層中のブロック共重合体成分全体の50℃の貯蔵弾性率(E’)が0.3×109〜1.8×109Paの範囲であればよい。
損失弾性率(E”)のピーク温度が、60℃以上105℃以下の範囲に少なくとも1つ存在すると、低温収縮性に優れた熱収縮積層フィルムが得られる。
損失弾性率(E”)のピーク温度は、前記ブロック共重合体又はその水添物の(1)ビニル芳香族炭化水素単独重合体部量(高Tgハード部として機能する)及び(2)ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が80質量%以上であるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体部(低Tgハード部として機能する)のビニル芳香族炭化水素単位の含有量と当該共重合体部量を調整することにより制御できる。
前記(1)はビニル芳香族炭化水素単独重合体部量が多いほど損失弾性率(E”)のピーク温度は高くなり、逆に少なくすると損失弾性率(E”)のピーク温度は低くなる。
前記(2)は、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が80質量%以上であるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体部の、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量を高くすることによって損失弾性率(E”)のピーク温度は高くなり、逆に少なくすると損失弾性率(E”)のピーク温度は低くなる。
また、前記共重合体部量を多くすることで、前記共重合体部の損失弾性率(E”)のピーク温度に近づけることが可能となる。
なお、50℃の貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)のピーク温度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の熱収縮積層フィルムを構成する表面層は、前記ブロック共重合体又はその水添物に加え、ビニル芳香族炭化水素系重合体をさらに含んでもよい。
ビニル芳香族炭化水素系重合体をさらに組み合わせることにより、剛性に優れる熱収縮積層フィルムを得ることができる。
ビニル芳香族炭化水素系重合体の含有量は、前記ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物100質量部に対して0.1〜80質量部であることが好ましく、0.3〜75質量部であることがより好ましく、1〜70質量部であることがさらに好ましい。
前記ビニル芳香族炭化水素系重合体としては、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。
(a)スチレン系重合体
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸又はその誘導体とビニル芳香族炭化水素の共重合体
(c)ゴム変性スチレン系重合体
前記(a)スチレン系重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられ、中でも、ポリスチレンが好ましい。
(a)スチレン系重合体の製造方法としては、スチレン系樹脂を製造する公知の方法を適用できる。例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を用いることができる。
前記(a)スチレン系重合体の重量平均分子量は、製膜性の観点から5万〜50万であることが好ましい。
前記(a)スチレン系重合体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。2種以上混合することにより、1種のみを単独で使用する場合よりも剛性を付与することができる。
脂肪族不飽和カルボン酸無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
脂肪族不飽和カルボン酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族不飽和カルボン酸と炭素数C1〜C12、好ましくはC2〜C12のアルコールとのモノ又はジエステル等が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等のアクリル酸エステルやメタアクリル酸エステル、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等と炭素数C1〜C12のアルコールとのα,β不飽和ジカルボン酸モノエステル又はジエステル等が挙げられる。
脂肪族不飽和カルボン酸及び/又は脂肪族不飽和カルボン酸誘導体の(b)共重合体中の含有量は、剛性と低温収縮性の観点から、5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは8〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%である。
前記(b)共重合体の重量平均分子量は、製膜性の観点から5万〜50万であることが好ましい。
前記(b)共重合体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記(b)共重合体としては、ビニル芳香族炭化水素と脂肪族不飽和カルボン酸エステルとの共重合体のうち、スチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体が本実施形態の熱収縮積層フィルムの低温収縮性を改良できるため好ましい。
前記スチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体の中でも特に好ましいものとしては、スチレンとアクリル酸n−ブチルとを主体とする共重合体が挙げられ、(b)共重合体中のスチレンとアクリル酸n−ブチルとの合計含有量が50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%であることがさらに好ましい。
また、(b)共重合体としては、スチレンとアクリル酸n−ブチルとの合計含有量が60質量%以上からなるスチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体が好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
スチレンとアクリル酸n−ブチルとを主体とする芳香族炭化水素−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体を中間層にさらに用いた熱収縮積層フィルムは、収縮性が良好である。
重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等が一般的に行われている。
前記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等が挙げられる。
前記ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なエラストマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム等が挙げられる。
かかるエラストマーは、ビニル芳香族炭化水素及び共重合可能なモノマー100質量部に対して好ましくは3〜50質量部で、前記モノマーに溶解して、又はラテックス状となって乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等に供されることが好ましい。
好ましい(c)ゴム変性スチレン系重合体としては、耐衝撃性ゴム変性スチレン系重合体(HIPS)が挙げられる。
(c)ゴム変性スチレン系重合体は、剛性、伸びの改良剤として利用できる。
(c)ゴム変性スチレン系重合体の重量平均分子量は、製膜性の観点から5万〜50万であることが好ましい。
(c)ゴム変性スチレン系重合体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(c)ゴム変性スチレン系重合体の含有量は、透明性維持の観点から、前記表面層に含有されているビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとからなるブロック共重合体又はその水添物100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜7質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。
表面層を構成する組成物を製造する方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を利用できる。
例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が適用できる。
特に、押出機による溶融混練法が、生産性、良混練性の観点から好ましい。
溶融混練温度は、必要に応じて使用するビニル芳香族炭化水素系重合体の軟化温度、溶融粘度、前記ブロック共重合体又はその水添物の熱劣化等を考慮して、100〜350℃が好ましく、150〜350℃がより好ましく、180〜330℃がさらに好ましい。
溶融混練時間(又は溶融混練工程の平均滞留時間)は、混練度合い(分散性)や生産性、前記ブロック共重合体又はその水添物等の劣化等を考慮して、0.2〜60分が好ましく、0.5〜30分がより好ましく、1〜20分がさらに好ましい。
本実施形態においては、上述した表面層及び中間層に、必要に応じてその他の樹脂及び/又は添加剤を配合してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
本実施形態における添加剤としては、熱可塑性樹脂組成物に配合する一般的なものが挙げられ、以下に限定されるものではないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、スラッグウール、ガラス繊維等の無機充填剤;カーボンブラック、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィンが挙げられる。
前記添加剤としては、上記の他、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤等も用いることができ、また、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に開示されているものも用いることができる。
本実施形態の熱収縮積層フィルムは、中間層及び表面層を構成する溶融フィルムを、Tダイを備えた押出機を用いて共押出しすることによって製造することができる。
押出に際しては、Tダイ法、チューブラ法等の既存の方法を採用してもよい。
また、中間層を構成する材料、表面層を構成する材料を、別々にシート化し、その後にプレス法やロールニップ法等を用いて積層しても本実施形態の熱収縮積層フィルムを製造することができる。
本実施形態の熱収縮積層フィルムは、具体的には、中間層を構成する材料、表面層を構成する材料を溶融押出し、溶融押出された樹脂は、冷却ロール、空気、水等で冷却し、その後、熱風、温水、赤外線等の適当な方法で再加熱し、ロール法、テンター法、チューブラ法等により、少なくとも1軸方向に、又は2軸方向に延伸することにより製造することができる。
本実施形態の熱収縮積層フィルムは、縦方向(MD方向)を主収縮方向とすることが、主収縮方向と非収縮方向の収縮率のバランスの観点から好ましい。
主収縮方向となる縦方向(MD方向)の延伸は、低速ロールと高速ロールの速度差を調整によって制御でき、その延伸倍率は、1.5〜7倍が好ましく、2〜6倍がより好ましい。前記延伸倍率を1.5〜7倍の範囲とすると適正な延伸と熱収縮率を得ることができる。
非主収縮方向となる横方向(TD方向)の延伸は、縦方向(MD方向)の収縮による横方向(TD方向)の伸びを抑える必要がある場合に、テンターを用いて実施することが好ましい。横方向(TD方向)の延伸倍率は、2倍以下であることが好ましく、1.8倍以下であることがより好ましい。横方向(TD方向)の延伸倍率が2倍以下であると、PETボトル用ラベルのように、ほぼ一方向の収縮特性を必要とする用途の場合でもその垂直方向に収縮特性を阻害せず、仕上がり性が良好になるという点で効果的である。
延伸温度は、熱収縮積層フィルムを構成している樹脂の軟化温度や本実施形態の熱収縮積層フィルムに要求される用途によって制御することが必要である。延伸温度は60〜130℃が好ましく、より好ましくは70〜120℃である。
本実施形態の熱収縮積層フィルムは、主収縮方向の80℃温水中での10秒間の熱収縮率が、低温収縮性の観点から20%以上であることが好ましく、25%以上がより好ましい。
非主収縮方向の80℃温水中での10秒の熱収縮率については、
前記主収縮方向の収縮率が30%である時に5%以下であることが好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。
非主収縮方向の収縮率が前記上限値以下であると、ラベル用途において収縮後に非主収縮方向の寸法変化を抑制でき、ラベルの寸法ずれや外観不具合の発生を防止することができる。
本実施形態の熱収縮積層フィルムの主収縮方向及び非主収縮方向の温水中における収縮率の測定方法については、後述する実施例に記載した方法を適用できる。
((1)中間層の荷重たわみ温度)
2007年度版JISK7191−A法に準拠して測定した。
((2)中間層の曲げ弾性率)
2008年度版JISK7171に準拠して測定した。
((3)ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素単位の含有量)
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(株)レオロジ製粘弾性測定解析装置DVE−V4を用い、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、後述する実施例及び比較例で製造した表面層及び裏面層に相当する厚さ2mmの試験片を用い、温度−50℃〜150℃の範囲を測定して求めた。
試験片としては、後述する実施例及び比較例で製造した延伸フィルムから、MD及びTD方向に幅を10mm、標線間を100mmとする長さにそれぞれ短冊状に切り出したものを用いた。
測定温度は23℃とし、引張速度は10mm/minで行い、2006年度版JIS K−6732に準拠して測定した。MD及びTD方向の平均値を引張弾性率(MPa)とした。
後述する実施例及び比較例で製造した延伸フィルムの主延伸方向における80℃の収縮率を、80℃の温水中に10秒間浸漬し、次式により算出した。
80℃熱収縮率(%)=(L−L1)/L×100
ここで、主収縮方向における、Lは収縮前の長さを示し、L1は収縮後の長さを示す。
後述する実施例及び比較例で製造した延伸フィルムを35℃で5日間放置し、延伸フィルムの主延伸方向の自然収縮率を次式により算出した。
自然収縮率(%)=(L2−L3)/L2×100
ここで、L2は放置前の長さを、L3は放置後の長さを示す。
自然収縮率が小さいほど、自然収縮性は優れると判断した。
試験片としては、後述する実施例及び比較例で製造した延伸フィルムから、非主延伸方向に幅を15mm、標線間を40mmとする長さに短冊状に切り出したものを用いた。
測定温度は0℃、引張速度は100mm/minで行い、2006年度版JIS K−6732に準拠して測定した。0℃伸びは、値が大きい方が好ましいと判断した。
後述する実施例及び比較例で製造した延伸フィルムを、主収縮方向10cm、非主収縮方向10cmの正方形に切り出し、80℃の温水中に3秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒間浸漬したときの主収縮方向と非主収縮方向の変化率を、下記式により求めた。
変化率(%)=(R−R1)/R×100
ここで、Rは放置前の長さを、R1は放置後の長さを示す。
尚、変化率はプラスとマイナスを示す場合もあるので、絶対値を用いた。
<判定基準>
○(良):主収縮方向の変化率が30%時の非主収縮方向の変化率が5%以下
×(不良):主収縮方向の変化率が30%時の非主収縮方向の変化率が5%を超える
後述する実施例及び比較例においては、表1に示すブロック共重合体又はその水添物A−1〜A−11を成分(I)とし、表2に示すポリプロピレン系樹脂B−1〜B−4を成分(II)とし、表3に示すビニル芳香族炭化水素系重合体C−1〜C−3を成分(III)とした。
表4に示した材料の組成に従い、表面層、裏面層及び中間層を有する3層構造のシートを、Tダイより、押出温度210℃で厚み0.25mmで成形した後、88℃の延伸温度で縦方向(MD方向)に低速ロールと高速ロールを使用して4倍に延伸した。その後、テンターを使用して横方向(TD方向)に1.3倍延伸し、延伸フィルムを得た。
表面層、裏面層、中間層の厚みの比率(%)を25(表面層)/50(中間層)/25(裏面層)とした。
得られた3層の熱収縮性フィルムの特性を下記表4に示した。
なお、紫外線吸収剤として表面層及び裏面層の材料100質量部に対してアデカスタブLA−32(旭電化工業(株)社製)を0.2質量部、滑剤としてステアロアミドを表面層及び裏面層の材料100質量部に対して0.2質量部添加した。
C−2:PSJポリスチレン685(PSジャパン株式会社製)
C−3:PSJポリスチレン475D(PSジャパン株式会社製)
A−9:アサフレックス805(旭化成ケミカルズ社製)
A−10:アサフレックス810(旭化成ケミカルズ社製)
A−11:アサフレックス800(旭化成ケミカルズ社製)
Claims (6)
- 少なくとも一軸方向に延伸された熱収縮積層フィルムであって、
表面層及び中間層を有し、
前記表面層は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを有する、水添又は非水添のブロック共重合体100質量部に対して、下記(a)〜(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素系重合体を0〜80質量部含むものであり、
(a)スチレン系重合体
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カル
ボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とビニル芳香族炭化水素の共重合体
(c)ゴム変性スチレン系重合体
前記ブロック共重合体に対する、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量
%であり、
前記ブロック共重合体に対する、共役ジエン単位の含有量が5〜35質量%であり、
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E')が0.3×109〜1.8×109
Paの範囲であり、
前記ブロック共重合体の損失弾性率(E")のピーク温度が60〜105℃の範囲に少
なくとも1つ存在しており、
前記中間層は、ポリプロピレン系樹脂からなり、
前記中間層の荷重たわみ温度が40〜70℃の範囲であり、
前記中間層の曲げ弾性率が800〜1600MPaの範囲である、
熱収縮積層フィルム。 - 前記中間層の荷重たわみ温度が45〜65℃の範囲であり、
前記中間層の曲げ弾性率が900〜1500MPaの範囲である、
請求項1に記載の熱収縮積層フィルム。 - 前記ブロック共重合体に対する、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が70〜93質量
%であり、
前記ブロック共重合体に対する、共役ジエン単位の含有量が7〜30質量%であり、
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E')が0.5×109〜1.7×109
Paの範囲であり、
前記ブロック共重合体の損失弾性率(E")のピーク温度が65〜102℃以下に少な
くとも1つ存在する、
請求項1又は2に記載の熱収縮積層フィルム。 - 前記表面層が、前記ブロック共重合体100質量部に対して、
下記(a)〜(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素系
重合体0.1〜80質量部をさらに含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱収縮積層フィルム。
(a)スチレン系重合体
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カル
ボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とビニル芳香族炭化水素の共重合
体
(c)ゴム変性スチレン系重合体 - 縦方向(MD方向)に1.5〜7倍延伸されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱収縮積層フィルム。
- 少なくとも一軸方向に延伸された熱収縮積層フィルムの製造方法であって、
前記熱収縮積層フィルムは、表面層及び中間層を有し、
前記表面層は、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを有する、水添又は非水添のブロック共重合体100質量部に対して、下記(a)〜(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素系重合体を0〜80質量部含むものであり、
(a)スチレン系重合体
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物及び脂肪族不飽和カル
ボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種とビニル芳香族炭化水素の共重合体
(c)ゴム変性スチレン系重合体
前記ブロック共重合体に対する、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量が65〜95質量
%であり、
前記ブロック共重合体に対する、共役ジエン単位の含有量が5〜35質量%であり、
前記ブロック共重合体の50℃の貯蔵弾性率(E')が0.3×109〜1.8×109
Paの範囲であり、
前記ブロック共重合体の損失弾性率(E")のピーク温度が60〜105℃の範囲に少
なくとも1つ存在しており、
前記中間層は、ポリプロピレン系樹脂からなり、
前記中間層の荷重たわみ温度が40〜70℃の範囲であり、
前記中間層の曲げ弾性率が800〜1600MPaの範囲であり、
前記表面層を形成する層と、前記中間層を形成する層を含む溶融フィルムを、縦方向(
MD方向)に1.5〜7倍に延伸する工程を有する、熱収縮積層フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013088603A JP6239848B2 (ja) | 2013-04-19 | 2013-04-19 | 熱収縮積層フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013088603A JP6239848B2 (ja) | 2013-04-19 | 2013-04-19 | 熱収縮積層フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014210399A JP2014210399A (ja) | 2014-11-13 |
JP6239848B2 true JP6239848B2 (ja) | 2017-11-29 |
Family
ID=51930549
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013088603A Active JP6239848B2 (ja) | 2013-04-19 | 2013-04-19 | 熱収縮積層フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6239848B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6870405B2 (ja) * | 2017-03-16 | 2021-05-12 | 三菱ケミカル株式会社 | 熱収縮性積層多孔フィルム及び被覆物品 |
WO2020137790A1 (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-02 | 東洋紡株式会社 | 二軸配向ポリプロピレンフィルム |
KR20230160388A (ko) * | 2021-03-30 | 2023-11-23 | 덴카 주식회사 | 블록 공중합체 조성물, 열수축성 필름 및 용기 |
WO2022208919A1 (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-06 | デンカ株式会社 | ブロック共重合体組成物、熱収縮性フィルム、及び容器 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3914656B2 (ja) * | 1999-04-27 | 2007-05-16 | 三菱樹脂株式会社 | 熱収縮性積層フィルム |
JP2001301101A (ja) * | 2000-04-18 | 2001-10-30 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 熱収縮性積層フィルム |
JP3774113B2 (ja) * | 2000-09-14 | 2006-05-10 | 三菱樹脂株式会社 | 熱収縮性積層フィルム |
JP5627496B2 (ja) * | 2011-02-09 | 2014-11-19 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 樹脂組成物及び熱収縮性フィルム |
JP5914091B2 (ja) * | 2012-03-28 | 2016-05-11 | シーアイ化成株式会社 | 熱収縮性多層フィルムおよびその製造方法 |
-
2013
- 2013-04-19 JP JP2013088603A patent/JP6239848B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014210399A (ja) | 2014-11-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100503709B1 (ko) | 수소첨가 공중합체 | |
JP4838254B2 (ja) | ブロック共重合体及び熱収縮性フィルムの製造方法 | |
JP6239848B2 (ja) | 熱収縮積層フィルム | |
JP2005105032A (ja) | 重合体組成物からなる熱収縮性フィルム | |
JP5295068B2 (ja) | 熱収縮性積層フィルム | |
TWI641636B (zh) | 用作等向性薄膜、擠壓及模塑製品的聚合物組成及其混合物 | |
JP4919713B2 (ja) | ブロック共重合体水添物組成物、そのシート・フィルム及び熱収縮性フィルム | |
WO2015072466A1 (ja) | 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 | |
JP2007038586A (ja) | 熱収縮性積層フィルム | |
JP5627496B2 (ja) | 樹脂組成物及び熱収縮性フィルム | |
JP5133289B2 (ja) | 熱収縮性フィルム | |
JP6027333B2 (ja) | 熱収縮積層フィルム | |
JP2009149861A (ja) | プロピレン系樹脂組成物及び成形体 | |
JP2004284197A (ja) | ポリプロピレン系熱収縮性フィルム | |
JP6027332B2 (ja) | 熱収縮性積層フィルム | |
JP2001058377A (ja) | 熱収縮性積層フィルム | |
JP5294417B2 (ja) | 熱収縮性積層フィルム | |
JP5057752B2 (ja) | 熱収縮性フィルム | |
JP5057753B2 (ja) | 熱収縮性フィルム | |
JP4510577B2 (ja) | 包装体用積層シートおよびこのシートから形成された包装体 | |
JPH0532836A (ja) | シート、フイルム用重合体組成物 | |
JP6001286B2 (ja) | 中空プレート | |
JP3391092B2 (ja) | 低温収縮性フィルム | |
JP6001287B2 (ja) | 中空プレート | |
JP6027378B2 (ja) | 積層シート及びフィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160328 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20160401 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160523 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170330 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20170525 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170612 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20171011 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20171102 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6239848 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |