JP4451326B2 - 架橋型両性ポリウレタンエラストマーの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明においてジイソシアネートは、ポリウレタンエラストマーの主原料の一つとして使用される。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NDI)のような脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)のような芳香脂肪族ジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−2,4’−または4,4’−ジイソシアネート(MDI)のような芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのジイソシアネートは単独でも、また二種以上の混合物として使用しても良い。これらのうち好ましいものはMDI、HDIおよびIPDIである。
本発明においてポリオールは、ポリウレタンエラストマー中にソフトセグメントを構成するために不可欠の成分である。化学構造的には、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4'−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4'−ジヒドロキシフェニルメタン、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の1種または2種以上を付加して得られるもの、あるいは、開環重合によって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレングリコール(PTMG)等が挙げられる。
本発明において、一般式(1)で表される一分子中に少なくとも3個の水酸基を有するタウリン4級アンモニウム塩が使用される。これが本発明の最も重要な技術的事項である。主原料となるジイソシアネートとの関係では、タウリン4級アンモニウム塩は、前記高分子ポリオールと同様に「ポリオール」としてイソシアネート基と反応してウレタン結合を形成する。
ジイソシアネートと高分子量ポリオールとタウリン4級アンモニウム塩との反応方法には特に制限はない。いわゆるプレポリマー法、ワンショット法、これらの組み合わせ法などが用いられるが、反応制御の面からはプレポリマー法が好ましい。即ち、ジイソシアネートとポリオールを、先ず、NCO/OH(モル比)を1.05〜4、好ましくは1.1〜2の範囲で反応させ両末端がイソシアネート基のウレタンプレポリマーとする。次いで鎖伸長剤を加えてウレタン結合を成長させ、目的とするポリウレタンエラストマーを製造する。本発明においては、プレポリマー製造時に分子量500以上の高分子量ポリオールを使用し、鎖伸長剤としてタウリン4級アンモニウム塩を使用する態様が好ましい。
ウレタン化反応をプレポリマーを経由する2段階で実施する場合、2段目で使用される水酸基含有化合物が鎖伸長剤(鎖延長剤)として作用する。前述した通り、プレポリマー製造時に使用するポリオールとしては、分子量500以上の高分子量ポリオールが好ましいが、鎖伸長剤としてのポリオールとしては、前記一般式(1)で表されるタウリン4級アンモニウム塩が好ましい。これに加えて、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−または1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどの二官能ポリオールまた、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの三官能以上のポリオール、ビスフェノールAなどの多価フェノール類およびモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、トリレンジアミンなどのアミン類を用いることもできる。これらの活性水素化合物も同様に鎖伸長剤として作用する。
熱硬化性ポリウレタンエラストマーを目的とする場合には、公知の硬化剤が使用される。例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスチトール、ソルビトールなどの三官能以上のポリオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、トリレンジアミンなどのアミン類を用いることもできる。一般式(1)で表されるタウリン4級アンモニウム塩のうち、1分子中の水酸基が3個以上、好ましくは4〜6個の化合物を選択して使用することもできる。
本発明の架橋型両性ポリウレタンエラストマーには、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、消泡剤、流動調整剤、撥水剤、滑性付与剤、充填剤、帯電防止剤等の各種添加剤を加えることもできる。
本発明によって得られるポリウレタンエラストマーは、その製造条件によって、熱可塑性から熱硬化性に至るまで、その中間領域を含めて広い範囲から所望の物性に制御することができる。例えば、ショアA硬度が60〜95、軟化温度150〜220℃、引張り強度280〜600kg/cm2、破断伸度300〜700%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして有用である。また、ショアA硬度が65を超えて、破断伸度が100〜600%の熱硬化性ポリウレタンエラストマーとしても利用可能である。ウレタン重合体の特性である耐寒性、耐熱性にも優れ,アニオン、カチオンの両イオンが導入された結果、イオン架橋の形成により機械的特性にも優れる。例えば、フィルム、シート、成形体の形で自動車部品,各種カバー、電線、ケーブルなど広範囲の応用が可能である。
(1)ショアA硬さ:JIS K6301に準じて測定
(2)破断伸度[%]:JIS K6301に準じて25℃にて測定
(3)軟化温度[℃]:JIS K7206に準じて測定
(1)PTMG2000:ポリテトラメチレングリコール(平均分子量2000)
(2)PEA1000:ポリエチレンアジペート(平均分子量1000)
(3)MDI:Aldrich社製、ジフェニルメタンジイソシアネート
(4)1,4BD:Aldrich社製、1,4−ブタンジオール
(5)TMP:Aldrich社製、トリメチロールプロパン
温度計及び撹拌機を有する容量2Lの反応器に、表1に示すポリオールとジイソシアネートを表1に示す割合で混合し、無溶媒下、90℃で6時間反応させた後、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得た。このプレポリマーと表1に示す割合の鎖伸長剤を溶融状態のもと、100℃で5分間反応させた。その後、反応混合物を熱板上に注いで硬化させ、硬化物を100℃に予熱したオーブンに入れ、15時間放置した。その後冷却して、ポリウレタンエラストマーを得た。得られた各エラストマーから熱プレスにより厚み2mmのシートを成形し、物性を評価し、結果を表1に示した。
温度計及び撹拌機を有する容量2Lの反応器に、表2に示すポリオールとジイソシアネートを表2に示す割合で混合し、無溶媒下、80℃で3時間反応させた後、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得た。このプレポリマーと表2に示す割合の硬化剤を混合した後、直ちに真空脱泡により脱気した。その後、反応混合物を130℃に加熱した2mm厚用平版シート金型に注型し1時間硬化した。その後冷却してポリウレタンエラストマーを得た。得られたポリウレタンエラストマーを用いて硬度、伸度を評価し、結果を表2に示した。
温度計及び撹拌機を有する容量2Lの反応器に、表2に示すポリオールとジイソシアネート、硬化剤を予め加熱し80℃しておき、表2に示す割合で混合した後、直ちに真空脱泡により脱気した。その後、反応混合物を130℃に加熱した2mm厚用平版シート金型に注型し1時間硬化した。その後冷却してポリウレタンエラストマーを得た。得られたポリウレタンエラストマーを用いて硬度、伸度を評価し、結果を表2に示した。
温度計及び撹拌機を有する容量2Lの反応器に、表3に示すポリオールとジイソシアネートを表3に示す割合で混合し、無溶媒下、90℃で6時間反応させた後、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得た。このプレポリマーと表3に示す割合の鎖伸長剤を溶融状態のもと、100℃で5分間反応させた。その後、反応混合物を熱板上に注いで硬化させ、硬化物を100℃に予熱したオーブンに入れ、15時間放置した。その後冷却して、ポリウレタンエラストマーを得た。得られた各エラストマーから熱プレスにより厚み2mmのシートを成形し、物性を評価し、結果を表3に示した。
比較例2で得られたゲル状反応生成物を130℃に加熱した2mm厚用平版シート金型に注型し1時間硬化した。硬化物を評価したところ、ショアA硬度は85、軟化温度は187℃、破断伸度は190%であった。熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては成形性が不十分であると判断される。
実施例4において、硬化剤として使用した化合物(3)0.16モルの代わりにTMP0.27モルを使用した以外は実施例4と同様に実施した。得られた硬化物を評価したところ、ショアA硬度は72、破断伸度は180%であった。結果を表2に併記した。硬化剤の使用量を水酸基の量で比較すると実施例4と同等以上であるにも係わらず、TMPを硬化剤とする場合は、アニオンもカチオンも導入できないので架橋の形成が不十分であることが判る。
Claims (5)
- ジイソシアネートと分子量500以上のポリオールとを予め反応させて得られる両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、下記一般式(1)で表される一分子中に少なくとも3個の水酸基を有するタウリン4級アンモニウム塩と、無溶媒又は非水系溶媒の存在下、反応させることを特徴とするスルホン酸アニオン及び4級アンモニウムカチオンを有する架橋型両性ポリウレタンエラストマーの製造方法。
- タウリン4級アンモニウム塩と共に鎖伸長剤を併用して反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のスルホン酸アニオン及び4級アンモニウムカチオンを有する架橋型両性ポリウレタンエラストマーの製造方法。
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