以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る固体撮像装置の第1実施形態を示す概略構成図である。この第1実施形態の固体撮像装置1は、CMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor )型のトランジスタで構成された単位画素を2次元マトリクス状に備えてなる画素素子部110(画素素子部)、画素素子部110を駆動制御するセンサ回路部120、および画素素子部110からの撮像信号(画素信号)に基づいてアナログ系統の信号処理をするアナログ回路部(AFE;Analog Front End)130を有してなるセンサ部100と、画素素子部110やセンサ回路部120などの各部の基本的な機能およびタイミングを制御する制御機能や画像補正機能を持つ制御&補正部200といった従来例と同様の構成に加えて、制御&画像補正部200におけるテスト処理において、センサ部100と制御&画像補正部200との干渉を防止するための信号変換部300を備えて構成されている。
制御&画像補正部200は、図6に示した従来例のものと比べて、センサ部100に対する割合(面積比)は大きくなっている。
信号変換部300には、アナログ回路部130から出力されるアナログ信号S3をデジタルデータに変換するA/D変換部302を設けている。画素素子部110からアナログ回路部130を介して出力されたアナログ信号は、A/D変換部302を備えた信号変換部300でデジタルデータに変換されて、制御&画像補正部200に送られる。
制御&画像補正部200は、各部を制御する機能や画像補正機能を備えているとともに、本実施形態における特有の機能として、SCAN動作によるデバイステストを行なうことができるようにスキャン化論理回路部(SCAN化Logic部)の機能も備えており(後述の図2を参照)、固体撮像装置1全体として、SCAN機能付きCMOSセンサが構成されている。
SCAN動作によるデバイステストを行なうことができるように、制御&画像補正部200には、スキャンテスト用の外部I/F(Inter Face)端子として、入力端子411〜414(纏めて言うときは410とする)と出力端子416とを設けている。入力端子411にはSCAN_Enable 信号S411が、入力端子412にはSCAN_CLK信号S412が、入力端子413にはSCAN_IN 信号S413が、入力端子414にはSCAN_CLR信号S414が入力される。出力端子416からはSCAN_OUT信号S416が出力される。なお、入力端子410および出力端子416は、何れも他の入出力端子と兼用することもできる。
なお、従来のデバイスと同様に、制御&画像補正部200には、システムクロック(CK1X信号S402)用の入力端子402、シリアルデータ入力(SDI 信号S403)用の入力端子403、クリア(CLR 信号S404)用の入力端子404、およびシリアルクロック(SCK 信号S405)用の入力端子405と、シリアルデータ出力(SDO 信号S406)用の出力端子406も設けられている。
図2は、図1に示した第1実施形態の固体撮像装置1におけるスキャンテスト機能に着目して示した機能ブロック図であり、これによって、スキャン設計時のスキャンチェイン(SCAN Chain)構成が示される。
図示するように、制御&画像補正部200内において、それぞれ制御機能や画像補正処理機能に関わる信号処理を行なう組合論理回路204と組合論理回路206との間に、本実施形態特有の構成部分であるテスト処理部202が配されるようになっている。
テスト処理部202は、先ず、図6に示した従来の制御&画像補正部200でも使用されている組合論理回路204と高速位相回路部210との間に配されるフリップフロップ(FF)を、通常処理用の系統に加えて、スキャン用の入力端子および出力端子を持つスキャン用のフリップフロップ224に置き換えている。
また、この第1実施形態の構成では、画素素子部110、すなわちCMOSイメージセンサの画像素子部の測定と同時に、メモリや多数のフリップフロップ(FF)を含む制御&画像補正部200などのロジック部の不良を検出するスキャンテスト機能を、従来のCMOSイメージセンサの通常設計から、スキャン化に対応した設計にして、デバイス内に内蔵させるようにした。
また、スキャン化設計を行なう上で従来問題になっていたクロック同期設計できない制御&画像補正部200などセンサ回路部120やアナログ回路部130のタイミング制御をしている回路についても、タイミング制御信号の出力を従来のCMOSイメージセンサのセンサ回路部120やアナログ回路部130の直前で分離し、一方を通常動作時用にセンサ回路部120やアナログ回路部130に接続することで、通常動作のタイミング制御を行なうことができるようにし、他方をスキャン化対応の回路構成にしている。
具体的には、先ず、テスト処理部202は、高速位相回路部210やセンサ回路部120やアナログ回路部130の入出力にも、通常信号配線から分岐させた、フリップフロップなどで構成されるデータ保持部226,228を備えている。
また、データ保持部226,228と高速位相回路部210やセンサ回路部120およびアナログ回路部130との間に信号変換部300を設け、通常信号配線の配線負荷が増大しないようにしている。
具体的には、信号変換部300として、高速位相回路部210からの信号を取り込むデータ保持部226の前段にバッファ304を設け、またセンサ回路部120やアナログ回路部130からの信号を取り込むデータ保持部228の前段にバッファ306を設けており、これによってセンサ回路部120やアナログ回路部130の特性(通常動作時の信号系統)に影響を与えないように留意している。なお、このバッファ304,306は、信号変換部300側ではなくテスト処理部202側に配してもかまわない。
また、スキャンテスト対応の回路部分として、バッファ304,306,を介在させてインタフェースさせデータ保持部226,228に接続して、フリップフロップ224やデータ保持部226,228は、スキャンチェインSCa,SCbで接続してスキャン化設計する。
具体的には、フリップフロップ224の入力を切り替えるSCAN_Enable 信号S411、スキャン用のテストパターン信号を入力するSCAN_IN 信号S413、およびテストパターン信号を出力するSCAN_OUT信号S416をスキャンチェインSCa,SCbで接続する。そして、SCAN_Enable 信号S411をH/L(HighまたはLow )に切り替えることで、通常動作とスキャンテスト動作を切り替え制御する。
フリップフロップ224から出力されるデータは前段のデータ保持部226に供給され一旦CK1X信号S402もしくはSCAN_CLK信号S412に同期して保持された後、この前段のデータ保持部226から出力されるデータは後段のデータ保持部228に供給され再度CK1X信号S402もしくはSCAN_CLK信号S412に同期して保持される。
このデータ保持部228から出力されるデータは組合論理回路206に供給され、この組合論理回路206を経由してSDO 信号S406として出力可能になっているとともに、SCAN_OUT信号S416として外部に出力可能となっている。
このような構成の固体撮像装置1においては、入力端子403に入力されるSDI 信号S403から、組合論理回路204→フリップフロップ224→高速位相回路部210→センサ回路部120およびアナログ回路部130→組合論理回路206→出力端子406のSDO 信号S406の信号パスが通常動作時の信号パスであり、通常動作時には、たとえばセンサ部100にて取得された撮像信号が組合論理回路206で画像補整処理などの所望の信号処理がなされた後に、SDO 信号S406として出力される。出力されたデータは、さらに必要に応じて外部回路で所望のデータ処理がなされる。そして、このデータは、フラッシュメモリなどの記録メディアに格納され、あるいはアナログ映像信号に変換されてモニターなどに可視画像として出力される。
また、画素素子部110にて撮像された後のセンサ回路部120やアナログ回路部130から出力される撮像データは、バッファ306を介してデータ保持部228に供給されるようにしている。データ保持部228は、この撮像データをCK1X信号S402に同期して保持した後、所定のタイミングでCK1X信号S402に同期して出力端子416から出力することができる。
これにより、通常の撮像を行ないつつ撮像測定を行なうことができる。画素素子部110などの撮像測定について、その測定出力をデジタル出力化することでモニタリングや測定が容易となり、たとえばロジックテスタでの測定や評価も可能になる。つまり、画素素子部110だけでなく、ロジック部分であるセンサ回路部120やアナログ部分であるアナログ回路部130についての測定・評価を共通の回路構成で実現することができる。
なお、A/D変換部302の動作クロック周波数(ADクロック)はCK1X信号S402に比べてかなり低いので、データ保持部228は、再同期化回路として動作している。画素素子部110の出力のモニタリングの目的で、ADクロックのままでよければ、これをデータ保持部228のクロックとして使ってもよい。
また、高速位相回路部210から出力されるデータは、バッファ304を介してデータ保持部226に供給されるようにしている。これにより通常動作時には、データ保持部226は、このデータをCK1X信号S402に同期して保持した後にデータ保持部228に供給する。データ保持部228は、このデータ保持部226から出力されるデータをCK1X信号S402に同期して保持した後、所定のタイミングで出力端子416から出力することができる。
これにより、通常の撮像を行ないつつ、通常動作時の高速位相回路部210などのロジック部分のデータをモニタリングし測定を行なうことができる。つまり、前述の、画素素子部110、あるいはセンサ回路部120やアナログ回路部130についての測定・評価だけでなく、高速位相回路部210についての測定・評価も共通の回路構成で実現することができる。
一方、スキャンテストモード時には、入力端子413に外部から入力されたSCAN_IN 信号S413がフリップフロップ224を介して高速位相回路部210に供給され、これによって、SCAN_CLK信号S412に同期したスキャンテストを行なうことができるようになっている。
たとえば、SCAN_IN 信号S413に基づいて動作した高速位相回路部210のテスト結果出力がバッファ304を介してデータ保持部226に供給される。データ保持部226は、このテスト結果出力をSCAN_CLK信号S412に同期して保持した後にデータ保持部228に供給する。データ保持部228は、さらに、このテスト結果出力をSCAN_CLK信号S412に同期して保持した後に出力端子416からSCAN_OUT信号S416としてSCAN_CLK信号S412に同期して外部に出力する。
これにより、高速位相回路部210などのスキャンテスト用のSCAN_CLK信号S412とは非同期で動作する高速位相回路部210についても、スキャンテストモード時には、高速位相回路部210から出力されるデータを、バッファ304を介してデータ保持部226に入力させ、SCAN_CLK信号S412で取り込むことで、データ保持部226の出力としては、SCAN_CLK信号S412に同期させたテスト結果を得ることができる。
このように、データ保持部226やデータ保持部228(これは必須ではない)を介在させ、これらをスキャン化設計することにより、高速位相回路部210の出力結果をテストに適合するようにモニタリングすることを可能にした。高速位相回路部210に様々な検出パターンの信号を供給でき、高速位相回路部210の故障検出を実現できる。
また、前述のように、本実施形態の固体撮像装置1は、画素素子部110やセンサ回路部120あるいはアナログ回路部130などのセンサ部100の測定も行なうことができ、これに加えて、高速位相回路部210の故障検出を実現しており、画素素子部110とロジック部である高速位相回路部210を、共通のテスト装置で測定・診断できるようになり、テストコスト(測定時間の増大や測定装置の増加)を低減できる。
加えて、第2のデータ保持部228は、通常動作モード時にはセンサ部100の測定結果を出力可能で、スキャンテストモード時には前段のデータ保持部226で保持された高速位相回路部210のスキャンテスト結果を出力可能に構成しているので、デジタルデータのモニタリング端子である出力端子406を、通常動作モード時のモニタリングとスキャンテスト時のモニタリングとで兼用できる利点がある。
また、スキャンテストを実現することができるようにクロック同期設計を行なっているので、従来の画素素子部用の装置に比べて、テストカバー率を改善することができるようになった。本実施形態では、高速位相回路部210などの非同期設計部もスキャン化しているから、一層テストカバー率を改善することができる。
画素素子部110やアナログ回路部130などのアナログ部の測定出力をデジタル出力化する機能を設けるようにしたので、1つの装置で、高速位相回路部210やセンサ回路部120などのロジック部と、画素素子部110やアナログ回路部130などのアナログ部の測定を行なうことが可能な同測化のシステムを構築することができる。
CMOSイメージセンサが高機能化・大規模化しても、高速位相回路部210などのロジック部の十分な測定・評価と、画素素子部についての測定・評価とを両立させることができる。工場出荷前の事前の画素素子部110および高速位相回路部210を始めとするロジック部のテストが容易にでき、これにより不良品の検出ができ、市場不良率を下げることができる。
また、スキャンテストを行なっている際に、高速位相回路部210に通常時よりも高い電源電圧を供給して動作させるストレステストを行ない、その結果をモニタリングしたり、これに加えて、その他のストレステストであるたとえばバーンインテストを合わせて実行したりすることで、高VDDスクリーニングテスト(電源電圧を通常時よりも高くしたストレステスト)と、その他のストレステストとを同時測定することも可能である。
これにより、本来のスキャンテストと合わせて高速位相回路部210などロジック部の信頼性テスト機能を行なう機能をデバイス内に内蔵させることができる。スクリーニングテストやバーインテストなどをスキャンテストと同時に行なうことができ、測定時間を短縮することができる。
なお、本実施形態では、SCAN_IN 信号S413を外部から供給するとともにスキャンテスト結果を外部に出力して外部で診断するようにしていたが、後述する第2実施形態と同様に、検証用のテストパターン(SCAN_IN 信号S413に相当)を発生するパターンジェネレータとテストパターンに応じた期待値信号を生成するテスト信号生成部と、測定モード時に、テスト信号に対応して高速位相回路部210から出力されデータ保持部226に保持されたデータと、テスト信号生成部により生成された期待値信号とに基づいて動作検証を行なう動作検証部とをデバイス内に搭載することで、組込型のスキャンテスト装置として構築することもでき、コンパクトなテストシステムを構築できる。
また、本実施形態のテスト処理部202においては、フリップフロップ224とデータ保持部226,228とが使用するクロックを切り替えるための構成として、セレクタ(SEL)242,244を有するクロック切替部240を設けている。
セレクタ242は、通常動作用のCK1X信号S402とスキャンテスト用のSCAN_CLK信号S412とが入力され、これをSCAN_Enable 信号S411に基づいて切り替えてクロックCLKO信号S418として出力する。言うまでもなく、SCAN_Enable 信号S411がアクティブのとき、SCAN_CLK信号S412をクロックCLKO信号S418として出力する。このクロックCLKO信号S418は、フリップフロップ224およびデータ保持部226,228の各クロック入力端子に入力される。
また、フリップフロップ224には、通常動作用のCLR 信号S404とスキャンテスト用のSCAN_CLR信号S414とが入力され、これをSCAN_Enable 信号S411に基づいて切り替えてクリアCLRO信号S419として出力する。言うまでもなく、SCAN_Enable 信号S411がアクティブのとき、SCAN_CLR信号S414をクリアCLRO信号S419として出力する。このクリアCLRO信号S419は、フリップフロップ224およびデータ保持部226,228の各クリア入力端子に入力される。
このようにクロック切替部240を設けることで、CK1X信号S402とは異なる周波数のSCAN_CLK信号S412を供給できるとともに、高速位相回路部210などの出力遅延をデータ保持部226,228でモニタリングできるようにしている。通常動作時にも使用されるCK1X信号S402を発生する回路にて、CK1X信号S402そのものの周波数を切り替えることも考えられるが、実際には難しく、別個に用意することで、周波数切替えが容易になる。
たとえば、高速位相回路部210では1クロック以上のタイミング遅延(Timing Delay)を持つ回路も存在するが、SCAN_CLK信号S412の測定周波数をCK1X信号S402よりも低速側の任意の周波数に切り替える(低くする)ことで、高速位相回路部210のタイミング遅延を持つ部分についても機能検証が可能となる。スキャンテストは、機能検証が目的で、信号が正しく伝搬しているか否かを検証できればよく、スピードは問題としないので、測定クロックを低速にしても、不都合は生じない。
また、SCAN_CLK信号S412の測定周波数を多段階に切り替え(可変にする)、その結果をモニタリングすることで、高速位相回路部210のタイミング遅延値の測定を行なうことができる。可能な範囲で測定クロックをCK1X信号S402に近づくように上げていくことで、従来できなかったスピード評価(スピード追従性の評価)も可能になる。
<第2実施形態>
図3は、本発明に係る固体撮像装置の第2実施形態を示す概略構成図である。この第2実施形態の固体撮像装置1は、デバイス内にメモリ部を備えるとともに、このメモリ部について自己テストを行なう機能部分をデバイス内に組み込むことで、メモリBIST機能を備えた構成としている点に特徴を有する。
図示するように、第2実施形態の固体撮像装置1は、図1で示した第1実施形態の構成と同じように、画素素子部110、センサ回路部120、アナログ回路部(AFE)130を有してなるセンサ部100と、制御&画像補正部200と、信号変換部300とを備えて構成されている。第1実施形態と同様に、制御&画像補正部200には、入力端子402〜405および出力端子406が設けられている。
ここで、第2実施形態における特徴部分として、制御&画像補正部200は、高速位相回路部210に加えて、メモリ部250とこのメモリ部250について自己テストを行なうメモリBIST部260とを有している。
また、この第2実施形態は、従来、固体撮像装置内にメモリを搭載する際に一般的に使用されるCLK非同期型メモリではなく、CLK同期型メモリをメモリ部250に採用している点に特徴を有する。このCLK同期型メモリをメモリ部250に採用することで、BIST動作モード時に、BIST_CLK信号S422に同期させてライト動作やリード動作を制御でき、使い勝手がよくなる。
また、メモリ部250についての組込型自己テスト(BIST)を行なうことができるように、制御&画像補正部200には、BIST用の外部I/F端子として、入力端子421〜424(纏めて言うときは420とする)と出力端子426とを設けている。入力端子421にはBIST_Enable 信号S421が、入力端子422にはBIST_CLK信号S422が、入力端子423にはBIST_IN 信号S423が、入力端子424にはBIST_CLR信号S424が入力される。出力端子426からはBIST_OUT信号S426が出力される。つまり、第1実施形態のSCAN用の各端子がBIST用の各端子に置き換わったものとして考えればよい。
制御&画像補正部200は、図示を割愛するが、信号変換部300から送られたデジタルデータを、上述した第1実施形態と同様のテスト処理部202の構成で取り込む。すなわち、センサ部100の画素素子部110からアナログ回路部130を経由して出力されるデータ(アナログ信号)をCLK同期化する。
また制御&画像補正部200は、取り込んだデータに対して画像補正処理を加えるために、取り込んだデジタルデータを一旦メモリ部250へ送る。メモリ部250は、このデジタルデータをCK1X信号S402(あるいはSCK 信号S405)に同期させてデータ格納領域に書き込む(ライト動作)。制御&画像補正部200は、メモリ部250に一旦保持させたデジタルデータを再度必要に応じてCK1X信号S402(あるいはSCK 信号S405)に同期して読み出す(リード動作)。
メモリBIST部260は、メモリ部250が、この一連のリード動作とライト動作ができるかどうかを確認するため、内部で自己診断テスト(BIST)を行なう。この際、メモリBIST部260は、BIST_Enable 信号S421をH/Lに切り替えることで、通常動作と組込型自己テスト動作を切り替え制御する。たとえば、BIST_IN 信号S423に基づく所定のテスト信号をメモリ部250に書き込んで読み出し、テスト信号に対応する期待値と比較することで、メモリ部250の動作検証を行なう。
図4は、図3に示した第2実施形態の固体撮像装置1におけるメモリBIST機能に着目して示した機能ブロック図であり、これによって、メモリとメモリBISTの詳細が理解される。
第2実施形態では、メモリ部250の測定を行なうメモリBIST部260をデバイス内に組み込み、メモリBIST設計に対応した設計にするようにした。具体的には、メモリBIST部260についても、第1実施形態におけるスキャンテストへの対応と同様に、CMOSイメージセンサの画素素子部110からアナログ回路部130を経由して出力されるデータ(アナログ信号)をCLK同期化することで、メモリ部250として、従来のCLK非同期型メモリではなく、CLK同期型メモリを採用できるようにした。
たとえば、メモリBIST部260は、入力されたパターンジェネレータ262と比較回路264とを主要要素として備える。またメモリBIST部260は、メモリ部250とのインタフェース部分として、セレクタ(SEL)266,267を有するとともに、テスト結果を出力するインタフェース部分としてセレクタ(SEL)268を有する。
パターンジェネレータ262は、入力されたBIST_IN 信号S423に基づいてメモリBIST用のパターンデータであるAddress 信号S262とWrite データS265と、その期待値S266を生成する。
比較回路264は、BIST_Enable 信号S421がアクティブのとき、2つの入力端子264a,264bに入力された信号を比較して、一致/不一致のフラグS269を出力端子264cから出力する。
セレクタ266は、通常動作用のAddress 信号S261とパターンジェネレータ262にて生成されたAddress 信号S262とが入力され、これをBIST_Enable 信号S421に基づいて切り替えてAddress 信号S263として出力する。言うまでもなく、BIST_Enable 信号S421がアクティブのとき、Address 信号S262をAddress 信号S263として出力する。セレクタ266は、このAddress 信号S263を、所定クロックに同期させてメモリ部250のアドレス端子A(Address )に供給する。
セレクタ267は、通常動作用のWrite データS264とパターンジェネレータ262にて生成されたWrite データS265とが入力され、これをBIST_Enable 信号S421に基づいて切り替えてWrite データS266として出力する。言うまでもなく、BIST_Enable 信号S421がアクティブのとき、Write データS265をWrite データS266として出力する。またセレクタ267は、BIST_Enable 信号S421がアクティブのとき、つまり、Write データS265をWrite データS266として出力する際には、期待値S267も出力する。
セレクタ267は、Write データS266を、メモリ部250のデータ入力端子DI(Write.Data)に所定クロックに同期させて書き込むとともに、期待値S267を比較回路264の一方の入力端子264aに供給する。
メモリ部250は、BIST時にメモリBIST部260からAddress 信号S263とWrite データS266とが供給されると、出力端子DO(Read.Data )に結果信号S268を所定クロックに同期させて出力し、比較回路264の他方の入力端子264bに供給する。
セレクタ268は、メモリ部250からの結果信号S268と比較回路264からのフラグS269とが入力され、これをBIST_Enable 信号S421に基づいて切り替えてBIST_OUT信号S426として出力する。言うまでもなく、BIST_Enable 信号S421がアクティブのとき、フラグS269をBIST_OUT信号S426として出力する。
このような構成により、メモリBIST部260は、BIST動作モード時に、メモリBIST部260内のパターンジェネレータ262で入力パターン(Address 信号S262とWrite データS265)とその期待値S266を発生し、Address 信号S262とWrite データS265とをBIST_CLK信号S422に同期させてメモリ部250に書き込む(ライト動作)。
比較回路264は、同じアドレスをBIST_CLK信号S422に同期してアクセスして読み出した結果信号S268と前述の期待値S266を比較し、フラグS269を、一致していれば一致の状態にし、一致していなければ不一致の状態にする。
このように、第2実施形態の固体撮像装置1では、メモリ部250の測定を行なうメモリBIST部260をデバイス内に組み込むようにした。これにより、特段のテスト装置を用意する必要がなく、メモリ部250の故障診断を簡易に行なうことができるようになった。メモリBIST化により内蔵メモリのテストカバー率を改善することもできる。工場出荷前の事前のテストが容易にでき、これにより不良品の検出ができ、市場不良率を下げることができる。
加えて、メモリBIST部260についても、第1実施形態と同様に、撮像系統の信号をCLK同期化することで、メモリ部250として、CLK同期型メモリをメモリ部250に採用することができるようにした。メモリ部250を、CLK同期型にすることにより、メモリ部250の入出力信号をモニタリングして自己診断するBIST機能についても、CLK同期設計ができ、メモリBIST設計が容易となる。
また、固体撮像装置1を動作させて撮像を行なっている際に、センサ部100(たとえば画素素子部110)や制御&画像補正部200などに通常時よりも高い電源電圧を供給して動作させるストレステストを行ない、その結果をメモリ部250に保持させておき、加えて、その他のストレステストであるたとえばバーンインテストを合わせて実行することで、高VDDスクリーニングテスト(電源電圧を通常時よりも高くしたストレステスト)と、その他のストレステストとを同時測定することも可能である。これにより、画素素子部110やアナログ回路部130などのアナログ部と制御&画像補正部200などロジック部の信頼性テスト機能を合わせて行なう機能をデバイス内に内蔵させることができる。スクリーニングテストやバーインテストなどを同時に行なうことができ、測定時間を短縮することができる。
<第3実施形態>
図5は、本発明に係る固体撮像装置の第3実施形態を示す概略構成図である。この第3実施形態の固体撮像装置1は、第1実施形態の特徴部分であるスキャンテスト機能と、第2実施形態の特徴部分であるメモリBIST機能の双方を備えている点に特徴を有する。この両機能を実現するために、この第3実施形態の特徴部分として、テストコントローラ270を設けている。スキャンテスト機能とメモリBIST機能の、それぞれの基本的な動作は上述した各実施形態と同じであるので、ここでは、それらについての説明は割愛する。
第3実施形態の固体撮像装置1においては、スキャンテスト機能とメモリBIST機能の双方を効率的に実現するために、先ず、外部I/F端子をSCAN用とBIST用とで共用化するようにする。具体的には、制御&画像補正部200には、SCAN用兼BIST用として、入力端子431〜434(纏めて言うときは430とする)と出力端子436とを設けている。入力端子431にはSCAN_Enable 信号S411とBIST_Enable 信号S421が、入力端子432にはSCAN_CLK信号S412とBIST_CLK信号S422が、入力端子433にはSCAN_IN 信号S413とBIST_IN 信号S423が、入力端子434にはSCAN_CLR信号S414とBIST_CLR信号S424が入力される。出力端子436からはSCAN_OUT信号S416とBIST_OUT信号S426が出力される。これにより外部入出力端子431〜434,436は、スキャン&メモリBIST機能制御として共有化される。
そして、この共有化に対応するように、テストコントローラ270は、外部入出力端子431〜434,436に入出力される信号に応じて、スキャン&メモリBIST機能制御を行なう。具体的には、テストコントローラ270は、スキャン&メモリBIST機能の同時または独立測定を行なう制御を行なう。
また、テストコントローラ270は、高VDDスクリーニングテスト(電源電圧を通常時よりも高くしたストレステスト)を、その他のストレステストであるたとえばバーンインテストとともに、合わせて同時測定する制御も行なう。
また、固体撮像装置1として、撮像デバイスに不可欠な他のテストモードを設ける場合、テストコントローラ270は、この他のテストモードの制御機能も担当するようにする。こうすることで、制御&画像補正部200のテストと、画素素子部110、アナログ回路部130、センサ回路部120の機能テストの同測化を実現できるようになる。
このように、第3実施形態の固体撮像装置1に依れば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせているので、各実施形態が享受し得る効果を、この第3実施形態でも同様に享受し得る。たとえば、スキャン&メモリBIST機能の同時もしくは独立測定を行なうことができるし、高VDDスクリーニングテストなどストレス(バーンイン)テストと合わせて同時測定することもできる。さらに撮像デバイスに不可欠な他のテストモードを制御機能を設け、制御&画像補正部200のテストと、画素素子部110、アナログ回路部130、センサ回路部120の機能テストの同測化も実現できる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記の各実施形態では、CMOSイメージセンサを例に説明したが、対象となる撮像デバイスはCMOSデバイスに限らず、CCDデバイスや、その他のデバイスであってもよい。光や放射線などの外部から入力される電磁波に対して感応性をする単位構成要素をライン状もしくはマトリクス状に複数個配列してなる物理量分布検知半導体装置の全てに、上述した全ての実施形態が同様に適用できる。
1…固体撮像装置、100…センサ部、110…画素素子部、120…センサ回路部、130…アナログ回路部、200…制御&画像補正部、202…テスト処理部、204…組合論理回路、206…組合論理回路、210…高速位相回路部、224…フリップフロップ、226,228…データ保持部、240…クロック切替部、242,244…セレクタ、250…メモリ部、260…メモリBIST部、262…パターンジェネレータ、264…比較回路、266,267,268…セレクタ、270…テストコントローラ、300…信号変換部、304,306…バッファ