JP4452908B2 - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸水性樹脂(以下、吸水性ポリマーとも言う)、特に、ゲル強度を保持したまま、塩水に対する吸水性、および吸水速度が改善された吸水性樹脂の製造方法に関する。本発明に係る方法により得られる吸水性樹脂は使い捨ての衛生材料製品や家庭用品、止水材、土壌改良材、結露防止剤、農園芸用保水剤などの吸水性樹脂として幅広く利用可能である。
【0002】
【従来の技術】
近年、高吸水性ポリマーは、生理用品や紙おむつ等の衛生材料分野のみならず、止水材、結露防止材、更に鮮度保持材、溶剤脱水剤等の産業用途、緑化用途、農園芸用途等にも実用化されつつある。
【0003】
高吸水性ポリマーとしては、澱粉とアクリロニトリルのグラフト共重合体の加水分解物、カルボキシメチルセルロース架橋体、ポリアクリル酸(塩)架橋体、アクリル酸(塩)とビニルアルコールの共重合体、ポリエチレンオキサイド架橋体等が知られているが、現在では性能および価格などの面からポリアクリル酸(塩)架橋体が一般的に用いられている。
【0004】
原料としてアクリル酸及びそのアルカリ金属塩を主成分とするアクリル酸系モノマーを使用してポリアクリル酸(塩)架橋体からなる高吸水性ポリマーを製造する方法としては、例えば、双椀型ニーダー中で攪拌しながら重合する方法(特開平11−292919号公報)、容器中で注型重合する方法、駆動するベルト上で連続的に静置重合する方法(特開平1−126310号公報、特開平4−175319号公報)、逆相懸濁重合法(特公昭54−30710号公報)等が知られている。
【0005】
この中で逆相懸濁重合法は界面活性剤を用いることにより、疎水性有機溶媒中に水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散させて重合を行うことから、容易に粉砕可能なビーズ状の高吸水性ポリマーが得られるという利点を有している。
【0006】
しかし、逆相懸濁重合にて高吸水性ポリマーを製造すると、たとえ架橋剤を使用しなくても自己架橋が過度に進行して、吸水能力が著しく低下してしまうという問題点がある。この問題点に対して単に水溶性エチレン性不飽和モノマー濃度を減らす等重合条件を変更するだけでは、自己架橋を抑制し吸水能力の低下を期待する程度にまで抑えることは出来ず、再現性にも劣る。また、これらの問題点を解決する目的で、ポリマーの重合時に次亜リン酸化合物を共存させる製造方法(特開平11−255837号公報)が開示されているが、吸水倍率が増加するもののゲル強度のコントロールが難しく、多くの場合でゲル強度が弱くなるという欠点を有した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、吸水性樹脂(以下、吸水性ポリマーとも言う)、特に、ゲル強度を保持したまま、塩水に対する吸水性、および吸水速度が改善された吸水性樹脂の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および界面活性剤の存在下に、ラジカル開始剤を用い、不活性溶媒中で油中水滴型の逆相懸濁重合させることにより、ゲル強度を保持したままで、塩類を含有する水に対する吸水性、および吸水速度を改善した吸水性樹脂を製造することが出来ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および界面活性剤の存在下に、ラジカル開始剤を用い、不活性溶媒中で油中水滴型の逆相懸濁重合させる吸水性樹脂の製造方法であって、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルスルホン酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの四級化物、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、及び、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートの四級化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次いで、本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に以下に述べる。
【0011】
本発明において用いられる分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸としては、末端基としてマレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドをそのまま用いることが出来る。例えば、マレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドは無水マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸などとアンモニアを加熱反応させて、マレイミドもしくはマレアミド酸を経ることにより得られる。更に、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸としては、無水ポリ酸性アミノ酸と分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物であってもよい。
【0012】
本発明で用いられる無水ポリ酸性アミノ酸は、ポリアスパラギン酸またはポリグルタミン酸の無水物であれば、線状構造を有するものであっても、分岐状構造を有するものであっても構わない。また、部分的にアミド結合を含んでいてもよい。更に、基本骨格に、グルタミン酸、アスパラギン酸以外のアミノ酸誘導体との結合を含んでいてもよい(即ち、コポリマーであってもよい)。
【0013】
グルタミン酸、アスパラギン酸以外のアミノ酸誘導体としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、システイン、シスチン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン等の脂肪族α−アミノ酸、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン等の芳香族α−アミノ酸、これらα−アミノ酸の側鎖官能基が置換されたもの、β−アラニン、γ−アミノ酪酸等のアミノカルボン酸、グリシル−グリシン、アスパルチル−フェニルアラニン等のジペプチド(2量体)、グルタチオン等のトリペプチド(3量体)等が挙げられる。これらのアミノ酸誘導体は光学活性体(L体、D体)でも、ラセミ体でもよい。また、これらの結合は、ランダムに存在して(ランダムコポリマー)も、ブロック的に存在して(ブロックコポリマー)もよい。
【0014】
上記無水ポリ酸性アミノ酸の製造方法については特に限定されない。例えば、▲1▼D/L−アスパラギン酸を加熱脱水縮合することにより製造する方法;▲2▼D/L−アスパラギン酸を燐酸などの触媒の存在下加熱脱水縮合することにより製造する方法;▲3▼適当な溶媒中で、D/L−アスパラギン酸を燐酸などの触媒の存在下加熱脱水縮合することにより製造する方法;▲4▼無水マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸などとアンモニアを加熱反応させマレイミド、もしくはマレアミド酸を経て製造する方法;▲5▼無水マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸などとアンモニアを加熱反応させマレイミド、もしくはマレアミド酸を生産し、燐酸などの触媒の存在下製造する方法等がある。
【0015】
本発明に用いられる分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸の分子量は、重量平均分子量で500以上であることが好ましく、より好ましくは1000以上である。重量平均分子量が500以上であれば、本発明の目的とする塩類を含有する水に対する吸水性が充分に高められた吸水性材料を得ることが出来る。
【0016】
本発明で用いられる分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物は、下記一般式[1]で表される化合物であることが好ましい。
【0017】
【化2】
Figure 0004452908
【0018】
(但し、R1はアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イミノ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基、−Q−は炭素原子数1〜10のアルキレン基、R2は水素、または炭素原子数1〜4のアルキル基である)
【0019】
分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物の具体例としては、例えば、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート、2−イソシアナトメチルアクリレート等が挙げられる。
【0020】
無水ポリ酸性アミノ酸と分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物との反応方法は、▲1▼無水ポリ酸性アミノ酸の粉体に分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物を直接添加混合する方法;▲2▼無水ポリ酸性アミノ酸の粉体を不活性溶媒に分散させて分散液に分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物を添加混合する方法;▲3▼無水ポリ酸性アミノ酸を予めジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性有機溶媒に溶解させ、分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物を添加混合する方法;▲4▼無水ポリ酸性アミノ酸にアルカリ水溶液を添加することにより加水分解し、得られた水溶液に無水ポリ酸性アミノ酸、もしくは無水ポリ酸性アミノ酸の加水分解物と反応性を有する官能基を有する化合物を添加混合する方法;▲5▼無水ポリ酸性アミノ酸にアルカリ水溶液を添加することにより一旦加水分解した後、得られた水溶液に酸を添加することにより無水ポリ酸性アミノ酸の加水分解物を中和した後、得られた水溶液に無水ポリ酸性アミノ酸、もしくは無水ポリ酸性アミノ酸の加水分解物と反応性を有する官能基を有する化合物を添加混合する方法が挙げられる。
【0021】
何れの方法においても必要ならば、ハイドロキノン等のラジカル重合禁止剤を添加したり、あるいは空気を導入して分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物の重合を禁止する操作を用いてもよい。
【0022】
分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物の無水ポリ酸性アミノ酸に対する添加量は、無水ポリ酸性アミノ酸1モルに対して0.8モル〜3モルの範囲内が好ましく、より好ましくは0.9〜2モルの範囲内である。分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物の無水ポリ酸性アミノ酸に対する添加量がかかる範囲にあれば、未反応の量を減少できるとともに、分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物と無水ポリ酸性アミノ酸の反応生成物を逆相懸濁重合に用いることにより得られる吸水性樹脂の特性、特に吸水特性に悪影響を及ぼす要因を抑制することが出来るために好ましい。
【0023】
無水ポリ酸性アミノ酸と分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物の反応温度は20〜150℃の範囲で、反応時間は0.1〜24時間で行われるが、特に限定されるものではない。
【0024】
本発明で用いられる分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸は、懸濁重合に使用される前に予め加水分解することが好ましい。この時の加水分解反応はアルカリ水溶液を加えて行われ、反応温度は好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜95℃であり、反応時間は一般的には0.1〜2時間行われる。また、使用するアルカリ金属化合物、および/またはアルカリ土類金属化合物としては、水酸化物または炭酸塩が好ましく、例示すれば、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、MgCO3、CaCO3等あり、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムの0.1〜40重量%水溶液を用いるのが一般的である。加えるアルカリの量はイミド環基1に対し0.4〜1.0モルを用いることが好ましい。
【0025】
分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸は、予め加水分解された後にpHを調整する目的で塩酸、硫酸、燐酸等のプロトン酸により中和を行ってもよい。pHを調整することにより、無水ポリ酸性アミノ酸と分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物との反応中に生じる分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物のエステル部分の加水分解を防ぐことが可能になる。
【0026】
エチレン性不飽和モノマーは、水溶性エチレン性不飽和モノマーであることが好ましく、水溶性又は水に対して混和性のものであれば、いずれのものも使用出来る。水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルスルホン酸及び/又はそのアルカリ金属塩等のイオン性モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の非イオン性モノマー;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和モノマーやそれらの四級化物等を挙げることが出来、これらの群から選ばれる一種又は二種以上を用いることが出来る。尚、ここで「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」及び「メタクリル」の何れをも意味するものとする。これらの中で好ましくは、(メタ)アクリル酸及び/又はそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドが挙げられる。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩等が挙げられるが、得られるポリマーの性能、工業的入手の容易さ、安全性等の面から、ナトリウム塩、又はカリウム塩が好ましい。
【0027】
上記のエチレン性不飽和モノマーの、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸に対する量は、好ましくは0.1/1〜100/1重量比、より好ましくは1/1〜50/1重量比である。エチレン性不飽和モノマーの使用量が、かかる範囲であれば、本研究の目的とするところの、塩類を含有する水に対する優れた吸水性、及び高い吸水速度を有する吸水性樹脂を製造することが出来る。
【0028】
架橋剤としては、2個以上の重合性不飽和基を有する多官能エチレン性不飽和モノマーもしくは2個以上の反応性基を有する化合物が架橋剤として用いられる。多官能エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン性不飽和基を2個以上有するエチレン性不飽和モノマーであれば基本的にはすべてのモノマーを用いることが可能であり、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレートなどを挙げることが出来る。
【0029】
2個以上の反応性の基を有する架橋剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングルコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルアルコール、ジエタノールアミン、トリジエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖などの多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;エピクロロヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド;エチレンジアミン等のポリアミン類;水酸化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、塩化硼砂マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛および塩化ニッケル等の周期律表2A族、3B族、8族の金属の水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、酸化物、硼砂等の硼酸塩、アルミニウムイソプロピラート等の多価金属化合物等が挙げられる。これらの1種または2種以上を反応性を考慮した上で用いることが出来るが、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する多官能エチレン性不飽和モノマーを用いることが最も好ましい。
【0030】
上記架橋剤の使用量は、前記エチレン性不飽和モノマーに対して、この好ましくは0.005〜2モル%、より好ましくは0.01〜1モル%である。
【0031】
本発明に使用される界面活性剤は、疎水性溶媒に可溶又は親和性を持ち基本的に油中水滴型乳化系を作るものであればいずれのものも使用出来る。このような界面活性剤としては一般的にはHLB(Hydrophile-Lipophile-Balance)が好ましくは1〜9の範囲であり、より好ましくは2〜7の範囲の非イオン系及び/又はアニオン系である。本界面活性剤の具体例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、酸化ポリエチレン、無水マレイン化ポリエチレン、無水マレイン化ポリブタジエン、無水マレイン化エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマー、α−オレフインと無水マレイン酸の共重合体又はその誘導体ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。これら界面活性剤は2種以上を適宜併用することも可能である。これら界面活性剤の使用量は疎水性溶媒に対して、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。
【0032】
本発明の製造方法において用いられるラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物(過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等)、アゾ化合物(アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等)及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩若しくは重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、アスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化物等の酸化剤の組み合わせよりなるもの)が挙げられる。
【0033】
これらの重合開始剤は混合して使用してもよい。これら開始剤の使用量は、水溶性重合性モノマー及び架橋剤の合計量に対して通常、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.0005〜1重量%である。
【0034】
本発明の製造方法において用いられる不活性溶媒の具体例としては、基本的に水に溶け難く、重合反応に不活性であればいかなるものも使用可能である。その一例を挙げれば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環状炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。工業的入手の安定性、品質等から見てn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等が好ましい溶媒として挙げることが出来る。
【0035】
これら不活性溶媒の使用量は使用される水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液に対して、0.5〜10重量倍、好ましくは0.65重量倍が採用される。
【0036】
本発明の吸水性樹脂は、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および界面活性剤の存在下に、ラジカル開始剤を用い、不活性溶媒中で油中水滴型の逆相懸濁重合させることにより得られる。
【0037】
より具体的な実施態様としては、予め中和されたアクリル酸系モノマー水溶液に架橋剤、ラジカル重合開始剤、および必要に応じてチオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、アミン類、次亜リン酸塩類等の水溶性連鎖移動剤を添加溶解したモノマー水溶液を調製しておき、窒素等不活性ガスを導入して脱気を行う。一方、重合装置内で界面活性剤を不活性溶媒中に入れ、必要ならば若干加温し溶解せしめ、窒素等の不活性ガスを導入し脱気を行う。この中に上記モノマー水溶液を注入し、攪拌下、昇温を開始する。この間に反応系の水溶液は微細な液滴となって不活性溶媒中に分散し懸濁する。昇温とともにやがて発熱が起こり重合が開始する。
【0038】
分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸の添加方法としては、予め加水分解した分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸水溶液を、▲1▼モノマー水溶液と予め混合することにより行う方法;▲2▼モノマー水溶液と同時に注入する方法;▲3▼昇温時に注入する方法;▲4▼発熱が起こり重合が開始した後で注入する方法、など何れでもよいが、この中で系の安定性が最も保持できる点で、▲4▼発熱が起こり重合が開始した後で注入する方法が好ましい。
【0039】
発熱が起こり重合が開始した後で分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸水溶液を添加する場合はそのまま添加してもよい。また、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸の添加量により粒子同士が凝集を起こすなどの重合安定性に問題が生じる場合があることから、界面活性剤を溶解せしめた不活性溶媒を分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸水溶液に加え、攪拌分散させた後に重合液に添加するほうが、重合安定性を改善出来るのでより好ましい。この時使用する界面活性剤は先記した逆相懸濁重合に用いられる界面活性剤何れのものを1種、または2種以上混合して用いてもよいが、好ましくは先にモノマーの重合に用いている界面活性剤よりもHLB値の高い界面活性剤を用いるほうが好ましい。このような界面活性剤は具体的には、一般的にはHLBが4〜18の非イオン系及び/又はアニオン系である。
【0040】
発熱後の注入の時期は、好ましくは発熱直後から3時間経過後までの間、より好ましくは発熱直後から2時間後までの間である。この時期で注入を行うことにより、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸の水溶液が分離することなく、反応系中で形成されつつある吸水性樹脂の粒子内に取り込まれることが出来る。
【0041】
不活性溶媒と水溶液全体の割合は通常、重量比で好ましくは10:1〜0.5:1、より好ましくは5:1〜0.8:1である。不活性溶媒とモノマー水溶液の割合が上記の重量比の範囲内であるなら、重合安定性も良く、重合熱の徐熱も比較的容易となり、生産性も良好である。重合開始後、発熱の状態によっては適宜冷却もしくは加熱を行う。重合反応温度は、好ましくは60〜100℃、より好ましくは60〜80℃である。また、撹拌回転数は用いる撹拌翼の種類、重合反応槽のスケールによってその絶対値は異なってくるので一義的には示すことが出来ないが、50〜500rpmが好ましい。この範囲の攪拌回転数であれば重合安定性に問題をおこすことなく、本発明の目的とする吸水性能を有する吸水性樹脂を得ることが出来る。
【0042】
本発明の製造方法にて得られる吸水性ポリマーは、膨潤したビーズ状の粒子からなっていてデカンテーション又は蒸発等により不活性溶媒と分離することが出来る。また、必要に応じて更に不活性溶媒存在下、共沸脱水または加熱により直接脱水することにより乾燥せしめ粉末状のポリマーを得ることが出来る。
【0043】
また、本発明では乾燥途中適当な水分率に設定せしめ、表面架橋することも出来る。表面架橋は、共沸脱水によって含水ポリマー中の水分濃度を重合性単量体に対して10〜50重量%(含水ポリマーの水分濃度が重合後にこのレベルにある場合は、脱水を行う必要がないことは言うまでもない)とした後、この特定の水分濃度に調節された湿潤ポリマー粒子の分散液に架橋剤を、必要であれば触媒とともに、添加することにより行うことが出来る。
【0044】
表面架橋剤としては、ポリアミンやポリグリシジルエーテル等の、2個以上のカルボキシル基(カルボキシレート基)と反応しうる反応性の基を有する化合物、およびシランカプリング剤を、必要に応じシラノール縮合触媒として知られているジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート等とともに、用いることが出来る他、グリシジルメタクリレート等の反応性の基を有するエチレン性不飽和化合物を必要に応じラジカル重合開始剤とともに用いることが可能である。
【0045】
表面架橋剤の添加量は、存在する水の量等によって異なってくるが、通常、固形分に対して好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜3重量%である。本範囲で表面架橋を行うことにより吸水能が低下しすぎることなく、吸水速度およびゲル強度の向上効果が得られる。
【0046】
かくして得られたポリマーは、通常、その平均粒子径が10〜500μの真球状の1次粒子又はそれらが一部凝集した2次粒子を含む粉体である。この2次粒子も機械力によって容易に粉砕することが出来る。これはポリマーの製造面および使用面において大きな利点がある。
【0047】
また、本発明の製造方法により得られる吸水性材料は、特に塩類を含む水に対する吸水性に優れている。吸水性能は日本工業規格に規定されている高吸水性材料の吸水量試験方法(JIS K−7223)によるティーバック法による吸水量の試験により測定することが出来る。ティーバック法で評価した場合、本発明による吸水性材料は、イオン交換水に対して20倍以上、生理食塩水(0.9重量%生理食塩水)に対して5倍以上の吸水能を有する。従って、本発明の吸水性材料は従来から知られている吸水性材料の全ての用途に適用可能であり、例えば、オムツや生理用品などの衛生用品等の衛生分野、バップ剤用途などでの医療分野、廃泥ゲル化剤などとしての土木・建築分野、食品分野、工業分野、土壌改質剤、および保水剤などとしての農業・園芸分野など多種多様な分野に利用することが出来る。
【0048】
【実施例】
以下に、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、部および%は、特にことわりのない限り、全て重量基準であるものとする。尚、本発明の樹脂の諸特性は、以下に概略を示した評価方法にて測定した。
【0049】
尚、実施例1〜6および比較例1、比較例2の仕込組成を表1にまとめた。
【0050】
[吸水倍率の測定方法]
例中、樹脂の吸水倍率は、日本工業規格、JIS K−7223に記載されている高吸水性材料の吸水量試験方法に基づき測定した。即ち、乾燥樹脂0.20g(0.9%塩化ナトリウムに対しては1.00g)を255メッシュナイロンシャー製のティーバッグ(200mm×100mm)に入れ、1000mlのイオン交換水、または0.9%塩化ナトリウム水溶液に浸漬して該樹脂を1時間膨潤させた後、ティーバッグを引き上げて10分間水切りを行い、重量を測定した。同様の操作をティ−バッグのみで行った場合の重量をブランクとして測定を行った。吸水倍率W(g/g)は、試料の質量a(g)、試料を入れたティ−バッグを所定時間浸漬し、水切り後の質量b60min(g)、試料を入れないティ−バッグを所定時間浸漬し、水切り後の質量の平均値c(g)から、次式に従って算出した。
【0051】
【数1】
Figure 0004452908
【0052】
[吸水速度の測定方法]
上記、吸水倍率の測定方法において、3分膨潤後の吸水倍率を吸水速度として測定を行った。吸水速度U(g/g)は、試料の質量a(g)、試料を入れたティ−バッグを所定時間浸漬し、水切り後の質量b3min(g)、試料を入れないティ−バッグを所定時間浸漬し、水切り後の質量の平均値c(g)から、次式に従って算出した。
【0053】
【数2】
Figure 0004452908
【0054】
[ゲル強度の測定方法]
樹脂1.0gに純水100gを吸水させ(100倍吸水)、吸水後のゲルにおもりを重ねてゆき、最初に乗せたおもりがゲル中に入り込む時点の、単位面積当たりのおもりの総重量(g/cm2)をゲル強度とした。
【0055】
《参考例1》ポリコハク酸イミドの製造例
攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した1Lの4ツ口フラスコに、無水マレイン酸96g、イオン交換水50gを加えた。55℃に加温し無水マレイン酸を溶解させた後、一旦冷却し無水マレイン酸のスラリーを得た。再び系内を加温し、55℃になったところで、28%アンモニア水60.8gを添加した。その後、系内の温度を80℃に加温した。3時間反応させた後、得られた水溶液を乾燥し反応中間体を得た。2Lのナスフラスコに反応中間体100gおよび85%燐酸10gを仕込み、エバポレーターを用い、オイルバス浴温200℃、減圧下、4時間反応させた。得られた生成物を水およびメタノールで数回洗浄した。得られたポリこはく酸イミドをGPCで測定した結果、重量平均分子量は3000であった。
【0056】
《実施例1》
攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mLの4ツ口フラスコに、参考例1で得たポリこはく酸イミド50g、およびシクロヘキサン100gを仕込み、約60℃で溶解させた後、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート5gを加えたところ、発熱が認められた。反応を30分継続した後、水酸化ナトリウム20.6gを溶解させた水溶液75gを加え、ポリこはく酸イミドの加水分解を行なった。温度が室温に下がった後、シクロヘキサン相を分離することにより、メタクリル基を導入したポリこはく酸イミドの加水分解物を含有する水溶液を得た。100ml三角フラスコに、HLB=9のショ糖エステル(第一工業製薬株式会社製 DKエステルF−90)1.5gを秤量し、シクロヘキサン20gを加え、50℃に昇温して溶解した。これに上述の操作で得られた水溶液26gを加えて攪拌することにより、メタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を得た。
【0057】
これとは別に、攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4ツ口フラスコに、シクロヘキサン164gを加え、これにHLB=5のショ糖エステル(DKエステルF−50)1.5gを添加して撹拌しながら50℃に昇温して溶解した。その後、フラスコの内容物を30℃に冷却した。一方、500mlの三角フラスコにアクリル酸30gを加え、外部より冷却しつつ水酸化ナトリウム13.3gを溶解した水酸化ナトリウム水溶液92.8gを滴下してアクリル酸の80モル%を中和した。この液にN,N’−メチレンビスアクリルアミド7.7mgを添加し、更に過硫酸アンモニウム0.1gを加えて溶解した。次に、上述のようにして得られた、重合開始剤および架橋剤を含有する75モル%部分中和アクリル酸塩水溶液を上述の円筒型丸底フラスコの内容物中に加え、界面活性剤を含むシクロヘキサン溶液に分散させると共に系内を窒素で充分に置換した。その後、加熱昇温し、重合反応を開始した。約5分後発熱が開始し、73℃付近でピークとなった。ピークに達した5分後、先に得られたメタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を一括添加した。以後60℃〜65℃で3時間保持した。尚、攪拌は300rpmで行った。反応終了後デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて湿潤ポリマーから減圧乾燥により水を除去した。これにより、球状の重合体粉末が得られた。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0058】
《実施例2》
100ml三角フラスコに、HLB=9のショ糖エステル0.75gを秤量し、シクロヘキサン20gを加え、50℃に昇温して溶解した。これに実施例1で得られたメタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液13gを加え攪拌することによりメタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を得た。
【0059】
次いで、HLB=5のショ糖エステルの添加量を0.75gとした以外は実施例1と同様の操作により、球状の重合体粉末を得た。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0060】
《実施例3》
攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4ツ口フラスコに、水酸化ナトリウム13.4gを溶解させた水溶液75gを加えた後、参考例1で得たポリこはく酸イミド粉末50gを添加することによりポリこはく酸イミド水溶液を得た。温度を90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート5.0gを加え、反応を1時間行うことにより、メタクリル基を導入したポリこはく酸イミドの加水分解物を含有する水溶液を得た。100ml三角フラスコに、HLB=16のショ糖エステル(第一工業製薬株式会社製 DKエステルF−160)0.75gを秤量し、シクロヘキサン20gを加え、50℃に昇温して溶解した。これに上述の操作で得られた水溶液7.8gを加えて攪拌することによりメタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を得た。
【0061】
次いで、HLB=9のショ糖エステルを0.75g添加した以外は実施例1と同様の操作により、球状の重合体粉末をた。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0062】
《実施例4》
100ml三角フラスコに、HLB=9のショ糖エステル0.75gを秤量し、シクロヘキサン20gを加え、50℃に昇温して溶解した。これに実施例3で得られたメタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液13gを加え攪拌することによりメタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を得た。
【0063】
次いで、実施例3と同様の操作により、球状の重合体粉末を得た。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0064】
《実施例5》
N,N’−メチレンビスアクリルアミドを3.9mgとした他は、実施例3と同様の操作により反応を行った。反応終了後、更に攪拌下に水浴の温度を上げ、シクロヘキサンと水との共沸により、ポリマー中の水分が約15重量%となるまで脱水操作を行った。脱水終了後デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて湿潤ポリマーから減圧乾燥により水を除去した。これにより、さらさらとした塊のない重合体粉末が得られた。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0065】
《実施例6》
実施例5と同様の操作により、ポリマー中の水分が約15重量%となるまで脱水操作を行った後、グリシジルメタクリレート0.14g、過硫酸アンモニウム0.14gを水1.6g、アセトン0.9gの混合溶液に溶解させた溶液を添加した。以後70℃〜75℃で1時間保持した。反応終了後デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて湿潤ポリマーから減圧乾燥により水を除去した。これにより、さらさらとした塊のない重合体粉末が得られた。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0066】
《比較例1》
メタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を添加しない他は実施例1と同様の操作により、球状の重合体粉末を得た。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0067】
《比較例2》
メタクリル基を導入したポリこはく酸イミド加水分解物水溶液の分散溶液を添加しない他は実施例3と同様の操作により、球状の重合体粉末を得た。得られた吸水性材料の特性評価結果を表2に示す。
【0068】
【表1】
Figure 0004452908
【0069】
ポリこはく酸イミド;参考例1で得たポリこはく酸イミド
2−MOI ;2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート
GMA ;グリシジルメタアクリレート
MBAA ;N,N’−メチレンビスアクリルアミド
APS ;過硫酸アンモニウム
【0070】
【表2】
Figure 0004452908
【0071】
【発明の効果】
本発明の不活性溶媒中で油中水滴型の逆相懸濁重合させる吸水性樹脂の製造方法を行うことにより、ゲル強度を保持したままで、塩類を含有する水に対する吸水性、および吸水速度が改善された吸水性樹脂を製造することが可能となる。本発明に係る方法により得られる吸水性樹脂は、使い捨ての衛生材料製品や家庭用品、止水材、土壌改良材、結露防止剤、農園芸用保水剤などの吸水性樹脂として幅広く利用可能である。

Claims (5)

  1. 分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸と水溶性エチレン性不飽和モノマーを、架橋剤および界面活性剤の存在下に、ラジカル開始剤を用い、不活性溶媒中で油中水滴型の逆相懸濁重合させる吸水性樹脂の製造方法であって、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルスルホン酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの四級化物、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、及び、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートの四級化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする吸水性樹脂の製造方法。
  2. 分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸が、無水ポリ酸性アミノ酸と、分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  3. 分子内にエチレン性不飽和結合及び無水ポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物が、下記一般式[1]で表される化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
    Figure 0004452908
    (但し、R1はアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イミノ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の基、−Q−は炭素原子数1〜10のアルキレン基、R2は水素、または炭素原子数1〜4のアルキル基である)
  4. 無水ポリ酸性アミノ酸が、ポリこはく酸イミドであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
  5. 分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する無水ポリ酸性アミノ酸が、その一部又は全部を加水分解させたものであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
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