JP4446645B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機、回胴式遊技機などの遊技機に関し、特に、主制御基板の出力ポートを一つにした遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾球遊技機は、一般に、機能別に分離された複数の回路基板で構成され、複数の回路基板が協働して全体として複雑な遊技動作を実現している。このような遊技機では、遊技制御を統括的に担当する主制御基板と、主制御基板からの制御コマンドに基づいて動作する複数のサブ制御基板とで構成されるのが一般的である。
【0003】
サブ制御基板としては、例えば、液晶ディスプレイを制御する図柄制御基板、遊技球の払出動作を制御する払出制御基板、LEDランプなどを点滅させて遊技動作を盛上げるランプ制御基板、音声的に遊技動作を盛上げる音声制御基板などが存在する。そして、主制御基板から複数個のサブ制御基板にそれぞれ制御コマンドを送出するため、主制御基板には、サブ制御基板と同数の出力ポートが設けられている。この回路構成によれば、或る出力ポートに制御コマンドを出力した後は、その制御コマンドを該当するサブ制御基板が受信したか否かに係わらず、直ちに別の出力ポートに制御コマンドを出力することができ、処理の迅速化という意味で優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような回路構成では、サブ制御基板の個数に応じた出力ポートが必要となるので、回路構成のコンパクト化や主制御基板の小型化の障害となっていた。すなわち、より複雑で高度な遊技制御を実現しようとすると、そのための回路構成や回路基板が必要となるところ、それらを遊技機内部の限られた空間に収納するには、全ての回路を極力コンパクト化する必要がある。
【0005】
また、遊技機では、機種によってサブ制御基板の個数も相違するところ、従来の回路構成では主制御基板を共通化できず、機種毎の主制御基板を用意するしかないという問題点もあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、主制御基板の回路構成をコンパクト化できるだけでなく、サブ制御基板の個数に係わらず主制御基板を共通化することもできる遊技機を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者が種々検討したところ、制御コマンドを数バイト程度に制限してパラレル伝送すれば、特定のサブ制御基板が制御コマンドを受信し終わるまで主制御基板で待機し、その後で次のサブ制御基板に向けた制御コマンドの伝送を開始しても何の問題がないことを見出して本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かの抽選処理を実行し、前記抽選処理の結果に基づいて遊技動作を制御する主制御基板と、前記主制御基板からの制御コマンドに基づいて所定の遊技動作を行うM個(M<N)のサブ制御基板と、前記主制御基板と前記サブ制御基板の間に設けられ、前記主制御基板から出力された単一の前記制御コマンドを個々の前記サブ制御基板に向けて分岐させて伝送する一方、前記主制御基板から出力されたN個のNビット長のストローブ信号のうちのM個を伝送する中継基板とを設け、前記中継基板は、前記制御コマンドと、前記N個のNビット長のストローブ信号とを前記主制御基板から受ける入力コネクタと、前記制御コマンドと、前記N個のNビット長のストローブ信号のうちのM個とを、前記M個のサブ制御基板向けに編成して出力するM個の出力コネクタと、を有し、前記主制御基板には、前記制御コマンドを出力するコマンド出力ポートと、前記N個のNビット長のストローブ信号を出力するSTB出力ポートと、前記STB出力ポートから前記ストローブ信号が出力されることを条件に、前記コマンド出力ポートが出力した制御コマンドを、前記主制御基板から前記中継基板に出力する駆動部とが設けられている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の遊技機を実施例に基づいて更に詳細に説明する。図1は、実施例に係るパチンコ機の全体構成を図示したブロック図である。
【0012】
図示のパチンコ機は、遊技動作を中心的に制御する主制御基板1と、液晶ディスプレイ8の動作を制御する図柄制御基板2と、音声的に遊技動作を盛上げる音声制御基板3と、ランプ類の点滅動作させて遊技動作を盛上げるランプ制御基板4と、遊技球を払出す払出制御基板5と、払出制御基板5に制御されて遊技球を発射する発射制御基板7と、AC24Vを受けて装置各部に直流電圧を供給する電源基板6とを中心に構成されている。
【0013】
主制御基板1、図柄制御基板2、音声制御基板3、ランプ制御基板4、払出制御基板5は、Z80CPU相当品を内蔵したワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路で構成されており、サブ制御基板2〜5は、主制御基板1からの制御コマンドに基づいて個別的な制御動作を実現している。この実施例の場合には、制御コマンドは2バイト長であり、一方向のパラレル通信方式によって伝送されている。
【0014】
図2は、主制御基板1の回路構成を示すブロック図である。図示の通り、主制御基板1は、ワンチップマイコンからなるCPU回路50と、CPU動作クロックCLKの整数倍の周波数であるクロック信号Φ0を発生するシステムクロック発生部51と、CPUからのアドレス信号に基づき各部のチップセレクト信号CSを生成するデコード回路52と、CPUからのデータを出力するための出力ポート回路53と、外部データをCPUが取り込むための入力ポート回路54と、各サブ制御基板2〜5に制御コマンドを出力する出力駆動回路55と、遊技盤各部のスイッチ類のON/OFF状態を入力するスイッチ入力回路56とを中心に構成されている。
【0015】
図3は、主制御基板1と、サブ制御基板2〜5の接続関係をより詳細に図示したブロック図である。図示の通り、主制御基板1からの制御コマンドとストローブ信号STBは、中継基板TRANを経由して各サブ制御基板2〜5に個別的に伝送されている。したがって、図柄制御基板2が存在しないためにサブ制御基板の個数が3個の遊技機であっても、中継基板TRANを別の中継基板TRAN’に代えるだけで対処することができる。なお、図示の例では、サブ制御基板が最大4個であるとの前提に立った設計になっているが、ストローブ信号STBの個数をN個(N>4)に増加させておけば、N個のサブ制御基板を有する遊技機にも対応できる。
【0016】
図3には、サブ制御基板が最大でも4個である場合の主制御基板1の出力ポート回路53と出力駆動回路55の具体的構成を図示している。出力ポート回路53は、8ビットの制御コマンドを出力するコマンド出力ポート53aと、各サブ制御基板2〜5に向けた4ビットのストローブ信号STBを出力するSTB出力ポート53bとで構成されている。このように、この実施例では、サブ制御基板の個数に係わらず、単一のコマンド出力ポート53aを時間順次に使用することで対処している。なお、出力ポートは、制御信号CS1に応じて8ビットデータをラッチ(一時記憶)するものであれば特に限定されないが、この実施例では、74273相当品のD型フリップフロップを用いている。
【0017】
出力駆動回路55は、詳細には、STB出力ポートの4ビット出力を受けるNORゲート57と、制御コマンドを出力する第1駆動部(第1ドライバ)55aと、ストローブ信号STBを出力する第2駆動部(第2ドライバ)55bとで構成されている。なお、駆動部55a,55bは、ドライバ機能を有するものであれば特に限定されないが、この実施例では、74244相当品のバスバッファを用いている。
【0018】
第1駆動部55aのチップイネーブル端子には、NORゲート57の出力が供給されている。したがって、NORゲート57の何れかの入力データ(具体的にはストローブ信号STBの何れか)がHレベルになると、第1駆動部55aは、コマンド出力ポート53aから受けた制御コマンドを出力コネクタCNに出力することになる。一方、第2駆動部55bのチップイネーブル端子は、Lレベルに固定されているので、第2駆動部55bは、受けたストローブ信号STBを直ちに出力コネクタCNに出力する。
【0019】
中継基板TRANは、主制御基板1から8ビット長の制御コマンドと4ビット長のストローブ信号STBを入力コネクタCNiから受けて、これらを各サブ制御基板向けに編成して出力コネクタCNo0〜CNo3に出力している。各出力コネクタCNo0〜CNo3には、8ビット長の制御コマンドが共通的に伝送されるが、ストローブ信号STB0〜STB3は、それぞれ個別的に出力コネクタCNo0〜CNo3に伝送される。
【0020】
中継基板TRANの出力コネクタCNo0〜CNo3に伝送された制御コマンド及びストローブ信号STBiは、不図示のケーブルを通して、サブ基板2〜5の入力コネクタCNa〜CNdに伝送される。図示を省略しているが、図柄制御基板2の入力コネクタCNaにはストローブ信号STB0及び制御コマンドが、音声制御基板3の入力コネクタCNbにはストローブ信号STB1及び制御コマンドが、ランプ制御基板4の入力コネクタCNcにはストローブ信号STB2及び制御コマンドが、払出制御基板5の入力コネクタCNdにはストローブ信号STB3及び制御コマンドがそれぞれ伝送される。
【0021】
入力コネクタCNa〜CNdに伝送された制御コマンドは、各サブ制御基板の入力ポート58a〜58dに供給され、ストローブ信号STB0〜STB3は各サブ制御基板のCPUの割込み端子INTに供給されている。そのため、ストローブ信号STBがHレベルとなると、サブ制御基板2〜5のCPUには割込みがかかることになる。そして、各CPUは、割込み処理プログラムにおいて、各入力ポート58a〜58dの制御コマンドを取得している。
【0022】
図4及び図5は、主制御基板1の制御プログラムを示すフローチャートである。主制御基板1の制御プログラムは、電源投入後に実行され通常は無限ループ処理(ST6)で終わる初期処理プログラム(図4)と、所定時間毎に起動されるタイマ割込み処理(Maskable Interrupt禁止可能割込み)プログラム(図5)と、電源電圧が所定値を下回るとNMI(Non Maskable interrupt)信号によって駆動されてCPUのレジスタ値をバックアップするNMI処理プログラム(不図示)とで構成されている。
【0023】
以下、図5を参照しつつタイマ割込み処理から説明する。タイマ割込みが生じると、各レジスタの内容はスタック領域に退避され、乱数作成処理、スイッチ入力管理処理、エラー管理処理などが行われる(ST30)。スイッチ入力管理処理は、ゲートや電動チューリップなどを遊技球が通過したか否かの判定であり、エラー管理処理は、機器内部に異常が生じていないかの判定である。また、乱数作成処理とは、ソフトウェア的又はハードウェア的に当り用乱数値や大当たり乱数値を更新する処理を意味する。
【0024】
その後、処理分けカウンタの値が判定されて、ST32〜ST36のうちの該当する処理が行われる(ST31)。上記したエラー管理やスイッチ管理は、短い時間間隔で繰り返し行うべきであるが、一方、パチンコゲームの演出に係わる処理は遊技者のニーズに応じて複雑高度化するため、ある程度以上の処理時間を要することになる。そこで、この実施例では、全ての遊技制御動作を1回の割込み処理で完了させのではなく、5種類の処理に区分し、区分された各処理を割込み毎に分担して実行するようにしている。そのため、0〜4の範囲で循環動作する処理分けカウンタを設けて、処理分けカウンタの値に応じた処理を行うようにしている。
【0025】
具体的に説明すると、処理分けカウンタが0の場合には大入賞口の開放などに関する処理を行い(ST32)、処理分けカウンタが1の場合には当り状態(電動チューリップの開放)か否かに関する普通図柄処理を行い(ST33)、処理分けカウンタが2の場合には大当り状態か否かに関する処理を行っている(ST34)。また、処理分けカウンタが3の場合には、電動チューリップや大入賞口の開閉タイミングに関係するタイマ管理処理や、主制御基板から各制御基板に伝送されるコマンド作成処理が行われる(ST35)。処理分けカウンタが4の場合には、情報出力やエラー表示コマンドの作成処理が行われる(ST36)。
【0026】
ステップST32〜ST36の何れかの処理が終わると、処理分けカウンタの値が更新された後(ST37)、生成されているコマンドが各制御基板に出力される(ST38)。また、各レジスタの値が復帰されると共に割込み許可状態に変更されて、割込み処理ルーチンからメインルーチンに戻る(ST39)。
【0027】
図6(a)は、上記したコマンド出力処理(ST38)を詳細に示すフローチャートであり、図6(b)は、RAMのコマンドバッファ領域(TOP番地から8バイト分)を図示したものである。なお、コマンドバッファ領域には、タイマ割込み処理(ST35,ST36)によって、既に必要な制御コマンドが格納されている。この実施例の場合、制御コマンドには、図柄制御基板用、音声制御基板用、ランプ制御基板用、払出制御基板用のものが存在するが、初期状態では、コマンドバッファ領域は全てゼロクリアされている。
【0028】
図6(a)のフローチャートに基づいて説明すると、先ず、コマンドバッファ領域に制御コマンドデータが存在するか否かが判定される(ST40)。初期状態ではアドレス変数ADRはTOP番地に設定されているので、TOP番地の内容がチェックされる。なお、この実施例では、制御コマンドは全て2バイト構成になっており、動作種別を示す上位8ビットのMODEデータと、動作内容を示す下位8ビットのEVENTデータとで構成されている。
【0029】
ステップST40の判定でコマンドデータの存在が確認できた場合には、2バイト構成の制御コマンドを1バイト毎に分けて出力するべく、変数LOOPに2を格納する(ST41)。その後、出力しようとしているデータが払出制御基板5に向けたMODEデータ(1バイト目)か否か(ST42)、また、払出制御基板5に向けたEVENTデータ(2バイト目)か否かが判定される(ST43)。
【0030】
出力すべき制御コマンドデータには、図柄制御基板用、音声制御基板用、ランプ制御基板用、払出制御基板用のものがあるが、RAMのコマンドバッファ領域のアドレス値によって払出制御基板用の制御コマンドか否かを判定している。そして、払出制御基板5に向けた制御コマンドであれば、出力すべき制御コマンドデータをSAFBAK番地に格納する(ST44)。このように、払出制御基板用の制御コマンドをRAMエリアに格納するのは、この制御コマンドが賞球に関するもので遊技者にとって重要であるので、停電からの復帰時にも、必要があれば制御コマンドを再送するためである。
【0031】
ステップST44の処理が終われば、制御コマンドデータをコマンド出力ポート53aに出力すると共に、制御コマンドを読み出したコマンドバッファ領域をゼロクリアする(ST45)。この結果、具体的には、デコード回路52からチップセレクト信号CS1が出力され、D型フリップフロップ53aに制御コマンドデータが書き込まれる。その後、49ステート以上を要する他の処理が実行された後(ST46)、RAMエリアに格納されているSTBデータが、ストローブポート53bに向けて出力される(ST47)。STBデータの初期値は01Hであるので、いま、図柄制御基板2に向けた制御コマンドを出力するタイミングであれば、ストローブポート53bには00000001のデータが出力され、ストローブ信号STB0のみがHレベルとなる。
【0032】
ステップST47の処理によって、ストローブ信号STB0〜STB3の何れか一つがHレベルとなり、対応するサブ制御基板のCPUには割込み(Maskable Interrupt)がかかる。そこで、割込みを受けたサブ制御基板では、割込み処理プログラムにおいて制御コマンドを入力する。このように、割込み処理は、実質的には8ビットデータの入力処理だけであるから、ステップST47の処理からサブ制御基板での制御コマンドの取得までに要する時間Tは限られたものであり、主制御基板1が次処理の開始を待機しても何の弊害もない。
【0033】
そこで、この実施例では、制御コマンドが確実に取得されるまでの時間Tを待つこととし、ステップST47の処理の後、時間消費処理を実行する(ST48)。そして、制御コマンドを受けた制御基板でのデータ取得処理が完了するに十分な時間の消費が行われた後、SAFBAK番地のデータをゼロクリアする(ST49)。なお、ステップST49の処理は、停電復帰時にSAFBAK番地のデータをチェックすれば、払出制御基板46に向けた制御コマンドが払出制御基板46に取得されたか否かを判定できるようにするためである。
【0034】
SAFBAK番地のゼロクリアが終われば、ストローブポート53bにクリアデータ(=00H)を出力して、全てのストローブ信号STBをLレベルにする。なお、ステップST49とST50の動作順序を逆にしても良いのは勿論である。次に、変数LOOPをデクリメントして(ST51)、その値が0になるまでステップST42〜ST51の処理を繰り返す。その結果、制御コマンドを出力すべき制御基板に対して、ST42〜ST51の処理が2度実行され、MODEデータとEVENTデータとが連続的に出力される。
【0035】
このようにして2バイトの制御コマンドの伝送が終われば、アドレス変数ADRを+2すると共に、RAMエリアのSTBデータを左シフトして、コマンドバッファの最終アドレスまでステップ40〜ST53の処理を繰り返す。なお、STBの左シフトによって、コマンドバッファ領域のSTBデータは00000001→00000010→00000100→00001000のように変化し、ステップST40でのスキップ処理がない限り、ステップST47の処理によって、ストローブデータSTB0→STB0→STB1→STB1→STB2→STB2→STB3→STB3が出力される。
【0036】
ところで、この遊技機では、動作中に電源電圧が所定値を下回ると、主制御基板1と払出制御基板5のCPUにNMI(Non Maskable interruptマスク不能の割込み)がかかるように構成されている。そして、NMIの割込みがかかると、CPUの全てのレジスタがRAMエリアに保存されと共に、このRAMを含むRAMの作業領域はバックアップ電源によって電圧が維持されるようになっている。一方、電源復旧後には、保存されているレジスタの値がゲーム中断前の状態に復元され、中断されたゲームが正常に再開される。以下、この点も踏まえて、電源投入後の主制御基板1の動作内容を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0037】
電源が投入されると、CPUが割込み禁止状態に設定された後、CPUのレジスタの初期設定がされ(ST1)、CPUは割込みモード2に設定される(ST2)。その後、RAMクリア信号とバックアップフラグとがチェックされる(ST3,ST4)。RAMクリア信号は、初期化スイッチ85に対応したものであり、営業開始時のように、パチンコ機2の前枠4を前方に開いた状態で初期化スイッチ85を押圧操作しながら電源スイッチ80をオン側に切換えると、RAMクリア信号がON状態になっている。
【0038】
RAMクリア信号がON状態であれば(ST3:yes)、RAMに記憶保持されている遊技情報の全てが消去処理された後、CPUは、第1図柄表示手段22に表示する初期図柄を設定したり、この遊技制御の実行中に周期的に割込み処理を実行させる割込み周期を設定する等の初期処理を行った後、EI命令を実行して自らを割込み許可状態にする(ST5)。その後は、無限ループ状に繰り返される外れ図柄用の乱数処理(ST6)が行われる。なお、外れ図柄用の乱数処理は、割込み処理おいて特別図柄の抽選に外れた場合に液晶ディスプレイ16に描かれる外れ図柄パターンを規定するものである。
【0039】
一方、電源投入時、RAMクリア信号がOFF状態のときには(ST3:no)、バックアップフラグがゼロでないことを確認した後(ST4)、バックアップデータの復帰処理が行われる(S7)。バックアップデータの復帰処理は、停電時などにNMI処理によってバックアップされたデータを復帰させる処理であり、停電復旧後に初期化スイッチ85を押すことなく電源を投入すると、この処理が行われる。なお、バックアップフラグはバックアップ処理が完了しているか否かを示しており、ステップST16までの処理が完了する前に再度停電状態になったような場合に意義がある。
【0040】
停電状態からの復旧時であれば、バックアップフラグBFLの内容は5AHである。そのため、CPUの処理は、ステップST4からステップST7に移行し、RAMのSP記憶エリアから読み出された16ビットデータがCPUのスタックポインタSPに書き込まれる(ST7)。
【0041】
続いて、SAFBAK番地のデータをBSAFBK番地にコピーする(ST8)。先に説明したように、払出制御基板48への制御コマンドを主制御基板39が用意してから、払出制御基板48が、その制御コマンドを確実に取得するまでの間は、SAFBAK番地には制御コマンドが保存されており、それ以外の期間はSAFBAK番地のデータがゼロである。したがって、停電復旧時のSAFBAK番地の内容がゼロ以外であれば、払出制御基板48に制御コマンドを伝送している途中に停電が生じたことを意味する。そこで、SAFBAK番地の内容に応じて制御コマンドの再送処理を行うべく、ステップST8の処理を設けている。
【0042】
次に、停電時のNMI処理において保存されていたRAMエリアのデータを読み出して、バックアップ復帰コマンドを作成する(ST9〜ST11)。ここで払出制御基板用のバックアップ復帰コマンド作成処理(ST9)とは、エラー信号を再チェックして、遊技機の現状に合わせた制御コマンドを払出制御基板46に出力するための準備動作を意味する。例えば、停電前に上皿が満杯であるエラー状態であった場合、バックアップデータによってエラー状態が保存されているが、停電によって遊技者が遊技球を回収する可能性も高いので、改めてエラー信号の現状を確認しているのである。
【0043】
また、図柄制御基板用やランプ制御基板用のバックアップ復帰コマンド作成処理(ST10、ST11)とは、停電前の遊技機が、大当り状態であった場合や、当選確率が増加しているいわゆる確変状態であった場合もあるので、そのような場合には、動作状態に合わせた液晶表示部の背景色を設定したり、効果音を発生できるようにするための処理である。
【0044】
次に、CPUは、ステップST8の処理で保存したBSAFBK番地の内容をACC(アキュムレータ)に読み出してコマンド出力ポート53aに出力する(ST12)。そして、出力データがゼロでない場合(つまり、制御コマンドを出力した場合)には、STB出力ポート53bにストローブデータ08Hを出力する(ST14)。この処理によって、払出制御基板5のCPUには割込みがかかり、コマンド出力ポート53aに出力された制御コマンドの入力処理が開始される。このような動作を設けているのは、払出制御基板46が制御コマンドを取得するか否かの微妙なタイミングで、停電状態になる可能性を考慮したものであり、制御コマンドの取得ミスを解消するために、電源復旧時に制御コマンドを再送している。なお、Hレベルに立上ったストローブ信号STBは、その後のタイマ割込み処理(図5、図6)によってLレベルに戻される(ST38,ST50)。
【0045】
ステップST13かST14の処理が終われば、CPUはPOP命令を実行して、スタックエリアからAFレジスタを除く各レジスタ(BC,DE,HL)の値を復帰させる(ST15)。この処理によって、停電時からの復帰処理は一応完了するので、そのことを示すべくバックアップフラグBFLをゼロクリアする(ST16)。最後に、停電前が割込み禁止状態であったか否かをチェックして(ST17,ST18)、AFレジスタをスタックエリアから復帰させた後(ST19,ST21)、割込み禁止状態のままで処理を終えるか(ST20)、或いは、割込み許可状態に戻して処理を終える(ST22,ST23)。
【0046】
続いて、上記の弾球遊技機について更に追加的に説明する。図7は、本実施例のパチンコ機22を示す斜視図であり、図8は、同パチンコ機22の側面図である。
【0047】
図7に示すパチンコ機22は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製の外枠23と、外枠23に固着されたヒンジHを介して開閉可能に枢着される前枠24とで構成されている。なお、このパチンコ機22は、カード式球貸し機21に電気的に接続された状態で、パチンコホールの島構造体の長さ方向に複数個が配設されている。
【0048】
ヒンジHを介して外枠23に枢着される前枠24には、遊技盤25が裏側から着脱自在に装着され、この遊技盤25の前側に対応して、窓部を有するガラス扉26と前面板27とが夫々開閉自在に枢着されている。前面板27には発射用の遊技球を貯留する上皿28が装着され、前枠24の下部には、上皿28から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿29と、発射手段30の発射ハンドル31とが設けられている。
【0049】
発射手段30は、回動操作可能な発射ハンドル31と、この発射ハンドル31の回動角度に応じた打撃力で打撃槌32(図10)により遊技球を発射させる発射モータなどを備えている。上皿28の右部には、カード式球貸し機21に対する球貸し操作用の操作パネル33が設けられ、この操作パネル33には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部33aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ33bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ33cとが設けられている。
【0050】
図9に示すように、遊技盤25には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール35がほぼ環状に設けられ、このガイドレール35の内側の遊技領域25aには、カラーの液晶ディスプレイ(LCDモニタ)8、検出スイッチを備える図柄始動口(図柄始動手段兼入賞手段)37、開閉式入賞手段(大入賞手段)38、複数の普通入賞手段39(上段の普通入賞手段39以外に、開閉式入賞手段38の左右両側部に6つの普通入賞手段39)、2つのゲート40(通過口)が夫々所定の位置に配設されている。
【0051】
液晶ディスプレイ8は、変動図柄を表示するとともに背景画像や各種のキャラクタの動画などを表示する第1図柄表示手段42(可変表示装置)として機能する。第1図柄表示手段42は、背景画やキャラクタをアニメーション的に表示するとともに、左右方向に並ぶ3個(左、中、右)の図柄表示部42a〜42cを有し、図柄始動口37に遊技球が入賞することを条件に、各図柄表示部42a〜42cの表示図柄が所定時間だけ変動表示(スクロール表示)され、図柄始動口37への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄パターンで停止する。
【0052】
液晶ディスプレイ8の直ぐ上側に、普通入賞手段39と第2図柄表示手段43とが設けられている。第2図柄表示手段43は1個の普通図柄を表示する普通図柄表示部を有し、ゲート40を通過した遊技球が検出されたとき、普通図柄表示部(可変表示装置)の表示図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート40通過時点において抽選された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。図柄始動口37は、開閉自在な左右1対の開閉爪37aを備えた電動式チューリップであり、第2図柄表示手段43の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合に、開閉爪37aが所定時間だけ開放されて入賞し易くなっている。
【0053】
開閉式入賞手段38は前方に開放可能な開閉板38aを備え、第1図柄表示手段42の変動後の停止図柄が「777」などの当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板38aが前側に開放される。この開閉式入賞手段38の内部に特定領域38bがあり、この特定領域38bを入賞球が通過すると、特別遊技が継続される。ここで、特別遊技状態が遊技者に有利な第1状態に相当する。
【0054】
開閉式入賞手段38の開閉板38aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞して開閉板38aが閉じるときに、遊技球が特定領域38bを通過していない場合には特別遊技が終了するが、特定領域38bを通過していれば最大で例えば16回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。
【0055】
前枠24の裏側には、図10に示すように、遊技盤25を裏側から押さえる裏機構板50が着脱自在に装着され、この裏機構板50には開口部50aが形成され、その上側に賞球タンク53と、これから延びるタンクレール54とが設けられ、このタンクレール54に接続された払出手段55が裏機構板50の側部に設けられ、裏機構板50の下側には払出手段(払出モータ)55に接続された通路ユニット56が設けられている。払出手段55から払出された遊技球は通路ユニット56を経由して上皿排出口28a(図7)から上皿8に払出される。
【0056】
裏機構板50の開口部50aには、遊技盤25の裏側に装着された裏カバー57と、入賞手段37〜39に入賞した遊技球を排出する入賞球排出樋(不図示)とが夫々嵌合されている。この裏カバー57に装着されたケース58の内部に主制御基板1が配設され、その前側に図柄制御基板2が配設されている(図8)。主制御基板1の下側で、裏カバー57に装着されたケース61aの内部にランプ制御基板4が設けられ、このケース61aに隣接するケース61bの内部に音声制御基板3が設けられている。
【0057】
これらケース61a,61bの下側で裏機構板50に装着されたケース64の内部には、電源基板6と払出制御基板5が夫々設けられている。この電源基板6には、図10に示すように、電源スイッチ80と初期化スイッチ85とが配置されている。これら両スイッチ80,85に対応する部位はケース64が切欠かれ、両スイッチ80,85の各々を指で同時に操作可能になっている。
【0058】
また、発射手段30の後側に装着されたケース67の内部には、発射制御基板7が設けられている。これら制御基板1〜7は夫々独立の基板であり、電源基板6と発射制御基板7を除く制御基板1〜5には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路が搭載されており、主制御基板1と他の制御基板2〜5とは、複数本の信号線でコネクタを介して電気的に接続されている。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、主制御基板の回路構成をコンパクト化できるだけでなく、サブ制御基板の個数に係わらず主制御基板を共通化することもできる遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るパチンコ機の全体構成を示すブロック図である。
【図2】主制御基板の構成を示すブロック図である。
【図3】主制御基板とサブ制御基板の接続部を詳細に図示したものである。
【図4】主制御基板におけるシステムリセット処理を示すフローチャートである。
【図5】主制御基板におけるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図6】主制御基板におけるコマンド出力処理を示すフローチャートである。
【図7】実施例に係るパチンコ機の斜視図である。
【図8】図7のパチンコ機の側面図である。
【図9】図7のパチンコ機の正面図である。
【図10】図7のパチンコ機の背面図である。
【符号の説明】
1 主制御基板
2〜5 サブ制御基板
53a 第1回路(コマンド出力ポート)
55a 第1回路(第1駆動部)
53b 第2回路(STB出力ポート)
55b 第2回路(第2駆動部)
Claims (1)
- 遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かの抽選処理を実行し、前記抽選処理の結果に基づいて遊技動作を制御する主制御基板と、
前記主制御基板からの制御コマンドに基づいて所定の遊技動作を行うM個(M<N)のサブ制御基板と、
前記主制御基板と前記サブ制御基板の間に設けられ、前記主制御基板から出力された単一の前記制御コマンドを個々の前記サブ制御基板に向けて分岐させて伝送する一方、前記主制御基板から出力されたN個のNビット長のストローブ信号のうちのM個を伝送する中継基板とを設け、
前記中継基板は、
前記制御コマンドと、前記N個のNビット長のストローブ信号とを前記主制御基板から受ける入力コネクタと、
前記制御コマンドと、前記N個のNビット長のストローブ信号のうちのM個とを、前記M個のサブ制御基板向けに編成して出力するM個の出力コネクタと、を有し、
前記主制御基板には、前記制御コマンドを出力するコマンド出力ポートと、前記N個のNビット長のストローブ信号を出力するSTB出力ポートと、前記STB出力ポートから前記ストローブ信号が出力されることを条件に、前記コマンド出力ポートが出力した制御コマンドを、前記主制御基板から前記中継基板に出力する駆動部とが設けられている
ことを特徴とする遊技機。
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