JP2009068321A - 不同沈下した建築物のレベル調整方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】不同沈下した建築物の調整方法及びその装置を現工法よりも安価で簡便なものを提供する。
【解決手段】基礎の上面に土台を置き、その土台に建てた柱により屋根、外壁等を支持し更に床、内装等を施した建物が前記基礎の不同沈下した場合、前記基礎の上面に所定の間隔を置いて下方向且つその基礎の幅方向に貫通する複数の凹部を加工して土台との間に隙間を設け、各隙間に持上手段設け順次微少ストロークづつ持上げて土台を不同沈下成分と傾斜成分とに分けて水準を回復する等の方法であって、前記凹部はその底面の深さが前記基礎の内部に横に配置された鉄筋を保護するコンクリートの被覆を残す深さであり、前記柱の位置では該凹部をその直下に設け、水準回復後は、前記基礎と土台との間に支持具を挿入し且つ支持具と支持具の間は高強度モルタルで埋める。
【選択図】図1

Description

本発明は特に一般住宅等の不同沈下したものを極めて安価且つ短い工期でそのレベルを回復するより具体的な方法及び該方法に使用する装置に関するものである。
最近家屋の耐震構造に関する関心が高まり、且つ新建材等建築材料の開発等により家屋の屋根、外壁等の軽量化が進み家屋全体としての軽量化は進んでいる。この傾向は耐震性の向上及び不同沈下に対して大変好ましいことではあるが、一方で基礎部の施工前に割栗石を入れて突き固める基礎地盤の工事が軽視される傾向にあり、他方で従来家屋を建てなかった軟弱な地盤に家屋を建てる例もあり、経時的に不同沈下の問題が表面化するケースが比較的多く見られるようになってきた。
この様な不同沈下に対して現在一般的に基礎部の近傍に鉄柱を深く打ち込みこれに基礎部を固定して基礎部の上面を修復し、建物のレベルを復元している例が多い。この様な例として特許文献1がある。しかしこの工法は工事が大規模となり工期も長く従って高価に過ぎる。
又より簡素な工事として基礎部又は基礎上面の土台を持上手段で持ち上げて建物のレベルを復元する例として特許文献2がある。同様に基礎の上面の鋼製土台を持ち上げて建物のレベルを復元する例として特許文献3がある。
特許第3029797号(何頁) 特開平8−232284(何頁) 特開2007−31934(何頁)
本出願人等は未公開の特許文献4で、前記特許文献1乃至特許文献3より安価で容易な不同沈下の水準回復の方法について出願済みであるが、本特許出願は、前記特許文献4を基に更に具体化したものである。
特願2006−86493
特許文献2の例について図13乃至図17により説明する。図13は基礎部の上に土台を横にして設け、これに柱を建てた建築物の正面図である。図14は図13のX−X断面図である。図15は建築物の水準を回復する別の修正法を説明する図である。図16は土台を直接持ち上げて水準を回復する別の方法を説明する建築物の正面図である。図17は図16のY−Y断面図である。
図13に於いて、建築物120は、地面内部に一部埋め込まれた基礎部122と、該基礎部122の上部に備えた建築物本体124とよりなり、前記基礎部122の下方には、割栗石等で基礎地盤123を形成している。
前記基礎地盤123とともに前記基礎部122が不同沈下し、前記建築物120が傾くが、この際に前記建築物120を修復するには、まず、前記基礎部122に屋内外を連通する挿通孔125を設ける。この挿通孔125は、基礎部122の比較的地面に近い位置に間隔をおいて複数設ける。
そして、複数の前記挿通孔125のそれぞれに持上部材127を挿通する。この持上部材127は、H形鋼等で形成しており、前記挿通孔125に挿通する下側部材128と、該下側部材128の両端より斜め上方に水平に配置した上側部材129と、前記下側部材128の端部と前記上側部材129の端部とを連結する連結部材130より成っている。前記上側部材129の下面に当接するように前記持上手段126を地面G上に設置している。
前記持上手段126は、油圧ジャッキ等のジャッキを用いている。また、前記持上手段126は、電動あるいは手動のものを用いることができる。前述の構成により、持上手段126によって持上部材127を持ち上げ、挿通孔125の部分で前記持上部材127を介して基礎部122を持ち上げる。そして、基礎部122の下方の基礎地盤123との間に生じた隙間に、あらかじめ設けておいた注入路132より、コンクリート、モルタル、又は樹脂等の時硬性のグラウト材133を注入する。
前記第1公知例において、基礎部122に挿通孔125を複数設け、この複数の挿通孔125で荷重を分配して基礎部122を持ち上げるため、ジャッキやウインチ等の比較的小型の持上手段126を用いることができ、クレーン等の大型機械を使用する必要がないため、狭いスペースで容易に作業をすることが可能である。また、この挿通孔125を地面から近い位置に設けることにより、該挿通孔125から基礎部122の上面まで距離を大きくして、基礎部122を持ち上げる際、基礎部122自身が建築物の荷重に十分に耐え得るようにしている。
而して、持上部材127は、挿通孔125に挿通し、基礎部122を持ち上げる際の作用部分となる下側部材128よりも上方に、持上手段126の作用部分となる上側部材129を配置しているので、地面と近い位置に挿通孔125を設けた場合にも、ジャッキ等の持上手段126を地面上に設置するスペースを確保することができ、地面を掘って持上手段126を設置するスペースを作る作業等の必要がなく、作業工程の低減を図っている。
図15は、本公知例の第2実施例を示しており、第1実施例と異なる所は、持上部材127は、挿通孔125に挿通する下側部材128と、該下側部材128の屋外側の端部から斜め上方に配置した上側部材129と、前記下側部材128の端部と前記上側部材129の端部とを連結する連結部材130とよりなり、該上側部材129は、持上手段126の作用点から下側部材128の自由端までの長さと比べて持上手段126の作用点から上側部材129の自由端までの長さが長くなるように形成しており、上側部材129の自由端の荷重が大きくなるように、例えばウエイト134等を自由端に設けている。
本公知例においては、持上手段126を作動させると、上側部材129の自由端はウエイト134等により荷重を大きくし動きを規制しているため、下側部材128を上方へと持ち上げることとなり、よって基礎部122を持ち上げることができるようにしている。第2公知例では、持上手段126を建築物120の屋外のみに設置するため、屋内に持上手段126を設置するための作業、例えば、屋内の床板を剥がす作業等を行う必要がなく、また、持上手段126の数を減らすことができる。
図16、図17は、本公知例の第3実施例を示しており、建築物120は、基礎部122と、該基礎部122の上面に土台135を設け、該土台135の上面に柱136を立てて枠組みを形成した建物本体124よりなり、主に、木造建築物に見られる構造である。前記土台135は、木、又は溝型鋼等の型鋼を用いて形成している。この建築物120が基礎部122の沈下により傾いた場合に、建築物120を修復する際には、前記土台135に、屋内外を連通する挿通孔137を間隔をおいて複数設け、それぞれの挿通孔137に持上部材138を挿通し、該持上部材138の屋内外両側の下面に当接するように地面G上に持上手段126を設置する。
そして、持上手段126を作動することにより、土台135部分より建物本体124を持ち上げ、土台135と基礎部122との間に生じた隙間にコンクリート、モルタル、又は樹脂等の時硬性のグラウト材133を注入する。前記挿通孔137は、水平方向に幅広のスリット状で、前記持上部材138は、挿通孔137の形状に適合した平鋼を用いている。
そして、前記持上部材138の曲げを防ぐために、持上手段126を基礎部122に近づけて設置している。本公知例の第3例においては、基礎部122の上面又は土台135に挿通孔137を設け、この挿通孔137の位置で土台135を持ち上げるようにしているため、持上手段126を設置するスペースを充分に確保することができ、また、基礎部122より上の土台135から建物本体124を持ち上げるため、持ち上げる重量を小さくすることができ、持上手段126の数を減らすことができるとしている。
本公開特許の第4例で、建築物120は、第3例と同様に基礎部122と、該基礎部122の上面に土台135を設け、土台135の上面に柱136を立てて骨組みを形成した建物本体124とよりなり、建築物120の傾きを修複する際に、基礎部122の上部の土台135に、該基礎部122の屋内外方向の幅に亘る複数の切欠凹部を間隔をおいて設け、該切欠凹部と土台135の下面とに囲まれた空間に持上部材127を挿通している。
本公知例においては、前記第3例と同様に、基礎部122上部に設けた切欠凹部の位置より土台135を持ち上げるようにしているため、持上手段126を設置するスペースを充分に確保するとともに、基礎部122より上の土台135から建物本体124を持ち上げるとしている。その内容は第3例と同じであるため、第4例の図面及び説明は省略する。
発明が解決しようとする課題は、前記公知例よりも更に工期を短く且つ費用も極少なく且つ土台等の家の骨格部分に破損、歪みの発生を最小限に止ながら不同沈下して傾斜した建築物のレベルを回復しょうとするものである。
発明者はこの様な不同沈下した家屋の多くの実状を具に観察し、検討した結果、前記の如く比較的軽量な家屋に於ける不同沈下した基礎部は、その状態で安定に近い状態にあるものが多く基礎部はそのままにして、土台ごと建築物本体のレベルを回復し、基礎部の上面と土台の間に生じた隙間を支持材で支持し且つ隙間をドライモルタルで埋めることにより多くの建築物はその後、そのままレベルを維持できるか又再度不同沈下してもその程度は前回に比べて少なく、この様な水準回復工事を数回繰り返すことにより不同沈下は収束するものが多いこと。
公知例の如く持ち上げ手段を基礎部の近傍の地面に設置するためには、当該地面の耐荷重能力を確保するために当該地面に補強工事が必要である。又基礎部の屋内側に持ち上げ手段を設置することは畳等の内装及び、床を剥ぐ必要があり必然的に家具等の移動を伴い工事中は家を空けざるを得ない状況に置かれ、事前準備にも手間が掛かり住人には負担が大きい。又前記持ち上げ手段で基礎部を持ち上げ基礎部と基礎地盤との間を埋める工法においては水準回復工事が複数回行う必要が生じた場合には住人の負担は更に大きくなる。
以上の検討から持ち上げ手段は本来堅い基礎部の上面を活用することが好ましく、これにより持ち上げ手段はより軽便な構造のものとすることができる。但し基礎部の上面を使用して上記実施例と同様に基礎部の上面から凹部を加工する場合基礎部のコンクリートの補強材である鉄筋に傷を付け、又は腐食させると、基礎部の耐久性が落ちるため凹部の底の深さには前記鉄筋を保護するコンクリート層を残すという制限を設ける必要があること。
本来土台は建築物本体の最も下側の構造部材であるが、建築物の重量を支える剛性部材である基礎部に建築物本体の荷重を配分する機能も兼備している。従って土台を剛性部材である基礎部から浮かせて持ち上げる場合、出来るだけ短い間隔で配置した持ち上げ手段により土台が変形しないように、持上げ手段全体を同時に持ち上げて水準を回復することが最も望ましい。
こうして水準を回復した建物は、土台、柱を始め建築物全体に狂い又は亀裂等の損傷なしに復旧が可能である。この様な条件を実現するために所定の間隔を置いて設けた持上手段の、毎回の最大持ち上げ量は1mm多くても3mmが限度である。この様な微量の持ち上げ量を正確に制御できる持上げ手段は回転量とリードが正確に比例関係にあり且つ、滑らかに作動するものはネジ機構を用いた持ち上げ手段、具体的にはネジジャッキが有利である。
又持上手段の設置位置は、柱の近傍又は真下に配置することが好ましい。
本発明の各手段は上記考察から誘導されたものである。
本発明の第1の手段は請求項1に該当し、基礎部の上面に土台を載置し、該土台に立設した柱により屋根、上部構造、外板等を支持し更に床、内装等を施した建築物が前記基礎部の不同沈下により傾斜したものにおいて、前記基礎部の上面に所定の間隔を置いて下方向且つ前記基礎部の幅方向に貫通する複数の凹部を加工して前記土台の下面との間に隙間を設け、該隙間の各々に持上手段を挿入し、各持上手段を順次微少ストロークづつ持上げて前記土台が全体として水平となるように持ち上げる方法であって、前記凹部はその底面の深さが前記基礎部の内部の最上部に横に配置された鉄筋を保護するコンクリートの被覆を残す深さであり、前記柱の位置では該凹部をその直下に設け、前記持上手段は持上げ方向のストロークを、微量且つ正確に制御可能な機構を用いて不同沈下した建築物の所定の基準点を設けて不同沈下成分を復元の後、傾斜成分を復元して前記基準点を含む水準に合わせて水平に復元するようにしている。
本発明の第2の手段は請求項2に該当し、本発明の第1の手段に対して所定の基準点より傾斜成分を復元する過程を省略して所定の基準点を含む水準に合わせて水平に復元するようにしている。
本発明の第3の手段は請求項3に該当し、前記持上手段は、裁頭楔と、該裁頭楔の二面の各々と対向した滑り面を有する台形をなす二個の別体を前記裁頭楔の二面に接した際前記二個の別体各々の外側面が互いに平行な平面をなし、且つ最小間隔が50mm以下となり、且つ該裁頭楔を該滑り面に沿って前記2個の別体の平行な平面の間隔を拡げる方向に押圧するネジ機構を少なくとも1組有するようにしている。
本発明の第4の手段は、請求項4に該当し、本発明の第1の手段を達成するため器具として裁頭楔及びこれに両側から対向する二個の別体は共に鉄又はアルミニウム等の金属又は表面を鉄板で被覆された高強度モルタル又は硬質樹脂の複合体で構成され、各滑り面に潤滑処理を施すようにしている。
本発明の第5の手段は請求項5に該当し、本発明の第1の手段達成する器具として、基礎部と土台との間に生じた隙間に挿入する支持具は硬質樹脂より成り厚さは1mmから10mm,20mm、30mm等の飛び級的な厚さの長方形をなし、厚さが10mmを越えるものについてはその断面形状がその対角線で裁断し、前記対角線を相互に接触させて長方形となるように重ねて使用するものも併用して如何様な隙間も支持できる様にしている。
本発明の第6の手段は請求項6に該当し、本発明の第1の手段は、土台、柱等が、木材と軽量鉄骨又は木材と重量鉄骨の複合体又は、軽量鉄骨又は重量鉄骨よりなる建築物又は柱等の構造部材に替えて外板に強度を持たせたプレハブ工法による建築物でにも及ぶようにしている。
本発明の第1の手段によれば基礎部の上面に幅150mm深さ約60mmの凹部を0.6mから1.8mの間隔で設ければ良く、且つ基礎近傍の地面で荷重を支える必要がない。また、建築物の外周のみに基礎がある場合、建築物の内側に持上手段を設置する等の予備的工事を必要としない。従って極めて短期間且つ安価に不同沈下の修復工事に取り掛かることが出来る。又水準回復の持ち上げ作業は一般に1mm以下の持上げストロークで行うため建材に過度の変形や亀裂、破損の恐れは少なく、原則として家具等を移動する必要はなく、施工主は水準回復工事の作業時間中のみ、安全のために家を空けていればよい。
なお、不同沈下した建築物の水準回復の際、第1段階として基準となる点より一定の勾配となる沈下状態に復元の後、第2段階として前記基準点を含む水準に合わせて水平に復元するため前記第1段階の最大持ち上げストロークは不同沈下により最も深く沈下した位置であるが第前記2段階では一般には最大持ち上げ位置は別の位置となるがその際は最大沈下部分の負担は軽減される。
本発明の第2の手段は請求項2に該当し、不同沈下した建築物の水準回復の際、請求項1に記載の2段階を踏まず、不同沈下の状態から直接基準点を含む水準に合わせて水平に復元することで、後述するようにこの場合には不同沈下により最も深く沈んだ部分が常に最大の持ち上げストロークにより水準回復作業が行われる。本法法によれば最も持ち上げ作業回数を少なくすることができると言う効果を奏する。従って本発明の手段を執るか本発明の第1の手段を執るかは、建築物の不同沈下の状態により判断することが好ましい。
本発明の第3の手段によれば本発明の第1の手段又は第2の手段を達成するための持上手段は構造が簡単でナットの回転で正確且つ、微量の持ち上げストロークを調整できること及び、潤滑の効果により手動で滑らかで、大きい持ち上げ力を発生できることから本工事の設備投資は僅少で済み、且つ作業に過大な労力を費やすこともなく安全でもある。なお基礎部の上面の凹部の深さを50mm以内としたのは、基礎部の最上側の鉄筋は一般に上面に沿って約50mmの位置に設けてあるため、この鉄筋を露出させて傷つけ、又は本工事施.工後も長期に亘り鉄筋の腐食による劣化を避けるために設けた値であり、水準回復工事により基礎の鉄筋の寿命を劣化させることがない。
本発明の第4の手段によれば、持ち上げ手段は軽量且つ安価に製造が可能である。
本発明の第5の手段によれば、耐久性に優れ、板厚と楔効果を利用することにより、土台と基礎の間の平行ではない隙間を埋め、且つ土台の荷重を適切に基礎に伝えることが出来る。
本発明の第6の手段によれば、本発明が単に木造建築物のみならず軽量鉄骨、重量鉄骨、及びこれら鉄材と木材の複合材を使用した建築物、土台又は柱に代えて外板に強度を持たせたプレハブ工法による建築物にも適用可能である。
本発明を実施する最良の形態の第1例として図1乃至図8により説明する。図1は建築物の基礎部分の前面である。図2は図1のA−A断面図である。図3(a)は本実施例で使用する持上手段の側面図である。図3(b)は図3(a)のB矢視図、図3(c)は図3(a)のC矢視図である。図4は建築物の基礎部分が不同沈下して建築物と共に傾斜した状態を示す図である。
図5はネジジャッキを用いた水準回復の手順を示す説明図で、図5(a)は基礎の上面にジャッキを配置した状態の説明用模式図である。図5(b)は不同沈下した建築物を不同沈下成分と左傾斜成分に分ける説明図である。図5(c)はJ1のネジジャッキJ1のナットを1.1回転させて土台を持ち上げた状態を示す模式図である。状況を判り易くするために持ち上げ量を拡大している。図6は不同沈下した建築物の水準回復の手順を示すフロー図である。図7(a)は薄い支持具の斜視図であり、図7(b)は厚い支持具の斜視図であり、図7(c)は水準回復作業により基礎部と土台の上面との間に生じた隙間に前記支持具の厚さの異なるものを組み合わせて支持した状態を示す説明図である。図8は水準回復後の処理を説明するための模式図である。
図5(a)に於いて領域1と領域2に分けて領域1は不同沈下した建築物の上台を右端の基準位置から左端を結ぶ直線に沿うように修復する領域を示す。領域2は、更に左に直線状に傾斜した土台の下面を基準点を含む水平線まで修復する領域である。 尚従来例と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図1,図2及び図4、に於いて1は建築物である。該建築物1は不同沈下のため既に左に傾斜している。2は該基礎部である。該基礎部2は建築物1と共に左に傾斜している。3は前記基礎部2の上面である。4は基礎部の上面3に所定の間隔を置いて設けた凹部である。5は鉄筋である。該鉄筋5の最上位置は一般に基礎部の上面3より約50mm下方にあるため前記凹部4の深さは長期に亘り此の鉄筋に損傷又は腐食をによる劣化を避けるため40mm程度が適当である。幅を約150mmとしたのは土台の単位面積当たりに掛かる荷重の大きさからから持上手段が土台を支える必要面積から決めたものである。なお基礎部2内の鉄筋の位置はその外部よりRCレーダーにより非破壊的に確定できるので、該鉄筋に損傷を与える恐れなく凹部を加工する作業を進めることができる。
6は根太である。該根太6は土台の上に略450mm間隔で部屋一面に配置され、各々土台135に固定されている。7は床板である。該床板7は前記根太6の上に隙間なく一面に敷き詰められ、各々その根太6に固定されている。8は畳又はカーペット等の内装である。9は壁又は扉等より成る仕切である。該壁は、部屋の端に立接された複数の柱136の間に機密に設けられた部屋の仕切9であり、扉は柱136と柱136の間にあって該部屋の仕切9と共に開閉可能な部屋への出入り口の機能をなしており、閉じた状態では出来るだけ機密に且つ開閉はスムースに行われるように注意深く施工されている。
図3(a)において10はネジジャッキである。該ネジジャッキ10に於いて、11は裁頭楔である。該裁頭楔11の12は上面であり、13は下面である。該上面12、下面13のなす角度は約10度である。14は上側片である該上側片14の下面15は前記裁頭楔の上面12に平行な滑り面で、その幅方向両端の突起24、24は裁頭楔11の上面12から上側片14がずり落ちることを防止する案内をなしている。17は下側片である。該下側片17において18は前記裁頭楔11の下面13との滑り面で、その両端の突起24,24は前記上側片14と同様裁頭楔の下面13が下側片17からずり落ちることを防止する案内である。上側片14、下側片17は図の如く裁頭楔11の上下から組み立てられて、上側片14の上面と下側片17の下面との間隔が最小40mm以下となるように設計されている。16はボルトである。該ボルト16は、図示の如くワッシャ20を介して左側より裁頭楔11を貫通して右側でワッシャ23を介してナット21をそのネジ部22にねじ込んでいる。
図3(a)の状態に於いて、ナット21をネジ込む事により裁頭楔11を上側片14、下側片17の間に割り込ませ該上側片14と下側片17の各上下面の間隔を拡げることにより持上手段の機能を発揮させる。なおワッシャ20は上側片14と下側片17の位置決めをし、且つ裁頭楔11がこれら上側片14、下側片17の間に確実に入るように支えている。なお前記ネジ部22のリードは1mmである。従って持ち上げストロークはナット21を65mmネジ込んだ時に約10mmであり、従ってナット21を6.5回転させた時に持ち上げストロークは1mmとなる。なお本裁頭楔11には更に5mmの追い込み代を有する。これは持ち上げストロークで約0,8mmに相当する。
本持上手段を用いた建築物1のレベル調整方法について図4乃至図11により説明する。図4は不同沈下により傾斜した建築物の基礎と土台を中心とした一部を示す。基礎2の上面および土台135は不同沈下により傾斜している。3は該基礎2の上面である。4は基礎2の上面から設けた凹部で基礎2の幅方向に貫通している。該凹部4は柱136の下又はその近傍に設けることが好ましい。10は該凹部に設置した持ち上げ手段であるネジジャッキである。
図5(a)は不同沈下により中央部が最も深く沈下した基礎2の上面3の及びこれに載置された土台135の下面の一例を示す。S1は基準点である。該基準点S1は基礎2の上面3の最も高い位置を示し、水準を回復する際、該S1を含む平面がその目標となる。図に於いてS1を起点とするR4で示す水準回復目標線である。S2は基礎2の左端の上の点である。S1とS2を結ぶ線をR0としS2上R0とR4の間を4等分してS1を起点とする分割線を下からR1,R2,R3,とする。
図5(a)において不同沈した基礎2の上面3および土台135の下面は、R0線を境に下側の沈下部分を不同沈下成分とする。前記R0線の上側の部分は不同沈下の傾斜成分とすることが出来る。本発明になる不同沈下の水準回復の方法は不同沈下成分を回復し、次いで傾斜成分を回復するという手順を踏んで行う。しかし説明の都合上先ず傾斜成分の水準回復する方法を説明し、その後不同沈下部分を回復する方法を説明する。
図5(b)及び図5(c)は6台のネジジャッキ10を用いて不同沈下した建築物1の左傾斜成分を回復する例の説明図で、図5(b)がその全容を示し、図5(c)は図5(b)の右端より3台のネジジャッキ10を含む部分の部分拡大図である。図5(c)において最初のネジジャヤッキJ1で土台を持ち上げた状態を誇張して示してある。
図に於いて基礎部2の上面に設けた凹部4の間隔は0.9mである。j1からj6は何れも前記ネジジャッキ10である。該ジャッキ10の位置は柱136がある部分はその真下となるように設けた。
図5(b)のR0は、左端部が最大沈下部分40mmの左傾斜成分とした。これを回復する例を示す。此の図に於いてJ1からJ6までの各ネジジャッキ10の持ち上げストロークは左からの位置と比例しているものとした。図において左側のR1からR4は水準回復作業を4回に分けて行う事を示し、その各回の持ち上げ作業を更に10サイクルに分けて行うと、右端のジャッキJ6の1サイクル当たり限界最大持ち上げストロークが約1mmとなる。
先ずネジジャッキj1からj6を深さ40mmの凹部に挿入し各持上手段が同じ力で土台135を支えるように追い込み代の範囲内でナットを締め上げる。
上記作業で始まる本水準回復作業の過程を図6の作業フローにより示す。なお本フローにおいて矢印は夫々次の作業の方向を示す。
作業ステップ30は作業の開始点である。作業ステップ31ではカウンターm,nをゼロにセットする。なおmは前記作業の回数R1からR4を示し、nは前記各回の持ち上げ作業のサイクル数を示す。
作業ステップ32はサイクル開始に当たりカウンタnに1を加算する。作業ステップ33はネジジャッキJ1のナット21を1.1回転進める。
本来上記条件でJ6が1mmであるためにはj1のナット21の進める回転数は、
6.5/6=1.0833回転であるが作業性を勘案して1,1回転とした。
図5(c)はJ1のナットを1.1回転させて約0.17mm持ち上げた所を示す。なお本図は土台135が基礎部の上面3より浮き上がった状態を示すために、持ち上げ量を拡大して書いている。
以下同様にして図5(b)と図6を参照して
作業ステップ34ではJ2のナット21を2.2回転進める。
作業ステップ35ではJ3のナット21を3.3回転進める。
作業ステップ36ではJ4のナット21を4.4回転進める。
作業ステップ37ではJ5のナット21を5.5回転進める。
作業ステップ38ではJ6のナット21を6.6回転進める。
作業ステップ39はサイクル数nによる判断である。nが10未満の場合には矢印40に進み、作業ステップ32でサイクルカウンタnに1を追加し更に作業ステップ33から作業ステップ38までの作業を行い作業ステップ39でサイクル数がn=10となるまで繰り返す。
作業ステップ39でn=10に到達すると矢印41より進む。作業ステップ42ではサイクルカウンタnにゼロを入れる。又回数カウンタmに1を追加する。作業ステップ43では回数カウンタmによる判断を行う。
mが4未満の時矢印44より進む。
作業ステップ45ではJ6,J5,J4各ネジジャッキ10近傍の基礎部2の上面3と土台135との隙間に図7(c)に示す如く支持具55、58をその隙間の大きさに応じて重ね、更に図7(b)に示す勾配面を有する支持具57を打ち込み、前記3台のネジジャッキ10の夫々を上面と下面間の幅が40mmとなるようにもどす。更にネジジャッキ10の上面と土台との間に生じた隙間にも同じく支持具を挿入する。(本段落でJ6、J5,J4の各々に対して行った作業を各々J6のリセット、J5のリセット、J4のリセットと略称する。又、J3,J2,J1に対して行う同様な作業も夫々J3のリセット、J2のリセット、J1のリセットと略称する。)
本発明の方法により不同沈下の傾斜成分を修正した場合基礎部の上面と土台の隙間は殆どゼロから40mmに亘る。この隙間に適正な予圧を与えてスペーサで暫定的に支持させるためにも図7に示した支持具を用いる。
図7(a)において55は支持具である。該支持具55は長さ150mm。幅約100mm。厚さ56は1、3,5,8,10、20、30mmの厚さを揃え組み合わせにより1mm単位の厚さをカバーできるようにしている。図7(b)に於いて57は支持具である。該支持具57は下側片58と上側片59とから成り、下側片58は長さ150mm,幅100mm左の端の厚さが約8mm右端が約2mm、その上面60が勾配面をなしている。上側片59は長さ200mm幅100mmで左の端の厚さが2mmで、その下面が前記下側片58の上面60と同じ勾配の勾配面61をなしており右端の高さが約10mmである。前記下側片58の上面の勾配面60に前記上側片59の下面の勾配面61を重ねた時支持具57の上面と下面とは平行な平面となるように構成されている。
図7(c)に示した如く、数種類の厚さの支持具55と、残りの隙間より僅かに大きい厚みの支持具57の組み合わせを選択して下側片58を予め基礎部と土台の隙間に挿入しておき、上側片59を後から打ち込んで隙間に固定する。
図6に戻り作業ステップ46で回数カウンタmの判断を行う。m=1の場合、矢印47より作業ステップ32に戻りサイクルカウンタnに1を加え本フローに従い本明細書の段落番号50から本段落番号までの作業を繰り返す。
作業ステップ46で回数カウンタm=2の場合、作業ステップ48でJ3をリセットして作業ステップ32に戻りサイクルカウンタnに1を加え、本フローに従い本明細書の項目番号39から項目番号44までの作業を繰り返す。
作業ステップ46で回数カウンタm=3の場合、作業ステップ49でJ2をリセットして作業ステップ32に戻りサイクルカウンタnに1を加え本フローに従い項目番号41から項目番号44までの作業を繰り返す。
作業ステップ43の回数カウンタm=4の場合、本作業は50で終了である。
次に図5(a)及び図5(b)の不同沈下成分の水準回復について図5(a)、図9により説明する。前述の左傾斜成分の水準回復で説明の如く基礎2の上面に図5(b)図5(c)に於いて説明した如く基礎2の上面3に設けた凹部4にネジジャッキ10をJ1からJ6まで設置し、直上の土台135の下面との隙間を0になるよう各ネジジャッキ10のナット21を回転させて調節する。
前記6台のネジジャッキ10の各持ち上げ回毎の持ち上げ量からネジジャッキ10のナット21の回転数を計算する。
図5(a)において、基礎2の上面3の各ネジジャッキ10の位置からR0線までの最短距離をmm単位で測定し、J1の位置でL1、の如くL2,L3,L4,L5.L6の値を求める。これらの値は特定の比例関係にはないのが一般であるためL1からL6を測定値として扱う。図5(a)に示す通り最大値はL4である。
此処では1回の最大持ち上げ量を1mmとする。前述の通りネジジャッキ10のナット21リードは1mmで、ナット21を6.6回転進めた時、持ち上げ量は約1mmであるから、各ジャッキの1回の持ち上げ量からその際の各ナット21の回転数を求める。
J1のナット21の回転数=(L1/L4)×6.6回
J2のナット21の回転数=(L2/L4)×6.6回
J2のナット21の回転数=(L3/L4)×6.6回
J2のナット21の回転数=(L4/L4)×6.6回
J2のナット21の回転数=(L5/L4)×6.6回
J2のナット21の回転数=(L6/L4)×6.6回
本水準回復作業の過程を図6の作業フローに準じて図9の作業フローにより示す。
図に於いて作業ステップ85は作業の開始点である。作業ステップ86ではカウンタでNは各ネジジャッキ10について各々のネジ21の回転数積算に供し次回66回転を越えるか否かの判定に使用する。Mは不同沈下成分の水準回復作業の完了を判定に供される。
作業ステップ87はJ1について第1回の水準回復作業として上記計算の通りナット21を所定回転進め且つカウンタN1に1を加える。ステップ88ではナット21を更に前記所定回転進めた時に66回転を越えるか否かの判定をする。66回転又はそれ以下であればステップ90へ進む。66回転を越える場合には、作業ステップ89へ進みネジジャッキJ1をリセットし、カウンタN1を0にして作業ステップ90へ進む。
作業ステップ90はJ2について第1回の水準回復作業として上記計算の通りナット21を所定回転進め且つカウンタN2に1を加える。ステップ91ではナット21を更に所定回転進めた時に66回転を越えるか否かの判定をする。66回転又はそれ以下であればステップ93へ進む。66回転を越える場合には、作業ステップ92へ進みネジジャッキJ2をリセットし、カウンタN2を0にして作業ステップ93へ進む。
以下同様に本作業フローに従って作業ステップ102でJ6のナット21を上記計算の所定回転数進め作業ステップ103で更に前記所定回転数進めた場合66回転を越えるか否かの判定を行い66回転以下であればステップ105へ66回転を越える場合は作業ステップ104に進みJ6のリセットとN6に0を入れて作業ステップ105に進む。
作業ステップ105に於いてカウンタMに1を加算してMがL4に達するか否かを判定し、未達であれば作業ステップ87から作業ステップ105までの本作業ステップを繰り返す。
作業ステップ106でMがL4に達したとき、ステップ107に移り本水準回復作業は終了する。
この様にして水準を回復した建築物は図8に示す如く支持具55及び57の組み合わせにより土台135を基礎部2の上面3に支持させ、ネジジャッキ10及びその上に使用した支持具55及び57の組み合わせも除去する。
土台135と傾斜した基礎部2の上面3との間に生じた隙間の処理において、基礎部2に植えられた公知のアンカボルトが短くて再使用が適わぬ場合には、公知のアダプタ140を使用してナットで固定する。
更に基礎部2の上面3、及び先に加工した凹部4と土台135の隙間は、モルタル62を基礎部2の外周側から詰めて埋め、本工事を終了する。
本発明の第2の実施例を図9により説明する。本例は図5(a)の不同沈下成分の復元法の拡張であり実施例1で説明した例よりも基準点S1までの復元に要すネジジャッキ10の持ち上げ回数を削減することが出来る。本方法は図5(a)と図10比較してみれば判然とするように方法は実施例1の前記不同沈下成分の復元と全く同じ手順で進め且つ図9に示す作業フローに従って実施できる。
尚本方法の場合最大沈下部分を終始最大ストロークで持ち上げるため最大沈下部分の負担が大きい点で本実施については作業工数と建築物の傷みを慎重に検討した上で判断することが好ましい。
なお、より安価且つ軽量化するために図9に示す裁頭楔によるネジジャッキについて説明する。図に於いて53はネジジャッキである。該ネジジャッキ53の基本構造は、図3に示すネジジャッキ10が有する幅方向両端の案内24を欠き、この機能に替わるものとしてボルト19及びナット21を2組持つことである。これにより幅が減り軽量化が図られている。その他の諸元は全く同じであるため同じ部分に同じ符号を付して説明は省略する。
尚使用に当たっては、この二組のボルトを同じ回転数だけ進めることにより案内24に替わる機能を果たす。
図10において65はネジジャッキである。該ネジジャッキ65の基本機能は、図3に示すネジジャッキ10と同じであるが、特に軽量且つ低コスト化のために形状を異にしている。
66は裁頭楔である該裁頭楔66の71は鉄又はアルミニウム等の金属板製の被覆である。該被覆71の上面及び下面は裁頭楔66の楔面71aをなしており該楔面71aの頂角は約10度である。楔面をなす被覆71の内部72は高強度モルタル又はエンジニアリングプラスチックで構成された複合材である。図10(b)において73は裁頭楔66の先端である。74は裁頭楔の先端の切り込みである。裁頭楔の先端73からの切り込み74までの深さは約70mmである。
67は上側片である。該上側片67において70は鉄又はアルミニウム等の金属板製の被覆である。該被覆70は外周を取り巻いており、下面は前記裁頭楔66の上側の楔面71aと平行となる勾配面70aをなしている。該被覆70の内部69は高強度モルタル又はエンジニアリングプラスチックで構成された複合材である。80は案内である。該案内80は上側片69の幅方向の両端に裁頭楔66の楔面より下方に突出して設けてあり、前記裁頭楔66の楔面71aを収容できる組幅を有し、ネジジャッキ65として使用する際には上側片67が裁頭楔66の楔面71aからずり落ちない様に案内の機能を有する。下側片68は上下の向きが異なるだけで上側片と同じ形状で且つ同じ機能であるから同じ符号を付して説明を省略する。
75はボルトである。76はワッシャである。該ボルト75は前記ワッシャ76を介して裁頭楔66の中心を左から右方向に挿入されている。ワッシャ76は上側片67及び下側片68をその左端で位置決めしており且つ裁頭楔66の先端73,73を避けた形状をなしている。77は丸ワッシャである又78はナットである。該ナット78は前記丸ワッシャ77を介して裁頭楔66の右側に突き出たボルトのネジ部79にねじ込まれている。尚ネジ部79のリードは1mmである。
図10(a)、図10(b)、図10(c)において裁頭楔66の先端73,73が上側片69、下側片69の左端と一致する位置に組み立てた際、上側片69の上面と下側片69の下面は平行で且つ組幅は40mmである。この位置よりナット78を65mm追い込んだ時に該平行な2面の組み幅は50mmとなっており更に5mmの追い込み代を有している。
即ち、ネジジャッキの機能としては図3に示すネジジャッキ10と同じであるが全長が70mm短縮されている。又金属板の被覆と高強度モルタル又はエンジニアリングプラスチックの複合体であるために重量は大幅に軽減されている。当然の事ながら被覆された金属の表面の潤滑により作動の滑らかさは保証されている。
以上説明した如く本発明の方法は事前の準備工事が基礎部の上面に所定の間隔で深さが約40mmの凹部を設けるのみで、内装及び床をはぎ取り、その内側に持ち上げ手段を設置することもなく又、建築物の基礎部の外周にしてもジャッキの足場となる地面を補強する手間もない極めて簡単で容易な作業で目的を達成することが出来るという効果を奏する。
然も裁頭楔を用いたネジジャッキは構造が極めて簡単小型であるため、油圧による持ち上げ手段に比べて極めて安価で初期投資が極小ですみ、取付の準備作業もなく又床板を剥ぎ根太に手を掛ける必要もなく、凡てが手作業で済み克つ、極短期間の工期で済む。その上ネジジャッキは持ち上げ作動が滑らかであるため、土台に衝撃的な荷重を及ぼすことがなく滑らかに作動し、土台、柱に歪みを与える量が少なく且つ各回の持ち上げ量が最大1mmであるために各相隣る柱間の相対変位が壁や外板に亀裂や歪を発生させる恐れも極めて少ない。従って本来持ち合わせている柱と壁との間の機密を損ねる恐れも少ない。又柱と扉の間に関しても開閉のスムーズさを損ねたり、閉時の機密性を損ねる恐れも少ない等、多くの効果を奏する安全にして安直に不同沈下に伴う種々の悩みの解消に貢献できる。
なお本実施例においては、建築物の構造部材は凡て木材で構成された例を示したが、構造部材の一部又は全部を軽量鉄骨又は重量鉄骨を採用している例がある。又外壁パネルに強度を持たせたパネル方式の所謂るプレハブ住宅等の建築物も開発されているが、これらについても本発明の手法は適用できる他、特許請求範囲の要旨を逸脱しない範囲において変更は自由であることは勿論である。
1. 従来非常に高価であり工事に長い期間を要した不同沈下した建築物の水準回復が極めて安価且つ極短期間の工事で済むようになる。
2. 持ち上げ手段が簡単且つ安価であるため工事のための初期投資が極めて少なく作業準備が最小で作業が手動で簡単に行えるので極小規模の工務店でも十分に市場に参入できる。
3. 極短期間且つ少額の出費で不同沈下に伴う問題が解決するので一般の家庭でも特別な意識なしに施工を依頼できる。
4. 上記の如く安価且つ容易に作業が出来るために万一回復工事後に不同沈下が再発しても容易に回復することが出来る。
本発明のネジジャッキを設置した建物の正面図である。 図1のA−A断面図である。 (a)本発明で使用するネジジャッキの一例を示す側面断面図である。(b)図3(a)のB矢視図(左前面図)である。(c)図3(a)のC矢視図(右側面図)である。 不同沈下した建築物の基礎部の上面にネジジャッキを配置した例を示す正面図である。 本発明になるネジジャッキを用いた水準回復の手順を示す説明図である。(a)基礎の上面にジャッキを配置した状態の説明用模式図である。(b)本発明の不同沈下した建築物を不同沈下成分と左傾斜成分に分ける説明図である。(c)J1のネジジャッキJ1のナットを1.1回転させて土台を持ち上げた状態を示す模式図である。状況を判り易くするために持ち上げ量を拡大している。 本発明になるネジジャッキを使用した水準回復作業の手順を示すフロー図である。 (a)本発明に使用する支持具の一例の斜視図である。(b)本発明に使用する支持具の別の例を示す斜視図である。(c)本発明で使用する支持具の使用例を示す断面図である。 本発明の方法により水準回復後の処理を説明するための模式図である。 本発明になる不同沈下の不同成分を回復する作業フローである。 本発明の実施の第2例を説明する模式図である。 (a)本発明で使用するネジジャッキの第2例を示す側面断面図である。(b)図11(a)のD矢視図(左側面図)である。(c)図11(a)のE矢視図(右側面図)である (a)本発明で使用するネジジャッキの第3例を示す側面断面図である。(b)図12(a)のF矢視図(上面図)である。(c)図12(a)のG矢視図(左側面図)である 従来技術の一例を示す正面図である。 図13のX−X断面図である。 従来技術の第2例を示す断面図である。 従来技術の第3例を示す正面図である。 図16のY−Y断面図である。
符号の説明
1、120 建築物
2、122 基礎部
3 基礎上面
4、137 凹部
5 鉄筋
6 根太
7 床
8 内装(畳又はカーペット)
9 仕切(壁又は扉)
10,53,65 ネジジャッキ
11、66 裁頭楔
12 上面
13 下面
14、67 上側片
15,70a 上側片滑り面
17、68 下側片
18,70a 下側滑り面
19、75 ボルト
20、76 ワッシャ
21、78 ナット
22、79 ネジ部
23、77 丸ワッシャ
24、80 案内
30〜50 作業フロー図の作業工程説明
55、57 支持具
56 厚み
60、61 滑り面
62 モルタル
69、71 被覆
69a,71a 楔面
70,72 高強度モルタル又はエンジニアリングプラスチック
73 先端
74 切り込み
123 基礎地盤
124 建物本体
125 挿通孔
126 持上手段
127 持上部材
128 下側部材
129 上側部材
130 連結部材
132 流入路
133 クラウト材
134 ウエイト
135 土台
136 柱
140 アンカボルトアダップタ
G 地面

Claims (6)

  1. 基礎の上面に土台を載置し、該土台に立設した柱により屋根、上部構造、外板等を支持し更に床、内装等を施した建築物が前記基礎の不同沈下により傾斜したものにおいて、前記基礎の上面に所定の間隔を置いて下方向且つ前記基礎の幅方向に貫通する凹部を加工して前記土台の下面との間に隙間を設け、該隙間の各々に持上手段を挿入し、各持上手段を順次微少ストロークづつ持上げて前記土台が全体として水平となるように持ち上げる方法であって、前記凹部はその底面の深さが前記基礎の内部に横に配置された鉄筋を保護するコンクリートの被覆を残す深さであり、前記柱の位置では極力該凹部をその直下に設け、前記持上手段は持上げ方向のストロークを、微量且つ正確に制御可能な機構を用い、基準点を設けて不同沈下成分を復元の後、傾斜成分を復元して前記基準点を含む水準に合わせて水平に復元することを特徴とする不同沈下した建築物のレベル調整方法。
  2. 所定の基準点より傾斜成分を復元する過程を省略して所定の基準点を含む水準に合わせて水平に復元することを特徴とする請求項1に記載の不同沈下した建築物のレベル調整方法。
  3. 裁頭楔と、該裁頭楔の二面の各々と対向した滑り面を有する台形をなす二個の別体を前記裁頭楔の二面に接した際、前記二個の別体各々の外側面が互いに平行な平面をなし、且つ最小間隔が50mm以下となり、且つ該裁頭楔を該滑り面に沿って前記2個の別体の平行な平面の間隔を拡げる方向に押圧するネジ機構を少なくとも1組有する請求項1又は請求項2に記載の持上手段。
  4. 裁頭楔及びこれに両側から対向する二個の別体は共に鉄又はアルミニウム等の金属又は表面を鉄板で被覆された高強度モルタル又は硬質樹脂の複合体で構成され、各滑り面に潤滑処理を施した請求項1乃至請求項3に記載の持上手段。
  5. 基礎と土台との間に生じた隙間に挿入する支持具は、鉄又はアルミニウム等の金属又は硬質樹脂より成り厚さは1mm、から10mm,20mm,30mmの飛び級的な厚さの長方形をなし、厚さが10mmを越えるものについてはその断面形状がその対角線で裁断したものも併用し、前記対角線を相互に接触させて長方形となるように重ねて如何なる隙間も埋めて支持できる請求項1又は請求項2に記載の建築物の不同沈下による傾斜の調整に使用する支持具。
  6. 土台、柱等が木材と軽量鉄骨又は木材と重量鉄骨の複合体又は、軽量鉄骨又は重量鉄骨よりなる建築物又は柱等の構造部材に替えて外板に強度を持たせたプレハブ工法による建築物である請求項1又は請求項2に記載の建築物の不同沈下による傾斜の調整方法。
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