JP4458231B2 - ポリアミドおよび樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(1)延伸フィルムを200MV/mの電界で分極処理を行った際の残留分極が30mC/m2以上である。
(2)25℃における1g/dl濃度の96%濃硫酸溶液の相対粘度が1.3〜5.0である。
(3)示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度が80℃以下、かつ降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
(4)25℃で、メタノール、エタノール、および2−プロパノールからなる群から選ばれた少なくとも1種に、5質量%以上可溶である。
(1)残留分極
ポリアミドを既知の方法により溶融成形し、厚み約50〜300μmのフィルムとする。このフィルムを同時二軸延伸もしくは一軸延伸を行う。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったままガラス転移温度以上、融点以下の温度で10〜30秒間熱処理を行う。得られた延伸フィルムの両面に、真空蒸着装置を用いてAlを蒸着し、電極とする。このフィルム両面の電極間に最大200MV/mの0.1Hzの正弦波電界を印加する。この時流れる電流をチャージアンプで積分した分極Dを測定、電場Eに対してプロットし、そのヒステリシス曲線からE=0の時のDの値を求め残留分極とする。
(2)相対粘度
ポリアミドの相対粘度(ηr)は、1g/dl濃度の96%硫酸溶液を25℃恒温下において、キャノンフェンスケ型粘度計を使用して測定した。
(3)融点、ガラス転移温度、及び降温時結晶化発熱ピークの熱量
ポリマーの融点(Tm)は島津製作所製DSC/TA−50WS型示差走査熱量計を使用し、結晶化させ、乾燥させた試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/分)気流中、昇温速度10℃/分で測定した。ガラス転移温度(Tg)は、昇温速度10℃/分で270℃まで昇温し3分間保持した後、急冷し、昇温速度10℃/分で再昇温して測定した。その際、ベースラインに不連続的部分が現れる領域の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度とした。また、降温時結晶化発熱ピークの熱量(以下「ΔHc」という)は、昇温速度10℃/分で270℃まで昇温、270℃で3分間保持した後、5℃/分の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から求めた。
(4)溶解性
溶剤として、メタノール、エタノール、2−プロパノールに対する5質量%での溶解性を測定した。ポリマーペレットあるいは粉砕物0.5gと溶剤9.5gを冷却管を付けた50ml三角フラスコに加え、マグネチックスターラーで攪拌しながら溶剤の沸点で30分加熱還流した。その後、25℃まで冷却し、溶解状態を目視で判断し、以下の基準で評価した。
○:ポリアミドのほとんどが溶解し、冷却後24時間後に溶液状態を保持、
△:一度溶解するが冷却後1時間以内に析出、
×:溶解しない。
撹拌機、分縮器、温度計および窒素ガス導入管を備えた内容積5リットルの反応缶に、ジアミンとして2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(デュポン社製)726.4g(6.25mol)と、同モルのジカルボン酸としてアゼライン酸(東京化成工業(株)製、純度99モル%以上)1176.5g、および蒸留水480gを入れ、十分窒素置換した。反応缶を密閉状態にした後、内温を215〜220℃、内圧を1.9MPaまで昇温、昇圧し、内圧1.9MPaを保持したまま70分間反応缶内の水蒸気を排出した。その後110分を要して内温を235℃まで昇温し、同時に内圧を0.1MPaまで落圧した。その後反応系内圧を80kPaまで10分間で連続的に減圧し、その後、反応温度を260℃まで連続的に昇温させ80分間、反応を継続した。得られたポリアミドの物性を表1に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、以下の方法で作製した。ポリアミドを単軸押出機(スクリュー径20mm、L/D:25、スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法により、シリンダー温度190〜200℃、Tダイ温度195℃、スクリュー回転数70rpmの条件下で、厚み約200μmのフィルムを得た。このフィルムを東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、60℃で20秒間予備加熱した後、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ3.5倍の条件で、縦、横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま100℃の雰囲気中で10秒間熱処理を行った。得られた厚み10〜20μmの延伸フィルムを用いた。真空蒸着装置は、日本電子製JEE−400型真空蒸着装置を用いて、5mm×8mmのAlを蒸着し、電極とした。
ジカルボン酸としてコグニス社製EMEROX1144(ジカルボン酸99.97%、アゼライン酸93.3モルl%)を使用した以外は実施例1と同様な方法でポリアミドを得た。得られたポリアミドの物性を表1に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、実施例1と同様に作製した。
ジカルボン酸としてコグニス社製EMEROX1144(ジカルボン酸99.97%、アゼライン酸93.3モル%)/イソフタル酸(モル比:80/20)混合物を使用した以外は実施例1と同様な方法でポリアミドを得た。得られたポリアミドの物性を表1に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、実施例1と同様に作製した。
ジアミン成分として2−メチル−1,5−ペンタンジアミン/メタキシリレンジアミン(モル比80/20)混合物を使用した以外は実施例2と同様な方法でポリアミドを得た。得られたポリアミドの物性を表1に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、実施例1と同様に作製した。
ジカルボン酸としてコグニス社製EMEROX1144(ジカルボン酸99.97%、アゼライン酸93.3モル%)/イソフタル酸(モル比:80/20)混合物を使用し、ジアミン成分として2−メチル−1,5−ペンタンジアミン/1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(モル比70/30)混合物を使用した以外は実施例1と同様な方法でポリアミドを得た。得られたポリアミドの物性を表2に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、実施例1と同様に作製した。
ジカルボン酸としてセバシン酸を使用した以外は実施例1と同様な方法でポリアミドを得た。得られたポリアミドの物性を表2に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、実施例1と同様に作製した。
ジアミン成分として1,6−ジアミノヘキサンを使用した以外は実施例2と同様な方法でポリアミドを得た。得られたポリアミドの物性を表2に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、実施例1と同様に作製した。
ナイロン11(アトフィナ社製 商品名:リルサンB)を用いて同様に測定した物性を表2に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、以下の方法で作製した。単軸押出機(スクリュー径20mm、L/D:25、スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法により、シリンダー温度250〜265℃、Tダイ温度260℃、スクリュー回転数50rpmの条件下で、厚み約50μmのシートを得た。このシートを東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、90℃で数秒間予備加熱した後、延伸倍率が3.5倍の条件で、押出し方向に一軸延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま180℃の雰囲気中で10秒間熱処理を行った。得られた厚み15〜20μmの延伸フィルムを用いた。
ポリメタキシリレンアジパミド(三菱瓦斯化学株式会社製 商品名:MXナイロン)を用いて同様に測定した物性を表3に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、以下の方法で作製した。まず、まず比較例3と同様な方法で厚み約50μmのフィルムを得た。次にこのフィルムを東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、95℃で数秒間予備加熱した後、延伸倍率が4.0倍の条件で、押出し方向に一軸延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま200℃の雰囲気中で10秒間熱処理を行った。得られた厚み15〜20μmの延伸フィルムを用いた。
ポリヘキサメチレンイソフタラミドにテレフタラミドを30モル%共重合した樹脂(デュポン社製 商品名:シーラーPA3426)を用いて同様に測定した物性を表3に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、以下の方法で作製した。まず比較例3と同様な方法で厚み約50μmのフィルムを得た。次にこのフィルムを東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、140℃で数秒間予備加熱した後、延伸倍率が3.0倍の条件で、押出し方向に一軸延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま180℃の雰囲気中で10秒間熱処理を行った。得られた厚み15〜20μmの延伸フィルムを用いた。
ナイロン6/66/610/12樹脂(東レ株式会社製、商品名:アミランCM8000)を用いて同様に測定した物性を表3に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは、以下の方法で作製した。まず、まず比較例3と同様な方法で厚み約50μmのフィルムを得た。次にこのフィルムを東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、90℃で数秒間予備加熱した後、延伸倍率が3.0倍の条件で、押出し方向に一軸延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま200℃の雰囲気中で10秒間熱処理を行った。得られた厚み15〜20μmの延伸フィルムを用いた。
(1)体積抵抗率
JIS K6911の方法によって測定した。
(2)制振性
制振性は動的粘弾性の損失弾性率により評価した。損失弾性率が高いほど制振性が高い。樹脂組成物を熱プレスにより200℃で成形し、厚み約1mmのシートとした。得られたシートを5mm×25mmに切り出し、試験片とした。得られた試験片を、動的粘弾性測定装置(株式会社東洋精機製作所製、レオログラフソリッドS−1)を用いて、0〜100℃、昇温速度2℃/分、周波数13Hzの条件で測定し、得られた損失弾性率のピーク値により評価した。
実施例2のポリアミド90重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)10重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例2のポリアミド76.5重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)15重量部と、アニオン系界面活性剤含有ポリエーテル共重合ポリエステル(竹本油脂株式会社製、商品名:MGA−902)8.5重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例3のポリアミド90重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)10重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例3のポリアミド90重量部と、導電性カーボンファイバー(三菱化学株式会社製、商品名:ダイアリードK223SE)10重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例3のポリアミド81重量部と、可塑剤(富士アドケミカル株式会社製、商品名:トップサイザー5号)9重量部、導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名:ケッチェンブラックEC)10重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例3のポリアミド80重量部と、導電性カーボン粉末(株式会社エスイーシー製、商品名:SNO−10)20重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例2のポリアミド63重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)7重量部と、マイカ(株式会社山口雲母工業所製、HB−82)30重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例2のポリアミドを試料とした。物性を表4に示す。
実施例2のポリアミド90重量部と、酸化チタン(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−60)10重量部を二軸押出機を用いて240℃ で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表4に示す。
実施例3のポリアミドを試料とした。物性を表4に示す。
ナイロン6(宇部興産株式会社製、商品名:UBEナイロン1024B)を試料とした。物性を表5に示す。なお、延伸フィルムを200MV/mの電界で分極処理を行った際の残留分極が14mC/m2であった。残留分極測定に用いた延伸フィルムは以下の方法で作製した。単軸押出機(スクリュー径:20mm、L/D:25、スクリュー形状:フルフライト)を用い、Tダイ法により、シリンダー温度240〜250℃ 、Tダイ温度245℃ 、スクリュー回転数50rpmの条件で厚み約50μmのフィルムを得た。このフィルムを株式会社東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、90℃で数秒間予備加熱した後、延伸倍率が3.5倍の条件で、押出方向に一軸延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま200℃の雰囲気下で10秒間熱処理を行った。得られた厚み15〜20μmの延伸フィルムを用いた。また、損失弾性率の測定に用いたシートは、樹脂組成物を熱プレスにより260℃ で成形し、実施例6と同様な試験片を作製した。物性を表4に示す。
ナイロン6(宇部興産株式会社製、商品名:UBEナイロン1024B)90重量部と導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)10重量部を二軸押出機を用いて260℃で混練した。物性を表4に示す。
比較例6のポリアミドを試料とした。物性を表4に示す。
比較例6のポリアミド90重量部と、導電性カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)10重量部を二軸押出機を用いて260℃で混練した。物性を表4に示す。
Claims (15)
- 2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを50モル%以上含むジアミン成分とアゼライン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドであって、下記の(1) ないし(4)の性状を有するポリアミド。
(1)延伸フィルムを200MV/mの電界で分極処理を行った際の残留分極が30mC/m2以上である、
(2)25℃における1g/dl濃度の96%濃硫酸溶液の相対粘度が1.3〜5.0である、
(3)示差走査熱量計で測定されるガラス転移温度が80℃以下、かつ降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である、
(4)25℃で、メタノール、エタノール、および2−プロパノールからなる群から選ばれた少なくとも1種に、5質量%以上可溶である。 - ジアミン成分が2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを70モル%以上含有し、ジカルボン酸成分がアゼライン酸を70モル%以上含有する請求項1記載のポリアミド。
- ジアミン成分が、1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、メタキシリレンジアミン、および1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも1種を50モル%未満含有する請求項1又は2に記載のポリアミド。
- ジカルボン酸成分が、グルタル酸、スベリン酸、ウンデカン二酸、イソフタル酸、および1,3−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種を50モル%未満含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド。
- ジアミン成分が、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを90モル%以上含有し、ジカルボン酸成分が、アゼライン酸を90モル%以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド。
- ジアミン成分とジカルボン酸成分の成分比率はモル比で、1:0.9〜1:1.1である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド。
- ジカルボン酸成分が、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸塩化物、活性アシル誘導体、およびジニトリルからなる群から選ばれた少なくとも1種のジカルボン酸誘導体である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド。
- ジアミン成分が、ジアミン、N-アセチルジアミン、ジイソシアナート、およびN-シリル化ジアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種のジアミン誘導体である請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド。
- ジカルボン酸成分、ジアミン成分、およびアミド結合生成性化合物の合計に対し50モル%未満が、アミド結合生成性化合物により得られたものである請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリアミド。
- アミド結合生成性化合物が、δ−バレロラクタム、5−アミノペンタン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、および11−アミノウンデカン酸からなる群から選ばれた少なくとも1種のアミド結合生成性化合物である請求項9記載のポリアミド。
- 請求項1記載のポリアミドと導電性材料とを含有する樹脂組成物。
- 樹脂組成物が、体積抵抗率1012Ω・cm以下である請求項11記載の樹脂組成物。
- 導電性材料が、無機系又は有機系である請求項11記載の樹脂組成物。
- 樹脂組成物が、さらに振動エネルギー吸収用フィラーを含有する請求項11記載の樹脂組成物。
- 該フィラーが、マイカ鱗片、ガラス片、ガラス繊維、カーボン繊維、炭酸カルシウム、バライト、および沈降性硫酸バリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項14記載の樹脂組成物。
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