JP2004162051A - 赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジング - Google Patents

赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジング Download PDF

Info

Publication number
JP2004162051A
JP2004162051A JP2003360605A JP2003360605A JP2004162051A JP 2004162051 A JP2004162051 A JP 2004162051A JP 2003360605 A JP2003360605 A JP 2003360605A JP 2003360605 A JP2003360605 A JP 2003360605A JP 2004162051 A JP2004162051 A JP 2004162051A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
infrared radiation
carbon tube
tube
resin
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003360605A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Yamada
昌宏 山田
Hitoshi Nishino
仁 西野
Taisuke Yokomichi
泰典 横道
Koichi Yamaguchi
浩一 山口
Hidekazu Hayama
秀和 羽山
Hitonori Son
孫  仁徳
Takeo Matsui
丈雄 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP2003360605A priority Critical patent/JP2004162051A/ja
Publication of JP2004162051A publication Critical patent/JP2004162051A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)
  • Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】比較的薄い膜厚でも優れた赤外線輻射効果を発揮する赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジングを提供する。
【解決手段】 (A)ナノスケールカーボンチューブ及び(B)常温液状の樹脂を含有するか、又は、(A)ナノスケールカーボンチューブ、(B)樹脂及び(C)溶媒を含有する赤外線輻射塗料であって、該ナノスケールカーボンチューブの最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下であることを特徴とする赤外線輻射塗料、該赤外線輻射塗料から得られる赤外線輻射皮膜、該皮膜を備えた熱放射性基板及び熱放射性ハウジング。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線輻射性ないし放熱・輻射特性に優れた塗料、該塗料から得られる赤外線輻射皮膜及び該塗料を電子部品実装用の基板又はハウジングに塗装してなる熱放射性基板又は熱放射性ハウジングに関する。
従来から、セラミックス材料を添加した赤外線輻射塗料が提案されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、これらの先行技術文献に開示された赤外線輻射塗料は、塗料として基材への接着性・固着性が低下する、赤外線輻射効果が不充分である等の欠点があった。
また、赤外線放射率ε=0.9以上であるセラミックス(SiO2 、Al23 、TiO2 、ZrO2 、Fe23 、CuO、MgO、NiO、Li2O及びCoOのうちの少なくとも一種以上)を含有する塗料から得られる熱放射膜を形成することが提案されている(特許文献3)。また、黒鉛も赤外線放射率がε=0.95以上であるので、赤外線輻射効果を高めることが期待される。
近年脚光を浴びているカーボンナノチューブ(以下「CNT」という)は、分子単位での制御が行われた繊維と一応みなすことができる。CNTは、金属触媒の存在下にグラファイトなどの炭素材料を原料として、カーボンアーク法、スパッタ法、レーザー光照射法などの手法により、製造される。しかし、これらの方法では黒鉛質構造を持ったカーボンナノチューブが主に生成する。また、外部領域が黒鉛質からなり、内部コアーが不規則な炭素原子からなる炭素フィブリルが知られている(特許文献4、特許文献5)。しかし、これらの場合には、分子の直線性あるいは直径、長さなどの形状因子を制御することは、実際上困難である。
このように、従来法では、CNTの結晶構造、分子の直線性、直径、長さ、先端構造などを制御することは、実際上困難である。特に、構造については、実質的に黒鉛質構造になってしまうため、構造制御の自由度が低い。
かかるCNTを樹脂に配合した樹脂組成物としては、(A)ビニルエステル樹脂、(B)アリルエステルモノマー、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーからなる群から選ばれた少なくとも1種のモノマー、(C)ラジカル重合開始剤並びに(D)少なくとも40質量%の炭素系充填材からなる導電性に優れた硬化性樹脂組成物が開示されており、該硬化性樹脂組成物は放熱性にも優れている旨記載されている(特許文献6)。しかしながら、通常のCNTは、樹脂中への分散性が困難であるという問題点があり、上記硬化性樹脂組成物にあっても、CNTの分散性の更なる向上が望まれている。
特開平1−104668号 特開平3−136807号 特開平10−279845号 特公平3−64606号公報、 特公平3−77288号公報 特開2001−151833号公報
赤外線輻射効果を高めようとすれば、塗料におけるセラミックス、黒鉛粉末の含有量を増大させる必要があるが、セラミックス、黒鉛粉末等は樹脂への分散性が不十分であるため、その含有量の増大に伴って塗膜が脆くなり、セラミックス、黒鉛粉末が脱落(抜け落ち)したり、さらには塗膜を薄くしたときに膜強度を維持できないので塗膜が割れる傾向が高い。一方、膜強度向上のために塗膜膜厚を厚くするとハウジングからの熱伝達の障害となる。
従って、赤外線輻射効果を改善すべく、赤外線を放射する性質を有する粒子を大量に含有でき、しかも、該粒子の脱落が抑制されており、塗膜を薄くしても膜強度が維持でき、熱伝達の障害の問題も少ない赤外線輻射塗料の開発が望まれている。
本発明者は、上記の如き従来技術の現状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、以下の様な新知見を得た。
(1)本願出願人が先に開発したアモルファスナノスケールカーボンチューブ及びナノフレークカーボンチューブ(チューブ内空間部に鉄などを部分的に内包していてもよい)の炭素質材料は、赤外線を放射する性質に優れている。
(2)アモルファスナノスケールカーボンチューブのチューブ壁部分は、あらゆる方向に配向した複数の微細な炭素網平面からなる非晶質構造である。また、ナノフレークカーボンチューブ(チューブ内空間部に鉄などを部分的に内包していてもよい)のチューブ壁部分も、最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下である。おそらくは、これらの炭素網平面の炭素平面間隔により、活性点を有し、媒体である樹脂との相性が優れるためか、アモルファスナノスケールカーボンチューブ及びナノフレークカーボンチューブ(チューブ内空間部に鉄などを部分的に内包していてもよい)は、樹脂中への分散性が良好である。そのため、アモルファスナノスケールカーボンチューブ及びナノフレークカーボンチューブ(チューブ内空間部に鉄などを部分的に内包していてもよい)の配合量を増大させることができる。そのため、赤外線輻射塗膜とした場合に膜厚を薄くできるので、熱伝達の点からも問題が少なく、しかも、塗膜の膜厚さが小さくても塗膜の強度が維持され、塗膜の割れなどの問題が少ない。
(3)アモルファスナノスケールカーボンチューブ及びナノフレークカーボンチューブ(チューブ内空間部に鉄などを部分的に内包していてもよい)は、後述の製造法により製造すると、得られるチューブの殆どが直線状の形態を有しているので、塗膜より一部突出したカーボンチューブが存在することにより赤外線を放射しやすくなる。
(4)アモルファスナノスケールカーボンチューブ及びナノフレークカーボンチューブ(チューブ内空間部に鉄などを部分的に内包していてもよい)は、直線状の形態を有しているので、該チューブの高密度化が可能であり、また、塗膜との密着性もよいので、塗膜からの脱離(抜け落ち)も抑制される。
本発明は、上記知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次の放熱・輻射塗料、放熱・輻射皮膜及び熱放射性基板、赤外線輻射フィルム及び熱放射性ハウジングを提供するものである。
項1 (A)ナノスケールカーボンチューブ及び(B)常温液状の樹脂を含有するか、又は、(A)ナノスケールカーボンチューブ、(B) 常温固体又は常温液状の樹脂及び(C)溶媒を含有する赤外線輻射塗料であって、該ナノスケールカーボンチューブの最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下であることを特徴とする赤外線輻射塗料。
項2 ナノスケールカーボンチューブが均一に分散している項1に記載の赤外線輻射塗料。
項3 (A)成分であるナノスケールカーボンチューブが、
(i) アモルファスナノスケールカーボンチューブ、
(ii) ナノフレークカーボンチューブ、
(iii) (a)ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれる金属又はその合金とからなり、該ナノフレークカーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、該金属又はその合金が存在している金属−炭素複合体、又は
(iv)上記(i)〜(iii)の2種以上の混合物
であることを特徴とする項1又は2に記載の赤外線輻射塗料。
項4 (B)成分である樹脂が、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である項1に記載の赤外線輻射塗料。
項5 (A)ナノスケールカーボンチューブ、(B) 常温固体又は常温液状の樹脂及び(C)溶媒を含有する項1に記載の赤外線輻射塗料。
項6 (C)成分である溶媒が、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類及び脂肪族炭化水素類からなる群から選択された少なくとも1種である項1又は5に記載の赤外線輻射塗料。
項7 (C)成分である溶媒が、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、キシレン、ヘプタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール及び2−(2−メトキシエトキシ)エタノール及び2−ブタノールからなる群から選択された少なくとも1種である項1又は5に記載の赤外線輻射塗料。
項8 (B)成分である樹脂100重量部当たり、(A)成分であるナノスケールカーボンチューブの量が0.1〜100重量部であり、(C)成分である溶媒の量が0〜10000重量部である項1〜7のいずれかに記載の赤外線輻射塗料。
項9 (A)ナノスケールカーボンチューブ及び(B)樹脂を含有し、該ナノスケールカーボンチューブの最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下であることを特徴とする赤外線輻射皮膜。
項10 ナノスケールカーボンチューブの凝集物を実質的に含有しておらず、ナノスケールカーボンチューブが皮膜全体に亘って均一に分散している項9に記載の赤外線輻射皮膜。
項11 (A)成分であるナノスケールカーボンチューブが、
(i) アモルファスナノスケールカーボンチューブ、
(ii) ナノフレークカーボンチューブ、
(iii) (a)ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれる金属又はその合金とからなり、該ナノフレークカーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、該金属又はその合金が存在している金属−炭素複合体、又は
(iv) 上記(i)〜(iii)の2種以上の混合物
であることを特徴とする項9又は10に記載の赤外線輻射皮膜。
項12 電子部品実装用基板、及び、該基板上に形成された項9〜11のいずれかに記載の赤外線輻射皮膜を備えていることを特徴とする熱放射性基板。
項13 電子機器用ハウジング、及び、該電子機器用ハウジングの表面上に形成された項9〜11のいずれかに記載の赤外線輻射皮膜を備えていることを特徴とする熱放射性ハウジング。
項14 (A)アモルファスナノスケールカーボンチューブ、(B)樹脂及び(C)有機溶媒を含有することを特徴とする赤外線輻射塗料。
項15 (B)成分が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である項14に記載の赤外線輻射塗料。
項16 (C)成分の溶媒が、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、キシレン及びヘプタンからなる群から選択された少なくとも1種である項14に記載の赤外線輻射塗料。
項17 項14〜16のいずれかに記載の赤外線輻射塗料から得られる赤外線輻射皮膜。
項18 項14〜16のいずれかに記載の赤外線輻射塗料を、電子部品実装用の基板の少なくとも一つの面に塗装してなる熱放射性基板。
項19 項14〜16のいずれかに記載の赤外線輻射塗料を、電子機器のハウジングの少なくとも一つの面に塗装してなる熱放射性ハウジング。
本願発明によれば、樹脂中への分散性が高いアモルファスナノスケールカーボンチューブ、ナノフレークカーボンチューブ(チューブ内空間部に鉄などを部分的に内包していてもよい)等を用いることに基づいて、優れた赤外線輻射性能を有する赤外線輻射塗料ないし放熱・輻射塗料が提供される。
また、本発明では、本発明の赤外線輻射塗料を電子回路実装用基板またはハウジングの表面に塗装することにより、赤外線輻射皮膜ないし熱放射膜を形成でき、かかる皮膜を設けた熱放射性基板又は熱放射性ハウジングが提供される。
かかる熱放射膜を形成した本発明の熱放射性基板またはハウジングによると、該熱放射膜を形成しない場合に比べて、基板またはハウジングからの放熱量を増大させる。従って、かかる熱放射膜を備えた基板を、コンピュータ等の高密度実装タイプの電子機器においても、温度調節のためにCPUの動作クロックを下げておく時間を短くしたり、動作クロックを下げること自体を不要としたりすることができ、電子機器の平均処理スピードを落とすことなく電子機器を快適に使用することができる。
アモルファスナノスケールカーボンチューブ、ナノフレークカーボンチューブ、鉄、炭化鉄等をチューブ内空間部に部分的に内包するナノフレークカーボンチューブ、又はこれらの混合物を配合した赤外線輻射塗料を用いることにより、樹脂のみからなる塗料から形成される塗膜又は既存の放熱塗料から形成される塗膜に比べて、冷却効果が高く、平滑性に優れた塗膜が得られる。
塗膜、樹脂からのナノスケールカーボンチューブの抜け落ちがほとんどなくパーティクルコンタミネーションを極めて低いレベルまで抑えることができる。
(A)成分:ナノスケールカーボンチューブ
本発明の赤外線輻射塗料は、樹脂中に又は樹脂と有機溶媒との混合物中に、赤外線放射性フィラーとして特定のナノスケールカーボンチューブを均一分散状態で含有したものである。該特定のナノスケールカーボンチューブとしては、最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下のものであり、例えば、
(i) アモルファスナノスケールカーボンチューブ、
(ii) ナノフレークカーボンチューブ、
(iii) (a)ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれる金属又はその合金とからなり、該ナノフレークカーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、該金属又はその合金が存在している金属−炭素複合体、又は
(iv)上記(i)〜(iii)の2種以上の混合物
を挙げることができる。
本発明の赤外線輻射塗料、該塗料を塗装して得られる皮膜、赤外線輻射フィルム及び熱放射性ハウジングは、上記(i)〜(iv)のような最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下という特定のナノスケールカーボンチューブを含有しているため、これらチューブを少量からかなりの量までの広い範囲の配合量、例えば、樹脂100重量部に対して0.1〜100重量部程度の範囲の配合量で含有させることができ、しかも均一に分散させることができる。
その理由は未だ完全には解明されていないが、次のように推察される。即ち、従来公知のカーボンナノチューブは、その壁部が完全に連続した炭素網面からなり、最外面の炭素原子の配列が規則的な完全な連続的な黒鉛構造を有している。これに対して、本発明で使用する上記ナノスケールカーボンチューブのうち、(i)のアモルファスナノスケールカーボンチューブは、その壁部が黒鉛構造ではなく多数の微細なグラフェンシート(炭素網面)が不規則に分布したアモルファス構造を有しているため、最外層を構成する炭素網面は、チューブ長手方向の全長にわたって連続しておらず、不連続となっている。同様に、本発明で使用する上記(ii)のナノフレークカーボンチューブ及び上記(iii)の金属−炭素複合体にあっても、その壁部を構成するナノフレークカーボンチューブの最外層は、チューブ長手方向の全長にわたって連続していない不連続なグラフェンシートから形成されている。
このように、上記アモルファスナノスケールカーボンチューブ、ナノフレークカーボンチューブ及び金属−炭素複合体は、壁部、特にその最外面を構成するグラフェンシートが不連続性を有するために、壁部の最外面を構成する炭素原子の配列が不規則となっている。おそらくこのために、本発明で使用するナノスケールカーボンチューブは、他の物質、例えば樹脂や溶媒等との親和性が高い。また、本発明で使用するナノスケールカーボンチューブは、直線状の形態を有しているため、塗膜表面から一部突出した状態となり易く、所望の赤外線輻射特性ないし放熱特性が達成できるものと推察される。
また、樹脂からの抜け落ちがほとんどなくパーティクルコンタミネーションを極めて低いレベルまで抑えることができるのは、上記ナノスケールカーボンチューブがナノスケールの繊維状であり、これらが物理的にマトリックスの樹脂に強固に結合していること、マトリックスの樹脂との親和性にも優れていること等によるものと推察される。
以下、上記(i)のアモルファスナノスケールカーボンチューブ、(iii)の金属−炭素複合体、及び(ii)のナノフレークカーボンチューブについてこの順に説明する。
<アモルファスナノスケールカーボンチューブ>
アモルファスナノスケールカーボンチューブは、WO00/40509(特許第3355442号)に記載されており、カーボンからなる主骨格を有し、直径が0.1〜1000nmであり、アモルファス構造を有するナノスケールカーボンチューブであって、直線状の形態を有し、X線回折法(入射X線:CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される炭素網平面(002)の平面間隔(d002)が3.54Å以上、特に3.7Å以上であり、回折角度(2θ)が25.1度以下、特に24.1度以下であり、2θバンドの半値幅が3.2度以上、特に7.0度以上であることを特徴とするものである。
該アモルファスナノスケールカーボンチューブは、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル等の金属の塩化物の少なくとも1種からなる触媒の存在下で、分解温度が200〜900℃である熱分解性樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール等を、励起処理することにより得られる。
出発原料としての熱分解性樹脂の形状は、フィルム状乃至シート状、粉末状、塊状などの任意の形状であってよい。例えば、基板上に薄膜化アモルファスナノスケールカーボンチューブを形成させた炭素材料を得る場合には、基板上に熱分解性樹脂を塗布あるいは載置した状態で、適切な条件下に励起処理すればよい。
該励起処理としては、例えば、不活性雰囲気中、好ましくは450〜1800℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上で加熱する、室温〜3000℃程度の温度域でかつ原料の熱分解温度以上でのプラズマ処理する等の処理が例示できる。
本発明で使用するアモルファスナノスケールカーボンチューブは、アモルファス構造(非晶質構造)を有するナノスケールのカーボンナノチューブで、中空直線状であり、細孔が高度に制御されている。その形状は、主に円柱、四角柱などであり、先端の少なくとも一方が、キャップを有していない(開口している)場合が多い。先端が閉口している場合には、形状がフラット状である場合が多い。
該アモルファスナノスケールカーボンチューブの外径は、通常1〜1000nm程度の範囲にあり、好ましくは1〜200nm程度の範囲にあり、より好ましくは、1〜100nm程度の範囲にある。そのアスペクト比(チューブの長さ/直径)は2倍以上であり、好ましくは5倍以上である。
ここで、「アモルファス構造」とは、規則的に配列した炭素原子の連続的な炭素層からなる黒鉛質構造ではなく、不規則な炭素網平面からなる炭素質構造を意味し、多数の微細なグラフェンシートが不規則に配列し、原子の配列が不規則になっている。代表的な分析手法である透過型電子顕微鏡(TEM)による像からは、本発明による非晶質構造のナノスケールカーボンチューブは、炭素網平面の平面方向の広がりがアモルファスナノスケールカーボンチューブの直径の1倍より小さいものと規定できる。一般に、アモルファスナノスケールカーボンチューブの壁部の最外面を構成する炭素網面の長さは、20nm未満、特に5nm未満である。
非晶質炭素は一般的にはX線回折を示さないが、ブロードな反射を示す。黒鉛質構造では、炭素網平面が規則的に積み重なっているので、炭素網平面間隔(d002)が狭くなり、ブロードな反射は高角側(2θ)に移行して、次第に鋭くなり(2θバンドの半値幅が狭くなり)、d002回折線として観測できるようになる(黒鉛的位置関係で規則正しく積み重なっている場合はd002=3.354Åである)。
これに対し、非晶質構造は、上記のように一般的にはX線による回折を示さないが、部分的に非常に弱い干渉性散乱を示す。X線回折法(入射X線=CuKα)において、ディフラクトメーター法により測定される本発明によるアモルファスナノスケールカーボンチューブの理論的な結晶学的特性は、以下の様に規定される:炭素網平面間隔(d002)は、3.54Å以上であり、より好ましくは3.7Å以上である;回折角度(2θ)は、25.1度以下であり、より好ましくは24.1度以下である;前記2θバンドの半値幅は、3.2度以上であり、より好ましくは7.0度以上である。
典型的には、本発明で使用するアモルファスナノスケールカーボンチューブは、X線回折による回折角度(2θ)が18.9〜22.6度の範囲内にあり、炭素網平面間隔(d002)は3.9〜4.7Åの範囲内にあり、2θバンドの半値幅は7.6〜8.2度の範囲内にある。
本発明のアモルファスナノスケールカーボンチューブの形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。すなわち、透過型電子顕微鏡によるアモルファスナノスケールカーボンチューブ像の長さをLとし、そのアモルファスナノスケールカーボンチューブを伸ばした時の長さをL0とした場合に、L/L0が0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
かかるアモルファスナノスケールカーボンチューブのチューブ壁部分は、あらゆる方向に配向した複数の微細な炭素網平面(グラフェンシート)からなる非晶質構造であり、これらの炭素網平面の炭素平面間隔により、活性点を有するためか、媒体である熱可塑性ポリマー樹脂または熱硬化性ポリマー樹脂との相性に優れているという利点を有する。
<金属−炭素複合体>
本発明で使用する上記金属−炭素複合体は、上記金属又は合金が、ナノスケールカーボンチューブ内空間部の全長に亘って、即ち、チューブ内空間部の100%の範囲に完全に充填されているものではなく、上記金属又は合金がそのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に充填されている(即ち、部分的に充填されている)ことを特徴とするものである。
壁部は、パッチワーク状ないし張り子状(いわゆるpaper mache状)のナノフレークカーボンチューブである。本願特許請求の範囲及び明細書において、「ナノフレークカーボンチューブ」とは、フレーク状の黒鉛シートが複数枚(通常は多数)パッチワーク状ないし張り子状(paper mache状)に集合して構成されている、黒鉛シートの集合体からなる炭素製チューブを指す。
このナノフレークカーボンチューブは、一枚の黒鉛シートが円筒状に閉じた単層カーボンナノチューブ(シングルウォールカーボンナノチューブ)や複数枚の黒鉛シートがそれぞれ円筒状に閉じて同心円筒状ないし入れ子状となっている多層カーボンナノチューブ(マルチウォールカーボンナノチューブ)とは全く構造の異なるチューブ状炭素材である。
また、チューブ内空間部に内包される金属は、一種類の金属であっても合金であってもよい。チューブ内空間部に内包される金属としては、鉄、ニッケル、コバルト等が例示できる。また、チューブ内空間部に内包される合金としては、上記金属の2種以上からなる合金、例えば、鉄-ニッケル合金、鉄-コバルト合金、ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル-コバルト合金等の金属同士の合金を例示できる。また、鉄、ニッケル、コバルト等の金属又はこれら金属の合金に炭素が含まれた合金、又は、炭化鉄、炭化ニッケル、炭化コバルト等も例示できる。これらのうちでも、鉄又は炭化鉄が好ましい。
本発明で使用する金属内包カーボンチューブは、(a)ナノフレークカーボンチューブと(b)内包金属又は合金(好ましくは、鉄又は炭化鉄)とからなるものであり、該カーボンチューブ内空間部(即ち、チューブ壁で囲まれた空間)の実質上全てが充填されているのではなく、該空間部の一部、より具体的には10〜90%程度、特に30〜80%程度、好ましくは40〜70%程度が内包金属又は合金(好ましくは、炭化鉄又は鉄)により充填されている。以下、炭化鉄又は鉄を内包するカーボンチューブを「鉄−炭素複合体」という。かかる鉄−炭素複合体は、特開2002−338220号に記載されている。
かかる鉄−炭素複合体は、特開2002−338220号に記載されている製造法に従って、
(1)不活性ガス雰囲気中、圧力を10-5Pa〜200kPaに調整し、反応炉内の酸素濃度を、反応炉容積をA(リットル)とし酸素量をB(Ncc)とした場合の比B/Aが1×10-10〜1×10-1となる濃度に調整して、反応炉内でハロゲン化鉄を600〜900℃まで加熱する工程、及び
(2)上記反応炉内を不活性ガス雰囲気とし、圧力を10-5Pa〜200kPaに調整し、熱分解性炭素源を導入して600〜900℃で加熱処理を行う工程を包含する製造方法により得られる。
以下本発明の鉄又は炭化鉄内包カーボンチューブ(鉄−炭素複合体)について説明する。
本発明で使用する鉄−炭素複合体においては、炭素部分は、製造工程(1)及び(2)を行った後、特定の速度で冷却するとナノフレークカーボンチューブとなり、製造工程(1)及び(2)を行った後、不活性気体中で加熱処理を行い、特定の冷却速度で冷却することにより、入れ子構造の多層カーボンナノチューブとなる。
<(a-1) ナノフレークカーボンチューブ>
本発明のナノフレークカーボンチューブと炭化鉄又は鉄からなる鉄−炭素複合体は、典型的には円柱状であるが、そのような円柱状の鉄−炭素複合体(特開2002−338220号の実施例1で得られたもの)の長手方向にほぼ垂直な断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を図3に示し、側面のTEM写真を図1に示す。
また、図4の(a-1)にそのような円柱状のナノフレークカーボンチューブのTEM像の模式図を示す。図4の(a-1)において、100は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像を模式的に示しており、200は、ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像を模式的に示している。
本発明で使用する鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブは、代表的には、中空円筒状の形態を有し、その断面をTEM観察した場合、弧状グラフェンシート像が同心円状に集合しており、弧状グラフェンシート像がいくつか集まって、不連続な環を形成しており、また、その長手方向をTEMで観察した場合、略直線状のグラフェンシート像が、長手方向にほぼ並行に多層状に配列しており、個々のグラフェンシート像は、長手方向全長にわたって連続しておらず(長手方向全長よりも短く)、いくつかの短いグラフェンシート像が集まって、不連続な略直線状の像をチューブ長手方向全長に亘って形成しているという特徴を有している。
本発明で使用する鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブは、図3及び図4の(a-1)の200から明らかなように、その長手方向にほぼ垂直な断面をTEM観察した場合、多数の弧状グラフェンシート像が同心円状(多層構造のチューブ状)に集合しているが、個々のグラフェンシート像は、例えば210、214に示すように、完全に閉じた連続的な環を形成しておらず、途中で途切れた不連続な環を形成している。一部のグラフェンシート像は、211に示すように、分岐している場合もある。不連続点においては、一つの不連続環を構成する複数の弧状TEM像は、図4の(a-1)の222に示すように、層構造が部分的に乱れている場合もあれば、223に示すように隣接するグラフェンシート像との間に間隔が存在している場合もあるが、TEMで観察される多数の弧状グラフェンシート像は、全体として、多層状のチューブ構造を形成している。
また、図1及び図4の(a-1)の100から明らかなように、ナノフレークカーボンチューブの長手方向をTEMで観察した場合、多数の略直線状のグラフェンシート像が本発明で使用する鉄−炭素複合体の長手方向にほぼ並行に多層状に配列しているが、個々のグラフェンシート像110は、鉄−炭素複合体の長手方向全長にわたって連続しておらず、途中で不連続となっている。一部のグラフェンシート像は、図4の(a-1)の111に示すように、分岐している場合もある。また、不連続点においては、層状に配列したTEM像のうち、一つの不連続層のTEM像は、図4の(a-1)の112に示すように、隣接するグラフェンシート像と少なくとも部分的に重なり合っている場合もあれば、113に示すように隣接するグラフェンシート像と少し離れている場合もあるが、多数の略直線状のTEM像が、全体として多層構造を形成している。
かかる本発明のナノフレークカーボンチューブの構造は、従来の多層カーボンナノチューブと大きく異なっている。即ち、図4の(a-2)の400に示すように、入れ子構造の多層カーボンナノチューブは、その長手方向に垂直な断面のTEM像が、410に示すように、完全な円形のTEM像となっている同心円状のチューブであり、且つ、図4の(a-2)の300に示すように、その長手方向の全長にわたって連続する直線状グラフェンシート像310等が平行に配列している構造(同心円筒状ないし入れ子状の構造)である。
以上より、詳細は未だ完全には解明されていないが、本発明で使用する鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブは、フレーク状のグラフェンシートが多数パッチワーク状ないし張り子状に重なり合って全体としてチューブを形成しているようにみえる。
本発明で使用する鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブをTEM観察した場合において、その長手方向に配向している多数の略直線状のグラフェンシート像に関し、個々のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。即ち、図4の(a-1)の100に示されるように、110で示される略直線状のグラフェンシートのTEM像が多数集まってナノフレークカーボンチューブの壁部のTEM像を構成しており、個々の略直線状のグラフェンシート像の長さは、通常、2〜500nm程度、特に10〜100nm程度である。
このように、鉄−炭素複合体を構成しているナノフレークカーボンチューブの最外面を構成する炭素網面の長さは、500nm以下であり、特に2〜500nm、特に10〜100nmである。
本発明で使用する鉄−炭素複合体を構成するナノフレークカーボンチューブの壁部の炭素部分は、上記のようにフレーク状のグラフェンシートが多数長手方向に配向して全体としてチューブ状となっているが、X線回折法により測定した場合に、炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するものである。
また、本発明で使用する鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブからなる壁部の厚さは、75nm以下、特に1〜40nm程度、好ましくは1〜30nm程度であって、全長に亘って実質的に均一である。
<(b)内包されている炭化鉄又は鉄>
本明細書において、上記カーボンチューブ内空間部の炭化鉄又は鉄による充填率(10〜90%)は、本発明で使用する鉄−炭素複合体を透過型電子顕微鏡で観察し、各カーボンチューブの空間部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の像の面積に対する、炭化鉄又は鉄が充填されている部分の像の面積の割合である。
炭化鉄又は鉄の内包形態は、カーボンチューブ内空間部に連続的に内包されている形態、カーボンチューブ内空間部に断続的に内包されている形態等があるが、基本的には断続的に内包されている。従って、本発明で使用する鉄−炭素複合体は、金属内包炭素複合体ないし鉄化合物内包炭素複合体、炭化鉄又は鉄内包炭素複合体とも言うべきものである。
また、本発明で使用する鉄−炭素複合体に内包されている炭化鉄又は鉄は、カーボンチューブの長手方向に配向しており、結晶性が高く、炭化鉄又は鉄が充填されている範囲のTEM像の面積に対する、結晶性炭化鉄又は鉄のTEM像の面積の割合(以下「結晶化率」という)は、一般に、90〜100%程度、特に95〜100%程度である。
内包されている炭化鉄又は鉄の結晶性が高いことは、本発明鉄−炭素複合体の側面からTEM観察した場合、内包物のTEM像が格子状に配列していることから明らかであり、電子線回折において明確な回折パターンが得られることからも明らかである。
また、本発明で使用する鉄−炭素複合体に炭化鉄又は鉄が内包されていることは、電子顕微鏡、EDX(エネルギー分散型X線検出器)により容易に確認することができる。
<鉄−炭素複合体の全体形状>
本発明で使用する鉄−炭素複合体は、湾曲が少なく、直線状であり、壁部の厚さが全長に亘ってほぼ一定の均一厚さを有しているので、全長に亘って均質な形状を有している。その形状は、柱状で、主に円柱状である。
本発明による鉄−炭素複合体の外径は、通常、1〜150nm程度、特に3〜100nm程度の範囲にあり、好ましくは5〜80nm程度の範囲にある。チューブの長さ(L)の外径(D)に対するアスペクト比(L/D)は、5〜10000程度であり、特に10〜1000程度である。
本発明で使用する鉄−炭素複合体の形状を表す一つの用語である「直線状」なる語句は、次のように定義される。即ち、透過型電子顕微鏡により本発明で使用する鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を200〜2000nm四方の範囲で観察し、像の長さをWとし、該像を直線状に伸ばした時の長さをWoとした場合に、比W/Woが、0.8以上、特に、0.9以上となる形状特性を意味するものとする。
本発明で使用する鉄−炭素複合体は、バルク材料としてみた場合、次の性質を有する。即ち、本発明では、上記のようなナノフレークカーボンチューブのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に鉄または炭化鉄が充填されている鉄−炭素複合体は、顕微鏡観察によりかろうじて観察できる程度の微量ではなく、多数の該鉄−炭素複合体を含むバルク材料であって、鉄−炭素複合体を含む炭素質材料、或いは、炭化鉄又は鉄内包炭素質材料ともいうべき材料の形態で大量に得られる。
特開2002−338220号の実施例1で得られたナノフレークカーボンチューブとそのチューブ内空間に部分充填された炭化鉄からなる本発明炭素質材料の電子顕微鏡写真を、図2に示す。
図2から判るように、本発明で使用する鉄−炭素複合体を含む炭素質材料においては、基本的にはほとんど全ての(特に99%又はそれ以上の)カーボンチューブにおいて、その空間部(即ち、カーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)の10〜90%の範囲に炭化鉄又は鉄が充填されており、空間部が充填されていないカーボンチューブは実質上存在しないのが通常である。但し、場合によっては、炭化鉄又は鉄が充填されていないカーボンチューブも微量混在することがある。
また、本発明の炭素質材料においては、上記のようなカーボンチューブ内空間部の10〜90%に鉄または炭化鉄が充填されている鉄−炭素複合体が主要構成成分であるが、本発明の鉄−炭素質複合体以外に、スス等が含まれている場合がある。そのような場合は、本発明の鉄−炭素質複合体以外の成分を除去して、本発明の炭素質材料中の鉄−炭素質複合体の純度を向上させ、実質上本発明で使用する鉄−炭素複合体のみからなる炭素質材料を得ることもできる。
また、従来の顕微鏡観察で微量確認し得るに過ぎなかった材料とは異なり、本発明で使用する鉄−炭素複合体を含む炭素質材料は大量に合成できるので、その重量を容易に1mg以上とすることができる。
本発明炭素質材料は、該炭素質材料1mgに対して25mm2以上の照射面積で、CuKαのX線を照射した粉末X線回折測定において、内包されている鉄または炭化鉄に帰属される40°<2θ<50°のピークの中で最も強い積分強度を示すピークの積分強度をIaとし、カーボンチューブの炭素網面間の平均距離(d002)に帰属される26°<2θ<27°のピークの積分強度Ibとした場合に、IaのIbに対する比R(=Ia/Ib)が、0.35〜5程度、特に0.5〜4程度であるのが好ましく、より好ましくは1〜3程度である。
本明細書において、上記Ia/Ibの比をR値と呼ぶ。このR値は、本発明で使用する鉄−炭素複合体を含む炭素質材料を、X線回折法において25mm2以上のX線照射面積で観察した場合に、炭素質材料全体の平均値としてピーク強度が観察されるために、TEM分析で測定できる1本の鉄−炭素複合体における内包率ないし充填率ではなく、鉄−炭素複合体の集合物である炭素質材料全体としての、炭化鉄又は鉄充填率ないし内包率の平均値を示すものである。
尚、多数の本発明鉄−炭素複合体を含む炭素質材料全体としての平均充填率は、TEMで複数の視野を観察し、各視野で観察される複数の鉄−炭素複合体における炭化鉄又は鉄の平均充填率を測定し、更に複数の視野の平均充填率の平均値を算出することによっても求めることができる。かかる方法で測定した場合、本発明で使用する鉄−炭素複合体からなる炭素質材料全体としての炭化鉄又は鉄の平均充填率は、10〜90%程度、特に40〜70%程度である。
また、本発明においては、ハロゲン化鉄に代えて、例えば、(イ)ニッケル、コバルト等からなる群から選ばれる金属のハロゲン化物、又は、(ロ)上記(イ)の金属のハロゲン化物と他の金属(例えば鉄)のハロゲン化物との混合物を用いて、上記鉄−炭素複合体の製造法と同様にして、上記(イ)のニッケル、コバルトなどからなる群から選ばれる金属、又は、上記(ロ)の混合物の構成元素からなる合金、又は、上記ニッケル、コバルト等の炭化物が、ナノフレークカーボンチューブのチューブ内空間部の10〜90%の範囲に存在している金属−炭素複合体を得ることができる。
<ナノフレークカーボンチューブ>
上記の金属がナノフレークカーボンチューブのチューブ内空間に部分内包されている金属−炭素複合体を酸処理することにより、内包されている金属を溶解除去し、チューブ内空間部に金属が存在しない中空のナノフレークカーボンチューブを得ることができる。酸としては、塩酸、硝酸等を例示でき、その濃度は1〜10重量%程度のものが好ましい。酸処理方法としては、種々の方法により行うことが可能であるが、例えば、1規定の塩酸500mlに対し金属−炭素複合体5gを室温で24時間攪拌し、攪拌終了後はエタノールで洗浄することにより、中空のナノフレークカーボンチューブを単離することができる。
この酸処理によってもナノフレークカーボンチューブの基本的構成は特に変化を受けない。よって、チューブ内空間部に金属が存在しない中空のナノフレークカーボンチューブにおいても、その最外面を構成する炭素網面の長さは、500nm以下であり、特に2〜500nm、特に10〜100nmである。
(B)成分:樹脂
本発明で使用する樹脂としては、各種のものが使用でき、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂がいずれも使用できる。
熱可塑性樹脂としては、ABS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリカーボネート、アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステルの重合体又は共重合体などのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)等が使用できる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂等が使用できる。
これらのうちでも、特に耐候性に優れ、射出成形できるABS、ポリカーボネート、ポリエチレン、PET、塗料性に優れるエポキシ樹脂、アクリル樹脂(特に、アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステルの重合体又は共重合体など)、PVC、ポリエステル等が好ましい。
また、上記の樹脂は、光硬化性樹脂であってもよい。光硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂のいずれであってもよい。紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂としては、公知の様々なものが使用でき、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エステル樹脂等があげられる。代表的なものとしては、分子中にアクリロイル基を有する紫外線硬化型樹脂であり、エポキシアクリレート系,ウレタンアクリレート系,ポリエステルアクリレート系,ポリオールアクリレート系のオリゴマー、ポリマーと単官能・2官能・あるいは多官能重合性(メタ)アクリル系モノマー、例えばテトラヒドロフルフリルアクリレート,2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート,ポリエチレングリコールジアクリレート,ポリプロピレングリコールジアクリレート,トリメチロールプロパントリアクリレート,ペンタエリトリトールトリアクリレート,ペンタエリトリトールテトラアクリレートなどのモノマー、オリゴマー、ポリマーなどの混合物が使用される。なお、光硬化性樹脂には、通常配合される光重合開始剤等を配合してもよい。
(C)成分:溶媒
本発明では、必要に応じて、特に、樹脂(B)が常温で固体である場合に、溶媒、特に、有機溶媒を使用することにより、ナノスケールカーボンチューブを分散させる媒体としての樹脂の粘度を低下させ、ナノスケールカーボンチューブの分散性を向上させることができる。もちろん、樹脂(B)が常温液状である場合も、粘度調整、(A)成分の分散性向上等の目的で溶媒(C)を使用してもよい。
かかる溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−ブタノール等のアルコール類等が例示される。
これら溶媒のなかでも、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、キシレン、ヘプタン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましいものとして例示できるが、これらに限らず、上記樹脂を溶解又は分散できる溶媒であれば、広い範囲の有機溶媒が使用できる。
赤外線輻射塗料
本発明の赤外線輻射塗料は、上記ナノスケールカーボンチューブ(A)及び常温で液体の樹脂(B)を、又は、上記ナノスケールカーボンチューブ(A)、常温固体又は常温液状の(特に常温で固体の)樹脂(B)及び溶媒(C)を、均一に混合することにより調製される。これら成分を混合するには、遊星ミル、ホモジナイザー、ボールミル、3本ロール、ニーダー、超音波処理等の分散処理方法等の方法を採用できる。
ナノスケールカーボンチューブ(A)の使用量は、樹脂(B)100重量部に対して、0.1〜100重量部程度、好ましくは0.5〜20重量部程度である。溶媒(C)の使用量は、樹脂(B)100重量部に対して、0〜10000重量部程度、好ましくは100〜5000重量部程度、より好ましくは1000〜5000重量部程度である。
本発明の赤外線輻射塗料には、必要に応じて、塗料分野で使用されている種々の成分を添加することができる。例えば、UV吸収剤、着色剤、分散剤(界面活性剤)、酸化防止剤、可塑剤等の各種の添加剤を添加することができる。
赤外線輻射皮膜
こうして得られる本発明の赤外線輻射塗料は、被塗装物に、公知の方法、例えば、スプレーガン、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーまたはハケを用いて塗装される。なお、スプレーガンで塗装する場合は、必要であれば、本発明の塗料を、スプレーガン塗装に適した粘度にまで、希釈剤で希釈してから使用してもよい。かかる希釈剤としては、アルコール類、脂肪族炭化水素等を例示できる。
被塗装物としては、熱放射が望まれる各種の物品、例えば、コンピュータ、携帯電話、テレビジョン、AV機器等の電子機器を例示でき、その表面、特に外表面が塗装される。
かかる被塗装面への塗布後、本発明の赤外線輻射塗料の塗膜は、使用されている樹脂の種類に応じた方法により硬化される。通常、(C)成分である溶媒を含有する塗料を使用した場合は、その塗膜から(C)成分の溶媒を蒸発させることにより、塗膜が得られる。また、(C)成分である溶媒を使用しない場合、特に、(A)成分であるナノスケールカーボンチューブを光硬化性樹脂に分散させた塗料の場合は、塗膜に紫外線又は電子線を照射することにより硬化させる。紫外線又は電子線の照射時間や照射強度は、紫外線硬化 型樹脂 又は電子線硬化型樹脂からなる樹脂組成物、樹脂層の厚さによって異なるが、紫外線の場合は、500〜3000mJ/cm2程度の紫外線を照射するのが好ましい。電子線の場合は、1〜50メガラッド程度照射するのが好ましい。
本発明の赤外線輻射塗料の塗布量は、被塗装物の用途に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、一般には、硬化後の膜厚として、0.005〜2mm程度、特に0.01〜1mm程度とするのが好ましい。
本発明の赤外線輻射皮膜は、樹脂(B)100重量部に対して、ナノスケールカーボンチューブ(A)を0.1〜100重量部程度、好ましくは0.5〜20重量部程度含有する皮膜である。
こうして得られる赤外線輻射皮膜は、従来の赤外線輻射塗膜に比し、膜厚を小さくすることができ、しかも、赤外線を輻射する性質に優れており、放熱性に優れることは勿論のこと、更に膜密着性等の性質においても優れている。
本発明の赤外線輻射皮膜が優れた放熱効果を奏する理由は未だ完全に解明されたわけではないが、本発明で使用するナノスケールカーボンチューブの殆どが直線状の形態を有しているので、塗膜の表面から突出し易く、このため赤外線を放射しやすくなるものと推察される。
また、ナノスケールカーボンチューブが直線状の形態を有しているので、材料の高密度化が図れ、しかも塗膜との密着性もよいため塗膜からの脱離(抜け落ち)も抑制されるので、塗膜の寿命も長いという利点がある。
上記方法により得られる本発明の赤外線輻射皮膜について、更に説明すると、該赤外線輻射皮膜は、前記樹脂(B)を高分子マトリックスとして含有し、該高分子マトリックスとしての樹脂中に前記ナノスケールカーボンチューブ(A)、即ち、最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下であるナノスケールカーボンチューブを含有するものであり、該赤外線輻射皮膜は、ナノスケールカーボンチューブの凝集物を実質的に含有しておらず、個々のナノスケールカーボンチューブが該赤外線輻射皮膜全体に亘って均一に分散していることを特徴とする。
本発明で使用するナノスケールカーボンチューブは、製造した状態では、一本一本バラバラの状態で存在しているものもあるが、多くのチューブは、(一次粒子に対する二次粒子のように)多数本のチューブが絡み合った多数の凝集体として存在している。
ナノスケールカーボンチューブは、かかる凝集物の形態であるにもかかわらず、前記のように樹脂や溶媒との親和性が高いためか、本発明に従って、樹脂に配合したり、樹脂を溶媒に溶解させた溶液に添加混合すると、凝集物が解きほぐれて、基本的に個々のナノスケールカーボンチューブ一本一本の状態にまで均一分散するという驚くべき事実を本発明者らは見出したものである。
赤外線輻射ないし熱放出の観点からは、ナノスケールカーボンチューブは樹脂中に大量に含まれていてもよく、また、ナノスケールカーボンチューブの凝集物が存在していてもよい。
しかし、赤外線輻射皮膜の外力に対する耐久性(被塗布物との密着性等)を考慮すると、平滑な表面を有する皮膜となるのが好ましく、そのためには、ナノスケールカーボンチューブの凝集物が皮膜中に実質上存在しないことが好ましいと考えられる。また、個々のナノスケールカーボンチューブは、完全に離れてバラバラの状態で存在するのではなく、赤外線輻射皮膜の全体に亘って、チューブ相互が相互に接触ないし接近した状態にあると、基板やハウジングからの熱伝導性が高まり、放熱特性が高まると思われる。
従って、平滑な表面を有すると共により一層高い放熱特性を有する赤外線輻射皮膜を得る観点からは、ナノスケールカーボンチューブの凝集物を実質的に含有しておらず、個々のナノスケールカーボンチューブが該赤外線輻射皮膜全体に亘って均一に分散していると共に、チューブ相互が相互に接触ないし接近した状態にあることが望ましい。
このようなナノスケールカーボンチューブの分散状態を達成するには、本発明の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を前記所定割合で使用することが推奨される。
本願特許請求の範囲及び明細書において、「相互に接触又は接近した状態」とは、隣り合うナノスケールカーボンチューブどうしが接触又は接近した状態、ないし、あるナノスケールカーボンチューブとその直近のナノスケールカーボンチューブとが接触又は接近している状態を指すものとする。
また、本願特許請求の範囲及び明細書において、赤外線輻射皮膜(及び後述の赤外線輻射フィルム、熱放射性ハウジング等)に関して、「凝集物を実質的に含有していない」とは、次の分散状態(d1)又は(d2)を指すものとする。
(d1):ナノスケールカーボンチューブの凝集物が全く存在せず、個々のナノスケールカーボンチューブが、赤外線輻射皮膜の全体に亘って均一に分散しており、あるナノスケールカーボンチューブとそれに隣り合うナノスケールカーボンチューブとの間には樹脂が存在している状態、又は、
(d2):ナノスケールカーボンチューブの一部は、凝集物として少量存在し、残りの大多数の個々のナノスケールカーボンチューブが、赤外線輻射皮膜の全体に亘って均一に分散しており、あるナノスケールカーボンチューブとそれに隣り合うナノスケールカーボンチューブとの間には樹脂が存在している状態。
上記状態(d2)に関して、ナノスケールカーボンチューブの凝集体のサイズは小さく、通常、その最大粒径は10μ未満、好ましくは5μ未満、より好ましくは2μ未満、さらに好ましくは1μm未満である。また、そのような凝集体の存在量は少量であり、本発明の樹脂組成物、樹脂成形体、導電層ないし制電層、帯電防止膜等中でのナノスケールカーボンチューブの分散状態を走査型電子顕微鏡で観察した場合に、凝集物の像の面積(a)の観察視野面積(A)に対する百分率(100×a/A)を100視野について測定すると、その平均値が一般には10%以下、特に5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下という程度の存在割合である。
このように本発明によれば、ナノスケールカーボンチューブは、樹脂中において、ナノスケールカーボンチューブ凝集物が全く存在しない状態で均一に分散しているか、又は、少量のナノスケールカーボンチューブの凝集物と大多数の均一分散したナノスケールカーボンチューブとの混合状態で存在している。
熱放射性基板及び熱放射性ハウジング
本発明の赤外線輻射塗料は、電子部品実装用の基板の少なくとも一つの面に塗布することにより、熱放射性基板を製造するのに適している。
電子部品は、一般に発熱するものが多く、従来から、電子部品を実装する基板の部品実装側(おもて面側)に電子部品に対して信号を入出力するための金属箔(銅箔)パターンが形成され、基板裏面側に放熱用の金属箔(銅箔)層が形成されている基板等が使用されている。
しかしながら、最近のCPU、MPU等の電子部品に対する高速処理の要請に伴い、これら部品の動作クロックの周波数が高くなっており、かかる電子部品からの発熱量が多くなりつつある。そのため、放熱量をより多くすることが要請されている。
一般に、このような電子部品搭載基板を備えたコンピュータ等の電子機器では、基板の熱を熱伝導や熱伝達により筐体等に逃がす方法を用いている。但し、電子部品搭載基板の発熱温度は通常50〜80℃の温度範囲にあって電子機器の周囲温度との差が小さいため、十分な放熱を行えないことが多い。
また、電子部品の過熱を防止するため、一時的に電子部品の動作クロックを下げる制御を行う場合がある。但し、十分な放熱量がないと、電子部品の温度が下がるまでに長時間を要することになり、その間遅い処理スピードでの電子機器の使用を強いられることになる。
そこで、かかる電子部品の過熱を防止するのに、本発明の赤外線輻射塗料を、電子部品実装用の基板の少なくとも一つの面に塗装してなる熱放射性基板を用いることができる。例えば、CPUボードの基板の裏面側に本発明の赤外線輻射塗料を用いて熱放射膜を形成することにより、放熱量を増大させることができる。
従って、本発明は、前記本発明の赤外線輻射塗料を、電子部品実装用の基板の少なくとも一つの面に塗装してなる熱放射膜を設けた熱放射性基板を提供するものでもある。上記基板としては、熱伝導の良い金属(例えば、アルミニウム、ステンレス、銀、銅)やセラミックス等が例示できる。また、製品によっては表層に電気絶縁性の有機層を設けた基板も使用できる。
また、本発明は、上記本発明の赤外線輻射塗料を、前記のような電子機器のハウジングのおもて面または裏面または両面に塗装してなる熱放射膜を設けた熱放射性ハウジングを提供するものでもある。該ハウジングとしては、電子機器のハウジングに使用されている物であれば、特に限定されず、プラスティック製ハウジング、金属製ハウジング等を例示できる。
上記熱放射性基板及び熱放射性ハウジングのいずれの場合も、熱放射性皮膜の厚さは、広い範囲から選択できるが、乾燥後の膜厚を、一般には5μm以上、特に、5〜1000μmとすれば、下地となる金属層の影響によって熱放射膜の赤外線放射率が低下するのを防止することができる。該熱放射膜は、樹脂(B)100重量部に対して、ナノスケールカーボンチューブ(A)を0.1〜100重量部程度、好ましくは0.5〜20重量部程度含有する。
以下に実施例を掲げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
参考例1
特許第3355442号に記載の方法に従い、原料としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用い、触媒として塩化第1鉄を用いて、窒素雰囲気中、900℃で加熱処理を行って、アモルファスナノスケールカーボンチューブを得た。
得られたアモルファスナノスケールカーボンチューブは、外径60〜100nmであり、壁部はアモルファス構造を有していた。X線回折による回折角度(2θ)は23.0度であり、炭素網平面間隔(d002)は3.87Åであり、2θバンドの半値幅は8.3度であった。
参考例2
原料としてトルエンを用い、触媒として塩化第2鉄を用い、特開2002−338220号に記載の方法に従って反応を行うことにより、炭化鉄がナノフレークカーボンチューブのチューブ内空間部に部分的に内包された鉄−炭素複合体を得た。
得られた鉄−炭素複合体は、SEM観察の結果から、外径20〜100nm、長さ1〜10ミクロンで直線性の高いものであった。また、炭素からなる壁部の厚さは、5〜40nmであり、全長に亘って実質的に均一であった。該壁部は、TEM観察において、その炭素壁面が、入れ子状でもスクロール状でもなく、パッチワーク状(いわゆる paper mache 状ないし張り子状)になっているように見え、また、X線回折法から炭素網面間の平均距離(d002)が0.34nm以下の黒鉛質構造を有するナノフレークカーボンチューブであることを確認した。また、X線回折、EDXにより、上記本発明の鉄−炭素複合体には炭化鉄が内包されていることを確認した。
得られた本発明の炭素質材料を構成する多数の鉄−炭素複合体を電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、ナノフレークカーボンチューブの空間部(即ち、ナノフレークカーボンチューブのチューブ壁で囲まれた空間)への炭化鉄の充填率が20〜60%の範囲の種々の充填率を有する鉄−炭素複合体が混在していた。
ちなみに、該多数の鉄−炭素複合体のナノフレークカーボンチューブ内空間部への炭化鉄のTEM観察像の複数の視野を観察して算出した平均充填率は40%であった。また、X線回折から算出されたR値は、0.57であった。
実施例1
上記参考例1で得られたアモルファスナノスケールカーボンチューブ3.95gに、紫外線硬化性アクリル樹脂(日本化薬株式会社製アクリル樹脂、KAYARD EAM-2160)6.05gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)0.38gを調合し、ペイントシェーカーを用いてPGMEAでアモルファスナノスケールカーボンチューブの濃度が1%になるよう希釈して、本発明の赤外線輻射塗料を調製した。
得られた本発明の赤外線輻射塗料をアルミニウム基板の上にスピンコーティング(500rpmを5秒、1000rpmを60秒)し、紫外線を200sec照射することにより、膜厚15μmの評価用サンプル1を得た。
実施例2
アモルファスナノスケールカーボンチューブ3.95gに代えて前記参考例2で得られた鉄−炭素複合体(炭化鉄部分内包ナノフレークカーボンチューブ)8.9gを使用し、紫外線硬化性アクリル樹脂の量を1.1gに変更し、PGMEA0.38gに代えてPGMEA0.59gを使用した以外は実施例1と同様にして、評価用サンプル2を得た。
比較例1
アモルファスカーボンナノチューブ3.95gに代えて市販の単層カーボンナノチューブ6.44gを使用し、紫外線硬化性アクリル樹脂の量を3.56gに変更し、PGMEA0.38gに代えてPGMEA0.56gを使用した以外は実施例1と同様にして、評価用サンプル3を得た。
試験例1
上記で得られた評価用サンプル1〜3の赤外線輻射性能を、次の方法により評価した。
即ち、評価用サンプル1〜3ならびに対照としてアクリル樹脂(膜厚20μm)を塗布したアルミニウム基板(評価用サンプル4)、市販の赤外線輻射塗料(オキツモ社製、高効率輻射塗料B-600、膜厚30μm)を塗布したアルミニウム基板(評価用サンプル5)ならびにアルミニウム基板単独(評価用サンプル6)の裏面に、熱電対を耐熱テープで固定する。
100℃に加熱したホットプレート上に、それぞれの評価用サンプルを乗せ、熱電対の出力した起電力をデータロガー(NR-1000、キーエンス製)に取り込み、約90℃付近で温度変化が安定するまで待つ。直ちに、評価用サンプルをホットプレート上から断熱スポンジの上に移して、評価用サンプルの冷却曲線を得、熱電対の指示温度から80℃までの冷却速度を求めた。結果は以下の表1の通りである。
Figure 2004162051
試験例2
上記試験例1で使用した評価用サンプル1〜6の表面平滑性を評価するために、それらの表面を、表面粗さ形状測定機(商品名「Surfcom 480A」、東京精密社製)で測定した。結果を図5及び図6に示す。
図5及び図6から判るように、評価用サンプル1(アモルファスナノスケールカーボンチューブ添加のアクリル樹脂皮膜)、ならびに評価用サンプル2(炭化鉄部分内包ナノフレークカーボンチューブ添加のアクリル樹脂皮膜)は、評価用サンプル4(アクリル樹脂皮膜)、評価用サンプル6(アルミニウム基板)と同等程度の平滑性を有し、評価用サンプル3(市販単層カーボンナノチューブ含有塗料の皮膜)や評価用サンプル5(市販の赤外線輻射塗料の皮膜)に比べ10分の1程度の表面粗さであった。
実施例3〜5
市販のシリコーン系放熱塗料(商品名「TSE-3941M」、GE東芝シリコーン社製、樹脂=シリコーン樹脂、溶媒=アルコール系溶媒)に、上記参考例2で得た鉄−炭素複合体(炭化鉄部分内包ナノフレークカーボンチューブ)を1重量%、2重量%、3重量%ずつ添加しペイントシェーカーで混合して本発明の赤外線輻射塗料を作製した。
得られた本発明の赤外線輻射塗料を70mm×150mm×厚さ1.6mmの金属製基板(SS-400)上にバーコーターで硬化後の皮膜厚さが30μmになるように塗布硬化させた。
作製したサンプルを、基板サンプル1(上記市販放熱塗料のみの硬化皮膜を施したもの)、基板サンプル2(鉄−炭素複合体含量1重量%の本発明赤外線輻射塗料の硬化皮膜を施したもの:実施例3)、基板サンプル3(鉄−炭素複合体含量2重量%の本発明赤外線輻射塗料の硬化皮膜を施したもの:実施例4)、基板サンプル4(鉄−炭素複合体含量3重量%の本発明赤外線輻射塗料の硬化皮膜を施したもの:実施例5)とする。
それぞれの基板サンプルの輻射効果を測定するため、以下の手順で輻射実験を行った。即ち、あらかじめ100℃に加熱したホットプレートに各基板サンプルをのせ、温度変化が安定するまで1時間放置した。基板サンプルの表面温度を接触型表面温度計で測定し、ホットプレートの温度(100℃)と基板サンプルの表面温度の差により輻射効果を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2004162051
表2から判るように、炭化鉄部分内包ナノフレークカーボンチューブを添加することにより高い輻射効果を確認することができた。
実施例6及び7
特許第3355442号に記載の方法に従い製造したアモルファスナノスケールカーボンチューブを100重量部、下記表3に記載の樹脂500重量部及び下記表3に記載の有機溶剤1000重量部を使用し、これらを混合装置として遊星ミル(フリッチェジャパン製)を用いて400rpmで1時間混合して均一混合物とし、本発明の赤外線輻射塗料を得た。
この赤外線輻射塗料を、電子機器のハウジングに使用するアルミニウム板の研磨面(放射率=0.10)に塗装し、乾燥後の膜厚が50μmの赤外線輻射塗膜を形成した。
放射温度計(HORIBA製IT-530N放射温度計)の測定値が、接触式の熱電対温度計で測った温度と等しくなるように 「放射率」を設定する方法により、放射率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2004162051
特開2002−338220号の実施例1で得られた炭素質材料を構成する鉄−炭素複合体1本の電子顕微鏡(TEM)写真である。 特開2002−338220号の実施例1で得られた炭素質材料における鉄−炭素複合体の存在状態を示す電子顕微鏡(TEM)写真である。 特開2002−338220号の実施例1で得られた鉄−炭素複合体1本を輪切状にした電子顕微鏡(TEM)写真である。尚、図3の写真中に示されている黒三角(▲)は、組成分析のためのEDX測定ポイントを示している。 カーボンチューブのTEM像の模式図を示し、(a-1)は、円柱状のナノフレークカーボンチューブのTEM像の模式図であり、(a-2)は入れ子構造の多層カーボンナノチューブのTEM像の模式図である。 試験例1で使用した評価用サンプル1〜3の表面平滑性を評価した結果を示すチャートである。 試験例1で使用した評価用サンプル4〜6の表面平滑性を評価した結果を示すチャートである。
符号の説明
100 ナノフレークカーボンチューブの長手方向のTEM像
110 略直線状のグラフェンシート像
200 ナノフレークカーボンチューブの長手方向にほぼ垂直な断面のTEM像
210 弧状グラフェンシート像
300 入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向の全長にわたって連続する直線状グラフェンシート像
400 入れ子構造の多層カーボンナノチューブの長手方向に垂直な断面のTEM像

Claims (19)

  1. (A)ナノスケールカーボンチューブ及び(B)常温液状の樹脂を含有するか、又は、(A)ナノスケールカーボンチューブ、(B)常温固体又は常温液状の樹脂及び(C)溶媒を含有する赤外線輻射塗料であって、該ナノスケールカーボンチューブの最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下であることを特徴とする赤外線輻射塗料。
  2. ナノスケールカーボンチューブが均一に分散している請求項1に記載の赤外線輻射塗料。
  3. (A)成分であるナノスケールカーボンチューブが、
    (i) アモルファスナノスケールカーボンチューブ、
    (ii) ナノフレークカーボンチューブ、
    (iii) (a)ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれる金属又はその合金とからなり、該ナノフレークカーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、該金属又はその合金が存在している金属−炭素複合体、又は
    (iv)上記(i)〜(iii)の2種以上の混合物
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線輻射塗料。
  4. (B)成分である樹脂が、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の赤外線輻射塗料。
  5. (A)ナノスケールカーボンチューブ、(B) 常温固体又は常温液状の樹脂及び(C)溶媒を含有する請求項1に記載の赤外線輻射塗料。
  6. (C)成分である溶媒が、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類及び脂肪族炭化水素類からなる群から選択された少なくとも1種である請求項1又は5に記載の赤外線輻射塗料。
  7. (C)成分である溶媒が、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、キシレン、ヘプタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール及び2−(2−メトキシエトキシ)エタノール及び2−ブタノールからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1又は5に記載の赤外線輻射塗料。
  8. (B)成分である樹脂100重量部当たり、(A)成分であるナノスケールカーボンチューブの量が0.1〜100重量部であり、(C)成分である溶媒の量が0〜10000重量部である請求項1〜7のいずれかに記載の赤外線輻射塗料。
  9. (A)ナノスケールカーボンチューブ及び(B)樹脂を含有し、該ナノスケールカーボンチューブの最外面を構成する炭素網面の長さが500nm以下であることを特徴とする赤外線輻射皮膜。
  10. ナノスケールカーボンチューブの凝集物を実質的に含有しておらず、ナノスケールカーボンチューブが皮膜全体に亘って均一に分散している請求項9に記載の赤外線輻射皮膜。
  11. (A)成分であるナノスケールカーボンチューブが、
    (i) アモルファスナノスケールカーボンチューブ、
    (ii) ナノフレークカーボンチューブ、
    (iii) (a)ナノフレークカーボンチューブと、(b)鉄、ニッケル及びコバルトからなる群から選ばれる金属又はその合金とからなり、該ナノフレークカーボンチューブ(a)のチューブ内空間部の10〜90%の範囲に、該金属又はその合金が存在している金属−炭素複合体、又は
    (iv)上記(i)〜(iii)の2種以上の混合物
    であることを特徴とする請求項9又は10に記載の赤外線輻射皮膜。
  12. 電子部品実装用基板、及び、該基板上に形成された請求項9〜11のいずれかに記載の赤外線輻射皮膜を備えていることを特徴とする熱放射性基板。
  13. 電子機器用ハウジング、及び、該電子機器用ハウジングの表面上に形成された請求項9〜11のいずれかに記載の赤外線輻射皮膜を備えていることを特徴とする熱放射性ハウジング。
  14. (A)アモルファスナノスケールカーボンチューブ、(B)樹脂及び(C)有機溶媒を含有することを特徴とする赤外線輻射塗料。
  15. (B)成分が、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である請求項14に記載の赤外線輻射塗料。
  16. (C)成分の溶媒が、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、キシレン及びヘプタンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項14に記載の赤外線輻射塗料。
  17. 請求項14〜16のいずれかに記載の赤外線輻射塗料から得られる赤外線輻射皮膜。
  18. 請求項14〜16のいずれかに記載の赤外線輻射塗料を、電子部品実装用の基板の少なくとも一つの面に塗装してなる熱放射性基板。
  19. 請求項14〜16のいずれかに記載の赤外線輻射塗料を、電子機器のハウジングの少なくとも一つの面に塗装してなる熱放射性ハウジング。
JP2003360605A 2002-10-22 2003-10-21 赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジング Pending JP2004162051A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003360605A JP2004162051A (ja) 2002-10-22 2003-10-21 赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジング

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002307613 2002-10-22
JP2003360605A JP2004162051A (ja) 2002-10-22 2003-10-21 赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジング

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004162051A true JP2004162051A (ja) 2004-06-10

Family

ID=32828062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003360605A Pending JP2004162051A (ja) 2002-10-22 2003-10-21 赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジング

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004162051A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006086471A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Yaskawa Electric Corp 放熱フィンおよびその製造方法
JP2013032524A (ja) * 2012-08-15 2013-02-14 Osaka Gas Co Ltd 導電性ないし制電性成形体及びその製造方法
JP2013100454A (ja) * 2011-10-14 2013-05-23 Jnc Corp 放熱塗料組成物とそれを用いた放熱部材
CN104163620A (zh) * 2014-07-04 2014-11-26 航天材料及工艺研究所 一种高红外发射率填料及其制备方法
KR20180013819A (ko) 2016-07-29 2018-02-07 금호석유화학 주식회사 탄소계 코팅액 조성물, 이의 제조방법, 및 이를 이용한 패터닝방법

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06227806A (ja) * 1992-12-22 1994-08-16 Nec Corp 異物質内包カーボンナノチューブとその製造方法
JPH11310406A (ja) * 1998-04-30 1999-11-09 Osaka Gas Co Ltd 機能性炭素材料の製造法
JPH11349308A (ja) * 1998-06-08 1999-12-21 Osaka Gas Co Ltd 機能性炭素材料の製造法
JPH11349307A (ja) * 1998-06-05 1999-12-21 Osaka Gas Co Ltd 機能性炭素材料の製造方法
WO2000040509A1 (fr) * 1998-12-28 2000-07-13 Osaka Gas Company Limited Tube de carbone amorphe de l'ordre du nanometre et son procede de fabrication
JP2001089116A (ja) * 1999-09-16 2001-04-03 Osaka Gas Co Ltd 金属内包炭素複合体およびその製造方法
JP2002009213A (ja) * 2000-04-17 2002-01-11 Suzuki Sogyo Co Ltd 熱伝導性シート
JP2002038033A (ja) * 2000-05-19 2002-02-06 Suzuki Sogyo Co Ltd 熱伝導性シート
JP2002228085A (ja) * 2001-01-31 2002-08-14 Sumitomo Metal Ind Ltd 熱放射性表面処理材
JP2002273741A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Polymatech Co Ltd カーボンナノチューブ複合成形体及びその製造方法
JP2003276129A (ja) * 2002-03-26 2003-09-30 Osaka Gas Co Ltd 遠赤外線効果を有するコーティング構造

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06227806A (ja) * 1992-12-22 1994-08-16 Nec Corp 異物質内包カーボンナノチューブとその製造方法
JPH11310406A (ja) * 1998-04-30 1999-11-09 Osaka Gas Co Ltd 機能性炭素材料の製造法
JPH11349307A (ja) * 1998-06-05 1999-12-21 Osaka Gas Co Ltd 機能性炭素材料の製造方法
JPH11349308A (ja) * 1998-06-08 1999-12-21 Osaka Gas Co Ltd 機能性炭素材料の製造法
WO2000040509A1 (fr) * 1998-12-28 2000-07-13 Osaka Gas Company Limited Tube de carbone amorphe de l'ordre du nanometre et son procede de fabrication
JP2001089116A (ja) * 1999-09-16 2001-04-03 Osaka Gas Co Ltd 金属内包炭素複合体およびその製造方法
JP2002009213A (ja) * 2000-04-17 2002-01-11 Suzuki Sogyo Co Ltd 熱伝導性シート
JP2002038033A (ja) * 2000-05-19 2002-02-06 Suzuki Sogyo Co Ltd 熱伝導性シート
JP2002228085A (ja) * 2001-01-31 2002-08-14 Sumitomo Metal Ind Ltd 熱放射性表面処理材
JP2002273741A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Polymatech Co Ltd カーボンナノチューブ複合成形体及びその製造方法
JP2003276129A (ja) * 2002-03-26 2003-09-30 Osaka Gas Co Ltd 遠赤外線効果を有するコーティング構造

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006086471A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Yaskawa Electric Corp 放熱フィンおよびその製造方法
JP4666203B2 (ja) * 2004-09-17 2011-04-06 株式会社安川電機 放熱フィンおよびその製造方法
JP2013100454A (ja) * 2011-10-14 2013-05-23 Jnc Corp 放熱塗料組成物とそれを用いた放熱部材
JP2013032524A (ja) * 2012-08-15 2013-02-14 Osaka Gas Co Ltd 導電性ないし制電性成形体及びその製造方法
CN104163620A (zh) * 2014-07-04 2014-11-26 航天材料及工艺研究所 一种高红外发射率填料及其制备方法
KR20180013819A (ko) 2016-07-29 2018-02-07 금호석유화학 주식회사 탄소계 코팅액 조성물, 이의 제조방법, 및 이를 이용한 패터닝방법
KR101985698B1 (ko) * 2016-07-29 2019-06-04 금호석유화학 주식회사 탄소계 코팅액 조성물, 이의 제조방법, 및 이를 이용한 패터닝방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4480368B2 (ja) ナノスケールカーボンを含有する樹脂組成物、導電性ないし制電性樹脂成形体、導電性ないし制電性樹脂コーティング組成物及び帯電防止膜及びこれらの製造法
Al-Saleh et al. A review of vapor grown carbon nanofiber/polymer conductive composites
JP6258303B2 (ja) 光照射による加熱焼成用の樹脂基材フィルム、基板及び加熱焼成方法
JP5205947B2 (ja) 樹脂炭素複合材料
US9398733B2 (en) Electromagnetic shielding composite
US20100044584A1 (en) Carbon nanotube containing materials and articles containing such materials for altering electromagnetic radiation
KR101785350B1 (ko) 광소결을 이용한 전도성 금속박막의 제조방법
JP2009074072A (ja) 加熱処理によるカーボンナノチューブ含有樹脂成形体の導電性改善方法
US20150305212A1 (en) Graphene nanoplatelets- or graphite nanoplatelets-based nanocomposites for reducing electromagnetic interferences
JP2006114877A (ja) 電磁波吸収シート、電磁波吸収シート積層体及びそれらを用いた電磁波吸収性ハウジング
JP2014531382A (ja) 動的熱界面材料
JP5443877B2 (ja) 透明導電膜付き基材及び透明導電膜付き基材の製造方法
JP2006310154A (ja) 透明導電膜および透明導電膜用コーティング組成物
JP2011060751A (ja) 光エネルギーまたは熱エネルギーにより形成された導電性材料、導電性材料の製造方法および導電性組成物
Joseph et al. Electromagnetic interference shielding characteristics of SrTiO3 nanoparticles induced polyvinyl chloride and polyvinylidene fluoride blend nanocomposites
Liu et al. Improved thermal conductivity of epoxy resin by graphene–nickel three-dimensional filler
TWI339465B (en) Electromagnetic shielding layer and method for making the same
TW201247804A (en) UV-curable coatings containing carbon nanotubes
Wu et al. Preparation of triethylamine stabilized silver nanoparticles for low-temperature sintering
TW201117230A (en) Electrically conductive composition and fabrication method thereof
KR101468975B1 (ko) 저차원 소재 고전도성 전도막
JP2004162051A (ja) 赤外線輻射塗料、赤外線輻射皮膜、熱放射性基板及び熱放射性ハウジング
KR101681291B1 (ko) 탄소나노튜브 기반 하이브리드 방열시트 및 그 제조방법
JP4462891B2 (ja) 電磁波吸収用塗料組成物、電磁波吸収性ハウジング及び電磁波吸収用フィルム又はシート
US20060115409A1 (en) Method for producing carbon nanotube

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091015

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091222

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100120