JP4585987B2 - 建物の基礎構造 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の基礎構造に関するものである。
近年、地震が多発しており、耐震対策としては、免震構造(地盤と建物の間に振動絶縁装置を設置し、建物と地盤とを切り離し、地震の振動を伝わり難くする構造)、耐震構造(柱や梁、筋交いなどの構造体の強度を増やし、地震力に対応する構造)及び制振構造(柱や梁や土台などの骨組みの間に特殊なオイルダンパーなどの装置を設置し、地震時に生じる建物の変形を吸収し、揺れを軽減する構造)が提案されている。
しかしながら、前記免震構造及び前記制震構造は大規模な建物に対するものであり、戸建住宅に対する耐震対策としては未だ不十分であり、しかも、横方向の振動にしか効果を発揮せず縦方向の振動には効果が発揮されないという問題点がある。
また、前記耐震構造は建物自体の強度が向上する反面、揺れがそのまま建物全体に広がり建物内部での被害が大きくなるという問題点がある。
尚、建築基準法における耐震対策は、縦方向の突上げは検討されておらず、また、これまでの耐震対策は交通振動による振動対策は念頭におかれていない。
そこで、従来、例えば特許第3150612号、特許第2980604号及び特開2005−248555号に開示される、建物の基礎部の下方に圧縮強度の高い発泡樹脂材で構成された配設材を設けた建物の基礎構造(以下、従来例)が提案されている。
この従来例は、建物の下方に位置する基礎部の一部(下方部位)に圧縮強度の高い発泡樹脂材を設けた構造であるから、建物下方において該建物の荷重により地盤が圧縮される割合が減少し、しかも、地盤への荷重が軽減され且つこの荷重を分散することができ、よって、地盤の圧縮沈下(同沈下「建物及び基礎部の全体が沈下する現象」や不同沈下「建物及び基礎部の一部が沈下して建物等が傾く現象」)が軽減する。
また、発泡樹脂製の配設材は、内部の空隙により地盤から伝わる振動を吸収して建物への振動伝達が低減されるから(振動低減効果を発揮するから)、耐震性を発揮することになる。
特許第3150612号公報 特許第2980604号公報 特開2005−248555号公報
ところで、従来例は、実際に配設材の厚さを決定する場合、建物平均単位重量(建物全重量÷基礎部面積)を算出し、この値が地盤調査で分かる地盤支持力の最小値よりも小さいか否かの検討を行い、地盤支持力の最小値よりも小さければ規定された厚さの配設材を配設し、地盤支持力の最小値よりも大きければ地盤支持力の不足数値から決定された厚さの配設材を配設している。
しかしながら、この従来例に係る配設材の厚さの決定は、地盤支持力と接地圧のバランスが考慮されておらず、よって、即時沈下の事故が生じる可能性が高い。
尚、圧縮沈下には即時沈下(比較的短い時間で生じる沈下)と圧密沈下(比較的長い時間で生じる沈下)とがあり、沈下の仕方は、前記した通り同沈下と不同沈下とがある。地盤が弱い場合、同沈下が生じ、建物の下方に位置する地盤の一部が弱いか、或いは、建物の一部の荷重が大きい場合、不同沈下が起きる(建物の重量が地盤支持力以上の場合には地盤は破壊される。)。
本発明者は、前述した建物の基礎部の下方に配設材が配設される建物の基礎構造について更なる研究・開発を進め、極めて実用性に秀れるなどの作用効果を発揮する画期的な建物の基礎構造を開発した。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
建物1の基礎部2の下方に、外縁が該基礎部2の外縁と同外縁若しくは外方に延設される外縁を有する一若しくは複数の配設材4が設けられた建物の基礎構造であって、前記配設材4は、前記建物1が設置される地盤よりも比重の小さい部材で構成され、また、前記配設材4の厚さPは、下記のように設定されていることを特徴とする建物の基礎構造に係るものである。

厚さP:次の式2により算出される前記建物1の図心と次の式3により算出される前記建物1の重心とから次の式4により算出される当該建物1の複数箇所における接地圧を求め、この複数箇所における接地圧と当該箇所における予め求めた地盤支持力とを比較し、地盤支持力<接地圧の関係が1箇所でのみ成立した場合、次の式1により厚さPは設定され、また、地盤支持力<接地圧の関係が複数箇所で成立した場合、次の式1により設定される各厚さの最大値が厚さPに設定される。
式1
(接地圧−地盤支持力)÷(地盤の単位重量−配設材4の単位重量)
式2
(建物の図心)=(断面一次モーメント)÷(面積)
式3
(建物の重心)=(断面一次モーメント)÷(重量)
式4
(最大接地圧σmax)=(αx+αy−1)×σf
(最小接地圧σmin)=(3−αx−αy)×σf
f:平均接地圧(全重量÷基礎部の面積)
αx:x方向の接地圧係数(場所により変わる変数)
αy:y方向の接地圧係数(場所により変わる変数)
また、請求項1記載の建物の基礎構造において、前記配設材4は前記建物1の前記基礎部2の下方全面に設けられる一枚若しくは複数枚の平面視方形状体であることを特徴とする建物の基礎構造に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載の建物の基礎構造において、前記配設材4の上方に設けられる前記基礎部2には、この配設材4に接地する垂設部2aが設けられており、この垂設部2aの内方には前記建物1が設置される地盤よりも比重の小さい部材で構成された配設材3が配設されており、この配設材3が配設される前記垂設部2aの内方の空間の高さHは、下記のように設定されていることを特徴とする建物の基礎構造に係るものである。

高さH:前記建物1の1階における剛心と前記基礎部2の重心とのずれ率(偏心率)が0.3以下となるように設定される。
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の建物の基礎構造において、前記両配設材4,3は、内部に空隙を有する部材で構成されていることを特徴とする建物の基礎構造に係るものである。
また、請求項4記載の建物の基礎構造において、前記内部に空隙を有する部材として、発泡樹脂材が採用されていることを特徴とする建物の基礎構造に係るものである。
本発明は上述のように、建物の基礎部の下方に設けられる配設材の厚さを地盤支持力と接地圧のバランスを考慮して設定するようにした為、建物及び基礎部の圧縮沈下の発生を可及的に抑制できるとともに、建物へ伝わろうとする振動を可及的に低減する良好な振動低減効果(減震効果)が得られるなど、極めて実用性の高い画期的な建物の基礎構造となる。
また、請求項3記載の発明においては、配設材が配設される基礎部の垂設部の内方の空間の高さを基礎部での偏心率を低減させるという建物の重量バランスを考慮して設定するようにした為、建物変形が生じにくい基礎構造が得られることになるなど、極めて実用性の高い画期的な建物の基礎構造となる。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
建物1の基礎部2の下方に設ける配設材4は、建物1が設置される地盤よりも比重の小さい部材で構成されている為、基礎構造(建物全体)の重量を軽量することができ、また、この配設材4は適宜な圧縮強度を有するから、建物1の下方において該建物1の荷重により地盤が圧縮される割合が減少し、建物全体の軽量化と相まって地盤への荷重が軽減され、地盤の圧縮沈下(即時沈下)が軽減する。
また、配設材4は内部に空隙を有するから、建物へ伝わろうとする振動は該空隙により減衰し、よって、良好な振動低減効果(減震効果)が得られる。
更に、配設材4の厚さPは地盤支持力と接地圧のバランスを考慮して設定したから一層良好な地盤の圧縮沈下の軽減効果及び振動低減効果が得られることになる。
従来、配設材の厚さを決定する場合には、前述したように単に建物平均単位重量(建物全重量÷基礎部面積)を算出し、この値が地盤調査で分かる地盤支持力の最小値よりも小さいか否かの検討を行うことで配設材の厚さを決定している為、圧縮沈下の事故が起こる可能性が高い。
そこで、本発明者は、この問題点について鋭意研究し、その結果、建物1の図心と重心とから当該建物1の複数箇所における接地圧を求め、この複数箇所における接地圧と当該箇所における予め求めた地盤支持力とを比較し、少なくとも地盤支持力<接地圧の関係が1箇所でも成立した場合に式「(接地圧−地盤支持力)÷(地盤単位重量−配設材4の単位重量)」により配設材4の厚さPを設定する、という地盤支持力と接地圧のバランスを考慮した最良の配設材4の厚さPを設定し得る設定方法を見出した。
本発明者は、実際に前述した本発明に係る設定方法から得られた厚さPの配設材4を建物1の基礎部2の下方に設けるようにした場合、従来例で生じていた圧縮沈下を防止でき、更に、良好な振動低減効果が得られることを確認している。
以上のように、本発明は、配設材4について最適な厚さPを得ることができる。
また、配設材4の上方に設けられる基礎部2に、前記配設材4に接地する垂設部2aが設けられる場合には、この垂設部2aの内方に建物1が設置される地盤よりも比重の小さい部材で構成された配設材3を配設し、この配設材3が配設される前記垂設部2aの内方の空間の高さH(配設材3の厚さ)は、物1の1階における剛心と重心とのずれ率(偏心率)が0.3以下となるように設定される。
本発明は、配設材3が配設される前記垂設部2aの内方の空間の高さHを建物の重量バランスを考慮して設定している為、建物変形が生じにくい基礎構造が得られることになり、しかも、この配設材3が配設されることで前述した配設材4とともに基礎部2の下方に効率良く確実に厚みを持たせることができることになり、よって、振動低減効果及び沈下防止効果がより良好に得られることになる。
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
本実施例は、建物1の基礎部2の下方全面に、平面視形状が該基礎部2の外縁と同一若しくは大きい形状の配設材4を設けたものである。尚、配設材4は、基礎部2の下面全面に配設される場合は勿論、例えば複数の配設材4を所定間隔を介して配設したりする場合もある。
この配設材4は、建物1が設置される地盤よりも比重の小さい部材であって内部に空隙を有する発泡樹脂部材をパネル状に形成したものであり、この配設材4は平面視方形状(直方体)であり、その表裏面は平坦面に形成されている。
本実施例では、配設材4を構成する発泡樹脂部材としてポリスチレン樹脂とブタン、ペンタン等の発泡剤を主な原料としたEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)を採用している。
この発泡樹脂材としては、軽量で、必要な圧縮強度を有するものであればよく、ポリエスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等が考えられる。尚、この発泡樹脂材の圧縮強度は、建物の構造が木造、鉄筋コンクリート、鉄筋等により異なるが一般的には3〜25t/mであり、発泡倍率は、一般的に10倍〜60倍である。
また、配設材4の厚さPは、必要な数値よりも薄い場合は勿論、過度の厚さも良くないとされており(配設材4の厚さPが過度に厚いと軽量過ぎて浮力が働いてしまう。)、本実施例では、この配設材4の厚さPを、建物1の図心と重心とから当該建物1の複数箇所における接地圧を求め、この複数箇所における接地圧と当該箇所における予め求めた地盤支持力とを比較し、少なくとも地盤支持力<接地圧の関係が1箇所でも成立した場合、次の式1により設定される。
式1
(接地圧−地盤支持力)÷(地盤単位重量−配設材4の単位重量)
以下、具体的にこの配設材4の厚さPの設定方法について一例を挙げて説明する。配設材4の厚さPを設定する際の基本情報は次のイ)〜ニ)の通りとする(尚、後述する配設材3が配設される空間の高さH(配設材3の厚さ)を設定する際の基本情報も同一とする。)。
イ)建物の形状
図4に図示した平面形状(1階部分は3m×6m、2階部分は3m×3m)とし、
図5に図示した立面形状(1階部分は3m×6m、2階部分は3m×3m)とする。
ロ)屋根(瓦)・外壁(サイディング)等仕上げ材の重量
瓦を800N/mとし、サイディングを500N/mとする。
ハ)地盤支持力
図6に図示したように地盤調査により建物1の四隅に対応した地盤部位を算出した
数値とする。
ニ)建物重量
総重量は217.8kN(12.1kN/m)とし、2階重量は43.2kNと
し、1階重量は66.6kNとし、基礎重量は108kNとする。
次に、配設材4の厚さPの設定に関する具体的手順を、図7に図示したフローチャートをもとに説明する。
a)建物の図心の算出
建物の図心は次の式2により算出され、本実施例では、1階部分はX方向3.0m
・Y方向1.5mの位置、2階部分はX方向1.5m・Y方向1.5mの位置となる
。尚、この図心は、建物左下角を基点0とし、基点からのX方向及びY方向の距離で
表示している。
式2
(建物の図心)=(断面一次モーメント)÷(面積)
b)建物の重心の算出
建物の重心は次の式3により算出され、本実施例では、1階部分はX方向2.5m
・Y方向1.5mの位置、2階部分はX方向1.5m・Y方向1.5mの位置となる
。尚、この重心は、建物左下角を基点0とし、基点からのX方向及びY方向の距離で
表示している。
式3
(建物の重心)=(断面一次モーメント)÷(重量)
c)図心と重心とを考慮した建物の接地圧の算出
建物の接地圧は次の式4により算出され、本実施例では、2階建て部分(1階と2
階が存在する部分)におけるニ隅の接地圧は18.1kN/m、1階平屋部分(1
階のみ存在する部分)におけるニ隅の接地圧は6.05kN/mとなる。
式4
(最大接地圧σmax)=(αx+αy−1)×σf
(最小接地圧σmin)=(3−αx−αy)×σf
f:平均接地圧(全重量÷基礎部の面積)
αx:x方向の接地圧係数(場所により変わる変数)
αy:y方向の接地圧係数(場所により変わる変数)
d)前記c)で算出された接地圧と地盤支持力との比較
複数箇所における接地圧と当該箇所における予め求めた地盤支持力とを比較する。
本実施例では、各部分の接地圧と地盤支持力とを比較すると、2階建て部分は、接
地圧(18.1kN/m)>地盤支持力(15kN/m)であるから配設材4が
必要であり、1階平屋部分は、接地圧(6.05kN/m)<地盤支持力(13k
N/m)であるから配設材4は不要である。
e)前記d)で地盤支持力<接地圧の関係が成立した箇所における配設材4の厚さPの
設定
配設材4の厚さPは次の式1により算出され、本実施例では、3.1kN/m÷
15.8kN/m=0.20mとなる。
式1
(接地圧−地盤支持力)÷(地盤単位重量−配設材4の単位重量)
f)前記d)で地盤支持力<接地圧の関係が成立しなかった箇所における配設材4の厚
さPの設定
地盤支持力−接地圧=6.95kN/m(不足なし)で配設材4は不要であるが
、基本的に建物1の基礎部2の下方に配設する配設材4は最大厚さに統一する為、0
.2mとなる。尚、後述する即時沈下の検討により配設材4の厚みPが調整される場
合もある。
g)即時沈下の検討
前記e).f)の計算により算出した配設材4は、計算上は問題ないが、接地圧(
圧力)バランスの不均一による即時沈下(地盤の縮みによる沈下)が発生する可能性
があるため、四隅にて即時沈下の検討を行う。
即ち、接地圧上、問題なくても地盤の性質上建物重量により若干沈下(縮み)を起
こす。建物の接地圧(圧力)バランスが不均一な場合、不同沈下を起こすこともある
。即時沈下量は下記の式5で算出される。
式5
即時沈下量Se=qB(1−v)/EIs
q:基礎の平均荷重度(kN/m
B:基礎底面の短辺長さ、円形の場合は直径(m)
v:地盤のボアソン比(無次元)
E:地盤の弾性係数kN/m
Is:沈下係数
この式を用い、建物4隅の即時沈下量を算出する(図8参照)。
建物4隅をすべて結ぶ6通りの距離と各点の即時沈下量による傾きを算出し、許容
値3/1000以下を確認する(許容値は任意で定義する)。
h)配設材4の厚さPの再検討
前記g)の即時沈下の検討により、沈下による傾きが許容値を超える場合は配設材
4の厚さPを再検討し、許容値内となるようにする。
この配設材4の厚さPを再検討し、図13,14に図示したように配設材4の厚さ
Pを適宜調整することで沈下を抑えることになる。尚、図15に図示したように基礎
部2の形状設定によっても沈下を抑えることができる。また、図24に図示したよう
に後述する配設材3が配設される垂設部2aの内方の空間の高さHを適宜許容値内で
変更し配設材4の厚さPを変えずに即時沈下を許容値内とする方法もある。
以上の配設材4は、地盤支持力と接地圧のバランスを考慮した最良の厚さPであり、主に地震や交通振動などの振動を吸収する効果及び圧縮沈下を防止する効果を発揮する。
尚、地震は、その発生によりP波(最も早く伝わる縦方向の小刻みな揺れ)、S波(P波の次に伝わる横方向の大きな揺れ)及び表面波(最後に伝わるP波とS波の干渉により地表に伝わる揺れ)が生じものであり、基礎部2の下方に配設材4を設けることでこのいずれの揺れにも対応し得るものである。
図25,26は、この配設材4による振動吸収効果を確認する実験(実験棟を建て、起振装置により振動を現実に付与した実験)の結果であり、基礎部2の下方に配設材4を設けた場合、配設材4を設けない場合に比し、縦方向の振動及び横方向の振動が平均で約60%減衰している。尚、縦方向だけを見ると約70%減衰している。
また、本実施例は、配設材4の上方に設けられる基礎部2には、前記配設材4に接地する垂設部2aが設けられており、この垂設部2aの内方には配設材3が配設されている。
この配設材3は、前述した配設材4と同様、建物1が設置される地盤よりも比重の小さい部材であって内部に空隙を有する発泡樹脂部材をパネル状に形成したものであり、この配設材3平面視方形状であり、その表裏面は平坦面に形成されている。
本実施例では、配設材3を構成する発泡樹脂部材としては、前述した配設材4と同一のものEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)を採用している。
また、この配設材3が配設される垂設部2aの内方の空間の高さH(配設材3の厚さ)は、前記建物1の1階における剛心と重心とのずれ率(偏心率)が0.3以下となるように設定される。
以下、具体的にこの配設材3が配設される空間の高さH(配設材3の厚さ)の設定方法について一例を挙げて説明する。配設材3が配設される垂設部2aの内方の空間の高さHを設定する際の基本情報は前述した配設材4の厚さPを設定する際の基本情報と同一とする。
配設材3が配設される垂設部2aの内方の空間の高さH(配設材3の厚さ)の設定に関する具体的手順を、図9に図示したフローチャートをもとに説明する。
i)建物の1階における剛心の算出
建物の剛心は次の式6により算出され、本実施例では、図10に図示した位置(1階
部分はX方向2.5m・Y方向2.0mの位置、2階部分はX方向2.5m・Y方向
2mの位置)とする。
式6
(建物の剛心)=(ΣD・重心位置)÷ΣD
ΣD:水平剛性
D:耐力壁(筋かい)の耐力値
j)建物の基礎部における重心の算出
建物の基礎部における重心は次の式7により算出され、本実施例では、X方向2.
5m・Y方向1.5mとする。
式7
(建物の基礎部における重心)=(断面一次モーメント)÷(重量)
k)偏心率の算出及び検討
1階の剛心と基礎部の重心との偏心率の算出は次の式8により算出され、本実施例
では、前記i)で算出された建物の1階における剛心と前記j)で算出された建物の
基礎部における重心との偏心率を算出し、この偏心率が許容値0.3以内であるか否
かを検討する。
尚、建物1の偏心率は、図11に図示したように外壁や柱などの構造を考慮した下記
の式にて算出される建物1の強さ(抵抗)の中心(剛心)K1.K2と重心G1.G
2のずれ率を求める計算方法により算出される。図12に図示したように建物1の剛心
と重心との距離(偏心距離)が長い程建物1の変形(揺れ)が大きくなる。
式8
(建物の偏心率)=e/γe
e:偏心距離(重心と剛心の距離)
γe:弾力半径
l)配設材が配設される空間の高さH(配設材3の厚さ)の設定
前記k)で算出された偏心率が許容値0.3よりも大きい場合、基礎部の重心が建
物の剛心に近づけるように当該空間の高さH(配設材3の厚さ)を変更する。
前記k)で算出された偏心率が許容値0.3以内の場合、設計通りに当該空間の高
さH(配設材3の厚さ)が決定する。
以上により決定される当該空間の高さHは、建物の重量バランスを考慮した最良の高さHであり、建物1の剛心と重心とのずれを可及的にゼロとなるようにして地震による建物1の変形を防止する効果を発揮し、前記配設材4と同様、圧縮沈下を防止する効果等も発揮する。
次に、本実施例に係る建物1の基礎構造は次のように施工される。
図1に図示したように地盤5を掘削し、続いて、この掘削穴6に予め工場にて所定形状、所定厚及び所定圧縮強度に設定されたパネル状の配設材4,3を敷設する。この配設材4を敷設する場合には、複数の配設材4同士が当接するように配設する場合の他、図22に図示したように複数の配設材4を所定間隔を介して配設する場合があり、更に、図23に図示したように配設材3は配設せず、配設材4のみ配設する場合もある。尚、配設材4,3は、現場で配設して形成するようにしても良い。
続いて、図2に図示したように配設材4,3の上部にコンクリート材を打設して基礎部2を形成する。また、掘削穴6における基礎部2が形成されない部位は埋め戻される。符号2aは基礎部2の下面に垂設される垂設部(通称:地中梁)である。尚、基礎部2の形状としては、図16,17,18,19に図示した基礎部2の下部に垂設部2aのない構造や、図20に図示した逆ベタ基礎構造や、図21に図示した3.3布基礎構造を構成する形状がある。
続いて、図3に図示したようにこの基礎部2の上に建物1を建築する。
本実施例は上述のように構成したから、前述した本実施例により算出された厚さPの配設材4を建物1の基礎部2の下方に設け、更に、この配設材4と基礎部2との間に配設材3を配設した場合、確実にその条件に合った最良な振動低減効果(減振効果)が得られることになり、主に地震や交通振動などの振動を吸収する効果、地盤の破壊及び不同沈下を防止する効果、建物1の剛心と重心とのずれを可及的にゼロとなるようにして地震による建物1の変形を防止する効果を発揮することになる。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
本実施例の施工例の説明図である。 本実施例の施工例の説明図である。 本実施例の施工例の説明図である。 建物の平面形状図である。 建物の立面形状図である。 建物の地盤支持力を示す説明図である。 配設材4の厚さを設定する手順を示したフローチャートである。 建物4隅の沈下量を示す説明図である。 配設材3が配設される空間の高さを設定する手順を示したフローチャートである。 建物の剛心を示す説明図である。 建物の剛心と重心を示す説明図である。 建物の剛心と重心とのずれによる建物変形を示す説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 別施工例の説明図である。 振動実験の結果図である。 振動実験の結果図である。
1 建物
2 基礎部
2a 垂設部
3 配設材
4 配設材

Claims (5)

  1. 建物の基礎部の下方に、外縁が該基礎部の外縁と同外縁若しくは外方に延設される外縁を有する一若しくは複数の配設材が設けられた建物の基礎構造であって、前記配設材は、前記建物が設置される地盤よりも比重の小さい部材で構成され、また、前記配設材の厚さPは、下記のように設定されていることを特徴とする建物の基礎構造。

    厚さP:次の式2により算出される前記建物の図心と次の式3により算出される前記建物の重心とから次の式4により算出される当該建物の複数箇所における接地圧を求め、この複数箇所における接地圧と当該箇所における予め求めた地盤支持力とを比較し、地盤支持力<接地圧の関係が1箇所でのみ成立した場合、次の式1により厚さPは設定され、また、地盤支持力<接地圧の関係が複数箇所で成立した場合、次の式1により設定される各厚さの最大値が厚さPに設定される。
    式1
    (接地圧−地盤支持力)÷(地盤の単位重量−配設材4の単位重量)
    式2
    (建物の図心)=(断面一次モーメント)÷(面積)
    式3
    (建物の重心)=(断面一次モーメント)÷(重量)
    式4
    (最大接地圧σmax)=(αx+αy−1)×σf
    (最小接地圧σmin)=(3−αx−αy)×σf
    f:平均接地圧(全重量÷基礎部の面積)
    αx:x方向の接地圧係数(場所により変わる変数)
    αy:y方向の接地圧係数(場所により変わる変数)
  2. 請求項1記載の建物の基礎構造において、前記配設材は前記建物の前記基礎部の下方全面に設けられる一枚若しくは複数枚の平面視方形状体であることを特徴とする建物の基礎構造。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載の建物の基礎構造において、前記配設材の上方に設けられる前記基礎部には、この配設材に接地する垂設部が設けられており、この垂設部の内方には前記建物が設置される地盤よりも比重の小さい部材で構成された配設材が配設されており、この配設材が配設される前記垂設部の内方の空間の高さHは、下記のように設定されていることを特徴とする建物の基礎構造。

    高さH:前記建物の1階における剛心と前記基礎部の重心とのずれ率(偏心率)が0.3以下となるように設定される。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の建物の基礎構造において、前記両配設材は、内部に空隙を有する部材で構成されていることを特徴とする建物の基礎構造。
  5. 請求項4記載の建物の基礎構造において、前記内部に空隙を有する部材として、発泡樹脂材が採用されていることを特徴とする建物の基礎構造。
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