JP4457507B2 - 引き抜き成形用樹脂組成物および引き抜き成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き抜き成形用樹脂組成物とこれを用いた引き抜き成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂を繊維状補強材に含浸して、成形する引き抜き成形法、またはプルトルージョン法では、樹脂成分として、不飽和ポリエステル樹脂組成物やビニルエステル樹脂組成物等のラジカル共重合性不飽和樹脂組成物が用いられている。
【0003】
しかし、これらのラジカル共重合性不飽和樹脂組成物は、ラジカル共重合性不飽和樹脂とラジカル共重合性モノマーを主成分からなる組成物であり、これらの組成物は、硬化時に体積収縮する性質を持つため、特に成形物の長手方向とその直角方向の収縮量の差により、縦、横の寸法が合わなくなり、硬化後、成形体の反り、変形、場合によってはクラック等の不具合が生ずる。
【0004】
そのため、上記の不具合を改善すべく、ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物に、更に低収縮剤として、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を添加する方策が採られている。
【0005】
しかし、これらの低収縮剤は、ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物との相溶性に乏しく、樹脂組成物の一液化が困難である。そのため、引き抜き成形用樹脂組成物の保存安定性が乏しかったり、引き抜き成形用樹脂組成物の繊維強化材への含浸が困難となったり、あるいは、樹脂が含浸された繊維状補強材(以下、プリプレグと記す。)中の樹脂が分離し、含浸、硬化が不均一となる問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ラジカル共重合性不飽和樹脂からなる引き抜き成形用樹脂組成物において、優れた保存安定性と、プリプレグの硬化時の低収縮性を両立する引き抜き成形用組成物と、それを用いた、寸法変化の少ない引き抜き成形品にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、引き抜き成形用樹脂組成物として、ラジカル共重合性不飽和樹脂と熱可塑性樹脂からなる低収縮剤に、特定の相溶化剤を配合することで、上述の問題点が解決することを見出し、発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、ラジカル共重合性不飽和樹脂(A)、高分子系低収縮剤(B)、及び前記不飽和樹脂(A)と前記低収縮剤(B)とを相溶化させるための相溶化剤(C)とを必須成分とするラジカル共重合性不飽和樹脂組成物であって、相溶化剤(C)が、連鎖(C1)としてスチレン系モノマーを主成分とする不飽和単量体と、連鎖(C2)を形成する片末端に(メタ)アクリロイル基またはスチリル基を有するポリオキシアルキレンエーテルとを付加共重合して得られるグラフと共重合体であり、前記連鎖(C2)中のオキシエチレン−ユニット(単位)の含有量が20〜100重量%であるラジカル共重合性不飽和樹脂組成物を繊維強化材に含浸し引き抜き成形して得られる引き抜き成形品に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の引き抜き成形用樹脂組成物について説明する。
【0010】
本発明に用いる、ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物(A)とは、ラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)と重合性不飽和単量体(A2)とからなるものである。更に必要に応じて、重合禁止剤、硬化剤、充填剤、強化剤、内部離型剤、着色剤、その他の添加剤を加えることができる。ラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂、又は、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0011】
まず、本発明にラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)として使用する不飽和ポリエステル樹脂について説明する。
【0012】
本発明に使用される不飽和ポリエステルの組成は、特に制限されるものではなく、α,β−不飽和カルボン酸または場合により飽和カルボン酸を含むα,β−不飽和カルボン酸と多価アルコールとから得られるものである。
【0013】
α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロロマレイン酸、あるいは、これらのジメチルエステル類などが挙げられる。これらのα,β−不飽和カルボン酸はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、飽和カルボン酸としては、例えばフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸などが挙げられる。これらの飽和カルボン酸はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0014】
ー方、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2メチルー1,3プロパンジオール、、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフエノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等のグリコール類などのジオール類、トリメチロールプロパンなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。これらの多価アルコール類はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
さらに、得られた不飽和ポリエステルをグリシジルメタアクリレート、ビスフェノールA型エポキシ等のエポキシ化合物類、トルエンジイソシアネート、イソプロペニル−ジメチル−ベンジルイソシアネートのようなイソシアネート化合物類で変性してもよい。
【0016】
また、ジシクロペンタジエンを添加し、上記α,β−不飽和カルボン酸、飽和カルボン酸および多価アルコールと共に反応し得られるジシクロペンタジエン系不飽和ポリエステルも使用できる。
【0017】
また、回収ポリエチレンーテレフタレート(PET)と多価アルコールを高温で反応させたグリコール分解物を主たる原料とし、上記α,β−不飽和カルボン酸、飽和カルボン酸および多価アルコールと共に反応し得られるPET系不飽和ポリエステルも本発明を適用すれば、問題なく使用できる。
【0018】
次いで、本発明にラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)として使用するにビニルエステル樹脂について、説明する。該ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応によって得られる反応生成物である。
【0019】
前記のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂類、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂類、これらの樹脂の臭素化エポキシ樹脂等のフェノール類のグリシジルエーテル類、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフエノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の多価アルコール類のグリシジルエーテル類、3,4−エポキシー6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂類、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p一アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン類、1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
【0020】
不飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、モノメチルマレート、モノメチルフマレート、モノシクロヘキシルフマレート、あるいはソルビン酸等が挙げられる。これら酸は単独もしくは、2種以上を併せて用いられる。
【0021】
さらに、得られたビニルエステルを無水マレイン酸、無水コハク酸等の酸無水物類、トルエンジイソシアネート、イソプロペニルージメチル−ベンジルイソシアネートのようなイソシアネート化合物等で変性してもよい。
【0022】
次いで、本発明にラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)として使用するビニルウレタン樹脂について、説明する。該ビニルウレタン樹脂とは、ポリオール化合物、有機ポリイソシアネ−ト化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート類とから得られるオリゴマーである。ポリオール化合物とは、分子内に複数の水酸基を有する化合物の総称であるが、水酸基の代わりにイソシアネート基と反応しうる活性水素を有する官能基、例えばカルボキシル基、アミノ基、メルカブト基を有する化合物でも構わない。かかるポリオール化合物としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフインポリオール、ひまし油ポリオール、カプロラクトン系ポリオールなどが挙げられ、それぞれ単独もしくは2種以上を併せて用いられる。有機ポリイソシアネート化合物としては後述のものを用いることができる。
【0023】
有機のポリイソシアネート化合物として特に代表的なもののみを例示すれば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等、または、各種イソシアネート化合物をイソシアヌレート化せしめて得られる多量体類が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併せて用いられる。
【0024】
次いで、本発明にラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)として使用するアクリル樹脂について説明する。該アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸エステルを主たる成分とする重合性不飽和単量体から導かれる熱可塑性アクリル重合体と重合性不飽和単量体から構成されるものである。(メタ)アクリル酸エステルを必須成分とし、必要により上記(メタ)アクリル酸エステル類と共重合可能な他の重合性不飽和単量体を併用し、該単量体溶液を重合して得られるものである。このアクリル重合体は、該重合性単量体に溶解させたシラップの形で用いられるため、分子量10万以下のものが好ましく、懸濁重合、溶液重合等の一般的重合方法で得ることができる。また、該単量体を10〜40重量%を予備重合したシラップをそのまま用いることもできる。
【0025】
本発明に用いるラジカル共重合性不飽和樹脂組成物(A)に使用できる重合性不飽和単量体(A2)として特に代表的なもののみを例示すれば、スチレン類、アクリルエステル類、メタアクリルエステル類、ジアリルフタレートエステル類、カルボン酸ビニルエステル類、ビニルエーテル類等の公知のものが使用できる。しかしこれに限定されるものでなく、樹脂液の用途、要求性能に応じて各種の不飽和単量体を適宜選択し使用することができる。
【0026】
本発明に用いる組成物(A)中の不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ビニルウレタン樹脂あるいはアクリル樹脂等のラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)に対する重合性不飽和単量体(A2)の配合量は、特に限定されるものではないが、ラジカル共重合性不飽和樹脂(A1)と重合性不飽和単量体(A2)の合計100重量部に対して重合性不飽和単量体(A2)が、10〜70重量部である範囲が好ましく、20〜50重量部の範囲内がさらに好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物に利用できる重合禁止剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の重合禁止剤を用いることができる。具体的には、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、一種のみを用いても良く、また、二種以上を適時混合して用いても良い。尚、上記重合禁止剤の添加量は、特に限定されるものではない。
【0028】
本発明の樹脂組成物に利用できる硬化剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の硬化剤を用いることができる。例えば、熱硬化剤、紫外線硬化剤、電子線硬化剤等から選択される1種類以上のものが挙げられる。硬化剤の使用量は、樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。
【0029】
熱硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられ、具体的にはジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系化合物等の公知のものが使用され、成形条件に応じて適宜選択できる。
【0030】
紫外線硬化剤とは、光増感物質である。具体的には、アシルホスフインオキサイド系、ペンゾインエーテル系、ペンゾフエノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系化合物等の公知のものが使用可能であり、成形条件に応じて適宜選択できる。また電子線硬化剤としては、ハロゲン化アルキルベンゼン、ジサルファイド系化合物等が挙げられる。
【0031】
また、前述の硬化剤と併用し、硬化を促進する添加剤(硬化促進剤)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナフテン酸コバルトやオクテン酸コバルト等の金属塩類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)パラトルイジン、ジメチルアセトアセトアミド等の3級アミン類等が挙げられ必要により選択使用できる。
【0032】
本発明に用いられる高分子系低収縮剤(B)としては、特に限定されるものではないが、目的の低収縮化や物性向上(破壊靭性)効果が発揮されるものを成形用途、条件等に応じて適宜選択し、使用することができる。特に代表的なもののみを例示すれば、スチレンを主成分としたポリスチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレンー共役ジエンブロック共重合体スチレン−水添共役ジエンブロック共重合体等が挙げられる。その他、スチレンを含まない(メタ)アクリル酸エステル系重合体、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸−n−ブチルエステル等が挙げられる。また、これら重合体中の二重結合に、他の化合物を反応させたものも用いることができる。
【0033】
前述のスチレン−共役ジエン系ブロック共重合体とは、スチレンと共役ジエンを重合させて得られるスチレン成分と共役ジエン成分からなるブロック共重合体であり、共役ジエン成分としてブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどが用いられる。さらに、これらスチレン−共役ジエンブロック共重合体を水素添加して得られるスチレン−水添共役ジエンブロック共重合体であっても良い。ブロック共重合体の構成単位は特に限定されるものではなく、スチレン−共役ジエン、スチレン−共役ジエン−スチレン、共役ジエン−スチレン−共役ジエンなどのスチレンと共役ジエンの繰り返し単位のものも含まれる。具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0034】
上記の高分子系低収縮剤(B)は、必要に応じ、重合性不飽和単量体を含有してもよい。ここで併用可能な重合性不飽和単量体としては、例えば、前記の重合性不飽和単量体(A2)等が挙げられる。また高分子系低収縮剤(B)と重合性不飽和単量体との配合量は、特に限定されるものではないが、高分子系低収縮剤(B)と重合性不飽和単量体の合計100重量部に対して重合性不飽和単量体(A2)が、10〜70重量部である範囲が好ましく、20〜50重量部の範囲内がさらに好ましい。
【0035】
ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物(A)と高分子系低収縮剤(B)との配合量は、特に限定されるものではないが、ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物(A)と高分子系低収縮剤(B)の合計100重量部(固形分当たり)に対して高分子系低収縮剤(B)が、2〜22重量部(固形分当たり)である範囲が好ましく、3〜13重量部の範囲内がさらに好ましい。
【0036】
次いで、本発明に用いられる相溶化剤(C)は、連鎖(C1)スチレン系モノマーを主成分とし、重合反応により得られる骨格を持ち、且つ、ポリオキシアルキレンエーテルからなるポリエーテル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートを主成分とする連鎖(C2)にもつグラフト共重合体を主成分とし、適宜重合性不飽和単量体に溶解した樹脂組成物である。
【0037】
また、前記グラフト共重合体として、予め不飽和単量体として、エチレンオキサイドを主成分としたポリエーテルの末端に(メタ)アクロイル基等の重合性官能基を有するモノマー(以下ポリエーテル系マクロモノマーと記す。)とスチレン系モノマー類、(メタ)アクリル酸エステルモノマー類の群から選ばれた不飽和単量体との共重合体も含む。
【0038】
上記の連鎖(C1)を構成するために使用できるモノマー成分としては、スチレン系モノマーのみ、またはスチレン系モノマーを主成分とし、他の成分として(メタ)アクリル酸系モノマー等を併用してなる混合物である。スチレン系モノマーとして代表的なもののみ例示すれば、スチレン、ビニルトルエン(メチルスチレン)、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルベンジルアルキルエーテル等が挙げられる。スチレン系モノマーが連鎖(C1)の主成分であると相溶化安定性に優れ望ましい。
【0039】
また、併用できる(メタ)アクリル酸系モノマーの代表例としては、公知の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸グリセリルカーボネート、メタアクリル酸イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸エステルが利用できる。(メタ)アクリル酸エステルの代表的なもののみ例示すれば、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ベンジル、フェニル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ステアリル、ベヘニル、トリフルオロエチルなどのエステル化合物が挙げられ、必要により添加される。
【0040】
本発明の相溶化剤(C)中の連鎖(C2)は、ポリエーテル、ポリエステル、及びポリカーボネートから選ばれる1種以上の連鎖であり、その数平均分子量が好ましくは1000〜20000、より好ましくは2000〜10000であって、合成方法、構造等、特に限定されるものではない。かかる連鎖としてはポリエーテルが好ましい。ポリエーテルとしては、後述するものである。ポリエステルとしては、後述の、α,β−不飽和カルボン酸、または飽和カルボン酸と多価アルコールから得られる飽和及び/または、不飽和ポリエステル、あるいはカプロラクトン等を開環重合して得られるポリカプロラクトン等である。ポリカーボネートとしては、後述の多価アルコールとジメチルカーボネート等の炭酸エステル化合物とを反応して得られるポリカーボネートや、トリメチレンカーボネート等の環状炭酸エステル化合物を開環重合して得られるポリカーボネート等である。これらは、単独もしくは、2種類以上を併せて用いることができる。
【0041】
この連鎖(C2)のポリエーテル連鎖を構成するために使用できる成分としては、開環重合性単量体が利用でき、エチレンオキサイドを成分とし、エチレンオキサイド単独もしくは、エチレンオキサイドと共重合可能な他のアルキレンオキサイドや開環共重合可能な他の環状化合物からなる。他のアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド等が挙げられる。オキシエチレン−ユニット(単位)を主成分とするポリエーテルが好ましい。
【0042】
次に連鎖(C2)のエチレンオキサイド系ポリエーテル連鎖を構成するために使用できる成分としては、開環重合性単量体類の群から選択され、エチレンオキサイドを主成分とし、エチレンオキサイド単独もしくは、エチレンオキサイドと共重合可能なその他のアルキレンオキサイド系単量体や開環共重合可能な他の環状化合物からなる。他のアルキレンオキサイド系単量体としては、例えば、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド等が挙げられる。
【0043】
また、開環共重合が可能なその他の環状化合物としては、酸無水物類、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸等が挙げられる。また、環状エステル化合物類、例えば、カプロラクトン、バレロラクトン等が挙げられる。さらに、環状炭酸エステル化合物類、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリメチレンカーボネート等が挙げられる。その他、環状化合物以外でアルキレンオキサイド系単量体と共重合可能な二酸化炭素も利用できる。
【0044】
本発明の相溶化剤(C)中の連鎖(C2)を形成するエチレンオキサイド系ポリエーテル鎖の数平均分子量が、1000〜20000であることが、性能及び合成上望ましく、数平均分子量3000〜8000の範囲が特に望ましい。
【0045】
エチレンオキサイドを成分とし、これらの開環重合性単量体を共重合して得られる連鎖(C2)のポリエーテル連鎖の構造については、該ラジカル共重合性不飽和樹脂との相溶性が発揮されるものであれば特に限定しない。例えば、エチレンオキサイドとのランダム共重合やブロック共重合でもかまわない。また、連鎖(C2)は、分子量1000以下のエチレンオキサイド系ポリエーテルポリオール化合物やグリコール化合物等とジカルボン酸化合物、ジイソシアネート化合物、炭酸エステル化合物、ジグリシジルエーテル化合物等を用いて伸長させ、好ましくは数平均分子量が1000〜20000になるようなものでも良い。なおポリエーテル系連鎖は、直鎖状でも分岐状でもかまわないが、合成上、直鎖状の連鎖が望ましい。
【0046】
連鎖(C2)中のオキシエチレン−ユニット(単位)の含有量は、好ましくは20〜100重量%、特に望ましくは60〜100重量%である。残りの成分は、好ましくはオキシエチレン系以外のポリエーテル、ポリエステル及び/又はポリカーボネートである。これは、主成分のオキシエチレン鎖が該ラジカル共重合性不飽和樹脂と分子間力により密接に配位し、アンカー成分として働き、安定分散において極めて重要な成分となるからである。むろん、オキシエチレン鎖以外の成分は、目的の相溶化効果を高めたり、相溶化以外効果も付与するように設計、選択、利用される。
【0047】
グラフト共重合体の製造法としては、特に限定されるものではないが、一般的には、▲1▼連鎖(C1)のみを予め合成し、別途合成された連鎖(C2)を高分子反応にて結合させ、目的の(C)を得る法、▲2▼(C1)のみを予め合成し、(C2)を構成する開環重合性単量体を(C1)中の活性部位を起点とし開環重合させる方法、▲3▼(C1)を構成する不飽和単量体と、予め合成されたポリエーテル鎖(C2)としての片末端に共重合可能な重合性官能基を有するマクロモノマーとを付加共重合させて目的の(C)を得る方法がある。本発明の相溶化剤の製造法としては、均質な重合体が得られ易いポリエーテル系マクロモノマーを用いる▲3▼の合成方法が望ましい。
【0048】
本発明のグラフト共重合体に使用できるポリエーテル系マクロモノマーとしては、前述の連鎖(C2)の末端に、連鎖(C1)を構成する不飽和単量体と共重合可能な重合性官能基を有するものである。その官能基としては、一般にエチレン性不飽和基である。具体的には、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、フマリル基、マレイル基などが挙げられる。これらの官能基を有する化合物を、前述の直鎖状ポリエーテル連鎖の片末端にのみに化学的に結合させたものが特に好ましい。
【0049】
具体的には、ポリエチレンオキサイドのモノ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリエチレンオキサイドのモノビニルベンジルエーテル類、ポリエチレンオキサイドのモノビニルエーテル類、ポリエチレンオキサイドのモノアリルエーテル類、ポリエチレンオキサイドのモノクロトン酸エステル類、イソシアネートエチルメタアクリル酸エステルとポリエチレンオキサイドの当モル反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和単量体とポリエチレンオキサイドをイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物介して結合させた化合物等も利用できる。その他、ポリエステル系マクロマーとしてポリカプロラクトンのモノ(メタ)アクリル酸エステル等や、ポリカーボネート系マクロモノマーとしてポリトリメチレンカーボネートのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。結果として、本発明の目的の相溶化剤として機能するグラフト共重合体が得られれば、マクロモノマーの詳細な化学的構造は限定しない。
【0050】
本発明のグラフト共重合体において、連鎖(C2)中のポリエーテル鎖の自由末端の化学構造、及びポリエーテル系マクロモノマーの重合性官能基のある末端以外の末端基構造は、特に限定しない。ポリエーテル連鎖合成条件に由来する末端のままでも、化学的に他の構造に変換されたものでも良い。望ましくは、水酸基か、アルコキシエーテル基である。また、連鎖(C2)中のポリエーテル鎖の分子量としては、相溶化効果が顕著に表れる点、即ち、ポリエーテル連鎖中のエチレンオキサイド鎖含有率が低くならない点から、炭素数で言えば、20以内、分子量では500以内末端基構造を有するポリエーテル連鎖が好ましい。
【0051】
グラフト共重合体の連鎖(C1)を構成する主成分のスチレン系モノマー類及び(メタ)アクリル酸エステルモノマー類の群以外で、使用できる共重合可能な不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸化合物、水酸基やグリシジルエーテル基等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー類、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系単量体、フマル酸のモノ及びジエステル系単量体、イタコン酸のモノ及びジエステル系単量体、シクロヘキシルビニルエーテル等ビニルエーテル系単量体が挙げられる。これらは、必要に応じて適宜選択、使用できる。
【0052】
連鎖(C1)中の主成分としては、スチレン系モノマー類の使用が望ましい。該スチレン系モノマー類の含有量は特に限定されないが、相溶化性に優れる点から、グラフト共重合体中のポリエーテル連鎖を除いた連鎖部分の50重量%以上がスチレン系モノマー類であることが好ましく、70〜99重量%であることが特に好ましい。また、スチレン系モノマー類としては、スチレンの使用が望ましい。
【0053】
連鎖(C1)と連鎖(C2)の重量比(C1/C2)は、90/10〜20/80(重量%)である。望ましくは70/30〜30/70(重量%)である。更に、不飽和ポリエステル樹脂とポリスチレンの混合物を1ヶ月以上の長期に亘り一液化できる点で、60/40〜50/50(重量%)が特に好ましい。
【0054】
また、グラフト共重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、相溶化剤としての効果がより顕著に発現する点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における数平均分子量において、2000〜100000であることが望ましい。
【0055】
相溶化剤(C)に用いるグラフト共重合体の合成反応は、溶媒中で行っても良いし、溶媒を用いなくても良いが、通常は作業性の観点から溶媒中で行われる。溶媒としては、該相溶化剤が溶解するものであり、グラフト共重合体の合成に支障がなければ何を用いても構わない。反応後には、上記グラフト共重合体を溶媒から固体分として単離しても、反応溶媒の溶液のままでもよい。特に、相溶化剤として利用する上で支障がなければ、溶液のままで用いることが好ましい。また、溶液粘度を下げ、利便性を向上させる目的でスチレン等の不飽和単量体や反応溶媒以外の他の有機溶媒で希釈または、再溶解させることも可能である。例えば、グラフト共重合体と不飽和単量体や溶媒を含むものを相溶化剤組成物として用いる。
【0056】
グラフト共重合体の合成時の重合開始剤としては、特に限定されないが、一般的には、ラジカル共重合系開始剤、例えばペンゾイルパーオキサイドのような有機過酸化物やAIBN等のアゾ化合物が利用できる。なお目的の重合体が得られれば、ラジカル共重合系以外のアニオン、カチオン重合開始剤を用いることもできる。
【0057】
また、相溶化剤(C)としては、前記のグラフト共重合体のほか、スチレン系樹脂とエチレンオキサイドを主成分として得られるポリエーテル樹脂とを、ジイソシアネート化合物を介して結合させたブロック共重合体も含まれる。この際、使用できるジイソシアネート化合物としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0058】
ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物(A)と、低収縮化剤(B)とを相溶させる相溶化剤(C)の添加量は、ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物(A)と低収縮化剤(B)の合計100重量部当たり、前記(A)及び(B)が長時間相溶化できる点から、0.1重量部以上が好ましく、良好な硬化物物性が得られる点から30重量部以下が好ましい。更に0.5〜10重量部の範囲が特に好ましい。
【0059】
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じ充填剤を添加して使用できる。本発明の樹脂組成物に利用できる充填剤として、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、パーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト、石灰石、セッコウ、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの充填材は、作業性や得られる成形品の強度、外観、経済性などを考慮して選ばれるが、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム、シリカ、タルクが好ましく、中でも水酸化アルミニウム及び、シリカが特に好ましい。なお、充填剤には表面処理されたものも含まれる。例えば、表面処理メチル化したシリカは、沈降防止に有効である。
【0060】
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じ着色剤を添加して使用できる。利用できる着色剤として、特に限定されないが、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック等の無機顔料類やフタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等有機顔料類があり、色相に応じて、種々の着色剤を用いることができる。なお一般的には、顔料を不飽和ポリエステル樹脂等のラジカル共重合性不飽和樹脂組成物に均一分散させたトナーとして添加する場合が多い。
【0061】
また、必要に応じて、難燃剤を添加して使用できる。利用できる難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、塩素化パラフィン類、リン酸エステル類、三酸化アンチモン、臭素系難燃剤等が挙げられる。更に、必要に応じて、各種紫外線吸収剤も併用できる。
【0062】
また、必要に応じて、内部離型剤を添加して使用できる。内部離型剤としては、例えば、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩、あるいはアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0063】
本発明に用いる繊維強化材としては、、例えば、ガラス繊維、ポリエステル繊維、フェノール繊維、ポリビニルアルコール繊維、芳香族ポリアミド繊維、ナイロン繊維、炭素繊維がある。これらの形態としては、例えば、ガラスクロス、チョップドストランドマット、ロービング、ロービングクロス等の織物状のものが挙げられる。これらの繊維強化材は組成物の粘度や得られる成形品の強度などを考慮して選ばれる。
【0064】
次いで、引き抜き成形用樹脂組成物を繊維補強材に含浸させてなるプリプレグの製造方法について説明する。
【0065】
例えば、引き抜き成形用樹脂組成物を入れた含浸槽に、繊維質からなる補強材を通し、含浸し、余分な樹脂を絞った後、型に通して硬化させた後、連続的に引き抜く成形法で、基本的には、(1)繊維補強材への樹脂含浸、(2)所定断面形状への賦形と硬化、(3)引張りとカットの工程からなる。
【0066】
本発明の引き抜き成形品は、例えば、上記の方法の(1)、(2)、(3)により得ることができる。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を挙げて以下に本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。また、以下の文中の「部」は、特に断りのない限り重量基準である。
【0068】
参考例1(ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物(A)の調製)
窒素導入管、還流コンデンサー、及び攪拌機を設けたフラスコに、ネオペンチルグリコール286部、プロピレングリコール110部、イソフタル酸166部、及び無水マレイン酸294部を仕込み、窒素気流下で、攪拌しながら、加熱を開始する。液温210℃に維持して、脱水縮合反応を行った。酸価23mg−KOH/gになったところで、180℃迄冷却し、ハイドロキノン0.1部を添加し、150℃まで冷却し、不飽和ポリエステル樹脂(a)を得た。
次いで、この不飽和ポリエステル樹脂を固形分65重量%のスチレン溶液となる様にスチレンを添加し、ラジカル共重合性不飽和樹脂組成物溶液(a−1)を調製した。
【0069】
参考例2(低収縮剤の調製)
温度計、窒素導入管、攪拌機、コンデンサ及び滴下口一トを設けたフラスコにスチレン600部を仕込み、攪拌しながら50℃に加熱する。重量平均分子量約25万のポリスチレン(ディックスチレンCR−3500,大日本インキ化学製)を400部、ハイドロキノン0.1部を添加、溶解させた。固形分40重量%の低収縮剤溶液(b−1)を得た。
【0070】
参考例3(相溶化剤の調製)
温度計、窒素導入管、攪拌機、コンデンサ及び滴下口一トを設けたフラスコに、溶媒としてキシレン200部を仕込み、窒素気流下120℃まで昇温した。次にスチレン210部に、マクロモノマーとしてポリエーテル連鎖の数平均分子量が4000のモノメトキシ−ポリエチレンオキシド−モノメタクリル酸エステル140部と重合開始剤としてAIBN2.0部を溶解させたプレミックス液を調製した。次にこの混合液を滴下ロートより約3時間かけて滴下し付加重合させた。滴下後、120℃を保持しながらさらに8時間反応させ、目的のグラフト共重合体(c)を得た。反応後、得られた樹脂溶液を30℃まで冷却し、ここにキシレン30部、ハイドロキノン0.1部を加え、室温まで冷却した。このようにして、有効成分60重量%の相溶化剤溶液(c−1)を得た。これを相溶化剤溶液SE−1とする。得られた重合体(c)のGPCで測定した数平均分子量は、12000であった。
【0071】
実施例1
参考例1で調製したラジカル共重合性不飽和樹脂組成物溶液(a−1)80部、参考例2で調製した低収縮剤(b−1)20部、参考例3で調製した相溶化剤溶液(c−1)0.8部を混合し、攪拌機で混合し、樹脂混合液(x)を得た。
【0072】
一液安定性を確認のため得られた樹脂混合液を室温下で静置し、目視で分離に要した時間を調べた。得られた結果を表1に示す。
【0073】
次いで、上記の樹脂混合液(x)を型に入れて加熱成形、120℃で硬化した試験片を作成し体積収縮率を測定した。更に樹脂混合液(x)をガラスクロスに含浸して120℃で硬化した試験片を作成しを、下記に記載する「反りの測定方法」により、反りを測定した。得られた結果を表1に示す。
【0074】
反りの測定方法;厚さ3mm、幅500mmの引き抜き成形品を1000mmの長さに切断、平らな定盤の上に載せて成形品の端部の浮き上がりを測定した。
【0075】
比較例1(相溶化剤(C)を添加しない組成物による評価)
相溶化剤溶液(c−1)を添加しない以外は、実施例1と同一条件で樹脂混合液を調製したが、0.5〜2時間で分離したので、硬化物の物性は測定できなかった。
【0076】
比較例2(低収縮剤溶液(B)を添加しない組成物による評価)
低収縮剤溶液(b−1)を添加しない以外は、実施例1と同一条件で樹脂混合液を調製し、及び評価を行った。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明の引き抜き成形用樹脂組成物により、含浸用樹脂溶液の保存安定性に優れ、引き抜き成形品の硬化時の低収縮性を両立する引き抜き成形品とを提供できる。
Claims (4)
- 不飽和ポリエステル樹脂、及び/またはビニルエステル樹脂とスチレンとからなるラジカル共重合性不飽和樹脂(A)、スチレン系樹脂である高分子系低収縮剤(B)、及び前記不飽和樹脂(A)と前記低収縮剤(B)とを相溶化させるための相溶化剤(C)とを必須成分とするラジカル共重合性不飽和樹脂組成物であって、相溶化剤(C)が、連鎖(C1)を形成するスチレン系モノマーを主成分とする不飽和単量体と、連鎖(C2)を形成する片末端に(メタ)アクリロイル基またはスチリル基を有する、前記連鎖(C2)中のオキシエチレン−ユニット(単位)の含有量が20〜100重量%であるポリオキシアルキレンエーテルとを付加共重合して得られるグラフト共重合体であるラジカル共重合性不飽和樹脂組成物を繊維補強材に含浸し、賦形及び硬化した後、連続して引き抜くことによって得られる引き抜き成形品。
- 相溶化剤(C)の連鎖(C1)と連鎖(C2)との重量比(C1/C2)が、90/10〜20/80(重量%)である請求項1〜3いずれかに記載の引き抜き成形品。
- 更に、充填材及び/またはトナーを配合した請求項1〜4のいずれかに記載の引き抜き成形品。
- 不飽和ポリエステル樹脂、及び/またはビニルエステル樹脂とスチレンとからなるラジカル共重合性不飽和樹脂(A)、スチレン系樹脂である高分子系低収縮剤(B)、及び前記不飽和樹脂(A)と前記低収縮剤(B)とを相溶化させるための相溶化剤(C)とを必須成分とするラジカル共重合性不飽和樹脂組成物であって、相溶化剤(C)が、連鎖(C1)を形成するスチレン系モノマーを主成分とする不飽和単量体と、連鎖(C2)を形成する片末端に(メタ)アクリロイル基またはスチリル基を有する、前記連鎖(C2)中のオキシエチレン−ユニット(単位)の含有量が20〜100重量%であるポリオキシアルキレンエーテルとを付加共重合して得られるグラフト共重合体であるラジカル共重合性不飽和樹脂組成物を繊維補強材に含浸し、賦形及び硬化した後、連続して引き抜く、引き抜き成形品の製造方法。
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