JP4898207B2 - 建物の免震構造 - Google Patents

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Description

本発明は、マンションやオフィスビル等の建物の免震構造に関する。特には、基礎工事費を比較的安価に抑制できる建物の免震構造に関する。また、免震装置のメンテナンス性や建物内の空間の利用度を向上させ得る建物の免震構造に関する。
地盤等の基礎と建物の構造物との間に免震支承手段を備えた建物の免震構造としては、従来より、様々な構造やシステムが数多く出願されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。使用されている免震支承手段としては、復元力を有する積層ゴム型や、スライド・揺動式(回転式)のすべり支承型などがある。
積層ゴム型の免震支承手段は、地震の際に建物と基礎との間に水平方向の力(水平力)が加わると該方向に変形し、この力が解除されると元の形に戻る性質を有する。このタイプの免震支承手段は、杭頭に水平力が作用するため、隣接する基礎杭の杭頭を接続する地中梁(あるいは、相当の剛性を有する連結構造)が必要になる。このような地中梁は、杭頭に基礎フーチングを設けて、この基礎フーチング間に掛け渡される。
一方、回転式(回転機構付き)のすべり支承型の免震支承手段としては、ピン支持すべり機構を有するものが開示されている(例えば、特許文献4等参照)。同機構は、上下の接合部材と、両接合部材を接続するピン接合部を有する。そして、上接合部材の上面にすべり板を配置し、構造物の底面に、このすべり板に接触するすべり板を取り付けている。この免震手段は、基礎杭が傾斜しても上接合体のすべり板と構造物のすべり板との接触面がほぼ水平に維持されるため、構造物が水平姿勢を保ったまま移動する。このため、基礎杭と建物間には原則的には水平力はかからず、杭頭にかかる負担は小さいので、基礎杭の杭頭を連結する地中梁が不要となる。
さらに、積層ゴム型の免震支承手段に比べて、厚さ(高さ)が薄いという利点もある。
特許文献1では、免震支承手段として、すべり支承と復元ゴム(積層ゴム)との組み合わせを提案している。具体的には、建物の基礎部の四隅と出入り口部の下部にすべり支承型の免震支承手段を設置し、基礎部の四隅の内の少なくとも2ヶ所に復元ゴム型の免震支承手段を設置するものとしている。そして、復元ゴムの材料特性を特定して、免震性能の安定性を図っている。
特許文献2は、地盤に打ち込まれた柱と、建物の構造物の骨格をなす柱との間に、免震シューを介した構造が開示されている。免震シューとしては、横方向へのずれ変形が可能な構成を有する、弾性ゴム体とスチールプレートの積層一体化構造物(積層ゴム型)等が使用されている。また、特許文献3では、鉄骨柱の下端部と、地面に打ち込まれた鋼管杭の上部に打設された基礎との間に、免震装置が介された構造が開示されている。免震装置としては、積層ゴム型やすべり支承型の免震支承手段が使用されている。
ただし、これらの文献2、3においては、一つの建物において同じ種類の免震支承手段を配置しているものである。また、建物の基礎上に、どのように免震手段を配置するかについては言及されていない。
ところで、積層ゴム型の免震支承手段には、以下のような問題点がある。
積層ゴム型の場合、上述のように、隣接する杭頭を繋ぐ地中梁が必要になる。このような地中梁を設けるには、一般的には地盤を深く掘削する必要があり、掘削工事にコストと時間を要してしまう。さらに、免震支承手段の厚さが比較的厚い(高さが高い)ため、基礎杭の杭頭に免震支承手段を設けて、建物の1階をほぼグラウンドレベルに位置させるためには、免震支承手段の分だけ掘削深さを深くする必要がある。一方、免震支承手段をグラウンドレベルに位置させると掘削深さは比較的浅くなるが、1階の高さが、免震支承手段の厚さと床構造の厚さの分だけ高くなってしまう。この高さは、一例でグラウンドレベルから最低2000mm程度となってしまい、建物の利用上支障が生じる。
一方、回転機構付きすべり支承型の場合は、杭頭を連結する地中梁を設ける必要がないので、施工工事を簡略化できる。
特開2003−301625号公報 特開平6−136990号公報 特開平9−256667号公報 特開2004−44312号公報
本発明は、このような回転機構付きすべり支承型の免震支承手段の利点を生かして、基礎工事費を比較的安価に抑制できる建物の免震構造を提供することを目的とする。また、免震装置のメンテナンス性や建物内の空間の利用度を向上させ得る建物の免震構造を提供することを目的とする。
本発明の建物の免震構造は、 基礎上に分散配置された複数の免震支承手段を介して建物を支える免震構造であって、 該建物の隅の部分に配置された免震支承手段が復元力を有する復元支承手段であり、 該建物の中央の部分に配置された免震支承手段が復元力を有しない回転機構付きすべり支承手段であり、 建物の四隅の部分の基礎を横方向負荷に耐える剛性を有するものとし、中央の部分の基礎は低剛性としたことを特徴とする。
このような構造とすることにより、地震時には、建物の隅の基礎には水平方向の力及び曲げモーメント(両者を合わせて横方向負荷という)がかかるが、建物の中央の基礎には横方向負荷がほとんどかからない。なお、中央の複数の基礎杭には土間コンクリート等を介して、地震時に各基礎杭を同一変位させるために必要な水平方向の力はかかるが、この力は、建物を水平方向に揺らすために建物の隅の基礎と建物との間にかかる力よりははるかに小さい。
したがって、建物の四隅の部分の基礎を、横方向負荷に耐える剛性を有するものとすればよく、中央の部分の基礎は低剛性であってよい。したがって、基礎フーチングや杭頭を繋ぐ地中梁を建物の隅の周辺部にだけ設ければよい。これにより、地中梁と基礎フーチング設置のための地盤掘削量や掘削作業時間を減らすことができ、基礎構造の施工工事費や材料費を削減できる。
本発明においては、 前記隅部の復元支承手段が、基礎杭と連結された基礎フーチング又は地中梁上に配置されており、 前記中央部のすべり支承手段が、基礎杭の杭頭に配置されており、 中央部分の大多数の基礎杭の間は低剛性基礎とされていることとできる。
低剛性基礎は、剛性基礎に比べて施工工事を簡略化できる。このため、大多数の基礎杭の間を低剛性基礎とすることにより、全体の施工工事のコストダウンが可能になる。低剛性基礎としては、例えば、厚さが200mm程度の土間スラブなどを用いることができる。
なお、基礎フーチングと地中梁とが明確に区別されず、基礎フーチングと地中梁が一体となって基礎杭間に延びているような場合もあり得る。
本発明の具体的な態様としては、 前記建物が平面図で略長方形であり、 前記建物の基礎が、該建物の四隅及び隅間の何点かに基礎杭を打ったものであり、 該建物の四隅に前記復元支承手段が配置されており、 該建物の長手方向の隅と隅の間(中央部)には、ある間隔で前記すべり支承手段が配置されており、 該建物の短手方向の辺(短辺)においては地中梁が設けられており、 該建物の長手方向の辺(長辺)においては、隅の基礎杭とその長手方向に隣接する基礎杭の間に、隅の基礎杭からその隣の基礎杭に向って梁背(梁の高さ)が低くなる地中梁が設けられ、長辺の中央部においては隣り合う基礎杭の間を繋ぐ地中梁が設けられていないものとすることができる。
本発明においては、 前記隅部の復元支承手段、及び、前記中央部のすべり支承手段が、直接基礎である分散配置されたコンクリートの打設体の上に配置されており、 中央部分の大多数の打設体の間は低剛性基礎とされているものとすることができる。
地盤が堅固であれば、基礎杭の替わりに、直接基礎であるコンクリート打設体を配置してもよい。この場合、基礎杭を打つ必要がないので基礎を構成する作業を簡略化できる。
本発明の他の具体的態様としては、 前記建物が平面図で略長方形であり、 前記建物の基礎が、該建物の四隅及び隅間の何点かに直接基礎であるコンクリート打設体を打ったものであり、 該建物の四隅に前記復元支承手段が配置されており、 該建物の長手方向の隅と隅の間(中央部)には、ある間隔で前記すべり支承手段が配置されており、 隣り合う直接基礎の間を繋ぐ地中梁が設けられていないものとすることができる。
本発明においては、 前記建物の長辺の中央部においては、最下段の床に、地震時の水平力により建物に生じる曲げモーメントを受ける比較的高い剛性を有する梁が設けられていることが好ましい。
建物の長辺方向の中央部においては、基礎を低剛性基礎として建物と基礎との間に回転機構付き免震支承手段を設けるため、地震時には、建物の最下段の床の梁に横方向負荷がかかる。そこで、最下段の床に、通常の免震支承手段(例えば積層ゴム型の免震支承手段)を用いた場合の最下段の床の梁の剛性よりも高い剛性を有する梁を設けることにより、建物全体の剛性を確保することができる。この点については、図7を参照しつつ具体的に後述する。
本発明においては、 前記各免震支承手段がほぼグラウンドレベルに配置されていることが好ましい。
免震支承手段をほぼグラウンドレベルに配置するので、同手段を地中に埋設する必要がなく、地盤掘削量を低減できる。また、免震支承手段の点検や交換を比較的楽に行うことができる。
本発明においては、 前記建物の最下段の床を比較的高い高さとして、該最下段の床とグラウンドレベルとの間のスペースを利用可能とし、 該最下段の床構造のある一方向に延びる主な梁は、該床から下方に張り出したものであり、他の方向に延びる主な梁は、該床から上方に張り出したもの(逆梁)であることとできる。
免震支承手段をほぼグラウンドレベルとすると、建物の最下段の床の高さが、同手段の厚さと最下段梁の厚さを足した程度だけ高くなってしまう。そこで、この高さを所望の寸法として、最下段の床とグラウンドとの間を有効利用する。例えば、最下段の床の高さを1800mm程度とすることにより、駐車場スペースとして利用できる。そして、日影規制により建物の高さが制限される地域においても、1階を駐車場スペースとして4階建ての建物とした場合でも、建物全体の高さを10m以下に抑えることもできる。
ただし、駐車場スペースとして利用する場合、最下段の梁が下方に張り出していると、同梁の部分では高さが1800mmからこの梁の高さを引いた高さとなり、車がぶつかってしまう。そこで、車の主な出し入れ方向に直交する方向(例えば、建物の短手方向)は最下段の梁を、床から上方に張り出す逆梁として、車の出入りを妨げないようにする。
本発明においては、 前記建物の最下段の床の高さがグラウンドレベルから1400mm程度以下とできる。つまり、最下段の床の高さは、免震支承手段の高さと最下段の床構造の高さを足した程度の高さであるが、薄い免震支承手段を使用することにより、免震支承手段をほぼグラウンドレベルとした場合でも1階床の高さを低くできる。1階の高さが400mm程度であれば、実用上差し支えない程度にスロープ等を用いてこの段差を解消することができる。また、地盤の掘削量も可能な限り少なくすることができる。
本発明の他の建物の免震構造は、 基礎上に分散配置された複数の免震支承手段を介して建物を支える免震構造であって、 前記各免震支承手段がほぼグラウンドレベルに配置されており、 前記建物の最下段の床構造のある一方向に延びる主な梁は、該床から下方に張り出したものであり、他の方向に延びる主な梁は、該床から上方に張り出したもの(逆梁)であることを特徴とする。
免震支承手段をグラウンドレベル上に配置すると、建物の1階床の高さが必然的に高くなる。そこで、この高さを所望の高さとして、1階床とグラウンドレベルとの間を駐車場あるいは物置きなどとして利用する。この際、車の出入り方向に直交する方向に延びる1階床の梁を逆梁とすることにより、梁が車の出入りを妨げない。
本発明の他の建物の免震構造は、 基礎上に分散配置された複数の免震支承手段を介して建物を支える免震構造であって、 前記各免震支承手段がほぼグラウンドレベルに配置されており、 前記建物の最下段の床に床下空間を設け、前記建物の最下段の床の高さが1400mm程度であり、 前記床下空間をメンテナンススペースとして該空間への出入り口を設けることともできる。
本発明の他の建物の免震構造は、 基礎上に分散配置された複数の免震支承手段を介して建物を支える免震構造であって、 前記各免震支承手段がほぼグラウンドレベルに配置されており、 前記建物の最下段の床の一段下に別の床面を形成し、該別の床面がグラウンドレベル上にあり、 前記別の床面と前記最下段の床との間の空間を、居室や収納空間として利用可能な床下空間としており、前記床下空間が前記最下段の床の梁の間に設けられている
本発明の建物は、1階床の高さが必然的に高くなるので、その高さを利用して床下空間を設けることができる。そして、この床下空間の床高さを、グラウンドレベル以上とすると、床下の風通しを妨げることがなく、建物の結露等を防止できる。
本発明の他の建物の免震構造は、 基礎上に分散配置された複数の免震支承手段を介して建物を支える免震構造であって、 前記複数の免震支承手段は、復元力を有する復元支承手段、及び、復元力を有しない回転機構付きすべり支承手段の二種類を含み、 隣り合う前記支承手段が復元支承手段である部位では、両支承手段の間の基礎の部分に地中梁が設けられており、 隣り合う前記支承手段がすべり支承手段である部位では、両支承手段の間の基礎の部分に地中梁が設けられておらず、 隣り合う前記支承手段が復元支承手段とすべり支承手段である部位では、両支承手段の間の基礎の部分に、前記復元支承手段の下の基礎から前記すべり支承手段の下の基礎の部分に向って梁背(梁の高さ)が低くなる地中梁が設けられていることを特徴とする。
このような構造とすることにより、地中梁を設置する箇所や地中梁を設置するための空間の容積をできるだけ少なくすることができる。
本発明においては、 前記建物が平面図で略長方形であり、 該建物の四隅、及び、短手方向の辺の中央部には、前記復元支承手段を配置し、 該建物の長手方向の辺の中央部には、前記すべり支承手段を配置することもできる。
建築物の規模が比較的大きく、四隅の復元支承手段だけでは所定の復元力を得られない場合は、短手方向の中央部にも復元支承手段を配置し、建物全体の免震機能の調整ができるものとする。
本発明においては、 隣り合う前記すべり支承手段間の地中梁が設けられていない基礎の部分の表面が土間コンクリートであり、 前記地中梁の少なくとも一部分が、前記土間コンクリートと実質的に同じ厚さであるが、内部の鉄筋の量・構造が強化されているものとすることも好ましい。
このような構造とすることにより、地中梁の梁背(背高)を極力低くしつつ復元支承手段にかかるモーメントを基礎で受け持つことができる。なお、土間コンクリートとは、下面が直接土に接しているコンクリートの床を言い(土間スラブとも言う)、その上で人が作業したり物を置いたりする標準的な負荷に耐える程度の強度を有する。地中梁の厚さを土間コンクリートと同程度とすることにより、地中梁を設置するための地盤掘削量を少なくすることができる。さらに、地中梁の一部分と土間コンクリートの厚さが等しいので、打設コンクリートの形状をほぼ平坦な単純な形状とすることができ、型枠工事などの手間も少なくなる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、基礎工事費を比較的安価に抑制できる建物の免震構造を提供できる。さらには、免震装置のメンテナンス性や建物内の空間の利用度を向上させ得る建物の免震構造を提供できる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る建物の免震構造を説明する図であり、図1(A)は、免震手段の配置状態や基礎構造を示す平面図、図1(B)は、基礎構造及び建物の1階部分の断面図である。
図2は、免震支承手段である復元支承手段の構造の一例を説明する図である。
図3は、免震支承手段である回転機構付きすべり支承手段の構造の一例を説明する図である。
図1(A)に示すように、建物の基礎構造10は平面図で横長の略方形である。図1(B)に示すように、建物1は、免震支承手段20、30を介して基礎構造10上に支持されている。また、基礎構造10の周囲は、外周壁70(図1(B)参照)で覆われている。
基礎構造10は、建物1の四隅と四隅間の地面に打ち込まれた基礎杭11を有する。この例では、建物1の隅の4ヶ所(符号11a)と、建物1の、図1(A)の上側に示す長手方向の隅間に等間隔毎に位置する3ヶ所(符号11b)と、図1(A)の下側に示す長手方向の隅間に等間隔毎に位置する3ヶ所(符号11b)に、計10本の基礎杭11が打たれている。
免震支承手段は、基礎杭11の杭頭と、建物1の構造物(主な柱)2の間に配置される。同手段は、復元力を有する復元支承20と、復元力を有しない回転機構付きすべり支承30を含む。
復元支承20は、建物1の四隅に設けられた基礎杭11aの杭頭(基礎フーチング12、詳細後述)に配置される。一方、回転機構付きすべり支承30は、建物1の中央部(四隅の間の部分)に設けられた基礎杭11bの杭頭に配置される。さらに、詳しくは後述するように、全免震支承手段20、30は、ほぼグラウンドレベル(GL)に設けられている。
建物の四隅の基礎杭11aには、杭頭に基礎フーチング12が設けられている。基礎フーチング12は、杭頭を補強するために同杭と一体化されたコンクリートの塊である。基礎フーチング12は、地中に埋設されている。
そして、図1(A)に示すように、四隅の基礎杭11aの内の、建物の短手方向に隣接する基礎杭11aの基礎フーチング12間は、剛性基礎梁である地中梁13Aで連結されている。また、四隅の基礎杭11aと、その長手方向に隣接する基礎杭11bとの間も、剛性基礎梁である地中梁13Bで連結されている。ただし、地中梁13Bは、図1(B)に示すように、隅の基礎杭11aの基礎フーチング12から、その隣の基礎杭11bに向って、基礎杭11a−11b間の途中まで横方向に延び、その後グラウンドレベルGLへ向けて徐々に上方に傾斜しつつ、梁背(梁の高さ)が低くなる形状を有する。
また、全ての基礎杭11の杭頭は、地面上に敷設された土間スラブ15で押えられて固定されている。この土間スラブ15は、地震時に、杭頭への水平力を分散させ、杭頭を同一変位させるものである。図1(B)に示すように、土間スラブ15は、建物の長手方向両端の基礎杭11aの部分では、地中を延びる地中梁13Bに沿った一定の厚さ(一例で200mm程度)で敷設されている。そして、建物中央部の基礎杭11bの部分では、グラウンドレベルに沿った一定の厚さ(一例で200mm程度)となっている。
建物の四隅の基礎杭11aには復元支承手段20が設けられているので、地震時には杭頭には曲げ応力(モーメント)がかかる。このため、四隅の基礎杭11aには剛性を有する地中梁13A、13Bが設けられている。一方、建物の中央の基礎杭11bには、杭頭へ曲げ応力のかからない回転機構付きすべり支承手段30が設けられているため、この曲げ応力を受けるための梁は設けられていない(低剛性基礎とされている)。
次に、免震支承手段の構造について説明する。
図2に示す復元支承20は、水平方向の力が加わると該方向に変形し、この力が解除されると元の形に戻る性質を有する。同支承20は、上下の取り付け板21、22と、それらの間に挟まれた、ゴム板等の弾性体24とスチールプレート等の剛性体25とを交互に積層した積層ゴム体27からなる積層ゴム型のものが使用される。上取り付け板21は、建物の柱2の下端に設けられた台座3の下面に固定され、下取り付け板22は、基礎杭11aの杭頭に設けられた基礎フーチング12の上端面に固定される。
なお、復元支承20としては、図2に示すものの他、同様の性能を有するものであればどのようなものを用いてもよい。
一方、回転機構付きすべり支承30としては、図3に示すような、BSL杭頭免震工法(Basho-uti pile Slider)と呼ばれるものを使用できる。この回転機構付きすべり支承30は、すべり受け材31と、スライダー41とからなる。すべり受け材31は、建物の柱2の下端に設けられた台座3の下面に固定される。スライダー41は、基礎杭11bの上端面に固定される。
すべり受け材31は、表面をフッ素コーティングしたステンレス鋼板等で作製されたすべり板32を有する。すべり板32は、裏板33を介して台座3の下面にアンカーボルト34で固定されている。
スライダー41は、基礎杭11bの杭頭に埋め込まれて固定された凹部材42と、同凹部材42に嵌合する凸部材43を有する。凸部材43は、下方に突出する凸部43aを有し、上面に、フッ素コーティングしたステンレス鋼板等で作製されたすべり板44が取り付けられている。通常状態において、このすべり板44と、すべり受け材31のすべり板32は水平面で接触している。凹部材42の上面には、凹部42aが形成されている。凸部材の凸部43aの先端中心は、凹部材の凹部42aの底部中心に点で接触している。また、凸部材の凸部43aの屈曲径は、凹部材の凹部42aの屈曲径よりも小さい。このため、凸部43aと凹部42aとの間にはクリアランスが形成される。同クリアランスには圧縮変形可能かつ復元可能な充填材45が充填されている。
このような構造により、凸部材43と凹部材42は、ボールジョイントのような動きをし、凸部材43は凹部材42に対して、相対的に回転可能である。つまり、地震によって基礎杭11bが傾斜すると、基礎杭11bに設けられている凹部材42は、凸部材43に対して揺動回転する。このとき、凸部材の凸部43aと凹部材の凹部42aとの間のクリアランスが変化するが、その変位は充填材45で吸収されて、凸部材43には伝わらない。したがって、凸部材43のすべり板44と、建物の柱2に固定されているすべり受け材31のすべり板32の接触面は、通常の水平状態にほぼ保たれる。つまり、建物はほぼ水平状態に保たれることになる。
この回転機構付きすべり支承30は、すべり受け材31がスライダー41に対して、水平方向へスライド可能、すなわち、柱2が基礎杭11bに対して水平方向へスライド可能であるため、横方向負荷が杭頭に作用しないという利点がある。さらに、図から分かるように、厚さが積層ゴム型の復元支承20に比べてかなり薄い(一例で、台座と基礎杭との間が100mm程度)ことも利点である。
これらの免震支承手段20、30は、図1(B)に示すように、ほぼグラウンドレベルGLに配置されている。
比較的厚さの薄い回転機構付きすべり支承30は、全体がグラウンドレベルGL上に配置されている。つまり、これらの回転機構付きすべり支承30が設けられる基礎杭11bは、上端が土間スラブ15(グラウンドレベルGL)からやや上方に突出している。そして、その上端面に回転機構付きすべり支承30が設置されている。
復元支承20は回転機構付きすべり支承30より厚さが厚いので、柱2の土台3の高さをあわせるために復元支承20の上面と回転機構付きすべり支承30の上面の高さを同じ水平面に合わせると、復元支承20はほぼ半分が地中に埋設される。このため、復元支承20が設置される基礎杭11aの基礎フーチング12と、地中梁13A、13Bは地中に埋設される。ただし、復元支承20は全体が地中に埋設されているわけではないので、これらを埋設するための地盤掘削深さを比較的浅くできる。また、この例では、復元支承20は4個であり、地中梁13A、13Bは6本のみであるので、これらを埋設するための地盤掘削量や掘削工事時間を低減できる。
なお、建物の四隅の基礎杭11aの周辺においては、土間スラブ15がグラウンドレベルGLからやや掘り下げられて、免震ピット61が形成されている。
このように免震支承手段20、30をほぼグラウンドレベルGLに配置することにより、地盤の掘削工事が簡略化できる。さらに、このような配置により、前述のように、建物1の1階床の高さが高くなってしまうが、免震支承手段として厚さの薄い回転機構付きすべり支承30を使用することにより、以下に詳しく示すように、1階床の高さ(1FL)をできるだけ低くすることができる。
1階床5は、建物1の長手方向及び短手方向に隣接する柱2の台座3間に掛け渡された梁7上に設けられる。梁7は、1階床5から下方に張り出す形状を有する。上述のように、全ての免震支承手段20、30はほぼグラウンドレベルGLにあるため、1階床5は、図に示すようにグラウンドレベルGLの上方に位置することになる。しかし、その高さは、回転機構付きすべり支承30の厚さと1階梁7の厚さを足した高さ程度であり、前述のように、復元支承20の厚さと1階梁7の厚さを足した高さ(一例で2000mm)よりかなり低くできる。この例では、1階床5の高さ1FLを、グラウンドレベルGLから1400mmの高さとすることができる。
なお、1階梁7は、通常の免震支承手段(例えば積層ゴム型)を使用した場合の1階梁の剛性よりも高い剛性を有する。この点について図7を参照して説明する。
図7は、地震時に作用するモーメントを説明するための図であり、図7(A)は通常の免震支承手段(積層ゴム型)を使用した場合、図7(B)は回転機構付きすべり支承を使用した場合、図7(C)は両者のモーメント図である。
地震の際に、地面即ち基礎杭P側から建物ST側に揺れが伝わると、大質量の建物STは、慣性で元の位置に残る。すると、建物STと基礎杭Pとの間に偏心荷重が生じ、この間にモーメントがかかる。
図7(A)に示すように、積層ゴム型免震支承手段Q1を設けた場合、地震時には、同手段Q1の上方の1階梁B1と下方の地中梁BGにモーメントが分散してかかる。つまり、同手段Q1の下方の地中梁BGにモーメントM1がかかり、同手段Q1の上方の1階梁B1にモーメントM2がかかる。モーメントM1とM2は、図7(C)の上側の図に示すように同方向に作用し、地震時にかかるモーメントのほぼ半分ずつの力である。
詳しく説明すると、地中階梁BGにかかるモーメントM1は、W1(建物STから受ける荷重)とL(変位、図7(B)の下側の図参照)の積の1/2と、W2(免震支承手段Q1に生じる水平方向の力)とH2(地中梁BGの断面芯から免震支承手段Q1の断面芯までの高さ)の積の合計で表される。一方、1階梁B1にかかるモーメントM2は、W1(建物STから受ける荷重)とL(変位、図7(B)の下側の図参照)の積の1/2と、W2(免震支承手段Q1にかかる水平方向の力)とH1(免震支承手段Q1の断面芯から1階梁B1の断面芯までの高さ)の積の合計で表される。
一方、図7(B)の上側の図に示すように、回転機構付きすべり支承Q2を設けた場合、地震時には、図7(B)の下側の図に示すように、同手段Q2の下方の基礎杭Pにはモーメントがかからず、同手段Q2の上方の1階梁B1にのみモーメントM3がかかる。ここで、モーメントM3は、図7(C)の下側の図に示すように、地震時にかかるモーメントの全体である。このモーメントM3は、W1(建物STから受ける荷重)とL(変位)の積と、W3(免震支承手段Q2にかかる水平方向の力)とH(基礎杭P(スラブS)から1階梁B1の断面芯までの高さ)の積の合計となる。
したがって、この1階梁B1(図1の符号7)の剛性を、通常の免震支承手段(例えば積層ゴム型の免震支承手段)を用いる場合に比べて高くする(一例で断面係数2倍程度)ことにより、建物全体の剛性を確保することができる。
以上説明したように、建物1を、基礎構造10上に免震支承手段20、30を介して支持するとともに、各基礎杭11同士を、剛性基礎梁(地中梁)13A、13Bもしくは低剛性基礎梁(土間スラブ)15で連結することにより、地震時に以下のように作用する。
地震時には、建物の四隅の基礎杭11aにのみ、水平方向による曲げモーメントが杭頭にかかり、中央部の基礎杭11bには、水平力による曲げモーメントが杭頭にかからないような構造となっている。例えば、全ての免震支承手段として、上述の回転機構付きすべり支承30を使用した場合、同手段のみでは、建物1の横方向へのスライド動作を制限し、かつ、元の位置に復元させるような働きがない。そこで、建物1の四隅には、復元力を有する積層ゴムタイプの免震支承手段20を配置することで、元位置への復元力を持たせるようにした。
さらには、免震支承手段20、30をほぼグラウンドレベルGLに設けたにもかかわらず、1階床5の高さを可能な限り低くする(1400mm程度)ことができる。1階の高さが1400mm程度であれば、実用上差し支えない程度にスロープ等を用いてこの段差を解消することができる。
次に、この免震構造を利用した建物の例を説明する。
図4〜図6は、本発明の免震構造を備えた建物の例を説明する図である。
図4に示す建物は、グラウンドレベルGLと1階の床との間の空間をメンテナンススペースとして利用している。
この建物においては、外周壁70の適宜な位置にメンテナンススペースへの出入り口71を設けて、点検者が簡単にメンテナンススペースへ出入りできるようにしている。この場合、各免震支承手段20、30はほぼグラウンドレベルGLにあるため、免震支承手段20、30の点検や交換を行いやすくなる。また、このメンテナンススペースに配管設備Pを集約しておけば、これらの配管設備Pの点検やメンテナンスを効率的に行うことができる。
図5に示す建物は、グラウンドレベルGLと1階の床との間の空間を住宅の床下空間として利用している。
この建物においては、1階床5の一段下に床面を形成して、この床面と1階床5との間の空間80を床下空間とする。この床下空間80は、例えば、居室や収納空間として利用できる。この場合、同空間80の床面はグラウンドレベルGLの上方とできるため、建物全体の床下の風通し等を妨げることがない。
図6に示す建物は、グラウンドレベルGLと最下段の床との間の空間を駐車スペースとして利用している。
この建物においては、グラウンドレベルGLを1階、最下段の床5を2階とし、1階を駐車場として使用している。ここで、最下段の床5の高さを1800mm程度とすることにより、1階での車の出し入れを容易にできる。さらには、日影規制により建物の高さが制限される地域において、1階を駐車場スペースとして、4階建ての建物としても、建物全体の高さを10m以下に抑えることができる。
さらに、最下段の床5を高くしているので、各免震支承手段20、30を全てグラウンドレベルGL上に配置させることができる。このため、地盤を大きく掘削する必要のある部分は、四隅の基礎杭11aに設けられた基礎フーチング12と、地中梁13A、13B(図1参照)の部分のみでよくなる。
さらに、最下段(2階)の梁7を、車の出入り方向(この例では、建物の長手方向)においては、下方に張り出す梁7a、7bとし、同方向と直交する方向(この例では、建物の短手方向)には、上方に張り出す梁(逆梁)7A、7Bとしている。つまり、最下段の床5の高さを1800mm程度としても、下方に張り出す梁を設けると、この梁の分だけ1階の高さが低くなってしまい、車や人が梁にぶつかるというような事態が生じる。そこで、車や人が出入りする主な方向に直交する方向を逆梁7A、7Bとすることにより、車をスムーズに出し入れできる。
図8は、本発明の他の実施の形態に係る建物の免震構造を説明する図である。
この例では、建物の基礎構造として、建物1の四隅と四隅間の地面に、図1等に示す基礎杭11ではなく、直接基礎90が打たれている。
この例では、直接基礎90は、割栗石93で固められ、捨てコンクリート91(50〜100mm)上に打設された基礎フーチング12により構成される。
建物が設置される地盤が堅固である場合は、基礎杭11を地中深くまで打つ必要は無く、このような直接基礎を設ければよい。
図9は、本発明の他の実施の形態に係る建物の免震構造において、免震手段の配置状態や基礎構造の一部を示す平面図である。
図10は、図9の建物の短辺を示す側面図である。
図11は、図9の建物の短辺の杭頭の配筋図である。
図12は、図9の建物中央部の短手方向の側面断面図である。
図13は、図9の建物の長手方向中央部の杭頭の配筋図である。
図14は、図9の建物の長手方向を示す側面図である。
図15は、図14の一部拡大図である。
この例においても、建物101(図10、図12、図14参照)は、免震支承手段20、30を介して基礎構造110上に支持されている。ただし、この例では、各免震支承手段は、グラウンドレベルGL以下の深さに設けられている。免震支承手段は、復元力を有する復元支承20と、復元力を有しないすべり支承30の二種類を含む。復元支承20は、図10に示すように建物101の四隅と、短辺の中央部(この例では2ヶ所)の基礎杭11a上に配置されている。すべり支承30は、図12や図14に示すように、建物101の長手方向の中央部の基礎杭11b上に配置されている。復元支承20は、図2に示すような、積層ゴム型の復元支承を使用できる。また、すべり支承30は、図3に示すような、BSL杭頭免震工法と呼ばれるものを使用できる。
なお、図1の建物と同様の作用・構成を有する部位には、図1と同様の符号を付し、説明を省略する。
図10に示すように、建物101の短辺(四隅を含む)においては、基礎杭11aの杭頭に基礎フーチング12が設けられており、基礎フーチング12の上面に復元支承20が配置されている。基礎フーチング12は、基礎杭11aの杭頭の周囲に、グラウンドレベルGLからの深さが2000mm、一辺の長さが2800mm、厚さ(高さ)が400mmの直方体状をしており、径19mmの鉄筋をX方向及びY方向に150mmピッチで配筋し、コンクリート(Fc=30N/mm)を打設したものである。なお、図11に示すように、基礎フーチング12上面の基礎杭11aの真上には、同面より一段高い復元支承設置面12a(高さ100mm)が形成されている。
短辺上の基礎フーチング12間は、図10に示すように、地中梁13Aで接続されている。地中梁13Aは、基礎フーチング12間を、径16mmの鉄筋をX方向及びY方向に150mmピッチで背筋し、コンクリート(Fc=30N/mm)を打設したものである。地中梁13Aは、上面は基礎フーチング12と同一面(グラウンドレベルGLからの深さ2000mm)となっているが、厚さが200mmと薄くなっている。地中梁13Aと基礎フーチング12の接続部では、地中梁13Aの下面が基礎フーチング12の下面に向って下方に傾斜している。
図11を参照して、建物の短辺の杭頭の部分をさらに説明する。
図11に示すように、地中梁13A(図10参照、図15の地中梁13Bも同様の構造を有する)を短手方向(Y方向)に延びる上下の鉄筋(径16mm)131、132は、各基礎フーチング12を貫通している。このような構造とすることにより、厚さは比較的薄いながら、基礎フーチング12から隣接する基礎フーチング12へ、又は、基礎フーチング12から基礎杭11aへの曲げモーメントなどの力をスムーズに伝達する機能を有する地中梁としての特性が地中梁13Aに与えられる。
さらに、基礎フーチング12の復元支承設置面12aには、π字状の鉄筋(径16mm)133が配筋されている。
図12に示すように、建物中央部においては、基礎杭11bの杭頭にすべり支承30が直接配置されている。そして、基礎杭11bの杭頭間には、土間コンクリート15が打設されている。この例では、土間コンクリート15は、グラウンドレベルGLから深さ1500mmから深さ1300mmまでの部分に、径が13mmの鉄筋をX方向およびY方向に200mmピッチで配筋し、コンクリート(Fc=30N/mm)を打設したものである。
図13を参照して、すべり支承が配置されている杭頭の部分をさらに説明する。
図に示すように、土間コンクリート15のY方向に延びる鉄筋141、142は杭頭を貫通しておらず、杭頭に達する前で止まっている。なお、杭頭の中心回りに、鉄筋143(径13mm、長さ700mm)が20°ピッチで放射状に配筋されている。これらの鉄筋143は、杭頭から土間コンクリート15まで延びており、ひび割れ防止の機能を有する。土間コンクリート15はこのような構造のため、杭頭部分に生じた曲げモーメントなどの力を伝達するという地中梁の特性は有していない。
図14に示すように、建物101の長手方向の中央部においては、基礎杭11bの杭頭にすべり支承30が直接配置されている。これらの基礎杭11bの杭頭は、図12に示す建物中央部の短手方向と同様に、土間コンクリート15が打設されている。この例では、土間コンクリート15は、グラウンドレベルGLから深さ1500mmから深さ1300mmまでの部分に、径が13mmの鉄筋をX方向およびY方向に200mmピッチで配筋し、コンクリート(Fc=30N/mm)を打設したものである。また、基礎杭11bの杭頭は、図13に示す配筋図と同じ構造を有する。
一方、長手方向の隅の部分では、基礎杭11aの杭頭に設けられた基礎フーチング12上に配置された復元支承20と、同基礎杭11aの内側の基礎杭11bの杭頭に直接配置されたすべり支承30が隣接している。そして、隅の基礎杭11aの杭頭に設けられた基礎フーチング12と、その内側の基礎杭11bの杭頭が固定されている土間コンクリート15の間には、基礎フーチング12から基礎杭11bの杭頭に向って梁背が低くなる地中梁13Bが設けられている。この地中梁13Bは、図15に示すように、径が16mmの鉄筋を150mm間隔でX方向及びY方向に配筋し、コンクリート(Fc=30N/mm)を打設したものである。
なお、図14に示すように、建物の短辺上の基礎杭11aの周辺は、土間コンクリート15から一段低い免震ピット61となっている。そして、地中梁13Bは、図15に示すように、土間コンクリート15に連続するように設けられている。すなわち、地中梁13Bは、基礎杭11bから、土間コンクリート15の上面と同じ面(グラウンドレベルGLからの深さ1300mm)を基礎フーチング12の端まで延びており、下面は基礎杭11bと基礎フーチング12のほぼ中央から基礎フーチング12の下面へ向って30°の角度で下方に傾斜している。
図12や図14に示す、建物の中央部に設けられた土間コンクリート15は、グラウンドレベルGLからの深さが1500mmで、厚さが200mmである。一方、図10に示す、建物の短辺上の復元支承20の基礎(基礎フーチング12)を接続する地中梁13Aや、図14に示す、復元支承20の基礎(基礎フーチング12)とすべり支承30の基礎(基礎杭11bの杭頭)を接続する地中梁13Bも、一部が、土間コンクリート15と同様に、グラウンドレベルGLからの深さが1800mmで、厚さが200mmである。ただし、土間コンクリート15は、径が13mmの鉄筋を200mm間隔で配筋しているのに対し、地中梁13A、13Bは、径が16mmの鉄筋を150mm間隔で配筋している。
このように、地中梁13A、13Bは、厚さを土間コンクリート15と同じ程度に薄いが、鉄筋の径を太くすると共に鉄筋の量を増やして強度が高められている。
本発明の実施の形態に係る建物の免震構造を説明する図であり、図1(A)は、免震手段の配置状態や基礎構造を示す平面図、図1(B)は、基礎構造及び建物の1階部分の断面図である。 免震支承手段である復元支承手段の構造の一例を説明する図である。 免震支承手段である回転機構付きすべり支承手段の構造の一例を説明する図である。 本発明の免震構造を備えた建物の例を説明する図である。 本発明の免震構造を備えた建物の例を説明する図である。 本発明の免震構造を備えた建物の例を説明する図である。 地震時に作用するモーメントを説明するための図であり、図7(A)は通常の免震支承手段(積層ゴム型)を使用した場合、図7(B)は回転機構付きすべり支承を使用した場合、図7(C)は両者のモーメント図である。 本発明の他の実施の形態に係る建物の免震構造を説明する図である。 本発明の他の実施の形態に係る建物の免震構造において、免震手段の配置状態や基礎構造の一部を示す平面図である。 図9の建物の短辺を示す側面図である。 図9の建物の短辺の杭頭の配筋図である。 図9の建物中央部の短手方向の側面断面図である。 図9の建物の長手方向中央部の杭頭の配筋図である。 図9の建物の長手方向を示す側面図である。 図14の一部拡大図である。
符号の説明
1、101 建物 2 柱
3 台座 5 床
7a、7b 梁 7A、7B 逆梁
10、110 基礎構造 11a、11b 基礎杭
12 基礎フーチング 13A、13B 地中梁
15 土間スラブ(土間コンクリート)
20 復元支承 21 上取り付け板
22 下取り付け板 24 弾性体
25 剛性体 27 積層ゴム体
30 回転機構付きすべり支承 31 すべり受け材
32 すべり板 33 裏板
34 アンカーボルト 41 スライダー
42 凹部材 43 凸部材
44 すべり板 45 充填材
61 免震ピット 70 外周壁
80 床下空間
90 コンクリート打設体 91 捨てコンクリート
93 割栗石
131、132、133、141、142、143 鉄筋

Claims (1)

  1. 基礎上に分散配置された複数の免震支承手段を介して建物を支える免震構造であって、
    前記各免震支承手段がほぼグラウンドレベルに配置されており、
    前記建物の最下段の床の一段下に別の床面を形成し、該別の床面がグラウンドレベル上にあり、
    前記別の床面と前記最下段の床との間の空間を、居室や収納空間として利用可能な床下空間としており、
    前記床下空間が前記最下段の床の梁の間に設けられていることを特徴とする建物の免震構造。
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