吸光度読取装置、 吸光度読取装脣制御方法及び吸光度算出プログラム 技術分野
本発明は、 試科の吸光度を測定するための装置に関し、 より詳細には多数のゥ エルが設けられたマイクロチャンパ一アレイの各ゥエル内に注入された試料の吸 光度を測定する装置に関する。
明 背景技術
従来の吸光度読取装置は、 細胞や核酸など逢曰の生体試料の吸光度を読取る場合、 セルと呼ばれるケースに被検査試料を注入して読取るようになっている。
図 2 4は従来の吸光度読取装置の概念を説明する図である。 図 2 4に示すよう に、 読取り.対象となる試料溶液はセル中に注入されている。 このとき、 光源から 照射された照射光は波長駆動部で制御される分光器により単色光にされた後、 レ ンズ Aにより試料中に焦点を結び、 試料に照射される。 試料を透過する光はレン ズ Bによって集光され、 検出器により電気信号に変換される。
このような吸光度読取装置は、 1回の読取りで 1つの生体試料の吸光度しか読 取ることができなかった。また、セルの大きさは、ほぼ縦 5 0 mm、横 1 O m m、 深さ 1 0 mm程度であり、 読取り対象となる多量の試料が必要であった。 また、 他の例として、 ノズルに注入した検体 (試料) の吸光度を測定するものなどがあ る (例えば、 特開 2 0 0 0— 2 5 8 3 4 1号公報参照)。
上記のような従来の吸光度読取装置では、 セル中の試料を読取るため多数の試 料の吸光度を短時間で効率良く読取ることが困難であった。
そこで、 本発明の目的は、 微量の試料で、 かつ多種類の試料の吸光度を短時間 で一度にまとめて読取ることのできる吸光度読取りシステムを実現することを目 的とする。 また、 読取った吸光度を目視による観察がし易いようにデータの加工 などを行い、結果を分かり易く出力するデータ処理を実現することを目的とする。 また、 吸光度読取結果を基に、 更に詳しい分析を行うため、 任意の試料を回収で
きる吸光度読取りシステムを提供することを目的とする。 発明の開示
本発明では、 マイクロチャンバ一アレイの多数のゥヱルを単色光で同時に照射 し、 ゥエルを透過した平行光をテレセントリック光学系を介して撮像カメラで画 像として取り込み、 各ゥヱル中の試料の吸光度を個別に計算する。
本発明の吸光度読取装置は、 マイクロチャンパ一アレイを載置するための試料 台と、 光源と、 光源からの光が入射される分光器と、 分光器から出射された照射 光の照度分布を調整するための照射用光学系と、 照射用光学系を透過した照射光 を照射光径を拡大して試料台に載置されたマイクロチャンバ一アレイに照射する ための視野レンズと、 試料透過光を受光するための片側テレセントリック光学系 と、 片側テレセントリック光学系を介して受光した試料の透過光を画像データと して出力する撮像カメラとを備える。 照射用光学系を透過した照射光は、 マイク 口チャンバーァレイの上面から下面に向けて、 あるいは下面から上面に向けて照 射され、 各ゥエルを深さ方向に透過する。 吸光度読取装置にゥエル内の試料を回 収する試料回収機構を設けてもよい。 本発明の吸光度読取装置は、 マイクロチヤ ンバーアレイ上の全てのゥエルの吸光度を 1分以内で読取ることができる。 複数のゥヱルが設けられたマイクロチャンバーァレイの各ゥエル内に注入され た複数の試料の吸光度を読取るために、 本発明では吸光度読取装置を制御するス テツプとして、 吸光度を読取るための照射光を発光する光源を制御するステップ と、 吸光度を波長スキャンモード又は経時スキャンモードのいずれで読取るかを 選択する読取モード選択ステップと、 照射光の波長を選択するために分光器を制 御するステップと、 試料の吸光度を読取るための撮像力メラを制御するステップ と、 撮像カメラによって読取った吸光度をデータベースに格納するステップとを 有する。 より詳細には、 試料の吸光度を読取るための撮像カメラの露光時間を設 定するステップと、 吸光度を読取るための照射光の読取開始波長を設定するステ ップと、 吸光度を読取るための照射光の読取波長分解能を設定するステップと、 吸光度を読取るための読取時間を設定するステップと、 吸光度を読取るための読 取回数を設定するステップとを有する。
また、 ゼロ補正用溶媒を読取るステップと、 被検査試料を読取るステップとを 有するのが好ましい。 また、 吸光度読取装置で読取った吸光度算出の基となる画 像データから吸光度算出のための画像データを指定するステップと、 指定された 画像データの中から吸光度算出範囲を指定するステップと、 指定された吸光度算 出範囲から吸光度算出を行うステップとを有する。 吸光度算出のための画像デー タを指定するステップは、 画像データとしてゼロ補正用溶媒の入ったマイクロチ ャンバーァレイの画像と被検查試料の入ったマイク口チャンバーァレイの画像と を表示するステツプと、 ゼロ補正用溶媒と被検査試料の画像データのいずれかに 対して吸光度算出範囲を指定するステップとからなつていてもよい。 更に、 吸光 度読取装置に依存する被検査試料上の光路長の差異を補正するための光路長補正 ステップ、 あるいは所望の被検査試料を回収するステップを有してもよい。 前記 吸光度読取装置の制御は、 コンピュータプログラムによって実行することができ る。 図面の簡単な説明
図 1は、 吸光度読取りシステムの構成図である。
図 2は、 分光器とスリットによる波長分離の説明図である。
図 3は、 照射及ぴ受光光学系の詳細な説明図である。
図 4は、 テレセントリック光学系の説明図である。
図 5は、 吸光度読取装置を制御するコンピュータの機能ブロック図である。 図 6は、 データベースの構成図である。
図 7は、 読取条件入力画面の例を説明する図である。
図 8は、 吸光度算出条件及び吸光度算出結果表示画面である。
図 9は、 波長スキャンモードでの読取処理のフローチヤ一トである。
図 1 0は、 波長スキャンのフローチャートである。
図 1 1は、 経時変化スキャンモードでの読取処理のフローチャートである。 図 1 2は、 経時変化スキャンのフローチャートである。
図 1 3は、 吸光度算出処理のフローチャートである。
図 1 4は、 吸光度算出サブルーチンのフローチャートである。
図 1 5は、 光路長捕正のフローチャートである。
図 1 6は、 マイクロチャンバ一アレイの概念図 (例 1) である。
図 1 7は、 マイクロチャンバ一アレイの概念図 (例 2) である。
図 1 8は、 マイクロチャンバ一アレイの概念図 (例 3) である。
図 1 9は、 試料回収の説明図である。
図 20は、 試料回収機構の説明図 (例 1) である。
図 2 1は、 試料回収機構の説明図 (例 2) である。
図 22は、 試料回収機構の説明図 (例 3) である。
図 23は、 試料回収機構の説明図である。
図 24は、 従来の吸光度読取装置の光学系の概要である。 発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、 添付の図面に従ってこれを説明する。 図 1は、 本発明の吸光度読取りシステムの構成を説明するためのシステム構成 図である。 本吸光度読取りシステムは、 大きく分けると、 吸光度算出の基になる 画像を読取る吸光度読取装置 1と、 吸光度読取装置 1を制御し、 かつ読取った画 像から吸光度の算出などを行うコンピュータ 2とから構成されている。
図 1により、 まず、 吸光度読取装置 1について説明する。
吸光度読取装置 1は、 光源 1 1と、 光源制御部 1 2と、 スリ ッ ト 1 3 a, 1 3 bと、 分光器 14と、 波長駆動装置 1 5と、 ステッピングモータ制御部 1 6と、 レンズホルダ 1 7と、 照射用レンズ 1 8と、 ミラー 1 9と、 視野レンズ 20と、 試料台 22と、 受光レンズ 23と、 CCDカメラ 24と、 電源部 25と、 光学べ ンチ 26と、 試料台モータ制御部 29と、 試料台モータ 30と、 ボールネジ A 3 1、 及ぴ試料回収機構 28とから構成されている。 これらの各要部の機能などは 次のとおりである。
光源 1 1は、 後述する吸光度読取り対象の試料 (被検査試料) を注入したマイ クロチャンバ一アレイ (図 1 6を参照) に照射する照射光 27を発光するための もので、 ここでは、 ハロゲンランプ (可視光、 1 50W) を用いている。 光源 1 1は、 光源制御部 1 2によってスィッチのオン ·オフが制御されるようになって
いる。
分光器 1 4は、 光源 1 1から照射した照射光から任意の波長の光 (単色光) を 出射するためのもので、 波長駆動装置 1 5により制御されるようになっている。 スリ ッ ト 1 3 aとスリ ッ ト 1 3 bは、 分光器 1 4と合わせて用いるもので、 本装 置では、 単色光の波長半値幅が 5 n mとなるよう幅 1 mm、 長さ 1 0 mmのスリ ット 1 3 bを用いている。 分光器 1 4は、 内部に回折格子を持っており、 分光器 1 4に入射された光は回折格子により波長ごとの光に分離される。 波長ごとに分 離された光に対してスリット 1 3 bを設けることで、 任意の波長の光だけがスリ ット 1 3 bを透過し、 その結果、 単色光を取り出すことが可能になる。
図 2は、 分光器とスリ ッ トによる波長分離の概念を表わしたものである。 光源 1 1から照射された照射光 1 4 aはスリット 1 3 aにより特定の範囲の照射光が 回折格子 1 4 bにより 3 5 0 n mから 8 0 0 n mの波長の光に分離される。 回折 格子 1 4 bの角度を変えることによって、 3 5 0 n mから 8 0 0 n mの波長の中 からスリット 1 3 bを通過する照射光を半値幅 5 n mの単位で取り出す。 回折格 子 1 4 bの角度の回転は、 波長駆動装置 1 5により行われる。
波長駆動装置 1 5は分光器内部の回折格子 1 4 bの角度を変えるためのモータ であり、 ステッピングモータ制御部 1 6を介して、 コンピュータ 2により制御さ れており、 これにより、 分光器 1 4から出射する照射光の波長をコンピュータ 2 から制御することが可能となっている。 本装置では、 波長分解能 5 n mで 3 5 0 〜8 0 0 n mの波長を 1分以内で制御可能である。
レンズホルダ 1 7は、 照射用レンズ 1 8を支持するためのホルダである。 照射 用レンズ 1 8は、 分光器 1 4から出射された光の単位面積当たりの光の照度分布 を均一にするためのレンズである。 これにより、 読取り領域内での検出感度誤差 を低減することが可能となる。 本装置では照射用レンズにより読取り領域 3 0 X 3 O mmの範囲内での光量の誤差を 2 0 %以内に抑えている。
ミラー 1 9は、 照射光を試料に対して垂直方向に照射するために光路を上方向 に誘導するためのものである。 図 1では、 ミラー 1 9により、 上方向に照射光を 誘導するようにしているが、 視野レンズ 2 0から C C Dカメラ 2 4までの受光側 の各装置をミラー 1 9より下部側に設けて、 ミラー 1 9により照射光の光路を下
方向に誘導するようにしても良い。 この場合、 ミラー 1 9より下方で試料の吸光 度を読取ることになる。
視野レンズ 2 0は、 ミラー 1 9で誘導された照射光 2 7を、 読取り領域全面に 照射するため、 光径を拡大するためのレンズである。 本装置では、 視野レンズ 2 0により約 1 O mmの光径を約 3 O mmに拡大している。
ここで、 照射用レンズ 1 8及び視野レンズ 2 0による光学系の詳細について、 図 3を用いて説明する。
スリ ッ ト 1 3 bを透過してきた単色光は、 照射用レンズ 1 8に入射する。 照射 用レンズ 1 8は、 入射端レンズ 1 8 1、 ロッドレンズ 1 8 2及び出射端レンズ 1 8 3から構成されている。 本装置では、 スリ ッ ト 1 3 bは、 幅 1 mm、 長さ 1 0 mmのスリットである。 照射用レンズ 1 8に入射した光は、 入射端レンズ 1 8 1 によってロッドレンズ 1 8 2に導かれる。 ロッドレンズ 1 8 2は、 ガラスで作ら れた円柱状のレンズであり、 入射した光はロッドレンズ 1 8 2内部で全反射を繰 り返すことによって、 ロッドレンズ 1 8 2の出口では照度分布が均一になる。 口 ッドレンズ 1 8 2から出射した光は、 出射端レンズ 1 8 3により集光され、 ミラ 一 1 9及ぴ視野レンズ 2 0に導かれる。 本装置では、 スリット 1 3 bから出射し た時点での光は長方形の照度分布を持っているが、 照射用レンズ 1 8により照度 分布が均一な円形の光に変換され、 読取り範囲全面に 2 0 %以内の照度分布で均 一な光を照射することを可能にしている。
また、 本装置では、 入射端レンズ 1 8 1及び出射端レンズ 1 8 3は直径 1 O m m、 口ッドレンズ 1 8 2は直径 8 mm、 長さ 5 0 mmのものを採用しており、 出 射端レンズ 1 8 3から出射される光径は約 1 O mmである。 視野レンズ 2 0は 2 枚のレンズ、 レンズ A 2 0 1及びレンズ B 2 0 2から構成されている。 視野レン ズ 2 0は、 光を読取り範囲全面に照射するため、 光径を拡大するためのレンズで ある。 径約 1 O mmの光が視野レンズ 2 0に入射すると、 レンズ A 2 0 1及びレ ンズ B 2 0 2により光径約 3 O mmに拡大される。 ここで視野レンズ 2 0力 S 2枚 のレンズで構成されているのは、 視野レンズを出射した光を平行光に近づけ、 試 料に対してより垂直に照射するためである。
図 1に戻り、 吸光度読取装置 1の説明を続ける。
受光レンズ 23は、 ゥヱル中の試料を透過した光を受光するためのレンズであ る。 このとき、 試料を透過する光には、 試料を垂直に透過した光のほかに、 試料 中で乱反射した光も含まれている。 しかし、 試料の透過光のみを測定するには、 試料中を乱反射した光は受光せずに、 垂直に透過した光のみを受光する必要があ る。 これは、 試料中を乱反射した光は、 試料を透過した光ではないため、 正しい 吸光度測定が困難になるためである。 そこで本装置では、 受光レンズにテレセン トリックレンズを用いている。 テレセントリックレンズとは、 物体側あるいは像 側、 又はその両側の主光線が無限遠まで光軸と交わらない光学系を構成するレン ズである。 例えば、 物体側の場合、 物体からの光 (主光線) が光軸外においても 光軸と平行を保っている、 すなわち焦点を結ばない。 この場合、 光軸とは、 レン ズの中央を通り、 レンズに対して垂直な軸のことを意味している。 レンズから像 に向かう光が光軸と平行の場合を像側、 その両方の場合を両側と呼ぶ。 本装置で は、 C CDカメラ上に焦点を結ぶような片側テレセントリックレンズを採用した。 ここで、 図 4によりテレセントリ ックレンズについて説明する。
図 4 (a) において、 試料面を垂直に透過する光はレンズによって C C Dカメ ラ上に集光される。 このとき、 CCDカメラ上に焦点を結ぶような片側テレセン トリックレンズを用いることで、 試料面を垂直に透過する光のみを C CDカメラ 上に集光することが可能になる。 一方、 図 4 (b) の非テレセントリック系で試 料面からの透過光を C CDカメラに集光した場合、 C CDカメラに集光される光 は試料面を垂直に透過した光ではなくなつてしまう。 本装置では、 直径 3 Omm (有効範囲直径 27 mm) の片側テレセントリ ックレンズを採用し、 片側テレセ ントリ ックレンズと C CDカメラ上の焦点距離は片側テレセントリ ックレンズの 特性によって左右されるため、 本装置ではその距離を 50 mmとした。
図 1に戻り、 吸光度読取装置 1の説明を続ける。
CCDカメラ 24は、受光レンズ 23で受光した試料からの透過光を検出して、 画像データを出力するためのものである。 本装置では、 有効ピクセル数約 1 00 万画素 (1, 008 X 1, 0 1 8)、 露光設定は電子シャッター方式 (1Z30〜 1/1 0, 000)、 階調 1 0ビッ トの CCDカメラを採用した。
試料台モータ 30は、試料台 22を水平方向に移動させるためのモータであり、
試料台モ一タ制御部 2 9を介してコンピュータ 2で制御される。 ボールネジ 3 1 は、 試料台 2 2が水平方向に移動する際のレールの役割りを果たすものである。 試料回収機構 2 8は、 試料台 2 2に設置されているマイクロチャンバ一アレイ中 の任意の試料を回収するためのものである。
電源部 2 5は、 光源制御部 1 2、 ステッピングモータ制御部 1 6、 試料台モー タ 3 0、 C C Dカメラ 2 4、 及ぴ試料回収機構 2 8を稼動させるためのもので、 1 0 0ボルトの交流電気を供給する。 光学ベンチ 2 6は、 吸光度読取装置 1の本 体を安定的に固定するための基盤である。
以上説明したような構成を持つ吸光度読取装置 1を実現することによって、 読 取り範囲 3 O mm X 3 0 mmの範囲を画素分解能 3 0 μ πιで読取ることが可能に なった。 また、 波長分解能 5 n mで、 3 5 0〜 8 0 0 n mの範囲を約 1分で読取 ることが可能になった。 これにより、 8 0 ^u m〜数百 μ ιηのゥエルごとの吸光度 を大量かつ一度に読取ることが可能である。 また、 上記読取り結果から、 必要に 応じてマイクロチャンバ一アレイ上の任意のゥエル中の試料を回収することが可 能になった。
次に、 図 5を用いて本発明のコンピュータ 2での処理の概要を説明する。 コン ピュータ 2は、 吸光度読取装置 1を制御し、 吸光度読取装置 1で読取った吸光度 算出の基となる画像から吸光度の算出などの処理を行うものであり、 各要部の機 能などは次のとおりである。
入力装置 5は、 オペレータがコンピュータへ各種指示を入力するためのキ一ボ ードゃマウスなどの入力装置である。 表示装置 6は、 コンピュータプログラムの 処理結果を表示したり、 オペレータがコンピュータプログラムに対して対話形式 で各種指示を入力する G U I (Graphical User Interface) 画面などを表示した り、 吸光度算出結果などを表示するための表示装置である。 データベース 4は、 吸光度読取装置 1で読取った画像データを格納するためのデータベースであり、 波長スキャンモード、 経時変化スキャンモードにより読取った画像データが格納 される。 また、 前.記画像データを基に算出した吸光度算出結果などを格納する。 処理装置 3には、 アプリケーションプログラムとして、 吸光度読取りプロダラ ム 3 1と吸光度算出プログラム 3 2及び試料回収プログラム 3 3がハードデイス
クなどの記憶装置 (図示せず) から呼び出され実行可能な状態にあることを表わ している。
吸光度読取りプログラム 3 1は、 主として吸光度読取装置を制御して吸光度算 出の基となる画像データを読取るためのプログラムであり、 波長スキャンモード と経時変化スキャンモードを選択するための読取モード選択部 3 1 1と、 吸光度 読取装置 1の光源 1 1を制御するための光源制御部 3 1 2と、 ステッピングモー タを制御するためのステッピングモータ制御部 3 1 3と、 C C Dカメラを制御す るための C C Dカメラ制御部 3 1 4と、 吸光度読取結果をデータベース 4に格納 する読取結果格納部 3 1 5と、 ゼロ捕正用のマイクロチャンパ一アレイと被検査 試料用のマイクロチャンバ一アレイを交換するための読取試料切替部 3 1 6とか らなっている。
吸光度算出プログラム 3 2は、 主として吸光度読取りプログラム 3 1で読取つ た吸光度算出の基となる画像データから、 吸光度を算出したり算出結果を表示装 置 6に表示したりするためのプログラムであり、 吸光度を波長スキャンモード又 は経時変化スキャンモードのいずれで算出するかを選択するための読取モード選 択部 3 2 1と、 表示画像の輝度などを調整するための階調補正部 3 2 2と、 マイ クロチャンバ一アレイ上のどのゥヱルに該当する画像から吸光度を求めるかを選 択するための吸光度算出範囲選択部 3 2 3と、 読取モード、 階調補正及び吸光度 算出範囲の指定に基づき吸光度を算出するための吸光度算出部 3 2 4と、 市販の 一般的な吸光光度計と本発明の装置との光路長の違いを補正するための光路長補 正部 3 2 5と、 吸光度算出結果を基に、 オペレータからの指示により任意のゥヱ ル中の試料を回収するための試料回収部 3 2 6とからなっている。
試料回収プログラム 3 3は、 主として吸光度読取プログラム 3 1からの指示に より、 ゼロ捕正用のマイクロチャンパ一アレイと被検査試料用のマイクロチャン パーアレイを交換したり、 吸光度算出プログラム 3 2から指定されたマイクロチ ヤンバーアレイ上の任意のゥヱル内の試料を回収するプログラムであり、 試料台 モータ制御部 3 3 2と、 バキュームポンプ制御部 3 3 3とからなっている。
図 6は、 吸光度読取りシステムでの吸光度読取結果と、 吸光度算出結果を格納 したデータベースの例を示したものである。
データベース 4は、 吸光度読取装置 1により、 波長スキャンモードで読取った 読取結果 4 1 1と、 それに基づき吸光度を算出した吸光度算出結果 4 1 2を格納 した波長スキャンモードファイル 4 1と、 経時変化スキャンモードで読取った読 取結果 4 2 1と、 それに基づき吸光度を算出した吸光度算出結果 4 2 2を格納し た経時変化スキャンモードファイル 4 2とから構成されている。
波長スキャンモードファイル 4 1には、 吸光度読取装置 1により 3 5 0 n m〜 8 0 0 n mまで 5 n mおきの波長で読取ったゼロ補正読取結果と、 それに対応す る被検査試料読取結果が格納されている。 また、 ゼロ補正読取結果と被検査試料 読取結果から各波長での吸光度を算出した吸光度算出結果 4 1 2が格納されてい る。
経時変化スキャンモードファイル 4 2には、 吸光度読取装置 1により特定の波 長として例えば 6 0 0 n mで読取ったゼロ捕正読取結果と、 6 0 0 n mの波長で 0秒〜 1 2 0秒まで 1 0秒おきに試料を読取つた被検査試料読取結果が格納され ている。 また、 ゼ口補正読取結果と被検查試料読取結果から、 各経過時間の吸光 度を算出した吸光度算出結果 4 2 2が格納されている。
図 7は、 図 5の吸光度読取りプログラム 3 1に対してオペレータが読取り条件 を指示するための読取条件の入力画面の例を表したものである。 図 7において、 読取モード 6 1は、 波長スキャンモード又は経時変化スキャンモードのどちらか を選択するものである。 図 7の例では、 波長スキャンモードが選択されている状 態を表している。
露光時間 6 2は、 1回の C C Dカメラの露光時間で、 本実施例では、 0 . 1〜 3 0 m s e cの範囲を 0 . 1 m s e c単位で設定可能である。 露光時間が長いほ ど C C Dカメラの感度は向上し、 少ない光でも検出可能になる。 例えば、 透過率 の低い、 すなわち吸光度が高い試料を測定する場合には露光時間を 3 0 m s e c など長く設定する必要がある。 図 7の例では、 露光時間を 1 m s e cに指定した 場合を表している。
読取開始波長 6 3及ぴ読取終了波長 6 4は、 波長スキャンモードにおいて、 読 取りを開始又は終了する波長を指定するものである。 一方、 経時変化スキャンモ 一ドは単一波長での読取りなので、 経時変化スキャンモードが選択されている場
合は、 読取開始波長として読取る波長が設定可能で、 読取終了波長は設定不可と なる。 図 7の例では、 読取開始波長 3 5 0 n m、 読取終了波長 8 0 0 n mに指定 した場合を表している。
読取波長分解能 6 5は、 波長スキャンモードにおいて、 読取開始波長から読取 終了波長までの読取波長間隔を指定するものであり、 波長スキャンモードが選択 されている場合のみ設定可能である。 図 7の場合、 読取波長分解能として 5 n m が指定されている場合を表している。 これにより、 読取開始波長 3 5 0 n mから 読取終了波長 8 0 0 n mまでを 5 n mおきの波長で読取ることになる。 なお、 本 実施例の装置では、 読取波長分解能として、 5、 1 0、 1 5、 2 0 n mから 1つ を選択可能である。読取波長分解能が小さいほどより詳細なスぺク トルが得られ、 大きいほどスぺク トルは粗くなるが読取り時間は短くなる。
時間間隔 6 6及び読取回数 6 7は、 読取りを行う時間間隔及び読取りを行う回 数を指定するもので、 経時変化スキャンモードが選択されている場合のみ設定可 能となる。 ビニング数 6 8は、 本実施例ではチェックボックスがチェックされて いると 2 X 2のビニングを行い、 チェックされていないとビユングを行わない。 2 X 2のビユングとは、 C C Dカメラで得られる画素のうち、 隣接する縦 ·横 2 画素ずつを平均化し 1つの画素として出力することである。 得られる画像の画素 分解能は 2倍大きくなるが、 ファイルサイズが 4分の 1になるメリットがある。 次に吸光度算出について説明する。
図 8は、 図 5の吸光度算出プログラム 3 2に吸光度算出条件をオペレータが指 示したり、 吸光度算出プログラム 3 2の吸光度算出結果を表示したり、 更にはォ ペレ一タが吸光度算出結果から任意のゥエル中の試料回収を指示する表示画面の 例を説明する図である。
図 8において、 読取モード 7 1は、 波長スキャンモードが選択された場合を表 している。 「画像を開く」 7 2とは、データベース 4に格納されているゼロ補正読 取結果画像及びサンプル読取結果画像から、 吸光度を算出する画像を選択するも のである。 選択された画像は、 ゼロ補正表示ウィンドウ 7 6及び試料表示ウィン ドウ 7 7に表示される。
本実施例では、画像は白黒の濃淡で表示され、輝度値の高い画素は濃く(黒く)、
低い画素は薄く (白く) 表示される。 これにより、 ユーザは画像上でのゥエルの 位置を容易に認識することができる。 この時、 読取り範囲である縦、 横それぞれ
3 O mm以内に含まれているゥエルが全て表示される。 ただし、 本装置の画像分 解能は 3 0 μ mであるので、 ゥエルの一辺の長さ、 及びゥエル間隔ともに 3 0 μ m以上である必要がある。 本装置では、 正しく吸光度算出が可能なゥヱルの一辺 の長さとして 8 0 μ πι以上としている。 1つのゥエルを表示するために必要な画 素数として少なくとも 3つを確保する必要があると考えられるためである。
吸光度算出範囲選択 7 3は、 読取った画像のうち吸光度を算出する範囲を選択 するものである。ゼロ補正表示ウィンドウ 7 6及ぴ試料表示ウィンドウ 7 7上で、 マウスを用いて吸光度算出範囲 7 9が指示されると、 指示された画像を吸光度算 出範囲 7 9として選択する。 この時、 吸光度算出範囲として 1ゥ ルを選択する ことで、 1ゥエルの吸光度を算出することが可能になる。 また、 吸光度算出範囲 7 9を任意に選択可能とすることで、 様々な寸法のゥエル (例えば一辺の長さが 9 0 μ ηιのゥエル) の吸光度算出に対応することができる。 図 8の例では、 右か ら 2列目、 上から 3番目のゥエルが吸光度算出対象として選択されていることを 表している。 この場合、 ゼロ補正表示ウィンドウ 7 6に表示されている右から 2 列目、 上から 3番目のゼロ捕正用のゥヱルと対応付けして吸光度算出が行なわれ る。 一方、 ゼロ補正表示ウィンドウ 7 6に表示されているゥヱルを選択すると、 試料表示ウィンドウ 7 7上に表示されている対応するゥエルと対応付けして吸光 度算出が行なわれる。
階調補正 7 4は、 表示されている画像の階調の上限、 下限を設定するものであ る。階調補正により表示装置の輝度を調整することで、画像の輝度値が強調され、 画像の見た目が改善される。
吸光度算出 7 5とは、 吸光度算出範囲選択 7 3で選択された範囲の吸光度を算 出し、 その結果を吸光度表示ウィンドウ 7 8上に表示するものである。 例えば、 波長スキャンモードにおいては、 波長ごとの吸光度が算出され、 その結果が吸光 度表示ウィンドウ 7 8にプロットされる。 同時に波長と吸光度の算出結果をデー タベース 4へ格納する。図 6で説明した吸光度算出結果がそれに該当する。なお、 図 8の場合は、 波長スキャンモードでの表示例を示しているが、 経時変化スキヤ
ンモードでの表示の場合は、 横軸が時間で、 縦軸が吸光度になる。
試科回収 8 0とは、 試料回収プログラム 3 3を起動し、 任意のゥエル中の試料 を回収するためのものである。 試料回収プログラムが起動されると、 試料表示ゥ インドウ 7 7上において吸光度算出範囲 7 9として選択されているゥエルから試 料を回収する。
次に吸光度読取り処理の詳細について説明する。
吸光度読取りには、 波長スキャンモードと経時変化スキャンモードがある。 波 長スキャンモードとは、 読取開始波長から読取終了波長までを読取波長分解能ご とに読取って、 波長ごとの吸光度を算出するための読取処理である。 例えば、 読 取開始波長を 3 5 0 n m、 読取終了波長を 8 0 0 n m、 読取波長分解能を 5 n m とした場合、 3 5 0 n m、 3 5 5 n m, 3 6 0 n m、 3 6 5 n m、 3 7 0 n m - · •• 7 9 5 n m、 8 0 0 n mで読取りを行う。 波長スキャンモードは、 一般に得ら れる吸光度スペクトルのピーク波長及ぴ吸光度値が未知の場合に用いる。
また、読取りは、ゼロ補正用溶媒と被検査試料の 2つの読取りを行う。これは、 ゼロ補正用溶媒と被検査試料のそれぞれの結果から吸光度を算出するためである。 図 9は、 波長スキャンモードでの吸光度読取りプログラム 3 1の処理を説明す るフローチヤ一トである。 まず最初にオペレータは試料台 2 2にゼロ補正用溶媒 のマイクロチャンバ一アレイと被検査試料のマイクロチャンパーァレイをセット しておく。 波長スキャンモードにおいて、 吸光度読取りプログラム 3 1は図 7の 画面によりオペレータからの読取り条件 (読取開始波長、 読取終了波長、 読取波 長分解能、 露光時間、 ビユング数) の入力を受付ける (ステップ 8 0 0 )。 次に、 試料台 2 2にセットされているゼロ補正用溶媒のマイクロチャンバ一アレイの読 取開始の入力を受付け(ステップ 8 1 0 )、図 1 0の波長スキャンのサブルーチン を実行して、ゼロ補正用溶媒の波長スキャンを実行する (ステップ 8 2 0 )。 波長 スキャンの処理は図 1 0のとおりである。 波長スキャンモード開始後、 図 9のス テツプ 8 0 0で受付けた読取開始波長まで波長駆動装置を移動させる (ステップ 9 0 0 )。その後、図 9のステップ 8 0 0で受付けた露光時間で C C Dカメラを露 光し (ステップ 9 1 0 )、 吸光度読装置 1を制御して吸光度を読取り、結果をデー タベース 4 1 1に格納する (ステップ 9 2 0 )。 その後、現在の波長位置から読取
波長分解能分だけ波長を移動させ(ステップ 9 3 0 )、ステップ 9 4 0で現在の分 光器の波長が読取終了波長と同じか小さい場合は、 ステップ 9 1 0に戻って処理 を繰り返する。 また、 ステップ 9 4 0において、 現在の分光器の波長が読取終了 波長より大きい場合は、波長スキャンは終了となり図 8のステップ 8 2 0に戻る。 以上、 図 9のステップ 8 1 0から 8 2 0がゼロ捕正用溶媒の読取りにあたる。 次に読取試料切替部 3 1 6によりゼロ補正用溶媒に代えて被検査試料のマイク ロチャンバーァレイを試料台 2 2の読取位置に自動的にセットし、 被検查試料の 読取り開始入力を受付ける (ステップ 8 3 0 )。次にステップ 8 4 0で波長スキヤ ン処理プログラム (図 9 ) により波長スキャンを行い、 すべての読取りが終了す る。
次に、 経時変化スキャンモードでの吸光度読取りの詳細について説明する。 経時変化スキャンモードとは、 単一の読取波長において経過時間ごとの吸光度 を算出するモードである。 例えば、 読取波長 6 0 O n m、 読取間隔 1 0秒、 読取 回数 1 0回とした場合、 読取波長を 6 0 0 n mで一定に保ち、 読取開始より 0秒 後、 1 0秒後、 2 0秒後、 3 0秒後 · · · ·、 1 0 0秒後での吸光度を読取る。 経時 変化スキャンモードは、 一般に読取るべき波長は既知で、 その波長での吸光度の 経過時間ごとの変化が未知の場合に用いられる。
図 1 1は、 経時変化スキヤンモードでの吸光度読取りプログラム 3 1の処理を 説明するフローチャートである。 まず、 最初にオペレータはゼロ補正用溶媒のマ ィクロチャンバーァレイと被検查試料のマイクロチャンバ一アレイを試料台 2 2 にセットしておく。 経時変化スキャンモードにおいて、 読取開始後、 吸光度読取 りプログラム 3 1は図 7の画面によりオペレータからの読取り条件 (読取波長、 読取間隔、 読取回数、 露光時間、 ビニング数) の入力を受付ける (ステップ 1 0 0 0 )。その後、オペレータからの読取り開始の入力を受付け(ステップ 1 0 1 0 )、 図 1 2の経時変化スキャンのサブルーチンを実行して、 設定された特定の読取波 長で読取り (経時変化スキャン) を行う (ステップ 1 0 2 0 )。
図 1 2は、 経時変化スキャンのフローチャートである。 経時変化スキャン開始 後、 波長駆動装置 1 5の制御により図 1 1のステップ 1 0 0 0で受付けた読取波 長に分光器の波長を移動し(ステップ 1 1 0 0 )、次にゼロ補正用溶媒の読取り力、
被検査試料読取りかを判定する (ステップ 1 1 1 0 )。ゼロ補正用溶媒の読取りの 場合は、 ステップ 1 1 2 0により C C Dカメラを露光した後、 吸光度読取装置 1 を制御してゼロ捕正用溶媒の吸光度を読取り、 読取り結果を取得してデータべ一 ス 4 2 1に格納する (ステップ 1 1 3 0 )。 その後、 図 1 1のステップ 1 0 2 0に 戻り、 次に読取試料切替部 3 1 6によりゼロ補正用溶媒に代えて被検査試料のマ イク口チャンバ一アレイを試料台 2 2の読取位置に自動的にセットし、 被検査試 料の読取りの入力を受け付け(ステップ 1 0 3 0 )、次に図 1 2の経時変化スキヤ ンのサブルーチンを実行して、 設定された特定の読取波長で試料の読取り (経時 変化スキャン) を行う (ステップ 1 0 4 0 )。
図 1 2の経時変化スキャン開始後、 波長駆動装置 1 5の制御により図 1 1のス テツプ 1 0 0 0で受付けた読取波長に分光器の波長を移動し(ステップ 1 1 0 0 )、 次にゼロ補正用溶媒の読取りか、 被検査試料の読取りかを判定し (ステップ 1 1 1 0 ) する。 被検查試料の読取りの場合は、 ステップ 1 1 4 0で変数 Nを 0とす る。 その後、 図 1 1のステップ 1 0 0 0で受付けた読取間隔分をカウントし (ス テツプ 1 1 5 0 )、 C C Dカメラを露光し (ステップ 1 1 6 0 )、 吸光度読取装置 1を制御して試科の吸光度を読取り、 読取り結果を取得してデータベース 4 2 1 に格納する (ステップ 1 1 7 0 )。 その後 Nに 1を加え (ステップ 1 1 8 0 )、 指 定された読取回数分のスキャンをしたか判定し (ステップ 1 1 9 0 )、 Nが読取回 数と同じか小さい場合はステップ 1 1 5 0に戻り処理を繰り返す。 また、 Nが読 取回数より大きい場合は、 経時変化スキャンを終了して図 1 1のステップ 1 0 4 0へ戻った後、 処理を終了する。
次に吸光度算出処理について詳細に説明する。
吸光度算出処理は、 吸光度読取りプログラム 3 1によって得られデータベース 4に格納されているゼ口捕正用溶媒、 及ぴ被検査試料のそれぞれの画像から吸光 度を算出する処理である。 吸光度算出処理は、 波長スキャンモードと経時変化ス キャンモードの 2つがあるが、 以下では波長スキャンモードについて説明する。 図 6において、 ゼロ補正読取結果、 及び被検査試料読取結果のそれぞれについ て、読取った波長分の画像がデータベース 4の読取結果 4 1 1に記憶されている。, 吸光度算出プログラム 3 2は図 8に示したとおりゼロ捕正読取結果画像、 被検査
試料読取結果画像を受付け、 それぞれの画像をゼロ補正表示ウィンドウ 7 6と試 料表示ウィンドウ 7 7に表示する。 その後、 吸光度算出プログラム 3 2はォペレ ータが選択した任意の吸光度算出範囲を受付け、 吸光度算出範囲を画面上に表示 する。 その後、 吸光度算出範囲内の平均吸光度を波長ごとに算出し、 プロットす る。
なお、 吸光度算出範囲をオペレータが任意に指定することによって、 様々な寸 法のゥエルの吸光度を算出することが可能となる。 従って、 マイクロチャンバ一 アレイ上に異なる寸法のゥ ルが混在していても、 吸光度の算出が可能である。 この時、 吸光度算出範囲として 1ゥエルを選択することにより、 ゥエルごとの吸 光度を算出することが可能である。
図 8の吸光度表示ウィンドウ 7 8は、 吸光度算出の結果得られる吸光度スぺク トルの例を示したものである。 例えば、 細胞の活性又は非活性を読取った場合、 図 8の吸光度表示ウィンドウ 7 8において、 実線が活性細胞から得られた吸光度 スぺク トルで、破線が非活性細胞から得られた吸光度スぺクトルとなる。つまり、 得られた吸光度スぺクトルのピーク波長での吸光度の値から、 細胞の活性又は非 活性を判断することができる。 また、 このほかにも吸光度の値は同じだがピーク 位置がシフトする場合などもある。
ゼロ捕正用溶媒及ぴ被検査試料から吸光度を算出する際の読取手法は次のとお りである。 初めに、 ある波長において、 吸光度算出範囲として指定されたゥエル を構成するすべての画素について、 次式 ( 1 ) に従い吸光度を算出する。
A b s = 1 o g ( 1 / T ) (1)
T = E t / E 0
T :透過度
E t :被検查試料読取結果の読取値
E。 :ゼロ捕正溶媒読取結果の読取値
A b s :吸光度 その後、 算出された吸光度の平均を求め、 ある波長での平均吸光度を求める。
この吸光度の算出をデータベースの読取結果 4 1 1にある全ての波長について行 い、 波長ごとの吸光度を算出し、 プロットする。
図 1 3は、 吸光度算出プログラム 3 2の処理を説明するためのフローチヤ一ト である。
図 1 3において、 動作開始後、 オペレータからの吸光度算出対象の画像選択の 入力を受付け (ステップ 1 200)、選択された画像を表示する (ステップ 1 2 1 0)。 その後、 吸光度算出範囲の選択の入力を受付け (ステップ 1 220)、 図 1 4の吸光度算出サブルーチンを実行して吸光度を算出し(ステップ 1 230)、結 果を表示する (ステップ 1 240)。
図 1 4は、 吸光度算出の処理を説明するためのフローチヤ一トである。
図 14において、初めに読取開始波長を変数 Nにセットする(ステップ 1 300)。 次に波長 N n mでのゼロ補正読取結果画像、 サンプル読取結果画像のそれぞれに 対して、 平均吸光度 E。 (N)、 E t (N) を算出し (ステップ 1 3 1 0、 1 3 2 0)、 E0 (N) 及ぴ Et (N) より波長 N n mでの吸光度 A b s (N) を算出す る(ステップ 1 330)。次に変数 Nに波長分解能分を加える(ステップ 1 340)。 その後、 Nが読取終了波長と同じか小さい場合はステップ 1 3 1 0に戻り処理を 繰り返し、 Nが読取終了波長より大きい場合は処理を終了し、 図 1 3のステップ 1 2 30に戻った後、 図 14で算出した吸光度を表示し (ステップ 1 240)、 終 了する。 次に光路長補正処理について説明する
一般に市販されている従来の吸光光度計で得られる吸光度は、 本発明のシステ ムと同様に (1) 式に従って算出されているが、 このとき、 市販の吸光光度計で の光路長はセル (図 24を参照) の幅にあたり、 一般にセルの幅は 1 0 mmであ る。 一方、 本発明のシステムの光路長はマイクロチャンバ一アレイのゥエルの深 さにあたる。 即ち、 光路長とは、 読取る試料中を光が透過する際の長さのことで あ 。
一般に、 吸光度 (Ab s) と光路長の関係は次式 (2) で表される。
A b s = C X L X M (2)
C :モル吸光係数
L :光路長
M:濃度 ここで、 モル吸光係数とは、 試料の持つ固有の係数のことで、 生体試料ごとに 与えられている。 濃度とは試料の濃度である。 従って、 式 (2 ) より、 吸光度と 光路長は比例している。 つまり、 ゥエルの深さ L ( μ m) と市販の吸光光度計の セル幅 1 O mmの比を係数として考慮することで、 本発明の吸光度読取りシステ ムで得られた吸光度から、 光路長 1 O mmの時の吸光度を求めることができる。 これによつて、 本発明のシステムから得られた吸光度と市販の吸光光度計から得 られた吸光度を捕正なしに比較することが可能になる。
図 1 5は、 光路長補正処理を説明するフローチヤ一トである。
本発明の吸光度読取りシステムでは、 ステップ 1 4 2 0の式で、 吸光度の補正 を行っている。 ここで Lはマイクロチャンバ一アレイのウエノレの深さであり、 L はパラメータとしてオペレータからの入力を受付けるようになっている。
光路長補正処理開始後、 吸光度算出プログラム 3 2は読取りに用いたマイク口 チャンバーァレイのゥエルの深さにあたる、 光路長 L ( ,u m) を受付ける (ステ ップ 1 4 0 0 )。また、読取開始波長を変数 Nにセットする (ステップ 1 4 1 0 )。 次に本装置を用いて得られた、波長 Nでの補正前の吸光度 A b s (N)、及ぴ光路 長 Lより、波長 Nでの補正後の吸光度 A b s, ( N )を求める(ステップ 1 4 2 0 )。 その後、変数 Nに読取波長分解能を加える (ステップ 1 4 3 0 )。 次に Nが読取終 了波長と同じか小さい場合はステップ 1 4 2 0に戻り処理を繰り返し、 Nが読取 終了波長より大きい場合は処理を終了する (ステップ 1 4 4 0 )。 以上によって、 読取ったすべての波長に対して、 光路長の補正が行われる。 補正後の吸光度は、 補正前と同様に吸光度と波長のテーブルとしてデータベース 4に格納される。 次に、 マイクロチャンバ一アレイについて説明する。
図 1 6はマイクロチャンパ一アレイを説明する概念図である。 マイクロチャン バーアレイとは、 スライドガラス (2 5 mm X 7 5 mm、 厚さ 1 mm) の基盤上
に微小サイズのゥエルを形成したもので、 ゥヱルの寸法は一辺の長さ及び深さと も 8 0 μ mから数百 μ mである。 マイクロチャンバ一アレイのゥエルの形成され ている上面を第 1面、 下面を第 2面と呼ぶことにする。 第 1面のゥヱル内には細 胞などの生体試料を注入する。細胞の寸法はヒ トの細胞が 1 0〜2 0 μ πιであり、 その他動植物の細胞が数百; u mであり、 1ゥヱル内に 1細胞を注入することを前 提としているため、 ゥヱル寸法は細胞の寸法に由来している。 細胞をゥヱルに注 入後、 上から反応溶液を滴下させることで注入した被検查試料である細胞と反応 溶液が反応する。 マイクロチャンパ一アレイにより披検查試料の分析を一度に大 量の処理 (ハイスループット) をすることが可能であり、 分析時間の短縮、 試薬 の節約によるコスト低減などのメリットがある。
細胞を試料とする場合には、 1ゥエルの寸法が縦 0 . 0 3 mm以上 1 mm以下、 横 0 . 0 3 mm以上 l mm以下、 隣り合うゥエル間の距離が 0 . 0 3 mm以上 1 m m以下のマイクロチャンバーァレイを用いるのが好ましい。 1つのマイクロチ ヤンバーアレイに設けるゥエルの数は、 1 0 0個以上で、 最大 10,000個とする のが好ましい。
また、 図 1 6に示した他にも、 いくつかのマイクロチャンバ一アレイが考えら れる。 図 1 7は、 各ゥヱルの底面に通過孔を設けたマイクロチャンバ一アレイを 説明する概念図である。 マイクロチャンパ一アレイの寸法及びゥヱルの寸法は図 1 6と同様で、 通過口は直径 1 Ο μ ηιである。 図 1 8は、 各ゥエルの側面に通過 孔を設けたマイク口チャンバーァレイを説明する概念図である。 図 1 8 ( a ) は 本マイクロチャンパ一アレイの斜視図で、 マイクロチャンパ一アレイ上に、 2列 にゥエルが配列されている。本マイク口チャンバ一アレイの断面図は図 1 8 ( b ) のとおりである。
次に、 試料回収について説明する。
図 1 9は、 試料台 2 2の移動について説明する図である。 試料台 2 2及びマイ クロチャンパ一アレイは、 読取りを行う際は処理装置からの制御によって図 1 9 中の読取位置 1 9 1に制御されているが、 試料回収プログラム 3 3が起動される と、 試料回収プログラム 3 3により試料回収位置 1 9 2に移動される。 試料台 2 2及びマイクロチャンバ一アレイの移動は、 試料台モータ 3 0及ぴボールネジ A
3 1の制御によって行われる。
図 2 0は、 試料回収機構 2 8の原理を説明する概念図である。 試料回収機構 2 8は、 横軸回収パネル 2 0 0 1と、 縦軸回収パネル 2 0 0 2と、 バキュームポン プ 2 0 0 3からなつている。 横軸回収パネル 2 0 0 1は横軸方向に一直線上に穴 があいており、縦軸回収パネル 2 0 0 2は縦軸方向に一直線上に穴があいている。 横軸回収パネル 2 0 0 1及ぴ縦軸回収パネル 2 0 0 2はマイクロチヤンバーァレ ィの下側に配置されており、 更にその下にバキュームポンプ 2 0 0 3が配置され ており、 バキュームポンプ 2 0 0 3で吸引することで任意のゥエルから試料を試 料回収部に回収することが可能になっている。
図 1 7のマイク口チャンバーァレイの場合は、 この横軸回収パネル 2 0 0 1の 縦方向位置と縦軸回収パネルの横方向位置を制御し、 バキュームポンプ 2 0 0 3 により吸引することによって、マイク口チャンパ一アレイ上の任意のゥエルから、 ゥェル内の被検査試料を回収することが可能となる。
また、 図 2 1は、 横軸回収パネルは横軸回収パネル用モータ 2 1 0 1及ぴボー ルネジ Bにより制御されており、 縦軸回収パネルの位置は固定、 試料台モータ 3 0及びボールネジ A 3 1によってマイクロチャンバ一アレイの横軸方向を制御し ている例である。
図 2 2は、 図 1 8のマイクロチャンバーァレイにおける試料回収機構の原理を 説明する概念図である。 図 2 2において、 試料回収機構は回収チューブと、 セレ クタ一、 及びバキュームポンプからなっている。 セレクタ一及びバキュームボン プは処理装置から制御されており、 試料回収プログラム 3 3で指定されたゥエル に従って、 セレクタ一は試料を回収する回収チューブ 1つを選択する。 その後、 バキュームポンプが吸引を行うことで、 任意のゥエルから試料を試料回収部に回 収することが可能になっている。
図 2 3は、 図 1 6のマイクロチャンバ一アレイにおける試料回収機構の原理を 説明する概念図である。 図 2 3において、 試料回収機構は、 マイクロシリンジ 2 3 0 1と、 バキュームポンプ 2 3 0 2と、 シリンジモータ 2 3 0 3、 及ぴポール ネジ C 2 3 0 4からなつている。 試料台モータ 3 0及ぴポールネジ Aによってマ ィクロチャンパ一アレイの横方向を、 シリンジモータ 2 3 0 3及びボールネジ C
2 3 0 4によってマイクロシリンジ 2 3 0 1の縦方向を制御することによって、 マイクロシリンジ 2 3 0 1をマイクロチャンバ一アレイ上の任意のゥエルに移動 させ、 バキュームポンプ 2 3 0 2によって任意のゥエル内の試料を吸引し、 回収 することが可能である。
マイクロチャンパ一アレイを用いた吸光度算出による被検査試料への適用例と しては、 例えばウィルス性の病気の発生メカニズムの研究、 診断、 治療などが挙 げられる。 ウィルスは自分の遺伝子を感染した細胞の遺伝子に潜り込ませ、 細胞 を破壌していく。 ある細胞にウィルス遺伝子が存在するのか、 存在していたとし たらどのくらい、 どのような状態で存在するのかを、 1個 1個の細胞について調 ベる必要がある。 この時、 マイクイロチャンパ一アレイはハイスループットでの 細胞ごとの分析が可能であり、 これを用いた分析は非常に有効であると考えられ る。
本発明は、 マイクロチャンパ一アレイを対象としてゥエルごとの吸光度を読取 る装置に関するものである。 また前提として、 マイクロチャンパ一アレイが透明 素材である必要がある。 また、 本発明においては、 ゥエルに注入する試料は細胞 の他、 D N Aやたんぱく質でも良い。 産業上の利用性
以上説明したような構成の吸光度読取りシステムを実現することによって、 マ ィク口チャンバ一アレイ上の多数のゥヱルのそれぞれの吸光度を、 一度に大量か つ高速に読取ることを可能にした。 また、 試料からの透過光を C C Dカメラに集 光する光学系にテレセントリックレンズを採用することで高い位置精度での読取 りを実現している。 また、 マイクロチャンバーァレイに構成される様々な寸法の ゥェルの吸光度を読取ることが可能である。 また、 ユーザは吸光度算出結果を基 に、 任意のゥエル中の被検查試料を回収して、 更に詳しい分析を行うことが可能 である。