JP4443111B2 - 塗膜形成組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、揮散性薬剤を含んだ塗膜形成組成物に関し、さらに詳しくは、揮散性薬剤の揮散量を向上させた塗膜形成組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から揮散性の防虫剤、防かび剤等の薬剤を混合させた塗料等の塗膜形成組成物が知られている。ところが塗膜内に混在させた薬剤は適切な揮散量が得られにくく目的とする薬効が得られないことがあった。そのため塗膜内にある種の徐放成分を共存させて薬剤を適切に揮散させるための手段が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平4−39324号公報(第1−6頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、塗膜内に混在させた薬剤の揮散量を向上させるには従来の技術では十分とは言えず、検討の余地があった。そこで本発明の課題は、揮散性薬剤の揮散量を向上させ目的とする薬効を得ることができる塗膜形成組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を満足するために鋭意検討した結果、塗膜形成剤と揮散性薬剤とを含んだ塗膜形成組成物に、前記揮散性薬剤の揮散調整剤として、トリプロピレングリコールエーテル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのいずれか又は両方を含有させると、前記揮散性薬剤の揮散量が明らかに向上されることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の塗膜形成組成物により達成されるものである。
(1)分子量700以上のアクリルポリオール樹脂又はアクリル酸ターポリマーの塗膜形成剤と、エンペンスリンとを含んだ塗膜形成組成物であって、エンペンスリンの揮調整剤として、トリプロピレングリコールエーテル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのいずれか又は両方を含有させることを特徴とする塗膜形成組成物。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の塗膜形成組成物は、塗膜形成剤と揮散性薬剤とを含み、さらに揮散調整剤としてグリコールエーテル又はエーテル系界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を含有させたものであり、グラビア印刷等が可能であるので各種部材に容易に塗布することができる。
【0007】
揮散性薬剤の揮散量を向上させる作用を有する揮散調整剤としては、エチレングリコールエーテル(付加エーテルがモノブチル、モノフェニル等)、ジエチレングリコールエーテル(付加エーテルがモノブチル、モノフェニル等)、トリエチレングリコールエーテル(付加エーテルがモノブチル、モノフェニル等)、トリプロピレングリコールエーテル(付加エーテルがモノブチル、モノフェニル等)等のグリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、塗膜形成組成物中に0.1〜50重量%、好ましくは5〜20重量%となるように含有させるのがよい。
【0008】
塗膜形成剤としては、分子量700以上の高分子化合物を用いるのがよく、具体的には、スチレン・無水マレイン酸共重合体、N−ビニルピロリドン・無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル・無水マレイン酸共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、及びこれらの共重合体の長鎖(炭素数10〜22)一価アルコールとの反応物、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、スチレン・α−メチルスチレン・アクリル酸共重合体、その他のアクリル酸ターポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂類、デンプン、ニカワ、カゼイン、セラック、ロジン等の天然高分子類、寒天、グアガム、キサンタンガム、セルロース等の多糖類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0009】
揮散性薬剤としては、20℃における蒸気圧が0.1mPa以上、好ましくは0.1〜30mPaの各種薬剤を用いることができ、防虫剤、殺虫剤、防かび剤、香料、消臭剤、殺菌剤、忌避剤等の有効成分が挙げられる。具体的には、エンペンスリン、トランスフルトリン、テラレスリン、メトフルスリン、ジノテフラン、ハイドロプレン、メトプレン、プロポクスル、アミドフルメット、S−1864(住友化学工業社製)等の防虫剤(殺虫剤)、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、トリブロムフェノール、パラクロロメタキシレノール、パラヒドロキシ安息香酸エステル、トリクロサン、ヒノキチオール、チモール、アリルイソチオシアネート等の防かび剤(殺菌剤)、N,N−ジエチル−m−トルアミド、カラン−3,4−ジオール等の忌避剤、グリオキザール、アビエチン酸、ラウリルメタクリレート、フラボノイド、ポリフェノール等の消臭剤、ローズ油、ラベンダー油、ジャスミン油、パーチュリー油、カーネーション油、レモン油、オレンジ油、レモングラス油、ベルガモット油、ベチュバ油、チョウジ油、セダー油、ビャクダン油、ユーカリ油、カッシヤ油、ショウノウ油、イランイラン油、シトロネラー油、ゼラニウム油等の精油、ジャコウ、シベット油、ウミダヌキ油、アンバーグリス油等の動物性香料、バニリン、サリチル酸メチル、シンナミルアルデヒド、フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、オキシシトロネラール、フェニルアセトアルデヒド、ピペロナール等の合成香料、これらを調合した調合香料等の香料等が挙げられる。
【0010】
これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、塗膜形成組成物中に5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%となるように含有させるのがよい。
【0011】
本発明の塗膜形成組成物には、発明の効果を奏する限り必要に応じて、BHT、BHA等の酸化防止剤、セラック、PPパウダー等の抗ブロッキング剤、界面活性剤等の帯電防止剤、脂肪酸、他のカルボン酸等のブリード促進剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、造核剤等を併用してもよい。
【0012】
また塗膜形成組成物を調製する際に、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶剤を用いることもできる。
【0013】
さらに本発明の塗膜形成組成物にミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸n−ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸エチル、ラウリン酸n−ブチル、イソノナン酸イソノニル等の脂肪酸エステル、ジメチルシリコン、環状ジメチルシリコン等のシリコン化合物、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等のパラフィン等の揮散性成分を混在させて塗膜を濁らせ、前記揮散性成分が経時的に揮散することで濁りが消失することで経過期間が確認できるようなインジケーター機能をもたせてもよい。このようなインジケーター機能をもたせる際には、塗膜形成組成物をフィルム上にアルミニウムを蒸着又はラミネートした部材に塗布すると特に白濁の場合には濁りが明確になることから好ましい。
【0014】
本発明の塗膜形成組成物は、10〜100μm程度の膜厚となるように所望の部材に塗布すればよく、PET、PP、PE等のプラスチック、金属等のフィルム、シート、容器等に適用できる。これらの部材は前記薬剤による薬効を備えたカバー、シート、袋、プレート、バルーン、ロール状シート等として用いることができ、これらを巻いたり、重ねたりして保管することで保管時の薬剤の揮散を抑えることができる。
【0015】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
試験例1
表1記載の塗膜形成組成物を調製し、ガラス板に膜厚94μm、塗布面積7cm2となるように塗布した。そして40℃条件下に置き、13日間での薬剤の揮散量を調べて揮散率(%)を求めた。試験の結果は表1に併せて記載した。本発明の実施例1は比較例1と比べて薬剤(エンペンスリン)の揮散率が明らかに向上していることが確認された。
【0017】
【表1】
Figure 0004443111
【0018】
試験例2
表2記載の塗膜形成組成物を調製し、PETシートに膜厚75μm、塗布面積4.5cm2となるように塗布した。そして40℃条件下に置き、13日間での薬剤の揮散量を調べて揮散率(%)を求めた。試験の結果は表2に併せて記載した。本発明の実施例2は比較例2と比べて薬剤(エンペンスリン)の揮散率が明らかに向上していることが確認された。
【0019】
【表2】
Figure 0004443111
【0020】
【発明の効果】
本発明によって、含有された揮散性薬剤の揮散量が向上された塗膜形成組成物とすることができる。そして揮散性薬剤として防虫剤、防かび剤等を用いることで優れた防虫、防かび等の薬効を各種部材に容易に塗布することができる。

Claims (1)

  1. 分子量700以上のアクリルポリオール樹脂又はアクリル酸ターポリマーの塗膜形成剤と、エンペンスリンとを含んだ塗膜形成組成物であって、エンペンスリンの揮調整剤として、トリプロピレングリコールエーテル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのいずれか又は両方を含有させることを特徴とする塗膜形成組成物。
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