JP3812801B2 - 免震住宅の玄関土間 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、免震要素を介して支持された免震住宅であって、特にその玄関土間の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大地震の際の地盤の振動が住宅に伝わるのを防止する手段として、建物本体を免震要素を介して支承することが行われている。
【0003】
この種の免震要素としては、地盤からの振動を水平方向のすべりによって吸収するすべり支承、同じく転がりによって吸収する転がり支承、積層ゴムによって吸収するゴム支承などがあるが、いずれの場合においても、基礎の上にいずれかの免震要素を設置し、この免震要素の上に建物本体の土台梁を載せて、更にその上に壁、床等を構築するものである。
【0004】
図4は、従来におけるこの種の免震住宅を概略的に示したもので、コンクリートを打設して形成されるスラブ基礎(1)の上に、免震要素(2)を設置してその上に1階の土台梁(3)を載せ、この土台梁(3)の上に、壁(4)、床(5)が支持されている。また、玄関土間(6)は、玄関の出入り口となる開口(7)を挟んで、建物本体(8)の内側から外側に跨って構築されているが、やはりスラブ基礎(1)の上に設置した免震要素(2)を介して支持された土台梁(10)の上に、デッキプレート(11)等を載せて土間コンクリート(12)を打設している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の免震住宅においては、玄関土間(6)部分においても、建物本体(8)部分と同じ高さで一連に打設されたスラブ基礎(1)上に、免震要素(2)を設置して支持している。
【0006】
このため、この免震要素(1)上に土台梁(10)を載せて土間コンクリート(12)を施工すると、この玄関土間(6)のレベルと、建物本体(8)の床(5)特にその上り框(13)のレベルとの間の高低差が充分に取れず、一戸建て住宅の上り框(13)としては低くなりすぎてしまう不都合があった。この場合、土間部分の土台梁(8)に、他の部分の土台梁(3)よりも高さの低いものを使用することも考えられるが、梁そのもの種類が増えるのみならず、強度的にも不十分となりやすい欠点がある。
【0007】
この発明は、このような従来の欠点を解消して、建物本体と同じく玄関土間を免震要素を介して支持するようにしたものにおいて、その玄関土間のレベルに対して建物本体の上がり框のレベルを充分に高く取ることのできる、免震住宅における玄関土間の支持構造を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、基礎上に免震要素を介して建物本体を支持した住宅において、玄関土間のレベルに対して前記建物本体側の上り框のレベルを高く確保するために、前記玄関土間に対応する部分の基礎面を他の基礎面よりも低くして、この低くなった基礎上に前記建物本体側の免震要素と同じ免震要素を介して前記玄関土間を支持してなることを特徴とするものである。
【0009】
同じく、この出願の請求項2の発明は、上記において、玄関土間に対応する部分の地盤を他の部分よりも低くなるように掘削して基礎コンクリートを打設してなるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の免震住宅の支持構造を概略的に示したもので、この実施形態では、例えばコンクリートを打設して形成されるスラブ基礎(21)において、そのスラブ基礎(21)の玄関土間(22)に対応する部分の面(23)を、他の部分の面(24)よりも低くして、その上に免震要素(25)を介して土台梁(26)を設置した後、玄関土間(22)を施工するものである。
【0011】
その際、玄関土間(22)に対応する部分の面(23)と、建物本体(27)側である他の部分の面(24)とは、傾斜面(28)を介して連続している。また、スラブ基礎(21)の施工に際しては、玄関土間(22)に対応する部分の地盤を、他の部分よりも深く掘削して、全体に同じ厚さのコンクリート製スラブ基礎(21)を打設するようにしている。
【0012】
建物本体(27)側の支持構造は、基本的に前記従来と同じであって、スラブ基礎(21)の上の要所要所に免震要素(32)を設置してその上に土台梁(33)を載せ、この土台梁(33)の上に、床(34)及び壁(35)を構築するようにしている。建物本体(27)を支持する免震要素(32)と玄関土間(22)を支持する免震要素(25)は同じものである。(36)は、玄関土間(22)に面した上り框であり、上記の構成により玄関土間(22)が低くなっていることから、その土間(22)の面からこの上り框(36)迄の高さを充分に取ることができたものである。
【0013】
スラブ基礎(21)の周囲には、そのスラブ基礎(21)から一体に立ち上がった基礎立ち上がり部(38)が、そのほぼ全周に亘って形成されている。玄関土間(22)は、建物本体(27)の開口部(39)を挟んで建物内外に跨っているが、その外部土間(40)の先端に対応する部分の基礎立ち上がり部(38)の幅を大きくして、その上面(39)の一部分を、玄関土間(40)よりも外方に張出させることで、その玄関土間(22)へ上がるための階段の1段部を兼ねさせている。
【0014】
図2及び図3は、上記玄関土間(22)部分のより詳細な構造を示している。免震要素(25)は、スラブ基礎(21)の上に例えばコンクリート製の台座(41)を介して設置されている。この台座(41)の上に設置される土台梁(26)は、この図のように例えばH形鋼からなるものであり、正面から見て、玄関土間(22)の左右方向に向けて配置され、その上に、例えば波形に形成されたデッキプレート(42)を載せている。
【0015】
また、このデッキプレート(42)上面側の先端と左右両側とを外周梁(43)(44)で囲み、その内側に土間コンクリート(45)を打設している。この実施形態では、先端側の外周梁(43)は溝形鋼であって、その溝部が内側となるようにして配置し、左右両側の外周梁(44)はH形鋼からなる。
【0016】
図3で示すように、土台梁(26)の一端は、その上部フランジを外周梁(44)の下部フランジ下面に重ね、それらのフランジ間に跨って差し込んだボルト(53)で相互に固定している。反対側の端部も同様にして外周梁(44)の下面に固定することが望ましい。
【0017】
更に、土間コンクリート(45)上にはモルタル(46)を施工した後、その上にタイル(47)を貼っている。(48)は、前記開口部(39)にはめ込まれた玄関ドアである。また、玄関土間(22)の先端より張り出した前記の基礎立ち上がり部(38)の上面(39)から、その外側アプローチにかけてもモルタル(49)を施工してタイル(50)を貼っている。
【0018】
(51)は、建物本体(27)側の土台梁(33)上に設置されたALC板やコンクリート板製の床パネル等、(52)は、その床パネル(51)の上に施工された床板であって、この床板(52)の先端部分に、上り框(36)を取り付けている。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、建物本体を免震要素を介して支持するものにおいて、玄関土間に対応する部分の基礎面を他の部分よりも低くして、その上に免震要素を介して玄関土間を施工しているから、従来のものよりも玄関土間を相対的に低くでき、このため、玄関土間に対して建物本体の上り框が低くなり過ぎることがないという効果がある。
【0020】
他方、上り框の高さを充分なものとするため、玄関土間の土台梁のみを低くして強度を落とす必要がなく、建物本体側の他の土台梁と同じものを使用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を示す免震住宅の概略断面図である。
【図2】同じく玄関土間部分を内外方向に縦断して示す断面図である。
【図3】同じく玄関土間部分を左右方向に縦断して示す断面図である。
【図4】従来の免震住宅の支持構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
(21) スラブ基礎
(22) 玄関土間
(23) 玄関土間に対応する部分の基礎面
(24) 建物本体側に対応する部分の基礎面
(25) 免震要素
(26) 土台梁
(27) 建物本体
(32) 免震要素
Claims (2)
- 基礎上に免震要素を介して建物本体を支持した住宅において、玄関土間のレベルに対して前記建物本体側の上り框のレベルを高く確保するために、前記玄関土間に対応する部分の基礎面を他の基礎面よりも低くして、この低くなった基礎上に前記建物本体側の免震要素と同じ免震要素を介して前記玄関土間を支持してなることを特徴とする免震住宅の土間玄関。
- 玄関土間に対応する部分の地盤を他の部分よりも低くなるように掘削して基礎コンクリートを打設してなる請求項1記載の免震住宅の玄関土間。
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