JP3574777B2 - 水性ポリウレタン樹脂水性液、及びその製造方法 - Google Patents
水性ポリウレタン樹脂水性液、及びその製造方法 Download PDFInfo
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【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩をウレタン結合によって分子鎖中に含有する水性ポリウレタン樹脂が、水中に溶解又は分散されてなる水溶液及び水分散液、並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその問題点】
従来、ポリウレタン樹脂の水溶液および水分散体の製造法としては、界面活性剤を使用することによりポリウレタン樹脂を水に分散させる方法、ポリオール成分にポリエチレングリコールのような親水性のポリオールを使用してウレタン樹脂を自己分散型とする方法、ポリウレタン樹脂にアニオン基やカチオン基等の親水性基を導入する方法、およびこれらを併用する方法が知られている。これらのうち、界面活性剤の添加により製造したポリウレタン樹脂分散体は、分散液の安定性及び添加する界面活性剤の影響によるポリウレタン樹脂の性能の劣化等の問題がある。また、親水性のポリオールを使用してウレタン樹脂を自己乳化型とする方法では、ウレタン樹脂に水溶性を持たせるために、ある程度の割合で親水性のポリオールを分子内に導入する必要があり、この親水性ポリオールはウレタン樹脂中において、ソフトセグメントとして働くため、ソフトセグメント部分に対して親水性のポリオールの占める割合が固定される。このためウレタン樹脂としての性能の幅が狭められる。
【0003】
一方、アニオン基やカチオン基等の親水基をポリウレタン樹脂に導入する方法としては、ポリマーの一成分としてスルホン酸基やカルボン酸基、または第4級アンモニウム基等の極性基を導入することにより、ポリマーを水性化する方法が数多く知られている。
【0004】
これらの極性基をウレタン樹脂に導入する方法としては、(1)ポリマーを合成する際に、これらの極性基を持つ原料モノマーまたはオリゴマーを使用する方法、(2)ポリマーの不飽和部分やアルコール基を変成しスルホン基等を導入、またはポリマーのアミノ基をアルキル化して第4級アンモニウム基を導入する方法、などがある。
通常ポリウレタン樹脂に(1)の製造方法で極性基を導入する場合には、極性基をもつジオール成分を原料に使用する方法が用いられ、カチオン基の導入では多くの第4級アンモニウムジオールが知られている。
一方、ポリウレタン樹脂に(1)の製造方法でアニオン基を導入する場合には、同様にスルホン酸またはリン酸またはカルボン酸(およびこれらの塩)を含むジオール成分が用いられる。
【0005】
ところが、これらのうち、スルホン酸塩やリン酸塩含有のジオール成分は一般にポリウレタンの製造に使用する低沸点溶媒に溶解性が低く、特にスルホン酸基の含有率が高いジオール成分はこれらの低沸点有機溶媒に難溶〜不溶のため使用が困難である。その為、反応溶媒としてジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の高沸点の極性溶媒を併用し反応を行う場合もあるが、この場合水性化した後に反応に使用した高沸点溶媒を除去する事が困難であり、最終的に水性樹脂中に高沸点有機溶媒が残留することとなる。その他にスルホン酸基を導入する方法としては、スルホン酸基を含有するポリエステルポリオールオリゴマーを原料として使用する方法が知られているが、この方法ではスルホン酸基の含有比率が低くならざるを得ず、またオリゴマーの組成や分子量などが限定されるため、自由にポリウレタン樹脂の分子設計が行えない。
一方、カルボン酸基含有ジオールとしては3,3−ジメチロールプロピオン酸などの使用が知られているが、カルボン酸基はアニオン性が弱いため、ポリマー変成の効果が十分でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリウレタン製造に使用する低沸点有機溶媒に可溶であり、スルホン酸基含有ジオール成分として有用な下記の一般式(I)または一般式(II)で表されるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩を分子内に導入する事により、低沸点有機溶媒中でのポリウレタン合成を可能とし、また、ポリウレタン樹脂の分子設計を自由に行い、容易にポリウレタンの水性化が行える技術を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題を解決するための手段として、水性ポリウレタン樹脂の製造において、下記の一般式(I)または一般式(II)で表されるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩を親水基として、ウレタン樹脂中に含有させることにより、容易に水性化したウレタン樹脂が製造できる。
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 は同一もしくは異なって炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、またはR1 ,R2 が同一もしくは異なって炭素数1〜18のアルキル基またはアルキレン基またはアルケニル基であり、R3 ,R4 が5または6員環の環状脂肪族アミン、またはR1 〜R4 のうちの1〜3個が同一もしくは異なって炭素数1〜18のアルキル基またはアルキレン基またはアルケニル基および残りの1〜3個が同一もしくは異なって炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。)
【0010】
【化6】
【0011】
(式中、R1 は炭素数1〜18のアルキル基またはアルキレン基またはアルケニル基であり、R3 ,R4 は5員環もしくは6員環の複素環化合物を示す。)
【0012】
即ち、本発明の水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液は、スルホン酸基を含有する水性ポリウレタン樹脂が水中に溶解又は分散されたもので、前記ポリウレタン樹脂が、前記一般式(I)又は(II)の化合物の少なくとも一種を、ウレタン結合によって分子鎖中に含有することを特徴とする。
又、本発明は、上記の水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液において、ポリウレタン樹脂が、一般式(I)又は(II)の化合物の他に、活性水素基を含有する化合物として、高分子ポリオール、低分子活性水素含有化合物又は一官能活性水素含有化合物を、分子鎖中に含有することを特徴とするものでもある。
【0013】
更に、本発明は、スルホン酸基を含有する水性ポリウレタン樹脂が、水中に溶解又は分散された水溶液又は水分散液を製造するための方法であって、当該製造方法が、以下の工程A及びB:
工程A:前記一般式(I)又は(II)の化合物の少なくとも一種と、有機ポリイソシアネート化合物と、活性水素基を含有する化合物を、イソシアネート基に対して不活性な溶媒中で反応させる工程、及び
工程B:前記工程Aで得られた反応液に水を加えた後、前記溶媒を留去する工程を含むことを特徴とするものである。
又、本発明の水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液の製造方法は、前記工程Aにおいて、前記有機ポリイソシアネート及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩と活性水素基含有化合物を、イソシアネート基:活性水素基の当量比が(1.05〜2.0):1の範囲となるようにして反応させることを特徴とするものでもある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(I)で表される化合物の第4級アンモニウム塩のうち、R1 ,R2 ,R3 ,R4 が同一もしくは異なって炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を持つ化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等があげられる。また、R1 ,R2 が同一もしくは異なって炭素数1〜18のアルキル基またはアルキレン基またはアルケニル基であり、R3 ,R4 が5または6員環の環状脂肪族アミンの具体例としては、N,N−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−ジメチルピロリジニウム塩、N−ラウリル−N−メチルピペリジニウム塩、N−ベンジル−N−メチルピペリジニウム塩、N,N−ジベンジルピペリジニウム塩等があげられる。
【0015】
また、R1 〜R4 のうちの1〜3個が同一もしくは異なって炭素数1〜18のアルキル基またはアルキレン基またはアルケニル基および残りの1〜3個が同一もしくは異なって炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を持つ化合物の具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリエチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オレイルトリメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリラウリルメチルアンモニウム塩、または長鎖アルキル基としてヤシ、大豆、牛脂、硬化牛脂などの天然物由来のアルキル基を持つ第4級アンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩などがあげられる。
【0016】
なかでも、高い水性化を示すものとしてR1 〜R4 の炭素数が少ないものが好ましく、例えば、R1 〜R4 がメチル基であるテトラメチルアンモニウム塩、R1 〜R4 がエチル基であるテトラエチルアンモニウム塩及びR1 〜R3 がエチル基であり、R4 がベンジル基であるベンジルトリエチルアンモニウム塩があげられる。
【0017】
また、一般式(II)で表される化合物の第4級アンモニウム塩の具体例としては、ラウリルピリジニウム塩、ミリスチルピリジニウム塩、セチルピリジニウム塩、ステアリルピリジニウム塩、ラウリルピコリニウム塩などがあげられる。
【0018】
本発明における水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液に含まれるウレタン樹脂は、上記ジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩と各種有機ポリイソシアネートを用いて製造される。
本発明において、有機イソシアネート化合物は従来ポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このような有機イソシアネート化合物としては、特には限定されないが、代表的なものとして、脂肪族ポリイソシアネートとしてはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、脂環族ポリイソシアネートとしてはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NDI)、芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート(XDI)、芳香族ポリイソシアネートとしては、2,4−または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−2,4’−または4,4’−ジイソシアネート(MDI)、などがそれぞれ挙げられる。また、これらのイソシアネートは単独でも、また二種以上の混合物で使用しても良い。これらのうち好ましいものはMDI、HDIおよびIPDIであり、特に好ましいものはHDIである。
【0019】
本発明では、一般式(I)又は(II)で表されるジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩以外の、活性水素基を有する化合物を、分子鎖中に含有することができる。活性水素基を有する化合物としては、特に限定はされないが、例えば高分子ポリオール、低分子の活性水素化合物などが挙げられる。高分子ポリオールとしては、代表的なものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、シリコーンポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、活性水素基含有多官能化合物にアルキレンオキサイドが付加した構造の化合物が挙げられ、例えば、ビスフェノールAなど多価フェノール類のアルキレンオキサイド付加物及びヘキサメチレンジアミンなどのアミン類のアルキレンオキサイド付加物ある。また、これらは2種以上混合して使用しても差し支えない。
【0020】
低分子の活性水素化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−または1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどの二官能ポリオールまた、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの三官能以上のポリオール、ビスフェノールAなどの多価フェノール類およびモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、トリレンジアミンなどのアミン類およびこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
【0021】
また、活性水素基を有する化合物として、通常末端封止材と称される一官能活性水素含有化合物を使用することができる。特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、高級アルコールなどのモノアルコール類、あるいはこれらのモノアルコール類のアルキレンオキサイド付加物、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム類、ε‐カプロラクタムなどのラクタム類、及びジブチルアミンなどのアミン類を挙げることができ、これらを単独または2種以上の混合物として使用することができる。
【0022】
本発明の水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液中に含まれるウレタン樹脂は、公知の一段または多段階イソシアネート重付加反応法で製造することができる。一段階法の例としては、有機ポリイソシアネートおよびジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩と活性水素基含有化合物成分とを、イソシアネート(以下、NCOと略記)基と活性水素基との当量比が通常(1.05〜2.0):1、好ましくは(1.05〜1.6):1の範囲で、通常20〜150℃、好ましくは40〜80℃で2〜20時間反応させて末端NCOプレポリマーとし、次いで通常10〜60℃、好ましくは20〜40℃で、水性化を行った後、使用した有機溶剤を減圧下に留去することにより目的とする水性ポリウレタン樹脂を得る方法があげられる。
【0023】
水性化に必要なポリウレタン樹脂中のスルホン酸基の含有量は、目的に応じて任意に決定できる。含有量の上限は、必要とするウレタン樹脂の特性を満足させる範囲において、使用するイソシアネート化合物とジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩の分子量により決定される。通常、ポリウレタン樹脂を自己分散させる目的で使用する場合には、ポリウレタン樹脂の固形分に対し、1.0〜5.0重量%が好ましく、1.0重量%未満では樹脂の水性化が不十分であり、5.0重量%を超えると自己分散体ではなく、水溶液となるが、ポリウレタン樹脂の皮膜性能は劣化する。ただし、ポリオール成分にポリエチレングリコールのような親水性のポリオールを併用する場合においては、1.0%未満であっても、ウレタン樹脂の水分散体を得ることができる。一方、水溶性とする場合には5.0重量%以上を使用することが好ましく、他の親水性基と併用することは特に有効である。また、スルホン酸第4級アンモニウム塩の含有により、ウレタン樹脂の水性化以外に特性を持たせる場合には、特に含有量の上限に制限はない。樹脂固形分中のスルホン酸基の含有量は、一般式(I)または(II)で表されるジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩の使用比率を変えることにより調整する。
【0024】
本発明の製造方法における工程Aでは、前記一般式(I)又は(II)の化合物の少なくとも一種と、有機ポリイソシアネート化合物と、活性水素基を含有する化合物とを、イソシアネート基に対して不活性な溶媒を用いて反応させる。イソシアネート基に対して不活性な溶媒としては、特に限定されないが、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤およびジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒が挙げられる。これらは、2種類以上を混合して使用しても差し支えない。溶媒の量は、ポリウレタンの量に対して通常0〜200%である。反応温度は通常おだやかな条件、たとえば20〜150℃好ましくは20〜80℃である。また、反応時間は通常3〜20時間である。反応圧力も通常常圧下で行われるが、加圧下で行ってもよい。また反応を促進させるために、通常使用されている触媒たとえばアミン系触媒(トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、トリエチルアミンなど)、錫系触媒(ジブチルチンジラウレートなど)、鉛系触媒(オクチル酸鉛など)などを用いてもよい。
【0025】
そして、本発明の製法における工程Bでは、前記の工程Aで得られた反応液に水を加えた後、溶媒を留去し、必要に応じて、所定量の水を加えて所望の固形分濃度に調整する。尚、添加する水に公知の方法である鎖延長剤のポリアミン等を添加しても良い。
本発明で最終的に得られる水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液の固形分は通常10〜70重量%であり、これは目的に応じて調節が可能である。また、これらの水性ポリウレタン樹脂は、通常常温〜180℃にて、水分を揮発させることにより良好な皮膜を形成する組成とすることができる。
尚、本発明の水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液には、必要に応じて乳化安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、消泡剤、流動調整剤、撥水剤、滑性付与剤、充填剤等の各種添加剤を加えることもできる。
【0026】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔製造例1〕
撹拌機、温度計、冷却管のついた反応容器に、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸63.9gを水100gに溶解し、35%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド125.9gを滴下した後、水を減圧下に濃縮することにより、102.6gのジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩を得た。
【0027】
〔実施例1〕
撹拌機、温度計、冷却管のついた反応容器に、製造例1で得られたジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩12.4g、2官能ポリエステルポリオール(平均分子量2000)57.2g、HDI16.6g、およびアセトン72.3gを秤り込み、錫系触媒を加え、撹拌下60℃で6時間反応した。得られたアセトン溶液を35℃に冷却した後、水206gを加えて減圧下にアセトンを留去し、水を加えて固形分を調整することにより、固形分30%、粘度50mPa・sのウレタン樹脂水分散液を得た。
【0028】
〔実施例2〕
撹拌機、温度計、冷却管のついた反応容器に、製造例1で得られたジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩24.0g、2官能ポリエステルポリオール(平均分子量2000)40.0g、3官能ポリエステルポリオール(平均分子量480)1.8g、HDI19.5g、およびアセトン70.0gを秤り込み、錫系触媒を加え、撹拌下55℃で5時間反応した。得られたアセトン溶液を35℃に冷却した後、水200gを加えて減圧下にアセトンを留去し、水を加えて固形分を調整することにより、固形分30%、粘度50mPa・sのウレタン樹脂水溶液を得た。
【0029】
〔製造例2〕
撹拌機、温度計、冷却管のついた反応容器に、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸42.7gを水200gに溶解し、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド(有効成分30%−メタノール/水溶液)139.4gを滴下した後、水およびメタノールを減圧下に濃縮することにより、80.8gのジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩を得た。
【0030】
〔実施例3〕
撹拌機、温度計、冷却管のついた反応容器に、製造例2で得られたジオールスルホン酸第4級アンモニウム塩70.0g、2官能ポリエステルポリオール(平均分子量2000)228.8g、3官能ポリエステルポリオール(平均分子量480)7.9g、HDI66.6g、およびアセトン305.6gを秤り込み、錫系触媒を加え、撹拌下60℃で6時間反応した。得られたアセトン溶液を35℃に冷却した後、水850gを加えて減圧下にアセトンを留去し、水を加えて固形分を調整することにより、固形分30%、粘度10mPa・sのウレタン樹脂水分散液を得た。
【0031】
〔比較製造例〕
製造例1のN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩をN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸ナトリウムに替えて実施例1〜3と同様の操作を行ったところ、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸ナトリウムが溶媒であるアセトンに溶解しないため、反応が進行せず、ポリマーの水分散体を得ることが出来なかった。
【0032】
【発明の効果】
本発明による水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液は、特別な製造工程を必要とせず任意の含有量でスルホン酸基を含有する組成とすることができる。また、その含有率を調整することにより、容易に自己分散性〜水溶性のポリウレタン樹脂を製造する事ができる。更に、他の成分を自由に設計することができることより、得られた水性ポリウレタン樹脂は乾燥し水分を蒸発させることにより、良好なフィルムを得ることが出来る。
【0033】
更に、スルホン酸基および第4級アンモニウム塩を含有する事により、これらの官能基及び対イオンの性質により得られる特性をポリウレタン樹脂の皮膜に付与することが可能であり、例えば、イオン性基の含有により得られる無機物等の分散性、接着性の向上や、帯電防止性および導電性、吸水性の付与、風合いの調整及び第4級アンモニウム塩の含有により得られる抗菌性の付与などがあげられる。
これらの特性により、本発明による水性ポリウレタン樹脂水溶液及び水分散液は、繊維仕上げ剤、水性塗料、接着剤、各種コーティング剤などの幅広い分野に利用が可能である。
Claims (4)
- スルホン酸基を含有する水性ポリウレタン樹脂が、水中に溶解又は分散された水性液であって、前記ポリウレタン樹脂が、
a)一般式(I)で表されるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩:
b)一般式(II)で表されるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩:
の少なくとも一種を、ウレタン結合によって分子鎖中に含有することを特徴とする水性ポリウレタン樹脂水性液。 - 前記ポリウレタン樹脂が、前記一般式(I)又は(II)のN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩の他に、活性水素基を含有する化合物として、高分子ポリオール、低分子活性水素含有化合物又は一官能活性水素含有化合物を、分子鎖中に含有することを特徴とする請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂水性液。
- スルホン酸基を含有する水性ポリウレタン樹脂が、水中に溶解又は分散された水性液を製造するための方法であって、当該製造方法が、以下の工程A及びB:
工程A:a)一般式(I)で表されるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩:
b)一般式(II)で表されるN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩:
の少なくとも一種と、有機ポリイソシアネート化合物と、活性水素基を含有する化合物を、イソシアネート基に対して不活性な溶媒中で反応させる工程、及び
工程B:前記工程Aで得られた反応液に水を加えた後、前記溶媒を留去する工程
を含むことを特徴とする、水性ポリウレタン樹脂水性液の製造方法。 - 前記工程Aにおいて、前記有機ポリイソシアネート及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸第4級アンモニウム塩と活性水素基含有化合物を、イソシアネート基:活性水素基の当量比が(1.05〜2.0):1の範囲となるようにして反応させることを特徴とする請求項3に記載の水性ポリウレタン樹脂水性液の製造方法。
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