JP4448591B2 - クレーンの中継ぎブームのための回動自在な連結装置 - Google Patents

クレーンの中継ぎブームのための回動自在な連結装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は持上げクレーンに関し、特に、クレーン等のための中継ぎブーム部材のための回動自在な連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大容量の持上げクレーンは、代表的に、細長い負荷支持ブーム構造を有し、これは端部と端部とを当接させた関係で固定された中継ぎブーム部材から構成される。一般的に、各中継ぎブーム部材は広範囲に配置された複数のラチスないし格子要素によって構成される。各弦材の終端部分には通常なんらかの形態の連結具が備えられて、当接するブームセグメント同士を固定し、当接する弦材間の圧縮負荷を支える。代表的な連結具は、オス型及びメス型の突出部から構成され、ピンによって固定されて、二箇所の剪断力によって圧縮負荷を支える。
【0003】
例として220フィートのブームは、クレーンの上部構造体に回動可能に搭載された40フィートのブーム基部と、負荷を持上げ支持するための滑車及び索具を備えた30フィートのブーム上部と、これらの間の5つの中継ぎブーム部材(10フィート長のもの1つと20フィート長のもの1つと40フィート長のもの3つ)とから構成される。この例のブームでは中継ぎブームの連結を6箇所有する。代表的には、各中継ぎ材は4本の弦材を有し、故に4つの連結具を有するので、合計24の連結具について整列させてピンを通してブームを組立てなければならない。
【0004】
大容量のクレーンは非常に大きな断面のブームを必要とする。この結果、ブームセグメントが地上に平らに横たえられている場合においてさえ、上部弦材間の連結具は代表的には地上から8フィートないしそれ以上高いところにある。組立工員は、梯子をのぼって各ピン位置まで移動するか、ブームの上部に沿って立って歩くかして、上部の連結具にたどりつかなければならない。
【0005】
40フィートの長い中継ぎブーム部材は5,000lbsよりも重いだろう。従って、ブーム部材を持上げるには補助クレーンが必要となる。通常は、1人の組立工員が吊下された中継ぎブームを大まかなアライメントに保持しつつ、2人目の組立工員が大型ハンマ(10乃至15lbs)を用いた手作業で代表的には長いテーパを有するピンを所定位置に打込む。従来技術においては、中継ぎブームを連結するピンは通常、弦材間の圧縮負荷を支えるのに使用されていた。その結果、ピンは締りばめを有し、ブームの組立ての難しさを更に大きくしていた。そのため、例示の220フィートブームを組立てるには、3人の人員(クレーンのオペレータ及び2人の組立工員)にて4時間ないしそれ以上を要する。クレーンを頻繁に動かす場合には、ブームを組立てたり分解したりするためのコストが、クレーンを使用して負荷を持上げたり配置したりするコストを越えるだろう。
【0006】
クイック連結式の連結装置を備えた中継ぎブーム部材を設計する努力がなされてきた。例えば、米国特許第3,511,388号は、管状の弦材部材を有するブーム構造のためのピン連結装置を開示している。メス型受入部へ挿入するテーパの付いたオス型突出部材が開示されており、いくらか迅速になると思われる。突出部はその後ピンによって互いに保持される。圧縮負荷は突出部の周囲の機械加工された表面によって支えられ、突出部の幅は管状の部材の壁の厚さよりもわずかに大きくなっている。
【0007】
米国特許第5,082,128号もクイック式の連結装置を開示しており、上側弦材の連結具はフック状のオス型突出部と間隔を隔てた部材を備えたメス型突出部とを有し、それらの間に水平ピンを保持する。図10a乃至図10cは、中継ぎブームが平行でないときにどのようにしてフック形状の部材を所定位置に嵌合させるのかを示しており、(ピンの軸線を中心とした)回動動作によって、中継ぎブームを平行な整列位置に持込んで、各オス型突出部の端部の支持表面を各メス型突出部の内面に連結させる。上側弦材(断面は管状に表される)の水平な中立軸線はピンの中心線と交差するが、圧縮負荷支持表面とは交差することがなく、圧縮負荷支持表面は水平な中立軸線に対して対称的ではない。
【0008】
連結具の圧縮負荷支持表面は連結具が取付けられている弦材の水平及び垂直中立軸線に対して対称的であることが好ましい。そうすれば、連結具を介して伝達される圧縮負荷によって弦材に曲げモーメントを生じさせることがない。また、直角断面を有する弦材がしばしば中継ぎブームに使用されるので、そのような弦材のためのクイック式の連結装置は有用であろう。
【0009】
米国特許第5,199,586号は、クイック連結式の中継ぎブーム部材を開示しており、その圧縮負荷支持表面は取付られる弦材の垂直及び水平中立軸線に対して対称的であるのみならず、それらの中立軸線の交差点によって形成される直線とも交差している。
【0010】
586号特許の図16乃至図18に示された連結具のデザインは商業的に成功し、ブームが水平な状態で組立てられるときには迅速なブームの組立てが可能になるものの、場合によっては、ブームの組立てを垂直な状態で行なうことが好ましいこともある。例えば、作業現場のスペースが制約されている場合には、長いメインブームとラフィングジブブームとを地面上に横たえた位置で組立てることは必ずしも可能ではない。かかる条件においては、メインブームとラフィングジブブーム基部及びラフィングジブストラットとだけを組立てることが好ましい。これらの要素はその後にブームで持上げられて、ラフィングジブブーム基部は垂直に吊下される。連結点をできるだけ地面に近づけつつ、ラフィングジブブームの次の中継ぎ材を持込んで連結することができるとすると好ましい。これを実現するには、ブームの次の中継ぎ材を水平向きとしておいて、上側弦材と連結すべきである。そのためには、ラフィングジブが更に持上げられながら、中継ぎブームが上側弦材部分を中心として90゜回動することができ、ブームの新たな中継ぎ材がラフィングジブブーム基部から垂直なアライメントに吊下され得るような連結装置を有することが必要になる。従って、上側弦材の連結が90゜回動できるような、中継ぎブームのための簡易なクイック連結式の装置は大きな改良となるであろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
中継ぎブームのための回動自在な連結装置を発明した。本発明によれば、水平に横たえた態様や、吊下されたラフィングジブブーム基部に中継ぎブームを追加するような垂直な態様のいずれにあっても、組立中のブームに中継ぎブームを追加することができる。
【0012】
第1の観点によれば、本発明は、回動自在な中継ぎブーム連結装置を備えたブームを有するクレーンであって、クレーンは下部構造体上に回動自在に搭載された上部構造体を有し、上部構造体は負荷巻上げウインチを備え、ブームは、少なくとも第1及び第2の中継ぎブームを備え、これらそれぞれは長手軸線と第1端部と第2端部とを備えており、第1の中継ぎ材の第2端部は第2の中継ぎ材の第1端部へ連結され;第1の中継ぎ材の第2端部の少なくとも1のオス型連結具が、第2中継ぎ材の第1端部のメス型連結具に連結され;オス型連結具は基台部と突起部とを備え、基台部と突起部とのそれぞれが前記第1の中継ぎブームの長手軸線に対して略垂直な延長部を有し、延長部と突起部とが受入部を形成しており;メス型連結具は間隔を隔てられた2つの突起部を備え、2つの突起部の間にオス型連結具の突起部が嵌入するようになっており、メス型連結具にはさらに、少なくとも一方の突起部に連結され他方の突起部へ向けて延設された、オス型連結具の受入部に嵌入する連結具が備えられ;オス型連結具とメス型連結具とが係脱するのを防止すべく、オス型連結具の延長部間に連結された保持具を備えているクレーンである。
【0013】
第2の観点によれば、本発明は、回動自在な連結装置を備えた中継ぎブーム部材であって、中継ぎブームは長手軸線と第1端部と第2端部とを有し、各端部は少なくとも3つの連結具を有し、前記第1端部の少なくとも3つの連結具は同様な中継ぎブームの第2端部の3つの連結具と連結されるように設計されており;前記第2端部の前記少なくとも3つの連結具の第1のものはオス型連結具を構成し、基台部及び突起部と前記突起部の少なくとも2側面における基台部の肩部とを有し、突起部及び基台部のそれぞれは長手軸線に対して略垂直方向に延長部を有し、延長部と突起部とが協同して受入部を形成し、延長部のそれぞれには開口孔が貫設されて、開口孔は互いに一直線をなして長手軸線に対して略平行に沿っており;前記第1端部の前記少なくとも3つの連結具の第1のものはメス型連結具を構成し、連結具の突起部の幅よりも大きな間隔を隔てた2の突起部を有し、メス型突起部間にわたる連結ピンを有し、連結ピンはオス型連結具の受入部に嵌入すべき大きさ及び形状を有し;オス型連結具の整列された開口孔に貫通する保持ピンを備え、同様な中継ぎブームのメス型連結具の連結ピンを受入部内に保持し、それにより、オス型及びメス型連結具が係脱するのを防止して;メス型連結具の突起部の端部には当接面を有し、連結される同様な中継ぎブームのオス型連結具の肩部と接触する形状になっていて、中継ぎブーム間の圧縮負荷を伝達する中継ぎブーム部材である。
【0014】
本発明によれば、水平に向けられた中継ぎブームを吊下されたブームに追加することができる。メス型連結具の連結具がオス型連結具の受入部内に配置され、オス型及びメス型の連結具が連結保持されるように保持具が所定位置に置かれる。その後、組立体は持上げられ、新たな中継ぎ材の重量は連結具によって支えられる。新たな中継ぎ材は自由に回動できて、ほぼ垂直に吊下される。中継ぎ材はその後で整列された位置にまでスイングして、下側連結具を固定すべく下側連結ピンを挿入することができる。所望のラフィングジブブーム長さに組立てられるまで、この中継ぎ材を追加して持上げる方法が続けられる。
【0015】
本発明によるこれらの及び他の効果については、本発明それ自体と共に、図面を参照することで良く理解できるだろう。
【0016】
【発明の実施の形態】
説明を容易にするために、本明細書及び特許請求の範囲において用いられている"上側"、"下側"、"水平"、及び"垂直"の用語は、地表面上ないし地表面付近にて代表的に組立てられるであろう位置にある中継ぎブームの部分を指し示している。これらの用語は、垂直位置を含む異なる角度に持上げられたブームについても適用される。
【0017】
図1に示すように、代表的なクレーン10は下部構造体11上に上部構造体12が回動自在に搭載されて構成され、下部構造体は自己推進の無端軌道を備えている。上部構造体12には代表的にはカウンタウエイト13が取付けられている。図示の実施形態のクレーンでは、カウンタウエイト13は別個のカウンタウエイトトレーラ18上に支持されている。また、上部構造体12はバックヒッチ14及びマストないしガントリ15を支持しており、同様にブーム20が回動自在に搭載されている。上部構造体にはまた、負荷巻上げラインが巻付けられたウインチ(図示せず)が搭載されている。駆動索具及びペンダント16がブーム20の上端とガントリ15とを連結しており、ブームの角度を調節するために使用される。ペンダント19はガントリの上端をカウンタウエイト13に連結している。
【0018】
また、図示のクレーン10はラフィングジブ90を備え、上部構造91及び92とコントロールライン93とを備え、ブーム20の上端に回動自在な関係で取付けられているラフィングジブ90の角度をコントロールするのに用いられる。
【0019】
在来型のクレーンでは、ブーム20はいくつかの中継ぎ部材によって組立てられており、ブーム基部21と、任意数かつ異なる長さの挿入中継ぎブーム22、23、24、25、26、27、及び28と、ブーム上部29とを含んでいる。中継ぎブーム部材22〜28は代表的には複数の弦材によって構成される。ラフィングジブブーム90も同様に、ラフィングジブブーム基部94と、挿入中継ぎブーム95、96、97、98、99、及び100とから組立てられており、後者は挿入中継ぎブーム22〜28と同様に任意の数で異なる長さである。ラフィングジブの上端(図示せず)は最後の挿入部の端部に加えられる。
【0020】
図2に示した実施形態では、各ラフィングジブ中継ぎブーム99及び100は矩形の断面を有しており、各角部に弦材を備えている。中継ぎ材99及び100はそれぞれ長手軸線41を有すると共に第1端部と第2端部とを有している。2本の上側弦材31と2本の下側弦材33とが存在し(側面図においてはそれぞれについて一方だけが表されている。)、これらは中間のラチスないし格子要素35によって互いに連結されている。図示の実施形態では、弦材部材は丸い断面を有する鋼材で作られている。各弦材部材は垂直な中立軸線と水平な中立軸線とを有する。丸い断面を有する弦材の場合には、水平及び垂直中立軸線は弦材の中心線にある線40と交差する(図3)。弦材の垂直及び水平な中立軸線の交差点40に働く、または、水平及び垂直な中立軸線に対して対称的に働く圧縮負荷は、弦材に曲げモーメントを生じさせることがない。
【0021】
好ましい回動自在な連結具は、中継ぎブームの上側弦材31に備えられたものとして示されている。下側弦材33のための連結具についても開示される。組立てられる連結具は、中継ぎ部材の弦材の当接する端部に取付けられている。組立てられる連結具は、一般的にオス型及びメス型の関係をもっている。従って、各中継ぎブームには2つの上側弦材のメス型連結具36と2つの下側弦材のメス型連結具38とが設けられ、これらは必要的ではないものの一般的には中継ぎブームの同一側の端部に設けられ、同様にして、2つの上側弦材のオス型連結具37と2つの下側弦材のオス型連結具39とが中継ぎブームにおけるそれぞれの上側及び下側弦材のメス型連結具とは反対側の端部に設けられている。従って、中継ぎ材99及び100のような2つの中継ぎブームが互いに連結されるとき、中継ぎ材100の2つの上側弦材のメス型連結具36は中継ぎ材99の上側弦材のオス型連結具と連結され、中継ぎ材100の下側弦材のメス型連結具38は中継ぎ材99の下側弦材のオス型連結具39と連結される。メインブーム20の中継ぎ材22〜28とラフィングジブブーム90の中継ぎ材95〜100とのすべての連結具は同一であるので、前記した参照符号31、33、35、36、37、38、39、及び40については、メインブームの中継ぎ材とラフィングジブブームの中継ぎ材とのいずれを示す全図面において用いられる。
【0022】
図2乃至図4は、垂直に吊下されたブームの一部である第1の中継ぎブームに第2の中継ぎブームを追加するための手順を示しており、そのため、ラフィングジブ中継ぎブーム99及び100が示されている。図5乃至図9は、水平に延在している第1の中継ぎブームに第2の中継ぎブームを追加するための手順について示している。かかる手順はラフィングジブ中継ぎブームを連結するのに用いることも可能であるが、これらの図においてはメイン中継ぎブーム23及び24を用いて示している。もちろん、図2乃至図4に示したような回動式の手順を用いてメイン中継ぎブームを連結することが好ましい場合もあるだろう。
【0023】
図3及び図3aに示したように、オス型連結具37は基台部52と突起部54とを有する。突起部54は基台部52から垂直に延設されていて、クレーンの中継ぎブーム99の長手軸線41に対して略平行に向いている。基台部52と突起部54の端部とからは、それぞれ延長部56及び58が延設されており、長手軸線41に対して略垂直な方向で外向きに向けられている。各延長部56及び58はそれぞれ開口孔57、59を有する。開口孔57と59とは長手軸線41に対して略平行であるような直線上に互いに一直線をなしている。延長部56及び58は突起部54と協同して受入部51を形成している。図3aに示すように、突起部54の両側において、機械加工された当接面53及び55を有する2つの肩部が基台部52上に設けられている。
【0024】
図3bに良く示されているように、メス型連結具36もまた基台部72と基台部72から略垂直に延設された2つの突起部74及び76とを有する。突起部74と76とはオス型連結具37の突起部54の幅よりも大きな距離の間隔を隔てており、オス型の突起部54がメス型の突起部74及び76間に嵌入するようになっている。メス型連結具は受入部51に嵌入すべき大きさ及び形状の連結具をも備えている。連結具は突起部74及び76の少なくとも一方に連結されていて他方の突起部に向けて延設される。図示の好ましい実施形態では、各突起部74及び76はそれぞれの突起部を貫通する丸孔75及び77を有しており、円筒形形状の連結ピン78として構成される連結具が孔75及び77を延通する。従って、連結ピン78はメス型突起部間にまたがって好ましくは孔内において回動自由になっている。好ましくは、連結ピン78を孔内に延通させてコッターピン(図示せず)などを用いてピン78を保持し、ピンが長手方向に動いたり外れたりするのを防止する。突起部74及び76は、端部71及び78にそれぞれ機械加工された当接面を有する。
【0025】
オス型連結具の突起部54の長さはメス型連結具の突起部74及び76の長さよりも短い。この結果、オス型及びメス型の連結具が連結位置に配置されたときには、メス型突起部の端部の当接面71及び73は機械加工された当接面55及び53に対してそれぞれ当接する。従って、オス型及びメス型の連結具が完全に係合したとき、ブームに働く圧縮負荷は当接面71、73及び55、53を介して伝達される。
【0026】
連結具36及び37が連結されたとき、連結ピン78は受入部51に嵌入する。受入部51の内隅は連結ピン78の円筒形の半径になるように機械加工しておくことが好ましい。図3に示すように、いったん連結具を連結させた後には、オス型連結具37の延長部56及び58の間に延び、且つ固定されるように保持具を連結させて、連結ピン78を受入部51内に閉じ込め、且つ連結具同士が係脱することを防止する。保持具は、延長部56及び58の開口孔57及び59に延通された保持ピン62とするのが好ましい。
【0027】
図2及び図4に示すように、本発明による連結具によれば、中継ぎブーム部材を連結させて、その後で、完全に90゜にわたって回動させることができる。図2では、第1の中継ぎブーム99は垂直に吊下されている。補助クレーン(図示せず)などによって水平に吊下された第2の中継ぎブーム100が所定位置に持込まれ、中継ぎ材100のメス型連結具36が中継ぎ材99のオス型連結具37に連結できる。たとえ2つの中継ぎブームの長手軸線41同士が垂直であったとしても、メス型連結具36の連結ピン78は依然としてオス型連結具38の受入部51内に配置することができる。保持ピン62を配置した後で、補助クレーンは中継ぎ材100の自由側端部を下方向へスイングさせて、第1の中継ぎ材99の下位置にさせる。中継ぎブームは連結ピン78を中心として回動して、各中継ぎブームの長手軸線41が整列された位置関係にもたらされる(図4)。この時点で、オス型及びメス型連結具の当接面53、55、71、及び73が係合して、そして、下側弦材33の連結具同士がピン連結されるが、それについては後に詳述する。
【0028】
図5乃至図9は、中継ぎブームが水平位置にて連結される場合について、本発明の好ましい実施形態による中継ぎブームを互いに連結させる手順を示している。図5に示すように、第1の中継ぎブーム23は水平であって、おそらく地面上にブロック材によって支持されている。第2の中継ぎブーム24は2つの中継ぎブーム23及び24の長手軸線がほぼ平行になるようにほぼ水平な角度で持込まれる。この場合にも、当初、第1及び第2の中継ぎブームが互いに連結されるときには、連結ピン78が受入部51に嵌入される(図6)。受入部と連結ピン78との形状が協同してオス型及びメス型連結具37及び36が完全に係合すると、2つの中継ぎブームの長手軸線同士は整列される(図7、図8、及び図9)。
【0029】
図10は下側弦材33の連結具の係合について示しており、前述したように、上側弦材31のオス型及びメス型連結具37及び36が完全に係合した後において互いにピン連結されるものである。下側弦材はそれぞれ、より在来型の性質の連結具を有している。各下側弦材の一端には1の突起部を有する連結具39を有し、他端では連結具38は2つの突起部を有している。2つの中継ぎブームが連結できるアライメントに持込まれたとき、第1の中継ぎブームの第2端部の連結具39の単一の突起部が、第2の中継ぎブームの第1端部の連結具38の2つの突起部間に嵌入する。連結具38及び39のそれぞれの突起部には開口孔が貫設されている。2本の下側連結ピン64及び65が開口孔に挿入されて、第1の中継ぎブームの下側弦材部材33の第2端部を第2の中継ぎブームの下側弦材部材33の第1端部へと固定する。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、中継ぎブームはブラケット81、82、83、及び84を用いて油圧式シリンダ85を取付けて(図11乃至図13)、下側連結ピン64及び65を挿入したり取外したりするのに代るがわる使用する。好ましくはブラケット81及び84がピン64及び65の一端をそれぞれ挿入するための位置に保持し、ピン64及び65の他端は中継ぎブームの中央側に近い方の連結具38の突起部に貫設された開口孔に保持される。手持式の油圧式シリンダ85をいずれのピンを挿入するのかに応じてブラケット82又は83に取付ける。図12に示すように、シリンダ85のピストン側端部はブラケット82に保持されて、シリンダ85のロッド側端部はピン64の頭部に連結される。シリンダ85を伸張させることで、整列された連結具38及び39の突起部の開口孔へピン64が押込まれる(図13)。シリンダ85はまた、ピン64及び65を引抜くのにも使用することができる。
【0031】
前述したように、連結具が取付けられている弦材の水平及び垂直な中立軸線に対して対称的であるような当接面を連結具に備えることが好ましい。図3aに示すように、当接面53及び54は、オス型連結具37が取付けられている弦材31の水平中立軸線45及び垂直中立軸線46に対して対称的である。同様に、図3bに示すように、当接面71及び73は、メス型連結具36が取付けられている弦材31の水平及び垂直中立軸線45及び46に対して対称的である。このようにして、本発明による中継ぎブームでは、互いに垂直でも連結させることができて整列位置へと回動させることができるのみならず、使用中において、弦材31に曲げモーメントを生じさせることなしに連結具を介して圧縮力を伝達することができる。
【0032】
本発明による連結具はまた、中継ぎブームをほぼ平行なアライメントから連結させることもできるので、クレーンの中継ぎブームの用途を広げる。従って、中継ぎ材は水平な態様に横たえられたメインブームを構成するのにも、また、垂直位置に吊下されて組立てられたラフィングジブブームを構成するのにも使用することができる。
【0033】
図に示した本発明の好ましい実施形態のほかにも他の実施形態が想定される。例えば、メス型連結具の突起部間にピンをかけ渡すことに代えて、突起部の内面の一方又は双方に突出部を固定するようにしてもよい。これらの突出部は受入部51に嵌入して保持ピン62によって保持される。ストラップのような他のタイプの保持具によって延長部56及び58間を固定しても良い。
【0034】
オス型及びメス型連結具の間において受入部と連結具とを交換してもよい。オス型連結具は単一の突起部の両側へと外向きに延設された連結ピンを有し、メス型突起部のそれぞれは受入部と保持具とを備えた形状とすることができる。
【0035】
本発明による装置は様々な態様の実施形態に組込むことが可能であって、それらのうちわずかについてのみ図示して上記説明したことを認識すべきである。本発明は、その精神ないし本質的な特性から逸脱することなしに、他の形態で具体化できるだろう。詳述した実施形態はあらゆる観点において例示的なものであり、制限的なものではなく、従って、本発明の範囲については前記詳細な説明よりもむしろ特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の趣意及びその均等な範囲に入るいかなる変更も特許請求の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される、中継ぎ式のメインブームとラフィングジブブームとを備えた代表的なクレーンを示す側面図である。
【図2】本発明による回動自在な連結装置の好ましい実施形態を示す側立面図であって、2つの中継ぎブームが垂直に係合した状態を示している。
【図3】図2に示した上側弦材連結具の1つを拡大して一部破断して示した側立面図である。
【図3a】図3に示したオス型連結具について保持ピンを省略して示した端面図である。
【図3b】図3に示したメス型連結具について連結ピンを省略して示した端面図である。
【図4】図2に示した中継ぎブームが整列されて垂直な位置関係にあるようすを示した側立面図である。
【図5】図2に類似した側立面図であるが、2つの中継ぎブームがほぼ水平に係合している。
【図6】図3に類似した拡大して一部破断した側立面図であって、図5に示した中継ぎブームの上側弦材連結具を示している。
【図7】図5に示した中継ぎブームが整列されて水平な位置関係にあるようすを示す側立面図である。
【図8】図6に類似した拡大して一部破断した図であるが、中継ぎブームが整列されて使用位置にあるときの上側弦材連結具を示している。
【図9】図8の線9−9による連結具の一部破断上面図である。
【図10】図2に示した好ましい中継ぎブームを示す下面図であって、下側連結具が所定位置にされるようすを示している。
【図11】図10の線11−11線による端面図である。
【図12】図10の中継ぎブームを示した拡大平面図であって、連結具が係合関係にあり、また、下側連結ピンを所定位置へ押込むのに使用される油圧式シリンダをも示している。
【図13】図12に類似した拡大平面図であり、油圧式シリンダが伸張して下側連結ピンが所定位置となったようすを示している。
【符号の説明】
10 クレーン
11 下部構造体
12 上部構造体
13 カウンタウエイト
14 バックヒッチ
15 マスト
16 ペンダント
18 カウンタウエイトトレーラ
20 ブーム
22 中継ぎブーム
31 上側弦材
33 下側弦材
52 基台部
54 突起部
56 延長部
57 開口孔
72 基台部
74 突起部
78 連結ピン

Claims (23)

  1. 回動自在な中継ぎブーム連結装置を備えたブームを有するクレーンであって、クレーンは下部構造体上に回動自在に搭載された上部構造体を有し、上部構造体は負荷巻上げウインチを備え、ブームは、
    a)少なくとも第1及び第2の中継ぎブームを備え、これらそれぞれは長手軸線と第1端部と第2端部とを備えており、第1の中継ぎ材の第2端部は第2の中継ぎ材の第1端部へ連結され、
    b)第1の中継ぎ材の第2端部の少なくとも1のオス型連結具が、第2の中継ぎ材の第1端部のメス型連結具に連結され、
    c)オス型連結具は基台部と突起部とを備え、基台部と突起部とのそれぞれが前記第1の中継ぎブームの長手軸線に対して略垂直な延長部を有し、延長部と突起部とが受入部を形成しており、
    d)メス型連結具は間隔を隔てられた2つの突起部を備え、2つの突起部の間にオス型連結具の突起部が嵌合するようになっており、オス型連結具の基台部には突起部の少なくとも2側面において肩部が備えられ、前記肩部上に当接面を有し、メス型連結具の突起部はその端部に当接面を有し、オス型連結具の当接面との連結位置において、オス型及びメス型の連結具が完全に係合したとき、ブームに働く圧縮負荷が前記当接面を介して伝達され、メス型連結具にはさらに、少なくとも一方の突起部に連結され他方の突起部へ向けて延設された、オス型連結具の受入部に嵌入する連結具が備えられ、受入部は、オス型連結具とメス型連結具が取り付けられるブームの長手軸線方向において、連結具の幅よりも広くなっており、
    e)オス型連結具とメス型連結具とが係脱するのを防止すべく、オス型連結具の延長部間に延び、且つ延長部に固定されて、連結具を受入部内に閉じ込める保持具を備えていることを特徴とするクレーン。
  2. 第1及び第2の中継ぎブームが互いに連結される当初には、前記第1の中継ぎブームの長手軸線は前記第2の中継ぎブームの長手軸線に対して垂直であるが、中継ぎブーム同士は連結具を中心として回動自在であって、第1及び第2の中継ぎブームの長手軸線を整列した関係にもたらすことができることを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  3. 第1及び第2の中継ぎブームが互いに連結される当初には、第1の中継ぎブームの長手軸線は第2の中継ぎブームの長手軸線に対してほぼ平行であり、受入部及び連結具の形状及び配置が協同して、オス型及びメス型連結具が完全に係合すると、第1及び第2の中継ぎブームの長手軸線を互いに整列させることを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  4. オス型連結具の延長部のそれぞれには開口孔が貫設されており、第1の中継ぎ材の長手軸線に対して略平行な線に沿った一直線を開口孔は互いになして、保持ピンとして構成される保持具が開口孔を貫通することを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  5. メス型連結具の2つの突起部はそれぞれ丸孔を備え、連結ピンとして構成される連結具が丸孔を貫通することを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  6. 連結ピンはメス型の突起部の孔内にて回動自由であるが、長手方向へ孔から外れることのないように保持されていることを特徴とする請求項5に記載のクレーン。
  7. 前記ブームは上端部を有するメインブームを備え、メインブームの上端部に対して回動可能に取付けられたラフィングジブブームを備え、前記第1及び第2の中継ぎブームは前記ラフィングジブブームの一部を構成していることを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  8. 第1及び第2の中継ぎブームのそれぞれは4本の弦材から構成され、それら間の中間にはラチスないし格子要素を備え、各弦材は中継ぎブームの第1端部及び第2端部に対応する第1及び第2の端部を有することを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  9. クレーンが動作モードにあるときに、前記4本の弦材の2本は上側弦材を構成し、他の2本は下側弦材を構成することを特徴とする請求項8に記載のクレーン。
  10. 2本の上側弦材のそれぞれは、その第2端部に前記オス型連結具を有し、その第1端部にメス型連結具を有することを特徴とする請求項9に記載のクレーン。
  11. 下側弦材のそれぞれは、弦材の第2端部に1の突起部を備えると共に弦材の第1端部に2の突起部を備えてなる連結具を有し、各突起部には開口孔が貫設され、開口孔に下側連結ピンが挿入されて、前記第1の中継ぎブームの下側弦材部材の第2端部を前記第2の中継ぎブームの下側弦材部材の第1端部に固定することを特徴とする請求項9に記載のクレーン。
  12. 前記下側連結ピンを挿入するのに使用される油圧式シリンダを取付けるために、第2の中継ぎブームの第1端部にブラケットがさらに備えられていることを特徴とする請求項11に記載のクレーン。
  13. オス型及びメス型の連結具は中継ぎブームを構成する弦材の端部に配置され、当接面は、連結具が固定されている弦材の水平及び垂直中立軸線のいずれに対しても対称的になっていることを特徴とする請求項に記載のクレーン。
  14. 連結具は、メス型連結具が固定された弦材の中立軸線に対して上方に間隔を隔てていることを特徴とする請求項13に記載のクレーン。
  15. 当接面は連結具機械加工された表面からなることを特徴とする請求項に記載のクレーン。
  16. 連結具は円筒形の形状であり、受入部は、1の隅部は連結具の半径と等しい半径を有する機械加工された表面を含むことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  17. 回動自在な連結装置を備えた中継ぎブーム部材であって、
    a)中継ぎブームは長手軸線と第1端部と第2端部とを有し、各端部は少なくとも3つの連結具を有し、前記第1端部の少なくとも3つの連結具は同様な中継ぎブームの第2端部の3つの連結具と連結されるように設計されており、
    b)第2端部の前記少なくとも3つの連結具の第1のものはオス型連結具を構成し、基台部及び突起部と前記突起部の少なくとも2側面における基台部の肩部とを有し、突起部及び基台部のそれぞれは長手軸線に対して略垂直方向に延長部を有し、延長部と突起部とが協同して受入部を形成し、延長部のそれぞれには開口孔が貫設されて、開口孔は互いに一直線をなして長手軸線に対して略平行に沿っており、
    c)第1端部の前記少なくとも3つの連結具の第1のものはメス型連結具を構成し、連結具の突起部の幅よりも大きな間隔を隔てた2の突起部を有し、メス型突起部間にわたる連結ピンを有し、連結ピンはオス型連結具の受入部に嵌入すべき大きさ及び形状を有し、受入部は、オス型連結具とメス型連結具が取り付けられるブームの長手軸線方向において、連結具の幅よりも広くなっており、
    d)オス型連結具の整列された開口孔に貫通する保持ピンを備え、同様な中継ぎブームのメス型連結具の連結ピンを受入部内に保持し、それにより、オス型及びメス型連結具が係脱するのを防止して、
    e)メス型連結具の突起部の端部には当接面を有し、連結される同様な中継ぎブームのオス型連結具の肩部と接触する形状になっていて、中継ぎブーム間の圧縮負荷を伝達する
    ことを特徴とする中継ぎブーム部材。
  18. メス型連結具の突起部のそれぞれには丸孔が貫設され、前記連結ピンは前記孔を貫通する円筒形ピンとして構成され、孔内において回動自在であるが連結ピンは長手方向への移動は阻止されているように取付けられていることを特徴とする請求項17に記載の中継ぎブーム部材。
  19. 中継ぎブームは4本の弦材を備え、それらの間には中間のラチスエレメントを備え、各弦材はその第1端部及び第2端部のそれぞれに連結具を有していることを特徴とする請求項17に記載の中継ぎブーム部材。
  20. 2本の弦材は、その第2端部に前記オス型連結具を有し、その第1端部に前記メス型連結具を有することを特徴とする請求項19に記載の中継ぎブーム部材。
  21. 前記4本の弦材のうち他の2本はそれぞれ、第2端部に1の突起部を有する連結具を備えて突起部には開口孔が貫設され、第1端部には2の突起部を有する連結具を備えて各突起部には開口孔が貫設され、第1端部の連結具の突起部は前記第2端部の連結具の突起部の幅よりも大きな距離の間隔を隔てられており、3つの開口孔が整列されて1の弦材の第2端部の連結具の開口孔と同様な中継ぎブームの弦材の第1端部の連結具の2の開口孔とを通してピンが貫通することを特徴とする請求項20に記載の中継ぎブーム部材。
  22. オス型連結具の突起部の長さは、メス型連結具の突起部の長さよりも短いことを特徴とする請求項17に記載の中継ぎブーム部材。
  23. 第2の同様な中継ぎブームの長手軸線が第1の中継ぎブームの長手軸線に対して垂直なとき、同様な第2の中継ぎブームのメス型連結具が第1の中継ぎブームのオス型連結具に連結することができ、前記オス型連結具の整列された開口孔に前記保持ピンが挿入できるように、オス型及びメス型の連結具が形成されていることを特徴とする請求項17に記載の中継ぎブーム部材。
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