JP4458696B2 - 給紙カセット、画像形成装置および給紙方法 - Google Patents

給紙カセット、画像形成装置および給紙方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙を収容する給紙カセット、この給紙カセットを備えた画像形成装置および給紙カセットから記録紙を繰出す給紙方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシリ装置などに用いる画像形成装置では、画像形成機構に供給する記録紙を積層して収容する給紙カセットが装備されている。
【0003】
この給紙カセットとして、上面部が開放され内部に記録紙が積層して収容され画像形成装置本体に対して挿入、抜出しされるカセットケースと、このカセットケースの内部に配置されてカセットケースに積層して収容される記録紙が載置される下側の記録紙セット位置と載置された記録紙の分離、繰出しが可能な上側の給紙位置との間を上下方向に沿い揺動するようにカセットケースに枢支された押上げ板と、この押上げ板に対して上向きの力を加える弾性部材と、給紙位置にある押上げ板に載置されている記録紙を上側から押える分離爪とを具備したものがある。
【0004】
すなわち、この給紙カセットは、押上げ板を弾性部材の力に抗して押下げて下側の水平な記録紙セット位置に揺動させ、記録紙を押上げ板に積層載置してカセットケースに収容すると、弾性部材が押上げ板を上側の傾斜した給紙位置まで押し上げて記録紙の最上層が分離爪に押えられて押上げ板の上向き揺動を阻止する。このカセットケースを画像形成装置本体に挿入し、記録紙の最上層が画像形成装置本体に設けた給紙ローラに接触して給紙ローラの回転により最上層の記録紙を分離爪から外してカセットケースから繰出すようになっている。
【0005】
従来、この給紙カセットにおいて、押上げ板を弾性部材の力に抗して記録紙セット位置へ押下げて記録紙を積層載置した後における押上げ板を動作させる方法として、第1にカセットケースに設けた保持部材により押上げ板を記録紙セット位置に保持し、カセットケースを画像形成装置本体に挿入する時に画像形成装置本体に設けた解除部材により保持部材による記録紙セット位置での保持を解除して、弾性部材により押上げ板を給紙位置まで押上げる方式がある。
【0006】
また、第2に押上げ板を記録紙セット位置まで押下げて記録紙を積層載置した後に押上げ板をその記録紙セット位置に保持することなく、そのまま弾性部材により押上げ板を給紙位置まで押上げる方式がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の給紙カセットにおいて、前述した第1の方式では、押上げ板に積層された記録紙の枚数が収容可能枚数と比較して極端に少ない場合には、押上げ板が上側へ揺動する角度(距離)が増大して、その分だけ押上げ板に載置された記録紙が画像形成装置本体に設けた給紙ローラおよびカセットケースに設けた分離爪に衝突する衝撃が強く衝撃音が大きくなる。
【0008】
また、第2の方式では、押上げ板を記録紙セット位置に保持する機能がなく押上げ板が給紙位置へ押上げられているために、カセットケースを画像形成装置本体に挿入する時に押上げ板に積層載置された記録紙が画像形成装置本体に設けた給紙ローラに衝突して、記録紙が幅方向にずれたり、カセットケースを挿入できなくなったりする事態が発生し、このためこのような事態の発生を回避するために手で記録紙を上側から押えて積層高さを圧縮する作業が必要となりカセットケースを画像形成装置本体に挿入する操作が大変面倒である。
【0009】
本発明の目的は、押上げ板が給紙位置に達する時の押上げ板の揺動角度を少なく抑えることができる給紙カセットおよび給紙方法を得ることにある。
本発明の目的は、記録紙を収容した給紙カセットを画像形成装置本体に円滑に挿入することができる画像形成装置を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る給紙カセットは、
上面部が開放され、内部に記録紙を積層して収容可能なカセットケースと、
前記カセットケースの内部に配置され、前記カセットケースに積層して収容される記録紙が載置される下側の記録紙セット位置と、載置された記録紙の分離、繰出しが可能な上側の給紙位置との間で上下方向に揺動するように前記カセットケースに枢支された押上げ板と、
前記押上げ板に対して上向きの力を加えることで、前記押上げ板を前記給紙位置に向けて前記カセットケースの底面部から常に押上げている弾性部材と、
前記カセットケースに上下方向に揺動可能に枢支され、前記押上げ板より上側に突出されて前記押上げ板に載置された前記記録紙を上側から押える爪端部を有する分離爪と、
前記記録紙が載置されて前記弾性部材により上向きに押上げられている前記押上げ板を、前記記録紙セット位置と前記給紙位置との間の停止位置で一旦停止させる停止手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、記録紙が積層された押上げ板は、記録紙セット位置と給紙位置との間の停止位置に一旦保持されるので、押上げ板が停止位置から給紙位置に達する時の押上げ板の揺動角度を小さく抑えることができる。
【0012】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る画像形成装置は、
画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体に設けられた画像形成機構と、
前記画像形成装置本体に挿入および抜出し可能に装填される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の給紙カセットであって、その押上げ板は、カセットケースが前記画像形成装置本体に挿入される以前から弾性部材により押上げられて、分離爪の爪端部が前記押上げ板に載置された記録紙を上側から押さえている給紙カセットと、
前記画像形成装置本体に設けられ、前記給紙カセットが前記画像形成装置本体に挿入された時に、前記給紙カセットが有する停止手段を前記押上げ板から外す停止解除手段と、
前記給紙カセットに収容された記録紙を前記画像形成機構へ送る給紙機構と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、給紙カセットを画像形成装置本体に挿入する時に、押上げ板が給紙位置よりも低い停止位置に保持されているので、押上げ板に載置された記録紙が画像形成装置本体の給紙機構に衝突することはない。そのため、給紙カセットを画像形成装置本体に円滑に挿入することができる。
さらに、給紙カセットを画像形成装置本体に挿入した時に、押上げ板を給紙位置に向けて適切に動作させることができる。
【0014】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る給紙方法は、
記録紙を積層して収容可能なカセットケースと、
前記カセットケース内に配置され、記録紙セット位置と、この記録紙セット位置よりも上方に位置する給紙位置との間で上下方向に変位可能であるとともに、常に給紙位置に向けて弾性的に押上げられた押上げ板と、
前記カセットケースに上下方向に揺動可能に枢支されるとともに、前記押上げ板より上側に突出された爪端部を有する分離爪と、を備えた給紙カセットを含み、
前記給紙カセットのカセットケースに収容された記録紙を繰出すための方法であって、
前記カセットケース内の押上げ板を前記記録紙セット位置に押し下げて前記記録紙を前記カセットケース内に収容するとともに、この記録紙を前記押上げ板の上に載置し、
前記押上げ板の押し下げを解除することで、前記押上げ板に載置された前記記録紙を前記分離爪の爪端部に当てて、この爪端部で前記記録紙を上側から押えるとともに、前記押上げ板を前記記録紙セット位置と前記給紙位置との間の停止位置で一旦停止させ、
前記カセットケースに収容された最上位の記録紙を前記カセットケースから繰出す時に、前記押上げ板を前記停止位置から前記給紙位置に向けて変位させること、を特徴とする。
【0015】
この方法によれば、記録紙が積層された押上げ板は、記録紙セット位置と給紙位置との間の停止位置に一旦保持されるので、押上げ板が停止位置から給紙位置に達する時の押上げ板の揺動角度を小さく抑えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図7を参照して説明する。
画像形成装置について図1を参照して説明する。図1は縦搬送式の画像形成装置を模式的に示す断面図である。図において1は画像形成装置本体、2はこの画像形成装置本体1の下段部に設けられた給紙カセット4を装填するカセット装填部で、これは画像形成装置本体1の側面部に形成された開口部を通して給紙カセット4を挿入、抜出しすることができる。3は画像形成装置本体1の中段部に設けられ記録紙Pを上向きに上下方向に沿って搬送しながら電子写真方式により画像を形成する画像形成機構である。5は給紙カセット4に積層された記録紙Pを繰出す給紙機構である給紙ローラ、6は繰出された記録紙Pを画像形成機構3へ搬送する搬送ローラ、7は画像形成機構3により画像を形成された記録紙Pを画像形成装置本体1に設けられた排紙受け部8へ排出する排出ローラである。なお、図1において給紙カセット4はカセットケース11、押上げ板12および弾性部材13のみを示している。
【0019】
給紙カセット4について図2ないし図7を参照して説明する。図2は給紙カセットの平面図、図3は給紙カセットの主要部を拡大して示す平面図、図4および図5は夫々給紙カセットに記録紙を装填している状態を示す断面図である。
【0020】
図において11はカセットケースで、これは上面部が開放された矩形をなし、上面開放部から記録紙Pを出し入れできるようになっている。図2および図3ではカセットケース11の上端が、図4ないし図7では右端が夫々給紙方向下流側端である。
カセットケース11はその幅方向に沿って水平に移動して画像形成装置本体のカセット装填部2に挿入、抜出しするもので、図2では右側から左側へ移動してカセット装填部2に挿入する。
12はカセットケース11の内部に配置された押上げ板で、これはカセットケース11の幅よりやや小さい幅と長さの3分の2程の長さを有する矩形をなすもので、カセットケース11の給紙方向上流側端部に寄って配置されている。
【0021】
押上げ板12は給紙方向上流側端部がカセットケース11に設けられた図示しない給紙方向に対して直交する枢軸に支持されて上下方向揺動可能に設けられ、給紙方向下流側端部がカセットケース11の底面部にケース幅方向に沿って間隔を置いて配置された例えば圧縮コイルばねからなる弾性部材13により押上げられている。押上げ板12は記録紙P積層して載置される下側の記録紙セット位置Aと、積層された記録紙Pを最上層から繰出す上側の給紙位置Bとの間を揺動する。
なお、押上げ板12の給紙方向下流側端縁においてカセットケース11を画像形成装置本体1のカセット装填部に装填する際に外側となる側方の側縁とが交差する角部に近い部分に、カセットケース11の外側へ向けて給紙方向下流側へ突出する突出片19が形成されている。
【0022】
14は分離爪で、これはカセットケース11の内部において押上げ板12の給紙方向下流側端縁の幅方向両側縁が交差する角部に近い部分の下側に夫々配置された一対をなすものである。これら分離爪14はカセットケース11の底面部に当接する本体部14aの給紙方向上流側端に上向きに延びる枢支端部14bが、給紙方向下流側端部に上向きに延びる爪端部14cが夫々形成されている。枢支端部14bは押上げ板12の幅方向両側縁の外側に位置し、上端が押上げ板12の給紙位置Bより高い位置で支持部材16に設けた給紙方向に対して直角な枢軸15に支持され、分離爪14を上下方向に揺動可能な構成としている。爪端部14cは押上げ板12の給紙方向下流側端縁に対して下流側に位置し、上端が押上げ板12より上側に突出して押上げ板12に積層載置された記録紙Pを上側から押えるようになっている。
【0023】
また、給紙カセット4を画像形成装置本体1のカセット装填部に挿入、抜出しする際に開口部側に位置する分離爪14には、給紙方向下流側端部(押上げ板12とは反対側)に向けて突出する係合片部14dが形成されている。この係合片部14dは、分離爪14が後述するように停止部材18により押上げ板12が停止される位置まで上側へ揺動した際に停止部材18に下側から係合する。
すなわち、分離爪14は押上げ板12に積層載置された記録紙Pに載って振上げ揺動され、停止部材18により押上げ板12が停止される位置と給紙位置Bとの間を揺動するようになっている。
なお、カセットケース11には分離爪14を停止部材18により押上げ板12が停止される位置に停止させるストッパ17が設けられている。押上げ板12に形成される突出片19は分離爪14に対して内側に位置して並んでいる。
【0024】
停止部材18は、カセットケース11の内部において押上げ板12の給紙方向下流側端縁の幅方向両側縁が交差する角部に近い部分(すなわち、分離爪14および突出片19が位置する部分)に対向して配置されている。この停止部材18は弾性を有する金属板により形成され、分離爪14および突出片19の両方を覆う幅と押上げ板12の給紙位置Bに相当する程度の高さを有している。停止部材18は垂直に立って配置され、上端部には分離爪14および突出片19に向けて突出するようにく字形に折り曲げられ停止部18aが形成されている。この停止部18aは弾性部材13により押上げられて上向き揺動される押上げ板12に記録紙セット位置Aと給紙位置Bとの間の停止位置Cで係脱可能に係合することで、押上げ板12を停止位置Cに停止させるものである。この実施の形態では停止部18aを停止部材18の上端に形成している。これは停止部18a規定する停止位置Cを給紙位置Bに近い位置に設定して停止位置Cと給紙位置Bとの間の距離を小さくし、停止部18aすなわち停止位置Cから外れた押上げ板12迅速に給紙位置Bに移動させるとともに、記録紙Pが画像形成装置本体1に設けた給紙ローラ6に当る時の衝撃を小さくしようとするためである。
【0025】
そして、この停止部材18は下端がカセットケース11に固定され、この下端を支点として停止部18aが押上げ板12を停止させる第1の位置Dとこの位置Dから給紙方向下流側へ外れた第2の位置Eとの間を弾性により変位可能な構成であり、且つ常時は弾性により第1の位置Dにあって押上げ板12が係脱することを可能にしている。
【0026】
さらに、停止部材18には停止部18aとは反対側、すなわち押上げ板12とは反対側に突出する作動部18bが形成されている。画像形成装置本体1におけるカセット装填部2には、給紙カセット4を装填する際に最終段階で停止部材18の作動部18bに衝突する停止解除部材20が設けてあり、この停止解除部材20は給紙カセット4の進入に伴い作動部18bを停止部材18が停止部18aとは反対側へ向けて強制的に変位させ、この結果停止部材18全体を第1の位置Dから第2の位置Eへ向けて弾性により変位させるものである。
【0027】
このように構成された給紙カセット4の作動について述べる。
【0028】
給紙カセット4を画像形成装置本体1に装填する前は、停止部材18は弾性により第1の位置D位置にある。押上げ板12は弾性部材13により押し上げられ、また分離爪14は押上げ板12により爪端部14cが押し上げられて枢軸15を中心として上向きに揺動する。分離爪14は係合片部14dが停止部材18の停止部18aに下側から当たって揺動が停止される。押上げ板12は分離爪14の爪端部14cに当たって停止位置Cに停止される。
【0029】
カセットケース11に記録紙Pをセットする場合には、使用者が手で押上げ板12を弾性部材13の力に抗して押し下げ、カットされた記録紙Pを積層してカセットケース11の内部に入れて押上げ板12の上面に載置する。分離爪14は爪端部14cが押上げ板12の支持を失うので自重で枢軸15を中心として下向きに揺動する。手を離すと押上げ板12が弾性部材13により押し上げられ、押上げ板12に載置された記録紙Pの最上層が分離爪14の爪端部14cに当たる。これにより分離爪14は爪端部14cが押し上げられて枢軸15を中心として上向きに揺動するが、係合片部14dが停止部材18の停止部18aに下側から当たって分離爪14の上向きの揺動が停止される。
【0030】
これにより押上げ板12は給紙方向下流側端部が上向きとなる傾斜した状態で停止する。この停止する位置は記録紙セット位置Aと給紙位置Bとの中間にある停止位置Cで、この実施の形態では給紙位置Bに近い位置である。ここで、押上げ板12が傾斜した状態で停止するために、押上げ板12に積層して載置された記録紙Pは全体が自重で押上げ板12の傾斜に沿って給紙方向上流側へ滑り落ち、その給紙方向上流側端縁が、カセットケース11における給紙方向上流側端壁(給紙方向に対して直角)またはカセットケース11の内部において給紙方向上流側端部に配置された図示しない板材(給紙方向に対して直角)に当接する。このため、積層された記録紙P全体は一定位置に整然と揃えることができる。
【0031】
次いで、給紙カセット4を図2に示すように向きを設定してF方向に水平に移動して画像形成装置本体1のカセット装填部2に挿入して装填する。ここで、押上げ板12に載置された記録紙Pは停止部材18の停止部18aにより給紙位置B、すなわち記録紙Pが給紙ローラ5と当たる位置より低い停止位置Cで停止している。このため、給紙カセット4を画像形成装置本体1のカセット装填部2に挿入する場合に、記録紙Pが画像形成装置本体1に設けた給紙ローラ5と干渉することがなく、給紙カセット4をカセット装填部2にスムーズ且つ容易に挿入することができる。
【0032】
そして、給紙カセット4をその挿入方向外側に位置する側部近くまでカセット装填部2へ挿入すると、停止部材18の作動部18bがカセット装填部2に設けた停止解除部材20に当り、給紙カセット4の挿入移動に連れて停止部材18の作動部18bが給紙方向下流側へ向けて押されて移動する。例えば、停止解除部材20は、給紙カセット4の挿入移動に連れて停止部材18の作動部18b給紙カセット4の外側へ向け押されて移動させるように、カセット装填部2の挿入方向に沿って内部向かうに従い給紙方向下流側へ向けて傾斜する傾斜縁20aを有し、停止部材18の作動部18bは傾斜縁20aに接触した状態で移動する
このため、停止部材18は第1の位置Dより給紙方向下流側へ向けて変位し、分離爪14の係合片部14dと係合している停止部18aが同じ向きに第2の位置Eまで弾性的に変位して分離爪14の係合片部14dから外れる。
【0033】
そうすると停止部材18により分離爪14の爪端部14cを介して押上げ板12に加わっていた押えが解除されて、押上げ板12が弾性部材13により押上げられて上向きに揺動する。この時、分離爪14も押上げ板12に載置された記録紙に押し上げられて枢軸15を中心として上向きに揺動して本体部14aがストッパ17に当たって停止位置Cで停止する。これにより押上げ板12に載置された記録紙Pも分離爪14の爪端部14cに当たって上向きに揺動していた押上げ板12が給紙位置Bで停止する。
【0034】
ここで、押上げ板12が停止部材18から外れて上側へ揺動して停止位置Cから積層載置された記録紙Pが給紙位置Bにある給紙ローラ5および分離爪14の爪端部14cに衝突するまでの距離が、記録紙セット位置Aから給紙位置Bまで揺動する距離に比較して大変短くなる。従って記録紙Pが給紙ローラ5および分離爪14の爪端部14cに衝突する時の衝撃が弱く衝突音も小さい。
これにより押上げ板12に載置する記録紙Pの枚数の多少かかわらず記録紙Pが給紙ローラ5および分離爪14の爪端部14cに衝突する時衝突音が小さい。
【0035】
また、分離爪14は記録紙セット位置Aと押上げ板12が停止される停止位置Cとの間で上下方向に揺動可能なものであり、且つ停止手段として停止位置Cで分離爪14を上側から係脱可能に係合して押上げ板12を停止させる停止部材18を用いるので、停止部材(停止手段)18を分離爪14と組合せてその動作に応じた簡素な構成で得ることができ、且つ分離爪14が揺動して押上げ板12が停止位置Cから給紙位置Bまで揺動する間に押上げ板12上の記録紙Pを安定して保持できる。
【0036】
停止部材18は、押上げ板12を停止位置Cで停止させる第1の位置Dとこの第1の位置Dから外れた第2の位置Eとの間を弾性により変位可能であり、且つ常時は弾性により第1の位置Dにあって押上げ板12に係脱可能に係合しているので、停止部材18は簡単な動作でその機能を果たすことができる。
特にカセットケース11を画像形成装置本体1に挿入する時に停止部材18を停止位置Cから外す動作を行わせることが可能となる。このため、分離爪14を揺動可能にして押上げ板12と組合せることにより、分離爪14が押上げ板12の揺動とともに変位して押上げ板12に積層した記録紙Pを給紙位置Bで円滑に押えることができる。
【0037】
図6は押上げ板12上に載置した記録紙Pが全て送り出された状態を示す給紙カセットの断面図である。
【0038】
図7は押上げ板12上に載置した記録紙Pが全て送り出された後に押上げ板12を下向きに揺動させる状態を示す給紙カセットの断面図である。この場合、押上げ板12を給紙位置Bから押し下げると、押上げ板12に形成された突出片19が第1の位置Dにある停止部材18の停止部18aに衝突して停止部材18を第2の位置E方向へ弾性変位させて通過する。
【0039】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、種々変形して実施することができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、記録紙が積層された押上げ板を記録紙セット位置と給紙位置との間の停止位置に一旦保持するようにしたので、押上げ板が停止位置から給紙位置に達する時の押上げ板の揺動角度を小さく抑えることができる。
しかも、給紙カセットを画像形成装置本体に挿入する時に、押上げ板が給紙位置よりも低い停止位置に保持されているので、押上げ板に載置された記録紙が画像形成装置本体の給紙機構に衝突することはなく、給紙カセットを画像形成装置本体に円滑に挿入することができる。
さらに、給紙カセットを画像形成装置本体に挿入した時に、押上げ板を給紙位置に向けて適切に動作させることができる。この際、押上げ板の揺動角度が小さいので、押上げ板の上に載置された記録紙が分離爪や給紙機構に衝突する時の衝突音が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における給紙カセットを備えた画像形成装置を模式的に示す図。
【図2】同実施の形態における給紙カセットを示す平面図。
【図3】同実施の形態における給紙カセットの要部を拡大して示す平面図。
【図4】同実施の形態における給紙カセットの要部を拡大して示す断面図。
【図5】同実施の形態における給紙カセットの要部を拡大して示す断面図。
【図6】同実施の形態における給紙カセットの要部を拡大して示す断面図。
【図7】同実施の形態における給紙カセットの要部を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
1…画像形成装置本体、3…画像形成機構、4…給紙カセット、5…給紙機構(給紙ローラ)、11…カセットケース、12…押上げ板、13…弾性部材、14…分離爪、14c…爪端部、18…停止手段(停止部材)、18a…停止部、20…停止解除部材、P…記録紙。

Claims (7)

  1. 上面部が開放され、内部に記録紙を積層して収容可能なカセットケースと、
    前記カセットケースの内部に配置され、前記カセットケースに積層して収容される記録紙が載置される下側の記録紙セット位置と、載置された記録紙の分離、繰出しが可能な上側の給紙位置との間で上下方向に揺動するように前記カセットケースに枢支された押上げ板と、
    前記押上げ板に対して上向きの力を加えることで、前記押上げ板を前記給紙位置に向けて前記カセットケースの底面部から常に押上げている弾性部材と、
    前記カセットケースに上下方向に揺動可能に枢支され、前記押上げ板より上側に突出されて前記押上げ板に載置された前記記録紙を上側から押える爪端部を有する分離爪と、
    前記記録紙が載置されて前記弾性部材により上向きに押上げられている前記押上げ板を、前記記録紙セット位置と前記給紙位置との間の停止位置で一旦停止させる停止手段と、を具備することを特徴とする給紙カセット。
  2. 前記分離爪は、前記給紙位置と前記押上げ板が一旦停止される停止位置との間で上下方向に揺動可能であり、且つ前記停止手段は、前記停止位置で前記分離爪に上側から係脱可能に係合することで前記押上げ板を一旦停止させる停止部を有することを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
  3. 前記停止手段は、弾性により常に第1の位置に保持されて、前記停止部が前記停止位置に押上げられた前記押上げ板に係脱可能に係合していることを特徴とする請求項2に記載の給紙カセット。
  4. 前記カセットケースは、カセット装填部に挿入および抜出し可能に装填され、前記押上げ板は、前記カセットケースが前記カセット装填部に挿入される以前から前記弾性部材により押上げられて、前記押上げ板に載置された前記記録紙が前記分離爪の爪端部に当たっていることを特徴とする請求項1に記載の給紙カセット。
  5. 画像形成装置本体と、
    前記画像形成装置本体に設けられた画像形成機構と、
    前記画像形成装置本体に挿入および抜出し可能に装填される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の給紙カセットであって、その押上げ板は、カセットケースが前記画像形成装置本体に挿入される以前から弾性部材により押上げられて、分離爪の爪端部が前記押上げ板に載置された記録紙を上側から押さえている給紙カセットと、
    前記画像形成装置本体に設けられ、前記給紙カセットが前記画像形成装置本体に挿入された時に、前記給紙カセットが有する停止手段を前記押上げ板から外す停止解除手段と、
    前記給紙カセットに収容された記録紙を前記画像形成機構へ送る給紙機構と、を具備することを特徴とする画像形成装置。
  6. 記録紙を積層して収容可能なカセットケースと、
    前記カセットケース内に配置され、記録紙セット位置と、この記録紙セット位置よりも上方に位置する給紙位置との間で上下方向に変位可能であるとともに、常に給紙位置に向けて弾性的に押上げられた押上げ板と、
    前記カセットケースに上下方向に揺動可能に枢支されるとともに、前記押上げ板より上側に突出された爪端部を有する分離爪と、を備えた給紙カセットを含み、
    前記給紙カセットのカセットケースに収容された記録紙を繰出すための方法であって、
    前記カセットケース内の押上げ板を前記記録紙セット位置に押し下げて前記記録紙を前記カセットケース内に収容するとともに、この記録紙を前記押上げ板の上に載置し、
    前記押上げ板の押し下げを解除することで、前記押上げ板に載置された前記記録紙を前記分離爪の爪端部に当てて、この爪端部で前記記録紙を上側から押えるとともに、前記押上げ板を前記記録紙セット位置と前記給紙位置との間の停止位置で一旦停止させ、
    前記カセットケースに収容された最上位の記録紙を前記カセットケースから繰出す時に、前記押上げ板を前記停止位置から前記給紙位置に向けて変位させること、を特徴とする給紙方法。
  7. 前記押上げ板が前記記録紙セット位置から前記給紙位置に向けて変位する時に、前記カセットケースに支持された停止部材を前記押上げ板に係合させることで、前記押上げ板を前記停止位置に停止させるとともに、
    前記停止部材を前記押上げ板から外すことで、前記押上げ板が前記停止位置から前記給紙位置に向けて弾性的に変位することを特徴とする請求項6に記載の給紙方法。
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