JP4455941B2 - 免震構造物 - Google Patents

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本発明は、地盤と構造物の間に免震装置(各種の積層ゴム、すべり系支承、転がり系支承等)を配置して、構造物を大地震時の強い地震動から保護する免震構造物の構成方法に関するものである。
免震構造は、大地震時の強い地震動に対して構造物の揺れそのものを低減できるので、建物の構造骨組みの耐震安全性が高まるだけでなく、内部の家具や設備備品など収容物の転倒や落下・衝突の危険性が下がり、建物全体の耐震安全性を飛躍的に高めることができる。
免震構造物は、地盤もしくは基礎構造体と上部構造体の間に積層ゴムなどの免震装置を配置した免震層を構成し、免震層の水平剛性を上部構造体各層の水平剛性よりも格段に低く設定する。
免震構造物に地震動が作用すると、水平変形が免震層に集中し、上部構造体各層は一塊りとなってゆっくり振動する。免震層の抵抗力を低く設定しているため、免震層の抵抗力以上の地震力は上部構造体には伝達されず、その結果、構造物の応答加速度も小さくなり、建物も内部収容物も共に安全に保護することが可能となる。
免震構造物のアイデアは既に100年以上前から提案されていたが、わが国においては1985年以降、実際の免震建物が建設されるようになった。比較的新しい最近の免震構造建物の提案としては、例えば、特許文献1〜3に示されるようなものがある。
これらの文献および図1(1)に示されているとおり、これまでの免震構造建物は、先ず杭や地盤の上に基礎を作り、その上に免震装置を配置して、その装置によって上部建物を支持しており、いずれも2重基礎方式として、地盤側の基礎と上部建物の間にクリアランスを設けて建物を地盤から分離する構成としている。
わが国の免震建物は、1995年の阪神淡路大震災を契機として採用事例が増加するようになり、現在では免震建物数は累計で1000棟を超えてはいるものの、全体の建物数から言えば1%にも満たず、極く少数に留まっているのが実状である。
図7(1)は、従来の免震建物における最も一般的な外周部の処理方法を示す断面図で、建物周囲のクリアランス部の上部に片持ち梁方式の犬走りを設けてクリアランス上部を塞ぐ方法である。この方法では、周囲地盤と建物床面に段差が生じるため、バリアフリーの計画には問題が生じてしまう。
図7(2)は、バリアフリーのために、周囲地盤と建物床レベルを同一にした場合の例を示す断面図である。水平2方向に相対変位が生じても隙間を生じずに建物の移動を妨げないために、複雑な収まりのエクスパンション金物が必要となり、免震建物のコストアップの原因となっている。
図8は、地下階がある場合の従来の免震建物の設計を示す断面図である。免震装置が配置される基礎レベルから周囲地下側壁面全周にわたり深いクリアランスを確保するために、背の高い擁壁を構築する必要がある。擁壁が深くなると擁壁に作用する地盤の土圧が大きくなり、しかもこの擁壁は片持ち梁構造であるので、大きな壁厚とそれに釣り合う底盤が必要となり、大きなコストアップの原因になる。また壁厚が厚くなるため、敷地境界までの距離も必要となり、市街地での免震建物の計画の大きな障害要因にもなってきた。
特開平10−002126 特開平11−152928 特開2000−297559
大地震に対する優れた安全性能を提供できるにも拘わらず、免震構造の採用事例が極く一部に限られているのは、在来耐震構造建物に対して免震構造建物は短所も併せ持っているためである。その主たる短所とは、次の2点である。
(1)建設コストが在来耐震構造よりも高くなること。
(2)建築計画上の難しさがあること。
上記(1)の免震構造建物においてコストアップとなる主要因は、次の3点である。
イ)免震装置にお金がかかること。
ロ)免震層を構成するためには2重基礎が必要になり、構造躯体が1層分増加すること。
ハ)免震構造としての水平移動を確保するために、建物周囲にクリアランスを設ける必要があり、そのために、擁壁、建物周囲や連結部のエクスパンションジョイント、フレキシブル配管継手等に費用がかかること。
上記(2)の建築計画上の難点は、主として上記(1)のハ)に関わることで、建物全周に渡って周囲地盤との間にクリアランスを必要とするため、クリアランス部を通過する動線上、地震時に発生する±数十センチメートルの相対変位を水平2方向に許容できるエキスパンションジョイントを必要とすることである。特に、近年では建物アクセスはバリアフリーを必要とする場合が多く、鉛直段差のない動線連結部を実現するために複雑な納まりの連結金物を設けることになり、コストアップの原因にもなっている。
また、免震構造建物が地下階を有する場合、免震装置を基礎部(地下階の下)に配置すると、建物周囲のクリアランスを確保するためには、建物全周の地下外壁外側に自立型擁壁を設ける必要が生じ、土圧によりその擁壁は極めて厚い壁厚となってコストアップに拍車を掛けることになる。
そこで本発明は、上記の免震建物全周に渡るクリアランス部の上手な処理方法を考案し、擁壁やエクスパンションジョイント等に要している費用負担を軽減する方法を実現しようとするものである。
本発明は以上の点を解決するため次の構成を採用する。
〈構成1〉
免震装置によって支持され、地盤に対して水平方向に相対移動可能に支持された免震構造物において、上記免震構造物の底面と地盤との間には、上記免震装置以外には接触しないようにクリアランスが設けられ、上記免震構造物の地盤面下にある周囲側壁面の、少なくとも地表面付近は、周囲地盤と接触するようにされていることを特徴とする免震構造物。
免震構造物では、地盤の地震動を構造物に直接伝達しないことが第一の必要条件である。そのため、これまでは図1(1)に示すように、地盤内に大きなプール状窪みを作り、ここに免震装置を配置して、その上に構造物を載せることを基本構成としてきた。免震装置としては、周知の各種の積層ゴム、すべり支承、転がり支承等が使用される。構造物は免震装置以外には、構造物の底部も周囲も地盤とは完全に分離されており、地震時に地盤と構造物間に相対変位が発生しても地盤側とは接触しないだけの充分なクリアランスを確保することが重要な必要条件=絶対条件とされてきた。
本発明も免震構造を目的とするものであるから、地震動の入力絶縁を図ることに違いはない。しかし本発明は、実質的な入力絶縁を実現できるなら、即ち「構造物の地震応答=免震効果に大きな影響を及ばさない限り、構造物と地盤との接触を完全に排除する必要はない」と柔軟に考えるのである。
基礎が地盤内に埋め込まれた構造物において、地盤の地震動は、地盤と接触している構造物の底面および周囲地下側面から伝達される。そこで、本発明は、地震動伝達の最も主要な部分と考えられる構造物底面における地盤との接触は、免震装置以外は完全に排除する。これは従来の免震構造と同様である。しかし、構造物の周囲側面においては、地表部分の部分的接触を許容する。地下側壁面における周囲地盤からの地震動入力の影響は、構造物周囲側面の地下深さに依存するので、地下が深い場合には、地下側面からの地震動の伝達が大きくならないように地中部分においてクリアランスを設ける。しかし、地表の浅い部分を、従来の耐震構造と同様に周囲地盤を埋め戻すか周囲地盤よりも弾性係数の低い材料を充填して周囲地盤と接触させても、その部分からの地震動の伝達は僅かであり、構造物全体の地震応答=免震効果に大きな悪影響はない。
この「建物周囲地表部の部分的接触の許容」により、これまで免震建物全周に渡って設けていたエクスパンションジョイントが不要になり、また地下が深い自立型擁壁も省略可能もしくは高さを半減させることが可能となり、建築計画が容易になると同時に、経済的にも大きなメリットが生まれる。これまでの免震構造における「絶縁完全主義」から「現実的実利主義」への発想の転換こそが本発明の要諦であり、免震構造物を現実的なものに大きく進化させることになる。
この周囲地表部が接触している免震建物に、地震動が作用すると、建物外周に接触している地盤の上面が少し膨れ上がったり、数cm〜10cm程度の若干の隙間が生じる可能性があるが、これは地震後修復すればよく、修復費用も僅かでよい。
〈構成2〉
構成1に記載の免震構造物において、上記免震構造物の周囲側壁面に庇状突起を設け、その上部を埋め戻しまたは充填材により周囲地盤と接触させていることを特徴とする免震構造物。
構成2は、建物底面は接触させず、建物周囲の地表部付近のみを周囲地盤と接触させる具体的な実現方法を示したもので、特に地下階を有するために建物周囲の地下側壁が深くなる場合の対処方法としても適している。地下側壁が深い場合、地表から建物基礎まで全深さに渡って建物周囲を埋め戻すと、地盤からの地震動入力が大きくなり免震効果が損なわれる。逆に従来の免震建物のように深い地下側壁全高さに渡ってクリアランスを設けると、大きな土圧を受ける自立型の擁壁を構築する必要があり、建物外壁から敷地境界までの距離も大きくなり、建設費用も増大する。
そこで構成2の発明は、建物外周面の基礎底付近にはクリアランスを設けるが、側面からの地震動入力が大きくならない地表部付近を埋め戻すのである。そのために、地下側壁の中間高さ部に片持ち梁形式の庇状の突起を設け、その上部を地表まで埋め戻すか、周囲地盤よりも弾性係数の低い材料を充填することにより、地表面の接触=連続性を確保するのである。
この庇から下側にはクリアランスを設けるが、クリアランス部の高さが半減するので、擁壁の設計が経済的になる。その擁壁上面と庇状突起物の底面には若干の隙間を設け、その隙間は土が侵入しないようにゴム止水板などによりシールを行うことが望ましい。また庇は片持ち梁形式となり、その上部土重量により固定端部にはモーメントが作用するが、このモーメントは、その上下に繋がる地下外壁により分担され、しかも土圧が大きくなる外壁下側にはクリアランスがあり地下土圧が作用しないので、地下外壁も経済的に設計できることになる。
〈構成3〉
構成1に記載の免震構造物において、上記免震構造物の周囲側壁面とその外側の周囲地盤との間に、周囲地盤よりも弾性係数が低い充填材を配設したことを特徴とする免震構造物。
構成3は、建物周囲の埋め戻し土の変わりに、周囲の土よりも材料特性が明確で且つ経済的な充填材を配設するものである。この充填材は、地震時に建物の動きを拘束せず、容易に圧縮変形されることが必要であり、経済的にも優れた材料として気泡を混入した気泡コンクリートやエアモルタル、あるいは軽量気泡コンクリート(ALC板)などを利用することができる。また、ポリスチレンフォーム・ポリウレタンフォームなどの発泡性弾性材料など周囲地盤よりも弾性係数が低い材料を利用することもできる。
これらの材料の施工方法としては、建物外周壁構築後に周囲地盤との間に発泡材料等を現場で注入・充填する方法と、ALC板などの成型板を建て込み、その外側を土で埋め戻す方法の2方法を採用することができる。
〈構成4〉
構成3に記載の免震構造物において、上記免震構造物の周囲側壁面とその外側地盤との間の充填材を配設した部分を、内部に空隙のある箱状空間としていることを特徴とする免震構造物。
構成4は、構成3の充填材を配設した部分を、内部に空隙のある箱状物体として構成するもので、ALC板などの成型板を利用する場合には材料を節約でき経済的な方法となる。
〈構成5〉
構成1乃至構成4のいずれかに記載の免震構造物において、上記免震構造物周囲の埋め戻し部分もしくは充填地盤部分の建物直近部分の上面に、弾性を有する表面仕上げ材を配置していることを特徴とする免震構造物。
構成1乃至構成4のいずれかの免震構造物において、建物外周部直近の地盤を埋め戻し、もしくは充填した部分は、大地震発生時には部分的に盛り上がったり、窪みができたりする可能性がある。この部分の上面をできるだけ滑らかに保つために、長尺塩ビシート系の弾性プラスチックタイル、弾性高分子材料等の弾性床仕上げ材料、その他の弾性・屈曲性に富む材料からなる表面仕上げ材で覆うことにより、充填材に割れが発生した場合にも大きな亀裂や窪みが表面に出ることを避け、歩行者の安全を保つことができる。
〈構成6〉
免震装置によって支持され、地盤に対して水平方向に相対移動可能に支持された免震構造物において、上記免震構造物の底面と地盤との間には、上記免震装置以外には接触しないようにクリアランスが設けられ、上記免震構造物の地盤面下にある周囲側壁面の全周に対して、ある部分は周囲地盤との間にクリアランスを設け、他の部分は周囲地盤と接触するように連結していることを特徴とする免震構造物。
構成6は、建物外周面の内、ある部分は周囲地盤と一体に埋め戻し、ある部分は従来免震のようなクリアランスを設ける混合タイプである。例えば地下階のある建物で地下階に居室を設けたい場合、クリアランス部をドライエリアとして地下室にも採光を可能とし、且つ玄関等のアクセス部は構成1から構成5の方法で周囲地盤と一体化することで、費用のかかるエクスパンションジョイントを省略することができる。免震装置としては、周知の積層ゴム、すべり支承、転がり支承等が使用される。
以下、本発明を、実施例を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の基本構成を説明するもので、図1(1)は従来の免震構造建物におけるクリアランスの確保方法、図1(2)は本発明による免震構造建物の基本構成(構成1)を比較して示したものである。即ち、図1(1)に示す従来の免震構造建物3では、建物底面および周囲側壁面を地盤1から完全に分離し、地震動は免震装置2を介してのみ伝達される構成としている。
これに対して図1(2)に示す本発明は、建物底面は従来免震と同様に地盤1から完全に分離しクリアランス40を設けるが、建物の周囲側面は側面の上部、地表面付近13を在来耐震構造と同様に周囲地盤で埋め戻している。また建物側面の下方部はクリアランス41を設けてできるだけ周囲地盤から分離して、地盤1からの地震動伝達を小さくする。
図1(1)の従来の免震建物では周囲地盤から免震建物へのアクセス部分に、地震時の相対変位を2方向に許容しながら動線を確保できるエクスパンションジョイントが必要となり、多額の費用負担が避けられなかった。これに対して、本発明の図1(2)ではこれが全く不要となり、建物周囲の収まりを従来の耐震構造建物と同様に極めて単純且つ容易な処理とすることができる。
建物への地震動の伝達は建物底面が支配的である。建物の周囲側面が深くなると側面からの地震動入力も大きくなってくるが、建物側面の地表部付近のみを埋め戻すことによる地震動の伝達は僅かであり、また逆にその影響が無視できる程度に埋め戻し部分を浅くすることが可能である。
なお、図中、符号11は免震ピット下側基礎(耐圧盤)、12は免震ピット立ち上がり擁壁、13は外周ピット上部の埋め戻し部、2は免震装置、40は免震建物底部のクリアランス、41は免震建物外周部側面のクリアランスをそれぞれ示している。
図2は、実施例2の構成を示す図である。図2(1)は端部の免震装置が積層ゴム21の場合、図2(2)は回転機構付きすべり支承22の場合を示しているが、埋め戻しに関わる構成方法は共通である。即ち、実施例2は地下室がない場合の本発明(構成2)の埋め戻し方法を示すもので、1階床レベルの地中梁の底部側面から庇状突起31を設け、この上に周囲の土を埋め戻すか、もしくは弾性材料を充填して地表の接触部13を構成し、周囲地盤1と一体化する。この庇状突起31の下側には地盤側の基礎(土間)から擁壁の立ち上がり12を設け、その上部と庇状突起31の間には若干の隙間を構成し、この隙間を周囲の土が侵入しないようにシールを行うことが望ましい。
図3は、地下階がある免震建物に構成2を適用した実施例3を示したものである。地下階外周壁の途中から庇状突起31を設け、その上部を埋め戻す。庇状突起31より下側には擁壁を立ち上げ、クリアランス、すなわち、免震建物底部のクリアランス40および免震建物外周部側面のクリアランス41を確保する。これにより、擁壁の高さが大きく減少するので、土圧に対する擁壁の設計が容易になる。庇状突起31を設ける高さは、上部の埋め戻し部13の土重量による庇の設計と土圧による下側擁壁の設計の両者を勘案して最適の高さを選択することができる。
図4は、実施例4を示す図で、図4(1)は地下階がない場合、図4(2)は地下階がある場合を示している。構成3は、埋めも戻しの代わりに周囲の土よりも材料特性が明確で且つ経済的な材料を充填材として配設する方法で、気泡コンクリートやエアモルタル、軽量気泡コンクリート(ALC板)、ポリスチレンフォーム・ポリウレタンフォームなどの発泡性弾性材料などを利用することができる。
図4(1)は、1階梁の外側に充填材43を地表面レベルまで配設した例である。この充填材43の配設方法には、梁側面と地盤との間の窪みに発泡性材料を現場で充填する方法と、成型された板状もしくはブロック状塊を配置し外側を土で埋め戻す方法の2通りがある。
図4(2)は、地下階がある場合の実施例で、充填材43を地表面より下げた例で、地表部は周囲地盤と同様に埋め戻しているが、図4(1)のように地表面まで充填材としてもよい。
図5は、実施例5を示す図で、地下階がある場合に構成4の方法を適用した実施例であり、構成3の充填材を配設した部分を、内部に空隙のある箱状物体として構成するものである。すなわち、外周壁外側に内部に空隙を持つ箱状物体44を配置することで箱状空間を設けたものである。また、箱状物体44の上面は、構成5の表面仕上げ材14で仕上げた場合を示しているが、周囲の土で埋め戻してもよい。
図6は、実施例6を示す図で、周囲埋め戻し部分13とクリアランス部分を併用する構成5の実施例を示している。地下階の地下階に居室のある場合、クリアランス部のドライエリア45から地下室にも採光し、且つ玄関等のアクセス部は構成1から構成4の方法で周囲地盤1と一体化することで、費用のかかるエクスパンションジョイントを省略し、経済的で収まりの単純なアクセスを実現できる。
本発明により、免震建物3における建築計画上の困難さは殆ど解消されたと言ってよい。その違いを説明するために、図7及び図8に従来の免震建物における建物外周部の収まりを示した。
免震構造建物は、日本では昭和60(1985)年から建設され始め、既に20年の歴史を有している。1995年の阪神淡路大震災を契機として免震建物の採用事例が増加し始めたとは言っても、建物全体の建設棟数からはその1%にも満たない状況が続いている。その原因は、段落0006にも書いたとおり、(1)初期建設費が在来耐震構造よりも高くなること、(2)建築計画上の難しさがあることの2点である。
本発明は、免震建築計画上の最大の問題点であった建物周囲のエクスパンションジョイント部を「全く不要にした」という抜本的解決を実現したものであり、またそれによってコストアップ問題も大きく解消される解決策を実現したものである。本発明は、「優れた耐震安全性能を提供できるにも拘わらず普及しない」というこれまでの免震構造建物のジレンマを解消し、安全な都市社会の建設に大きく寄与するものと期待できる。
免震構造物(構成1)を示す概略図で、 (1)従来の免震構造物とその周囲の地盤とのクリアランスを示す断面構成図、 (2)実施例1の免震構造物の基本構成を示す断面構成図である。 実施例2の免震構造物(構成2)の庇状突起による外周地表部の埋め戻しの構成を示す概略図で、 (1)建物外周部の免震装置が積層ゴムの場合の断面構成図、 (2)建物外周部の免震装置が回転機構付きすべり支承の場合の断面構成図である。 実施例3の免震構造物(構成2)の地下階がある場合の庇状突起による外周地表部の埋め戻しもしくは充填による接触部の構成と地下深部のクリアランスを示す断面構成図である。 実施例4の免震構造物(構成3)の充填材による外周部の周囲地盤との一体化方法を示した概略図で、 (1)地下階がなく基礎が浅い場合で、充填材を地表部まで露出させた場合を示す断面構成図、 (2)地下階がある建物の外周部に充填材を配置し、地表部は埋め戻す方法の場合を示す断面構成図である。 実施例5の免震構造物(構成4)の地下階がある場合で、建物外周部を箱状物体で構成する場合を示す断面構成図である。 実施例6の免震構造物(構成5)の周囲埋め戻し部分とクリアランス用ドライエリア部分を併用する場合を示す構成図で、 (1)同免震構造物を示す平面図、 (2)(1)のA−Aに沿う断面図である。 従来の免震構造物における外周クリアランス部の処理方法を示す断面図で、 (1)建物周囲のクリアランス部の上部に片持ち梁方式の犬走りを設けた例を示す断面図、 (2)周囲地盤と建物床レベルを同一レベルにするエクスパンション金物を設けた例を示す断面図である。 従来の免震構造物における地下階がある場合の外周部クリアランスと擁壁の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 :地盤
10:杭基礎
11:免震ピット下側基礎(耐圧盤)
12:免震ピット立ち上がり擁壁
13:外周ピット上部の埋め戻しもしくは充填による接触部
14:外周ピット上部埋め戻し部の表面仕上げ材(弾性材料)
2 :免震装置
21:積層ゴム免震装置
22:回転機構付きすべり支承もしくはすべり型免震装置
3 :免震建物(上部構造体)
31:埋め戻し用の庇状突起
32:免震装置点検用免震ピット入口
34:在来免建物における側面ピット上部の犬走り
35:在来免建物における側面ピット上部のエクスパンション金物
4 :免震用クリアランス
40:免震建物底部のクリアランス
41:免震建物外周部側面のクリアランス
43:免震建物外周部側面の緩衝用充填材
44:免震建物外周部側面の箱状物体
45:免震建物外周部側面のドライエリア

Claims (3)

  1. 免震装置によって支持され、地盤に対して水平方向に相対移動可能に支持された免震構造物において、
    前記免震構造物の底面と地盤との間には、前記免震装置以外には接触しないようにクリアランスが設けられ、
    前記免震構造物の周囲側壁面の地中部に庇状突起を設け、前記庇状突起の上部に地盤の埋め戻しにより前記免震構造物の周囲側壁面と周囲地盤とを接触させ、
    前記庇状突起の下側に、前記免震構造物の周囲側壁面のクリアランスを確保する立ち上がり擁壁を設け、
    前記立ち上がり擁壁の上部と前記庇状突起との間に隙間を構成し、
    前記免震構造物周囲の埋め戻し部分の上面を、弾性・屈曲性に富む材料からなる表面仕上げ材で覆うことを特徴とする免震構造物。
  2. 免震装置によって支持され、地盤に対して水平方向に相対移動可能に支持された免震構造物において、
    前記免震構造物の底面と地盤との間には、前記免震装置以外には接触しないようにクリアランスが設けられ、
    前記免震構造物の周囲側壁面の地中部に庇状突起を設け、前記庇状突起の上部に周囲地盤よりも弾性係数が低い充填材を配設して前記免震構造物の周囲側壁面と周囲地盤とを接触させ、
    前記庇状突起の下側に、前記免震構造物の周囲側壁面のクリアランスを確保する立ち上がり擁壁を設け、
    前記立ち上がり擁壁の上部と前記庇状突起との間に隙間を構成し、
    前記免震構造物周囲の埋め戻し部分の上面を、弾性・屈曲性に富む材料からなる表面仕上げ材で覆うことを特徴とする免震構造物。
  3. 免震装置によって支持され、地盤に対して水平方向に相対移動可能に支持された免震構造物において、
    前記免震構造物の底面と地盤との間には、前記免震装置以外には接触しないようにクリアランスが設けられ、
    前記免震構造物の周囲側壁面とその外側地盤との間に、内部に空隙のある箱状物体を配設して前記免震構造物の周囲側壁面と周囲地盤とを接触させ、
    前記箱状物体の上面を、弾性・屈曲性に富む材料からなる表面仕上げ材で覆うことを特徴とする免震構造物。
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