JP4447121B2 - 電子装置或いは電子素子の保護方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、必要とする期間中、保護対象物に導電性をもつ組成物を塗布或いは印刷に依って一時的な被膜を形成して静電放電(electrostatic discharge:ESD)や電磁波障害(electromagnetic interference:EMI)から保護する電子装置或いは電子素子の保護方法及び該方法の実施に用いる導電性被膜用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子装置や電子素子をESDやEMIから保護する為には、導電性ペイントの塗布、或いは、無電解メッキ処理、更には、真空蒸着法などの手段を採って導電性被膜を形成し、この被膜を介し、静電気であれば帯電電荷を接地レベル電位に逃がし、電磁波であればジュールエネルギ損失として電界を低減することが行われている。
【0003】
前記した従来の技術にあっては、導電性の被膜が保護対象物に半永久的に残ることになり、これが原因となって、ノイズの輻射、或いは、吸収に依る信号の擾乱などが起こる旨の新たな問題が発生している。
【0004】
また、剥離性の導電性樹脂組成物を塗布することも行われているが、剥離性を向上する為、樹脂のガラス転移点を室温よりも低くすると共に保護対象物との接着強度を低下させている。
【0005】
この為、高温の処理プロセスが存在した場合、その熱に依って導電性樹脂組成物が溶融したり、最悪の場合、保護対象物や電子機器から流延・流出したり、それに至らないまでも、パターンや塗布膜の膜厚が変動するような問題が起こり、しかも、接着強度を低くしてある為、耐溶剤性にも乏しく、アルコールなどを用いた洗浄工程に耐えられない。
【0006】
更にまた、電子装置或いは電子素子の種類に依っては、その表面に導電性を与えてはならないことが多く、例えば、センサ接続用入力端子、加工モニタ用出力端子、演算信号出力用端子などの端子間は高インピーダンスに維持する必要があり、また、これ等の端子と筐体間は高い絶縁性を維持しなくてはならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ESD或いはEMIからの保護を必要とする場合、保護対象物に於ける所望の箇所に導電性被膜用組成物からなる被膜を容易に形成し、保護が不要となった場合に該被膜を容易に除去できるようにする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いては、電子装置或いは電子素子をESDやEMIから保護しなければならない段階で、導電性成分、結着成分、結着成分の硬化剤を含む導電性被膜用組成物からなる被膜を保護対象物の必要箇所に形成して導電性被膜となして保護を行い、ESDやEMIのおそれが無くなった段階で、該導電性被膜を除去することが基本になっている。
【0009】
また、光照射或いは電子線照射に依って硬化作用をする硬化剤を用いた場合、光硬化性又は電子硬化性の結着成分を実現できるから、必要に応じ、導電性被膜組成物からなる被膜を局所的に形成する。
【0010】
前記手段を採ることに依り、電子装置或いは電子素子などの保護対象物に於ける保護を必要とする領域に一時的に導電性被膜が形成され、ESDやEMIの影響は有効に抑止され、そして、その影響が無くなった段階で該導電性被膜は除去されるので、導電性被膜がノイズを輻射或いは吸収して信号を擾乱するなどの問題は解消される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に於ける導電性被膜用組成物は、導電性成分、結着成分、硬化剤を主成分として含み、塗布或いは印刷に依って被膜化する導電性塗料である。
【0012】
前記導電性塗料に於ける導電性成分としては、金、銀、銅、タングステン、チタン、タンタルなどの金属微粒子、又は酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫などの金属酸化物微粒子、又はカーボン微粒子、又は導電性高分子などを用いることができる。
【0013】
結着成分の硬化剤として、光硬化性又は電子硬化性を示す硬化剤を用いた場合には、紫外線や可視光線などの光、或いは電子線の照射に依って溶剤には不溶となる物質を用いる。
【0014】
上記導電性塗料を用いる場合、保護対象物に塗布或いは印刷して被膜とし、必要な局所的領域に光、或いは電子線を照射して導電性被膜化して保護を行い、ESDやEMIのおそれが無くなった段階で該導電性被膜を除去する。
【0015】
本発明に依る導電性塗料を構成する導電性成分が金属微粒子である場合、その金属材料の種類は、保護対象物の表面材料に応じて適切に選択され、例えば表面が金の場合、タングステン、チタン、タングステン・チタン合金などを用いると良い。
【0016】
また、前記金属材料の代わりに酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム錫、酸化鉛など、導電性をもつ金属酸化物材料を用いても良い。
【0017】
更にまた、抵抗の低さでは多少劣るが、炭素系材料、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト、ファーネスブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどの導電性炭素材料を用いたり、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、又はこれらの誘導体など、いわゆる導電性高分子の範疇に含まれる材料を用いても良い。
【0018】
金属系材料と炭素系材料とを複合化したり、金属酸化物系材料と炭素系材料とを複合化したり、金属酸化物系材料と導電性高分子とを複合化して用いることもでき、この場合には、乾式ブレンドや湿式ブレンドなどの混合手段を採って調製すると良い。
【0019】
本発明に依る導電性塗料を構成する導電性成分の形状には制限がなく、粒状、板状、鱗片状、樹枝状、不定型状など任意の形状を採用することができ、また、そのサイズについては、0.01〔μm〕〜100〔μm〕程度とすることができるが、好ましくは0.1〔μm〕〜10〔μm〕の板状或いは鱗片状のものが使用される。
【0020】
前記導電性成分の表面は、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどの高導電性カーボンやファーネスブラック、チャネルブラックなどの色材用カーボン等の炭素系材料で被覆されても良い。
【0021】
本発明に依る導電性塗料には、光硬化性或いは電子線硬化性を付与する必要がある為、前記形状の導電性成分は充分に細かく分散し、光線或いは電子線を透過させることが肝要であるが、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム錫、酸化鉛など光透過性がある材料の場合はこの限りでない。
【0022】
本発明に依る導電性塗料を構成する結着成分としては、密着性、耐熱性、耐溶剤性、除去性を満足する各種樹脂材料を適用することができ、好ましくは、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィンポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、飽和ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブタジェン、酢酸セルロース、硝酸セルロースを使用し、更に好ましくは飽和共重合ポリエステル樹脂系を適用すると良く、また、高度の密着性や耐溶剤性を必要とする場合には、飽和共重合ポリエステル樹脂及びイソシアネート系化合物を配合して用いると良い。
【0023】
本発明に依る導電性塗料を構成する結着成分を光照射或いは電子線照射で硬化させる為の硬化剤としては、エチレン系不飽和基を有する物質を使用することができ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル酸などの不飽和エステル、ビニル化合物、アクリルアミド化合物など、光照射或いは電子線照射で活性となる化合物を広く用いることができる。
【0024】
前記硬化剤は、1分子中に上記反応基を最低1個必要とするが、場合に依っては2個以上であっても良く、また、反応基以外の分子構造は、所望の硬化剤の物性に合わせて適宜に変えることができる。
【0025】
本発明に依る導電性塗料を構成する結着成分として特に好ましいとした前掲の飽和共重合ポリエステル樹脂は、少なくとも1種の多価カルボン酸と多価アルコール類とから合成される共重合ポリエステル樹脂であって、特定の溶剤に少なくとも20〔重量%〕以上溶解し、室温に於いて均一且つ透明な溶液として生成される。
【0026】
飽和共重合ポリエステル樹脂の原料として使用される飽和多価カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸ドデカンジオン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸などの脂肪族又は脂環族ジカルボン酸、また、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホフタル酸などのスルホン酸金属塩基含有芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0027】
芳香族ジカルボン酸成分としては、特にテレフタル酸やイソフタル酸などを用いることが好ましく、飽和多価カルボン酸成分の20〔モル%〕〜100〔モル%〕、好ましくは40〔モル%〕〜100〔モル%〕が使用される。
【0028】
芳香族ジカルボン酸成分の飽和多価カルボン酸成分に占める割合が20〔モル%〕未満の場合には耐水性、接着性、塗膜強度などの点で良好な組成物は得られない。
【0029】
また、スルホン酸金属塩基含有芳香族ジカルボン酸は、接着性や導電性微粒子分散性の向上に有用であり、飽和多価カルボン酸成分の0.5〔モル%〕〜20〔モル%〕、好ましくは1.0〔モル%〕〜10〔モル%〕の範囲で共重合することも可能である。
【0030】
飽和多価カルボン酸成分としては、前記の化合物の他にトリメリット酸、ピロメリット酸等の3官能以上の多価カルボン酸を併用することも可能であり、その場合には10〔モル%〕以下であることが望ましい。
【0031】
多価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ以上のポリエチレングリコール、ジブロピレングリコール、トリ以上のポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、ジブロモネオペンチルグリコールなどのハロゲン化アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフエノールAのエチレンオキシド或いはプロピレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これ等のグリコール成分は単独で用いても良いし、また、併用しても良い。
【0032】
多価アルコール成分としては、前記グリコール成分の他、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリゾールなどの3価以上の多価アルコールを10〔モル%〕以下の量で併用することもできる。
【0033】
前記飽和多価カルボン酸及び多価アルコールの他、必要に応じて、1価カルボン酸や1価アルコールを少量併用することができる。
【0034】
本発明で用いる結着成分として特に好ましい飽和共重合ポリエステル樹脂を製造する方法について特に制限はなく、エステル交換法、直接エステル化法などの方法が用いられ必要に応じ、テトラ−n−ブチルチタレートシュウ酸第1錫、酢酸亜鉛と三酸化アンチモンなど公知の触媒が使用される。
【0035】
前記飽和共重合ポリエステル樹脂の分子量は2000〜25000であり、後記する溶剤に可溶であることが必要であり、溶剤への溶解性を満足する飽和共重合ポリエステル樹脂の好ましい成分を例示すると、酸成分として、テレフタル酸とイソフタル酸の二成分系、テレフタル酸とイソフタル酸とアジピン酸の三成分系、テレフタル酸とアジピン酸の二成分系、テレフタル酸とセバシン酸の二成分系、テレフタル酸とイソフタル酸とセバシン酸の三成分系などがあり、また、前記のスルホン酸金属塩基含有芳香族ジカルボン酸を共重合する場合もあり、その場合、多価カルボン酸成分は三成分系以上となる。
【0036】
多価アルコール成分としては、エチレングリコールとプロピレングリコールの二成分系、エチレングリコールと1,6−ヘキサンジオールの二成分系、エチレングリコールとネオペンチルグリコールの二成分系などがある。
【0037】
飽和共重合ポリエステル樹脂の溶剤への溶解性は、その飽和共重合ポリエステル樹脂の酸価や分子量に依っても大きな影響を受けるので、分子量は2000〜25000の範囲にあることが必要であり、酸価は10以下であることが好ましい。
【0038】
また、この飽和共重合ポリエステルに関するガラス転移温度としては、耐熱性の点からして、20〔℃〕以上、好ましくは40〔℃〕以上の樹脂を用いることが好ましい。
【0039】
本発明に依る導電性塗料を構成する結着成分を光照射或いは電子線照射に依存することなく硬化させる為の硬化剤であるブロックイソシアネート化合物に使用するイソシアネート化合物としては、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、これ等のイソシアネート化合物とポリヒドロキシ化合物又はポリアミン化合物とから得られる末端イソシアネートプレポリマー乃至高分子量のイソシアネート基含有ポリマーなどがある。
【0040】
ブロックイソシアネート化合物に使用する芳香族イソシアネート化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、4−4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などが、そして、脂肪族イソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキサン2,4−(2,6)−ジイソシアネート(水素化TDI)、4−4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水素化MDI)、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水素化XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、N,N′,N″−トリス(6−イソシアネートヘキサメチレン)ビウレットなどがある。
【0041】
更にまた、前記した末端イソシアネートプレポリマー、及びポリマーを得る為に使用する低分子量ポリヒドロキシ化合物としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが代表的なものであるが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンアジペート・グリコール、ポリプロピレンアジペート・グリコール、或いは大豆油、菜種油、イワシ油のような動植物油などもまた同時に使用することができる。
【0042】
前記したプレポリマー及びポリマーを得る為に用いられるポリアミン化合物としては、エチレンジアミン或いはヘキサメチレンジアミンなどが代表的なものとして挙げられる。
【0043】
前記イソシアネート化合物のブロック化剤としては、例えばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類、フェノール、クロルフェノール、クレゾール、キシレノール、p−ニトロフェノールなどのフェノール類、p−t−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミノフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノールなどのアルキルフェノール類、3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキナルジンなどの塩基性窒素含有化合物、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン化合物、アセトアミド、アクリルアミド、アセトアニリド、などの酸アミド類、コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどの酸イミド類、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、2−ピロリドン、ε−カプロラクタムなどのラクタム類、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトアルドオキシムなどのケトンまたはアルデヒドのオキシム類、エチレンイミン、重亜硫酸塩など種々のものを挙げることができ、これらの何れ1種、または2種以上の混合物を用いるが、熱解離性化合物のうち、貯蔵の安定性、硬化性から見て、ラクタム類、オキシム類が好ましく、特にε−カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムが好ましい。
【0044】
硬化剤であるイソシアネート化合物として、前掲の如き各種のイソシアネート化合物のブロック化化合物を用いることができのであるが、毒性の問題からすれば、トリイソシアネート以上のポリイソシアネートに変性したものを使用することが好ましく、例えばトリメチロールプロパンの1〔モル〕にジイソシアネートの3〔モル〕を付加したポリイソシアネートのブロック体又はビウレット構造を有するポリイソシアネートのブロック体などが一般的である。
【0045】
前記飽和共重合ポリエステル樹脂とブロックイソシアネート化合物の配合量はブロックイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基(NCO)と飽和共重合ポリエステル樹脂に含まれる水酸基(OH)とカルボキシル基(COOH)との当量比(NCO)/(OH)+(COOH)が0.3/1〜10/1が好ましく、更に好ましくは1.2/1〜5/1である。
【0046】
(NCO)/(OH)+(COOH)が0.3/1より小さいと耐屈曲性が著しく低下し、又、基材に対する接着性が低下し、10/1よりも大きいと硬化性が低下すると共に環境特性が悪くなる。
【0047】
本発明の導電性塗料で用いる溶媒には、エステル系、ケトン系、エーテルエステル系、塩素系、アルコール系、エーテル系、炭化水素系などの有機溶媒を使用することができる。
【0048】
これ等のうち、好適な溶剤として、例えばエステル系溶剤では酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどがあり、また、ケトン系溶剤ではメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルアミルケトン、エチルアミルケトン、イソブチルケトン、メトキシメチルペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロンなどがあり、更にまた、エーテルエステル系溶剤としては酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルカルビトール、酢酸エチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトールなどがある。
【0049】
本発明に於いて、イソシアネート基とカルボキシル基や水酸基との反応を促進させる必要がある場合は反応促進剤の添加が有効であり、その代表的なものとして、オクテン酸亜鉛、オクテン酸コバルトの如き有機酸金属塩、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチレンジアミンのような第3級アミン類、ジブチルチンオキサイド、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、フエニルチントリクロライド、テトラフエニルチン、テトラブチル−1,3−ジアセトジスタノキサン、ヘキサブチルジスタノキサンの如き有機錫化合物がある。
【0050】
前記反応促進剤の添加量としては、本発明の導電性塗料に於いて、0.001〔重量%〕〜5〔重量%〕、好ましくは0.01〔重量%〕〜3〔重量%〕の範囲が適当である。
【0051】
本発明の導電性塗料には、必要に応じてカップリング剤を添加しても良く、その代表的なものとして、有機チタネート化合物であるチタニウムジ(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテート、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネートなどを、そして、シラン系カップリング剤としてγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、更に、アルミネート系カップリング剤としてアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどを挙げることができる。
【0052】
更に本発明の導電性塗料には、レベリング剤、消泡剤、分散安定剤、揺変剤などの添加剤を添加することは任意に実施して良い。
【0065】
【発明の効果】
本発明に依る電子装置或いは電子素子の保護方法及び該方法の実施に用いる導電性被膜用組成物に於いては、導電性被膜用組成物を用いて電子装置或いは電子素子の表面に成膜して静電障害や電磁波障害からの保護を行い、その後、静電障害や電磁波障害からの保護が不要となった時点で該導電性被膜用組成物からなる被膜を除去する。
【0066】
前記構成を採ることに依り、電子装置或いは電子素子などの保護対象物に於ける保護を必要とする領域に一時的に導電性被膜が形成され、ESDやEMIの影響は有効に抑止され、そして、その影響が無くなった段階で該導電性被膜は除去されるので、導電性被膜がノイズを輻射或いは吸収して信号を擾乱するなどの問題は解消される。

Claims (5)

  1. 電子装置或いは電子素子を静電障害や電磁波障害から保護しなければならない段階で、少なくとも結着成分と金属材料、金属酸化物材料、炭素系材料から選択された一以上の材料の微粒子からなる導電性成分と硬化剤とを含んでなる導電性被膜用組成物を前記電子装置或いは電子素子の表面に成膜して静電障害や電磁波障害からの保護を行い、
    前記静電障害や電磁波障害からの保護が不要となった段階で該導電性被膜用組成物からなる被膜を除去すること
    を特徴とする電子装置或いは電子素子の保護方法。
  2. 前記結着成分は特定の溶剤にのみ選択的に溶解可能な材料からなること
    を特徴とする請求項1記載の電子装置或いは電子素子の保護方法。
  3. 前記硬化剤は光或いは電子線などの粒子線の照射で前記結着成分を硬化させるものであること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置或いは電子素子の保護方法。
  4. 前記硬化剤がエチレン性不飽和基を含んでなること
    を特徴とする請求項記載の電子装置或いは電子素子の保護方法。
  5. 前記結着成分がアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、飽和ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブタジエン、酢酸セルロース、硝酸セルロースのうちの1以上の樹脂が含まれてなること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子装置或いは電子素子の保護方法。
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