JP4459390B2 - 蛍光測定方法、蛍光測定装置及びそれを用いた試料評価装置 - Google Patents

蛍光測定方法、蛍光測定装置及びそれを用いた試料評価装置 Download PDF

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    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/64Fluorescence; Phosphorescence
    • G01N21/6408Fluorescence; Phosphorescence with measurement of decay time, time resolved fluorescence

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、励起光によって励起された試料から放出される蛍光の時間波形を測定し、データ解析を行って波形データなどを算出する蛍光測定方法、蛍光測定装置、及びそれを用いた試料評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試料において発生した蛍光を時間分解測定して、蛍光寿命などの情報を取得する蛍光測定装置においては、励起光源からのパルス状の励起光を照射して試料を励起するとともに、励起された試料で発生して放出される蛍光、特にその時間経過に伴う強度変化を、光電子増倍管などの光検出器によって検出する。そして、光検出器から出力される蛍光検出データによって得られる蛍光の時間波形に対して、データ処理装置で演算処理等のデータ解析を実行することによって、波形データや、蛍光寿命などの算出を行っている。
【0003】
このような蛍光測定装置では、得られる蛍光の時間波形は、励起光パルスの照射後に放出される蛍光強度が時間とともに減衰していく蛍光崩壊(Decay)の時間波形となる。ただし、実際には、蛍光成分に起因する指数関数的な蛍光崩壊の時間波形と、励起光の有限なパルス幅など装置に起因する装置応答の時間波形による励起光の時間波形とがコンボリューションされた状態で、蛍光の時間波形が測定される。
【0004】
このため、データ解析を行って波形データや蛍光寿命などを算出する場合、測定された蛍光の時間波形に対して、別に測定した励起光の時間波形を用いて、蛍光崩壊及び装置応答の時間波形のデコンボリューションを行う。同時に、蛍光崩壊の時間波形に対して、指数関数などの関数系を適用したフィッティング計算を行って、時間波形を特定する波形データや、蛍光寿命などの物理量を算出している(例えば、特許第2911167号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
フィッティング計算を含む上記したデータ解析に用いる蛍光及び励起光のそれぞれの時間波形は、測定系の構成の相違によって発生する時間波形への影響を避けるため、通常は同一の測定系、すなわち同一の光学系及び光検出器等を用いて測定される。このとき、これらの時間波形は、異なる時間にそれぞれ別に蛍光または励起光の測定を行って求められる。このように、同一の測定系を用いて別々に測定を行った場合、その間での時間経過による測定装置の動作状態の変化(ドリフト)などに起因して生じる時間波形の変動が、データ解析上問題となる。
【0006】
特に、近年、半導体ウエハの結晶品質の評価など、試料評価の様々な用途に対して、蛍光寿命などの情報を取得する蛍光測定装置の適用が進められている。また、このような蛍光測定装置の適用範囲の拡大に伴って、例えば半導体ウエハ上の複数の部位に対して蛍光測定による評価を実行していくなど、多数回の蛍光測定をできるだけ短時間で連続的に行う必要性が生じている。
【0007】
このとき、各蛍光測定での測定条件については、測定装置の動作状態が熱などによって変化したり、励起光源として用いるパルスレーザ光源の発振タイミングが、光検出器との同期用のクロック信号のタイミングに対して変動するなどの現象によって、時間の経過とともに測定条件が変化していく。このため、それぞれの蛍光測定で得られる蛍光の時間波形をそのまま用いると、あらかじめ別の測定で求められている励起光の時間波形に対して、蛍光の時間波形の時間軸上での位置がそれぞれの蛍光測定でシフトしてしまう。
【0008】
このように、データ解析の時間軸、及び時間軸に対して固定に配置された励起光の時間波形に対して、測定される蛍光の時間波形がシフトしていくと、その時間ずれによってデコンボリューションによるフィッティング計算などのデータ解析を正しく行うことができず、結果として、波形データや蛍光寿命を正しく算出することができないという問題がある。一方、蛍光測定を行うごとに励起光測定をも行うこととすると、時間波形のシフトの影響が抑制される一方で、蛍光測定や試料評価に要する時間が長時間化してしまうという問題を生じる。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、蛍光の時間波形の変動にかかわらず、波形データ等を正確かつ効率的に算出することが可能な蛍光測定方法、蛍光測定装置、及びそれを用いた試料評価装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による蛍光測定方法は、(1)パルス状の励起光を試料に照射する励起ステップと、(2)励起光によって励起された試料から放出される蛍光を検出する光検出ステップと、(3)光検出ステップで検出される蛍光の時間波形について、蛍光の時間波形に対して固定に設定された所定の時間範囲であるフィッティング範囲でのフィッティング計算を含むデータ解析を行って、波形データを算出するデータ処理ステップと、を備え、(4)データ処理ステップにおいて、あらかじめ求められた励起光の時間波形、及び蛍光の時間波形を、フィッティング計算に用いる時間軸上に、蛍光の時間波形の蛍光ピークが励起光の時間波形の励起光ピークと略一致する時間位置よりも所定の時間幅だけ前または後の初期位置となるようにそれぞれ配置した後、初期位置から、蛍光ピークが励起光ピークと略一致する時間位置を挟んで時間軸上で反対側となる終了位置に向かって、蛍光の時間波形及びフィッテイング範囲、または励起光の時間波形を時間軸に対して移動させつつ、複数の異なる時間位置において、励起光の時間波形を参照してフィッティング計算をそれぞれ実行するとともに、フィッティング計算のそれぞれで算出された複数の波形データのうち、所定の選択基準によって選択された波形データを、最終的な測定波形データとすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による蛍光測定装置は、(a)パルス状の励起光を試料に照射する励起手段と、(b)励起光によって励起された試料から放出される蛍光を検出する光検出手段と、(c)光検出手段で検出される蛍光の時間波形について、蛍光の時間波形に対して固定に設定された所定の時間範囲であるフィッティング範囲でのフィッティング計算を含むデータ解析を行って、波形データを算出するデータ処理手段と、を備え、(d)データ処理手段は、あらかじめ求められた励起光の時間波形、及び蛍光の時間波形を、フィッティング計算に用いる時間軸上に、蛍光の時間波形の蛍光ピークが励起光の時間波形の励起光ピークと略一致する時間位置よりも所定の時間幅だけ前または後の初期位置となるようにそれぞれ配置した後、初期位置から、蛍光ピークが励起光ピークと略一致する時間位置を挟んで時間軸上で反対側となる終了位置に向かって、蛍光の時間波形及びフィッテイング範囲、または励起光の時間波形を時間軸に対して移動させつつ、複数の異なる時間位置において、励起光の時間波形を参照してフィッティング計算をそれぞれ実行するとともに、フィッティング計算のそれぞれで算出された複数の波形データのうち、所定の選択基準によって選択された波形データを、最終的な測定波形データとすることを特徴とする。
【0012】
上記した蛍光測定方法及び蛍光測定装置においては、蛍光の時間波形、及び蛍光測定とは別に測定された励起光の時間波形を、フィッティング計算の時間軸上での所定の時間位置にそれぞれ配置する。そして、蛍光の時間波形または励起光の時間波形を、蛍光ピークが励起光ピークよりも所定の時間幅だけ前または後の初期位置から、反対側の終了位置(前の初期位置から後の終了位置、または後の初期位置から前の終了位置)へと移動していく。
【0013】
ここで、測定された蛍光の時間波形に時間軸方向のシフトがなく、蛍光及び励起光の時間波形の時間軸上での位置(時間位置)が一致している場合には、蛍光の時間波形における蛍光ピークは、励起光ピークの時間位置またはそれよりも後の時間位置となる。したがって、蛍光の時間波形及び励起光の時間波形の、データ解析における相互の移動範囲を指定する初期位置及び終了位置を時間軸上で適切に設定しておけば、シフトを生じていないときの上記した蛍光の時間波形の位置が、その移動範囲内に必ず含まれることとなる。
【0014】
これに対して、本蛍光測定方法及び蛍光測定装置では、上記したように蛍光の時間波形または励起光の時間波形を、時間軸上で移動しつつ複数回のフィッティング計算を実行して、単一の蛍光の時間波形から複数の波形データを求めるとともに、フィッティングの計算結果の良否を判断する判断基準となる量などを選択基準として、複数の波形データから最適な測定波形データを選択する。これによって、蛍光の時間波形のシフト発生の有無にかかわらず、充分な正確さで効率的に波形データや各物理量などを算出することが可能となる。
【0015】
また、データ解析については、フィッティングを行うデータ範囲を指定する時間範囲(フィッティング範囲)を、時間軸に対してではなく蛍光の時間波形に対して固定の時間位置に設定している。そして、蛍光の時間波形を移動する場合には、そのフィッティング範囲を蛍光の時間波形とともに時間軸上で移動させて、それぞれのフィッティング計算を実行している。これによって、複数回実行されるフィッティング計算のそれぞれにおいて、常に最適な条件でフィッティング計算が行われる。
【0016】
なお、蛍光の時間波形または励起光の時間波形の移動範囲内での複数回のフィッティング計算については、波形データや物理量に要求される数値精度などに応じて、フィッティング計算を実行する時間軸上の移動間隔などを適宜設定することが好ましい。また、初期位置及び終了位置については、初期位置は、励起光ピークからの時間幅によって位置が指定される。一方、終了位置については、初期位置と同様に励起光ピークからの時間幅等によって設定しても良いし、フィッティング計算を実行するごとに上記した選択基準による判断を行って、選択する波形データが決まった時間位置を終了位置としてデータ解析を終了しても良い。
【0017】
また、蛍光測定方法(蛍光測定装置)は、データ処理ステップにおいて(データ処理手段は)、励起光の時間波形及び蛍光の時間波形のいずれか一方を時間軸上で固定の時間位置に配置するとともに、他方を時間軸に対して移動させることが好ましい。
【0018】
このように、一方の時間波形を固定とすることによって、上記した初期位置及び終了位置を他方の移動する時間波形に対して設定するなど、データ解析の手順が容易となる。具体的には、例えば、励起光の時間波形を時間軸上で固定の時間位置に配置し、蛍光の時間波形を、その蛍光ピークが励起光の時間波形の励起光ピークと略一致する時間位置よりも所定の時間幅だけ前の初期位置に配置した後、初期位置から、蛍光ピークが励起光ピークと略一致する時間位置よりも後の終了位置に向かって、蛍光の時間波形及びフィッティング範囲を時間軸に対してともに移動させていく方法などが可能である。
【0019】
また、蛍光測定方法(蛍光測定装置)は、データ処理ステップにおいて(データ処理手段は)、測定波形データに基づいて、蛍光寿命を求めることを特徴とする。
【0020】
これによって、測定された蛍光の時間波形から蛍光寿命を正確に算出することが可能な蛍光寿命測定方法及び装置が実現される。
【0021】
また、波形データの選択基準に関しては、データ処理ステップにおいて(データ処理手段は)、選択基準として、フィッティング計算のそれぞれで求められたχ2値を用い、χ2値が最小となったフィッティング計算で算出された波形データを、測定波形データとして選択することが好ましい。
【0022】
χ2値(カイ二乗値)は、このようなフィッティング計算において、実行されたフィッティングの計算結果の良否を示す指標として求められる数値であり、フィッティング条件が良いほど、1に近い小さい値(ただしχ2>1)となる。したがって、上記のようにχ2値が最小となる波形データを選択することによって、得られた複数の波形データから最適な波形データを最終的なデータとすることができる。また、このようにフィッティング計算から求まる数値を判断基準とすることによって、波形データの選択を含むデータ解析を、効率的に自動で実行することが可能となる。
【0023】
また、フィッティング範囲に関しては、データ処理ステップにおいて(データ処理手段は)、フィッティング範囲として、蛍光の時間波形の蛍光ピークを基準として設定された時間範囲を用いることが好ましい。
【0024】
フィッティング範囲は、上述したように蛍光の時間波形に対して固定に設定される。この範囲設定の基準として蛍光ピークを用いることによって、蛍光測定で得られた蛍光の時間波形のそれぞれに対して、フィッティング計算に用いる時間範囲を好適に設定することができる。
【0025】
蛍光ピークを基準とした時間範囲の具体的な指定方法としては、例えば、蛍光ピークの時間位置に対して所定の時間範囲(前後にそれぞれ所定の時間幅の範囲)をフィッティング範囲として設定する方法や、蛍光ピークの蛍光強度に対して、所定の%の強度範囲をフィッティング範囲として設定する方法などがある。
【0026】
さらに、励起ステップの前に、フィッティング範囲をあらかじめ設定する範囲設定ステップ(範囲設定手段)をさらに備えることが好ましい。
【0027】
これによって、好適なフィッティング範囲を事前に設定しておき、蛍光の時間波形を測定後は直ちにデータ解析を実行することが可能となる。また、例えば、同一の試料などに対して、複数回の蛍光測定を続けて行う場合には、最初の蛍光測定のとき、またはその前にフィッティング範囲の設定を行い、2回目以降の蛍光測定に対しては、既に設定されているフィッティング範囲をそのまま適用することができる。
【0028】
また、本発明による試料評価装置は、上記した蛍光測定装置と、蛍光測定装置のデータ処理手段において得られた測定波形データ、及びあらかじめ求められた標準波形データを比較して、試料の評価を行う試料評価手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
これによって、測定された蛍光の時間波形に時間軸上でのシフトを生じた場合でも、正確かつ効率的に試料の評価を行うことが可能な試料評価装置が実現される。特に、半導体ウエハの評価装置などにおいては、試料(半導体ウエハ)の各部位を対象として多数回の蛍光測定が繰り返して実行される。このような場合においても、上記した蛍光測定装置を適用すれば、各蛍光測定間で生じる測定条件の変動による蛍光の時間波形のシフトの影響を、極力抑制することができる。
【0030】
なお、試料評価装置の評価対象となる試料については、上記した半導体ウエハの品質評価以外にも、創薬におけるマススクリーニングなど、様々な試料評価に対して、上記した構成の試料評価装置を適用することが可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による蛍光測定方法、蛍光測定装置、及びそれを用いた試料評価装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0032】
図1は、本発明による蛍光測定装置の一実施形態を示す構成図である。本蛍光測定装置は、試料保持手段2によって保持されている試料Sに対して励起光を照射する励起光源1と、励起光によって励起された試料Sから放出される蛍光を検出する光検出器5と、励起光源1及び光検出器5を駆動制御する制御装置6と、を備えて構成されている。なお、図1においては、試料Sの例として、試料保持手段2として設置された試料セル内に保持されたガス状などの試料Sを示してある。
【0033】
励起光源1としては、所定の波長及び時間幅を有するパルス状の光を励起光として供給可能なパルス光源が用いられる。また、光検出器5としては、時間波形を得るための時間分解測定が可能なものとして、例えば光電子増倍管(PMT)や、ストリークカメラなどの光検出器が用いられる。
【0034】
試料Sを保持している試料保持手段2と、光検出器5との間には、集光光学系3及び分光器4が設置されている。集光光学系3はレンズ等の必要な光学要素を有して構成され、励起光源1から照射された励起光によって励起された試料S中の励起部位において発生されて、各方向に放出された蛍光を光検出器5に向けて集光及び集束させる。
【0035】
また、分光器4は、光検出器5で検出される光成分について、所定波長域の光成分を選択して光検出器5へと入射させる波長選択手段として設置されている。なお、このような波長選択手段としては、分光器の他にも、波長選択フィルタなどを用いることも可能である。また、分光器4または波長選択フィルタなどの波長選択手段によって選択する光の波長域については、光検出器5で検出しようとする蛍光、または励起光の波長を含む波長域に適宜設定または変更される。
【0036】
蛍光測定装置の各部の動作制御等を行う制御装置6は、駆動制御部61、データ処理部62、及び範囲設定部63を有して構成されている。このような制御装置6としては、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などが用いられ、制御用ソフトウェアやデータ処理用ソフトウェアなどを起動することによって、制御装置6として必要な各機能が実現される。
【0037】
励起光源1、分光器4、及び光検出器5は、この制御装置6の駆動制御部61から与えられるクロック信号やその他の制御信号に基づいて駆動される。これによって、所定のクロック時間間隔で励起光源1から供給されるパルス状の励起光に対して、それぞれの励起光パルスの照射によって試料Sから放出される蛍光及びその時間変化が、光検出器5によって検出される。検出された蛍光による蛍光検出データは、検出信号によって制御装置6に入力される。
【0038】
データ処理部62は、駆動制御部61からのクロック信号などによるデータ解析の指示に基づいて、光検出器5から入力された検出信号に対して、必要な信号処理やデータ解析などのデータ処理を実行する。蛍光検出データに対するデータ解析では、まず、該当する励起光パルスに起因して、試料Sから放出され光検出器5によって検出された蛍光について、その蛍光強度の時間変化を示す蛍光の時間波形を求める。
【0039】
そして、得られた蛍光の時間波形に対して、時間波形を所定の曲線(関数系)等でフィッティングするフィッティング計算を含むデータ解析を行って、波形データや必要な物理量などを算出する。算出される波形データ及び物理量としては、例えば、時間波形の曲線形状を決める各パラメータ、蛍光成分の蛍光寿命、蛍光強度などの物理量がある。また、範囲設定部63は、データ処理部62でのフィッティング計算に用いられるフィッティングの時間範囲(以下、フィッティング範囲という)の設定を行う。ここで、データ解析の具体的な方法や、フィッティング範囲の設定などについては、後述する。
【0040】
なお、制御装置6には、必要に応じて、データ処理部62で得られた蛍光の時間波形や、算出された波形データ、蛍光寿命等を表示するための表示装置7(図1参照)を接続しておくことが好ましい。
【0041】
以上の構成において、励起光源1からパルス状の励起光が供給されて試料Sに照射されると(励起ステップ)、励起された試料Sから蛍光が放出され、集光光学系3及び分光器4を介して光検出器5によって検出される(光検出ステップ)。そして、制御装置6のデータ処理部62において、測定された蛍光の時間波形に対してデータ解析が行われて、波形データ等が算出される(データ処理ステップ)。
【0042】
以下、図1に示した蛍光測定装置における蛍光測定方法について、そのデータ解析方法(データ処理方法)を示しつつ具体的に説明する。
【0043】
最初に、励起光パルス照射後の蛍光測定によって得られる蛍光の時間波形について説明する。
【0044】
図2は、励起光源1から試料Sに照射される励起光の時間波形、及び励起光パルスの照射後に試料Sから放出される蛍光の時間波形について、その一例を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸はデータ解析に用いる時間軸(ns)、縦軸は励起光または蛍光の検出数(counts、検出強度)を示している。ただし、蛍光強度に相当する縦軸の検出数については、蛍光崩壊の時間波形が指数関数的であることに対応して、logスケールで示してある。また、横軸の時間軸は、蛍光または励起光の測定時における経過時間に対応している。
【0045】
ここで、蛍光の時間波形に加えて図2で示されている励起光の時間波形は、以下に述べるように、蛍光の時間波形のデータ解析において参照されるものである。この励起光の時間波形は、測定系の構成の相違によって発生する時間波形への影響を避けるため、通常は同一の測定系、すなわち同一の光学系及び光検出器等を用いて測定される。
【0046】
図1に示した構成においては、例えば、蛍光測定の対象となる試料Sの代わりに、蛍光を発生しない散乱体を試料保持手段2に保持させることによって、集光光学系3及び分光器4を介して光検出器5で励起光測定を行うことができる。あるいは、励起光の一部を光検出器へと導光するための光学系を別に設置しても良い。なお、分光器4(または波長選択フィルタなど)による波長選択については、励起光と蛍光とでは波長が異なるので、選択する波長域を変更して励起光測定を行う必要がある。
【0047】
パルス状の励起光によって試料が励起された場合、試料から放出される蛍光の蛍光強度は、励起光照射後の時間経過とともに減衰していく蛍光崩壊の時間変化を示す。この時間変化による蛍光の時間波形は、励起光パルスの時間幅が無視できる場合には、指数関数的な蛍光崩壊の時間波形となる。そして、その指数関数の崩壊曲線での振幅及び減衰定数から、試料で励起された蛍光の蛍光強度及び蛍光寿命を算出することができる。
【0048】
一方、蛍光測定装置で実際に測定される蛍光の時間波形においては、装置応答に起因する時間波形の影響があるため、理想的な崩壊曲線からある程度変形された蛍光の時間波形が測定される。すなわち、蛍光の時間変化自体に起因する上記した指数関数的な蛍光崩壊の時間波形に対して、励起光の有限なパルス時間幅や光路による時間ずれなどによって決まる励起光の時間波形が畳み込まれた(コンボリューションされた)状態で、蛍光の時間波形が得られる。
【0049】
図2に示した各時間波形の例においては、励起光の時間波形Eは、数ns程度の無視できないパルス時間幅を有する励起光パルスの時間波形を示している。これに対して、蛍光の時間波形Fは、このような励起光の時間波形Eがコンボリューションされるため、励起光の供給の開始とともに蛍光強度が立ち上がって検出数が増加していき、ある時点で蛍光強度がピークになった後(以下、蛍光ピークという)、ほぼ指数関数的(logスケールでは直線的)に蛍光強度が減衰していく時間波形となっている。なお、時間軸上における蛍光ピークの時間位置は、図2に示すように、励起光の時間波形における励起光強度のピーク(以下、励起光ピークという)の時間位置またはそれよりも後の時間位置となる。
【0050】
次に、蛍光の時間波形から波形データや蛍光寿命等を算出するためのデータ解析方法について説明する。
【0051】
上記のように励起光の時間波形Eが畳み込まれた蛍光の時間波形Fに対してデータ解析を行って、波形データや蛍光寿命などの情報を取得するためには、励起光の時間波形Eと、適当な関数系(例えば指数関数)及びパラメータ(例えば振幅及び減衰定数)によって仮定された蛍光崩壊の時間波形とを用いて、デコンボリューションによるフィッティング計算を含むデータ解析を行う必要がある。
【0052】
このデータ解析では、フィッティング計算(デコンボリューション演算)によって、蛍光の時間波形Fにコンボリューションされている励起光の時間波形Eの成分が分離されて、蛍光崩壊の時間波形が抽出される。そして、この蛍光崩壊の時間波形に対するフィッティング計算の計算結果によって、振幅及び減衰定数などの波形データ、あるいはさらに蛍光強度及び蛍光寿命などの物理量が算出される。
【0053】
蛍光の時間波形Fに対して実行される上記のフィッティング計算は、測定された蛍光の時間波形Fのうちで、フィッティング計算に用いる検出データを指定する時間範囲であるフィッティング範囲を時間軸上で設定して実行される。図2においては、このようなフィッティング範囲の例として、蛍光の時間波形Fに対して設定された時間範囲Rtが図示されている。
【0054】
ここで、デコンボリューションに用いる励起光の時間波形の測定時から蛍光測定までの時間経過や、蛍光測定を複数回繰り返して行う必要がある場合における測定実行中の時間経過などに伴って、測定中に蛍光測定装置の動作状態が変化(ドリフト)していくことがある。このとき、装置状態の変化に起因する蛍光の時間波形の、それぞれの蛍光測定間での変動が、データ解析上問題となる。
【0055】
例えば、励起光源1としてパルスレーザ光源を用いた場合、その発振タイミングは、制御装置6の駆動制御部61から与えられる同期駆動用のクロック信号のタイミングに対して、ある程度の時間範囲で変化することがある。この場合、試料Sへの励起光の照射タイミングが、クロック信号のタイミングに対してずれてしまうので、励起光パルスの照射によって発生される蛍光についても、その時間波形の時間軸上での時間位置がシフトしてしまう。
【0056】
図3に、このような蛍光の時間波形のシフトが発生した場合の励起光及び蛍光の時間波形が示されている。励起光の時間波形Eは、それぞれの蛍光測定に対して行われる蛍光の時間波形Fのデータ解析において、時間波形のシフトがない場合に蛍光の時間波形Fと対応した時間位置となる(図2参照)ように、フィッティング計算に用いる時間軸に対して固定の時間位置に配置される。ここで、図3に示すように、蛍光の時間波形Fが時間軸上の前後いずれかにシフトして測定されると、励起光の時間波形Eと蛍光の時間波形Fとが時間軸上でずれてしまい、デコンボリューション演算が正しく行えなくなる。また、フィッティング範囲Rtが時間軸に対して固定の時間範囲に設定されていると、同様にフィッティング範囲Rtと蛍光の時間波形Fとがずれてしまうので、フィッティング計算の実行上問題がある。
【0057】
これに対して、図1に示した実施形態の蛍光測定装置、及びそれによる蛍光測定方法においては、蛍光の時間波形F及びフィッティング範囲Rtを、時間軸に対してともに移動させつつ、データ解析のフィッティング計算を複数回、それぞれ異なる時間位置で順次実行する。そして、フィッティング計算のそれぞれで算出された複数の波形データから、最適な波形データを最終的な測定波形データとして選択することによって、上記した蛍光の時間波形Fのシフトなど、個々の蛍光測定における時間波形の変動の影響が極力抑制されるデータ解析を実現している。
【0058】
図4は、図1に示した蛍光測定装置を用いた蛍光測定方法におけるデータ解析方法について説明するための模式図である。ここで、図4(a)〜(d)に示した模式的なグラフは、それぞれ、横軸はデータ解析の時間軸t(測定の時間経過に対応)を示し、縦軸は励起光及び蛍光の検出数(励起光強度及び蛍光強度に対応)をlogスケールで示している。
【0059】
なお、図4においては、説明及び図示の簡単のため、励起光の時間波形Eをパルス時間幅を無視したパルス状の波形によって、また、蛍光の時間波形Fを立ち上がり及び減衰がそれぞれlogスケールで直線となる三角形状の波形によって示している。また、励起光の時間波形Eについて、時間軸上での励起光ピークの固定された時間位置をt0とする。
【0060】
図4(a)は、蛍光の時間波形Fが、フィッティング計算に用いる時間軸と、時間軸に対して固定に配置されている励起光の時間波形Eとに対して、時間軸の+方向(正方向)にシフトして測定された状態を示している。このとき、データ解析でのフィッティング計算に用いるフィッティング範囲を、時間軸に対して固定された時間範囲R0(点線)とすると、時間波形のシフトによって蛍光の時間波形Fがフィッティング範囲R0から外れてしまい、フィッティング計算の結果として正しい波形データや物理量を得ることができなくなる。
【0061】
これに対して、本実施形態の蛍光測定方法においては、図4(a)に示した時間範囲Rt(実線)のように、時間軸ではなく、蛍光の時間波形Fに対して固定された時間範囲として、フィッティング範囲を設定する。なお、このフィッティング範囲Rtは、制御装置6の範囲設定部63(図1参照)において、最初の蛍光測定、または、本測定に先立って行われる予備的な蛍光測定での蛍光の時間波形などを用いて、自動または操作者の手動で設定される(範囲設定ステップ)。
【0062】
次に、図4(a)のように励起光の時間波形Eに対してシフトした時間位置で測定された蛍光の時間波形Fを、励起光ピーク及び蛍光ピークの時間位置が略一致するように移動する(図4(b))。さらに、この励起光ピークに略一致する時間位置t0よりも所定の時間幅だけ前の初期位置t1(t1<t0)に蛍光ピークが位置するように、蛍光の時間波形Fを移動して配置する(図4(c))。
【0063】
上記した初期位置t1は、データ解析において実行される複数回のフィッティング計算の開始位置となる時間位置である。そして、励起光ピークの時間位置t0よりも前の初期位置t1から、時間位置t0よりも後の終了位置t2(t2>t0)に向かって、蛍光の時間波形Fを移動していく(図4(d))。
【0064】
このとき、初期位置t1から、蛍光の時間波形Fを所定の移動時間間隔で、+方向に順次移動していくとともに、移動した各時間位置においてフィッティング計算を行って、波形データを算出する。このとき、フィッティング範囲Rtは、上記したように蛍光の時間波形Fに対して固定の時間範囲として設定しているので、蛍光の時間波形Fとともに時間軸に対して移動させる。
【0065】
そして、各時間位置で実行された複数回のフィッティング計算のそれぞれで算出された波形データのうちで、所定の選択基準によって最適なものとして選択された波形データを、この蛍光の時間波形Fに対する最終的な測定波形データとして採用する。波形データの選択基準としては、実行されたフィッティングの計算結果の良否を判断する判断基準となる量などを用い、最も良いフィッティング計算の結果を選択して最終的な測定波形データ、あるいはさらに蛍光寿命などの物理量を算出する。
【0066】
上記した蛍光測定装置及び蛍光測定方法によれば、複数回のフィッティング計算の実行時における蛍光の時間波形の移動範囲を指定する初期位置t1及び終了位置t2を、時間軸上で適切に配置しておくことによって、時間波形にシフトがない場合の蛍光の時間波形Fの時間位置が、その移動範囲内に必ず含まれることとなる。そして、その移動範囲内で、蛍光の時間波形Fを移動しつつ複数回のフィッティング計算を実行して、単一の蛍光の時間波形Fから複数の波形データを求めるとともに、所定の選択基準によって、複数の波形データから最適な測定波形データを選択する。このとき、蛍光の時間波形におけるシフトの発生の有無にかかわらず、常に、充分な正確さ及び数値精度によって、波形データ、及び蛍光寿命などの物理量等を効率的に算出することが可能となる。
【0067】
また、複数回のフィッティング計算のそれぞれに対して適用するフィッティング範囲Rtについて、時間軸ではなく蛍光の時間波形Fに固定の時間範囲として設定するとともに、蛍光の時間波形Fの移動とともにフィッティング範囲Rtを移動させて、各時間位置でのフィッティング計算を行っている(図4(c)及び(d)参照)。これによって、各フィッティング計算を好適な条件で実行することができる。
【0068】
ここで、初期位置t1から終了位置t2までの間での、蛍光の時間波形Fの移動については、波形データや蛍光寿命などの求めようとしている量に対して要求されている数値精度が得られるように、時間軸上での移動時間間隔を適宜設定し、その移動間隔で移動された各時間位置でフィッティング計算を実行していくことが好ましい。このように移動時間間隔を設定しておくことによって、算出される各数値の精度向上と、フィッティング計算を含むデータ解析の効率化とが両立される。具体的な移動時間間隔の設定としては、例えば、時間波形のデータが複数チャンネルにデジタル化されていれば、蛍光の時間波形Fを1ch(チャンネル)または複数chずつ移動させて、それぞれフィッティング計算を実行していく方法がある。
【0069】
また、初期位置t1及び終了位置t2については、初期位置t1は、あらかじめ設定された励起光ピークの時間位置t0からの時間幅によって指定される。一方、終了位置t2については、初期位置t1と同様に時間位置t0からの時間幅等によって設定しても良いし、フィッティング計算を実行するごとに上記した選択基準による判断を行って、選択する波形データが決まった時間位置を終了位置としてデータ解析を終了しても良い。
【0070】
蛍光の時間波形Fに対して適用するフィッティング範囲Rtについては、制御装置6の範囲設定部63においてあらかじめ設定しておくことが好ましい。範囲設定部63におけるフィッティング範囲の設定の具体的な方法としては、例えば、最初の蛍光測定または予備的な蛍光測定で得られた蛍光の時間波形から自動で設定する方法がある。あるいは、その蛍光の時間波形を表示装置7に表示するとともに、操作者によるマウスカーソルの操作などを用いて手動で設定する方法がある。
【0071】
また、フィッティング範囲Rtを蛍光の時間波形Fに対して固定の時間範囲に設定する方法としては、蛍光の時間波形Fの蛍光ピークの時間軸上の時間位置によって蛍光の時間波形を特定するとともに、この蛍光ピークを基準としてフィッティング範囲を設定する構成がある。これによって、それぞれの測定で得られた蛍光の時間波形に対してそれぞれ好適なフィッティング範囲を設定することができる。
【0072】
具体的なフィッティング範囲としては、蛍光の検出数が少なく、統計的なばらつきやノイズの影響を受けやすい時間波形の立ち上がり、減衰の端部(時間波形の両端部)を除くように、時間範囲を設定することが好ましい。より具体的には、例えば、蛍光ピークの蛍光強度を基準蛍光強度とし、この基準蛍光強度に対する蛍光強度の%で一定の範囲(例えば20%以上)によって、フィッティング範囲の始点及び終点を設定する方法がある。あるいは、蛍光ピークの時間軸上の位置を基準時間位置として用い、この基準時間位置に対して決められる所定の時間範囲によって、フィッティング範囲の始点及び終点を設定する方法がある。
【0073】
ここで、このようなフィッティング範囲は、その始点及び終点がいずれも蛍光ピークよりも後の減衰波形内となるように設定しても良いし、始点が蛍光ピークよりも前の立ち上がり波形内、終点が蛍光ピークよりも後の減衰波形内となるように設定しても良い。
【0074】
また、複数回のフィッティング計算のそれぞれで算出される波形データから、最終的な測定波形データを選択するための選択基準としては、フィッティング計算において求められたχ2値を用いることが好ましい。この選択方法について、図5に示したグラフを用いて説明する。図5は、初期位置t1から終了位置t2までの間で複数回行われるフィッティング計算のそれぞれで得られるχ2値の変化について示す模式図であり、横軸は蛍光の時間波形Fの移動した時間位置、縦軸は各時間位置でのフィッティング計算で得られたχ2値を示している。
【0075】
χ2値(カイ二乗値)は、このようなフィッティング計算に用いられる非線型最小二乗法などの近似計算方法において、実行された各フィッティングの計算結果の良否を判断する指標として求められる数値であり、フィッティング条件が良いほど、1に近い小さい値(ただしχ2>1)となる。すなわち、上記したデータ解析方法では、時間位置t0より前の初期位置t1からフィッティング計算を開始すると、蛍光の時間波形Fの時間位置を+方向に移動していくにつれて、χ2値が小さくなっていく。そして、励起光ピークの時間位置またはそれよりも後の時間位置である時間位置tcにおいてχ2値が最小になった後、終了位置t2に向かってχ2値が再び増大していく。
【0076】
このとき、χ2値が最小となったフィッティング計算で算出された波形データ、図5においては時間位置tcでのフィッティング計算によって算出された波形データを最終的な測定波形データとして選択することによって、複数の波形データから最適な測定波形データを選択することが可能となる。また、このようにフィッティング計算から求まる数値であるχ2値を判断基準として用いることによって、波形データの選択を含むデータ解析を、効率的に自動で実行することが可能となる。
【0077】
図6は、フィッティング計算で得られるχ2値を、波形データの選択基準として用いた場合のデータ解析方法の一例について示すフローチャートである。
【0078】
このデータ解析方法においては、まず、蛍光の時間波形Fに対し、蛍光ピークを基準とした蛍光強度%範囲または時間範囲などによって、フィッティング範囲を設定する(ステップS101)。次に、測定によって得られた蛍光の時間波形Fを、蛍光ピークが励起光ピークに略一致する時間位置t0まで時間軸上で移動し、さらに、所定の時間幅だけ−方向に移動して、初期位置t1に蛍光の時間波形Fを配置する(S102)。そして、この初期位置t1において、上記のフィッティング範囲を適用し最初のフィッティング計算を実行して(S103)、1番目の波形データ及びχ2値を算出する。
【0079】
続いて、初期位置t1から終了位置t2の間での、複数回のフィッティング計算の実行を開始する。すなわち、蛍光の時間波形Fを、終了位置t2に向かって+方向に所定の移動時間間隔(例えば+1ch分)だけ移動し(S104)、移動された時間位置で次のフィッティング計算を実行する(S105)。次に、今回のフィッティング計算で求めらられたχ2値を、前回のフィッティング計算でのχ2値と比較する(S106)。
【0080】
ここで、今回のχ2値が前回のχ2値以下であれば、χ2値はまだ最小値に到達していないので(図5参照)、再び蛍光の時間波形Fの移動(S104)及びフィッティング計算(S105)を繰り返す。一方、今回のχ2値が前回のχ2値よりも大きければ、前回のχ2値が複数回のフィッティング計算のそれぞれで得られるχ2値の最小値である。したがって、この場合には、複数回のフィッティング計算を終了して、前回(例えば−1ch)の蛍光の時間波形Fの時間位置におけるフィッティング計算で算出された波形データを、最終的な測定波形データとして選択する(S107)。
【0081】
以上のデータ解析方法によって、各蛍光測定で得られた蛍光の時間波形に対して、蛍光の時間波形におけるシフトの発生の有無にかかわらず、充分な正確さ及びデータ解析の効率を両立しつつ、波形データ、及び蛍光寿命などの物理量を算出することができる。
【0082】
上記した蛍光測定装置及び蛍光測定方法は、様々な試料に対して品質等の評価を行う試料評価装置に適用することが可能である。
【0083】
近年、半導体ウエハの結晶品質の評価などに対して、蛍光測定装置(蛍光寿命測定装置)の適用が進められている。半導体ウエハの評価においては、製品に使用する半導体ウエハの結晶品質のウエハ内での分布をあらかじめ測定によって評価しておくことが、歩留まり向上のために必要とされる。このような品質評価に蛍光測定装置を用いる場合、評価対象である半導体ウエハを試料とした蛍光測定によって蛍光寿命や蛍光強度を求めるとともに、標準試料(サンプル)での蛍光寿命や蛍光強度との比較を行って、半導体ウエハの各部位での結晶品質を評価する。
【0084】
図7は、本発明による蛍光測定装置を用いた試料評価装置の一実施形態を示す構成図である。本実施形態においては、評価の対象となる試料S(例えば半導体ウエハ)は、試料保持手段2である試料保持台2a上に載置された状態で保持されている。
【0085】
励起光源1は、試料保持台2a上に保持された試料Sの上方に設置されており、励起光源1から供給される励起光パルスは、レンズ11を通過し、さらに、集光光学系3を構成しているハーフミラー32、レンズ31を通過して、試料Sの評価する部位である試料S上の所定の照射位置へと照射される。また、励起光パルスによって励起された試料S上の部位からの蛍光は、レンズ31、ハーフミラー32、可変光減衰器33、及びレンズ34からなる集光光学系3、及び分光器4(または波長選択フィルタなどの波長選択手段)を介して、光検出器5へと入射される。ここで、可変光減衰器33は、励起光測定時や蛍光測定時において、光量調整のために必要に応じて光減衰を設定して使用される。
【0086】
制御装置6は、駆動制御部61、データ処理部62、及び範囲設定部63に加えて、蛍光測定の結果を参照して試料の評価を行うための試料評価部64を有して構成されている。駆動制御部61、データ処理部62、及び範囲設定部63の機能及び動作等については、図1に示した蛍光測定装置と同様である。
【0087】
一方、試料評価部64は、データ処理部62において行われた複数回のフィッティング計算を含むデータ解析で得られた測定波形データを、あらかじめ求められた標準波形データと比較する。そして、そのデータ比較結果から、試料Sの評価部位の品質などについて評価を行う。
【0088】
図8は、図7に示した試料評価装置を用いた試料評価方法の一例について示すフローチャートである。図8に示した試料評価方法は、半導体ウエハの各部位に対する品質評価などのように、試料保持台2aを可動ステージとして試料SをX−Y方向に移動しつつ、試料S上の各部位に対して順次励起光源1からの励起光パルスを照射して、蛍光測定による評価を行う場合の評価方法を示している。
【0089】
この試料評価方法においては、まず、データ解析でのフィッティング計算に用いる励起光の時間波形の測定を行う(ステップS201)。ここで、励起光の波長は測定対象となる蛍光の波長とは異なるので、分光器4(または波長選択フィルタ)の選択波長域を、励起光波長に切り換えてセットする。
【0090】
励起光の測定は、図1の蛍光測定装置に関して上述したように、試料保持台2a上に、試料Sの代わりとして蛍光を発生しない散乱体を載置させることによって行うことができる。このとき、光検出器5へと入射される励起光の光量については、集光光学系3に設置されている可変光減衰器33によって調整することができる。
【0091】
次に、分光器4(または波長選択フィルタ)の選択波長域を、蛍光波長に切り換えてセットするとともに、試料保持台2a上に試料評価の基準となる標準試料を載置して、標準試料での蛍光の時間波形を測定する(S202)。また、あらかじめ標準試料での蛍光の時間波形が測定されて用意されているのであれば、標準試料での蛍光測定を行わずに、直接その時間波形のデータを読み出して使用しても良い。
【0092】
標準試料での蛍光の時間波形が得られたら、その時間波形を参照して、フィッティング範囲の設定を行う(S203)。フィッティング範囲の具体的な設定方法としては、例えば、標準試料での蛍光の時間波形を制御装置6に接続された表示装置7に表示するとともに、マウスカーソルの操作などによって、操作者にフィッティング範囲の始点及び終点を指示させる。そして、制御装置6の範囲設定部63では、指示された始点及び終点に基づいて、以下の蛍光の本測定に対して適用するフィッティング範囲を設定する。具体的には、蛍光ピークでの蛍光強度に対する強度%範囲、または蛍光ピークの時間位置に対する時間範囲によって、フィッティング範囲が蛍光の時間波形に対して固定に設定される。
【0093】
次に、設定されたフィッティング範囲を適用して、標準試料での蛍光の時間波形に対して上記したデータ解析方法での複数回のフィッティング計算を含むデータ解析を行い、標準波形データ、及びそれによる蛍光寿命、蛍光強度を算出する(S204)。ただし、この標準波形データの算出においては、蛍光の時間波形がシフトしていなければ、1回のフィッティング計算のみとしても良い。
【0094】
標準波形データが得られたら、評価対象となる測定試料Sを、可動ステージである試料保持台2a上の所定位置に設置して、蛍光測定による試料評価を開始する。
【0095】
まず、試料保持台2aを駆動して、測定試料Sの所定部位に励起光源1からの励起光パルスが照射されるように測定試料Sを移動し(S205)、励起光源1から励起光パルスを供給して、測定試料Sでの蛍光の時間波形を測定する(S206)。そして、上記のフィッティング範囲での複数回のフィッティング計算を適用して、得られた蛍光の時間波形に対してデータ解析を行い、測定波形データ、及びそれによる蛍光寿命、蛍光強度を算出する(S207)。
【0096】
続いて、試料評価部64において、測定試料Sに対して算出された測定波形データを、先に標準試料に対して求めた標準波形データと比較して、測定試料Sの評価部位に対して評価を行って、品質の良否等を判断する(S208)。測定波形データ及び標準波形データの比較については、波形データ同士で比較しても良いし、あるいは、蛍光寿命及び蛍光強度の数値で比較しても良い。
【0097】
試料評価が終了したら、評価が必要な測定試料Sの全評価部位について蛍光測定及び試料評価を実行したかどうかを調べ(S209)、実行されていれば、その測定試料Sに対する全ての蛍光測定及び試料評価を終了する。まだ測定及び評価が実行されていない評価部位があれば、さらに測定試料Sを移動して(S205)、測定、算出、及び評価(S206、S207、S208)を繰り返して実行する。
【0098】
このような試料評価装置によれば、蛍光の時間波形にシフトを生じた場合でも正確かつ効率的に試料の評価を行うことが可能な試料評価装置が実現される。特に、半導体ウエハの評価装置などにおいては、試料(半導体ウエハ)の各部位を対象として多数回の蛍光測定が繰り返して実行される。このような場合においても、上記した蛍光測定装置を適用すれば、各蛍光測定間で生じる時間波形のシフトの影響を極力抑制することができる。
【0099】
すなわち、時間の経過に伴う蛍光の時間波形のシフトの影響を低減するため、複数回実行される蛍光測定のそれぞれの前に、励起光の時間波形を測定することも可能である。しかし、このように毎回励起光の測定を行うと、試料評価に要する時間が長くなってしまう。特に、半導体ウエハ等の品質をより詳細に評価するためには、高分解能、高スループットでの自動評価が要求されるが、このとき、半導体ウエハの全面に対する評価部位は非常に多点となり、試料評価のための測定時間が増大してしまう。
【0100】
これに対して、上記した試料評価装置では、最初に励起光の時間波形を測定した後、試料上の各部位に対する蛍光測定のみを繰り返して実行した場合においても、その測定中に発生した時間波形のシフトの影響を、複数回のフィッティング計算によるデータ解析を適用することによって極力抑制することが可能である。したがって、試料上の各部位に対する評価を、正確かつ効率的に、短時間で実行することができる。特に、フィッティング範囲や、複数回のフィッティング計算を開始する初期位置などの必要な条件をあらかじめ設定しているので、測定試料Sの各部位に対する蛍光測定、データ解析、試料評価については、すべて自動で実行することが可能である。
【0101】
本発明による蛍光測定方法及び蛍光測定装置は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、図1に示した装置構成での集光光学系3及び波長選択手段(分光器4)などについては、測定対象となる試料Sの種類、蛍光の波長や、励起光源1及び光検出器5の位置関係などに応じて、それぞれ好適な構成とすることが好ましい。また、駆動制御部及びデータ処理部については、図1及び図7に示した実施形態においては同一の制御装置6に設ける構成となっているが、別々の駆動制御装置及びデータ処理装置として設置しても良い。
【0102】
また、励起光及び蛍光の測定については、蛍光測定を行った後に励起光を測定し、それぞれの時間波形に対して上記したデータ解析を行っても良い。また、図8のフローチャートでは、最初に標準試料で蛍光測定を行っているが、標準試料を用いずに、測定試料での最初の蛍光測定で得られた蛍光の時間波形からフィッティング範囲の設定等を行うことも可能である。
【0103】
さらに、蛍光の時間波形及び励起光の時間波形の時間軸上での配置及び移動については、励起光の時間波形を時間軸上で固定の時間位置に配置し、蛍光の時間波形を初期位置から終了位置へと移動しつつフィッティング計算を実行する上記した方法に限らず、様々なデータ解析方法を適用することが可能である。
【0104】
すなわち、より一般的には、励起光の時間波形及び蛍光の時間波形を、時間軸上に、蛍光の時間波形の蛍光ピークが励起光の時間波形の励起光ピークと略一致する時間位置よりも所定の時間幅だけ前または後の初期位置となるようにそれぞれ配置した後、初期位置から、蛍光ピークが励起光ピークと略一致する時間位置を挟んで時間軸上で反対側となる終了位置に向かって、蛍光の時間波形及びフィッテイング範囲、または励起光の時間波形を時間軸に対して移動させていくことによって、蛍光の時間波形のシフト発生の有無にかかわらず、正確かつ効率的に波形データや各物理量などを算出することが可能な蛍光測定方法及び蛍光測定装置が得られる。
【0105】
例えば、上記した実施形態においては、図4に示すように、蛍光の時間波形Fを励起光ピークよりも前の初期位置t1に配置した後(図4(c))、励起光ピークよりも後の終了位置t2(図4(d))に向かって蛍光の時間波形Fを移動しつつ、フィッティング計算を行っている。これに対して、図4(d)に示すような励起光ピークよりも後の時間位置を蛍光の時間波形の初期位置とし、励起光ピークよりも前の終了位置に向かって移動していくデータ解析方法としても良い。また、蛍光の時間波形Fを時間軸に対して固定に配置し、励起光の時間波形Eの方を初期位置から終了位置まで同様に移動していくことも可能である。
【0106】
ただし、励起光の時間波形E及び蛍光の時間波形Fのいずれか一方を時間軸上で固定の時間位置に配置するとともに、他方を時間軸に対して移動させることが、データ解析の手順を容易化する上で好ましい。
【0107】
また、試料評価装置についても、同様に様々な変形が可能である。例えば、図8に示したフローチャートにおいて、蛍光の時間波形を測定したときに(S206)、試料の蛍光に退色がある場合には、データ解析(S207)及び試料評価(S208)を行わないようにしても良い。
【0108】
また、評価対象となる試料としては、半導体ウエハの品質評価を例として挙げたが、それ以外にも様々な試料に対する評価に適用することが可能である。例えば、創薬の過程で、マイクロタイタープレート等を試料として行われるマススクリーニング、ドラッグスクリーニング等においても、蛍光寿命測定や時間分解蛍光異方性測定などが、有効な評価手段として考えられている。この場合にも、高スループットでの自動評価が要求されることは半導体ウエハと同様であり、図7の試料評価装置及び図8のフローチャートなどを適用することによって、効率的な試料評価が可能となる。
【0109】
【発明の効果】
本発明による蛍光測定方法、蛍光測定装置、及びそれを用いた試料評価装置は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、蛍光寿命等を求めるためのデータ解析に用いる時間軸に対して、励起光の時間波形及び蛍光の時間波形を、それぞれ所定の時間位置に配置するとともに、蛍光の時間波形及びフィッティング範囲、または励起光の時間波形を、蛍光ピークが励起光ピークよりも所定の時間幅だけ前または後の初期位置から、反対側の終了位置へと移動しつつ、複数回のフィッティング計算を行っていく。そして、フィッティング計算で得られるχ2値などの選択基準によって、複数求められた波形データから最適な測定波形データを選択する。
【0110】
これによって、蛍光の時間波形のシフト発生の有無にかかわらず、充分な正確さで効率的に波形データや蛍光寿命などの物理量を算出することが可能となる。このような蛍光測定装置及び試料評価装置によれば、特に半導体ウエハの品質評価や創薬スクリーニングなど多数回の蛍光測定を行う場合に、測定または評価に要する時間を大幅に短縮することができる。さらに、この測定及び評価の効率化によって、半導体ウエハ評価や創薬スクリーニング以外の試料評価に対しても、広い範囲での応用が可能となると期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光測定装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】励起光及び蛍光の時間波形の一例を示すグラフである。
【図3】励起光及び蛍光の時間波形の他の例を示すグラフである。
【図4】図1に示した蛍光測定装置におけるデータ解析方法について説明するための模式図である。
【図5】複数の波形データからの測定波形データの選択について示す模式図である。
【図6】図1に示した蛍光測定装置における蛍光測定方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】試料評価装置の一実施形態を示す構成図である。
【図8】図7に示した試料評価装置における試料評価方法の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…励起光源、2…試料保持手段、2a…試料保持台、3…集光光学系、4…分光器、5…光検出器、6…制御装置、61…駆動制御部、62…データ処理部、63…範囲設定部、64…試料評価部、7…表示装置。

Claims (13)

  1. パルス状の励起光を試料に照射する励起ステップと、
    前記励起光によって励起された前記試料から放出される蛍光を検出する光検出ステップと、
    前記光検出ステップで検出される蛍光の時間波形について、前記蛍光の時間波形に対して固定に設定された所定の時間範囲であるフィッティング範囲でのフィッティング計算を含むデータ解析を行って、波形データを算出するデータ処理ステップと、を備え、
    前記データ処理ステップにおいて、
    あらかじめ求められた励起光の時間波形、及び前記蛍光の時間波形を、前記フィッティング計算に用いる時間軸上に、前記蛍光の時間波形の蛍光ピークが前記励起光の時間波形の励起光ピークと略一致する時間位置よりも所定の時間幅だけ前または後の初期位置となるようにそれぞれ配置した後、
    前記初期位置から、前記蛍光ピークが前記励起光ピークと略一致する時間位置を挟んで前記時間軸上で反対側となる終了位置に向かって、前記蛍光の時間波形及び前記フィッテイング範囲、または前記励起光の時間波形を前記時間軸に対して移動させつつ、複数の異なる時間位置において、前記励起光の時間波形を参照して前記フィッティング計算をそれぞれ実行するとともに、
    前記フィッティング計算のそれぞれで算出された複数の前記波形データのうち、所定の選択基準によって選択された前記波形データを、最終的な測定波形データとすることを特徴とする蛍光測定方法。
  2. 前記データ処理ステップにおいて、
    前記励起光の時間波形及び前記蛍光の時間波形のいずれか一方を前記時間軸上で固定の時間位置に配置するとともに、他方を前記時間軸に対して移動させることを特徴とする請求項1記載の蛍光測定方法。
  3. 前記データ処理ステップにおいて、前記測定波形データに基づいて、蛍光寿命を求めることを特徴とする請求項1記載の蛍光測定方法。
  4. 前記データ処理ステップにおいて、前記選択基準として、前記フィッティング計算のそれぞれで求められたχ2値を用い、前記χ2値が最小となった前記フィッティング計算で算出された前記波形データを、前記測定波形データとして選択することを特徴とする請求項1記載の蛍光測定方法。
  5. 前記データ処理ステップにおいて、前記フィッティング範囲として、前記蛍光の時間波形の前記蛍光ピークを基準として設定された時間範囲を用いることを特徴とする請求項1記載の蛍光測定方法。
  6. 前記励起ステップの前に、前記フィッティング範囲をあらかじめ設定する範囲設定ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の蛍光測定方法。
  7. パルス状の励起光を試料に照射する励起手段と、
    前記励起光によって励起された前記試料から放出される蛍光を検出する光検出手段と、
    前記光検出手段で検出される蛍光の時間波形について、前記蛍光の時間波形に対して固定に設定された所定の時間範囲であるフィッティング範囲でのフィッティング計算を含むデータ解析を行って、波形データを算出するデータ処理手段と、を備え、
    前記データ処理手段は、
    あらかじめ求められた励起光の時間波形、及び前記蛍光の時間波形を、前記フィッティング計算に用いる時間軸上に、前記蛍光の時間波形の蛍光ピークが前記励起光の時間波形の励起光ピークと略一致する時間位置よりも所定の時間幅だけ前または後の初期位置となるようにそれぞれ配置した後、
    前記初期位置から、前記蛍光ピークが前記励起光ピークと略一致する時間位置を挟んで前記時間軸上で反対側となる終了位置に向かって、前記蛍光の時間波形及び前記フィッテイング範囲、または前記励起光の時間波形を前記時間軸に対して移動させつつ、複数の異なる時間位置において、前記励起光の時間波形を参照して前記フィッティング計算をそれぞれ実行するとともに、
    前記フィッティング計算のそれぞれで算出された複数の前記波形データのうち、所定の選択基準によって選択された前記波形データを、最終的な測定波形データとすることを特徴とする蛍光測定装置。
  8. 前記データ処理手段は、
    前記励起光の時間波形及び前記蛍光の時間波形のいずれか一方を前記時間軸上で固定の時間位置に配置するとともに、他方を前記時間軸に対して移動させることを特徴とする請求項7記載の蛍光測定装置。
  9. 前記データ処理手段は、前記測定波形データに基づいて、蛍光寿命を求めることを特徴とする請求項7記載の蛍光測定装置。
  10. 前記データ処理手段は、前記選択基準として、前記フィッティング計算のそれぞれで求められたχ2値を用い、前記χ2値が最小となった前記フィッティング計算で算出された前記波形データを、前記測定波形データとして選択することを特徴とする請求項7記載の蛍光測定装置。
  11. 前記データ処理手段は、前記フィッティング範囲として、前記蛍光の時間波形の前記蛍光ピークを基準として設定された時間範囲を用いることを特徴とする請求項7記載の蛍光測定装置。
  12. 前記フィッティング範囲をあらかじめ設定する範囲設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の蛍光測定装置。
  13. 請求項7記載の蛍光測定装置と、
    前記蛍光測定装置の前記データ処理手段において得られた前記測定波形データ、及びあらかじめ求められた標準波形データを比較して、前記試料の評価を行う試料評価手段と、を備えることを特徴とする試料評価装置。
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