JP4462891B2 - 電磁波吸収用塗料組成物、電磁波吸収性ハウジング及び電磁波吸収用フィルム又はシート - Google Patents

電磁波吸収用塗料組成物、電磁波吸収性ハウジング及び電磁波吸収用フィルム又はシート Download PDF

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本発明は電磁波吸収用の塗料組成物及びその製造方法に関し、特に、電子機器、電気製品などのような電磁波を放出する装置のハウジングの内壁または外壁又はその両方に塗布することにより、前記装置から発生する電磁波を効果的に減少させ得る電磁波吸収用の塗料組成物、該塗料から得られる電磁波吸収用塗膜、該電磁波吸収用塗料を塗装してなる電磁波吸収性ハウジングに関するものである。また、本発明は、電磁波吸収用のフィルムまたはシートにも関する。
現在、ハンドフォン、無線呼出器、コンピュータ、携帯電話、ヘアドライヤー、テレビジョン等の電子機器、ヘアドライヤー、真空掃除機、加湿器、冷蔵庫、IH調理器、洗濯機等の電気製品、自動車の電気装置などのような各種の電気・電子機器が日常生活に用いられている。
このような電気を使用する装置は我々の生活に必須であるが、これらほぼ全ての装置が電磁波を発生する。前記電気を使用する装置から発生される電磁波が前記装置を利用する人間の体に悪影響を及ぼすことは周知のことである。従って、かかる電磁波を吸収する工夫が要請されている。
かかる電磁波吸収の目的で、電子機器、電気製品などを構成する筺体ないしハウジングの内壁又は外壁に電磁波吸収塗料をコーティングすることが行われている。かかる電磁波吸収塗料として、例えば、酸化鉄(Fe2 3 )59〜79重量%、酸化ニッケル(NiO)3〜8重量%、酸化亜鉛(ZnO)15〜25重量%、酸化銅(CuO)3〜8重量%で構成された粉末原料と、前記粉末原料100重量部に対して、水30〜50重量部、分散剤0.2〜0.6重量部、可塑剤0.5〜1.0重量部及び潤滑剤0.1〜0.4重量部とで構成されたセラミックス組成物45〜65重量部と、アクリル樹脂7〜12重量部と、有機溶媒(ソルベント)20〜40重量部と、添加剤3〜8重量部とで構成されることを特徴とする電磁波吸収用の塗料組成物が知られている(特許文献1参照)。
しかし、この塗料組成物は、多種類の成分を必要とするので組成が複雑である等の点で更に改善が求められている。
また、被膜形成性成分に、カーボンナノチューブおよびカーボンマイクロコイルのいずれか一方又は双方を配合したことを特徴とする機能性コーティング剤組成物が、所望の厚さで均一に容易に塗布し得て、均一で堅牢な被膜を容易に形成することができて、かつ優れた抵抗発熱性、静電気防止性、電磁波シールド性、電界シールド性等の諸機能を備えていることが開示されている(特許文献2参照)。
しかし、この機能性コーティング剤組成物は、カーボンナノチューブ等の被膜形成成分中への分散性、塗膜の基材に対する密着性等の向上が更に要請されている。
特開平11−60993号公報(請求項1) 特開2000−26760号公報(請求項1,段落0001)
本発明は、塗膜の基材への密着性が高く、且つ、良好な電磁波吸収特性を有する電磁波吸収用塗料を提供することを課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、強磁性物質を内包するナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種が皮膜形成性成分への分散性が良好であり、塗膜の基材への密着性が高く、且つ、良好な電磁波吸収特性を有する電磁波吸収性塗料を得るのに適していることを見いだした。
本発明は、かかる知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の電磁波吸収用塗料、該塗料から得られる電磁波吸収塗膜及び該電磁波吸収用塗料を塗装してなる電磁波吸収性ハウジングを提供するものである。
項1 (A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種、(B)樹脂及び(C)有機溶媒を含有する電磁波吸収用塗料。
項2 (A)成分が、強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブである項1に記載の電磁波吸収用塗料。
項3 (A)成分である強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブが、
(i) 多層カーボンナノチューブと、鉄、ニッケル、コバルト及びこれらの合金からなる群から選ばれる強磁性物質からなり、該多層カーボンナノチューブのチューブ内空間部の99%以上が該強磁性物質により充填されている強磁性物質−多層カーボンナノチューブ複合体であるか、または、
(ii) (a) ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル、コバルト及び該金属の合金からなる群から選ばれる強磁性物質とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、(b)の強磁性物質が充填されている強磁性物質−炭素複合体であるか、または、
(iii)上記(i)及び(ii)の混合物である
ことを特徴とする項2に記載の電磁波吸収用塗料。
項4 強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブの飽和磁化が1〜100emu/gであることを特徴とする項1又は2に記載の電磁波吸収用塗料。
項5 (A)成分が、アモルファスナノスケールカーボンチューブである項1に記載の電磁波吸収用塗料。
項6 (B)成分の樹脂が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である項1に記載の電磁波吸収用塗料。
項7 (C)成分の有機溶媒が、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ヘプタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選ばれた少なくとも1種である項1〜6のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料。
項8 (A)成分100重量部当たり、(B)成分の樹脂の量が25〜550重量部であり、(C)成分の有機溶媒の量が25〜1000重量部である項1に記載の電磁波吸収用塗料。
項9 項1〜8のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料を、被塗物にスプレーガン、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーまたはハケを用いて塗装する電磁波吸収用塗膜の形成方法。
項10 項1〜8のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料から得られる電磁波吸収用塗膜。
項11 項1〜8のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料を、電磁波を発生する電子機器又は電気製品のハウジングの内壁及び外壁のいずれか一方又は両方に塗装してなる電磁波吸収性ハウジング。
項12 (A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種、及び(B)樹脂を含有する樹脂組成物を成形してなる電磁波吸収用フィルム又はシート。
項13 (A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種、及び(B)樹脂を含有する樹脂組成物を成形してなる電磁波吸収用ハウジング。
本発明によると、有無線通信機器類、家庭用電気機器類、放送用機器類、医療機器類、事務自動化用機器類、電気配線機器類、電気モータ類、自動車の電気部品類などのような電磁波を放出する各種の電気・電子装置のハウジングの内壁または外壁に、本発明の電磁波吸収用の塗料組成物を簡単にコーティングすることにより、前記装置から外部に放出される電磁波を人体に害を及ばさないほど充分に減少させ得る。
また、本発明の電磁波吸収用の塗料組成物を使用することにより、人体に及ぼす電磁場及び電磁波の非吸収率を減少させ得るだけでなく、EMC(ElectroMagnetic Compatibility)、EMI(ElectroMagnetic Immunity)などの機器間の干渉及びノイズを減少させ得る。
また、本発明の電磁波吸収用の塗料組成物は測定用の遮蔽室を遮蔽させる用途としても使用可能であり、実験室で着用する衣類及びアクセサリーに噴霧塗布して電磁波を吸収する用途としても使用可能であり、通信線及び送配電線などのような遮蔽ケーブルに噴霧または粉末圧出などのような方式に塗布され電磁波の発生を減少させる用途としても使用でき得る。
また、本発明による電磁波吸収用の塗料は、壁紙、タイル、ペイントなどのような建築資材にも適用でき得る。
強磁性物質を内包するナノスケールカーボンチューブ
本明細書において、「ナノスケールカーボンチューブ」とは、外径がナノサイズ、即ち、1000nm未満、特に500nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは100nm以下のサイズのチューブであって、カーボンからなるチューブである。
本発明で使用する強磁性物質を内包するナノスケールカーボンチューブとしては、鉄、ニッケル、コバルト、これらの合金等の強磁性物質を、そのチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブである。
かかる強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブとしては、特に、次の複合体が好ましく使用できる。
(i) 多層カーボンナノチューブと、鉄、ニッケル、コバルト及びこれらの合金からなる群から選ばれる強磁性物質からなり、該カーボンナノチューブのチューブ内空間部の99%以上が該強磁性物質により充填されている強磁性物質−カーボンナノチューブ複合体、又は、
(ii) (a) ナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるナノスケールカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル、コバルト及び該金属の合金からなる群から選ばれる強磁性物質とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、(b)の強磁性物質が充填されている強磁性物質−炭素複合体、又は、
(iii)上記(i)及び(ii)の混合物。
以下、これら(i)および(ii)について説明する。
(i) 強磁性物質−多層カーボンナノチューブ複合体
上記(i)の強磁性物質−多層カーボンナノチューブ複合体は、例えば、本願出願人の出願に係る特開2001−89116号に記載されているもの等が使用できるが、これらに限定されず、他の同種のものがいずれも使用可能である。
上記特開2001−89116号に記載の強磁性物質−カーボンナノチューブ複合体は、カーボンナノチューブとそのチューブ内空間部(即ち、チューブ壁で囲まれた空間)の99%以上が、特に全体が強磁性物質により充填されている。
該複合体の壁部を構成するカーボンナノチューブは、硬度に発達したグラファイト構造の多層カーボンナノチューブである。また、該複合体のチューブ内空間部には、その全体にわたって強磁性物質が充填されている。即ち、強磁性物質は、該チューブ内空間部の99%以上、特に100%の範囲に、充填されている。
チューブ内空間部の全体を充填する強磁性物質としては、鉄、ニッケル、コバルト、及びこれらを含む合金が例示できる。
該合金としては、鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれる2種以上の金属からなる合金、例えば、鉄−ニッケル合金、鉄−ニッケル−コバルト合金等を例示できる。
チューブ内空間部を充填している金属(合金)は、高度に発達した結晶状態で存在している。
かかる強磁性物質−カーボンナノチューブ複合体は、 上記特開2001−89116号に記載の方法に従って、(1)ハロゲン化鉄、(2)ハロゲン化鉄及び他の金属のハロゲン化物(ハロゲン化コバルト、ハロゲン化ニッケル等)、(3)ハロゲン化ニッケル、(4)ハロゲン化ニッケルと他の金属のハロゲン化物(例えば、ハロゲン化コバルト、ハロゲン化鉄等)と、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタン、エチレン、プロピレン等の有機化合物とを、非酸化雰囲気下で500℃以上、特に600〜3000℃程度の温度下で、0.1〜5時間程度加熱することにより、製造される。
(ii)の強磁性物質−炭素複合体
上記(i)の強磁性物質−カーボンナノチューブ複合体は、強磁性物質がそのチューブ内空間部の100%の範囲に完全に充填されているものであるのに対して、(ii)の強磁性物質−炭素複合体は、強磁性物質がそのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に充填されている(即ち、部分的に充填されている)ことを特徴とするものである。
さらに、壁部を構成するナノスケールカーボンチューブは、入れ子状(同心円筒状)のマルチウォールカーボンナノチューブ、スクロール状のマルチウォールカーボンナノチューブ、或いは、パッチワーク状ないし張り子状(いわゆるpaper mache状)のナノフレークカーボンチューブのいずれであってもよい。
本明細書において、「ナノフレークカーボンチューブ」とは、フレーク状の黒鉛シートが複数枚(通常は多数)パッチワーク状ないし張り子状(paper mache状)に集合して構成されている、黒鉛シートの集合体からなる炭素製チューブを指す。
このナノフレークカーボンチューブは、一枚の黒鉛シートが円筒状に閉じた単層カーボンナノチューブ(シングルウォールカーボンナノチューブ)や複数枚の黒鉛シートがそれぞれ円筒状に閉じて同心円筒状ないし入れ子状となっている多層カーボンナノチューブ(マルチウォールカーボンナノチューブ)とは全く構造の異なるチューブ状炭素材である。
また、チューブ内空間部に内包される金属は、一種類の金属であっても合金であってもよい。チューブ内空間部に内包される金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、の他に白金、ルテニウム、パラジウム、銅、マンガン、クロム、鉛、亜鉛、モリブデン、アルミ、チタン、ニオブ、タンタル等が例示できる。
また、チューブ内空間部に内包される合金としては、上記金属の2種以上からなる合金、例えば、鉄-ニッケル合金、鉄-コバルト合金、ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル-コバルト合金等の金属同士の合金を例示できる。また、鉄、ニッケル、コバルト等の金属又はこれら金属の合金に炭素が含まれた合金、又は、炭化鉄、炭化ニッケル、炭化コバルト等も例示できる。
本発明で使用する金属内包カーボンチューブは、(a)ナノフレークカーボンチューブ及び多層カーボンナノチューブからなる群から選ばれるカーボンチューブと(b)内包金属又は合金(特に鉄又は炭化鉄)とからなるものであり、該カーボンチューブ内空間部(即ち、チューブ壁で囲まれた空間)の実質上全てが充填されているのではなく、該空間部の一部、より具体的には10〜90%程度、特に30〜80%程度、好ましくは40〜70%程度が内包金属又は合金(特に炭化鉄又は鉄)により充填されている。
以下、炭化鉄又は鉄を内包するカーボンチューブを鉄−炭素複合体という。かかる鉄−炭素複合体は、特開2002−338220号公報に記載されており、
(1)不活性ガス雰囲気中、圧力を10-5Pa〜200kPaに調整し、反応炉内の酸素濃度を、反応炉容積をA(リットル)とし酸素量をB(Ncc)とした場合の比B/Aが1×10-10〜1×10-1となる濃度に調整して、反応炉内でハロゲン化鉄を600〜900℃まで加熱する工程、及び
(2)上記反応炉内を不活性ガス雰囲気とし、圧力を10-5Pa〜200kPaに調整し、熱分解性炭素源を導入して600〜900℃で加熱処理を行う工程
を包含する製造方法により得られる。
以下本発明の鉄又は炭化鉄内包カーボンチューブ(鉄−炭素複合体)について説明する。
本発明の鉄−炭素複合体においては、炭素部分は、製造工程(1)及び(2)を行った後、特定の速度で冷却するとナノフレークカーボンチューブとなり、製造工程(1)及び(2)を行った後、不活性気体中で加熱処理を行い、特定の冷却速度で冷却することにより、入れ子構造の多層カーボンナノチューブとなる。
<(a-1) ナノフレークカーボンチューブ>
本発明のナノフレークカーボンチューブと炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体は、典型的には円柱状であるが、そのような円柱状の鉄−炭素複合体(後述の製造例1で得られたもの)の長手方向にほぼ垂直な断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図6に示し、側面のTEM写真を図2に示す。
また、図7の(a-1)にそのような円柱状のナノフレークカーボンチューブのTEM像の模式図を示す。図7の(a-1)において、100は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像を模式的に示しており、200は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像を模式的に示している。
本発明の鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブは、図6及び図7の(a-1)の200から明らかなように、その長手方向にほぼ垂直な断面をTEM観察した場合、多数の弧状グラフェンシート像が多層構造のチューブ状に集合しているが、個々のグラフェンシート像は、例えば210、214に示すように、完全に閉じた連続的な環を形成しておらず、途中で途切れた不連続な環を形成している。一部のグラフェンシート像は、211に示すように、分岐している場合もある。不連続点においては、一つの不連続環を構成する複数の弧状TEM像は、図7の(a-1)の222に示すように、層構造が部分的に乱れている場合もあれば、223に示すように隣接するグラフェンシート像との間に間隔が存在している場合もあるが、TEMで観察される多数の弧状グラフェンシート像は、全体として、多層状のチューブ構造を形成している。
また、図2及び図7の(a-1)の100から明らかなように、ナノフレークカーボンチューブの長手方向をTEMで観察した場合、多数の略直線状のグラフェンシート像が本発明の鉄−炭素複合体の長手方向にほぼ並行に多層状に配列しているが、個々のグラフェンシート像110は、鉄−炭素複合体の長手方向全長にわたって連続しておらず、途中で不連続となっている。一部のグラフェンシート像は、図7の(a-1)の111に示すように、分岐している場合もある。また、不連続点においては、層状に配列したTEM像のうち、一つの不連続層のTEM像は、図7の(a-1)の112に示すように、隣接するグラフェンシート像と少なくとも部分的に重なり合っている場合もあれば、113に示すように隣接するグラフェンシート像と少し離れている場合もあるが、多数の略直線状のTEM像が、全体として多層構造を形成している。
かかる本発明のナノフレークカーボンチューブの構造は、従来の多層カーボンナノチューブと大きく異なっている。即ち、図7の(a-2)の400に示すように、入れ子構造の多層カーボンナノチューブは、その長手方向に垂直な断面のTEM像が、410に示すように、完全な円形のTEM像となっている同心円状のチューブであり、且つ、図7の(a-2)の300に示すように、その長手方向の全長にわたって連続する直線状グラフェンシート像310等が平行に配列している構造(同心円筒状ないし入れ子状の構造)である。
以上より、詳細は未だ完全には解明されていないが、本発明の鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブは、フレーク状のグラフェンシートが多数パッチワーク状ないし張り子状に重なり合って全体としてチューブを形成しているようにみえる。
このような本発明のナノフレークカーボンチューブとそのチューブ内空間部に内包された炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体は、特許第2546114号に記載されているような入れ子構造の多層カーボンナノチューブのチューブ内空間部に金属が内包された複合体に比し、カーボンチューブの構造において大きく異なっており、従来知られていなかった新規な炭素材料である。
本発明の鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブをTEM観察した場合において、その長手方向に配向している多数の略直線状のグラフェンシート像に関し、個々のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。即ち、図7の(a-1)の100に示されるように、110で示される略直線状のグラフェンシートのTEM像が多数集まってナノフレークカーボンチューブの壁部のTEM像を構成しており、個々の略直線状のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。
このように、鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブの最外面を構成する炭素網面の長さは、500nm以下であり、特に2〜500nm、特に10〜100nmである。
本発明の鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブの壁部の炭素部分は、上記のようにフレーク状のグラフェンシートが多数長手方向に配向して全体としてチューブ状となっているが、X線回折法により測定した場合に、炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するものである。
また、本発明の鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブからなる壁部の厚さは、49nm以下、特に0.1〜20nm程度、好ましくは1〜10nm程度であって、全長に亘って実質的に均一である。
<(a-2) 入れ子構造の多層カーボンナノチューブ>
前記のように、工程(1)及び(2)を行った後、特定の加熱工程を行うことにより、得られる鉄−炭素複合体を構成するカーボンチューブは、入れ子構造の多層カーボンナノチューブとなる。
こうして得られる入れ子構造の多層カーボンナノチューブは、図7の(a-2)の400に示すように、その長手方向に垂直な断面のTEM像が完全な円を構成する同心円状のチューブであり、且つ、その長手方向の全長にわたって連続したグラフェンシート像が平行に配列している構造(同心円筒状ないし入れ子状の構造)である。
本発明の鉄−炭素複合体を構成する入れ子構造の多層カーボンナノチューブの壁部の炭素部分は、X線回折法により測定した場合に、炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するものである。
また、本発明の鉄−炭素複合体の入れ子構造の多層カーボンナノチューブからなる壁部の厚さは、49nm以下、特に0.1〜20nm程度、好ましくは1〜10nm程度であって、全長に亘って実質的に均一である。
<(b)内包されている炭化鉄又は鉄>
本明細書において、上記カーボンチューブ内空間部の炭化鉄又は鉄による充填率(10〜90%)は、本発明で使用する鉄−炭素複合体を透過型電子顕微鏡で観察し、各カーボンチューブの空間部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の像の面積に対する、炭化鉄又は鉄が充填されている部分の像の面積の割合である。
炭化鉄又は鉄の内包形態は、カーボンチューブ内空間部に連続的に内包されている形態、カーボンチューブ内空間部に断続的に内包されている形態等があるが、基本的には断続的に内包されている。従って、本発明の鉄−炭素複合体は、金属内包炭素複合体ないし鉄化合物内包炭素複合体、炭化鉄又は鉄内包炭素複合体とも言うべきものである。
また、本発明の鉄−炭素複合体に内包されている炭化鉄又は鉄は、カーボンチューブの長手方向に配向しており、結晶性が高く、炭化鉄又は鉄が充填されている範囲のTEM像の面積に対する、結晶性炭化鉄又は鉄のTEM像の面積の割合(以下「結晶化率」という)は、一般に、90〜100%程度、特に95〜100%程度である。
内包されている炭化鉄又は鉄の結晶性が高いことは、本発明鉄−炭素複合体の側面からTEM観察した場合、内包物のTEM像が格子状に配列していることから明らかであり、電子線回折において明確な回折パターンが得られることからも明らかである。
また、本発明の鉄−炭素複合体に炭化鉄又は鉄が内包されていることは、電子顕微鏡、EDX(エネルギー分散型X線検出器)により容易に確認することができる。
<鉄−炭素複合体の全体形状>
本発明の鉄−炭素複合体は、湾曲が少なく、直線状であり、壁部の厚さが全長に亘ってほぼ一定の均一厚さを有しているので、全長に亘って均質な形状を有している。その形状は、柱状で、主に円柱状である。
本発明による鉄−炭素複合体の外径は、通常、1〜100nm程度、特に1〜50nm程度の範囲にあり、好ましくは1〜30nm程度の範囲にあり、より好ましくは10〜30nm程度の範囲にある。チューブの長さ(L)の外径(D)に対するアスペクト比(L/D)は、5〜10000程度であり、特に10〜1000程度である。
本発明の鉄−炭素複合体の形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。即ち、透過型電子顕微鏡により本発明の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を200〜2000nm四方の範囲で観察し、像の長さをWとし、該像を直線状に伸ばした時の長さをWoとした場合に、比W/Woが、0.8以上、特に、0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
本発明の鉄−炭素複合体は、バルク材料としてみた場合、次の性質を有する。即ち、本発明では、上記のようなナノフレークカーボンチューブ及び入れ子構造の多層カーボンナノチューブから選ばれるカーボンチューブのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に鉄または炭化鉄が充填されている鉄−炭素複合体は、顕微鏡観察によりかろうじて観察できる程度の微量ではなく、多数の該鉄−炭素複合体を含むバルク材料であって、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料、或いは、炭化鉄又は鉄内包炭素質材料ともいうべき材料の形態で大量に得られる。
後述の製造例1で製造されたナノフレークカーボンチューブとそのチューブ内空間に充填された炭化鉄からなる本発明炭素質材料の電子顕微鏡写真を、図3に示す。
図3から判るように、本発明の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料においては、基本的にはほとんど全ての(特に99%又はそれ以上の)カーボンチューブにおいて、その空間部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の10〜90%の範囲に炭化鉄又は鉄が充填されており、空間部が充填されていないカーボンチューブは実質上存在しないのが通常である。但し、場合によっては、炭化鉄又は鉄が充填されていないカーボンチューブも微量混在することがある。
また、本発明の炭素質材料においては、上記のようなカーボンチューブ内空間部の10〜90%に鉄または炭化鉄が充填されている鉄−炭素複合体が主要構成成分であるが、本発明の鉄−炭素質複合体以外に、スス等が含まれている場合がある。そのような場合は、本発明の鉄−炭素質複合体以外の成分を除去して、本発明の炭素質材料中の鉄−炭素質複合体の純度を向上させ、実質上本発明の鉄−炭素複合体のみからなる炭素質材料を得ることもできる。
また、従来の顕微鏡観察で微量確認し得るに過ぎなかった材料とは異なり、本発明の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料は大量に合成できるので、その重量を容易に1mg以上とすることができる。後述する本発明製法をスケールアップするか又は何度も繰り返すことにより本発明の該材料は無限に製造できる。一般には、本発明の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料は、反応炉容積1リットル程度の実験室レベルであっても、1mg〜100g程度、特に10〜1000mg程度の量であれば容易に提供できる。
本発明炭素質材料は、該炭素質材料1mgに対して25mm2以上の照射面積で、CuKαのX線を照射した粉末X線回折測定において、内包されている鉄または炭化鉄に帰属される40°<2θ<50°のピークの中で最も強い積分強度を示すピークの積分強度をIaとし、カーボンチューブの炭素網面間の平均距離(d002)に帰属される26°<2θ<27°のピークの積分強度Ibとした場合に、IaのIbに対する比R(=Ia/Ib)が、0.35〜5程度、特に0.5〜4程度であるのが好ましく、より好ましくは1〜3程度である。
本明細書において、上記Ia/Ibの比をR値と呼ぶ。このR値は、本発明の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を、X線回折法において25mm2以上のX線照射面積で観察した場合に、炭素質材料全体の平均値としてピーク強度が観察されるために、TEM分析で測定できる1本の鉄−炭素複合体における内包率ないし充填率ではなく、鉄−炭素複合体の集合物である炭素質材料全体としての、炭化鉄又は鉄充填率ないし内包率の平均値を示すものである。
尚、多数の本発明鉄−炭素複合体を含む炭素質材料全体としての平均充填率は、TEMで複数の視野を観察し、各視野で観察される複数の鉄−炭素複合体における炭化鉄又は鉄の平均充填率を測定し、更に複数の視野の平均充填率の平均値を算出することによっても求めることができる。かかる方法で測定した場合、本発明の鉄−炭素複合体からなる炭素質材料全体としての炭化鉄又は鉄の平均充填率は、10〜90%程度、特に40〜70%程度である。
本発明の鉄−炭素複合体及びそれを含む炭素質材料の製造方法>
本発明の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料は、
(1)不活性ガス雰囲気中、圧力を10-5Pa〜200kPaに調整し、反応炉内の酸素濃度を、反応炉容積をA(リットル)とし酸素量をB(Ncc)とした場合の比B/Aが1×10-10〜1×10-1となる濃度に調整して、反応炉内でハロゲン化鉄を600〜900℃まで加熱する工程、及び
(2)上記反応炉内を不活性ガス雰囲気とし、圧力を10-5Pa〜200kPaに調整し、熱分解性炭素源を導入して600〜900℃で加熱処理を行う工程
を包含する製造方法により得られる。
ここで、酸素量Bの単位である「Ncc」は、気体の25℃での標準状態に換算したときの体積(cc)という意味である。
内包される炭化鉄又は鉄の供給源であり、かつ触媒としての機能をも発揮するハロゲン化鉄としては、弗化鉄、塩化鉄、臭化鉄等が例示できるが、これらのうちでも塩化鉄が好ましい。塩化鉄としては、例えば、FeCl2、FeCl3、FeCl2・4H2O及びFeCl3・6H2O等が例示され、これらの少なくとも1種が使用される。これら触媒の形状は特に限定されないが、通常は、粉末状、例えば平均粒子径が1〜100μm程度、特に1〜20μm程度の粉末状で使用するかあるいは気体状で使用するのが好ましい。
熱分解性炭素源としては、種々の有機化合物が使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭素数6〜12の芳香族炭化水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン等の炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレン等の炭素数2〜5の不飽和脂肪族炭化水素などの有機化合物が挙げられる。液状の有機化合物は、通常、気化させて用いる。これらの中でも、ベンゼン、トルエンなどが好ましい。
本発明で使用する反応装置としては、例えば、図1に示すような装置を例示できる。図1の装置においては、反応炉1は石英管、アルミナ管、カーボン管等からなる反応炉であり、加熱装置2を備えている。反応炉にはガス導入口(図示せず)と真空に吸引するためのガス吸引口(図示せず)が備えられている。ハロゲン化鉄は、例えば、磁製ボート、ニッケルボート等のハロゲン化鉄仕込み皿に薄く広げて敷き詰める等して、反応炉内に配置する。
工程(1)
本発明の製造方法においては、まず、反応炉内において、上記触媒であるハロゲン化鉄を不活性ガス雰囲気中で、600〜900℃まで加熱する。
不活性ガスとしては、He、Ar、Ne、N2等のガスを例示できる。不活性ガス雰囲気中で触媒の加熱処理を行う際の反応炉内の圧力は、例えば、10-5Pa〜200kPa程度、特に0.1kPa〜100kPa程度とするのが好ましい。
加熱処理は、反応炉内の温度、特に触媒の温度が、工程(2)で使用する熱分解性炭素源の熱分解温度に達するまで行う。熱分解性炭素源の熱分解温度は、熱分解性炭素源の種類によっても異なるが、一般には、反応炉内の触媒の温度を600〜900℃程度、特に750〜900℃程度とするのが好ましい。
本発明者の研究によると、工程(1)の加熱時に、少量の酸素が存在するのが好ましい。大量の酸素を存在させると、ハロゲン化鉄が酸化鉄になってしまい、所望の複合体を得難い。従って、反応炉内の酸素濃度としては、反応炉容積をA(リットル)とし酸素量をB(Ncc)とした場合の比B/Aが1×10-10〜1×10-1、特に1×10-8〜5×10-3となる濃度とするのが好ましい。
この場合、酸素の導入方法としては、種々の方法を採用できるが、例えば、反応炉のガス導入口から、酸素5〜0.01%程度を含有するアルゴン等の不活性ガスからなる混合ガスを徐々に添加するのが好ましい。
工程(2)
次いで、本発明では、工程(2)として、工程(1)の加熱処理により600〜900℃に加熱されているハロゲン化鉄を含む反応炉内を、不活性ガス雰囲気とし、ガス導入口から熱分解性炭素源を導入して加熱処理を行う。
この工程(2)の加熱処理を行う際の圧力としては、10-5Pa〜200kPa程度、特に1kPa〜100kPa程度とするのが好ましい。また、工程(2)の加熱処理時の温度は、通常600℃以上であり、特に600〜900℃、好ましくは750〜900℃程度である。
熱分解性炭素源の導入方法としては、例えば、ベンゼン等の熱分解性炭素源にアルゴンガス等の不活性ガスをバブリングさせることにより、ベンゼン等の熱分解性炭素源を担持させた不活性ガスを調製し、該ガスを反応炉のガス導入口から少量ずつ導入すればよいが、この方法に限らず、他の方法を採用してもよい。ベンゼン等の該熱分解性炭素源を担持させた不活性ガスの供給速度は、広い範囲から選択できるが、一般には、反応炉容積1リットル当たり、0.1〜1000ml/min程度、特に1〜100ml/min程度となるような速度とするのが好ましい。その際に、必要であれば、Ar、Ne、He、窒素等の不活性ガスを希釈ガスとして導入してもよい。
ハロゲン化鉄と熱分解性炭素源との量的割合は、広い範囲から適宜選択すればよいが、ハロゲン化鉄100重量部に対し、熱分解性炭素源を10〜5000重量部程度、特に50〜300重量部程度とするのが好ましい。熱分解性炭素源である有機化合物の量的割合が増大する場合には、カーボンチューブの成長が十分に行われて、長寸法のカーボンチューブが得られる。
工程(2)の反応時間は、原料の種類、量などにより異なるので、特に限定されないが、通常0.1〜10時間程度、特に0.5〜2時間程度である。
上記工程(2)の加熱処理工程後、通常50〜2000℃/h程度、好ましくは70〜1500℃/h程度、より好ましくは100〜1000℃/h程度の速度で500℃まで冷却することによりナノフレークカーボンチューブとそのチューブ内空間部の10〜90%に充填されている炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体を生成させることができる。
また、工程(2)の加熱処理工程後、
(3)反応炉内を工程(2)の温度を維持したまま不活性気体で置換する工程、
(4)不活性気体で置換された反応炉内を950〜1500℃程度、好ましくは1200〜1500℃程度、より好ましくは1300〜1400℃程度に昇温する工程、
(5)昇温終点で終点温度を入れ子構造の多層カーボンナノチューブが生成するまで維持する工程、及び
(6)反応炉を、50℃/h以下程度、好ましくは5〜40℃/h程度、より好ましくは10〜30℃/h程度の速度で冷却する工程
を行うことにより入れ子構造の多層カーボンナノチューブとそのチューブ内空間部の10〜90%に充填されている炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体を生成させることができる。
上記工程(3)で使用する不活性気体としては、Ar、Ne、He、窒素等の不活性ガスが例示できる。また、工程(3)における置換後の炉内の圧力は、特に限定されないが、10-5〜107Pa程度、好ましくは50〜2×105 Pa程度、より好ましくは100〜1.2×105Pa程度である。
工程(4)の昇温速度は特に限定されないが、一般には50〜2000℃/h程度、特に70〜1500℃/h程度、より好ましくは100〜1000℃/h程度の昇温速度とすることが好ましい。
また、工程(5)の終点温度を維持する時間は、入れ子構造の多層カーボンナノチューブが生成するまでの時間とすればよいが、一般には2〜30時間程度である。
工程(6)の冷却時の雰囲気としては、Ar、Ne、He、窒素等の不活性ガス雰囲気であり、圧力条件は特に限定されないが、10-5〜107Pa程度、好ましくは50〜2×105 Pa程度、より好ましくは100〜1.2×105Pa程度である。
又、本発明においては、ハロゲン化鉄に代えて、例えば、(a)ニッケル、コバルト等からなる群から選ばれる金属のハロゲン化物、又は(b)上記(a)の該金属のハロゲン化物と他の金属(例えば鉄)のハロゲン化物との混合物を用いて、前記(1)及び(2)と同様の工程を行い、上記と同様の冷却工程を行うことにより、上記(a)のニッケル、コバルトなどからなる群から選ばれる金属、又は、上記(b)の混合物の構成元素からなる合金、又は、上記ニッケル、コバルト等の炭化物を内包したナノフレークカーボンチューブを得ることができる。
また、ハロゲン化鉄に代えて、例えば、(a)ニッケル、コバルト等からなる群から選ばれる金属のハロゲン化物、又は(b)上記(a)の金属のハロゲン化物と他の金属(例えば鉄)のハロゲン化物との混合物を用いて、上記工程(1)及び(2)と同様の工程を行った後に、前記(3)〜(6)の工程と同様の工程を行うことにより、上記(a)のニッケル、コバルトなどからなる群から選ばれる金属、又は、上記(b)の混合物の構成元素からなる合金、又は、上記ニッケル、コバルト等の炭化物を内包した同心円筒状の多層カーボンナノチューブを得ることができる。
上記チューブ内空間部に内包される金属及び合金(強磁性体)の中でも、特に、鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれた金属、該金属の合金、該金属の炭化物等を例示できる。該金属の合金としては、イ)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれた金属の2種以上からなる合金、ロ)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれた金属と炭素との合金、又はハ)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれた金属の2種以上からなる合金と炭素との合金、ニ)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれた金属の炭化物等を例示できる。
本発明では、上記(i)及び(ii)の強磁性体内包ナノスケールカーボンチューブは、その飽和磁化が1〜100emu/g、特に5〜100emu/gであるのが好ましい。なお、本明細書において、飽和磁化は、振動試料型磁化計(東英工業株式会社製振動試料型磁化計VSM-P7-15)により求めた飽和磁化(emu)を測定重量(試料の重量)で割って得られる、(質量)飽和磁化(emu/g)である。
アモルファスナノスケールカーボンチューブ
また、上記アモルファスナノスケールカーボンチューブは、WO00/40509(特許第3355442号)に記載されており、カーボンからなる主骨格を有し、直径が0.1〜1000nmであり、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブであって、直線状の形態を有し、X線回折法(入射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される炭素網平面(002)の平面間隔(d002)が3.54Å以上、特に3.7Å以上であり、回折角度(2θ)が25.1度以下、特に24.1度以下であり、2θバンドの半値幅が3.2度以上、特に7.0度以上であることを特徴とするものである。
該アモルファスナノスケールカーボンチューブは、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル等の金属の塩化物の少なくとも1種からなる触媒の存在下で、分解温度が200〜900℃である熱分解性樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール等を、励起処理することにより得られる。
出発原料としての熱分解性樹脂の形状は、フィルム状乃至シート状、粉末状、塊状などの任意の形状であって良い。例えば、基板上に薄膜化アモルファスナノスケールカーボンチューブを形成させた炭素材料を得る場合には、基板上に熱分解性樹脂を塗布あるいは載置した状態で、適切な条件下に励起処理すればよい。
該励起処理としては、例えば、不活性雰囲気中、好ましくは450〜1800℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上で加熱する、室温〜3000℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上でのプラズマ処理する等の処理が例示できる。
本発明で使用するアモルファスナノスケールカーボンチューブは、アモルファス構造(非晶質構造)を有するナノスケールのカーボンナノチューブで、中空直線状であり、細孔が高度に制御されている。その形状は、主に円柱、四角柱などであり、先端の少なくとも一方が、キャップを有していない(開口している)場合が多い。先端が閉口している場合には、形状がフラット状である場合が多い。
該アモルファスナノスケールカーボンチューブの外径は、通常1〜1000nm程度の範囲にあり、好ましくは1〜200nm程度の範囲にあり、より好ましくは、1〜100nm程度の範囲にある。そのアスペクト比(チューブの長さ/直径)は2倍以上であり、好ましくは5倍以上である。
ここで、「アモルファス構造」とは、規則的に配列した炭素原子の連続的な炭素層からなる黒鉛質構造ではなく、不規則な炭素網平面からなる炭素質構造を意味し、多数の微細なグラフェンシートが不規則に配列している。代表的な分析手法である透過型電子顕微鏡による像からは、本発明による非晶質構造のナノスケールカーボンチューブは、炭素網平面の平面方向の広がりがアモルファスナノスケールカーボンチューブの直径の1倍より小さい。このように、アモルファスナノスケールカーボンチューブは、その壁部が黒鉛構造ではなく多数の微細なグラフェンシート(炭素網面)が不規則に分布したアモルファス構造を有しているため、最外層を構成する炭素網面は、チューブ長手方向の全長にわたって連続しておらず、不連続となっている。特に、最外層を構成する炭素網面の長さは、20nm未満、特に5nm未満である。
非晶質炭素は一般的にはX線回折を示さないが、ブロードな反射を示す。黒鉛質構造では、炭素網平面が規則的に積み重なっているので、炭素網平面間隔(d002)が狭くなり、ブロードな反射は高角側(2θ)に移行して、次第に鋭くなり(2θバンドの半値幅が狭くなり)、d002回折線として観測できるようになる(黒鉛的位置関係で規則正しく積み重なっている場合はd002=3.354Åである)。
これに対し、非晶質構造は、上記のように一般的にはX線による回折を示さないが、部分的に非常に弱い干渉性散乱を示す。X線回折法(入射X線=CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される本発明によるアモルファスナノスケールカーボンチューブの理論的な結晶学的特性は、以下の様に規定される:炭素網平面間隔(d002)は、3.54Å以上であり、より好ましくは3.7Å以上である;回折角度(2θ)は、25.1度以下であり、より好ましくは24.1度以下である;前記2θバンドの半値幅は、3.2度以上であり、より好ましくは7.0度以上である。
典型的には、本発明で使用するアモルファスナノスケールカーボンチューブは、X線回折による回折角度(2θ)が18.9〜22.6度の範囲内にあり、炭素網平面間隔(d002)は3.9〜4.7Åの範囲内にあり、2θバンドの半値幅は7.6〜8.2度の範囲内にある。
本発明のアモルファスナノスケールカーボンチューブの形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。すなわち、透過型電子顕微鏡によるアモルファスナノスケールカーボンチューブ像の長さをLとし、そのアモルファスナノスケールカーボンチューブを伸ばした時の長さをL0とした場合に、L/L0が0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
かかるアモルファスナノスケールカーボンチューブのチューブ壁部分は、あらゆる方向に配向した複数の微細な炭素網平面(グラフェンシート)からなる非晶質構造であり、これらの炭素網平面の炭素平面間隔により活性点を有するためか、媒体である溶媒、バインダー樹脂、分散促進剤との親和性に優れているという利点を有する。
(B)樹脂
本発明で使用する樹脂としては、各種のものが使用でき、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂がいずれも使用できる。
熱可塑性樹脂としては、ABS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリカーボネート、アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステルの重合体又は共重合体などのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)等が使用できる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂等が使用できる。
これらのうちでも、特に、耐候性に優れ、射出成形できるABS、ポリカーボネート、ポリエチレン、PET、塗料性に優れるエポキシ樹脂、アクリル樹脂(特に、アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステルの重合体又は共重合体)、PVC、ポリエステル等が好ましい。
(C)有機溶媒
本発明の電磁波吸収用塗料では、有機溶媒を使用する。有機溶媒を使用することにより、強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種を分散させる媒体としての樹脂の粘度を低下させ、強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種の分散性を向上させることができる。
かかる有機溶媒としては、上記樹脂を溶解又は分散できる有機溶媒であれば、広い範囲の有機溶媒が使用できるが、一般には、ケトン系溶媒、飽和炭化水素類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステル類、アルコール等が例示でき、なかでも、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MEBK)、キシレン、ヘプタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が例示できる。
電磁波吸収用塗料
本発明の電磁波吸収用塗料は、上記強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種(A)、樹脂(B)及び有機溶媒(C)を均一に混合することにより調製される。これら成分を混合するには、遊星ミル、ホモジナイザー、ボールミル、3本ロール、ニーダー、超音波処理等の分散処理方法等の方法を採用できる。
樹脂(B)の使用量は、強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種(A)100重量部に対して、25〜550重量部程度、好ましくは30〜300重量部程度である。
有機溶媒(C)の使用量は、広い範囲から適宜選択できるが、通常、強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種(A)100重量部に対して、25〜1000重量部程度、特に25〜500重量部程度とするのが好ましい。
本発明の電磁波吸収用塗料には、必要に応じて、塗料分野で使用されている種々の成分を添加することができる。例えば、UV吸収剤、着色剤等の各種の添加剤を添加できる。
電磁波吸収性被膜及び電磁波吸収性ハウジング
こうして得られる本発明の電磁波吸収用塗料は、被塗物にスプレーガン、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーまたはハケを用いて塗装される。
なお、スプレーガンで塗装する場合は、必要であれば、本発明の電磁波吸収用塗料を、スプレーガン塗装に適した粘度にまで、希釈剤で希釈してから使用してもよい。かかる希釈剤としては、アルコール類、脂肪族炭化水素等を例示できる。
本発明の電磁波吸収用塗料は、有無線通信機器類、家庭用電気機器類、放送用機器類、医療機器類、事務自動化用機器類、電気配線機器類、電気モータ類、自動車の電気部品類などのような電磁波を放出する各種の電気・電子装置のハウジングの内壁または外壁に、本発明の電磁波吸収用の塗料組成物を簡単にコーティングすることにより、前記装置から外部に放出される電磁波を人体に害を及ばさないほど充分に減少させ得る。必要であれば、該ハウジングの内壁及び外壁の双方に塗布してもよい。
有無線通信機器類は携帯電話、無線呼出器、有無線送信機などを含み、家庭用電気機器は有無線電話機、コンピュータ、テレビジョン、マイクロウェーブオーブン、ヘアドライヤー、電気剃刀などを含む。電気配線機器は、電灯、電気ヒータ、電気ストーブ、プラグ、送電線、変圧器、発電器などを含む。
かかるハウジングの内壁又は外壁又はその双方への塗布後、本発明の電磁波吸収用塗料の塗膜は、使用されている樹脂の種類に応じた方法により硬化される。通常、塗膜から(C)成分の有機溶媒を、室温又は加熱下(温度:50〜180℃程度)で蒸発させることにより、塗膜が得られる。
従って、本発明は、更に、本発明の電磁波吸収用塗料を、電磁波を発生する前記のような電子機器又は電気製品のハウジングの内壁及び外壁のいずれか一方又は両方に塗装してなる電磁波吸収性ハウジングを提供するものでもある。
本発明の電磁波吸収用塗料の塗布量は、被塗物の用途に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、一般には、硬化後の膜厚が、0.005〜2mm程度、特に0.01〜1mm程度となる量とするのが好ましい。
こうして得られる電磁波吸収塗膜は、(A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる炭素質材料100重量部及び(B)樹脂成分25〜550重量部、好ましくは30〜300重量部を含有する電磁波吸収性塗膜である。
本発明の電磁波吸収塗膜は、従来の電磁波吸収塗膜に比し、膜厚を小さくすることができ、しかも、電磁波を吸収ないしシールドする性質に優れていることは勿論のこと、更に耐候性等の性質においても優れている。
また、強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブが直線状の形態を有しているので、材料の高密度化が図れ、しかも塗膜との密着性もよいため塗膜からの脱離(抜け落ち)も抑制されるので、塗膜の寿命も長いという利点がある。
本発明の電磁波吸収用塗料から得られる電磁波吸収用塗膜は、膜吸収体内部で電磁エネルギーを吸収する透過減衰型または膜構成媒体で形成した共振器により反射電磁波エネルギーを少なくする反射抑制型の電磁波吸収用塗膜とすることができる。
電磁波吸収用フィルム乃至シート
本発明では、前記のように、本発明の電磁波吸収用塗料を塗布し、有機溶媒(C)を蒸発させることにより、電磁波吸収用のフィルムを得ることができる。該電磁波吸収塗膜(フィルムまたはシート)は、(A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる炭素質材料100重量部及び(B)樹脂成分25〜550重量部、好ましくは30〜300重量部を含有するフィルムまたはシートであり、塗布面に密着させたまま使用することもできるし、或いは、塗布面から剥離させて使用することもできる。
また、上記のような電磁波吸収用塗料としないで、有機溶媒(C)を用いることなく、直接、前記(A)成分である強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種を、成形可能な樹脂(B)に配合し、得られる樹脂組成物を成形することにより、電磁波吸収用のフィルム、厚膜フィルムないしシートを得ることができる。
このような場合、(B)成分の樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも使用できるが、射出成形等の成形が容易な樹脂を使用するのがよい。かかる樹脂としては例えば、熱可塑性樹脂、特に、ABS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリカーボネート、アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステルの重合体又は共重合体などのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)等が使用できる。
樹脂(B)の使用量は、前記(A)成分である強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種100重量部に対して、25〜550重量部程度、好ましくは30〜300重量部程度である。
通常、(i)(A)成分及び(B)成分の両者を(B)成分である樹脂の溶融温度以上の温度において混練し、得られる溶融混合物を直接通常の成形装置でフィルムまたはシート上に成形するか、または、(ii)(A)成分及び(B)成分の両者を(B)成分である樹脂の溶融温度以上の温度において混練し、得られる溶融混合物から樹脂ペレットを得、次いで、通常の成形装置を用いてフィルム又はシート状に成形するか、または、(iii)(A)成分及び(B)成分の両者を混練し、得られる組成物(混合物)を通常の成形装置を用いてフィルムまたはシートに成形することにより、本発明の電磁波吸収用のフィルム乃至シートを得ることができる。該フィルム乃至シートの厚さとしては、広い範囲から選択できるが、通常は、0.1〜5mm程度、特に0.3〜3mm程度であるのが好ましい。
こうして得られるフィルム乃至シートを電磁波吸収用に使用するには、たとえば、該フィルムないしシートを接着剤を介してハウジングに接着する、該フィルム乃至シートを公知の方法に従って二次成形してハウジングを形成する等の方法を採用すればよい。
また、前記(A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種及び(B)樹脂を含有する樹脂組成物を、通常の成形装置を用いて、射出成形、押出成形などの公知の成形方法により、直接ハウジングを成形してもよい。該樹脂組成物は、例えば、(i)(A)成分及び(B)成分の両者を(B)成分である樹脂の溶融温度以上の温度において混練することにより得られる溶融樹脂組成物であってもよく、または、(ii)(A)成分及び(B)成分の両者を(B)成分である樹脂の溶融温度以上の温度において混練し、得られる溶融混合物をペレット化してなる樹脂ペレットであってもよい。
これらいずれの場合も、樹脂(B)の使用量は、前記(A)成分である強磁性物質内包ナノスケールカーボンチューブ及びアモルファスナノスケールカーボンチューブからなる群から選ばれる少なくとも1種100重量部に対して、25〜550重量部程度、好ましくは30〜300重量部程度とすればよい。
以下実施例を掲げて本発明をより一層詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく各種の実施形態が可能である。
先ず、本発明で使用する(A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブの製造例を掲げ、次いで、得られた強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブからなる炭素質材料を用いた電磁波吸収用塗料の実施例を掲げる。
製造例1
図1に示すような反応装置を使用し、次のようにして本発明の鉄−炭素複合体を得た。
工程(1)
無水FeCl3(関東化学株式会社製)0.5gを磁製ボート内に薄く広げて敷き詰める。これを石英管からなる炉内中央に設置し、炉内を圧力50Paまで減圧する。このとき、真空吸引するラインを取り付けた反応炉端部とは反対側(図1の反応管の左側)から酸素5000ppm含有アルゴンガスを30ml/minの速度で供給する。これにより、反応炉容積をA(リットル)とし、酸素量をB(Ncc)とした場合の比B/Aを、2.5×10-3とした。次いで、反応温度800℃まで減圧のまま昇温する。
工程(2)
800℃に到達した時点で、アルゴンを導入し、圧力を6.7×104Paに制御する。一方、熱分解性炭素源として、ベンゼン槽にアルゴンガスをバブリングさせて、揮発したベンゼンとアルゴンの混合ガスを、反応炉容積1リットル当たり、30ml/minの流速で炉内に導入し、希釈ガスとして、アルゴンガスを20ml/minの流速で導入する。
800℃の反応温度で30分間反応させ、500℃まで20分で降温後、ヒーターを取り外して20分で室温まで空冷することにより、本発明の鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を200mg得た。
SEM観察の結果から、得られた鉄−炭素複合体は、外径15〜40nm、長さ2〜3ミクロンで直線性の高いものであった。また、炭素からなる壁部の厚さは、2〜10nmであり、全長に亘って実質的に均一であった。また、該壁部は、TEM観察及びX線回折法から炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するナノフレークカーボンチューブであることを確認した。
また、X線回折、EDXにより、上記本発明の鉄−炭素複合体には炭化鉄が内包されていることを確認した。
得られた本発明の炭素質材料を構成する多数の鉄−炭素複合体を電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、ナノフレークカーボンチューブの空間部(即ち、ナノフレークカーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)への炭化鉄の充填率が10〜80%の範囲の種々の充填率を有する鉄−炭素複合体が混在していた。
ちなみに、該多数の鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブ内空間部への炭化鉄の平均充填率は40%であった。また、X線回折から算出されたR値は、0.56であった。
本製造例1で得られた炭素質材料を構成する鉄−炭素複合体1本の電子顕微鏡(TEM)写真を図2に示す。
本製造例1で得られた炭素質材料における多数の鉄−炭素複合体の存在状態を示す電子顕微鏡(TEM)写真を図3に示す。
本製造例1で得られた鉄−炭素複合体1本の電子線回折図を図4に示す。図4から、鮮明な電子回折パターンが観測されており、内包物が高い結晶性を有することが分かる。TEM観察の結果、内包物の結晶化率(炭化鉄が充填されている範囲のTEM像の面積に対する、結晶性炭化鉄のTEM像の面積の割合)は、約100%であった。
本製造例1で得られた鉄−炭素複合体を含む炭素質材料(鉄−炭素複合材料の集合物)のX線回折図を図5に示す。
本製造例1で得られた鉄−炭素複合体1本を輪切状にした電子顕微鏡(TEM)写真を、図6に示す。
図6から判るように、本製造例1で得られた炭素質材料においてはその炭素壁面が、入れ子状でもスクロール状でもなく、パッチワーク状(いわゆる paper mache 状ないし張り子状)になっているように見え、ナノフレークカーボンチューブであった。
図6から判るように、本製造例で得られた鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブの形状は、円筒状であり、その長手方向にほぼ垂直な断面のTEM写真において観察されるグラフェンシート像は、閉じた環状ではなく、不連続点を多数有する不連続な環状であった。
また、本発明の鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブをTEM観察した場合において、その長手方向に配向している多数の略直線状のグラフェンシート像に関し、個々のグラフェンシート像の長さは、概ね2〜30nmの範囲であった(図2)。
さらに、図6のチューブ内1〜20までのポイントで測定したEDX測定結果から、炭素:鉄の原子比率は5:5でほぼ均一な化合物が内包されていることが判った。
製造例2〜5
下記表1に記載のようにFeCl3投入量を変更する以外は上記製造例1と同様にして、下記表1のナノフレークカーボンチューブに炭化鉄が部分的に内包されている鉄−炭素複合体を得た。各々の鉄―炭素複合体の炭化鉄充填率及び飽和磁化を表1に示す。なお、表1には、前記製造例1で得られた鉄−炭素複合体(S2)の炭化鉄充填率及び飽和磁化も併記する。
これら製造例2〜5で得られた鉄−炭素複合体S1、S3〜S5は、SEM観察の結果から、得られた鉄−炭素複合体は、外径15〜40nm、長さ2〜3ミクロンで直線性の高いものであった。また、炭素からなる壁部の厚さは、2〜10nmであり、全長に亘って実質的に均一であった。また、該壁部は、TEM観察及びX線回折法から炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有する製造例1で得た鉄−炭素複合体S2と同様のナノフレークカーボンチューブであることを確認した。
また、X線回折、EDXにより、鉄−炭素複合体S1、S3〜S5には炭化鉄が内包されていることを確認した。
得られた炭素質材料を構成する多数の鉄−炭素複合体を電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、ナノフレークカーボンチューブの空間部(即ち、ナノフレークカーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)への炭化鉄の充填率が10〜90%の範囲の種々の充填率を有する鉄−炭素複合体が混在していた。
ちなみに、該多数の鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブあるいはカーボンナノチューブ内空間部への炭化鉄の平均充填率(透過型電子顕微鏡で観察した視野から出した平均値)は下記表1に記載の通りであった。
Figure 0004462891
また、上記で合成したS2の磁化特性(10kOeの磁場をかけたときの磁化曲線)を東英工業株式会社製振動試料型磁化計VSM-P7-15により求めた結果を、図8に示す。図8から、鉄−炭素複合体S2の飽和磁化が30emu/gであることが分かる。
以下に、本発明の強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブを含有する電磁波吸収用塗料についての実施例を掲げ、更に比較例を掲げる。
実施例1〜9
上記製造例で得られた表1に記載のS2、S3又はS4を100重量部、下記表2に記載の樹脂を50重量部及び表2に記載の有機溶媒を100重量部使用し、これらを混合装置としてフリッチェジャパン製の遊星ミルを用いて400rpmで1時間混合して均一混合物とし、本発明の電磁波吸収用塗料を得た。
この電磁波吸収用塗料を用いて厚さ100μmのポリプロピレンフィルムに50μmの電磁波吸収用塗膜を形成した。得られた電磁波吸収用塗膜の飽和磁化を測定した。電磁波吸収用塗膜の飽和磁化は東英工業株式会社製振動試料型磁化計VSM-P7-15により測定した。
実施例1〜9の電磁波吸収用塗料はどれも均一分散し、その粘度をE型粘度計で測定したところ、塗料の25℃での粘度は、どれも100mPa・sec程度であった。
Figure 0004462891
実施例10〜17
上記製造例1で得られた炭素質材料S2(100重量部)、下記表3に記載の樹脂40重量部を使用し、これらを混合装置として井上製作所製のニーダーを用いて1時間混練して、射出成形により、本発明の電磁波吸収用厚さ1mmの厚膜フィルムを成形した。得られた電磁波吸収用フィルムの飽和磁化を測定した。電磁波吸収用フィルムの飽和磁化は東英工業株式会社製振動試料型磁化計VSM-P7-15により測定した。
Figure 0004462891
実施例20
前記製造例で得た鉄−炭素複合体鳴る炭素質材料S2の100重量部に対して、ポリメタクリル酸メチル50重量部及びMEK100重量部を混合してなる実施例1の電磁波吸収用塗料について、その電磁波吸収特性を、下記のようにして調べた。
この塗料をエチレングリコール20重量%、ヘプタン10重量%及び酢酸ブチル70重量%を含む希釈溶媒で5倍希釈してスプレイ塗布液とした。
携帯電話のケースの外壁にスプレーガンを使用して、20cmの間隔をおいて前記電磁波吸収用の塗料組成物を塗布した。このとき、電磁波吸収用の塗料組成物は携帯電話のアンテナの部分を中心に携帯電話のケースの外壁に20μm程度の均一な厚さを有するように塗布した。
電磁波吸収用の塗料組成物を塗布するために、まず5kg/cm2噴霧圧力で1.5mmの口径を有するスプレーガンを使用して、携帯電話のケースの外壁に噴霧した。次いで、噴霧された電磁波吸収用の塗料組成物を40℃の温度で15分乾燥して塗料組成物を携帯電話のケースの外壁に固着させた。
塗料組成物の非吸収率の測定値は米国IDXシステム社の電磁波非吸収率の測定装備であるIDXシステムを使用して測定した。
携帯電話のケースの外壁に、本発明の実施例1による電磁波吸収用の塗料組成物を塗布した後の携帯電話のアンテナを畳んだ状態(IN状態)での非吸収率の測定値はそれぞれ0.15mW/gであって、塗料組成物を携帯電話に塗布する前の非吸収率の測定値である2.5mW/gよりそれぞれ94%減少した。
従って、本発明の実施例1による電磁波吸収用の塗料組成物は携帯電話から放出する人体に有害な電磁波を充分に減少させ得ることを分かる。本実施例においては、前記携帯電話のケースの外壁に前記塗料組成物を塗布したが、携帯電話のケースの内壁に塗料組成物をコーティングすることによっても携帯電話から発生する電磁波を減少させ得る。
本発明で使用する鉄−炭素複合体を製造するための製造装置の一例を示す概略図である。 製造例1で得られた炭素質材料を構成する鉄−炭素複合体1本の電子顕微鏡(TEM)写真である。 製造例1で得られた炭素質材料における鉄−炭素複合体の存在状態を示す電子顕微鏡(TEM)写真である。 製造例1で得られた鉄−炭素複合体1本の電子線回折図である。 製造例1で得られた鉄−炭素複合体を含む炭素質材料(鉄−炭素複合体の集合物)のX線回折図である。 製造例1で得られた鉄−炭素複合体1本を輪切状にした電子顕微鏡(TEM)写真である。尚、図6の写真中に示されている黒三角(▲)は、組成分析のためのEDX測定ポイントを示している。 カーボンチューブのTEM像の模式図を示し、(a-1)は、円柱状のナノフレークカーボンチューブのTEM像の模式図であり、(a-2)は入れ子構造の多層カーボンナノチューブのTEM像の模式図である。 鉄−炭素複合体S2に、10kOeの磁場をかけたときの磁化曲線を示す。
符号の説明
1 反応炉
2 加熱装置
100 ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像
110 略直線状のグラフェンシート像
200 ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像
210 弧状グラフェンシート像
300 入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向のTEM像
310 入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向の全長にわたって連続する直線状グラフェンシート像
400 入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向に垂直な断面のTEM像

Claims (10)

  1. (A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ、(B)樹脂及び(C)有機溶媒を含有する電磁波吸収用塗料であって、
    (A)成分である強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブが、
    (a) ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル、コバルト及び該金属の合金からなる群から選ばれる強磁性物質とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、(b)の強磁性物質が充填されている強磁性物質−炭素複合体である
    ことを特徴とする電磁波吸収用塗料
  2. 強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブの飽和磁化が1〜100emu/gであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収用塗料。
  3. (B)成分の樹脂が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である請求項1に記載の電磁波吸収用塗料。
  4. (C)成分の有機溶媒が、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ヘプタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料。
  5. (A)成分100重量部当たり、(B)成分の樹脂の量が25〜550重量部であり、(C)成分の有機溶媒の量が25〜1000重量部である請求項1に記載の電磁波吸収用塗料。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料を、被塗物にスプレーガン、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーまたはハケを用いて塗装する電磁波吸収用塗膜の形成方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料から得られる電磁波吸収用塗膜。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の電磁波吸収用塗料を、電磁波を発生する電子機器又は電気製品のハウジングの内壁及び外壁のいずれか一方又は両方に塗装してなる電磁波吸収性ハウジング。
  9. (A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ、及び(B)樹脂を含有する樹脂組成物を成形してなる電磁波吸収用フィルム又はシートであって、
    (A)成分である強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブが、
    (a) ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル、コバルト及び該金属の合金からなる群から選ばれる強磁性物質とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、(b)の強磁性物質が充填されている強磁性物質−炭素複合体であるフィルム又はシート
  10. (A)強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ、及び(B)樹脂を含有する樹脂組成物を成形してなる電磁波吸収用ハウジングであって、
    (A)成分である強磁性物質をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブが、
    (a) ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル、コバルト及び該金属の合金からなる群から選ばれる強磁性物質とからなり、該カーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、(b)の強磁性物質が充填されている強磁性物質−炭素複合体であるハウジング
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